説明

通信異常情報記録方法および車載通信機器

【課題】必要に応じて通信回線を接続し無線通信を利用して広域通信を行う場合であっても、大容量の記憶装置を必要とすることなく、通信異常発生時の原因を解明するために役立つ情報を得る。
【解決手段】第1の通信機器と第2の通信機器との間で通信を行う際に、これらの少なくとも一方が複数の処理で構成される通信処理手順の1段階毎に少なくとも異常発生の有無に関する識別を行い、それぞれの識別結果を一時データとして一時記憶メモリに記録し(S12)、予め定めた手順が終了する毎に、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し(S13)、該当する手順の実行に成功した場合は前記一時データを消去し(S14)、該当する手順の実行に失敗した場合は前記一時記憶メモリに記録されている一時データを所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信異常情報記録方法および車載通信機器に関し、例えば、車両に搭載された車載通信機器が所定の無線通信ユニットを利用して車外の通信機器との間で通信を行う場合のような状況で、通信異常発生に対する原因を解明するために利用可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な乗用車や各種の業務用車両には、通信機能を有する様々な電子機器が搭載されている。例えば、カーナビゲーション装置、デジタルタコグラフ、タクシーメータ、ドライブレコーダ、テレマティクスサービス用機器などの車載機器が必要に応じて車両に搭載される。
【0003】
また、近年では車両上とは別の場所に高度な情報サービスを提供することが可能なサーバ(ASP)が設置されている場合もある。上記のような各種車載機器は、車両上の無線通信ユニットを利用して無線通信回線を確保し、この無線通信回線を介して車載機器と前記サーバとの間でデータ通信を行うことができ、これにより様々な情報サービスを利用できる。
【0004】
また、例えば複数台の業務用車両の状況を所定の事務所内等で集中的に管理するような場合には、事務所内のコンピュータを車載機器の通信相手と同じサーバと有線又は無線の通信回線により接続する。すなわち、事務所内のコンピュータは、前記サーバを経由して、各車両上の車載機器に対して情報を送信したり、各車両上の車載機器から送信された情報を受信することができる。
【0005】
ところで、上記のような車両に搭載された車載通信機器は、前記サーバとの間で常時データ通信を行っているわけではない。つまり、通信の必要が生じるたびに、例えば定期的に、あるいは所定のイベントが発生するたびに、予め定めた通信シーケンスに従って、新たに無線回線を確保し車載通信機器と前記サーバとの間を通信回線で接続し、通信が終了すると通信回線を解放することになる。
【0006】
しかし、何らかの異常が発生した場合には、データ通信ができなくなったり、通信エラーの発生頻度が高くなる。このような異常な状況は、短時間だけの場合もあるし、長時間に渡って継続する場合もある。データ通信ができないような異常が発生した場合には、異常が発生したことを表す情報を車載機器上にログとして記録するのが一般的である。例えば、重大な問題が発生したような時には、記録されたログの内容を参照することにより、過去に通信の異常が発生したか否かを確認できる。
【0007】
例えば、特許文献1においては、車両上に搭載される複数の電子制御ユニット(ECU)を互いに通信できるように車上のネットワークに接続した通信システムを開示している。また、この通信システムに接続された各電子制御ユニット(通信ノード)は、それ自身の通信障害の有無や、他ノードの通信障害の有無を自動的に検出して記録することができる。
【0008】
また、特許文献2は、車載制御装置の制御プログラムの内容を通信により更新可能にする技術を開示している。具体的には、車載制御装置をパソコンを介して広域通信網と接続し、広域通信網に接続された管理センターのサーバから送信される制御プログラムのデータをパソコン又は車載制御装置が受信して車載制御装置のプログラムを書き換えることを提案している。また、サーバとパソコンとを接続する際に、サーバで認証処理を行い、認証に失敗した場合にはエラー状態を表示することや、サーバが送信したデータとパソコンが受信したデータとを比較して不一致の場合に通信エラーとして処理することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−126127号公報
【特許文献2】特開2009−123226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
互いに通信を行おうとする複数の通信機器が予め用意されたネットワークに常時接続されているような場合であれば、例えば特許文献1に開示された技術を利用することにより、各ノードの通信障害の有無を検出してその状態を記録することができる。
【0011】
しかし、車両に搭載された車載通信機器が所定の無線通信ユニットを利用して車外の通信機器との間で通信を行うような場合には、常時、通信可能な状態で接続されているわけではない。つまり、通信の必要が生じるたびに、例えば定期的に、あるいは所定のイベントが発生するたびに、予め定めた通信シーケンスに従って、新たに無線回線を確保し車載通信機器と前記サーバとの間を新たに確保した通信回線で接続し、通信が終了するとこの通信回線を解放することになる。
