説明

通信ネットワークシステム、ノード装置、及び通信ネットワークシステムにおける経路選択方法

【課題】処理の低減とセキュリティを確保を図るようにした通信ネットワークシステムにおける経路選択方法を提供する。
【解決手段】ネットワークに接続された第1のノード装置と、前記第1のノード装置と無線通信を行う第2及び第3のノード装置と、前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して前記第1のノード装置と無線通信を行う第4のノード装置とを備える通信ネットワークシステムにおいて、前記第1のノード装置は、前記第2のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第1の経路及び前記第3のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第2の経路について、前記第1及び第2の経路の状態をそれぞれ示す経路選択指標に対して経路選択の基準を示す適応度に基づいて経路選択のルールを決定し、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークシステム、ノード装置、及び通信ネットワークシステムにおける経路選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からアドホックネットワークシステムと呼ばれるネットワークシステムがある。アドホックネットワークシステムとは、例えば、基地局などを介さずに端末装置やノード装置が互いに無線通信を行うことができるネットワークシステムである。
【0003】
アドホックネットワークシステムでは、例えば、ノード装置などは他のノード装置から送信された無線信号をさらに別のノード装置に中継したりすることもでき、自立分散型ネットワークシステムと称される場合がある。例えば、アドホックネットワークシステムは、災害や事故などにおける警察車両間、報道中継における中継車間などにおいて、無線通信システムとして利用される場合がある。最近では、アドホックネットワークシステムは、例えば、ITS(Intelligence Transport Systems:高度道路交通システム))における車車間通信システムにおいて利用される場合もある。
【0004】
このようなアドホックネットワークシステムにおいては、例えば、あるノード装置から端末装置に至る経路において複数の経路があるとき、経路選択が行われることがある。例えば、あるノード装置は選択された経路により、データやメッセージなどを端末装置に送信することができる。
【0005】
アドホックネットワークシステムにおける経路選択の手法としては、例えば、リアクティブ型(Reactive)とプロアクティブ型(Proactive)がある。
【0006】
リアクティブ型は、例えば、各ノード装置が他のノード装置にメッセージなどをブロードキャストで送信し、他のノード装置もブロードキャストによる送信を繰り返して目的のノード装置への経路を発見する手法である。リアクティブ型の経路選択手法としては、例えば、AODV(Ad Hoc On demand Distance Vector Algorithm)や、DSR(Dynamic Source Routing Protocol)などがある。AODVによる経路選択手法では、例えば、目標となるノード装置のノードIDを含むRREQ(Route Request)メッセージがブロードキャストにより周辺のノード装置に送信されて、周辺ノード装置もこれを繰り返すことで経路選択が行われる。しかし、リアクティブ型は、例えば、経路選択のためのメッセージがブロードキャストで送信されるため、ノード装置の数が増加すると、送信されるメッセージの数も増加し、ノード装置における経路選択に関する処理の負荷もその分だけ増加する。
【0007】
一方、プロアクティブ型は、例えば、あるノード装置がメッセージなどを他のノード装置と交換することで、任意のノード装置の経路表(又はルーティングテーブル)を作成し、経路表により目的のノード装置への経路を発見する手法でもある。プロアクティブ型の経路選択手法としては、例えば、OLSR(Optimized Link State Routing Protocol)や、TBRPF(Topology Broadcast based on Reversed-Path Forwarding Routing Protocol)などがある。OLSRによる経路選択手法では、例えば、各ノード装置が周期的にHELLOメッセージを他のノード装置と交換して、各ノード装置の状態などを通知し合うことで経路表を作成し、経路表に基づいて経路が選択される。しかし、各ノード装置は、経路表を作成するためにメッセージのやりとりが行われ、全ノード装置のネットワークトポロジを認識するため、一定の時間がかかってしまう。
【0008】
他方、経路選択の手法としては、例えば、以下のような技術がある。すなわち、マルチホップ無線通信を利用した無線ネットワークシステムにおいて、基地局が無線端末に対してデータフレームを送信し、各無線端末から送信された通信品質を集約して、各通信経路の通信品質を評価し、最適な通信経路を選択するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−35068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した特開2010−35068号公報に記載された技術の場合、基地局は専用のデータフレームを無線端末に送信しており、無線端末の数が増加すると、データフレームの送受信量も増加する。従って、無線端末の数の増加に対応して、データフレームが送受信される数も多くなるため、基地局では、経路選択の処理だけでなく、データフレームの送受信のための処理に対する負荷が大きくなる。無線端末においても、その数の増加に応じて、データフレームの受信処理や送信処理に対する負荷が大きくなる。よって、データフレームを送信する無線通信ネットワークシステム全体では、データフレームを送信しない場合と比較して、処理の負荷が大きくなる。
【0011】
リアクティブ型の経路選択手法がワイヤレスのアドホックネットワークシステムにおける経路選択手法として適用される場合、例えば、以下のような課題がある。すなわち、無線通信においては、通信とは関係のない機器や端末の影響を受けること、通信品質が通信距離と周辺環境などに依存しさらに時間的変化も伴うなど、単純に最良の品質条件だけで経路が決定されることが最良の経路選択とは限らない場合がある。
【0012】
従来技術の欄において説明したように、リアクティブ型の経路選択手法の場合、例えば、経路選択時の処理による通信量の増加がネットワークの負担となる。すなわち、アドホックネットワークシステムを構成するノード若しくは端末数が閾値より多くなると、ネットワーク負荷が急激に高くなり、通信が確立された他のノードへ影響を与え、経路そのものが確立できなくなる場合もある。
【0013】
また、プロアクティブ型による経路選択手法でも、例えば、アドホックネットワークを構成する全ノードがネットワークトポロジを認識するための時間がかかり、リアクティブ型と同様に制御可能なスケールに限界が生じる。
【0014】
一方、例えば、各ノード装置がリアクティブ型やプロアクティブ型などにより経路選択を行う場合、あるノード装置が解析されると、そのアドホックネットワークシステムにおける経路選択アルゴリズムなどが解析され、ネットワークのセキュリティが確保されない場合もある。アドホックネットワークシステムでは、例えば、各ノード装置が互いに無線通信を行っており、基地局がスケジューリングを行うような無線通信システムと比較すると、ノード装置が盗難されるなどして、経路選択アルゴリズムなどが解析される可能性は否定できず、ネットワークセキュリティに課題がある。
【0015】
そこで、本発明の一目的は、経路選択の処理を低減することのできる通信ネットワークシステム、ノード装置、及び通信ネットワークシステムにおける経路選択方法を提供することにある。
【0016】
また、本発明の一目的は、セキュリティを確保できるようにした通信ネットワークシステム、ノード装置、及び通信ネットワークシステムにおける経路選択方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一態様は、ネットワークに接続された第1のノード装置と、前記第1のノード装置と無線通信を行う第2及び第3のノード装置と、前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して前記第1のノード装置と無線通信を行う第4のノード装置とを備える通信ネットワークシステムにおいて、前記第1のノード装置は、前記第2のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第1の経路及び前記第3のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第2の経路について、前記第1及び第2の経路の状態をそれぞれ示す経路選択指標に対して経路選択の基準を示す適応度に基づいて経路選択のルールを決定し、決定された経路選択のルールに従って、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択する制御部を備え、前記第1のノード装置と前記第4のノード装置は、選択された前記第1の経路又は前記第2の経路上に位置する前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して無線通信を行う。
【発明の効果】
【0018】
経路選択の処理の低減することのできる通信ネットワークシステム、ノード装置、及び通信ネットワークシステムにおける経路選択方法を提供することができる。また、セキュリティを確保できるようにした通信ネットワークシステム、ノード装置、及び通信ネットワークシステムにおける経路選択方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は通信ネットワークシステムの構成例を表わす図である。
【図2】図2はアドホックネットワークシステムにおける経路選択結果の例と、その構成例を表わす図である。
【図3】図3(A)と図3(B)は経路選択の例をそれぞれ表わす図である。
【図4】図4はアンカーAPの構成例を表わす図である。
【図5】図5(A)はドリフトAP、図5(B)はMMEの構成例をそれぞれ表わす図である。
【図6】図6はアンカーAPにおける動作例を表わすフローチャートである。
【図7】図7はドリフトAPにおける動作例を表わすフローチャートである。
【図8】図8(A)はアンカーAPとドリフトAPの関係例を表わす図であり、図8(B)は登録処理の動作例を表わすシーケンス図である。
【図9】図9は登録処理のフローチャートの例を表わす図である。
【図10】図10(A)及び図10(B)はIPアドレス管理表の例をそれぞれ表わす図である。
【図11】図11はアンカーAPとドリフトAPの関係例を表わす図である。
【図12】図12は登録処理の動作例を表わすシーケンス図である。
【図13】図13(A)はアンカーAPとドリフトAPの関係例を表わす図であり、図13(B)は登録削除処理の動作例を表わすシーケンス図である。
【図14】図14は登録削除処理の動作例を表わすフローチャートである。
【図15】図15はアンカーAPとドリフトAPの関係例を表わす図である。
【図16】図16は登録処理の動作例を表わすシーケンス図である。
【図17】図17はアンカーAPとドリフトAPの関係例を表わす図である。
【図18】図18は登録処理の動作例を表わすシーケンス図である。
【図19】図19は最終的なドリフトAP経路管理表の生成処理の例を表わすフローチャートである。
【図20】図20(A)及び図20(B)はドリフトAP経路管理表の例をそれぞれ表わす図である。
【図21】図21はアドホックネットワークシステムの構成例を表わす図である。
【図22】図22はドリフトAP経路管理表の例を表わす図である。
【図23】図23はドリフトAP経路管理表の例を表わす図である。
【図24】図24はアンカーAP、ドリフトAP、及び端末の関係例を表わす図である。
【図25】図25はドリフトAP経路管理表の例を表わす図である。
【図26】図26(A)及び図26(B)は隣接関係リストの例をそれぞれ表わす図である。
【図27】図27(A)及び図27(B)は隣接関係リストの例をそれぞれ表わす図である。
【図28】図28(A)及び図28(B)は隣接関係リストの例をそれぞれ表わす図である。
【図29】図29は最終的なドリフトAP経路管理表の例を表わす図である。
【図30】図30は最終的なドリフトAP経路管理表の例を表わす図である。
【図31】図31(A)はノード装置と重みの関係例、図31(B)及び図31(C)は各ノードにおいて経路を構成できる条件の例をそれぞれ表わす図である。
【図32】図32は各ノードにおいて経路を構成できる条件の例を表わす図である。
【図33】図33は総合評価値の結果の例を表わす図である。
【図34】図34(A)及び図34(B)は適応度の演算の例をそれぞれ表わす図である。
【図35】図35(A)から図35(C)は経路指標に対する構成要素の観測値の例をそれぞれ表わす図である。
【図36】図36はアドホックネットワークシステムの構成例を表わす図である。
【図37】図37は動作例を表わすシーケンス図である。
【図38】図38は動作例を表わすシーケンス図である。
【図39】図39は経路選択の例を表わす図である。
【図40】図40は動作例を表わすシーケンス図である。
【図41】図41はアンカーAPのハードウェアブロックの構成例を表わす図である。
【図42】図42(A)はドリフトAP、図42(B)はMMEのハードウェアブロックの構成例をそれぞれ表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
最初に第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態における通信ネットワークシステム10の構成例を表わす図である。
【0022】
通信ネットワークシステム10は、ネットワーク100、第1のノード装置300、第2のノード装置400−1、第3のノード装置400−2、及び第4のノード装置400−3(又は500)とを備える。
【0023】
第1のノード装置300は、ネットワーク100と接続され、第1及び第2のノード装置400−1,400−2とそれぞれ無線通信を行うことができる。また、第1のノード装置300は、第2のノード装置400−1又は第3のノード装置400−2を中継して、第4のノード装置400−3(又は500)と無線通信を行うことができる。第2及び第3のノード装置400−1,400−2からすると、第1のノード装置300と無線通信を行うことができ、さらに、第1のノード装置300と第4のノード装置400−3(又は500)との間の無線通信について中継することもできる。
【0024】
第1のノード装置300は、第4のノード装置400−3(又は500)と無線通信を行うとき、第2のノード装置400−1を介した第1の経路と、第3のノード装置400−2を介した第2の経路とがある。
【0025】
第1のノード装置300は制御部370を備える。制御部370は、第1の経路及び第2の経路について、第1及び第2の経路の状態をそれぞれ示す経路選択指標に対して経路選択の基準を示す適応度に基づいて経路選択のルールを決定し、決定された経路選択のルールに従って、第1の経路又は第2の経路を選択する。
【0026】
第1のノード装置300と第4のノード装置400−3(又は500)は、選択された第1又は第2の経路上に位置する第2のノード装置400−1又は第3のノード装置400−2を介して無線通信を行うことができる。
【0027】
このように、本通信ネットワークシステム10では、第1のノード装置300が経路選択を行い、選択された経路に従って無線通信が行われる。よって、第2、第3、及び第4のノード装置400−1,400−2,400−3(又は500)がそれぞれ経路選択する場合と比較して、第1のノード装置300で経路選択が行われるため、通信ネットワークシステム10全体では経路選択の処理の低減を図ることができる。
【0028】
また、本通信ネットワークシステム10は、第1のノード装置300において経路選択が行われるため、例えば、第2、第3、及び第4のノード装置400−1,400−2,400−3(又は500)が解析されても経路選択のルールは解析されることはない。従って、通信ネットワークシステム10全体のセキュリティを確保することができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。図2は本第2の実施の形態における通信ネットワークシステム10の構成例を表わし、さらに、経路選択結果の一例を表わす図でもある。本第2の実施の形態においては、通信ネットワークシステム10として、例えば、アドホックネットワークシステム10を例にして説明することにする。
【0030】
アドホックネットワークシステム10においては、例えば、コアネットワーク100と有線又は無線により接続された第1のノード装置#n(300−n),…は、第2のノード装置400−1〜400−9と無線通信を行うことができる。また、第2のノード装置400−1〜400−9は、第3のノード装置500と第1のノード装置300−nとの無線通信を中継することもできる。
【0031】
この場合、例えば、第1のノード装置#n(300−n),…は、コアネットワーク100に対して節点となり、固定したアクセスノードとなっている。第1のノード装置#n(300−n),…を「アンカーAP(Access Point)」と称する場合がある。
【0032】
また、例えば、第2のノード装置400−1〜400−9はコアネットワーク100に対して直接の節点は持たず、移動可能なノード装置となっている。第2のノード装置400−1〜400−9を「ドリフトAP」と称する場合がある。
【0033】
さらに、例えば、第3のノード装置500もコアネットワーク100に対して直接の節点は持たず、移動可能なノード装置となっている。第3のノード装置500を「端末装置」と称する場合がある。なお、ドリフトAP400−1〜400−9と端末装置(以下、「端末」と称する場合がある)500をまとめて「アクセスノード」と称する場合もある。
【0034】
本第2の実施の形態では、アンカーAP#n(300−n)をスタートとし、端末500をゴールとして、例えばアンカーAP#n(300−n)がその時点で最適となる経路を選択することで、経路選択に関する処理の低減を図り、さらにアドホックネットワーク10のセキュリティを高めることができるようにしている。
【0035】
なお、本第2の実施の形態におけるコアネットワーク100は、例えば、第1の実施の形態におけるネットワーク100に対応する。また、本第2の実施の形態におけるアンカーAP300は、例えば、第1の実施の形態における第1のノード装置300に対応する。さらに、本第2の実施の形態におけるドリフトAP400は、例えば、第1の実施の形態における第2、第3、及び第4のノード装置400−1,400−2,400−3(又は500)に対応する。さらに、本第2の実施の形態における端末500は、例えば、第1の実施の形態にける第4のノード装置400−3(又は500)に対応する。
【0036】
以下本第2の実施の形態を以下説明する。説明の容易など考慮して以下の順番で説明することにする。
【0037】
1)アドホックネットワークシステム10の構成例(例えば、図2、図21)
2)経路選択の一例(例えば、図3(A)〜図3(B)、図2)
3)アンカーAP、ドリフトAP(又は端末)、MMEの構成例
3.1)アンカーAPの構成例(例えば、図4)
3.2)ドリフトAPの構成例(例えば、図5(A))
3.3)MMEの構成例(例えば図5(B))
4)動作例
4.1)全体動作例
4.1.1)アンカーAPの全体動作例(例えば、図6)
4.1.2)ドリフトAPの全体動作例(例えば、図7)
4.2)初期設定処理と管理帳票追加生成処理(図6の「初期設定」、「管理帳票追加生成」、図8(A)から図30)
4.3)測定事象抽出処理と抽出結果評価(図6の「測定事象抽出」と「抽出結果評価」、図33から図35(C))
4.4)最適経路決定処理(図6の「最適経路決定」、図31から図35(C))
4.5)HOが適用された場合の動作(例えば、図36から図40)
<1.アドホックネットワークシステム10の構成例>
最初にアドホックネットワークシステム10の構成例を説明する。図2または図21はアドホックネットワークシステム10の構成例を表わす図である。図2は経路選択の一例を表わしているが、本第2の実施の形態におけるアドホックネットワークシステム10の構成例も含まれている。図2や図21に表わされるように、アドホックネットワークシステム10は、コアネットワーク100、MME(Mobility Management Entity)200、アンカーAP#n(300−n),…、ドリフトAP400、及び端末500とを備える。なお、以下において、アンカーAP#n(300−n),…などについては特に断らない限り、アンカーAP300として説明することにする。
【0038】
コアネットワーク100は、例えば、公衆の移動通信ネットワークであり、コアネットワーク100に接続された種々の装置により、端末500やドリフトAP400などの位置情報や認証情報、課金管理などを行うことができるようになっている。
【0039】
MME200は、コアネットワーク100に直接接続されて、新規にアドホックネットワークに接続するドリフトAP400から送信された接続要求に対して接続許可を発行することができる。また、MME200は、同時に複数のドリフトAP400からの接続要求に対して排他処理などを行い、いずれかのドリフトAP400に対して接続許可を発行することができる。
