説明

通信方法およびそれを利用した基地局装置

【課題】通話開始時のレスポンスを改善すること。
【解決手段】制御部107は、PCHを同じページングエリアに属する基地局装置とともに一斉に送信し、BCCHとIRCHを同じページングエリアに属する基地局装置と異なる送信タイミングで個別に送信してLCCHを構成する。制御部107は、端末装置からTCCHを受信すると、端末装置に対してIRCHを送信する。その際、別の周波数帯が指定される。また、制御部107は、別の周波数帯において、2回目のTCCHを受信し、RCHを送信した後、SCCHを送受信することによって、端末装置にTCHを割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関し、特に通信すべき端末装置にチャネルを割り当てる通信方法およびそれを利用した基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第二世代コードレス電話システムのような移動体通信システムにおいては、図1に示すような論理制御チャネル(以下、「LCCH」という)が規定されており、基地局装置(CS:Cell Station)は、通信の単位となるタイムスロットを端末装置(PS:Personal Station)に割り当てることによって、通信を実行する。従来の論理制御チャネルは、群分け数が8の場合、1つのシステム情報のスタートを示す報知用チャネル(以下、「BCCH」という)、8つの着信情報チャネル(以下、「PCH」という)、3つのチャネル割当制御チャネル(以下、「SCCH」という)の合計12のチャネルから構成され、基地局装置は、それぞれのチャネルを20フレーム間隔で間欠的に送信している(例えば、非特許文献1参照)。また、下段に示すように、ひとつのフレームは、8つのタイムスロットにて構成されている。
【非特許文献1】ARIB STANDARD RCR STD−28−1「第二世代コードレス電話システム標準規格」,4.1版,(1/2分冊)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のLCCHの構成では、BCCHの送信周期が1200msであり、SCCHの送受信周期が300msである。また、BCCHの送信周期は、端末装置における基地局装置の補足の迅速性に関連し、SCCHの送受信周期は、チャネル割当の迅速性に関連する。通話開始時のレスポンスを向上させるためには、基地局装置の捕捉を早くするとともに、チャネル割当を早くすることが望まれる。
【0004】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、通話開始時のレスポンスを改善する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の基地局装置は、端末装置からのレンジング要求を受信すると、レンジング要求に対応したレンジング応答を送信するようなレンジング処理を複数回数繰り返し実行するレンジング処理部と、レンジング処理部におけるレンジング処理の終了後、端末装置に対してチャネルを割り当てる割当部と、割当部におけるチャネルの割当後、端末装置との通信を実行する通信部とを備える。レンジング処理部は、端末装置からのレンジング要求を初回に受信すべきタイミングを予め規定しており、端末装置からのレンジング要求を2回目以降に受信すべきタイミングを前回のレンジング応答にて規定する。
【0006】
本発明の別の態様は、通信方法である。この方法は、端末装置からのレンジング要求を受信すると、レンジング要求に対応したレンジング応答を送信するようなレンジング処理を複数回数繰り返し実行するステップと、レンジング処理の終了後、端末装置に対してチャネルを割り当てるステップと、チャネルの割当後、端末装置との通信を実行するステップとを備える。レンジング処理を複数回数繰り返し実行するステップは、端末装置からのレンジング要求を初回に受信すべきタイミングを予め規定しており、端末装置からのレンジング要求を2回目以降に受信すべきタイミングを前回のレンジング応答にて規定する。
【0007】
本発明のさらに別の態様も、基地局装置である。この装置は、制御情報を送信する送信部を備え、前記送信部は、前記制御情報のうち端末装置に着信を知らせる着信情報を、同じエリアに属する他の基地局装置の同じ送信タイミングで送信するとともに、前記制御情報のうちシステム情報のスタートを示す報知情報とチャネル割り当て制御情報とを、同じエリアに属する他の基地局装置と異なる送信タイミングで送信し、前記着信情報、前記報知情報、前記チャネル割り当て制御情報の順にグループ化し、前記グループごとに繰り返し送信することをその要旨とする。
【0008】
本発明のさらに別の態様も、基地局装置である。この装置は、複数のタイムスロットのうち第1タイムスロットを用いて、制御情報を送受信する第1送受信部と、前記複数のタイムスロットのうち第2タイムスロットを端末装置に割り当てる割当部と、前記割り当てた端末装置とデータを送受信する第2送受信部と、レンジングを実行する実行部とを備え、前記割当部は、前記第1送受信部で複数の端末装置からレンジング要求を受理すると、前記複数の端末装置にひとつの第2タイムスロットを割り当て、前記実行部は、前記割り当てたひとつの第2タイムスロットにおいて前記複数の端末装置にレンジングを実行することをその要旨とする。
【0009】
本発明のさらに別の態様も、基地局装置である。この装置は、複数のタイムスロットのうち第1タイムスロットを用いて、制御情報を送受信する第1送受信部と、前記複数のタイムスロットのうち第2タイムスロットを端末装置に割り当てる割当部と、前記割り当てた端末装置とデータを送受信する第2送受信部と、レンジングを実行する実行部とを備え、前記割当部は、前記第1送受信部で複数の端末装置からレンジング要求を受理すると、前記複数の端末装置にそれぞれに第2タイムスロットを割り当て、前記実行部は、前記端末装置が割り当てた第2タイムスロットごとにレンジングを実行することをその要旨とする。
【0010】
本発明のさらに別の態様も、基地局装置である。この装置は、制御情報を送信する送信部を備え、送信部は、前記制御情報のうちチャネル割り当て制御情報をひとつおきに送信するとともに、前記チャネル割り当て制御情報を送信しないタイミングでは、前記制御情報のうちシステム情報のスタートを示す報知情報と、端末装置に着信を知らせる第1着信情報および第2着信情報とを順次繰り返し送信することをその要旨とする。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通話開始時のレスポンスを改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、第二世代コードレス電話システムのように、TDMA−TDD(Time Division Multiple Access−Time Division Duplex)方式により複数の端末装置を接続する基地局装置である。図2は、複数の基地局装置で構成されるページングエリアの概念図を示す。図2には第1基地局装置(図中、CS1と表示)から第8基地局装置(図中、CS8と表示)が含まれている。図2には、各基地局装置によって形成されるサービスエリアを実線楕円で示す。図2には、第1基地局装置から第4基地局装置で構成されるページングエリア(図中、PA1と表示)と第5基地局装置から第8基地局装置で構成されるページングエリア(図中、PA2と表示)が含まれる。ページングエリアでは、位置登録のため一斉の呼び出しがなされる。
【0014】
図3(a)は、本発明の第1の実施の形態における論理制御チャネルであるLCCHの構成を示す図である。図中、「IRCH」はチャネル割当時に用いる初期レンジング用チャネルであり、機能的には図1における「SCCH」に相当するチャネルとしてもよい。さらに、詳しく説明すると、図3(a)に示された「IRCH」の中には、「TCCH」と「IRCH」とが含まれており、「TCCH」は、端末装置から基地局装置へ送信される初期レンジングの要求に相当する。また、「IRCH」は、当該初期レンジングの要求に対する応答に相当する。そのため、「TCCH」は、上り回線の信号であり、「IRCH」は、下り回線の信号である。なお、端末装置からのTCCHを受信した基地局装置は、レンジングの処理を実行するが、レンジングの処理は公知の技術でよいので、ここでは、説明を省略する。
【0015】