【0012】
このような場合、例えば次に示すように、様々な種類の要因により通信異常が発生する可能性がある。
1.通信機器自体のハードウェアの故障により通信機能に異常が発生する。
2.通信機器が使用するソフトウェアの処理上の問題により通信機能に異常が発生する。
3.通信機器の内部や通信経路上でノイズが混入して通信異常が発生する。
4.無線通信ユニットが通信可能な範囲から外れた位置に移動して圏外となり通信不能になる。
5.特定の業者(他社)が管理する公衆通信回線を利用する場合に、この通信経路の経路上に含まれる中継機器などの特性、環境の変化、動作異常などの影響を受けて通信機能に異常が発生する。
【0013】
特許文献1のような従来技術では、記録された情報を参照することにより過去に生じた通信障害の有無を確認することが可能であるが、発生した通信異常の原因を特定するために役立つ情報は得られない。つまり、例えば前記1.〜5.のいずれかの原因によって通信異常が発生した場合に、単に「通信障害有」を表す情報が記録されるだけなので、この情報から原因を特定することはできない。
【0014】
このような通信システムにおいては、例えば、所定の通信シーケンスに含まれる複数の処理のそれぞれについて、動作が正常か否かを表す情報を詳細なログとして記録しておくことにより、この詳細なログを、発生した通信異常の原因を特定する際に役立てることが可能である。
【0015】
しかしながら、詳細なログを記録する場合には、通信を行うたびに様々な情報が細かく記録されることになるので、膨大な量の情報が毎日のように蓄積され続けることになる。例えば、ハードディスクのような大容量の記憶装置を内蔵している通信機器であればあまり問題はないが、一般的な車載機器のように搭載可能な記憶装置の記憶容量が限られる通信機器の場合には、詳細なログを記録するために大容量の記憶領域を確保するのは困難である。
【0016】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、大容量の記憶装置を必要とすることなく、通信異常発生時の原因を解明するために役立つ情報を得ることが可能な通信異常情報記録方法および車載通信機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述した目的を達成するために、本発明に係る通信異常情報記録方法は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 第1の通信機器と第2の通信機器との間で必要に応じて所定の通信回線を接続しこの通信回線を介してデータ通信を行うシステムの通信動作を管理するための通信異常情報記録方法であって、
前記第1の通信機器と第2の通信機器との間で通信を行う際に、前記第1の通信機器および第2の通信機器の少なくとも一方が、複数の処理で構成される通信処理手順の1段階毎に少なくとも異常発生の有無に関する識別を行い、それぞれの識別結果を一時データとして一時記憶メモリに記録し、
予め定めた手順が終了する毎に、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、
該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、
該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する
こと。
(2) 上記(1)に記載の通信異常情報記録方法であって、
前記第1の通信機器および第2の通信機器の少なくとも一方が、通信機器の初期化、通信回線状態監視、通信回線接続、データ送受信等の複数の通信シーケンスのそれぞれについて、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、
該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、
該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する
こと。
(3) 上記(1)に記載の通信異常情報記録方法であって、
前記第1の通信機器と第2の通信機器との間で通信を行う際に、前記第1の通信機器および第2の通信機器のそれぞれが、複数の処理で構成される通信処理手順の1段階毎に少なくとも異常発生の有無に関する識別を行い、
前記第1の通信機器の識別結果を一時データとして前記第1の通信機器側の一時記憶メモリに記録し、
前記第2の通信機器の識別結果を一時データとして前記第2の通信機器側の一時記憶メモリに記録し、
前記第1の通信機器および第2の通信機器の双方が、
予め定めた手順が終了する毎に、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、
該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、
該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する
