説明

通信デバイス用回路及び送信制御方法

通信デバイス(1)用の回路(3)であって、通信デバイス(1)は、別のデバイス(1’)と通信するために設けた送信コイル(2)を備え、当該回路(3)は、送信機(4)、受信機(5)及び制御段(7)を備え、前記送信機(4)は、送信データ(TD)を受信し、前記送信コイル(2)と協働し、前記送信データ(TD)を表す送信データ信号(TDS)を前記送信コイル(2)に送出するように設計され、前記受信機(5)は、前記伝送コイル(2)と協働し、前記送信コイル(2)から受信データ信号(RDS)を受信して、前記受信データ信号(RDS)を表す受信データ(RD)を供給するように設計され、前記制御段(7)は、前記受信機(5)による前記受信データ信号(RDS)の受信と同時に、前記送信データ信号(TDS)を送出するために、前記送信機(4)を制御するように設計されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信デバイス用回路に関する。
【0002】
本発明は、更に前述の回路を備える通信デバイスに関する。
【0003】
本発明は、更に送信データ信号の送信を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
前述の通信デバイスは、前述の回路を備え、前記の送信データ信号の送信を制御する方法を遂行することができるものであり、国際規格のISO/IEC18092に関連して既知である。この既知の通信デバイスは、送信手段を成す通信コイルを備えている。通信コイルは、通信デバイス用回路に接続される。通信コイルは、非接触通信の間、別のデバイスの対応する通信コイルと誘導結合を確立するように設計されている。既知の通信デバイスは、前記規格に従って送信データ信号を前記別のデバイスに送信するように設計されている。 この別のデバイスは、同一設計の通信デバイスとするか、又は国際規格ISO/IEC14443又はISO/IEC15693に準拠する、いわゆるデータキャリアとすることができる。既知の通信デバイスは、前記規格に従って前記別のデバイスから受信データ信号を受信するようにも設計されている。 前記送信データ信号と前記受信データ信号の妥当性は、いわゆる衝突防止プロトコルによって保証される。衝突防止プロトコルは、通信に関わる全てのデバイスでのそのプロトコルの実行の後に、僅か1つの別のデバイスだけが当該通信デバイスとの非接触通信用に選択されるようにする。
【0005】
既知の通信デバイスは、例えば、いわゆる“スパイ”のデバイスを非接触通信に関わるデバイスのうちの1つに近づけて、送信データ信号及び/又は受信データ信号のシーケンス又は内容を観察するか、又は解析することによって、選択されたデバイス間での送信データ信号と受信データ信号のやり取りを比較的容易に観測することができるという問題を呈する。このことは、基本的にいわゆる“中間者”のアタックを許すことになり、このアタックによって、例えば、不正行為の目的のために2つの合法的デバイスのうちの一方の役割を代わりに行うことができる。このような状況において、合法的デバイスと対照して、中間者がアタックするスパイのデバイスは、“非合法”的デバイスである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述した欠点を取り除いた、前述したタイプの回路、前述したタイプの通信デバイス、及び前述したタイプの方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明による特徴事項を、本発明による回路で提供され、この本発明による回路は、以下のように特徴付けることができる。
【0008】
即ち、通信デバイス用の回路であって、当該通信デバイスは、別のデバイスと通信するために設けた送信手段を備え、当該回路は、送信機、受信機及び制御手段を備え、前記送信機は、送信データを受信し、且つ前記送信手段と協働し、前記送信データを表す送信データ信号を前記送信手段に送出するように設計され、前記受信機は、前記送信手段と協働し、前記送信手段から受信データ信号を受信して、前記受信データ信号を表す受信データを供給するように設計され、前記制御手段は、前記受信機による前記受信データ信号の受信と同時に、前記送信データ信号を送出するために前記送信機を制御するように設計されている。
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明による特徴事項は、本発明による通信デバイスで提供され、この本発明による通信デバイスは、本発明による回路を備えるようにする。
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明による特徴事項を、本発明による方法で提供され、この本発明による方法は、以下のように特徴付けることができる。
【0011】
即ち、送信データ信号の送信を制御する方法であって、本方法は、別のデバイスからの受信データ信号を受信して、前記受信データ信号を表す受信データを供給するステップと、受信データ信号の受信と同時に、送信データを表す送信データ信号を送信するステップとを含む。
【0012】