図3(a)に示すひとつのLCCHは、8つのPCH、8つのBCCH、8つのIRCHの合計24のチャネルにより構成される。PCHは1つのTDMAフレーム(以下、「フレーム」という)に配置され、BCCHとIRCHは8つのフレームに配置される。図3(a)では、便宜上、PCH、BCCH、IRCHが配置されたフレームも「PCH」、「BCCH」、「IRCH」と示される。また、後述のごとく、フレームは複数のタイムスロットに分割されるが、ここでは、タイムスロットの単位、フレームの単位、8フレームの単位のそれぞれに対して区別せずに、「PCH」、「BCCH」、「IRCH」という用語を使用する。また、ひとつのLCCHに含まれる8つのPCHにおいて着信通知される端末装置は、一般的に異なる。
【0016】
図3(b)にPCHの構成を示す。図3(b)は、ひとつのフレームの構成を示しており、図示のごとく8つのタイムスロットにて構成されている。また、上り回線の4つのタイムスロットが前半の4つに配置され、下り回線の4つのタイムスロットが後半の4つに配置される。図中、「PA1」は図2で対応するページングエリアPA1に含まれる第1基地局装置から第4基地局装置までの全ての基地局装置がPCHを一斉に送信していることを表す。つまり、同一のページングエリアに含まれる基地局装置は、同一のタイムスロットにおいて、同一内容のPCHを送信する。このようなタイムスロットは、予め定められているものとする。なお、PCHに含まれる情報については後述する。「PA2」も同様である。前述のごとく、ひとつのフレームには、4つの下り回線のタイムスロットが含まれているので、最大4つのページングエリアが、それぞれ別のタイムスロットを使用することによって多重化される。
【0017】
図3(c)にBCCHとIRCHの構成を示す。図2のCS1は、PCHを送信したタイムスロットとフレーム先頭からの位置が同じタイムスロット(図中、CS1と表示)で、BCCHおよびIRCHを8フレーム間隔で間欠的に送信する。図2の同じページングエリアに属するCS2は、CS1が送信した次のフレーム(図中、第2フレーム)のタイムスロットのうち、PCHを送信したタイムスロットとフレーム先頭からの位置が同じタイムスロット(図中、CS2と表示)で、BCCHおよびIRCHを8フレーム間隔で間欠的に送信する。
【0018】
なお、異なるページングエリアに属する基地局装置(図2のCS4からCS8)は、フレームを構成するタイムスロットのうち、ページングエリアPA1に属する基地局装置が利用している次のタイムスロットで、BCCHとIRCHの間欠的な送信を行う。つまり、BCCHとIRCHとは対応づけられている。このような構成により、ページングエリアは4つ、各ページングエリアに属する基地局装置は8つ、最大32の基地局装置まで多重することができる。つまり、図3(b)のごとく、各タイムスロットとページングエリアとが対応づけられると、当該対応づけにしたがいながら、各ページングエリアに含まれた複数の基地局装置が、異なったフレームにおいてBCCHおよびIRCHを送信する。ここで、同一のページングエリアに含まれる複数の基地局装置は、各基地局装置に付与された識別番号の順に、使用すべきフレームを特定する。
【0019】
また、IRCHが配置されるフレームにおける上り回線のタイムスロットには、前述のごとく、端末装置から基地局装置に送信されるTCCHが配置される。前述したIRCHの配置より、TCCHのあて先となる基地局装置は、タイムスロットによって特定される。例えば、図示のごとく、下り回線の1番目のタイムスロットが、IRCHを送信するためにCS1に割り当てられているとすれば、「TCCH」と示された上り回線の1番目のタイムスロットにて、CS1へのTCCHが送信される。
【0020】
図3に示すLCCHと図1に示す従来のLCCHとを比較すると、BCCH送信周期は85msであり、基地局装置の捕捉に必要な時間が短縮されている。また、IRCHの送受信周期は85msであり、チャネル割当の所要時間も短縮されている。このため、従来のLCCHを用いるのに比べ、通話開始に要する時間を改善することができることから、利用者の利便性を向上させることができ、基地局装置間での高速なハンドオーバを実現することが可能となる。
【0021】
図4は、TDMAフレームの構成を示す。第1の実施の形態に係る通信システムでは、第二世代コードレス電話システムと同様、図4に示すように、上り通信(端末装置から基地局装置)について4つのタイムスロット、下り通信(基地局装置から端末装置)について4つのタイムスロットによってフレームが構成され、さらにフレームが連続して配置されている。本実施の形態においては上り通信と下り通信は対称であるため、以下においては、説明の便宜上、送信側を基地局装置とし、受信側を端末装置とする下り通信のみ説明を行う。なお、図4に示したフレームの構成は、図3(b)−(c)に示されたフレームの構成に対応する。
【0022】
基地局装置は、これまで説明したTDMAに加えて、さらに図5に示すように、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)も適用し、一つのタイムスロットに複数の端末装置を割り当てる。図5は横軸の方向に時間軸上のタイムスロットの配置を示し、縦軸の方向に周波数軸上のサブチャネルの配置を示す。すなわち、横軸の多重化がTDMAに相当し、縦軸の多重化がOFDMAに相当する。図5には1フレームにおける第1タイムスロット(図中、T1と表示)から第4タイムスロット(図中、T4と表示)が含まれている。例えば、図5のT1からT4は、図4の第5タイムスロットから第8タイムスロットにそれぞれ相当する。
【0023】
また、図5には各タイムスロットにおける第1サブチャネル(図中、SC1と表示)から第16サブチャネル(図中、SC16と表示)が含まれている。図5では第1タイムスロットの第2サブチャネルに端末装置Aが、第2タイムスロットの第2サブチャネルから第4サブチャネルに端末装置Bが、第3タイムスロットの第16サブチャネルに端末装置Cが、そして第4タイムスロットの第13サブチャネルから第15サブチャネルに端末装置Dがそれぞれ割り当てられている。また、図5では第1サブチャネルを制御チャネル専用サブチャネルとして確保しており、図中では第1タイムスロットの第1サブチャネルに割り当てた制御チャネルを第1基地局装置が使用している。つまり、SC1だけに着目したときのフレームの構成、および複数のフレームの集合が、LCCHに相当する。
【0024】
図6は、図5においてタイムスロットとサブチャネルで特定される無線チャネル(以下、サブチャネルブロック)の構成を示す概念図である。図6の横方向は、時間軸であり、縦方向は、周波数軸を示している。「1」から「29」の番号は、サブキャリアの番号を示す。このようにサブチャネルは、OFDMのマルチキャリア信号によって構成されている。図中、「TS」は、トレーニングシンボルに相当し、図示しない同期検出用のシンボル「STS」、伝送路特性の推定用シンボル「LTS」等の既知信号を含む。「GS」は、ガードシンボルに相当し、ここに実効的な信号は配置されない。「PS」はパイロットシンボルに相当し、既知信号によって構成される。「SS」はシグナルシンボルに相当し、制御用の信号が配置される。「DS」はデータシンボルに相当し、送信すべきデータである。「GT」はガードタイムに相当し、実効的な信号は配置されない。
【0025】
図7は、本発明の第1の実施の形態における移動体通信システム20の構成を示す概念図である。移動体通信システム20は基地局装置1と端末装置2を含む。図7では端末装置2で総称される第1端末装置2a、第2端末装置2bおよび第3端末装置2cの3台を図示しているが、2台以下、もしくは4台以上の端末装置が存在してもよい。また、基地局装置1が、図2に示された基地局装置のいずれかに相当する。
【0026】
図8は、図7の基地局装置1の構成を示す概念図である。基地局装置1は、アンテナ100、無線部101、送信部102、変調部103、受信部104、復調部105、IF部106、制御部107を含み、制御部107は、レンジング処理部110、割当部112を含む。図8において、アンテナ100は、無線周波数の信号を送受信する。ここで、無線周波数の信号は、図4から図6に対応する。無線部101は、受信処理として、アンテナ100で受信した無線周波数の信号を周波数変換し、ベースバンド信号を導出し、受信部104に出力する。また、無線部101は、送信処理として、送信部102からのベースバンド信号を周波数変換し、無線周波数の信号を導出し、アンテナ100に出力する。ベースバンド信号は、一般的に、同相成分と直交成分とによって形成されるので、ふたつの信号線が図示されるべきであるが、図を明瞭にするために、ここでは、ひとつの信号線のみを示すものとする。