こと。
【0018】
上記(1)の構成の通信異常情報記録方法によれば、複数の処理で構成される通信処理手順の1段階毎に異常発生の有無を表す情報が記録されるので、通信動作に異常が発生した場合には、記録された情報の内容に基づいて異常の原因を容易に解明できる。しかも、予め定めた手順の実行に成功したか否かに応じて通信異常ログに保存されるデータの量が変化するので、頻繁に通信異常が発生しない限り、大量のデータが保存されることはない。従って、大容量の記憶装置は不要である。
上記(2)の構成の通信異常情報記録方法によれば、通信機器の初期化、通信回線状態監視、通信回線接続、データ送受信等の複数の通信シーケンスのいずれが原因の場合であっても、通信動作に異常が発生した場合には、記録された情報の内容に基づいて異常の原因を容易に解明できる。
上記(3)の構成の通信異常情報記録方法によれば、前記第1の通信機器および第2の通信機器の双方が通信異常ログを記録し保存するので、通信異常が発生した場合の原因をより確実に特定できる。すなわち、前記第1の通信機器が送信を開始する時に発生した通信異常と、前記第2の通信機器が送信を開始する時に発生した通信異常のいずれについても、それぞれに保存された通信異常ログの内容に基づき異常の状況を把握することができる。
【0019】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載通信機器は、下記(4)〜(5)を特徴としている。
(4) 所定の無線通信ユニットを利用して、車外の通信機器との間で必要に応じて通信回線を接続しこの通信回線を介してデータ通信を行う車載通信機器であって、
前記車外の通信機器との間で通信を行う際に、複数の処理で構成される通信処理手順の1段階毎に少なくとも異常発生の有無に関する識別を行い、それぞれの識別結果を一時データとして一時記憶メモリ上に記録する一時データ記録処理部と、
予め定めた手順が終了する毎に、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する通信異常ログ保存処理部と
を備えること。
(5) 上記(4)に記載の車載通信機器であって、
前記通信異常ログ保存処理部は、通信の初期化、通信回線状態監視、通信回線接続、データ送受信等の複数の通信シーケンスのそれぞれについて、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存すること。
【0020】
上記(4)の構成の車載通信機器によれば、複数の処理で構成される通信処理手順の1段階毎に異常発生の有無を表す情報が記録されるので、通信動作に異常が発生した場合には、記録された情報の内容に基づいて異常の原因を容易に解明できる。しかも、予め定めた手順の実行に成功したか否かに応じて通信異常ログに保存されるデータの量が変化するので、頻繁に通信異常が発生しない限り、大量のデータが保存されることはない。従って、大容量の記憶装置は不要である。
上記(5)の構成の車載通信機器によれば、通信機器の初期化、通信回線状態監視、通信回線接続、データ送受信等の複数の通信シーケンスのいずれが原因の場合であっても、通信動作に異常が発生した場合には、記録された情報の内容に基づいて異常の原因を容易に解明できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の通信異常情報記録方法および車載通信機器によれば、大容量の記憶装置を必要とすることなく、通信異常発生時の原因を解明するために役立つ情報を得ることが可能である。
【0022】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】車載通信機器を含むシステム全体の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すシステムが通信する際に実行する処理手順の概要を示すシーケンス図である。
【図3】図2に示す初期化処理PR1に関する車載通信機器の動作の概要を示すフローチャートである。
【図4】図3に示す初期化処理S12の詳細を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の通信異常情報記録方法および車載通信機器に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0025】
本実施形態の車載通信機器100を含むシステム全体の構成例が図1に示されている。この車載通信機器100は、例えば業務用車両に搭載されるデジタルタコグラフ、タクシーメータ、カーナビゲーション装置のような各種車載器に相当する機器である。
【0026】
例えば、運送会社やタクシー会社等の企業においては、所有する各車両の運行状況を常時把握できることが望ましい。このような車両の管理に役立てるために、各車両に搭載される車載通信機器100は、通信端末150を経由して、車両外に存在するサーバ300(ASP)との間で通信できるようになっている。
【0027】
通信端末150は、例えばテレマティクスモジュールと呼ばれる端末のように、携帯電話会社等が設置した無線基地局との間で無線通信を行うことが可能であり、この携帯電話会社側の通信設備を経由して、インターネット等のネットワーク上に配置されたサーバ300との間で必要に応じて通信回線を接続することができる。