本発明による特徴事項によって得られる利点は、通信デバイスが、別のデバイスとの同時双方向通信を行うことが初めて可能になる瞬時に、僅か1つの選択されたデバイスだけが送信データ信号を送信できるように作成されている過去の全ての既存の仕様及び措置とは異なり、当該双方向通信において、送信データ信号は、受信データ信号を受信するのと同時に送信することにある。このタイプの双方向同時通信の他の利点は、第3のデバイス、例えば、スパイのデバイスにとって、通信デバイスによって別のデバイスに送信された送信データ信号、又は別のデバイスから受信した受信データ信号を解析するのが比較的厄介なものになるか、又は不可能にさえなることにある。このような解析によって得られる結果は、スパイのデバイスによって捕らえられたデータ信号は、明らかに区別できるデータ信号ユニットを含むだけではなく、従来の仕様による、いわゆる衝突を表すことになるデータ信号ユニットを重畳したものも含むので、比較的不正確なものとなり、従って従来の仕様によって排斥されなければならない。
【0013】
本発明による幾つかの解決策の利点は、変調キャリア信号の信号パラメータをランダムなスキーム又は所定のスキームに従って変更することができることにあり、これにより、スパイのデバイスにとって、衝突を呈したデータ信号ユニットが正規のどのデバイスから送信されたのかを区別することを一層困難にする。
【0014】
本発明による他の解決策の利点は、一方では送信データ信号から、他方では受信データ信号から由来するデータ信号ユニットの信号パラメータの差分を計算することができ、その差分に応じて、送信データ信号のパラメータを適合させて、送信データ信号の信号パラメータと受信データ信号の信号パラメータの差を最小にするか、又は送信データ信号及び受信データ信号に対する信号パラメータを等しくすることもできることにある。この解決策は、どこから個々のデータ信号ユニットが送出されているのかスパイのデバイスが識別する試みを一層困難、且つ複雑にするか、又は不可能にさえする。
【0015】
本発明による更に他の解決策による利点は、少なくとも1つの乱数又は少なくとも1つの固有の識別番号などを、通信デバイスと別のデバイスとの間で、このような乱数又は固有の識別番号が完全に探り出される心配がなく、交換することができるか、或いは、このような乱数又は固有の識別番号が、どの合法デバイスから送信されたのかを探り出すのが極めて困難であるか、又は不可能にさえなるということにある。このような乱数又は固有の識別番号は、例えば、通信デバイスと、通信に参加するのを除くべきスパイのデバイスではなく、通信を切望する別のデバイスである合法的通信パートナとの間の通信に、暗号化を適用することに基づくものことができる。他方では、送信データ信号を送信する通信デバイスは、当然、データ信号ユニットの前記衝突を反映する受信データ信号を受信しているが、適切値をこのようなデータ信号ユニットの1つに関連づけることに全く問題がない。なぜなら、通信デバイスは、自身によって送信したどのデータ信号ユニットが、前記データ信号ユニットに対して衝突を生じさせたものであるかを、このようなデータ信号ユニットの各々について分かるためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、いわゆる近距離無線通信(NFC)デバイス1を実現する通信デバイスを示している。NFCデバイス1は、国際規格ISO/IEC18092(NFC)に従って通信するように設計されている。通信デバイス1は、図1に示されていない別のNFCデバイスと通信するように設計して設けた送信手段2を備えている。送信手段2は、整合ネットワーク及び並列コンデンサにも接続される通信コイルによって実現され、整合ネットワーク及び並列コンデンサは、従来技術で知られているので図示していない。通信コイルは、別のNFCデバイスの対応するコイルと誘導結合するように設ける。これに関連して、別の実施例では、非接触通信目的のために容量結合を実現することもできると云える。しかしながら、ステーションの送信手段2にアンテナも含めることができ、例えばモノポール又はマルチポールアンテナが考えられる。
【0017】
NFCデバイス1は、更に送信手段2に接続される集積回路3も備えている。 集積回路3は、送信機4、受信機5、信号パラメータ決定手段6及び制御手段7を備えている。制御手段7は、送信機4、受信機5及び信号パラメータ決定手段6に結合されている。
【0018】
制御手段7は、送信データTDを送信機4に送出するとともに、受信機5から受信データRDを受信するように設計されている。送信データTDのデータユニットは、1ビットであり、論理1(即ち、“1”)か、又は論理0(“0”)のいずれかである第1の数を表す。受信データRDのデータユニットも、1ビットであり、論理1か、又は論理0のいずれかである第2の数を表す。
【0019】
