説明

通信ネットワークにおけるUnlicensedMobileAccess(UMA)端末の位置

【課題】Global System for Mobile CommunicationsネットワークにおいてUnlicensed Mobile Access端末の位置情報を管理する方法の提供。
【解決手段】端末のIPアドレスがGeneric Access Network Controller(GANC)で受信される。次いでGANCは、移動通信交換局またはサービング汎用パケット無線システム・サービスノードに接続する目的でUMA端末がそれを通してIP接続性を得ているIPネットワークまたはIPサブネットワークに関連するConnectivity Session Location and Repository Function(CLF)にクエリを送信する。CLFは、位置情報をGANCへ送信し、次いでGANCは、位置情報を移動通信交換局またはサービング汎用パケット無線システム・サービスノードへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークにおける端末の位置の分野に関し、詳細には、Global System for Mobile Communicationsネットワークにおける端末の位置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
Global System for Mobile Communications(GSM)は、移動電話のための一般的な標準である。GSM加入者は、回線交換通話と、パケット交換サービスと、モビリティ管理およびその他のGSMサービスとをユーザ端末に提供する移動通信交換局サーバ(MSC)を経由して、自分の端末を用いてGSMネットワークに接続することができる。
【0003】
GSM加入者がMSCに接続する場合、無線アクセスネットワーク内の基地局制御装置(BSC)が、加入者が存在するセルをMSCに報告する。またBSCは、例えば加入者の移動局が定期的な位置更新手順を行っている場合や、加入者がGSMサービスを開始する場合や、加入者が別の位置エリアへと位置変更する場合には、現在セルについてもMSCに報告する。MSCは、内部マッピングを用いて位置識別子(または位置番号)を加入者の現在セルに関連付けてもよい。位置番号は、加入者の物理的位置または地理的位置を表すものであり、MSCによってかまたはValue Added Services(VAS)によって利用されてもよい。サービス論理の処理のために加入者の位置を用いるVASの例として、HomeゾーンやOfficeゾーンや、Location(位置)をベースにした課金などがある。多くの場合、公衆陸上移動通信網(PLMN)運用事業者は、位置番号としてE.164番号を用いる。これが行われる場所では、運用事業者は、自社の無線アクセスネットワークについて番号プランを定義し、そして、この無線アクセスネットワーク内の各位置エリアは、それに関連する位置番号を持つ。位置エリアは、運用事業者によって定義される単一のGSMセルであってもよいし、セルのグループであってもよい。位置番号は、固定ネットワーク番号と同様である。例えば、公衆交換電話網(PSTN)番号を用いて加入者の位置をある程度識別することもできる。
【0004】
Generic Access Network(GAN)によって、GSM加入者は、免許不要のスペクトル、例えば無線LANやBluetoothを用いてGSMネットワークにアクセスすることができる。GANは、3GPPによって用いられている公式な用語であるが、この技術は、Unlicensed Mobile Access(UMA)という名前で一般に知られている。本書ではこれ以降、UMAという用語を用いるが、それはUnlicensed Mobile AccessまたはGeneric Access Networkのいずれか一方を言うと解釈されてよい。UMAを用いたGSMネットワークへのアクセスは一般に、通常のGSMアクセスとUMAアクセスの両方をサポートする端末を用いて行われる。そのような端末を、本書ではUMA端末と呼ぶ。UMAによって、UMA端末を持つ加入者は、呼の最中も呼以外の場合でも、GSMアクセスとWLANアクセスの間のハンドオーバを行うことができる。
【0005】
GSM加入者がUMA端末を用いてGSMネットワークに接続する場合、現時点では、MSCが位置番号を加入者の現在位置に関連付けるための定義済のメカニズムが存在しない。なぜなら、BSCとして動作しているGeneric Access Network Controller(GANコントローラ)(GANC)が、加入者の現在のアクセスに関連する「セル」をMSCに報告しないからであり、従って、MSCは、位置番号を導出する通常の方法が使えないからである。
【0006】
UMA加入者は、Digital Subscriber Line(DSL)に接続しているホームWLANアクセスポイントを通して、GSMネットワークにアクセスしてもよい。DSL接続はIP接続性を提供する。今度は、UMA端末は、IP接続性を用いてGANCに登録し、次いでGANCが加入者をMSCに登録する。加入者が、DSL経由でGSMネットワークにアクセスするためにUMAを使う場合、その加入者のための位置番号としてDSL回線番号を割り当てることが可能であることが望ましいであろう。例えば、加入者が、DSL経由でGSMネットワークにアクセスするためにUMAを使う場合、加入者の位置は、DSL回線IDによって判定することができるであろう。同様に、加入者が、自宅の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)アクセスを通じてUMAを使う場合、そして、その加入者の自宅のPSTN番号が+46 26 157000である場合には、UMAアクセスを目的とする加入者の位置番号は、+46 26 157000であろう。