【0028】
サーバ300のコンピュータは、所定のプログラムを実行し、接続した相手に対して車両の管理に適する所定の情報サービスを提供することができる。例えば、サーバ300は各車両の車載通信機器100から送信された現在位置の情報を収集したり、収集した各車両の情報を特定の事務所側管理装置200に対して送信することができる。また、事務所側管理装置200からサーバ300に対して各車両の位置情報を要求したり、サーバ300から車載通信機器100に対して問い合わせを行うこともできる。
【0029】
事務所側管理装置200は、データ解析・表示部210、ルータ220、メモリカード読み取り装置230等で構成される。データ解析・表示部210は、車両の情報を管理するための特別なアプリケーションプログラムが組み込まれたパーソナルコンピュータ等で構成される。また、データ解析・表示部210はルータ220を経由してインターネット等の公衆通信回線と接続されており、データ解析・表示部210とサーバ300との間で必要に応じて通信することができる。また、車載通信機器100によって収集されたデータが蓄積されたメモリカード112をメモリカード読み取り装置230を利用して読み取ることができる。
【0030】
図1に示すように、車載通信機器100はマイクロコンピュータ(CPU:Central Processing Unit)101、不揮発性メモリ102、揮発性メモリ103、GPSインタフェース(I/F)104、電源部105、通信端末インタフェース(I/F)106、速度/エンジン回転インタフェース(I/F)107、音声インタフェース(I/F)108、メモリカードインタフェース(I/F)109および本体表示部110を備えている。
【0031】
マイクロコンピュータ101は、予め用意されているプログラムを実行することにより車載通信機器100に必要とされる機能を実現するための各種処理を行う。例えば、通信端末150を介してサーバ300と車載通信機器100との間で通信するための処理もマイクロコンピュータ101が実行する。
【0032】
不揮発性メモリ102は、マイクロコンピュータ101からのアクセスによりデータの読み出しおよび書き込みが可能なメモリであり、電源部105から電力が供給されない時でもデータの内容を保持することができる。不揮発性メモリ102は、長時間に渡って保持する必要のあるデータやプログラムなどを保存するために利用される。
【0033】
揮発性メモリ103は、マイクロコンピュータ101からのアクセスによりデータの読み出しおよび書き込みが可能なメモリ(RAM)であり、一時的に利用するデータを保持するために利用される。
【0034】
GPSインタフェース104は、この車両に搭載される図示しないGPS(Global Positioning System)受信器と接続するために利用される。このGPS受信器を用いて複数のGPS衛星からの電波を受信することにより現在位置の緯度/経度を算出することができる。
【0035】
電源部105は、この車両のエンジンキーの動作に連動するスイッチのオンオフに従って、このスイッチがオンの時に所定の直流電力を各回路に供給する。通信端末インタフェース106は、マイクロコンピュータ101と通信端末150とを接続するために必要な信号処理を行う。
【0036】
速度/エンジン回転インタフェース107は、車両に搭載された各種センサから出力される信号を入力するための処理を行う。すなわち、車両のトランスミッション出力軸が所定量回転する毎に発生する車速パルス(車速信号)や、エンジンの回転に伴って発生するパルス(エンジン回転信号)が速度/エンジン回転インタフェース107を介してマイクロコンピュータ101に入力される。
【0037】
音声インタフェース108は、マイクロコンピュータ101の制御に従って、乗務員を案内するために必要な音声信号を生成する。この音声信号は音声インタフェース108に接続されたスピーカ111から音声に似た音響として出力される。
【0038】
メモリカードインタフェース109は、所定のメモリカード112を装着可能な装着部を有している。マイクロコンピュータ101は、メモリカードインタフェース109に装着されたメモリカード112に対してデータを書き込んだり読み出したりすることができる。メモリカード112は不揮発性メモリを内蔵している。
【0039】
メモリカード112は、乗務員を管理するための情報や、この車両の運行中に収集された情報や、車載通信機器100自体の動作に関する情報などを必要に応じて蓄積するために利用される。業務が終了した時には、乗務員がメモリカード112を車載通信機器100から取り外すことができる。すなわち、メモリカード112に蓄積されたデータを事務所側管理装置200で読み取り解析するために利用することができる。
【0040】
本体表示部110は、マイクロコンピュータ101の制御に従い、車載通信機器100の動作等に関する様々な情報を必要に応じて乗務員に見えるように表示する。
【0041】
次に、車載通信機器100の特徴的な動作について説明する。
