説明

通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置及び通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法

【課題】 多数の通信装置のソフトウェアをバージョンアップする必要時に新バージョンのソフトウェアを上位局装置から全通信装置へダウンロードする所要時間を極力短くすることができ、上位局装置の処理量を極力減らすことができ、複数の通信装置が協調動作を行う必要時にソフトウェアのバージョンアップタイミングを可能な限り揃えること。
【解決手段】 指示受信手段112で上位局装置からのダウンロード指示受信時に、データ受信手段113で上位局装置から新規ソフトウェア管理情報を受信してダウンロード領域111に格納し、バージョン比較手段114でダウンロード領域111の新旧ソフトウェア管理情報の同一ソフトウェアでバージョンが異なるソフトウェアのリストを作成し、リスト上のソフトウェアを上位局装置からデータ受信手段113で受信してダウンロード領域111に格納する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上位装置からネットワークを介してダウンロードされたソフトウェア(プログラム)で動作する複数の下位装置のソフトウェアをバージョンアップするものであり、例えば、移動体通信システムにおいて、上位局装置である例えばオペレーション装置からダウンロードされたソフトウェアで動作する基地局装置のソフトウェアをバージョンアップする通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置及び通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置及び通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法としては、特開平2000−35889号公報に記載されているものがある。
【0003】CPUやDSPを搭載した複数のカードを備えて構成される基地局装置のソフトウェアをバージョンアップする場合、まず、上位局装置から各基地局装置に必要なソフトウェアをダウンロードする必要がある。
【0004】このダウンロードを行う1つの方法としては、基地局装置で使用する全ソフトウェアを上位局装置から各基地局装置に順番にダウンロードする方法がある。
【0005】この他の方法としては、基地局装置内のバージョンアップが必要なソフトウェア・モジュールのみを上位局装置から各基地局装置にダウンロードする方法がある。
【0006】また、ダウンロードしたソフトウェアで各カードを動作させるには、ダウンロード後にカードのリセット(再起動)を行なうなど、新しいバージョンのソフトウェアを有効化するための処理が必要となる。
【0007】このソフトウェアの有効化処理を行う1つの方法としては、上位局装置からソフトウェアをダウンロードした場合に、即時リセット処理を行なう方法がある。
【0008】この他の方法としては、ソフトウェアをダウンロードした後、何らかの要因によってリセットされた場合に、新しいソフトウェアを必然的に有効とする方法がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の装置においては、基地局装置で使用する全ソフトウェアを上位局装置から各基地局装置に順番にダウンロードする場合、多数の基地局装置全てにダウンロードする必要があるので多大な時間がかかるという問題がある。
【0010】また、基地局装置内のバージョンアップが必要なソフトウェア・モジュールのみを上位局装置から各基地局装置にダウンロードする場合、転送量が減るためダウンロードに要する時間は短くなるが、基地局装置に多様なハードウェア構成の装置が混在していると、上位局装置は、個別の基地局装置毎にダウンロードが必要なソフトウェア・モジュールを割り出していかなければならず、上位局装置の処理量が大きくなるという問題がある。
【0011】また、上位局装置からソフトウェアをダウンロードした場合に、即時リセット処理を行なう場合、複数の基地局装置間でダウンロードのタイミングが異なるので、バージョンアップの時期がずれるという問題がある。
【0012】この場合、特に複数の基地局装置が協調して動作する必要がある場合、例えばハンドオーバーを行う場合、ソフトウェアのバージョンアップの時期を可能な限りそろえる必要がある。
【0013】また、ソフトウェアをダウンロードした後、何らかの要因によってリセットされた場合に、新しいソフトウェアを必然的に有効とする場合、例えばカード障害からの自動回復機能によりリセットされた場合は、上位局装置の指示に依らず自律的にリセットがかかるので、必要時以外にバージョンアップしてしまうという問題がある。
【0014】本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、多数の通信装置(例えば基地局装置)のソフトウェアをバージョンアップする必要時に新バージョンのソフトウェアを上位局装置から全通信装置へダウンロードする所要時間を極力短くすることができ、上位局装置の処理量を極力減らすことができ、また、複数の通信装置が協調動作を行う必要時にソフトウェアのバージョンアップタイミングを可能な限り揃えることができ、更に必要時以外にバージョンアップされないようにすることができる通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置及び通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置は、上位局装置から転送されるソフトウェア及びソフトウェア管理情報を格納するダウンロード領域と、このダウンロード領域に格納された既存ソフトウェア管理情報と今後格納される新規ソフトウェア管理情報に示される同一ソフトウェアのバージョンを比較し、バージョンが異なるソフトウェアのリストを作成するバージョン比較手段と、上位局装置からダウンロードの指示があった場合、上位局装置から新規ソフトウェア管理情報を受信して前記ダウンロード領域へ格納すると共に、前記リストで示されるソフトウェアを上位局装置から受信して格納するデータ受信手段と、を具備する構成を採る。
【0016】この構成によれば、通信装置で使用するソフトウェアのうち、バージョンが異なるソフトウェアのみをダウンロードすれば済むので、通信装置の全ソフトウェアをダウンロードするのに比べて、短時間でダウンロードすることが可能となる。更に、ソフトウェアのバージョン比較は各通信装置自体が行なうので、多数の通信装置を対象とする場合でも上位局装置の処理負担が少なく、対象とする通信装置に多様なハードウェア構成の装置が混在していても上位局装置は区別する必要が無くなる。
【0017】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置は、上記構成において、上位局装置から転送されるソフトウェアは、各々にバージョンが付与された複数のソフトウェア・モジュールから構成され、ソフトウェア管理情報は、前記複数のソフトウェア・モジュールの識別名とそのバージョンから構成される構成を採る。
【0018】この構成によれば、通信装置で使用するソフトウェアのうち、バージョンが異なるソフトウェア・モジュールのみをダウンロードすれば済むので、通信装置の全ソフトウェアをダウンロードするのに比べて、短時間でダウンロードすることが可能となる。更に、ソフトウェア・モジュールのバージョン比較は各通信装置自体が行なうので、多数の通信装置を対象とする場合でも上位局装置の処理負担が少なく、対象とする通信装置に多様なハードウェア構成の装置が混在していても上位局装置は区別する必要が無くなる。
