説明

通信ネットワークにおけるアセットの位置を識別するための方法

【課題】無線通信ネットワークにおける未修正の無線アセットの位置を、異なるネットワークの受信機での通信シーケンスの到着時間差を用いて識別することができる方法を提供する。
【解決手段】タイムスタンプ装置は、信号デコーダと並列接続する相関器の回路を含み、通信シーケンスをタイムスタンプすることができる。セル方式の無線ネットワークは、周波数を分割多重化されて、空間的なタイムスタンプ密度を増やすことができる。タグは受動的なアセットに取り付けられて、位置識別情報をネットワークの装置に与えることができる。802.11規格の無線周波数ストラクチャを配信しているアセットの位置を識別することができる。通信シーケンスを相関するにおいて固有のノイズは、選択された相関関数を用いることによって減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは、引用により全体をここに組み入れる、2001年2月20日に出願された同時係属の米国仮特許出願第60/270,254号、及び、2000年11月14日に出願された第60/248,357号の利益を請求するものである。
本発明は、無線の又は部分的に無線の通信ネットワークにおけるアセットの位置を追跡するための装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、移動可能な送信機によって配信された通信シーケンスの受信機での到着時間(以下TOA)を用いて、アセットの位置を識別することに関する。TOAの見積もりは、通信シーケンスの「タイムスタンプ」と呼ぶことができる。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークに存在する受信機と関連する測距又は三角測定技術を用いて、携帯用アセットの位置を求めるときに、通信シーケンスの到着時間の正確な見積もりが望ましくなる。アセットの数、通信トラフィックの量、又はネットワークにおけるタイムスタンプ事象が増えるにつれて、タイムスタンプ性能及び全体のネットワーク性能が低下することがある。通常、すべての配信パケットに関連するネットワークに存在するすべての無線アセットの位置を識別することは望ましいことではない。ネットワークは多くの場合、非効率的に作動するが、しかしながら、それは、すべての受信パケットをタイムスタンプすることなしには、所望のパケットをタイムスタンプすることは不可能となることがあるためである。
いくつかの無線ネットワークにおいて、アクセスポイントのアーキテクチャが、ネットワーク性能を制限することがある。多くの場合、アクセスポイントは、タイムスタンプ処理が、無線アセットの位置の正確な見積もりを生成するのに十分なだけ速く行われることを可能にしない。
【0003】
無線通信ネットワークは、多くの場合、隣接するセルが異なるチャネル上で作動するセル方式のアーキテクチャを有する。通信信号間の干渉を最小にするために、セルは、チャネル間の物理的な距離を最大にするように配置されている。この配置はネットワークユーザに利用可能な空間的な帯域を最大にするが、所定のチャネル上のタイムスタンプのために利用可能な受信機の密度が減らされることによって、多くの場合、位置見積もり精度は劣化する。
無線通信ネットワークは、802.11の無線周波数信号ストラクチャを用いるように設計されることが多くなっている。この規格が普及するにつれて、802.11規格のパケットを配信する無線アセットの位置を識別することが、ますます有用となるであろう。
【0004】
多くの場合、無線通信ネットワークの近傍に存在する「受動的な」アセットの位置を識別することが望ましい。例えば、貨物置場におけるパレットの位置を追跡することが望ましいことがある。1つの解決法は、アクティブなタグを受動的なアセットに取り付けることである。多くの場合、タグは専用の信号を、定まったスケジュールで、1つの周波数を用いて送信する。ネットワークが予定された送信を受信しない場合、位置情報は失われる。定まったスケジュールタグはいつ送信するべきかを「選択する」ことができないため、オープンな「通信時間」の期間を最適に利用することができない。位置の見積もりは、したがって、高速通信ネットワークにおいては特に難しいか、又は非効率的となる。多重周波数のセル方式ネットワークにおいては、1つの周波数のタグの追跡は、最適に行えない。
タイムスタンプ方策は多くの場合、相関に基づく信号処理技術を用いる(信号デコード技術と同様な)。周知の相関技術(例えば、相互相関アーチファクト)に固有のノイズは、タイムスタンプ精度を劣化する。
【0005】
1つの通信シーケンスの送信からの多数の信号の到着(以下「多重経路」)は、デコードされた信号品質を劣化し、シーケンスの検知を難しくする。多重経路は、送信機の近くのストラクチャが、「視野方向」信号の後、受信機に到着する送信エコーを生成するときに生じる。「視野方向」(以下「LOS」)信号は、送信機と受信機との間の最も短い経路を行き来する送信信号の一部である。LOS信号はストラクチャを通過することができる。LOS経路は可視スペクトルにおいて不透明である。多重経路はデコードされたデータを誤データシーケンスによって汚染し、LOSデータのシーケンスの検知を難しくする。LOS信号は該信号が通るストラクチャによって減衰されることがあるため、多重経路は、該LOS信号より強力な信号を有する誤シーケンスを引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、無線アセットの位置を識別するための効率的な装置及び方法を提供することが望ましい。
無線アセットの位置を正確に識別するための装置及び方法を提供することがさらに望ましい。
802.11の信号ストラクチャを配信する無線アセットの位置を識別するための装置及び方法を提供することがさらに望ましい。
位置の識別のために、受動的なアセットを効率的にタグ付けするための装置及び方法を提供することがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、無線通信ネットワークにおける無線アセットの位置を識別するための改良された装置及び方法を提供することである。
本発明の原理に基づいて、受信機でのデータ信号の到着時間の見積もりを提供するための装置及び方法を提供することができる。いくつかの実施形態において、データ信号を受信し、復調し、デコードされた信号にデコードすることができる。デコードされた信号はTOAの見積もりに好都合なシーケンスについて分析することができる。好都合なシーケンスが検知された場合、復調信号と相関するために相関関数を選択することができる。相関関数は、データシーケンスの相関特性に基づいて引き出すことができる規則を用いて選択することができる。TOAは、相関関数、相関関数の値、又はその組み合わせを用いて見積もることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の上述の及び他の目的、及び利点は、同じ参照文字が同じ部品を示す添付の図面と関連して、下記の詳細な説明を考慮することによって明らかとなるであろう。
通信ネットワークにおける無線アセットの位置を識別するためのシステム及び方法が提供される。本発明のいくつかの実施形態は、同期信号発生器及び無線アセットによって配信された通信シーケンスをタイムスタンプするように構成されるネットワーク資源を含むことができる。各々のネットワーク資源は、同期信号発生器と電気通信することができる。各々の資源は、通信シーケンスをタイムスタンプするように構成することができる。
同期信号は、ネットワーク資源に存在するクロックを同期させるために用いることができる。ネットワーク資源からの到着時間の見積もり(以下、TOAの見積もり)は、無線アセットの位置を識別するため用いることができる。いくつかの実施形態において、異なるネットワーク資源に到着する通信シーケンスについてのTOAの見積もりの間の差は、位置の識別のために用いることができる。異なるネットワーク資源に到着する通信シーケンスについてのTOAの差は、ここで「TDOA」と呼ぶものとする。TDOAは、可能性のある無線アセットの位置の解集合を求めるために用いることができる。第2のTDOAは、解集合内の見積もられたアセットの位置を識別するために用いることができる。いくつかの実施形態においては、双曲線の三辺測量を用いて、TDOAを無線アセットの位置の見積もりに変換することができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、IEEE 802.11の通信シーケンスをタイムスタンプすることができる。通信シーケンスは、802.11の無線周波数の信号ストラクチャを含むことができる。通信シーケンスは、802.11のパケットを含むことができる。
本発明のいくつかの実施形態は、無線通信ネットワークにおける位置での通信シーケンスのTOAの見積もりを提供するためのTOA見積もり装置を提供することができる。TOA見積もり装置は、1つ又はそれ以上の通信シーケンスを受信するための、1つ又はそれ以上の受信機を含むことができる。TOAの見積もりは、通信シーケンス、又は通信シーケンスの一部の到着時間の見積もりとするができる。通信シーケンスは、一連の情報記号を含むことができる。情報信号は、PNコード、CCK記号、PBCC記号又は他の適当な情報信号のいずれかとすることができる。通信シーケンスにおいて、高品質の自己相関特性を有する情報記号の形は、タイムスタンプに好都合とすることができる。ノイズの多い自己相関特性を有する情報記号の形は、タイムスタンプに不都合とすることができる。
【0010】
通信シーケンスに関連する信号、又は該通信シーケンスの一部に関連する信号の前縁は、TOAとして定義することができる。通信シーケンス、又は該通信シーケンスの一部から引き出された相関信号におけるピーク(後述される)は、TOAを定義するために用いることができる。通信シーケンス、又は該通信シーケンスの一部の他の適当な特徴のいずれも、TOAを定義するために用いることができる。ネットワークにおける多数の受信機が、通信シーケンスについて同じTOAの定義を用いる場合、該TOAの間の差は正確に見積もることができる。
いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、無線周波数信号と、無線周波数装置と電気通信する第1回路を受信するための装置を含むことができる。第1回路は、受信した通信シーケンスの相関関数のピークを検知するように構成することができる。
【0011】
第1回路はTOAの見積もりのために好都合な通信シーケンスの部分を検知するための相関器として機能することができる。相関器は、通信シーケンスを選択されたリファレンス関数で乗じる滑り相関器とすることができる。通信シーケンスの生成物及び選択されたリファレンス関数は、相関信号を定義するために用いることができる。
第1回路は、1つの、2つの、3つの、4つの、又は5つの記号の相関器を含むことができ、各々の相関器における各々の記号は、受信した通信シーケンスに存在することがある情報記号に対応する。2つの記号の相関器は、通信シーケンスにおける2つの連続した対応する記号の形を検知するために用いることができる。3つの記号の相関器は、通信シーケンスにおける3つの連続した対応する記号の形を検知するために用いることができる。通信シーケンスに存在することがあるより長い記号の形を検知するために、より大きな「長さ」の相関器を用いることができる。
第1回路は、N個の記号の相関器を含むことができ、Nはあらゆる正の整数とすることができる。第1回路は、異なる長さの相関器の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、システムは直列に配置された相関器を含むことができる。いくつかの実施形態において、システムは並列に配置された相関器を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、受信機によって受信した通信シーケンスをデコードするように構成された第2回路を含むことができる。例えば、802.11b準拠の無線ネットワークにおいて、1ビット(バーカ・シーケンス)相関器が、多くの場合デコーダとして用いられる。(ここで用いられるように、802.11という用語は、802.11a及び802.11bを含む無線通信ネットワーク規格の802.11系列のいずれも含むことができる。)
いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、多重経路の信号コンポーネントを相関器の出力信号(相関信号と呼ぶことができる)からフィルタするように構成された第3回路を含むことができる。多重経路の信号は、ストラクチャからの通信信号の反映である。多重経路の信号は、多くの場合、対応する直接の、又は「視野方向」の信号が受信された後に受信される。幾多の多重経路の信号を所定の視野方向の信号の反映によって生成することができる。視野方向の信号はストラクチャを通る伝搬の間に減衰されるため、多重経路の信号は視野方向の信号よりも強いことがある。したがって、相関信号に対する視野方向の貢献を識別することが必要となることがある。
【0013】
いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、到着時間の見積もりを示す信号を出力するように構成された第4回路を含むことができる。いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、前述の通信シーケンスにおける携帯用アセット装置の識別コードを構文解析するように構成された第5回路を含むことができる。携帯用アセットの識別コードは、媒体アクセス制御(以下MAC)アドレスを含むことができる。携帯用アセットの識別コードは、インターネットプロトコル(以下「IP」)アドレスを含むことができる。第5回路は、MACアドレスとIPアドレスとの間で変換を行うことができる。変換は、例えば、アドレス絞り込みプロトコル、又は逆アドレス絞り込みプロトコルを用いて行うことができる。携帯用アセットの識別コードは、システム管理者によって選択されることができる。携帯用アセットの識別コードは、802.11の識別コードとすることができる。携帯用アセットの識別コードは、一意のコードとすることができる。携帯用アセットの識別コードは、一意ではないコードとすることができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、通信シーケンスを復調するための回路配線を含むことができる。いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、通信シーケンスを受信するためのアンテナを含むことができる。いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、到着時間の見積もりに必要なタスクを実行するための中央演算処理装置を含むことができる。中央演算処理装置は、パーソナル・コンピュータとすることができる。いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、(カリフォルニア州パロアルト、私書箱51537、コンパクトフラッシュ(登録商標)・アソシエーションのCompactFlash(商標)、カリフォルニア州95134、サンノゼ、2635N、ファースト・ストリート、スイート209、PCMCIAのPC Card(商標)、及び波形率がPCI S.I.Gによって制御されるMini PCIの名で入手可能であるような)無線モジュールを含むことができる。
いくつかの実施形態において、本発明は、「選択的リスニング」によって、携帯用アセットの位置を、選択的に識別するように構成された受信機を含む装置のネットワークを含むことができる。受信機は、携帯用アセットから通信シーケンスを受信し、該アセットが選択された識別子に対応する識別子を有する場合、任意に該アセットの位置を見積もることができる。選択された識別子は、一意の識別子とすることができる。選択された識別子は、一意でない識別子とすることができる。選択された識別子は、システムのユーザによって選択されることができる。選択された識別子は、ネットワーク資源のメモリに格納することができる。ネットワークの送信機は、選択された無線アセットをピングして、該アセットに通信シーケンスを配信させることができる。ネットワークはこの場合、シーケンスをタイムスタンプすることができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、本発明は、TOA見積もり装置のネットワークを含むことができる。各々の装置は、特定の周波数で作動するように構成された受信機を含むことができる。このネットワークは、異なる周波数で伝搬している信号のタイムスタンプを提供するように構成された多数のTOA見積もり装置を含むことができる。TOA見積もり装置群は、同じ周波数に割り当てることができる。1つの群に割り当てられた周波数は、他の群に割り当てられた周波数と異なることができる。この装置は、セル方式の構成に分散することができる。異なる周波数上に配信又は受信することを含む無線アセットの位置を識別するための方法は、ここでは「周波数分割多重化」方法と呼ぶことができる。
【0016】
ネットワークは、第1群からの1つ又はそれ以上のTOA見積もり装置を用いて、通信シーケンスを第1周波数上の無線アセットから受信するように構成することができる。ネットワークは次に、第2群からの1つ又はそれ以上のTOA見積もり装置を用いて、通信シーケンスを第2周波数上の無線アセットから受信することができる。1つ又はそれ以上の対応する付加的な周波数で作動している1つ又はそれ以上の付加的なTOA見積もり装置群は、1つ又はそれ以上の対応する付加的な通信シーケンスを無線アセットから受信するために用いることができる。いくつかの実施形態において、無線アセットの送信は、無線アセットの位置が確実に、ある期間中ほぼ変更されないままでいるのに十分なだけ短い期間において、利用可能なネットワークの周波数のすべて又はいくらかを通って進む。各々のTOA見積もり装置は、該装置の周波数のそれぞれにおいて受信された通信シーケンスをタイムスタンプすることができる。
【0017】
無線アセットの位置の1つ又はそれ以上の見積もりは、TOA見積もり装置によって生成されたTOAの見積もりから計算することができる。TDOAは、同じ又は異なる群から選択されたTOAの対から引き出すことができる。TDOAは、携帯用アセットの位置を識別するために好都合に配置されたTOA見積もり装置から引き出すことができる。好都合に配置された装置は、無線アセットの近くにある装置を含むことができる。好都合に配置された装置は、位置識別計算に好都合な形において空間的に分散された装置を含むことができる(例えば、携帯用装置を囲む三角形の形において)。
