説明

通行管理システム

【課題】管理区域の入退口の通行を管理する通行管理システムにおいて、共連れが発生し得る状態をより正確に把握することができ、共連れの発生を未然に防ぐことができる構成を提供する。
【解決手段】通行管理システム1では、管理区域ARの外側及び内側の少なくともいずれか一方側を検出側とし、当該検出側において被検出者から固有情報を取得している。その取得された固有情報と、予め登録された許可者の情報とに基づいて、検出側に存在する通過許可者の人数を検出している。更に、検出側において入退口から所定の範囲で設定された検出エリア内をレーザ光によって走査して実在人数を検出しており、通過許可者の人数と、実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断している。そして、一致状態であると判断されることを条件として入退口を解錠状態に切り替えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、会社や工場内、或いは施設内の部屋等を管理区域として、当該管理区域へ進入しようとする者や当該管理区域から退出しようとする者を管理する通行管理システムが提供されている。例えば、特許文献1では、室内を管理区域として特定の者のみの入室を許可する入退室管理システムが開示されており、この技術では、入退室権限が付与されたICカードを所有する正規の者のみが当該ICカードによって認証を受けることができるようになっており、認証を受けた場合にのみ電気錠が解錠されて入室が許可されるようになっている。このような入退室管理システムによれば、室内のセキュリティ性を高めることができ、機密管理などを行う上で極めて有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−144226公報
【特許文献1】特開2006−120086公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記入退室管理システムなどに代表される通行管理システムでは、例えば、正規の者が管理区域内に進入しようとするときに認証を受けていない第三者が一緒に進入してしまうという「共連れ」の問題が知られている。このような「共連れ」の問題に対応するため、特許文献1の入退室管理システムでは、室内及び室外にそれぞれ人体検知センサを配置しており、非接触型カードリーダでの認証により電気錠が解錠されてから扉が開いて閉まるまでの間に、室内側の扉付近での人物検知回数及び室外側の扉付近での人物検出回数をカウントしている。そして、室内側での人物検出回数及び室外側での人物検出回数が非接触型カードリーダでの認証回数を上回った場合には「共連れ」の可能性があるとして管理端末へ警告を発している。しかしながら、特許文献1の技術では、共連れが発生した場合に事後的に警告を行うことになるため、共連れの発生を未然に防ぐことができないといった問題がある。
【0005】
また、このように共連れを未然に防ぐためには、共連れが発生しそうな状態であるかを精度高く把握するため、少なくとも管理区域内に進入しようとする実際の人数、或いは管理区域から退出しようとする実際の人数を正確に把握することが必須となるが、特許文献1のような一般的な人体検知センサ(例えば赤外線センサ等)では、人と人とがある程度離れていないと人数を正確に検出し難いという問題がある。従って、このような人体検知センサを用いた構成では、入退口の通行を許可されるべき人の数(即ち、認証済みの人数)と、入退口を通行しようとする実際の人数とが一致しているか否か(即ち、共連れが発生しない状態であるか否か)を正確に判断できず、共連れを未然に防ぐ対策を講じることが困難である。
【0006】
他方、入室しようとしている実際の人数を把握するために、赤外線センサ等を用いるのではなく、特許文献2のようにカメラで撮影された画像に対して画像処理を行うことも考えられるが、このような方法でも、正確な人数把握は容易ではなく、更に、人数確認の精度を上げるためには撮影用カメラや画像処理を高速に行うための高価な機器が必須となるため、システム導入やメンテナンスのためのコストの高騰が避けられない。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、管理区域の入退口の通行を管理する通行管理システムにおいて、共連れが発生し得る状態をより正確に把握することができ、共連れの発生を未然に防ぐことができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
