説明

通信端末

【課題】筐体の内部におけるアンテナ機構のための占有体積(収容孔部)を小さくでき、筐体の内部空間を有効利用できる通信端末を提供する。
【解決手段】通信端末10は、第1筐体11と、第1筐体11に設けられた凹部17と、凹部17から第1筐体11の外部に突没可能な棒状のアンテナ本体41と、凹部17から第1筐体11の内部に向かって設けられてアンテナ本体41を収容する収容孔部18と、凹部17に配置されてアンテナ本体41に挿通される筒部32とを備えている。そして、筒部32は、筒部32の径方向と平行な線に沿う回動軸26を中心として第2筐体12に対して回動可能に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の内部に筒部を回動自在に設け、筒部にアンテナをスライド自在に挿通することにより、筐体内に突没自在に収納可能とした通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の通信端末として、第1筐体と、第2筐体とを備え、第1筐体および第2筐体が連結部を介して開閉自在に連結された開閉式の通信端末が広く知られている。
この通信端末は、第1筐体および第2筐体が互いに重なり合う携帯状態と、第1筐体および第2筐体が展開された展開状態とを取り得る。
第1筐体の表面に操作部が設けられ、第2筐体の表面に表示部が設けられている。
【0003】
ここで、通信端末は、通話や情報を送受信するためにアンテナ機構が備えられている。
このアンテナ機構の中には、第1筐体の内部に収容されるアンテナ本体が伸縮可能な多段構造であるとともに、アンテナ本体の基端部にヒンジ部が設けられ、通信端末の第1筐体に対して突没(伸縮)自在に構成されたものがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1のアンテナ機構によれば、アンテナの不使用時にアンテナ本体を収縮させて第1筐体内に収納可能である。
一方、アンテナの使用時にアンテナ本体を伸張させて第1筐体から引き出すとともにヒンジ部を第1筐体から引き出してヒンジ部を軸にアンテナ本体の向きを調整可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−272863号公報(図6〜図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1は、第1筐体の内部に収容されるアンテナ本体が伸縮可能な多段構造であるとともに、アンテナ本体の基端部にヒンジ部が設けられている。このため、大径化したアンテナ本体およびヒンジ部に挿通される筒部が大径化する。
このため、第1筐体の内部におけるアンテナ機構のための大きな空間(占有体積)が必要であり、回路基板の面積や、配置箇所に制約が生ずる。
【0007】
また、近年では、図12に示すように、通信端末100の第1筐体102に設けたヒンジ部103を第1筐体102から外部に露出させ、このヒンジ部103に多段構造のアンテナ本体104を連結させたアンテナ機構101が用いられている。
アンテナ機構101は、ヒンジ部103が第1筐体102に対して突没自在に支持されている。
【0008】
アンテナ機構101によれば、アンテナの不使用時に、アンテナ本体104とともにヒンジ部103が第1筐体102内に収納される。
一方、アンテナの使用時に、アンテナ本体104が伸張されて第1筐体102から矢印A1方向に引き出され、かつ、ヒンジ部103が第1筐体102から矢印A2方向に引き出される。
ヒンジ部103が第1筐体102から引き出されることにより、アンテナ本体104を伸張させた際に、ヒンジ部103を中心にしてアンテナ本体104をスイング移動(揺動)できる。
【0009】
このアンテナ機構101は、ヒンジ部103を第1筐体102から外部に露出させることにより、特許文献1のアンテナ機構と比較して、第1筐体102の内部におけるアンテナ機構101のための空間(占有体積)を小さく抑えることが可能である。
しかし、ヒンジ部103が第1筐体102に対して突没自在に構成されているので、ヒンジ部103を突没させるストローク空間を確保する必要がある。このため、アンテナ機構101を収納するための空間(占有体積)をさらに小さく抑えることが望まれている。
