説明

通信装置及び通信システム

【課題】通信ネットワークを介して音声通信及び映像通信を行う際に、予め与えられた帯域を利用者のニーズに合わせて有効利用することのできる技術を提供する。
【解決手段】端末の制御部は、通信ネットワークを介して音声通信及び映像通信を行う際に、通信に与えられた帯域において音声信号と映像信号の帯域配分を決定する。このとき、制御部は、マイクロホンによって収音された音声を表す音声データ及び他の端末から受信された音声データの少なくともいずれか一方を解析し、解析結果に応じて、音圧が大きいほど音声の帯域配分が大きくなるように、帯域配分を決定する。制御部は、決定した帯域配分に応じた帯域を用いて音声通信及び映像通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信網を介して接続された複数の通信端末を用いて会議を行う遠隔会議システムが普及している。また、通信帯域を制御する方法として、特許文献1には、音声呼のトラフィックに応じたデータ呼の回線帯域の有効活用率を引き上げる方法が提案されている。特許文献1に記載の技術によれば、通信帯域の割付方式において、通信帯域を音声系端末用通信帯域とデータ系端末用通信帯域に分割して使用し、通信帯域の音声呼量に応じて通信帯域における音声系用通信帯域とデータ系端末用通信帯域の割合をリアルタイムに変動させる。
【特許文献1】特開平10−294788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、通信状況といった内的要因による使用帯域の割合の制御しかできない。
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、通信ネットワークを介して音声通信及び映像通信を行う際に、予め与えられた帯域を利用者のニーズに合わせて有効利用することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、通信ネットワークを介して音声通信及び映像通信を行う際に、映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方を解析し、解析結果に応じて、通信に与えられた帯域について前記音声信号と前記映像信号の帯域配分を決定する帯域配分決定手段と、前記帯域配分決定手段によって決定された帯域配分に応じた帯域を用いて音声通信及び映像通信を行う通信手段とを具備することを特徴とする通信装置を提供する。
【0005】
また、本発明の更に好ましい態様において、前記帯域配分と通信の種別との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、前記通信の種別を取得する取得手段とを具備し、前記帯域配分決定手段は、前記対応関係記憶手段の記憶内容を参照して、前記取得手段によって取得された種別に対応する帯域配分を決定してもよい。
【0006】
また、本発明の更に好ましい態様において、前記帯域配分決定手段によって決定された帯域配分の履歴を記憶する履歴記憶手段を具備し、前記帯域配分決定手段は、前記履歴記憶手段に記憶された履歴を参照して前記帯域配分を決定してもよい。
【0007】
また、本発明は、複数の端末と中継装置とが通信ネットワークを介して接続された通信システムにおいて、前記複数の端末の各々は、前記通信ネットワークを介して音声通信及び映像通信を行う際に、映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方を解析し、解析結果に応じて、通信に与えられた帯域について前記音声信号と前記映像信号の帯域配分を決定する帯域配分決定手段と、前記帯域配分決定手段によって決定された帯域配分に応じた帯域を用いて音声通信及び映像通信を行う通信手段とを具備し、前記中継装置は、前記端末から送信されてくる音声信号及び映像信号の少なくともいずれか一方の圧縮率を変換する圧縮率変換手段と、前記圧縮率変換手段によって変換された信号を、送信先の端末へ送信する送信手段とを具備することを特徴とする通信システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信ネットワークを介して音声通信及び映像通信を行う際に、予め与えられた帯域を利用者のニーズに合わせて有効利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<構成>