【0027】
送信部102は、変調部103から送られてきた周波数領域信号を時間領域信号に変換し、無線部101に出力する。なお、周波数領域信号から時間領域信号への変換にはIFFT(Inversed Fast Fourier Transform)を利用する。変調部103は、IF部106からの入力に対して変調を行い、送信部102に出力する。変調方式としては、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、32QAM、64QAM、256QAMなどを用いる。
【0028】
受信部104は、無線部101から送られてきた時間領域信号を周波数領域信号に変換し、復調部105に出力する。なお、時間領域信号から周波数領域信号への変換にはFFT(Fast Fourier Transform)を利用する。復調部105は、受信部104からの入力に対して復調を行い、IF部7に出力する。復調は、変調に対応するものとする。IF部7は、図示していないネットワークに接続され、受信処理として、復調部105において復調した信号を図示していないネットワークに出力する。また、IF部7は、送信処理として、ネットワークからデータを入力し、これを変調部103に出力する。
【0029】
制御部107は、基地局装置1全体のタイミングを制御する。また、制御部107は、図3(a)に示すLCCHを構成し、端末装置2に間欠送信する。レンジング処理部110は、図5のSC1において、図3(a)のごとく、図示しない端末装置2への着信を通知するためのPCHの後段に、本基地局装置1に関する情報を報知するためのBCCHを配置する。また、レンジング処理部110は、BCCHの後段に、端末装置からのレンジング要求であるTCCHを受信すべきタイミングと、TCCHに対応したIRCHを送信すべきタイミングとを配置する。また、レンジング処理部110は、以上のPCH、BCCH、TCCH、IRCH(以下、TCCHとIRCHとの組合せもIRCHというが、IRCH単独の場合と区別せずに使用する)による組合せを周期的に8回繰り返すことによって、LCCHのひとつの周期を形成する。
【0030】
また、レンジング処理部110は、図3(b)のごとく、一斉呼出エリア内の図示しない他の基地局装置1と共通のタイミングにてPCCHを報知する。また、レンジング処理部110は、図3(c)のごとく、一斉呼出エリア内の他の基地局装置1と時分割多重されたタイミングにてBCCHの報知、TCCHの受信、IRCHの送信を実行する。つまり、レンジング処理部110は、ひとつの組合せにおいて、PCH、BCHをそれぞれ1回報知し、TCCHを1回受信し、IRCHを1回送信する。
【0031】
図9は、BCCHのメッセージフォーマットの概念図である。BCCHは、メッセージの種別を判別するメッセージ識別子と、論理制御チャネルの構造を規定するパラメータ、例えば、インターバル値、着信群分け、バッテリーセービング周期最大値などを表すLCCH構造情報とを含む。図10は、PCHのメッセージフォーマットの概念図である。PCHは、メッセージの種別を判別するメッセージ識別子と、着信があった端末装置の番号とを含む。端末装置2は、PCHにより着信があった旨の通知を受理すると、そのPCHを送信した基地局装置1に対して初期レンジング要求を行う。図8に戻る。
【0032】
レンジング処理部110は、端末装置2からのTCCHを受信すると、公知の技術によって、端末装置2の送信電力や送信タイミングを調節する。また、レンジング処理部110は、調節の結果が含まれたレンジング応答、例えば、IRCHを送信するようなレンジング処理を複数回数繰り返し実行する。このような処理を詳しく説明するために、ここでは、図11(a)−(b)を使用する。図11(a)−(b)は、移動体通信システム20において段階的な初期レンジングのタイムチャートを示す。ここで、説明の便宜上、フレームに対して前から順に番号を付与しており、フレーム1からフレーム9が「F1」から「F9」と示される。また、図面を明瞭にするために、図3(c)に示された各フレームのうち、上り回線と下り回線のそれぞれの最初のタイムスロットのみが示されている。
【0033】
ここで、図3(c)や図11(a)のごとく、レンジング処理部110は、端末装置2からのTCCHを初回に受信すべきタイミングを予め規定している。つまり、図3(a)−(c)における組合せごとに、TCCHを初回に受信すべきタイミングが、図示しないBCCHと対応づけられるように、図11(a)のF1のごとく規定されている。さらに、レンジング処理部110は、IRCHを送信すべきタイミングもF1にて規定する。一方、異なった基地局装置1であるCS2がTCCHを初回に受信すべきタイミングは、F2のように規定されている。その結果、図示しない端末装置2は、F1あるいはF2を選択することによって、TCCHの送信先となる基地局装置1を選択できる。また、レンジング処理部110は、各基地局装置1に対するPCH、BCCHが周期的に割り当てられる周波数帯、つまり図5のSC1において、TCCH初回に受信すべきタイミングおよびIRCHに送信すべきタイミングとを規定する。
【0034】
TCCHは、波形パターンとして複数種類規定されている。つまり、図6に示された複数のサブキャリアの中から、一部が選択されることによって波形パターンが規定され、選択されるサブキャリアが変わることによって、複数種類の波形パターンが規定される。そのため、レンジング処理部110は、複数の端末装置2から同時にTCCHを受信する場合であっても、それらの間の波形パターンが異なっていれば、複数の端末装置2を認識できる。つまり、TCCHの衝突確率が低減される。なお、図示しない端末装置2は、複数種類規定された波形パターンの中のいずれかをTCCHの送信単位に選択する。その結果、同一の端末装置2から送信されるTCCHは、送信の都度、異なる場合もある。ここでは、図示しない端末装置2は、複数種類規定された波形パターンのうち、いずれかをランダムに選択する。
【0035】
図12は、初期レンジング要求の応答であるIRCHのメッセージフォーマットの概念図である。IRCHは、メッセージの種別を判別するメッセージ識別子と、初期レンジング要求を行った送信元を識別するための情報と、送信元の識別情報を初回の初期レンジング要求と異なった値に変更するよう指示する送信元識別情報変更指示と、2回目のTCCHを送信すべきデータ転送用チャネル(以下、TCH)を指定する情報(スロット番号およびサブチャネル番号)とを含む。ここで、TCHは、図5のCS1以外のサブチャネルに相当する。また、後段では、通信に使用する通信チャネルもTCHと示すが、これらを区別せずに使用する。送信元識別情報は、複数の端末装置2から同時に初期レンジング要求があった場合でも、基地局装置1が送信元識別情報に所定の演算を施すことで、これら複数の端末装置2を識別できるよう、予め規定された値である。図11(b)に戻る。
【0036】
つまり、レンジング処理部110は、端末装置2からのTCCHを2回目以降に受信すべきタイミングを前回のレンジング応答、例えば、IRCHにて規定する。また、レンジング処理部110は、各基地局装置1に対してTCHとが適応的に割り当てられる周波数帯、例えば図5のSC2からSC16において、TCCHを2回目以降に受信すべきタイミングおよびレンジング応答を2回目以降に送信すべきタイミングとを規定する。図11(b)は、IRCHによって指定されたサブチャネルでのタイムチャートに相当し、レンジング処理部110は、F3においてTCCHを受信し、レンジング応答としてRCHを送信する。
【0037】
図13は、2回目の初期レンジング要求の応答であるレンジングチャネル(以下、RCH)の概念図である。RCHは、メッセージの種別を判別するメッセージ識別子と、同期を合わせるための制御情報(タイミングアライメント制御と送信出力制御)と、無線リソース割当要求の開始時期を示すSCCHの送受信タイミングとを含む。端末装置2は、タイミングアライメント制御により時間のずれを、送信出力制御により送信電力を補正することにより、基地局装置1と同期を確立した後、無線リソース割当要求を行う。図11(b)に戻る。
【0038】