【0040】
アンカーAP300は、コアネットワーク100に直接接続されて、最適経路を選択する経路選択処理を行うことができる。また、アンカーAP300は、最適経路選択後において、ドリフトAP400や端末500に対してハンドオーバを制御することもできる。アンカーAP300における経路選択処理やハンドオーバ処理などの詳細は後述する。なお、本第2の実施の形態において、アンカーAP300とコアネットワーク100とは、有線により接続されてもよいし、無線により接続されてもよい。
【0041】
ドリフトAP400は、例えば、コアネットワーク100と直接接続されておらず、アンカーAP300や端末500と無線通信可能なノード装置として固定設置あるいは移動可能なものとなっている。ドリフトAP400は、アンカーAP300から送信された無線信号を受信したり、アンカーAP300に無線信号を送信することもできる。また、ドリフトAP400は、端末500から送信された無線信号を中継してアンカーAP300に送信したり、アンカーAP300から送信された無線信号を中継して端末500に送信することもできる。
【0042】
なお、アンカーAP300の探索空間に存在する1又は複数のドリフトAP400を、例えば「ドリフトAP」群と称する場合がある。ドリフトAP群は、アンカーAP300から端末500に至るまでの経路において、1又は複数のドリフトAP400を介した階層構成となっている。ドリフトAP群においては、例えば、1ホップ以上の経路が存在する。図2の例では、ドリフトAP群として、ドリフトAP(400−1)からドリフトAP(400−9)のドリフトAPがある。
【0043】
端末500は、例えば、ドリフトAP400を介して、あるいは直接アンカーAP300と無線通信を行い、音声や映像、テキストなどのデータを送信したり、受信したりすることができる。端末500は、例えば、携帯電話機(例えばフィーチャーフォンやスマートフォンも含む)やタブレット端末など、移動可能な情報通信端末装置などである。なお、本第2の実施の形態において、端末500はドリフトAP400の一つとしてもよい。
【0044】
<2.経路選択の一例>
次にアドホックネットワークシステム10において、経路選択の一例について説明する。図2から図3(B)は経路選択の一例を表わす図である。
【0045】
本第2の実施の形態における経路選択は、例えば、アンカーAP300から端末500に至る複数の経路のうち、経路毎に当該経路の状態を示す1又は複数の経路選択指標と呼ばれる指標が評価され、当該経路選択指標から当該アドホックネットワークが採用している経路選択の基準に基づき、すなわち、適応度に応じた経路が選択される。
【0046】
ここで、経路選択指標とは、例えば、経路の状態を示す指標を総称したものである。経路選択指標は、例えば、ドリフトAP400間のホップ数、ドリフトAP400間の無線品質(例えばパケットロス率、エラー頻度、又はノイズの比率など)、各ドリフトAP400の無線資源の余力(又は残余量)などである。
【0047】
また、適応度とは、例えば、経路選択においてどのルールを採用するかの基準又は指標とすることができる。
【0048】
例えば、図3(A)の例では、アンカーAP#n(300−n)から端末500に至る複数の経路のうち、適応度の最も高い、ドリフトAP#11(400−11)を介した経路が選択されている例を表わしている。図3(B)は、さらに、ドリフトAP群の中から、適応度が最も高いドリフトAP#20(400−20)を介した経路が選択される例を表わしている。
【0049】
図2は経路選択結果の例を示しており、各ドリフトAP(400−1〜400−9)に示した数値は経路選択指標を表わしている。図2における経路選択指標は、例えば、各ドリフトAP400における無線資源の余力とすることができる。
【0050】
図2において、経路1は、例えば、アンカーAP#n(300−n)から端末500に至る経路(経路1から経路4)のうち、ホップ数が最小の経路が選択された場合の経路例である。この場合、例えば、経路選択指標はホップ数であり、適応度としては最小値とすることもできる。よって、経路選択のルールとしては、アンカーAP#n(300−n)から端末500に至る経路のうち、ホップ数が最小の経路、とすることができる。このような経路選択のルールにより選択された経路が「経路1」となる。
【0051】
経路2は、例えば、アンカーAP#n(300−n)から端末500に至る経路のうち、無線資源の余力が「3」以上であり、かつ、ホップ数が最小の経路が選択された場合の経路例である。この場合、例えば、経路選択指標は「ホップ数」と「無線資源の余力」であり、この2つの経路選択指標を適応度とした経路選択のルールに基づく経路選択例を表わしている。この例の場合、例えば、適応度は、「ホップ数」に対しては最小値、「無線資源の余力」に対しては「3」とすることができる。よって、経路選択のルールとしては、無線資源の余力が「3」以上で、かつ、ホップ数が最小となる経路、とすることができる。このような経路選択のルールにより選択された経路が「経路2」となる。
【0052】
経路3は、例えば、アンカーAP#n(300−n)から端末500に至る経路のうち、経路選択指標(例えば無線資源の余力)がある基準(これの例では「4」)以上の経路が選択された場合の経路例である。この場合、例えば、経路選択指標は無線資源の余力、適応度は「4」とすることができる。よって、経路選択のルールとしては、無線資源の余力が「4」以上の経路、とすることができる。このような経路選択のルールに従って選択された経路が「経路3」となる。
【0053】
経路4は、例えば、アンカーAP#n(300−n)から端末500に至る経路のうち、経路選択指標(例えば無線資源の余力)が最良(又は最大)の経路が選択された場合の経路例である。この場合、例えば、経路選択指標は無線資源の余力、適応度は「最大値」などとすることができる。よって、経路選択のルールとしては、無線資源の余力が最大となる経路、とすることができる。このような経路選択のルールに従って選択された経路が「経路4」となる。
【0054】
経路1から経路4のうちいずれかを選択するかは、例えば、本アドホックネットワークシステム10における設計思想や、各ドリフトAP400の状況などによる。よって、あるアドホックネットワークシステムでは経路1が選択される場合もあれば、他のアドホックネットワークシステムでは経路4が選択される場合もある。どのような経路選択指標が用いられ、あるいは、どのような適応度にするか、など、アドホックネットワークシステムごとに異なっていてもよい。
【0055】
本第2の実施の形態では、経路選択のルールを経路選択指標の中から当該アドホックネットワークシステム10が採用する適応度により決定し、その決定したルールに従って経路を選択するようにしている、ということができる。
【0056】
そして、本第2の実施の形態では、このような経路選択についてはアンカーAP#n(300−n)において行われるようにしている。アドホックネットワークシステム10のような「自立分散型ネットワークシステム」では、各ドリフトAP400や端末500などが互いに無線通信を行うようになされており、経路選択についても各ドリフトAP400や端末500で行われることができる。本第2の実施の形態では、アンカーAP#n(300−n)が集約して経路選択を行うようにすることで、各ドリフトAP400や端末500では経路選択の処理を行うことがなくなり、アドホックネットワークシステム10全体の処理軽減を図ることができる。また、各ドリフトAP400などが解析されても経路選択のルールはアンカーAP300において保持しているため、各ドリフトAPが解析されるような場合と比較してセキュリティを確保できる。
【0057】
<3.アドホックネットワークシステム10における各部の構成例>
次にアドホックネットワークシステム10におけるアンカーAP300、ドリフトAP400、端末500、及びMME200の各構成例について説明することにする。最初に、アンカーAP300の構成例について説明し、次にドリフトAP400と端末500の構成例、最後にMME200の構成例を説明することにする。なお、本第2の実施の形態では、例えば、ドリフトAP400と端末500の構成例は同一としている。
【0058】
<3.1 アンカーAP300の構成例>
図4はアンカーAP300の構成例を表わす図である。アンカーAP300は、アンテナ301,302、無線部310、制御部320、電源部340、メモリ341、同期クロック発生部342、伝送路インタフェース部350を備える。また、無線部310は、送信部311と受信部312を備える。さらに、制御部320は、信号生成部321、信号分析部322、処理部323、データ送信部324、及び制御情報受信部325を備える。
【0059】
なお、本第2の実施の形態における制御部320は、例えば、第1の実施の形態における制御部370に対応する。
【0060】
アンテナ301,302は、ドリフトAP400又は端末500から送信された無線信号を受信して無線部310に出力したり、無線部310から出力された無線信号をドリフトAP400又は端末500に送信することができる。
【0061】
送信部311は、例えば、制御部320から出力されたベースバンド信号を所定の周波数帯域の無線信号に変換(アップコンバード)してアンテナ301,302に出力することができる。送信部311は、このような変換が行われるよう、例えば、A/D変換器、周波数帯域通過フィルタ(BPF:Band Pass Filter)、D/A変換器などを備えてもよい。
【0062】
受信部312は、例えば、アンテナ301,302から出力された無線信号をベースバンド帯域の信号に変換(ダウンコンバート)し、変換後の信号をベースバンド信号として制御部320に出力することができる。受信部も、このような変換が行われるように、例えば、A/D変換器、周波数帯域通過フィルタ、D/A変換器などを備えるようにしてもよい。
【0063】
制御部320は、無線部310において送受信される信号などの処理や、伝送路インタフェース部350を介してコアネットワーク100に送受信されるデータなどの処理などを行う。
【0064】
信号生成部321は、例えば、処理部323や伝送路インタフェース部350などから出力されたデータなどに対して、誤り訂正符号化処理や変調処理などを施してベースバンド信号を生成することができる。信号生成部321は、生成したベースバンド信号を無線部310に出力することができる。
【0065】
信号分析部322は、例えば、受信部から出力されたベースバンド信号に対して、復調処理や誤り訂正復号化処理などを施し、データや制御信号などを抽出することができる。信号分析部322は、例えば、データや制御信号などを分析し、データや制御信号などを処理部323に出力したり、データをデータ送信部324に出力したりすることができる。
【0066】
処理部323は、例えば、信号分析部322から出力されたデータや制御信号などに対して各種処理を行うことができ、適宜、メモリ341にアクセスしてデータなどを記憶することができる。また、処理部323は、伝送路インタフェース部350を介して入力したデータや制御情報などに対して各種処理を施すことができ、適宜、メモリ341にアクセスしてデータなどを記憶することができる。本第2の実施の形態において、処理部323は、例えば、初期設定処理、管理帳票追加生成処理、測定事象抽出処理、抽出結果評価処理、最適経路決定処理などを行うことができる。これらの処理の詳細は後述する。
【0067】
データ送信部324は、例えば、処理部323や信号分析部322から出力されたデータなどを、伝送路インタフェース部350を介してMME200などに送信することができる。
【0068】
制御情報受信部325は、例えば、伝送路インタフェース部350を介して、MME200などから送信された制御情報などを受信して、処理部323に出力することができる。
【0069】
伝送路インタフェース部350は、例えば、データ送信部324から出力されたデータなどをコアネットワーク100に送信できるフォーマットに変換して、メッセージなどとしてMME200などに送信することができる。また、伝送路インタフェース部350は、MME200などから送信されたメッセージなどを受信して、メッセージなどからデータや制御情報などを抽出し、処理部323や制御情報受信部325に出力することができる。
【0070】
電源部340は、例えば、操作者の操作に応じて、制御部320に対して電源を供給したり、制御部320に対する電源供給を停止させたりすることができる。
【0071】
メモリ341は、例えば、記憶装置であって、IP(Internet Protocol)アドレス管理表、隣接関係リスト、及びドリフトAP経路管理表などを記憶することができる。IPアドレス管理表、隣接関係リスト、及びドリフトAP経路管理表などの詳細は後述する。
【0072】
同期クロック発生部342は、例えば、同期用のクロックを発生して制御部320に出力することで、制御部320が同期用のクロックに同期して処理を行わせることができる。例えば、信号生成部321は同期用のクロックに同期してベースバンド信号を無線部310に出力したり、信号分析部322は無線部310から出力されたベースバンド信号に対して同期クロックに同期して入力したりすることができる。
【0073】
<3.2 ドリフトAP400の構成例>
次にドリフトAP400の構成例を説明する。図5(A)はドリフトAP400の構成例を表わす図である。ドリフトAP400は、例えば、上述したように、コアネットワーク100と直接接続されておらず、アンカーAP300や端末500と無線通信可能なノード装置として固定設置あるいは移動可能なノード装置となっている。また、ドリフトAP400は、例えば、アンカーAP300から送信された無線信号を中継して、他のドリフトAP400や端末500に送信したり、他のドリフトAP400や端末500から送信された無線信号を中継して、アンカーAP300に送信したりすることもできる。
【0074】
ドリフトAP400は、アンテナ401,402、無線部410、制御部420、電源部440、メモリ441、及び同期クロック発生部442を備える。また、無線部410は送信部411と受信部412を備える。さらに、制御部420は、信号生成部421、信号分析部422、及び処理部423を備える。
【0075】
アンテナ401,402は、例えば、送信部411から出力された無線信号をアンカーAP300や端末500に送信したり、アンカーAP300や端末500から送信された無線信号を受信して受信部に出力することができる。
【0076】
送信部411は、例えば、制御部420から出力されたベースバンド信号を所定の周波数帯域の無線信号に変換(アップコンバード)してアンテナ401,402に出力することができる。送信部411は、このような変換が行われるよう、例えば、A/D変換器、周波数帯域通過フィルタ(BPF:Band Pass Filter)、D/A変換器などを備えてもよい。
【0077】
受信部412は、例えば、アンテナ401,402から出力された無線信号をベースバンド帯域の信号に変換(ダウンコンバート)し、変換後の信号をベースバンド信号として制御部420に出力することができる。受信部も、このような変換が行われるように、例えば、A/D変換器、周波数帯域通過フィルタ、D/A変換器などを備えるようにしてもよい。
【0078】
信号生成部421は、例えば、処理部423などから出力されたデータなどに対して、誤り訂正符号化処理や変調処理などを施してベースバンド信号を生成することができる。信号生成部421は、生成したベースバンド信号を無線部410に出力することができる。
【0079】
信号分析部422は、例えば、受信部から出力されたベースバンド信号に対して、復調処理や誤り訂正復号化処理などを施し、データや制御信号などを抽出することができる。信号分析部422は、例えば、データや制御信号などを分析し、データや制御信号などを処理部423に出力することができる。
【0080】
処理部423は、例えば、信号分析部422から出力されたデータや制御信号などに対して各種処理を施すことができ、適宜、メモリ441にアクセスしてデータなどを記憶することができる。本第2の実施の形態において、処理部423は、例えば、初期設定処理や経路品質指標測定処理などを行うことができる。初期設定処理と経路品質指標測定処理の詳細は後述する。
【0081】
電源部440は、例えば、操作者の操作に応じて、制御部420に対して電源を供給したり、制御部420に対する電源供給を停止させたりすることができる。
【0082】
メモリ441は、例えば、記憶装置であり、処理部423での処理に応じてデータなどを記憶することができる。
【0083】
同期クロック発生部442は、例えば、制御部420に対して同期クロックを出力することで、信号生成部421に対して同期クロックに同期して処理を行わせることができる。例えば、信号生成部421は、同期クロックに同期して、信号生成部421からベースバンド信号を出力したり、無線部410から出力されたベースバンド信号を入力することができる。
【0084】
<3.3 MME200の構成例>
次にMME200の構成例について説明する。MME200は、例えば、アドホックネットワークに新規に接続するドリフトAP400から送信された接続要求に対して接続許可を発行したり、或いは、重複した接続要求に対して排他処理を行うなどの処理を行うことができる。図5(B)はMME200の構成例を表わす図である。
【0085】
MME200は、制御部220、電源部240、メモリ241、及び伝送路インタフェース部250を備える。
【0086】
制御部220は、例えば、接続要求に対しる接続許可の発行や、排他処理などを行うことができる。制御部220は、このような処理を行うときに、適宜、メモリ241にアクセスしてデータなどを書き込んだり、読み出したりすることができる。
【0087】
電源部240は、例えば、操作者の操作に応じて、制御部220に対して電源を供給したり、制御部220に対する電源供給を停止させたりすることができる。
【0088】
メモリ241は、例えば、記憶装置であり、データなど記憶したりすることができる。
【0089】
伝送路インタフェース部250は、コアネットワーク100に接続され、例えば、制御部220から出力されたデータなどに対してコアネットワーク100に送信できるフォーマットに変換して、コアネットワーク100に送信することができる。また、伝送路インタフェース部250は、例えば、コアネットワーク100を介してアンカーAP300から送信されたメッセージなどを受信して、制御部220で処理できるフォーマットに変換するなどしてデータなどを抽出して、制御部220に出力することもできる。
【0090】
<4.動作例>
次に動作例について説明する。最初に、アンカーAP300における全体動作例を説明し、次にドリフトAP400における全体動作例を説明する。全体動作例について説明した後、アンカーAP300における各処理(初期設定処理や管理帳票追加生成処理など)の詳細について説明することにする。
【0091】
<4.1 全体動作例>
<4.1.1 アンカーAP300における全体動作例>
図6はアンカーAP300における全体動作例を表わすフローチャートである。図6における各処理は、例えば、アンカーAP300の処理部323において実行することができる。
【0092】
アンカーAP300は、呼を生起すると処理を開始する(S10)。例えば、コアネットワーク100に接続された他の装置などから、ドリフトAP400や端末500宛てのデータを初めて受信したときなど、呼を生起して処理を開始することができる。例えば、伝送路インタフェース部350はドリフトAP400や端末500宛てのデータを受信したとき受信したデータなどを処理部323に出力し、処理部323は伝送路インタフェース部350からドリフトAP400や端末500宛てのデータなどを初めて受け取ったとき、呼を生起することができる。処理部323は、例えば、発呼メッセージなどの呼に関するメッセージを生成し、信号生成部321と無線部310などを介してドリフトAP400や端末500に対して呼の発生を通知することができる。
【0093】
次いで、アンカーAP300は初期設定を行う(S12)。アンカーAP300は、初期設定において、例えば、呼の生起の際に関与したドリフトAP400や端末500に対して、各無線区間における経路品質指標の管理や維持のために、隣接関係リストやドリフトAP経路管理表などを生成することができる。初期設定処理の詳細は、図8(A)から図30を用いて後述する。
【0094】
次いで、アンカーAP300は経路品質指標測定処理を行う(S13)。経路品質指標測定処理とは、例えば、アンカーAP300がドリフトAP400や端末500に対して、経路品質指標の測定を要求し、測定結果を受信すると、ドリフトAP経路管理表の対応する項目に受信した測定結果を記憶する処理のことである。
【0095】