いくつかの実施形態において、無線アセットの位置の粗い見積もりを提供するために、事前の位置識別計算をすることができる。いくつかの実施形態において、無線アセットの位置の事前見積もりに基づいて選択されたTOA見積もり装置からの到着時間見積りを用いて、高精度の見積もりをすることができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、1つ以上の周波数上の通信信号を受信するように構成することができる。例えば、装置は、ネットワークにおいて利用可能なすべての周波数上の通信シーケンスを受信するように構成することができる。装置は、ネットワークにおいて利用可能な各々の周波数上の通信シーケンスを受信するように構成された、少なくとも1つの受信機を含むことができる。いくつかの実施形態において、ネットワークにおけるすべてのTOA見積もり装置は、すべての利用可能な周波数上の通信シーケンスを受信するように構成することができる。これらの実施形態において、利用可能な周波数のいずれか1つの上で作動している無線アセットは、ネットワークにおけるすべてのTOA見積もり装置によってタイムスタンプされることができる通信シーケンスを配信することができる。
【0019】
多重周波数上の通信シーケンスを受信するように構成されたTOA見積もり装置を含むいくつかの実施形態において、該装置は、1次受信機及び少なくとも1つの補助受信機を含むことができる。1次受信機は、割り当てられた周波数上の通信シーケンスを受信するように構成することができる。補助受信機は、周波数の範囲(例えば、ネットワークにおけるすべての利用可能な周波数)を行き来するように構成することができる。ネットワークは、補助受信機を、選択された周波数で特定の時間作動するようにさせるための中央制御装置を含むことができる。例えば制御装置は、すべての補助受信機を、一連の異なる周波数を通して同時に進むようにさせることができる。異なる周波数は、すべての利用可能な周波数を含むことができる。すべての補助受信機が特定の周波数に切り替えられる時間間隔の間、ネットワークにおけるすべてのTOA装置は潜在的に、その周波数上の無線アセットによって配信された通信シーケンスをタイムスタンプするために用いることができる。
本発明のいくつかの実施形態は、TOAの見積もりのために、一連の通信シーケンスを配信するように構成された無線アセットを含むことができる。いくつかの実施形態において、無線アセットは、ネットワークの受信機によって用いられた一連の異なる周波数を用いて、一連の通信シーケンスを配信することができる。これらのいくつかの実施形態において、無線アセットは、TOA見積もりのための通信シーケンスを、所定の周波数で繰り返し送信するように構成することができる。無線アセットの位置を識別する目的のために、該アセットによって送信された通信シーケンスは、ここでは位置識別情報と呼ぶことができる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態は、通信ネットワークにおいて、又は該ネットワークの近くに存在することがある携帯用物品に取り付けることができるタグを含むことができる。タグは、ここに全体を引用により組み入れる2000年11月14日に出願された米国特許第60/248,357号に説明されている。タグは、位置識別情報をネットワークに与えるように構成することができる。位置識別情報は、ネットワークに適当ないずれのフォーマットにおけるデータも含むことができる。例えば、タグは802.11準拠のデータを送信することができる。いくつかの実施形態において、タグは、あらかじめ決められた期間待ち、ネットワークチャネル上の無線周波数エネルギーの存在を検知し(例えば、エネルギー検知器を用いて)、及び、該無線周波数エネルギーがあらかじめ決められたしきい値よりかなり少ない場合は、位置識別情報をネットワークに送信するように構成することができる。タグは、「スリープ」モードで待つことができる。スリープモードは、低減された動力を必要とすることができる。スリープモードは、タグ内のタイマーによって中断されることがある。スリープモードは、ネットワーク端末からの「ウェイクアップコール」によって中断されることがある。
【0021】
タグは、最初にテストされた周波数がしきい値以上である場合、異なるネットワーク周波数に切り替わるように構成することができる。いくつかの実施形態において、タグは、クリアなチャネルが検知されるまで、異なるネットワーク周波数に切り替わり続けることができる。クリアなチャネルが検知されたとき、タグは位置識別情報をネットワークの受信機に送信する。いくつかの実施形態において、タグは位置識別情報を配信する前に、所定のチャネルがクリアになるまで待つように構成することができる。
いくつかの実施形態において、タグは周波数分割多重化の目的のために、位置識別情報を多重周波数上に送信するように構成することができる。例えばタグは、位置識別情報をセル方式ネットワークにおける1つ以上のチャネル上に配信するために、多数の送信機を含むことができる。いくつかの実施形態において、タグは、例えば1つの調整可能な送信機を用いて、位置識別情報を逐次的に多数のチャネルに配信することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、タグはアセット識別情報を送信することができる。アセット識別情報は、タグ自身を識別するための情報を含むことができる。アセット識別情報は、タグが取り付けられている携帯用物品を識別するための情報を含むことができる。アセット識別情報は、MACアドレス、MACアドレスの一部、IPアドレス、IPアドレスの一部、又は、タグ又は該タグが取り付けられている携帯用物品を識別するための一意の又は一意でない適当な情報のいずれかを含むことができる。
いくつかの実施形態において、タグは、データをネットワークの送信機から受信するように構成することができる。これらのいくつかの実施形態において、タグはウェイクアップ信号をネットワーク端末から受信するように構成することができる。
【0023】
本発明は、受信機での通信シーケンスのTOAを見積もるための方法及び/又は装置を含むことができる。TOAの見積もり技術は、引用により全体をここに組み入れる、2001年2月20日に出願された米国仮特許第60/270,254号において説明されている。通信シーケンスは、データ信号又はデータ信号の一部に存在することがある。いくつかの実施形態において、本発明は、データ信号を受信し、データ信号を復調し(例えば、通信シーケンスを生み出すために)、デコードされた信号をデータ信号から形成し(例えばビットシーケンスを生み出すために)、及び選択されたか又はあらかじめ選択された相関関数を用いてデータ信号のTOAを見積もるための方法を含むことができる。
TOAを見積もるために相関関数を用いる実施形態において、該相関関数は通信シーケンスの表示及び選択されたリファレンス信号を備えることができる。相関関数はデータ信号の選択可能な部分を評価することができる。必要に応じてバッファすることができるデータ信号、及びリファレンス信号は、該リファレンス信号が最も強力にデータ信号又は該データ信号の一部と相関するときに、相関関数が最大値を有することが可能となる方法において、組み合わせることができる。そうした最大値が生じる時間(データ信号又は他の一時的なリファレンスのいずれかの始まりに対する)は、データ信号のTOAとして定義することができる。
【0024】
データ信号は、TOA見積もり装置によって認識されるようにコード化される信号とすることができる。例えば、タイムスタンプに好都合なあらかじめ選択された通信シーケンスは、タイムスタンプの精度を改良するためにデータ信号の中に挿入することができる。コード化されたデータ信号を認識するTOA見積もり装置は、あらかじめ選択されたリファレンス信号を用いて、あらかじめ選択された通信信号と相関されたとき、高品質の相関信号を生成することができる。既知の通信シーケンスを受信するように構成された本発明の実施形態において、PNコード、CCK記号、PBCC記号又はOFDM信号のシーケンスをタイムスタンプすることができる。これら実施形態において、あらかじめ選択されたリファレンス信号は、PNコード、CCK記号、PBCC記号又はOFDM信号から選択された記号を含むことができる。データ信号は、例えばデータ信号のヘッダ(例えば802.11のパケットのヘッダ)における記号、又はデータパケットをあらかじめ決められた値に設定することによって、タイムスタンプのためにコード化することができる。いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置がシーケンスをタイムスタンプするように指示するために、データ信号をコード化することができる。
【0025】
データ信号は、TOA見積もり装置によって認識されるためにコード化されない信号とすることができる。コード化されていない信号か受信されたとき、データ信号は、1つ又はそれ以上の格納されたリファレンス信号を用いて、相関のために好都合であることができる通信シーケンスを検知するために監視することができる。潜在的に好都合な通信シーケンスが検知されたとき、検知されたシーケンスと強力に相関することで知られるリファレンス信号は、該通信シーケンスと組み合わされて、相関信号を生成することができる。好都合な通信シーケンスのためにデータ信号を監視する本発明の実施形態は、バーカ・コード、PNコード、スペクトラム拡散コード(例えば、DSSSチッピングコード)又は他の適当なコードのシーケンスのいずれかを検知することができる。
本発明のいくつかの実施形態において、TOAの見積もりは、相関関数の値をTOAパラメータ又は推定量に対して最大化又は最小化することによって求めることができる。例えば、TOAの見積もりは、相関関数の独立した変数の最尤見積り(又は「ピーク」)として定義することができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、TOAの見積もりは、通信シーケンスの到着と同期信号の一部の到着との間の時間差を計算するために用いることができる。いくつかの実施形態において、TOAの見積もりは、通信シーケンスとクロック信号のリファレンス部分との間の時間差を計算するために用いることができる。クロック信号はTOA見積もり装置内のクロックによって生成することができる。クロック信号は、TOA見積もり装置の外にあるクロックによって生成することができる。本発明のいくつかの実施形態において、TOAの見積もりは、第1受信機で受信された通信シーケンスと第2受信機で受信された同じ通信シーケンスとの間の時間差を計算するために用いることができる。いくつかの実施形態において、TOAの見積もりは、第1通信シーケンスと第2通信シーケンスとの間の時間差を計算するために用いることができる。第1及び第2通信シーケンスは、同じ又は異なる受信機で受信することができる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態は、多重経路の信号コンポーネントを相関信号からフィルタ又は排除することを提供することができる。多重経路は、相関信号において重複している可能性のあるピークの群の前縁を検知することによって排除することができる。多重経路は、チャネルの見積もりを用いて、視野方向の相関信号コンポーネントから分けることができる。チャネルの見積もりを用いる実施形態において、通信チャネルは一連の離散衝撃関数としてモデル化することができ、第1インパルスは視野方向インパルスと仮定される。多重経路ではない理想的な相関信号が実際の相関信号と関連して用いられて、チャネルの見積もりを形成することができる。見積もられたチャネルを用いて、視野方向及び多重経路のインパルスを分けることができる。
本発明のいくつかの実施形態において、通信シーケンスのTOAを見積もるためのシステム又はシステムコンポーネントを提供することができる。これらのいくつかの実施形態は、データ信号を受信し、復調し、デコードし、バッファし、処理し又はフィルタするための装置を備えることができる。いくつかの実施形態は、TOAの見積もりを他のネットワーク資源に出力するための装置を備えることができる。いくつかの実施形態は、多数の相関器を含むことができる。これらのいくつかの実施形態において、相関器は互いに並行して配置することができる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態は、通信ネットワークにおける受信機での通信シーケンスのTOAを見積もるための回路を含むことができる。回路配線は、キャリア追跡回路を含むことができる。この回路配線は、タイミングループを含むことができる。キャリア追跡回路は、無線信号を受信するために用いられる受信機の振動周波数を調整するために用いることができる。
回路配線は、チッピングコードの相関器を含むことができる。チッピングコードの相関器は、拡散スペクトラムの通信シーケンス(例えば、直接拡散スペクトラムの通信シーケンス)を一連のデコードされたバイナリ記号にデコードすることができる。チッピングコードの相関器は、相関関数を用いて通信シーケンスをデコードすることができる。相関関数は、通信シーケンスのチッピングコードに適合する一連の記号を含むことができる。チッピングコードの相関器は、キャリア追跡回路から出力された信号上で作動することができる。チッピングコードの相関器からの出力は、追跡回路制御のために、キャリア追跡回路に送り戻すことができる。
【0029】
回路配線は、タイプスタンプ回路を含むことができる。タイムスタンプ回路は、通信シーケンスと関連する関数を用いて、相関信号を生成することができる。タイムスタンプ回路は、通信シーケンスの到着時間を見積もるために相関信号を用いることができる。タイムスタンプ回路は、多重経路の相関信号コンポーネントを視野方向の相関信号コンポーネントから分けるための回路配線を含むことができる。タイムスタンプ回路は、キャリア追跡回路からの出力上で作動することができる。
回路配線は、受信機のインターフェースを含むことができる。受信機のインターフェースは、MACインターフェースとすることができる。いくつかの実施形態において、キャリア追跡回路、チッピングコードの相関器、及び受信機のインターフェースが直列して連結することができる。いくつかの実施形態において、タイムスタンプ回路は、キャリア追跡回路及び相関器の両方からの出力を受信することができる。追跡回路からの出力は、相関器のバイパスを介して、タイムスタンプ回路に与えることができる。いくつかの実施形態において、追跡回路からの出力は、相関器からの出力と関連して用いられて、TOAの見積もりにおける使用のために、通信シーケンスにおけるシーケンスを検知することができる。タイムスタンプ回路からの出力は、ネットワーク資源との通信のために、受信機のインターフェースに連結することができる。
【0030】
いくつかの実施形態は、相関器の回路の出力に連結されるデコーダの回路を含むことができる。デコーダの回路は、相関器の回路の出力をデコードして、例えば低いデータ通信速度のような一連のバイナリ情報記号を生成することができる。デコーダの回路は、キャリア追跡信号の出力に連結することができる。デコーダは追跡回路の出力をデコードして、例えば高いデータ通信速度のような一連のバイナリ情報記号を生成することができる。
いくつかの実施形態は、デスクランブラ回路を含むことができる。デスクランブラ回路は、デコードされた信号を受信し、デスクランブルされた信号を受信機のインターフェースに出力することができる。
本発明は、無線アセットによって配信された通信シーケンスをタイムスタンプするように構成されたネットワーク資源を用いて、該アセットの位置を識別するための装置及び/又は方法を含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、無線アセットによって配信された通信シーケンスのTOAは、TOA見積もり装置によって見積もることができる。TOAは、選択された相関関数を用いて見積もることができる。同じ通信シーケンスのTOAは次に、第2TOA見積もり装置で見積もることができる。
2つのTOAのTDOA(到着時間差)は、通信シーケンスが送信された一組の可能性のある位置を定義するために用いることができる。到着時間差を用いて無線アセットの位置を識別するための技術は、ここに全体を引用により組み入れる、2000年11月14日に出願された米国仮特許第60/248,357号に説明されている。この集合は双曲線とすることができる。いくつかの実施形態において、各々のTOA見積もり装置は、TOAを定量化するための内部クロック又はカウンタを有することができる。ネットワークにおけるTOA見積もり装置内に含まれることがあるクロックは、同期され又は較正されて、異なるTOA見積もり装置で獲得されたTOAから引き出されたTDOAの計算を可能にすることができる。
【0032】
第1TOA見積もり装置の対によって生成されたTDOAは、ここでは第1TDOAと呼ぶことができる。第1TDOAに対応する一組の可能性のある位置は、第1解集合と呼ぶことができる。付加的な位置情報は、第1解集合と関連して用いられて、アセットの位置を識別することができる。いくつかの実施形態において、付加的な位置情報は、TOA見積もり装置での位置識別情報の獲得中、アセットの位置において、確実に少しの変更しか生じないようにするのに十分なだけ速く獲得することができる。
付加的な位置情報は、例えば少なくとも1つのTDOAの解集合を含むことができる。付加的なTDOAの解集合は、第1双曲線と交差する第2双曲線を形成することができる。付加的なTDOAの解集合は、第1の対のTOA見積もり装置とは異なるTOA見積もり装置から引き出すことができる。付加的なTDOAの解集合は、第1の対からの1つのTOA、及び、第1の対には含まれないTOA見積もり装置からの1つのTOAから引き出すことができる。多くの付加的なTDOAの解集合を用いることができる。アセット位置の身元は、2つの解集合の最も可能性のある又は最も正確に見積もられた交差部分として定義することができる。いくつかの実施形態において、アセット位置は、交差部分の最小二乗見積もりを用いて識別することができる。いくつかの実施形態において、アセット位置は、交差部分の最尤推定量を用いて識別することができる。
【0033】
付加的な位置情報は、オリジナルのTOA見積もり装置の対の外にあるTOA見積もり装置から距離(又は範囲)の見積もりを含むことができる。範囲は、送信及び受信時間が分かっているとき、携帯用アセットから通信シーケンスを受信することによって求めることができる。範囲は、信号をTOA見積もり装置から携帯用アセットに送信し、「エコー」信号を該携帯用アセットから受信し、往復移動時間を用いて範囲を計算することによって、求めることができる。例えば、802.11の通信ネットワークにおいて、エコー信号は802.11の受け取りフレーム(「ACK」)とすることができる。いくつかの実施形態において、送信された信号の受信とエコー信号の配信との間の遅延は正確に制御されて、正確な往復移動時間の見積もりを提供することができる。範囲は、通信信号を無線アセットから受信し、信号強度の減衰を用いて範囲を見積もることによって、求めることができる。範囲は、他の適当な手段のいずれかを用いて求めることができる。
【0034】
付加的な位置情報は、携帯用アセットの位置上の物理的、地理的又は幾何学的な規制を含むことができる。例えば、第1TDOAはネットワークのいくつかのセクタを通過することができる。携帯用アセットが1つ又はそれ以上のセクタに存在しないことが分かっている場合、それらのセクタは可能性のある位置から除外され、残りのセクタを、アセット位置を識別するために用いることができる。