【0007】
仮想プライベートネットワーク(VPN)のようなサービスが、その加入者に発着信する呼を制御している場合、VPNサービスは、その加入者の現在位置番号を受信することができよう。報告された位置番号が、例えば+46 26 157000である場合には、報告された位置番号(+46 26 157000)から加入者の現在位置がGANCによってサービス提供されているということをVPNが推論できるならば、VPNは、加入者が自分のホームWLAN/DSLを用いてネットワークに接続していることを認識するであろう。位置番号がどのようにGANCに関連付けられるかについては、以下で説明しよう。
【0008】
UMAアクセスを用いている場合に位置番号が利用可能であるようにすることが、緊急呼には必要である。運用事業者は、加入者が緊急呼を確立した場合に発信加入者の位置を提供するように法律によって義務付けられている。さらに、多くの場合、合法的盗聴(Lawful Intercept:LI)システムでは、発信者または着信者の位置を判定できることが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、加入者がUMAを通してGSMネットワークに接続する場合に、例えばPSTN DSL回線番号のような位置番号がGSMネットワークに利用できるようにするメカニズムを提供する。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、Global System for Mobile CommunicationsネットワークにおいてUnlicensed Mobile Access端末の位置情報を管理する方法が提供される。Generic Access Network Controllerが、端末のIPアドレスを受信し、次いで、移動通信交換局に接続する目的でUMA端末がそれを通してIP接続性を得ているIPネットワークまたはIPサブネットワークに関連するConnectivity Session Location and Repository Functionに、クエリを送信する。Connectivity Session Location and Repository Functionは、クエリに応じて位置情報をGeneric Access Network Controllerへ返信する。次いでGeneric Access Network Controllerは、位置情報をGeneric Access Network Controllerから通信サービスノードへ送信するが、その通信サービスノードは、移動通信交換局(MSC)と、サービング汎用パケット無線システム・サービスノード(SGSN)とのうちの1つから選択される。
【0011】
位置情報は、エンハンストGSM Attach手順を用いてGeneric Access Network Controllerから通信サービスノードへ送信されてもよい。
【0012】
あるいは、Generic Access Network Controllerから通信サービスノードへ位置情報を送信する前に、位置情報を求める通信サービスノードからの要求(位置情報要求)が受信されてもよい。要求に応じて、位置情報が、Generic Access Network Controllerから通信サービスノードへ送信される。このようにして、通信サービスノードは、必要な場合に位置情報を具体的に要求してもよい。
【0013】
要求する前に、通信サービスノードが、Generic Access Network Controllerから報告されたCell Global Identifierから、Location Area CodeとCell Identifierとを判定してもよい。Location Area Code、あるいは、Location Area CodeとCell Identifierとの組み合わせは、端末が、Generic Access Network Controllerを経由して接続されているかどうかを表す。判定の結果として、位置情報を求める要求が、通信サービスノードからGeneric Access Network Controllerへと送信される。
【0014】
あるいは、W−CDMA無線アクセスに代わってUMAアクセスが用いられる場合、かつ、要求する前に、通信サービスノードが、Generic Access Network Controllerから報告されたCell Global Identifierから、Location Area CodeとService Area Codeとを判定してもよい。Location Area Code、あるいは、Location Area CodeとService Area Codeとの組み合わせは、端末が、Generic Access Network Controllerを経由して接続されているかどうかを表す。判定の結果として、位置情報を求める要求が、通信サービスノードからGeneric Access Network Controllerへと送信される。
【0015】
