説明

通気流誘導装置

【課題】誘引流の発生を防止するとともに、空調機近傍でも床下から床上へ確実に空気を供給できる通気流誘導装置を提供する。
【解決手段】上下方向に貫通する通気孔24を有するフリーアクセスフロアパネル22の下側に設置され、フリーアクセスフロアパネル22の下側を通る風を通気孔24に誘導する羽根部材26を有するようにした。
【効果】誘引流の発生を防止するとともに、空調機近傍でも床下から床上へ確実に空気を供給できる。このため、空調機近傍のコンピュータ自体の温度上昇や室内の温度上昇等が原因で、空調機近傍のコンピュータが故障することを確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床吹き出し方式のフリーアクセスフロアパネルに設置され、床下の空気を床上に誘導する通気流誘導装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においては、図16に示すように、床吹き出し方式の室内空調を行なう電算室2があった。すなわち、この従来の電算室2は、室内の複数のラック4それぞれに収納されている不図示のコンピュータが、コンピュータ自体の温度上昇や室内の温度上昇等が原因となり故障することを防止するために、室内の温度等を適切に維持する床吹き出し方式の室内空調を行なうようになっていた。
【0003】
この従来の電算室2内には、上記した床吹き出し方式の室内空調を行なうために、フリーアクセスフロア6が設置されている。このフリーアクセスフロア6は、支持脚8により支持される複数のパネル10が一定高さの水平面内に敷き詰められることにより構築されている。この複数のパネル10のそれぞれには、その厚さ方向に貫通する複数の不図示の通気孔が設けられている。
【0004】
また、従来の電算室2内におけるフリーアクセスフロア6上の壁際の位置には、冷却した空気を、フリーアクセスフロア6と電算室2のスラブ床面12との間の床下空間に送出し供給する空調機14が設置されている。フリーアクセスフロア6とスラブ床面12との間の床下空間に供給された空気は、パネル10の不図示の通気孔を通って、フリーアクセスフロア6の上側の室内空間に供給されるようになっていた。
【0005】
電算室2内におけるフリーアクセスフロア6の上側の室内空間の空気は、この電算室2の天井11の集気口から取り込まれ、天井11の上側のダクト15内を通って空調機14に供給され、循環するようになっている。
【0006】
また、上記従来の電算室2で用いられているような床吹き出し方式の室内空調は、上記従来の電算室2以外に、オフィスビルの部屋等に採用されることもあった(例えば、特許文献1参照)。また、上記従来の電算室2に設置されるフリーアクセスフロア6のパネル10としては、その通気孔の開口面積を調節することにより、この通気孔を通り抜ける空気の流量を調節することができるようになっているものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−250801号公報
【特許文献2】特開平10−82163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の電算室2に用いた床吹き出し方式の室内空調においては、図16に示すように、空調機14の近くの領域では空調機14から吹き出される空気の風速が大きいことに起因するベンチュリ効果により、フリーアクセスフロア6のパネル10より上側の空気が、不図示の通気孔を通ってパネル10の下側を通る風速が大きい空気流に引き込まれて逆流する誘引流が発生するという問題があった。
【0009】
このような問題は、昨今のコンピュータ技術の発展による、ラック4内の不図示のコンピュータの処理速度等の性能向上に伴う発熱量の増大化に対応するために、空調機14から送出する空気流量の増大化、風速の高速化に伴って発生するようになったものである。
【0010】
また、上記従来の電算室2に用いた床吹き出し方式の室内空調においては、空調機14の近くの領域で上記したような誘引流が発生することにより、空調機14からパネル10の下側を通って室内の空調機14の近くの領域に供給されるはずだった空気を取り入れることができないため、空調機14の近傍に設置された不図示のコンピュータは、十分な冷却ができなくなるという問題があった。
【0011】
また、上記した誘引流は、上記特許文献2のパネルを用いることにより、その通気孔の開口面積を調節するようにしたとしても、通気孔を通過する空気の流れる方向が変わるわけではないので、結局、通気孔を通過する誘引流の流量を変化させることしかできず、誘引流の発生そのものを防止することができないという問題があった。
【0012】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、誘引流の発生を防止するとともに、空調機近傍でも床下から床上へ確実に空気を供給できる通気流誘導装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明による通気流誘導装置は、上下方向に貫通する通気孔を有するフリーアクセスフロアパネルの下側に設置され、フリーアクセスフロアパネルの下側を通る風を前記通気孔に誘導する羽根部材を有することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明による通気流誘導装置は、前記羽根部材は、板状であって風上に向かってフリーアクセスフロアパネルから離れていくように傾斜して配置されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明による通気流誘導装置は、前記羽根部材の傾斜する角度を調節する角度調節機構を備えることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明による通気流誘導装置は、
前記角度調節機構は、フリーアクセスフロアパネルと前記羽根部材を互いに回動自在に連結するヒンジ部材と、高さ調節機構とを備えるものであって、
前記高さ調節機構は、軸線の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられて回転自在に軸支される調節用オネジ部材と、前記羽根部材を支持すると共に前記調節用オネジにその回転動作により上下動するようねじ結合されたナット部材とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明による通気流誘導装置は、
前記角度調節機構は、互いに水平方向に離れて配置される複数の高さ調節機構を備えるものであって、