本発明のいくつかの実施形態において、TDOAはTOA見積もり装置の所定の対からのTOAの間の多数の差の平均として定義することができる。例えば、第1TOA見積もり装置は、通信シーケンスを携帯用アセットから受信することができる。第1TOA見積もり装置は、3つの異なるTOAを生成することができる。第2のTOA見積もり装置は、通信シーケンスを携帯用アセットから受信し、対応する3つのTOAを生成することができる。3つのTDOAは、対応するTOAの3つの対の差を計算することによって生成することができる。3つのTDOAは次に平均化され、効率的なTDOAとして定義することができる。各々のTOA見積もり装置での連続するTOAは、同じ相関関数を通信シーケンスに対して繰り返して適用すること、異なる連続する相関関数を適用すること、多数のTOA推定量を生成する1つの相関関数を適用すること(以下参照)、及び他の適当な方法のいずれかによって、生成することができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、受信した通信シーケンスについて多数のTDOAが生成されたとき(例えば、多数の独立したTOA見積もり装置の対が通信シーケンスを受信したとき)、2つより多くの解集合の交差部分を見つける必要があることになる。2つより多くの解集合が存在するとき、アセット位置は、最小二乗法、最尤法、又は最も可能性のある位置の身元を見積もるための他の適当な方法のいずれかによって、求めることができる。
2つより多くの解集合が存在する場合、その1つ又はそれ以上を捨てる必要がある。例えば、いくつかの実施形態において、潜在するTOAデータに関連するノイズが、あらかじめ決められたしきい値より高い場合、ノイズの多い解集合は、捨てることができる。いくつかの実施形態は、同じ通信シーケンスについて引き出された他の解集合に対して「異常値」である解集合を捨てることができる。最尤見積もりを用いて位置の身元を求める実施形態において、各々の解集合は該解集合に存在するノイズの量に応じて比較検討することができる。この方法において、よりノイズの多いTDOAの解集合は、よりノイズの少ないTDOAの解集合に対して軽視することができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態は、ネットワークにおけるTOA見積もり装置のクロックを同期させるためのタイミングケーブルを含むことができる。いくつかの実施形態において、高周波の正弦波を提供することができる。これらのいくつかの実施形態において、ケーブルは、高周波の方形波を提供することができる。同期信号は、ネットワーク資源によって生成することができる。同期信号は、例えば、位相固定ループを用いて、TOA見積もり装置で乗じることができる。TOA見積もり装置で、信号は増幅され、フィルタされ、波形化され、又は他の適当な方法のいずれかにおいて処理することができる。信号は、デジタルカウンタを駆動するように構成されたデジタル信号を生成するために処理することができる。デジタルカウンタは、通信ネットワークにおけるTOA見積もり装置のためのTOAクロックとして働くことができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、ネットワークにおけるTOA見積もり装置のクロックは、同期信号を周期的に変調することによって同期することができる。周期的な変調は、全体的なクロックのリセットとして用いることができる。TOA見積もり装置における復調器は、周期的な変調を検知するために用いることができる。復調器は、デジタルカウンタをリセットすることができる。いくつかの実施形態において、周期的な変調は、選択された数のサイクル又はパルスについての信号の高周波コンポーネントを排除することによって、達成することができる。1つのパルスより大きいタイムアウトをもつ再トリガ可能なワンショットは、欠けているパルスを検知し、クロックのリセットを生成するために用いることができる。TOA見積もり装置は、大きなカウンタを含むことができる。例えばカウンタは、32ビットも有することができる。いくつかの実施形態において、カウンタは32ビットより大きいビットを有することができる。
本発明のいくつかの実施形態は、個々のTOA見積もり装置に関連する異なる固定遅延を補償するための較正プロセスを含むことができる。これらの遅延は、限定されるものではないが、受信機及びケーブルにおける遅延を含むことができる。遅延は定量化され、TOA見積もり装置によって生成されたTOAの見積もりを用いて、計算された無線アセット位置の見積もりを調整するために用いることができる。いくつかの実施形態において、遅延はメモリに格納することができる。
【0038】
本発明の原則に基づく実施形態の例示的な実施例は、図1から図24に示される。
図1は、受信機110及びプロセッサ120を含む例示的なTOA見積もり装置100を示す。TOA見積もり装置100は、信号をアセット130のような無線アセットに送信するための送信機を含むことができる。いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置100は、802.11準拠のアクセスポイント又は他の適当なアクセスポイントのいずれかのような無線ネットワークのアクセスポイントとするか、又は該アクセスポイントの一部とすることができる。いくつかの実施形態において、装置100は、通常はアクセスポイントと関連する送信機のようなコンポーネントを含まないことがある。受信機110は、通信信号112を130のような無線アセットから受信することができる。無線アセット130は携帯用パーソナルコンピュータ、パームトップ型コンピュータ、手持ち式パーソナルコンピュータ、自動車用パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、携帯電話とPDAの組み合わせ、無線タグ、無線買物用器具、無線商品目録器具、又は無線通信信号を送信するために適当な他の装置のいずれかとすることができる。無線アセット130は、通信信号をワイヤを介して送信する。
【0039】
受信機110は、無線アセット130からの通信信号112を受信、復調及びデコードするために必要なハードウェア、ファームウェア又はソフトウェアのいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態において、信号処理タスクは受信機110とプロセッサ120との間で分散又は共有することができる。例えば、受信機110は通信信号112を復調し、プロセッサ120はデコードを行い、TOAはタスクを分析することができる。いくつかの実施形態において、プロセッサ120は、通信信号112を受信機110から受信し、該信号を復調し、適当な信号処理及び/又は分析ハードウエア又はソフトウェアを用いて、TOAの分析タスクを実行することができる。いくつかの実施形態において、受信機110及びプロセッサ120のタスクは、1つのコンポーネントの中に組み込むことができる(例えばアクセスポイントにおいて)。
【0040】
プロセッサ120は、例えば、パーソナルコンピュータ、パームトップ型コンピュータ、手持ち式パーソナルコンピュータ、自動車用パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、携帯電話とPDAの組み合わせ、セットトップ・ボックス、携帯型コンピュータ、インターネットサーバ、ネットワークサーバ、薄いサーバ、又は、通信信号を処理するため又は信号分析ツールを支持するために適当な他の装置のいずれかと関連することができる。
ユーザ140は、適当な有線又は無線手段のいずれかを介して、システム100と通信することができる。システム100のいくつかの実施形態において、140のようなユーザは、キーパッド、キーボード、タッチパッド又は他の適当なインターフェースのいずれかを介して、プロセッサ120と相互に作用することができる。ユーザ140は、クライアントとすることもできるし、又はホストプロセッサとすることもできる。
【0041】
図2は、TOA見積もり装置100と関連して述べられるものと同様の機能を提供することができる、例示的なTOA見積もり装置200を示す。TOA見積もり装置200は、アンテナ210を含むことができる。アンテナ210は、無線信号を無線アセットから受信することができる。いくつかの実施形態において、アンテナ210は無線信号を無線アセットに送信することができる。いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置200は、TOAの見積もり情報を有線媒体を介してユーザに通信することができる。いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置200は、TOA見積もり情報を無線媒体を介してユーザに通信することができる。いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置200は、送信能力を含まないことがある。
【0042】
いくつかの実施形態において、無線モジュール230及び/又は高解像度のタイミングモジュール240と相互に作用する中央演算処理装置220は、アンテナ210によって受信した信号を復調し、該信号をデコードし、直列又は並列の相関タスクを行い、混成直並列相関タスクを行い、システム200が受信する通信シーケンスについてのTOAの見積もりを生成するか又は出力するために必要なバッファ、データ操作及びデータのフォーマット化を提供することができる。演算処理装置220は、適当な信号処理及び/又は分析ハードウェア又はソフトウェアのいずれかを用いることができる。
本発明のいくつかの実施形態において、無線モジュール230は、同相無線信号I及び直交無線信号Qのそれぞれをタイミングモジュール240に与えることができ、該タイミングモジュールは、高解像度のタイミングモジュールとすることができる。無線モジュール230は、補助信号をタイミングモジュール240に与える。例えば無線モジュール230は、RSSI信号(例えば、信号強度を測定するため)、MD−RDY信号(例えば、データをフレーム化するため)、RXCLK信号(例えば、データをクロック制御するため)、及びRXD信号(例えば、受信したデータを通信するため)を与えることができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、タイミングモジュール240は、データ獲得モジュール241と、RSSI A/Dモジュール242と、タイマーモジュール243と、アセットID構文解析モジュール244と、設定レジスタ245と、相関モジュール246、及び他の適当なモジュールのいずれかを含むことができる。データ獲得モジュール241は、通信シーケンスを信号I及びQから獲得することができる。データ獲得モジュール241は、アナログ信号をデジタル信号に変換することができる。タイマーモジュール243は、発振器及びカウンタを含むことができる。タイマーモジュール243は、システム200によって受信された通信信号をタイムスタンプするためのタイムリファレンスを提供することができる。タイマーモジュール243は、無線モジュール230によって送信された信号をタイムスタンプするために用いることができる。送信された信号のタイムスタンプは、受信した信号のTOAと関連して用いられて、TOA見積もり装置200と無線アセットとの間の、信号の往復移動時間を見積もることができる。タイマーモジュール243は、ネットワークに存在することがあるTOA見積もり装置における他のタイマーモジュールと同期することができるため、異なるTOA見積もり装置で受信された2つのTOAの間の差を計算することができる。いくつかの実施形態において、タイマーモジュールは、同期信号をネットワーク資源から受信することができる。アセットID構文解析モジュール244は、例えば受信した通信シーケンス(例えば、MACアドレス)に存在することがある無線アセットの識別情報を構文解析するために存在することができる。構文解析モジュール244は、識別情報を構文解析するためのデータのフィルタを含むことができる。設定レジスタ245が存在することができる。設定レジスタ245は、例えば選択的なタイムスタンプについての無線アセットの識別情報を格納するために用いることができる(例えば、上述のように)。相関モジュール246は、相関関数を通信シーケンスに適用することによって、TOAの見積もりを生成するために存在することができる。相関モジュール246は、多重経路の処理コンポーネントを含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、タイミングモジュール240はアセットID、TOAの見積もり、I/Qデータ、RSSI又は他の適当な情報のいずれかを中央演算処理装置220に与えることができる。装置220は、タイミング装置240から受信した情報を処理することができる。装置220は、アセットID、TOAの見積もり、I/Qデータ、RSSI、信号強度、往復伝搬時間、無線アセットまでの距離、又は、他の適当な情報のいずれかを、無線又は有線手段によって他のネットワーク資源に与えることができる。装置220は、アセットID及びTOAを、TDOAの計算のために、集中アセット位置識別プロセッサに与えることができる。
【0045】
図3は、TOA見積もり装置100及び200と同様な、通信ネットワーク310の中に組み込まれたTOA見積もり装置300を示す。通信ネットワーク310は、ネットワークサーバ320によって支持されることができる。通信ネットワーク310は、局所情報通信ネットワーク、広域ネットワーク、首都圏ネットワーク、イントラネット、エクストラネット、他の種類の通信ネットワークのいずれか、又はそうしたネットワークのいずれかの無線又は部分的に無線の形態とすることができる。ネットワークサーバ320は、インターネット330又は他の電気通信ネットワークのいずれかと通信することができる。ネットワーク310は、有線アセット340を含むことができる。TOA見積もり装置300、サーバ320、インターネット330、有線アセット340及び無線アセット350のような特徴は、ここではネットワーク資源と呼ぶことができる。無線アセット340は、パーソナルコンピュータ、パームトップ型コンピュータ、手持ち式パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、セットトップ・ボックス、携帯型コンピュータ、インターネットサーバ、LANサーバ、薄いサーバ、又は、他の適当な処理装置のいずれかとすることができる。1つ又はそれ以上のTOA見積もり装置300は、350のような無線アセットから受信した信号のTOAを見積もることができる。ネットワークサーバ320、有線アセット340の1つ、TOA見積もり装置300の1つ、又は他の適当なネットワーク資源のいずれかが、TOA見積もり装置300に存在することがあるクロックを同期させるために、同期信号を生成することができる。
【0046】
図4は、通信ネットワークにおける無線アセットの位置を識別することに関する本発明のいくつかの実施形態に含むことができる例示的なステップの一般化されたフローチャートを示す。図4に示されるステップは、例示的なものに過ぎなく、あらゆる適当な順番において行うことができる。実際、付加的なステップがあることができるし、又はいくつかのステップを削除することができる。図4に示されるいくつかのステップは、無線信号を受信することを含む。図4に示されるいくつかのステップは、無線信号を送信することを含む。図4に示されるいくつかのステップは、信号を処理することを含む。これら及び他のステップは、図1に示されるシステム100、図2に示されるシステム200、及び図3に示されるシステム310のいくつか、又はすべての要素を含む適当な装置のいずれかを用いて行うことができる。
【0047】
ステップ410において、TOA見積もり装置、又はTOA見積もり装置群は、少なくとも1つの通信シーケンスを無線アセットから受信することができる。いくつかの実施形態において、通信シーケンスを、異なる周波数で作動しているTOA見積もり装置によって受信することができる。ステップ420において、1つ又はそれ以上の通信シーケンスをタイムスタンプすることができる。いくつかの実施形態において、タイムスタンプは、TOA見積もり装置で局所的に行うことができる。ステップ422において、中央プロセッサはTOAの見積もりをネットワークのTOA見積もり装置から収集し、TOAの対についてのTDOAを計算することができる。ステップ424において、無線アセットのTDOAの解集合を生成するためにTDOAが用いられて、無線アセットの位置を識別することができる(例えば、双曲線の三辺測量を用いて)。
【0048】
ステップ426において、TOAは、測距信号の配信時間(以下「TOB」)と関連して用いられて、TOA見積もり装置と無線アセットとの間の距離を見積もることができる。例えば、TOB、TOA、及び信号処理に含まれる遅延のいずれかを、往復信号伝搬時間を計算するために用いることができる。信号の伝搬速度を用いて、距離を見積もることができる。
いくつかの実施形態において、受信した通信シーケンスの信号強度は、ステップ430において見積もることができる。これらのいくつかの実施形態において、信号強度はTOA見積もり装置で局所的に見積もることができる。いくつかの実施形態において、受信機での信号強度は、無線アセットの送信機での信号強度と関連して用いられて、信号の減衰を計算することができる。ステップ426において、信号の強度又は減衰は、無線アセットとTOA見積もり装置との間の距離を見積もるために用いることができる。ステップ428において、既知の位置の異なる受信機からの距離の見積もりは、例えば三辺測量を用いて、無線アセットの位置を識別するために用いることができる。
【0049】
ステップ440において、通信シーケンスのキャリア信号位相は、TOA見積もり装置での通信シーケンスの到来角(以下「AOA」)を見積もるために用いることができる。1つ以上のAOAが、無線アセットからの通信シーケンス又は一連の通信シーケンスについて知られているとき、無線アセットの位置は、2つ又はそれ以上のキャリア信号の伝搬方向ベクトルの交差部分を用いて、識別することができる。
いくつかの実施形態において、無線アセットの位置は、TDOAの解集合、無線アセットとTOA見積もり装置との間の距離、キャリア信号の伝搬方向、又は、そのあらゆる組み合わせ又はその従属的な組み合わせを組み合わせた混成方法を用いて、識別することができる。
【0050】
