説明

通信システム

【課題】光学的情報読取機能と無線通信機能とを備えた通信端末において、無線タグと無線通信を行う際の送信出力を、無線タグの特性及び読取環境を考慮した適切なレベルに設定することができ、無線タグとの無線通信を良好に行い得る構成を提供する。
【解決手段】通信端末2は、通信対象物3と無線通信を行う際に、二次元コードCに記録される無線タグ特性情報を読み取ると共に、通信対象物3との距離dを測定している。そして、その測定された距離2と、二次元コードCを読み取ることで得られた無線タグ特性情報と、無線タグ50と無線通信を行う際の通信種別と、に基づいて送信出力を決定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取るコードリーダが提供されている。この種のコードリーダは、商品の販売や在庫管理等で広く用いられており、商品等に付された情報コードの画像を取得すると共にその画像内容に基づいて当該情報コードの解読データを生成するといった光学的読取機能を有するものが一般的である。
【0003】
また、上記のようなコードリーダが利用される用途(商品販売や在庫管理等)、或いはそれに関連する用途で、無線タグを利用した読取システムが用いられる場合も多い。例えば、商品等に無線タグを付しておき、この無線タグを無線タグリーダによって読み取ることで商品販売や在庫管理等を行うといった方法も様々な分野で採用されている。
【特許文献1】特開2005−157434公報
【特許文献2】特開2006−324821公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、情報コードを読み取るコードリーダと、無線タグを読み取る無線タグリーダとは、用途が密接に関連することが多いため、両機能を予め単一の読取装置内に備えさせておくと有用である。例えば、情報コードとIDタグとが混在するような状況下で読取作業を行う場合、それぞれの専用リーダを別々に用意するよりも、両機能を備えた単一の読取装置を用いるほうが、作業性、コスト、サイズ等の面で有利であり、このような技術としては例えば特許文献1のようなものが提供されている。
【0005】
しかしながら、上記のような通信端末では、無線タグリーダとして機能させる場合に、無線タグの特性に適切に対応しにくいという問題があった。即ち、上記通信端末によって無線タグと無線通信を行う場合、通信端末の送信出力(出力強度)は、通信環境や無線タグの特性を考慮した適切なレベルに設定することが望ましいが、従来構成では、その対策が十分ではなかった。
【0006】
例えば、送信出力(出力強度)をより適切なレベルに設定しようとする技術としては、特許文献2のようなものがあり、この特許文献2では、通信端末と無線タグとの距離を測定し、その距離に応じて送信出力(出力強度)を制御しているが、この技術では距離以外の他の要素が考慮されておらず、送信出力の適切化を図る上では不十分であった。
【0007】
送信出力(出力強度)を設定する際に考慮すべき要素としては、通信対象となる無線タグとの距離に加え、当該無線タグの特性も重要となる。即ち、現在では様々なサイズや種類の無線タグが提供されており、各無線タグごとにICチップ特性やアンテナ特性が異なるため、無線タグと通信を行う場合には各無線タグの個別事情を考慮して送信出力を設定することが望ましい。しかしながら、従来ではタグ特性を考慮した出力設定は行われておらず、動作電力とのミスマッチに起因する出力不足や過剰な電力消費などの問題があった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、光学的情報読取機能と無線通信機能とを備えた通信端末において、無線タグと無線通信を行う際の送信出力を、無線タグの特性及び読取環境を考慮した適切なレベルに設定することができ、無線タグとの無線通信を良好に行い得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、無線タグと情報コードとを備えた通信対象物と、前記情報コードを光学的に読み取る光学的読取手段と、前記無線タグと無線通信を行う無線通信手段と、を備えた通信端末と、を有する通信システムとして構成される。
そして、前記通信対象物の前記情報コードには、前記無線タグの特性を示す無線タグ特性情報が記録されており、前記通信端末は、当該通信端末と前記通信対象物との距離を測定する距離測定手段と、前記無線通信手段によって前記無線タグと前記無線通信を行う際の送信出力を決定する出力決定手段と、を備え、前記通信対象物と前記無線通信を行う際に、前記光学的読取手段によって前記情報コードに記録される前記無線タグ特性情報を読み取る構成をなしており、前記出力決定手段は、前記距離測定手段によって測定された前記距離と、前記光学的情報読取手段によって読み取られた前記無線タグ特性情報と、前記無線通信手段が前記無線タグと前記無線通信を行う際の通信種別と、に基づいて前記送信出力を決定することを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の通信システムにおいて、前記通信端末は、当該通信端末の特性を示す端末特性情報を記憶する記憶手段を有し、前記出力決定手段は、前記距離、前記無線タグ特性情報、前記通信種別、及び前記端末特性情報に基づいて前記送信出力を決定することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の通信システムにおいて、前記無線タグ特性情報は、少なくとも、前記無線タグで使用可能な周波数帯を示す第1周波数帯データと、前記無線タグで用いるアンテナのアンテナ利得を示す第1アンテナ利得データとを含み、前記端末特性情報は、少なくとも前記通信端末で使用可能な周波数帯を示す第2周波数帯データと、前記通信端末で用いるアンテナのアンテナ利得を示す第2アンテナ利得データと、を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