説明

通信端末

【課題】データ送受信終了後に通信回線がアクティブな状態を維持する時間をアプリケーションプログラムごとに制御することができる通信端末を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る携帯電話機10は、IP電話プログラムを含むアプリケーションプログラムによりIP電話機能を実現するIP電話機能41を含む機能実現部として機能する主制御部40と、機能実現部のデータ送受信要求を受けてIPネットワークを介したデータ送受信を制御する送受信制御部36と、IPネットワークを介したデータ送受信が行われる第1の接続状態と、IPネットワークを介したデータ送受信の終了後に所定の時間だけIPネットワークに対する接続が維持される第2の接続状態と、IP電話機能41によりIP電話による通話要求着信が可能である第3の接続状態と、のいずれかでIPネットワークへの接続状態を制御する接続状態制御部37と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
SIP(Session Initiation Protocol)を用いたIP(Internet Protocol)電話機能を有する通信端末は、一般に、IPネットワークを介してSIPメッセージをSIPサーバと送受信することにより相手先との通話を行うようになっている。たとえば、通信端末は、SIPサーバからSIPメッセージを受信することにより相手先からのIP電話による通話要求着信があったことを知る。SIPメッセージはIPパケットに格納される。
【0003】
通話要求着信は任意のタイミングで発生する。この通話要求着信に対応するために、この種の通信端末は、通話していない待受け時にも多くの電力を消費してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−208554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のSIPを用いたIP電話機能を有する通信端末は、ユーザの操作性を向上させるため、データの送受信が終了した後も、基地局やSIPサーバが発信する所定の信号を受信するまでの所定の時間、通信回線が確立された状態(以下、アクティブ状態という)を維持するようになっている。
【0006】
アクティブ状態では、通信端末とSIPサーバとの間で確立された接続が維持されるため、通信端末は速やかにデータを送受信することができる。このアクティブ状態は、通信端末がSIPサーバに対して定期的にキープアライブ信号を送信することにより維持される。
【0007】
一方、アクティブ状態では、データ送受信が行われないにもかかわらず通信回線をアクティブにしておくため、通信端末は通信回線をアクティブにしておくための電力を消費してしまう。ユーザの操作性を損なわないようにアクティブ状態を維持すべき時間は、データ送受信を要求するアプリケーションプログラムごとに変えることが好ましい。しかし、従来の技術では、通信端末は所定の信号を発信する基地局やSIPサーバがアクティブ状態を維持するための時間を決定してしまう。このため、通信端末は、実行しているアプリケーションプログラムによらず、データ送受信の終了後もアクティブ状態を維持してしまい、無駄な電力を消費しているといえる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る通信端末は、上述した課題を解決するために、IP電話プログラムを含むアプリケーションプログラムにより、IP電話機能を実現するIP電話部を含む機能実現部として機能する主制御部と、前記機能実現部のデータ送受信要求を受けてIPネットワークを介したデータ送受信を制御する送受信制御部と、前記IPネットワークを介したデータ送受信が行われる第1の接続状態と、前記IPネットワークを介したデータ送受信の終了後に所定の時間だけ前記IPネットワークに対する接続が維持される第2の接続状態と、前記IP電話部によりIP電話による通話要求着信が可能である第3の接続状態と、のいずれかで前記IPネットワークへの接続状態を制御する接続状態制御部と、を備え、前記第2の接続状態は前記第1の接続状態より消費電力が低いとともに前記第3の接続状態は前記第2の接続状態より消費電力が低く、前記所定の時間は、前記IPネットワークを介したデータ送受信要求を行った機能実現部として前記主制御部を機能させたアプリケーションプログラムに固有の時間である、ことを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態に係るシステムの概略的な構成図。
【図2】携帯電話機の外観の一例を示す図。
【図3】携帯電話機の内部構成例を概略的に示すブロック図。