図1は、この発明の一実施形態である遠隔会議システム1の構成を示すブロック図である。この遠隔会議システム1は、複数の拠点のそれぞれに設置された複数の端末10a,10b,10c,10dが、インターネット等の通信ネットワーク20に接続されて構成される。なお、図1においては4つの端末10a,10b,10c,10dを図示しているが、端末の数は4に限定されるものではなく、これより多くても少なくてもよい。また、以下の説明においては、説明の便宜上、端末10a,10b,10c,10dを各々区別する必要がない場合には、これらを「端末10」と称して説明する。遠隔会議の参加者が端末10を用いて通信を行うことで、遠隔会議が実現される。
【0010】
図2は、端末10の構成の一例を示すブロック図である。図において、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROM又は記憶部12に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、バスBUSを介して端末10の各部を制御する。記憶部12は、制御部11によって実行されるコンピュータプログラムやその実行時に使用されるデータを記憶するための記憶手段であり、例えばハードディスク装置である。表示部13は、液晶パネルを備え、制御部11による制御の下に各種の画像を表示する。操作部14は、端末10の利用者による操作に応じた信号を出力する。マイクロホン15は、収音し、収音した音声を表す音声信号(アナログ信号)を出力する。音声処理部16は、マイクロホン15が出力する音声信号(アナログ信号)をA/D変換によりデジタルデータに変換する。また、音声処理部16は、供給されるデジタルデータをD/A変換によりアナログ信号に変換してスピーカ17に供給する。スピーカ17は、音声処理部16から出力されるアナログ信号に応じた強度で放音する。通信部18は、他の端末10との間で通信ネットワーク20を介して通信を行うための通信手段である。撮影部19は、撮影し、撮影した映像を表す映像データを出力する。
【0011】
なお、この実施形態では、マイクロホン15とスピーカ17とが端末10に含まれている場合について説明するが、音声処理部16に入力端子及び出力端子を設け、オーディオケーブルを介してその入力端子に外部マイクロホンを接続する構成としても良い。同様に、オーディオケーブルを介してその出力端子に外部スピーカを接続する構成としてもよい。また、この実施形態では、マイクロホン15から音声処理部16へ入力されるオーディオ信号及び音声処理部16からスピーカ17へ出力されるオーディオ信号がアナログオーディオ信号である場合について説明するが、デジタルオーディオデータを入出力するようにしても良い。このような場合には、音声処理部16にてA/D変換やD/A変換を行う必要はない。表示部13や撮影部19についても同様であり、外部出力端子を設け、外部モニタや外部カメラを接続する構成としても良い。
【0012】
記憶部12は、図示のように、対応関係記憶領域121と、帯域配分履歴記憶領域122とを有している。対応関係記憶領域121には、帯域配分と遠隔会議の種別(通信の種別)との対応関係を示すテーブルが記憶されている。
図3は、対応関係記憶領域121に記憶されたテーブルの内容の一例を示す図である。図示のように、このテーブルは、「会議の種類」と「音声」と「映像」との各項目が互いに関連付けて記憶されている。これらの項目のうち、「会議の種類」の項目には、「定例会」、「コンサル」、「セキュリティ」といった、会議の種別を示す種別情報が格納されている。「音声」の項目には、音声の帯域配分(割合)を示すデータが格納されている。「映像」の項目には、映像の帯域配分(割合)を示すデータが格納されている。端末10の制御部11は、操作部14から出力される信号に応じて、会議の種別(通信の種別)を取得し、このテーブルの記憶内容を参照して、取得した種別に対応する帯域配分を決定する。
【0013】
次に、記憶部12の帯域配分履歴記憶領域122には、帯域配分の履歴が記憶される。制御部11は、遠隔会議中において音声と映像の割合(帯域配分)をリアルタイムに変更し、その割合を時系列にこの帯域配分履歴記憶領域122に記憶する。この履歴は、制御部11が会議の種別毎に記憶するようにしてもよい。
【0014】
次に、端末10の機能的構成について図面を参照しつつ説明する。図4は、端末10の機能的構成の一例を示す図である。図において、通信制御部111及び帯域配分決定部112は、制御部11が記憶部12に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することによって実現される。なお、図中の矢印はデータの流れを概略的に示すものである。
【0015】