図5は、周波数分割多重化を用いて無線アセットの位置を識別するために用いることができる例示的なセル方式の無線通信ネットワーク500のアーキテクチャを示す。ネットワーク500は、図3に示されるネットワーク310のいくつか又はすべての要素を含むことができる。ネットワーク500は、選択された周波数で作動している幾多のセルを有する。ネットワーク500のセルにおいて示される周波数は、1次作動周波数である(例えば、「割り当てられた」周波数)。いくつかの実施形態において、TOA見積もり装置は、1次周波数とは異なる少なくとも1つの周波数上で作動することができるTOA見積もり装置とすることができる。各々のセルは、1つ又はそれ以上の受信機装置又はアクセスポイントを有することができる。いくつかの実施形態において、各々のセルは、100のような1つ又はそれ以上のTOA見積もり装置を有することができる。ネットワーク500は、f1、f2、f3という3つの作動周波数を有するが、本発明は、より大きな又はより小さな数の1次作動周波数を有することができる。f3セル内に位置させられた無線アセット520は、周波数f1、f2及びf3で作動している近くの受信機装置の範囲内にある。3つの作動周波数の1つが他の通信トラフィックと「ビジー」状態である場合、無線アセット520は他の2つの周波数の少なくとも1つを用いて通信を試みることができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、各々のセルにおけるTOA見積もり装置は、該セルに割り当てられた作動周波数上で基本的に送信及び受信をするように構成することができる。無線アセット520が、通信シーケンスを例えばf1上に配信した場合、セルD、E及びBに配置されたTOA見積もり装置は、該通信シーケンスを受信及びタイムスタンプすることができる。本発明のいくつかの実施形態において、無線アセット520は、通信シーケンスを少なくとも1つの付加的な周波数上に配信して、他の(例えば、より近接した)TOA見積もり装置がタイムスタンプすることを可能にすることができる。例えば、無線アセット520は、通信シーケンスを、最初に周波数f1上に配信し、2番目にf2上に配信し、3番目にf3上に配信し、したがって近くのセルA、B、Cにおける装置が通信シーケンスをタイムスタンプすることを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、無線アセット520は、並列送信機を用いて、通信シーケンスを多重周波数上に同時に配信することができる。いくつかの実施形態において、無線アセット520は、通信シーケンスを連続的に多重周波数上で配信することができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、セルにおけるTOA見積もり装置は、1次周波数から2次周波数、3次周波数、又は異なる周波数に切り替わるように構成することができる。セルにおけるTOA見積もり装置は、1つの周波数から別の周波数に切り替わり、例えば1つの周波数(ここでは「ターゲット」周波数と呼ぶことができる)上に配信されるように構成された無線アセットからの通信シーケンスを受信及びタイムスタンプすることができる。いくつかの実施形態において、ネットワークにおけるTOA見積もり装置のいくつか又はすべては、ターゲット周波数にほぼ同時に切り替わり、タイムスタンプのための通信シーケンスを受信することができるように構成することができる。
【0053】
図6ないし図9は、周波数分割多重化を用いて、通信ネットワークにおける無線アセットを位置を識別することに含むことができる例示的なステップの一般化されたフローチャートを示す。図6ないし図9において示されるステップは例示的なものに過ぎなく、あらゆる適当な順番で行うことができる。実際、付加的なステップがあることができるし、又はいくつかのステップを削除することができる。図6に示されるいくつかのステップは、無線アセットを用いて無線信号を生成及び/又は送信することを含むことができ、適当な装置のいずれかによって行うことができる。例えば、図6に示されるいくつか又はすべてのステップは、図1に示される無線アセット130のような無線アセットを用いて行うことができる。無線信号の受信又は信号の処理を含む図7ないし図9に示されるいくつかのステップは、図1に示されるシステム100、図2に示されるシステム200、図3に示されるネットワーク310、及び図5に示されるネットワーク500のいくつか又はすべての要素を含む適当な装置のいずれかを用いて行うことができる。
【0054】
図6に示されるステップ610において、無線アセットは、通信ネットワークにおける受信機装置によってタイムスタンプするために用いることができる信号を配信する前に、選択された期間だけ待つことができる。このネットワークは、図3に示されるネットワーク310、又は図5に示されるネットワーク500と同様とすることができる。ネットワーク500のような多重周波数のセル方式のネットワークを含む実施形態において、無線アセットは、選択された期間の最後に、通信シーケンスを周波数f1上に配信することができる。ステップ630において、無線アセットの送信機は周波数f2に切り替わり、通信シーケンスを配信することができる。ステップ640において、無線アセットの送信機は周波数f3に切り替わり、通信シーケンスを配信することができる。
いくつかの実施形態において、無線アセットの送信機は、通信ネットワークにおいて利用可能な作動周波数に対応して、ステップ640においてf2+nと示されるような付加的な周波数に切り替わることができる。いくつかの実施形態において、異なる周波数上に配信された通信シーケンスは、ほぼ同一とすることができる。いくつかの実施形態において、異なる周波数上に配信された通信シーケンスは、異なることができる。
【0055】
図7は、TOA見積もり装置群を、各々の該群に割り当てられた周波数で作動している周波数分割多重化計画において用いることができる例示的なステップを示し、これは、通信ネットワークにおける無線アセットの位置を識別するために用いることができる。例示のために、ネットワークはTOA見積もり装置の3つの群(群I、群II、及び群III)に分割することができる。いくつかの実施形態において、ネットワークは、より小さな数の群に分割することができる。いくつかの実施形態において、ネットワークは、より大きな数の群に分割することができる。ステップ700において、ネットワークは群Iの装置を用いて、無線アセットによって周波数f1上に配信された通信シーケンスを受信することができる。ステップ705において、群1の装置は、通信シーケンスをタイムスタンプすることができる。ステップ710において、ネットワークのプロセッサは、群Iにおいて見積もられたTOAの対からTDOAを計算することができる。ステップ715において、群IのTOAから引き出された各々のTDOAについての、1つ又はそれ以上の可能性のある無線アセットの位置を含む解集合を生成することができる。
【0056】
ステップ720において、ネットワークは群IIの装置を用いて、無線アセットによって周波数f2上に配信された通信シーケンスを受信することができる。群IIの装置及び周波数f2上で受信された通信シーケンスを含むステップ725ないし735におけるプロセスは、群Iの装置及び周波数f1上で受信された通信シーケンスを含むステップ705ないし715におけるプロセスと類似していることがある。ステップ740において、ネットワークは群IIIの装置を用いて、無線アセットによって周波数f3上に配信された通信シーケンスを受信することができる。群IIIの装置及び周波数f3上で受信された通信シーケンスを含むステップ745ないし755におけるプロセスは、群Iの装置及び周波数f1上で受信された通信シーケンスを含むステップ705ないし715におけるプロセスと類似していることがある。ステップ760において、ネットワークのプロセッサは、ステップ715、735、755において生成された1つ又はそれ以上の解集合を用いて、無線アセットの位置を識別することができる。ステップ715、735及び755の全体で、1つの解のステップしか生成されなかった場合、無線アセットの位置を識別するために更なる情報が必要となることがある。ステップ760は、ステップ700に戻ることによって続けられ、新しい多重周波数のタイムスタンプサイクルを開始することができる。
【0057】
図8は、通信ネットワークにおける無線アセットの位置を識別するために、1つ又はそれ以上の補助受信機を含むTOA見積もり装置を用いることができる周波数分割多重化計画において用いることができる例示的なステップを示す。補助受信機は、TOA見積もり装置において存在し(例えば、1次周波数で作動している1次受信機に加えて)、1次周波数上での受信を妨げることなく、該1次作動周波数以外の周波数上で信号の受信を提供することができる。ステップ820において、均一の周波数で作動している補助受信機は、無線アセットから通信シーケンスを受信することができる。ステップ830において、各々の受信機での通信シーケンスのTOAを見積もることができる(例えば、各々の受信機に関連するTOA見積もり装置を用いて)。ステップ840において、TDOAを、受信機で見積もられたTOAの対から計算することができる。ステップ850において、ステップ840において引き出された各々のTDOAについての、1つ又はそれ以上の可能性のある無線アセットの位置を含む解集合を生成することができる。ステップ860において、ステップ850において生成された1つ又はそれ以上の解集合を用いて、無線アセットの位置を識別することができる。ステップ850において1つの解集合だけが生成された場合、付加的な情報が無線アセットの位置を識別するために必要となることがある。ステップ870において、補助受信機が新しい均一周波数に切り替えられて、新しい周波数上で受信することができる通信シーケンスを用いて、無線アセットの位置のサイクルを繰り返すことができる。本発明のいくつかの実施形態において、補助受信機は存在しないことがある。これらの実施形態において、1次受信機は異なる周波数に切り替えられて、ステップ820ないし870を行うように構成することができる。
【0058】
図9は、無線アセットについての「選択的リスニング」を実行するための、ネットワークによって行うことができる例示的なステップを示す。いくつかの実施形態において、あらかじめ選択された集合の無線アセットのメンバである無線アセットから受信した通信シーケンスをタイムスタンプすることができる。ステップ910において、位置の識別が所望される無線アセットに対応する1つ又はそれ以上の無線アセットの識別子を選択することができる。ステップ920において、選択された識別子を格納することができる。ステップ930において、無線アセットからの通信シーケンスをネットワークによって受信することができる。ステップ940において、アセットの識別子が通信シーケンスから構文解析されて、送信している無線アセットの身元を求めることができる。ステップ950において、受信した識別子を、あらかじめ選択された識別子と比較することができる。受信した識別子があらかじめ選択された識別子と適合しない場合、TOAの位置の識別処理は生じないことがある。このプロセスはステップ930に戻り、ネットワークは可能性のある位置の識別についての新しい通信シーケンスを受信することができる。受信した識別子があらかじめ選択された識別子と適合する場合、通信シーケンスのTOAをステップ960において見積もることができる。ステップ930ないし960は、ネットワークにおける多数の受信機装置で行うことができるため、該多数の受信機装置に対応する多数のTOAのそれぞれを、ステップ960において見積もることができる。ステップ970において、ステップ960からのTOAの見積もりは、無線アセットの位置を識別するために用いることができる。いくつかの実施形態において、ステップ960及び970は、位置の識別のために用いることができる非TOAの量を見積もる及び/又は処理することを含むことができる。例えば、ステップ960及び970は、図4に示されるステップ424、426、428、430、440及び442の1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0059】
図10は、位置を識別する目的のために、携帯用物品に取り付けることができる無線タグ1000についての例示的なアーキテクチャを示す。アンテナ1010は、信号を通信ネットワークの装置(図1に示されるシステム100及び図2に示されるシステム200のような)に送信し、及び該装置から信号を受信する。無線送信機1020は、通信シーケンスを生成してネットワークに配信するために存在することができる。送信機1020は、異なる周波数のキャリア信号を用いて、通信シーケンスを変調するように構成することができる。いくつかの実施形態において、無線アセットの位置の識別のために好都合な通信シーケンスを選択することができる。無線アセットの識別情報は、いくつかの通信シーケンスに含むことができる。制御装置1040がタグ1000において存在し、無線受信機1030及びクリアチャネル検知器1060と相互に作用して、通信チャネル上の無線周波数の存在を検知することができる。いくつかの実施形態において、無線受信機1030が存在しないことがある。これらの実施形態において、クリアチャネル検知器1060は、チャネルがクリアかどうかを判断するために用いることができる。クリアチャネル検知器1060は、エネルギー検知器とすることができる。タグ1000は、受信機1030及び検知器1060を用いて、チャネル上のトラフックを「聴く」ことができる。チャネルがクリアである場合、タグ1000は通信シーケンスをチャネル上に配信することができる。トラフィックがチャネル上に存在する場合、制御装置1040はクリアなチャネルが検知されるまで、受信機1030を、連続して異なるリスニング周波数に切り替えることができる。制御装置1040は次に、送信機1020をクリアなチャネルに切り替えて、通信シーケンスを配信することができる。制御装置1040によって制御することができる送信/受信切り替え1050は、切り替えアンテナ1010を、送信機1020又は受信機1030のどちらかと通信させるために存在することができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、受信機1030は、ネットワークにタグの位置を識別させるための通信シーケンスを配信するための指示を含む、ネットワークからの信号を受信するように構成することができる。タグ1000は、電源装置1080によって駆動することができる。いくつかの実施形態において、コンポーネント群1070は、低い動力で作動されて電源装置1080上の荷重を減らすように構成することができる。
図11は、携帯用物品に関する位置の識別情報を、通信ネットワークに提供することに含むことができる例示的なステップの一般化されたフローチャートである。図11に示されるステップは例示的なものに過ぎなく、あらゆる適当な順番において行うことができる。実際、付加的なステップがあることができるし、又はいくつかのステップを削除することができる。図11に示されるいくつかのステップは、タグを用いて無線信号を生成及び/又は送信することを含むことができ、適当な装置のいずれかによって行うことができる。例えば、図11に示されるステップのいくつか又はすべては、図1に示される無線アセット130のような無線アセット(図10に示されるタグ1000を含む)、又は適当な装置のいずれかを用いて行うことができる。単純化のために、図11に示されるステップは、1000のようなタグによって行われると仮定することができる。
【0061】
ステップ1110において、タグはスリープモードに維持することができる。本発明のいくつかの実施形態において、スリープモードは、例えば、図10に示される電源装置1080において動力を保存することができる。ネットワークの送信機とすることができる送信機は、ウェイクアップ信号をタグに送信することができる。ウェイクアップ信号は、タグの近くに送信された強力なRF信号とすることができる。ステップ1120において、タグはエネルギー検知器を用いて、ウェイクアップ信号を受信することができる。あらかじめ決められた期間の終わりまでにウェイクアップ信号が受信されない場合、タグはステップ1130において自動的にウェイクアップするように構成することができる。送信機及び受信機の回路配線(図10に示されるコンポーネント群1070におけるような)は、ステップ1125において活性化することができる。ウェイクアップ信号を受信した場合、送信機及び受信機の回路配線は、ステップ1125において活性化することができる。送信機及び受信機の回路配線を活性化した後、タグは、ステップ1140において、通信チャネルが通信シーケンスの配信のためにクリアであるかどうかを判断することができる。いくつかの実施形態において、ステップ1140は、エネルギー検知器を用いて行うことができる。図11に示されるいくつかのステップは、802.11信号を配信するように構成されているが、完全に802.11準拠ではないタグ(例えば、図10に示されるタグ1000に類似したタグ)によって行うことができる。例えば、タグは受信機を含まないことがある。チャネルが配信のためにクリアでない場合、タグはステップ1150において遅延を励起することができる。ステップ1150は、バックオフアルゴリズムの使用を含み、ステップ1140に戻ってチャネルを再びチェックする前に、あらかじめ選択された遅延を与えることができる。バックオフアルゴリズムは、802.11準拠のバックオフアルゴリズムとすることができる。いくつかの実施形態において、ステップ1150はステップ1110に戻ることによって続けられて、タグをスリープモードに戻すことができる。いくつかの実施形態において、ステップ1140は、連続する異なる周波数上のトラフィックを検知することを含むことができる。
【0062】
ステップ1140においてクリアなチャネルが検知されたとき、タグは通信シーケンスをステップ1160において配信することができる。ステップ1140において検知されたクリアなチャネル上に、通信シーケンスを配信することができる。ステップ1160において配信された通信シーケンスは、タグ又は該タグが取り付けられている物品を識別する情報を含むことができる。例えば、ステップが異なる種類の無線アセットによって行われている場合、適当な識別情報のいずれかを通信シーケンスに含むことができる。通信シーケンスは、位置識別情報を含むことができる。通信シーケンスはIEEE802.11の通信規格と互換性のある記号を含むことができる。
ステップ1170において、タグはデータをネットワークにアップリンクすることができる。タグは、802.11の通信プロトコルを用いて、データをネットワークにアップリンクすることができる。アップリンクされたデータは、電池状態情報、タグ温度情報、又は他の適当な情報のいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態において、タグはステップ1180において、通信シーケンスを異なるチャネル上に配信することができる。そうである場合、このプロセスはステップ1140に戻り、新しいクリアなチャネルをシークすることができる。そうでない場合、このプロセスは1110に戻り、タグをスリープモードに戻すことができる。
【0063】
図12ないし図20は、通信シーケンスのタイムスタンプを与えることができる本発明の実施形態に含むことができるいくつかの原理、方法及び装置を示す。
相関関数は、通信シーケンスに存在する記号の形を検知するために用いることができる。相関関数における局所的な又は広域的な極値は、強力な自己相関特性を有する記号の形に対応することができる。強力な自己相関特性を有する記号の形は容易に見ることができ、再生可能な相関関数のピークを生成することができる。そうしたピークの時間価値は、受信したデータ信号についてのTOAの見積もり又はタイムスタンプとして用いることができる。いくつかの実施形態において、相関関数C(τ)は以下のように定義することができ、
【数1】