例えば、アンカーAP300は、Measurement Report要求(又は、Measurement Report要求メッセージ、以下、ドリフトAP400とアンカーAP300などノード装置間において送信又は受信されるメッセージについては「メッセージ」の用語を省略する場合がある)を、ドリフトAP経路管理表に記憶されたドリフトAP400や端末500に対して送信する。そして、アンカーAP300は、当該要求に対応するMeasurement Reportを受信し、当該Reportに含まれる経路品質指標をドリフトAP経路管理表に記憶することができる。例えば、アンカーAP300は図29や図30に示す最終的なドリフトAP経路管理表に、経路品質指標を記憶することができる。図29や図30に示す最終的なドリフトAP経路管理表の詳細は後述する。経路品質指標としては、例えば、各無線区間の電界強度、ノイズ率やエラー頻度(例えば、SINR(signal to interference and noise ratio)やCINR(carrier to interference and noise ratio)などを含む)、パケットロス率、ホップ数などを含む。さらに、経路品質指標としては、ドリフトAP400や端末500における無線資源の余力(又は残存する無線リソース量)、処理能力を表わす数値などであってもよい。このような経路品質指標は、例えば、経路品質指標測定処理により、最終的なドリフトAP経路管理表に記憶されることになる。経路品質指標は、例えば、Measurement Reportに含まれるものであって、経路選択指標と同一の意味として表記する場合もある。
【0096】
図6に戻り、次いで、アンカーAP300は管理帳票追加生成処理を行う(S14)。管理帳票追加生成処理は、例えば、測定されたMeasurement Reportに基づいて、最終的なドリフトAP経路管理表に対して新たなエントリを追加するなどの処理である。例えば、アンカーAP300は、図29や図39に示す最終的なドリフトAP経路管理表に対して、新たにエントリを追加することができる。
【0097】
図6に戻り、次いで、アンカーAP300は測定事象抽出処理を行う(S15)。例えば、アンカーAP300は最終的なドリフトAP経路管理表に記憶されたMeasurement Reportの結果に対して、いずれかの測定事象を抽出することができる。例えば、最終的なドリフトAP経路管理表には、各無線区間における電界強度、ノイズ率やエラー頻度、ホップ数、無線資源の余力、及び処理能力を表わす数値などが経路品質指標として記憶される。これらの経路品質指標の一つ一つが、例えば、測定事象であり、アンカーAP300は最終的なドリフトAP経路管理表から測定事象を読み出すことができる。
【0098】
なお、以降の説明において、「測定事象」或いは「測定した事象」については、便宜的に「経路品質指標」という表現を用いる場合もある。
【0099】
そして、アンカーAP300は、抽出した測定事象が経路選択のための適応度(例えば、閾値Q)以上の経路があるか否かを判別する(S16)。例えば、アンカーAP300は抽出した測定事象が適応度以上のとき(又は測定事象が適応度を満たすとき)、以降の処理を行う。一方、アンカーAP300は抽出した測定事象が適応度より低いとき(又は測定事象が適応度を満たさないとき)、再度測定事象抽出処理(S15)を行う。
【0100】
例えば、図2の例では、経路品質指標として「ホップ数」や「無線資源の残余率」が測定されて、アンカーAP300は、経路品質指標のうち「無線資源の残余率」(図2では各ドリフトAP400の数値)を測定事象として抽出する。そして、アンカーAP300は、「無線資源の残余率」が、例えば「8」(閾値Q=8)以上であるか否か、などを判別することができる。「無線資源の残余率」が「8」(閾値Q=8)以上のとき、このような経路は図2の例ではないため、アンカーAP300は、他の測定事象として「ホップ数」を抽出することができる。そして、アンカーAP300は「ホップ数」が閾値Q以上の経路があるか否かを判別することができる。
【0101】
なお、抽出された測定事象のうち、適応度以上となる測定事象を、例えば経路選択指標とすることができる。ただし、経路選択指標は、例えば経路の状態を示す指標を総称したものであるから、すべての測定事象を経路選択指標とすることもできるし、経路品質指標を経路選択指標とすることもできる。
【0102】
図6に戻り、アンカーAP300は、抽出した測定事象について適応度以上の経路がないとき(S16でNo)、再度測定事象抽出処理を行い(S15)、他の測定事象を抽出することになる。
【0103】
一方、アンカーAP300は、抽出した測定事象について適応度以上の経路があるとき(S16でYes)、ハンドオーバ要求の有無を判別する(S17)。例えば、アンカーAP300は、ドリフトAP400や端末500についてのMeasurement Reportのうち、接続しているアンカーAP300やドリフトAP400などに対する電界強度が閾値以下のとき、ハンドオーバ要求を生成することができる。アンカーAP300はこのハンドオーバ要求の生成の有無により、本処理を判別することができる。本アドホックネットワークシステム10においては、例えば、アンカーAP300がハンドオーバ要求を生成し、ドリフトAP400に対してハンドオーバを指示することができるようになっている。詳細は後述する。
【0104】
アンカーAP300は、ハンドオーバ要求を生成しないとき(S17でNo)、経路品質指標測定処理(S13)に移行して、上述した処理を繰り返す。この場合は、例えば、ハンドオーバにより端末500が移動することがないため、現在接続している経路を維持し、再度、経路品質指標を収集することになる。
【0105】
一方、アンカーAP300は、ハンドオーバ要求を生成するとき(S17でYes)、抽出結果評価処理(S18)を行う。アンカーAP300は、例えば、ドリフトAP400や端末500について経路を切替えるような状況となったときに抽出結果評価処理を行う。抽出結果評価処理は、例えば、アドホックネットワークにおいて採用される経路決定ルールに基づき、どの経路選択指標を適応度として比較するのか等の処理である。又は、抽出結果評価処理は、例えば、後段の最適経路決定処理に先立ち、新しい経路として「経路1」なのか、「経路2」なのかなどを比較評価する処理である。例えば、抽出結果評価処理は、後段の最適経路決定処理の一部として処理が行われても良く、図6において抽出結果評価処理(S18)と最適経路決定処理(S19)とが一つにまとめられて一つの処理ブロックと表記されてもよい。
【0106】
次いで、アンカーAP300は、最適経路決定処理を行う(S19)。例えば、アンカーAP300は、経路選択指標に対して適応度以上となる経路を選択することで最適経路を選択することができる。例えば、図2の例では、経路選択指標として「無線資源の残余率」とし、適応度として「4」以上を経路選択のルールとするとき、これを満たす経路として、経路3が最適経路として選択される。
【0107】
次いで、アンカーAP300はハンドオーバ要求を、決定した最適経路のドリフトAP400や他のアンカーAP300などに送信する(S20)。例えば、図2の例で最適経路が経路2のときで、かつ、ハンドオーバ要求を送信するときは、アンカーAP#n(300−n)はドリフトAP(400−2)にハンドオーバ要求を送信することができる。あるいは、図2の例で、ハンドオーバ要求を送信するときであって、かつ、最適経路として経路4が選択されたとき、アンカーAP#n(300−n)はドリフトAP(400−7)にハンドオーバ要求を送信することができる。
【0108】
次いで、アンカーAP300は、ハンドオーバ要求に対して、Context Releaseを受信する(S21)。例えば、アンカーAP300は、ハンドオーバ先のドリフトAP400からContext Releaseを受信することができる。
【0109】
そして、処理は再び経路品質指標測定処理(S13)に移行し、アンカーAP300は上述した処理を繰り返すことができる。
【0110】
一方、アンカーAP300は、経路品質指標測定処理(S13)以降の各処理間において、呼の終話を検出したときは、接続先のドリフトAP400や端末500に呼の終話を通知することができる(S22)。例えば、接続先のドリフトAP400や端末500から送信された呼の終話に関するメッセージを受信したときや、コアネットワーク100を介して他の装置から送信された呼終話メッセージなどを受信したとき、アンカーAP300は呼の終話を検出することができる。
【0111】
次いで、アンカーAP300は解放処理を行う(S23)。例えば、アンカーAP300は呼の接続先であるドリフトAP400や端末500に関するデータなどを保持しており、解放処理により保持したデータなどを削除することができる。
【0112】
そして、アンカーAP300は一連の処理を終了する(S24)。
【0113】
<4.1.2 ドリフトAP400の全体動作例>
次にドリフトAP400の全体動作例について説明する。図7はドリフトAP400の全体動作例を表すフローチャートである。
【0114】
ドリフトAP400は処理を開始すると(S30)、アンカーAP300から送信されたMeasurement Report要求を受信する(S31)。このMeasurement Report要求は、例えば、アンカーAP300と自ドリフトAP(400−1)間の経路品質指標の測定を要求するものである。例えば、図2において経路1上に位置するドリフトAP(400−1)は、アンカーAP#n(300−n)とドリフトAP(400−1)間の経路品質指標の測定を要求するMeasurement Report要求を受信する。例えば、受信部412はアンテナ402を介してMeasurement Report要求を示す無線信号を受信し、Measurement Report要求を抽出し、信号分析部422を介して処理部423に出力することができる。
【0115】
次いで、ドリフトAP400は、ドリフトAP400配下の他のドリフトAPや端末500に対して、Measurement Report要求を送信する(S33)。ドリフトAP400配下とは、例えば、図2の例では経路1上にあるドリフトAP(400−1)に対して端末500がその配下となり、経路2上にあるドリフトAP(400−2)に対してドリフトAP(400−3)と端末500がその配下となる。例えば、アンカーAP300から送信されたMeasurement Report要求には、どのドリフトAP400または端末500にMeasurement Report要求を送信すべきかの送信先の情報(又は経路情報)も含まれている。ドリフトAP400は、アンカーAP300から受信したMeasurement Report要求に含まれる送信先を送信先とするMeasurement Report要求を生成して送信することができる。これにより、例えば、ドリフトAP400は配下の他のドリフトAPや端末500に対してMeasurement Report要求を送信することができる。例えば、処理部323はMeasurement Reportから送信先の情報を抽出し、当該送信先を送信先とするMeasurement Report要求を生成し、信号生成部321と無線部310を介して配下のドリフトAP400や端末500に送信することができる。
【0116】
図7に戻り、次いで、ドリフトAP400は、Measurement Report要求に対応するMeasurement Reportを受信する(S34)。ドリフトAP400配下の他のドリフトAPや端末500は、Measurement Report要求を受信すると、経路品質指標を測定し、測定結果をMeasurement Reportに含めて送信することができる。経路品質指標とは、例えば、各無線区間などの測定事象又は観測値を示す。
【0117】
例えば、図2の例では、経路1においてドリフトAP(400−1)からMeasurement Report要求を受信した端末500は、端末500とドリフトAP(400−1)間などの経路品質指標を測定し、Measurement ReportをドリフトAP(400−1)に送信することができる。
【0118】
なお、端末500は、自局で測定したMeasurement Reportについて、他のノード装置において測定されたMeasurement Reportと区別するために、例えば、端末500のIPアドレスを含めて送信することができる。例えば、端末500の処理部423はメモリ441に記憶されたIPアドレスを読み出して、Measurement Reportに含めて送信することができる。
【0119】
また、図2の例において、ドリフトAP(400−3)はドリフトAP(400−2)との間などの経路品質指標を測定し、端末500はドリフトAP(400−3)との間の経路品質指標を測定することができる。端末500は測定した経路品質指標を含むMeasurement ReportをドリフトAP(400−3)に送信し、ドリフトAP(400−3)はこのMeasurement Reportを中継してドリフトAP(400−2)に送信することができる。また、ドリフトAP(400−3)は、ドリフトAP(400−2)との間などの経路品質指標をMeasurement Reportに含めてドリフトAP(400−2)に送信することができる。これにより、例えば、ドリフトAP(400−2)は、配下のドリフトAP(400−3)間や端末500とドリフトAP(400−3)間などの経路品質指標を収集することができる。
【0120】
なお、ドリフトAP(400−3)は、自局で測定したMeasurement Reportについて、他と区別するために、例えば、ドリフトAP(400−3)のIPアドレスを含めて送信することができる。例えば、ドリフトAP(400−3)の処理部423がメモリ441に記憶されたIPアドレスを読み出し、Measurement Reportに含めて送信することができる。
【0121】
図7に戻り、次いで、ドリフトAP400は、収集した経路品質指標について所定品質以上か否かをそれぞれ判別し(S35)、所定品質以上のとき(S35でYes)、経路品質指標を編集する(S36)。所定品質か否かは、例えば、メモリ441に閾値が保持され、処理部423により経路品質指標と閾値とが比較されることで行われる。又は、所定品質か否かは、例えば、処理部423がMeasurement Reportで測定される種々の経路品質指標(又は経路選択指標)の値についてある基準値を満たしているか否かを判別することで行うことができる。また、編集については、例えば、受信した1または複数のMeasurement Reportを処理部423において1つにまとめるなどにより行われる。例えば、ドリフトAP400の処理部423は、Measurement Reportの受信順に経路品質指標をまとめることで、経路品質指標がドリフトAP400に近い順序でまとめられて、経路情報の一つとすることもできる。なお、本処理(S35)の「所定品質」における「品質」とは、例えば、ドリフトAP400とアンカーAP300、又はアンカーAP300と端末500との間の無線区間の伝送品質(又は無線品質)だけではなく、ホップ数や無線資源の残余率などとも含む意味で用いられる。
【0122】
一方、ドリフトAP400は、収集した経路品質指標について所定品質以上でないとき(S35でNo)、再度、Measurement Report要求を他のドリフトAPに送信する(S33)。例えば、ドリフトAP400の処理部423は、収集した経路品質指標について所定品質以上でないとき、Measurement Report要求を生成し、信号生成部421などを介して、ドリフトAP400配下の他のドリフトAPや端末500にMeasurement Report要求を送信する(S33)。以降は、上述した処理(S34、S35)を繰り返す。
【0123】
ドリフトAP400は、経路品質指標を編集すると、編集した経路品質指標を含むMeasurement Reportを生成し、アンカーAP300に送信する(S37)。このMeasurement Reportには、例えば、ドリフトAP400とアンカーAP300との間の経路品質指標も含まれる。例えば、処理部423は、アンカーAP300からMeasurement Report要求を受信すると(S31)、受信部412において受信したアンカーAP300からの無線信号の電界強度を測定したり、一定期間内におけるパケットロス率を測定することで、経路品質指標を測定する。それ以外にも、例えば、処理部423は無線資源の残余率を測定したり、Measurement Report要求に含まれる送信先に基づいてホップ数を測定して、経路品質指標を測定することもできる。
【0124】
そして、ドリフトAP400は一連の処理を終了する(S38)。
【0125】
<4.2 「初期設定」と「経路品質指標測定」、及び「管理帳票追加生成」の各処理の詳細>
次に、アンカーAP300の全体動作における「初期設定」(S12)と「経路品質指標測定」(S13)、及び「管理帳票追加生成」(S14)の各処理の詳細について説明する。
【0126】
<4.2.1 「初期設定」について>
最初に「初期設定」(S12)について説明する。「初期設定」は、例えば、アンカーAP300によって最終的なドリフトAP経路管理表が生成される処理のことであり、この最終的なドリフトAP経路管理表が生成されることで、経路品質指標の管理や維持などを行うことが可能となる。図8(A)から図30は、「初期設定」を説明するための図である。例えば、アンカーAP300は、「初期設定」により図29や図30に示す最終的なドリフトAP経路管理表を生成し、「経路品質指標測定」により、生成した最終的なドリフトAP経路管理表の「Measurement Resultログ」に経路品質指標を記憶する。そして、アンカーAP300は、「管理帳票追加生成」により、最終的なドリフトAP経路管理表にエントリを追加する場合は追加する処理を行う。
【0127】
図8(A)から図9は、「初期設定」におけるドリフトAP400の登録処理の例を説明するための図である。ドリフトAP400や端末500は、アドホックネットワークシステム10において、例えば移動したりすることができる。このようなドリフトAP400や端末500があるアンカーAP300において登録処理により登録が行われることで、例えば、アンカーAP300はドリフトAP400や端末500にデータなどを送信することができるようになる。また、ドリフトAP400や端末500もアンカーAP300を介してネットワークにデータなどを送信することができるようになる。以下、アンカーAP300におけるドリフトAP400の登録処理について説明する。なお、端末500についてもドリフトAP400の登録処理と同様に登録処理を行うことができる。
【0128】
図8(A)は登録処理を行う場合のアンカーAP300とドリフトAP400の関係例を表す図である。アンカーAP300は、例えば、ドリフトAP400の移動などにより、アンカーAP300の探索空間において新たなドリフトAP400の存在を認識すると、当該ドリフトAP400に対する登録処理を行うことができる。ここで、アンカーAP300の探索空間とは、例えば、アンカーAP300が無線信号などを送信したり受信したりすることのできる範囲であり、アンカーAP300の通信可能範囲(またはセル範囲)だけでなく、ドリフトAP400により中継される範囲も含む。例えば、図11の例では、アンカーAP300の探索空間は、自局の通信可能範囲とドリフトAP#1(400−1)の通信可能範囲、さらに新規追加のドリフトAP#11(400−11)における通信可能範囲までを含む。
【0129】
図8(B)は、図8(A)の関係例における登録処理のシーケンス例を表わす図である。
【0130】
最初に、ドリフトAP400はアンカーAP300の探索空間に入ると、Attach要求(図中、「Attach REQ」)をアンカーAP300に送信する(S40)。Attach要求は、例えば、アンカーAP300に対して自ドリフトAP400の登録を要求するメッセージである。例えば、ドリフトAP400の処理部423(例えば図5(A))はハンドオーバなどによりアンカーAP300と無線通信できる状態となったとき、Attach要求を生成し、信号生成部421や無線部410などを介してAttach要求をアンカーAP300に送信することができる。
【0131】
次いで、アンカーAP300は、ドリフトAP400から送信されたAttach要求をMME200に送信する(S41)。登録処理は、例えば、本第2の実施の形態ではMME200で管理するようにしており、Attach要求についてもMME200に送信されるようになっている。例えば、アンカーAP300の処理部323(例えば図4)は、無線部310や信号分析部322を介してAttach要求をドリフトAP400から受信したとき、受信したAttach要求をMME200に送信するようにデータ送信部324などに指示することができる。データ送信部324は、当該指示に基づいて、処理部323から出力されたAttach要求を、伝送路インタフェース部350を介してMME200に送信することができる。
【0132】
MME200は、アンカーAP300からAttach要求を受信すると、Attach Acceptを生成して、アンカーAP300に送信する(S42)。Attach Acceptは、例えば、ドリフトAP400のアンカーAP300への登録を許可するメッセージである。例えば、MME200の制御部220(例えば図5(B))により、Attach Acceptの生成などの処理が行われる。
【0133】
アンカーAP300は、Attach Acceptを受信すると、自局の探索空間において新たなドリフトAP400の存在を認識し、新たなドリフトAP400にIPアドレスを付与し、IPアドレス管理表を「使用」に更新する(S43)。図10(A)はIPアドレス管理表の例である。IPアドレス管理表には、自局の識別子とともに、付与可能なIPアドレスが保持される。アンカーAP300は、IPアドレス管理表から「空き」のIPアドレスを検索して、いずれかのIPアドレスを新たなドリフトAP400に付与することができる。アンカーAP300は、IPアドレスを付与すると、IPアドレス管理表における使用識別子を「使用」に更新する。IPアドレス管理表により使用が管理されるため、アンカーAP300は重複したIPアドレスを付与することを防止できる。ドリフトAP400や端末500にIPアドレスを付与していない場合は、使用識別子は例えば「空き」となる。例えば、IPアドレス管理表はメモリ341に記憶され、処理部323によりIPアドレスの付与や使用識別子の更新などの処理が行われる。