図11(b)に示されたように、RCHにおいてF5およびF6でのSCCHが指定されたとする。図8の割当部112は、レンジング処理部110におけるレンジング処理の終了後、図示しない端末装置2からのSCCHを受信すると、当該端末装置2に対して通信チャネルTCHを割り当てる。割当部112は、図11(b)のF6において、割当の結果をSCCHに含めて送信する。このように割当部112は、レンジング処理部110においてBCCH、PCH等を配置している周波数帯とは異なった周波数帯にて、IRCHを送信した端末装置2に対するチャネル割当の処理を実行する。
【0039】
図14は、無線リソース割当要求の応答であるSCCHのメッセージフォーマットの概念図である。SCCHは、メッセージの種別を判別するメッセージ識別子と、端末装置2に割り当てたサービスフローの識別子と、端末装置2に割り当てたTCHを指定する情報(スロット番号およびサブチャネル番号)とを含む。図1に示す従来のLCCHを用いて初期レンジングおよびチャネル割当を行おうとすると、端末装置が初期レンジングを要求した別の基地局装置が初期レンジング応答を行ったり、初期レンジング動作と他の基地局装置のTCHが衝突することがあったため、本実施の形態では、初期レンジング要求を段階的に処理することにし、初回の初期レンジング要求の応答までLCCHで応答し、それ以降の2回目の初期レンジング要求および無線リソース割当は、TCHで応答することとした。これにより、一度に複数の端末装置にチャネル割当を実施することができ、送信元識別情報を多数用意することがなくても、端末装置を的確に分離することができる。図11(b)に戻る。図11(b)に示されたように、SCCHにおいてF8以降のTCHが指定されたとする。制御部107は、割当部112におけるTCHの割当後、端末装置2との通信を実行する。
【0040】
図7に戻る。レンジング処理部110は、TCCHを受信すべきタイミングにおいて、少なくともふたつ以上の種類の波形パターンを受信した場合に、ふたつ以上の端末装置2の存在を認識する。レンジング処理部110は、ふたつ以上の端末装置2の存在を認識した場合、ふたつ以上の端末装置2のそれぞれに対して、互いに異なった周波数帯、つまり互いに異なったサブチャネルを割り当てる。レンジング処理部110は、割り当てたサブチャネルに関する情報をIRCHに含めて送信する。なお、レンジング処理部110は、ふたつ以上の端末装置2の存在を認識した場合、それぞれに対して送信電力等を調節する。
【0041】
以降の処理は、別のサブチャネルにおいて、並行に実行される。つまり、割当部112は、レンジング処理部110において割り当てたサブチャネルにて、ふたつ以上の端末装置2のそれぞれに対して、チャネルを割り当てるための処理を実行する。割当部112は、レンジング処理部110において認識したふたつ以上の端末装置2のそれぞれに対して別のTCHを割り当てる。制御部107は、別のTCHを割り当てたふたつ以上の端末装置2のそれぞれと通信する。
【0042】
図15は、本実施の形態における段階的な初期レンジング処理のタイミングチャートである。図中、F1からF9は1フレーム期間を表す。なお、TCCHは、メッセージ識別子、送信元識別情報を含む初期レンジング要求である。以下、図15を参照しながら段階的な初期レンジング処理およびチャネル割当処理の動作を説明する。端末装置PS1はTCCHに送信元識別情報UID「1」を、端末装置PS2は送信元識別情報UID「2」を格納し、フレームF1の上り期間に基地局装置CS1へ送信し、初回の初期レンジング要求を行う。基地局装置CS1は、重畳された端末装置PS1の送信元識別情報UIDと端末装置PS2の送信元識別情報UIDに所定の演算を行って分離し、空いているTCHの中から端末装置PS1に通信チャネル1を、端末装置PS2に通信チャネル2を割り当てる。そして、割り当てたTCHのスロット番号とサブチャネル番号をIRCHに格納し、フレームF1の下り期間に端末装置PS1と端末装置PS2へ送信する。
【0043】
以下、端末装置PS1と端末装置PS2の動作は同じであるため、端末装置PS1を例にとり説明を行う。他基地局装置の論理制御チャネルとの衝突を避けるため、端末装置PS1は、フレームF2で待機をする。端末装置PS1は、送信元識別情報UID「1」をTCCHに格納し、割り当てられた通信チャネル1を用いて、フレームF3の上り期間に基地局装置CS1へ送信し、2回目の初期レンジング要求を行う。基地局装置CS1は、通信チャネル1を用いてレンジング処理を実行し、タイムアライメント制御と送信出力制御とSCCHの送受信タイミングとをRCHに格納して、フレームF3の下り期間に端末装置PS1へ送信する。他基地局装置に対する初期レンジング要求との衝突を避けるため、端末装置PS1は、フレームF4で待機をする。端末装置PS1は、通信チャネル1を用いて、フレームF5の上り期間に基地局装置CS1に対して無線リソース割当要求を行う。
【0044】
基地局装置CS1は、端末装置PS1からの無線リソース割当要求メッセージにFEC(Forward Error Collection)復号処理などを行ってから、端末装置PS1に空いているTCHを割り当てる。FEC復号処理には時間を要することから、割り当てたTCHのスロット番号とサブチャネル番号をSCCHに格納し、フレームF6の下り期間に端末装置PS1へ送信する。FEC復号処理を高速に行うことができれば、フレームF5の下り期間に端末装置PS1へSCCHを送信してもよい。基地局装置CS1のFEC処理に時間を要する場合、端末装置PS1は、フレームF5の上り期間に基地局装置CS1に対して行った無線リソース割当要求をフレームF6の上り期間に繰り返してもよい。基地局装置CS1がアダプティブアレイ処理を行っている場合、ウエイトベクトルの演算精度を向上させることができるからである。端末装置PS1は、基地局装置CS1からのSCCHに対してFEC復号処理などを行い、基地局装置CS1との同期をフレームF8で確立する。以降、同期を確立したTCHを用いて、基地局装置CS1とデータの送受信を行う。
【0045】
以上、複数の端末装置2から初期レンジング要求があった場合、それぞれの端末装置2に空いているTCHを割り当て、2回目の初期レンジング処理以降を行う場合について説明したが、2回目の初期レンジング処理をひとつのTCHで実現することも考えられる。図7に戻る。
【0046】
なお、レンジング処理部110は、ふたつ以上の端末装置2の存在を認識した場合、ふたつ以上の端末装置2のそれぞれに対して、同一のサブチャネルにおける互いに異なったタイミングを割り当ててもよい。つまり、ふたつ以上の端末装置2のそれぞれにおけるTCCH、RCHは、互いに異なったフレームに配置される。割当部112は、レンジング処理部110において割り当てたタイミングにて、ふたつ以上の端末装置2のそれぞれに対して、チャネルを割り当てるための処理を実行する。例えば、図示しないPS1に対するTCCH、RCH、SCCHが配置された後に、図示しないPS2に対するTCCH、RCH、SCCHが配置される。
【0047】
図16は、ひとつのTCHで行う段階的な初期レンジング処理のタイミングチャートである。以下、図15を参照しながらひとつのTCHで行う段階的な初期レンジング処理およびチャネル割当処理の動作を説明する。端末装置PS1はTCCHに送信元識別情報UID「1」を、端末装置PS2は送信元識別情報UID「1」を格納し、フレームF1の上り期間に基地局装置CS1へ送信し、初回の初期レンジング要求を行う。基地局装置CS1は、重畳された端末装置PS1の送信元識別情報UIDと端末装置PS2の送信元識別情報UIDに所定の演算を行う。しかし、これらUIDは同じであり分離できない。基地局装置CS1は、空いているTCHの中から端末装置PS1と端末装置PS2に通信チャネル1を割り当てる。割り当てたTCHのスロット番号とサブチャネル番号をIRCHに格納するとともに、送信元識別情報の変更指示を行い、フレームF1の下り期間に端末装置PS1と端末装置PS2へ送信する。
【0048】
他基地局装置の論理制御チャネルとの衝突を避けるため、端末装置PS1と端末装置PS2は、フレームF2で待機をする。端末装置PS1は、送信元識別情報UID「1」をTCCHに格納し、割り当てられた通信チャネル1を用いて、フレームF3の上り期間に基地局装置CS1へ送信し、2回目の初期レンジング要求を行う。一方、送信元識別情報の変更指示を受理した端末装置PS2は、送信元識別情報UID「2」をTCCHに格納し、割り当てられた通信チャネル1を用いて、フレームF3の上り期間に基地局装置CS1へ送信し、2回目の初期レンジング要求を行う。
