説明

通信設定プログラム、起動プログラム、通信設定方法およびアプリケーションの起動方法

【課題】 アプリケーション毎に通信情報を設定する手間を省く通信設定プログラム等を提供することを目的とする。
【解決手段】 アプリケーションの起動時に反映させる通信情報を設定する通信設定プログラムであって、コンピュータにセットアップされた1以上のデバイスの中から、通信対象となるデバイスを指定するデバイス指定手段71、コンピュータにインストールされた複数のアプリケーションの中から、指定されたデバイスを共通してサポートする関連アプリケーションを抽出する関連アプリケーション抽出手段80、関連アプリケーションの通信情報を設定する通信情報設定手段70、関連アプリケーションに対し、設定した通信情報を参照するための通信情報IDを付与する通信情報ID付与手段、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
サポート可能なデバイスが共通する関連アプリケーションに対し、一括して通信設定を行うための通信設定プログラム、起動プログラム、通信設定方法およびアプリケーションの起動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のアプリケーションがインストールされたコンピュータにおいて、任意のアプリケーションから印刷を実行する場合、各アプリケーションに実装された印刷設定機能を用いて印刷設定を行っている(例えば、特許文献1参照)。これと同様に、プリンタへの情報設定(ファームウェアの書き替え等)を行うためのアプリケーションにおいて通信設定(通信ポートの設定)を行う場合も、各アプリケーションに実装された通信設定機能を用いている。
【特許文献1】特開2003−99220号公報(「従来の技術」等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、プリンタへの情報設定を行うためのアプリケーションとして、プリンタのファームウェアを書き替えるための第1アプリケーションと、プリンタにグラフィックスを登録するための第2アプリケーションとが、コンピュータにインストールされており、いずれのアプリケーションもプリンタAをサポートしている場合に、プリンタAのファームウェアを書き替え、さらにグラフィックスを登録しようとすると、まず第1アプリケーションを起動し、プリンタ(プリンタA)の指定および通信設定を行うことで、最初の目的であるファームウェアの書き替えが実行可能となる。次に、第2アプリケーションを起動し、再びプリンタの指定および通信設定を行うことで、2つ目の目的であるグラフィックスの登録が実行可能となる。このように、共通する通信設定を、アプリケーション毎に実行しなければ、各アプリケーションの目的を達成することができなかった。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑み、アプリケーション毎に通信情報を設定する手間を省く通信設定プログラム、起動プログラム、通信設定方法およびアプリケーションの起動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の通信設定プログラムは、アプリケーションの起動時に反映させる通信情報を設定する通信設定プログラムであって、コンピュータにセットアップされた1以上のデバイスの中から、通信対象となるデバイスを指定するデバイス指定手段、コンピュータにインストールされた複数のアプリケーションの中から、指定されたデバイスを共通してサポートする関連アプリケーションを抽出する関連アプリケーション抽出手段、関連アプリケーションの通信情報を設定する通信情報設定手段、関連アプリケーションに対し、設定した通信情報を参照するための通信情報IDを付与する通信情報ID付与手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の通信設定方法は、アプリケーションの起動時に反映させる通信情報を設定するコンピュータにおける通信設定方法であって、コンピュータが、各アプリケーションがサポートするサポートデバイス情報を記憶する工程と、セットアップされた1以上のデバイスの中から通信対象となるデバイスの指定を受ける工程と、サポートデバイス情報に基づき、指定されたデバイスを共通してサポートする関連アプリケーションを抽出する工程と、関連アプリケーションの通信情報を設定する工程と、関連アプリケーションに対し、設定した通信情報を参照するための通信情報IDを付与する工程と、を実行することを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、通信対象となるデバイスを指定することにより、そのデバイスをサポートする関連アプリケーションを抽出し、抽出した当該関連アプリケーションの通信情報の設定を一括して行うことができる。したがって、同じデバイスに対する共通の通信設定(通信情報の設定)をアプリケーション毎に行う必要がない。また、当該関連アプリケーションは、そのデバイスをサポートするアプリケーションが抽出されたものであるため、サポートしないデバイスの通信情報を反映して、各アプリケーションが起動されることがない。また、サポートできないデバイスの通信情報の設定を誤って行うことがない。さらに、各アプリケーションには、通信設定機能を実装する必要がなくなるため、開発工数の削減並びに開発期間の短縮を図ることができる。
