説明

通信装置

【課題】救助者が防護服を身に着けていた場合でも、被災者との意志伝達を円滑に行うことができ通信装置を提供する。
【解決手段】救助者12は、防護服11を着用する際、人員装着器13を身体に装着し、携行器20を携行する。人員装着器13は、マイクロホン14、イヤホン15、内部無線通信部16からなり、救助者12の声をマイクロホン14で集音し、携行器20に無線送信する。携行器20は、人員装着器13から送られてくる無線信号を内部無線通信部16で受信処理し、外部スピーカ26及び骨伝導スピーカ27から出力すると共に表示器28に文字情報にて表示する。また、携行器20は、被災者31が発した言葉をマイクロホン25で集音し、人員装着器13へ無線送信する。人員装着器13は、携行器20から送られてきた音声情報を受信処理し、イヤホン15を駆動して救助者12へ伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時等で防護服等を装着した救助者が外部とのコミュニケーションを円滑に行うことができる通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば火災等の災害発生時において使用する防護服は、従来から種々のものが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。災害発生時に使用する従来の防護服または防護マスク等は、外部とのコミュニケーションはボイスによるものが一般的であるが、例えばガスまたは煙、薬品等で目または耳に傷害が発生した場合においては、円滑に意志表示を行うことが困難である。また、災害の発生によってパニックに陥っている人に対しては、的確に指示を与えることが非常に難しいという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開平11−267231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように災害時に使用する従来の防護服または防護マスクは、ガスまたは煙、薬品等で目または耳に傷害が発生した場合においては円滑に意志表示を行うことが困難であり、またパニックに陥っている人に対して的確に指示を与えることが非常に難しいという問題があった。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、従来用いられている防護服や防護マスクに通話用の穴を設ける等の外部的な変更を行う必要が無く、被災者との意思伝達を円滑に行うことができる通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る通信装置は、第1の集音部、第1の音声出力部、及びそれらに接続された第1の無線通信部とを含み、人員に装着される人員装着器と、
第2の集音部、第2の音声出力部、及びそれらに接続された第2の無線通信部とを含み、前記人員に携行される携行器と、
を有し、前記第1の集音部で集音された音声は前記第1の無線通信部から前記第2の無線通信部に送信されて前記第2の音声出力部から出力されると共に、前記第2の集音部で集音された音声は前記第2の無線通信部下に前記第1の無線通信部に送信されて前記第1の音声出力部から出力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、救助者が防護服を身に着けていた場合でも、救助者が身体に装着している人員装着器及び救助者が携行している携行器を介して被災者との意志伝達を円滑に行うことができ、災害の発生によってパニックに陥っている人に対しても的確に指示を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る通信装置の構成図である。図1において、11は防護服、12は防護服11を装着して被災者を救助する人員(以下、救助者という)である。救助者12は、火災等の災害発生時に防護服11を着用して被災者の救助に向かう際、身体に人員装着器13を装着すると共に、携行器20を携行する。
【0009】
上記人員装着器13は、集音部であるマイクロホン14、音声出力部であるイヤホン15、及び内部無線通信部16により構成される。マイクロホン14は、その他例えば咽喉マイクロホン等を用いても良い。上記内部無線通信部16は、例えばアンテナ17、微弱無線を使用し上記アンテナ17を介して携行器20と無線通信を行う無線部18、この無線部18を制御する制御部19からなり、制御部19に上記マイクロホン14及びイヤホン15が接続される。上記マイクロホン14は救助者12の口元の近傍に位置するように、また、イヤホン15は耳元に位置するように例えばヘッド保持具等により保持される。
【0010】
また、携行器20は、外部無線通信部21を備えている。この外部無線通信部21は、例えばアンテナ22、このアンテナ22を介して人員装着器13の内部無線通信部16と無線通信を行う無線部23、この無線部23を制御する制御部24により構成される。また、携行器20は、救助対象である外部の人員(以下、被災者という)31からの音声情報を集音するマイクロホン25、被災者31に対して骨伝導による情報伝送を行う骨伝導スピーカ27、音声による情報伝送を行う外部スピーカ26、及び目視による情報伝送を行う表示器28を備え、それぞれ上記制御部24に接続される。