【0049】
基地局装置CS1は、重畳された端末装置PS1の送信元識別情報UIDと端末装置PS2の送信元識別情報UIDに所定の演算を行ってこれらを分離する。そして、通信チャネル1を用いてレンジング処理を実行し、タイムアライメント制御と送信出力制御とSCCHの送受信タイミングとをRCHに格納して、フレームF3の下り期間に端末装置PS1へ送信する。ここで、SCCHの送受信タイミングは開始時期として「T5」を指定することにする。同じく、通信チャネル2を用いてレンジング処理を実行し、タイムアライメント制御と送信出力制御とSCCHの送受信タイミングとをRCHに格納して、フレームF3の下り期間に端末装置PS2へ送信する。ここで、SCCHの送受信タイミングは開始時期として「F7」を指定することにする。他基地局装置に対する初期レンジング要求との衝突を避けるため、端末装置PS1と端末装置PS2は、フレームF4で待機をする。
【0050】
端末装置PS1は、通信チャネル1を用いて、フレームF5の上り期間に基地局装置CS1に対して無線リソース割当要求を行う。基地局装置CS1は、端末装置PS1からの無線リソース割当要求メッセージにFEC復号処理などを行ってから、端末装置PS1に空いているTCHから通信チャネル2を割り当てる。FEC復号処理には時間を要することから、割り当てたTCHのスロット番号とサブチャネル番号をSCCHに格納し、フレームF6の下り期間に端末装置PS1へ送信する。FEC復号処理を高速に行うことができれば、フレームF5の下り期間に端末装置PS1へSCCHを送信してもよい。
【0051】
基地局装置CS1のFEC処理に時間を要する場合、端末装置PS1は、フレームF5の上り期間に基地局装置CS1に対して行った無線リソース割当要求をフレームF6の上り期間に繰り返してもよい。基地局装置CS1がアダプティブアレイ処理を行っている場合、ウエイトベクトルの演算精度を向上させることができるからである。端末装置PS1は、基地局装置CS1からのSCCHに対してFEC復号処理などを行い、基地局装置CS1との同期をフレームF8で確立する。以降、同期を確立したTCHを用いて、基地局装置CS1とデータの送受信を行う。
【0052】
一方、端末装置PS2は、通信チャネル1を用いて、フレームF7の上り期間に基地局装置CS1に対して無線リソース割当要求を行う。基地局装置CS1は、端末装置PS2からの無線リソース割当要求メッセージにFEC復号処理を行ってから、端末装置PS2に空いているTCHを割り当てる。FEC復号処理には時間を要することから、割り当てたTCHのスロット番号とサブチャネル番号をSCCHに格納し、フレームF8の下り期間に端末装置PS2へ送信する。FEC復号処理を高速に行うことができれば、フレームF7の下り期間に端末装置PS2へSCCHを送信してもよい。
【0053】
基地局装置CS1のFEC処理に時間を要する場合、端末装置PS2は、フレームF8の上り期間に基地局装置CS1に対して行った無線リソース割当要求をフレームF8の上り期間に繰り返してもよい。基地局装置CS1がアダプティブアレイ処理を行っている場合、ウエイトベクトルの演算精度を向上させることができるからである。端末装置PS2は、基地局装置CS1からのSCCHに対してFEC復号処理を行い、基地局装置CS1との同期をフレームF9で確立する。以降、同期を確立したTCHを用いて、基地局装置CS1とデータの送受信を行う。
【0054】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0055】
以上の構成による移動体通信システム20の動作を説明する。図17は移動体通信システム20のTCH同期確立を示すシーケンス図である。基地局装置1は、端末装置2の端末番号を格納し、ページングエリアに属する他の基地局装置と一斉にPCHを送信する(S100)。基地局装置1は、予め定められたタイミングにてBCCHを送信する(S102)。PCHを受信した端末装置2は、PCHに自己の端末番号が含まれていると、BCCHをもとに基地局装置1を特定した後に、TCCHに送信元識別情報を格納し、基地局装置CS1へ送信して、初回の初期レンジング要求を行う(S104)。基地局装置CS1は、受信したTCCHより端末装置2の送信元識別情報UIDを分離し、端末装置2を空いているTCHに割り当てる。そして、割り当てたTCHのスロット番号とサブチャネル番号をIRCHに格納して端末装置2へ送信し、2回目の初期レンジングを行うTCHを端末装置2に通知する(S106)。端末装置2は、送信元識別情報をTCCHに格納し、割り当てられた初期レンジング用のTCHを用いて、基地局装置1へ送信し、2回目の初期レンジング要求を行う(S108)。
【0056】
基地局装置1は、端末装置2に割り当てたTCHを用いてレンジング処理を実行し、タイムアライメント制御と送信出力制御とSCCHの送受信タイミングとをRCHに格納して、端末装置2へ送信し、送信出力などの補正を要求する(S110)。端末装置2は、受信したRCHより基地局装置1から要求された補正値を抽出し、送信出力などの補正を行う。次に、割り当てられた初期レンジング用のTCHを用いて基地局装置1に無線リソース割当要求を行う(S112)。基地局装置1は、端末装置PS1からの無線リソース割当要求メッセージにFEC復号処理などを行ってから、端末装置2に空いているTCHを割り当てる。そして、割り当てたTCHのスロット番号とサブチャネル番号をSCCHに格納し、端末装置2へ送信する(S114)。ここまでのステップによりTCHの同期が確立するため、これ以降、基地局装置1と端末装置2は同期を確立したTCHを用いて、データを送受信する(S116)。
【0057】
図18は、基地局装置1におけるTCH同期確立手順を示すフローチャートである。受信部104、復調部105を介して、レンジング処理部110がTCCHを受けつけなければ(S10のN)、待機する。TCCHを受けつけたとき(S10のY)、TCCHが複数種類の波形パターンでなければ(S12のN)、レンジング処理部110は、周波数帯およびタイミングをIRCHにて指定する(S14)。レンジング処理部110は、変調部103、送信部102を介して、IRCHを送信する。受信部104、復調部105を介して再び受けつけたTCCHが、複数種類の波形パターンでなければ(S16のN)、レンジング処理部110は、SCCHの送受信タイミングをRCHにて指定する(S18)。レンジング処理部110は、変調部103、送信部102を介して、RCHを送信する。さらに、受信部104、復調部105を介して、SCCHを受けつけると、割当部112は、SCCHによるチャネルの割当を実行し(S20)、変調部103、送信部102を介して、割当結果をSCCHとして送信する。その後、基地局装置1は、端末装置2との間においてTCHによる通信を実行する(S22)。
【0058】
一方、受信部104、復調部105を介して再び受けつけたTCCHが、複数種類の波形パターンであれば(S16のY)、レンジング処理部110は、受けつけた波形パターンごとに、時分割したSCCHの送受信タイミングをRCHにて指定する(S24)。レンジング処理部110は、変調部103、送信部102を介して、RCHを送信する。さらに、受信部104、復調部105を介して、SCCHを受けつけると、割当部112は、SCCHによるチャネルの割当を実行し(S26)、変調部103、送信部102を介して、割当結果をSCCHとして送信する。なお、以上のSCCHによるチャネルの割当は、端末装置2の数に応じて時分割しながら、複数回数なされる。その結果、複数の端末装置2のそれぞれに対してチャネルが割り当てられる。その後、基地局装置1は、複数の端末装置2のそれぞれとの間においてTCHによる通信を実行する(S28)。
【0059】
また、TCCHが複数種類の波形パターンであれば(S12のY)、レンジング処理部110は、受けつけた波形パターンごとに、異なった周波数帯をIRCHにて指定する(S30)。レンジング処理部110は、変調部103、送信部102を介して、IRCHを送信する。受信部104、復調部105を介して、各周波数帯において再び受けつけたTCCHが、複数種類の波形パターンでなければ(S32のN)、レンジング処理部110は、SCCHの送受信タイミングをRCHにて指定する(S34)。レンジング処理部110は、変調部103、送信部102を介して、RCHを送信する。さらに、受信部104、復調部105を介して、SCCHを受けつけると、割当部112は、SCCHによるチャネルの割当を実行し(S36)、変調部103、送信部102を介して、割当結果をSCCHとして送信する。その後、基地局装置1は、複数の端末装置2のそれぞれとの間においてTCHによる通信を実行する(S38)。なお、ステップ32からステップ36は、複数の周波数帯にて並行に実行される。
