説明

通水管接続具

【課題】比較的狭い場所にある通水管の接続部分に対して取付け可能で、接続部分に対するクリップの装着状態の可否を正確に確認することができる、通水管接続具を提供する。
【解決手段】通水管接続具10は、フランジ3,4に係合するクリップ11と、その外周のカバー12とで構成されている。クリップ11は、フランジ3,4を挟持する2つの腕部11a,11bと、腕部11a,11bを互いに弾性的に開閉可能に保つための腕支持部11cと、フランジ3,4を腕部11a,11bの間に誘導するためのガイド部11d,11eとを備えている。カバー12は、2つの腕部11a,11bの外側にそれぞれ配置された腕カバー部12a,12bと、2つの腕カバー部12a,12bを開閉可能に保つためのカバー支持部12cと、ガイド部11d,11eが貫通可能な開口部12d,12eと、腕カバー部12a,12b同士を連結するための連結手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅などにおける給排水経路として床下などに配管される通水管の接続部分に使用する通水管接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
通水管同士を接続する場合、2本の通水管の開口端同士を係合させるとともに開口端付近にそれぞれ設けられたフランジ同士を対向接触させた後、フランジ同士が離れないように挟持するため、クイックファスナーなどと呼ばれるクリップが装着されている。この場合、通水管の接続部分にクリップが正しく装着されているか否かを確認するため、フランジに取り付けられたクリップの外周を覆うように保護カバーが取り付けられることがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この保護カバーは、ヒンジを介して開閉可能に接続された二つの部品(半割体)からなり、クリップ全周を覆う環形状であって、その内径は、通水管の接続部分に正しく装着されたクリップの外径と同じサイズに形成されている。通水管の接続部分に装着されたクリップにこの保護カバーを取り付けるとき、保護カバーが実際に取り付け可能であるか否かによってクリップが正しく装着されているか否かを判断することができる。即ち、クリップに保護カバーが取り付け可能であればクリップは正しく装着されており、取り付け不可能であればクリップは正しく装着されていないと判断することができる。
【0004】
また、この保護カバーを、通水管の接続部分に装着されたクリップに取り付ける場合、通水管のフランジにクリップを装着した方向と同じ方向から行うことができるため、この保護カバーに類する他のカバーや接続具(例えば、特許文献2〜4参照。)に比べると、作業性も良好である。
【0005】
【特許文献1】特開2002−195486号公報
【特許文献2】特開2002−138556号公報
【特許文献3】特開2000−144867号公報
【特許文献4】特開平8−28770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された保護カバーの場合、これを、通水管の接続部分に装着されたクリップの周囲に取り付ける際、保護カバーを構成する2つの半割体を大きく開く必要があり、このとき、2つの半割体の最大外径部が大きく開くこととなる。また、通水管のフランジをクリップの間に誘導するため、クリップの先端部には、拡径方向に開いたガイド部が設けられているので、取り付け作業中の保護カバーがガイド部の外側を通過する際に、2つの半割体を大きく開く必要がある。
【0007】
このため、複数の通水管が接近状態で配管されている部分、例えば、ヘッダーなどの分岐器具における通水管の接続部分に対してこの保護カバーを使用する場合、隣り合う通水管が保護カバーの半割体の開放を妨げ、保護カバーが使用できないことがある。従って、このような従来の保護カバーを使用するには、隣り合う通水管の配置間隔を拡げることが必要となり、ヘッダーなどの分岐器具のコンパクト化を阻害する要因となっている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、比較的狭い場所にある通水管の接続部分に対して取付け可能であって、通水管の接続部分に対するクリップの装着状態の可否を正確に確認することができる、通水管接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の通水管接続具は、開口端付近にフランジを有する2本の通水管を前記フランジ同士を互いに対向接触させて接続した通水管の接続部分に装着される通水管接続具であって、
