説明

通信装置、通信方法及び通信システム

【課題】コンテンツダウンロード、および課金処理をすべて無線通信で実現する。
【解決手段】本発明に係る通信装置は、セキュアな近接通信であるセキュア通信を行うセキュア通信チップ120と、セキュア通信より高速な近接通信である高速通信を行う高速通信スレーブコントローラと、電力伝送を行う電力受信制御部130と、を備え、セキュア通信による通信と電力伝送部による電力伝送とを時系列的に重複しないタイミングで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IC(Integrated Circuit)カード等を用いて、近距離で非接触により無線通信を行う近接通信が、例えば、電子定期券や、電子マネー等で利用されており、また、近接通信を利用した電子定期券や、電子マネーの機能を有する携帯電話機が広く普及してきている。近接通信は、例えば、ISO/IEC 14443や、ISO/IEC 18092(以下、NFC(Near Field Communication)ともいう)として規格化されている。
【0003】
NFCの規格に準拠した通信を行う通信方式としては、例えば、タイプA、タイプB、タイプCと呼ばれている通信方式がある。例えば、本件出願人であるソニー株式会社のFeliCa(登録商標)と呼ばれるICカードシステムでは、タイプCが採用されている。
【0004】
ところで、例えば、上述のタイプCでは、13.56MHzのキャリアが採用され、212kbps(kilo bit per second)や、424kbpsの通信速度で、近接通信が行われる。また、タイプA及びBでは、タイプCよりも低速である106kbpsの通信速度で、近接通信が行われる。以上のように、NFCの通信速度は、数百kbps程度で、それほど高速ではないため、例えば、画像のコンテンツ等の大容量のデータの伝送に適切であるとは、いえない。
【0005】
一方、NFCでは、ICカードをRW(Reader/Writer)かざすだけで、通信相手を特定し、相互認証を行うことができる。そこで、最初に、NFCで通信を開始し、その後、通信速度がNFCよりも高速な、例えば、無線LANや、Bluetooth(登録商標)等の通信に、通信方式を切り替えるハンドオーバが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
ところで、最近では、NFCよりも高速な通信速度での近接通信が普及しつつある。そのような高速な近接通信の通信方式としては、例えば、TransferJet(登録商標)がある。TransferJet(登録商標)では、4.48GHzのキャリアが採用され、最高で、560Mbpsの通信速度で、近接通信が行われる。
【0007】
以上のようなTransferJet(登録商標)を、ICカードシステムに適用することで、ICカードと、そのICカードに対するデータの読み書きを行うRWとの間では、画像のコンテンツ等の大容量のデータの伝送を、迅速に行うことができる。
【0008】
TransferJet(登録商標)等の高速な近接通信の通信方式を、ICカードシステムに適用した場合には、ハンドオーバを採用しなくても、ICカードを、RWにかざすだけで、RW、及び、ICカードは、通信相手を特定し、画像のコンテンツ等の大容量のデータの伝送を、迅速に行うことができる。
【0009】
一方、近時においては、特許文献2に記載されているように、MMCと有線セキュアチップによるコンテンツ課金方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−218845号公報
【特許文献2】特開2003−91704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のコンテンツダウンロードは、パーソナルコンピュータや携帯電話、および携帯型CE機器などで実現されている。このため、これらの機器は全てバッテリが搭載されているか、またはACアダプタによる常時通電が前提となっている。また、特許文献2のように、MMCのようなフラッシュに対してセキュア機能を付加し課金に対応させる事例もあるが、これはすべて有線端子での処理を前提としている。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、コンテンツダウンロード、および課金処理をすべて無線通信で実現することにより、簡素な操作で有料コンテンツを購入することが可能な、新規かつ改良された通信装置、通信方法及び通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、セキュアな近接通信であるセキュア通信を行うセキュア通信部と、前記セキュア通信より高速な近接通信である高速通信を行う高速通信部と、を備え、前記セキュア通信による決済処理と前記高速通信によるコンテンツ転送処理とを時系列的に重複しないタイミングで行う、通信装置が提供される。
【0014】
また、前記高速通信によってダウンロードしたコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、前記コンテンツのダウンロード時に、前記セキュア通信により、前記コンテンツのダウンロードに関する決済情報を前記セキュアメモリに書き込む情報書込部と、を備えるものであってもよい。
【0015】
また、前記コンテンツのダウンロード時に、前記高速通信によるダウンロードと、前記セキュアメモリへのダウンロード済みデータ量の書き込みとを交互に行うものであってもよい。
【0016】
また、複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、前記高速通信により前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記セキュア通信により、前記複数のコンテンツの少なくとも1つに関する決済情報を前記セキュアメモリに書き込む情報書込部と、を備え、前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済情報が書き込まれたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送するものであってもよい。
【0017】
また、複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送した際に、前記セキュア通信により、前記転送したコンテンツに関する転送済み情報を前記セキュアメモリに書き込む情報書込部と、前記転送済み情報に基づいて前記転送したコンテンツの決済を行う決済処理部と、を備えるものであってもよい。
【0018】
また、複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記セキュア通信により、前記複数のコンテンツのうち決済が許可された前記コンテンツに対して決済を行う決済処理部と、とを備え、前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済が行われたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送するものであってもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、高速通信によってダウンロードしたコンテンツを記憶するステップと、前記コンテンツのダウンロード時に、前記高速通信よりも低速なセキュアな近接通信であるセキュア通信により、前記コンテンツのダウンロードに関する決済情報をセキュアメモリに書き込むステップと、を備える、通信方法が提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数のコンテンツをコンテンツ記憶部に記憶するステップと、前記コンテンツに関する情報をセキュアメモリに保持するステップと、高速通信により前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記高速通信よりも低速なセキュアな近接通信であるセキュア通信により、前記複数のコンテンツの少なくとも1つに関する決済情報をセキュアメモリに書き込むステップと、前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済情報が書き込まれたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送するステップと、を備える通信方法が提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数のコンテンツをコンテンツ記憶部に記憶するステップと、前記コンテンツに関する情報をセキュアメモリに保持するステップと、高速通信により前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送した際に、前記高速通信よりも低速なセキュアな近接通信であるセキュア通信により、前記転送したコンテンツに関する転送済み情報を前記セキュアメモリに書き込むステップと、前記転送済み情報に基づいて前記転送したコンテンツの決済を行うステップと、を備える、通信方法が提供される。