【0011】
上記の構成において、救助者12は、上記したように火災等の災害時に防護服11を着用する際、身体例えば腰等に人員装着器13を装着し、マイクロホン14を口元近傍に、またイヤホン15を耳に装着する。更に救助者12は、携行器20を携行して被災者31の救助に向かう。
【0012】
そして、救助者12が被災者31を救助する際、救助者12の発する声は、マイクロホン14で集音されて内部無線通信部16の制御部19に入力される。制御部19は、マイクロホン14から入力される音声情報に基づいて無線部18を制御し、変調処理した信号を無線部18からアンテナ17を介して携行器20に無線送信する。
【0013】
救助者12が携行している携行器20は、内部無線通信部16から送られてくる無線信号を外部無線通信部21のアンテナ22を介して無線部23により受信し、制御部24へ出力する。制御部24は、無線部23が受信した音声情報を復調処理して音声情報あるいは文字情報に変換し、外部機器である外部スピーカ26及び骨伝導スピーカ27から出力すると共に、表示器28に文字情報にて表示する。
【0014】
外部機器が外部スピーカ26の場合、救助者12の音声は外部へ拡声され、被災者31に通達される。
外部機器が骨伝導スピーカ27の場合、救助者12は骨伝導スピーカ27を被災者31の頭部に当て、救助者12の音声を被災者31に骨伝導にて伝える。
【0015】
また、外部機器が表示器28の場合、救助者12が発した音声情報は制御部24にて文字情報に変換され、表示器28に表示される。被災者31は、表示器28に表示された文字情報を見て救助者12からのメッセージを確認する。
また、被災者31が発した言葉(音声)は、携行器20のマイクロホン25で集音されて制御部24に入力され、無線部23からアンテナ22を介して内部無線通信部16へ無線送信される。内部無線通信部16は、携行器20から無線送信されてきた音声情報をアンテナ17を介して無線部18で受信し、制御部19により復調処理等を行い、イヤホン15を駆動して救助者12へ伝達する。
【0016】
上記実施形態によれば、救助者12が防護服11を身に着けていた場合でも、救助者12が身体に装着している人員装着器13及び救助者12が携行している携行器20を介して被災者31との意志伝達を円滑に行うことができる。
例えばガスまたは煙、薬品等により目に傷害が発生した被災者31には、外部スピーカ26から出力される拡声された音声、または骨伝導スピーカ27を使用して救助者12の指示や注意等を伝達することができる。なお、骨伝導スピーカ27を使用する場合、救助者12は骨伝導スピーカ27を被災者31の頭部に当て、救助者12の音声を被災者31に骨伝導にて伝える。そして、被災者31の発する言葉は携行器20のマイクロホン25により集音され、携行器20から人員装着器13を介して救助者12に伝達される。
【0017】
また、耳に傷害が発生した被災者31に対しては、救助者12が発した言葉が携行器20に設けられている制御部24により文字情報に変換されて表示器28に表示され、救助者12の指示や注意等が視覚を通じて伝達される。
また、人員装着器13と携行器20との間は無線通信によって情報の伝達を行っているので、防護服11を装着した状態で確実に情報を伝達することができ、例えば防護服11に通話用の穴を設けるなどの外部的な変更を行う必要はない。このため防護服11の機能を最大限に発揮でき、有毒物質等が発生している状況であっても支障なく被災者31の救助活動を続けることが可能である。
【0018】
また、人員装着器13と携行器20との間は無線(微弱無線又は特定小電力無線)による通信を行うことにより、機器の小型化並びにコストの低下を図ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信装置の構成図である。
【符号の説明】
【0020】
11…防護服、12…救助者、13…人員装着器、14…マイクロホン、15…イヤホン、16…内部無線通信部、17…アンテナ、18…無線部、19…制御部、20…携行器、21…外部無線通信部、22…アンテナ、23…無線部、24…制御部、25…マイクロホン、26…外部スピーカ、27…骨伝導スピーカ、28…表示器、31…被災者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の集音部、第1の音声出力部、及びそれらに接続された第1の無線通信部とを含み、人員に装着される人員装着器と、
第2の集音部、第2の音声出力部、及びそれらに接続された第2の無線通信部とを含み、前記人員に携行される携行器と、
を有し、前記第1の集音部で集音された音声は前記第1の無線通信部から前記第2の無線通信部に送信されて前記第2の音声出力部から出力されると共に、前記第2の集音部で集音された音声は前記第2の無線通信部下に前記第1の無線通信部に送信されて前記第1の音声出力部から出力されることを特徴とする通信装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−41479(P2010−41479A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203007(P2008−203007)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】