載の通信システムにおいて、前記無線タグ特性情報は、前記第1周波数帯データとして、前記無線タグで使用可能な複数の周波数帯のデータを有すると共に、前記第1アンテナ利得データとして、前記無線タグで使用可能なそれら複数の周波数帯にそれぞれ対応する複数のアンテナ利得データを含み、前記端末特性情報は、前記第2周波数帯データとして、前記通信端末で使用可能な複数の周波数帯のデータを有すると共に、前記第2アンテナ利得データとして、前記通信端末で使用可能なそれら周波数帯にそれぞれ対応する複数のアンテナ利得データを含み、前記出力決定手段は、前記無線通信に際して前記通信端末で使用される送信周波数帯に対応する当該通信端末の前記アンテナ利得データと、前記無線通信に際して前記無線タグで使用される受信周波数帯に対応する前記無線タグの前記アンテナ利得データと、に基づいて前記送信出力を決定することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記無線タグ特性情報は、前記無線タグの読み取り時の動作電力を示す読取時動作電力データと、前記無線タグの書き込み時の動作電力を示す書込時動作電力データとを含み、前記出力決定手段は、前記無線通信手段によって前記無線タグに送信するコマンドに基づいて、前記読取時動作電力データ及び前記書込時動作電力データのうちの前記コマンドに対応する動作電力データを選択し、その選択された動作電力データに基づいて前記送信出力を決定することを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記出力決定手段は、前記無線通信に際して前記通信端末で使用される送信周波数と、前記距離測定手段によって測定された前記距離と、に応じて得られる電波伝搬損失に基づいて前記送信出力を決定することを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記光学的読取手段は、前記情報コードを撮像する撮像手段を有し、前記距離測定手段は、前記撮像手段によって撮像された前記情報コードの画像データに基づいて前記距離を測定することを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7に記載の通信システムにおいて、前記情報コードは二次元コードであり、前記二次元コードには、当該二次元コードが特定距離で撮像されたときのセルサイズ又はコードサイズを特定可能なサイズデータが記録されており、前記距離測定手段は、前記二次元コードに記録される前記サイズデータと、前記二次元コードを撮像したときの当該二次元コードの一部又は全部の撮像サイズとに基づいて前記距離を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明は、通信端末が通信対象物と無線通信を行う際に、情報コードに記録される無線タグ特性情報を読み取り、その読み取られた前記無線タグ特性情報と、距離測定手段によって測定された通信対象物との距離と、無線通信手段が無線タグと無線通信を行う際の通信種別と、に基づいて送信出力を決定している。
このようにすると、無線タグと無線通信を行う際の送信出力を、無線タグとの距離を考慮して設定できると共に、無線タグの特性や通信種別をも考慮してより適切なレベルに設定することができる。従って、出力不足や過剰な電力消費を効果的に抑制ないし防止でき、無線タグとの無線通信を良好に行うことができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、無線タグと通信端末との距離、無線タグ特性情報、通信種別のみならず、通信端末の端末特性をも考慮して送信出力を決定することができ、送信出力をより一層適切なレベルに設定できるようになる。
【0019】
請求項3の発明は、無線タグ特性情報として、無線タグで使用可能な周波数帯を示す第1周波数帯データと、無線タグで用いるアンテナのアンテナ利得を示す第1アンテナ利得データとが含まれている。また、端末特性情報として、少なくとも通信端末で使用可能な周波数帯を示す第2周波数帯データと、通信端末で用いるアンテナのアンテナ利得を示す第2アンテナ利得データとが含まれている。
このようにすると、無線タグと無線通信を行う際の送信出力を、無線タグ及び通信端末のそれぞれアンテナ利得、及びそれぞれの周波数帯を考慮した適切な出力強度とすることができる。
【0020】
請求項4の発明は、無線タグ特性情報は、第1周波数帯データとして、無線タグで使用可能な複数の周波数帯のデータを有すると共に、第1アンテナ利得データとして、無線タグで使用可能なそれら複数の周波数帯にそれぞれ対応する複数のアンテナ利得データを含んでいる。また、端末特性情報は、第2周波数帯データとして、通信端末で使用可能な複数の周波数帯のデータを有すると共に、第2アンテナ利得データとして、通信端末で使用可能なそれら周波数帯にそれぞれ対応する複数のアンテナ利得データを含んでいる。
そして、出力決定手段は、無線通信に際して通信端末で使用される送信周波数帯に対応する当該通信端末のアンテナ利得データと、無線通信に際して無線タグで使用される受信周波数帯に対応する無線タグのアンテナ利得データと、に基づいて送信出力を決定している。
このようにすると、無線タグ及び通信端末において複数の周波数帯が使用可能となり、且つ通信時には、当該通信に用いる周波数帯及び当該通信に用いる周波数帯に対応する各アンテナ利得を適切に考慮して送信出力を決定できるようになる。
【0021】
請求項5の発明では、無線タグ特性情報として、無線タグの読み取り時の動作電力を示す読取時動作電力データと、無線タグの書き込み時の動作電力を示す書込時動作電力データとが含まれている。そして、無線タグに送信するコマンドに基づいて、読取時動作電力データ及び書込時動作電力データのうちのコマンドに対応する動作電力データを選択し、その選択された動作電力データに基づいて送信出力を決定している。