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数のコンテンツをコンテンツ記憶部に記憶するステップと、前記コンテンツに関する情報をセキュアメモリに保持するステップと、高速通信により前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記高速通信よりも低速なセキュアな近接通信であるセキュア通信により、前記複数のコンテンツのうち決済が許可された前記コンテンツに対して決済を行うステップと、前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済が行われたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送するステップと、を備える通信方法が提供される。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、セキュアな近接通信であるセキュア通信を行うセキュア通信部と、前記セキュア通信より高速な近接通信である高速通信を行う高速通信部と、電力伝送を行う電力伝送部と、を有し、前記セキュア通信による通信と前記電力伝送部による電力伝送とを時系列的に重複しないタイミングで行う、通信装置と、前記通信装置との間で前記セキュア通信、前記高速通信及び前記電力伝送を行うリーダライタ装置と、を備える、通信システムが提供される。
【0024】
また、前記通信装置は、複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、前記高速通信により前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記セキュア通信により、前記複数のコンテンツの少なくとも1つに関する決済情報を前記セキュアメモリに書き込む情報書込部と、を備え、前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済情報が書き込まれたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送するものであってもよい。
【0025】
また、前記通信装置は、複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送した際に、前記セキュア通信により、前記転送したコンテンツに関する転送済み情報を前記セキュアメモリに書き込む情報書込部と、前記転送済み情報に基づいて前記転送したコンテンツの決済を行う決済処理部と、を備えるものであってもよい。
【0026】
また、前記通信装置は、複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記セキュア通信により、前記複数のコンテンツのうち決済が許可された前記コンテンツに対して決済を行う決済処理部と、とを備え、前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済が行われたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送するものであってもよい。
【0027】
また、前記通信装置は、複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記セキュア通信により、前記複数のコンテンツのうち決済が許可された前記コンテンツに対して決済を行う決済処理部と、とを備え、前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済が行われたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送するものであってもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、コンテンツダウンロード、および課金処理をすべて無線通信で実現することにより、簡素な操作で有料コンテンツを購入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態に係る課金対応カード型非接触通信メディアのハードウェア構成図を示す模式図である。
【図2】課金対応読み書き装置(リーダライタ:以下、RWという)のハードウェア構成を示す模式図である。
【図3】課金対応カード型非接触メディアに蓄積されるマネー情報の構造を示す模式図である。
【図4】課金対応カード型非接触メディアに蓄積されるコンテンツ情報の構造を示す模式図である。
【図5】課金対応カード型非接触メディアへのマネーチャージ処理シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図6】「ダウンロード単純課金」の方法の実行時におけるコンテンツ書き込み、および決済処理シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図7】「ダウンロード単純課金」の方法実行時のコンテンツ読み出しシーケンスを示すタイミングチャートである。
【図8】「複数コンテンツプリペイド」方法実行時の事前コンテンツ書き込み処理シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図9】「複数コンテンツプリペイド」方法実行時の課金処理、およびコンテンツ読み出しシーケンスを示すタイミングチャートである。
【図10】「複数コンテンツポストペイド」の方法実行時のコンテンツ読み出しシーケンスを示すタイミングチャートである。
【図11】「複数コンテンツポストペイド」の方法実行時の事後課金処理シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図12】「対象コンテンツ限定課金」の方法実行時のコンテンツ書き込み、および課金処理シーケンスを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本実施形態の概要
2.本実施形態に係るシステムの具体的構成例
3.リーダライタの構成例
4.非接触通信メディアとRWとが近接したときの処理
6.高速無線通信における暗号化処理
7.マネー情報の構造
8.コンテンツ情報の構造
9.各処理の具体的手順
【0032】
1.本実施形態の概要
本実施形態では、電子マネーカード等に利用されるカード型の非接触メディア(以下、メディアカードと称する場合がある)を利用したシステムにおいて、課金などに関する4種類の利用方法を提供する。具体的には、「ダウンロード単純課金」、「複数コンテンツプリペイド」、「複数コンテンツポストペイド」、「対象コンテンツ限定課金」の4つの方法を提供する。以下、これらの概要について説明する。
【0033】
「ダウンロード単純課金」は、キオスク端末などで、購入対象のコンテンツを検索後、所望のコンテンツをダウンロードし、メディアカードへの書き込み(ダウンロード)が完了すると、同じメディアカードを使って決済を行う方法に関するものである。
【0034】
「複数コンテンツプリペイド」は、あらかじめ複数のコンテンツが書き込まれたメディアカードが存在し、ユーザが見たいコンテンツのみに対して、事前に決済処理を行うことで、当該コンテンツの閲覧を可能とする方法である。ユーザは、プリペイド方式で所望のコンテンツが書き込まれたメディアカードを購入することができる。
【0035】
「複数コンテンツポストペイド」は、予め複数のコンテンツが書き込まれたメディアカードが存在し、ユーザが閲覧を行ったコンテンツのみに対して、後から(事後に)課金を行う方法である。例えば、レンタルショップ等において、複数のコンテンツをメディアカードに書き込み、家で実際に閲覧を行ったコンテンツにのみ、返却時に同じメディアカードを使って決済処理を行うケースが該当する。
【0036】
「対象コンテンツ限定課金」では、例えばメディアカードに対して、映画、音楽、ゲームの3種類のコンテンツを購入可能に構成する。そして、事前にメディアカードにマネーをチャージする際に、どのコンテンツに対して有効かを示す属性を与えることで、対象外のコンテンツの購入をできなくする方法である。これは、例えば特定コンテンツに対するクーポン的なマネーチャージや、子供の持つメディアカードに対して親が購入可能なコンテンツに制限をかける場合に有効である。
【0037】
2.非接触通信メディアの構成例
図1は、本実施形態に係る課金対応カード型非接触通信メディア100のハードウェア構成図を示す模式図である。非接触通信メディア100は、カード制御用CPU110、大容量データ保存用の不揮発メモリ111、高速無線通信用スレーブコントローラ112を有して構成される。ここで、課金対応カード型非接触通信メディア100は、電子マネーカードのようなメディア、または携帯電話などの機器に相当するものである。
【0038】
非接触通信メディア100は、無線により、後述するRW200との間で、セキュアな近接通信より高速な近接通信である高速通信を行うための、無線電力伝送によって送信されてくる電力を受信するスレーブ通信装置として機能する。
【0039】
すなわち、非接触通信メディア100は、メディア制御用CPU(Central Processing