送信機4は、送信データTDを受信し、送信手段2と協働し、送信データTDを表す送信データ信号TDSを送信手段2に送出するように設計されている。送信機4は、送信データ信号TDSを生成して送出するために、キャリア信号を生成し、そのキャリア信号からサブキャリア信号を導出するように設計されている。送信機は、変調キャリア信号を生成するために、図2に示すマンチェスタ符号化スキームに従って、前記データユニットを表すサブキャリア信号を符号化するように設計されている。図2に示した信号チャートは、符号化したサブキャリア信号の4つの信号部分S1,S2,S3及びS4を有し、この符号化サブキャリア信号は、2進値“0011”を有する4ビットを表す送信データ信号TDSと、2進値“0101”を有する4ビットを表す非妨害形態の受信データ信号RDSとを表している。受信データ信号RDSの表現は、第1の信号部分S1の期間と第3の信号部分S3の期間中は、論理0を表す1ビットのサブキャリア符号化を示し、信号部分S2及びS4は、論理1を表す1ビットのサブキャリア符号化を示す。送信データ信号TDSの表現は、第1の信号部分S1の期間中と第2の信号部分S2の期間中は、論理0を表す1ビットのサブキャリア符号化を示し、信号部分S3及びS4は、論理1を表す1ビットのサブキャリア符号化を示す。図1に示した送信機4は、更に、符号化したサブキャリア信号をキャリア信号に与えて、キャリア信号を送信データに応じて振幅変調するようにも設計されている。簡単化のために、受信データ信号RDS及び送信データ信号TDSに対する符号化サブキャリアを図2では、同一の振幅レベルを有するように示してある。従来技術における現実的な通信方式では、通常、このようにはならない。
【0020】
送信機4は、更に、信号パラメータ制御信号SPCSを受信し、且つ送信データTDに依存するとともに、信号パラメータ制御信号SPCSにも依存する、変調キャリア信号を生成するようにも設計するのが有利である。この場合に、制御するべき信号パラメータは、送信データ信号TDSの信号レベルであり、この信号レベルは、サブキャリア信号の信号レベルで決定される。従って、送信機4は、送信データ信号TDSを生じさせるサブキャリア信号の信号振幅を変えるように設計する。これにより、送信データ信号TDSのパワー・スペクトラムにおいて、キャリア信号のキャリア信号ピークが、例えば13.56MHzの周波数の位置に存在し、2つの別のピーク、即ち2つのサブキャリア信号ピークが、848kHzのサブキャリア周波数に従って、例えば(13.56MHz+848kHz)及び(13.56MHz−848kHz)の位置に存在するようにする。そこでは、サブキャリアピークのサイズ(高さ)は、信号パラメータ制御信号SPCSに依存して可変である。これに関連し、信号レベルの制御に加えて、必要であればキャリア信号の位相及び/又は周波数も制御するのに信号パラメータ制御信号SPCSを利用することもできることを言及しておく。しかしながら、この場合には、位相及び周波数の制御が必要とされないものとする。信号の振幅、周波数又は位相を変更又は変化させる手段は、当業者に知られているので、詳細には説明しない。
【0021】
受信機5は、送信手段2と協働し、送信手段2から受信データ信号RDSを受信し、受信データ信号RDSを表す受信データRDを供給するように設計されている。
【0022】
制御手段は、更に、受信機5による受信データ信号の受信と同時に、送信データ信号TDSを送出する送信機4を制御するようにも設計するのが有利である。本実施例において、別のデバイスとの同時双方向通信は、或るコマンド(例えば、通信する別のデバイスに、シリアル数をNFCデバイスに戻すように要求する要求コマンド)を、当該別のデバイスに送ることによって開始する。別のデバイスの応答動作は、上述の国際規格によって規定されているということからして、制御手段7は、前記国際規格で規定されるように応答データ信号RDSを受信するのに適切なタイミングに従って、要求コマンドに続いて送信データTDを送出する。しかしながら、送信データTDをバッファリングするための送信データバッファを有するように構成し、制御手段7によって、送信トリガ信号を送信機4に供給するように実現することもできる。この場合、制御手段7は、送信データバッファから送信データTDを取り出すように送信機4をトリガし、受信データ信号RDSの受信と同期して、送信トリガ信号によってクロックされた対応する送信データ信号TDSを送出させるようにする。
【0023】
本実施例では、受信データ信号RDSは、負荷変調のキャリア信号を表し、このキャリア信号の負荷変調は、NFCデバイス1との非接触通信の間に、別のデバイスによって行われる。受信データ信号RDSは、送信機4及び送信手段2も接続される集積回路3の或る回路点にタップされる。上述の国際規格によれば、受信機5は、受信データ信号RDSによって表される衝突信号CSを検出するように設計されており、衝突信号CSは、受信データ信号RDSが2つの異なる数、本例では、論理0と論理1を表している旨を指示し、ここに、2つの数のうちの第1の数(例えば、1ビット)は、送出された送信データ信号TDSによって表され、2つの数のうちの第2の数(例えば、1ビット)は、別のデバイスから由来する。衝突信号CSのこのような1ビット指向の検出は、例えば、国際規格ISO/IEC14443(衝突防止スキーム)に準拠する従来技術の無線周波数識別(RFID)デバイスから基本的に既知であるが、一群の無線識別デバイスから1つの特定の無線周波デバイスを選択することに関して、いわゆるタグ、ラベルなどを利用することもできる。図3は、図2の信号部分S1〜S4の重ね合わせを示している。従って、第1の信号部分S1と第4の信号部分S4とによって、論理値0を有するビットを識別することができ、第2の信号部分S2と第3の信号部分S3は衝突信号CSを示して、2つの信号部分S2及びS3の場合、何らかの別の知識又は仮定なくしては、これらの信号部分によって表される論理値0、又は1を規定することはできない。第2の信号部分S2の第1半部と、第2の信号部分S2の第2半部における振幅(信号レベル)は、適切な信号パラメータ制御信号SPCSを送信機4に供給するような対策を何ら講じることなく、相違させることができると云え、これについては、以下明らかにしていく。