tは時間の尺度、D(t)は時間依存とすることができる復調された受信信号を表し、R(t)はリファレンス信号を表す。R(t)は、D(t)に存在する記号の形に対応することがある。−T及びTはそれぞれ、時間間隔の始まり及び終わりであり、その間C(τ)を評価(又は極値について走査)することができる。D(t)についてのTOAの見積もりは、C(τ)が極値を有するようにさせるτの値として定義することができる。極値は最大とすることができる。極値は最小とすることができる。C(τ)における極値に対応するτの値は、

と呼ぶことができる。
【0064】
図12は、D(t)及びR(t)の例示的な実施例についてのC(τ)の実施例を示す。この実施例において、D(t)は3つの連続する同一の情報記号の連接を含む通信シーケンスである。「+」によって示される各々の記号は、PNコードとして示される。例えば、PNコードはバーカ・コードとすることができる。記号はPNコードとして示されているが、ここに説明されている原理はPBCC、CCK、OFDM又は他の適当な記号に適用することができる。R(t)は、D(t)に存在することができる情報記号又は情報記号の形に対応するように選択することができる。図12に示される実施例において、R(t)は、1つの繰り返し情報記号(「+」)と同じである。D(t)における各々のR(t)の発生について、C(τ)はピーク値を有する。局所的なC(τ)のピークC1、C2、及びC3のそれに対応する推定量