このようにすると、読み取り時及び書き込み時のいずれの場合においても、送信出力を、それぞれの動作電力に適した出力強度とすることができる。
【0022】
請求項6の発明では、無線通信に際して通信端末で使用される送信周波数と、距離測定手段によって測定された距離と、に応じて得られる電波伝搬損失に基づいて送信出力を決定している。このようにすると、無線タグと無線通信を行う際の送信出力を、電波伝搬損失を適切に考慮した出力強度とすることができる。
【0023】
請求項7の発明では、撮像手段によって撮像された情報コードの画像データに基づいて距離を測定している。このようにすると、別途特別な距離センサなどを設けることなく光学的情報読取機能に必須となる部品(撮像手段)を利用して距離を測定することができ、部品点数削減、装置構成の小型化などを図りやすくなる。
【0024】
請求項8の発明は、二次元コードにおいて当該二次元コードが特定距離で撮像されたときのセルサイズ又はコードサイズを特定可能なサイズデータが記録されている。そして、二次元コードに記録されるサイズデータと、二次元コードを撮像したときの当該二次元コードの一部又は全部の撮像サイズとに基づいて距離を測定している。このようにすると、二次元コードの画像データを利用して通信対象物までの距離をより正確に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の通信システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る通信システムを概略的に例示する説明図である。図2は、図1の通信システムで用いる通信端末を例示するブロック図である。図3(a)は、図2の通信端末における情報コード読取部を例示するブロック図であり、図3(b)は、図2の通信端末における無線タグ処理部を例示するブロック図である。図4は、無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。図5は、図2の通信端末で行われる通信処理を例示するフローチャートである。図6(a)は端末特性情報のフォーマットを例示する説明図であり、図6(b)は、端末特性情報の具体例を示す説明図である。図7(a)は無線タグ特性情報のフォーマットを例示する説明図であり、図7(b)は、無線タグ特性情報の具体例を示す説明図である。
【0026】
(全体構成)
図1に示すように、本実施形態に係る通信システム1は、通信端末2と通信対象物3とを備えた構成をなしており、通信端末2が、通信対象物3に付された情報コード(図1では二次元コードC)や無線タグ50を読み取る構成をなしている。
【0027】
通信端末2は、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯情報端末として構成されており、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能と、無線タグを読み取る無線タグリーダとしての機能とを備え、読み取りを二方式で行いうる構成をなしている。
【0028】
図2に示すように、通信端末2は、全体的制御を司る制御部8を備えており、この制御部8に、LED9、表示部10、キー操作部11、スピーカ12、外部インターフェース17などが接続されている。
【0029】
制御部8は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ13とともに情報処理装置として機能している。また、LED9、表示部10、スピーカ12は、いずれも制御部8によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部8からの指令を受けて動作する。また、キー操作部11は、複数のキーによって構成され、使用者のキー操作に応じて制御部8に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部8は、キー操作部11から操作信号を受けたとき、その操作信号に応じた動作を行うように構成されている。
【0030】
外部インターフェース17は、外部(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部8と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、通信端末2には、電源となるバッテリ15や電源部16が設けられており、これらによって制御部8や各種電気部品に電力が供給されている。
【0031】
また、図2に示すように、制御部8には、無線タグ処理部20及び情報コード読取部30がそれぞれ接続されている。
情報コード読取部30は、図3(a)に示すように、CCDエリアセンサなどの固体撮像素子からなる受光センサ33、結像レンズ37、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部31などを備えた構成をなしており、制御部8と協働して読取対象物3に付された情報コードを読み取るように機能する。なお、本実施形態では、情報コードとしてQRコードなどの二次元コードCが用いられている。
【0032】
この情報コード読取部30によって読み取りを行う場合、まず、制御部8から指令を受けた照明部31にて照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口(図示略)を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが二次元コードCにて反射した反射光Lrは読取口を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ37を通って受光センサ33に受光される。
【0033】