【0010】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、筐体の内部におけるアンテナ機構のための占有体積(収容孔部)を小さくでき、筐体の内部空間を有効利用できる通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る通信端末は、筐体と、筐体に設けられた凹部と、凹部から筐体の外部に突没可能なアンテナ本体と、凹部から筐体の内部に向かって設けられ、アンテナ本体を収容する収容孔部と、凹部に配置され、アンテナ本体に挿通され、筐体に対して回動可能な筒部とを備える。
【0012】
また、本発明の第2の態様に係る通信端末は、筒部は、長手方向の一端側が筐体に対する回動軸側に配置され、長手方向の他端側が回動軸よりも収容孔部とは反対側に配置されている。
【0013】
さらに、本発明の第3の態様に係る通信端末は、筐体に固定され、腕部を回動自在に保持する保持手段を備え、筒部が、筒部の外側面に設けられた腕部を介して保持手段に保持される。
【0014】
また、本発明の第4の態様に係る通信端末は、保持手段は、着脱可能な固定手段によって筐体に固定されており、アンテナ本体が収容孔部に収容された第1の状態では、固定手段がアンテナ本体によって覆われ、アンテナ本体が収容孔部から引き出されて筐体から突出し、かつ、筒部に追従して回動された第2の状態では露出する位置に固定手段が設けられた。
【0015】
さらに、本発明の第5の態様に係る通信端末は、保持手段が、固定手段により筐体に固定される固定片と、固定片に連結されて筒部を支持する本体部と、本体部に内蔵され、本体部に対する筒部の回動角度を維持する保持機構と、を有する。
【0016】
また、本発明の第6の態様に係る通信端末は、筒部および本体部が、筐体の幅方向に沿って平行に配置されている。
【0017】
さらに、本発明の第7の態様に係る通信端末は、筒部および本体部が、筐体の厚み方向に沿って平行に配置されている。
【0018】
また、本発明の第8の態様に係る通信端末は、凹部が、筐体の角部に設けられている。
【0019】
さらに、本発明の第9の態様に係る通信端末は、アンテナ本体の先端部に筐体の輪郭形状となるカバー部材が取り付けられ、アンテナ本体の基端部に筒部を通過不可能なストッパ部が設けられ、アンテナ本体に挿通された筒部が接線方向に沿うように設けられ、回動軸を中心として筐体に対して回動可能な略板状の腕部と、腕部の厚み方向を軸線として腕部の端面に形成されたセクタギヤと、セクタギヤに係合することにより、回動軸を中心とする腕部の回動を阻止可能な保持機構と、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の態様に係る通信端末によれば、アンテナが挿通する筒部を回動可能に構成した。よって、アンテナ本体から回動軸(すなわち、比較的大径となるヒンジ部)を除去できる(切り離すことができる)。アンテナ本体から回動軸を除去することにより、アンテナ本体を筐体から突没させる際に、アンテナ本体とともに回動軸(比較的大径のヒンジ部)を筐体の内部空間(収容孔部)に沿って移動させる必要がない。
【0021】
これにより、アンテナ本体を小径化でき(すなわち、アンテナ本体を細くでき)、かつ、アンテナ本体に挿通される筒部を小径化できる。
このように、アンテナ本体および筒部を小径化し、かつアンテナ本体から回動軸を切り離すことにより、筐体の内部おけるアンテナ機構のための占有体積(収容孔部)を小さくでき、筐体の内部空間を有効利用できるという効果を有する。
【0022】
また、本発明の第2の態様に係る通信端末によれば、筒部の一端側を回動軸側に配置し、筒部の他部側を収容孔部とは反対側に配置した。
よって、回動軸から収容孔部側の一端までの長さを短くできるので、筐体の内部において回動する筒部の逃げ空間を小さく抑えることができる(すなわち、扇状の空間の半径を短く抑えることができる)。
これにより、アンテナ本体を回動させるために筐体の内部に確保する空間を小さくできるので、アンテナ本体を支えるのに十分な筒部の長さを確保しつつ筐体の内部スペースを広くできるという効果を有する。
【0023】
さらに、本発明の第3の態様に係る通信端末によれば、筐体に固定する保持手段に腕部を回動自在に保持し、腕部を介して保持手段に筒部を保持した。
これにより、筒部と保持手段とを分離させることができるので筒部の構造を簡略化できるという効果を有する。
【0024】
また、本発明の第4の態様に係る通信端末によれば、保持手段を着脱可能な固定手段で固定し、アンテナ本体を突出させて第2の状態に回動させたとき固定手段を露出するようにした。