対向接触した前記フランジに着脱可能に係合するクリップと、前記クリップの外周に着脱可能に取り付けられるカバーとで構成され、
前記クリップが、前記フランジを着脱可能に挟持するため先端部同士を離して配置された2つの腕部と、2つの前記腕部を互いに弾性的に開閉可能に保つため前記腕部の基端部を連接する腕支持部と、前記フランジを前記腕部の間に誘導するため前記腕部の先端部に設けられた拡径形状のガイド部とを備え、
前記カバーが、前記腕部の外側にそれぞれ配置される腕カバー部と、前記腕カバー部同士を開閉可能に保つため前記腕カバー部の基端部を連接するカバー支持部と、前記ガイド部を前記腕部が開く方向に貫通させるため前記腕カバー部に開設された開口部または切欠部と、前記腕カバー部同士を連結するため前記腕カバー部に設けられた連結手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
このような構成とすれば、通水管の接続部分において対向接触した状態にあるフランジにクリップを取り付け、クリップの外周に沿ってカバーを装着した後、連結手段で腕カバー部を連結する際に、クリップのガイド部が、腕カバー部の開口部または切欠部から外に向かって突出した状態となる。このため、クリップのガイド部外周を腕カバー部で完全に覆う構造とした場合に比べ、腕カバー部の最大開度(最大の開き幅)を小さくすることができ、比較的狭い場所にある通水管の接続部分に対して取付け可能となる。また、通水管の接続部分に装着したクリップにカバーを取り付けた後、腕カバー部の先端部にある連結手段で腕カバー部同士を連結できるか否かを確認することにより、通水管の接続部分に対するクリップの装着状態の可否を正確に確認することができる。
【0011】
ここで、前記クリップの腕支持部と、前記カバーのカバー支持部とが固定された構造とすることもできる。このような構成とすれば、クリップとカバーとが一体化した構造となり、通水管の接続部分にクリップを取り付けると同時にカバーも取り付けることが可能となるため、施工が容易となる。また、カバーの取り付けを忘れて、クリップの誤施工を見落とし、施工後に接続部分から漏水が生じるトラブルも無くすことができる。さらに、クリップの腕支持部と、カバーのカバー支持部とが予め固定されていることにより、クリップとカバーとを別々に取り付ける場合のように、腕カバー部の連結手段がクリップのガイド部の外周を通過する必要がなくなるため、腕カバー部の開度(開き幅)をより小さくすることができる。
【0012】
また、前記クリップの腕部の少なくとも一部の断面形状が、対向接触した前記フランジを前記通水管の軸心方向に挟持可能なコ字形状とすることもできる。このような形状とすれば、通水管の接続部分において対向接触状態にあるフランジに対する挟持機能が高まり、強固な挟持状態を得ることが可能となるため、接続部分の信頼性がさらに向上する。
【0013】
さらに、前記腕カバー部の開度を規制する開度規制手段を設ければ、カバーの開度(開き幅)が一定以内に規制され、それより大きく開くことがなくなる。このため、作業空間の狭いヘッダーなどの通水管接続部分で使用する場合、腕カバー部が必要以上に大きく開いて、周囲にある部材(例えば、近傍の通水管接続部など)に当接して、装着作業が阻害されるようなことがなくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、通水管接続具を比較的狭い領域においても取付け可能となり、通水管の接続部分に対するクリップの装着状態の可否を正確に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態である通水管接続具について説明する。図1は本発明の第1実施形態である通水管接続具および通水管の接続部分を示す斜視図、図2は図1に示す通水管接続具の斜視図、図3は図1のA−A線における断面図である。
【0016】
図1〜図3に示すように、本実施形態の通水管接続具10は、開口端付近にフランジ3,4を有する2本の通水管1,2を、フランジ3,4同士を互いに対向接触させて接続した接続部分に装着することによって、接続部分が離れないように固定するためのものである。通水管接続具10は、対向接触したフランジ3,4に着脱可能に係合する金属製のクリップ11と、クリップ11の外周に取り付けられた合成樹脂製のカバー12とで構成されている。
【0017】
クリップ11は、フランジ3,4を着脱可能に挟持するため先端部同士を離して配置された2つの腕部11a,11bと、これら2つの腕部11a,11bを互いに弾性的に開閉可能に保つため腕部11a,11bの基端部を連接する腕支持部11cと、フランジ3,4を腕部11a,11bの間に誘導するために腕部11a,11bの先端部に設けられた拡径形状のガイド部11d,11eとを備えている。本実施形態においてクリップ11は弾性を有する金属材料によって一体的に形成されている。