のいずれかを、TOAの見積もりとして選択することができる。いくつかの実施形態において、D(t)のTOAは、

のような推定量の平均であるとして定義することができる。例えば、D(t)のTOAはτとして定義することができ、
【数2】



は所定のD(t)についての

見積もりの平均である。
【0065】
図13は、図12に示されるものと同様のD(t)の例を示すが、「−」によって示される第2情報記号の「極性」が図12において示されるものと逆である。(ここで用いられるような反対の「極性」の情報記号は、所定の相関関数についての反対の符号の相関信号を生成する。)C(τ)における対応する2番目のピークは、負の値を有する。時間における所定の点でのC(τ)の値は、tの値の範囲(すなわち、−TからT)に左右されるため、C(τ)はD(t)の極性における変化に敏感とすることができる。結果として、1300のような相互相関ノイズをC(τ)において見ることができる。ノイズ1300及び視野方向のコンポーネントは同様の大きさであるため、該ノイズは視野方向の信号のコンポーネントを多重経路から分けることを難しくすることがある。
【0066】
図14は、C(τ)の2つの例示的な実施例を示す。形態1400は図12に示されたものと同一である。形態1450は、形態1400に対して高められたピークの大きさを有する。ピークの大きさは、D(t)に存在することがある情報記号の連接に等しいリファレンス信号を用いることによって高めることができる。例えば、
【数3】

として定義される相関関数C’(τ)は、信号R’(t)を含むことができる。R’(t)は連接したD(t)の情報記号を含むことができる。例えば、R’(t)は、図12に示される3つの連続した記号(各々が「+」によって示される)の連接とすることができる。
図15は、本発明のいくつかの実施形態に含むことができる例示的なステップの一般的なフローチャートを示す。図15に示されるステップは例示的なものに過ぎなく、あらゆる適当な順番において行うことができる。実際、付加的なステップがあることができるし、又はいくつかのステップを削除することができる。図15に示されるいくつかのステップは、無線信号を受信することを含む。図15に示されるいくつかのステップは、信号を処理することを含む。これら及び他のステップは、図1に示される受信機110のような受信機、及び図2に示されるTOA見積もり装置に含まれるような装置を含む適当な装置のいずれかを用いて行うことができる。
【0067】
明確にするために、以下は図15に示されるステップを説明し、該ステップを行うために適当なステップのいずれかを含むことを意図する「システム」によって行われている。システムは、ステップ1510でデータ信号を受信することができる。データ信号は、図1に示される無線アセット130、又は図3に示される無線アセット350のような無線アセットから受信することができる。データ信号はステップ1520で復調されて、復調信号を生み出すことができる。システムは、ステップ1530でデータ信号をバッファすることができる。バッファされたデータは、情報シーケンスが以下に説明されるように検知されたとき、用いることができる。復調信号は、相関及びデジタル化によって、ステップ1540で、例えば一連のデコードされたバイナリデータにデコードすることができる。デコードされたバイナリデータは、ステップ1550でバッファすることができる。
いくつかの実施形態において、バッファされたバイナリデータは、ステップ1560において分析されて、好都合な情報記号の存在を検知することができる。ステップ1570において、R(t)のようなリファレンス信号を含むC(τ)のような相関関数を評価することができる。(C(τ)及びR(t)を利用するステップが、単純化のために図15ないし図17と関連して示され説明されているが、図15ないし図17の範囲、及びここでのその説明は、連接情報記号がC(τ)及びR’(t)のそれぞれの代わりにリファレンス関数として選択されているとき、C’(τ)及びR’(t)を利用する対応するステップを含む。)
【0068】
ステップ1575において、相関信号の品質チェックを行うことができる(例えばC(τ)について)。相関信号の品質は信号対ノイズの比率、ピークの大きさ又は他の適当な指数のいずれかのような客観的な尺度を用いて定量化することができる。
相関信号C(τ)が十分な品質である場合、視野方向の信号のコンポーネントは、ステップ1580において多重経路から分けることができる。ステップ1580は、前縁の検知のためにステップ1585を含むことができる。ステップ1580はチャネルの見積もりのためにステップ1590を含むことができる。チャネルの見積もりはMUSIC又は他の適当なチャネルの見積もり技術のいずれかのような上等の解決技術を含むことができる。
【0069】
ステップ1580において、システムはTOAを見積もることができる。いくつかの実施形態において、システムはC(τ)を最大化して

