通信システム
【課題】集合住宅の各住居の住人の安否情報を確実に取得することができる通信システムを提供することを課題とする。
【解決手段】集合住宅100の各住居には、住居内ネットワークを構成する計測装置20と計測情報収集装置30とが設置される。各住居の計測情報収集装置30と生存情報収集装置40とは、全体ネットワークを生成する。計測情報収集装置30は、同一の住居に設置された計測装置20から計測情報72を取得して、生存情報を収集する。生存情報収集装置40が生存情報の送信を要求することにより、生存情報が計測情報収集装置30から生存情報収集装置40に送信される。計測情報収集装置30は、生存情報の送信後、新たに計測情報72を収集する。
【解決手段】集合住宅100の各住居には、住居内ネットワークを構成する計測装置20と計測情報収集装置30とが設置される。各住居の計測情報収集装置30と生存情報収集装置40とは、全体ネットワークを生成する。計測情報収集装置30は、同一の住居に設置された計測装置20から計測情報72を取得して、生存情報を収集する。生存情報収集装置40が生存情報の送信を要求することにより、生存情報が計測情報収集装置30から生存情報収集装置40に送信される。計測情報収集装置30は、生存情報の送信後、新たに計測情報72を収集する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、さらに詳しくは、集合住宅などで利用可能な通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マンションやアパートなどの集合住宅において、一人暮らしの高齢者が増加している。集合住宅では、各住居の住人同士の近所付き合いが希薄なことが多い。この結果、一人暮らしの高齢者の孤独死が増加傾向にあり、孤独死が社会問題となっている。
【0003】
上記の問題とは別に、電力、ガス、水道などの検針作業が、各家庭で毎月行われている。具体的には、電力、ガス、及び水道を供給する各企業の担当者が各家庭を回り、電力、ガス、及び水道の使用量をチェックする。検針作業は、非常に手間とコストのかかる作業であるため、効率化が求められている。
【0004】
下記特許文献1では、集合住宅の各住居に設置された電力量計が検針した検針データを、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)を利用して収集する自動検針システムが開示されている。電力量計にはPLC子機が接続されており、電力量計が測定したデータは、電力線を経由して集合住宅の分電盤に設置されたPLC親機に送信される。PLC親機は、自動検針回線を利用して、各家庭の検針データを営業所などに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−10899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
孤独死を防ぐための対策として、一人暮らしの高齢者の住居を定期的に巡回することが挙げられる。しかし、全ての一人暮らしの高齢者の住居を定期的に巡回することは、コスト等の点から困難である。一人暮らしの高齢者によっては、住居を巡回する担当者に応対しないなど、一人暮らしの高齢者の安否確認が困難なケースもある。
【0007】
そこで、本発明は前期問題点に鑑み、集合住宅の各住居の住人の安否情報を確実に取得することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、集合住宅の住居に設置された計測装置が計測情報を取得する。集合住宅に構築された通信網により計測装置から計測情報が収集され、計測情報に基づいて各住居の住人が生存しているか否かが判定される。しかし、全ての計測装置から計測情報を一括して収集する場合、通信網のトラフィック量が急激に増加する。この結果、通信の信頼性が損なわれ、計測情報を収集できないおそれがある。本発明では、各住居の住人の安否を確実に確認するために、通信網のトラフィックを分散させる。
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、集合住宅に構築される通信システムであって、前記集合住宅内に構築された通信網と、前記集合住宅の住居に設置され、前記通信網に接続された計測装置と、前記住居に設置され、前記通信網に接続された第1情報収集装置と、前記通信網に接続された第2情報収集装置と、を備え、前記計測装置は、計測部と、前記計測部により生成された計測情報の送信を前記第1情報収集装置から要求された場合、前記計測情報を前記第1情報収集装置に送信する計測情報送信部と、を含み、前記第1情報収集装置は、前記計測情報の送信を前記計測装置に要求する計測情報要求部と、前記計測装置から取得した前記計測情報から、前記住居の住人が生存しているか否かを示す生存情報を生成する生存情報生成部と、前記生存情報の送信を前記第2情報収集装置から要求された場合、前記生存情報を前記情報収集装置に送信する生存情報送信部と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の通信システムにおいて、前記計測装置は、前記第2情報収集装置が復号することができない第1暗号方式によって前記計測情報を暗号化する第1暗号処理部、を含み、前記計測情報送信部は、暗号化された前記計測情報を前記第1情報収集装置に送信することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の通信システムにおいて、前記住居と異なる住居に他の計測装置及び他の第1情報収集装置が設置されており、前記他の計測装置及び前記他の第1情報収集装置は、暗号化された前記計測情報を復号することができないことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の通信システムにおいて、前記第1情報収集装置は、前記計測装置が復号化することができない第2暗号方式によって前記生存情報を暗号化する第2暗号化処理部、を含み、前記生存情報送信部は、暗号化された前記生存情報を前記第2情報収集装置に送信することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記第1情報収集装置と前記第2情報収集装置とは、第1ネットワークを形成し、前記計測装置と、前記第1情報収集装置と、前記第2情報収集装置とは、前記第1ネットワークの通信に用いられる通信パケットであるか否かを示すネットワーク識別情報を、自装置が送出する情報に対して付与する識別情報付与部、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記計測情報要求部は、前記生存情報を前記第2情報収集装置に送信した後に、前記計測情報の送信を前記計測装置に要求することを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記通信網は、電力線通信網と、無線通信網と、を含み、前記第1情報収集装置及び前記第2情報収集装置は、前記電力線通信網及び前記無線通信網に接続されており、前記計測装置は、前記電力線通信網及び前記無線通信網の少なくともいずれか一方に接続されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記第2情報収集装置は、前記第1情報収集装置として動作することが可能であり、前記第2情報収集装置は、前記第1情報収集装置として機能するか否かを切り替える切替部、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明において、計測装置は、第1情報収集装置の要求に応じて計測情報を第1情報収集装置に送信する。第1情報収集装置は、計測情報から生存情報を生成し、第2情報収集装置の要求に応じて生存情報を第2情報収集装置に送信する。この結果、第2情報収集装置が各住居から生存情報を取得する際に、通信システムのトラフィック量を分散させることができる。したがって、通信システムの信頼性が向上し、各住居の住人の安否を確実に確認することができる。
【0018】
計測装置は、第1暗号方式により暗号化された計測情報を第1情報収集装置に送信する。これにより、各住居の住人の生活状況を示す計測情報を第三者が取得することを防止できる。他の住居に設置されている他の計測装置及び他の第1情報収集装置も暗号化された計測情報を復号することができない。このため、第三者が計測情報を取得することをより確実に防止することができる。
【0019】
計測装置、第1情報収集装置、及び第2情報収集装置は、自装置が送出する情報にネットワーク識別情報を付与する。これにより、計測装置及び第2情報収集装置は、受信した情報を復号するか否かをネットワーク識別情報に基づいて判定することができる。計測装置及び第2情報収集装置は、受信した全ての情報を復号する必要がないため、消費電力を削減することができる。
【0020】
第1情報収集装置は、生存情報を第2情報集装置に送信した後に、計測情報の送信を計測装置に要求する。生存情報の送信と計測情報の送信とを同期させることにより、通信システムのトラフィック量を確実に分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの全体概略図である。
【図2】通信システムにおけるネットワークの階層構造を示す図である。
【図3】無線通信可能な領域を示す概略図である。
【図4】PLC及び無線通信を用いた通信の基本的な手順を示す図である。
【図5】計測情報収集装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】計測装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】通信システムが構築される集合住宅の住居の平面図である。
【図8】通信パケットの構成を示す図である。
【図9】通信システムにおける情報収集の流れを示すシーケンス図である。
【図10A】全体ネットワーク用の通信パケットを示す図である。
【図10B】住居内ネットワークの通信パケットを示す図である。
【図11】計測情報収集装置のフローチャートである。
【図12】計測装置のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
{1.通信システムの概要}
{1.1通信システムの構成}
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る通信システム1の全体概略図である。通信システム1は、マンションなどの集合住宅100に導入される。通信システム1は、集合住宅100の住居1a〜4a,1b〜4b,1c〜4cの各住人が生存しているか否かを示す生存情報を、電力線搬送通信(以下、「PLC」という)と無線通信とを利用して収集するシステムである。
【0023】
本実施の形態では、有線通信にPLCを使用する。しかし、Ethernet(登録商標)等の有線LANを有線通信に用いてもよい。集合住宅100の各住居にケーブルテレビが導入されている場合、ケーブルテレビの通信システムを有線通信に用いてもよい。
【0024】
本実施の形態では、無線通信に特定小電力無線を利用する。しかし、Zigbee(登録商標)、あるいはIEEE802.11で規定された無線LANなどを、無線通信に用いてもよい。
【0025】
通信システム1は、電力線11,12,13と、計測装置20,20・・・と、計測情報収集装置30,30・・・と、生存情報収集装置40とを備える。
【0026】
電力線11,12,13は、集合住宅100内に設置されたキュービクル101に接続されている。キュービクル101は、集合住宅100内に設置されており、電力会社から供給される高圧電力(約6000V)を、家庭用電力(約100V)に変換する。電力線11は、住居1b〜4b,1c〜4cに家庭用電力を供給する。電力線12は、住居1a〜4aに家庭用電力を供給する。電力線13は、管理人室1dなどの集合住宅100の共用設備に電力を供給する。以下、電力線11〜13に関する共通の説明を行う場合、総称して電力線10と呼ぶ。