前記高さ調節機構のそれぞれは、軸線方向の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられて回転自在に軸支される調節用オネジ部材と、前記羽根部材を支持すると共に前記調節用オネジ部材にその回転動作により上下動するようねじ結合されたナット部材とを備えることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明による通気流誘導装置は、前記高さ調節機構は、前記羽根部材に固定され前記ナット部材に当接することにより、ナット部材が回転するのを防止する第1のナット回転防止部材を備えることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明による通気流誘導装置は、前記高さ調節機構は、前記ナット部材にそのネジ孔の軸線方向と平行方向に貫通する回転防止用貫通孔が形成され、前記調節用オネジ部材と互いに平行に設置され、前記ナット部材における前記回転防止用貫通孔に通される棒形状の第2のナット回転防止部材を備えることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明による通気流誘導装置は、前記調節用オネジ部材は、前記フリーアクセスフロアパネルにおける前記通気孔の下に配置され、その上端部に自身を回転させるための工具が係合する係合部を有することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明による通気流誘導装置は、
前記角度調節機構にウォームギヤ機構が用いられ、
前記ウォームギヤ機構のウォーム部材は、その軸線の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられると共に前記フリーアクセスフロアパネルにおける前記通気孔の下に配置され、その上端部に自身を回転させるための工具が係合する係合部を有することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明による通気流誘導装置は、前記羽根部材を複数枚備え、この複数の羽根部材がリンク機構により連動することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
このような本発明の通気流誘導装置によれば、
上下方向に貫通する通気孔を有するフリーアクセスフロアパネルの下側に設置され、フリーアクセスフロアパネルの下側を通る風を前記通気孔に誘導する羽根部材を有することにより、
誘引流の発生を防止するとともに、空調機近傍でも床下から床上へ確実に空気を供給できる。このため、空調機近傍のコンピュータ自体の温度上昇や室内の温度上昇等が原因で空調機近傍のコンピュータが故障することを確実に防止することができる。
【0024】
また、本発明の通気流誘導装置によれば、
前記羽根部材は、板状であって風上に向かってフリーアクセスフロアパネルから離れていくように傾斜して配置されていることにより、
確実に、上記誘引流の発生を防止することができる。
【0025】
また、本発明の通気流誘導装置によれば、
前記羽根部材の傾斜する角度を調節する角度調節機構を備えることにより、
上記フリーアクセスフロアパネルの通気孔を通る空気量を調節し、このフリーアクセスフロアパネル以外の他のフリーアクセスフロアパネルの通気孔を通る空気量との間でバランスを図ることができる。
【0026】
また、本発明の通気流誘導装置によれば、
前記角度調節機構は、フリーアクセスフロアパネルと前記羽根部材を互いに回動自在に連結するヒンジ部材と、高さ調節機構とを備えるものであって、
前記高さ調節機構は、軸線の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられて回転自在に軸支される調節用オネジ部材と、前記羽根部材を支持すると共に前記調節用オネジにその回転動作により上下動するようねじ結合されたナット部材とを備えることにより、
上記羽根部材における上記ヒンジ部材とは反対側の端部の高さを前記高さ調節機構によって調節することで、この羽根部材の傾斜角度を簡単に調節することができる。
【0027】
また、本発明の通気流誘導装置によれば、
前記角度調節機構は、互いに水平方向に離れて配置される複数の高さ調節機構を備えるものであって、
前記高さ調節機構のそれぞれは、軸線方向の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられて回転自在に軸支される調節用オネジ部材と、前記羽根部材を支持すると共に前記調節用オネジ部材にその回転動作により上下動するようねじ結合されたナット部材とを備えることにより、
羽根部材の角度はどちらか一方の高さ調節機構のナット部材を中心に羽根部材の角度を変更することができるほか、双方の高さ調節機構のナット部材を同じ距離ずつ動かすことによって羽根部材の角度を変えずにパネルと羽根部材の距離を変更する(上下方向への平行移動)ことも可能となるので、羽根部材に対して行なう調整の手法の幅を広げることができる。
【0028】
また、本発明の通気流誘導装置によれば、
前記高さ調節機構は、前記羽根部材に固定され前記ナット部材に当接することにより、ナット部材が回転するのを防止する第1のナット回転防止部材を備えることにより、
上記高さ調節機構、及びこれを含む上記角度調節機構の動作が確実に行なわれるようにすることができる。
【0029】
また、本発明の通気流誘導装置によれば、
前記高さ調節機構は、前記ナット部材にそのネジ孔の軸線方向と平行方向に貫通する回転防止用貫通孔が形成され、前記調節用オネジ部材と互いに平行に設置され、前記ナット部材における前記回転防止用貫通孔に通される棒形状の第2のナット回転防止部材を備えることにより、
上記高さ調節機構、及びこれを含む上記角度調節機構の動作が確実に行なわれるようにすることができる。
【0030】
また、本発明の通気流誘導装置によれば、
前記調節用オネジ部材は、前記フリーアクセスフロアパネルにおける前記通気孔の下に配置され、その上端部に自身を回転させるための工具が係合する係合部を有することにより、
上記羽根部材の傾斜角度調節の際に、敷設されている上記フリーアクセスフロアパネルを取り外す必要がない。
【0031】
また、本発明の通気流誘導装置によれば、
前記角度調節機構にウォームギヤ機構が用いられ、
前記ウォームギヤ機構のウォーム部材は、その軸線の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられると共に前記フリーアクセスフロアパネルにおける前記通気孔の下に配置され、その上端部に自身を回転させるための工具が係合する係合部を有することにより、
上記羽根部材の傾斜角度調節の際に、上記フリーアクセスフロアパネルを取り外したり、フリーアクセスフロアを解体したりしないで済ませることができる。
【0032】
また、本発明の通気流誘導装置によれば、