読取口(図示略)と受光センサ33との間に配される結像レンズ37は、二次元コードCの像を受光センサ33上に結像させる構成をなしており、受光センサ33はこの二次元コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ33から出力される受光信号は、画像データとしてメモリ13(図2)に記憶され、デコード処理などに用いられるようになっている。なお、情報コード読取部30には、受光センサ33からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
本実施形態では、情報コード読取部30及び制御部8が「光学的読取手段」の一例に相当し、二次元コードCを光学的に読み取るように機能する。
【0034】
無線タグ処理部20は、アンテナ40及び制御部8と協働して無線タグ50との間で電磁波による通信を行ない、無線タグ50に記憶されるデータの読取り、或いは無線タグ50へのデータの書込みを行なうように機能する。
本実施形態では、アンテナ40、無線タグ処理部20、及び制御部8が「無線読取手段」の一例に相当しており、無線タグ50と無線通信を行うように機能する。
【0035】
無線タグ処理部20は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図3(b)に示すように、送信回路21、受信回路22、整合回路23などを有している。
送信回路21は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から例えば周波数953MHzのキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御回路8に接続されており、当該制御回路8より出力される送信データを符号化して変調部に出力する構成をなしている。
【0036】
変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力されるものであり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。また、増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を整合回路23を介してアンテナ40に出力している。このようにしてアンテナ40に送信信号が出力されると、その送信信号が電磁波として当該アンテナ40より外部に放射される。
【0037】
一方、アンテナ40によって受信された電波信号は、整合回路23を介して受信回路22に入力される。この受信回路22は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ40を介して受信された信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御回路8に出力している。
【0038】
無線タグ50は、ハードウェア的には公知のRFIDタグとして構成され、図4に示すように、アンテナ51,電源回路52,復調回路53,制御回路54,メモリ55,変調回路56などによって構成されている。
【0039】
電源回路52は、アンテナ51を介して受信した通信端末2からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を制御回路54をはじめとする各構成要素に供給している。また、復調回路53は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路54に出力している。
【0040】
メモリ55は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラムやRFIDタグ50を識別するためのタグ識別情報(タグID)、RFIDタグ50の用途に応じてユーザが設定したデータ(商品データ、物流データ等)などが記憶されている。制御回路54は、メモリ55から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路56に出力する構成をなしており、変調回路56は、キャリア信号を当該送信データで負荷変調してアンテナ51から反射波として送信するように構成されている。
【0041】
(通信処理)
次に、図1の通信端末で行われる通信処理について説明する。
図5は、通信端末2で行われる通信処理の流れを例示するフローチャートであり、図5に示すように、当該通信処理では、まず、携帯端末の特性情報を取得する処理を行う(S1)。
【0042】
本実施形態では、携帯端末2のメモリ13において図6のような端末特性情報が記憶されている。
端末特性情報は、通信端末2の特性を示す情報であり、例えば、図6(a)のように、通信端末2で使用可能な送信周波数帯を示すデータ(第2周波数帯データ)と、通信端末2で用いるアンテナ40のアンテナ利得を示すデータ(第2アンテナ利得データ)と、データ数Nと、を含んだデータ構成となっている。
【0043】
図6(a)の例では、通信端末2で使用可能な周波数帯のデータ(第2周波数帯データ)として、複数の周波数帯のデータが含まれており、通信端末2で用いるアンテナ40のアンテナ利得データ(第2アンテナ利得データ)として、通信端末2で使用可能なそれら周波数帯にそれぞれ対応する複数のアンテナ利得データが含まれている。具体的には、携帯端末2で使用可能な各周波数帯毎に、開始周波数、終了周波数、アンテナ利得が対応付けられてデータ群が構成されている。なお、データ数Nは、そのようなデータ群の数(即ち、使用可能な周波数帯の数)を示している。
【0044】
図6(b)では、端末特性情報の具体例を示しており、この例では、データ数Nが「3」であり、3つのデータ群が含まれている。データ群としては、開始周波数、終了周波数、アンテナ利得がそれぞれ、「865MHz」,「868MHz」,「2dBi」のデータ群1と、開始周波数、終了周波数、アンテナ利得がそれぞれ「902MHz」,「928MHz」,「4dBi」のデータ群2と、開始周波数、終了周波数、アンテナ利得がそれぞれ「952MHz」,「955MHz」,「6dBi」のデータ群3とが格納されている。
なお、本実施形態では、メモリ13が「記憶手段」の一例に相当し、通信端末2の特性を示す「端末特性情報」を記憶する機能を有する。