【0027】
計測装置20、計測情報収集装置30、及び生存情報収集装置40は、PLC及び無線通信を利用して通信を行う。
【0028】
計測装置20は、各住居に設置され、設置場所に応じた計測情報を生成する。図1では、計測装置20は各住居に一台ずつ設置されているが、実際には、各住居に一台以上の計測装置20が設置される。
【0029】
計測情報収集装置30は、各住居に一台ずつ設置される。計測情報収集装置30は、同一の住居に設置された計測装置20から計測情報を収集し、収集した計測情報から生存情報を生成する。住居1a〜4a,1b〜4b,1c〜4cに設置される計測情報収集装置30を、計測情報収集装置31a〜34a,31b〜34b,31c〜34cとする。以下の説明において、計測情報収集装置31a〜34a,31b〜34b,31c〜34cに関する共通の説明を行うときは、計測情報収集装置30と呼ぶ。
【0030】
生存情報収集装置40は、管理人室1dに設置される。生存情報収集装置40は、計測情報収集装置30から生存情報を収集する。
【0031】
{1.2.通信システム1におけるネットワーク構成}
計測装置20、計測情報収集装置30、及び生存情報収集装置40は、PLC及び無線通信を用いて、通信システム1を構成する全ての装置と通信することが原理的に可能である。しかし、通信システム1は、階層的なネットワークを構築することにより、互いに通信することができる装置を制限している。
【0032】
図2は、通信システム1におけるネットワークの階層構造を示す図である。通信システム1では、最上位に全体ネットワークが構築され、全体ネットワークの下に、複数の住居内ネットワークが構築されている。
【0033】
全体ネットワークは、計測情報収集装置30と、生存情報収集装置40とによって構成される。住居間の通信が、全体ネットワークにより行われる。住居内ネットワークは、同一の住居内に設置される計測装置20と計測情報収集装置30とによって構成される。住居内ネットワークは、集合住宅100の住居ごとに構築される。
【0034】
通信システム1において、異なるネットワークに属する装置同士は、互いに通信することができない。たとえば、住居1aの住宅内ネットワークに属する計測装置20−1〜20−3及び計測情報収集装置31aは、互いに通信することができる。しかし、計測装置20−1は、生存情報収集装置40、他の住居に設置された計測装置20あるいは計測情報収集装置30と互いに通信することができない。
【0035】
通信システム1で転送される通信パケットには、後述するネットワーク識別情報が付与される。また、通信パケットは、各ネットワークに応じた暗号鍵により暗号化されている。これにより、ネットワークを超えた通信が行われることを防止している。
【0036】
{1.3.通信手順の概要}
通信システム1における通信手順の概要について、全体ネットワークにおける計測情報収集装置30同士の通信を例にして説明する。住居内ネットワークを構成する装置間の通信も、同様に行われる。ここでは、ネットワーク識別情報及び暗号鍵については考慮しない。
【0037】
図1に示すように、計測情報収集装置31a〜34aは、PLC(電力線12)を用いて互いに通信可能である。計測情報収集装置31b〜34b,31c〜34cは、PLC(電力線11)を用いて互いに通信可能である。しかし、電力線11,12,13の間にキュービクル101が介在しているため、異なる電力線10に接続されている装置同士は、PLC(電力線10)を用いて互いに通信することができない。たとえば、計測情報収集装置31aは、計測情報収集装置31b及び生存情報収集装置40と、PLC(電力線10)を用いて互いに通信することができない。計測情報収集装置34dは、計測情報収集装置34a及び生存情報収集装置40と、PLC(電力線10)を用いて互いに通信することができない。このように、通信システム1の装置同士が、PLC(電力線10)を介して通信できないケースが発生する。
【0038】
PLCにより互いに通信することができない計測情報収集装置30同士は、無線通信を用いて通信することができる。図3は、計測情報収集装置30及び生存情報収集装置40が無線通信をすることができる領域を示す概略図である。計測情報収集装置31a,31b,31cの無線通信領域を、領域61a,61b,61cとする。生存情報収集装置40の無線通信領域を領域61dとする。
【0039】
計測情報収集装置31aのアンテナ304は、領域61b,61cの内側に位置している。このため、計測情報収集装置31aは、直接、計測情報収集装置31b,31cと無線通信をすることができる。計測情報収集装置31aのアンテナ304は、領域61dの内側に位置していない。この場合、計測情報収集装置31aは、計測情報収集装置31b,31cのいずれかを介して、生存情報収集装置40と無線通信することができる。
【0040】
しかし、計測情報収集装置31b、32aは、PLC及び無線通信を用いても、直接通信することができない。この場合、他の計測情報収集装置30がPLC及び無線通信を通信パケットを中継送信することにより、計測情報収集装置31b、32aは互いに通信することが可能となる。
【0041】
図4は、計測情報収集装置31bが計測情報収集装置32aに対して通信パケットを送信したときの通信パケットの送信経路を示す図である。図4に示す経路情報71については、後述する。
【0042】
計測情報収集装置31bは、無線通信及びPLCを利用して、計測情報収集装置32aを宛先とする通信パケット50を送信する。
【0043】
電力線12に接続されている計測情報収集装置31a,32aは、PLCを用いて送信された通信パケット50を受信することができない。しかし、計測情報収集装置31aは、領域61bの内側に位置するため(図3参照)、無線通信を用いて送信された通信パケット50を受信することができる。計測情報収集装置31aは、無線通信により受信した通信パケット50の宛先が自装置ではなく計測情報収集装置32aであるため、PLC及び無線通信を用いて通信パケット50を中継送信する。計測情報収集装置32aは、計測情報収集装置31aがPLCを用いて送信した通信パケット50を受信する。
【0044】
このように、計測情報収集装置30は、受信した通信パケット50の宛先が自装置ではない場合や、通信パケット50がブロードキャストパケットである場合に、受信した通信パケット50を中継送信する。したがって、通信システム1は、複数の経路で通信パケット50を送信することができる。たとえば、通信パケット50は、図4に示す経路だけではなく、計測情報収集装置31b,32b,32aの経路で計測情報収集装置32aに到達することも可能である。したがって、通信システム1は、通信の信頼性を向上させることができる。
【0045】
{1.4.経路情報の付加}
通信パケット50には、図4に示すように、経路情報71が付加される。経路情報71の付加について説明する。
【0046】
計測情報収集装置31bは、PLCを用いて送信する通信パケット50に、経路情報71として「31b:P」を付加する。計測情報収集装置31bは、無線通信を用いて送信する通信パケット50に経路情報71として「31b:R」を付加する。「31b」は、計測情報収集装置31bの識別番号である。「P」は、PLCを用いて送信されたことを示す。「R」は、無線通信を用いて送信されたことを示す。
【0047】
計測情報収集装置31aは、PLC及び無線通信を利用して、受信した通信パケット50を中継送信する。PLCにより中継送信される通信パケット50には、経路情報71として「31b:R/31a:P」が記録される。無線通信により中継送信される通信パケット50には、経路情報71として「31b:R/31a:R」が記録される。「31a」は、計測情報収集装置31aの識別番号である。
【0048】
計測情報収集装置32aは、通信パケット50の受信処理を行う。通信パケット50に対する応答パケットが、経路情報71に基づいて、計測情報収集装置32aから計測情報収集装置31bに送信される。通信パケット50の送信経路を逆にたどることにより、応答パケットを高い確率で計測情報収集装置31bに到達させることができる。具体的には、計測情報収集装置32aは、最終的な送信先を計測情報収集装置31bに指定した応答パケットを作成する。計測情報収集装置32aは、経路情報71に基づいて、PLCを利用して計測情報収集装置31aに応答パケットを送信する。応答パケットには、経路情報71が付加されている。計測情報収集装置31aは、経路情報71に基づいて、受信した応答パケットを、無線通信を利用して計測情報収集装置31bに送信する。
【0049】
このように、通信システム1は、PLCと無線通信とを利用することにより、集合住宅の電力線の配置に影響されることのない柔軟性の高いシステムを構築することができる。
【0050】
{2.各装置の構成}
{2.1.計測情報収集装置30及び生存情報収集装置40の構成}
図5は、計測情報収集装置30の機能的構成を示すブロック図である。計測情報収集装置30は、制御部301と、電力線通信部302と、無線通信部303と、アンテナ304と、記憶部305とを備える。
【0051】
制御部301は、計測情報収集装置30の全体制御を行う。制御部301は、生存情報生成部308と、パケット処理部309と、暗号処理部310とを備える。生存情報生成部308は、計測装置20から収集した計測情報72から生存情報を生成する。パケット処理部309は、通信パケット50の送受信処理を行う。暗号処理部310は、通信パケット50の暗号化及び復号を行う。
【0052】
電力線通信部302は、電力線10に電気的に接続された状態でPLCを実行する。配線306がプラグ307を介して電力線10に接続されることにより、電力線通信部302は電力線10に電気的に接続される。無線通信部303は、アンテナ304を用いて、特定小電力無線を利用した無線通信を行う。
【0053】
記憶部305は、各計測情報20から収集した計測情報72,72・・・と、第1暗号鍵73と、第2暗号鍵74とを格納する。第1暗号鍵73は、住居内ネットワーク用の通信パケット50の暗号化及び復号に用いられる。第2暗号鍵74は、全体ネットワーク用の通信パケット50の暗号化及び復号に用いられる。
【0054】
生存情報収集装置40の構成は、計測情報収集装置30の構成と同様である。生存情報収集装置40は、記憶部305に、第2暗号鍵74と、各計測情報収集装置30から収集した生存情報を格納する。
【0055】
図5に示す計測情報収集装置30は、計測情報収集装置30として動作するか生存情報収集装置40として動作するかを切り替えるための切替部を備えていてもよい。たとえば、切替部としてDIPスイッチが設けられる。これにより、計測情報収集装置30と生存情報収集装置40とを別個に生産しなくてもよいため、計測情報収集装置30及び生存情報収集装置40の生産コストを削減することが可能となる。
【0056】
{2.2.計測装置20の構成}
図6は、計測装置20の機能的構成を示すブロック図である。計測装置20は、制御部201と、電力線通信部202と、無線通信部203と、アンテナ204と、計測部205と、記憶部206とを備える。
【0057】
制御部201は、計測装置20の全体制御を行う。制御部201は、パケット処理部209と、暗号処理部210とを備える。パケット処理部209は、通信パケット50の送受信処理を行う。暗号処理部210は、通信パケット50の暗号化及び復号を行う。
【0058】
電力線通信部202は、電力線10に電気的に接続された状態でPLCを実行する。配線207がプラグ208を介して電力線10に接続されることにより、電力線通信部202は電力線10に電気的に接続される。無線通信部203は、アンテナ204を用いて特定小電力無線を利用した無線通信を行う。
【0059】
計測部205は、光センサあるいは電力計などを備え、光センサなどの出力に応じた計測情報72を生成する。記憶部206は、計測情報72及び第1暗号鍵73を格納する。
【0060】