前記羽根部材を複数枚備え、この複数の羽根部材がリンク機構により連動することにより、
1枚の羽根部材に対してその傾斜角度調節を行なえば、他の羽根部材も連動して傾斜角度調節されるようになるので、傾斜角度調節の作業を簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る通気流誘導装置20、及びこの通気流誘導装置20が設置されるフリーアクセスフロアパネル22を含んで構成されるフリーアクセスフロア18、並びにフリーアクセスフロア18が設置される電算室16示す断面図である。
【図2】図1中の通気流誘導装置20、及びパネル22を示す正面断面図である。
【図3】図2中のパネル22を示す平面図である。
【図4】図2中の通気流誘導装置20、及びパネル22を示す平面図である。
【図5】図2中における通気流誘導装置20、及びパネル22を示す左側面図である。
【図6】図2中における高さ調節機構32、並びにパネル22及び羽根部材26のそれぞれの一部を拡大して示す拡大正面断面図である。
【図7】図6中における高さ調節機構32、及び羽根部材26の一部を示すB−B線矢視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る通気流誘導装置50、及びパネル22を示す正面断面図である。
【図9】図8中の通気流誘導装置50、及びパネル22を示す平面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る通気流誘導装置60、及びパネル22を示す正面断面図である。
【図11】図10中における通気流誘導装置60、及びパネル22を示す左側面図である。
【図12】図10中における高さ調節機構64、及び羽根部材26の一部を示すD−D線矢視図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る通気流誘導装置80、及びパネル22を示す平面図である。
【図14】図13中における通気流誘導装置80、及びパネル22を示すE−E線矢視図である。
【図15】図13中における通気流誘導装置80、及びパネル22を示すF−F線矢視図である。
【図16】従来のフリーアクセスフロアパネル10を含んで構成されるフリーアクセスフロア6、並びに床部にフリーアクセスフロア6が敷設される電算室2を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る通気流誘導装置を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1から図7は、本発明の第1の実施の形態に係る通気流誘導装置20について説明するために参照する図である。従来と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、従来と同様の構成についての重複する説明はできるだけ省略するものとする。
【0035】
本実施の形態に係る通気流誘導装置20は、図1に示すように、電算室16内に設置されたフリーアクセスフロア18における、その上にラック4が載置されていない、空調機14寄りの図中2箇所のフリーアクセスフロアパネル22(以下、パネル22という。)の下側に設置されている。
【0036】
図2は、図1中の通気流誘導装置20とパネル22を示す拡大正面断面図である。同図に示すように、通気流誘導装置20は、図1中の空調機14から送風されてパネル22の下側を通る風の一部を、パネル22に形成された複数の通気孔24を通り抜けるように誘導する1枚の羽根部材26を備えている。この羽根部材26は、板状であって、風上(図2中、左側)に向かってパネル22から徐々に下側に離れていくように傾斜して配置されている。
【0037】
パネル22は、図3に示すように、その平面形状が略正方形に形成され、その平面領域のほぼ全体に渡って上下方向(図3中、紙面に垂直の方向)に貫通する、複数の略長方形の通気孔24が形成されている。
【0038】
図3中において、このようなパネル22の下側(図3中、紙面に垂直方向の奥側)に設置される通気流誘導装置20を図示しようとすると図面が複雑化するため、通気流誘導装置20の平面図を示す場合には、図4に示すように、パネル22については、便宜上、その外形だけを二点鎖線で示すこととする。
【0039】
なお、図3及び図4中において、パネル22の四隅に示されている二点鎖線の円のそれぞれは、図1に示す支持脚8であって、この支持脚8におけるパネル22の下面に接触する接触面の平面形状を表わしているものである。
【0040】
通気流誘導装置20は、図2、図4及び図5に示すように、上記した羽根部材26の他に、この羽根部材26の傾斜する角度を調節する角度調節機構28を備えている。この角度調節機構28は、2つのヒンジ部材30と、1組の高さ調節機構32とを備えて構成されている。
【0041】
2つのヒンジ部材30のそれぞれは、パネル22における風下側(図2及び図4中、右側)の端部の下面と、羽根部材26の風下側の端部とを互いに回動自在に連結している。また、高さ調節機構32は、図2及び図4に示すように、ヒンジ部材30から水平方向に風上側(図2及び図4中、左側)に離れて配置され、羽根部材26における風上側の端部の高さ調節を行なうようになっている。
【0042】
高さ調節機構32は、図5及び図6に示すように、1個の本体部34、1本の調節用オネジ部材36、2つのナット部材38、2つの環状弾性体40、及び2つの第1のナット回転防止部材42を備えている。
【0043】
高さ調節機構32の本体部34は、鉛直方向に互いに離れて、互いに平行かつ水平に配置される上板34aと下板34bとを1枚ずつ備えている。この本体部34は、パネル22の下面に溶接等により固定されている。
【0044】
調節用オネジ部材36は、図6に示すように、その軸線の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられて配置されている。そして、その上端部と下端部のそれぞれに形成されたくびれ部分が、本体部34における上板34aと下板34bのそれぞれに形成された孔に緩やかに嵌められていることにより、回転自在に軸支されている。
【0045】
また、羽根部材26には、図6及び図7に示すように、その厚さ方向に貫通する溝孔44が形成されている。この溝孔44は、調節用オネジ部材36の水平方向の位置に対応して形成されていることにより、この溝孔44内を調節用オネジ部材36が通り抜けるようになっている。また、溝孔44は、この溝孔44が形成される羽根部材26が、図2中のヒンジ部材30の回動軸線を中心とする回動動作を行なう際の半径方向(図6中、羽根部材26の傾斜方向)に、長さを有するような長孔に形成されている。
【0046】