【0008】
なお、「関連アプリケーション」とは、インストールされた複数のアプリケーションのうち、同じデバイスをサポートする1以上のアプリケーションを指すものである。但し、関連アプリケーションが1のアプリケーションで構成される場合、「同じデバイスに対する共通の通信情報の設定をアプリケーション毎に行う必要がない」とする本発明の作用・効果の意味を為さないため、関連アプリケーションは複数のアプリケーションから成ることが好ましい。また、「関連アプリケーション抽出手段」は、アプリケーション側から提供される情報(自身がサポートするデバイスに関する情報)に基づいて、そのアプリケーションが指定されたデバイスをサポートするか否か(関連アプリケーションであるか否か)の判別を行っても良いし、通信設定プログラム側で各アプリケーションがサポートするデバイスに関する情報を保有し、当該情報に基づいて判別を行っても良い。すなわち、「サポートデバイス情報」を、アプリケーションまたは通信設定プログラムのいずれが提供する構成であっても良い。
【0009】
この場合、デバイス指定手段により通信対象となるデバイスを指定するためのものであると共に通信情報設定手段により通信情報の設定を行うためのダイアログボックスを表示する表示手段、としてコンピュータをさらに機能させることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ダイアログボックスを用いて、通信対象となるデバイスの指定や通信情報の設定を容易に行うことができる。
【0011】
この場合、表示手段は、関連アプリケーション抽出手段により抽出された各アプリケーションを起動するための起動ボタンをダイアログボックス内に表示し、起動ボタンのクリックにより、通信情報を反映させてアプリケーションを起動する起動手段、としてコンピュータをさらに機能させることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、通信情報を設定するためのダイアログボックスには、起動ボタンを備えているため、当該起動ボタンがクリックされることにより迅速に通信情報を反映させてアプリケーションを起動することができる。
【0013】
これらの場合、各アプリケーションは、そのインストール時に各アプリケーションがサポートするサポートデバイス情報をアプリケーション情報格納領域に格納し、関連アプリケーション抽出手段は、アプリケーション情報格納領域を参照し、当該アプリケーション情報格納領域にサポートデバイス情報を格納したアプリケーションの中から関連アプリケーションの抽出を行うことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、各アプリケーションのインストール時において、各アプリケーションがサポートするサポートデバイス情報をアプリケーション情報格納領域に格納するため(アプリケーション側がサポートデバイス情報を提供するため)、通信設定プログラムの変更を必要とすることなく、プリケーションを新規に追加することができる。つまり、通信設定プログラムは、アプリケーション情報格納領域を参照して、通信情報の一括設定を行うアプリケーションを抽出するが、新規に追加されたアプリケーションのサポートデバイス情報は、当該アプリケーション情報格納領域に既に格納されているため、これを参照することで、通信情報の一括設定の対象となる関連アプリケーションを確実に抽出することができる。また、抽出の対象となる関連アプリケーションは、アプリケーション情報格納領域にサポートデバイス情報を格納したものに限られるため、単にコンピュータにインストールされただけのアプリケーションは、抽出対象外として扱うことができる。
【0015】