【0018】
カバー12は、2つの腕部11a,11bの外側にそれぞれ配置された腕カバー部12a,12bと、2つの腕カバー部12a,12bを腕部11a,11bとともに開閉可能に保つため腕カバー部12a,12bの基端部を連接するカバー支持部12cと、クリップ11のガイド部11d,11eを腕部11a,11bが開く方向に貫通させるため腕カバー部12a,12bにそれぞれ開設された開口部12d,12eと、腕カバー部12a,12b同士を連結するため腕カバー部12a,12bの先端部に設けられた連結手段とを備えている。腕カバー部12a,12bの基端部はヒンジ部12nを介してカバー支持部12cに連接されている。
【0019】
本実施形態では、連結手段として、腕カバー部12aの先端部に設けられた2つの嵌合孔12fと、腕カバー部12bの先端部に設けられた2つの嵌合突起12gとを設けている。腕カバー部12bの2つの嵌合突起12gを、腕カバー部12aの2つの嵌合孔12fにそれぞれ嵌入させることにより、2つの腕カバー部12a,12b同士を連結することができる。また、腕カバー部12a,12bの先端部には、フランジ3,4をクリップ11のガイド部11d,11e間に誘導するためのガイド凹部12s,12tが形成されている。
【0020】
また、2つの腕カバー部12a,12bの基端部付近には、カバー支持部12cより内周領域において互いに摺動可能に交差するクロスバー12h,12iが設けられ、クロスバー12hの先端にはストッパ12jが突設され、クロスバー12iの先端にはフック12kが設けられている。腕カバー部12a,12bを開閉すると、クロスバー12h,12iが互いに摺動し、ストッパ12jとフック12kとが互いに接近離隔するが、腕カバー部12a,12bは開く方向に付勢されているため、ストッパ12jとフック12kとが互いに係合することによって腕カバー部12a,12bの開度が一定に規制される。
【0021】
一方、クリップ11の腕支持部11cには貫通孔11fが開設され、この貫通孔11fに嵌入可能な係合突起12mが、カバー12のカバー支持部12cの内面に設けられている。カバー12の係合突起12mを、クリップ11の貫通孔11fに嵌入させることによって、クリップ11にカバー12を固定することができる。
【0022】
ここで、前述した図1〜図3および図4〜図9を参照して、通水管1,2の接続部分に対する通水管接続具10の装着手順について説明する。図4は図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着している状態を示す斜視図、図5は図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着している状態を示す斜視図、図6は図4のB−B線における斜視断面図、図7は図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着した状態を示す斜視図、図8は図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着した状態を示す斜視図、図9は図7のC−C線における斜視断面図である。
【0023】
図1で示したように、嵌合孔12fが嵌合突起12gから離れて、腕カバー部12a,12bが開いた状態にある通水管接続具10の腕カバー部12a,12bの先端側を、通水管1,2の接続部分にて対向接触状態にあるフランジ3,4に向ける。このとき、腕カバー部12a,12bは、クロスバー12hのストッパ12jと、クロスバー12iのフック12kとの係合によって開度が一定に規制されるため、通水管接続具10はフランジ3,4に対して、図3に示す状態で対峙することとなる。
【0024】
この後、通水管接続具10をフランジ3,4に近づけ、腕カバー部12a,12bの先端部にあるガイド凹部12s,12tをフランジ3,4の外周に当接させ、そのまま通水管接続具10全体をフランジ3,4に向かって押し付ければ、フランジ3,4の外周が、ガイド凹部12s,12tに当接し、クリップ11のガイド部11d,11eの間に挟まれ、押し付け力によって弾性的に拡径したガイド部11d,11eに沿って誘導されて腕部11a,11bの間へ嵌り込む。これによって、通水管接続具10は、フランジ3,4に対して、図4〜図6に示すような状態に係止される。
【0025】
そして、さらに通水管接続具10をフランジ3,4に沿って進行させると、クリップ11の腕部11a,11bの間にフランジ3,4が嵌り込み、クリップ11およびカバー12がフランジ3,4の外周に装着される。この後、腕カバー部12bの先端部にある嵌合突起12gを、腕カバー部12aの先端部にある嵌合孔12fに嵌入させることによって腕カバー部12a,12b同士を連結すれば、図7〜図9に示す状態となり、通水管接続具10の装着が完了する。
