説明

通信端末装置

【課題】通信ネットワーク上のデータベースを対象とするキーワード検索を行う場合、通信ネットワークやデータベースサーバの負荷を軽減し、かつ迅速に検索結果が得られる通信端末装置を提供する。
【解決手段】通信ネットワークL上のデータベース22をアクセスして、キーワード検索する機能を備えた通信端末装置10であって、データベース22にアクセスした後、検索キー入力部1にキーワードを入力し検索した検索データ5aを記憶部5に一時的にダウンロードし、その後は、検索キー入力部1に入力したキーワードに文字が加えられる毎に、記憶部5にダウンロードされた検索データのうちから、その文字が付加されたキーワードを含んだ検索データを自動的に抽出するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワーク上に配置されたデータベースをアクセスしてキーワード検索する機能を有した通信端末装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時においては、データベースとして、通信ネットワーク上に配置され、複数のユーザからアクセスされてキーワード検索ができるようにしたディレクトリデータベースが普及している。
【0003】
このようなディレクトリデータベースとして、たとえば、ファクシミリ装置やクライアントPCなどの複数の通信端末装置が接続されたLANなどのネットワーク上に配置した電話帳データベースが知られている。
【0004】
このような構成によれば、クライアント装置には電話帳を登録する必要がなく、メモリの節約につながるという効果に加えて、共通資源の管理が一括化でき、またネットワーク内での負荷分散が図れるという利点もある。
【0005】
次の文献には、この種のデータベースを検索できるようにした表示装置の一例が開示されている。
【特許文献1】特開平11−149479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、クライアント装置からディレクトリデータベースをアクセスするには、所定のプロトコルを必要とする。たとえば、TCP/IPネットワークではLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)が使用されている。
【0007】
クライアント側の通信端末装置では、キーワードを入力し検索指示を出すと、プロトコルが稼動し、データベースサーバにアクセスして、そのキーワードにもとづいて検索された検索結果がダウンロードされる。さらに、キーワードを追加して絞り込み検索する場合にも、同様の動作が繰り返される。
【0008】
ところが、この種の検索方法はネットワークを介して行われるため、絞り込みのつどネットワークへの負担がかかり、データベースサーバの負荷も少なくない。たとえば電話帳データベースを対象として、宛先名称を1文字ずつ入力して電話番号を検索したい場合があるが、1文字ごとにデータベースサーバをアクセスするため、ネットワークやサーバへの負荷増大だけではなく、最終的な宛先電話番号を得るために多くの時間を要し、非効率であるという問題もある。
【0009】
本発明は、このような問題を解決すべく提案されたもので、その目的は、ネットワークやサーバへの負荷を軽減し、かつ迅速にキーワード検索が行える通信端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の通信端末装置は、通信ネットワーク上のデータベースをアクセスして、キーワード検索する機能を備えた通信端末装置であって、データベースにアクセスした後、検索キー入力部にキーワードを入力し検索した検索データを記憶部に一時的にダウンロードし、その後は、検索キー入力部に入力したキーワードに文字が加えられる毎に、記憶部にダウンロードされた検索データのうちから、その文字が付加されたキーワードを含んだ検索データを自動的に抽出するようにしている。
【0011】
請求項2では、検索キー入力部に入力されるキーワードは、所定の文字数が入力された時点で特定され、それに基づいて、ダウンロードが実行されることを特徴としている。所定の文字数とは、1文字または複数文字のいずれでもよく、検索対象のデータベースの容量等にもとづいて検索スピードを上げるため、変更できるようにしてもよい。
【0012】
請求項3では、上記データベースが電話帳データベースであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜3に記載の通信端末装置によれば、いちどデータベースをアクセスして検索した検索データを記憶部に取り込んだのちは、文字が加えられたキーワードで検索指示されるつど、記憶部に取り込んだ検索データを対象として検索を行うようにしているため、通信ネットワークやデータベースサーバへの負担は軽減され、必要とするデータを抽出するまでの時間も短縮できる。
【0014】
請求項2では、データベースから検索データをダウンロードする場合は、所定の文字数が入力された時点で検索が行われるようにしているので、この文字数を調整してやれば、ダウンロードするデータ量を調整することができ、その結果、記憶部の圧迫を防止できる。
【0015】
請求項3は電話帳データベースに限定したもので、ファクシミリ装置に適用すれば、ファクシミリ送信の宛先検索が短時間で要領よく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面とともに説明する。なお、以下には通信端末装置としてファクシミリ装置を示しているが、これには限定されず、少なくとも通信ネットワークを介してデータベースをアクセスすることが可能な、たとえばパーソナルコンピュータのような端末装置であってもよい。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の画像通信装置が接続されている通信ネットワークシステムの一例を示した図である。ここでは、画像通信装置としてファクシミリ装置を例示する。
【0018】
ファクシミリ装置10は、LAN等の通信ネットワークLを通じて、他の通信端末装置(クライアントPC)30、電話帳データベース22を備えたデータベースサーバ20と接続されている。また、電話回線Nを通じて、他のファクシミリ装置40と画データの送受信が可能となっている。
【0019】