位置情報には、E.164公衆交換電話網番号が含まれてもよい。あるいは、位置情報は、仮想回線ID、郵便番号、地理情報、測地情報、および、無線ローカルアクセスネットワークアクセスポイントを識別する位置情報のうち、いずれかから選択されてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様によって、Global System for Mobile Communicationsネットワークで用いるGeneric Access Network Controllerが提供される。Generic Access Network Controllerは、Unlicensed Mobile Access端末のIPアドレスを受信するための受信器と、クエリメッセージを生成するためのプロセッサと、そして、端末に関連するConnectivity Session Location and Repository Functionにクエリメッセージを送信するための送信器とを備える。受信器は、クエリに応じて応答メッセージを受信するように構成され、その応答メッセージは、位置情報を含んでいる。さらに、送信器は、位置情報を有するメッセージを、移動通信交換局とサービング汎用パケット無線システム・サービスノードとから選択されたノードに送信するように構成される。
【0017】
Generic Access Network Controllerは、位置情報を記憶し、それによって位置情報のレコードを維持するためのメモリを備えてもよい。
【0018】
移動通信交換局またはサービング汎用パケット無線システム・サービスノードへ送信されることになる位置情報を有するメッセージは、Direct Transfer Application Partメッセージと、Base Station System Application Part(BSSAP)メッセージと、Radio Access Network Application Part(RANAP)メッセージと、SOAP/XMLメッセージと、LDAPメッセージとの中から選択されてもよい。
【0019】
本発明の第3の態様によって、Global System for Mobile Communicationsネットワークで用いられる移動通信交換局が提供される。移動通信交換局は、移動通信交換局に接続されてサービス提供されている加入者の位置情報を有するメッセージをアクセスネットワーク内のノードから受信するための受信器を備え、その位置情報は、Unlicensed Mobile Access端末に関連する。
【0020】
移動通信交換局は、位置情報を有するメッセージを受信する前に、報告されたCell Global Identifierから、Location Area CodeとCell Identifierとを判定するための手段を備えてもよい。Location Area Code、あるいは、Location Area CodeとCell Identifierとの組み合わせは、端末が、Generic Access Network Controllerを経由して接続されていることを表す。また、判定の結果として、位置情報を求める要求をGeneric Access Network Controllerへ送信するための送信器も提供される。
【0021】
本発明の第4の態様によって、Global System for Mobile Communicationsネットワークで用いるサービング汎用パケット無線システム・サービスノードが提供される。サービング汎用パケット無線システム・サービスノードは、サービング汎用パケット無線システム・サービスノードに接続してサービス提供されている加入者の位置情報を有するメッセージをアクセスネットワーク内のノードから受信するための受信器を備えており、その位置情報は、Unlicensed Mobile Access端末に関連する。
【0022】
好ましくは、サービング汎用パケット無線システム・サービスノードは、位置情報を有するメッセージを受信する前に、報告されたCell Global Identifierから、Location Area CodeとCell Identifierとを判定するための手段を備える。Location Area Code、あるいは、Location Area CodeとCell Identifierとの組み合わせは、端末が、Generic Access Network Controllerを経由して接続されていることを表す。また、判定の結果として、位置情報を求める要求をGeneric Access Network Controllerへ送信するための送信器も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に必要なアーキテクチャを略示する図である。
【図2】本発明の一実施形態のステップを示すフロー図である。
【図3】本発明の一実施形態によるGeneric Access Network Controllerを略示する図である。
【図4】本発明の一実施形態による移動通信交換局を略示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に、DSLアクセスネットワーク2に接続しているUMA端末1を示す。典型的にはIPアクセスプロバイダのネットワーク内に位置するNetwork Access Configuration Function(NACF)3を用いて、UMA端末1にIPアドレスを割り当てる。やはり典型的にはIPアクセスプロバイダのネットワーク内に位置するConnectivity session Location and repository Function(CLF)4も図示しており、これは、NACF3およびGeneric Access Network Controller(GANC)5と通信することができる。GANC5は、次には、GSMネットワーク7の中の移動通信交換局(MSC)6と通信するかまたはGSMネットワーク7の中のサービング汎用パケット無線システム・サービスノード(図示せず)と通信することができる。