【0060】
一方、受信部104、復調部105を介して再び受けつけたTCCHが、複数種類の波形パターンであれば(S32のY)、レンジング処理部110は、受けつけた波形パターンごとに、時分割したSCCHの送受信タイミングをRCHにて指定する(S40)。レンジング処理部110は、変調部103、送信部102を介して、RCHを送信する。さらに、受信部104、復調部105を介して、SCCHを受けつけると、割当部112は、SCCHによるチャネルの割当を実行し(S42)、変調部103、送信部102を介して、割当結果をSCCHとして送信する。なお、以上のSCCHによるチャネルの割当は、端末装置2の数に応じて時分割しながら、複数回数なされる。その結果、複数の端末装置2のそれぞれに対してチャネルが割り当てられる。その後、基地局装置1は、複数の端末装置2のそれぞれとの間においてTCHによる通信を実行する(S44)。つまり、ステップ40、ステップ42は、複数の周波数帯のそれぞれにおいて時分割にてなされる。
【0061】
図19は、端末装置2におけるTCH同期確立手順を示すフローチャートである。端末装置2は、PCHにて着信を認識しなければ(S50のN)、待機する。PCHにて着信を認識すれば(S50のY)、端末装置2は、BCCHにて基地局装置1を特定する(S52)。端末装置2は、特定した基地局装置1にTCCHを送信する(S54)。端末装置2は、基地局装置1からIRCHを受信する(S56)。端末装置2は、TCCHのパターンを変更し(S58)、基地局装置1にTCCHを送信する(S60)。端末装置2が、基地局装置1からRCHを受信した(S62)後、SCCHによるチャネルの割当がなされる(S64)。その後、端末装置2は、基地局装置1とTCHにて通信する(S66)。
【0062】
このような本発明の実施の形態によれば、以下の通りの作用効果を享受することができる。
(1)制御部107は、PCHを同じページングエリアに属する基地局装置とともに一斉に送信し、BCCHとIRCHを同じページングエリアに属する基地局装置と異なる送信タイミングで個別に送信してLCCHを構成しているため、従来のLCCHに比べ通基地局装置の捕捉に必要な時間を短縮することができる。
【0063】
(2)制御部107は、複数の端末装置2から初回の初期レンジング要求があると、端末装置2ごとに空いているTCHを割り当て、2回目の初期レンジング処理およびチャネル割当処理をその割り当てたTCHを用いて行うため、一度に複数の端末装置にチャネル割当を実施するができる。
(3)制御部107は、複数の端末装置2から初回の初期レンジング要求があると、複数の端末装置2にひとつの空いているTCHを割り当て、2回目の初期レンジング処理およびチャネル割当処理をその割り当てたTCHを用いて行うため、一度に複数の端末装置にチャネル割当を実施するができる。
【0064】
また、BCCH、PCHのような周期的な信号を割り当てる周波数帯であって、複数の基地局装置を時分割多重するような周波数帯に、初回のTCCHおよびIRCHを配置するので、TCCHの衝突および他の基地局装置のTCHとの衝突を回避できる。また、以上の配置によって、初期レンジング用専用サブチャネルを省略できる。また、初期レンジング用専用サブチャネルを省略するので、伝送効率を向上できる。また、初回のTCCHを割り当てるべきタイミングは、BCCHの送信タイミングに対応づけられているので、送信先となる基地局装置を特定しながらTCCHを送信できる。また、送信先となる基地局装置を特定しながらTCCHが送信されるので、複数の基地局装置によるTCCHの受信処理を回避できる。
【0065】
また、複数のレンジング処理を段階的に実行するので、TCCHの多重処理に対応できる。また、複数のレンジング処理を段階的に実行するので、複数の端末装置にチャネルを割り当てることができる。また、チャネル割当処理を時分割多重にてスケジューリングするので、複数の端末装置にチャネルを割り当てることができる。また、チャネル割当処理を時分割多重にてスケジューリングするので、アダプティブアレイ送信を実行できる。
【0066】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、図3に示すLCCHを構成し、制御部107は、端末装置2に、構成したLCCHを間欠的に送信していた。図3に示すLCCHは、従来のLCCHに比べ基地局装置の捕捉に必要な時間が短縮され、また、チャネル割当の所要時間も短縮されているが、重畳できるページングエリア数が制限されることがある。既存の第二世代コードレス電話システムを置きかえるための基地局装置であることを考慮すると、ページングエリア数の制限をうけたくない場合もある。そこで、第2の実施の形態では、ページングエリア数の制限をうけないLCCHを構成する。つまり、第2の実施の形態は、第1の実施の形態とは異なったタイプのLCCHを送信するような通信システムおよび基地局装置に関する。しかしながら、第2の実施の形態に係る移動体通信システム20の構成は、図7と同様のタイプであり、第2の実施の形態に係る移動体通信システム20の構成は、図8と同様のタイプである。そのため、ここでは、これらと異なる部分を中心に説明する。
【0067】
レンジング処理部110は、図5のSC1において、周期的に配置された報知信号の間のそれぞれに、図示しない端末装置2からのTCCHを受信すべきタイミングと、IRCHを送信すべきタイミングとを配置する。ここで、報知信号として、前述のごとく、BCCHと、PCHとのいずれかが配置される。例えば、BCCH、PCH、PCHの組合せが繰り返し配置されている。その際、BCCHとPCHとの間、PCHとPCHとの間、PCHとBCCHとの間に、上り回線のTCCHおよび下り回線のIRCHとが対になって配置される。このようなLCCHの構成のもと、端末装置2と基地局装置1との間における接続のための処理は、これまでと同様である。
【0068】
レンジング処理部110は、BCCHを受信した端末装置2からのTCCHを受信すると、送信電力等の調節を実行した後に、IRCHを送信する。その際、レンジング処理部110は、SC1とは別のサブチャネルを指定する。レンジング処理部110は、BCCH、PCH、初回のTCCH、IRCHを配置している周波数帯とは異なった周波数帯にSCCHを配置することによって、端末装置2に対するチャネル割当の処理を実行する。その後、制御部107は、TCHを使用しながら端末装置2と通信する。
【0069】
図20は、本発明の第2の実施の形態におけるLCCHの構成を示す図である。図20に示すように論理制御チャネルは、4つのBCCH、12のIRCH、8つのPCHの合計24のチャネルにより構成される。BCCHとIRCHとPCHは8つのフレームで構成される。なお、前述のごとく、IRCHは、上り回線のTCCHと下り回線のIRCHとを含む。図2のCS1は、フレームを構成するタイムスロットのうち、論理制御チャネルを割り当てたタイムスロット(図中、CS1と表示)で、BCCHとIRCHとPCHを8フレーム間隔で間欠的に送信する。図2のCS2は、基地局装置1が送信した次のフレーム(図中、第2フレーム)のタイムスロットのうち、基地局装置1が利用しているタイムスロットとフレーム先頭からの位置が同じタイムスロット(図中、CS2と表示)で、BCCHとIRCHとPCHを8フレーム間隔で間欠的に送信する。このような構成により、フレームを構成する下り4つのタイムスロットごとに、8つの基地局装置、最大32基地局装置まで多重することができる。
【0070】
図21は、本発明の第1の実施の形態と第2の実施の形態との比較結果を示す。ここでは、現行の第二世代コードレス電話システム、第2の実施の形態、第1の実施の形態とを比較する。LCCH周期、送信周期、BCCH送信周期、PCH受信周期、SCCH/IRCH送受信周期のそれぞれは、第二世代コートレス電話システムにおいて、「1200ms」、「100ms」、「1200ms」、「1200ms」、「300ms」となっている。一方、それらは、第2の実施の形態において、「960ms」、「40ms」、「240ms」、「960ms」、「80ms」であり、第1の実施の形態において、「680ms」、「85ms」、「85ms」、「680ms」、「85ms」となっている。