これにより、羽根部材26が、図2中のヒンジ部材30の回動軸線を中心とする回動動作を行なう際に、この羽根部材26における調節用オネジ部材36との相対的な交差位置が、羽根部材26の傾斜方向に沿って移動しても、羽根部材26における溝孔44の長さ両端部が調節用オネジ部材36に接触して羽根部材26の回動に支障を来たすことを防止できるようになっている。
【0047】
また、図6に示すように、調節用オネジ部材36には、上下2つのナット部材38がねじ結合されている。この上下2つのナット部材38は、その間に配置される上下2つの環状弾性体40それぞれを介して、羽根部材26を挟持するようになっている。
【0048】
また、羽根部材26の上下面のそれぞれには、図6及び図7に示すように、U字形状に形成された第1のナット回転防止部材42が1つずつ溶接等により固定されている。これら第1のナット回転防止部材42のそれぞれは、そのU字形状の内側面にナット部材38の互いに平行な2面が緩く接触して収納されるように配置されている。
【0049】
これにより、ナット部材38のそれぞれは、図7に示すように、調節用オネジ部材36が回転するときに一緒に回転しようとしても、そのナット部材38の互いに平行な2面が第1のナット回転防止部材42の内周面に当接して、ナット部材38の回転が拘束されるようになっている。
【0050】
このため、これら2つのナット部材38は、図6に示すように、調節用オネジ部材36が回転したときには、互いの対向方向の間隔を保持しながら、調節用オネジ部材36の軸線方向、すなわち、上下方向に共に移動するようになっている。羽根部材26は、その風上側(図6中、左側)の端部が、このような2つのナット部材38の上下方向の移動により高さ調節されることにより、図2に示すように、ヒンジ部材30の回動軸線を中心にして回動するようになっている。
【0051】
また、図6に示すように、2つの環状弾性体40のそれぞれは、その素材としてクロロプレンゴムやスポンジゴム等の、自身の弾性力により自在に変形する合成ゴム等が用いられている。
【0052】
このため、高さ調節機構32の高さ調節に伴う羽根部材26の回動動作により、2つの環状弾性体40同士の対向方向と羽根部材26の傾斜角度との間の相対角度が変化しても、2つの環状弾性体40のそれぞれにおける羽根部材26との接触面の角度は、羽根部材26の傾斜角度に追従するようになっている。これにより、高さ調節機構32の2つのナット部材38は、その間に配置される2つの環状弾性体40を介して、羽根部材26を常に適切に挟持するようになっている。
【0053】
また、調節用オネジ部材36は、図5及び図6に示すように、パネル22の通気孔24の下に配置されていることにより、その上端面が、パネル22における通気孔24同士の間の肉厚部分に隠れないようになっている。
【0054】
また、調節用オネジ部材36は、図6に示すように、その上端部に、上端面に開口する一定深さの六角穴36a(係合部に相当)が形成されている。この調節用オネジ部材36の六角穴36aには、調節用オネジ部材36を回転させるための、不図示の六角棒スパナ(六角棒レンチ)の先端部が係合することができるようになっている。
【0055】
このような本実施の形態に係る通気流誘導装置20によれば、図1に示すように、空調機14からの送風の一部を、図2に示すように、羽根部材26がパネル22の通気孔24に誘導するようになっているので、パネル22の上側の空気が、パネル22の下側を通る空気流に引き込まれて逆流する誘引流の発生を防止することができるとともに、空調機14の近傍でもフリーアクセスフロア18の床下から床上へ確実に空気を供給できる。
【0056】
このため、本実施の形態に係る通気流誘導装置20によれば、空調機14近傍のコンピュータ自体の温度上昇や室内の温度上昇等が原因で、空調機14近傍のコンピュータが故障することを確実に防止することができる。
【0057】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置20によれば、図2に示すように、羽根部材26が、板状に形成されると共に、風上に向かってパネル22から下側に離れていくように傾斜して配置されているので、確実に上記誘引流の発生を防止することができる。
【0058】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置20によれば、角度調節機構28を備えていることにより、パネル22の通気孔24を通る空気量を、パネル22ごとに個別に調節することができるので、図1に示すように、通気流誘導装置20を設置したパネル22同士の間で、或いは、通気流誘導装置20を設置しない他のパネル22との間で、これらそれぞれの通気孔24を通る空気量のバランスを図ることができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置20によれば、その羽根部材26の風下側の端部がヒンジ部材30を介して回動自在にパネル22に連結され、ヒンジ部30よりも風上側に設置される高さ調節機構32により、羽根部材26における風上側の端部の高さが調節されるようになっているので、羽根部材26の風上側の端部の高さを調節するだけで、この羽根部材26の傾斜角度を簡単に調節することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置20によれば、その高さ調節機構32が第1のナット回転防止部材42を備えていることにより、ナット部材38が調節用オネジ部材36の回転動作に対応して確実に上下移動を行うようになっているので、高さ調節機構32、及びこれを含む角度調節機構28の動作が確実に行なわれるようにすることができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置20によれば、その高さ調節機構32の調節用オネジ部材36が、パネル22の通気孔24の下に配置されると共に、その上端部に六角棒スパナの先端部を係合させるための六角穴36aが形成されていることにより、図1に示すように、フリーアクセスフロア18を設置した状態において、パネル22越しに調節用オネジ部材36を回転させることができるので、羽根部材26の角度調節の際に、敷設されているパネル22を取り外す必要がない。
【0062】
次に、図8及び図9は、本発明の第2の実施の形態に係る通気流誘導装置50について説明するために参照する図である。前記第1の実施の形態に係る通気流誘導装置20と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成についての重複する説明はできるだけ省略するものとする。
【0063】
本実施の形態に係る通気流誘導装置50は、図8及び図9に示すように、前記第1の実施の形態に係る通気流誘導装置20の角度調節機構28の代わりに、角度調節機構52を備えている。この角度調節機構52は、記第1の実施の形態に係る通気流誘導装置20の高さ調節機構32と同様の、高さ調節機構32を2組備えて構成されている。