【0024】
図1に示す受信機5は、送信データTDを受信し、この送信データTDによって表される既知の第1の数(例えば、図2に示す2番目の信号部分S2における論理0)に基づいて、別のデバイスから由来する第2の数(例えば、図2に示す2番目の信号部分S2における論理1)を導出し、この導出した第2の数を表す受信データRDを制御手段7に送出するように設計するのが有利である。従って、検出衝突信号CSは、従来技術で知られているように、データ信号の受信又は送信を何ら妨げることはない。むしろ、前記検出衝突信号は、送信データTDに依存して、受信データRDの決定をトリガするように用いることができる。
【0025】
信号パラメータ決定手段6は、送信機4、受信機5及び送信手段2を接続する回路点にも接続される。これにより、基本的にそれぞれの単一信号をタッピングすることができ、この単一の信号は、受信データ信号RDSとは独立した送信データ信号TDS、又は送信データ信号TDSとは独立した受信データ信号RDS、又は送信データ信号TDS及び受信データ信号RDSの信号組み合わせ(重ね合わせ)である。信号パラメータ決定手段6は、送信データ信号TDSを受信し、送信データ信号TDSの少なくとも1つの送信信号パラメータを決定するように設計されている。 本実施例では、送信信号パラメータは、前記送信データ信号TDSの信号レベルとして規定する。更に、別の例では、送信信号パラメータは、前記送信データ信号TDSの周波数及び/又は位相とすることもできる。信号パラメータ決定手段6は、送信データ信号TDSの信号レベルを表す第1のパラメータ表現信号R1を生成して、送出するように設計されている。信号パラメータ決定手段6は、受信データ信号RDSを受信し、この受信データ信号RDSの少なくとも1つの受信信号パラメータを決定するようにも設計されている。本実施例では、受信信号パラメータは、前記受信データ信号RDSの信号レベルとして規定する。更に、別の例では、受信信号パラメータは、前記受信データ信号RDSの周波数及び/又は位相とすることもできる。信号パラメータ決定手段6は、受信データ信号RDSの信号レベルを表す第2のパラメータ表現信号R2を生成して、送出するようにも設計されている。別の例では、第1のパラメータ表現信号R1及び第2のパラメータ表現信号R2が、それぞれのデータ信号TDS又はRDSの位相又は周波数の表現も含むようにすることができる。
【0026】
制御手段7は、更に、第1のパラメータ表現信号R1及び第2のパラメータ表現信号R2を信号パラメータ決定手段6から受信し、2つのパラメータ表現信号R1及びR2によって表される信号パラメータの差分を決定するようにも設計されている。前述したように、送信データ信号TDSの信号レベルと受信データ信号RDSの信号レベルとの差分のみならず、2つのデータ信号TDS及びRDSの周波数及び/又は位相の差分も、別の例では考えることができる。制御手段7は、更に、前記パラメータ表現信号R1及びR2に依存して(信号レベルの決定した差分に基づくことを意味する)、信号レベルの決定した差分を最小にするために信号パラメータ制御信号SPCSを送信機4に送出するように設計する。別の例によれば、信号パラメータ制御信号SPCSは、他の決定したパラメータの差を低減させるのに利用することもできる。
【0027】
これらの措置は、送信データ信号TDS及び受信データ信号RDSの信号レベル、又はより正確には、送信データ信号TDS及び受信データ信号RDSの側波帯パワー・スペクトラムピークを同じ高さにするという利点を呈する。従って、第三者(例えば、スパイのデバイス)にとっては、どのデバイスが送信データ信号TDSと受信データ信号RDSとの重ね合わせのどの部分を送出していたかを確定して、各信号部分の論理的なデータ信号の内容を取り出すのが、困難となるか、又は不可能にさえなる。
【0028】
前述した例では、データユニットを常に1ビットで表すものとし、説明したそれぞれの信号は、この制限を反映したものであるが、例えば直交振幅変調(QAM)に用いられるような2ビット以上を表す信号も知られているので、本発明の範囲は、前述したような例に限定されるものではないと云うことができる。QAMの場合には、3つ以上の数を単一の信号部分によって表し、衝突信号を引き起こした2つの数のうちの1つについての知識を持つことにより、衝突信号CSを、本発明の範囲内で扱うことができる。
【0029】
集積回路3は、集積回路として説明しているが、個別回路としてみなすこともできる。
【0030】
前述した説明では、通信デバイス及び別のデバイスは、同一構成のNFCデバイスとして説明した。しかしながら、他のデバイスが、本発明による更なる措置を何ら実装させることなく、それ故、例えば固有シリアル数の送出と同時に通信される送信データ信号TDSを簡単に無視するような、要求しているNFCデバイスの要求コマンドに対して応答するように設計されている無線周波数識別子(RFID)のデバイスであるときにも、NFCデバイス1は、本発明を十分に実現することもできる。更に、例えば、ISO/IEC14443に準拠するRFID方式のいわゆるリーダステーションにおいて、本発明による措置を実現することができることも言及しておく。