を求めることができる。システムはTOAを

として定義することができる。C(τ)が負の値を有することができるいくつかの実施形態において、システムはC(τ)を最小化して

を求めることができる。いくつかの実施形態において、システムはTOAが相関ピークの前縁となるように定義することができる。例えばステップ1590において、図15Aに示される視野方向のピーク1502は、多重経路のピーク1504(やはり図15Aに示される)から分けることができる。視野方向のピーク1502の前縁1503は通信シーケンスのTOAとして定義することができる。視野方向のパルスは多重経路のパルスより前に受信されるため、ピーク1502をピーク1504から区別することができる。(多重経路の信号は、視野方向の信号より長い伝搬経路を有することができる。)いくつかの場合において、視野方向のピーク1502は、多重経路のピーク1504と重複するか、又は合体することができる。これらの場合において、合体したパルスの前縁はステップ1585においてTOAとして定義することができる。
【0070】
図16は、図15の1560のようなステップに含むことができる例示的なステップを示す。ステップは例示的なものに過ぎなく、あらゆる適当な順番において行うことができる。実際、付加的なステップがあることができるし、又はいくつかのステップを削除することができる。ステップ1610において、システムは、受信したデータ信号がTOAでコード化されていることを確認又は判断することができる。例えば無線アセットは、TOAの見積もりに好都合な、あらかじめ選択された通信シーケンスを含むデータ信号を送信することができる。あらかじめ選択された通信シーケンスは、あらかじめ選択された位置(例えば、データパケットのn番目のビットから開始する)のデータパケット内に位置することができる。いくつかの実施形態において、TOAの見積もりの通信シーケンスがパケット内の所定の位置に配置されるデータパケット内のインジケータを検知するように、システムを構成することができる。あらかじめ選択された通信シーケンスは、PBCC、CCK及びOFDM記号を含むことができる。あらかじめ選択された情報シーケンスは、PNコードを含むことができる。
【0071】
あらかじめ選択された通信シーケンスがシステムによって受信されたとき、ステップ1610はステップ1620によって続けられ、リファレンス信号は一連の1つ又はそれ以上のCCK記号、PBCC記号、OFDM記号又はPNコードと等しく設定することができる。
システムが、タイムスタンプのためにコード化されていないデータパケットを受信したとき、データ信号の監視はステップ1630に示されるように行うことができる。データ信号の監視は、タイムスタンプのために好都合な情報記号の形の存在についてデコードされた型のデータ信号の監視を含むことができる(例えば、ステップ1550から)。デコードされたデータの各々のビットは、図12及び図13におけるD(t)のような、通信シーケンスにおいて存在することがある1つの情報記号に対応することができる。ビットストリームにおいて好都合な形を検知した後、該形に対応するリファレンス信号は、タイムスタンプのために復調された信号との相関のために選択することができる。
【0072】
例えばバッファは、各々のビットがD(t)における記号と対応するNビットを、該Nビットが受信されデコードされた順番において格納することができる。したがって、タイムスタンプのために好都合な一連のビットがビットストリームにおいて検知された場合、システムは、タイムスタンプのために該ビットストリームに対応するバッファされたデータ信号における記号をターゲットすることができる。明確にするために、タイムスタンプのためにターゲットされた記号の集合をここで「M」と呼ぶ。Mが1つ以上の情報記号を含むとき、システムはMの部分集合「P」と相関することができる。PはMの中央部分集合とすることができる。例えば、Mが5つの情報記号を有する場合、システムはP、すなわちMの3つの中央情報記号(すなわち、Mの第2、第3及び第4の記号)と強力に相関するリファレンス信号(R(T)又はR’(t))を選択するように構成することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、システムはステップ1610を行わないことがある。これらのいくつかの実施形態において、システムを、リファレンス信号と通信シーケンスにおけるあらかじめ決められた情報記号が相関するように構成することができる。例えばシステムを、相関関数が通信シーケンスにおける第1情報記号に適用するように、構成することができる。別の例において、システムを、通信シーケンスにおける2番目ないし4番目の情報記号を用いて相関するように構成することができる。リファレンス信号との相関のために、通信シーケンスにおける適当な信号のいずれも選択することができる。
図17は、図16のステップ1630に含むことができるN、D(t)及びPの実施例、及び図16のステップ1640に含むことができるR(t)の対応する実施例を示す。(この例示の目的のために、R(t)は、方程式3においてR’(t)として表されるもののような1つの及び連接したリファレンス信号を意味する。)
【0074】
図17における各々の実施例1ないし実施例5は、デコードされた信号D(t)のセグメントを維持する大きさNの12ビットを有するバッファを含む。D(t)における各々の記号は「+」又は「−」によって表されて、肯定極性記号又は否定極性記号のそれぞれを示す(図12及び図13に用いられた規則に従って)。MはD(t)に存在することがある記号の集合である。PはMに存在することがあるビットの部分集合であり、リファレンス信号R(t)との相関のためにターゲットすることができる。R(t)における各々の記号は「+」によって表されて、肯定極性記号を示す。図17は肯定極性記号だけを有するR(t)を示すが、必要であれば、R(t)は1つ又はそれ以上の否定極性記号を含むことができる。いくつかの実施形態において、R(t)は、Pに存在する情報記号のシーケンスと同一の情報記号のシーケンスとすることができる。
【0075】
実施例1において、隔離された肯定極性記号だけが存在する。システムは、Pの1つの記号との相関のために、該1つの記号のリファレンス信号R(t)を選択することができる。実施例2において、Mは2つの記号を含む。システムは、Mにおける1つのターゲット記号Pとの相関のために、1つの記号のリファレンス信号R(t)を選択することができる。システムは、Mにおける後続記号をターゲットして、TOAの見積もりの精度を改良するために(例えば、多重経路の存在における)、結果として得られるC(τ)におけるピークの前縁のノイズ(相互関係ノイズのような)を減らすことができる。実施例3において、Mは3つの記号を含み、システムは、1つの記号R(t)との相関のために、中央記号Pをターゲットすることができる。Mにおいて存在するより、少ない記号を有するR(t)との相関のために、Mにおける記号の中央部分集合をターゲットすることは有利となることがある。これは、C(τ)(又はC’(τ))におけるノイズを減らすことができる。実施例4及び実施例5は、Mにおける中央記号をターゲットすることを示す。実施例4において、システムは、Mにおける4つの記号の中心である2つの記号(P)をターゲットする。Pは2つの記号を有するR(t)と相関することができる。実施例5において、システムはMにおける5つの記号の中心である3つの記号(P)をターゲットする。Pは、3つの記号を有するR(t)と相関することができる。
【0076】
いくつかの実施形態において、リファレンス信号R(t)のライブラリは、ルックアップ表に格納することができる。ルックアップ表は、可能性のある検知されたシーケンスの範囲によって索引を付けることができる。検知されたシーケンスは、したがって、最適な相関信号を生成することができるリファレンス信号を選択することができる。いくつかの実施形態は、受信データ信号における所定の検知されたシーケンスについての、可能性のあるR(t)の選択を優先するための規則を提供することができる。適切なR(t)の選択は、図14に示されるもののような、相互相関ノイズがほとんどないか又は全くないパルスを有する相関信号を生成することができる。
図18は、本発明のいくつかの実施形態に含まれる例示的なステップの一般的なフローチャートを示す。図18に示されるステップは、例示的なものに過ぎなく、あらゆる適当な順番において行うことができる。実際、付加的なステップがあることができるし、又はいくつかのステップを削除することができる。図18に示されるいくつかのステップは、無線信号を受信し、信号を処理することを含むことができる。これら及び他のステップは、図1に示される受信機110のような受信機、及び図2に示されるTOA見積もり装置200に含まれるような装置を含む、適当な装置のいずれかを用いて行うことができる。
【0077】
明確にするために、以下は図18に示されるステップを説明し、該ステップを行うために適当ないずれかのステップを含むことを意図する「システム」によって行われている。システムは、ステップ1810でデータ信号を受信することができる。データ信号は、図1に示される無線アセット130のような無線アセットか、又は図3に示される無線アセット350のような無線アセットから受信することができる。データ信号は、ステップ1812で復調されて、復調信号を生み出すことができる。復調信号は、図15に関連して上述されたものと同様とすることができる。復調信号は、ステップ1814で、並行相関、及び他の適当な処理、フィルタ、又はバッファステップのいずれかを含むことができる並行処理のために分割することができる。
【0078】
方程式(1)又は(3)におけるD(t)に対応することができる復調信号は、ステップ1820、1822、1824、1826及び1828における多数の相関器に同時に送ることができる。ステップ1822、1824及び1826は、1つの記号、2つの記号及び3つの記号の相関が同時に行われることを可能にすることができる。ステップ1822の相関は、方程式(1)におけるR(t)に対応するリファレンス信号を用いることができる。ステップ1824ないし1828は、連接リファレンス信号を含むことができるため、ステップ1824ないし1828の相関は、方程式(3)におけるR’(t)に対応するリファレンス信号を用いることができる。ステップ1822ないし1826におけるものより長い情報信号のシーケンスを含む相関は、ステップ1822ないし1826のいくつか又はすべてと同時に行うことができる。ステップ1822ないし1828のいずれかにおいて、システムは、図17に関連して上述したようなターゲット記号の集合M、又はターゲット記号の部分集合Pを用いて相関を可能にするために、十分な数の記号を格納することができる。
システムは、ステップ1820及び1830を用いて、復調データ信号におけるシーケンスを検知することができる。システムは、ステップ1820で、例えば1つの記号の相関器を用いて、復調データ信号をデコードすることができる。デコードしている相関器は、ステップ1822において用いることができる1つの記号の相関器と同様か又は同一とすることができる。復調されたデータがステップ1820においてデコーダを通って流れるため、結果として得られるビットは、ステップ1830において、シーケンスの検知のためにバッファ内に格納することができる。シーケンスが検知された後、検知されたシーケンスと強力に相関するとして知られるリファレンス信号に基づく相関信号(例えば、ステップ1822ないし1828において生成された)を、ステップ1840において選択することができる。ステップ1832ないし1838は、多重経路の信号を、ステップ1822ないし1828のそれぞれにおいて生成された相関信号からフィルタするために用いることができる、多重経路の処理ステップ(図18における「MPP」)である。
【0079】
ステップ1850において、システムはTOAの見積もりを、選択された相関関数を最大化することによって、

のような推定量として定義することができる。いくつかの実施形態において、相関関数は

を評価するために最小化を必要とする方法において定義することができる。
いくつかの実施形態において、システムは、ステップ1832ないし1828において、前縁の検知、チャネルの見積もり、又はその組み合わせを用いて、TOAの見積もりを定義することができる。(前縁の検知及びチャネルの見積もりについては、特に図15及び図15Aに関連して上述されている。)これらの実施形態において、ステップ1840は、TOAの見積もりを、ステップ1832ないし1848の結果から選択することを含むことができる。これらの実施形態において、ステップ1850において、TOAの見積もりを定義するために、

のようなTOAの推定量を求める必要はないとすることができる。
【0080】
図19は、図18に示されるいくつかのステップを行うために用いることができる例示的なバッファ1900(デコードされたデータのため)、1922(情報記号のため)及び1932(情報記号のため)を示す。復調された信号1902は、デコーダ1904、相関器1920及び相関器1930に送ることができる。デコーダ1904は、1908のような形の検知のために、出力1906をシーケンス検知器1907におけるバッファ1900に送ることができる。この例示的な実施例において、形1908は初期ビット1909及び最終ビット1910を含む5つの連続する同一のビットを含む。形1908におけるものとは異なる値を有するビット1911は、形1908の終わりを知らせることができる。バッファ1922及び1932のそれぞれにおける、1つの記号の相関器1902及び3つの記号の相関器1903は、各々の相関信号C1及びC3を同時に生成することができる。M1、P1及びR1、及び、M3、P3及びR3は、1つの記号の相関器及び3つの記号の相関器のそれぞれについて、図17に示されるM、P及びRに対応する。
【0081】
形1908の検知は、TOAの判断における使用のために、相関器の出力(例えばC1又はC3)の1つを選択するために用いることができる。図19に示される実施例において、C3はC1より強力であると期待することができるため、C3を選択することができる。C3は、5つの記号の部分集合(M)上の中心に3つの記号の部分集合(P)をもつ3つの記号のリファレンス信号(R(t))の相関に基づいているため、C3はC1よりも強力とすることができる。対照的に、C1は、1つの記号の部分集合(M)上の中心に1つの記号の部分集合(P)をもつ1つの記号のリファレンス信号(R1(t))の相関に基づいている。
いくつかの実施形態において、シーケンス検知器1907は、デコーダの出力1906における情報シーケンスを検索するために用いられる基準を変更するように構成することができる。例えば、検知器1907は、5つの連続する同一信号のシーケンスを検索するようにプログラムすることができる。あらかじめ決められた数のビットが分析された後(又はあらかじめ決められた期間が経過した後、又はその両方の後)そうしたシーケンスが検知されない場合、デコーダは自動的に、より見つけやすい形(例えば、より短い形)を検索するように移行することができる。いくつかの実施形態において、幾多の検索方策を用いることができる。いくつかの実施形態において、検知器1907は、異なるビットの形を識別するために、デコーダの出力1906のいくつか又はすべてを再走査するのに適当な処理特徴、及びバッファ能力を有することができる。
【0082】
図20は、図16及び図18に示されるいくつかのステップを行うために用いることができる例示的なTOA見積もり装置2000を示す。無線受信機2010は、図1に示される受信機110と同様とすることができる。無線受信機2010は、図2に示される中央演算処理装置220及び無線モジュール230の組み合わせと同様とすることができる。システム2000の他のコンポーネントは、システム100のプロセッサ120、システム200のタイミングモジュール240又は他の適当な信号処理装置のいずれかに組み込むことができる。システム2000は、図3に示されるネットワーク310のような通信ネットワークと通信することができる。
【0083】
アンテナ2012は、キャリア信号上で変調された通信シーケンスを、図1における無線アセット130のような無線アセットから受信することができる。無線受信機2010は、A/D変換機2014及び2016のそれぞれによってデジタル化することができるベースバンドの同相(I)信号及び直交(Q)信号を、キャリア追跡回路2020に与えることができる。回路2020は、キャリア信号の追跡及び/又はタイミングループを含み、システム2000のタイミングをキャリア信号と同期することができる。追跡回路2020は、同期された通信シーケンスを、該通信シーケンスをデコードするためにチッピングコード相関器に与えることができる。フィードバックループ2032は、追跡制御のために、フィードバックを回路2020に与えることができる。相関器2030は、相関信号をデコーダ2050に与えることができる。デコーダ2050は、経路2035を介して追跡回路2020から受信した高速データの変調記号をデコードすることができる。高速データの変調記号はPBCC、CCK及び他の適当な高速データの変調記号のいずれかのような802.11のデータストラクチャを含むことができる。デスクランブラ2060は、デコードされた復調通信シーケンスをデスクランブルするために存在することができる。MACインターフェース2070は、デスクランブルされた通信シーケンスをネットワーク資源に与えることができる。
【0084】
回路2020は、同期された通信シーケンスを、TOAの見積もりのためにタイムスタンプ回路204に与えることができる。バイパス2022は、回路2040がタスクを相関器2030とほぼ並行して行うことを可能にするために存在することができる。回路2040は、1つ又はそれ以上のTOAの見積もりの相関器を含むことができる。いくつかの実施形態において、回路2040は、図18に示されるデータ信号のデコード化ステップ1820を行うことができる。いくつかの実施形態において、回路2040は、シーケンス検知ステップ1830、多重ビット相関ステップ1822ないし1828、多重経路処理ステップ1832ないし1836、推定量選択ステップ1840、TOAデータ出力ステップ1850、又はタイムスタンプのための他の適当なステップのいずれかのような、図18に示されるステップを行うことができる。MACインターフェース2070は、TOAの見積もりを回路2040から受信し、該TOAの見積もりをネットワーク資源に与えることができる。
【0085】
図21は、無線アセットの位置を識別するために用いることができる例示的なネットワーク2100を示す。ネットワーク2100は、多数のTOA見積もり装置を含むことができる。単純化の目的のために、図21にはTOA見積もり装置A(2110)、TOA見積もり装置B(2120)及びTOA見積もり装置C(2130)の3つだけが示されている。TOA装置は、ケーブル2102と電気通信することができる。無線アセットは、まだ識別されていない位置Pに配置することができる。無線アセットは、TOA見積もり装置A、B及びCによって受信することができる通信シーケンスを配信することができる。TOA見積もり装置の所定の対についてのTDOAは、点Pを含むことができる解集合(上述のような)を生成するために用いることができる。例えば、TOA見積もり装置B及びCに到着している通信シーケンスについて計算することができるTDOABCは、無線アセットと各々のシステムB及びCとの間の距離の差によって定義される双曲線を生成するために用いることができる。TDOABCと距離の差との間の関係は、
【数4】