【0064】
すなわち、本実施の形態に係る通気流誘導装置50の角度調節機構52は、互いに水平方向の風上側と風下側(図8及び図9中、左側と右側)に離れて設置される2組の高さ調節機構32により、羽根部材26における風上側と風下側のそれぞれの端部を異なる高さに調節し、羽根部材26の角度を調節するようになっている。
【0065】
このような本実施の形態に係る通気流誘導装置50によれば、前記第1の実施の形態と同様に、空調機14からの送風の一部を、羽根部材26がパネル22の通気孔24に誘導するようになっているので、パネル22の上側の空気が、パネル22の下側を通る空気流に引き込まれて逆流する誘引流の発生を防止することができるとともに、空調機14の近傍でもフリーアクセスフロア18の床下から床上へ確実に空気を供給できる。
【0066】
このため、本実施の形態に係る通気流誘導装置50によっても、空調機14近傍のコンピュータ自体の温度上昇や室内の温度上昇等が原因で、空調機14近傍のコンピュータが故障することを確実に防止することができる。
【0067】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置50によっても、前記第1の実施の形態と同様に、羽根部材26が、板状に形成されると共に、風上に向かってパネル22から下側に離れていくように傾斜させることができるので、確実に上記誘引流の発生を防止することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置50によれば、角度調節機構52を備えていることにより、前記第1の実施の形態と同様に、パネル22の通気孔24を通る空気量を、パネル22ごとに個別に調節することができるので、通気流誘導装置50を設置したパネル22同士の間で、或いは、通気流誘導装置50を設置しない他のパネル22との間で、これらそれぞれの通気孔24を通る空気量のバランスを図ることができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置50によれば、その高さ調節機構32のそれぞれが第1のナット回転防止部材42を備えていることにより、ナット部材38が調節用オネジ部材36の回転動作に対応して確実に上下移動を行うようになっているので、高さ調節機構32のそれぞれと、これらを含む角度調節機構28の動作が確実に行なわれるようにすることができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置50によれば、前記第1の実施の形態と同様に、その高さ調節機構32のそれぞれの調節用オネジ部材36が、パネル22の通気孔24の下に配置されると共に、その上端部に六角棒スパナの先端部を係合させるための六角穴36aが形成されていることにより、フリーアクセスフロア18を設置した状態において、パネル22越しに調節用オネジ部材36を回転させることができるので、羽根部材26の角度調節の際に、敷設されているパネル22を取り外す必要がない。
【0071】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置50によれば、その角度調節機構52が2組の高さ調節機構32を備えているために、羽根部材26の角度はどちらか一方の高さ調節機構32のナット部材38を中心に羽根部材26の角度を変更することができるほか、双方の高さ調節機構32のナット部材38を同じ距離ずつ動かすことによって羽根部材26の角度を変えずにパネル22と羽根部材26の距離を変更する(上下方向への平行移動)ことも可能となるので、羽根部材26に対して行なう調整の手法の幅を広げることができる。
【0072】
次に、図10から図12は、本発明の第3の実施の形態に係る通気流誘導装置60について説明するために参照する図である。前記第1の実施の形態に係る通気流誘導装置20と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成についての重複する説明はできるだけ省略するものとする。
【0073】
本実施の形態に係る通気流誘導装置60の角度調節機構62は、図10及び図11に示すように、ヒンジ部材30と高さ調節機構64とを備えている。この角度調節機構62の高さ調節機構64は、図11及び図12に示すように、前記第1の実施の形態に係る通気流誘導装置20の高さ調節機構32(図6参照)における2つのナット部材38、及び2つの第1のナット回転防止部材42の代わりに、2つのナット部材66、及び1本の棒状の第2のナット回転防止部材68を備えている。
【0074】
2つのナット部材66のそれぞれは、図12に示すように、その平面形状が略繭形状に形成され、調節用オネジ部材36にねじ結合されるネジ孔70の軸線方向と平行方向に貫通する回転防止用貫通孔72が形成されている。
【0075】
第2のナット回転防止部材68は、図11に示すように、棒状に形成され、調節用オネジ部材36と互いに平行に配置され、その上下端部のそれぞれが、本体部34の上板34aと下板34bのそれぞれに溶接等により固定され設置されている。また、この第2のナット回転防止部材68は、図10から図12に示すように、2つのナット部材66のそれぞれの回転防止用貫通孔72に通されている。
【0076】
これにより、ナット部材66のそれぞれは、調節用オネジ部材36が回転するときに一緒に回転しようとしても、第2のナット回転防止部材68により回転しないようになっている。
【0077】
このため、これら2つのナット部材66は、前記第1の実施の形態に係る通気流誘導装置20の高さ調節機構32(図6参照)における2つのナット部材38と同様に、調節用オネジ部材36が回転したときには、互いの対向方向の間隔を保持しながら、調節用オネジ部材36の軸線方向、すなわち、上下方向に移動するようになっている。羽根部材26は、その風上側の端部が、このような2つのナット部材66の上下方向の移動により高さ調節され、図10に示すように、ヒンジ部材30の回動軸線を中心にして回動するようになっている。
【0078】
このような本実施の形態に係る通気流誘導装置60によれば、前記第1の実施の形態と同様に、空調機14からの送風の一部を、羽根部材26がパネル22の通気孔24に誘導するようになっているので、パネル22の上側の空気が、パネル22の下側を通る空気流に引き込まれて逆流する誘引流の発生を防止することができるとともに、空調機14の近傍でもフリーアクセスフロア18の床下から床上へ確実に空気を供給できる。
【0079】
このため、本実施の形態に係る通気流誘導装置60によっても、空調機14近傍のコンピュータ自体の温度上昇や室内の温度上昇等が原因で、空調機14近傍のコンピュータが故障することを確実に防止することができる。