本発明の他の起動プログラムは、設定した通信情報を反映させてアプリケーションを起動するための起動プログラムであって、コンピュータにインストールされた複数のアプリケーションの通信情報を設定する通信情報設定手段、通信情報設定手段により通信情報を設定するためのものであると共に、各アプリケーションを起動するための起動ボタンを備えたダイアログボックスを表示する表示手段、起動ボタンのクリックにより、通信設定を反映させてアプリケーションを起動する起動手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のアプリケーションの起動方法は、複数のアプリケーションがインストールされたコンピュータにおけるアプリケーションの起動方法であって、コンピュータが、複数のアプリケーションの通信設定に関する設定値を入力するためのものであると共に、各アプリケーションを起動するための起動ボタンを備えたダイアログボックスを表示する工程と、ダイアログボックスに入力された設定値に基づき、複数のアプリケーションの通信情報を設定する工程と、起動ボタンのクリックにより、通信情報を反映させてアプリケーションを起動する工程と、を実行することを特徴とする。
【0017】
これらの構成によれば、複数のアプリケーションに対し、通信情報の一括設定を行うことができるため、アプリケーション毎に通信設定を行う手間を省くことができると共に、ダイアログボックスを用いるため、設定が容易である。また、当該通信情報の設定を行うためのダイアログボックスには、起動ボタンを備えているため、当該起動ボタンがクリックされることにより迅速に通信情報を反映させてアプリケーションを起動することができる。さらに、各アプリケーションには、通信設定機能を実装する必要がなくなるため、開発工数の削減並びに開発期間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る通信設定プログラム、起動プログラム、通信設定方法およびアプリケーションの起動方法について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、複数のアプリケーションがインストールされたコンピュータにおいて、ユーザ(オペレータ)が通信対象となるデバイスを指定することにより、そのデバイスをサポートする関連アプリケーションを抽出し、抽出した当該関連アプリケーションの通信情報を一括して設定することができるものである。すなわち、この構成により、共通する通信情報の設定をアプリケーション毎に行う必要がないといった作用・効果を奏する。そこで、以下、デバイスの一例としてプリンタを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム構成を示す図である。同図に示すように、本発明の通信設定方法およびアプリケーションの起動方法を実現するホスト端末10(コンピュータ)は、2つの通信ポートP1,P2(ポート名:COM1,COM2)を介してそれぞれプリンタA20a、プリンタB20bと接続されている。ホスト端末10は、パーソナルコンピュータ等によって構成されるものであり、端末本体11、キーボード12、マウス13およびディスプレイ14を備えている。端末本体11には、各種アプリケーション、並びにこれらアプリケーションの通信設定および起動を行うための通信設定・起動プログラム(通信設定プログラム,起動プログラム)がインストールされている。
【0020】
なお、「アプリケーション」とは、ある特定の目的のために設計された画像編集ソフトや、データベースソフト等のソフトウェア(ユーティリティ)を指すものであり、オペレーティングシステム(以下、「OS」と称する)に組み込んで使用されるものである。したがって、上記の通信設定・起動プログラムも、一種のアプリケーション(ソフトウェア)として取り扱われるが、本実施形態では、他のアプリケーションと区別するため、これをプログラムと称し、その他のソフトウェアをアプリケーションと称する。なお、アプリケーションの一例としては、プリンタ20のファームウェアを書き替えるためのアプリケーション、プリンタ20にグラフィックスを登録するためのアプリケーション、プリンタ20のメモリスイッチを変更するためのアプリケーションなど、プリンタ20への各種情報設定を行うためのアプリケーションが挙げられる。
【0021】
図2は、ホスト端末10の制御構成を示す制御ブロック図である。ホスト端末10は、入出力部110、操作部120、表示部130、記憶部140および制御部150を備え、当該制御部150は、システムバス160を介して各部と接続されている。
【0022】