【0045】
S1の処理では、このように構成される端末特性情報をメモリ13から読み出し、当該通信処理で用いる周波数帯に対応するデータ群のデータを取得する。例えば、通信端末2が953MHz帯の周波数を使用する設定がなされている場合にはデータ群3のデータを取得する。
【0046】
その後、読取開始の指示(例えばトリガスイッチのオン)がなされたか否かを判断する(S2)。S2にて読取開始の指示がなされたと判断される場合、S2にてYesに進み、読取対象物3に付された二次元コードCの読取処理を行う(S3)。S3では、二次元コードCについて、画像取得処理、コード領域特定処理(ラベリング処理)、二値化処理などの公知の処理を行う。更に、二次元コードCの画像データに対して公知のデコード処理を行い(S4)、二次元コードC内のデータを取得する(S4)。
【0047】
S4にて二次元コードC内のデータを取得した後には、通信対象物3までの距離を測定する処理を行う(S5)。本実施形態では、受光センサ33(撮像手段)によって撮像された二次元コードCの画像データに基づいて通信端末2から通信対象物3までの距離を測定している。
【0048】
図7(a)に示すように、二次元コードC内には、当該二次元コードCのサイズを特定するためのサイズデータと、後述する無線タグ特性情報とが記憶されており、このうちのサイズデータは、当該二次元コードCが特定距離で撮像されたときのセルサイズを示している。例えば、通信端末2との距離がX(m)の位置にある二次元コードCが通信端末2によって撮像された場合、得られる画像データにおいて単位セルの一辺のサイズがY(mm)であれば、図7(a)のセルサイズとしてこのYの値を記憶しておくことができる。
【0049】
本実施形態では、二次元コードC内にこのようなサイズデータが記憶されているため、撮像時の二次元コードCのセルサイズ(上記一辺のサイズS)を測定することで二次元コードCと通信端末2との距離を算出できる。即ち、二次元コードCと通信端末2との距離d(図1)と、S3で得られる画像データにおける単位セルの一辺のサイズSとは相関があり、距離dが大きくなるほど、上記一辺のサイズSは小さくなる。これら距離d及びサイズSの関係は、距離dが大きくなるにつれサイズSが小さくなる関係を示す関数式(例えば、d=X・Y/Sといった反比例の関数式)などで表すことができ、このようにすると、X,Yが二次元コード毎に定まる固定値として判明しているため、測定によってサイズSが明らかになれば距離dを算出できる。
【0050】
このように、本実施形態の構成では、二次元コードC内のサイズデータを取得することで、距離dと単位セルのサイズSとの関係を関数式によって明らかにすることができ、S3で得られた二次元コードCの画像データにおいて単位セルのサイズSを測定しさえすれば、通信端末2と二次元コードCとの距離dを算出できるようになる。
なお、本実施形態では、制御部8が「距離測定手段」の一例に相当し、通信端末2と通信対象物3との距離dを測定するように機能している。
【0051】
なお、上記関数式(d=X・Y/S)はあくまで一例であり、S3で得られる画像データの単位セルのサイズSと、二次元コードCに予め登録されているセルサイズ(距離Xのときに得られるべきセルサイズY)とに基づいて距離dを算出する関数式であれば、他の関数式を用いてもよい。
【0052】
その後、S5で算出された距離dや通信に使用する周波数などに基づいて電波伝搬損失を算出する処理を行う(S6)。S6では、S5で得られた距離dと、通信に使用する周波数fとに基づき、以下の式によって電波伝搬損失γを算出する。なお、以下の式において、dはS5で得られた距離であり、伝搬距離を示す値として用いている。また、λは波長(c/f)を示し、cは光の速度を示している。また、fは送信周波数を示している。
【0053】
【数1】

【0054】
S6で電波伝搬損失を算出した後には、送信コマンドフレームを生成する(S7)。送信コマンドフレームは、使用者からの指示、或いは通信端末2の設定に応じたコマンド含んでおり、これから無線タグ50の読み取りを行おうとする場合には読取コマンドを含んでいる。また、これから無線タグ50に対する書き込みを行う場合には書込コマンドを含んでいる。
【0055】
S7で送信コマンドフレームを生成した後、その生成されたコマンドが読取関係のコマンドか否かを判断する処理を行う(S8)。S7で読取コマンドを含んだフレームが生成されている場合にはS8にてYesに進み、読取用の送信出力を算出する処理を行う(S9)。
【0056】
S9では、S7で生成された送信コマンドフレームによって特定される通信種別と、S1で得られた端末特性情報と、S4で取得された無線タグ特性情報と、S6で算出された電波伝搬損失γとに基づき、送信出力Ptを以下の式で算出する。
【0057】
【数2】

【0058】
数2におけるPr1、Grs1は、無線タグ特性情報によって把握される値である。
この無線タグ特性情報は、無線タグ50の特性を示す情報であり、例えば、図7(a)のように、無線タグ50で使用可能な受信周波数帯を示すデータ(第1周波数帯データ)と、無線タグ50で用いるアンテナ51のアンテナ利得を示すデータ(第1アンテナ利得データ)と、データ数Nと、を含んだデータ構成となっている。
【0059】
図7(a)の例では、無線タグ50で用いる周波数帯のデータ(第1周波数帯データ)として、無線タグ50で使用可能な複数の周波数帯のデータが含まれており、無線タグ50で用いるアンテナ51のアンテナ利得データ(第1アンテナ利得データ)として、無線タグ50で使用可能なそれら複数の周波数帯にそれぞれ対応する複数のアンテナ利得データが含まれている。具体的には、無線タグ50で使用可能な各周波数帯毎に、開始周波数、終了周波数、アンテナ利得が対応付けられてデータ群が構成されている。なお、データ数Nは、そのようなデータ群の数(即ち、使用可能な周波数帯の数)を示している。
【0060】