【0025】
UMA端末1を持つ加入者が、DSLネットワーク2を経由してGSMネットワークにアクセスすることを望む場合、ステップは以下のようである。一部のステップを図2に示す。
【0026】
1.UMA加入者の宅内のADSLモデムが、IP接続性を取得する。モデムは、IPアドレスを取得するため、DHCP要求をブロードキャストする。DHCP要求が、加入者のDSL回線の接続先であるIPサブネットのDHCPサーバによって受信される。公共のインターネットへのDSL回線の接続が、DSL Access Multiplexer(DSLAM)(図1には図示せず)を経由して行われる。
【0027】
2.DHCPサーバが、内蔵されているかまたは近くにあるNACF3からのサービスを用いてIPアドレスを取得し、それをDSL回線に割り当てる。
【0028】
3.NACF3が、DSL回線のための位置関連情報をDSL運用事業者から提供される。この位置関連情報は、例えば、DSL回線のPSTN番号であってもよい。あるいは、下記のように、CLFが、この情報を提供されてもよい。
【0029】
4.NACF3が、DSL回線に割り当てられたIPアドレスを位置関連情報(PSTN番号または仮想回線ID)とペアにする。NACF3は、回線IDをCLF4に報告する。CLF4が、運用事業者の要件に応じて、その回線IDについての対応する位置番号を提供される。
【0030】
5.NACF3が、IPアドレスと位置情報とをCLF4に報告する。これは、適切なIPベースのプロトコルを用いて報告されてもよい。CLF4が、DSL回線IDだけをNACF3から受信する場合には、CLFは、内部的に記憶された位置情報を用いて、受信したIPアドレスに位置番号を関連付ける。CLFの中に記憶されていて、DSL回線IDに関連付けられた位置番号が、管理手段を通じてCLFの中に提供される。また、CLF4は、このDSL回線IDについての地理的位置情報を提供されてもよい。次いでCLFは、IPアドレスと位置情報との関連を維持する。
【0031】
6.UMA端末1は、自宅においてWLANアクセスポイントからのIP接続性を用いて、UMA加入者としてGSMネットワーク7の中のMSC6に接続する。UMA端末1は、GANC5とのIPトンネルを確立する。IPトンネルの確立は、UMA仕様に従って行われる。
【0032】
7.図2に示すように、GANC5は、IPトンネルを確立することの一部として、UMA端末1のIPアドレスを受信する(8)。GANC5は、このIPアドレスを用いてCLF4に対してクエリを行う(9)。DSLアクセスが、GANC5を含めて、GSMネットワーク7の運用事業者とは異なる運用事業者によって運用されている場合には、UMA端末1のIPアドレスを用いてCLF4のアドレスを導出する。DSLプロバイダ各社とGSM運用事業者の間の契約が整って、GANC5がそれぞれのDSL運用事業者のCLF4に対してクエリを行うことが可能になる。クエリに応じて、GANC5が、このIPアドレスに関連する位置情報を取得する(10)。本発明は、GANC5とCLF4の間のインタフェースを導入する。このインタフェースは、Session border gateway(SBG)とCLFの間のインタフェースと同様の特徴を持っており、共通に使用される。
【0033】
ここから先、GANC5は、UMA端末1の位置情報を保持する。UMA端末1は、確立されたIPトンネルを用いて、Direct Transfer Application Part(DTAP)メッセージをMSC6と交換し、そして、メディアをMedia Gatewayへ、またはMedia Gatewayから伝送し、GANC5を通してメディアを送信する。
【0034】
次いでMSC6は、位置情報をGANC5から取得できる(10)。これは、いくつかのやり方で行うことができ、2つの例を下記のステップ8aおよび8bに説明する。
【0035】
8a.本発明の一実施形態では、GANC5が、UMA端末1からMSC6へ送信されるAttachメッセージを改良する。GANC5は、Attachメッセージの中に位置情報を含める。このようにして、MSC6は、位置情報(たとえば位置番号)をAttach手順の間に直接受信する。この方法によって、位置情報の効率的な伝送が可能になる。BSC(図示せず)からMSC6への情報フローの中で無線情報を改良することは、すでに知られており、例えば、GSM加入者がMSC6との通信チャネルを確立する際にMSC6に対するDTAPシグナリングの中に「無線報告」を含めるようにするという特徴をBSCの中に実装することができる。位置番号(あるいは、CLF4から取得された、その他の位置情報)は、この情報フローに含めることができる。
【0036】