入出力部110は、複数の通信ポートPを備え、各通信ポートPに接続されたプリンタ20との通信インターフェースを司っている。操作部120は、キーボード12やマウス13を備え、これらをユーザが操作することにより、通信対象となるプリンタ20の指定や各種情報の入力が行われる。表示部130は、通信設定・起動プログラムによって提供されるダイアログボックス50(図5参照)の他、各種情報を表示するディスプレイ14を備えている。記憶部140は、ハードディスク141を備え、当該ハードディスク141は、OS、アプリケーションプログラム、印刷制御プログラム(プリンタドライバ)、通信設定・起動プログラムおよびレジストリ等を記憶している。当該レジストリは、各アプリケーションがそれぞれサポート可能なプリンタ20に関するサポートデバイス情報をはじめ、これら各アプリケーションに関する種々の情報を記憶するアプリケーション情報格納領域31や、ダイアログボックス50に入力された設定値に基づいて生成した通信情報(通信条件)を記憶する通信情報格納領域32を有している(いずれも図3参照)。
【0023】
制御部は、CPU151、ROM152、RAM153および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」と称する)154を備え、互いに内部バス155により接続されている。ROM152は、CPU151で処理するBIOS等の制御プログラムや制御データを記憶している。RAM153は、ハードディスク141から通信設定・起動プログラムを含む各種プログラムや、アプリケーション情報および通信情報等の各種データを読み出し、CPU151による制御処理のための作業領域として使用される。
【0024】
IOC154は、CPU151の機能を補うと共に各種周辺回路とのインターフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC154は、キーボード12やマウス13からの入力データ(通信設定に関する設定値やアプリケーションの起動指示等)、並びにプリンタ20から通信ポートを介して入力された制御データ(レスポンスやエラー信号等)を、そのまま或いは加工して内部バス155に取り込むと共に、CPU151と連動して、CPU151から内部バス155に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して各部に出力する。
【0025】
そして、CPU151は、上記の構成により、ROM152内の制御プログラムに従って、IOC154を介してホスト端末10内の各部から各種信号・データを入力し、RAM153内の各種データおよびプログラムを処理する。また、CPU151は、IOC154を介してホスト端末10内の各部に、各種信号・データを出力することにより、通信設定・起動プログラムの実行、すなわちアプリケーションの通信設定制御や起動制御など各種制御を行う。
【0026】
ここで、図3の説明図および図4のフローチャートを参照し、通信設定・起動プログラムに基づく制御について説明する。この制御は、通信設定・起動プログラムを中心とした各種アプリケーションとの情報共有に基づいて、主にCPU151によって実行されるものである。
【0027】
同図に示すように、通信設定・起動プログラムは、アプリケーション情報格納領域31に記憶されたアプリケーション情報、並びに通信情報格納領域32に記憶された通信情報に基づき、ハードディスク141内にインストールされた複数のアプリケーションと関連づけられている。なお、ここでは、App1,App2,App3の3つのアプリケーションがホスト端末10(ハードディスク141)内にインストールされ、アプリケーションApp1およびApp2がプリンタA20aをサポートし、アプリケーションApp3がプリンタB20b(いずれも図1参照)をサポートしているものとする。
【0028】
アプリケーション情報とは、各アプリケーションが、通信設定・起動プログラムの仕様にしたがってインストール時に登録するアプリケーション自身の情報であり、具体的には、アプリケーション名、アプリケーションパス、アプリケーションの説明の他、自身がサポート可能なプリンタ20(複数であっても良い)を示すサポートデバイス情報を含む。なお、詳細については後述するが、当該サポートデバイス情報に基づいて、関連アプリケーションの抽出が行われることとなる。
【0029】
また、通信情報とは、ダイアログボックス50の第2欄(図5の参照番号70参照)に入力された設定値に基づいて設定される情報であり、具体的には、プリンタ名、通信ポート種類、ポート名、通信速度を含む。なお、これらの情報には、通信情報IDが関連づけられており、各アプリケーションの起動時には当該通信情報IDをパラメータとして提供する。
【0030】
そして、通信設定・起動プログラムは、上記のアプリケーション情報および通信情報を共有することにより、各アプリケーションと連携している。すなわち、各アプリケーションApp1,App2,App3は独立して存在しているが、それぞれがアプリケーション情報格納領域31にサポートデバイス情報を格納することで、通信設定・起動プログラムにより、同じプリンタ20をサポートする関連アプリケーション(ここではアプリケーションApp1,App2)として抽出され、一括して通信情報が設定される。また、抽出された関連アプリケーションApp1,App2は、その起動時に、通信情報格納領域32から通信情報IDを取得することで、通信情報を反映させることができる。
