説明

通信用アダプタ

【課題】 画像記録装置と無線通信機器との通信規格が異なる場合であっても、無線通信機器からの通信形式に基づく画像データを利用して、画像記録装置により容易に画像を記録する。
【解決手段】
携帯電話1からブルートゥースに準拠した通信形式によって送信されたブルートゥース画像データを受信するアダプタ側第1通信部15と、ブルートゥース画像データにおけるブルートゥースのプロトコルを、ピクトブリッジのプロトコルに変換するプロトコル変換部16と、ピクトブリッジのプロトコルに変換されたピクトブリッジ画像データを、プリンタに送信するアダプタ側第2通信部17とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信用アダプタに係り、特に、画像記録装置と、デジタルスチルカメラや、デジタルカメラが内蔵された携帯電話、携帯型パーソナルコンピュータ等の無線通信機器との間の通信に用いられる通信用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラや携帯電話に内蔵されたデジタルカメラ等の無線通信機器により撮影された写真等の画像データを、無線通信機器から直接プリンタ等の画像記録装置に送信して写真等を印刷することが、パーソナルコンピュータを介さずに簡単に写真を印刷することができる等の理由により、広く行われるようになっている。
【0003】
ここで、無線通信機器およびプリンタ間の通信に用いられる通信規格としては、通信レイヤにUSB(Universal Serial Bus)を用いるピクトブリッジ(PictBridge)が、多数の企業における統一した通信規格として多用されている。
【0004】
このピクトブリッジに対応した無線通信機器およびプリンタを用いて画像データの通信を行う場合、USBケーブルによって無線通信機器とプリンタとを接続し、無線通信機器の画像データをピクトブリッジのプロトコルに準拠したピクトブリッジの通信形式によってUSBケーブルを介して画像記録装置に送信する。画像記録装置は、ピクトブリッジ通信形式によって送信された画像データを受信し、ピクトブリッジのプロトコルに基づいて画像データのピクトブリッジの通信形式を解析し、前記画像データに基づいて写真等の画像の記録を行う。これにより、例えば、携帯電話のデジタルカメラ等によって撮影された写真を、パーソナルコンピュータを介さずに簡単にプリンタによって記録することができるようになっている。
【0005】
一方、近年、ケーブルを用いることなく、より簡易にデータを送受信するため、ブルートゥース(Bluetooth)やIrDA(InfraRed Data Association)等の無線通信規格に対応した携帯電話等の無線通信機器も利用されるようになっている。このような無線通信機器によれば、対応する無線通信規格に準拠した無線通信形式によって画像データを送信することが可能となる。
【0006】
しかし、現在、前記無線通信規格に対応するプリンタは多くなく、例えばブルートゥースに対応する無線通信機器からブルートゥース通信形式によって画像データを送信しても、ブルートゥースに非対応のプリンタによれば前記画像データを受信することができず不便であった。
【0007】
また、プリンタを、例えばブルートゥースに対応させるためには、ブルートゥース通信形式によって送信された画像データを受信し、かつブルートゥースのプロトコルを実行可能なブルートゥースモジュールを有している必要があるが、各プリンタにこのようなブルートゥースモジュールを実装すると、プリンタの製造コストが上昇してしまうという問題を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、画像記録装置と無線通信機器との通信規格が異なる場合であっても、無線通信機器からの通信形式に基づく画像データを利用して、プリンタにより容易に画像を記録することが可能な通信用アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係る通信用アダプタの特徴は、無線通信機器から所定の無線通信規格に準拠した通信形式によって送信された画像データを受信する第1通信部と、前記無線通信規格のプロトコルを、画像記録装置が対応している画像記録装置用通信規格のプロトコルに変換するプロトコル変換部と、前記画像記録装置用通信規格のプロトコルに変換された画像データを、前記画像記録装置に送信する第2通信部とを有する点にある。
【0010】
また、本発明に係る他の通信用アダプタの特徴は、前記無線通信規格を、ブルートゥースとし、前記第1通信部は、前記ブルートゥースに準拠した通信形式によって送信されたブルートゥース画像データを受信する点にある。
【0011】
さらに、本発明に係る他の通信用アダプタの特徴は、前記画像記録装置用通信規格を、通信レイヤにUSBを用いるピクトブリッジとし、前記第2通信部は、前記ピクトブリッジに準拠した通信形式のピクトブリッジ画像データを送信する点にある。