【0026】
この場合、腕カバー部12a,12bの連結手段として、腕カバー部12aの先端部にある嵌合孔12fと、腕カバー部12bの先端部にある嵌合突起12gとが互いに嵌合して腕カバー部12a,12b同士を連結できるか否かを目視または音で確認することにより、通水管1,2の接続部分に対するクリップ11の装着状態を正確に確認することができる。
【0027】
具体的には、通水管接続具10を取り付けた方向と反対の方向から目視確認したり、通水管接続具10を取り付けた状態で、フランジ3,4の外周に沿って通水管接続具10を180度回転させ、取り付け方向から目視確認したり、あるいは、嵌合突起12gが嵌合孔12fに嵌り込むときに発生する音によって確認することができる。
【0028】
このように、通水管1,2の接続部分において対向接触した状態にあるフランジ3,4に対し、前述したような手順で通水管接続具10を装着することにより、接続部分が離れないように固定することができる。また、通水管接続具10を構成する腕カバー部12a,12bには、クリップ11の腕部11a,11bの先端部にあるガイド部11d,11eが拡径方向に貫通可能な開口部12d,12eが開設されている。このため、装着作業中、クリップ11のガイド部11d,11eが拡径しても、カバー12の腕カバー部12a,12bを大きく開く必要がない。また、腕カバー部12a,12bの開度は、フック12kとストッパ12jとの係合によって規制されているため、取り付け作業中、必要以上に大きく開くことがない。
【0029】
従って、図10,図11に示すように、複数の通水管2aが並列配管されたヘッダー13に対して複数の通水管1aを接続する部分に通水管接続具10を装着する場合に、腕カバー部12a,12bが必要以上に開いて、隣り合う接続部分に装着された通水管接続具10や通水管1a,2aなどに当接することがなくなり、通水管接続具10を容易に装着することができる。即ち、比較的狭い場所にある通水管1a,2aの接続部分に対しても通水管接続具10は取付け可能であり、施工性も良好である。
【0030】
また、通水管接続具10の場合、クリップ11の腕支持部11cと、カバー12のカバー支持部12cとが、貫通孔11fと係合突起12mとの係合により固定されている。従って、クリップ11とカバー12とが一体化した構造となる結果、通水管1,2の接続部分にクリップ11を取り付けると同時にカバー12も取り付けることが可能となるため、施工が容易である。また、カバー12の取り付け忘れを無くすことができるため、クリップ11の誤施工を見落とし、施工後に接続部分から漏水するなどのトラブルを無くすことができる。さらに、クリップ11の腕支持部11cと、カバー12のカバー支持部12cとが予め固定されているため、クリップ11とカバー12とを別々に取り付ける場合のように、腕カバー部12a,12bの連結手段(嵌合孔12fおよび嵌合突起12g)がクリップ11のガイド部11d,11eの外周を通過する必要がないため、腕カバー部12a,12bの開度をより小さくすることができる。
【0031】
また、クリップ11の腕部11a,11bにおいて、フランジ3,4に当接する部分の断面形状を、対向接触したフランジ3,4を通水管1,2の軸心方向(長手方向)に挟持可能なコ字形状としている。このため、通水管1,2の接続部分において対向接触状態にあるフランジ3,4を強固に挟持することができ、当該接続部分の信頼性が向上する。
【0032】
次に、図12〜図20を参照して、本発明の第2実施形態である通水管接続具について説明する。図12は本発明の第2実施形態である通水管接続具を示す斜視図、図13は図12に示す通水管接続具の斜視図、図14は図12に示す通水管接続具の平面図である。また、図15は図12に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着している状態を示す斜視図、図16は図15のE−E線における斜視断面図、図17は図15のE−E線における断面図、図18は図12に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着した状態を示す斜視図、図19は図18のF−F線における斜視断面図、図20は図18のF−F線における断面図である。
【0033】