【0071】
これらのうち、BCCH送信周期が短くなれば、基地局補足時間の短縮が実現される。また、BCCH送信周期、PCCH受信周期、SCCH/IRCH送受信周期の短さおよび配置によって、PCH着信応答時間の短縮が実現される。その結果、基地局補足時間、PCH着信応答時間は、第二世代コードレス電話システムにおいて、「1200ms」、「100−500ms」である。一方、それらは、第2の実施の形態において、「960ms」、「40ms」であり、第1の実施の形態において、「85ms」、「45−85ms」である。つまり、第1の実施の形態および第2の実施の形態における基地局補足時間、PCH着信応答時間は、第二世代コードレス電話システムでの値と比較して、短縮されている。これは、レスポンス性の向上ともいえる。
【0072】
図20に示すLCCHと図1に示す従来のLCCHとを比較すると、BCCH送信周期は240msであり、基地局装置の捕捉に必要な時間が短縮されている。また、IRCHの送受信周期は80msであり、チャネル割当の所要時間も短縮されている。このため、従来のLCCHを用いるのに比べ、通話開始に要する時間を改善することができる。また、図20に示すLCCHと図3に示すLCCHとを比較すると、基地局装置の捕捉に必要な時間は図3に示すLCCHの方が短いが、チャネル割当の所要時間は、図20に示すLCCHの方が短く、チャネル割当の所要時間を改善する点では、有利である。また、図3では、ページングエリアごとに利用するタイムスロットの位置が決まっているが、図20ではそのような制限はなく、ページングエリア数の制限を受けたくない場合は有利である。
【0073】
このような本発明の実施の形態によれば、以下の通りの作用効果を享受することができる。
(4)制御部107は、SCCHをひとつおきに送信するとともに、SCCHを送信しないタイミングでは、BCCH、PCH、PCHの順に繰り返し送信してLCCHを構成するため、従来のLCCHに比べチャネル割当の所要時間を短縮することができる。
【0074】
また、BCCHやPCHといった報知信号の間に初回のTCCHやIRCHを配置するので、初回のTCCHやIRCHの送受信間隔を短縮できる。また、初回のTCCHやIRCHの送受信間隔が短縮されるので、PCHにて着信を認識してから、通信を介するまでの期間を短縮できる。また、PCHにて着信を認識してから、通信を介するまでの期間が短縮されるので、着信に対するレスポンス性を向上できる。また、初回のTCCHやIRCHの送受信間隔が短縮されるので、チャネル割当の高速化を実現できる。
【0075】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、図17で基地局装置1との間で同期を確立してデータの送受信を開始した後、通信容量の増加等の理由で、端末装置2が無線リソースの追加を希望することがある。このとき、端末装置2が特定のサブチャネルにおける時間軸方向に連続したサブチャネルブロックを割り当てて欲しくても、端末装置2は利用可能な無線リソースを把握できていないので、所望の無線リソースを利用できるとは限らない。このような場合、基地局装置1が管理する無線リソースのうち、利用可能な無線リソースを端末装置2に予め通知しておけば、端末装置2は利用可能な無線リソースから所望の無線リソースを選択することができる。
【0076】
そこで、第3の実施の形態では、利用可能な無線リソースを端末装置2に通知するメッセージ(以下、リソースメッセージ)を設け、基地局装置1が管理する無線リソースのうち、利用可能な無線リソースを端末装置2で把握できるようにした。第3の実施の形態に係る移動体通信システム20の構成は、図7と同様のタイプであり、第3の実施の形態に係る移動体通信システム20の構成は、図8と同様のタイプである。そのため、ここでは、これらと異なる部分を中心に説明する。
【0077】
図22(a)ではリソースメッセージとして、メッセージ識別子、相対位置情報、リソースマップを含めている。リソースメッセージは同期を確立したTCHを用いて基地局装置1から端末装置2に送信する。例えば、図6に示すシグナルシンボルに含めて送信してもよく、データシンボルの上位プロトコルヘッダー情報(MACヘッダーなど)に含めて送信してもよい。効率を考慮し、1つのリソースメッセージで1フレーム内の全てのサブチャネルブロックを管理するのではなく、所定のエリア単位に分割して、エリア単位で利用可能な無線リソースを管理する。以下では、説明の便宜上、4つのサブチャネルごとにエリアを分割するが、5つ以上に分割してもいいし、3つ以下に分割して管理してもよい。
【0078】
相対位置情報は管理エリアにおいて、同期を確立したTCHが相対的にどの位置に存在するか示す情報である。相対位置情報を利用すれば、管理エリアを固定ではなく可変移動することができる。これにより、他基地局装置が無線リソースを使用しており無線リソースが逼迫しているため追加の無線リソースを割り当てることができない、という状況を回避することができる。リソースマップは、図22(b)に示すように、エリアを構成するサブチャネルブロックのうち、利用可能なサブチャネルブロックをビットマップ形式で示す。
【0079】
図23は、同期を確立したTCHとリソースマップが管理するエリアとの関係を示す概念図である。図23では、端末装置2が第3タイムスロットの第12サブチャネルのサブチャネルブロックで同期を確立してデータ送受信を行っている場合、基地局装置1から送信されるリソースメッセージの管理エリアを2点鎖線の囲み(図中、1901で表示)で示している。図22の相対位置情報により、端末装置2は図23の管理エリアの「#11」に位置することを把握する。また、リソースマップにより、管理エリアを構成するサブチャネルのうち、「#3」(第3タイムスロットの第14サブチャネル)および「#7」(第3タイムスロットの第13サブチャネル)のサブチャネルブロック(図中、1点鎖線の囲み1902で表示)が利用可能であることを把握する。このようにして、端末装置2は、同期を確立したTCHの周辺サブチャネルブロックのうち、利用可能な無線リソースを把握することができ、希望する無線リソースを獲得することで効率的な伝送を行うことができる。
【0080】
図24は、リソースメッセージを用いた場合における移動体通信システム20の動作を示すシーケンス図である。基地局装置1は端末装置2とTCH同期を確立したのち(S200)、端末装置2へリソースメッセージを送信する(S201)。端末装置2は、受信したリソースメッセージより相対位置情報、リソースマップを抽出し、同期を確立したTCH周辺における、利用可能なサブチャネルブロックを把握し、TCHの追加割当を希望するサブチャネルブロックを選択する(S202)。選択したサブチャネルブロックにより基地局装置1との間でTCH同期を確立し(S203)、以降、データの送受信を行う。
【0081】
このような本発明の実施の形態によれば、以下の通りの作用効果を享受することができる。
(5)制御部107は、同期を確立したTCH周辺のエリア内で利用可能な無線リソースの情報をビットマップ形式で送信し、かつこのエリアは可変移動できるため、同期を確立したTCH周辺の無線リソースが逼迫しているため無線リソースを割り当てることができない、という状況を回避することができ、伝送効率を向上させることができる。
【0082】
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明をしてきたが、本発明は、この実施の形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に規定された本発明の適用範囲にあり、上述した実施の形態の構成が備える機能を達成可能であれば、いろいろな変形が可能である。
【0083】
例えば、本発明の第1の実施の形態において複数の端末装置2からレンジング要求があったとき、それぞれの端末装置2にTCHを割り当てて段階的な初期レンジングを行う場合と、複数の端末装置2に対してひとつのTCHを割り当てて段階的な初期レンジングを行う場合を説明したが、これらを組み合わせて実行してもよい。
【0084】