【0019】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置は、上記構成において、使用中のバージョンのソフトウェアを格納する現動作バージョン格納領域を通信処理用の複数のカードに具備し、上位局装置からカードを指定して新バージョンのソフトウェアを活性化する指示があった場合に、該当ソフトウェアをダウンロード領域から前記指定されたカードの前記現動作バージョン格納領域へ転送したのち活性化を指示する活性化制御手段とを具備する構成を採る。
【0020】この構成によれば、ダウンロード領域に格納された新バージョンのソフトウェアに対して、適切なタイミングで上位局装置から指示を出すことで活性化を行ない、該当カードを新ソフトウェアで動作させることが可能となり、複数の通信装置でのソフトウェアのバージョンアップの反映時期をそろえることが可能となる。
【0021】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置は、上記構成において、使用中のバージョンのソフトウェアを格納する現動作バージョン格納領域と、上位局装置から通信処理用のカードを指定して新バージョンのソフトウェアを活性化する指示があった場合に、該当ソフトウェアをダウンロード領域から前記現動作バージョン格納領域へ転送したのち前記指定されたカードへ活性化を指示する活性化制御手段とを具備し、前記カードが、前記活性化の指示を受けた際に前記現動作バージョン格納領域から自カードを動作させるためのソフトウェアを読み込むソフトウェアロード手段を具備する構成を採る。
【0022】この構成によれば、ダウンロード領域に格納された新しいバージョンのソフトウェアに対し、適切なタイミングで上位局装置から指示を出すことで活性化を行ない、該当カードを新しいソフトウェアで動作させることが可能である。複数の通信装置でのソフトウェアのバージョンアップの反映時期をそろえることが可能となる。更に、通信装置に同じタイプのカードが複数枚ある場合、各カードごとにソフトウェアを保持する必要はなく、共通の領域である、現動作バージョン格納領域にのみ保持すれば良いので、通信装置全体での格納領域サイズを抑えることが可能になる。
【0023】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置は、上記構成において、カードは、現用/待機系の冗長構成である場合に、自カードの基本機能が正常であることを確認する基本動作チェック手段を具備し、前記基本動作チェック手段による確認の結果が正常で有れば、前記冗長構成カードの運用系と待機系を切替える冗長カード切替え手段を具備することを特徴とする請求項3記載の通信装置における構成を採る。
【0024】この構成によれば、まず、待機系カードに活性化指示をして、バージョンアップを行ない、基本機能を確認してから、運用系カードと待機系カードの切替えを行ない、新待機系カードのバージョンアップを行なうことができるので、通信装置のサービスを停止させること無く、ソフトウェアのバージョンアップを行なうことが可能である。
【0025】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置は、上記構成において、カードは、複数枚から成る冗長構成を取り各カードに負荷分散させている場合に、自カードの基本機能が正常であることを確認する基本動作チェック手段を具備し、前記基本動作チェック手段による確認の結果が正常で有れば、上位局装置で指示されたカードで実施中のサービスを同じ種類の他のカードで実施させ、この際に元のカードではサービスを停止させる資源割当手段を具備する構成を採る。
【0026】この構成によれば、まず、指定された種類のカードの1枚について、実施中のサービスを他のカードで実施させて元のカードのサービスを停止させる。このカードに対して、活性化指示をして、バージョンアップを行ない、基本機能が確認されてから、順次、他の同種カードのバージョンアップを行なって行く。このように、基地局装置のサービスを停止させること無く、ソフトウェアのバージョンアップを行なうことが可能である。
【0027】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置は、上記構成において、ダウンロード領域を複数具備し、活性化制御手段は、上位局装置からの何れのバージョンで活性化するかの指示に応じた前記ダウンロード領域を活性化制御の対象とする構成を採る。
【0028】この構成によれば、ダウンロード領域の何れかの領域に、現在使用中であるバージョンのソフトウェアをバックアップしておけるので、バージョンアップしたソフトウェアに問題があった場合でも、容易に元のバージョンのソフトウェアでの運用に戻すことが可能である。
【0029】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置は、上記構成において、2つのダウンロード領域について、一方を新バージョン用、他方を旧バージョン用に固定した構成を採る。
【0030】この構成によれば、ダウンロード領域の何れかの領域に、現在使用中であるバージョンのソフトウェアをバックアップしておけるので、バージョンアップしたソフトウェアに問題があった場合でも、容易に元のバージョンのソフトウェアでの運用に戻すことが可能である。更に、バックアップ用の旧バージョンを上位局装置から指定して予めダウンロードしておくことが可能である。
【0031】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置は、上記構成において、新バージョンソフトウェア管理情報の格納領域と、旧バージョンソフトウェア管理情報の格納領域と、ソフトウェアの識別名とバージョンの組からなる情報により、該当するバージョンの該当ソフトウェアを、ダウンロード領域から検索するモジュールバージョン指定手段を具備する構成を採る。
【0032】この構成によれば、ダウンロード領域に、現在使用中であるバージョンのソフトウェアをバックアップしておけるので、バージョンアップしたソフトウェアに問題があった場合でも、容易に元のバージョンのソフトウェアでの運用に戻すことが可能である。更に、バックアップ用の旧バージョンを上位局装置から予めダウンロードしておくことが可能である。更には、新旧の両統括バージョンを構成するソフトウェアで同一バージョンのものを重複して持つ必要がないので、基地局装置のソフトウェア格納領域を減らすことが可能である。
【0033】本発明の基地局装置は、上記いずれかと同構成の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置を具備する構成を採る。
【0034】この構成によれば、基地局装置において、上記いずれかと同様の作用効果を得ることができる。
【0035】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法は、上位局装置からダウンロードの指示を受信した際に、上位局装置から新規ソフトウェア管理情報を受信して格納し、この格納された新規ソフトウェア管理情報と既に格納された既存ソフトウェア管理情報の同一ソフトウェアのバージョンを比較して、バージョンが異なるソフトウェアのリストを作成し、このリストで示されるソフトウェアを上位局装置から受信して格納するようにした。
【0036】この方法によれば、通信装置で使用するソフトウェアのうち、バージョンが異なるソフトウェアのみをダウンロードすれば済むので、通信装置の全ソフトウェアをダウンロードするのに比べて、短時間でダウンロードすることが可能となる。更に、ソフトウェアのバージョン比較は各通信装置自体が行なうので、多数の通信装置を対象とする場合でも上位局装置の処理負担が少なく、対象とする通信装置に多様なハードウェア構成の装置が混在していても上位局装置は区別する必要が無くなる。