【0031】
したがって、ユーザが関連アプリケーションApp1,App2を使用する場合は、通信設定・起動プログラムで通信情報の設定を行った後、通信設定・起動プログラム経由でアプリケーションApp1を起動し、これを使用する。このとき、アプリケーションApp1は、通信情報格納領域32から取得した通信情報IDに基づいて通信情報が反映されるため、アプリケーションApp1自身の通信設定機能を用いて通信設定を行う必要がない。同様に、通信設定・起動プログラム経由でアプリケーションApp2を起動し、これを使用する場合も、アプリケーションApp2自身は通信設定を行う必要がない。すなわち、本発明では、関連アプリケーションApp1,App2に対して、通信設定・起動プログラムにより一度だけ通信情報の設定を行えば良く、アプリケーション毎に行う必要がない。なお、上記の説明では、プリンタA20aが指定された場合を例示しているため、アプリケーションApp1およびApp2を通信対象となるアプリケーションとして抽出したが、プリンタB20bが指定された場合は、アプリケーションApp3のみを通信対象として抽出することとなる。
【0032】
続いて、図4を参照し、通信設定・起動プログラムに基づく具体的な一連の処理(通信設定方法およびアプリケーションの起動方法)について説明する。通信設定・起動プログラムが起動されると(S1)、アプリケーション情報格納領域31を参照し、当該アプリケーション情報格納領域31にアプリケーション情報(サポートデバイス情報)を格納したアプリケーション(App1,App2,App3)を検索する(S2)。そして、その検索結果に基づき、各アプリケーション(App1,App2,App3)の起動ボタンを備えたダイアログボックス50をディスプレイ14上に表示する(S3)。
【0033】
ここで、通信対象となるプリンタ20(例えばプリンタA20a)が指定されると(S4)、そのプリンタ20をサポートしないアプリケーション(App3)の起動ボタンの表示を起動不可となるように変更する(S5)。具体的には、起動ボタンをグレー表示することでユーザに選択不可能であることを示す(図5の参照番号83参照)。すなわち、アプリケーション情報格納領域31に記憶されたサポートデバイス情報に基づいて、そのプリンタ20をサポート可能なアプリケーション(関連アプリケーション)を、アプリケーションApp1,App2,App3の中から抽出し、それ以外のアプリケーションを起動できないような表示とする。ここでは、アプリケーションApp1およびApp2がプリンタA20aをサポートし、アプリケーションApp3がプリンタB20bをサポートしているので、アプリケーションApp3の起動ボタン83を無効とする(グレー表示する)。
【0034】
次に、ユーザによるダイアログボックス50への設定値の入力に基づいて、通信対象となるプリンタ20(プリンタA20a)の通信情報の設定を行う(S6)。その後、ユーザによって選択可能な起動ボタン(アプリケーションApp1またはApp2の起動ボタン81,82)がクリックされることにより、アプリケーションの起動が指示され(S7)、当該起動指示にしたがって各アプリケーションを起動する(S8)。なお、アプリケーションは、その起動時に通信情報IDによって通信情報格納領域32から必要な通信情報を取得し、プリンタ20との通信を開始する。
【0035】
続いて、図5を参照し、上記の通信設定およびアプリケーションの起動指示を行うためのダイアログボックス50の構成について説明する。同図は、通信対象プリンタの指定(図4のS4参照)が行われ、さらに通信情報の設定(図4のS6参照)が行われた後の状態、すなわち、アプリケーションの起動指示(図4のS7参照)が行われる直前の状態を示したものである。
【0036】
同図に示すように、ダイアログボックス50は、通信情報の新規作成や読み出し(リスト選択)を行うための第1欄60と、プリンタ20の選択や通信情報の設定(通信情報の入力)、並びに接続テストを行うための第2欄70と、各アプリケーションを起動するための第3欄80と、によって構成されている。
【0037】
第1欄60には、各通信情報(通信条件)に付与された接続名のリストを表示するリストボックス61、新しく接続情報を設定する場合にクリックされる「新規作成」ボタン62、接続名の変更をする場合にクリックされる「名前の変更」ボタン63、並びに過去に設定した接続情報を削除する場合にクリックされる「削除」ボタン64、を表示している。ここで、リストボックス61による接続名の選択が行われると、第2欄70にその通信情報の表示を行う。したがって、この接続名の選択操作により通信対象プリンタ20の指定(図4のS4参照)が行われることとなる。一方、リストボックス61から接続名が選択されず、「新規作成」ボタン62がクリックされた場合は、当該「新規作成」ボタン62のクリック後、第2欄70のコンボボックス71でプリンタ20が選択されることにより、通信対象プリンタ20の指定が行われることとなる。