{3.通信システム1の動作}
{3.1.計測装置20及び計測情報収集装置30の設置}
計測装置20及び計測情報収集装置30の設置について、住居1aを例にして説明する。図7は、住居1aの平面図である。住居1aには、計測装置20−1,20−2,20−3と、計測情報収集装置31aとが設置される。計測情報収集装置31aは、住居1aの廊下に設置される。
【0061】
計測装置20−1は、リビングルームの天井に設置される。計測装置20−1は、計測部205として光センサを備えており、リビングルームの照明の使用状況を計測する。計測装置20−2は、テレビに取り付けられる。計測装置20−2は、計測部205として電力計を備えており、テレビの消費電力に基づいてテレビの使用状況を計測する。計測装置20−3は、トイレのドアに取り付けられる。計測装置20−3は、計測部205としてドアの開閉センサを備えており、トイレの使用状況を計測する。
【0062】
このように、計測装置20−1〜20−3は、住居1aの住人が生存しているかどうかを判断に用いる情報を取得するために、住居1aの住人が日常的に使用する設備、機器などに設置される。
【0063】
{3.2.通信パケットの構成及び通信パケットの識別}
図8は、通信システム1において送受信される通信パケット50の構成を示す図である。通信パケット50は、ネットワーク識別フィールド501と、送信先情報フィールド502と、シーケンス番号フィールド503と、データフィールド504と、経路情報フィールド505とを備える。
【0064】
ネットワーク識別フィールド501には、ネットワーク識別情報が格納される。ネットワーク識別情報は、通信パケット50が全体ネットワーク用のパケットであるか、住宅内ネットワーク用のパケットであるかを示す情報である。全体ネットワーク用の通信パケット50には、ネットワーク識別情報として「1」が設定される。住居内ネットワーク用の通信パケット50には、ネットワーク識別情報として「0」が設定される。
【0065】
送信先情報フィールド502には、送信先の装置の識別情報(IPアドレス、MACアドレスなど)が指定される。
【0066】
シーケンス番号フィールド503は、通信パケット50を一意に識別するためのシーケンス番号がセットされる。シーケンス番号は、通信パケット50の送信元の装置により生成される。たとえば、計測情報収集装置31aの識別情報と、計測情報収集装置31aが生成するユニークな番号とを組み合わせることによって、シーケンス番号を生成することができる。ただし、同一の通信パケットが、無線通信及びPLCを利用して送出される場合には、これら2つの通信パケット50には、同一のシーケンス番号が付与される。通信パケットが中継送信される場合には、通信パケットのシーケンス番号は、書き換えられない。
【0067】
データフィールド504には、計測情報72、生存情報、及び各装置の制御コマンドなどのデータが格納される。通信システム1の各装置は、自装置宛ての通信パケット50を受信した場合、データフィールド504からデータを取り出して、受信処理を行う。
【0068】
経路情報フィールド505には、通信パケット50を送信あるいは中継送信した装置の履歴情報として、経路情報71が記録される。
【0069】
上述したように、通信パケット50は、暗号鍵により暗号化される。図8に示すように、送信先情報フィールド502から経路情報フィールド505までのデータが、暗号化の対象となる。全体ネットワーク用の通信パケット50は、第2暗号鍵74により暗号化される。住居内ネットワーク用の通信パケット50は、第1暗号鍵73により暗号化される。第1暗号鍵73は、各住居内ネットワークで異なるものが用いられる。
【0070】
したがって、通信パケット50の送信元の装置と通信パケット50を受信した装置とが異なるネットワークに属している場合、通信パケット50を受信した装置は、通信パケット50を復号することができない。たとえば、計測情報収集装置31bは、計測装置20−1が送出した通信パケット50を、自装置が保持する第1暗号鍵73で復号できない(図2参照)。
【0071】
計測装置20−1が生成する計測情報72は、住居1aの住人の生活の様子を示す個人情報である。各住居内ネットワークで異なる第1暗号鍵73を用いることにより、各住居の住人の個人情報が、他のネットワークに流出することを防止することができる。
【0072】
ネットワーク識別情報は暗号化されない。計測装置20、計測情報収集装置30、及び生存情報収集装置40は、通信パケット50を受信した場合、ネットワーク識別情報に基づいて、通信パケット50を復号するか否かを最初に判断する。計測情報収集装置30及び生存情報収集装置40は、ネットワーク識別情報が「1」の通信パケット50を復号する。計測装置20及び計測情報収集装置30は、ネットワーク識別情報が「0」の通信パケット50を復号する。計測装置20及び生存情報収集装置40は、受信した全ての通信パケット50を復号する必要がないため、消費電力を削減することができる。
【0073】
通信システム1の各装置は、自装置が属さないネットワークの通信パケット50を受信した場合や、受信した通信パケット50を復号できない場合に、受信した通信パケット50を中継送信しない。通信システム1の各装置が通信パケット50を中継送信する頻度を抑制できるため、通信システム1のトラフィック量を抑制することができる。
【0074】
{3.3.情報収集の流れ}
図9は、通信システム1における情報収集の流れを示すシーケンス図である。まず、通信システム1の管理者が、生存情報収集装置40を操作して、集合住宅100に設置された計測情報収集装置30を登録する(ステップS11)。このとき、通信システム1の管理者は、生存情報の送信を要求するタイミング(たとえば、6時間ごと、1日に1回など)を生存情報収集装置40に対して設定する。
【0075】
通信システム1の管理者は、同様に、各住居に設置された計測情報収集装置30に対して、同一の住居に設置された計測装置20を登録する(ステップS12)。たとえば、計測情報収集装置31aには、計測装置20−1〜20−3が登録される(図2参照)。計測装置20は、電源がオンされることにより、自動的に計測を開始する(ステップS13)。これにより、計測装置20には、計測情報72が蓄積される。
【0076】
生存情報収集装置40は、現在時刻が設定されたタイミングになると、生存情報の送信を要求する通信パケット51をブロードキャストする(ステップS14)。
【0077】
図10Aは、生存情報収集装置40が生存情報の送信を要求する際に送信する通信パケット51の構成を示す図である。通信パケット51は、全体ネットワーク用のパケットであるため、ネットワーク識別フィールド501にネットワーク識別情報として「1」が設定される。送信先フィールド502には、ブロードキャストアドレスが設定される。生存情報要求コマンド75が、データフィールド504に格納される。送信先フィールド502から経路情報フィールド505までのデータは、第2暗号鍵74により暗号化される。
【0078】
計測装置20は、通信パケット51を受信した場合、ネットワーク識別情報「1」が設定されている通信パケット51を破棄する。これは、計測装置20が全体ネットワークに属していないためである。
【0079】
計測情報収集装置30は、通信パケット51を受信した場合、ネットワーク識別情報「1」が設定されている通信パケット51を、第2暗号鍵74を用いて復号する。これは、計測情報収集装置30は、全体ネットワークに属しているためである。
【0080】
計測情報収集装置30は、通信パケット51のデータフィールド504から生存情報要求コマンド75を取り出す。この時点では、計測情報収集装置30は、計測情報72を収集していないため、生存情報を生成することができない。計測情報収集装置30は、生存情報が生成できない旨を示すメッセージを格納した応答パケットを、生存情報収集装置40に送信する(ステップS15)。応答パケットは、全体ネットワークを通して生存情報収集装置40に送信される。このため、応答パケットは、第2暗号鍵74で暗号化された上で、ネットワーク識別情報「1」が設定される。生存情報収集装置40は、登録した全ての計測情報収集装置30からの応答を確認できなかった場合、応答のなかった計測情報収集装置30に対して生存情報の送信を再び要求する。このとき、生存情報収集装置40は、応答のなかった計測情報収集装置30を宛先とした通信パケット40を送出する。
【0081】
各住居の計測情報収集装置30は、ステップS15の応答パケットを送信した後に、計測情報の収集を要求する通信パケット52を、住居内ネットワークにブロードキャストする(ステップS16)。
【0082】
図10Bは、通信パケット52の構成を示す図である。通信パケット52は、全体ネットワークの通信に用いられるため、ネットワーク識別フィールド501にネットワーク識別情報として「0」が設定されている。送信先フィールド502には、ブロードキャストアドレスが設定されている。計測情報要求コマンド76が、データフィールド503に格納される。送信先フィールド502から経路情報フィールド505までのデータは、第1暗号鍵73により暗号化される。
【0083】
生存情報収集装置40は、通信パケット52を受信しても、ネットワーク識別情報「0」が設定された通信パケット52を破棄する。これは、生存情報収集装置40が住宅内ネットワークに属していないためである。
【0084】
計測装置20は、通信パケット52を復号できるケースと、復号できないケースとがある。たとえば、計測装置20−1は、計測情報収集装置31aがブロードキャストした通信パケット52を復号することができる。これは、計測装置20−1と計測情報収集装置31aとが、同一の住居内ネットワークに属し、同一の第1暗号鍵73を保持しているためである。計測装置20−1は、計測情報収集コマンド76に基づいて、計測情報72を格納した応答パケットを計測情報収集装置31aに送信する(ステップS17)。ステップS17の応答パケットは、第1暗号鍵73で暗号化され、ネットワーク識別情報「0」が設定される。計測情報収集装31aは、登録された全ての計測装置20−1〜20−3からの応答を確認できなかった場合、応答のなかった計測装置20に対して計測情報72の送信を再び要求する。このとき、計測情報収集装置30は、応答のなかった計測装置20を宛先とした通信パケット40を送出する。
【0085】
計測装置20−1は、計測情報収集装置32aがブロードキャストした通信パケット52を第1暗号鍵73で復号することができない。これは、計測装置20−1と計測情報収集装置32aとは、互いに異なる住居内ネットワークに属し、異なる第1暗号鍵73を保持しているためである。計測装置20−1は、第1暗号鍵73で復号できない通信パケット52を破棄する。
【0086】
生存情報収集装置40は、現在時刻が再び設定されたタイミングになると、通信パケット51を再びブロードキャストする(ステップS18)。計測情報収集装置30は、通信パケット51から取り出した生存情報要求コマンド75に基づいて、計測情報72から生存情報を作成する。
【0087】
計測情報収集装置30は、各計測装置20から収集した計測情報72から生存情報を生成する(ステップS19)。たとえば、住居1aにおいて、計測情報収集装置31aは、計測装置20−1の計測情報72からリビングルームの照明が使用されていることが確認できた場合、住人が生存していることを示す生存情報を生成する。同様に、計測装置20−2の計測情報72からテレビの使用が確認できた場合、及び計測装置20−3の計測情報72からトイレのドアが開閉されたと判断できた場合には、住人が生存していることを示す生存情報が生成される。
【0088】
計測情報収集装置30は、生存情報を格納した応答パケットを送信する(ステップS20)。ステップS20の応答パケットは、第2暗号鍵74で暗号化された上で、ネットワーク識別情報「1」が設定される。
【0089】