更に、無線タグ特性情報には、無線タグ50の読み取り時の動作電力を示す読取時動作電力データと、無線タグ50の書き込み時の動作電力を示す書込時動作電力データとが含まれている。
【0061】
図7(b)では、無線タグ特性情報の具体例を示しており、この例では、データ数Nが「3」であり、3つのデータ群が含まれている。データ群としては、開始周波数、終了周波数、アンテナ利得がそれぞれ、「865MHz」,「868MHz」,「−4dBi」のデータ群1と、開始周波数、終了周波数、アンテナ利得がそれぞれ「902MHz」,「928MHz」,「−2dBi」のデータ群2と、開始周波数、終了周波数、アンテナ利得がそれぞれ「952MHz」,「955MHz」,「0dBi」のデータ群3とが格納されている。また、読取時動作電力データとして「−8dBm」という値が記録され、書込時動作電力データとして「−2dBm」という値が記録されている。
【0062】
数2における受信入力Pr1は、読取時動作電力のことであり、本実施形態では、S3、S4で取得された無線タグ特性情報における読取時動作電力データが用いられる。例えば図7(b)の例では、−8(dBm)という値が用いられる。
【0063】
数2における送信アンテナ利得Gts1は,通信端末2側のアンテナ利得のことであり、S1で取得された端末特性情報において、当該通信処理(図5)で使用する送信周波数帯に対応するアンテナ利得が用いられる。例えば、図6(b)の例において、送信周波数帯が953MHz(データ群3に対応する周波数帯)であれば、データ群3の6(dBi)という値が用いられる。
【0064】
数2における受信アンテナ利得Grs1は、無線タグ50側のアンテナ利得のことであり、S4で取得された無線タグ特性情報において、当該通信処理(図5)で使用する受信周波数帯に対応するアンテナ利得が用いられる。例えば、図7(b)の例において、受信周波数帯が953MHz(データ群3に対応する周波数帯)であれば、データ群3の0(dBi)という値が用いられる。
【0065】
数2における送受信給電系損失Lf1は、送受信給電系の損失度合を示すものであり、本実施形態ではLf1を0としている。また、電波伝搬損失γは、S6で算出された値が用いられる。例えば、図6(b)のような端末特性において、953MHz帯(送信周波数953MHz)が用いられ、S5で測定された距離dが1(m)である場合、γ=20log((4π×1)/(3×10/953×10))となる。
【0066】
S9にて送信出力Ptを算出した後には、その送信出力Ptを設定値としてメモリ13に記憶し(S11)、その設定された送信出力Ptで無線タグ50と通信処理を行う(S12)。
【0067】
一方、S7で書込コマンドを含んだ送信コマンドフレームが生成されている場合には、S8にてNoに進み、書込用の送信出力を算出する処理を行う(S10)。
【0068】
S10では、S7で生成された送信コマンドフレームによって特定される通信種別と、S1で得られた端末特性情報と、S4で取得された無線タグ特性情報と、S6で算出された電波伝搬損失γとに基づいて送信出力Ptを以下の式で算出する。
【0069】
【数3】

【0070】
数3におけるPr2、Grs2は、無線タグ特性情報によって把握される値である。
受信入力Pr2は、書込時動作電力のことであり、本実施形態では、S3、S4で取得された無線タグ特性情報における書込時動作電力データが用いられる。例えば図7(b)の例では、−2(dBm)という値が用いられる。
【0071】
数3における送信アンテナ利得Gts2は,通信端末2側のアンテナ利得のことであり、数2のGts1と同一の値が用いられる。例えば、図6(b)の例において、送信周波数帯が953MHz(データ群3に対応する周波数帯)であれば、データ群3の6(dBi)という値が用いられる。
【0072】
数3における受信アンテナ利得Grs2は、無線タグ50側のアンテナ利得のことであり、数2のGrs1と同一の値が用いられる。例えば、図7(b)の例において、受信周波数帯が953MHz(データ群3に対応する周波数帯)であれば、データ群3の0(dBi)という値が用いられる。
【0073】
数3における送受信給電系損失Lf2は、送受信給電系の損失度合を示すものであり、ここでは、数2と同様にLf2を0としている。また、数3における電波伝搬損失γは、数2と同様の値(即ち、S6で算出した値)が用いられる。
【0074】
S10にて送信出力Ptを算出した場合も、その送信出力Ptを設定値としてメモリ13に記憶し(S11)、その設定された送信出力Ptで無線タグ50と通信処理を行う(S12)。
【0075】
本実施形態では、上記S9、S10の処理を実行する制御部8が「出力決定手段」の一例に相当しており、無線タグ50と無線通信を行う際の送信出力Ptを決定するように機能している。また、当該制御部8は、無線タグ50に送信するコマンドに基づいてS8の判断処理を行い、その判断結果に応じてS9又はS10の処理を行うことにより、無線タグ特性情報における読取時動作電力データ及び書込時動作電力データのうちのコマンドに対応する動作電力データを選択し、その選択された動作電力データに基づいて送信出力を決定している。
【0076】
(本実施形態の主な効果)
本実施形態の通信システム1では、通信端末2が通信対象物3と無線通信を行う際の通信処理(図5)において、二次元コードC(情報コード)に記録される無線タグ特性情報を読み取ると共に(S3、S4)、通信端末2と通信対象物3との距離dを測定し(S5)、それら無線タグ特性情報及び距離dと、無線タグ50と無線通信を行う際の通信種別(即ち、S7の送信コマンドフレームによって特定される通信種別)と、に基づいて送信出力Ptを決定している。
このようにすると、通信端末2において、無線タグ50と無線通信を行う際の送信出力を、無線タグ50との距離を考慮して設定できると共に、無線タグ50の特性や通信種別をも考慮してより適切なレベルに設定することができる。従って、出力不足や過剰な電力消費を効果的に抑制ないし防止でき、無線タグとの無線通信を良好に行うことができる。