【0038】
第2欄70には、通信対象となるプリンタ20を選択するためのコンボボックス71、通信ポート種類(シリアルポート、プリンタポート、USBポートなど)を選択するためのコンボボックス72、ポート名(COM1、COM2など)を選択するためのコンボボックス73、通信速度を選択するためのコンボボックス74、パリティチェックを行うか否かを選択するためのコンボボックス75、ストップビットを選択するためのコンボボックス76、フロー制御(DTR/DSR、RTS/CTSなど)を選択するためのコンボボックス77、ビット長を選択するためのコンボボックス78、並びに上記のコンボボックス71〜78で設定した通信条件を使用して接続テストを行うための「接続テスト」ボタン79、を表示している。すなわち、当該第2欄70への情報入力(第2欄内の複数のコンボボックス71〜78による情報選択)に基づいて、通信情報格納領域32への通信情報の格納(通信情報の設定,図4のS6参照)が行われることとなる。
【0039】
第3欄80には、アプリケーションApp1の起動指示を行うための起動ボタン81、アプリケーションApp2の起動指示を行うための起動ボタン82、並びにアプリケーションの説明を表示するためのテキストボックス84、を表示している。また、各起動ボタン81〜83には、ボタンラベルとしてアプリケーション名(App1,App2,App3)を表示する。なお、アプリケーションApp3の起動ボタン83も、クリック不可状態でグレー表示されている。すなわち、上記のとおり、当該第3欄80には、アプリケーション情報格納領域31にアプリケーション情報を格納した複数のアプリケーションを起動するための起動ボタン81〜83を全て表示するが、通信対象となるプリンタ20(プリンタA20a)をサポートする関連アプリケーション(App1,App2)の起動ボタン81,82のみがクリック可能となっている。なお、通信対象プリンタの指定(図4のS4)が行われる前は、全ての起動ボタンの表示は同じである(図示の例では、アプリケーションApp2の起動ボタン82の表示となる)。一方、テキストボックス84は、各起動ボタン上にマウス13によって操作されるカーソルKが位置したとき、各アプリケーションの説明(アプリケーションの機能や種類など)を表示するものである(図示の例では、アプリケーションApp1の説明を表示している)。
【0040】
このように、ダイアログボックス50は、上から下へ、また左から右へ情報入力を行っていくことで一連の通信設定およびアプリケーションの起動指示を行い得るように構成されている。このため、ユーザがマニュアルを見なくても入力方法を直感的に理解することができる。また、関連アプリケーションApp1,App2を起動するための起動ボタン81〜83は、第3欄80に並べて表示されるため、ユーザはこれらのアプリケーションが別のアプリケーションであることを特別意識することなく、起動および使用することが可能となっている。さらに、将来的に別の関連アプリケーションが追加された場合は、当該追加されたアプリケーションの起動ボタンも第3欄80に並べて表示されるため、新規アプリケーションの呼び出しを容易に行うことができる。
【0041】
なお、通信情報格納領域32(図3参照)への通信情報の格納は、接続情報を新規作成したとき(図5の参照番号62参照)、接続名を変更したとき(図5の参照番号63参照)、接続名を削除したとき(図5の参照番号64参照)、接続テストを実行する直前(図5の参照番号79参照)、アプリケーションを起動する直前(図5の参照番号81,82参照)、通信設定・起動プログラムを終了するとき(図5の参照番号51参照)に行われる。したがって、関連アプリケーションに対して付与するための通信情報IDの格納も、これら通信情報を格納する際に行われる。また、関連アプリケーションに対する通信情報IDの付与は、各アプリケーションの起動時に行われる。すなわち、起動指示されたアプリケーションは、その起動時に付与された通信情報IDを基に、通信情報格納領域32(図3参照)から必要な通信情報を取得する。したがって、例えば通信ポート種類(図5の参照番号72参照)が、シリアルからUSBに変更され、さらにアプリケーションApp1の起動ボタン81がクリックされた場合、その時点ではUSBへの変更が既に反映されている。つまり、ユーザは、OKボタンなどをクリックする必要がなく(クリックし忘れることなく)、現在表示されている通信情報をパラメータとして各アプリケーションを起動することができる。