8b.本発明の代替実施形態では、GANC5は、Attachメッセージを改良しない。代わりに、MSC6が、以下のように振舞う。MSCは現在、接続手順の間にかまたは位置更新手順の間に移動局(MS)が前にMSCに報告していたCell Global Identifier(CGI)から位置番号を導出するソフトウェア手順を含んでいる。この実施形態では、ソフトウェア手順が改良される。CGIは、Mobile Country Code(MCC)と、Mobile Network Code(MNC)と、Location Area Code(LAC)と、Cell Identifier(CI)とを含む。LACは、Locationエリアに関連し、Locationエリアは、ある数(典型的には1つ)のBSCによってサービス提供される、無線アクセスネットワークの一部によって定義される。GANCは、MSCに対するBSCとして動作し、従って、それに割り当てられたLACを有する。UMA加入者がMSCに接続する場合、MSがMSCに報告するCGIの中に含まれたLACの値は、GANC5と関連付けられる。従ってLACの値は、加入者がBSCを経由してMSCに接続しているのか、それともGANCを経由してMSCに接続しているのかを表すことができる。GANC−BSCの組み合わせが用いられた場合には、そのように組み合わせた制御ノードは、他と区別可能なLAC値を用いて、アクセスモードを示す。あるいは、GANC−BSCの組み合わせは、それに割り当てられた単一のLAC値を有する。この場合、CI値は、UMAアクセスと通常のGSMアクセスとを区別するため、LAC値と組み合わせて考慮する必要がある。MSCにおける前述のソフトウェア手順は、LACから、加入者はGANC5を経由して接続していると推論し、それがMSC6をトリガして、GANC5に対してクエリが行われ、加入者の位置情報が取得される。クエリの送信先であるべきGANC5のアドレスが、MSC6に提供される(MSC6とGANC5とは同じ運用事業者に属する)。運用事業者のネットワークが複数のGANCを有する場合には、クエリの送信先であるべきGANC5のアドレスは、このGANC5から報告されるLACから導出される。GANC5は加入者のIMSIを利用可能に有することから、加入者は、クエリの中で加入者のInternational Mobile Subscriber Identity(IMSI)によって識別される。MSC6は、自分が加入者の位置情報を検索すべきかどうかを決定することができる。MSC6は、LDAPか、SOAP/XMLかその他のいずれかの適切なプロトコルを用いて、GANC5から位置情報を検索する。
【0037】
図3に、GANC5を示す。GANC5には、UMA端末1のIPアドレスを受信するための受信器12が含まれる。位置情報を取得することを目的としてCLF4へ送信するためのクエリメッセージを生成するために、プロセッサ13が提供される。また、クエリメッセージを送信するための送信器14も提供される。また、受信器12は、クエリメッセージに対する応答を受信することができ、その応答には、要求された位置情報が含まれる。この情報は、GANC5のメモリ15に記憶されてもよい。
【0038】
図4に、上記のステップ8bの実施形態によるMSC6を図解する。MSC6は、UMA端末1の位置情報を含むメッセージのための受信器16を有する。また、プロセッサ17、メモリ18、および送信器19も設けられている。上記のステップ8bに記述した実施形態の場合、プロセッサ17と送信器19とを用いて、GANCに宛てた、位置情報を要求するメッセージを生成して送信する。
【0039】
上の記述は、UMA端末1が自宅のWLANアクセスポイントを用いてMSC6に接続する事例について記述したものである。WLANアクセスポイントは、DSLに接続し、そこでDSLはPSTN回線に結合される。MSCとVASとを用いて、位置番号を無線アクセスネットワーク内の加入者の位置に関連付ける。このようにして、ユーザが自分のホームWLANアクセスポイントを通してGSMネットワーク7に接続する場合に、ユーザのUMA端末1はユーザのホーム位置番号に関連付けられる。
【0040】
UMA端末に関連する位置情報をMSCに提供することは、そのUMA端末が加入者のホームWLANアクセスポイント以外のUMAアクセスを用いてMSCに接続する場合には、可能である。その場合、異なる位置番号がMSCに対して報告されるであろうから、位置をベースにしたサービス(VAS)は、加入者が自宅にいないことを検出するであろう。
【0041】
また本発明は、別のタイプの位置情報がMSCに提供されうることを条件として、IP接続に関連するPSTN回線が存在しない場合に加入者がIP接続性を用いる場合に適用されてもよい。他のタイプのアクセスの例には、公衆WLANホットスポットおよびスタンドアロンDSL加入、すなわち、PSTN加入を有しないDSL加入が含まれる。
【0042】
これらの場合には、加入者に関連付けられるべき一番号が存在しない。公衆WLANの場合には、UMA端末1がそれを通してGSMネットワーク7にアクセスするWLANアクセスポイントは、やはりDHCPクエリを用いてIPアドレスを取得するであろう。次いで、そのWLANアクセスポイントの運用事業者が、そのWLANアクセスポイントのための適切な位置情報をNACFまたはCLFに提供してもよい。そのような場合、地理的情報が、NACF/CLFにおいて提供されてもよいし、あるいは、郵便番号のような情報が、NACF/CLFにおいて提供されてもよい。次いで、この情報は、GANC5がCLFに対するクエリを行う際にGANC5に報告されるであろうし、そして、その後、MSC6に報告されるであろう。現行のMSCは、例えばCGI、位置番号および地理的情報のような情報要素を、加入者のための位置情報の中に含める能力を有する。MSCが、例えば郵便番号のような、他のタイプの位置情報をGANCから受信する場合には、MSCの内部構造が改良される必要がある。