【0037】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法は、上記方法において、上位局装置から新バージョンのソフトウェアを活性化する指示を行い、この指示に応じて前記新バージョンのソフトウェアを活性化するようにした。
【0038】この方法によれば、ダウンロード領域に格納された新バージョンのソフトウェアを、上位局装置からの指示によって活性化を行ない、新ソフトウェアで動作させることが可能となるので、複数の通信装置でのソフトウェアのバージョンアップの反映時期を揃えることが可能となる。
【0039】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法は、上記方法において、使用中のバージョンのソフトウェアを格納する格納領域を通信処理用の複数のカードに具備し、上位局装置からカードを指定して新バージョンのソフトウェアを活性化する指示があった場合に、該当ソフトウェアを前記指定されたカードの格納領域へ転送したのち活性化を行うようにした。
【0040】この方法によれば、既に格納された新バージョンのソフトウェアに対して、適切なタイミングで上位局装置から指示を出すことで活性化を行ない、該当カードを新ソフトウェアで動作させることが可能となり、複数の通信装置でのソフトウェアのバージョンアップの反映時期をそろえることが可能となる。
【0041】本発明の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法は、上記方法において、カードが現用/待機系の冗長構成である場合に、一方のカードの基本機能が正常であることを確認し、正常で有れば前記冗長構成カードの運用系と待機系を切替えるようにした。
【0042】この方法によれば、まず、待機系カードに活性化指示をして、バージョンアップを行ない、基本機能を確認してから、運用系カードと待機系カードの切替えを行ない、新待機系カードのバージョンアップを行なうことができるので、通信装置のサービスを停止させること無く、ソフトウェアのバージョンアップを行なうことが可能である。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0044】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図である。
【0045】この図1に示す基地局装置100は、CPUやDSPを搭載し、無線送受信やベースバンド信号処理等の機能を実現する各種カード101〜104及び、各カード101〜104間で制御信号やデータを伝送するためのバス105を備え、第1カード101に本発明の特徴要素であるソフトウェアのバージョンアップ処理装置110を備えて構成されている。
【0046】バージョンアップ処理装置110は、ダウンロード領域111と、指示受信手段112と、データ受信手段113と、バージョン比較手段114を備えて構成されている。
【0047】但し、第1カード101にバージョンアップ処理装置110を備えたが、他のカード102〜104に備えてもよい。更に、バージョンアップ処理装置110の各構成要素111〜114を同一カード101に備える構成としたが、複数カードで実現してもよい。
【0048】また、基地局装置100で使用するソフトウェアは、複数のソフトウェア・モジュールから構成される。
【0049】図2は、ソフトウェア管理情報の例であり、基地局装置100で使用するソフトウェア全体のバージョンを表す統括バージョン、各ソフトウェア・モジュール1,2,3…の識別名とそのバージョンから構成される。
【0050】ソフトウェア・モジュールの例は、各カードを動作させるためのソフトウェアである。この場合、各ソフトウェア・モジュールの識別名の例は、カードの種別を特定する文字列である。
【0051】次に、バージョンアップ処理装置110の各構成要素111〜114の役割を述べる。
【0052】指示受信手段112は、図示せぬ上位局装置(例えば交換局装置)からダウンロードの指示を受け付けるものである。その指示には、ダウンロード対象の基地局装置ソフトウェアの統括バージョン情報を含む。
【0053】ダウンロード領域111は、上位局装置から転送されたソフトウェアとソフトウェア管理情報を格納するものである。
【0054】データ受信手段113は、上位局装置から転送されたデータを受信してダウンロード領域111へ格納するものである。
【0055】バージョン比較手段114は、新たにダウンロード領域111に格納したソフトウェア管理情報と既にダウンロード領域に格納されていたソフトウェア管理情報の同一ソフトウェア・モジュールのバージョンを比較し、バージョンが異なるソフトウェア・モジュールのリストを作成するものである。
【0056】但し、新ソフトウェア管理情報に含まれるバージョンと、実際にダウンロード領域に格納されているソフトウェア・モジュール内のバージョンとを比較してもよい。
【0057】なお、上位局装置も、ソフトウェア管理情報やソフトウェア・モジュールを格納する領域、データ送信手段、指示送信手段など、基地局装置100のバージョンアップ処理装置110に対向する手段を備えているものとする。
【0058】次に、上位局装置から基地局装置100へソフトウェアがダウンロードされる場合の処理動作を、図3に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0059】まず、ステップST301において、上位局装置が、統括バージョンを指定してバージョンアップ対象の基地局装置100にソフトウェア管理情報の取得指示を出す。
【0060】基地局装置100の指示受信手段112がその指示を受け取ると、データ受信手段113は、上位局装置とのデータ転送経路を確立する。これは、転送対象データの指定を含む。
【0061】この確立後、データ受信手段113は、ステップST302において、上位局装置から転送された上記指示の統括バージョンのソフトウエア管理情報を受信し、ステップST303において、ダウンロード領域に格納する。
【0062】次に、ステップST304において、バージョン比較手段114が、ダウンロード領域111に格納された既存ソフトウェア管理情報と今回新たにダウンロード領域111に格納されたソフトウェア管理情報の同一ソフトウェア・モジュールのバージョンとを比較し、バージョンが異なるソフトウェア・モジュールのリストを作成する。
【0063】次に、データ受信手段113は、上位局装置とのデータ転送経路を確立し、上記リストの全ソフトウェア・モジュールについて、上位局装置と転送対象データの指定を行い、この指定に応じステップST305において、上位局装置から新バージョンのソフトウェア・モジュール・データの転送が行われると、ステップST306において、それをダウンロード領域111へ格納する。これらが順次行われる。
【0064】このとき、ステップST307〜ST308において、ダウンロード領域111に格納されている旧バージョンのソフトウェア・モジュールをダウンロード領域から削除してもよい。
【0065】但し、全モジュールのダウンロードが終わった後に旧統括バージョンのソフトウェア管理情報をダウンロード領域111から削除してもよい。
【0066】最後に、ステップST309において、一連のダウンロード処理が終了したことを基地局装置100から上位局装置に通知する。この通知は、例えばデータ受信手段113が行なう。
【0067】このように、実施の形態1の基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置110によれば、基地局装置100で使用するソフトウェアのうち、バージョンが異なるソフトウェア・モジュールのみをダウンロードすれば済むので、基地局装置100の全ソフトウェアをダウンロードするのに比べて、短時間でダウンロードすることが可能となる。