このように、突出させたアンテナ本体を第2の状態に回動させて固定手段を露出することにより、固定手段の取り外しが容易になり保持手段やアンテナ本体のリペア性(着脱性)が向上するという効果を有する。
【0025】
さらに、本発明の第5の態様に係る通信端末によれば、保持手段の本体部で筒部を支持し、本体部に保持機構を内蔵した。
これにより、筒部および保持機構を一体にできるので構成の簡素化を図ることができるという効果を有する。
【0026】
また、本発明の第6の態様に係る通信端末によれば、筒部および本体部を筐体の幅方向に沿って平行に配置することにより筐体の厚み寸法を小さくできるという効果を有する。
【0027】
さらに、本発明の第7の態様に係る通信端末によれば、筒部および本体部を筐体の厚み方向に沿って平行に配置することにより筐体の幅寸法を小さくできるという効果を有する。
【0028】
また、本発明の第8の態様に係る通信端末によれば、凹部を筐体の角部に設けることによりアンテナ本体を回動可能な角度を大きく(広く)確保できるという効果を有する。
【0029】
さらに、本発明の第9の態様に係る通信端末によれば、セクタギヤに保持機構を係合(係止)させることにより腕部の回動を阻止して、アンテナ本体を所望の位置(角度)に確実に保持できる。
このように、アンテナ本体を所望の位置(角度)に確実に保持できることにより通信端末の使い勝手の向上を図ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る第1実施形態の通信端末を展開状態で示す斜視図
【図2】図1の通信端末を携帯状態で示す斜視図
【図3】図2のA−A線断面図
【図4】第1実施形態のアンテナ機構を示す分解斜視図
【図5】図3のアンテナ機構からアンテナ本体を突出させてスイング移動させた状態を示す断面図
【図6】第1実施形態のアンテナ本体をスイング移動する例を示す斜視図
【図7】図7(A)は本発明に係る第2実施形態の通信端末を示す斜視図、図7(B)は図7(A)のB部拡大図
【図8】図8(A)は本発明に係る第2実施形態の通信端末を示す側面図、図8(B)は図8(A)のC部拡大図
【図9】図9(A)は本発明に係る第3実施形態の通信端末を示す斜視図、図9(B)は図9(A)のD部拡大図、図9(C)は本発明に係る第3実施形態の通信端末を示す側面図
【図10】図10(A)は本発明に係る第4実施形態の通信端末に備えたアンテナが突出された状態を示す平面図、図10(B)は図10(A)の通信端末に備えたアンテナが収納された状態を示す平面図
【図11】図11(A)は本発明に係る第5実施形態の通信端末に備えたアンテナが突出された状態を示す斜視図、図11(B)は図11(A)の通信端末に備えたアンテナが収納された状態を示す斜視図
【図12】従来の通信端末を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係る通信端末について図面を参照して説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態である通信端末10は、略矩形体状に形成された第1筐体(筐体)11と、略矩形体状に形成された第2筐体12と、第1筐体11および第2筐体12を開閉自在に連結する連結部13と備えた開閉式の携帯電話である。
【0033】
この通信端末10は、連結部13を中心として相対的に回動することにより第1筐体11および第2筐体12が互いに重なり合う携帯状態(図2の状態)と、連結部13を中心として相対的に回動することにより第1筐体11および第2筐体12が互いに離れる方向に展開された展開状態(図1の状態)とを取り得る。
第1筐体11は、表面11Aに操作部14が設けられている。また、第2筐体12は、表面12Aに表示部15が設けられている。
【0034】
図2、図3に示すように、第1筐体11は、連結部13に連結された基端部11Bの右側角部(角部)11Cに突没自在にアンテナ機構20が収納されている。
この第1筐体11は、右側角部11Cに設けられてアンテナ機構20の突没を許容する凹部17と、凹部17に連通されアンテナ機構20の収納を許容する収容孔部18とを備えている。
【0035】
凹部17は、第1筐体11のうち、基端部11Bの右側角部11Cに設けられ、第1筐体11の表面11Aに沿った方向に向けてスリット状に形成されている。
収容孔部18は、凹部17から第1筐体11の内部に向かって第1筐体11の側壁11Dに沿うように設けられ、後述するアンテナ本体41を収容可能に形成されている。
【0036】