図1に示すシステムが通信する際に実行する処理手順の概要が図2に示されている。つまり、車載通信機器100がサーバ300との間で通信する必要が生じた時に、車載通信機器100が図2に示す処理手順を順次に実行し、車載通信機器100、通信端末150、サーバ300の間で図2に示すような通信シーケンスが行われる。この処理手順を実行するのは、所定の条件を満たした時、例えば、車両のエンジンが始動した時や、一定時間が経過した時などである。
【0042】
なお、車載通信機器100側で発生したトリガに従ってデータを転送する時には図2に示す通信シーケンスが行われるが、サーバ300側あるいは事務所側管理装置200側で発生したトリガに従ってデータを転送する場合もある。サーバ300側で発生したトリガによりデータを転送する場合には、図2に示す車載通信機器100の処理手順と同様の処理をサーバ300側が実行する。
【0043】
図2に示す車載通信機器100側の処理手順には、種類が異なる複数の処理、すなわち「初期化処理」PR1、「回線監視処理」PR2、「回線接続処理」PR3、「データ送受信処理」PR4が含まれている。
【0044】
「初期化処理」PR1では、車載通信機器100とこれからの通信に利用する通信端末150との間で通信を行い、通信端末150の動作を初期化して、サーバ300との間の通信の準備を行う。
【0045】
「回線監視処理」PR2では、車載通信機器100と通信端末150との間で通信を行い、通信端末150が使用可能な無線基地局を探索したり、通信端末150と無線基地局との間等の通信回線の空き状況や通信速度毎の通信品質などの状況を監視して最適な状態で回線を接続するために必要な情報を取得する。
【0046】
「回線接続処理」PR3では、前述の「回線監視処理」PR2で取得した情報や、車載通信機器100が送信した接続先等の情報に基づいて、通信端末150とサーバ300との間に必要な通信回線を確保し、車載通信機器100とサーバ300との間を通信回線で接続する。
【0047】
「データ送受信処理」PR4では、前述の「回線接続処理」PR3で接続した通信回線を利用して、車載通信機器100とサーバ300との間でデータの送受信を行う。つまり、車載通信機器100が送信したデータを通信端末150を経由してサーバ300に転送したり、サーバ300が送信したデータを通信端末150を経由して車載通信機器100に転送するための処理を必要に応じて行う。
【0048】
次に、車載通信機器100のマイクロコンピュータ101が実行する処理手順の具体的な内容について説明する。図2に示した処理手順の中の「初期化処理」PR1に関する車載通信機器100の動作の概要が図3に示されている。
【0049】
ステップS11では、マイクロコンピュータ101は通信ログの記録処理を開始する。この処理における通信ログのデータの書き込み先は揮発性メモリ103である。この記録処理を開始すると、次のステップS12の処理中に、詳細な通信ログが記録される。
【0050】
ステップS12では、マイクロコンピュータ101は通信の準備に必要な所定の「初期化処理」を実行する。ステップS12の「初期化処理」の詳細が図4に示されている。
【0051】
図4に示すステップS21では、マイクロコンピュータ101は1番目の処理を実行する。例えば、マイクロコンピュータ101が通信端末インタフェース106を介して通信端末150からの各信号の状態を識別し、通信端末150が通信端末インタフェース106に物理的な接続されているか否かや、通信端末150が使用できる状態か否かなどを識別する。
【0052】
図3に示したステップS11で通信ログの記録が開始されているので、図4のステップS22では、マイクロコンピュータ101は1番目の処理(S21)が正常に終了したか否かを表すログ情報DL1を生成する。そして、このログ情報DL1を通信手順の区分や処理の番号を表す情報と共に、揮発性メモリ103上の通信ログ一時記録領域103aに通信ログとして書き込み、このログに新たな内容を追加する。
【0053】
例えば、ログ情報DL1の通信手順の区分としては、前述の「初期化処理」PR1に属することを表す情報を記録し、処理の番号としては「1」を記録する。勿論、番号「1」の代わりに理解しやすい文字列の情報(「端末接続状態OK」など)を記録しても良い。また、この処理を実行した現在日時の情報もログ情報DL1に対応付けて記録する。
【0054】
マイクロコンピュータ101は、1番目の処理(S21)が正常に終了した場合は次のステップS23に進み、正常終了でない場合は図4の処理を終了する。
【0055】
ステップS23では、マイクロコンピュータ101は2番目の処理を実行する。例えば、予め用意した初期化用の命令コードを、マイクロコンピュータ101が通信端末インタフェース106を介して通信端末150に送信する。
【0056】
図3に示したステップS11で通信ログの記録が開始されているので、図4のステップS24では、マイクロコンピュータ101は2番目の処理(S23)が正常に終了したか否かを表すログ情報DL2を生成する。そして、このログ情報DL2を通信手順の区分や処理の番号を表す情報と共に、揮発性メモリ103上の通信ログ一時記録領域103aに通信ログとして書き込み、このログに新たな内容を追加する。
【0057】
例えば、ログ情報DL2の通信手順の区分としては、前述の「初期化処理」PR1に属することを表す情報を記録し、処理の番号としては「2」を記録する。また、この処理を実行した現在日時の情報もログ情報DL2に対応付けて記録する。