【0068】また、ソフトウェア・モジュールのバージョン比較を各基地局装置100が行なうので、多数の基地局装置100を対象とする場合でも上位局装置の処理負担が少ない。
【0069】また、ダウンロードされた新ソフトウェア管理情報に、当該基地局装置100に存在しないモジュールが記載されていても、バージョン比較の結果に生成されるリストには含まれない。
【0070】このため、対象とする基地局装置100に多様なハードウェア構成の装置が混在していても上位局装置は区別する必要が無い。つまり、1つの統括バージョンについて、全基地局装置100で使用されるモジュールに関する情報を含むソフトウェア管理情報を1つ用意すれば済む。
【0071】(実施の形態2)図4は、本発明の実施の形態2に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図である。但し、この図4に示す実施の形態2において図1の実施の形態1の各部に対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0072】この図4に示す基地局装置400が、実施の形態1の基地局装置100と異なる点は、バージョンアップ処理装置410に活性化制御手段415を追加して構成し、更に各カード101〜104が現動作バージョン格納領域416を備えたことにある。但し、第1カード101には現動作バージョン格納領域416を図示していない。
【0073】また、指示受信手段112は、ダウンロードの指示の他に、活性化の指示を上位局装置から受け付けるように成されている。
【0074】活性化制御手段415は、指定されたカードのソフトウェアをダウンロード領域111から該当カードの現動作バージョン格納領域416へ転送し、該当カードに活性化指示を出すものである。
【0075】但し、活性化のためには、例えば該当するカードのリセットを行なう。各カードは、リセット後、自カードの現動作バージョン格納領域416から、自カードを動作させるためのソフトウェアを読み込み、図示せぬ主記憶手段上に展開するようになっている。
【0076】次に、基地局装置400にダウンロードされたソフトウェアの活性化を行う場合の処理動作を、図5R>5に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0077】但し、図5に符号500で示すように、実施の形態1で説明したダウンロード処理が終了した状態であるとする。
【0078】ステップST501において、上位局装置が、バージョンアップ対象のカードを指定して活性化指示を出す。
【0079】この指示をバージョンアップ処理装置410の指示受信手段112が受け取ると、活性化制御手段415は、ステップST502において、ダウンロード領域111に格納されたソフトウェアを該当のカード(例えば102)の現動作バージョン格納領域416へ転送し、ステップST503において、そのカード102に活性化指示を出す。
【0080】但し、ステップST502及びST503では、上位局装置からの活性化指示の際に対象カードを指定したが、特に指定せず、活性化が必要な全てのカードについて、その処理を繰り返しても良い。
【0081】これによって、ステップST504において、該当カードが新バージョンのソフトウェアで動作を開始する。この開始後、ステップST505において、データ受信手段113から上位局装置へ活性化の終了通知を転送する。
【0082】このように、実施の形態2の基地局装置400におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置410によれば、ダウンロード領域111に格納された新しいバージョンのソフトウェアに対し、適切なタイミングで上位局装置から指示を出すことで活性化を行ない、該当カードを新しいソフトウェアで動作させることが可能である。
【0083】また、上位局装置からダウンロードされても、活性化指示が出されていない時は、旧バージョンで動作する。例えば、新バージョンがダウンロード領域111にダウンロードされている状態で、活性化指示が出されていない時に、リセットされたとしても、現動作バージョン格納領域416に格納された旧バージョンのソフトウェアで起動する。
【0084】これにより、全基地局装置400をできるだけ一斉にバージョンアップさせることで、ソフトウェアのバージョンの違いによりサービスが不均一になることを防ぐことを可能にする。
【0085】まず、実施の形態1のような方法で、全基地局装置400に新バージョンのソフトウェアをダウンロードする。基地局装置400が多数の場合は、上位局装置の処理能力とネットワークの帯域の制限から、一斉にダウンロードすることは困難である。しかし、活性化指示は全基地局装置400に対して短時間で行なうことが可能なため、新しいバージョンの反映時期をそろえることが可能である。
【0086】特に、複数の基地局装置400が協調して動作する必要がある場合、例えばハンドオーバーを行う場合、ソフトウェアのバージョンアップの時期を可能な限り揃えることが望ましく、本実施の形態2の方法が有効である。
【0087】(実施の形態3)図6は、本発明の実施の形態3に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図である。但し、この図6に示す実施の形態3において図1の実施の形態1の各部に対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0088】この図6に示す基地局装置600が、実施の形態1の基地局装置100と異なる点は、バージョンアップ処理装置610に、実施の形態2で説明済みの図2R>2に示した活性化制御手段415及び現動作バージョン格納領域416を備え、バージョンアップ処理装置610が搭載されていない他のカード102〜104に、ソフトウェアロード手段617を備えたことにある。
【0089】ソフトウェアロード手段617は、活性化制御手段415から活性化指示を受けると、バージョンアップ処理装置610の現動作バージョン格納領域416からバス105を介して、自カードを動作させるためのソフトウェアを読み込み、主記憶上に展開するものである。
【0090】次に、基地局装置600にダウンロードされたソフトウェアの活性化を行う場合の処理動作を、図7R>7に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0091】但し、図7に符号700で示すように、実施の形態1で説明したダウンロード処理が終了した状態であるとする。
【0092】ステップST701において、上位局装置が、バージョンアップ対象のカードを指定して活性化指示を出す。
【0093】この指示をバージョンアップ処理装置610の指示受信手段112が受け取ると、活性化制御手段415は、ステップST702において、ダウンロード領域111に格納されたソフトウェアを現動作バージョン格納領域416へ転送し、ステップST703において、指定カード(例えば102)に活性化指示を出す。
【0094】ステップST704において、該当カード102のソフトウェアロード手段617は、現動作バージョン格納領域416からバス105を介して、自カードを動作させるためのソフトウェアを読み込み起動する。
【0095】これによって、ステップST705において、該当カードが新バージョンのソフトウェアで動作を開始する。この開始後、ステップST706において、データ受信手段113から上位局装置へ活性化の終了通知を転送する。