【0012】
この本発明に係る通信用アダプタによれば、無線通信機器から送信された所定の無線通信規格に準拠した通信形式の画像データを、一般的な画像記録装置が認識可能な画像記録装置用通信規格に準拠した通信形式の画像データに変換することができる。このため、所定の無線通信規格に対応している無線通信機器によって画像データを送信することにより、前記画像データの画像を、所定の無線通信規格に対応していない画像記録装置によって記録することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、本発明に係る通信用アダプタによれば、所定の無線通信規格に対応した無線通信機器により送信された画像データの画像を、前記無線通信規格に対応していない画像記録装置によって記録するにあたり、その都度無線通信機器と画像記録装置とをケーブルによって連結することなく、容易に記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る通信用アダプタの一実施形態を図1を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る通信用アダプタを用いた無線通信機器および画像記録装置の通信システムを示すブロック図である。
【0016】
ここで、本実施形態においては、無線通信機器として写真の撮影機能を有する携帯電話とし、画像記録装置として画像データに基づき画像の記録を行うプリンタを用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、携帯電話1には、デジタルカメラ2が内蔵されており、デジタルカメラ2は、CCD等のレンズ3、および被写体をレンズ3を用いて撮像してアナログの画像データを形成し、このアナログの画像データをデジタルの画像データに変換する撮像部4を有している。
【0018】
また、携帯電話1は、RAM等により構成されたメモリ6を有しており、メモリ6には、撮像部4によって形成された画像データが記憶されるようになっている。
【0019】
さらに、携帯電話1は、前記画像データを所定の無線通信規格に準拠した通信形式の画像データに変換し、変換された所定の無線通信規格に準拠した通信形式の画像データを送信する携帯電話側通信部7を有している。
【0020】
本実施形態において、携帯電話1は、プリンタ9に送信するために、メモリ6に記憶された任意の画像データが選択されると、携帯電話側通信部7によって前記画像データをブルートゥース方式に準拠した通信形式のブルートゥース画像データに変換し、そのブルートゥース画像データを送信するようになっている。
【0021】
さらにまた、携帯電話1は、携帯電話1の各部の操作を行うための操作データを入力する操作部11、および液晶表示パネル等からなる表示部12を有している。
【0022】
通信用アダプタ14は、携帯電話側通信部7から送信されたブルートゥース画像データを受信するアダプタ側第1通信部15を有しており、アダプタ側第1通信部15は、ブルートゥース画像データをプロトコル変換部16に送信するようになっている。
【0023】
プロトコル変換部16は、受信したブルートゥース画像データにおけるブルートゥースのプロトコルを、プリンタ9が対応しているプリンタ9用通信規格のプロトコルに変換するようになっている。本実施形態においては、プロトコル変換部16は、ブルートゥース画像データにおけるブルートゥースのプロトコルを、通信レイヤにUSBを用いるピクトブリッジのプロトコルに変換し、これにより、ブルートゥース画像データをピクトブリッジ方式に準拠した通信形式のピクトブリッジ画像データに変換するようになっている。そして、プロトコル変換部16は、ピクトブリッジ画像データをアダプタ側第2通信部17に送信するようになっており、アダプタ側第2通信部17は、プリンタ9にピクトブリッジ画像データを送信するようになっている。
【0024】
また、通信用アダプタ14として、ソフトウェアの不正コピーを防止するために使われるドングルの機能を有する通信用アダプタ14を利用することもできる。
【0025】
プリンタ9は、アダプタ側第2通信部17とUSBケーブル19を介して接続され、USBケーブル19を介してピクトブリッジ画像データを受信するプリンタ側通信部20を有している。
【0026】
プリンタ側通信部20は、ピクトブリッジ画像データを記録部21に送信するようになっており、記録部21は、受信したピクトブリッジ画像データに基づき画像の記録を行うようになっている。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0028】
まず、携帯電話1における表示部12の表示にしたがい操作部11を操作して、撮像部4により形成されたブルートゥースによって送信する任意の画像データを選択する。
【0029】
すると、携帯電話側通信部7は、メモリ6から選択された任意の画像データを取得し、この画像データをブルートゥース方式に準拠した通信形式のブルートゥース画像データに変換し、このブルートゥース画像データを送信する。