Unit)110、不揮発メモリ111、高速通信スレーブコントローラ112、高速通信アンテナ113、セキュア通信チップ120、セキュア通信アンテナ121、電力受信制御部130、電力受信アンテナ131、及び、給電制御部135を有する。
【0040】
メディア制御用CPU110は、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112とバスを介して接続されており、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112を制御する。
【0041】
不揮発メモリ111は、大容量(例えば、6Gバイトや8Gバイト等)の、例えば、NAND型のフラッシュメモリであり、カード制御用CPU110の制御に従って、カード制御用CPU110から供給されるコンテンツ等のデータを記憶し、また、記憶しているデータを読み出して、カード制御用CPU110に供給する。
【0042】
ここで、不揮発メモリ111に対して読み書きがされるデータは、カード制御用CPU110を介して、高速通信スレーブコントローラ112による高速通信により、やりとりされる。
【0043】
高速通信スレーブコントローラ112は、高速通信アンテナ113と接続されており、この高速通信アンテナ113を介して、無線により、RW200との間で、後述するセキュア通信チップ120が行うセキュア通信より高速な近接通信である高速通信を行うスレーブ側高速通信手段として機能する。
【0044】
ここで、高速通信の通信方式としては、例えば、高速な近接通信を行うことが可能なTransferJet(登録商標)を採用することができる。
【0045】
その他、高速通信の通信方式としては、例えば、無線LANや、ワイヤレスUSB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)等の高速無線通信規格に準拠した通信方式を採用することができる。
【0046】
なお、高速通信は、セキュアな通信である必要はない。したがって、高速通信の通信方式として、暗号化の技術が組み込まれた通信方式を採用する場合には、暗号化の技術は、利用しなくても良い。
【0047】
また、本実施の形態では、高速通信の通信方式として、例えば、TransferJet(登録商標)を採用することとし、したがって、高速通信スレーブコントローラ112による高速通信では、4.48GHzのキャリアで、最高で、560Mbpsの通信速度の近接通信が行われることとする。
【0048】
セキュア通信チップ120は、セキュア通信アンテナ121と接続されており、このセキュア通信アンテナ121を介して、無線により、RW200との間で、セキュアな近接通信であるセキュア通信を行う、耐タンパ性を有するスレーブ側セキュア通信手段として機能する。
【0049】
ここで、セキュア通信チップ120が行うセキュア通信の通信方式としては、例えば、セキュアな近接通信が可能なFeliCa(登録商標)を採用することができる。その他、セキュア通信の通信方式としては、セキュアな近接通信が可能な、NFC等の無線通信規格に準拠した通信方式(例えば、タイプAやB等)を採用することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、セキュア通信の通信方式として、FeliCa(登録商標)を採用
することとし、したがって、セキュア通信では、13.56MHzのキャリアで、212kbpsの通信
速度の近接通信が行われることとする。
【0051】
セキュア通信チップ120は、通信相手と相互認証を行い、相互認証の成功後に、通信路を暗号化することで、すなわち、やりとりするデータを、相互認証によって得られる暗号鍵を用いて暗号化することで、セキュア通信を行う。
【0052】
また、セキュア通信チップ120は、給電制御部135を制御するための端子を有し、その端子は、信号線を介して、給電制御部135に接続されている。
【0053】
セキュア通信チップ120は、給電制御部135に対して、後述するスイッチ制御情報を供給することで、給電制御部135を制御する。
【0054】
なお、セキュア通信チップ120は、セキュア通信アンテナ121で受信される、RW200からのセキュア通信用のRF(Radio Frequency)信号から得られる電力を電源として動作し、セキュア通信を行う。
【0055】
電力受信制御部130は、電力受信アンテナ131、及び、給電制御部135と接続されている。
【0056】
電力受信制御部130は、電力受信アンテナ131を介して、RW200からの無線電力伝送によって送信されてくる、高速通信を行うための電力を受信し、給電制御部135に供給するとともに、給電制御部135を介して、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112に供給する。
【0057】
ここで、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112は、以上のように、電力受信制御部130から給電制御部135を介して供給される電力を電源として動作し、高速通信を行う。
【0058】
給電制御部135についても、電力受信制御部130から供給される電力を電源として動作する。
【0059】
なお、電力受信制御部130とRW200との間で行われる無線電力伝送の伝送方式としては、例えば、電磁誘導型を採用することができる。また、無線電力伝送の伝送方式としては、その他、例えば、磁気共鳴型等の無線電力伝送方式を採用することができる。
【0060】
電磁誘導型による無線電力伝送は、磁気共鳴型による無線電力伝送に比較して、電力の伝送効率はよいが、アンテナの位置ずれ(電力を送信するためのアンテナと、電力を受信するためのアンテナとの位置のずれ)に弱い。逆に、磁気共鳴型による無線電力伝送は、電磁誘導型による無線電力伝送に比較して、アンテナの位置ずれに強いが、電力の伝送効率が劣る。
【0061】
給電制御部135は、RW200との間で、非接触通信メディア100が高速通信を行うための電力の給電を行う。
【0062】
すなわち、給電制御部135は、電力受信制御部130からの電力を、高速通信を行うためのブロックであるメディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112に供給する給電を行う。
【0063】
具体的には、給電制御部135は、給電を行うためのスイッチを内蔵し、セキュア通信チップ120から供給されるスイッチ制御情報に従って、スイッチを、オン又はオフ状態にすることで、電力受信制御部130からの電力を、高速通信を行うためのブロックであるメディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112に供給し、又は、その電力の供給を遮断する。
【0064】
以上のように構成される非接触通信メディア100では、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、高速通信スレーブコントローラ112、電力受信制御部130、及び、給電制御部135は、RW200による無線電力伝送によって送信(伝送)される電力によって動作し、セキュア通信チップ120は、RW200からのセキュア通信用のRF信号から得られる電力によって動作する。
【0065】
このため、非接触通信メディア100は、電源(バッテリ)を有しておらず、電子定期券や電子マネー等としてのICカード(やICチップ)と同程度のサイズのカード型に(小型に)構成することができる。
【0066】
図1において、不揮発メモリ111には、保護コンテンツが保存される。高速無線通信用スレーブコントローラ112は、高速無線通信用アンテナも含むものとする。制御用CPU110と不揮発メモリ111、
および高速無線通信用スレーブコントローラ112はバスにて接続されている。
【0067】
また、課金対応カード型非接触メディア100は、フェリカセキュア(FeliCa Secure)カードチップ120を有し、カードチップ120は、フェリカカードアンテナ121を含む。また、本実施形態において、カードチップ120は、耐タンパ機能を有するチップである。課金対応カード型非接触メディア100が保有するマネー情報は、カードチップ120が有するフラッシュメモリ(セキュアメモリ:不図示)に保存される。このため、カードチップ120は、フラッシュメモリに情報を書き込む情報書込部、マネー情報による決済処理を行う決済処理部として機能する。
【0068】
図1に示すように、課金対応カード型非接触メディア100は、電力受信制御部130を有する。電力受信制御部130は、電力受信アンテナを含む。電力受信制御部130
は、外部から電力を受信し、カード制御用CPU110、データ保存用の不揮発メモリ111、高速無線通信用スレーブコントローラ112に対して電力供給を行う。
【0069】
なお、カードチップ120は、フェリカカードアンテナ121にて受信したRFにより起電し、電力受信制御部130から独立して起動可能である。
【0070】
3.リーダライタの構成例
図2は、課金対応読み書き装置(リーダライタ:以下、RWという)200のハードウェア構成を示す模式図である。RW200は、非接触通信メディア100が高速通信を行うための電力を、無線電力伝送によって送信するマスタ通信装置として機能する。