アンテナ機構20は、凹部17内に固定ビス(固定手段)23で固定された保持手段22と、保持手段22の先端部に回動軸26を介して回動自在に支持された腕部28と、腕部28に設けられたセクタギヤ29と、腕部28に設けられた筒部32と、筒部32に挿通されたアンテナ34とを有している。
【0037】
図3〜図5に示すように、保持手段22は、固定ビス23により第2筐体12に固定される固定片22Aと、固定片22Aに連結されて筒部32を支持する本体部22Bと、本体部22Bに内蔵された保持機構(クリック機構)24とを有する。
この保持手段22は、凹部17内に固定片22Aが固定ビス23で固定されることにより第1筐体11の側壁11Dに対して略平行に設けられている。
本体部22Bに保持機構24を内蔵することにより、本体部22Bおよび保持機構24を一体にできるので構成の簡素化を図ることができる。
【0038】
保持機構24は、内部空間22Cに収納された圧縮ばね36と、圧縮ばね36で内部空間22Cから突出する方向に押圧されている球体37とを備えている。
球体37を圧縮ばね36で押圧することにより、球体37が保持手段22(本体部22B)の端部22Dから突出させた位置に配置されている。
【0039】
この保持手段22(本体部22B)の先端部22Eに収納溝22F(図4参照)が形成され、収納溝22Fに腕部28の先端部28Aが収納されている。
この状態で、保持手段22の先端部22Eに腕部28の先端部28Aが回動軸26を介して回動自在に支持されている。
【0040】
腕部28は、アンテナ34が収納された状態(図3の状態)において、第1筐体11の幅方向中心に向けて張り出された略板状(帯状)の薄板部材である。
この腕部28は、筒部32の先端部32Aのうちの外側面32cに取り付けられた状態において、筒部32が腕部28の接線方向(腕部28の表面28B(図4参照))に沿うように設けられている。
さらに、腕部28は、端面28Cが円板状に形成され外周にセクタギヤ29が形成されている。
【0041】
セクタギヤ29は、腕部28の厚み方向を軸線として腕部28の端面28Cに複数の凹み29Aが等間隔で形成されている。
複数の凹み29Aに保持機構24の球体37が嵌合(係合)することにより、セクタギヤ29が回動軸26を中心にして回転しないように所定位置(角度)に保持できる。
前述したように、腕部28の基部28Dに筒部32の先端部32Aが取り付けられている。
すなわち、保持機構24は、本体部22Bに対する筒部32の回動角度を維持する機構である。
【0042】
また、筒部32および本体部22Bが筐体の幅方向に沿って平行に配置し、かつ、腕部28を略板状(帯状)に薄く形成することにより第1筐体11の厚み寸法を小さくできる。
【0043】
筒部32は、腕部28の基部28Dが先端部32Aに設けられた状態で凹部17内に収容され、アンテナ34のアンテナ本体41に挿通(嵌合)される筒状の部位である。
この筒部32は、腕部28を介して回動軸26に回動自在に支持されることにより保持手段22の先端部22Cに連結されている。
【0044】
ここで、第1筐体11に固定する保持手段22に腕部28が回動軸26を介して回動自在に保持され、腕部28を介して保持手段22に筒部32が保持されている。
これにより、筒部32と保持手段33とを分離させることができるので筒部32の構造を簡略化できる。
【0045】
回動軸26は、第1筐体11の表面11A(図2参照)に対して直交する方向に向いて配置され、かつ、筒部32の径方向と平行な線に沿うように(腕部28の表面28Bに直交するように)保持手段22に設けられている。
この筒部32にアンテナ本体41が挿通可能に設けられている。
【0046】
ここで、凹部17が第2筐体12の右側角部11Cに設けられ、表面11Aに沿った方向に向けてスリット状に形成されている。加えて、筒部32が回動軸26を介して保持手段22の先端部22Eに回動可能に支持されている。
よって、筒部32(すなわち、アンテナ本体41)を、第1筐体11に干渉させることなく回動軸26を中心として表面11Aに沿った方向に略90°の広範囲角度でスイング移動(揺動)できる(図5参照)。
【0047】
アンテナ34は、筒部32に挿通可能に設けられたアンテナ本体41と、アンテナ本体41の先端部41Aに取り付けられたカバー部材46と、アンテナ本体41の基端部41Bに設けられたストッパ部48とを有している。
【0048】
アンテナ本体41は、筒部32に挿通可能に設けられ、凹部17から第2筐体12の内外に突没可能な棒状の部材である。