【0134】
なお、図10(B)もIPアドレス管理表の例を表わしている。例えば、アンカーAP300は、自局に直接新規追加するドリフトAP400や端末500に対して、図10(A)に示すIPアドレス管理表によりIPアドレスを付与することができる。また、アンカーAP300は、例えば、配下のドリフトAP400に新規追加するドリフトAPや端末500に対して、図10(B)に示すIPアドレス管理表によりIPアドレスを付与することができる。例えば、図10(A)はホーム用のIPアドレス管理表、図10(B)はビジター用のIPアドレス管理表の例をそれぞれ表わしており、アンカーAP300は状況に応じて使い分けることもできる。図10(B)に示すIPアドレス管理表も、例えば、メモリ341に記憶される。
【0135】
アンカーAP300は、例えば、このようにドリフトAP400に対してIPアドレスを付与したとき、ドリフトAP経路管理表を作成することができる。
【0136】
図20(A)及び図20(B)はドリフトAP経路管理表の例をそれぞれ表わす図である。ドリフトAP経路管理表は、例えば、アンカーAP300の探索空間において、アンカーAP300やドリフトAP400、さらに端末500がどのように接続されているのかを表わし、各区間における経路品質指標を記憶することができる。ドリフトAP経路管理表は、例えば、アンカーAP300の識別子と、アンカーAP300と端末500との間の経路品質指標、さらに、アンカーAP300と直接接続されたドリフトAP400の識別子と、アンカーAP300と各ドリフトAP400間の経路品質指標とが含まれる。
【0137】
図20(A)のドリフトAP経路管理表は、例えば、アンカーAP#aの識別子と、アンカーAP#aに直接接続された(または直接無線通信する)ドリフトAP#1(400−1)の識別子が記憶される。また、図20(A)のドリフトAP経路管理表には、アンカーAP#aと端末500間、アンカーAP#aとドリフトAP#1(400−1)間の経路品質指標がそれぞれ記憶される。さらに、図20(A)のドリフトAP経路管理表において、ドリフトAP#1(400−1)の識別子が記憶される項目には、ドリフトAP#1(400−1)に関する項目が記憶されたアドレスへのポインタ情報も記憶される。ポインタ先には、ドリフトAP#1(400−1)の識別子と、ドリフトAP400と端末500間の経路品質指標が記憶される。図20(A)に示すドリフトAP経路管理表は、例えば、図8(A)に示すアンカーAP300とドリフトAP400との関係例に対応している。
【0138】
なお、ドリフトAP#1(400−1)について、さらに、配下にドリフトAP400が配置される構成(例えば図17など)の場合は、例えば、図20(B)に示すドリフトAP経路管理表が生成されることができる。このドリフトAP経路管理表は、ドリフトAP#1(400−1)の配下にドリフトAP#11(400−11)に関する項目が階層的に繋がるものとなっている。
【0139】
ドリフトAP経路管理表は、例えば、アンカーAP300のメモリ341に記憶される。また、ドリフトAP経路管理表の生成は、例えば、処理部323で行われることができる。ドリフトAP経路管理表の生成の契機は、例えば、IPアドレスを付与した後であれば、後述するAttac AcceptをドリフトAP400に送信したときや、Connection Reconfiguration CompleteをドリフトAP400から受信したときなどでもよい。また、ドリフトAP経路管理表の生成の契機は、例えば、Measurement Reportを受信したとき(図6のS13)でもよい。
【0140】
図8(B)のS43における処理は、例えば、以下のようになる。すなわち、アンカーAP300の処理部323(例えば図4)は、伝送路インタフェース部350などを介してAttach AcceptをMME200から受信すると、メモリ341に記憶されたIPアドレス管理表(例えば図10(A))から「空き」のIPアドレスを読み出す。そして、処理部323は、IPアドレス管理表において、読み出したIPアドレスを「使用」に更新する。また、処理部323は、例えば図20(A)に示すドリフトAP経路管理表において、「アンカーAP#a識別子」における「ドリフトAP#1識別子」の項目にポインタ情報、ポインタ先の「ドリフトAP#1識別子」の項目に読み出したIPアドレスをそれぞれ書き入れる。
【0141】
図8(B)に戻り、次いで、アンカーAP300はAttch AcceptをドリフトAP400に送信する(S44)。Attach Acceptには、例えば、アンカーAP300が付与したIPアドレスが含まれる。例えば、処理部323は、IPアドレス管理表から読み出したIPアドレスを含むAttach Acceptを生成し、信号生成部321や無線部310を介して、ドリフトAP400にAttach Acceptを送信することができる。なお、アンカーAP300はAttach AcceptをConnection Reconfigurationとして送信することもできる。
【0142】
ドリフトAP400は、Attach Acceptを受信すると、Attach AcceptからIPアドレスを抽出し、自局のIPアドレスとして登録する(S45)。例えば、ドリフトAP400の処理部423は、IPアドレスを抽出し、メモリ441に記憶することで自局のIPアドレスとして登録することができる。
【0143】
次いで、ドリフトAP400は、Connection Reconfiguration CompleteをアンカーAP300に送信する(S46)。Connection Reconfiguration Completeは、例えば、ドリフトAP400がAttach Acceptを正常に受信しIPアドレスを取得できたことを表する応答メッセージである。例えば、ドリフトAP400の処理部423は、メモリ441にIPアドレスを登録すると、Connection Reconfiguration Completeを生成し、無線部410などを介してアンカーAP300に送信することができる。
【0144】
アンカーAP300は、Connection Reconfiguration Completeを受信すると、MME200にAttach Completeを送信する(S47)。例えば、処理部323は、無線部310を介してConnection Reconfiguration Completeを受信すると、Attach Completeメッセージを生成し、伝送路インタフェース部350などを介してMME200に送信する。
【0145】
次いで、アンカーAP300は最終的なドリフトAP経路管理表を生成する(S48)。最終的なドリフトAP経路管理表の生成処理については後述する。図8(A)の例では、例えば、図20(A)に示す最終的なドリフトAP経路管理表が作成される。
【0146】
そして、アンカーAP300とドリフトAP400、及びMME200は通信が確立することになる(S49)。
【0147】
図9は、例えば、図8(B)に示すシーケンス図においてアンカーAP300での動作例を表すフローチャートである。重複した部分もあるため簡単に説明する。
【0148】
アンカーAP300は処理を開始すると(S50)、ドリフトAP400からAttach要求を受信する(S51)。ドリフトAP400は受信したAttach要求をMME200に送信する。
【0149】
次いで、アンカーAP300は、Attach要求に対してMME200からAttach Acceptを受信したか否かを判別する(S52)。例えば、アンカーAP300の処理部323は、Attach要求を送信後、一定期間内にAttach Acceptを受信したか否かにより判別することができる。
【0150】
アンカーAP300は、MME200からAttach Acceptを受信したとき(S52でYes)、IPアドレス管理表から付与アドレスを決定し、付与するIPアドレスを含むAttach Acceptを生成し、ドリフトAP400に送信する(S53(又はS43))。アンカーAP300からドリフトAP400に送信されるAttach Acceptは、例えば、Connection Reconfigurationとして送信されることもできる。
【0151】
次いで、アンカーAP300は、ドリフトAP400からConnection Reconfiguration Completeを受信する(S54(図6のS44に対応))。
【0152】
次いで、アンカーAP300は、Attach Completeを生成し、MME200に送信する(S55(図6のS47に対応))。
【0153】
そして、アンカーAP300は、ドリフトAP400に対する登録処理を終了する(S56)。
【0154】
一方、アンカーAP300は、Attach AcceptをMME200から受信しなかったとき(S52でNo)、MME200からAttach Rejectを受信する(S57)。Attach Rejectは、例えば、ドリフトAP400に対するアンカーAP300への登録を拒否するメッセージである。例えば、他のドリフトAP400が同時にアンカーAP300に対する登録を行い排他処理などにより登録が拒否される場合などで、MME200はAttach Rejectを送信することがある。
【0155】
アンカーAP300は、Attach Rejectを受信すると、登録を拒否されたドリフトAP400の探索空間が隣接アンカーAPとの重なりを認識する(S58)。詳細は後述するが、例えば、図15などに示すように、ドリフトAP400が2つのアンカーAP#a(300−a),#b(300−b)の探索空間に位置するとき、2つのアンカーAP#a(300−a),#b(300−b)はドリフトAP400から送信されたAttac要求を同時に受信することができる。このような場合、2つのアンカーAP#a(300−a),#b(300−b)はともにMME200に対してAttacを送信することになるが、MME200は排他処理により、例えば、アンカーAP#a(300−a)にAttach Reject、アンカーAP#b(300−b)にAttach Acceptを送信することができる。ンカーAP#a(300−a)は、Attach Rejectを受信することで、ドリフトAP400の探索空間が隣接するアンカーAP#b(300−b)と重なっていることを認識することができる。
【0156】
図9に戻り、アンカーAP300は、当該ドリフトAP400の探索空間が隣接アンカーAPと重なっていることを認識すると(S58)、ドリフトAP400に対する登録処理を終了する(S56)。
【0157】
次に、ドリフトAP400に対する登録処理について他の例を説明する。図11及び図12は、ドリフトAP400に対する登録処理の他の例を説明するための図である。
【0158】
この例では、ドリフトAP#1(400−1)はアンカーAP300に登録されている状況において、ドリフトAP#1(400−1)の配下にドリフトAP#11(400−11)が新規に登録される例である。図11は登録処理を行う場合のドリフトAP#1(400−1)1,#11(400−11)とアンカーAP300の関係例を表わす図である。アンカーAP300は、ドリフトAP#11(400−11)の移動などにより、アンカーAP300の探索空間において新たなドリフトAP#11(400−11)を認識すると、当該ドリフトAP#11(400−11)に対する登録処理を行うことができる。この場合、例えば、ドリフトAP#11(400−11)はドリフトAP#1(400−1)の無線通信可能範囲に移動し、ドリフトAP#1(400−1)はアンカーAP300の無線通信可能範囲に位置しているものとする。
【0159】
図12は、図11のアンカーAP300とドリフトAP400との関係例において、ドリフトAP#11(400−11)に対する登録処理の例を表すシーケンス図である。
【0160】
最初に、ドリフトAP#11(400−11)は、アンカーAP300への登録を要求するAttach要求をドリフトAP#1(400−1)に送信する(S60)。例えば、ドリフトAP#11(400−11)の処理部423(例えば図5(A))は、ハンドオーバなどによりドリフトAP#1(400−1)と無線通信可能な状態となったとき、Attach要求を生成し、信号生成部421や無線部410を介して送信することができる。
【0161】
次いで、ドリフトAP#1(400−1)は、ドリフトAP#11(400−11)から送信されたAttach要求を受信し、アンカーAP300に送信する(S61)。例えば、ドリフトAP#1(400−1)の処理部423は、無線部410や信号分析部422などを介してAttach要求を受信したとき、自局が接続するアンカーAP300に中継することができる。よって、処理部423は、ドリフトAP#11(400−11)から受信したAttach要求を信号生成部421や無線部410などを介してアンカーAP300に送信することができる。
【0162】
次いで、アンカーAP300は、ドリフトAP#1(400−1)から送信されたAttach要求をMME200に送信する(S62)。例えば、アンカーAP300の処理部323(例えば図4)は、無線部310や信号分析部322などを介して受信したAttach要求をMME200に送信するようデータ送信部324に指示することができる。当該指示を受けたデータ送信部324は、処理部323から出力されたAttach要求を、伝送路インタフェース部350を介してMME200に送信することができる。
【0163】
MME200は、アンカーAP300からAttach要求を受信すると、Attach Acceptを生成し、アンカーAP300に送信する(S63)。Attach Acceptは、例えば、Initial Context Setup Requestとして送信されることもできる。
【0164】
次いで、アンカーAP300はAttach Acceptを受信すると、アンカーAP300の探索空間に新たなドリフトAP#11(400−11)の存在を認識する。そして、アンカーAP300は、ドリフトAP#11(400−11)にIPアドレスを付与し、付与したIPアドレスについてはIPアドレス管理表を「使用」に更新する(S64)。例えば、アンカーAP300の処理部323は、伝送路インタフェース部350などを介してMME200からAttach Acceptを受信すると、メモリ341に記憶されたIPアドレス管理表から使用状態から「空き」のIPアドレスを読み出す。そして、処理部323は、IPアドレス管理表について、読み出したIPアドレスの使用状態を「使用」に更新する。さらに、処理部323は、ドリフトAP経路管理表についても更新することができる。例えば、図11の例のように1ホップの階層構造の場合、処理部323は、図20(B)に示すように、「ドリフトAP#1識別子」と「ドリフトAP#11識別子」の各項目に、ポインタ情報や付与したIPアドレスなどを書き込むことができる。
【0165】
次いで、アンカーAP300はAttach AcceptをドリフトAP#1(400−1)に送信する(S65)。例えば、アンカーAP300の処理部323は、IPアドレス管理表を「使用」に更新すると、IPアドレス管理表から読み出したIPアドレスを含むAttach Acceptを生成することができる。処理部323は、生成したAttach Accpeptを、信号生成部321や無線部310などを介してドリフトAP#1(400−1)に送信することができる。なお、アンカーAP300はAttach AcceptをConnection Reconfigurationとして送信することもできる。
【0166】
ドリフトAP#1(400−1)は、アンカーAP300からAttach Acceptを受信すると、ドリフトAP#11(400−11)に送信する(S66)。例えば、ドリフトAP#1(400−1)の処理部423(例えば図5(A))は、Attach要求の受信(S60)によりAttach AcceptをアンカーAP300から送信されるのを待つことができる。そして、処理部423は、Attach Acceptの受信により、Attach要求の送信先(例えばドリフトAP#11(400−11))にAttach Acceptを送信することができる。例えば、アンカーAP300の処理部323により、Attach Acceptの送信先(ドリフトAP#1(400−1)とドリフトAP#11(400−11))の情報が付加されて、これにより、ドリフトAP#1(400−1)はAttach Acceptを送信することができる。
【0167】
ドリフトAP#11(400−11)は、ドリフトAP#1(400−1)からAttach Acceptを受信すると、Attach AcceptからIPアドレスを抽出し、自局のIPアドレスとして登録する(S67)。例えば、ドリフトAP#1(400−1)の処理部423は、受信したAttach AcceptからIPアドレスを抽出し、これをメモリ441に記憶することで自局のIPアドレスとして登録することができる。
【0168】
次いで、ドリフトAP#11(400−11)は、Connection Reconfiguration Completeを送信する(S68)。当該メッセージは、例えば、ドリフトAP#11(400−11)がAttach Acceptを正常に受信しIPアドレスを取得できたことを表わす応答メッセージである。例えば、ドリフトAP#11(400−11)の処理部423は、IPアドレスをメモリ441に記憶すると、Connection Reconfiguration Completeを生成し、信号生成部421や無線部410などを介して送信することができる。
【0169】
ドリフトAP#1(400−1)は、Connection Reconfiguration Completeを受信すると、当該メッセージをアンカーAP300に送信する(S68)。例えば、ドリフトAP#1(400−1)の処理部423は、Attach Accept(S66)に対するConnection Reconfiguration Completeを受信すると、当該メッセージをアンカーAP300に転送することができる。よって、処理部423は、Connection Reconfiguration Completeを受信すると、信号生成部421や無線部410を介して当該メッセージをアンカーAP300に送信することができる。
【0170】
アンカーAP300は、Connection Reconfiguration CompleteをドリフトAP#1(400−1)から受信すると、Attach Completeを生成し、MME200に送信する(S69)。
【0171】
次いで、アンカーAP300は最終的なドリフトAP経路管理表を生成する(S70)。最終的なドリフトAP経路管理表の生成処理について後述する。図11の例では、例えば、図20(B)に示す最終的なドリフトAP経路管理表が作成される。
【0172】
図12に戻り、次いで、ドリフトAP#1(400−1)、#11(400−11)とアンカーAP300、及びMME200の間において通信が確立される(S71)。
【0173】
以上が図12に示す場合の登録処理の例である。
【0174】
次に、登録処理に対して、登録解除処理の例について説明する。図13(A)から図14は登録解除処理を説明するための図である。
【0175】
図13(A)は、ドリフトAP400がアンカーAP300から登録解除を行う場合のアンカーAP300とドリフトAP400の関係例を表す図である。例えば、ドリフトAP400は、ハンドオーバなどによりアンカーAP300の探索空間から他のアンカーAPの探索空間へ移動する場合に、登録解除処理が行われる。
【0176】
図13(B)は登録解除処理のシーケンス例を表わす図である。
【0177】
ドリフトAP400がアンカーAP300及びMME200と通信しているとき(S80)、ドリフトAP400が登録解除を行う場合は、ドリフトAP400はDetach要求をアンカーAP300に送信する(S81)。例えば、ドリフトAP400の処理部423(例えば図5(A))は、アンカーAP300からの無線信号の受信電力が閾値以下になるとDetach要求を生成し、信号生成部421や無線部410などを介してDetach要求をアンカーAP300に送信することができる。なお、処理部423は、例えば自局のIPアドレスをDetach要求に含めることができる。
【0178】
アンカーAP300は、Detach要求を受信すると、受信したDetach要求をMME200に送信する(S82)。例えば、アンカーAP300の処理部323は、無線部310などを介してDetach要求を受信したとき当該要求をMME200に転送することができ、これによりデータ送信部324や伝送路インタフェース部350を介してDetach要求をMME200に送信することができる。
【0179】
MME200は、Detach要求を受信すると、Detach Acceptを生成し、生成したDetach AcceptをアンカーAP300に送信する(S83)。例えば、MME200の制御部220(例えば図5(B))は、Detach要求を受信するとDetach Acceptを生成し、アンカーAP300に送信する。Detach Acceptは、例えば、Detach要求に対して、登録解除を許可することを表すメッセージである。
【0180】
アンカーAP300は、Detach Acceptを受信すると、IPアドレス管理表において、ドリフトAP400に付与したIPアドレスを「空き」に更新する(S84)。例えば、アンカーAP300の処理部323は、ドリフトAP400から受信したDetach要求に含まれるドリフトAP400のIPアドレスをメモリ341に保持し、MME200に送信するDetach要求(S82)に識別符号を付与して送信する。そして、処理部323は、MME200から受信したDetach Acceptに識別符号が含まれていると、Detttach要求に対するDetach Acceptであることを認識し、メモリ341に保持したIPアドレスを削除する。そして、処理部323は、削除したIPアドレスと同一のIPアドレスをIPアドレス管理表において「空き」に更新する。
