説明

通信システム及び電子機器

【課題】ブラウザ機能を持たない電子機器は、認証用ゲートウェイを介してインターネットに接続できないという課題がある。
【解決手段】認証要求への応答に応じてインターネットへの接続の可否を判断するゲートウェイ103を介して、インターネット上のサーバー105と接続する第1の電子機器101と、第1の電子機器101に接続される第2の電子機器102とからなる通信システムであって、第1の電子機器101は、サーバー105及び第2の電子機器102との間で情報のやりとりを行う通信制御部と、第2の電子機器102からの通信要求を、当該第1の電子機器101が有する物理アドレスを用いて、ゲートウェイ103に送信する転送制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証が必要なゲートウェイを介してインターネットに接続する通信システム及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラやビデオカメラ等の撮像装置が、インターネットに接続される機会が増えている。撮像装置で撮像された静止画や動画が、インターネット上のサーバーに送信され、格納される。
【0003】
ホテルやホットスポット等のネットワーク環境において、端末をインターネットへ接続する際には、電子機器は、ゲートウェイとの間でブラウザを用いた認証処理が行われる。電子機器は、認証処理が完了した後に、インターネットへの接続が許可される。
【0004】
しかしながら、ビデオカメラ等の撮像装置は、ゲートウェイとの間で認証処理を行うために必要なブラウザを搭載しておらず、ホテル等のネットワーク環境では、インターネットに接続できないという課題がある。
【0005】
ブラウザ機能を有しない電子機器を用いてインターネットへ接続する技術として、特許文献1に開示の技術がある。特許文献1のディスプレイ端末は、所定期間毎に無線LANを介して無線LANアクセスポイントに接続するアクセスポイント接続手段と、無線LANアクセスポイントに接続したときに、所定の端末情報を認証サーバーに提示して、無線LANを介してインターネットに接続するための無線LANへの接続認証の可否を確認する認証確認手段と、認証サーバーにより認証され無線LANへの接続が許可された後、インターネットに接続するインターネット接続手段と、を備える。
【0006】
これにより、ブラウザ機能を保持しないディスプレイ端末は、省電力を維持しつつ認証が必要な無線LANとの接続を断続的、もしくは継続的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−310738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記ディスプレイ端末は、所定期間毎に無線LANへ接続する機能、及び接続したときに端末情報を提示する機能を新たに設ける必要がある。さらに、無線LANの接続形態によって、提示が求められる端末情報の形式が異なり、接続形態毎に、異なる端末情報を提示する必要があり、ディスプレイ端末での処理が複雑になるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の通信システムは、認証要求への応答に応じてインターネットへの接続の可否を判断するゲートウェイを介して、インターネット上のサーバーと接続する第1の電子機器と、前記第1の電子機器に接続される第2の電子機器とからなる通信システムであって、前記第1の電子機器は、前記サーバー及び前記第2の電子機器との間で情報のやりとりを行う通信制御部と、前記第2の電子機器からの通信要求を、当該第1の電子機器が有する物理アドレスを用いて、前記ゲートウェイに送信する転送制御部と、を備え、前記第2の電子機器は、前記第1の電子機器との間で情報のやりとりを行う通信制御部と、前記第1の電子機器を介して、前記ゲートウェイからの認証要求に対して応答するブラウザと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によって、第1の電子機器は、認証用のゲートウェイを介してインターネットに接続するにあたり、ブラウザ機能やインターネット接続用のユーザーインターフェース機能を搭載する必要がなくなり、コストダウンや開発期間の短縮を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1における通信システムの構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1における機器Aの構成を示すブロック図
【図3】実施の形態1における機器Bの構成を示すブロック図
【図4】実施の形態1における通信システムの動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
(1−1.通信システムの構成)
以下、図1を用いて実施の形態1における通信システムのシステム構成について説明する。
【0014】
図1は、例えばホテルの客室において、機器A101をLANコネクタに接続してインターネット上のサーバー105と通信する場合の構成に相当する。機器A101はゲートウェイ103に接続され、その後インターネット104を介してサーバー105に接続される。
【0015】
また、機器B102は機器A101に無線LANを経由して接続される。
【0016】