アンテナ本体41を伸縮可能な多段構造(テレスコピット構造)とすることなく棒状の部材とすることにより、アンテナ本体41の外径D1を小径化できる(すなわち、アンテナ本体41を細くできる)。
【0049】
さらに、小径化されたアンテナ本体41を筒部32に挿通することにより、筒部32の外径D2を小径化できる(すなわち、筒部32を細くできる)。
このアンテナ本体41を筒部32に対してスライド移動させることにより、収容孔部18に収容された状態(図3の状態)と、凹部17から第1筐体11の外部に突出された状態(図5の状態)に配置できる。
【0050】
カバー部材46は、アンテナ本体41の先端部41Aに取り付けられている。
このカバー部材46は、第1筐体11の基端部11Bのうち右側角部11Cの輪郭形状となるように略L字状に形成された部材である。
アンテナ本体41が収容孔部18に収容された状態において、カバー部材46が凹部17の開口部17Aを塞いで、右側角部11Cの輪郭を形成する。
【0051】
ストッパ部48は、アンテナ本体41の基端部41Bに設けられて筒部32を通過不可能な部材である。
アンテナ本体41が凹部17から第1筐体11の外部に突出された状態において、ストッパ部48が筒部32の端部32Bに当接してアンテナ本体41が筒部32を通過する(筒部32から抜け出す)ことを防止する。
よって、ストッパ部48を筒部32の端部32Bに当接するようにアンテナ本体41から張り出させるだけでよい。
これにより、ストッパ部48の外径D3を比較的小さく抑えることができる。
【0052】
以上説明したように、アンテナ機構20によれば、アンテナ本体41を伸縮可能な多段構造(テレスコピット構造)とすることなく単なる棒状の部材とした。
よって、アンテナ本体41の外径D1を小径化できる(すなわち、アンテナ本体41を細くできる)、かつ、アンテナ本体41に挿通される筒部32の外径D2を小径化できる。
加えて、ストッパ部48の外径D3を比較的小さく抑えることができる。
【0053】
さらに、回動軸26を中心として筒部32を回動可能に構成することにより、アンテナ本体41から回動軸26(すなわち、比較的大径となるヒンジ部)を除去できる(切り離すことができる)。
よって、アンテナ本体41を第1筐体11から突没させる際に、アンテナ本体41とともに回動軸26(比較的大径のヒンジ部)を第1筐体11の収容孔部18に沿って移動させる必要がない。
【0054】
このように、アンテナ機構20によれば、アンテナ本体41および筒部32を小径化し、かつアンテナ本体41から回動軸26を切り離した。
これにより、第1筐体11の内部おけるアンテナ機構20のための占有体積(すなわち、収容孔部18)を小さくでき、第1筐体11の内部空間を有効利用できる。
例えば、収容孔部18を第1筐体11の壁内に設けることにより、アンテナ機構20がない場合とほぼ同一の体積の内部空間を確保できる。
なお、この場合、第1筐体11の壁には収容孔部18として用いる孔が空けられることになる。
【0055】
ここで、従来のようにヒンジをスライド移動させる場合には、収容孔部の径が大きくなるため、第1筐体の壁を厚くしなくては、強度が十分に確保できなかった。
しかし、本実施形態では、収容孔部18は、アンテナとして用いる一本の棒の径を少し上回る程度の径を持てば十分であるため、第1筐体11の壁の厚みは従来のままでも、十分な強度を確保することができる。
【0056】
次に、アンテナ34を使用する例を図5、図6に基づいて説明する。
カバー部材46を指でつまんで第1筐体11から離れる方向(矢印A方向)に引き出す。アンテナ本体41が筒部32内を矢印A方向にスライド移動して凹部17から第1筐体11の外部に突出される。
アンテナ本体41を突出させた状態において、アンテナ本体41を回動軸26を中心にして矢印B方向に押圧する。
【0057】
アンテナ本体41を矢印B方向に押圧することにより、セクタギヤ29の凹み29Aに嵌合されている球体37が圧縮ばね36のばね力に抗して凹み29Aから抜け出す。
これにより、アンテナ本体41が回動軸26を中心にして矢印B方向にスイング移動(揺動)する。
【0058】
アンテナ本体41を所定位置(角度)までスイング移動(揺動)させた状態で、アンテナ本体41のスイング移動(揺動)を停止する。
球体37が圧縮ばね36のばね力でセクタギヤ29の凹みに嵌合され、本体部22Bに対する筒部32の回動角度が維持され、アンテナ本体41が所定位置(角度)に保持される。
【0059】