【0077】
また、無線タグ50と通信端末2との距離d、無線タグ50の無線タグ特性情報、及び通信種別のみならず、通信端末2の端末特性をも考慮して送信出力Ptを決定しているため、送信出力をより一層適切なレベルに設定できる。
【0078】
また、本実施形態に係る構成では、無線タグ特性情報として、無線タグ50で使用可能な周波数帯を示す第1周波数帯データと、無線タグ50で用いるアンテナ51のアンテナ利得を示す第1アンテナ利得データとが含まれている。また、端末特性情報として、少なくとも通信端末2で使用可能な周波数帯を示す第2周波数帯データと、通信端末2で用いるアンテナ40のアンテナ利得を示す第2アンテナ利得データとが含まれている。
このようにすると、無線タグ50と無線通信を行う際の送信出力を、無線タグ50及び通信端末2のそれぞれアンテナ利得、及びそれぞれの周波数帯を考慮した適切な出力強度とすることができる。
【0079】
更に、無線タグ特性情報は、第1周波数帯データとして、無線タグ50で使用可能な複数の周波数帯のデータを有すると共に、第1アンテナ利得データとして、無線タグ50で使用可能なそれら複数の周波数帯にそれぞれ対応する複数のアンテナ利得データを含んでいる。また、端末特性情報は、第2周波数帯データとして、通信端末2で使用可能な複数の周波数帯のデータを有すると共に、第2アンテナ利得データとして、通信端末2で使用可能なそれら周波数帯にそれぞれ対応する複数のアンテナ利得データを含んでいる。
そして、通信端末2では、無線通信に際して当該通信端末2で使用される送信周波数帯に対応する当該通信端末2のアンテナ利得データと、無線通信に際して無線タグ50で使用される受信周波数帯に対応する無線タグ50のアンテナ利得データと、に基づいて送信出力を決定している。
このようにすると、無線タグ50及び通信端末2において複数の周波数帯が使用可能となり、且つ通信時には、当該通信に用いる周波数帯及び当該通信に用いる周波数帯に対応する各アンテナ利得を適切に考慮して送信出力を決定できるようになる。
【0080】
また、本実施形態に係る構成では、無線タグ特性情報として、無線タグ50の読み取り時の動作電力を示す読取時動作電力データと、無線タグ50の書き込み時の動作電力を示す書込時動作電力データとが含まれている。そして、無線タグ50に送信するコマンドに基づいて、読取時動作電力データ及び書込時動作電力データのうちのコマンドに対応する動作電力データを選択し、その選択された動作電力データに基づいて送信出力Ptを決定している。
このようにすると、読み取り時及び書き込み時のいずれの場合においても、送信出力を、それぞれの動作電力に適した出力強度とすることができる。
【0081】
また、本実施形態では、無線通信に際して通信端末2で使用される送信周波数と、距離測定手段によって測定された距離dと、に応じて得られる電波伝搬損失γに基づいて送信出力Ptを決定している。このようにすると、無線タグ50と無線通信を行う際の送信出力を、電波伝搬損失γを適切に考慮した出力強度とすることができる。
【0082】
また、本実施形態では、受光センサ33(撮像手段)によって撮像された二次元コードC(情報コード)の画像データに基づいて距離dを測定している。このようにすると、別途特別な距離センサなどを設けることなく光学的情報読取機能に必須となる部品(撮像手段)を利用して距離dを測定することができ、部品点数削減、装置構成の小型化などを図りやすくなる。
【0083】
また、本実施形態では、二次元コードC内に、当該二次元コードCが特定距離で撮像されたときのセルサイズを特定可能な「サイズデータ」が記録されている。そして、二次元コードCに記録される「サイズデータ」と、二次元コードCを撮像したときの当該二次元コードCの一部の撮像サイズ(単位セルの一辺のサイズS)とに基づいて距離dを測定している。このようにすると、二次元コードCの画像データを利用して通信対象物3までの距離dをより正確に測定できる。
【0084】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0085】
上記実施形態では、二次元コードCとしてQRコードを例示したが、データマトリックスコードやマキシコードなどの他の二次元コードであってもよい。
【0086】
上記実施形態では、二次元コードCのコードサイズを特定可能なサイズデータとして、当該二次元コードCが特定距離X(m)で撮像されたときの画像データのセルサイズ(単位セルの一辺のサイズがY(mm))を例示したが、サイズデータは、二次元コードCが特定距離で撮像されたときの当該特定距離と、当該特定距離での撮像画像における二次元コードCの一部又は全部のサイズとの関係を特定しうるものであればこれに限られない。
例えば、当該二次元コードCが特定距離X(m)で撮像されたときの画像データにおける二次元コードC全体の一辺のサイズが記録されていてもよい。この場合、当該サイズデータと、図5の通信処理において二次元コードCを撮像したときの当該二次元コードC全体の撮像サイズ(即ち、撮像画像における二次元コードCの一辺のサイズ)とに基づいて距離dを測定することができる。
【0087】
上記実施形態では、二次元コードCの撮像画像に基づいて距離dを測定する例を示したが、通信端末2に公知の距離センサを設け、当該距離センサによって通信対象物3までの距離を測定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、第1実施形態に係る通信システムを概略的に例示する説明図である。
【図2】図2は、図1の通信システムで用いる通信端末を例示するブロック図である。
【図3】図3(a)は、図2の通信端末における情報コード読取部を例示するブロック図であり、図3(b)は、図2の通信端末における無線タグ処理部を例示するブロック図である。