【0031】
以下、通信デバイスの動作について説明する。従って、NFCデバイス1は、セキュリティ機密データが格納されているパーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)に組み込むものとする。別のデバイスは、NFCデバイス1と同一のタイプ及び構造のもので、携帯電話(図示せず)に組み込まれるものとする。また、NFCデバイス1と別のデバイスによって、セキュリティ機密データを交換できる、安全な非接触通信が確立されるものとする。安全な非接触通信を確立するためには、2つのデバイスを、互いに近接配置する。NFC規格に従って、2つのNFCデバイス1のうちの一方は、PCに組み込まれ、イニシアチブを取ってマスターのNFCデバイス1として動作し、他方の携帯電話に組み込まれる別のデバイスは、スレーブのNFCデバイス1’(図示せず)として動作するものとする。このような役割規定によって、マスターのNFCデバイス1は、安全な通信要求コマンドを送出することによって通信を開始し、交換すべきデータを暗号化するのに利用した固有のシリアル数を、マスターのNFCデバイス1に通信して戻すようにスレーブのNFCデバイス1’に要求する。
【0032】
通信要求コマンドは、国際規格ISO/IEC18092における所定の従来技術の規定に従って送出され、これは、100%の変調スキームを適用することによってキャリア信号を振幅変調することを意味する。(マスターの)NFCデバイス1は、通信要求コマンドの送信に続いて、1つの別のNFCデバイス1’だけが、その後の通信に関わるようにしなければならない。このようにするために、従来の衝突防止プロシージャは、2つのNFCデバイス1と1’だけしか通信に関与しないようにしている。しかしながら、本実施例では、衝突防止プロシージャの間に衝突を検出していた旨を示す問題指示信号を生成するようにし、デバイスを操作するユーザは、衝突の原因かもしれない他のデバイスの配置又は位置を変更するように警告されることになる。如何にして問題指示信号を利用できるようにするかに関する詳細は、本発明の要旨には関係がないので、更なる説明はしない。
【0033】
衝突防止プロシージャの1つの欠点は、デバイスがデータ信号の送出の意味で、積極的にその役割を果たさないようにすることだけはできるが、その後の通信のために衝突防止プロシージャの間に選択されていた2つのNFCデバイス1と1’との間の通信を他のデバイスが聞けないようにすることができないことにある。そこで、、第三者のデバイス(いわゆるスパイのデバイス)が探り出すことができないように固有識別子数を交換することによって、2つの“合法的”に選択されたNFCデバイス1及び1’間の非接触通信を安全にするために、PCに組み込まれるNFCデバイス1によって送信データ信号TDSの送信を制御する方法を適用するが、この方法は、国際規格ISO/IEC18092によって規定されるプロトコルから外れるものである。
【0034】
本発明の包括的なルールとして、本方法は、(別の)スレーブNFCデバイス1'から受信データ信号RDSを受信するステップと、受信機5によって、受信データ信号RDSを表す受信データRDを供給するステップとを含み、受信データ信号RDSの受信と同時に、送信データTDを表す送信データ信号TDSを送信機4によって送信する。本方法において適用する変調スキームは、典型的にマスターのNFCデバイス1からスレーブのNFCデバイス1’への通信用に適用される100%の変調スキームとは明らかに異なる。本方法において、適用する変調スキームは、受動通信デバイス用に前記規格で規定されている変調スキームであり、これは、100%未満の変調深度が与えられるキャリア信号の負荷変調を意味する。
【0035】
データ信号TDS及びRDSの起源をスパイのデバイスに見えないようにするために、本方法は、送信データ信号TDSの側波帯のパワー・スペクトラムを受信データ信号RDSの側波帯のパワー・スペクトラムに調整し得るようにする。従って、スレーブのNFCデバイス1’は論理1を表す受信データ信号を送信するが、マスターのNFCデバイス1は、受信データ信号RDSの受信と同時に、図4に示すように、論理0を表す送信データ信号TDSを送信する。この論理0及び1の同時交換は、図4に示すように、信号部分S5〜S9によって、5回の回数を繰り返す。しかしながら、受信の回数は、前述した2つのパワー・スペクトラムの同一性の回数であり、達成結果に応じて変化し得る。
【0036】
この結果を達成するために、本方法は、送信機4によって送信データTD(論理0)に依存し、且つ信号パラメータ制御信号SPSCに依存して、キャリア信号を変調することによって変調キャリア信号を生成し、変調キャリア信号の信号レベルを信号パラメータ制御信号SPCSによって決定するようにするステップと、変調キャリア信号を送信データ信号TDSとして送出するステップとを含む。図4の信号部分S5によれば、予め設定した初期の信号レベルを表す信号パラメータ制御信号SPSCは、送信機4に供給される。従って、受信データ信号RDS及び送信データ信号TDSのサブキャリアの信号レベルは、全く異なる。これらのデータ信号RDS及びTDSの重ね合わせは、図5の信号部分S5に示してある。信号部分S5の間に、この信号部分S5の第1半部に対する側波帯のパワー・スペクトラムは、信号部分S5の第2半部に対する側波帯のパワー・スペクトラムとは明らかに異なったものとなる。