このように、セクタギヤ29に保持機構24を係合(係止)させることにより腕部28の回動を阻止して、アンテナ本体41を所望の位置(角度)に確実に保持できる。
さらに、セクタギヤ29に保持機構24を係合(係止)させることにより、アンテナ本体41の向きを調整する際に抵抗感(いわゆる、クリック感)を得ることができ、アンテナ本体41の保持位置(角度)を容易に確認できる。
このように、アンテナ本体41を所望の位置(角度)に確実に保持でき、さらに、アンテナ本体41の保持位置(角度)を容易に確認できることにより通信端末10の使い勝手の向上を図ることができる。
【0060】
ここで、アンテナ本体41が収容孔部18に収容された第1の状態では、固定ビス23がアンテナ本体41によって覆われる。
一方、アンテナ本体41が収容孔部18から引き出されて第1筐体11から突出し、かつ、筒部32に追従して回動された第2の状態では露出する位置に固定ビス23が設けられている。
このように、突出させたアンテナ本体41を第2の状態に回動させて固定ビス23を露出することにより、固定ビス23の取り外しが容易になり保持手段22やアンテナ本体41のリペア性(着脱性)が向上する。
【0061】
次に、第2実施形態〜第5実施形態の携帯端末を図7〜図11に基づいて説明する。なお、第2実施形態〜第5実施形態において第1実施形態の携帯端末10と同一・類似の構成部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
(第2実施形態)
図7〜図8に示す第2実施形態の携帯端末60は、筒部61および保持手段62の本体部62Aが第1筐体11の厚み方向(矢印方向)に沿って配置されたもので、その他の構成は第1実施形態の携帯端末10と同じである。
【0063】
具体的には、携帯端末60は、本体部62Aの収納溝62Bに腕部63の基端部63Aが回動軸26を介して回動自在に支持され、腕部63の先端部63Bに筒部61が一体に連結されている。
ここで、回動軸26が固定ビス23に対して平行(並列)に配置され、この回動軸26に腕部63の基端部63Aが回動自在に支持されている。よって、アンテナ本体41が収容孔部18に収容された第1の状態において、基端部63Aが本体部62Aに対して同軸上に配置されている(図8(A),(B)参照)。
【0064】
また、腕部63は基端部63Aおよび先端部63Bで略L字状に形成されている。
そして、この先端部63Bに筒部61が基端部63A(すなわち、本体部62A)に対して平行になるように一体に連結され、この筒部61にアンテナ本体41が同軸上に挿通されている。
これにより、筒部61および保持手段62の本体部62Aが第1筐体11の厚み方向に沿って平行に配置されている。このように、筒部61および本体部62Aを第1筐体11の厚み方向(矢印方向)に沿って平行に配置することにより第1筐体11の幅寸法を小さくできる。
【0065】
さらに、アンテナ本体41が収容孔部18から引き出されて第1筐体11から突出し、かつ、第2の状態に回動されたとき(図7(A),(B)参照)、筒部61がほとんど露出しないので見栄えが良い。
ところで、第2実施形態の携帯端末60は、筒部61が本体部62Aから収容孔部18に向けて距離Lだけ突出されている。
よって、筒部61を第1の状態および第2の状態間で円滑に移動するために収容孔部18に筒部61との干渉を防ぐ凹み66(すなわち、扇状の逃げ空間)が形成されている。
【0066】
(第3実施形態)
図9に示す第3実施形態の携帯端末70は、筒部71を収容孔部18とは反対側に配置した(延ばした)もので、その他の構成は第2実施形態の携帯端末10と同じである。
すなわち、筒部71は、長手方向の一端71A側が第1筐体11に対する回動軸26側に配置され、長手方向の他端71B側が回動軸26よりも収容孔部18とは反対側に配置されている。
【0067】
よって、回動軸26から収容孔部18側の一端71Aまでの長さを短くできるので、第1筐体11の内部において回動する筒部71の逃げ空間(すなわち、第2実施形態の携帯端末60では必要とした凹み66(図8(A)参照))を小さく抑えることができる。
これにより、アンテナ本体41を回動させるために第1筐体11の内部に確保する空間を小さくできるので、アンテナ本体41を支えるのに十分な筒部71の長さを確保しつつ筐体の内部スペースを広くできる。
【0068】
(第4実施形態)
図10に示す第4実施形態の携帯端末80は、保持手段22の固定片22Aを第1筐体11の幅方向に沿って配置したもので、その他の構成は第1実施形態の携帯端末10と同じである。