機器A101はビデオカメラのような機器であり、パソコンのようなインターネット接続に適したユーザーインターフェースを持たないものである。したがって、機器A101は、後述のゲートウェイ103による認証確認画面を用いた認証に応答できず、機器A101単独では、インターネット104を介してサーバー105に接続できない。
【0017】
ゲートウェイ103は、ローカルLANに接続された機器をインターネットに接続するための中継器である。またゲートウェイ103は同時にローカルLAN側から接続要求を行った機器の認証や、必要に応じて課金処理の手続きを行う機能を有している。ゲートウェイ103は、ローカルLAN側から接続要求を行った機器に対して、認証を行い、認証OKの機器については、インターネット104への接続を許可するが、認証NGの機器については、インターネット104への接続を認めない。
【0018】
サーバー105はインターネットを経由してFTP(File Transfer Protocol)で接続されるもので、例えば放送局内において映像コンテンツを格納するものである。
【0019】
機器B102はPDA(Personal Digital Assistant)などインターネット接続を主な用途とする機器である。機器B102は、機器A101をインターネットに接続する際に必要な認証などの操作を代わりに行う。
【0020】
(1−2.機器Aの構成)
機器A101は、FTPクライアント201、ファイル格納部202、Proxyサーバー部203、有線LAN制御部204、無線LAN制御部205、および操作部206から構成される。
【0021】
FTPクライアント201は、サーバー105にファイル格納部202内のデータをFTP(File Transfer Protocol)を用いて転送するための機能を有する。有線LAN制御部204は、FTPクライアント201やProxyサーバー部203の要求をゲートウェイ103に送出する機能を持つ。無線LAN制御部205は、機器B102からの接続要求を受け付ける機能を持つ。Proxyサーバー部203は、無線LAN制御部205で受信した接続要求を有線LAN制御部204に転送する機能を持つ。その際、有線LAN制御部204から送出される接続要求は有線LAN側のMACアドレスに変換される。従ってゲートウェイ103では、機器B102からの接続要求は機器A101からの接続要求として受信される。
【0022】
操作部206は、簡単なボタンやモニターで構成され、FTPクライアント201の操作やProxyサーバー部203の起動などの操作をユーザーが指示するためのものである。通常、操作部206は、複数のボタンと小型のモニターとで構成されており、ポインティングデバイスやキーボードを備えていないため、ブラウザの操作は困難である。
【0023】
なお、本実施の形態においては、FTPクライアント201、およびProxyサーバー部203は機器A101の起動と共に動作を開始するものではなく、ユーザーが操作部206を操作することで動作を開始する。
【0024】
(1−3.機器Bの構成)
機器B102はPDAなどの機器で、ブラウザ301、および無線LAN制御部302を持つ。ブラウザ301は、WEBページを表示するための機能を有し、それに適したユーザーインターフェースを備えている。無線LAN制御部302は、無線を利用してLANに接続する機能を持ち、無線経由のデータをブラウザ301に転送し、ブラウザの要求を無線LANに転送する機能を持つ。
【0025】
(2.通信システムの動作)
図4を用いて、実施の形態1における通信システムの動作の流れを説明する。
【0026】
ユーザーが操作部206を操作することにより、機器A101内でProxyサーバー部203が起動される(S401)。また、ユーザーは、機器B102においてブラウザ301の設定機能により、Proxyサーバーを有効にして、かつProxyサーバーとして機器A101のアドレスを設定する(S402)。なおS401とS402の動作は前後しても構わない。
【0027】
次に、ユーザーは、機器B102でブラウザ301を起動し、インターネットへの接続操作(S403)を行うと、機器B102からの接続要求は機器A101のProxyサーバー部203を経由してゲートウェイ103に送信される。ゲートウェイ103は接続要求を行う機器のMACアドレスに基づいて認証済みか否かを判定するが、最初の接続要求は未認証の機器からのものとみなして、インターネットには接続せず、認証用のWEBページを返信する。この結果ブラウザ301には認証用の画面が表示されるので、ユーザーは必要に応じてIDやパスワードを入力し、認証操作を行う(S404)。
【0028】
認証操作による送信データは、機器A101の無線LAN制御部205、Proxyサーバー部203、および有線LAN制御部204を経由してゲートウェイ103に送信される。これによりゲートウェイ103は機器A101のMACアドレスを認証済みの機器と判断するため、それ以後は機器A101において操作部206の操作だけでFTPクライアント201からサーバー105への接続が可能となり、データの転送を行うことができる(S405)。
【0029】
(3.まとめ)