本発明の実施の形態1から3において、レンジング処理部110は、TCCHを受信した後に、IRCHやRCHのようなレンジング応答を送信するというレンジング処理を2回繰り返している。しかしながらこれに限らず例えば、レンジング処理部110は、レンジング処理を3回以上繰り返してもよい。本変形例によれば、TCCHが完全に同一の波形パターンになる確率を低減でき、複数の端末装置2の分離精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】従来の第二世代コードレス電話システムにおける論理制御チャネルの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るページングエリアの構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(c)は、本発明の第1の実施の形態における論理制御チャネルの構成を示す図である。
【図4】図3(a)−(c)におけるTDMAフレームの構成を示す図である。
【図5】図4におけるOFDMAサブチャネルの構成を示す図である。
【図6】図5におけるサブチャネルブロックの構成を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る移動体通信システムの構成を示す図である。
【図8】図7の基地局装置の構成を示す図である。
【図9】図8の基地局装置から送信されるBCCHのメッセージフォーマットを示す図である。
【図10】図8の基地局装置から送信されるPCHのメッセージフォーマットを示す図である。
【図11】図11(a)−(b)は、図7の通信システムにおいて段階的な初期レンジングのタイムチャートを示す。
【図12】図8の基地局装置から送信されるIRCHのメッセージフォーマットを示す図である。
【図13】図8の基地局装置から送信されるRCHのメッセージフォーマットを示す図である。
【図14】図8の基地局装置から送信されるSCCHのメッセージフォーマットを示す図である。
【図15】図15(a)−(c)は、図7の通信システムにおいて複数のTCHを用いた段階的な初期レンジングのタイムチャートを示す図である。
【図16】図16(a)−(c)は、図7の通信システムにおいてひとつのTCHを用いた段階的な初期レンジングのタイムチャートを示す図である。
【図17】図7の通信システムにおけるTCH同期確立手順を示すシーケンス図である。
【図18】図8の基地局装置におけるTCH同期確立手順を示すフローチャートである。
【図19】図7の端末装置におけるTCH同期確立手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第2の実施の形態における論理制御チャネル構成を示す図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態と第2の実施の形態との比較結果を示す図である。
【図22】図22(a)−(b)は、本発明の第3の実施の形態におけるリソースメッセージのフォーマットを示す図である。
【図23】本発明の第3の実施の形態における同期を確立したTCHとリソースメッセージが管理するエリアとの関係を示す図である。
【図24】本発明の第3の実施の形態におけるリソースメッセージ用いた場合の動作手順を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0086】
1 基地局装置、 2 端末装置、 20 移動体通信システム、 100 アンテナ、 101 無線部、 102 送信部、 103 変調部、 104 受信部、 105 復調部、 106 IF部、 107 制御部、 110 レンジング処理部、 112 割当部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置からのレンジング要求を受信すると、レンジング要求に対応したレンジング応答を送信するようなレンジング処理を複数回数繰り返し実行するレンジング処理部と、
前記レンジング処理部におけるレンジング処理の終了後、端末装置に対してチャネルを割り当てる割当部と、
前記割当部におけるチャネルの割当後、端末装置との通信を実行する通信部とを備え、
前記レンジング処理部は、端末装置からのレンジング要求を初回に受信すべきタイミングを予め規定しており、端末装置からのレンジング要求を2回目以降に受信すべきタイミングを前回のレンジング応答にて規定することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記レンジング処理部は、各基地局装置に対して送信タイミングと受信タイミングとが周期的に割り当てられる周波数帯において、レンジング要求を初回に受信すべきタイミングおよびレンジング応答を初回に送信すべきタイミングとを規定し、各基地局装置に対して送信タイミングと受信タイミングとが適応的に割り当てられる周波数帯において、レンジング要求を2回目以降に受信すべきタイミングおよびレンジング応答を2回目以降に送信すべきタイミングとを規定することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記レンジング処理部において受信するレンジング要求は、複数種類規定された波形パターンの中から、送信装置によって、レンジング要求の送信単位に選択されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記レンジング処理部は、レンジング要求を受信すべきタイミングにおいて、少なくともふたつ以上の種類の波形パターンを受信した場合に、ふたつ以上の端末装置の存在を認識し、
前記割当部は、前記レンジング処理部において認識したふたつ以上の端末装置のそれぞれに対して別のチャネルを割り当て、
前記通信部は、別のチャネルを割り当てたふたつ以上の端末装置のそれぞれとの通信を実行することを特徴とする請求項3に記載の基地局装置。
【請求項5】
前記レンジング処理部は、ふたつ以上の端末装置の存在を認識した場合、ふたつ以上の端末装置のそれぞれに対して、互いに異なった周波数帯を割り当て、
前記割当部は、前記レンジング処理部において割り当てた周波数帯にて、ふたつ以上の端末装置のそれぞれに対して、チャネルを割り当てるための処理を実行することを特徴とする請求項4に記載の基地局装置。
【請求項6】
前記レンジング処理部は、ふたつ以上の端末装置の存在を認識した場合、ふたつ以上の端末装置のそれぞれに対して、同一の周波数帯における互いに異なったタイミングを割り当て、
前記割当部は、前記レンジング処理部において割り当てたタイミングにて、ふたつ以上の端末装置のそれぞれに対して、チャネルを割り当てるための処理を実行することを特徴とする請求項4に記載の基地局装置。
【請求項7】
端末装置からのレンジング要求を受信すると、レンジング要求に対応したレンジング応答を送信するようなレンジング処理を複数回数繰り返し実行するステップと、
レンジング処理の終了後、端末装置に対してチャネルを割り当てるステップと、
チャネルの割当後、端末装置との通信を実行するステップとを備え、
前記レンジング処理を複数回数繰り返し実行するステップは、端末装置からのレンジング要求を初回に受信すべきタイミングを予め規定しており、端末装置からのレンジング要求を2回目以降に受信すべきタイミングを前回のレンジング応答にて規定することを特徴とする通信方法。
【請求項8】
端末装置からのレンジング要求を受信すると、レンジング要求に対応したレンジング応答を送信するようなレンジング処理を複数回数繰り返し実行するステップと、
レンジング処理の終了後、端末装置に対してチャネルを割り当てるステップと、
チャネルの割当後、端末装置との通信を実行するステップとを備え、
前記レンジング処理を複数回数繰り返し実行するステップは、端末装置からのレンジング要求を初回に受信すべきタイミングを予め規定しており、端末装置からのレンジング要求を2回目以降に受信すべきタイミングを前回のレンジング応答にて規定することをコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−294488(P2008−294488A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126806(P2007−126806)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】