固定片22Aを第1筐体11の幅方向に沿って配置することで、固定片22Aを収容する空間を第1筐体11の厚さ方向に対して小さく抑えることができる。
【0069】
第4実施形態の携帯端末80によれば、第1実施形態の携帯端末10と同様に、アンテナ本体41が収容孔部18に収容された第1の状態において筒部32および本体部22Bが第1筐体11の幅方向に沿って平行に配置される。
このように、筒部32および本体部22Bを第1筐体11の幅方向に沿って平行に配置することにより第1筐体11の厚み寸法を小さくできる。
【0070】
さらに、筒部32は、長手方向の一端32A側が第1筐体11に対する回動軸26側に配置され、長手方向の他端32B側が回動軸26よりも収容孔部18とは反対側に配置されている。
よって、回動軸26から収容孔部18側の一端32Aまでの長さを短くできるので、第1筐体11の内部において回動する筒部32の逃げ空間(すなわち、第2実施形態の携帯端末60では必要とした凹み66(図8(A)参照))を小さく抑えることができる。
これにより、アンテナ本体41を回動させるために第1筐体11の内部に確保する空間を小さくできるので、アンテナ本体41を支えるのに十分な筒部32の長さを確保しつつ筐体の内部スペースを広くできる。
【0071】
(第5実施形態)
図11に示す第5実施形態の携帯端末90は、固定片22Aを第1筐体11の幅方向に沿って配置し、かつ本体部22Bで筒部32を一体に支持したもので、その他の構成は第4実施形態の携帯端末80と略同じである。
この携帯端末90は、固定片22Aにセクタギヤ29が形成されている。
【0072】
携帯端末90によれば、固定片22Aを第1筐体11の幅方向に沿って配置することで、固定片22Aを収容する空間を第1筐体11の厚さ方向に対して小さく抑えることができる。
【0073】
さらに、本体部22Bで筒部32が一体に支持され、かつ、アンテナ本体41が収容孔部18に収容された第1の状態において筒部32および本体部22Bが第1筐体11の幅方向に沿って平行に配置される。
このように、筒部32および本体部22Bを第1筐体11の幅方向に沿って平行に配置することにより第1筐体11の厚み寸法を小さくできる。
【0074】
加えて、本発明の第5の態様に係る通信端末によれば、本体部22Bで筒部32を一体に支持した、本体部22Bに保持機構24を内蔵した。
これにより、筒部32および保持機構24を一体にできるので構成の簡素化・コンパクト化を図ることができるという効果を有する。
さらに、筒部32および保持機構24を一体にして構成の簡素化・コンパクト化を図ることにより、第1筐体11側の省スペース化を図ることができる。
【0075】
なお、本発明に係る通信端末10,60,70,80,90は、前述した第1実施形態〜第5実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、第1実施形態〜第5実施形態では、通信端末10,60,70,80,90として開閉式の携帯電話を例示したが、その他の通信端末に本発明を適用することも可能である。
【0076】
また、第1実施形態〜第5実施形態では、セクタギヤ29に保持機構24を係合(係止)させることにより腕部28の回動を阻止して、アンテナ本体41を所望の位置(角度)に確実に保持する構成について説明したが、アンテナ本体41を保持する構成はこれに限定するものではなく他の構成を用いることも可能である。
【0077】
さらに、第1実施形態〜第5実施形態では、アンテナ本体41を多段構造とはせず、棒状のものにしたが、これに限られるものではない。アンテナ本体41を多段構造としてもよい。この場合、アンテナ本体41が棒状である場合よりも筒部32,61,71および収容孔部18を大径化する必要はあるものの、ヒンジ部までスライド移動させなくてはならない従来の構成と比べれば、これらの径を十分に小さくすることができる。
【0078】
また、第1実施形態〜第5実施形態では、筒部32,61,71は、保持手段22の先端部に設けられた回転軸26を中心として回動する構成としたが、これに限られるものではない。筒部32,61,71の腕部28,63および保持手段22の構成を実施形態のものと異なるものにすることにより、実施形態と異なる方向へ筒部32,61,71を回動可能にしてもよい。
例えば、腕部28,63の先端を球状にし、保持手段32,61,71がそれを回動可能に保持する構成にすれば、筒部32,61,71の回転方向により自由度を持たせることができる。
【0079】