管理区域の入退口の通行を管理する通行管理システムであって、
前記管理区域の外側及び内側の少なくともいずれか一方側を検出側とし、当該検出側において被検出者から固有情報を取得する固有情報取得手段と、
前記固有情報取得手段によって取得された前記固有情報と、予め登録された許可者の情報とに基づいて、前記検出側に存在する通過許可者の人数を検出する許可者人数検出手段と、
前記検出側において前記入退口から所定の範囲で設定された検出エリア内をレーザ光によって走査するレーザスキャナを備え、前記レーザスキャナによる前記検出エリア内の物体検出結果に基づいて、当該検出エリア内の実在人数を検出する実在人数検出手段と、
前記許可者人数検出手段によって検出された前記通過許可者の人数と、前記実在人数検出手段によって検出された前記実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断する比較判断手段と、
前記比較判断手段によって前記通過許可者の人数と前記実在人数とが一致状態であると判断されることを条件として前記入退口を解錠状態とする解錠制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、固有情報取得手段が設けられ、管理区域の外側及び内側の少なくともいずれか一方側を検出側とし、当該検出側において被検出者から固有情報を取得している。そして、許可者人数検出手段は、固有情報取得手段によって取得された固有情報と、予め登録された許可者の情報とに基づいて、検出側に存在する通過許可者の人数を検出している。この構成によれば、被検出者から実際に取得した固有情報を登録された許可者の情報に照らして確実に確認でき、検出側における通過許可者の人数を正確に把握することができる。
更に、レーザスキャナを備えた実在人数検出手段が設けられており、検出側において入退口から所定の範囲で設定された検出エリア内をレーザ光によって走査し、その検出エリア内の物体検出結果に基づいて、当該検出エリア内の実在人数を検出している。このようにレーザ走査によって検出エリア内の実在人数を把握すれば、他の人感センサ(赤外線センサ等)などと比較して実在する人数を検出する精度が格段に高まることになる。
そして、比較判断手段が設けられ、このように検出された通過許可者の人数と、実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断しており、比較判断手段によって通過許可者の人数と実在人数とが一致状態であると判断されることを条件として解錠制御手段が入退口を解錠状態に切り替えている。この構成によれば、精度高く検出された通過許可者の人数及び実在人数に基づいて、入退口付近の実際の人数が既に許可された者に対応しているかをより正確に判断することができる。そして、それらの一致状態が判断されることを条件として入退口が解錠されるため、許可者以外の者が許可者と一緒に進入しようとしているとき(即ち、、共連れが発生し得る状態のとき)には、このような状態をより確実に検出して解錠を停止することができ、共連れの発生を未然に防ぐことができる
【0010】
請求項2の発明では、比較判断手段は、固有情報取得手段によって固有情報が取得された後に、通過許可者の人数と実在人数とが一致状態であるか否かを判断している。更に、比較判断手段によって通過許可者の人数と実在人数とが一致状態でないと判断された場合に報知を行う報知手段が設けられている。
この構成によれば、固有情報が取得され、当該固有情報に係る検出者が入退口を通過しようとする時期(即ち、解錠の判断が求められる時期)を選択して通過許可者の人数と実在人数との一致状態を判断することができ、闇雲に一致状態の判断がなされなくなる。そして、一致状態でない場合にはその旨を報知して注意を促すことができ、セキュリティ性を高めることができる。また、闇雲に一致状態を判断して報知を行うわけではないので、通過許可者が入退口を通過する可能性の低い時期に無闇に報知が行われることもない。
【0011】