【0080】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置60によれば、前記第1の実施の形態と同様に、羽根部材26が、板状に形成されると共に、風上に向かってパネル22から下側に離れていくように傾斜させることができるので、確実に上記誘引流の発生を防止することができる。
【0081】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置60によれば、角度調節機構62を備えていることにより、前記第1の実施の形態と同様に、パネル22の通気孔24を通る空気量を、パネル22ごとに個別に調節することができるので、通気流誘導装置60を設置したパネル22同士の間で、或いは、通気流誘導装置60を設置しない他のパネル22との間で、これらそれぞれの通気孔24を通る空気量のバランスを図ることができる。
【0082】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置60によれば、前記第1の実施の形態と同様に、その羽根部材26の風下側(図10中、右側)の端部がヒンジ部材30を介して回動自在にパネル22に連結され、ヒンジ部30よりも風上側に設置される高さ調節機構62により、羽根部材26における風上側の端部の高さが調節されるようになっているので、羽根部材26の風上側の端部の高さを調節するだけで、この羽根部材26の傾斜角度を簡単に調節することができる。
【0083】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置60によれば、その高さ調節機構64が第2のナット回転防止部材68を備えていることにより、ナット部材66が調節用オネジ部材36の回転動作に対応して確実に上下移動を行うようになっているので、高さ調節機構64、及びこれを含む角度調節機構62の動作が確実に行なわれるようにすることができる。
【0084】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置60によれば、前記第1の実施の形態と同様に、その高さ調節機構64の調節用オネジ部材36が、パネル22の通気孔24の下に配置されると共に、その上端部に六角棒スパナの先端部を係合させるための六角穴36aが形成されていることにより、フリーアクセスフロア18を設置した状態において、パネル22越しに調節用オネジ部材36を回転させることができるので、羽根部材26の角度調節の際に、敷設されているパネル22を取り外す必要がない。
【0085】
次に、図13から図15は、本発明の第4の実施の形態に係る通気流誘導装置80について説明するために参照する図である。前記第1の実施の形態に係る通気流誘導装置20と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成についての重複する説明はできるだけ省略するものとする。
【0086】
本実施の形態に係る通気流誘導装置80は、図13から図15に示すように、パネル22の下側に設置される略四角枠状のケーシング部材82を備えている。ケーシング部材82は、略四角枠形状の板状の枠板82aと、この枠板82aにおける枠形状の図13中左右方向に伸びて上下方向に対向する2辺それぞれの下面に、これら2辺それぞれの長さ方向に沿って溶接等により固定される2本の棒状のL字部材82bを備えて構成されている。
【0087】
2本のL字部材82bのそれぞれは、図15に示すように、その長さ方向に直角の断面形状が略L字形に形成されている。ケーシング部材82は、図13から図15に示すように、その枠板82aの外周縁部において、複数のボルト83によりパネル22の肉厚部分の下面に取り付けられている。
【0088】
この略四角枠状のケーシング部材82の内側には、5本の軸部材84が配置されている。この5本の軸部材84のそれぞれは、図13及び図14に示すように、その軸線の伸びる方向が、水平方向であってケーシング部材82における2本のL字部材82b同士が互いに対向する方向を向くように互いに平行に配置され、鉛直方向において互いに同じ高さに配置されている。
【0089】
また、ケーシング部材82には、図13から図15に示すように、そのL字部材82bのそれぞれに、これらL字部材82bそれぞれの長さ方向に沿って2本の角棒形状の軸支部材86が、溶接等により固定されている。この2本の軸支部材86それぞれは、その長さ方向が水平方向に向けられ、互いに平行となるように配置されている。
【0090】
この2本の軸支部材86のそれぞれには、互いの対向方向に開口する軸支孔が5つずつ形成されている。これら5つずつの軸支孔のそれぞれは、軸支部材86それぞれの長さ方向(図13中、左右方向)に一定間隔ずつ離れて形成され、他方の軸支部材86に形成された軸支孔の位置と互いに対応する位置に形成されている。
【0091】
5本の軸部材84のそれぞれは、その長さ両端部のそれぞれが、2本の軸支部材86のそれぞれの互いに対応する軸支孔のそれぞれに緩やかに嵌合することにより、回動自在に軸支されている。
【0092】
5本の軸部材84のうちの中央の1本には、羽根部材88aが固定され、この中央の1本以外の他の4本のそれぞれには、羽根部材88bが固定されている。羽根部材88a,88bのそれぞれは、略四角形状の板状に形成されている。羽根部材88aは、後述する角度調節機構90と互いに干渉しないようにするための切欠き部が形成されている点で、他の4枚の羽根部材88bと異なっている。
【0093】
羽根部材88a,88bのそれぞれは、図14に示すように、同じ角度だけ傾斜して互いに平行に配置されている。羽根部材88a,88bのそれぞれは、その傾斜方向の長さ中間位置に形成された略半円形状の断面形状を有する溝部に、これら羽根部材88a,88bのそれぞれに対応する軸部材84のそれぞれが嵌合し溶着されることにより、これら軸部材84のそれぞれに固定されている。
【0094】
また、通気流誘導装置80は、図13及び図15に示すように、羽根部材88a,88bのそれぞれの傾斜角度を調節する角度調節機構90を備えている。この角度調節機構90は、直接的には羽根部材88aの角度だけを調節するようになっているが、後述するリンク機構98により、羽根部材88bのそれぞれの角度をも調節するようになっている。角度調節機構90は、図13に示すように、ケーシング部材82における図13中下側のL字部材82bの長さ方向中央の内側に設けられている。
【0095】