【0181】
次いで、アンカーAP300はDetach AcceptをドリフトAP400に送信する(S85)。例えば、アンカーAP300の処理部323は、IPアドレス管理表において該当するIPアドレスを「空き」に更新すると、ドリフトAP400宛てのDetach Acceptを生成し、信号生成部321や無線部310などを介してドリフトAP400にAttach Acceptを送信することができる。
【0182】
Detach Acceptを受信したドリフトAP400は、例えば、メモリ441に保持したIPアドレスを削除するなどの処理を行う。そして、アンカーAP300とドリフトAP400との間では、RRC Connectionの解放処理が行われ(S86)、アンカーAP300とMME200との間では、接続の解放処理が行われる(S87)。
【0183】
図14は、アンカーAP300における登録解除の動作例を表すフローチャートである。図13(B)に示すシーケンス図と重複した部分があるため簡単に説明する。
【0184】
アンカーAP300は登録解除の処理を開始すると(S90)、Detach要求をドリフトAP#11(400−11)から受信する(S91)。アンカーAP300は受信したDetach要求をMME200に送信する。
【0185】
次いで、アンカーAP300は、IPアドレス管理表より付与IPアドレスを抹消し、Detach AcceptをドリフトAP400に送信する(S92(又は図13(B)のS84))。例えば、アンカーAP300の処理部323は、Detach要求(図13(B)のS83)に対するDetach Acceptを受信したとき、Detach要求(S91)に含まれるIPアドレスをIPアドレス管理表から抹消することができる。例えば、処理部323はIPアドレス管理表の当該IPアドレスの使用状態を「空き」に更新することで抹消することができる。そして、処理部323は、Detach Acceptを生成し、信号生成部321などを介してドリフトAP#11(400−11)に送信する。
【0186】
次いで、アンカーAP300は、ドリフトAP#11(400−11)との接続を解放し、登録解除の処理を終了する(S93,S94)。
【0187】
以上によりアンカーAP300はドリフトAP#11(400−11)に対する登録解除を行うことができる。
【0188】
次に、登録処理について重複したAttach要求が送信された場合の処理について説明する。図15から図19はかかる処理の例を説明するための図である。このうち、図15は、アンカーAP#a(300−a),#b(300−b)とドリフトAP400との関係例を表す図である。図15では、新規追加のドリフトAP400が2つのアンカーAP#a(300−a),#b(300−b)の探索空間に存在して、ドリフトAP400が2つのアンカーAP#a(300−a),#b(300−b)にAttach要求を送信している例を表している。
【0189】
ドリフトAP400は、移動の仕方によっては、例えば、2つのアンカーAP#a(300−a),#b(300−b)の重複した通信可能範囲に移動する場合もある。また、2つのアンカーAP#a(300−a),#b(300−b)は、ドリフトAP400が送信したAttach要求を双方とも受信する場合がある。このような場合、2つのアンカーAP#a(300−a),#b(300−b)は受信したAttach要求をMME200にそれぞれ送信することになる。そして、MME200において排他処理が行われて、いずれか一つのアンカーAP(例えばアンカーAP#a(300−a))に対してAttach Acceptを送信し、それ以外のアンカーAP(例えばアンカーAP#b(300−b))に対してAttach Rejectを送信する。MME200は、例えば、3つ以上のアンカーAP300からAttach要求を受け取った場合もいずれか一つのアンカーAP300に対して、登録許可し、それ以外のアンカーAP300に対しては登録許可しないようにすることができる。
【0190】
図16は、図15の例における動作例を表すシーケンス図である。
【0191】
ドリフトAP#1(400−1)は、アンカーAP#a(300−a)とアンカーAP#b(300−b)の2つの探索空間(図16の例では電波到達範囲)に移動したときにおいて、アンカーAP#a(300−a),#b(300−b)への登録要求としてAttach要求を送信する(S90,S91)。
【0192】
次いで、アンカーAP#a(300−a),#b(300−b)は、ともにAttach要求を受信し、MME200に送信する(S90,S91)。
【0193】
次いで、MME200は、2つのAttach要求を受信すると、排他処理を行う(S92)。排他処理が行われる契機としては、例えば、同時に2つ以上のAttach要求を受信する場合や、あるAttach要求を受信後一定期間内に1つ以上のAttach要求を受信する場合としてもよい。排他処理としては、例えば、最も早く受信したAttach要求に対してAttach Acceptを送信したり、同時に2つ以上のAttach要求に対してはランダムに一つのAttach要求を選択してAttach Acceptを送信したりすることができる。このような排他処理は、例えば、MME200の制御部220(例えば図5(B))において行われる。図16の例では、MME200は排他処理によりアンカーAP#a(300−a)にAttach Acceptを送信するようにしている(S93)。
【0194】
Attach Acceptを受信したアンカーAP#a(300−a)は、IPアドレス管理表(例えば図10(A))において「空き」のIPアドレスをドリフトAP#1(400−1)に付与し、IPアドレス管理表において当該IPアドレスを「使用」に更新する(S94)。
【0195】
次いで、アンカーAP#a(300−a)は、付与したIPアドレスを含むAttach AcceptをドリフトAP#1(400−1)に送信する(S95)。アンカーAP#a(300−a)は、例えば、Attach AcceptをConnection Reconfigurationとして送信することもできる。
【0196】
次いで、ドリフトAP#1(400−1)は、受信したAttach AcceptからIPアドレスを抽出して、自局のIPアドレスとして登録する(S96)。
【0197】
次いで、ドリフトAP#1(400−1)は、Connection Reconfiguration CompleteをアンカーAP#a(300−a)に送信する(S97)。例えば、ドリフトAP#1(400−1)の処理部423は、IPアドレスをメモリ441に記憶すると、アンカーAP#a(300−a)を送信先とするConnection Reconfiguration Complelteを生成することができる。処理部423は、生成したConnection Reconfiguration Completeを信号生成部421や無線部410などを介してアンカーAP#a(300−a)に送信することができる。
【0198】
アンカーAP#a(300−a)は、ドリフトAP#1(400−1)からConnection Reconfiguration Completeを受信すると、Attach Acceptに対して正常にドリフトAP#1(400−1)が受信できたことを認識することができる。そして、アンカーAP#a(300−a)は、MME200に対して、Initial Context Setup Responseを送信する(S99)。このメッセージを受信したMME200は、アンカーAP#a(300−a)に対して正常に処理が終了したことを認識することができる。
【0199】
一方、MME200は、排他処理により登録許可を出さないアンカーAP#b(300−b)に対して、Attach Rejectを送信する(S98)。例えば、MME200の制御部220(例えば図5(B))は、排他処理を行い、登録許可を出さない方のAttach要求に対しては、当該Attach要求の送信元(例えばアンカーAP#b(300−b))を送信先とするAttach Rejectを生成する。そして、制御部220は生成したAttach Rejectを、伝送路インタフェース部250を介してアンカーAP#b(300−b)に送信する。
【0200】
アンカーAP#b(300−b)は、MME200からAttach Rejectを受信すると、アンカーAP#a(300−a)に対して、Set Up Requestを送信する(S100)。
【0201】
Set Up Requestにより、例えば、アンカーAP#b(300−b)は、アンカーAP#a(300−a)がドリフトAP#1(400−1)に付与したIPアドレス(S94)を通知するよう要求することができる。例えば、アンカーAP#b(300−b)の処理部323(例えば図4)は、MME200から送信されたAttach Rejectを、伝送路インタフェース部350などを介して受信すると、アンカーAP#a(300−a)宛てのSet Up Requestを生成し、無線部310などを介してアンカーAP#a(300−a)に送信する。アンカーAP#b(300−b)の処理部323は、アンカーAP#a(300−a)の隣接する他のアンカーAP300を把握しており、自局がAttach Rejectを受信したとき、隣接するすべてのアンカーAP300にSet Up Requestを送信することができる。図16の例では、アンカーAP#b(300−b)に隣接するのはアンカーAP#a(300−a)のため、アンカーAP#a(300−a)にSet Up Requestを送信している。
【0202】
Set Up Requestを受信したアンカーAP#a(300−a)は、ドリフトAP#1(400−1)に付与したIPアドレスを含むSet Up Responseを生成し、アンカーAP#b(300−b)に送信する(S101)。例えば、アンカーAP#a(300−a)の処理部323は、無線部310などを介してSet Up Requestを受信すると、ドリフトAP#1(400−1)に付与したIPアドレスをIPアドレス管理表から読み出して、当該IPアドレスを含むSet Up Responseを生成する。そして、処理部323は、生成したSet Up Responseを、無線部310などを介してアンカーAP#b(300−b)に送信することができる。
【0203】
例えば、隣接するアンカーAP#a(300−a)とアンカーAP#b(300−b)との間で、Set Up RequestとSet Up Responseとが送受信されることで、アンカーAP#b(300−b)はアンカーAP#a(300−a)が付与したIPアドレスを把握することができる。これにより、例えば、アンカーAP#a(300−a)とアンカーAP#b(300−b)は、隣接関係リストの内容を最新のものとすることができる。
【0204】
図27(A)はアンカーAP#a(300−a)、図27(B)はアンカーAP#bにおいてそれぞれ生成される隣接関係リストの例を表わす図である。例えば、アンカーAP#a(300−a)の隣接関係リストは、アンカーAP#a(300−a)の識別子と、隣接するアンカーAP(例えばアンカーAP#b(300−b))の識別子が記憶される。一方、アンカーAP#b(300−b)の隣接関係リストは、アンカーAP#b(300−b)の識別子と、隣接するアンカーAP(例えば、アンカーAP#a(300−a))の識別子も記憶される。
【0205】
また、隣接関係リストには、「アンカーAP#a配下のドリフトAP」又は「アンカーAP#b配下のドリフトAP」の項目が記憶される。例えば、アンカーAP#a(300−a),#b(300−b)がIPアドレスを付与したときなど、当該項目にポインタ情報が書き込まれる。ポインタ先には、IPアドレスを付与したドリフトAP400の識別子と、当該ドリフトAP400配下のドリフトAPに関する項目とが記憶される。図16の例では、アンカーAP#a(300−a)は、ドリフトAP#1(400−1)に対してIPアドレスを付与したため、図27(A)に表わされるように、アンカーAP#a(300−a)の隣接関係リストの「アンカーAP#a配下のドリフトAP」の項目にはポインタ情報が記憶される。そして、そのポインタ情報の示すポインタ先には、ドリフトAP#1(400−1)の識別子が記憶される。ドリフトAP#1(400−1)の識別子としては、例えば、付与したIPアドレスとすることができる。
【0206】
そして、上述したように、Set Up RequestとSet Up Responseとが送受信されることで、例えば、アンカーAP#b(300−b)はアンカーAP#a(300−a)が付与したIPアドレスを認識することができる。これにより、アンカーAP#b(300−b)は、アンカーAP#a(300−a)配下にドリフトAP400があること、そのドリフトAP400に対して受信したIPアドレスが付与されたことを認識することができる。そして、これを繰り返すことで、アンカーAP#a(300−a)とアンカーAP#b(300−b)は、互いに、アンカーAP#b(300−b)とアンカーAP#a(300−a)のそれぞれの配下において登録されている一部または全部のドリフトAP400の隣接関係を認識することができる。
【0207】
例えば、図27(A)の例において、アンカーAP#a(300−a)がドリフトAP#2(400−2)に対してIPアドレスを付与したとき、隣接関係リストにドリフトAP#2(400−2)のIPアドレスが記憶される。そして、アンカーAP#a(300−a)は、アンカーAP#b(300−b)からSet Up Requestを受信したとき、ドリフトAP#2(400−2)のIPアドレスをSet Up Responseに含めて送信する。これにより、アンカーAP#b(300−b)は、アンカーAP#a(300−a)の配下には2つのドリフトが存在することを認識する。
【0208】
アンカーAP#b(300−b)についても、ドリフトAP#4(400−4)やドリフトAP#5(400−5)についてIPアドレスをそれぞれ付与したとき、隣接関係リストに2つのドリフトAP400のIPアドレスをそれぞれ記憶する。そして、アンカーAP#b(300−b)は、Set Up Requestを受信したとき、付与したIPアドレスをSet Up Responseに含めて送信する。これにより、アンカーAP#a(300−a)は、アンカーAP#b(300−b)の配下に2つのドリフトAP400が存在することを認識することができる。
【0209】
図16に戻り、アンカーAP#b(300−b)は、Set Up Responseを受信すると、Attach CompleteをMME200に送信する(S104)。
【0210】
一方、アンカーAP#a(300−a)は、Set Up Responseを送信すると、最終的なドリフトAP経路管理表を生成する(S102)。この最終的なドリフトAP経路管理表の生成には、上述したドリフトAP400の隣接関係の生成なども含まれるが、その詳細は後述する。
【0211】
そして、新規追加のドリフトAP#1(400−1)は、排他処理により、アンカーAP#a(300−a)と通信を確立することができる(S105)。
【0212】
次に、登録処理について重複したAttach要求が送信された場合の処理について、階層的な場合について説明する。図17は、かかる場合におけるアンカーAP#a(300−a),#b(300−b)とドリフトAP400の関係例を表わす図である。
【0213】
図17の例では、ドリフトAP#11(400−11)が新規追加のドリフトAP400として、2つのドリフトAP#1(400−1),#2(400−2)の双方と通信可能な範囲に移動した場合の例を表わしている。この場合、ドリフトAP#1(400−1)はアンカーAP#a(300−a)と無線通信を行い、ドリフトAP#2(400−2)はアンカーAP#b(300−b)と無線通信を行っているものとする。新規追加のドリフトAP#11(400−11)から送信された無線信号は2つのドリフトAP#1(400−1),#2(400−2)で受信することができる。
【0214】
図18は、図17における関係例における登録処理の動作例を表わすシーケンス図である。
【0215】
ドリフトAP#11(400−11)は、2つのドリフトAP#1(400−1),#2(400−2)の双方の通信可能範囲に移動したときにおいて、Attach要求を送信する(S110,S111)。例えば、ドリフトAP#11(400−11)から送信されたAttach要求は、ドリフトAP#1(400−1)において受信され、アンカーAP#a(300−a)を経由してMME200に送信される。一方、ドリフトAP#11(400−11)から送信されたAttach要求はドリフトAP#2(400−2)においても受信され、アンカーAP#b(300−b)を経由してMME200に送信される。
【0216】
次いで、MME200は受信した2つのAttach要求に対して排他処理を行う(S112)。排他処理は、上述した図16におけるS92の排他処理と同様に、最も早くAttach要求を受信したものに対してAttach Acceptを送信したり、ランダムにいずれか一つのAttach要求に対してAttach Acceptを送信したりすることができる。図16の例では、制御部220は排他処理により、アンカーAP#a(300−a)からのAttach要求に対してAttach Acceptを送信し(S113)、アンカーAP#b(300−b)からのAttach要求に対してAttach Rejectを送信している(S117)。
【0217】
アンカーAP#a(300−a)は、Attach AcceptをMME200から受信すると、アンカーAP#a(300−a)の探索空間に新たなドリフトAP#11(400−11の存在を認識し、IPアドレスを付与する(S94)。そして、アンカーAP#a(300−a)は、付与したIPアドレスのIPアドレス管理表における使用状態を「使用」に更新する。
【0218】
次いで、アンカーAP#a(300−a)は、付与したIPアドレスを含むAttach Acceptを生成し、配下のドリフトAP#1(400−1)に送信する(S115)。例えば、アンカーAP#a(300−a)の処理部323(例えば図5(A))は、IPアドレス管理表においてIPアドレスの使用状態を「使用」に更新すると、当該IPアドレスを含むAttach Acceptを生成し、信号生成部321などを介してドリフトAP#1(400−1)に送信することができる。
【0219】
ドリフトAP#1(400−1)は、アンカーAP#a(300−a)からAttach Acceptを受信すると、ドリフトAP#11(400−11)に受信したAttach Acceptを送信する(S115)。例えば、ドリフトAP#1(400−1)の処理部423は、アンカーAP#a(300−a)からAttach Acceptを受信すると、中継してドリフトAP#11(400−11)に転送することができ、これにより受信したAttach AcceptをドリフトAP#11(400−11)に送信することができる。或いは、アンカーAP#a(300−a)の処理部323により、生成したAttach Acceptに対して送信先(例えば、ドリフトAP#1(300−1)とドリフトAP#11(300−11))が付加される。これにより、ドリフトAP#1(400−1)はドリフトAP#11(400−11)にAttach Acceptを送信することができる。
【0220】
ドリフトAP#1(400−1)からAttach Acceptを受信したドリフトAP#11((400−11)は、IPアドレスを抽出して自局のIPアドレスとして登録する(S96)。
【0221】
次いで、ドリフトAP#11(400−11)は、Connection Reconfiguration CompleteをドリフトAP#1(400−1)に送信する(S116)。
【0222】
Connection Reconfiguration Completeを受信したドリフトAP#1(400−1)は、当該メッセージをアンカーAP#a(300−a)に送信する(S116)。例えば、ドリフトAP#1(400−1)の処理部423は、Connection Reconfiguration Completeを受信するとアンカーAP#a(300−a)に送信することができるようになっており、これによりアンカーAP#a(300−a)に当該メッセージを送信できる。
【0223】
次いで、アンカーAP#a(300−a)は、Attach CompelteをMME200に送信する(S118)。例えば、アンカーAP#a(300−a)の処理部323(例えば図4)は、Connection Reconfiguration Completeを受信すると、Attach Completeを生成し、伝送路インタフェース部350などを介してMME200に送信することができる。Attach Completeは、例えば、Initial Context Setup Responseとして送信されることもできる。MME200は、Attach Completeを受信することで、Attach Acceptに対して正常に処理が行われたことを認識することができる。
【0224】
一方、Attach Rejectを受信したアンカーAP#b(300−b)は、配下のドリフトAP#2(400−2)に当該メッセージを送信する(S117)。例えば、アンカーAP#b(300−b)の処理部323は、伝送路インタフェース部350などを介してMME200からAttach Rejectを受信すると、配下のドリフトAP#2(400−2)に送信することができる。