【0037】
2つのパワー・スペクトラムを互いに整合させるために、本方法は、図5に示す信号部分S5〜S9の第1半部の各々に対して、信号パラメータ決定手段6によって送信データ信号TDSの信号レベルを決定するステップと、送信信号レベルを表す第1のパラメータ表現信号R1を送出するステップとを含む。本方法は、更に、図5に示す信号部分S5〜S9の第2半部の各々に対して、信号パラメータ決定手段6によって受信データ信号RDSの受信信号レベルを決定するステップと、受信信号レベルを表す第2のパラメータ表現信号R2を送出するステップとを含む。本方法は、更に、信号部分(n)に対する前記パラメータ表現信号R1及びR2に依存して、後続する信号部分(n+1)に対する前記信号パラメータ制御信号SPCSを送出し、信号部分(n+1)の決定した受信信号レベルと信号部分(n+1)の受信信号レベルに対応する送信信号レベルとの差分を低減させるステップを含む。しかしながら、当該差分をより速く、又は直ちに低減させることに通じる解析的な措置を講じることも考えられる。
【0038】
以下の説明では、マスターNFCデバイス1とスレーブNFCデバイス1’との間の距離は、それらを互いに接近した安定位置に配置されている時には、変化しないものと想定した。従って、送信信号レベルを受信信号レベルに更に調整する必要はない。 このような安定配置を有していないのであれば、最初の信号レベルの整合を確立した後に信号レベルを動的に監視することが必要であり、送信データ信号TDSを生じさせるサブキャリアの信号レベルを、初期の信号レベルの整合に続いて、データ信号の交換中にも動的に調整しなければならないという要件を招くことになる。そこで、衝突信号CSを表す信号部分の間に信号レベルを決定することに基づいて動的な調整を行うことができるようにする。
【0039】
受信データ信号RDS及び送信データ信号TDSのパワー・スペクトラムを互いに調整した後、スレーブNFCデバイス1’の固有識別番号をビット単位で受信すると同時に、マスターNFCデバイス1の固有識別番号をビット単位でスレーブNFCデバイス1’に送信する。マスターNFCデバイス1の固有識別番号は、送信データTDによって表される。マスターNFCデバイス1及びスレーブNFCデバイス1’の固有識別番号の対応するビットが同一の論理値を表す場合に、送信機4で発生される送信データ信号TDSと受信機5によって受信される受信データ信号RDSとの重ね合わせを、表現される論理値が0である場合は図3の信号部分S1に示し、表現される論理値が1である場合を図3の信号部分S4に示している。双方の場合に、マスターNFCデバイス1及びスレーブNFCデバイス1'は、間違うことなく論理値を決定することができるだけでなく、スパイデバイスも、マスターNFCデバイス1及びスレーブNFCデバイス1'の双方が同一の論理値を通信したと判断することができる。これは、マスターNFCデバイス1及びスレーブNFCデバイス1'の固有識別番号の対応するビットが異なる論理値を表す状況の場合ではない。異なる論理値を表す状況における、受信機5によって受信した送信データ信号TDS及び受信データ信号RDSの重ね合わせを、図3の信号部分S2及び信号部分S3に示している。このように送信信号レベル及び受信信号レベルが適切に整合している場合には、スパイのデバイスは、どのデバイスがどの論理値を送ったかを確定することが比較的厄介であるか、又は不可能になりさえする。
【0040】
妥当な受信データを供給するために、本方法は、図2及び図3の対応する信号部分S2及びS3に示す状況の場合に、受信データ信号RDSによって表される衝突信号CSを検出するステップを含む。本方法は、更に、マスターNFCデバイス1から由来する数の対応する(同期)ビットの既知の値に基づいて、スレーブNFCデバイス1’から由来する数のビットの値を導出するステップを含む。この場合、送信データ信号TDSによって表される第1の2進値は、送信データ信号TDSによって表される2進値と重ね合わせをしない、受信データ信号RDSによって表される第2の2進値の2進補数である。 従って、受信データRDは、衝突信号を生じさせた送信データTDの2進値の2進補数を表す。
【0041】
一例として、マスターNFCデバイス1の固有識別番号が、2進符号化の“1100 0101”を表す16進符号化の“c5”である場合を想定することができる。スレーブNFCデバイス1’の固有識別番号は、2進符号化の“0111 0011”を表す16進符号化の“73”とする。上述した説明によれば、2つの合法的NFCデバイス1は、上述した本方法によって、固有識別番号を交換して、ビット位置0,2,3,5及び6について通信中に生じる衝突信号CSを解析(解読)する。他方では、スパイデバイスは、2進符号化の数“x1xx 0xx1”のみを理解するだけである。ここで、記号“x”は、スパイデバイスが、どのデバイスが論理0又は論理1を送っていたかを区別することができない衝突信号を示す。この例によれば、スパイデバイスは、固有識別番号の約50%を検出することができるが、その数は互いに無関係であり、暗号化目的にとって有利である。
【0042】