この角度調節機構90には、ウォーム部材92(ネジ歯車)とウォームホイール部材94(はす歯歯車)とを有するウォームギヤ機構が採用されている。この角度調節機構90のウォーム部材92は、図15に示すように、略U字形状に形成され軸支部材86を跨いでL字部材82bの内側面に固定される取り付け具96に、その回転軸線の伸びる方向の長さ中間部分のウォーム本体部分92aが、取り付け具96の略U字形状の内側に配置されるように、回転自在に軸支されている。
【0096】
ウォームホイール部材94は、図13及び図15に示すように、5本の軸部材84のうちの羽根部材88aが固定された中央の軸部材84に堅く嵌合し、ウォーム部材92と噛み合うようになっている。
【0097】
ウォーム部材92は、図15に示すように、その長さ中間部分のウォーム本体部分92aよりも上側及び下側の上端部及び下端部のそれぞれが、ウォーム本体部分92aの直径よりも小さい直径となるように形成されると共に、これら上端部及び下端部のそれぞれが取り付け具96の上側及び下側の外側に突出するように形成されている。
【0098】
また、ウォーム部材92は、その回転軸線の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられると共にパネル22の通気孔24の下に配置されていることにより、その上端面が、パネル22における通気孔24同士の間の肉厚部分に隠れないようになっている。
【0099】
また、ウォーム部材92は、その上端部に、上端面に開口する一定深さの一文字状のすり割り(係合部に相当)が形成されている。このウォーム部材92のすり割りには、ウォーム部材92を回転させるための、不図示のねじ回しの先端部が係合することができるようになっている。
【0100】
また、通気流誘導装置80は、図13から図15に示すように、羽根部材88a,88bのそれぞれの傾斜角度の変動が連動させるようにするリンク機構98を備えている。このリンク機構98は、図14に示すように、羽根部材88a,88bのそれぞれと、これら羽根部材88a,88bのそれぞれの傾斜方向における軸部材84が嵌合する溝と風上側端部(図14中、左下側端部)との間の中間位置において、回動自在にピン結合するリンク棒部材100を備えて構成されている。
【0101】
このような本実施の形態に係る通気流誘導装置80によれば、前記第1の実施の形態と同様に、空調機14からの送風の一部を、羽根部材88a,88bがパネル22の通気孔24に誘導するようになっているので、パネル22の上側の空気が、パネル22の下側を通る空気流に引き込まれて逆流する誘引流の発生を防止することができるとともに、空調機14の近傍でもフリーアクセスフロア18の床下から床上へ確実に空気を供給できる。
【0102】
このため、本実施の形態に係る通気流誘導装置80によっても、空調機14近傍のコンピュータ自体の温度上昇や室内の温度上昇等が原因で、空調機14近傍のコンピュータが故障することを確実に防止することができる。
【0103】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置80によれば、前記第1の実施の形態と同様に、羽根部材88a,88bが、板状に形成されると共に、風上に向かってパネル22から下側に離れていくように傾斜させることができるので、確実に上記誘引流の発生を防止することができる。
【0104】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置80によれば、角度調節機構90を備えていることにより、前記第1の実施の形態と同様に、パネル22の通気孔24を通る空気量を、パネル22ごとに個別に調節することができるので、通気流誘導装置80を設置したパネル22同士の間で、或いは、通気流誘導装置80を設置しない他のパネル22との間で、これらそれぞれの通気孔24を通る空気量のバランスを図ることができる。
【0105】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置80によれば、その角度調節機構90のウォーム部材92が、パネル22の通気孔24の下に配置されると共に、その上端部にねじ回しの先端部を係合させるためのすり割りが形成されていることにより、フリーアクセスフロア18を設置した状態において、パネル22越しにウォーム部材92を回転させることができるので、羽根部材88a,88bの角度調節の際に、敷設されているパネル22を取り外す必要がない。
【0106】
また、本実施の形態に係る通気流誘導装置80によれば、リンク機構98を備えていることにより、1枚の羽根部材88aに対して角度調節を行なえば、他の4枚の羽根部材88bも連動して角度調節されるので、羽根部材88全部に対する傾斜角度調節の作業を簡単化することができる。
【0107】
なお、前記第2の実施の形態に係る通気流誘導装置50においては、その角度調節機構52が、2組の高さ調節機構32を備えて構成されていたが、これら2組の高さ調節機構32のいずれか一方又は両方の代わりに、前記第3の実施の形態に係る通気流誘導装置50の高さ調節機構64を備えるようになっていてもよい。
【0108】
また、前記第1から第4の実施の形態に係る通気流誘導装置20,50,60,80のそれぞれは、角度調節機構28,52,62,90を備えていたが、これら角度調節機構28,52,62,90を備えないようにして、羽根部材26,88がその角度が変わらないようにパネル22の下側に固定されるようになっていてもよい。
【0109】
また、前記第1から第4の実施の形態に係る通気流誘導装置20,50,60,80のそれぞれは、角度調節機構28,52,62,90を備えていたが、これら以外の構成の角度調節機構を備えるようになっていてもよい。
【0110】
例えば、前記第1の実施の形態に係る通気流誘導装置20においては、羽根部材26の角度を調節する角度調節機構28は、図2に示すように、そのヒンジ部材30が風下側に配置され、高さ調節機構32が風上側に配置されていたが、パネル22の風上側の位置から、パネル22の下方に伸びる部材を設け、その部材の下端部と羽根部材26の風上側の端部とをヒンジ部材により回動自在に連結し、前記パネル22の下方に伸びる部材よりも風下側に高さ調節機構を配置することにより、羽根部材26の風下側の端部が、風上側の端部の高さよりもパネル22寄りの高さ範囲内で高さ調節されるようにしてもよい。
【0111】
また、このように構成する場合には、上記した高さ調節機構32の代わりに、前記第3の実施の形態に係る通気流誘導装置60の高さ調節機構64を用いるようにしてもよい。
【0112】
また、前記第1から第4の実施の形態に係る通気流誘導装置20,50,60,80のそれぞれにおいては、その羽根部材26はその平面形状が四辺形の単なる平板状であったが、その平面形状の外周四辺のうちの風上側の一辺以外の他の三辺(以下において風下側三辺という。)に沿って、それぞれの縁部に一定高さの壁部を設けるようにしてもよい。
【0113】