本実施形態の通水管接続具20は、図1〜図3で示した通水管接続具10と同様、開口端付近にフランジ3,4を有する2本の通水管1,2を、フランジ3,4同士を互いに対向接触させて接続した、通水管1,2の接続部分に装着することによって、接続部分が離れないように固定するためのものである。図12〜図16に示すように、通水管接続具20は、対向接触したフランジに着脱可能に係合する金属製のクリップ21と、クリップ21の外周に取り付けられた合成樹脂製のカバー22とで構成されている。
【0034】
クリップ21は、通水管のフランジを着脱可能に挟持するため先端部同士を離して配置された2つの腕部21a,21bと、これら2つの腕部21a,21bを互いに弾性的に開閉可能に保つため腕部21a,21bの基端部を連接する腕支持部21cと、通水管のフランジを腕部21a,21bの間に誘導するために腕部21a,21bの先端部に設けられた拡径形状のガイド部21d,21eとを備えている。クリップ21は、前述した通水管接続具10を構成するクリップ11と同じ形状である。
【0035】
カバー22は、2つの腕部21a,21bにそれぞれ係止可能な腕カバー部22a,22bと、これら2つの腕カバー部22a,22bを腕部21a,21bとともに開閉可能に保つため腕カバー部22a,22bの基端部を連接するカバー支持部22cと、クリップ21のガイド部21d,21eを腕部21a,21bが開く方向に貫通させるため腕カバー部22a,22bにそれぞれ開設された開口部22d,22eと、腕カバー部22a,22b同士を連結するため腕カバー部22a,22bの先端部に設けられた連結手段とを備えている。腕カバー部22a,22bの基端部はヒンジ部22nを介してカバー支持部22cに連接されている。
【0036】
本実施形態では、連結手段として、腕カバー部22aの先端部に設けられた嵌合凹部22fと、腕カバー部22bの先端部に設けられた嵌合突起22gとを設けている。腕カバー部22bの2つの嵌合突起22gを、腕カバー部22aの2つの嵌合凹部22fにそれぞれ嵌入させることにより、2つの腕カバー部22a,22b同士を連結することができる。
【0037】
一方、クリップ21の腕支持部21cには貫通孔21fが開設され、この貫通孔21fに嵌入可能な一対の係合爪22mが、カバー22の腕カバー支持部22cの内面に突設されている。カバー22の係合爪22mを、クリップ21の貫通孔21fに嵌入させることによって、クリップ21にカバー22を取り付けることができる。
【0038】
本実施形態の通水管接続具20の使い方は、前述した通水管接続具10と同様であり、図3で示したように、腕カバー部22a,22bが開いた状態にある通水管接続具20の腕カバー部22a,22bの先端側を、通水管1,2の接続部分にて対向接触状態にあるフランジ3,4に向ける。
【0039】
この後、通水管接続具20をフランジ3,4に近づけ、腕カバー部22a,22bの先端部にあるガイド凹部22s,22tをフランジ3,4の外周に当接させ、そのまま通水管接続具20全体をフランジ3,4に向かって押し付ければ、フランジ3,4は、クリップ21のガイド部21d,21eの間に挟まれ、押し付け力によって弾性的に拡径したガイド部21d,21eに沿って誘導されて腕部21a,21bの間へ嵌り込む。これによって、通水管接続具20は、フランジ3,4に対して、図15〜図17に示すような状態に係止される。
【0040】
そして、さらに通水管接続具20をフランジ3,4に沿って進行させると、クリップ21の腕部21a,21bの間にフランジ3,4が嵌り込み、クリップ21およびカバー22がフランジ3,4の外周に装着される。この後、腕カバー部22bの先端部にある嵌合突起22gを、腕カバー部22aの先端部にある嵌合凹部22fに嵌入させることによって腕カバー部22a,22b同士を連結すれば、図18〜図20に示す状態となり、通水管接続具20の装着が完了する。
【0041】
通水管接続具20を装着した場合、腕カバー部22a,22bの連結手段として、腕カバー部22aの先端部にある嵌合凹部22fと、腕カバー部22bの先端部にある嵌合突起22gとが互いに嵌合して腕カバー部22a,22b同士を連結できるか否かを目視または音で確認することにより、通水管1,2の接続部分に対するクリップ21の装着状態を正確に確認することができる。具体的には、通水管接続具20を取り付けた方向と反対の方向から目視確認したり、通水管接続具20を取り付けた状態で、フランジ3,4の外周に沿って通水管接続具20を180度回転させ、取り付け方向から目視確認したり、あるいは、嵌合突起22gが嵌合凹部22fに嵌り込むときに発生する音によって確認することができる。
【0042】