【0058】
マイクロコンピュータ101は、2番目の処理(S23)が正常に終了した場合は次以降のステップ(S25)に進み、正常終了でない場合は図4の処理を終了する。
【0059】
ステップS24では、マイクロコンピュータ101はn番目の処理を実行する。例えば、通信端末150が初期化を完了したか否かを表す通信端末150からの信号を通信端末インタフェース106を介して正しく受信したか否かをマイクロコンピュータ101が識別する。
【0060】
図3に示したステップS11で通信ログの記録が開始されているので、図4のステップS26では、マイクロコンピュータ101はn番目の処理(S25)が正常に終了したか否かを表すログ情報DLnを生成する。そして、このログ情報DLnを通信手順の区分や処理の番号を表す情報と共に、揮発性メモリ103上の通信ログ一時記録領域103aに通信ログとして書き込み、このログに新たな内容を追加する。
【0061】
例えば、ログ情報DL3の通信手順の区分としては、前述の「初期化処理」PR1に属することを表す情報を記録し、処理の番号としては「n」を記録する。また、この処理を実行した現在日時の情報もログ情報DLnに対応付けて記録する。
【0062】
図4に示した1番目の処理、2番目の処理、・・・、n番目の処理の全てが正常終了した場合には、マイクロコンピュータ101はこれらの初期化に成功したことを認識し、いずれかの処理が異常終了した場合には初期化失敗として認識する。いずれにしても、揮発性メモリ103の通信ログ一時記録領域103aには、「初期化処理」PR1のシーケンスに関する処理ステップ毎の詳細なログ情報(DL1、DL2、・・・、DLn)が記録される。
【0063】
図3のステップS13では、マイクロコンピュータ101は、ステップS12の初期化処理が成功したか否かを識別する。すなわち、図4に示した1番目の処理、2番目の処理、・・・、n番目の処理の全てが正常終了した場合には、マイクロコンピュータ101はこれらの初期化に成功したことを認識し、いずれかの処理が異常終了した場合には初期化失敗として認識する。初期化成功の場合はステップS14に進み、失敗であればステップS16に進む。
【0064】
ステップS14では、図4に示した処理によって揮発性メモリ103の通信ログ一時記録領域103aに記録された通信ログの内容をクリアする。つまり、処理に成功した場合には異常発生の原因を解明する必要がなく、この時に記録された詳細な通信ログの重要度は低いので通信ログから消去する。なお、通信ログの内容をクリアする代わりに、単に上書き可能な無効なデータとして扱っても良い。
【0065】
ステップS15では、マイクロコンピュータ101は「初期化処理」PR1が成功したことを表す初期化処理フラグを揮発性メモリ103上の所定の領域に記録する。
【0066】
ステップS16では、マイクロコンピュータ101は、図4に示した処理によって揮発性メモリ103の通信ログ一時記録領域103aに記録された通信ログの内容と同じデータを、不揮発性メモリ102上の所定の記録領域に記録する。なお、不揮発性メモリ102上に記録するデータについてはバックアップ用の通信ログとして使用する。従って、ステップS16は省略しても良い。
【0067】
ステップS17では、マイクロコンピュータ101は、図4に示した処理によって揮発性メモリ103の通信ログ一時記録領域103aに記録された通信ログの内容と同じデータを、メモリカードインタフェース109に装着されているメモリカード112上の記録領域に書き込む。
【0068】
ステップS18では、マイクロコンピュータ101は、予め定めたエラー処理を実行する。例えば、「通信不可能な状態です、通信端末の接続状態を確認して下さい」のようなメッセージを本体表示部110に表示する。
【0069】
図3のステップS15が終了すると、図2に示した次の「回線監視処理」PR2の実行に移行する。
【0070】
図示しないが、通信ログの作成処理に関しては、「回線監視処理」PR2、「回線接続処理」PR3、「データ送受信処理」PR4のいずれにおいても、前述の「初期化処理」PR1と同様に処理する。
【0071】
例えば、「初期化処理」PR1から「回線監視処理」PR2に移行すると、図3に示すステップS11と同様に、「回線監視処理」PR2に関する通信ログの記録を開始する。その後、図4に示す処理と同様に、「回線監視処理」のための通信シーケンスのそれぞれのステップで、処理が正常に終了したか否かを表すログ情報を生成し、これらを詳細な通信ログとして揮発性メモリ103上の通信ログ一時記録領域103aに記録する。その後、ステップS13と同様に、「回線監視処理」全体について処理に成功したか否かを識別し、成功の場合はステップS14、S15と同様に詳細な通信ログの記録をクリアして「回線監視処理」のフラグを記録する。また、失敗の場合はステップS16、S17と同様に、詳細な通信ログの内容を不揮発性メモリ102およびメモリカード112に転送して保存する。「回線接続処理」PR3および「データ送受信処理」PR4についても同様に処理する。
【0072】