請求項3の発明では、実在人数検出手段がカウント手段を備えており、このカウント手段は、入退口の非施錠時において検出側から入退口を通過しようとする通過候補者をカウントしている。また、比較判断手段は、カウント手段によってカウントされた通過候補者の人数が許可者人数検出手段によって検出された通過許可者の人数を超えたか否かを判断可能とされている。更に、カウント手段によってカウントされた通過候補者の人数が通過許可者の人数を超えた場合に警報を発する警報手段が設けられている。
この構成では、一致状態が確認されて解錠された後に万が一第三者(通過が許可されていない者)が入退口に飛び込もうとしたとしても、或いは入退口を通ってしまったとしても、通過許可者の人数と実際の人数とを照らし合わせ、このような不正な通過をより確実に検出し、警報を発することができる。従って、解錠後の飛び込みによる共連れを確実に検出し、関係者(例えば入退口のセキュリティ管理者等)に対応を促すことができる。
【0012】
請求項4の発明では、固有情報取得手段が、入退口から離れた所定の第1の位置に配置されている。また、カウント手段は、検出側において、固有情報取得手段が設置された第1の位置から、当該第1の位置よりも入退口に近い所定の第2の位置までの間に通過管理エリアを設定しており、通過管理エリア内を移動し且つ第2の位置に達した人数を通過候補者としてカウントしている。
この構成では、正規の者(固有情報によって認証を受けることが可能な者)が第2の位置に至るときには既に通過許可者として認識済みである可能性が高い配置となるため、正規の者が通過許可者として認証される前に通過候補者としてカウントされ難くなる。従って、認証を受ける前の正規の者(固有情報を有し、これから認証を受けようとする者)が混ざった状態で通過許可者と通過候補者とが比較される事態を回避し易くなり、入退口付近に正規者のみが存在するか否かをより正確に判別し易くなる。
【0013】
請求項5の発明では、固有情報取得手段として、管理区域の外側において被検出者から固有情報を取得する外側固有情報取得手段と、管理区域の内側において被検出者から固有情報を取得する内側固有情報取得手段と、が設けられている。
また、許可者人数検出手段として、外側許可者人数検出手段と、内側許可者人数検出手段とが設けられ、外側許可者人数検出手段は、外側固有情報取得手段によって管理区域の外側の被検出者から取得された固有情報と、予め登録された許可者の情報とに基づき、管理区域の外側の通過許可者の人数を検出している。そして、内側許可者人数検出手段は、内側固有情報取得手段によって管理区域の内側の被検出者から取得された固有情報と、予め登録された許可者の情報とに基づき、管理区域の内側の通過許可者の人数を検出している。
この構成によれば、入退口の内側においても、外側においても通過許可者の人数を正確に把握することができる。
更に、実在人数検出手段として、外側実在人数検出手段と、内側実在人数検出手段とが設けられ、外側実在人数検出手段は、管理区域の外側において入退口から第1の所定範囲で設定された第1の検出エリア内をレーザ光によって走査する第1のレーザスキャナを備え、第1のレーザスキャナによる第1の検出エリア内の物体検出結果に基づいて、当該第1の検出エリア内の実在人数を検出している。また、内側実在人数検出手段は、管理区域の内側において入退口から第2の所定範囲で設定された第2の検出エリア内をレーザ光によって走査する第2のレーザスキャナを備え、第2のレーザスキャナによる第2の検出エリア内の物体検出結果に基づいて、当該第2の検出エリア内の実在人数を検出している。
この構成によれば、入退口の内側においても、外側においても、実在する人数をより正確に検出することができる。
そして、比較判断手段は、第1の比較判断手段と第2の比較判断手段とを備えており、第1の比較判断手段は、外側許可者人数検出手段によって検出された外側の通過許可者の人数と、外側実在人数検出手段によって検出された第1の検出エリア内の実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断し、第2の比較判断手段は、内側許可者人数検出手段によって検出された内側の通過許可者の人数と、内側実在人数検出手段によって検出された第2の検出エリア内の実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断している。
そして、解錠制御手段は、第1の比較判断手段及び第2の比較判断手段のいずれもが一致状態と判断することを条件として入退口を解錠状態としている。