更なる例として、双方の合法的NFCデバイス1が同一の論理値となるビットを削除することも考えられる。この場合、予め規定した長さを有する固有数を受信するためには、当該固有数を確立することが要求されるので、より多くのビットを送ることが必要となる。前節で規定した数に関連付けて、新たな固有数を“011 01”とする。ここで、記号“”は、削除されたビット位置を示す。この方法の欠点は、双方の合法的NFCデバイス1及び1'が、“01101”となる、この僅か1つの固有数しか分からないことである。この方法の利点は、スパイのデバイスに明らかとなるビットは削除されており、スパイデバイスにとって明らかでないビットの値は、マスターNFCデバイス1及びスレーブNFCデバイス1’内で内部的に決定されているため、スパイデバイスには、この固有数が分からないことにある。
【0043】
更なる例として、本発明によって同時に送受信することができる1つのデバイス(例えば、マスターNFCデバイス1)のみが、本発明による双方向の同期通信を行うようには設計されていない一種の標準のRFIDタグとの通信に関わる場合も考えられる。前述のように規定される固有識別番号を供給する場合には、双方のデバイスは、数“0111 0011”である標準のRFIDタグによって供給された全体の数を知っているが、スパイデバイスは、数“x1xx 0xx1”を理解することになると結論付けることができる。この種類の通信は、単方向の同期通信であるとみなすことができ、標準のRFIDタグは、マスターNFCデバイス1によって送信される送信データ信号TDSを聞くことはなく、マスターNFCデバイス1は、スパイデバイスから隠れるためにRFIDタグから受信したできるだけ多くのビットを簡易に用いることができる。
【0044】
用語“固有識別番号”を上述の説明に用いたが、乱数又は他のタイプの数を、双方向又は単方向の同期非接触通信の間に交換することも考えられる。
【0045】
集積回路3の設計に関して、制御手段7は、送信機4及び受信機5に部分的に関連付けるか、又は送信機4及び受信機5内に組み込むこともでき、又は互いデータを交換するように設計することもできると云うことができる。
【0046】
非接触通信中にデバイス1間でやり取りする数の処理は、本発明に関連しないので詳細に言及していないが、受信データRDで表される数N1、又は送信データTDで表される数N2は、集積回路3によって処理するか、又はより高レベルのデバイス(このデバイスにはデバイス1を組み込むか、又はデバイス1を接続する)でやり取りすることができると云える。
【0047】
本説明を通じて、非接触通信に焦点を与えたが、本発明のコンセプトは、非接触通信に制定されるものではなく、接触式の通信デバイスにも適用することができる。
【0048】
信号パラメータ決定手段6の支援によって適切な信号パラメータを確立した後に、信号パラメータ決定手段6は、受信データ信号RDSを受信するとともに、送信データ信号TDSを同期送信する処理の間も、対象となる信号レベル、又はそれぞれの信号パラメータを監視し、前記同期通信中も、パラメータ表現信号R1及びR2を供給するように用いることができることを言及しておく。制御手段7に関して、監視した信号パラメータ間の差分を前記同期通信中も評価し、信号パラメータ間の差分が予め定めた許容値を超える場合には、“中間者”のアタックが検出されていたかもしれないので、警告信号を送出するか、又は通信を中止することさえできることを言及しておく。
【0049】
最後に、上述の実施例は、図示するためのものであって、本発明を制限するものではなく、当業者は、請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく多くの別の実施例を設計することができることは明らかである。用語“含む”及び“備える”などは、請求の範囲又は明細書全体として記載した以外の要素又はステップの存在を除くものではない。要素の単数表現は、そのような要素の複数の存在を除くものではなく、その逆もまた同様である。幾つかの手段を列挙する装置の請求項では、1つ、且つ同一種類のハードウェア(又は、ソフトウェア)で、これらの幾つかの手段を具体化することができる。或る構成要素が互いに異なる従属の請求項で繰り返されるという単なる事実は、これらの構成要素の組み合わせを有利に用いることができないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施例による通信デバイスをブロック図の形式で示した図である。
【図2】図1によるデバイスによって用いられる送信データ信号及び受信データ信号を表すサブキャリアを信号チャートの形式で示した図である。
【図3】図2による送信データ信号及び受信データ信号の重ね合わせを図2と同じ態様にて示した図である。
【図4】固定信号レベルを有する受信信号及び可変信号レベルを有する送信信号を図2と同じ態様にて示した図である。
【図5】図4による送信データ信号及び受信データ信号の重ね合わせを図2と同じ態様にて示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信デバイス用の回路であって、当該通信デバイスは、別のデバイスと通信するために設けた送信手段を備え、前記回路は、送信機と、受信機と、制御手段とを備えており、
前記送信機は、送信データを受信し、且つ前記送信手段と協働し、前記送信データを表す送信データ信号を前記送信手段に送出するように設計され、