【図4】図4は、無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【図5】図5は、図2の通信端末で行われる通信処理を例示するフローチャートである。
【図6】図6(a)は端末特性情報のフォーマットを例示する説明図であり、図6(b)は、端末特性情報の具体例を示す説明図である。
【図7】図7(a)は無線タグ特性情報のフォーマットを例示する説明図であり、図7(b)は、無線タグ特性情報の具体例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0089】
1…通信システム
2…通信端末
3…通信対象物
8…制御部(距離測定手段、出力決定手段)
13…メモリ(記憶手段)
20…無線タグ処理部(無線通信手段)
30…情報コード読取部(光学的読取手段)
33…受光センサ(撮像手段)
40…アンテナ(無線通信手段)
50…無線タグ
C…二次元コード(情報コード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグと情報コードとを備えた通信対象物と、
前記情報コードを光学的に読み取る光学的読取手段と、前記無線タグと無線通信を行う無線通信手段と、を備えた通信端末と、
を有する通信システムであって、
前記通信対象物の前記情報コードには、前記無線タグの特性を示す無線タグ特性情報が記録されており、
前記通信端末は、
当該通信端末と前記通信対象物との距離を測定する距離測定手段と、
前記無線通信手段によって前記無線タグと前記無線通信を行う際の送信出力を決定する出力決定手段と、
を備え、
前記通信対象物と前記無線通信を行う際に、前記光学的読取手段によって前記情報コードに記録される前記無線タグ特性情報を読み取る構成をなしており、
前記出力決定手段は、前記距離測定手段によって測定された前記距離と、前記光学的情報読取手段によって読み取られた前記無線タグ特性情報と、前記無線通信手段が前記無線タグと前記無線通信を行う際の通信種別と、に基づいて前記送信出力を決定することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記通信端末は、当該通信端末の特性を示す端末特性情報を記憶する記憶手段を有し、
前記出力決定手段は、前記距離、前記無線タグ特性情報、前記通信種別、及び前記端末特性情報に基づいて前記送信出力を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記無線タグ特性情報は、少なくとも、前記無線タグで使用可能な周波数帯を示す第1周波数帯データと、前記無線タグで用いるアンテナのアンテナ利得を示す第1アンテナ利得データとを含み、
前記端末特性情報は、少なくとも前記通信端末で使用可能な周波数帯を示す第2周波数帯データと、前記通信端末で用いるアンテナのアンテナ利得を示す第2アンテナ利得データと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記無線タグ特性情報は、前記第1周波数帯データとして、前記無線タグで使用可能な複数の周波数帯のデータを有すると共に、前記第1アンテナ利得データとして、前記無線タグで使用可能なそれら複数の周波数帯にそれぞれ対応する複数のアンテナ利得データを含み、
前記端末特性情報は、前記第2周波数帯データとして、前記通信端末で使用可能な複数の周波数帯のデータを有すると共に、前記第2アンテナ利得データとして、前記通信端末で使用可能なそれら周波数帯にそれぞれ対応する複数のアンテナ利得データを含み、
前記出力決定手段は、前記無線通信に際して前記通信端末で使用される送信周波数帯に対応する当該通信端末の前記アンテナ利得データと、前記無線通信に際して前記無線タグで使用される受信周波数帯に対応する前記無線タグの前記アンテナ利得データと、に基づいて前記送信出力を決定することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記無線タグ特性情報は、前記無線タグの読み取り時の動作電力を示す読取時動作電力データと、前記無線タグの書き込み時の動作電力を示す書込時動作電力データとを含み、
前記出力決定手段は、前記無線通信手段によって前記無線タグに送信するコマンドに基づいて、前記読取時動作電力データ及び前記書込時動作電力データのうちの前記コマンドに対応する動作電力データを選択し、その選択された動作電力データに基づいて前記送信出力を決定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記出力決定手段は、前記無線通信に際して前記通信端末で使用される送信周波数と、前記距離測定手段によって測定された前記距離と、に応じて得られる電波伝搬損失に基づいて前記送信出力を決定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記光学的読取手段は、前記情報コードを撮像する撮像手段を有し、
前記距離測定手段は、前記撮像手段によって撮像された前記情報コードの画像データに基づいて前記距離を測定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記情報コードは二次元コードであり、
前記二次元コードには、当該二次元コードが特定距離で撮像されたときのセルサイズ又はコードサイズを特定可能なサイズデータが記録されており、
前記距離測定手段は、前記二次元コードに記録される前記サイズデータと、前記二次元コードを撮像したときの当該二次元コードの一部又は全部の撮像サイズとに基づいて前記距離を測定することを特徴とする請求項7に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−146468(P2010−146468A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325590(P2008−325590)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】