【0071】
すなわち、RW200は、RW制御用CPU210、高速通信マスタコントローラ220、高速通信アンテナ221、セキュア通信コントローラ230、セキュア通信アンテナ231、電力送信制御部240、電力送信アンテナ241、及び、セキュア処理コントローラ250を有する。
【0072】
RW制御用CPU210は、例えば、USB等の所定のバスを介して、上位機器290と接続される。
【0073】
さらに、RW制御用CPU210は、高速通信マスタコントローラ220、セキュア通信コントローラ230、及び、セキュア処理コントローラ250とバスを介して接続されており、上位機器290からの制御等に従い、高速通信マスタコントローラ220、セキュア通信コントローラ230、及び、セキュア処理コントローラ250を制御する。
【0074】
また、RW制御用CPU210は、電力送信制御部240と1本の汎用I/O(Input/Output)(インターフェース)で接続されており、電力送信制御部240を制御する。
【0075】
高速通信マスタコントローラ220は、高速通信アンテナ221と接続されており、この高速通信アンテナ221を介して、無線により、非接触通信メディア100の高速通信スレーブコントローラ112との間で、高速通信を行うマスタ側高速通信手段として機能する。
【0076】
セキュア通信コントローラ230は、セキュア通信アンテナ231と接続されており、このセキュア通信アンテナ231を介して、無線により、非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120との間で、セキュア通信を行うマスタ側セキュア通信手段として機能する。
【0077】
すなわち、セキュア通信コントローラ230は、セキュア通信アンテナ231から、RF信号を出力し、ポーリングをかける。
【0078】
一方、RW200に、非接触通信メディア100がかざされることによって、非接触通信メディア100(のセキュア通信アンテナ121)と、RW200(のセキュア通信アンテナ231)とが近接すると、非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120は、RW200のセキュア通信コントローラ230からのポーリングに対して応答するレスポンスを返す(負荷変調により送信する)。
【0079】
RW200のセキュア通信コントローラ230は、非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120からのレスポンスを受信し、その旨を、RW制御用CPU210に知らせ、これにより、RW制御用CPU210は、非接触通信メディア100が、RW200に近接したことを認識する。
【0080】
ここで、セキュア通信の通信方式として、例えば、上述のように、FeliCa(登録商標)を採用する場合、セキュア通信コントローラ230としては、FeliCa(登録商標)のRWが採用される。
【0081】
電力送信制御部240は、電力送信アンテナ241と接続されており、電力送信アンテナ241を介して、非接触通信メディア100が高速通信を行うのに必要な電力を、無線電力伝送によって送信する。
【0082】
セキュア処理コントローラ250は、耐タンパ性を有し、セキュア通信コントローラ230がセキュア通信を行うために必要な、例えば、通信路の暗号化等の処理であるセキュア処理を行う。
【0083】
ここで、セキュア通信の通信方式として、例えば、上述のように、FeliCa(登録商標)を採用する場合、セキュア処理コントローラ250としては、FeliCa(登録商標)のセキュア処理を行うセキュアチップが採用される。
【0084】
また、RW200が動作するのに必要な電力は、上位機器290、又は、図示せぬ電源から、RW200に供給される。
【0085】
4.非接触通信メディアとRWとが近接したときの処理
RW200は、上位機器290に正常に認識されたことを認識して、非接触通信メディア100がかざされること等によって近接することを待つメディア待ち状態となる。メディア待ち状態となると、RW制御用CPU210は、セキュア通信のポーリングを行うことを要求するセキュア通信Polling要求コマンドを、セキュア通信コントローラ230に送信する。
【0086】
セキュア通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からのセキュア通信Polling要求コマンドを受信し、そのセキュア通信Polling要求コマンドに応じて、ポーリングとしてのセキュア通信Pollingパケットの送信(RF信号による送信)を、セキュア通信アンテナ231を介して行う。
【0087】
ここで、非接触通信メディア100が、RW200に近接した状態にない場合、セキュア通信Pollingパケットに対する応答は、返ってこない。そして、セキュア通信Pollingパケットに対する応答が返ってこない場合、セキュア通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からのセキュア通信Polling要求コマンドに対する応答を、RW制御用CPU210に返さない。RW制御用CPU210は、セキュア通信Polling要求コマンドに対する応答が返ってこない場合、セキュア通信Polling要求コマンドを、セキュア通信コントローラ230に、定期的に送信する。これにより、セキュア通信コントローラ230では、セキュア通信Pollingパケットが、定期的に送信される。
【0088】
その後、非接触通信メディア100が、RW200にかざされ、非接触通信メディア100とRW200とが近接すると、非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120は、セキュア通信Pollingパケットを受信し、そのセキュア通信Pollingパケットに対する応答としてのセキュア通信Polling返信パケットを、セキュア通信アンテナ121を介して送信する。
【0089】
RW200のセキュア通信コントローラ230は、非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120からのセキュア通信Polling返信パケットを受信し、そのセキュア通信Polling返信パケットに応じて、メディア検出がされたことを表すメディア検出レスポンスを、セキュア通信Polling要求コマンドに対する応答として、RW制御用CPU210に送信する。
【0090】
RW制御用CPU210は、セキュア通信コントローラ230からのメディア検出レスポンスを受信し、このメディア検出レスポンスによって、メディア検出がされたことを認識する。
【0091】
その後、RW制御用CPU210は、上位機器290からの(最新の)状態確認パケットを受信すると、その状態確認パケットに対して、メディア検出がされたことを表すメディア検出パケットを、上位機器290に返す。
【0092】
図2に示すように、課金対応読み書き装置200は、ハードウェア構成上の大きな特徴として、セキュアコントローラ250を搭載している。ここで、セキュアコントローラ250としては、耐タンパ機能を有するチップを想定している。
【0093】
読み書き装置制御用CPU210と、高速無線通信用マスタコントローラ220、RFコントローラ230、またはセキュアコントローラ250とは、バスにて接続される。また、読み書き装置制御用CPU210と電力送信制御部240は、1本の汎用IOにて接続される。
【0094】
読み書き装置制御用CPU210は、上位機器290とバスにて接続される。上位機器290は、一例としてパーソナルコンピュータ(PC)またはテレビ受像機などの機器とする。本実施形態では、課金対応読み書き装置200と上位機器290を接続するバスとしてUSBを想定しているが、他のバスに置き換えることも可能である。
【0095】
以下、相互認証について説明する。RW制御用CPU210は、セキュア処理コントローラ250に、相互認証を要求する相互認証開始要求コマンド310を送信する。セキュア処理コントローラ250は、RW制御用CPU210からの相互認証開始要求コマンドを受信し、その相互認証開始要求コマンド310に対する応答である相互認証レスポンスを、RW制御用CPU210に返す。
【0096】
RW制御用CPU210は、セキュア処理コントローラ250からの相互認証レスポンス311を受信し、その相互認証レスポンス311に応じて、相互認証のためのデータのやりとりを要求する相互認証要求コマンド320を、セキュア通信コントローラ230に送信する。
【0097】
セキュア通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からの相互認証要求コマンド320を受信し、その相互認証要求コマンド320に応じて、相互認証のためのデータのやりとりを開始する。すなわち、セキュア通信コントローラ230は、セキュア処理コントローラ250から、RW制御用CPU210を介して供給される、相互認証のためのデータを含む相互認証パケット321を、非接触通信メディア100に送信する。
【0098】