【0225】
また、Attach Rejectを受信したアンカーAP#b(300−b)は、アンカーAP#a(300−a)に対して、Set Up Requestを送信する(S119)。当該メッセージにより、例えば、アンカーAP#b(300−b)はアンカーAP#aが付与したIPアドレスの通知を要求することができる。
【0226】
Set Up Requestを受信したアンカーAP#a(300−a)は、ドリフトAP#11(400−11)に付与したIPアドレス(S94)を含むSet Up Responseを生成し、アンカーAP#b(300−b)に送信する(S120,S121)。これにより、例えば、アンカーAP#b(300−b)は、アンカーAP#a(300−a)が付与したIPアドレスを把握でき、隣接関係リストの内容を最新のものとすることができる。
【0227】
さらに、配下のドリフトAP#2(400−2)においても、Attach RejectをアンカーAP#b(300−b)から受信すると(S117)、Set Up RequestをアンカーAP#b(300−b)に対して送信する(S122)。
【0228】
アンカーAP#b(300−b)は、Set Up Requestを配下のドリフトAP#2(400−2)から受信すると、アンカーAP#a(300−a)から受け取ったIPアドレス(S120)を含むSet Up Requestを生成し、ドリフトAP#2(400−2)に送信する(S123,S124)。これにより、例えば、Attach Rejectを受け取ったドリフトAP#2(400−2)は、他のドリフトAP#1(400−1)において付与したドリフトAP#11(400−11)のIPアドレスを把握でき、隣接関係リストを最新のものとすることができる。
【0229】
そして、アンカーAP#a(300−a)は、最終的なドリフトAP400管理表を生成する(S125)。最終的なドリフトAP400管理表の生成についての処理は後述する。
【0230】
次いで、新規追加のドリフトAP#11(400−11)はアンカーAP#a(300−a)と通信を確立することができ、MME200などとも通信することができる(S126)。
【0231】
次に、このような登録処理などにより生成したドリフトAP経路管理表と隣接関係リストに基づいて、最終的なドリフトAP経路管理表を生成する動作例について説明する。図19は最終的なドリフトAP経路管理表を生成する動作例を表わすフローチャートである。図19に示すフローチャートは、例えば、アンカーAP300の処理部323において行われる処理である。
【0232】
アンカーAP300は、本処理を開始すると(S130)、アンカーAP300の探索空間に基づき登録したドリフトAP400を管理する(S131)。例えば、アンカーAP300は、自局の探索空間についてのドリフトAP経路管理表を生成する。例えば、アンカーAP300は、あるドリフトAP400(例えば図8(A)のドリフトAP400)についてIPアドレスを付与したとき、当該ドリフトAP400を含むドリフトAP経路管理表(例えば、図20(A))を生成することができる。また、アンカーAP300は、ドリフトAP#1(400−1)配下のドリフトAP#11(400−11)(例えば図11)についてIPアドレスを付与したとき、当該ドリフトAP#11(400−11)を含むドリフトAP経路管理表(例えば、図20(B))を生成することができる。
【0233】
図19に戻り、次いで、アンカーAP300は、各アンカーAP300の隣接関係を示す隣接関係リストを生成する(S132)。例えば、アンカーAP#a(300−a)は隣接するアンカーAP#b(300−b)の識別子を自局の隣接関係リストに記憶する(例えば、図26(A))。また、アンカーAP#b(300−b)も隣接するアンカーAP#a(300−a)の識別子を自局の隣接関係リストに記憶する(例えば、図26(B))。この隣接関係リスト自体は、例えば、隣接するアンカーAP#a(300−a),#b(300−b)が互いに通知し合うことで隣接するアンカーAP300の識別子を記憶することもできる。
【0234】
図19に戻り、次いで、アンカーAP300は、生成した隣接関係リストにアンカーAP300配下のドリフトAP情報を追加する(S133)。例えば、図21において、アンカーAP#a(300−a)が3つのドリフトAP#1〜#3(400−1〜400−3)にIPアドレスを付与したとき、隣接関係リストの「アンカーAP#a配下のドリフトAPリスト」にポインタ情報を記憶する(例えば図27(A))。そして、アンカーAP#a(300−a)は、ポインタ先にドリフトAP#1(400−1)のIPアドレスを記憶する(例えば、図27(A))。例えば、アンカーAP#b(300−b)がドリフトAP#4(400−4),#5(400−5)にIPアドレスをそれぞれ付与したとき、隣接関係リストの「アンカーAP#b配下のドリフトAPリスト」にポインタ情報を記憶して、ポインタ先にドリフトAP#4(400−4),#5(400−5)のIPアドレスを記憶する(例えば、図27(B))。
【0235】
図19に戻り、次いで、アンカーAP300は、探索空間にまたがるドリフトAP400の隣接関係を把握(又は認知)する(S134)。例えば、アンカーAP#a(300−a)と隣接関係にあるアンカーAP#b(300−b)は、自局が作成した隣接関係リスト(例えば図27(B))をアンカーAP#a(300−a)に通知する。また、アンカーAP#a(300−a)も自局で作成した隣接関係リスト(例えば図27(A))をアンカーAP#b(300−b)に通知する。互いに通知し合うことで、例えば、アンカーAP#a(300−a),#b(300−b)は、自局と隣接関係にあるアンカーAP#b(300−b),#a(300−a)の隣接関係をそれぞれ把握することができる。例えば、アンカーAP#a(300−a)は、アンカーAP#b(300−b)の隣接関係リスト(例えば図27(B))からアンカーAP#b(300−b)配下のドリフトAP400も把握することができる。隣接関係リストの通知は、例えば、Set Up RequestとSet Up Responseにより行われることができる(図16のS100とS101、図18のS119とS120など)。
【0236】
図19に戻り、アンカーAP300は、隣接関係を把握すると、ドリフトAP経路管理表に隣接可能性ドリフトAP情報を追加して、最終的なドリフトAP経路管理表を生成する(S135)。例えば、アンカーAP#a(300−a)は、アンカーAP#a(300−a)のドリフトAP経路管理表(例えば図22)に対して、隣接関係リスト(例えば図27(B))に基づいて、ドリフトAP#4(400−4),#5(400−5)の項目を追加する。この場合、最終的なドリフトAP経路管理表は、図29に示すようなものとなる。
【0237】
図29に示す最終的なドリフトAP400の経路管理表では、ドリフトAP#1(400−1)とドリフトAP#4(400−4)との間のMeasured Resultログの項目と、ドリフトAP#1(400−1)とドリフトAP#5(400−5)との間のMeasured Resultログの項目とが追加されている。
【0238】
また、図29に示す最終的なドリフトAP経路管理表では、ドリフトAP#2(400−2)のポインタ先に、ドリフトAP#2(400−2)とドリフトAP#4(400−4)間のMeasurement Resultログの項目が追加される。さらに、ドリフトAP#2(400−2)とドリフトAP#5(400−5)間のMeasured Resultログの項目も追加される。
【0239】
このように、アンカーAP#a(300−a)は、例えば、隣接アンカーAP#b(300−b)の隣接関係にあるドリフトAP400を含めた各項目をドリフトAP経路管理表に追加して、最終的なドリフトAP経路管理表を生成することができる。図29は、例えば、アンカーAP#a(300−a)が生成した最終的なドリフトAP経路管理表の例である。
【0240】
また、アンカーAP#b(300−b)についても同様に、ドリフトAP経路管理表において、配下のドリフトAP#3(400−3),#4(400−4)に、ドリフトAP#1(400−1)から#3のそれぞれのとの間のMeasured Resultログを追加する。図30は、例えば、アンカーAP#b(300−b)が生成する最終的なドリフトAP経路管理表の例である。
【0241】
このような最終的なドリフトAP経路管理表の生成は、例えば、アンカーAP300の処理部323において、メモリ341に記憶された隣接関係リストとドリフトAP経路管理表に適宜アクセスして行われることができる。
【0242】
図19に戻り、アンカーAP300は最終的なドリフトAP経路管理表を生成すると、一連の処理を終了する(S136)。
【0243】
以上によりアンカーAP300は、最終的なドリフトAP経路管理表を生成することができる。
【0244】
ここで、上述したドリフトAP経路管理表の詳細について説明する。図24はアンカーAP300とドリフトAP400の関係例、図25はドリフトAP経路管理表の例をそれぞれ表わす図である。例えば、図25は図24に示すアンカーAP300とドリフトAP400との関係において、最終的なドリフトAP経路管理表の例も表わしている。
【0245】
図24の例では、端末500は、3つのドリフトAP400#d1(400−d1),#d2(400−d2),#d3(400−d3)の中間位置に移動した場合の例を表わしている。図24において、各ノード装置間の経路品質指標を(A)〜(J)のように表記している。例えば、(A)はアンカーAP#Aaa(300−aa)と端末500との間の経路品質指標を表わし、(J)はドリフトAP400#d1(400−d1)とドリフトAP400#d3(400−d3)との間の経路品質指標を表わしている。
【0246】
上述した例においては、アンカーAP#aa(300−aa)は、例えば、新規追加のドリフトAP400にIPアドレスを付与したときに、AP経路管理表を更新する旨について説明した。例えば、アンカーAP#aa(300−aa)は、端末500と各ドリフトAP#d1〜#d3(400−d1〜400−d3)との間の経路品質指標をMeasurement Reportなどにより観測できればAP経路管理表を更新するようにすることもできる。例えば、端末500やドリフトAP#d1〜#d3(400−d1〜400−d3)は、Attach要求を送信せずに、経路品質指標を測定できたとき、Measurement Reportを送信することもできる。この場合、例えば、アンカーAP#aa(300−aa)は、Measurement Reportを受信することができ、当該メッセージを送信した端末500やドリフトAP#d1〜#d3(400−d1〜400−d3)などは呼設定が必要な候補として、ドリフトAP経路管理表に記憶することができる。例えば、図25に示すように、ドリフトAP経路管理表では、経路品質指標とともに通信状態を記憶することができ、呼設定が必要な候補のドリフトAP400や端末500については通信状態として「待機」が記憶されることができる。一方、Attach要求を送信して呼接続した端末500やドリフトAP400は経路品質指標を測定すると、Measurement Reportするが、このような端末500やドリフトAP400については通信状態として「接続」が記憶されることができる。このような通信状態の判定は、例えば、アンカーAP300の処理部323(例えば図5(A))において行われることができる。
【0247】
なお、図27(A)及び(B)に示すドリフトAP経路管理表や、図29及び図30に示す最終的なドリフトAP経路管理表には、図25に示す接続状態が記憶されてもよい。また、図29及び図30に示す各ノード装置間のMeasured Resultログは、図25における経路品質指標とすることもできる。
【0248】
図25において、ドリフトAP経路管理表は、最初にアンカーAP#aa(300−aa)の識別子(ID=AP#aa)と、アンカーAP#aa(300−aa)と端末500との間における品質指標及び接続状態とが記憶される項目がある。そして、ドリフトAP経路管理表には、アンカーAP#aa(300−aa)配下またはその候補となるドリフトAP400の各識別子と、アンカーAP#aa(300−aa)との間の経路品質指標及び接続状態とがそれぞれ記憶される。なお、図25の例では、更に、アンカーAP#aa(300−aa)配下またはその候補のドリフトAP400としてドリフトAP#n(400−n)まである例について表わしている。
【0249】
さらに、ドリフトAP経路管理表においては、例えば、ドリフトAP#d(400−d1)の配下又はその候補としてドリフトAP#d11〜#d13(400−d11〜400−d13)がある例を表わしている。アンカーAP#aa(300−aa)は、例えば、各ドリフトAP#d11〜#d13(400−d11〜400−d13)のMeasurement Reportを、ドリフトAP#d1(400−d1)を介して受信(又は観測)すると、AP経路管理表にそれぞれの経路品質指標などを更新することができる。この場合、ドリフトAP#d11〜S13(400−d11〜400−d13)は、ドリフトAP#d1(400−d1)配下またはその候補のドリフトAP400となっている。そのため、アンカーAP#aa(300−aa)は、ドリフトAP経路管理表においては、ポインタ先にドリフトAP#d1,#d11〜#d13(400−d1,400−d11〜400−d13)の各識別子と、それぞれにおける経路品質指標、及び接続状態とを更新して記憶することができる。
【0250】
また、アンカーAP#aa(300−aa)は、例えば、ドリフトAP#d11(400−d11)の配下又はその候補のドリフトAP#d111〜d#113(400−d111〜400−d113)についてMueasurement Reportを受信することもできる。この場合、AP経路管理表において、ドリフトAP#d11(400−d11)のポインタ先に、更にそれぞれの識別子や経路品質指標を更新することができる。これらの例においても、上述したように、アンカーAP#aa(300−aa)はIPアドレスを付与するときに更新するようにすることもできる。
【0251】
処理について図6に戻ると、アンカーAP300は「初期設定」により、上述した最終的なドリフトAP経路管理表を生成することができる。
【0252】
そして、アンカーAP300は、「経路品質指標測定」(S13)を行うことで、Measurement Reportを受信し、最終的なドリフトAP経路管理表に経路品質指標を記憶することができる。
【0253】
<4.2.2 「経路品質指標測定」について>
次に、「経路品質指標測定」(図6のS13)の処理について説明する。アンカーAP300は、最終的なドリフトAP経路管理表を生成すると、Measurement Report要求を送信することができる(図6のS137)。Measurement Report要求の送信先は、例えば、最終的なドリフトAP経路管理表に記憶されたドリフトAP400や端末500とすることができる。
【0254】
例えば、図8(A)の関係例では、アンカーAP300はドリフトAP400にMeasurement Report要求を送信することができる。また、図11の例では、アンカーAP300はドリフトAP#1(400−1)とドリフトAP#11(400−11)にMeasurement Report要求を送信することができる。この場合、例えば、アンカーAP300はドリフトAP#1(400−1)に対するMeasurement Report要求に、ドリフトAP#11(400−11)に対するMeasurement Report要求を含めるようにしてもよい。また、図29の例では、アンカーAP#a(300−a)は、ドリフトAP#1(400−1)から#3(400−3)に対してMeasurement Report要求をそれぞれ送信することができる。
【0255】
さらに、図29の例では、アンカーAP#a(300−a)は、ドリフトAP#4(400−4),#5(400−5)に対するMeasurement Report要求をドリフトAP#1(400−1)に送信することができる。これにより、アンカーAP#a(300−a)は、ドリフトAP#1(400−1)とドリフトAP#4(400−4)、ドリフトAP#1(400−1)とドリフトAP#5(400−5)のMeasured Resultを得ることができる。また、アンカーAP#a(300−a)は、ドリフトAP#4(400−4),#5(400−5)に対するMeasurement Report要求を、ドリフトAP#2(400−2)に送信することができる。これにより、アンカーAP#a(300−a)は、ドリフトAP#2(400−2)とドリフトAP#4(400−4)、ドリフトAP#2(400−2)とドリフトAP#5(400−5)のMeasured Resultを得ることができる。
【0256】
このように、アンカーAP300は、最終的なドリフトAP400管理表に記憶されたドリフトAP400に対してMeasurement Report要求を送信することができる。Measurement Report要求の送信先は、例えば、アンカーAP300の処理部323がメモリ341にアクセスして、最終的なドリフトAP400管理表からドリフトAP400と追加されたドリフトAP400の識別子(例えばIPアドレス)を読み出して、送信先とすることができる。例えば、処理部323において、送信先を付加したMeasurement Report要求を生成することができる。
【0257】
なお、経路上にあるドリフトAP400は、例えば、上述した図7に示す処理を実行することで、アンカーAP300に対してMeasured Resultを送信することができる。各経路上におけるドリフトAP400の処理は、図7を用いて説明したため、ここではその説明を省略する。
【0258】
図6に戻り、アンカーAP300は、各ドリフトAP400や端末500からMeasurement Reportを受信することができる(S138)。そして、アンカーAP300は、Measurement Reportに含まれる経路品質指標を抽出して、最終的なドリフトAP経路管理表の該当する項目に記憶する。例えば、アンカーAP300の処理部323は、無線部310などを介してMeasurement Reportを受信すると、経路品質指標を抽出し、メモリ341に記憶された最終的なドリフトAP経路管理表の該当する項目に経路品質指標を記憶する。例えば、Measurement Reportには、経路品質指標はどの経路(例えば、ドリフトAP#1(400−1)とドリフトAP#2(400−2)など)のものなのかを示す情報が含まれており、この経路情報に対応する、最終的なドリフトAP400管理表の項目に経路品質指標を記憶することができる。
【0259】
以上により、測定された経路品質指標はアンカーAP300に集約されて、アンカーAP300は、最終的なAP経路管理表に経路品質指標を登録することができる。
【0260】
<4.2.3 「管理帳票追加生成」について>
次に「管理帳票追加生成」(図6のS14)の処理について説明する。
【0261】
例えば、アンカーAP300は、受信したMeasurement Reportにおいて、最終的なドリフトAP経路管理表にない経路が含まれているとき、当該Measurement Reportから抽出した経路品質指標を最終的なドリフトAP経路管理表に追加登録することができる。例えば、ドリフトAP400や端末500は、Attach要求を送信せずに、経路品質指標を測定した場合、Measurement Reportを送信する場合もある。このような場合、アンカーAP300は最終的なAP経路管理表に、当該メッセージを送信したドリフトAP400や端末500の識別子、測定された経路品質指標を追加して記憶することができる。
【0262】
例えば、図21において、アンカーAP#a(300−a)の通信可能範囲にドリフトAP#6(図示せず)が移動して、経路品質指標を測定し、アンカーAP#a(300−a)に対してAttach要求を送信しないでMeasuement Reportを送信した場合を考える。例えば、ドリフトAP#6は、自局のIPアドレスを含むMeasurement Reportを送信することができる。アンカーAP#a(300−a)はMeasurement Reportを受信すると、ドリフトAP#6のIPアドレスと経路品質指標を抽出し、最終的なドリフトAP経路管理表に追加して記憶する。例えば、図29の例では、アンカーAP#a(300−a)は、「ドリフトAP#3識別子」の次の項目として、ドリフトAP#6のIPアドレスと経路品質指標とを記憶する。この場合、アンカーAP#a(300−a)は通信状態として「待機」(例えば図25)を最終的なドリフトAP経路管理表に記憶することもできる。
【0263】
「経路帳票追加生成」の処理は、例えば、アンカーAP300の処理部323において、メモリ341に適宜アクセスして最終的なドリフトAP経路管理表を更新することで行われることができる。
【0264】
<4.3 「測定事象抽出」と「抽出結果評価」について>
アンカーAP300は、「経路帳票追加生成」の処理が終了すると、次いで、「測定事象抽出」(図6のS15)から「抽出結果評価」(S18)までの処理を行う。
【0265】
次に、「測定事象抽出」と「抽出結果評価」の2つの処理に詳細について説明する。図33から図35(C)は、2つの処理の詳細を説明するための図である。
【0266】