このように羽根部材26の風下側三辺に壁部を設けた場合には、この羽根部材26の風下側三辺の壁部で囲まれる領域内に風上側から入り込んできた風が、この風下側三辺の壁部に当たって上方に向うようになるので、この羽根部材26による通気流の上方への誘導作用を促進させることができる。
【0114】
また、このように羽根部材26の風下側三辺に壁部を設けた場合には、上述したように、この羽根部材26の風下側三辺の壁部で囲まれる領域内に風上側から入り込んできた風が上方に向うようになるので、この羽根部材26を前記実施の形態のように傾斜させずに、水平に配置するようにしてもよい。
【0115】
また、前記第1から第4の実施の形態に係る通気流誘導装置20,50,60,80における羽根部材26の風下側三辺に壁部を設けたのと同様に、前記第4の実施の形態に係る通気流誘導装置80の計5枚の羽根部材88のそれぞれについても、その風下側三辺に壁部を設けるようにしてもよい。
【0116】
また、前記第1から第3の実施の形態に係る通気流誘導装置20,50,60のそれぞれにおいては、羽根部材26を1枚だけ備えるようになっていたが、2枚以上備えるようになっていてもよい。
【0117】
また、前記第4の実施の形態に係る通気流誘導装置80においては、計5枚の羽根部材88を備えていたが、羽根部材88を1枚から4枚、又は6枚以上のいずれかの枚数だけ備えるようになっていてもよい。羽根部材88を1枚だけ備えるようにする場合には、リンク機構98は不要となって部品数を減らすことができる。
【符号の説明】
【0118】
2 電算室
4 ラック
6 フリーアクセスフロア
8 支持脚
10 フリーアクセスフロアパネル
11 天井
12 スラブ床面
14 空調機
15 ダクト
16 電算室
18 フリーアクセスフロア
20 通気流誘導装置
22 フリーアクセスフロアパネル
24 通気孔
26 羽根部材
28 角度調節機構
30 ヒンジ部材
32 高さ調節機構
34 本体部
34a 上板
34b 下板
36 調節用オネジ部材
36a 六角穴
38 ナット部材
40 環状弾性体
42 第1のナット回転防止部材
44 溝孔
50 通気流誘導装置
52 角度調節機構
60 通気流誘導装置
62 角度調節機構
64 高さ調節機構
66 ナット部材
68 第2のナット回転防止部材
70 ネジ孔
72 回転防止用貫通孔
80 通気流誘導装置
82 ケーシング部材
82a 枠板
82b L字部材
83 ボルト
84 軸部材
86 軸支部材
88a,88b 羽根部材
90 角度調節機構
92 ウォーム部材
92a ウォーム本体部分
94 ウォームホイール部材
96 取り付け具
98 リンク機構
100 リンク棒部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に貫通する通気孔を有するフリーアクセスフロアパネルの下側に設置され、フリーアクセスフロアパネルの下側を通る風を前記通気孔に誘導する羽根部材を有することを特徴とする通気流誘導装置。
【請求項2】
前記羽根部材は、板状であって風上に向かってフリーアクセスフロアパネルから離れていくように傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の通気流誘導装置。
【請求項3】
前記羽根部材の傾斜する角度を調節する角度調節機構を備えることを特徴とする請求項2に記載の通気流誘導装置。
【請求項4】
前記角度調節機構は、フリーアクセスフロアパネルと前記羽根部材を互いに回動自在に連結するヒンジ部材と、高さ調節機構とを備えるものであって、
前記高さ調節機構は、軸線の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられて回転自在に軸支される調節用オネジ部材と、前記羽根部材を支持すると共に前記調節用オネジにその回転動作により上下動するようねじ結合されたナット部材とを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の通気流誘導装置。
【請求項5】
前記角度調節機構は、互いに水平方向に離れて配置される複数の高さ調節機構を備えるものであって、
前記高さ調節機構のそれぞれは、軸線方向の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられて回転自在に軸支される調節用オネジ部材と、前記羽根部材を支持すると共に前記調節用オネジ部材にその回転動作により上下動するようねじ結合されたナット部材とを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の通気流誘導装置。
【請求項6】
前記高さ調節機構は、前記羽根部材に固定され前記ナット部材に当接することにより、ナット部材が回転するのを防止する第1のナット回転防止部材を備える
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の通気流誘導装置。
【請求項7】
前記高さ調節機構は、前記ナット部材にそのネジ孔の軸線方向と平行方向に貫通するガイド用貫通孔が形成され、前記調節用オネジ部材と互いに平行に設置され、前記ナット部材における前記ガイド用貫通孔に通される棒形状の第2のナット回転防止部材を備える
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の通気流誘導装置。
【請求項8】
前記調節用オネジ部材は、前記フリーアクセスフロアパネルにおける前記通気孔の下に配置され、その上端部に自身を回転させるための工具が係合する係合部を有する
ことを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の通気流誘導装置。
【請求項9】
前記角度調節機構にウォームギヤ機構が用いられ、
前記ウォームギヤ機構のウォーム部材は、その軸線の伸びる方向がほぼ鉛直方向に向けられると共に前記フリーアクセスフロアパネルにおける前記通気孔の下に配置され、その上端部に自身を回転させるための工具が係合する係合部を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の通気流誘導装置。
【請求項10】
前記羽根部材を複数枚備え、この複数の羽根部材がリンク機構により連動することを特徴とする請求項9に記載の通気流誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−255368(P2010−255368A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109232(P2009−109232)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】