非接触通信メディア100では、セキュア通信チップ120が、セキュア通信コントローラ230からの相互認証パケット321を受信し、その相互認証パケット321に応じて、必要な認証処理を行う。
【0099】
そして、セキュア通信チップ120は、認証処理の結果に応じて、給電制御部135(図1)が内蔵するスイッチをオン、又は、オフ状態にするスイッチ制御情報の、給電制御部135への供給を開始する。
【0100】
なお、いまのタイミングでは、RW200は、無線電力伝送を行っていないので、非接触通信メディア100において、給電制御部135には、電力は供給されていない。したがって、給電制御部135は、動作しない。
【0101】
セキュア通信チップ120は、セキュア通信コントローラ230からの相互認証パケット321に応じた認証処理を終了すると、その相互認証パケット321に対する応答である、相互認証のためのデータを含む相互認証レスポンスパケット322を返す。
【0102】
セキュア通信コントローラ230は、セキュア通信チップ120からの相互認証レスポンスパケット322を受信し、その相互認証レスポンスパケット322と同様の内容の相互認証レスポンス323を、RW制御用CPU210を介して、セキュア処理コントローラ250に返す。
【0103】
非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120と、RW200のセキュア処理コントローラ250との間では、RW制御用CPU210、及び、セキュア通信コントローラ230を介して、相互認証に必要なデータがやりとりされることで、例えば、FeliCa(登録商標)で採用されている相互認証が行われる。
【0104】
そして、非接触通信メディア100と、RW200との間の相互認証が成功すると、非接触通信メディア100、及び、RW200それぞれは、通信相手が正規の機器であることを認識し、非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120と、RW200のセキュア処理コントローラ250との間の通信路(RW制御用CPU210、及び、セキュア通信コントローラ230を介した通信路)は暗号化される。すなわち、非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120と、RW200のセキュア処理コントローラ250との間には、暗号化されたデータがやりとりされる通信路(以下、暗号通信路ともいう)が確立される。
【0105】
その結果、非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120と、RW200のセキュア通信コントローラ230(ひいては、セキュア処理コントローラ250)との間では、セキュアに通信を行うことができる。
5.無線電力伝送に係る処理
【0106】
次に、無線電力伝送に係る処理について説明する。RW200のRW制御用CPU210は、相互認証が成功すると、無線電力伝送の開始を指示する電力供給開始指示を、電力送信制御部240に送信する。
【0107】
電力送信制御部240は、RW制御用CPU210からの電力供給開始指示を受信し、その電力供給開始指示1700に応じて、電力送信アンテナ241を介して、無線電力伝送のためのRF信号の出力を開始し、これにより、非接触通信メディア110への無線電力伝送が開始される。
【0108】
電力受信制御部130は、以上のように、相互認証の成功後に、RW200の電力送信制御部240が開始する無線電力伝送によって送信されてくる電力を、電力受信アンテナ131を介して受信する。
【0109】
そして、電力受信制御部130は、無線電力伝送による電力の、給電制御部135への供給(電力供給)を開始し、これにより、給電制御部135は、電力受信制御部130からの電力を電源として、動作を開始する。
【0110】
非接触通信メディア100において、給電制御部135が動作を開始したとき、相互認証が成功したセキュア通信チップ120は、スイッチ制御情報を、給電制御部135に供給している。
【0111】
給電制御部135は、動作の開始後、セキュア通信チップ120からのスイッチ制御情報を記憶し、電力受信制御部130からの電力の供給がされている間、そのスイッチ制御情報を記憶し続ける。
【0112】
そして、給電制御部135は、記憶しているスイッチ制御情報に従って、内蔵するスイッチを、オン、又は、オフ状態にし、そのスイッチの状態によって、電力受信制御部130からの電力の、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112への供給である給電を行い、又は、給電を遮断する。
【0113】
すなわち、セキュア通信チップ120は、相互認証においてRW200が正規の機器であることを認識した場合は、スイッチをオン状態にする旨のスイッチ制御情報を、給電制御部135に供給する。
【0114】
したがって、RW200が、正規の機器である場合、給電制御部135は、内蔵するスイッチをオン状態にし、これにより、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112への給電が行われる。一方、RW200が正規の機器であることを認識することができなかった場合は、スイッチをオフ状態にする旨のスイッチ制御情報を、給電制御部135に供給する。
【0115】
したがって、RW200が、正規の機器でない場合、給電制御部135は、内蔵するスイッチをオフ状態にし、これにより、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112への給電は、遮断される。
【0116】
その結果、正規の機器でない不正なRWによって、非接触通信メディア100の不揮発メモリ111に対して、不正なアクセスがされることを防止することができる。非接触通信メディア100では、セキュア通信チップ120と、セキュア通信コントローラ230(ひいては、セキュア処理コントローラ250)との間で、相互認証が成功しない限り、RW200から、無線電力伝送によって電力が送信されてきても、その電力の、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112への給電は、給電制御部135によって遮断される。
【0117】
その結果、非接触通信メディア100は、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112において、高速通信を行うことが可能な状態にならないので、不揮発メモリ111に対して、不正にアクセスされることを防止すること(保護機能を強化すること)ができる。
【0118】
非接触通信メディア100と、RW200との間の相互認証が成功した場合には、給電制御部135は、電力受信制御部130からの電力の、メディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112への供給である給電を行い、これにより、高速通信を行うブロックであるメディア制御用CPU110、不揮発メモリ111、及び、高速通信スレーブコントローラ112は、電力受信制御部130から給電制御部135を介して供給される電力を電源として、動作を開始する。
【0119】
一方、RW200のRW制御用CPU210は、電力供給開始指示を送信した後、適切な待ち時間だけ待って、セキュア通信RFoffコマンドを、セキュア通信コントローラ230に送信する。セキュア通信コントローラ230は、RW制御用CPU210からのセキュア通信RFoffコマンドを受信し、そのセキュア通信RFoffコマンドに応じて、セキュア通信アンテナ231からのセキュア通信用のRF信号の出力を停止する。
【0120】
セキュア通信コントローラ230が、RF信号の出力を停止すると、非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120は、電源となる電力を得ることができなくなり、動作を停止する。
5.高速無線通信における暗号化処理
次に、高速無線通信における暗号化処理について説明する。非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120と、RW200のセキュア通信コントローラ230(ひいては、セキュア処理コントローラ250)との間で、相互認証を行い、相互認証の成功後に、RW200では、非接触通信メディア100のセキュア通信チップ120にあらかじめ記憶された、設定パスワード(をハッシュ化したハッシュパスワード)を含むセキュア保存領域分割情報530を、非接触通信メディア100から、セキュア通信により受信する。
【0121】
さらに、RW200では、非接触通信メディア100から受信したセキュア保存領域分割情報530に含まれる設定パスワードと、ユーザによって外部(上位機器290)から入力された入力パスワードとが一致している場合に、その一致しているパスワードから生成される個別暗号鍵でデータを暗号化した暗号化データが、高速通信によりやりとりされる。
【0122】
したがって、非接触通信メディア100の高速通信スレーブコントローラ112と、RW200の高速通信マスタコントローラ220との間の高速通信自体の通信速度の低下を抑えて、セキュアな通信を行うことができる。
【0123】