通信制御部111は、供給されるデータをパケット化して、通信部18を介して他の端末10へ送信する。また、通信制御部111は、他の端末10から送信されてくるデータを受信する。通信制御部111は、受信される音声データを音声処理部16へ供給し、スピーカ17から音として出力させる。また、通信制御部111は、受信される映像データを表示部13に供給し、受信した映像データの表す映像を表示部13に表示させる。
【0016】
帯域配分決定部112は、通信ネットワークを介して音声通信及び映像通信を行う際に、通信に予め与えられた帯域について音声信号と映像信号の帯域配分を決定する。ここでは、帯域配分決定部112は、映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方を解析し、解析結果に応じて帯域配分を決定する。ここで、帯域配分決定部112が行う帯域配分の決定処理の具体的な内容の一例について、図面を参照しつつ説明する。図5は、端末10が通信を行う際の帯域配分を説明するための図である。図5において、端末10は、予め定められた帯域Dを音声通信用の帯域と映像通信用の帯域とに分割し、それぞれの帯域を用いて音声通信及び映像通信を行う。より具体的には、通信を開始するときには、帯域配分決定部112は、予め定められた帯域配分で帯域Dを配分して通信を行う。例えば、図5に示す例では、帯域D1−1を音声通信用の帯域として割り当て、帯域D2−1を映像通信用の帯域として割り当てる。帯域配分決定部112は、帯域配分の決定結果を通信制御部111に通知し、通信制御部111は、帯域配分決定部112の決定結果に応じて、帯域Dを、映像通信用と音声通信用との複数の帯域に分割し、分割した各帯域を用いて映像通信及び音声通信を行う。
【0017】
また、帯域配分決定部112は、遠隔会議が行われている最中(すなわち音声通信及び映像通信を行っている最中)において、帯域の配分を動的に変更する。より具体的には、帯域配分決定部112は、他の端末10から受信される音声データの音圧及びマイクロホン15によって収音された音声を表す音声データの音圧の少なくともいずれか一方を検出し、検出した音圧が大きいほど音声通信用の帯域幅が大きくなるように、帯域配分を決定する(変更する)。より具体的には、例えば、帯域配分決定部112は、検出された音圧が予め定められた第1の閾値以上である場合には、音声通信の帯域幅を全体の70%にし、更に、検出された音圧が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上である場合には、音声通信の帯域幅を全体の90%にする、といった制御を行う。図5に示す例では、帯域配分決定部112は、音圧の検出結果に応じて、帯域D1−2を音声通信用の帯域として割り当て、帯域D2−2を映像通信用の帯域として割り当てる。
【0018】
このとき、図5に示すように、帯域配分決定部112は、全体の帯域幅を変更するのではなく、予め定められた帯域Dにおける音声と映像の配分を変更する。また、このとき、帯域配分決定部112は、使用するプロトコルを切り換えるのではなく、同じプロトコルを用いたたまま、帯域の使用配分を動的に切り換える。
【0019】
通信制御部111は、帯域配分決定部112によって決定された帯域配分で他の端末10と通信を行うために、決定された帯域配分を示す要求データを、他の端末10へ送信する。他の端末10は、送信された要求データの示す帯域配分で通信を行うか否かを判定し、判定結果を示す応答データを、要求データの応答として通知元の端末10へ送信する。帯域配分の変更を許可する旨を示す応答データを受信した場合には、通信制御部111は、帯域配分決定部112によって決定された帯域配分に応じた帯域を用いて音声通信及び映像通信を行う。一方、受信された応答データが帯域配分の変更を拒否する旨を示す場合には、通信制御部111は、帯域配分を変更せずに、そのままの帯域配分で音声通信及び映像通信を継続する。
【0020】
<動作>
次に、本実施形態の動作について説明する。遠隔会議を開始するに先立って、会議の参加者は、端末10の操作部14を用いて、会議の種別を入力する操作を行う。操作部14は、操作内容に応じた信号を出力し、制御部11は、操作部14から出力される信号に応じて会議の種別を取得する。制御部11は、対応関係記憶領域121の記憶内容を参照して、取得した種別に対応する帯域配分を決定する。具体的には、例えば、取得した種別情報が「定例会」を示す情報である場合には、制御部11は、対応関係記憶領域121に記憶されたテーブルを参照して、音声通信の帯域幅の割合を「50」、映像通信の帯域幅の割合を「50」に決定する。
【0021】