【図4】接続状態制御部により制御される携帯電話網への接続状態とIP通信に係る消費電力との関係を示す説明図。
【図5】本実施形態に係る携帯電話機が電子メールを送信する際のIP接続状態の遷移を示す説明図。
【図6】本実施形態に係る携帯電話機がIP電話による通話を行う際のIP接続状態の遷移を示す説明図。
【図7】アプリケーションプログラムによる機能実現部がIP接続状態を制御する様子を示す説明図。
【図8】データ送受信終了後に通信回線がアクティブな状態を維持する時間をアプリケーションプログラムごとに制御する際の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係るシステムの概略的な構成図である。なお、本実施形態では、本発明に係る通信端末として携帯電話機を用いる場合の一例について示す。また、通信端末は、携帯電話機に限らず、SIPを用いたIP電話機能を有する、たとえばPDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機などの携帯型の情報処理装置でもよい。
【0012】
なお、以下の説明において、発呼とは、音声通話要求発信やテレビ電話通話要求発信などの通話要求発信をいい、着呼とは、音声通話要求着信やテレビ電話通話要求着信などの通話要求着信をいい、発着呼とは、発呼および着呼をいうものとする。たとえば、携帯電話機10に対して音声通話要求着信を内容とする着呼があると、ユーザは着呼キーを押下することにより携帯電話機10に対して着呼指示を与える。携帯電話機10は、この指示を受けて音声通話要求先との音声通話を確立する。
【0013】
携帯電話機10は、図1に示すように、携帯電話網101に収容される基地局11を介してIPネットワーク(インターネット網)102に接続される。IPネットワーク102にはSIPサーバ12、メールサーバ13、ウェブサーバ14やIP電話機15が接続される。なお、携帯電話網101は図示しないゲートウェイサーバを介してIPネットワーク102や電話網103に接続される。電話網103には電話機16が接続される。
【0014】
SIPサーバ12は、携帯電話機10と通話相手先となるIP電話機15や電話機16とのセッションを確立する。携帯電話機10は、SIPサーバ12と、基地局11およびIPネットワーク102を介してIPパケットに格納したSIPメッセージを送受信する。
【0015】
たとえば、携帯電話機10が発呼する場合、携帯電話機10は電話番号などの相手先情報を含むSIPメッセージを作り、これをIPパケットに格納して基地局11を介してIPネットワーク102に接続されているSIPサーバ12に送信する。また、携帯電話機10が着呼する場合、携帯電話機10は基地局11を介してSIPサーバ12から、通話要求着信がある旨の情報を含むSIPメッセージを受信する。
【0016】
携帯電話機10は、相手先のIP電話機15とのIP電話機能を用いた通話を行うにあたり、SIPサーバ12を用いずに直接相手先のIP電話機15とSIPメッセージの送受信を行ってもよい。
【0017】
なお、SIPは、IP電話などの端末間の接続および切断に用いられるプロトコルであり、データ転送プロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)やUDP(User Datagram Protocol)を使用できる。
【0018】
メールサーバ13は、携帯電話機10による電子メールの送受信を仲介するためのサーバである。また、ウェブサーバ14は、携帯電話機10により閲覧されるウェブページを記憶したサーバである。
【0019】
図2は、携帯電話機10の外観の一例を示す図である。携帯電話機10は、第1のユニット21、第2のユニット22および第2のユニット22に対し第1のユニット21を開閉自在に連結する連結部23を有する。
【0020】
図2に示すように、第2のユニット22は、第1のユニット21に対して、開閉軸を中心として開閉自在となるように、連結部23(ヒンジ)を介して連結される。第2のユニット22が開閉軸を中心として回転することにより、携帯電話機10は、開いている状態と閉じた状態とで位置決めすることができる。
【0021】
第1のユニット21は、薄い箱形の筐体24を有し、この筐体の上面の表面上には、入力部25およびマイクロフォン26が設けられる。第2のユニット22は、薄い箱形の筐体27を有する。この筐体27上面の表面上には、表示部28およびスピーカ29が設けられる。
【0022】
入力部25は、たとえばテンキー、タッチパネルなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザの入力操作に対応した信号を出力する。ユーザは、携帯電話機10に対して入力部25を介して発着呼指示や終話指示、ウェブページの閲覧要求指示などを行うことができる。