【0042】
以上、説明したとおり、本発明の通信設定プログラム、起動プログラム、通信設定方法およびアプリケーションの起動方法によれば、ユーザにより通信対象となるプリンタ20(デバイス)が指定されることにより、そのプリンタ20をサポートする関連アプリケーションを抽出し、抽出した当該関連アプリケーションの通信情報の設定を一括して行うことができる。したがって、ユーザは同じプリンタ20に対する共通の通信設定をアプリケーション毎に行う必要がない。また、当該関連アプリケーションは、そのプリンタ20をサポートするアプリケーションが抽出されたものであるため、サポートしないプリンタ20の通信情報を反映して、各アプリケーションが起動されることがない。また、サポートできないプリンタ20の通信情報の設定を誤って行うことがない。さらに、各アプリケーションには、通信設定機能を実装する必要がなくなるため、開発工数の削減並びに開発期間の短縮を図ることができる。
【0043】
また、ダイアログボックス50を用いることにより、通信対象となるプリンタ20の指定や通信情報の設定を容易に行うことができると共に、当該ダイアログボックス50には、アプリケーションの起動ボタン81〜83を備えているため、ユーザは当該起動ボタン81〜83のクリックにより迅速に通信情報(通信設定)を反映させてアプリケーションを起動させることができる。すなわち、個々のアプリケーションの格納場所を探してアプリケーション毎に起動させるなどの煩わしい操作を必要としない。
【0044】
また、各アプリケーションのインストール時において、各アプリケーションがサポートするサポートプリンタ情報をアプリケーション情報格納領域31に格納すると共に、通信設定・起動プログラムは、その起動時においてアプリケーション情報格納領域31を参照して、通信情報の一括設定を行うアプリケーションを抽出するため、アプリケーションを新規に追加した場合でも、通信設定・起動プログラムは通信情報の一括設定の対象となる全てのアプリケーションを確実に抽出することができる。
【0045】
なお、上記では、ダイアログボックス50において、関連アプリケーション以外のアプリケーション(App3)の起動ボタンをクリック不可状態で表示するものとしたが、表示自体を行わないようにしても良い。
【0046】
また、各アプリケーションは、そのインストール時に自身のアプリケーション情報(サポートデバイス情報)を、アプリケーション情報格納領域31に格納するものとしたが、これを省略した構成としても良い。言い換えれば、「サポートデバイス情報」を、アプリケーション側から提供するのではなく、通信設定・起動プログラム側から提供するようにしても良い。この場合、関連アプリケーションの抽出は、通信設定・起動プログラム側が保有する情報(デバイス名と、そのデバイスをサポート可能なアプリケーション名とが関連づけられたテーブル等)に基づいて判別される。すなわち、通信設定・起動プログラムは自身が記憶しているテーブルを参照し、指定されたデバイスと関連づけられたアプリケーション名(複数であっても良い)に該当するアプリケーション名のアプリケーションを、ハードディスク(または所定の記憶領域)から読み出し、これを抽出する構成となる。この構成によれば、通信設定・起動プログラムの仕様に応じて開発されたアプリケーション(自身のアプリケーション情報を、アプリケーション情報格納領域31に格納するようにプログラミングされたアプリケーション)以外のアプリケーションも、通信設定・起動プログラムにより通信設定(通信情報の設定,通信情報IDの付与)および起動させることができる。
【0047】
また、上記の通信設定・起動プログラムを記録媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0048】
また、上述した実施形態によらず、例えばプリンタ20に代えて表示装置、ファクシミリ装置、スキャナなどの電子機器を用いるなど、システム構成や表示画面(ダイアログボックス)の構成等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成図である。
【図2】ホスト端末の制御ブロック図である。
【図3】通信設定・起動プログラムとアプリケーションとの関係を示す説明図である。
【図4】通信設定方法およびアプリケーションの起動方法を示すフローチャートである。
【図5】ダイアログボックスの表示の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10 ホスト端末 11 端末本体
12 キーボード 13 マウス
14 ディスプレイ 20 プリンタ