また、非接触通信メディア100の不揮発メモリ111のユーザ暗号化領域に記憶されるデータは、個別暗号鍵を用いて暗号化されており、その個別暗号鍵の生成に必要なハッシュパスワード及び個別IDは、耐タンパ性を有するセキュア通信チップ120が内蔵するメモリに記憶されているので、非接触通信メディア100が第三者の手に渡った場合でも、ユーザ暗号化領域に記憶されたデータの漏洩(流出)を防止することができる。
【0124】
RW200において、セキュア通信用のRF信号と、無線電力伝送で用いられるRF信号との両方が出力されると、そのセキュア通信用のRF信号と、無線電力伝送で用いられるRF信号との間で、干渉を生じることがある。
【0125】
すなわち、GHz帯の回路の製造が簡単でないこと、数100KHzないし数MHzの周波数の回路の製造は容易であること、数100KHzないし数MHzの周波数の回路を構成するためのコンデンサ等の部品は安価であり、回路のコストを抑えることができること、等の理由により、無線電力伝送のRF信号の周波数としては、例えば、数100Hzないし数MHz程度が採用される。
【0126】
RW200の電力送信制御部240において、そのような周波数で無線電力伝送が行われる場合において、セキュア通信の通信方式として、例えば、上述したように、FeliCa(登録商標)が採用されているときには、FeliCa(登録商標)のキャリアの周波数は、13.56MHzであり、無線電力伝送で用いられるRF信号の周波数と近いため、FeliCa(登録商標)のキャリア、つまり、セキュア通信用のRF信号と、無線電力伝送で用いられるRF信号との間では、干渉を生じる。
【0127】
以上のように、セキュア通信用のRF信号と、無線電力伝送のRF信号と(の周波数)が干渉を起こす場合には、その干渉を防止するために、RW200のセキュア通信コントローラ230では、無線電力伝送が開始される前に、セキュア通信用のRF信号の出力を停止することが望ましい。
【0128】
このため、本実施形態では、上述した「ダウンロード単純課金」、「複数コンテンツプリペイド」、「複数コンテンツポストペイド」、「対象コンテンツ限定課金」の各処理において、セキュア通信と無線電力伝送とを別個のタイミングで行い、干渉を抑止している。
【0129】
6.マネー情報の構造
図3は、課金対応カード型非接触メディア100に蓄積されるマネー情報の構造を示す模式図である。マネー情報は、マネー情報管理テーブル300に管理される。マネー情報管理テーブル300は、カードチップ120内に含まれるフラッシュメモリに保存される。マネー情報管理テーブル300は、マネー残高310およびマネー属性320を1組のレコード(記録情報)とし、複数のレコードを含むように構成される。
【0130】
図3において、マネー残高310は、残高金額(例えば1,000円など)の情報を保持する。マネー属性320は、例えば「映画」、「音楽」、「ゲーム」、「すべて」などの属性うち1つの値を持つ。これにより、例えば「映画についての残高金額が1000円」、「音楽についての残高金額が2000円」などの情報を、各組のレコードのマネー残高310及びマネー属性320によって表すことができる。
【0131】
7.コンテンツ情報の構造
図4は、課金対応カード型非接触メディア100に蓄積されるコンテンツ情報の構造を示す模式図である。コンテンツ情報は、コンテンツ情報管理テーブル400に管理される。コンテンツ情報管理テーブル400は、セキュアカードチップ120内に含まれるフラッシュメモリに保存される。コンテンツ情報管理テーブル400は、コンテンツ情報410およびコンテンツ状況420を1組のレコードとし、複数のレコードを含む。コンテンツ自体は不揮発メモリ111に保存される。
【0132】
図4において、コンテンツ情報410は、不揮発メモリ111に含まれるコンテンツのタイトルやサイズなどの情報に相当する。コンテンツ状況420は、コンテンツのステータスを示す情報であり、例えば「書き込み中」、「書き込み済み」、「決済完了」、「閲覧済み」などのうち1つの情報(値)に相当する。
【0133】
ここで、上述したように、フェリカカードチップ120は耐タンパ性を有している。マネー情報管理テーブル300、およびコンテンツ情報管理テーブル400は、耐タンパ機能を持ったカードチップ120に保存されるため、これらのテーブルが偽造されることを確実に抑止できる。
【0134】
以下、課金対応カード型非接触メディア100へのコンテンツ書き込み時、読み出し時、および課金・決済処理時の動作について説明する。以下では、コンテンツ書き込み、読み込み、および課金処理時のフェリカ通信、高速無線通信、無線給電のそれぞれのタイミング制御について詳細に説明する。
【0135】
図5は、課金対応カード型非接触メディア100へのマネーチャージ処理シーケンスを示すタイミングチャートである。課金対応カード型非接触メディア100が課金対応読み書き装置200にかざされ、初期相互認証処理は完了しているものとする。
【0136】
図5において、期間Aにてフェリカ通信を行い、マネーチャージ処理を行う。図5に示す通り、チャージ処理を行う期間Aでは、フェリカ通信のみを使用し、高速無線通信、および無線電力伝送は使用しない。以下、これらはすべて課金対応読み書き装置200で制御を行う。
【0137】
電力受信制御部130と電力送信制御部240との間で電力伝送を行う場合、その周波数は200kHz程度となる。一方、フェリカ通信の周波数は13.56MHz、データ伝送速度は212kbpsである。このため、双方の帯域が干渉してしまうことが想定される。
【0138】
本実施形態では、フェリカ通信時には、高速無線通信、および無線電力伝送は使用しないため、相互に帯域が干渉してしまうことがなく、チャージ処理を確実に行うことができる。従って、チャージ処理の信頼性を大幅に高めることが可能である。
【0139】
チャージ処理は、セキュアカードチップ120内のフラッシュメモリに保存されているマネー情報管理テーブル300に対する読み出し(リード)、および書き込み(ライト)処理で実現する。
【0140】
本実施形態では、マネー情報管理テーブル300に対して書き込みされるデータは、「通常チャージ」と「限定チャージ」の2つのケースで異なる。以下、「通常チャージ」および「限定チャージ」の2つのケースについて説明する。
【0141】
「通常チャージ」は、チャージした金額が、全てのコンテンツの課金処理に利用可能なチャージ方法である。この場合、マネー属性320が「すべて」に対応するマネー残高310の値が更新される。従って、マネー属性320が「映画」、「音楽」または「ゲーム」に対応するマネー残高310の値は更新されない。
【0142】
「限定チャージ」は、ある特定のコンテンツに対する課金処理でのみ利用可能なチャージ方法である。この場合、限定チャージのマネー属性320が「ゲーム」に指定されている場合、マネー属性320が「ゲーム」に対応するマネー残高310の値が更新される。ここでは、ユーザが限定チャージ時に課金対象の対応するコンテンツ種別を画面などで選択することを想定している。
【0143】
8.各処理の具体的手順
次に、上述した「1.本実施形態の概要」にて説明した、「ダウンロード単純課金」、「複数コンテンツプリペイド」、「複数コンテンツポストペイド」、「対象コンテンツ限定課金」のそれぞれの処理について詳細に説明する。
【0144】
図6は、「ダウンロード単純課金」の方法の実行時におけるコンテンツ書き込み、および決済処理シーケンスを示すタイミングチャートである。ここでは、一例として、店舗に設置されたキオスク端末などでコンテンツをメディアカードにダウンロードした後、同じメディアカードで決済を完了させるようなケースを想定する。
【0145】
また、以下におけるフェリカ通信、高速無線通信、無線電力伝送の各種制御は課金対応読み書き装置200で制御を行うものとする。
【0146】
図6における期間Aでは、フェリカ通信を使用し、課金対応カード型非接触メディア100からマネー残高310を読み出すことにより残高の確認を行う。次に、同じく期間Aにてフェリカ通信を使用し、これから書き込みを行うコンテンツの情報をコンテンツ情報410に書き込み、同時にコンテンツ状況420を「書き込み中」に書き換える。
【0147】
次に、期間Bにてユーザが指定したコンテンツデータを不揮発メモリ111へライト(書き込み)するため、フェリカ通信をオフ(off)とし、高速無線通信および無線電力伝送をオン(on)にする。これにより、高速無線通信を利用してコンテンツデータを不揮発メモリ111へ書き込むことができる。また、コンテンツデータのライト中には無線電力伝送が行われるため、ライト中に課金対応カード型非接触メディア100の電力が不足してしまうことを抑止できる。更に、フェリカ通信と無線電力伝送が相互に干渉してしまうことがなく、フェリカ通信と無線電力伝送とを別個に安定して行うことが可能である。
【0148】
コンテンツのライト(書き込み)中、ある一定間隔で期間Cを設け、フェリカ通信を利用して書き込み済みコンテンツデータのバイト数をセキュアカードチップ120に書き込む。この際、高速無線通信および無線電力伝送はオフ(off)にする。
【0149】