この構成によれば、入退口の内側においても、外側においても、入退口付近の実際の人数が既に許可された者に対応しているかをより正確に判断することができる。そして、両側での一致状態が判断されることを条件として入退口が解錠されるため、入退口の内外のいずれかが共連れが発生し得る状態のときには、このような状態をより確実に検出して解錠を停止することができ、共連れ対策をより万全なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る通行管理システムを概念的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の通行管理システムを図1とは異なる向きで説明する説明図である。
【図3】図3は、図1の通行管理システムで用いるレーザスキャナを概略的に例示する概略断面図である。
【図4】図4は、図3のレーザスキャナにおける検出エリアの設定方法を示す説明図である。
【図5】図5は、コントローラで行われる通過監視処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図6は、認証処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】図7は、解錠判定処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】図8は、解錠後に室外から室内に入る様子を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(通行管理システムの全体構成)
まず、図1〜図3を参照して通行管理システム1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る通行管理システムを概念的に説明する説明図である。図2は、図1の通行管理システムを図1とは異なる向きで説明する説明図である。図3は、図1の通行管理システムで用いるレーザスキャナを概略的に例示する概略断面図である。図4は、図3のレーザスキャナにおける検出エリアの設定方法を示す説明図である。
【0016】
図1、図2に示すように、本実施形態に係る通行管理システム1は、例えば、特定の部屋内(室内)を管理区域AR0として、部屋の出入口3(入退口)の通行を管理する入退室管理システムとして構成されている。この通行管理システム1は、情報処理装置として構成される電気錠7と、ICカードリーダ7と、コントローラ9と、レーザスキャナ10(第1のレーザスキャナ10a、第2のレーザスキャナ10b)とを備えた構成をなしている。
【0017】
この通行管理システム1が設けられた部屋(管理区域AR0)は、出入口3が扉5により開閉されるように構成されている。この扉5は、例えばスライド式或いは回動式に構成されており、扉5と隣接する位置には電気錠6が設けられている。電気錠6は、例えば、通電することにより電気錠内部の電磁石が動作されて扉5の施解錠を行う電磁式電気錠などが用いられ、コントローラ9から解錠信号が出力されたときに解錠動作がなされ、コントローラ9から施錠信号が出力されているときには施錠状態が維持されるようになっている。なお、電気的な制御によって扉5を施錠及び解錠し得る構成であれば公知の様々な電気錠を用いることができる。
【0018】
コントローラ9は、CPU等の制御回路や、ROM、RAM等の半導体メモリ、外部装置と通信を行うための通信部などを備えており、全体として情報処理装置として構成されている。このコントローラ9には、各レーザスキャナ10、各ICカードリーダ7、電気錠6が電気的に接続されている。
【0019】
コントローラ9は、制御回路9a、通信部9b、メモリ9cなどを備えている。制御回路9aは、例えばマイクロコンピュータ等で構成されており、メモリ9cに記憶された制御プログラムに従いコントローラ9全体を制御している。このコントローラ9は、後述するICカードリーダ7やレーザスキャナ10から情報を取得可能に構成され、ICカードリーダ7やレーザスキャナ10からの情報に応じて各種情報処理を行うように機能している。また、コントローラ9は、電気錠6を制御し得る構成をなしており、所定の解錠条件が成立しているときには電気錠6に対して解錠信号を出力し、この信号に応じて電気錠6で解錠動作がなされるようになっている。また、所定の施錠条件が成立しているときには、電気錠6に対して施錠信号を出力し、この信号に応じて電気錠6で施錠動作がなされるようになっている。