制御部11は、決定した帯域配分で音声通信及び映像通信を行う。すなわち、端末10は、マイクロホン15で収音した音声を表す音声データを、音声通信用の帯域を用いて他の端末10に送信するとともに、撮影部19で撮影された映像データを、映像通信用の帯域を用いて他の端末10へ送信する。また、端末10は、他の端末10から音声データを受信し、受信した音声データをスピーカ17から音として出力するとともに、他の端末10から映像データを受信し、受信した映像データの示す映像を表示部13に表示させる。
【0022】
また、会議が行われている最中において、制御部11は、映像及び音声の少なくともいずれか一方を解析し、解析結果に応じて帯域配分を決定する。ここでは、端末10の制御部11は、送信する音声データ又は受信される音声データを音声解析し、解析結果に応じて帯域配分を決定する。より具体的には、制御部11は、音圧が高いほど音声の割合を高くする。この帯域配分の決定処理(変更処理)は、例えば、制御部11が、予め定められた単位時間毎(例えば、1分毎、10分毎、等)に行うようにしてもよく、また、例えば、予め定められた閾値以上の音圧が検出されたときに帯域配分を決定(変更)するようにしてもよく、要は、制御部11が、予め定められたタイミングで帯域配分変更処理を行うようにすればよい。制御部11は、決定した帯域配分に従って音声通信及び映像通信を行う。
【0023】
このように、本実施形態では、遠隔会議が行われている最中において音声通信の帯域幅と映像通信の帯域幅との帯域配分が動的に変更される。また、会議の種類・状況においては、音声重視、映像重視等のデータの重み付けが変化するため、本実施形態では、限られた通信帯域の中で、上記のような重み付けをされた場合にデータの品質を動的に制御する。これにより、ネットワークを介した会議システムにおいて、予め与えられた帯域を利用者のニーズに合わせて有効利用することができる。
【0024】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその例を示す。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上述の遠隔会議システムにおいて、中継装置を用いて複数の端末10間の通信の中継を行うようにしてもよい。この場合のシステム構成について、図6を参照しつつ説明する。図6は、遠隔会議システム2の構成を示すブロック図である。なお、図6は、上述した実施形態において図1に示した遠隔会議システム1に対応するものである。そのため、上述した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。図6において、中継装置30は、複数の端末10間における音声通信及び映像通信の中継を行う装置である。中継装置30は、端末10から送信されてくる音声信号及び映像信号の少なくともいずれか一方の圧縮率を変換し、変換した信号を、送信先の端末10へ送信する。
【0025】
(2)上述の実施形態では、複数の端末10の各々が、帯域配分の決定処理を行ったが、これに限らず、複数の端末10のうちのいずれかを親端末とし、親端末が、帯域配分の決定処理を行うようにしてもよい。この場合は、親端末10は、音声及び映像の少なくともいずれか一方を解析して帯域配分を決定し、決定結果を他の端末10(子端末)へ通知するようにすればよい。この場合は、子端末10は、親端末から通知される帯域配分に従って音声通信及び映像通信を行う。
【0026】
また、中継装置が帯域配分の決定処理を行うようにしてもよい。この場合は、例えば、図6に示す例において、中継装置30が、予め定められた帯域について音声と映像の帯域配分を決定し、決定した帯域配分を複数の端末10へ通知する。また、中継装置30は、決定した帯域配分に応じた帯域を用いて、複数の端末間における音声通信及び映像通信の中継を行う。この場合、中継装置30は、端末10から送信されてくる映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方を解析し、解析結果に応じて音声と映像の帯域配分を決定する。この決定処理の具体的な内容としては、上述した実施形態において端末10が行う処理と同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0027】