これにより、コンテンツの書き込みの途中で、カード型非接触メディア100と読み書き装置200の相対的な位置がずれるなどして通信断が発生してもカードチップ120には、書き込み済みバイト数、コンテンツ情報410及びコンテンツ状況420が書き込まれた状態となる。従って、カードチップ120に書き込まれている書き込み済みバイト数、およびコンテンツ情報410、
コンテンツ状況420を元に再開処理を行うことが可能となる。
【0150】
全てのコンテンツの書き込みが完了すると、期間Dにてフェリカ通信を使用し、セキュアカードチップ120へ決済処理および権利情報の書き込みを行う。具体的には、マネー残高310を更新し、コンテンツ状況420を「決済完了」に書き換える処理を行う。この際、高速無線通信および無線電力伝送はオフ(off)にする。この際、ダウンロードしたコンテンツのマネー属性320に対応するマネー残高310から、コンテンツのダウンロード代金に相当する額が差し引かれる。
【0151】
以上により、課金対応カード型非接触メディア100に対してダウンロードを行ったコンテンツの閲覧が可能となる。以下では、コンテンツの閲覧の際の処理方法を示す。
【0152】
図7は、「ダウンロード単純課金」の方法実行時のコンテンツ読み出しシーケンスを示すタイミングチャートである。図7において、期間Aでは、フェリカ通信を使用して、コンテンツ情報410、コンテンツ状況420、および権利情報を読み出す。ここで、コンテンツ状況420が「決済完了」であり、更に正当な権利情報が確認できれば、正常な読み出し処理を行う。
【0153】
続く期間Bにて、フェリカ通信はオフ(off)にし、課金対応読み書き装置200は、高速無線通信、および無線電力伝送を使用して不揮発メモリ111に含まれるコンテンツの読み出しを行う。読み出されたコンテンツデータは、上位機器290に送られて、上位機器290にてコンテンツの再生を行う。
【0154】
次に、「複数コンテンツプリペイド」の場合の処理について説明する。図8は、「複数コンテンツプリペイド」方法実行時の事前コンテンツ書き込み処理シーケンスを示すタイミングチャートである。ここでは、一例として、店舗などにおいて事前に複数の保護コンテンツをメディアカードに対して書き込む処理を想定する。
【0155】
図8において、期間Aにて高速無線通信および無線電力伝送を使用して、コンテンツデータを課金対応カード型非接触メディア100に対して送信し、不揮発メモリ111に保護コンテンツの書き込みを行う。書き込みが完了すると、期間Bにおいて、フェリカ通信を使用して、セキュアカードチップ120にコンテンツ情報の書き込みを行う。具体的には、コンテンツ情報410を更新するとともに、コンテンツ状況420を「書き込み済み」に更新する。ここで、コンテンツ状況420が「書き込み済み」の状態では、決済処理が完了していないため、正常な閲覧を行うことはできない。
【0156】
図9は、「複数コンテンツプリペイド」方法実行時の課金処理、およびコンテンツ読み出しシーケンスを示すタイミングチャートである。ここでは、複数の保護コンテンツに対して、ユーザが望むタイトルに対して事前に決済を行い、閲覧を可能にする処理を想定している。
【0157】
図9において、期間Aでは、フェリカ通信を使用してユーザの望むタイトルに対する決済処理を行う。具体的には、セキュアカードチップ120に含まれるマネー残高310の更新を行い、コンテンツ状況420を「決済完了」に更新する。例えば、課金対応カード型非接触メディア100の不揮発メモリ111に保存されているコンテンツのうち、ユーザが「映画」についてプリペイドする場合、マネー属性320が「映画」のマネー残高310の値が差し引かれる。更に正当な権利情報が確認できれば、決済が行われたコンテンツについて正常な閲覧が可能な状態となる。
【0158】
次に、期間Bにてフェリカ通信を使用し、コンテンツ状況420、権利情報の読み込みを行う。ここで、コンテンツ状況420が「決済完了」であれば、コンテンツの正常な読み出し処理が可能である。続く期間Cにて、フェリカ通信はオフ(off)にして、高速無線通信および無線電力伝送を使用して不揮発メモリ111に含まれるコンテンツの読み出しを行う。読み出されたコンテンツデータは、上位機器290に送られて、上位機器290にてコンテンツの再生を行う。
【0159】
図10は、「複数コンテンツポストペイド」の方法実行時のコンテンツ読み出しシーケンスを示すタイミングチャートである。ここでは、店舗などで、事前に複数の保護コンテンツをメディアカードに対して書き込みを行い、その後、ユーザが閲覧を行ったコンテンツにのみ後の課金のためのフラグを記憶させる処理を想定する。ここで、コンテンツの書き込み方法は図8に示した方法と同じであるため、ここでの説明は省略する。以下では、ユーザが望むコンテンツの閲覧を行う際の処理シーケンスを示す。
【0160】
図10に示すように、先ず、期間Aにてフェリカ通信を使用し、コンテンツ情報管理テーブル400を読み出す。ユーザは、コンテンツ情報管理テーブル400に含まれる1つ以上のコンテンツ情報410の中から望むコンテンツを指定する。
【0161】
続く期間Bにて、フェリカ通信をオフ(off)にして、高速無線通信および無線電力伝送を使用して不揮発メモリ111に含まれるコンテンツの読み出しを行う。読み出されたコンテンツデータは、上位機器290に送られて、上位機器290にてコンテンツの再生を行う。
【0162】
次に、コンテンツの再生開始または再生終了のタイミングで、コンテンツの閲覧を行った旨を示すマークをセキュアカードチップ120に書き込む。具体的には、期間Cにて、セキュアカードチップ120に含まれるコンテンツ情報410に対応するコンテンツ状況420を「閲覧済み」に更新する。これにより、ユーザは、以降の同一コンテンツの閲覧ができなくなる。
【0163】
図11は、「複数コンテンツポストペイド」の方法実行時の事後課金処理シーケンスを示すタイミングチャートである。ここでは、図10で示したシーケンスにて、ユーザが閲覧を行った課金対応カード型非接触メディア100を店舗などに返却し、そこで決済処理を行うことを想定している。
【0164】
図11において、期間Aにてフェリカ通信を使用し、セキュアカードチップ120に含まれるコンテンツ情報410を読み出す。そして、コンテンツ情報410に対応するコンテンツ状況420のうち「閲覧済み」の値を持つコンテンツに対して、次の期間Bにて決済処理を行う。具体的にはセキュアカードチップ120に含まれるマネー残高310を更新する。更に、コンテンツ状況420を「決済完了」に更新することで、二重決済を防止する。
【0165】
図12は、「対象コンテンツ限定課金」の方法実行時のコンテンツ書き込み、および課金処理シーケンスを示すタイミングチャートである。ここでは、事前に図5の「限定チャージ」にて示した手順でのチャージが完了しているものとする。また本決済処理方法は、図6、
図9、 図11にて示した課金、決済処理時のすべてに適用することができるが、ここでは、一例として図9にて示した決済処理時に本決済方法を適用することを想定する。
【0166】
図12における期間Aにて、フェリカ通信を使用してコンテンツ情報管理テーブル400を読み出す。ユーザは、コンテンツ情報管理テーブル400に1つ以上含まれるコンテンツ情報410から望みのコンテンツを選択し、次の決済処理に移る。続く決済処理では、コンテンツ情報410からコンテンツの属性を判断し、マネー情報管理テーブル300から対応するマネー属性320を決定する。
【0167】
次に、選択したマネー属性320に対応するマネー残高310の情報を元に決済処理を行う。ここで選択したマネー残高310が足りない場合は、マネー属性320が「すべて」に対応するマネー残高310に対して更新処理を行う。以上により、1枚のメディアカードにてコンテンツのダウンロード、および決済処理がすべて可能となる。
【0168】
以上説明したように本実施形態によれば、メディアカードに課金機能を搭載することにより、コンテンツのダウンロードおよび課金処理を1枚のカードで行うことができる。また、すべて非接触通信で行うことにより「かざす」アクションのみでコンテンツの書き込み、および課金処理を行うことができる。また、複数のコンテンツが書き込まれたメディアカードにおいて、ユーザは、事前に課金処理を行うことで、望むコンテンツのみ閲覧することが可能となる。また、複数のコンテンツが書き込まれたメディアカードにおいて、ユーザは実際に閲覧を行ったコンテンツに対してのみ課金を行うことが可能となる。更に、映画やゲームなど特定のコンテンツに紐付けたマネーチャージを行うことで、購入可能なコンテンツに制限をかけることが可能となる。
【0169】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0170】
100 非接触通信メディア
111 不揮発メモリ
120 セキュア通信チップ
112 高速通信スレーブコントローラ
130 電力受信制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュアな近接通信であるセキュア通信を行うセキュア通信部と、
前記セキュア通信より高速な近接通信である高速通信を行う高速通信部と、
電力伝送を行う電力伝送部と、を備え、
前記セキュア通信による通信と前記電力伝送部による電力伝送とを時系列的に重複しないタイミングで行う、通信装置。