従って、車載通信機器100の通信に関して何らかの問題が発生し、その原因を解明する必要が生じた時には、メモリカード112や不揮発性メモリ102上に記録されている詳細な通信ログの内容を分析することにより、原因を容易に解明できる。例えば、メモリカード112を車載通信機器100から取り外して事務所に持ち帰り、これを事務所側管理装置200に装着して通信ログの内容を読み取る。この通信ログの内容から、「初期化処理」PR1、「回線監視処理」PR2、「回線接続処理」PR3、「データ送受信処理」PR4のいずれの段階の通信シーケンスで異常が発生したのかを特定できるし、更に、特定された通信シーケンスに含まれる複数の処理のいずれのステップで異常が発生したのかも特定できる。つまり、車載通信機器100自体の異常や、通信端末150の異常や、通信端末150とサーバ300との間の通信回線の異常などの原因を明確に区別可能になる。
【0073】
図2に示した通信手順は、車載通信機器100側で発生した通信要求のトリガに従って、通信を開始する場合に実行される。この場合の通信処理の大部分は、車載通信機器100側の制御が主体となって実行されるので、処理の内容は車載通信機器100側で把握している。つまり、車載通信機器100が把握した情報を詳細な通信ログとして車載通信機器100側で記録することができる。
【0074】
一方、車載通信機器100側で通信要求のトリガが発生しない状況であっても、サーバ300側で通信要求のトリガが発生する場合がある。この場合、サーバ300側のトリガに従って通信が開始され、図2に示した車載通信機器100側の「処理手順」と同様に、「初期化処理」PR1、「回線監視処理」PR2、「回線接続処理」PR3、「データ送受信処理」PR4の処理をサーバ300側が実行する。この「処理手順」をサーバ300が実行する場合には、図3および図4と同様の処理をサーバ300のコンピュータが実行し、詳細な通信ログをサーバ300側で記録し保存する。従って、サーバ300側で発生したトリガに従って通信を開始する場合であっても、通信に問題が発生した場合に、サーバ300側で保存されている詳細な通信ログの内容を分析することにより、通信異常の原因を解明することが可能になる。
【0075】
つまり、上述の通信異常情報記録方法においては、第1の通信機器に相当する車載通信機器100と、第2の通信機器に相当するサーバ300との間で通信を行う際に、前記第1の通信機器および第2の通信機器の少なくとも一方が、複数の処理で構成される通信処理手順(例えば図4のS21、S23、S26)の1段階毎に少なくとも異常発生の有無に関する識別を行い、それぞれの識別結果を一時データとして一時記憶メモリに記録し(例えばS22、S24、S26)、予め定めた手順が終了する毎に、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し(例えばS13)、該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え(例えばS14)、該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する(例えばS16、S17)。
【0076】
また、前記第1の通信機器および第2の通信機器の少なくとも一方が、通信機器の初期化(PR1)、通信回線状態監視(PR2)、通信回線接続(PR3)、データ送受信(PR4)等の複数の通信シーケンスのそれぞれについて、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する。
【0077】
また、上述の車載通信機器100は、無線通信ユニット(通信端末150に相当する。)を利用して、車外の通信機器(サーバ300に相当する。)との間で必要に応じて通信回線を接続しこの通信回線を介してデータ通信を行う。この車載通信機器100は、通信を行う際に、複数の処理で構成される通信処理手順(例えば図4のS21、S23、S26)の1段階毎に少なくとも異常発生の有無に関する識別を行い、それぞれの識別結果を一時データとして一時記憶メモリ上に記録する(例えばS22、S24、S26)一時データ記録処理部(マイクロコンピュータ101の一機能に相当する。)と、予め定めた手順が終了する毎に、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し(例えばS13)、該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え(例えばS14)、該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する(例えばS16、S17)通信異常ログ保存処理部(マイクロコンピュータ101の一機能に相当する。)とを備えている。
【0078】
以上のように、本発明の通信異常情報記録方法および車載通信機器は、車両に搭載された通信機器と車両外のサーバ等とが、例えば特定のイベントの発生に伴って、あるいは定期的に通信回線を接続して通信を行うような場合に、通信異常の原因を解明するために役立てることができる。特に、無線通信回線を利用して電話回線やインターネット等の公衆通信回線と接続し広域通信を行う場合には、様々な原因によって通信異常が発生する可能性があるため、原因の特定が困難になるが、詳細な通信ログを記録し保存することによってその解明が容易になる。しかも、通信異常が発生しない時には記録される通信ログの情報量が小さいので、大容量の記憶装置を必要とせずこの機能を車載機器に搭載するのも容易である。