計測情報収集装置30は、ステップS20の応答パケットの送信後、通信パケット52をブロードキャストする(ステップS21)。各住居内ネットワークにおいて、計測装置20は、計測情報72が格納された応答パケットを計測情報収集装置30に送信する(ステップS22)。ステップS21,S22の処理は、ステップS16,S17と同様である。以下、ステップS18〜S22の処理が繰り返される。計測情報72の収集と、生存情報の収集とが同期して行われることになる。
【0090】
このように、生存情報収集装置40が生存情報を収集した後に、計測情報収集装置30が計測情報72を収集する。生存情報の収集と計測情報の収集とが重複して行われることがないため、通信システム1の通信帯域が圧迫されることを防止することができる。
【0091】
{3.4.計測情報収集装置30の動作}
図11は、通信パケット50を受信した計測情報収集装置30の動作を示すフローチャートである。
【0092】
計測情報収集装置30は、通信パケット50に設定されたネットワーク識別情報を確認する(ステップS101)。ネットワーク識別情報が「0」であれば(ステップS101でNo)、計測情報収集装置30は、住居内ネットワーク用の通信パケット50を受信したと判断する。通信パケット50は、第1暗号鍵73で復号される(ステップS102)。
【0093】
第1暗号鍵73で通信パケット50を復号できない場合(ステップS103でNo)、計測情報収集装置30は、自装置が属さない住居内ネットワークの通信パケット50を受信したと判断し、通信パケット50を破棄する(ステップS104)。第1暗号鍵73で通信パケット50を復号できた場合(ステップS103でYes)、計測情報収集装置30は、通信パケット50の受信処理を行う(ステップS105)。たとえば、通信パケット50に計測情報72が格納されていた場合、計測情報収集装置30は、計測情報72を記憶部205に記憶する。
【0094】
ステップS101において、通信パケット50のネットワーク識別情報が「1」であれば(ステップS101でYes)、計測情報収集装置30は、全体ネットワーク用の通信パケット50を受信したと判断する。計測情報収集装置30は、通信パケット50を第2暗号鍵74で復号する(ステップS106)。
【0095】
通信パケット50に生存情報要求コマンド75が格納されていれば(ステップS107でYes)、計測情報収集装置30は、記憶部305に格納されている計測情報72から生存情報を生成する(ステップS108)。計測情報収集装置30は、ネットワーク識別情報「1」が設定され、生存情報を含む応答パケットを生成する(ステップS109)。生存情報を含む応答パケットは、第2暗号鍵74で暗号化されて、生存情報収集装置40に送信される(ステップS110)。生存情報要求コマンド75を含む通信パケット50(通信パケット51)は、生存情報収集装置40によりブロードキャストされている。このため、計測情報収集装置30は、受信した通信パケット51の中継送信処理を行う(ステップS111)。
【0096】
なお、計測情報収集装置30は、ステップS108で記憶部305に計測情報72が格納されていない場合、ステップS108に代えて、生存情報が生成できない旨を示すメッセージを含む応答パケットを生成する。
【0097】
ステップS107において、通信パケット50に生存情報要求コマンド75が格納されていなければ(ステップS107でNo)、計測情報収集装置30は、通信パケット50の受信処理を行う(ステップS112)。計測情報収集装置30は、受信した通信パケット50の中継送信が必要か否かを判断する(ステップS113)。
【0098】
中継送信が必要であれば(ステップS113でYes)、計測情報収集装置30は、受信した通信パケットの中継送信処理を行う(ステップS112)。通信パケット50の中継送信が必要な場合とは、たとえば、通信パケット50の宛先が自装置ではない場合や、通信パケット50がブロードキャストパケットである場合などである。ただし、受信した通信パケット50と同一のシーケンス番号が既に中継送信されていた場合には、中継送信は必要ないと判断される。中継送信が必要でないならば(ステップS113でNo)、計測情報収集装置30は、図11に示す処理を終了する。
【0099】
{3.5.計測装置20の動作}
図12は、通信パケット50を受信した計測装置20の動作を示すフローチャートである。
【0100】
計測装置20は、受信した通信パケット50のネットワーク識別情報を確認する(ステップS101)。ネットワーク識別情報が「1」であれば(ステップS201でNo)、計測装置20は、通信パケット50を破棄し(ステップS202)、図12に示す処理を終了する。
【0101】
ネットワーク識別情報が「0」であれば(ステップS201でYes)、計測装置20は、通信パケット50を第1暗号鍵73で復号する(ステップS203)。通信パケット50を復号できなければ(ステップS204でNo)、計測装置20は、自装置が属さない住居内ネットワークの通信パケット50を受信したと判断する。この結果、通信パケット50は破棄される(ステップS202)。
【0102】
第1暗号鍵73で通信パケット50を復号できた場合(ステップS204でYes)、計測装置20は通信パケット50に計測情報要求コマンド76が格納されているか否かを確認する(ステップS205)。計測情報要求コマンド76が格納されている場合(ステップS205でYes)、計測装置20は、ネットワーク識別情報「0」が設定され、計測情報72を含む応答パケットを生成する(ステップS206)。計測情報72を含む応答パケットは、第1暗号鍵73で暗号化されて、計測情報収集装置30に送信される(ステップS207)。計測情報要求コマンド76を含む通信パケット50(通信パケット52)は、計測情報収集装置30によりブロードキャストされている。このため、計測装置20は、受信した通信パケット52の中継送信処理を行う(ステップS208)。
【0103】
通信パケット50に計測情報要求コマンド76が格納されていない場合(ステップS205でNo)、計測情報収集装置30は、通信パケット50の受信処理を行う(ステップS209)。計測情報収集装置30は、通信パケット50の中継送信が必要か否かを判断する(ステップS210)。
【0104】
中継送信が必要であれば(ステップS210でYes)、計測装置20は、受信した通信パケットの中継送信処理を行う(ステップS208)。受信した通信パケットの中継送信が必要な場合とは、たとえば、通信パケット50の宛先が自装置ではない場合や、通信パケット50がブロードキャストパケットである場合などが考えられる。ただし、受信した通信パケット50と同一のシーケンス番号が既に中継送信されていた場合には、中継送信は必要ないと判断される。中継送信が必要でなければ(ステップS210でNo)、計測装置20は、図12に示す処理を終了する。
【0105】
以上説明したように、本実施の形態に係る通信システム1において、住居1aに設置された計測情報収集装置30は、住居1aに設置された計測装置20から計測情報を収集する。計測情報収集装置30は、生存情報収集装置40から生存情報を要求されることにより、計測情報から生存情報を生成して、生存情報を生存情報収集装置40に送信する。これにより、各住居の住人の安否を確認する際に、生存情報収集装置40が全ての計測装置20から計測情報72を取得する必要がないため、トラフィック量の急激な上昇を抑えることができる。また、生存情報収集装置40が、各住居の住人の生存情報を生成しなくてもよいため、生存情報収集装置40の負荷を軽減できる。
【0106】
本実施の形態では、計測装置20は、PLC及び無線通信の両者に対応している例について説明したが、これに限られない。たとえば、計測装置20は、電力線通信部203を備えていなくてもよい。たとえば、リビングルーム(図7参照)の天井には、コンセントがない場合が考える。この場合、計測装置20−1を無線通信部203のみを備え、電池で駆動するタイプとすればよい。これにより、計測装置20を設置する際の制約を少なくすることができる。
【0107】
このとき、計測装置20−1が無線通信可能な領域には、少なくとも計測装置20−2が含まれていればよい。これにより、計測装置20−1が無線通信を行う際に電波放射強度を抑制することができるため、電池の消耗を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0108】
1 通信システム
10,11,12,13 電力線
20,20−1,20−2,20−3 計測装置
30,31a〜34a,31b〜34b,31c〜34c 計測情報収集装置
40 生存情報収集装置
201,301 制御部
202,302 電力線通信部
203,303 無線通信部
206,309 パケット処理部
207,310 暗号処理部
308 生存情報生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、さらに詳しくは、集合住宅などで利用可能な通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マンションやアパートなどの集合住宅において、一人暮らしの高齢者が増加している。集合住宅では、各住居の住人同士の近所付き合いが希薄なことが多い。この結果、一人暮らしの高齢者の孤独死が増加傾向にあり、孤独死が社会問題となっている。
【0003】
上記の問題とは別に、電力、ガス、水道などの検針作業が、各家庭で毎月行われている。具体的には、電力、ガス、及び水道を供給する各企業の担当者が各家庭を回り、電力、ガス、及び水道の使用量をチェックする。検針作業は、非常に手間とコストのかかる作業であるため、効率化が求められている。
【0004】
下記特許文献1では、集合住宅の各住居に設置された電力量計が検針した検針データを、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)を利用して収集する自動検針システムが開示されている。電力量計にはPLC子機が接続されており、電力量計が測定したデータは、電力線を経由して集合住宅の分電盤に設置されたPLC親機に送信される。PLC親機は、自動検針回線を利用して、各家庭の検針データを営業所などに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−10899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
孤独死を防ぐための対策として、一人暮らしの高齢者の住居を定期的に巡回することが挙げられる。しかし、全ての一人暮らしの高齢者の住居を定期的に巡回することは、コスト等の点から困難である。一人暮らしの高齢者によっては、住居を巡回する担当者に応対しないなど、一人暮らしの高齢者の安否確認が困難なケースもある。
【0007】
そこで、本発明は前期問題点に鑑み、集合住宅の各住居の住人の安否情報を確実に取得することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、集合住宅の住居に設置された計測装置が計測情報を取得する。集合住宅に構築された通信網により計測装置から計測情報が収集され、計測情報に基づいて各住居の住人が生存しているか否かが判定される。しかし、全ての計測装置から計測情報を一括して収集する場合、通信網のトラフィック量が急激に増加する。この結果、通信の信頼性が損なわれ、計測情報を収集できないおそれがある。本発明では、各住居の住人の安否を確実に確認するために、通信網のトラフィックを分散させる。