31 アプリケーション情報格納領域 32 通信情報格納領域
50 ダイアログボックス 110 入出力部
120 操作部 130 表示部
140 記憶部 150 制御部
P 通信ポート P1 第1ポート
P2 第2ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションの起動時に反映させる通信情報を設定する通信設定プログラムであって、
コンピュータにセットアップされた1以上のデバイスの中から、通信対象となるデバイスを指定するデバイス指定手段、
前記コンピュータにインストールされた複数のアプリケーションの中から、前記指定されたデバイスを共通してサポートする関連アプリケーションを抽出する関連アプリケーション抽出手段、
前記関連アプリケーションの前記通信情報を設定する通信情報設定手段、
前記関連アプリケーションに対し、設定した前記通信情報を参照するための通信情報IDを付与する通信情報ID付与手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする通信設定プログラム。
【請求項2】
前記デバイス指定手段により前記通信対象となるデバイスを指定するためのものであると共に前記通信情報設定手段により前記通信情報を設定するためのダイアログボックスを表示する表示手段、として前記コンピュータをさらに機能させることを特徴とする請求項1に記載の通信設定プログラム。
【請求項3】
前記表示手段は、前記関連アプリケーション抽出手段により抽出された各アプリケーションを起動するための起動ボタンを前記ダイアログボックス内に表示し、
前記起動ボタンのクリックにより、前記通信情報を反映させてアプリケーションを起動する起動手段、として前記コンピュータをさらに機能させることを特徴とする請求項2に記載の通信設定プログラム。
【請求項4】
各アプリケーションは、そのインストール時に各アプリケーションがサポートするサポートデバイス情報をアプリケーション情報格納領域に格納し、
前記関連アプリケーション抽出手段は、前記アプリケーション情報格納領域を参照し、当該アプリケーション情報格納領域に前記サポートデバイス情報を格納したアプリケーションの中から前記関連アプリケーションの抽出を行うことを特徴とする請求項1、2または3に記載の通信設定プログラム。
【請求項5】
設定した通信情報を反映させてアプリケーションを起動するための起動プログラムであって、
コンピュータにインストールされた複数のアプリケーションの通信情報を設定する通信情報設定手段、
前記通信情報設定手段により前記通信情報を設定するためのものであると共に、各アプリケーションを起動するための起動ボタンを備えたダイアログボックスを表示する表示手段、
前記起動ボタンのクリックにより、前記通信情報を反映させてアプリケーションを起動する起動手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする起動プログラム。
【請求項6】
アプリケーションの起動時に反映させる通信情報を設定するコンピュータにおける通信設定方法であって、
前記コンピュータが、
各アプリケーションがサポートするサポートデバイス情報を記憶する工程と、
セットアップされた1以上のデバイスの中から通信対象となるデバイスの指定を受ける工程と、
前記サポートデバイス情報に基づき、前記指定されたデバイスを共通してサポートする関連アプリケーションを抽出する工程と、
前記関連アプリケーションの前記通信情報を設定する工程と、
前記関連アプリケーションに対し、設定した前記通信情報を参照するための通信情報IDを付与する工程と、を実行することを特徴とする通信設定方法。
【請求項7】
複数のアプリケーションがインストールされたコンピュータにおけるアプリケーションの起動方法であって、
前記コンピュータが、
前記複数のアプリケーションの通信設定に関する設定値を入力するためのものであると共に、各アプリケーションを起動するための起動ボタンを備えたダイアログボックスを表示する工程と、
前記ダイアログボックスに入力された設定値に基づき、前記複数のアプリケーションの通信情報を設定する工程と、
前記起動ボタンのクリックにより、前記通信情報を反映させてアプリケーションを起動する工程と、を実行することを特徴とするアプリケーションの起動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−79397(P2006−79397A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263369(P2004−263369)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】