【請求項2】
前記高速通信によってダウンロードしたコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、
前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、
前記コンテンツのダウンロード時に、前記セキュア通信により、前記コンテンツのダウンロードに関する決済情報を前記セキュアメモリに書き込む情報書込部と、
を備える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記コンテンツのダウンロード時に、前記高速通信によるダウンロードと、前記セキュアメモリへのダウンロード済みデータ量の書き込みとを交互に行う、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、
前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、
前記高速通信により前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記セキュア通信により、前記複数のコンテンツの少なくとも1つに関する決済情報を前記セキュアメモリに書き込む情報書込部と、を備え、
前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済情報が書き込まれたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、
前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、
前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送した際に、前記セキュア通信により、前記転送したコンテンツに関する転送済み情報を前記セキュアメモリに書き込む情報書込部と、
前記転送済み情報に基づいて前記転送したコンテンツの決済を行う決済処理部と、
を備える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、
前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、
前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記セキュア通信により、前記複数のコンテンツのうち決済が許可された前記コンテンツに対して決済を行う決済処理部と、とを備え、
前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済が行われたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
高速通信によってダウンロードしたコンテンツを記憶するステップと、
前記コンテンツのダウンロード時に、前記高速通信よりも低速なセキュアな近接通信であるセキュア通信により、前記コンテンツのダウンロードに関する決済情報をセキュアメモリに書き込むステップと、
を備える、通信方法。
【請求項8】
複数のコンテンツをコンテンツ記憶部に記憶するステップと、
前記コンテンツに関する情報をセキュアメモリに保持するステップと、
高速通信により前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記高速通信よりも低速なセキュアな近接通信であるセキュア通信により、前記複数のコンテンツの少なくとも1つに関する決済情報をセキュアメモリに書き込むステップと、
前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済情報が書き込まれたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送するステップと、
を備える通信方法。
【請求項9】
複数のコンテンツをコンテンツ記憶部に記憶するステップと、
前記コンテンツに関する情報をセキュアメモリに保持するステップと、
高速通信により前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送した際に、前記高速通信よりも低速なセキュアな近接通信であるセキュア通信により、前記転送したコンテンツに関する転送済み情報を前記セキュアメモリに書き込むステップと、
前記転送済み情報に基づいて前記転送したコンテンツの決済を行うステップと、
を備える、通信方法。
【請求項10】
複数のコンテンツをコンテンツ記憶部に記憶するステップと、
前記コンテンツに関する情報をセキュアメモリに保持するステップと、
高速通信により前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記高速通信よりも低速なセキュアな近接通信であるセキュア通信により、前記複数のコンテンツのうち決済が許可された前記コンテンツに対して決済を行うステップと、
前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済が行われたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送するステップと、
を備える通信方法。
【請求項11】
セキュアな近接通信であるセキュア通信を行うセキュア通信部と、前記セキュア通信より高速な近接通信である高速通信を行う高速通信部と、電力伝送を行う電力伝送部と、を有し、前記セキュア通信による通信と前記電力伝送部による電力伝送とを時系列的に重複しないタイミングで行う、通信装置と、
前記通信装置との間で前記セキュア通信、前記高速通信及び前記電力伝送を行うリーダライタ装置と、
を備える、通信システム。
【請求項12】
前記通信装置は、
複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、
前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、
前記高速通信により前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記セキュア通信により、前記複数のコンテンツの少なくとも1つに関する決済情報を前記セキュアメモリに書き込む情報書込部と、を備え、
前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済情報が書き込まれたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送する、請求項11に記載の通信システム。
【請求項13】
前記通信装置は、
複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、
前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、
前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送した際に、前記セキュア通信により、前記転送したコンテンツに関する転送済み情報を前記セキュアメモリに書き込む情報書込部と、
前記転送済み情報に基づいて前記転送したコンテンツの決済を行う決済処理部と、
を備える、請求項11に記載の通信システム。
【請求項14】
前記通信装置は、
複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、
前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、
前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記セキュア通信により、前記複数のコンテンツのうち決済が許可された前記コンテンツに対して決済を行う決済処理部と、とを備え、
前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済が行われたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送する、請求項11に記載の通信システム。
【請求項15】
前記通信装置は、
複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、
前記コンテンツに関する情報を保持するセキュアメモリと、
前記コンテンツをリーダライタ装置へ転送する前に、前記セキュア通信により、前記複数のコンテンツのうち決済が許可された前記コンテンツに対して決済を行う決済処理部と、とを備え、
前記高速通信によって、前記複数のコンテンツのうち、前記決済が行われたコンテンツを前記リーダライタ装置へ転送する、請求項11に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−253357(P2011−253357A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126856(P2010−126856)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】