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、集合住宅に構築される通信システムであって、前記集合住宅内に構築された通信網と、前記集合住宅の住居に設置され、前記通信網に接続された計測装置と、前記住居に設置され、前記通信網に接続された第1情報収集装置と、前記通信網に接続された第2情報収集装置と、を備え、前記計測装置は、計測部と、前記計測部により生成された計測情報の送信を前記第1情報収集装置から要求された場合、前記計測情報を前記第1情報収集装置に送信する計測情報送信部と、を含み、前記第1情報収集装置は、前記計測情報の送信を前記計測装置に要求する計測情報要求部と、前記計測装置から取得した前記計測情報から、前記住居の住人が生存しているか否かを示す生存情報を生成する生存情報生成部と、前記生存情報の送信を前記第2情報収集装置から要求された場合、前記生存情報を前記情報収集装置に送信する生存情報送信部と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の通信システムにおいて、前記計測装置は、前記第2情報収集装置が復号することができない第1暗号方式によって前記計測情報を暗号化する第1暗号処理部、を含み、前記計測情報送信部は、暗号化された前記計測情報を前記第1情報収集装置に送信することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の通信システムにおいて、前記住居と異なる住居に他の計測装置及び他の第1情報収集装置が設置されており、前記他の計測装置及び前記他の第1情報収集装置は、暗号化された前記計測情報を復号することができないことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の通信システムにおいて、前記第1情報収集装置は、前記計測装置が復号化することができない第2暗号方式によって前記生存情報を暗号化する第2暗号化処理部、を含み、前記生存情報送信部は、暗号化された前記生存情報を前記第2情報収集装置に送信することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記第1情報収集装置と前記第2情報収集装置とは、第1ネットワークを形成し、前記計測装置と、前記第1情報収集装置と、前記第2情報収集装置とは、前記第1ネットワークの通信に用いられる通信パケットであるか否かを示すネットワーク識別情報を、自装置が送出する情報に対して付与する識別情報付与部、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記計測情報要求部は、前記生存情報を前記第2情報収集装置に送信した後に、前記計測情報の送信を前記計測装置に要求することを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記通信網は、電力線通信網と、無線通信網と、を含み、前記第1情報収集装置及び前記第2情報収集装置は、前記電力線通信網及び前記無線通信網に接続されており、前記計測装置は、前記電力線通信網及び前記無線通信網の少なくともいずれか一方に接続されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記第2情報収集装置は、前記第1情報収集装置として動作することが可能であり、前記第2情報収集装置は、前記第1情報収集装置として機能するか否かを切り替える切替部、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明において、計測装置は、第1情報収集装置の要求に応じて計測情報を第1情報収集装置に送信する。第1情報収集装置は、計測情報から生存情報を生成し、第2情報収集装置の要求に応じて生存情報を第2情報収集装置に送信する。この結果、第2情報収集装置が各住居から生存情報を取得する際に、通信システムのトラフィック量を分散させることができる。したがって、通信システムの信頼性が向上し、各住居の住人の安否を確実に確認することができる。
【0018】
計測装置は、第1暗号方式により暗号化された計測情報を第1情報収集装置に送信する。これにより、各住居の住人の生活状況を示す計測情報を第三者が取得することを防止できる。他の住居に設置されている他の計測装置及び他の第1情報収集装置も暗号化された計測情報を復号することができない。このため、第三者が計測情報を取得することをより確実に防止することができる。
【0019】
計測装置、第1情報収集装置、及び第2情報収集装置は、自装置が送出する情報にネットワーク識別情報を付与する。これにより、計測装置及び第2情報収集装置は、受信した情報を復号するか否かをネットワーク識別情報に基づいて判定することができる。計測装置及び第2情報収集装置は、受信した全ての情報を復号する必要がないため、消費電力を削減することができる。
【0020】
第1情報収集装置は、生存情報を第2情報集装置に送信した後に、計測情報の送信を計測装置に要求する。生存情報の送信と計測情報の送信とを同期させることにより、通信システムのトラフィック量を確実に分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの全体概略図である。
【図2】通信システムにおけるネットワークの階層構造を示す図である。
【図3】無線通信可能な領域を示す概略図である。
【図4】PLC及び無線通信を用いた通信の基本的な手順を示す図である。
【図5】計測情報収集装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】計測装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】通信システムが構築される集合住宅の住居の平面図である。
【図8】通信パケットの構成を示す図である。
【図9】通信システムにおける情報収集の流れを示すシーケンス図である。
【図10A】全体ネットワーク用の通信パケットを示す図である。
【図10B】住居内ネットワークの通信パケットを示す図である。
【図11】計測情報収集装置のフローチャートである。
【図12】計測装置のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
{1.通信システムの概要}
{1.1通信システムの構成}
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る通信システム1の全体概略図である。通信システム1は、マンションなどの集合住宅100に導入される。通信システム1は、集合住宅100の住居1a〜4a,1b〜4b,1c〜4cの各住人が生存しているか否かを示す生存情報を、電力線搬送通信(以下、「PLC」という)と無線通信とを利用して収集するシステムである。
【0023】
本実施の形態では、有線通信にPLCを使用する。しかし、Ethernet(登録商標)等の有線LANを有線通信に用いてもよい。集合住宅100の各住居にケーブルテレビが導入されている場合、ケーブルテレビの通信システムを有線通信に用いてもよい。
【0024】
本実施の形態では、無線通信に特定小電力無線を利用する。しかし、Zigbee(登録商標)、あるいはIEEE802.11で規定された無線LANなどを、無線通信に用いてもよい。
【0025】
通信システム1は、電力線11,12,13と、計測装置20,20・・・と、計測情報収集装置30,30・・・と、生存情報収集装置40とを備える。
【0026】
電力線11,12,13は、集合住宅100内に設置されたキュービクル101に接続されている。キュービクル101は、集合住宅100内に設置されており、電力会社から供給される高圧電力(約6000V)を、家庭用電力(約100V)に変換する。電力線11は、住居1b〜4b,1c〜4cに家庭用電力を供給する。電力線12は、住居1a〜4aに家庭用電力を供給する。電力線13は、管理人室1dなどの集合住宅100の共用設備に電力を供給する。以下、電力線11〜13に関する共通の説明を行う場合、総称して電力線10と呼ぶ。
【0027】
計測装置20、計測情報収集装置30、及び生存情報収集装置40は、PLC及び無線通信を利用して通信を行う。
【0028】
計測装置20は、各住居に設置され、設置場所に応じた計測情報を生成する。図1では、計測装置20は各住居に一台ずつ設置されているが、実際には、各住居に一台以上の計測装置20が設置される。
【0029】
計測情報収集装置30は、各住居に一台ずつ設置される。計測情報収集装置30は、同一の住居に設置された計測装置20から計測情報を収集し、収集した計測情報から生存情報を生成する。住居1a〜4a,1b〜4b,1c〜4cに設置される計測情報収集装置30を、計測情報収集装置31a〜34a,31b〜34b,31c〜34cとする。以下の説明において、計測情報収集装置31a〜34a,31b〜34b,31c〜34cに関する共通の説明を行うときは、計測情報収集装置30と呼ぶ。
【0030】
生存情報収集装置40は、管理人室1dに設置される。生存情報収集装置40は、計測情報収集装置30から生存情報を収集する。
【0031】
{1.2.通信システム1におけるネットワーク構成}
計測装置20、計測情報収集装置30、及び生存情報収集装置40は、PLC及び無線通信を用いて、通信システム1を構成する全ての装置と通信することが原理的に可能である。しかし、通信システム1は、階層的なネットワークを構築することにより、互いに通信することができる装置を制限している。
【0032】
図2は、通信システム1におけるネットワークの階層構造を示す図である。通信システム1では、最上位に全体ネットワークが構築され、全体ネットワークの下に、複数の住居内ネットワークが構築されている。
【0033】
全体ネットワークは、計測情報収集装置30と、生存情報収集装置40とによって構成される。住居間の通信が、全体ネットワークにより行われる。住居内ネットワークは、同一の住居内に設置される計測装置20と計測情報収集装置30とによって構成される。住居内ネットワークは、集合住宅100の住居ごとに構築される。
【0034】
通信システム1において、異なるネットワークに属する装置同士は、互いに通信することができない。たとえば、住居1aの住宅内ネットワークに属する計測装置20−1〜20−3及び計測情報収集装置31aは、互いに通信することができる。しかし、計測装置20−1は、生存情報収集装置40、他の住居に設置された計測装置20あるいは計測情報収集装置30と互いに通信することができない。
【0035】
通信システム1で転送される通信パケットには、後述するネットワーク識別情報が付与される。また、通信パケットは、各ネットワークに応じた暗号鍵により暗号化されている。これにより、ネットワークを超えた通信が行われることを防止している。
【0036】
{1.3.通信手順の概要}
通信システム1における通信手順の概要について、全体ネットワークにおける計測情報収集装置30同士の通信を例にして説明する。住居内ネットワークを構成する装置間の通信も、同様に行われる。ここでは、ネットワーク識別情報及び暗号鍵については考慮しない。
【0037】
図1に示すように、計測情報収集装置31a〜34aは、PLC(電力線12)を用いて互いに通信可能である。計測情報収集装置31b〜34b,31c〜34cは、PLC(電力線11)を用いて互いに通信可能である。しかし、電力線11,12,13の間にキュービクル101が介在しているため、異なる電力線10に接続されている装置同士は、PLC(電力線10)を用いて互いに通信することができない。たとえば、計測情報収集装置31aは、計測情報収集装置31b及び生存情報収集装置40と、PLC(電力線10)を用いて互いに通信することができない。計測情報収集装置34dは、計測情報収集装置34a及び生存情報収集装置40と、PLC(電力線10)を用いて互いに通信することができない。このように、通信システム1の装置同士が、PLC(電力線10)を介して通信できないケースが発生する。
【0038】
PLCにより互いに通信することができない計測情報収集装置30同士は、無線通信を用いて通信することができる。図3は、計測情報収集装置30及び生存情報収集装置40が無線通信をすることができる領域を示す概略図である。計測情報収集装置31a,31b,31cの無線通信領域を、領域61a,61b,61cとする。生存情報収集装置40の無線通信領域を領域61dとする。
【0039】