【符号の説明】
【0079】
100 車載通信機器
101 マイクロコンピュータ
102 不揮発性メモリ
103 揮発性メモリ
104 GPSインタフェース
105 電源部
106 通信端末インタフェース
107 速度/エンジン回転インタフェース
108 音声インタフェース
109 メモリカードインタフェース
110 本体表示部
111 スピーカ
112 メモリカード
150 通信端末
200 事務所側管理装置
210 データ解析・表示部
220 ルータ
230 メモリカード読み取り装置
300 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信機器と第2の通信機器との間で必要に応じて所定の通信回線を接続しこの通信回線を介してデータ通信を行うシステムの通信動作を管理するための通信異常情報記録方法であって、
前記第1の通信機器と第2の通信機器との間で通信を行う際に、前記第1の通信機器および第2の通信機器の少なくとも一方が、複数の処理で構成される通信処理手順の1段階毎に少なくとも異常発生の有無に関する識別を行い、それぞれの識別結果を一時データとして一時記憶メモリに記録し、
予め定めた手順が終了する毎に、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、
該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、
該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する
ことを特徴とする通信異常情報記録方法。
【請求項2】
請求項1に記載の通信異常情報記録方法であって、
前記第1の通信機器および第2の通信機器の少なくとも一方が、通信機器の初期化、通信回線状態監視、通信回線接続、データ送受信等の複数の通信シーケンスのそれぞれについて、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、
該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、
該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する
ことを特徴とする通信異常情報記録方法。
【請求項3】
請求項1に記載の通信異常情報記録方法であって、
前記第1の通信機器と第2の通信機器との間で通信を行う際に、前記第1の通信機器および第2の通信機器のそれぞれが、複数の処理で構成される通信処理手順の1段階毎に少なくとも異常発生の有無に関する識別を行い、
前記第1の通信機器の識別結果を一時データとして前記第1の通信機器側の一時記憶メモリに記録し、
前記第2の通信機器の識別結果を一時データとして前記第2の通信機器側の一時記憶メモリに記録し、
前記第1の通信機器および第2の通信機器の双方が、
予め定めた手順が終了する毎に、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、
該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、
該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する
ことを特徴とする通信異常情報記録方法。
【請求項4】
所定の無線通信ユニットを利用して、車外の通信機器との間で必要に応じて通信回線を接続しこの通信回線を介してデータ通信を行う車載通信機器であって、
前記車外の通信機器との間で通信を行う際に、複数の処理で構成される通信処理手順の1段階毎に少なくとも異常発生の有無に関する識別を行い、それぞれの識別結果を一時データとして一時記憶メモリ上に記録する一時データ記録処理部と、
予め定めた手順が終了する毎に、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する通信異常ログ保存処理部と
を備えることを特徴とする車載通信機器。
【請求項5】
請求項4に記載の車載通信機器であって、
前記通信異常ログ保存処理部は、通信の初期化、通信回線状態監視、通信回線接続、データ送受信等の複数の通信シーケンスのそれぞれについて、該当する手順の実行に成功したか否かを識別し、該当する手順の実行に成功した場合は、前記一時データを消去するか又は消去可能な状態に切り替え、該当する手順の実行に失敗した場合は、前記一時記憶メモリに記録されている一時データを、所定の不揮発性メモリ上に書き込み通信異常ログとして保存する
ことを特徴とする車載通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−129632(P2012−129632A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277267(P2010−277267)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】