最初に、本第2の実施の形態における2つの処理(「測定事象抽出」と「抽出結果評価」)の考え方について説明する。本第2の実施の形態において経路選択は、例えば、複数ある経路品質指標から経路選択指標を選択し、選択された経路選択指標に対して適応度を満たす経路を経路選択のルールとして採用し、その決定したルールに従って最適経路が選択される。例えば、アンカーAP300は、ドリフトAP400に対する経路に対して、このような決定したルールに従い最適な経路を選択するようにしている。この場合、適応度は、例えば、アドホックネットワークシステム10における各ノード装置の一種の重み(w)を表現しているとみなすことができる。
【0267】
図31(A)はノード装置と重みの関係例を表わす図である。ノードViとノードVjのそれぞれの重みをwiとwjとすると、ノードViとノードVjが互いに経路を構成するためにはそれぞれの重みwi、wjがある一定の閾値(Θ)以上が必要である、とすると、経路を構成するための条件としては、wi+wj≧Θ、と表現することができる。
【0268】
図31(B)から図32は、各ノードにおいて経路を構成できる条件などをそれぞれ表わしている。図31(B)の例では、ノードV’とノードV”のそれぞれの重みw’とw”について、w≦w’の場合、重みw’とw”とが閾値(Θ)以上の条件(w’≧Θ−w、w”≧Θ―w)を満たせば、ノードV’とノードV”は経路が構成できる。
【0269】
ただし、図32に示すように、w>w’で、かつ、w’+w”<Θの場合、閾値(Θ)以上の条件を満たすことができず、ノードV’とノードV”との間に経路が構成できない。経路を構成できるかは、例えば、重みに対する閾値以上となるか否かにより、すなわち適応度以上か否かにより判別することが可能となる。
【0270】
経路選択指標と適応度の求め方は、例えば、以下のようにすることができる。例えば、測定された経路品質指標には、複数種類の経路品質指標があるものとする。例えば、経路品質指標としては、無線品質やホップ数、無線資源の余力などがあり、これらの指標がすべて測定されたものとする。
【0271】
例えば、アンカーAP300(=スタート)から端末500(=ゴール)までのある経路品質指標(A)が「40」、また別の経路品質指標(B)が「60」、さらに別の経路品質指標(C)が「80」の値とする。この場合、例えば、経路品質指標(A)は無線品質のうちパケットロス率、経路品質指標(B)は無線品質のうちエラー頻度、経路品質指標(C)はノイズ率などとすることができる。経路品質指標(A)などの例は一例であり、ホップ数や無線リソースの残余率など他の指標でもよい。
【0272】
このような場合、アンカーAP300は、経路品質指標(A)から(C)に対して、経路品質指標のうち最大値である「80」を有する経路品質指標(C)を経路選択指標とすることができる。例えば、経路品質指標(C)はノイズ率であるため、経路選択指標としてノイズ率を採用することができる。この場合、アンカーAP300は「80」を適応度とすることもできる。
【0273】
また、アンカーAP300は、経路品質指標(A)から(C)に対して、最小値である「40」を有する経路品質指標(A)を経路選択指標とすることもできる。この場合、経路品質指標(A)はパケットロス率のため、アンカーAP300はパケットロス率を経路選択指標とすることができる。この場合、アンカーAP300は「40」を適応度とすることができる。
【0274】
さらに、アンカーAP300は、経路品質指標(A)から(C)に対して、平均値である「60」を有する経路品質指標(B)を経路選択指標とすることができる。例えば、アンカーAP300はエラー頻度を経路選択指標とすることもできる。この場合、アンカーAP300は「60」を適応度とすることもできる。
【0275】
上述した例においては、例えば、測定指標抽出処理(S15)は、経路品質指標(A)や(B)、(C)などが選択されることに対応する。また、閾値「Q」を満足するか否かは(S16)、各指標の最大値「80」以上の経路品質指標があるか否かなどに対応する。閾値「Q」が例えば最大値「80」などに対応する。さらに、抽出結果評価(S18)は、例えば、最大値「80」以上の経路品質指標(C)について、適応度「80」を満たす経路として、経路1か、経路2かなどを比較評価することに対応する。
【0276】
また、アンカーAP300は、「測定指標抽出」の処理(S15)として、例えば、以下のようにして経路品質指標を抽出することもできる。すなわち、アンカーAP300は、測定された経路品質指標に対して重み付けをし、その結果に基づいて経路選択指標を求めることもできる。例えば、以下のように重み付けにより経路選択指標を求めることもできる。
【0277】
例えば、上述した例において、各経路品質指標(A)から(C)は、その差が「40」であり、幅として「40」を有している。この幅「40」を、各経路品質指標(A)から(C)の共通領域(領域α)の幅とし、共通した評価を示した値であると考えて、その重みは「3/3=1」とすることができる。
【0278】
また、品質経路指標(B)と(C)の領域(領域β)においては、幅「20」について、その重みは、全体の品質経路指標(A)から(C)に対して「2/3=0.66」とすることができる。
【0279】
さらに、品質経路指標(C)だけの領域(領域γ)においては、幅「0」について、その重みは、全体の品質経路指標(A)から(C)に対して「1/3=0.33」とすることができる。
【0280】
そして、以下の式として総合評価値が表現されることができる。
【0281】
【数1】

式(1)において、μ({A,B,C})は領域αの重み(例えば「1」)、h(A)は領域αの幅(例えば「40」)である。また、μ({B,C})は領域βの重み(例えば「0.66」)、h(B)−h(A)は領域βの幅(例えば「20」)である。さらに、μ({C})は領域γの重み(例えば「0.33」)、h(C)−h(B)は領域γの幅(例えば「20」)である。
【0282】
図33は総合評価値をまとめた結果の例を表わしている。ただし、総合評価値に対して基準εを総合評価値に適用している。例えば、基準εを「0.75」としたとき、総合評価値は「68.98」となる。
【0283】
図33の例では、例えば、経路品質指標が最大値(例えば「80」)の指標を経路選択指標とすることができるし、3つの経路品質指標を重み付けした指標を経路選択指標とすることができる。3つの指標を重み付けする場合、例えば、パケットロス率とエラー頻度、及びノイズ率を経路選択指標とすることができ、これらの経路品質指標について重み付けした値(例えば総合評価値の「68.98」)を適応度とすることができる。基準εの適用の仕方によっては、3つの経路品質指標のうち、任意の2つの経路品質指標を経路選択指標とすることができ、基準εを適用した値が適応度とすることもできる。
【0284】
このような式(1)を用いた計算は、例えば、アンカーAP300の処理部323において、最終的なドリフトAP経路管理表に記憶されてMeasured Resultを各々読み出すことで計算することができる。この場合、処理部323は、アンカーAP300(=スタート)から端末500(=ゴール)までの経路品質指標については、各経路の経路品質指標を加算した値を用いることもできる。
【0285】
このように総合評価値に基づいて経路選択指標を求めるのは一例であって、それ以外の手法により経路選択指標や適応度を求めたりすることも可能である。
【0286】
例えば、多変量解析法に基づいて適応度を求めることもできる。例えば、経路品質指標を5段階に量子化(例えば、−2,−1,0,1,2,3)する。経路品質指標が2要素の場合(例えば、経路品質指標として「パケットロス率」と「ホップ数」などの2要素)、測定した経路品質指標について、(1,3)と(2,−1)とが得られたとする。この場合の適応度の求め方として、図34に示す行列式により演算することで、適応度「−7」を得ることもできる。また、経路品質指標が3要素の場合(例えば、「パケットロス率」、「ホップ数」、及び「無線品質の残余率」など)、測定した経路品質指標について量子化した場合、(1,2,3)と(3,2,1)、及び(−1,−2,−1)が得られたとする。この場合、適応度は量子化された経路品質指標を行列式により演算することで、例えば、「−8」となる(例えば、図34(B))。
【0287】
適応度の求め方としては、さらに、クラスター分析法の一つであるK平均法により求めることもできる。例えば、予め各経路品質指標の中心値(又は基準値)を定め、ある時点における測定された経路品質指標との差分を求め、最も中心値に近い測定された経路品質指標を適応度とすることもできる。
【0288】
さらに、適応度の求め方としては、さらに、以下のようなものがある。例えば、ある2つの経路において、経路品質指標(I)、(II)について、構成要素(A)と(B)とがある場合において、それぞれの観測値が図35(A)に示す値が得られたとする。
【0289】
ここで、経路品質指標における構成要素とは、例えば、無線区間の伝送品質に関するものや各ノードの無線資源量に関するものを区分する意味で用いられ、属性ごとの測定事象のことである。例えば、品質に関する属性に属する構成要素(例えば構成要素(A))は、パケットロス率、電界強度などの測定事象となる。また、各ノードの無線資源量に属する構成要素(例えば構成要素(B))は無線リソースの残存率、ある無線チャネルの使用率などの測定事象である。
【0290】
また、これらの構成要素(A)と(B)が経路選択に与える重要度(又は影響度)がそれぞれ「0.9」とする。ここで、「重要度」は、構成要素が経路選択に与える値又は度合などである。「重要度」は、構成要素ごとに異なる値でもよいし、同じ値となってもよい。そして、ウェイト評価法に基づいて、経路選択決定の経路選択指標を求めると、以下のようになる。
【0291】
経路選択指標(I)=90×0.9+20×0.9=99
経路選択指標(II)=60×0.9+60×0.9=101
この結果、より大きな値が良好な経路であるとしたとき、アンカーAP300は経路選択指標(II)(例えば、無線リソースの残存率とある無線チャネルの使用率など)を経路選択指標として、「101」を適応度として決定することができる。この場合、アンカーAP300は小さい値の「99」を適応度とすることもできる。
【0292】
さらに、適応度の求め方としては、以下のようなものがある。例えば、3つの経路において、経路品質指標(I)、(II)、及び(III)について、構成要素(A)と(B)とがある場合において、それぞれの観測値が図35(B)に示す値が得られたとする。
【0293】
そして、アンカーAP300は、各経路品質指標に対して100点を最高点としたスケーリングを行い、スケーリングした各要素に対して重み付けを行う。図35(C)はスケーリングを行った結果の例を表わしている。
【0294】
重み付けに関しては、例えば、構成要素(A)及び(B)の双方については重み(例えば、重みは重要度でもよい)を「1.0」、構成要素(A)だけに対する重みを「0.5」、構成要素(B)だけに対する重みを「0.3」とする。ここで、経路選択指標は、例えば、各経路品質指標の各構成要素の全体集合と各構成要素の寄与する度合の総合評価と見なすこともできる。例えば、ファジィ積分法により総合評価を行うことも可能であり、これを用いると、アンカーAP300は、
経路選択指標(I)→(1∧0.65∧0.95)∨(0.5∧0.65)∨(0.3∧0.90)=0.65
経路選択指標(II)→(1∧0.90∧0.55)∨(0.5∧0.95)∨(0.3∧0.55)=0.55
経路選択指標(III)→(1∧0.80∧0.70)∨(0.5∧0.80)∨(0.3∧0.70)=0.70
と演算することができる。この結果、例えば、より大きな値が良好な経路としたとき、アンカーAP300は、経路選択指標(III)を経路選択指標として採用し、「0.70」を適応度とすることができる。
【0295】
以上のようにして、アンカーAP300は、最適経路を探索するためのルールとして、例えば、ある経路選択指標を選択し、最適経路を選択するための基準として適応度を選択することができる。以上により、アンカーAP300は、図6に示す「測定事象抽出」の処理(S15)を行うことができる。
【0296】
次いで、アンカーAP300は経路選択指標について、抽出した条件が、例えば、アンカーAP300は抽出した経路選択指標について適応度として閾値(以下、Qと略す)を満たすか否かを判定することで、適応度を満たす経路の候補を選択することができる(S16)。
【0297】
アンカーAP300は、抽出した条件がQ以上でないとき(S16でNo)、再度、測定事象抽出処理(S15)を行い、他の経路選択指標と適応度を抽出することにしている。
【0298】
一方、アンカーAP300は、抽出した条件がQ以上のとき(S16でYes)、ハンドオーバ要求の有無を判別する(S17)。ハンドオーバ要求は、本第2の実施の形態では、例えばアンカーAP300が送信することができる。アンカーAP300がHO要求を送信する状態ではないとき(S17でNo)、経路品質指標測定処理に移行して上述の処理を繰り返す。例えば、アンカーAP300の処理部323は、Measurement Reportに含まれる無線区間の経路品質指標が閾値以下のとき、当該無線区間におけるドリフトAP400または端末500についてハンドオーバすることを決定することができる。よって、アンカーAP300の処理部323はこのような決定の有無により、ハンドオーバ要求を送信する状態であるか否かを判定することができる。
【0299】
一方、アンカーAP300は、ハンドオーバ要求を送信できる状態のとき(S17でYes)、抽出結果評価処理を行う(S18)。抽出結果評価処理としては、上述したように、例えば、アドホックネットワークが採用した経路決定のルールに基づき、どの指標を適応度として比較するのか等が行われる。本抽出結果評価処理は、例えば、後段の「最適経路決定処理」に先立ち、新経路として「経路1」か「経路2」かなどを比較評価する処理となる。
【0300】
<4.4 「最適経路決定」について>
次に、図6の「最適経路決定」についての処理の詳細について説明する。図36から図40は「最適経路決定」の処理を説明するための図である。本例では、「最適経路決定」の処理が行われる場合として、ハンドオーバが適用された場合の例で説明することにする。最初に、図36から図38を用いてハンドオーバが適用された場合の「最適経路決定」の処理について説明し、図39及び図40を用いて他の処理の例について説明することにする。
【0301】
<4.5 HOが適用された場合の動作>
図36はアドホックネットワークシステム10の構成例を表わしている。この例では、端末500はアンカーAP#a(300−a)に接続し、ハンドオーバにより、2つのドリフトAP#1(400−1),#2(400−2)の双方と無線通信できる範囲に移動する例を表わしている。端末500が移動した場合、アンカーAP#a(300−a)から端末500へ向かう経路としては、ドリフトAP#1(400−1)を介した経路と、ドリフトAP#2(400−2)を介した経路の2つの経路がある。アンカーAP#a(300−a)は、端末500との間で初期設定(図6のS13)を行った後、経路品質指標測定(S13)を行い、測定指標抽出(S15)から最適経路決定(S19)までの処理を行うことで、最適経路を選択することができる。なお、説明の容易のため、以下の動作例においては管理帳票追加生成(S14)の処理は行われないものとする。
【0302】
図37は、このような状況において、アドホックネットワークシステム10における各処理の動作例を表わすシーケンス図である。図37の例では、初期設定(S12)が既に行われたものとし、経路品質指標測定(S13)以降の処理のシーケンス図を表わしている。
【0303】
アンカーAP#a(300−a)は、最終的なドリフトAP経路管理表に基づいて、端末500とドリフトAP#1(400−1),#2(400−2)に対して、Measurement Report要求をそれぞれ送信する(S141〜S143)。
【0304】
次いで、アンカーAP#a(300−a)は、端末500とドリフトAP#1(400−1),#2(400−2)から、Measurement Reportを受信する(S144〜S146)。Measurement Reportには、例えば、端末500やドリフトAP#1(400−1),#2(400−2)において測定などした経路品質指標が含まれる。
【0305】
次いで、アンカーAP#a(300−a)は、図6におけるS14からS19までの処理を行う。例えば、アンカーAP#a(300−a)は、複数の経路選択指標のうち、最大値(例えば図33の最大値「80」)を有する経路選択指標を抽出し、当該最大値を適応度とすることを決定する(S15,S16でYes)。そして、アンカーAP#a(300−a)は、端末500とアンカーAP#a(300−a)間の無線区間における経路品質指標がハンドオーバ用の閾値以下であることを検出するとハンドオーバ要求あり(S17でYes)と判定する。さらに、アンカーAP#a(300−a)は、経路選択のルールとして、抽出した経路選択指標について適応度を満たす(又は適応度以上の)経路を選択して、選択した経路を最適経路として決定する(S18,S19)。例えば、アンカーAP#a(300−a)は、無線リソースの残余率(=経路選択指標)が最大値「80」以上(=適応度)の経路として、ドリフトAP#2(400−2)を介した経路を最適経路として決定することができる。この場合、ドリフトAP#1(400−1)を介した経路についても抽出結果評価処理(S18)において、無線リソースの残余率が最大値「80」以上か否かが評価される。しかし、ドリフトAP#1(400−1)を介した経路の無線リソースの残余率は最大値「80」より小さいものであったため(S18)、最適経路とならないことが決定されることになる(S19)。
【0306】
したがって、アンカーAP#a(300−a)は、最適経路として選択した経路上にあるドリフトAP#2(400−2)に対して、ハンドオーバ要求を送信することができる(S147。図6ではS20)。例えば、アンカーAP#a(300−a)の処理部323は、最終的なドリフトAP経路管理表に記憶されたアンカーAP#a(300−a)とドリフトAP#1(400−1)における経路品質指標と、アンカーAP#a(300−a)とドリフトAP#2(400−2)における経路品質指標とを読み出す。そして、処理部323は、経路品質指標から経路選択指標(例えば無線リソースの残余率)を抽出し(S15)、適応度を満たす(例えば「80」以上)(S16でYes)ものを経路選択のルールとして決定し、当該ルールを満たす経路(例えばドリフトAP#2(400−2)を介した経路)を最適経路として選択する(S18,S19)。処理部323は、最適経路を選択したとき、ハンドオーバ要求を生成し、信号生成部321などを介してドリフトAP#2(400−2)にハンドオーバ要求を送信する。
【0307】
アンカーAP#a(300−a)は、ハンドオーバ要求を送信すると、経路切替処理を行う(S149)。一方、ドリフトAP#2(400−2)も、ハンドオーバ要求を受信すると経路切替処理を行う(S148)。例えば、アンカーAP#a(300−a)は、端末500との無線通信を行う場合の経路として、端末500と直接無線通信を行う経路から、ドリフトAP#2(400−2)を経由した経路に切替えるよう処理を行う。また、ドリフトAP#2(400−2)も、アンカーAP#a(300−a)と端末500と通信を行うように経路を切替える処理を行う。
【0308】
経路切替処理としては、例えば、アンカーAP#a(300−a)からドリフトAP#2(400−2)を経由して端末500に至る経路となるように、ルーティングテーブルを書き換えることで処理が行われることができる。あるいは、このようなルーティングテーブルの書き換えによる経路切替え処理がアンカーAP#a(300−a)において行われ、ドリフトAP#2(400−2)において行われないようにすることができる。この場合、例えば、アンカーAP#a(300−a)の処理部323は、メモリ341などに記憶したルーティングテーブルに従って、端末500宛てのデータについてドリフトAP#2(400−2)に送信し、さらに、送信データにドリフトAP#2(400−2)を経由して送信することを表わす経路情報も付加して送信する。これにより、ドリフトAP#2(400−2)では、経路切替え処理などを行わなくても、経路情報に従って、受信したデータを端末500に送信することができる。このことは、例えば、ホップ数が1以上の場合でも、同様に経路情報が付加されることで、途中のドリフトAP400などは受信したデータをどこに送信すればよいのか判別することができる。
【0309】
図27に戻り、ドリフトAP#2(400−2)は経路切替え処理を行うと、ハンドオーバ要求に対するHandover Request AckをアンカーAP#a(300−a)に送信する(S150)。以降の処理(S151〜S158)は、例えば、公知のハンドオーバ手順により実行される処理であるため説明を省略する。
【0310】
図27に示すように、本第2の実施の形態におけるアンカーAP#a(300−a)は、端末500がハンドオーバするときに、アンカーAP#a(300−a)自身がハンドオーバ要求を生成し、ハンドオーバ先のドリフトAP#2(400−2)にハンドオーバ要求を送信している。従って、ドリフトAP#1(400−1),#2(400−2)や端末500は、ハンドオーバ要求を送信するなどの処理を行わなくでもよく、ハンドオーバ要求を送信する場合と比較して、処理の軽減を図ることができる。また、これにより、アドホックネットワーク10に流通する情報量も削減することができる。
【0311】
図38も、ハンドオーバが適用された場合の動作例を表わす図である。アンカーAP#a(300−a),#b(300−b)とドリフトAP#2(400−2)〜#4(400−4)の関係例は、例えば、図21に示される。