【0030】
次に、通信用アダプタ14のアダプタ側第1通信部15が前記ブルートゥース画像データを受信すると、アダプタ側第1通信部15は、ブルートゥース画像データをプロトコル変換部16に送信する。
【0031】
さらに、プロトコル変換部16は、ブルートゥース画像データにおけるブルートゥースのプロトコルを、ピクトブリッジのプロトコルに変換して、ブルートゥース画像データをピクトブリッジ画像データとし、アダプタ側第2通信部17に送信する。
【0032】
アダプタ側第2通信部17は、ピクトブリッジ画像データをUSBケーブル19を介してプリンタ9におけるプリンタ側通信部20に送信し、プリンタ側通信部20は、受信したピクトブリッジ画像データを記録部21に送信する。そして、記録部21は、前記ピクトブリッジ画像データに基づき、画像の記録を行う。
【0033】
本実施形態によれば、通信用アダプタ14によって、携帯電話1から送信されたブルートゥース方式の無線通信規格に準拠した通信形式のブルートゥース画像データを一般的なプリンタ9が認識可能なピクトブリッジ方式の無線通信規格に準拠した通信形式のピクトブリッジ画像データに変換することができる。このため、ブルートゥース方式の無線通信規格に対応した携帯電話1のメモリ6に記憶された画像データの画像を、ブルートゥース方式の無線通信規格に対応していないプリンタ9によって記録することができる。
【0034】
したがって、本実施形態においては、プリンタ9がブルートゥース等の無線通信規格に対応していない場合であっても、その都度携帯電話1とプリンタ9とをケーブルによって連結することなく、携帯電話1のメモリに記憶された画像データの画像を容易に記録することができる。
【0035】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0036】
例えば、本実施形態においては無線通信機器が利用する無線通信規格としてブルートゥースを用いて説明しているが、これに限定されず、種々の無線通信規格に対応することができる。また、無線通信機器として、携帯電話1を用いて説明しているがこれに限定されず、ノート型パーソナルコンピュータや、PDA等種々の無線通信機器から送信された画像データに対応することができる。さらに、画像データとして、携帯電話1に内蔵されたデジタルカメラ2の撮像部4により形成された画像データを用いて説明しているが、これに限定されず、例えば、他の無線通信機器から送信された画像データやインターネットを介して取得した画像データ等、種々の画像データに用いることができる。
【0037】
さらにまた、本実施形態においては画像記録装置が一般的に対応している無線通信規格としてピクトブリッジを用いて説明しているが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る通信用アダプタを用いた無線通信機器および画像記録装置の通信システムを示すブロック図
【符号の説明】
【0039】
1 携帯電話
2 デジタルカメラ
3 レンズ
4 撮像部
6 メモリ
7 携帯電話側通信部
9 プリンタ
11 操作部
12 表示部
14 通信用アダプタ
15 アダプタ側第1通信部
16 プロトコル変換部
17 アダプタ側第2通信部
19 USBケーブル
20 プリンタ側通信部
21 記録部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機器から所定の無線通信規格に準拠した通信形式によって送信された画像データを受信する第1通信部と、
前記無線通信規格のプロトコルを、画像記録装置が対応している画像記録装置用通信規格のプロトコルに変換するプロトコル変換部と、
前記画像記録装置用通信規格のプロトコルに変換された画像データを、前記画像記録装置に送信する第2通信部とを有することを特徴とする通信用アダプタ。
【請求項2】
前記無線通信規格を、ブルートゥースとし、前記第1通信部は、前記ブルートゥースに準拠した通信形式によって送信されたブルートゥース画像データを受信することを特徴とする請求項1に記載の通信用アダプタ。
【請求項3】
前記画像記録装置用通信規格を、通信レイヤにUSBを用いるピクトブリッジとし、前記第2通信部は、前記ピクトブリッジに準拠した通信形式のピクトブリッジ画像データを送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信用アダプタ。




【図1】
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【公開番号】特開2006−331286(P2006−331286A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157327(P2005−157327)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】