【0096】このように、実施の形態3の基地局装置600におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置610によれば、ダウンロード領域111に格納された新しいバージョンのソフトウェアに対し、適切なタイミングで上位局装置から指示を出すことで活性化を行ない、該当カードを新しいプログラムで動作させることが可能である。上位局装置からダウンロードされても、活性化指示が出されていない時は、リセットされたとしても、旧バージョンで動作する。
【0097】これにより、実施の形態2で述べたことと同様の効果を得ることが可能である。それに加えて、基地局装置600に同じタイプのカード102〜104が複数枚ある場合、実施の形態2では、各カード102〜104の現動作バージョン格納領域416にそれぞれソフトウェアを持つ必要があったが、本実施の形態3では、1つの現動作バージョン格納領域416にのみ持てば済むので、基地局装置600のトータルの記憶領域を削減することが可能である。
【0098】(実施の形態4)図8は、本発明の実施の形態4に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図である。但し、この図8に示す実施の形態4において図4の実施の形態2の各部に対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0099】この図8に示す基地局装置800が、実施の形態2の基地局装置400と異なる点は、バージョンアップ処理装置810に、冗長カード切替手段818を備え、また、各カード101〜104が、第2カード102−1,102−2を代表して示すように、運用/待機系の冗長構成となっており、基本動作チェック手段819を備えて構成されていることにある。
【0100】以下、第2カード102−1を運用系カード102−1、第2カード102−2を待機系カード102−2とよぶ。また、運用系カード102−1は、通常有効な動作を行ない、待機系カード102−2は、障害発生時などに切り替えて運用する代替カードである。
【0101】冗長カード切替手段818は、指示されたカードの運用系と待機系の切替えを行なうためのものである。
【0102】基本動作チェック手段819は、現動作バージョン格納領域416に格納されたソフトウェアで起動後、そのソフトウェアとカードとで実現される基本機能が正常であることを確認するためのものである。
【0103】例えば、この手段819を、新バージョンのソフトウェア自身が実現する、或いは、正常に動作していた旧バージョンのソフトウェアのチェック機能を残しておくことで実現する。更に、基本動作チェック手段819は、基本動作チェックの結果を、活性化制御手段へ伝えるようになっている。
【0104】次に、基地局装置800にダウンロードされたソフトウェアの活性化を行う場合の処理動作を、図9R>9に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0105】但し、図9に符号900で示すように、実施の形態1で説明したダウンロード処理が終了した状態であるとする。
【0106】ステップST901において、上位局装置が、バージョンアップ対象のカードを指定して活性化指示を出す。
【0107】この指示をバージョンアップ処理装置810の指示受信手段112が受け取ると、活性化制御手段415は、ステップST902において、ダウンロード領域111に格納されたソフトウェアを、該当の待機系カード102−2の現動作バージョン格納領域416へ転送し、ステップST903において、その待機系カード102−2に活性化指示を出す。
【0108】これによって、ステップST904において、待機系カード102−2が新バージョンのソフトウェアで起動する。この起動後、ステップST905において、基本動作チェック手段819によるチェックを行い、この結果を活性化制御手段415に伝える。
【0109】その結果がOKの時は、ステップST906において、活性化制御手段415は、冗長カード切替手段818に指示して、カードの運用系と待機系を切り替える。
【0110】続いて、ステップST907において、活性化制御手段415は、ダウンロード領域111に格納されたソフトウェアを、該当の新待機系カード(旧運用系カード102−1)へ転送し、ステップST908において、同カード102−1へ活性化指示を出す。
【0111】これによって、ステップST909において、該当カードが新バージョンのソフトウェアで動作を開始する。この開始後、ステップST910において、データ受信手段113から上位局装置へ活性化の終了通知を転送する。
【0112】一方、上記結果がNGの場合は、活性化制御手段415は、冗長カード102−1,102−2の切替えを指示せず、上位局装置に活性化処理に失敗したことを通知する。
【0113】このように、実施の形態4の基地局装置800におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置810によれば、基地局装置800のサービスを停止させること無く、ソフトウェアのバージョンアップを行なうことが出来る。更に、新バージョンのソフトウェアの基本動作チェックを行なってからサービスを開始できるので、新バージョンソフトウェアに障害があったとしてもそれでサービスを開始してしまうことを防ぐことができる。
【0114】(実施の形態5)図10は、本発明の実施の形態5に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図である。但し、この図10に示す実施の形態5において図4の実施の形態2の各部に対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0115】この図10に示す基地局装置1000が、実施の形態2の基地局装置400と異なる点は、バージョンアップ処理装置1010に、資源割当手段1019を備え、また、各カード101〜104,106,107の内、第1〜第3カード101〜103が、同機能のカードで冗長構成が取られている場合に、実施の形態4で説明済みの図8に示した基本動作チェック手段819を備えて構成されていることにある。
【0116】資源割当手段1019は、指示されたカードで実施しているサービスを同じ種類の他のカードで実施させ、元のカードではサービスを停止させるものである。
【0117】次に、基地局装置1000にダウンロードされたソフトウェアの活性化を行う場合の処理動作を説明する。但し、複数の冗長構成カード101〜103で負荷分散している場合である。
【0118】上位局装置が、バージョンアップ対象のカード(の種類)を指定して活性化指示を出す。基地局装置1000の指示受信手段112が、その指示を受け取ると、資源割当手段1019は、指定された種類のカード102の1枚のサービスを他のカード103で実施させ、元のカード102のサービスを停止させる。
【0119】活性化制御手段415は、ダウンロード領域111に格納されたソフトウェアをサービス停止中のカード102の現動作バージョン格納領域416へ転送し、活性化する。
【0120】サービス停止中のカード102が新ソフトウェアで起動後、基本動作チェック手段819によるチェックを行い、この結果を活性化制御手段415に伝える。上記結果がOKの場合、活性化制御手段415は、資源割当手段1019に指示して、別のカード103のサービスをそれ以外のカード(例えば、バージョンアップが済んだカード)104に実施させる。
【0121】活性化制御手段415は、新たにサービスが停止中となったカード103の現動作バージョン格納領域416へ、ダウンロード領域111からソフトウェアを転送し、活性化する。
【0122】以後、該当する種類の全カードに対してダウンロードと活性化を行なって行く。もしも、1枚目のカード102で基本動作機能チェックを行なった結果がNGだった場合は、活性化制御手段415は、以降の資源割当手段1019への指示は行わず、上位局装置に活性化処理に失敗したことを通知する。