(3)上述の実施形態では、制御部11は、対応関係記憶領域121に記憶されたテーブルの内容を参照して、帯域配分の初期値を決定するようにしたが、帯域配分の初期値の決定の態様はこれに限らず、例えば、遠隔会議の配分の履歴を参照して、帯域配分を決定するようにしてもよい。この場合は、制御部11は、遠隔会議が行われている最中に帯域配分を変更した場合には、その内容を示す履歴データを、記憶部12の帯域配分履歴記憶領域122に記憶する。制御部11は、帯域配分履歴記憶領域122に記憶された履歴を参照して帯域配分を決定するようにすればよい。このとき、利用者が操作部14を用いて会議の種別を入力した場合には、制御部11は、入力された種別に対応する履歴データに応じて帯域配分を決定するようにしてもよい。
【0028】
(4)上述の実施形態では、遠隔会議が行われている最中において、帯域配分を動的に(リアルタイムに)変更するようにしたが、帯域配分をリアルタイムに変更しないようにしてもよい。この場合は、制御部11は、テーブルや履歴を参照して帯域配分を決定し、決定した帯域配分で音声通信及び映像通信を行う。
【0029】
また、上述の実施形態では、音声の音圧を検出し、検出結果に応じて帯域配分を変更するようにしたが、これに限らず、制御部11が、利用者の操作に応じて帯域配分を変更するようにしてもよい。この場合は、利用者は、操作部14を用いて、帯域配分を変更する旨の操作を行う。制御部11は、操作部14から出力される信号に応じて帯域配分を決定する。
【0030】
(5)上述の実施形態では、制御部11は、音圧が高いほど音声の帯域配分を大きくするようにしたが、帯域配分の決定の態様はこれに限らない。例えば、制御部11が、ある特定話者(議長、社長、等)の音声が検出されたときに、音声の割合を変更するようにしてもよい。この場合は、ある特定の話者の音声の特徴(フォルマント等)を示す音声特徴データを記憶部12の所定の記憶領域に予め記憶しておき、制御部11が、マイクロホン15によって収音された音声を表す音声データ及び他の端末10から受信された音声データの少なくともいずれか一方と、記憶部12に記憶された音声特徴データとを比較し、比較結果が予め定められた条件を満たす場合に、音声の帯域配分を大きくするようにしてもよい。
【0031】
また、帯域配分の決定の態様の他の例として、例えば、制御部11が、特定の単語(お決まりの言葉)が検出されたときに、音声の割合を変更するようにしてもよい。この場合は、例えば、制御部11が、マイクロホン15によって収音された音声を表す音声データ及び他の端末10から受信された音声データの少なくともいずれか一方を解析し、音声データから予め定められた単語が検出された場合に、音声の帯域配分を大きくするようにしてもよい。
【0032】
また、帯域配分の決定の態様の他の例として、例えば、制御部11が、ある特定の音のパターン(無音、笑い、拍手)が検出されたときに、割合を変更するようにしてもよい。この場合は、特定の音のパターンの特徴を表す特徴データを記憶部12の所定の記憶領域に予め記憶しておき、制御部11が、マイクロホン15によって収音された音声を表す音声データ及び他の端末10から受信された音声データの少なくともいずれか一方と、記憶部12に記憶された特徴データとを比較し、比較結果が予め定められた条件を満たす場合に、音声の帯域配分を大きくするようにしてもよい。
【0033】
また、帯域配分の決定の態様の他の例として、例えば、制御部11が、音の方向を検出し、検出された方向に応じて、割合を変更するようにしてもよい。この場合は、例えば、制御部11が、マイクロホン15で収音された音声を解析して音源の方向を検出し、検出した方向が予め定められた条件を満たす場合に、音声の帯域配分を大きくするようにしてもよい。
【0034】
また、上述の実施形態では、受信される音声信号及び送信する音声信号の少なくともいずれか一方を解析し、解析結果に応じて帯域配分を決定したが、受信される映像信号及び送信する映像信号の少なくともいずれか一方を解析して帯域配分を決定するようにしてもよい。この場合は、例えば、制御部11が、映像の変化を解析し、映像の動きが大きい場合には、映像の割合を大きくするように制御してもよい。要は、制御部11が、映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方を解析し、解析結果に応じて音声通信帯域と映像通信帯域との帯域配分を決定するようにすればよい。
【0035】
(6)上述の実施形態において、帯域配分の下限値を予め設定しておき、この下限値を下回らないように制御するようにしてもよい。具体的には、例えば、制御部11が、音声信号用帯域の割合の下限値を予め設定しておき、音圧が小さいほど音声信号の帯域配分が小さくなるように帯域配分を決定するとともに、かつ、音声信号の帯域配分が予め設定された下限値よりも小さくならないように制御するようにしてもよい。
【0036】