【0020】
ICカードリーダ7は、非接触通信方式でICカードを読み取る公知のICカードリーダとして構成されている。このICカードリーダは、被検出者によって固有情報(例えば、固有ID)が記録されたICカードが翳されたときに、当該ICカードと非接触通信を行い、ICカードに記録された固有情報を読み取る。このICカードリーダ7は、固有情報取得手段の一例に相当し、管理区域AR0の外側及び内側の少なくともいずれか一方側を検出側とし、当該検出側において被検出者から固有情報を取得するように機能する。本実施形態では、ICカードリーダ7として、管理区域AR0の外側に配置される外側ICカードリーダ7aと、管理区域AR0の内側に配置される内側ICカードリーダ7bとが設けられ、外側ICカードリーダ7aが外側固有情報取得手段の一例に相当し、管理区域AR0の外側において被検出者から固有情報を取得する(具体的にはICカードに記録された固有IDを読み取る)ように機能する。また、内側ICカードリーダ7bは、内側固有情報取得手段の一例に相当し、管理区域AR0の内側において被検出者から固有情報を取得する(具体的にはICカードに記録された固有IDを読み取る)ように機能する。なお、図1、図2では、管理区域AR0の外側の外部領域AR4に存在する被検出者を符号Pにて概念的に示している。
【0021】
次に、図3を参照してレーザスキャナ10の全体構成について説明する。
図3に示すように、レーザスキャナ10は、管理区域AR0の内部及び外部の少なくともいずれかに設定された検出側において出入口3(入退口)から所定の範囲で設定された検出エリア内をレーザ光によって走査するように機能している。図3の例では、レーザスキャナ10として、第1のレーザスキャナ10aと、第2のレーザスキャナ10bとが設けられている。第1のレーザスキャナ10aは、管理区域AR0の外側の外部区域AR4において出入口3(入退口)から第1の所定範囲で設定された第1の検出エリアAR1内をレーザ光L1によって走査するように構成されている。また、第2のレーザスキャナ10bは、管理区域AR0の内側において出入口3(入退口)から第2の所定範囲で設定された第2の検出エリアAR2内をレーザ光L1によって走査するように構成されている。
【0022】
いずれのレーザスキャナ10も、図3のように構成されており、レーザダイオード310と、検出物体からの反射光L2を受光するフォトダイオード320とを備え、検出物体までの距離や方位を検出可能な装置として構成されている。
【0023】
レーザダイオード310は、「レーザ光発生手段」の一例に相当するものであり、制御回路370の制御により、図示しない駆動回路からパルス電流を受け、このパルス電流に応じたパルスレーザ光(レーザ光L1)を間欠的に出射している。なお、本実施形態では、レーザダイオード310から検出物体に至るまでのレーザ光を符号L1にて概念的に示し、検出物体からフォトダイオードに至るまでの反射光を符号L2にて概念的に示している。
【0024】
フォトダイオード320は、レーザダイオード310からレーザ光(パルスレーサ光)L1が発生し、そのレーザ光L1が検出物体にて反射したとき、その反射光L2を受光して電気信号に変換している。なお、検出物体からの反射光については所定領域のものが偏向部341に取り込まれる構成となっており、図3では、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光が取り込まれる例を示している。
【0025】
レーザダイオード310から出射されるレーザ光L1の光軸上にはレンズ360が設けられている。このレンズ360は、コリメートレンズとして構成されるものであり、レーザダイオード310からのレーザ光L1を平行光に変換している。また、このレンズ360を通過したレーザ光L1の光路上には、ミラー330が設けられている。ミラー330は、レンズ360を透過したレーザ光L1の光軸に対して傾斜した反射面330aを備え、レンズ360を透過したレーザ光L1を回動偏向機構340に向けて反射させている。本実施形態では、レンズ360を通過した水平方向のレーザ光L1をミラー330によって垂直方向(後述する中心軸342aと平行な方向)に反射させており、その反射した垂直方向のレーザ光L1が回動偏向機構340の偏向部341に入射するようになっている。
【0026】