によって与えることができ、Cは通信シーケンスの伝搬速度、rBは無線アセットとTOA見積もり装置Bとの間の距離、及びrCは無線アセットとTOA見積もり装置Cとの間の距離である。量(rB−rC)は、この場合、P又はその見積もりを含む曲線(例えば、双曲線)を定義するために用いることができる。Pを含むことができる第2の解集合を、例えば、システムの対A及びB、又は、システムの対A又はCを用いて生成されたTDOAを用いて、生成することができる。付加的なTOA見積もり装置(図示せず)からのTOAの見積もりは、位置Pを識別するために、1つ又はそれ以上の解集合を用いることができる。
【0086】
マスタークロック2104は、ケーブル2102を介して、同期信号をTOA見積もり装置に与えることができる。同期信号は、装置に存在することがあるクロック、タイマー又はカウンタを同期させるために用いることができる。同期信号はリセットパルスをTOA見積もり装置に送り、装置のクロックが同時にリセットされるように促すことができる。ケーブル2102が、送電線(例えば、イーサネット(登録商標)のDC送電線)を含むとき、同期信号は電力線を用いて送信することができる。例えば、同期信号はDC電力信号に加えるか、又は容量的に連結することができる。ケーブル2102がデータ伝送線を含むとき、同期記号はデータ伝送線を用いて送信することができる。例えば、ケーブル2102は、ワイヤのより線対を含むことができる(例えば、イーサネット(登録商標)のデータ伝送線)。同期信号はより線対によって支持されるデータ信号上に重畳することができる。TOA見積もり装置で、タイミング及びデータ信号は、フィルタリング、一般モード拒否、又はその組み合わせを用いて分けることができる。異なるTOA見積もり装置は、異なる固定遅延を有することができる。例えば、クロック2104とTOA見積もり装置との間の長さが異なる場合、又は、装置における処理速度が異なる場合、該装置によって生成されたTOAは、同期の後でさえもオフセットを含むことができる。オフセットは定量化され、TOAの見積もりは、TDOAが計算される前に自動的に補償することができる。いくつかの実施形態において、無線同期信号を装置2110ないし2130に配信するために、ビーコンを与えることができる。
【0087】
図22及び図23は、TDOAを用いた無線アセットの位置の識別に関する、本発明のいくつかの実施形態に含まれる例示的なステップの一般的なフローチャートを示す。図22及び図23に示されるステップは、例示的なものに過ぎなく、あらゆる適当な順番において行うことができる。実際、付加的なステップがあることができるし、又はいくつかのステップを削除することができる。図22及び図23に示されるいくつかのステップは、無線信号の受信及び信号の処理を含むことができる。これら及び他のステップは、図1に示されるシステム100(例えば受信機110を含む)及び図2に示されるシステム200を含む適当な装置のいずれかを用いて行うことができる。
【0088】
ステップ2210において、無線アセットの位置の識別のために用いられるべきネットワークのTOA見積もり装置のクロックは、選択されたネットワークの時間信号又はカウンタと同期することができる。ステップ2220において、第1TOA見積もり装置は、通信シーケンスを無線アセットから受信し、TOA1(第1TOAの見積もり)を生成することができる。ステップ2230において、TOA1はネットワーク時間を参照することができる。ステップ2240において、第2TOA見積もり装置は、通信シーケンスを無線アセットから受信し、TOA2(第2TOAの見積もり)を生成することができる。ステップ2250において、TOA2はネットワーク時間を参照することができる。ステップ2260において、TDOAはTOA1及びTOA2を用いて計算することができる。一組の可能性のある無線アセットの位置を、次にステップ2270において生成することができる。ステップ2210ないし2260が繰り返されて、可能性のある無線アセットの位置の1つ又はそれ以上の付加的な解集合を生成することができる。
【0089】
図23は、多数のTOA見積もり装置が多数のTDOAの見積もりを与えることがあるときに行うことができる例示的なステップを示す。ステップ2310において、配信された通信シーケンスと関連して生成されたTOAの見積もりを収集することができる。ステップ2320において、TOA見積もり装置をリファレンスTOA見積もり装置として指定することができる。ステップ2330において、非リファレンスTOA見積もり装置からのTOAを、リファレンスシステムによって生成されたTOAと関連して用いて、各々の非リファレンスシステムについてのTDOAを計算することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上のリファレンスシステムを指定することができる。ステップ2340において、各々のTDOAは、アセットの位置の解集合を生成するために用いることができる。ステップ2350において、ノイズによって劣化されたか、或いは他で劣る物理的に不合理な又は不可能な(「範囲外」)解集合は、捨てることができる。ステップ2360において、少なくとも2つの解集合が、ステップ2350において行われた選択の後に残った場合、無線アセットの位置は、残っている解集合、及び、最小二乗見積もり法、最尤見積もり法、ノイズウエイト最尤見積もり法、又は他の適当な見積もり方法のいずれかのような解の見積もり方法を用いて、識別することができる。2より少ない解集合がステップ2350の後に残った場合、プロセスはステップ2370に進み、位置は識別されないことがある。
【0090】
図24は、無線アセットによって配信された通信シーケンスと関連する例示的な相関信号CA(τ)及びCB(τ)を示す。通信信号は多数のTOA見積もり装置によって受信することができ、その各々は相関信号を生成することができる。例えば、CA(τ)及びCB(τ)は、図21に示されるA及びBのそれぞれのようなTOA見積もり装置を用いて生成することができる。CA(τ)及びCB(τ)は、図12に示されるC(τ)と同様とすることができる。図25において、CA及びCBはそれぞれ、時間変数τA及びτBに依存し、それぞれシステムA及びBの内部クロック又はカウンタを参照することができる。これらの内部クロックは同期することができるため、τA及びτBは同期され、同じ基準を参照することができる。CAは例えばTOAの推定量

にそれぞれ対応するピークCA1、CA2、CA3、CA4を有することができる。CBは例えばTOAの推定量

にそれぞれ対応するピークCB1、CB2、CB3、CB4を有することができる。推定量は、方程式1を用いて求めることができる。多数のTDOAは、システムA及びBの両方からの推定量を含むTOA推定量の対を用いて生成することができる。例えば、図24に示されるTDOA1は、

から生成することができる。TDOA2

から生成することができる。図24において4つのTDOAが示されるが、いくつかの実施形態は4つより多くのTDOAを生成することができる。図24に示されるTDOAは

のようなTOAの見積もりに基づくが、いくつかの実施形態は、TDOAの平均を計算するために、前縁の検知、チャネルの見積もり又はその組み合わせに基づくTOAの見積もりを用いることができる。図24に示されるTDOAは「予備のTDOA」と呼ぶことができる。いくつかの実施形態において、予備のTDOAの平均は、図21ないし図23を参照して説明されたような無線アセットについての可能性のあるアセットの位置の解集合を生成するために用いることができる。
【0091】
したがって、無線通信ネットワークにおける無線アセットの位置を識別するための装置及び方法が提供されたことがわかる。当業者は、本発明が、限定ではなく例示の目的で示された、説明された実施形態以外によって実行でき、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別システムに関連して用いることができる例示的な装置を示す略図である。
【図2】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別システムに関連して用いることができる別の例示的な装置を示す。
【図3】図1及び図2に示されるような装置を用いた例示的な通信ネットワークを示す略図である。
【図4】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示すフローチャートである。
【図5】本発明の原理に基づく例示的な通信ネットワークのアーキテクチャの略図である。
【図6】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示す別のフローチャートである。
【図7】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示すさらに別のフローチャートである。
【図8】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示すさらに別のフローチャートである。
【図9】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示すさらに別のフローチャートである。
【図10】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別システムに関連して用いることができる別の例示的な装置を示す略図である。
【図11】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示すさらに別のフローチャートである。
【図12】例示的な受信データ、及び本発明の原理に基づき、対応する例示的な相関信号を示す。
【図13】他の例示的な受信データ、及び対応する例示的な相関信号を示す。
【図14】本発明の原理に基づく2つの例示的な相関信号を示す。
【図15】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示すさらに別のフローチャートである。
【図15A】本発明の原理に基づいて処理することができる例示的な相関信号を示す。
【図16】図15に示されるステップを行うにおいて含むことができる例示的なステップを示すフローチャートである。
【図17】例示的な受信データのシーケンス、及び本発明の原理に基づき、例示的な相関方策を示す。
【図18】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示すさらに別のフローチャートである。
【図19】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示すさらに別のフローチャートである。
【図20】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別システムに関連して用いることができる例示的な装置を示す。
【図21】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別システムの一部の略図である。
【図22】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示すさらに別のフローチャートである。
【図23】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別の間に行うことができる例示的なステップを示すさらに別のフローチャートである。
【図24】本発明の原理に基づく無線アセットの位置識別に用いることができる2つの例示的な相関信号を示す。
【符号の説明】
【0093】
130 無線アセット
1000 無線タグ
1010 アンテナ
1020 無線送信機
1030 無線受信機
1040 制御装置
1070 コンポーネント群
1080 電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークにおける携帯用アセットの位置に対応する位置識別情報を提供するための方法であって、
ウェイクアップ信号を前記ネットワークにおける送信機から受信し、
前記位置識別情報を送信する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記送信が、802.11のデータパケットを送信することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送信が、アセット位置情報を送信することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記送信が、到着時間の見積もりのために選択された少なくとも1つの情報シーケンスを送信することを含む請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図15A】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−295621(P2007−295621A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184082(P2007−184082)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【分割の表示】特願2002−543795(P2002−543795)の分割
【原出願日】平成13年11月14日(2001.11.14)
【出願人】(599101597)シンボル テクノロジーズ インコーポレイテッド (68)
【Fターム(参考)】