このように、通水管1,2の接続部分において対向接触した状態にあるフランジ3,4に対し、前述したような手順で通水管接続具20を装着することにより、接続部分が離れないように固定することができる。また、通水管接続具20を構成する腕カバー部22a,22bには、クリップ21の腕部21a,21bの先端部にあるガイド部21d,21eが拡径方向に貫通可能な開口部22d,22eが開設されているため、装着作業中、クリップ21のガイド部21d,21eが拡径してもカバー22の腕カバー部22a,22bを大きく開く必要がない。
【0043】
また、通水管接続具20においては、図17に示すように、ガイド凹部22s,22tの背面側に、クリップ21のガイド部21d,21eの内側と当接するストッパ22u,22vを設け、腕カバー部22a,22bがそれ以上開かないように規制している。このため、狭い場所で取り付け作業を行う際に、腕カバー部22a,22bが必要以上に開いて周囲の部材に当接して作業が阻害されることがない。なお、クリップ21の腕部21a,21bが開くときは、それに伴って腕カバー部22a,22bが開くことがあるが、ストッパ22u,22vは、ガイド部21d,21eの内側に当接するため、クリップ21より大きく開くことはない。
【0044】
また、通水管接続具20はクリップ21とカバー22とが固定された構造であるため、通水管1,2の接続部分にクリップ21を取り付けると同時にカバー22も取り付けることが可能であり、施工が容易である。また、カバー22の取り付けを忘れて、クリップ21の誤施工を見落とすことがなくなるため、施工後に接続部分から漏水が生じるトラブルも無くすことができる。さらに、クリップ21の腕支持部21cと、カバー22のカバー支持部22cとが予め固定されているため、クリップ21とカバー22とを別々に取り付ける場合のように、腕カバー部22a,22bの連結手段(嵌合凹部22fおよび嵌合突起22g)がクリップ21のガイド部21d,21eの外周を通過する必要がなく、腕カバー部22a,22bの開度(開き幅)をより小さくすることができる。
【0045】
次に、図21,図22を参照して、本発明の第3実施形態である通水管接続具について説明する。図21,図22は第3実施形態である通水管接続具30を示す分解斜視図である。なお、図21,図22に示す通水管接続具30の構成部分において、通水管接続具20の構成部分と同じ機能を発揮する部分については、図12〜図20で示した符号と同じ符号を付して説明を省略する。
【0046】
本実施形態の通水管接続具30においては、クリップ21に対してカバー32が着脱可能となっている。従って、予めクリップ21にカバー32を取り付けた後、通水管の接続部分に装着する使い方のほか、最初にクリップ21を通水管の接続部分に取り付け、その後、クリップ21にカバー32取り付ける使い方をとることができる。
【0047】
通水管の接続部分にクリップ21を取り付け、その後、カバー32を取り付ける場合、クリップ21を構成する2つの腕部21a,21bで通水管のフランジを挟持することによって、当該クリップ21を取り付けた後、クリップ21の外周に沿ってカバー32を取り付ける。この場合、取り付け作業中のカバー32が、クリップ21の腕部21a,21bのガイド部21d,21eの外側を通過するとき、ガイド部21d,21eは、腕カバー部22a,22bにある切欠部32d,32eを貫通可能である。
【0048】
従って、カバー32の腕カバー部22a,22bがガイド部21d,21eの外側を通過するとき、カバー32の腕カバー部22a,22bを大きく開く必要がなく、比較的狭い場所にある通水管の接続部分に対しても容易に取り付けることができる。また、クリップ21にカバー32を取り付けた後、カバー32の腕カバー部22a,22bの先端部にある連結手段(嵌合凹部22f,嵌合突起22g)により腕カバー部22a,22b同士を連結できるか否かを目視または音で確認することにより、通水管の接続部分に対するクリップ21の装着状態を正確に確認することができる。
【0049】
具体的には、カバー32を取り付けた方向と反対の方向から目視確認したり、通水管接続具30を取り付けた状態で、フランジの外周に沿って通水管接続具30を180度回転させて、取り付け方向から目視確認したり、あるいは、嵌合突起22gが嵌合凹部22fに嵌り込むときに発生する音によって確認することができる。その他の部分の機能、効果については、通水管接続具20と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の通水管接続具は、一般住宅における給排水経路として床下などに配管される通水管の接続部分やその他の配管の接続部分などに対して広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態である通水管接続具および通水管の接続部分を示す斜視図である。