【0312】
図21に示すように、端末500はドリフトAP#2(400−2)とアンカーAP#a(300−a)を経由した経路により通信を行っており、その後、ドリフトAP#2(400−2)のゾーンからドリフトAP400#3(400−3)のゾーンに移動している例を表わしている。端末500の移動後、経路としては、例えば、
1)アンカーAP#a(300−a)〜ドリフトAP#2(400−2)〜ドリフトAP#3(400−3)、
2)アンカーAP#a(300−a)〜ドリフトAP#3(400−3)、
3)アンカーAP#b(300−b)〜ドリフトAP#3(400−3)、
4)アンカーAP#b(300−b)〜ドリフトAP#4(400−4)〜ドリフトAP#3(400−3)
の4つの経路がある。図38は、アンカーAP#a(300−a)において、最適経路として経路4)が選択された場合の動作例を表わすシーケンス図である。
【0313】
アンカーAP#a(300−a)とアンカーAP#b(300−b)は、初期設定(S12)により隣接関係を生成することができ、例えば図28(A)及び図28(B)に示す隣接関係リストを生成する(S12)。
【0314】
そして、アンカーAP#a(300−a)は、配下又は配下の候補となるドリフトAP#2(400−2)〜#4(400−4)と端末500からMeasurement Reportを受信することができる(S160,S163,S164,S167,S168)。図38に示す例では、アンカーAP#a(300−a)は、Measurement Report要求をドリフトAP#2(400−2)〜#4(400−4)に送信することで(S161,S162,S165,S166)、Measurement Reportを受信している。
【0315】
アンカーAP#a(300−a)は、最終的なドリフトAP経路管理表に記憶された経路品質指標に基づいて、S14からS19までの処理を行い、最適経路として経路4)を選択する。アンカーAP#a(300−a)は、選択した経路4)により端末500と通信を行うようにするため、アンカーAP#b(300−b)に対してハンドオーバ要求を送信する(S170)。
【0316】
アンカーAP#b(300−b)は、ハンドオーバ要求を受け取ると、Handover Request AckをアンカーAP#a(300−a)に送信する(S171)。これにより、ハンドオーバが許可されて、ハンドオーバ処理(S172〜S180)が行われる。経路4)の経路情報は、例えば、アンカーAP#b(300−b)において端末500宛てのデータに付加することができる。これにより、経路4)上のドリフトAP#4(400−4)とドリフトAP#3(400−3)は、受信したデータをどこに送信するかを判別することができる。
【0317】
図38に示すように、最適経路選択の処理は、アンカーAP#a(300−a)にて行われ、ドリフトAP#2(400−2)〜#4(400−4)や端末500において行われることもない。また、これに伴いドリフトAP#2(400−2)〜#4(400−4)や端末500が経路情報を収集するような処理も行われない。従って、ドリフトAP#2(400−2)〜#4(400−4)や端末500において経路選択に関わる処理負担は、ドリフトAP#2(400−2)〜#4(400−4)や端末500自身が処理する場合と比較して少なくなる。結果として、アドホックネットワークシステム10内における情報の流通に支障を及ぼさないようにすることができる。
【0318】
図39及び図40もハンドオーバが適用された場合の動作例をそれぞれ表わしている。図39はドリフトAP#1(400−1)〜#3(400−3)、端末500、及びアンカーAP300の関係例を表わしており、図40はハンドオーバが適用された場合の動作例を表わすシーケンスチャートである。
【0319】
この例では、図39に示すように、アンカーAP300と端末500はドリフトAP#1(400−1)を経由した経路(図39において太線で示される)により無線通信を行っているとする(図39において太線で示す経路)。そして、端末500の移動に伴って、アンカーAP300は最適経路として、「アンカーAP〜ドリフトAP#1(400−1)〜ドリフトAP#3(400−3)」の経路(図39において一点鎖線で示す経路)が選択された場合の例を表わしている。図40はこの経路が選択された場合の動作例を表わしている。
【0320】
図40に示すように、アンカーAP300は経路選択処理(S201、例えば図6のS14〜S19までの処理)により、上記経路を選択すると、ドリフトAP#1(400−1)にハンドオーバ要求を送信する(S202)。
【0321】
ドリフトAP#1(400−1)は、当該ハンドオーバ要求をターゲットノードとなるドリフトAP#2(400−2)に送信する(S203)。例えば、アンカーAP300によりハンドオーバ要求の送信先を示す経路情報(最適経路の経路情報)が付加されて、この経路情報に従って、ドリフトAP#1(400−1)は、ハンドオーバ要求をドリフトAP#2(400−2)に送信することができる。
【0322】
ドリフトAP#2(400−2)は、ハンドオーバ要求を受信すると、ハンドオーバ要求AckをドリフトAP#1(400−1)に送信する(S204)。例えば、ドリフトAP#2(400−2)も、ハンドオーバ要求に付加された経路情報を、ハンドオーバ要求Ackに付加して送信することもできる。
【0323】
ドリフトAP#1(400−1)は、ドリフトAP#2(400−2)から受信したハンドオーバ要求AckをアンカーAP300に送信する(S205)。例えば、ドリフトAP#1(400−1)は、ハンドオーバ要求Ackに付加された経路情報に従って、ハンドオーバ要求AckをアンカーAP300に送信することができる。以降は、例えば、公知のハンドオーバ処理が行われる。
【0324】
図40に示すように、本例においても、アンカーAP300において経路選択処理が行われており、ドリフトAP#2(400−2)〜#4(400−4)や端末500などで行われる場合と比較して、ドリフトAP#2(400−2)〜#4(400−4)や端末500における処理軽減を図ることができる。また、処理軽減の結果として、経路選択に係る処理によって、アドホックネットワークシステム10内における情報の流通に支障を及ぼさないようにすることができる。
【0325】
[その他の実施の形態]
次にその他の実施の形態について説明する。図41から図42(B)は、アンカーAP300、ドリフトAP400(又は端末500)、及びMME200のハードウェアブロックの構成例をそれぞれ表わす図である。
【0326】
図41に示すように、アンカーAP300は、更に、CPU360、ROM(Read Only Memory)361、RAM(Random Access Memory)362を備える。なお、図41に示すアンカーAP300のハードウェアブロックの構成例において、CPU360は、例えば、第1の実施の形態における制御部370に対応する。
【0327】
例えば、CPU360は、第2の実施の形態におけるアンカーAP300の制御部320に対応する。すなわち、CPU360は、例えば、第2の実施の形態における信号生成部321、信号分析部322、処理部323、データ送信部324、及び制御情報受信部325に対応する。CPU360は、ROM361に記憶されたプログラムを適宜読み出して、RAM362にロードして、当該プログラムを実行することができる。CPU360におけるプログラムの実行により、例えば、処理部323などで行われる処理を実現することもできる。
【0328】
図42(A)はドリフトAP400(又は端末500)のハードウェアブロックの構成例を表わしている。ドリフトAP400は、更に、CPU460、ROM461、RAM462を備える。例えば、CPU460は、第2の実施の形態におけるドリフトAP400の制御部420に対応する。すなわち、CPU460は、例えば、第2の実施の形態における信号生成部421、信号分析部422、及び処理部423に対応する。CPU460は、ROM461に記憶されたプログラムを適宜読み出して、RAM462にロードして、当該プログラムを実行することができる。CPU460におけるプログラムの実行により、例えば、処理部423などで行われる処理を実現することができる。図42に示すドリフトAP400(又は端末500)のハードウェアブロックの構成例は、例えば、第1の実施の形態における第2、第3、及び第4のノード装置400−1〜400−3にそれぞれ対応し、それぞれにおいて実施することができる。
【0329】
図42(B)はMME200のハードウェアブロックの構成例を表わしている。MME200は、更に、CPU260、ROM261、及びRAM262を備える。例えば、CPU260は、第2の実施の形態におけるMME200の制御部220に対応する。CPU260は、ROM261に記憶されたプログラムを適宜読み出して、RAM262にロードして、当該プログラムを実行することができる。CPU260におけるプログラムの実行により、例えば、制御部220で行われる処理を実現することができる。
【0330】
以上まとめると付記のようになる。
【0331】
(付記1)
ネットワークに接続された第1のノード装置と、前記第1のノード装置と無線通信を行う第2及び第3のノード装置と、前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して前記第1のノード装置と無線通信を行う第4のノード装置とを備える通信ネットワークシステムにおいて、
前記第1のノード装置は、前記第2のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第1の経路及び前記第3のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第2の経路について、前記第1及び第2の経路の状態をそれぞれ示す経路選択指標に対して経路選択の基準を示す適応度に基づいて経路選択のルールを決定し、決定された経路選択のルールに従って、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択する制御部を備え、
前記第1のノード装置と前記第4のノード装置は、選択された前記第1の経路又は前記第2の経路上に位置する前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して無線通信を行うことを特徴とする通信ネットワークシステム。
【0332】
(付記2)
前記制御部は、前記第4のノード装置が前記第2又は第3のノード装置にハンドオーバするときに前記第1の経路又は第2の経路を選択し、
前記第1の無線部は、選択された前記第1又は第2の経路上に位置する前記第2又は第3のノード装置に対して、ハンドオーバを要求するメッセージを送信することを特徴とする付記1記載の通信ネットワークシステム。
【0333】
(付記3)
前記第2及び第3のノード装置は、前記第1のノード装置との間においてそれぞれ観測した経路選択指標を前記第1のノード装置に送信し、
前記第4のノード装置は、前記第2及び第3のノード装置との間においてそれぞれ観測した経路選択指標を前記第2及び第3のノード装置を介して前記第1のノード装置にそれぞれ送信し、
前記制御部は、前記第2、第3、及び第4のノード装置からそれぞれ送信された経路選択指標に対して前記適応度に基づいて経路選択のルールを決定することを特徴とする付記1記載の通信ネットワークシステム。
【0334】
(付記4)
前記制御部は、前記ネットワークに接続された第5のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第3の経路があるとき、前記第1、第2、及び第3の経路状態をそれぞれ示す経路選択指標に対して前記適応度に基づいて経路選択のルールを決定し、決定された経路選択のルールに従って、前記第1、第2、又は第3の経路を選択することを特徴とする付記1記載の通信ネットワークシステム。
【0335】
(付記5)
前記第2及び第3のノード装置は、前記第1のノード装置との間においてそれぞれ観測した経路選択指標を前記第1のノード装置に送信し、
前記第4のノード装置は、前記第2及び第3のノード装置との間においてそれぞれ観測した経路選択指標を前記第2及び第3のノード装置を介して前記第1のノード装置にそれぞれ送信し、更に、前記第5のノード装置との間において観測した経路選択指標を前記第5のノード装置を介して前記第1のノード装置に送信し、
前記制御部は、前記第2、第3、及び第4のノード装置からそれぞれ送信された経路選択指標に対して前記適応度に基づいて経路選択のルールを決定することを特徴とする付記4記載の通信ネットワークシステム。
【0336】
(付記6)
前記第5のノード装置は、前記第3の経路を介した前記第4のノード装置との接続関係を示す隣接関係リストを前記第1のノード装置に送信し、
前記制御部は、前記隣接関係リストに基づいて、前記第5のノード装置を介して前記第4のノード装置に対して前記経路選択指標の観測を要求することを特徴とする付記5記載の通信ネットワークシステム。
【0337】
(付記7)
更に、経路管理表を記憶する記憶部を備え、
前記経路管理表には、前記第2、第3、及び第4のノード装置からそれぞれ送信された経路選択指標が記憶され、
前記制御部は、前記第5のノード装置から送信された前記隣接関係リストに基づいて前記経路管理表を作成し前記記憶部に記憶することを特徴とする付記6記載の通信ネットワークシステム。
【0338】
(付記8)
前記制御部は、前記経路選択指標について重み付けした経路選択指標に対して前記適応度に基づいて経路選択のルールを決定することを特徴とする付記1記載の通信ネットワークシステム。
【0339】
(付記9)
前記制御部は、前記経路選択指標において第1及び第2の経路選択指標が含まれるとき、前記第1及び第2の経路選択指標のそれぞれに対して重み付けし、重み付けされた前記第1及び第2の経路選択指標に対して前記適応度に基づいて経路選択のルールを決定することを特徴とする付記1記載の通信ネットワークシステム。
【0340】
(付記10)
ネットワークに接続され、第1及び第2のノード装置と無線通信を行い、前記第1及び第2のノード装置を介して第3のノード装置と無線通信を行うノード装置において、
前記第1のノード装置を介して前記第3のノード装置に至る第1の経路及び前記第2のノード装置を介して前記第3のノード装置に至る第2の経路について、前記第1及び第2の経路の状態をそれぞれ示す経路選択指標に対して経路選択の基準を示す適応度に基づいて経路選択のルールを決定し、決定された経路選択のルールに従って、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択する制御部と、
選択された前記第1の経路又は前記第2の経路上に位置する前記第1のノード装置又は前記第2のノード装置を介して前記第3のノード装置と無線通信を行う無線部と
を備えることを特徴とするノード装置。
【0341】
(付記11)
ネットワークに接続された第1のノード装置と、前記第1のノード装置と無線通信を行う第2及び第3のノード装置と、前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して前記第1のノード装置と無線通信を行う第4のノード装置とを備える通信ネットワークシステムにおける経路選択方法であって、
前記第1のノード装置により、前記第2のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第1の経路及び前記第3のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第2の経路について、前記第1及び第2の経路の状態をそれぞれ示す経路選択指標に対して経路選択の基準を示す適応度に基づいて経路選択のルールを決定し、決定された経路選択のルールに従って、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択し、
選択された前記第1の経路又は前記第2の経路上に位置する前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して、前記第1のノード装置と前記第4のノード装置により、無線通信を行うことを特徴とする経路選択方法。
【符号の説明】
【0342】
10:通信ネットワークシステム 100:コアネットワーク
200:MME 220:制御部
300(300−n,300−a,300−b):アンカーAP
301,302:アンテナ 310:無線部
320:制御部
323:処理部(ここから) 341:メモリ
350:伝送路インタフェース部
400(400−1〜400−9):ドリフトAP
401,402:アンテナ 410:無線部
420:制御部 423:処理部
441:メモリ 500:端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された第1のノード装置と、前記第1のノード装置と無線通信を行う第2及び第3のノード装置と、前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して前記第1のノード装置と無線通信を行う第4のノード装置とを備える通信ネットワークシステムにおいて、
前記第1のノード装置は、前記第2のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第1の経路及び前記第3のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第2の経路について、前記第1及び第2の経路の状態をそれぞれ示す経路選択指標に対して経路選択の基準を示す適応度に基づいて経路選択のルールを決定し、決定された経路選択のルールに従って、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択する制御部を備え、
前記第1のノード装置と前記第4のノード装置は、選択された前記第1の経路又は前記第2の経路上に位置する前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して無線通信を行うことを特徴とする通信ネットワークシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第4のノード装置が前記第2又は第3のノード装置にハンドオーバするときに前記第1の経路又は第2の経路を選択し、
前記第1の無線部は、選択された前記第1又は第2の経路上に位置する前記第2又は第3のノード装置に対して、ハンドオーバを要求するメッセージを送信することを特徴とする請求項1記載の通信ネットワークシステム。
【請求項3】
前記第2及び第3のノード装置は、前記第1のノード装置との間においてそれぞれ観測した経路選択指標を前記第1のノード装置に送信し、
前記第4のノード装置は、前記第2及び第3のノード装置との間においてそれぞれ観測した経路選択指標を前記第2及び第3のノード装置を介して前記第1のノード装置にそれぞれ送信し、
前記制御部は、前記第2、第3、及び第4のノード装置からそれぞれ送信された経路選択指標に対して前記適応度に基づいて経路選択のルールを決定することを特徴とする請求項1記載の通信ネットワークシステム。
【請求項4】
ネットワークに接続され、第1及び第2のノード装置と無線通信を行い、前記第1及び第2のノード装置を介して第3のノード装置と無線通信を行うノード装置において、
前記第1のノード装置を介して前記第3のノード装置に至る第1の経路及び前記第2のノード装置を介して前記第3のノード装置に至る第2の経路について、前記第1及び第2の経路の状態をそれぞれ示す経路選択指標に対して経路選択の基準を示す適応度に基づいて経路選択のルールを決定し、決定された経路選択のルールに従って、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択する制御部と、
選択された前記第1の経路又は前記第2の経路上に位置する前記第1のノード装置又は前記第2のノード装置を介して前記第3のノード装置と無線通信を行う無線部と
を備えることを特徴とするノード装置。
【請求項5】
ネットワークに接続された第1のノード装置と、前記第1のノード装置と無線通信を行う第2及び第3のノード装置と、前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して前記第1のノード装置と無線通信を行う第4のノード装置とを備える通信ネットワークシステムにおける経路選択方法であって、
前記第1のノード装置により、前記第2のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第1の経路及び前記第3のノード装置を介して前記第4のノード装置に至る第2の経路について、前記第1及び第2の経路の状態をそれぞれ示す経路選択指標に対して経路選択の基準を示す適応度に基づいて経路選択のルールを決定し、決定された経路選択のルールに従って、前記第1の経路又は前記第2の経路を選択し、
選択された前記第1の経路又は前記第2の経路上に位置する前記第2のノード装置又は前記第3のノード装置を介して、前記第1のノード装置と前記第4のノード装置により、無線通信を行うことを特徴とする経路選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−93781(P2013−93781A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235554(P2011−235554)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】