【0043】
本発明によって、UMA端末1がMSC6に接続することが可能になり、そして、例えばホームPSTN番号のような加入者の位置情報が、MSC6に報告される。このホームPSTN番号は、位置番号の代わりをする。このようにして、位置に基づくサービスおよびVASは、UMA加入者が自分のホーム位置にいるのかあるいは別の位置にいるのかを判定することができる。
【0044】
UMA端末1が呼を受信する場合、位置番号を含めて位置情報がVAS機能へ報告されてもよい。VPNのようなサービスがこの位置番号を使用してもよく、加入者が自宅にいて(例えば、着信料金請求が適用される国において)UMAを使って呼のための特別料金制を適用していることを、示してもよい。
【0045】
本発明は、UMAを通した緊急呼のための解決策を提示する。加入者がUMA端末を通して緊急呼(たとえば「112」「911」)を発した場合には、加入者の位置番号および地理的情報を、MSCで利用することができるであろうし、それらを例えば呼を最も近い公安応答ポイント(PSAP)にルーティングすることのような、緊急呼の処理のために使用することもできる。
【0046】
本発明によって、GANC5は、UMA端末1に関連する位置情報を取得することができる。GANCは、この情報をGSM接続の間にCLF4から取得する。CLF4は、UMA端末の位置情報を有するが、それは、運用事業者の要件と構成とによって、E.164位置番号、地理的情報(「地理座標」)、郵便番号、あるいは端末の位置を特定可能なその他のいずれかの情報であってもよい。
【0047】
位置情報は、GANC5からMSC6へのGSM Attach手順に含まれる。あるいは、位置情報を取得するためにMSC6がGANC5に対してクエリを行う。このようなかたちで受信されるUMA端末1の位置情報は、MSCをベースにした位置サービス、付加価値サービス、緊急呼および合法的盗聴のために用いられてもよい。
【0048】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく上述の実施形態に対して各種の修正が行われうることは、理解するであろう。例えば、上記の記述は、本発明がMSCに適用される場合の本発明について記述しているが、代わりに、W−CDMA無線アクセスネットワークに代わってUMAアクセスが用いられる場合には、サービング汎用パケット無線システム・サービスノード(SGSN)を用いて実装されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GSMネットワークにおいてUMA端末の位置情報を管理する方法であって、
GANコントローラにおいて、前記端末のIPアドレスを受信するステップと、
通信サービスノードに接続することを目的として前記端末がIP接続性を取得するために介したIPネットワークまたはIPサブネットワークに関連付けられたConnectivity Session Location and Repository Functionに対して、前記GANコントローラからクエリを送信するステップと、
前記クエリに応えて、前記Connectivity Session Location and Repository Functionから位置情報を受信するステップと、
通信サービスノードに対して、前記GANコントローラから前記位置情報を送信するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記通信サービスノードは、移動通信交換局(MSC)およびサービング汎用パケット無線システム・サービスノード(SGSN)のうちの1つから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
GSMネットワークにおいてGAN端末の位置情報を管理する、請求項1又は2に記載の方法であって、
前記位置情報は、エンハンストGSM Attach手順を使用して、前記通信サービスノードに対して前記GANコントローラから送信される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記通信サービスノードに対して、前記GANコントローラから前記位置情報を送信する前記ステップの前に、
前記通信サービスノードから位置情報要求を受信するステップと、
前記要求に応えて、前記通信サービスノードに対して、前記GANコントローラから前記位置情報を送信するステップと、
を更に備えることを特徴とする、GSMネットワークにおいてGAN端末の位置情報を管理する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記通信サービスノードにおいて、報告されたCell Global Identifierから、Location Area CodeとCell Identifierとを判定するステップであって、Location Area Code、または、Location Area CodeとCell Identifierとの組み合わせは、前記端末がGANコントローラを介して接続されているということを示す、ステップと、
前記判定の結果として、前記GANコントローラに対して、前記通信サービスノードから位置情報要求を送信するステップと、