【0123】このように、実施の形態5の基地局装置1000におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置1010によれば、基地局装置1000のサービスを停止させること無く、ソフトウェアのバージョンアップを行なうことが出来る。更に、新バージョンのソフトウェアの基本動作チェックを行なってからサービスを開始できるので、新バージョンソフトウェアに障害があったとしてもそれでサービスを開始してしまうことを防ぐことができる。
【0124】(実施の形態6)図11は、本発明の実施の形態6に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図である。但し、この図11に示す実施の形態6において図6の実施の形態3の各部に対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0125】この図11に示す基地局装置1100が、実施の形態3の基地局装置600と異なる点は、バージョンアップ処理装置1110に、2つのダウンロード領域1111,1112を備え、2種類の統括バージョンを格納できるようにしたことにある。但し、各ダウンロード領域1111,1112は、ソフトウェア管理情報とソフトウェア・モジュールの一式が格納できるようになっている。
【0126】また、本実施の形態6の場合、指示受信手段112は、上位局装置から活性化指示を受ける時、どの統括バージョンで活性化させるかの指示も受けられる。活性化制御手段415は、どの統括バージョンで活性化するかの指示に応じて、何れのダウンロード領域1111,1112を対象にするかを決定できるようになっている。
【0127】このような構成におけるダウンロード処理は、基本的には実施の形態1と同じである。
【0128】但し、転送開始前に、現動作バージョン格納領域416に格納されている統括バージョンと同じ物(管理情報およびソフトウェア)を、ダウンロード領域1111,1112の何れかの領域に確保する。この確保された領域を、ここでは、バックアップ領域と呼ぶ。
【0129】現動作バージョンと同じ統括バージョンを格納している領域があればそちらをバックアップ領域とする。なければ、現動作バージョン格納領域416から何れかのダウンロード領域1111,1112にコピーする。
【0130】もしも、ダウンロード指定したバージョンと同じバージョンが何れか一方のダウンロード領域1111又は1112にあれば、その領域でない方の領域にコピーする。これは、上位局装置からのダウンロード指示の統括バージョンが既に何れか一方のダウンロード領域1111又は1112に存在していればダウンロードは不要であるため。
【0131】活性化処理は、基本的に実施の形態3と同じである。但し、本実施の形態6では、新バージョンで動作を開始後に、問題があればバックアップ領域のバージョンのソフトウェアで再度、活性化をやりなおせば、容易にもとのバージョンに戻すことが可能である。
【0132】このように、実施の形態6の基地局装置1100におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置1110によれば、バージョンアップしたソフトウェアに問題があった場合でも、容易に元のバージョンのソフトウェアでの運用に戻すことが可能である。
【0133】なお、活性化制御手段415を設け、新バージョンで活性化後、問題が発生した場合、例えば、カードの再起動が出来なくなった等の場合、活性化制御手段415がそれを検出し、活性化制御手段に旧バージョンで再活性化させる指示を出し、元のバージョンの戻してもよい。この場合、問題が生じた場合でも、上位局装置から指示しなくても元の状態に自動的に復旧する。
【0134】(実施の形態7)図12は、本発明の実施の形態7に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図である。但し、この図12に示す実施の形態7において図11の実施の形態6の各部に対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0135】この図12に示す基地局装置1200が、実施の形態6の基地局装置1000と異なる点は、実施の形態6の構成の2つのダウンロード領域1111,1112について、一方を新バージョン用ダウンロード領域1211、他方を旧バージョン用ダウンロード領域1212に固定したものである。
【0136】また、本実施の形態7の場合、指示受信手段112は、ダウンロードの指示を上位局装置から受け付ける時、ダウンロード先の領域を、新バージョン用ダウンロード領域1211にするか、旧バージョン用ダウンロード領域1212にするかを指定できる。
【0137】データ受信手段113は、その指定に従ったダウンロード先へ格納する。また、指示受信手段112は、上位局装置から活性化指示を受ける時、新旧どちらの領域のバージョンで活性化させるかの指示も受けられる。活性化制御手段415は、その指示に従ってどちらのダウンロード領域を対象にするかを決定できるようになっている。
【0138】このような構成におけるダウンロード処理は、基本的には実施の形態1と同じである。
【0139】但し、本処理と並行して、現動作バージョン格納領域416に格納されている統括バージョンと同じ物(管理情報およびソフトウェア)を、旧バージョン用ダウンロード領域1212に確保する。この際、必要に応じてコピーする。
【0140】或いは、上位局装置から、新バージョン用ダウンロード領域1211と旧バージョン用ダウンロード領域1212の双方に異なるバージョンのソフトウェアをダウンロードしてもよい。例えば、前者は、バージョンアップしたい新バージョン、後者は、確実に動作した実績のある旧バージョンなど。
【0141】活性化処理は、基本的に実施の形態3と同じである。但し、本実施の形態7では、新バージョンで動作を開始後に、問題があれば旧バージョン用ダウンロード領域1212のバージョンのソフトウェアで再度、活性化をやりなおせば、容易にもとのバージョンに戻すことが可能である。
【0142】このように、実施の形態7の基地局装置1200におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置1210によれば、バージョンアップしたソフトウェアに問題があった場合でも、容易に元のバージョンのソフトウェアでの運用に戻すことが可能である。更に、バックアップ用の旧バージョンを上位局装置から指定してあらかじめダウンロードしておくことが可能である。
【0143】(実施の形態8)図13は、本発明の実施の形態8に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図である。但し、この図13に示す実施の形態8において図6の実施の形態3の各部に対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0144】この図13に示す基地局装置1300が、実施の形態3の基地局装置600と異なる点は、バージョンアップ処理装置1310に、実施の形態3の構成に加え、新バージョンソフトウェア管理情報格納領域1311と、旧バージョンソフトウェア管理情報格納領域1312と、モジュールバージョン指定手段1313とを備えたことにある。
【0145】モジュールバージョン指定手段1313は、ソフトウェア・モジュールの識別名とバージョンの組からなる情報により、該当するバージョンの該当ソフトウェア・モジュールを、ダウンロード領域から検索するものである。
【0146】指示受信手段112の機能は、実施の形態3と同様であるが、次の機能を追加したものである。ダウンロードの指示を上位局装置から受け付ける時、ソフトウェア管理情報の格納先の領域を、新バージョンソフトウェア管理情報格納領域1311にするか、旧バージョンソフトウェア管理情報格納領域1312にするかを指定できる。