(7)上述の実施形態では、制御部11は、音声通信と映像通信との帯域配分を変更するようにしたが、これに限らず、データ通信用の帯域配分を変更するようにしてもよい。要は、制御部11が、通信に予め与えられた(予め定められた)帯域について、音声通信、映像通信及びデータ通信のうちの少なくともいずれか2つの帯域配分を決定するようにすればよい。また、上述の実施形態において、制御部11が、通信において端末10からのデータの送信に使用する周波数帯域(上り帯域)とデータの受信に使用する周波数帯域(下り帯域)との帯域配分(割合)を決定(変更)するようにしてもよい。
【0037】
(8)上述の実施形態において、端末10の制御部11によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネットのようなネットワーク経由で端末10にダウンロードさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】遠隔会議システムの構成の一例を示す図である。
【図2】端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】テーブルの内容の一例を示す図である。
【図4】端末の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図5】帯域配分の決定処理を説明するための図である。
【図6】遠隔会議システムの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1,2…遠隔会議システム、10…端末、11…制御部、12…記憶部、13…表示部、14…操作部、15…マイクロホン、16…音声処理部、17…スピーカ、18…通信部、19…撮影部、20…通信ネットワーク、30…中継装置、111…通信制御部、112…帯域配分決定部、121…対応関係記憶領域、122…帯域配分履歴記憶領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して音声通信及び映像通信を行う際に、映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方を解析し、解析結果に応じて、通信に与えられた帯域について前記音声信号と前記映像信号の帯域配分を決定する帯域配分決定手段と、
前記帯域配分決定手段によって決定された帯域配分に応じた帯域を用いて音声通信及び映像通信を行う通信手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記帯域配分と通信の種別との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
前記通信の種別を取得する取得手段と
を具備し、
前記帯域配分決定手段は、前記対応関係記憶手段の記憶内容を参照して、前記取得手段によって取得された種別に対応する帯域配分を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記帯域配分決定手段によって決定された帯域配分の履歴を記憶する履歴記憶手段
を具備し、
前記帯域配分決定手段は、前記履歴記憶手段に記憶された履歴を参照して前記帯域配分を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
複数の端末と中継装置とが通信ネットワークを介して接続された通信システムにおいて、
前記複数の端末の各々は、
前記通信ネットワークを介して音声通信及び映像通信を行う際に、映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方を解析し、解析結果に応じて、通信に与えられた帯域について前記音声信号と前記映像信号の帯域配分を決定する帯域配分決定手段と、
前記帯域配分決定手段によって決定された帯域配分に応じた帯域を用いて音声通信及び映像通信を行う通信手段と
を具備し、
前記中継装置は、
前記端末から送信されてくる音声信号及び映像信号の少なくともいずれか一方の圧縮率を変換する圧縮率変換手段と、
前記圧縮率変換手段によって変換された信号を、送信先の端末へ送信する送信手段と
を具備することを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−93504(P2010−93504A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261013(P2008−261013)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】