【0023】
マイクロフォン26は、ユーザによって入力された音声をデジタル音声信号に変換する機能を有する。
【0024】
表示部28は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Device)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、表示部28の背景画像(壁紙)、壁紙に重畳表示される電池残量や電波強度を概略的に示す画像などの各種アイコンや、着信時に表示される画像および映像などを表示する。
【0025】
スピーカ29は、受話音声をはじめとした各種の情報に対応した音声を出力する。
【0026】
図3は、携帯電話機10の内部構成例を概略的に示すブロック図である。
【0027】
携帯電話機10は、図2に示した入力部25、マイクロフォン26、表示部28、スピーカ29などのほか、少なくとも移動体通信用アンテナ31、移動体通信部32、無線LAN通信用アンテナ33、無線LAN通信部34、記憶部35、送受信制御部36、接続状態制御部37、タイマ制御部38、タイマ39および主制御部40を有する。
【0028】
主制御部40は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従って、携帯電話機10の動作を制御する。主制御部40のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶された各種のアプリケーションプログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、このプログラムに従って機能実現部として機能する。
【0029】
以下の説明では、ROMをはじめとする記憶媒体に各種のアプリケーションとして少なくともIP電話プログラム、電子メールプログラムおよびウェブブラウザプログラムが記憶される場合の例について示す。主制御部40のCPUは、IP電話プログラム、電子メールプログラムおよびウェブブラウザプログラムによって、それぞれIP電話機能41、電子メール機能42およびブラウザ機能43を実行する。
【0030】
主制御部40のRAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。
【0031】
主制御部40のROMをはじめとする記憶媒体は、携帯電話機10の起動プログラム、各種のアプリケーションプログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0032】
なお、ROMをはじめとする記憶媒体は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。ここで電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線LAN(Local Area Network)、携帯電話網101、IPネットワーク102のほか、電話網103、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0033】
移動体通信部32は、主制御部40に制御されて、移動体通信用アンテナ31および基地局11を介して携帯電話網101と接続される。移動体通信部32は、移動体用プロトコルにもとづく無線通信により基地局11とデータの送受信を行う。移動体通信部32は、携帯電話網101を介した音声データの送受信のほか、IPネットワーク102を介したデータの送受信を行う。
【0034】
無線LAN通信部34は、主制御部40に制御されて、無線LAN通信用アンテナ33を介して、図示しない無線LANのアクセスポイントと無線リンクを確立する。無線LAN通信部34は、インターネットプロトコル(IP)にもとづく無線通信によりアクセスポイントと無線接続されてデータの送受信を行う。
【0035】
記憶部35は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリであり、たとえばハードディスクドライブやソリッドステートドライブなどにより構成することができる。この記憶部35は、電子メールデータや音楽データなどの各種データを記憶している。
【0036】
送受信制御部36は、主制御部40からデータ送受信要求を受けて携帯電話網101を介したデータ送受信を制御する。
【0037】
図4は、接続状態制御部37により制御される携帯電話網101への接続状態とIP通信に係る消費電力との関係を示す説明図である。
【0038】
IPネットワーク102への接続状態は、(1)切断状態、(2)データ送受信状態、(3)アクティブ状態(通信回線が確立された状態)、(4)プリザベーション状態の4通りに大きく分類することができる。