以上、本実施の形態の通信システムは、認証要求への応答に応じてインターネットへの接続の可否を判断するゲートウェイ103を介して、インターネット上のサーバー105と接続する機器A101と、機器A101に接続される機器B102とからなる通信システムであって、機器A101は、サーバー105との間で情報のやりとりを行う有線LAN制御部204と、機器B102との間で情報のやりとりを行う無線LAN制御部205と、機器B102からの通信要求を、機器A101が有する物理アドレスを用いて、ゲートウェイ103に送信するProxyサーバー部203と、を備え、機器B102は、機器A101との間で情報のやりとりを行う無線LAN制御部302と、機器A101を介して、ゲートウェイ103からの認証要求に対して応答するブラウザ301と、を備えることにより、機器A101においてブラウザ機能や、インターネット接続用のユーザーインターフェース機能を搭載することなしに、ブラウザ機能を有する汎用のPCやPDAである機器B102を機器A101に接続し、機器B102を用いた認証画面に対する応答を、機器A101からの応答として送信することによって、機器A101は、ゲートウェイ103を経由してサーバー105への通信が可能となり、コストダウンや開発期間の短縮を図ることが可能となる。
【0030】
また、機器B102のブラウザ301は、ブラウザ認証画面上で、認証識別情報及びパスワードを受け付けることにより、ゲートウェイ103から求められる認証情報が変化しても、それに柔軟に対応することができる。
【0031】
(その他の実施の形態)
実施の形態1は、ホテルの客室などからインターネットへ接続する場合の例であるが、インターネット上から、VPNなどで保護された特定のドメイン内にアクセスする際に認証が必要な場合でも同様に実現可能である。
【0032】
実施の形態1では、機器A101と機器B102とを無線LANで接続し、機器A101とゲートウェイ103とを有線LANで接続する形態について説明したが、接続形態は、有線、無線いずれの方式を用いても構わない。また、有線の接続形態も、LANに限らず、USBや、IEEE1394等どのような形態であってもよく、無線の接続形態も、無線LANのIEEE802.11a、11b、11g等の規格に準拠したものや、WiMAX等どのようなものであってもよい。
【0033】
実施の形態1では、有線LAN制御部、無線LAN制御部を別々のデバイスとして構成しているが、一つの物理デバイスを仮想的に2つのデバイスとして動作させても同様の効果が得られる。
【0034】
実施の形態1では、Proxyサーバー部203はユーザーの操作により起動するようになっているが、機器起動と同時にProxyサーバー機能を起動する構成も可能である。
【0035】
実施の形態1では転送制御部としてProxy機能を用いているが、ルーター機能を用いても同様の効果が得られる。
【0036】
実施の形態1ではデータ転送のプロトコルとしてFTPを用いたが、SSH(Secure SHell)やSMB(Server Message Block、またはSAMBA)、WebDAV(Web−based Distributed Authoring and Versioning)など他のプロトコルを用いた場合でも同様である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本実施の形態にかかる通信システムおよび電子機器は、ブラウザ機能やインターネット接続用のユーザーインターフェース機能を搭載する必要がなくなり、コストダウンや開発期間の短縮を図ることが可能となり、ビデオカメラ等の機器に適用することができ、有用である。
【符号の説明】
【0038】
101 機器A
102 機器B
103 ゲートウェイ
104 インターネット
105 サーバー
201 FTPクライアント
202 ファイル格納部
203 Proxyサーバー部
204 有線LAN制御部
205、302 無線LAN制御部
206 操作部
301 ブラウザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証要求への応答に応じてインターネットへの接続の可否を判断するゲートウェイを介して、インターネット上のサーバーと接続する第1の電子機器と、前記第1の電子機器に接続される第2の電子機器とからなる通信システムであって、
前記第1の電子機器は、
前記サーバー及び前記第2の電子機器との間で情報のやりとりを行う通信制御部と、
前記第2の電子機器からの通信要求を、当該第1の電子機器が有する物理アドレスを用いて、前記ゲートウェイに送信する転送制御部と、
を備え、
前記第2の電子機器は、
前記第1の電子機器との間で情報のやりとりを行う通信制御部と、
前記第1の電子機器を介して、前記ゲートウェイからの認証要求に対して応答するブラウザと、
を備える通信システム。
【請求項2】
前記ブラウザは、
前記ゲートウェイからのブラウザ認証画面に対して応答する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記ブラウザは、
前記ブラウザ認証画面上で、認証識別情報及びパスワードを受け付ける
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
認証要求への応答に応じてインターネットへの接続の可否を判断するゲートウェイを介して、インターネット上のサーバーと接続する電子機器であって、
前記サーバー及び第2の電子機器との間で情報のやりとりを行う通信制御部と、
前記第2の電子機器からの通信要求を、当該第1の電子機器が有する物理アドレスを用いて、前記ゲートウェイに送信する転送制御部と、
を備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−134032(P2011−134032A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291710(P2009−291710)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】