回動偏向機構340は、平坦な反射面341aを有するミラーからなる偏向部341と、この偏向部341を支持する支持台343と、この支持台343に連結された軸部342と、この軸部342を回転可能に支持する図示しない軸受とを備えている。
【0027】
偏向部341は、ミラー330で反射されたレーザ光L1の光軸上に配置されると共に、中心軸342a(所定の中心軸)を中心として回動可能とされている。この偏向部341は、レーザダイオード310からのレーザ光L1を空間に向けて偏向(反射)させ、且つ検出物体からの反射光L2をフォトダイオード320に向けて偏向(反射)させる構成をなしている。
【0028】
また、偏向部341の回転中心となる中心軸342aの方向は、ミラー330から当該偏向部341に入射するレーザ光L1の方向とほぼ一致しており、レーザ光L1が偏向部341に入射する入射位置P1が中心軸342a上の位置とされている。
なお、本実施形態では、中心軸342aの方向を垂直方向(Y軸方向)としており、中心軸342aと直交する平面方向を水平方向としている。また、水平方向の内の所定方向をX軸方向として示している。
【0029】
図3に示すように、偏向部341の反射面341aは、垂直方向(反射面341aに入射するレーザ光L1の方向)に対して45°の角度で傾斜しており、ミラー330側から入射するレーザ光L1を、水平方向に反射させている。また、偏向部341は入射するレーザ光L1の方向と一致した方向の中心軸342aを中心として回転するため、偏向部41の回転位置に関係なくレーザ光L1の入射角度が常に45°で維持され、位置P1からのレーザ光L1の向きは絶えず水平方向(中心軸342aと直交する方向)となるように構成されている。
【0030】
また、本実施形態に係るレーザスキャナ10では、偏向部341における反射光を偏向する偏向領域(偏向部341における反射面341aの領域)が、ミラー330におけるレーザ光を反射する反射領域(ミラー330における反射面330aの領域)よりも十分大きく構成されている。
【0031】
さらに、回動偏向機構340を駆動するモータ350が設けられている。このモータ350は、軸部342を回転させることで、軸部342と連結された偏向部341を回転駆動している。なお、モータ350の具体的構成としては、例えばサーボモータ等を用いても良いし、定常回転するモータを用い、偏向部341が測距したい方向を向くタイミングに同期させてパルスレーザ光を出力することで、所望の方向の検出を可能としてもよい。また、本実施形態では、図3に示すように、モータ350の軸部342の回転角度位置(即ち偏向部341の回転角度位置)を検出する回転角度位置センサ352が設けられている。回転角度位置センサ352は、ロータリーエンコーダなど、軸部342の回転角度位置を検出しうるものであれば様々な種類のものを使用できる。
【0032】
回動偏向機構340からフォトダイオード320に至るまでの反射光L2の光路上には、フォトダイオード320に向けて反射光を集光する集光レンズ362が設けられ、その集光レンズ362とフォトダイオード320の間にはフィルタ364が設けられている。集光レンズ362は、偏向部341からの反射光L2を集光してフォトダイオード320に導くものであり、集光手段として機能している。また、フィルタ364は、回動偏向機構340からフォトダイオード320に至るまでの反射光L2の光路上において反射光L2を透過させ且つ反射光L2以外の光を除去するように機能している。このフィルタ364は、例えば反射光L2に対応した特定波長の光(例えば一定領域の波長の光)のみを透過させそれ以外の光を遮断する波長選択フィルタによって構成されている。
【0033】
また、本実施形態では、レーザダイオード310、フォトダイオード320、ミラー330、レンズ360、回動偏向機構340、モータ350等がケース303内に収容され、防塵や衝撃保護が図られている。ケース303における偏向部341の周囲には、当該偏向部341を取り囲むようにレーザ光L1及び反射光L2の通過を可能とする窓状の導光部304が形成されている。導光部304は、偏向部341に入光するレーザ光L1の光軸を中心とした環状形態で、ほぼ360°に亘って構成されており、この導光部304を閉塞する形態でガラス板等からなるレーザ光透過板305が配され、防塵が図られている。
【0034】