前記受信機は、前記送信手段と協働し、前記送信手段から受信データ信号を受信して、前記受信データ信号を表す受信データを供給するように設計され、
前記制御手段は、前記受信機による前記受信データ信号の受信と同時に、前記送信データ信号を送出するために前記送信機を制御するように設計されている、通信デバイス用回路。
【請求項2】
前記送信機は、信号パラメータ制御信号を受信し、前記送信データ及び前記信号パラメータ制御信号に依存して変調キャリア信号を発生し、該変調キャリア信号の少なくとも1つの信号パラメータは、前記信号パラメータ制御信号によって決定されるようにし、前記変調キャリア信号を前記送信データ信号として送出するように設計されている、請求項1に記載の通信デバイス用回路。
【請求項3】
信号パラメータ決定手段を設け、該信号パラメータ決定手段は、前記送信データ信号を受信し、前記送信データ信号の少なくとも1つの送信信号パラメータを決定し、前記少なくとも1つの送信信号パラメータを表す第1のパラメータ表現信号を生成して送出するとともに、前記受信データ信号を受信し、前記受信データ信号の少なくとも1つの受信信号パラメータを決定し、前記少なくとも1つの受信信号パラメータを表す第2のパラメータ表現信号を生成して送出するように設計され、
前記制御手段は、前記第1のパラメータ表現信号及び第2のパラメータ表現信号を受信し、前記決定した少なくとも1つの受信信号パラメータと対応する送信信号パラメータとの差分を低減させるように、前記第1及び第2のパラメータ表現信号に依存して、前記信号パラメータ制御信号を送出するように設計されている、請求項2に記載の通信デバイス用回路。
【請求項4】
前記制御手段は、第1の数を表す前記送信データを供給し、且つ前記別のデバイスから由来する第2の数を表す前記受信データを受信するように設計され、
前記受信機は、前記受信データ信号によって表される衝突信号を検出するように設計され、前記衝突信号は、前記受信データ信号が2つの異なる数を表す旨を指示し、前記2つの数のうちの一方は、前記送出した送信データ信号によって表される前記第1の数であり、前記2つの数のうちの他方の数は、前記別のデバイスから由来する前記第2の数であり、前記受信機は、前記受信機は、前記送信データを受信し、且つ前記送信データによって表される既知の第1の数に基づいて前記別のデバイスから由来する前記第2の数を導出し、この導出した第2の数を表す前記受信データを送出するように設計されている、請求項1に記載の通信デバイス用回路。
【請求項5】
別のデバイスと通信するように設けられた送信手段と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の通信デバイス用回路とを備えている通信デバイス。
【請求項6】
送信データ信号の送信を制御する方法であって、
別のデバイスから受信データ信号を受信して、前記受信データ信号を表す受信データを供給するステップと、
前記受信データ信号の受信と同時に、送信データを表す送信データ信号を送信するステップとを含む送信制御方法。
【請求項7】
前記送信データ信号を送信するステップは、
前記送信データ及び信号パラメータ制御信号に依存してキャリア信号を変調することにより、変調キャリア信号の少なくとも1つの信号パラメータが前記信号パラメータ制御信号によって決定されるように、変調キャリア信号を発生するステップと、
前記変調キャリア信号を前記送信データ信号として送出するステップとを含む、請求項6に記載の送信制御方法。
【請求項8】
前記送信データ信号の送信信号パラメータを決定し、少なくとも1つの送信信号パラメータを表す第1のパラメータ表現信号を送出し、
前記受信データ信号の受信信号パラメータを決定し、少なくとも1つの受信信号パラメータを表す第2のパラメータ表現信号を送出し、
前記決定した少なくとも1つの受信信号パラメータと当該対応する送信信号パラメータの差分が低減するように、前記第1及び第2の表現信号に依存して、前記信号パラメータ制御信号を送出する、請求項7に記載の送信制御方法。
【請求項9】
前記送信データによって、第1の数を表し、
前記受信データ信号によって表される衝突信号を検出し、
前記衝突信号は、前記受信データ信号が2つの異なる数を表している旨を指示し、前記2つの数のうちの一方は、前記送出した送信データ信号によって表される前記第1の数とし、前記2つの数のうちの他方の数は、前記別のデバイスから由来する第2の数とし、
前記送信データによって表される既知の第1の数に基づいて、前記別のデバイスから由来する前記第2の数を導出し、この導出した第2の数を前記受信データによって表す、請求項6に記載の送信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−539641(P2008−539641A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508391(P2008−508391)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051291
【国際公開番号】WO2006/114768
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【Fターム(参考)】