【0039】
切断状態は、IPネットワーク102に対する接続が切断されるとともにアプリケーションプログラムにもその旨の情報が与えられた状態である。切断状態では、携帯電話機10はIPにもとづく無線信号を受信することができない。このため、携帯電話機10は、IP電話による通話要求着信(以下、IP通話着信という)があってもこの情報を受けることができない。
【0040】
したがって、本実施形態に係る携帯電話機10の接続状態制御部37は、第1の接続状態としてのデータ送受信状態、第2の接続状態としてのアクティブ状態および第3の接続状態としてのプリザベーション状態のいずれかで携帯電話網101への接続状態(以下、IP接続状態という)を制御し、切断状態へは移行しないようにする。
【0041】
第1の接続状態としてのデータ送受信状態は、携帯電話機10と基地局11との接続および携帯電話機10とSIPサーバ12との接続が確立されるとともに、送受信制御部により携帯電話網101およびIPネットワーク102を介したデータ送受信が行われている状態である。
【0042】
第2の接続状態としてのアクティブ状態は、データ送受信を行わないものの携帯電話機10と基地局11との接続および携帯電話機10とSIPサーバ12との接続を維持した状態である。アクティブ状態では、送受信制御部36は主制御部40からデータ送受信要求を受けると速やかに携帯電話網101を介したデータ送受信を行うことができる。アクティブ状態は、データ送受信状態と比べ、データ送受信を行っていないぶん消費電力が少ない状態である。
【0043】
接続状態制御部37は、携帯電話網101を介したデータ送受信が終了するとデータ送受信状態からアクティブ状態へとIP接続状態を移行させる。
【0044】
第3の接続状態としてのプリザベーション状態は、携帯電話機10と基地局11およびSIPサーバ12との接続を切断した状態であるがIP通話着信信号を受信することができる状態である。プリザベーション状態では、アプリケーションプログラムはこれらの接続が切断されていることを通知されない。
【0045】
プリザベーション状態では、接続状態制御部37は、IP通話着信があった場合はこの着信信号を受信することができるよう、少なくともIP通話着信信号の受信に必要なコンポーネントに対する給電を維持し、他の不要なコンポーネントに対する給電を停止する。たとえば、移動体通信部32は、プリザベーション状態では無線信号の受信に係る部材にのみ給電されればよい。プリザベーション状態は、データ送受信状態およびアクティブ状態に比べ消費電力が非常に少ない状態である。
【0046】
接続状態制御部37は、データ送受信状態からアクティブ状態に移行した後所定の時間が経過すると、IP接続状態をプリザベーション状態へ移行させる。この所定の時間はデータ送受信状態においてデータ送受信要求を行ったアプリケーションプログラムごとに独立した値である。このアプリケーションプログラムに固有の値は各機能41〜43の操作性と消費電力とを勘案した値とすることができる。操作性を失わず消費電力を削減可能なアプリケーションプログラムの所定の時間の値を小さくすることにより、操作性を損なうことなく、携帯電話機10の通信に係る消費電力を低減することができる。
【0047】
各アプリケーションプログラムに固有の時間の情報は、各アプリケーションプログラムに含まれてもよいし、記憶部35にアプリケーションプログラムと関連付けて記憶されてもよい。また、各アプリケーションプログラムに固有の時間の値は、初期設定されてもよいし、ユーザにより個別に設定されてもよい。以下の説明では、IP電話プログラム、電子メールプログラムおよびウェブブラウザプログラムに固有の時間がそれぞれ20秒、0秒、60秒である場合の例について示す。
【0048】
図5は、本実施形態に係る携帯電話機10が電子メールを送信する際のIP接続状態の遷移を示す説明図である。同図において、斜線で示した部分は、本実施形態にかかる処理を行わなかった場合に増加する消費電力量の理論値を示している。すなわち、この実施形態では、斜線で示した量だけ消費電力を削減することが可能となる。
【0049】
本実施形態に係る携帯電話機10の接続状態制御部37は、電子メール機能42によるデータ送受信が終了してIP接続状態をデータ送受信状態からアクティブ状態へと移行させたあと、電子メールプログラムに固有の時間である0秒経過後に、すなわちアクティブ状態への移行後直ちに、さらにプリザベーション状態へと移行させる。これにより、本実施形態に係る携帯電話機10では、電子メール機能42によるデータ送受信に係る電力を大幅に削減することができるといえる。
【0050】