【0147】更に、指示受信手段112は、上位局装置から活性化指示を受ける時、新旧何れのバージョンのソフトウェア管理情報に基づいて活性化させるかの指示も受けられるようになっている。
【0148】また、活性化制御手段415は、指示受信手段112から伝えられる、新旧何れのバージョンで活性化するかの指示に従って、該当するバージョンのソフトウェア管理情報をもとに、モジュールバージョン指定手段1313を利用してダウンロード領域111から現動作バージョン格納領域416へ、指定されたカードのソフトウェアを転送する。その後、該当カードに活性化指示を出すようになっている。
【0149】バージョン比較手段114は、何れかの格納領域1311,1312に格納された転送ソフトウェア管理情報に記載のバージョン(各ソフトウェア・モジュール)と、実際にダウンロード領域111に格納されているソフトウェア・モジュール内のバージョン情報を参照してバージョンを比較し、バージョンが異なるソフトウェア・モジュールのリストを作成するようになっている。
【0150】次に、上位局装置から基地局装置1300へソフトウェアがダウンロードされる場合の処理動作を、図14に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0151】まず、ステップST1401において、上位局装置が、新旧何れかの格納領域1311,1312を指定してバージョンアップ対象の基地局装置1300にソフトウェア管理情報の取得指示を出す。
【0152】基地局装置1300の指示受信手段112がその指示を受け取ると、データ受信手段113は、上位局装置とのデータ転送経路を確立する。これは、転送対象データの指定を含む。
【0153】この確立後、データ受信手段113は、ステップST1402において、上位局装置から転送された上記指示の統括バージョンのソフトウエア管理情報を受信し、ステップST1403において、ダウンロード領域に格納する。
【0154】即ち、現動作バージョン格納領域416に格納されている統括バージョンのソフトウェア管理情報を、旧バージョンソフトウェア管理情報格納領域1312にコピーするとともに、現動作バージョン格納領域416に格納されているバージョンの各ソフトウェア・バージョンをダウンロード領域111に確保する。又は必要に応じてコピーする。
【0155】或いは、上位局装置から、新バージョンと旧バージョンの両方の統括バージョンのソフトウェアをダウンロードしてもよい。たとえば、前者は、バージョンアップしたい新バージョン、後者は、確実に動作した実績のある旧バージョンなど。
【0156】次に、ステップST1404において、バージョン比較手段114が、ダウンロード領域111に格納された既存ソフトウェア管理情報と今回新たにダウンロード領域111に格納されたソフトウェア管理情報の同一ソフトウェア・モジュールのバージョンとを比較し、バージョンが異なるソフトウェア・モジュールのリストを作成する。
【0157】次に、データ受信手段113は、上位局装置とのデータ転送経路を確立し、上記リストの全ソフトウェア・モジュールについて、上位局装置と転送対象データの指定を行い、この指定に応じステップST1405において、上位局装置から新バージョンのソフトウェア・モジュール・データの転送が行われると、ステップST1406において、それをダウンロード領域111へ格納する。これらが順次行われる。
【0158】最後に、ステップST1407において、一連のダウンロード処理が終了したことを基地局装置1300から上位局装置に通知する。この通知は、例えばデータ受信手段113が行なう。
【0159】活性化処理は、基本的に実施の形態3と同じである。但し、本実施の形態8では、新バージョンで動作を開始後に、問題があれば旧バージョンのバージョンのソフトウェアで再度、活性化をやりなおせば、容易にもとのバージョンに戻すことが可能である。
【0160】このように、実施の形態8の基地局装置1300におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置1310によれば、バージョンアップしたソフトウェアに問題があった場合でも容易に元のバージョンのソフトウェアでの運用に戻すことが可能となる。
【0161】更に、バックアップ用の旧バージョンを上位局装置からあらかじめダウンロードしておくことが可能である。また、実施の形態6又は7と異なり、新旧の両統括バージョンを構成するソフトウェア・モジュールで同一バージョンのものを重複して持つ必要がないので、基地局装置1300のソフトウェア格納領域を減らすことが可能である。
【0162】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、多数の通信装置(例えば基地局装置)のソフトウェアをバージョンアップする必要時に新バージョンのソフトウェアを上位局装置から全通信装置へダウンロードする所要時間を極力短くすることができ、上位局装置の処理量を極力減らすことができ、また、複数の通信装置が協調動作を行う必要時にソフトウェアのバージョンアップタイミングを可能な限り揃えることができ、更に必要時以外にバージョンアップされないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置のダウンロード領域に格納されるソフトウェア管理情報の構成図
【図3】実施の形態1に係る通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置によるダウンロード処理の動作を説明するためのシーケンス図
【図4】本発明の実施の形態2に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図
【図5】実施の形態2に係る通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置による活性化処理の動作を説明するためのシーケンス図
【図6】本発明の実施の形態3に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図
【図7】実施の形態3に係る通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置による活性化処理の動作を説明するためのシーケンス図
【図8】本発明の実施の形態4に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図
【図9】実施の形態4に係る通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置による活性化処理の動作を説明するためのシーケンス図
【図10】本発明の実施の形態5に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図
【図11】本発明の実施の形態6に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図
【図12】本発明の実施の形態7に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図
【図13】本発明の実施の形態8に係る基地局装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置の構成を示すブロック図
【図14】実施の形態8に係る通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置によるダウンロード処理の動作を説明するためのシーケンス図
【符号の説明】
100,400,600,800,1000,1100,1200,1300基地局装置