計測情報収集装置31aのアンテナ304は、領域61b,61cの内側に位置している。このため、計測情報収集装置31aは、直接、計測情報収集装置31b,31cと無線通信をすることができる。計測情報収集装置31aのアンテナ304は、領域61dの内側に位置していない。この場合、計測情報収集装置31aは、計測情報収集装置31b,31cのいずれかを介して、生存情報収集装置40と無線通信することができる。
【0040】
しかし、計測情報収集装置31b、32aは、PLC及び無線通信を用いても、直接通信することができない。この場合、他の計測情報収集装置30がPLC及び無線通信を通信パケットを中継送信することにより、計測情報収集装置31b、32aは互いに通信することが可能となる。
【0041】
図4は、計測情報収集装置31bが計測情報収集装置32aに対して通信パケットを送信したときの通信パケットの送信経路を示す図である。図4に示す経路情報71については、後述する。
【0042】
計測情報収集装置31bは、無線通信及びPLCを利用して、計測情報収集装置32aを宛先とする通信パケット50を送信する。
【0043】
電力線12に接続されている計測情報収集装置31a,32aは、PLCを用いて送信された通信パケット50を受信することができない。しかし、計測情報収集装置31aは、領域61bの内側に位置するため(図3参照)、無線通信を用いて送信された通信パケット50を受信することができる。計測情報収集装置31aは、無線通信により受信した通信パケット50の宛先が自装置ではなく計測情報収集装置32aであるため、PLC及び無線通信を用いて通信パケット50を中継送信する。計測情報収集装置32aは、計測情報収集装置31aがPLCを用いて送信した通信パケット50を受信する。
【0044】
このように、計測情報収集装置30は、受信した通信パケット50の宛先が自装置ではない場合や、通信パケット50がブロードキャストパケットである場合に、受信した通信パケット50を中継送信する。したがって、通信システム1は、複数の経路で通信パケット50を送信することができる。たとえば、通信パケット50は、図4に示す経路だけではなく、計測情報収集装置31b,32b,32aの経路で計測情報収集装置32aに到達することも可能である。したがって、通信システム1は、通信の信頼性を向上させることができる。
【0045】
{1.4.経路情報の付加}
通信パケット50には、図4に示すように、経路情報71が付加される。経路情報71の付加について説明する。
【0046】
計測情報収集装置31bは、PLCを用いて送信する通信パケット50に、経路情報71として「31b:P」を付加する。計測情報収集装置31bは、無線通信を用いて送信する通信パケット50に経路情報71として「31b:R」を付加する。「31b」は、計測情報収集装置31bの識別番号である。「P」は、PLCを用いて送信されたことを示す。「R」は、無線通信を用いて送信されたことを示す。
【0047】
計測情報収集装置31aは、PLC及び無線通信を利用して、受信した通信パケット50を中継送信する。PLCにより中継送信される通信パケット50には、経路情報71として「31b:R/31a:P」が記録される。無線通信により中継送信される通信パケット50には、経路情報71として「31b:R/31a:R」が記録される。「31a」は、計測情報収集装置31aの識別番号である。
【0048】
計測情報収集装置32aは、通信パケット50の受信処理を行う。通信パケット50に対する応答パケットが、経路情報71に基づいて、計測情報収集装置32aから計測情報収集装置31bに送信される。通信パケット50の送信経路を逆にたどることにより、応答パケットを高い確率で計測情報収集装置31bに到達させることができる。具体的には、計測情報収集装置32aは、最終的な送信先を計測情報収集装置31bに指定した応答パケットを作成する。計測情報収集装置32aは、経路情報71に基づいて、PLCを利用して計測情報収集装置31aに応答パケットを送信する。応答パケットには、経路情報71が付加されている。計測情報収集装置31aは、経路情報71に基づいて、受信した応答パケットを、無線通信を利用して計測情報収集装置31bに送信する。
【0049】
このように、通信システム1は、PLCと無線通信とを利用することにより、集合住宅の電力線の配置に影響されることのない柔軟性の高いシステムを構築することができる。
【0050】
{2.各装置の構成}
{2.1.計測情報収集装置30及び生存情報収集装置40の構成}
図5は、計測情報収集装置30の機能的構成を示すブロック図である。計測情報収集装置30は、制御部301と、電力線通信部302と、無線通信部303と、アンテナ304と、記憶部305とを備える。
【0051】
制御部301は、計測情報収集装置30の全体制御を行う。制御部301は、生存情報生成部308と、パケット処理部309と、暗号処理部310とを備える。生存情報生成部308は、計測装置20から収集した計測情報72から生存情報を生成する。パケット処理部309は、通信パケット50の送受信処理を行う。暗号処理部310は、通信パケット50の暗号化及び復号を行う。
【0052】
電力線通信部302は、電力線10に電気的に接続された状態でPLCを実行する。配線306がプラグ307を介して電力線10に接続されることにより、電力線通信部302は電力線10に電気的に接続される。無線通信部303は、アンテナ304を用いて、特定小電力無線を利用した無線通信を行う。
【0053】
記憶部305は、各計測情報20から収集した計測情報72,72・・・と、第1暗号鍵73と、第2暗号鍵74とを格納する。第1暗号鍵73は、住居内ネットワーク用の通信パケット50の暗号化及び復号に用いられる。第2暗号鍵74は、全体ネットワーク用の通信パケット50の暗号化及び復号に用いられる。
【0054】
生存情報収集装置40の構成は、計測情報収集装置30の構成と同様である。生存情報収集装置40は、記憶部305に、第2暗号鍵74と、各計測情報収集装置30から収集した生存情報を格納する。
【0055】
図5に示す計測情報収集装置30は、計測情報収集装置30として動作するか生存情報収集装置40として動作するかを切り替えるための切替部を備えていてもよい。たとえば、切替部としてDIPスイッチが設けられる。これにより、計測情報収集装置30と生存情報収集装置40とを別個に生産しなくてもよいため、計測情報収集装置30及び生存情報収集装置40の生産コストを削減することが可能となる。
【0056】
{2.2.計測装置20の構成}
図6は、計測装置20の機能的構成を示すブロック図である。計測装置20は、制御部201と、電力線通信部202と、無線通信部203と、アンテナ204と、計測部205と、記憶部206とを備える。
【0057】
制御部201は、計測装置20の全体制御を行う。制御部201は、パケット処理部209と、暗号処理部210とを備える。パケット処理部209は、通信パケット50の送受信処理を行う。暗号処理部210は、通信パケット50の暗号化及び復号を行う。
【0058】
電力線通信部202は、電力線10に電気的に接続された状態でPLCを実行する。配線207がプラグ208を介して電力線10に接続されることにより、電力線通信部202は電力線10に電気的に接続される。無線通信部203は、アンテナ204を用いて特定小電力無線を利用した無線通信を行う。
【0059】
計測部205は、光センサあるいは電力計などを備え、光センサなどの出力に応じた計測情報72を生成する。記憶部206は、計測情報72及び第1暗号鍵73を格納する。
【0060】
{3.通信システム1の動作}
{3.1.計測装置20及び計測情報収集装置30の設置}
計測装置20及び計測情報収集装置30の設置について、住居1aを例にして説明する。図7は、住居1aの平面図である。住居1aには、計測装置20−1,20−2,20−3と、計測情報収集装置31aとが設置される。計測情報収集装置31aは、住居1aの廊下に設置される。
【0061】
計測装置20−1は、リビングルームの天井に設置される。計測装置20−1は、計測部205として光センサを備えており、リビングルームの照明の使用状況を計測する。計測装置20−2は、テレビに取り付けられる。計測装置20−2は、計測部205として電力計を備えており、テレビの消費電力に基づいてテレビの使用状況を計測する。計測装置20−3は、トイレのドアに取り付けられる。計測装置20−3は、計測部205としてドアの開閉センサを備えており、トイレの使用状況を計測する。
【0062】
このように、計測装置20−1〜20−3は、住居1aの住人が生存しているかどうかを判断に用いる情報を取得するために、住居1aの住人が日常的に使用する設備、機器などに設置される。
【0063】
{3.2.通信パケットの構成及び通信パケットの識別}
図8は、通信システム1において送受信される通信パケット50の構成を示す図である。通信パケット50は、ネットワーク識別フィールド501と、送信先情報フィールド502と、シーケンス番号フィールド503と、データフィールド504と、経路情報フィールド505とを備える。
【0064】
ネットワーク識別フィールド501には、ネットワーク識別情報が格納される。ネットワーク識別情報は、通信パケット50が全体ネットワーク用のパケットであるか、住宅内ネットワーク用のパケットであるかを示す情報である。全体ネットワーク用の通信パケット50には、ネットワーク識別情報として「1」が設定される。住居内ネットワーク用の通信パケット50には、ネットワーク識別情報として「0」が設定される。
【0065】
送信先情報フィールド502には、送信先の装置の識別情報(IPアドレス、MACアドレスなど)が指定される。
【0066】
シーケンス番号フィールド503は、通信パケット50を一意に識別するためのシーケンス番号がセットされる。シーケンス番号は、通信パケット50の送信元の装置により生成される。たとえば、計測情報収集装置31aの識別情報と、計測情報収集装置31aが生成するユニークな番号とを組み合わせることによって、シーケンス番号を生成することができる。ただし、同一の通信パケットが、無線通信及びPLCを利用して送出される場合には、これら2つの通信パケット50には、同一のシーケンス番号が付与される。通信パケットが中継送信される場合には、通信パケットのシーケンス番号は、書き換えられない。
【0067】
データフィールド504には、計測情報72、生存情報、及び各装置の制御コマンドなどのデータが格納される。通信システム1の各装置は、自装置宛ての通信パケット50を受信した場合、データフィールド504からデータを取り出して、受信処理を行う。
【0068】
経路情報フィールド505には、通信パケット50を送信あるいは中継送信した装置の履歴情報として、経路情報71が記録される。
【0069】
上述したように、通信パケット50は、暗号鍵により暗号化される。図8に示すように、送信先情報フィールド502から経路情報フィールド505までのデータが、暗号化の対象となる。全体ネットワーク用の通信パケット50は、第2暗号鍵74により暗号化される。住居内ネットワーク用の通信パケット50は、第1暗号鍵73により暗号化される。第1暗号鍵73は、各住居内ネットワークで異なるものが用いられる。
【0070】
したがって、通信パケット50の送信元の装置と通信パケット50を受信した装置とが異なるネットワークに属している場合、通信パケット50を受信した装置は、通信パケット50を復号することができない。たとえば、計測情報収集装置31bは、計測装置20−1が送出した通信パケット50を、自装置が保持する第1暗号鍵73で復号できない(図2参照)。
【0071】
計測装置20−1が生成する計測情報72は、住居1aの住人の生活の様子を示す個人情報である。各住居内ネットワークで異なる第1暗号鍵73を用いることにより、各住居の住人の個人情報が、他のネットワークに流出することを防止することができる。
【0072】