一方、図6は、本実施形態に係る携帯電話機10が、IP電話による通話が行われている際のIP接続状態の遷移を示している。マイクロフォン26を介して音声が入力されるたび、または相手方の音声を受信するたびにデータ送受信を行い、音声が入力されない、または音声を受信しない時間が20秒未満の場合にはアクティブ状態とデータ送受信状態との状態間遷移を繰り返すことになる。この場合でも、図6から明らかなように、斜線で示される分だけIP電話機能41によるデータ送受信に係る電力を削減することができるといえる。
【0051】
さらに、連続した発音データの送受信終了後の所定の時間と終話指示を受けた際の所定の時間とを異なる時間として設定してもよく、終話指示を受けた際の所定の時間をデータ送受信終了後の所定の時間より短い時間(たとえば5秒など)としてもよい。
【0052】
なお、接続状態制御部37は、アプリケーションプログラムに固有の時間でアクティブ状態からプリザベーション状態へ移行する際に基地局11およびSIPサーバ12とネゴシエーションを行い、プリザベーション状態へ移行する旨の情報を通知するとよい。この場合、基地局11やSIPサーバ12がアクティブ状態で出力していた信号は出力されないようにすることが好ましい。
【0053】
図7は、アプリケーションプログラムによる機能実現部がIP接続状態を制御する様子を示す説明図である。
【0054】
図7に示すように、本実施形態に係る携帯電話機10は、アプリケーションプログラムごとに、一般的なデータの送受信制御に加えてIP接続状態を制御する。アプリケーションプログラムは、アクティブ状態が維持される時間を個別に制御することができる。
【0055】
タイマ制御部38は、タイマ39を制御する。タイマ39は、接続状態制御部37によりIP接続状態がデータ送受信状態からアクティブ状態へ移行すると計時を開始するようタイマ制御部38により制御される。タイマ制御部38は、アプリケーションプログラム固有の時間の情報を取得し、計時開始後の経過時間がこのアプリケーションプログラム固有の時間以上となるとタイムアウト信号を出力するようタイマ39を制御する。
【0056】
次に、本実施形態に係る携帯電話機10の動作の一例について説明する。
【0057】
図8は、データ送受信終了後に通信回線がアクティブな状態を維持する時間をアプリケーションプログラムごとに制御する際の手順を示すフローチャートである。図8において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。この手順は、IP接続状態がプリザベーション状態でスタートとなる。
【0058】
まず、ステップS1において、送受信制御部36は、各機能41〜43によるデータ送受信要求があるか否かを判定する。データ送受信要求があった場合はステップS2に進む。一方、データ送受信要求がない場合は引き続きこの要求を監視する。
【0059】
たとえば、SIPサーバ12から通話要求着信があった旨のSIPメッセージを受けると、IP電話機能41は、データ送受信要求としての着呼指示を送受信制御部36に与え、ステップS2に進む。
【0060】
次に、ステップS2において、接続状態制御部37は、基地局11およびSIPサーバ12との接続を確立することにより、IP接続状態をプリザベーション状態からデータ送受信状態へ移行する。
【0061】
次に、ステップS3において、送受信制御部36は、要求があったデータ送受信を実行する。
【0062】
次に、ステップS4において、送受信制御部36は、データ送受信が終了したか否かを判定する。データ送受信が終了した場合はステップS5に進む。一方、データ送受信が継続して行われる場合はステップS3に戻る。
【0063】
次に、ステップS5において、タイマ制御部38は、タイマ39に対し計時を開始させる。このとき、タイマ制御部38はステップS1においてデータ送受信要求をした機能実現部に係るアプリケーションプログラムに固有の時間を取得し、たとえばRAMの所要のワークエリアに記憶させる。
【0064】
次に、ステップS6において、IP接続状態はデータ送受信状態からアクティブ状態へと移行する。
【0065】
次に、ステップS7において、タイマ39はRAMの所要のワークエリアに記憶されたアプリケーションプログラムに固有の時間と計時時間とを比較し、固有の時間経過したか否かを判定する。固有の時間経過した場合、タイマ39はタイムアウト信号を出力しステップS8に進む。一方、固有の時間経過していない場合、ステップS10に進む。
【0066】
次に、ステップS8において、接続状態制御部37は、基地局11およびSIPサーバ12とネゴシエーションを行い、プリザベーション状態へ移行する旨の情報を通知する。 次に、ステップS9において、接続状態制御部37は、IP接続状態をアクティブ状態からプリザベーション状態へと移行させ、一連の手順は終了となる。
【0067】