101〜104,106,107 カード
102−1 運用系カード
102−2 待機系カード
105 バス
110,410,610,810,1010,1110,1210,1310バージョンアップ処理装置
111 ダウンロード領域
112 指示受信手段
113 データ受信手段
114 バージョン比較手段
415 活性化制御手段
416 現動作バージョン格納領域
617 ソフトウェアロード手段
818 冗長カード切替手段
819 基本動作チェック手段
1019 資源割当手段
1111 第1ダウンロード領域
1112 第2ダウンロード領域
1211 新バージョン用ダウンロード領域
1212 旧バージョン用ダウンロード領域
1311 新バージョンソフトウェア管理情報格納領域
1312 旧バージョンソフトウェア管理情報格納領域
1313 モジュールバージョン指定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 上位局装置から転送されるソフトウェア及びソフトウェア管理情報を格納するダウンロード領域と、このダウンロード領域に格納された既存ソフトウェア管理情報と今後格納される新規ソフトウェア管理情報に示される同一ソフトウェアのバージョンを比較し、バージョンが異なるソフトウェアのリストを作成するバージョン比較手段と、上位局装置からダウンロードの指示があった場合、上位局装置から新規ソフトウェア管理情報を受信して前記ダウンロード領域へ格納すると共に、前記リストで示されるソフトウェアを上位局装置から受信して格納するデータ受信手段と、を具備することを特徴とする通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置。
【請求項2】 上位局装置から転送されるソフトウェアは、各々にバージョンが付与された複数のソフトウェア・モジュールから構成され、ソフトウェア管理情報は、前記複数のソフトウェア・モジュールの識別名とそのバージョンから構成されることを特徴とする請求項1記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置。
【請求項3】 使用中のバージョンのソフトウェアを格納する現動作バージョン格納領域を通信処理用の複数のカードに具備し、上位局装置からカードを指定して新バージョンのソフトウェアを活性化する指示があった場合に、該当ソフトウェアをダウンロード領域から前記指定されたカードの前記現動作バージョン格納領域へ転送したのち活性化を指示する活性化制御手段とを具備することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置。
【請求項4】 使用中のバージョンのソフトウェアを格納する現動作バージョン格納領域と、上位局装置から通信処理用のカードを指定して新バージョンのソフトウェアを活性化する指示があった場合に、該当ソフトウェアをダウンロード領域から前記現動作バージョン格納領域へ転送したのち前記指定されたカードへ活性化を指示する活性化制御手段とを具備し、前記カードが、前記活性化の指示を受けた際に前記現動作バージョン格納領域から自カードを動作させるためのソフトウェアを読み込むソフトウェアロード手段を具備することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置。
【請求項5】 カードは、現用/待機系の冗長構成である場合に、自カードの基本機能が正常であることを確認する基本動作チェック手段を具備し、前記基本動作チェック手段による確認の結果が正常で有れば、前記冗長構成カードの運用系と待機系を切替える冗長カード切替え手段を具備することを特徴とする請求項3記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置。
【請求項6】 カードは、複数枚から成る冗長構成を取り各カードに負荷分散させている場合に、自カードの基本機能が正常であることを確認する基本動作チェック手段を具備し、前記基本動作チェック手段による確認の結果が正常で有れば、上位局装置で指示されたカードで実施中のサービスを同じ種類の他のカードで実施させ、この際に元のカードではサービスを停止させる資源割当手段を具備することを特徴とする請求項3記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置。
【請求項7】 ダウンロード領域を複数具備し、活性化制御手段は、上位局装置からの何れのバージョンで活性化するかの指示に応じた前記ダウンロード領域を活性化制御の対象とすることを特徴とする請求項4記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置。
【請求項8】 2つのダウンロード領域について、一方を新バージョン用、他方を旧バージョン用に固定したことを特徴とする請求項7記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置。
【請求項9】 新バージョンソフトウェア管理情報の格納領域と、旧バージョンソフトウェア管理情報の格納領域と、ソフトウェアの識別名とバージョンの組からなる情報により、該当するバージョンの該当ソフトウェアを、ダウンロード領域から検索するモジュールバージョン指定手段を具備することを特徴とする請求項4記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置。
【請求項10】 請求項1から請求項9いずれかに記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理装置を具備することを特徴とする基地局装置。
【請求項11】 上位局装置からダウンロードの指示を受信した際に、上位局装置から新規ソフトウェア管理情報を受信して格納し、この格納された新規ソフトウェア管理情報と既に格納された既存ソフトウェア管理情報の同一ソフトウェアのバージョンを比較して、バージョンが異なるソフトウェアのリストを作成し、このリストで示されるソフトウェアを上位局装置から受信して格納することを特徴とする通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法。
【請求項12】 上位局装置から新バージョンのソフトウェアを活性化する指示を行い、この指示に応じて前記新バージョンのソフトウェアを活性化することを特徴とする請求項11記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法。
【請求項13】 使用中のバージョンのソフトウェアを格納する格納領域を通信処理用の複数のカードに具備し、上位局装置からカードを指定して新バージョンのソフトウェアを活性化する指示があった場合に、該当ソフトウェアを前記指定されたカードの格納領域へ転送したのち活性化を行うことを特徴とする請求項11記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法。
【請求項14】 カードが現用/待機系の冗長構成である場合に、一方のカードの基本機能が正常であることを確認し、正常で有れば前記冗長構成カードの運用系と待機系を切替えることを特徴とする請求項13記載の通信装置におけるソフトウェアのバージョンアップ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2002−123398(P2002−123398A)
【公開日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−316323(P2000−316323)
【出願日】平成12年10月17日(2000.10.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】