ネットワーク識別情報は暗号化されない。計測装置20、計測情報収集装置30、及び生存情報収集装置40は、通信パケット50を受信した場合、ネットワーク識別情報に基づいて、通信パケット50を復号するか否かを最初に判断する。計測情報収集装置30及び生存情報収集装置40は、ネットワーク識別情報が「1」の通信パケット50を復号する。計測装置20及び計測情報収集装置30は、ネットワーク識別情報が「0」の通信パケット50を復号する。計測装置20及び生存情報収集装置40は、受信した全ての通信パケット50を復号する必要がないため、消費電力を削減することができる。
【0073】
通信システム1の各装置は、自装置が属さないネットワークの通信パケット50を受信した場合や、受信した通信パケット50を復号できない場合に、受信した通信パケット50を中継送信しない。通信システム1の各装置が通信パケット50を中継送信する頻度を抑制できるため、通信システム1のトラフィック量を抑制することができる。
【0074】
{3.3.情報収集の流れ}
図9は、通信システム1における情報収集の流れを示すシーケンス図である。まず、通信システム1の管理者が、生存情報収集装置40を操作して、集合住宅100に設置された計測情報収集装置30を登録する(ステップS11)。このとき、通信システム1の管理者は、生存情報の送信を要求するタイミング(たとえば、6時間ごと、1日に1回など)を生存情報収集装置40に対して設定する。
【0075】
通信システム1の管理者は、同様に、各住居に設置された計測情報収集装置30に対して、同一の住居に設置された計測装置20を登録する(ステップS12)。たとえば、計測情報収集装置31aには、計測装置20−1〜20−3が登録される(図2参照)。計測装置20は、電源がオンされることにより、自動的に計測を開始する(ステップS13)。これにより、計測装置20には、計測情報72が蓄積される。
【0076】
生存情報収集装置40は、現在時刻が設定されたタイミングになると、生存情報の送信を要求する通信パケット51をブロードキャストする(ステップS14)。
【0077】
図10Aは、生存情報収集装置40が生存情報の送信を要求する際に送信する通信パケット51の構成を示す図である。通信パケット51は、全体ネットワーク用のパケットであるため、ネットワーク識別フィールド501にネットワーク識別情報として「1」が設定される。送信先フィールド502には、ブロードキャストアドレスが設定される。生存情報要求コマンド75が、データフィールド504に格納される。送信先フィールド502から経路情報フィールド505までのデータは、第2暗号鍵74により暗号化される。
【0078】
計測装置20は、通信パケット51を受信した場合、ネットワーク識別情報「1」が設定されている通信パケット51を破棄する。これは、計測装置20が全体ネットワークに属していないためである。
【0079】
計測情報収集装置30は、通信パケット51を受信した場合、ネットワーク識別情報「1」が設定されている通信パケット51を、第2暗号鍵74を用いて復号する。これは、計測情報収集装置30は、全体ネットワークに属しているためである。
【0080】
計測情報収集装置30は、通信パケット51のデータフィールド504から生存情報要求コマンド75を取り出す。この時点では、計測情報収集装置30は、計測情報72を収集していないため、生存情報を生成することができない。計測情報収集装置30は、生存情報が生成できない旨を示すメッセージを格納した応答パケットを、生存情報収集装置40に送信する(ステップS15)。応答パケットは、全体ネットワークを通して生存情報収集装置40に送信される。このため、応答パケットは、第2暗号鍵74で暗号化された上で、ネットワーク識別情報「1」が設定される。生存情報収集装置40は、登録した全ての計測情報収集装置30からの応答を確認できなかった場合、応答のなかった計測情報収集装置30に対して生存情報の送信を再び要求する。このとき、生存情報収集装置40は、応答のなかった計測情報収集装置30を宛先とした通信パケット40を送出する。
【0081】
各住居の計測情報収集装置30は、ステップS15の応答パケットを送信した後に、計測情報の収集を要求する通信パケット52を、住居内ネットワークにブロードキャストする(ステップS16)。
【0082】
図10Bは、通信パケット52の構成を示す図である。通信パケット52は、全体ネットワークの通信に用いられるため、ネットワーク識別フィールド501にネットワーク識別情報として「0」が設定されている。送信先フィールド502には、ブロードキャストアドレスが設定されている。計測情報要求コマンド76が、データフィールド503に格納される。送信先フィールド502から経路情報フィールド505までのデータは、第1暗号鍵73により暗号化される。
【0083】
生存情報収集装置40は、通信パケット52を受信しても、ネットワーク識別情報「0」が設定された通信パケット52を破棄する。これは、生存情報収集装置40が住宅内ネットワークに属していないためである。
【0084】
計測装置20は、通信パケット52を復号できるケースと、復号できないケースとがある。たとえば、計測装置20−1は、計測情報収集装置31aがブロードキャストした通信パケット52を復号することができる。これは、計測装置20−1と計測情報収集装置31aとが、同一の住居内ネットワークに属し、同一の第1暗号鍵73を保持しているためである。計測装置20−1は、計測情報収集コマンド76に基づいて、計測情報72を格納した応答パケットを計測情報収集装置31aに送信する(ステップS17)。ステップS17の応答パケットは、第1暗号鍵73で暗号化され、ネットワーク識別情報「0」が設定される。計測情報収集装31aは、登録された全ての計測装置20−1〜20−3からの応答を確認できなかった場合、応答のなかった計測装置20に対して計測情報72の送信を再び要求する。このとき、計測情報収集装置30は、応答のなかった計測装置20を宛先とした通信パケット40を送出する。
【0085】
計測装置20−1は、計測情報収集装置32aがブロードキャストした通信パケット52を第1暗号鍵73で復号することができない。これは、計測装置20−1と計測情報収集装置32aとは、互いに異なる住居内ネットワークに属し、異なる第1暗号鍵73を保持しているためである。計測装置20−1は、第1暗号鍵73で復号できない通信パケット52を破棄する。
【0086】
生存情報収集装置40は、現在時刻が再び設定されたタイミングになると、通信パケット51を再びブロードキャストする(ステップS18)。計測情報収集装置30は、通信パケット51から取り出した生存情報要求コマンド75に基づいて、計測情報72から生存情報を作成する。
【0087】
計測情報収集装置30は、各計測装置20から収集した計測情報72から生存情報を生成する(ステップS19)。たとえば、住居1aにおいて、計測情報収集装置31aは、計測装置20−1の計測情報72からリビングルームの照明が使用されていることが確認できた場合、住人が生存していることを示す生存情報を生成する。同様に、計測装置20−2の計測情報72からテレビの使用が確認できた場合、及び計測装置20−3の計測情報72からトイレのドアが開閉されたと判断できた場合には、住人が生存していることを示す生存情報が生成される。
【0088】
計測情報収集装置30は、生存情報を格納した応答パケットを送信する(ステップS20)。ステップS20の応答パケットは、第2暗号鍵74で暗号化された上で、ネットワーク識別情報「1」が設定される。
【0089】
計測情報収集装置30は、ステップS20の応答パケットの送信後、通信パケット52をブロードキャストする(ステップS21)。各住居内ネットワークにおいて、計測装置20は、計測情報72が格納された応答パケットを計測情報収集装置30に送信する(ステップS22)。ステップS21,S22の処理は、ステップS16,S17と同様である。以下、ステップS18〜S22の処理が繰り返される。計測情報72の収集と、生存情報の収集とが同期して行われることになる。
【0090】
このように、生存情報収集装置40が生存情報を収集した後に、計測情報収集装置30が計測情報72を収集する。生存情報の収集と計測情報の収集とが重複して行われることがないため、通信システム1の通信帯域が圧迫されることを防止することができる。
【0091】
{3.4.計測情報収集装置30の動作}
図11は、通信パケット50を受信した計測情報収集装置30の動作を示すフローチャートである。
【0092】
計測情報収集装置30は、通信パケット50に設定されたネットワーク識別情報を確認する(ステップS101)。ネットワーク識別情報が「0」であれば(ステップS101でNo)、計測情報収集装置30は、住居内ネットワーク用の通信パケット50を受信したと判断する。通信パケット50は、第1暗号鍵73で復号される(ステップS102)。
【0093】
第1暗号鍵73で通信パケット50を復号できない場合(ステップS103でNo)、計測情報収集装置30は、自装置が属さない住居内ネットワークの通信パケット50を受信したと判断し、通信パケット50を破棄する(ステップS104)。第1暗号鍵73で通信パケット50を復号できた場合(ステップS103でYes)、計測情報収集装置30は、通信パケット50の受信処理を行う(ステップS105)。たとえば、通信パケット50に計測情報72が格納されていた場合、計測情報収集装置30は、計測情報72を記憶部205に記憶する。
【0094】
ステップS101において、通信パケット50のネットワーク識別情報が「1」であれば(ステップS101でYes)、計測情報収集装置30は、全体ネットワーク用の通信パケット50を受信したと判断する。計測情報収集装置30は、通信パケット50を第2暗号鍵74で復号する(ステップS106)。
【0095】
通信パケット50に生存情報要求コマンド75が格納されていれば(ステップS107でYes)、計測情報収集装置30は、記憶部305に格納されている計測情報72から生存情報を生成する(ステップS108)。計測情報収集装置30は、ネットワーク識別情報「1」が設定され、生存情報を含む応答パケットを生成する(ステップS109)。生存情報を含む応答パケットは、第2暗号鍵74で暗号化されて、生存情報収集装置40に送信される(ステップS110)。生存情報要求コマンド75を含む通信パケット50(通信パケット51)は、生存情報収集装置40によりブロードキャストされている。このため、計測情報収集装置30は、受信した通信パケット51の中継送信処理を行う(ステップS111)。
【0096】
なお、計測情報収集装置30は、ステップS108で記憶部305に計測情報72が格納されていない場合、ステップS108に代えて、生存情報が生成できない旨を示すメッセージを含む応答パケットを生成する。
【0097】
ステップS107において、通信パケット50に生存情報要求コマンド75が格納されていなければ(ステップS107でNo)、計測情報収集装置30は、通信パケット50の受信処理を行う(ステップS112)。計測情報収集装置30は、受信した通信パケット50の中継送信が必要か否かを判断する(ステップS113)。
【0098】
中継送信が必要であれば(ステップS113でYes)、計測情報収集装置30は、受信した通信パケットの中継送信処理を行う(ステップS112)。通信パケット50の中継送信が必要な場合とは、たとえば、通信パケット50の宛先が自装置ではない場合や、通信パケット50がブロードキャストパケットである場合などである。ただし、受信した通信パケット50と同一のシーケンス番号が既に中継送信されていた場合には、中継送信は必要ないと判断される。中継送信が必要でないならば(ステップS113でNo)、計測情報収集装置30は、図11に示す処理を終了する。
【0099】
{3.5.計測装置20の動作}
図12は、通信パケット50を受信した計測装置20の動作を示すフローチャートである。
【0100】
計測装置20は、受信した通信パケット50のネットワーク識別情報を確認する(ステップS101)。ネットワーク識別情報が「1」であれば(ステップS201でNo)、計測装置20は、通信パケット50を破棄し(ステップS202)、図12に示す処理を終了する。
【0101】