を備えることを特徴とする、GSMネットワークにおいてGAN端末の位置情報を管理する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記通信サービスノードにおいて、報告されたCell Global Identifierから、Location Area CodeとService Area Codeとを判定するステップであって、Location Area Code、または、Location Area CodeとService Area Codeとの組み合わせは、前記端末がGANコントローラを介して接続されているということを示す、ステップと、
を備えることを特徴とする、GSMネットワークにおいてGAN端末の位置情報を管理する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記位置情報はE.164公衆交換電話網番号を含むことを特徴とする、GSMネットワークにおいてGAN端末の位置情報を管理する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記位置情報は、仮想回線ID、郵便番号、地理情報、測地情報、および無線ローカルエリアネットワークアクセスポイントを特定する位置情報のうちのいずれかから選択されることを特徴とする、GSMネットワークにおいてGAN端末の位置情報を管理する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
GSMネットワークにおいて使用するためのGANコントローラであって、
GAN端末のIPアドレスを受信する受信器と、
クエリメッセージを生成するプロセッサと、
前記端末に関連付けられたConnectivity Session Location and Repository Functionに対して前記クエリメッセージを送信する送信器と、
を備え、
前記受信器は、前記クエリに応える、位置情報を含んだ応答メッセージを受信するように構成され、
前記送信器は、移動通信交換局およびサービング汎用パケット無線システム・サービスノードから選択されたノードに対して、位置情報を含んだメッセージを送信するように構成される
ことを特徴とするGANコントローラ。
【請求項10】
前記位置情報を格納するメモリを更に備えることを特徴とする請求項8に記載のGANコントローラ。
【請求項11】
前記移動通信交換局または前記サービング汎用パケット無線システム・サービスノードへ送信される、位置情報を含んだ前記メッセージは、Direct Transfer Application Part(DTAP)メッセージ、Base Station System Application Part(BSSAP)メッセージ、Radio Access Network Application Part(RANAP)メッセージ、SOAP/XMLメッセージ、およびLDAPメッセージの中から選択されることを特徴とする請求項9又は10に記載のGANコントローラ。
【請求項12】
GSMネットワークにおいて使用するための移動通信交換局であって、
アクセスネットワーク内のノードから、前記移動通信交換局に接続されてサービス提供されている加入者に関する、UMA端末に関する位置情報を含んだメッセージを受信する受信器
を備えることを特徴とする移動通信交換局。
【請求項13】
位置情報を含んだ前記メッセージを受信する前に、前記端末がGANコントローラを介して接続されているということを示すLocation Area CodeとCell IdentifierまたはService Area Codeとを、報告されたCell Global Identifierから判定する手段と、
前記GANコントローラに対して、位置情報要求を送信する送信器と、
を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の移動通信交換局。
【請求項14】
GSMネットワークにおいて使用するためのサービング汎用パケット無線システム・サービスノードであって、
アクセスネットワーク内のノードから、前記サービング汎用パケット無線システム・サービスノードに接続されてサービス提供されている加入者に関する、UMA端末に関する位置情報を含んだメッセージを受信する受信器
を備えることを特徴とするサービング汎用パケット無線システム・サービスノード。
【請求項15】
位置情報を含んだ前記メッセージを受信する前に、前記端末がGANコントローラを介して接続されているということを示すLocation Area CodeとCell IdentifierまたはService Area Codeとを、報告されたCell Global Identifierから判定する手段と、
前記GANコントローラに対して、位置情報要求を送信する送信器と、
を更に備えることを特徴とする請求項14に記載のサービング汎用パケット無線システム・サービスノード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−249322(P2012−249322A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−173245(P2012−173245)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2010−515350(P2010−515350)の分割
【原出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.BLUETOOTH
3.WCDMA
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】