さらに、第1実施形態〜第5実施形態では、凹部17およびアンテナ構造20は第1筐体11の右側角部11Cに配置したがこれに限られるものではなく、他の部分に配置しても良い。なお、角部に配置する方が、他の箇所に配置するより広い範囲でアンテナを回動させることができる。
【0080】
また、実施形態で使用した通信端末、第1筐体、右側角部、凹部、収容孔部、保持手段、固定片、本体部、保持機構、回動軸、腕部、セクタギヤ、筒部、アンテナ本体、カバー部材およびストッパ部等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
10,60,70,80,90 通信端末
11 第1筐体(筐体)
11C 右側角部(角部)
17 凹部
18 収容孔部
22 保持手段
22A 固定片
22B 本体部
24 保持機構
26 回動軸
28,63 腕部
29 セクタギヤ
32,61,71 筒部
32A,71A 筒部の一端
32B,71B 筒部の他端
32C 筒部の外側面
41 アンテナ本体
41A アンテナ本体の先端部
41B アンテナ本体の基端部
46 カバー部材
48 ストッパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられた凹部と、
前記凹部から前記筐体の外部に突没可能なアンテナ本体と、
前記凹部から前記筐体の内部に向かって設けられ、前記アンテナ本体を収容する収容孔部と、
前記凹部に配置され、前記アンテナ本体に挿通され、前記筐体に対して回動可能な筒部と、
を備える通信端末。
【請求項2】
請求項1に記載の通信端末であって、
前記筒部は、長手方向の一端側が前記筐体に対する回動軸側に配置され、長手方向の他端側が前記回動軸よりも前記収容孔部とは反対側に配置されている通信端末。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通信端末であって、
前記筐体に固定され、前記腕部を回動自在に保持する保持手段を備え、
前記筒部が、当該筒部の外側面に設けられた腕部を介して保持手段に保持される通信端末。
【請求項4】
請求項3に記載の通信端末であって、
前記保持手段は、着脱可能な固定手段によって前記筐体に固定されており、
前記アンテナ本体が前記収容孔部に収容された第1の状態では、前記固定手段が前記アンテナ本体によって覆われ、前記アンテナ本体が前記収容孔部から引き出されて前記筐体から突出し、かつ、前記筒部に追従して回動された第2の状態では露出する位置に前記固定手段が設けられた通信端末。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の通信端末であって、
前記保持手段が、前記固定手段により前記筐体に固定される固定片と、
前記固定片に連結されて前記筒部を支持する本体部と、
前記本体部に内蔵され、前記本体部に対する前記筒部の回動角度を維持する保持機構と、
を有する通信端末。
【請求項6】
請求項5に記載の通信端末であって、
前記筒部および前記本体部が、前記筐体の幅方向に沿って平行に配置されている通信端末。
【請求項7】
請求項5に記載の通信端末であって、
前記筒部および前記本体部が、前記筐体の厚み方向に沿って平行に配置されている通信端末。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の通信端末であって、
前記凹部が、前記筐体の角部に設けられている通信端末。
【請求項9】
請求項1に記載の通信端末であって、
前記アンテナ本体の先端部に前記筐体の輪郭形状となるカバー部材が取り付けられ、
前記アンテナ本体の基端部に前記筒部を通過不可能なストッパ部が設けられ、
前記アンテナ本体に挿通された前記筒部が接線方向に沿うように設けられ、前記回動軸を中心として前記筐体に対して回動可能な略板状の腕部と、
前記腕部の厚み方向を軸線として前記腕部の端面に形成されたセクタギヤと、
前記セクタギヤに係合することにより、前記回動軸を中心とする前記腕部の回動を阻止可能な保持機構と、
を有する通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−249913(P2011−249913A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118343(P2010−118343)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】