データベースサーバ20は、ファクシミリ装置10等から通信ネットワークLを介してアクセスされ、キーワード文字が指定されて電話帳の検索指示がされたときは、検索部21が、その指定された文字で電話帳データベース22を検索し、検索した検索データを、指示を受けた端末10に返信する。
【0020】
ファクシミリ装置10は、キーワード検索を行う場合、データベース22をアクセスするための所定のプロトコルを実行する。プロトコルとして、たとえばLDAP規格のものがあるが、これには限定されない。
【0021】
図2は、本発明の通信端末装置10の要部構成を示したブロック図である。
【0022】
ファクシミリ装置10は、ファクシミリ送信等の際には、電話帳データベース22を検索して、電話番号や電子メールアドレスを取り出せるようになっており、そのために、宛先名称の一部または全部を検索キーワードとして入力するための検索キー入力部1と、検索結果を表示する表示部2と、MPUや各種ソフトウェアなどで構成される信号処理部3と、通信ネットワークLに接続してデータベースサーバ20などと通信制御するための通信部4と、電話帳データベース22からダウンロードした検索データ5aが保存される記憶部5とを備えている。なお、公衆回線Nに接続された他のファクシミリ装置40とファクシミリ通信を行うための回線制御部(不図示)も有している。
【0023】
次に、ファクシミリ装置10の電話帳データベース22を対象とする検索動作について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0024】
ファクシミリ装置10は、電話帳検索の開始指示がなされたのちは、終了指示が入力されるまで、以下の検索処理を実行する(以上、101、102)。
【0025】
検索キー入力部1より検索キーワードが1文字入力されると、キーワードが先頭からn文字分入力されたかどうかを判別し、n文字が入力された場合は初期検索と判断して、データベースサーバ20に対する検索を実行する一方、n文字以降の文字が入力された場合は絞り込み検索と判断して、1文字追加されるごとにデータベースサーバ20からダウンロードしている検索データ5aを対象とする検索を実行する(以上、103、104〜110)。
【0026】
すなわち、初期検索の場合には、所定のプロトコルを用いてデータベースサーバ20をアクセスし、入力されたn文字のキーワードを指定した検索指示を出力し、その後、データベースサーバ20より検索したデータを取得し記憶部5に保存し、その検索結果を表示部3に表示する(以上、104〜108)。
【0027】
また、絞り込み検索の場合には、1文字が付加されるごとに、付加されたキーワードにもとづいて、ダウンロード済みの検索データ5aからさらに検索データを抽出し、その検索結果を表示する(以上、104、109、110)。なお、検索データ5aは、より速く検索できるように、絞り込み検索のつど新たな検索結果に置き換えるようにしてもよい。
【0028】
このように、電話帳データベース22をアクセスして初期検索した検索データを記憶部5に取り込んだのちは、文字が加えられるつど、記憶部5にダウンロード済みの検索データ5aを対象として検索を行うようにしているため、通信ネットワークLやデータベースサーバ20の負担は軽減され、かつ、必要とする宛先電話番号を短時間で抽出することができる。
【0029】
また、初期検索でデータベース22から検索データ5aをダウンロードする場合は、所定の文字数が入力された時点でキーワードが特定され、その時点で検索指示が出されるようになっているので、この文字数を調整するようにすれば、ダウンロードするデータ量を調整することができる。
【0030】
さらに、この文字数を簡単に設定変更できる設定手段を設ければ、対象となるデータベースに記憶されているデータ量に応じて、ダウンロードするデータ量の調整を容易に行うことができる。
【0031】
もちろん、初期検索を先頭1文字目で確定させて検索するようにしてもよい。
【0032】
また、絞り込み検索を1文字入力のつど実行できるようにしているため、宛先名称をはっきりと記憶していない場合でも、表示部3に表示された検索結果を見ながら、少しずつ絞り込んで最終的な電話番号を見つけ出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の画像通信装置が接続されている通信ネットワークシステムの一例を示した図である。
【図2】本発明の通信端末装置の要部構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の通信端末装置のキーワード検索の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
10 通信端末装置(ファクシミリ装置)
1 検索キー入力部
2 表示部
3 信号処理部
5 記憶部
5a 検索データ
20 データベースサーバ
21 検索部
22 電話帳データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワーク上のデータベースをアクセスして、キーワード検索する機能を備えた通信端末装置であって、
データベースにアクセスした後、検索キー入力部にキーワードを入力し検索した検索データを記憶部に一時的にダウンロードし、その後は、検索キー入力部に入力したキーワードに文字が加えられる毎に、上記記憶部にダウンロードされた検索データのうちから、その文字が付加されたキーワードを含んだ検索データを自動的に抽出するようにしている通信端末装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記検索キー入力部に入力されるキーワードは、所定の文字数が入力された時点で特定され、それに基づいて、上記ダウンロードが実行されることを特徴とする通信端末装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記データベースは、電話帳データベースであることを特徴とする通信端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−227689(P2006−227689A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37350(P2005−37350)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】