【図2】図1に示す通水管接続具の斜視図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着している状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着している状態を示す斜視図である。
【図6】図4のB−B線における斜視断面図である。
【図7】図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着した状態を示す斜視図である。
【図8】図1に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着した状態を示す斜視図である。
【図9】図7のC−C線における斜視断面図である。
【図10】図1に示す通水管接続具の使用状態を示す斜視図である。
【図11】図10のD−D線における断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態である通水管接続具を示す斜視図である。
【図13】図12に示す通水管接続具の斜視図である。
【図14】図12に示す通水管接続具の平面図である。
【図15】図12に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着している状態を示す斜視図である。
【図16】図15のE−E線における斜視断面図である。
【図17】図15のE−E線における断面図である。
【図18】図12に示す通水管接続具を通水管の接続部分に装着した状態を示す斜視図である。
【図19】図18のF−F線における斜視断面図である。
【図20】図18のF−F線における断面図である。
【図21】本発明の第3実施形態である通水管接続具を示す分解斜視図である。
【図22】図21に示す通水管接続具の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1,1a,2,2a 通水管
3,4 フランジ
10,20,30 通水管接続具
11,21 クリップ
11a,11b,21a,21b 腕部
11c,21c 腕支持部
11d,11e,21d,21e ガイド部
11f,21f 貫通孔
12,22,32 カバー
12a,12b,22a,22b 腕カバー部
12c,22c カバー支持部
12d,12e,22d,22e 開口部
12f 嵌合孔
12g,22g 嵌合突起
12h,12i クロスバー
12j,22u,22v ストッパ
12k フック
12m 係合突起
12n,22n ヒンジ部
12s,12t,22s,22t ガイド凹部
13 ヘッダー
22f 嵌合凹部
22m 係合爪
32d,32e 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口端付近にフランジを有する2本の通水管を前記フランジ同士を互いに対向接触させて接続した通水管の接続部分に装着される通水管接続具であって、
対向接触した前記フランジに着脱可能に係合するクリップと、前記クリップの外周に着脱可能に取り付けられたカバーとで構成され、
前記クリップが、前記フランジを着脱可能に挟持するため先端部同士を離して配置された2つの腕部と、2つの前記腕部を互いに弾性的に開閉可能に保つため前記腕部の基端部を連接する腕支持部と、前記フランジを前記腕部の間に誘導するため前記腕部の先端部に設けられた拡径形状のガイド部とを備え、
前記カバーが、前記腕部の外側にそれぞれ配置される腕カバー部と、前記腕カバー部同士を開閉可能に保つため前記腕カバー部の基端部を連接するカバー支持部と、前記ガイド部を前記腕部が開く方向に貫通させるため前記腕カバー部に開設された開口部または切欠部と、前記腕カバー部同士を連結するため前記腕カバー部に設けられた連結手段とを備えたことを特徴とする通水管接続具。
【請求項2】
前記クリップの腕支持部と、前記カバー体のカバー支持部とが固定されたことを特徴とする請求項1記載の通水管接続具。
【請求項3】
前記クリップの腕部の少なくとも一部の断面形状が、対向接触した前記フランジを前記通水管の軸心方向に挟持可能なコ字形状である請求項1または2記載の通水管接続具。
【請求項4】
前記腕カバー部の開度を規制する開度規制手段を設けた請求項2または3記載の通水管接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−83902(P2006−83902A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267189(P2004−267189)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】