他方、ステップS7においてアプリケーションプログラムに固有の時間経過していないと判定されると、ステップS10において、送受信制御部36は、各機能41〜43によるデータ送受信要求があったか否かを判定する。データ送受信要求があった場合、タイマ制御部38はステップS11においてタイマ39をリセットして動作を停止させ、ステップS3に戻る。一方、データ送受信要求がない場合はステップS7に戻る。
【0068】
以上の手順により、データ送受信終了後に通信回線がアクティブな状態を維持する時間をアプリケーションプログラムごとに制御することができる。
【0069】
本実施形態に係る携帯電話機10は、このアプリケーションプログラムに固有の値を各機能41〜43を実行した際の操作性と消費電力とを勘案した値とすることができる。このため、アクティブ状態を維持する時間をアプリケーションごとに制御できるため、操作性を失わず消費電力減可能することができる。
【符号の説明】
【0070】
10 携帯電話機
11 基地局
12 SIPサーバ
13 メールサーバ
14 ウェブサーバ
15 IP電話機
16 電話機
21 第1のユニット
22 第2のユニット
23 連結部
24 第1のユニットの筐体
25 入力部
26 マイクロフォン
27 第2のユニットの筐体
28 表示部
29 スピーカ
31 移動体通信用アンテナ
32 移動体通信部
33 WLAN通信用アンテナ
34 WLAN通信部
35 記憶部
36 送受信制御部
37 接続状態制御部
38 タイマ制御部
39 タイマ
40 主制御部
41 IP電話機能
42 電子メール機能
43 ブラウザ機能
101 携帯電話網
102 IPネットワーク
103 電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP電話プログラムを含むアプリケーションプログラムにより、IP電話機能を実現するIP電話部を含む機能実現部として機能する主制御部と、
前記機能実現部のデータ送受信要求を受けてIPネットワークを介したデータ送受信を制御する送受信制御部と、
前記IPネットワークを介したデータ送受信が行われる第1の接続状態と、前記IPネットワークを介したデータ送受信の終了後に所定の時間だけ前記IPネットワークに対する接続が維持される第2の接続状態と、前記IP電話部によりIP電話による通話要求着信が可能である第3の接続状態と、のいずれかで前記IPネットワークへの接続状態を制御する接続状態制御部と、
を備え、
前記第2の接続状態は前記第1の接続状態より消費電力が低いとともに前記第3の接続状態は前記第2の接続状態より消費電力が低く、
前記所定の時間は、
前記IPネットワークを介したデータ送受信要求を行った機能実現部として前記主制御部を機能させたアプリケーションプログラムに固有の時間である、
ことを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記接続状態制御部は、
前記IPネットワークを介したデータ送受信の終了後に前記アプリケーションプログラムに固有の時間経過すると、前記IPネットワークへの接続状態を前記第3の接続状態へと移行させる、
請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
前記IPネットワークを介したデータ送受信が終了した旨の情報を前記送受信制御部から受けると計時を開始し、このデータ送受信要求を行った機能実現部として前記主制御部を機能させたアプリケーションプログラムに固有の時間経過するとタイムアウト信号を出力するタイマ、
をさらに備え、
前記接続状態制御部は、
前記第2の接続状態において前記タイマから前記タイムアウト信号を受けると、前記IPネットワークへの接続状態を前記第3の接続状態へと移行させ、
前記タイマは、
前記アプリケーションプログラムに固有の時間経過前に前記データ送受信要求を行った機能実現部によるデータ送受信要求があると、リセットされて動作を停止する、
請求項1または2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記接続状態制御部は、
前記アプリケーションプログラムに固有の時間経過前に前記データ送受信要求を行った機能実現部によるデータ送受信要求があると、前記IPネットワークへの接続状態を前記第1の接続状態へと移行させる、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−244280(P2011−244280A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115618(P2010−115618)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】