ネットワーク識別情報が「0」であれば(ステップS201でYes)、計測装置20は、通信パケット50を第1暗号鍵73で復号する(ステップS203)。通信パケット50を復号できなければ(ステップS204でNo)、計測装置20は、自装置が属さない住居内ネットワークの通信パケット50を受信したと判断する。この結果、通信パケット50は破棄される(ステップS202)。
【0102】
第1暗号鍵73で通信パケット50を復号できた場合(ステップS204でYes)、計測装置20は通信パケット50に計測情報要求コマンド76が格納されているか否かを確認する(ステップS205)。計測情報要求コマンド76が格納されている場合(ステップS205でYes)、計測装置20は、ネットワーク識別情報「0」が設定され、計測情報72を含む応答パケットを生成する(ステップS206)。計測情報72を含む応答パケットは、第1暗号鍵73で暗号化されて、計測情報収集装置30に送信される(ステップS207)。計測情報要求コマンド76を含む通信パケット50(通信パケット52)は、計測情報収集装置30によりブロードキャストされている。このため、計測装置20は、受信した通信パケット52の中継送信処理を行う(ステップS208)。
【0103】
通信パケット50に計測情報要求コマンド76が格納されていない場合(ステップS205でNo)、計測情報収集装置30は、通信パケット50の受信処理を行う(ステップS209)。計測情報収集装置30は、通信パケット50の中継送信が必要か否かを判断する(ステップS210)。
【0104】
中継送信が必要であれば(ステップS210でYes)、計測装置20は、受信した通信パケットの中継送信処理を行う(ステップS208)。受信した通信パケットの中継送信が必要な場合とは、たとえば、通信パケット50の宛先が自装置ではない場合や、通信パケット50がブロードキャストパケットである場合などが考えられる。ただし、受信した通信パケット50と同一のシーケンス番号が既に中継送信されていた場合には、中継送信は必要ないと判断される。中継送信が必要でなければ(ステップS210でNo)、計測装置20は、図12に示す処理を終了する。
【0105】
以上説明したように、本実施の形態に係る通信システム1において、住居1aに設置された計測情報収集装置30は、住居1aに設置された計測装置20から計測情報を収集する。計測情報収集装置30は、生存情報収集装置40から生存情報を要求されることにより、計測情報から生存情報を生成して、生存情報を生存情報収集装置40に送信する。これにより、各住居の住人の安否を確認する際に、生存情報収集装置40が全ての計測装置20から計測情報72を取得する必要がないため、トラフィック量の急激な上昇を抑えることができる。また、生存情報収集装置40が、各住居の住人の生存情報を生成しなくてもよいため、生存情報収集装置40の負荷を軽減できる。
【0106】
本実施の形態では、計測装置20は、PLC及び無線通信の両者に対応している例について説明したが、これに限られない。たとえば、計測装置20は、電力線通信部203を備えていなくてもよい。たとえば、リビングルーム(図7参照)の天井には、コンセントがない場合が考える。この場合、計測装置20−1を無線通信部203のみを備え、電池で駆動するタイプとすればよい。これにより、計測装置20を設置する際の制約を少なくすることができる。
【0107】
このとき、計測装置20−1が無線通信可能な領域には、少なくとも計測装置20−2が含まれていればよい。これにより、計測装置20−1が無線通信を行う際に電波放射強度を抑制することができるため、電池の消耗を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0108】
1 通信システム
10,11,12,13 電力線
20,20−1,20−2,20−3 計測装置
30,31a〜34a,31b〜34b,31c〜34c 計測情報収集装置
40 生存情報収集装置
201,301 制御部
202,302 電力線通信部
203,303 無線通信部
206,309 パケット処理部
207,310 暗号処理部
308 生存情報生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅に構築される通信システムであって、
前記集合住宅内に構築された通信網と、
前記集合住宅の住居に設置され、前記通信網に接続された計測装置と、
前記住居に設置され、前記通信網に接続された第1情報収集装置と、
前記通信網に接続された第2情報収集装置と、
を備え、
前記計測装置は、
計測部と、
前記計測部により生成された計測情報の送信を前記第1情報収集装置から要求された場合、前記計測情報を前記第1情報収集装置に送信する計測情報送信部と、
を含み、
前記第1情報収集装置は、
前記計測情報の送信を前記計測装置に要求する計測情報要求部と、
前記計測装置から取得した前記計測情報から、前記住居の住人が生存しているか否かを示す生存情報を生成する生存情報生成部と、
前記生存情報の送信を前記第2情報収集装置から要求された場合、前記生存情報を前記情報収集装置に送信する生存情報送信部と、
を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記計測装置は、
前記第2情報収集装置が復号することができない第1暗号方式によって前記計測情報を暗号化する第1暗号処理部、
を含み、
前記計測情報送信部は、暗号化された前記計測情報を前記第1情報収集装置に送信することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の通信システムにおいて、
前記住居と異なる住居に他の計測装置及び他の第1情報収集装置が設置されており、
前記他の計測装置及び前記他の第1情報収集装置は、暗号化された前記計測情報を復号することができないことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の通信システムにおいて、
前記第1情報収集装置は、
前記計測装置が復号化することができない第2暗号方式によって前記生存情報を暗号化する第2暗号化処理部、
を含み、
前記生存情報送信部は、暗号化された前記生存情報を前記第2情報収集装置に送信することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の通信システムにおいて、
前記第1情報収集装置と前記第2情報収集装置とは、第1ネットワークを形成し、
前記計測装置と、前記第1情報収集装置と、前記第2情報収集装置とは、
前記第1ネットワークの通信に用いられる通信パケットであるか否かを示すネットワーク識別情報を、自装置が送出する情報に対して付与する識別情報付与部、
を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の通信システムにおいて、
前記計測情報要求部は、前記生存情報を前記第2情報収集装置に送信した後に、前記計測情報の送信を前記計測装置に要求することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の通信システムにおいて、
前記通信網は、
電力線通信網と、
無線通信網と、
を含み、
前記第1情報収集装置及び前記第2情報収集装置は、
前記電力線通信網及び前記無線通信網に接続されており、
前記計測装置は、
前記電力線通信網及び前記無線通信網の少なくともいずれか一方に接続されていることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の通信システムにおいて、
前記第2情報収集装置は、前記第1情報収集装置として動作することが可能であり、
前記第2情報収集装置は、
前記第1情報収集装置として機能するか否かを切り替える切替部、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項1】
集合住宅に構築される通信システムであって、
前記集合住宅内に構築された通信網と、
前記集合住宅の住居に設置され、前記通信網に接続された計測装置と、
前記住居に設置され、前記通信網に接続された第1情報収集装置と、
前記通信網に接続された第2情報収集装置と、
を備え、
前記計測装置は、
計測部と、
前記計測部により生成された計測情報の送信を前記第1情報収集装置から要求された場合、前記計測情報を前記第1情報収集装置に送信する計測情報送信部と、
を含み、
前記第1情報収集装置は、
前記計測情報の送信を前記計測装置に要求する計測情報要求部と、
前記計測装置から取得した前記計測情報から、前記住居の住人が生存しているか否かを示す生存情報を生成する生存情報生成部と、
前記生存情報の送信を前記第2情報収集装置から要求された場合、前記生存情報を前記情報収集装置に送信する生存情報送信部と、
を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記計測装置は、
前記第2情報収集装置が復号することができない第1暗号方式によって前記計測情報を暗号化する第1暗号処理部、
を含み、
前記計測情報送信部は、暗号化された前記計測情報を前記第1情報収集装置に送信することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の通信システムにおいて、
前記住居と異なる住居に他の計測装置及び他の第1情報収集装置が設置されており、
前記他の計測装置及び前記他の第1情報収集装置は、暗号化された前記計測情報を復号することができないことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の通信システムにおいて、
前記第1情報収集装置は、
前記計測装置が復号化することができない第2暗号方式によって前記生存情報を暗号化する第2暗号化処理部、
を含み、
前記生存情報送信部は、暗号化された前記生存情報を前記第2情報収集装置に送信することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の通信システムにおいて、
前記第1情報収集装置と前記第2情報収集装置とは、第1ネットワークを形成し、
前記計測装置と、前記第1情報収集装置と、前記第2情報収集装置とは、
前記第1ネットワークの通信に用いられる通信パケットであるか否かを示すネットワーク識別情報を、自装置が送出する情報に対して付与する識別情報付与部、
を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の通信システムにおいて、
前記計測情報要求部は、前記生存情報を前記第2情報収集装置に送信した後に、前記計測情報の送信を前記計測装置に要求することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の通信システムにおいて、
前記通信網は、
電力線通信網と、
無線通信網と、
を含み、
前記第1情報収集装置及び前記第2情報収集装置は、
前記電力線通信網及び前記無線通信網に接続されており、
前記計測装置は、
前記電力線通信網及び前記無線通信網の少なくともいずれか一方に接続されていることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の通信システムにおいて、
前記第2情報収集装置は、前記第1情報収集装置として動作することが可能であり、
前記第2情報収集装置は、
前記第1情報収集装置として機能するか否かを切り替える切替部、
を備えることを特徴とする通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−61676(P2011−61676A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211652(P2009−211652)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
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