このレーザレーダ装置では、所定の基準位置(例えばロータリエンコーダの原点位置)を基準としたときの偏向部341の相対的な回動位置を検出できるようになっており、具体的には、上記「基準位置」を基準として、間欠的に照射されるパルスレーザ光の各照射のときの偏向部341の各回動位置を検出できるようになっている(即ち、各照射のときの各回動位置が、「基準位置」を基準としてどの程度回動した位置であるかを検出できるようになっている)。なお、図1、図4の例では、偏向部341が基準位置にあるときのレーザ光の照射方向を基準方向としており、符号Fで示している。
【0035】
そして、いずれかの回動位置のときに検出物体からの反射光がフォトダイオード320にて受光されたときには、その受光時の偏向部341の角度が、「基準位置」からどの程度回転した角度であるかを特定できるようになっている。従って、「基準位置」のときに偏向部341から照射されるレーザ光L1の照射方向)を基準方向として検出物体の方向を検出できるようになっている。また、このようにフォトダイオード320によって受光されたときには、レーザダイオード310にてレーザ光L1が出力されてからフォトダイオード320によってその反射光L2を検出されるまでの時間を測定することにより、レーザ光の速度(光速)を考慮して検出物体までの距離を求めることができる。
【0036】
レーザスキャナ10では、上記のように基準方向Fに対する検出物体の方向と検出物体までの距離を求めることができるため、物体が検出されたときにはレーザスキャナ10に対する検出物体の相対位置を特定できることとなる。また、レーザスキャナ10では、物体を監視するエリア(検出エリア)が予め設定されている。例えば、図1、図4のように、第1のレーザスキャナ10aは、管理区域AR0の外側において出入口3(入退口)から第1の所定範囲で設定された第1の検出エリアAR1内をレーザ光によって走査するように構成されている。より具体的には、第1のレーザスキャナ10aにおいて予め定められた基準方向F1を基準として定められる座標A1,A2,A3,A4で囲まれる範囲(図4の太線枠内)を第1の検出エリアAR1としている。レーザスキャナ10aでは検出された物体の座標がこの検出エリアAR1内であれば物体を検出したものと判断し、検出された物体の座標が検出エリアAR1外であればその検出は無視している(即ち、物体検出と判断しない)。なお、第2のレーザスキャナ10bも同様であり、管理区域AR0の外側において出入口3(入退口)から第2の所定範囲で設定された第2の検出エリアAR2内をレーザ光によって走査するように構成されている。
【0037】
(通行管理システムでの制御処理)
次に、通行管理システム1で行われる制御処理について説明する。
図5は、コントローラで行われる通過監視処理の流れを例示するフローチャートである。図6は、認証処理の流れを例示するフローチャートである。図7は、解錠判定処理の流れを例示するフローチャートである。図8は、解錠後に室外から室内に入る様子を説明する説明図である。
【0038】
図5に示す通過監視処理は、所定条件の成立(例えば、電源投入、或いはユーザによる所定の開始操作等)によって開始されるものであり、この処理では、まず、出入口3(入退口)において扉5(ドア)が開いているか否かを判断している(S1)。S1では、具体的には電気錠6が開錠状態にあるか否かを判断しており、電気錠6が解除され、扉5が開いていると判断される場合には、S1にてYesに進み、S2以降の処理を行う。一方、電気錠6が施錠されており扉5が閉じていると判断される場合には、S1にてNoに進み、電気錠6を施錠状態に維持し(S6)、解錠判定処理を行う(S7)。
【0039】
S1でYesに進む場合、検出エリアを通過した物体(人)がいるか否かを判断する(S2)。例えば、第1のレーザスキャナ10aにて物体が検出され、第1のレーザスキャナ10aによる物体検出が終了した後、一定時間以内に第2のレーザスキャナ10bで物体が検出され始めた場合、外側から内側へ物体(人)が通過したと判断する。図8のように、管理区域AR0の外側(区域AR4側)から内側へ人が入るときには、図1のように管理区域AR0の外側(区域AR4側)にいるときも、図8のように扉5を開いて管理区域AR0に入ろうとするときも、第1のレーザスキャナ10aに検出されることになる。その後、管理区域AR0内に入り終わって扉5がある程度閉められたときには、第1のレーザスキャナ10aによって検出されなくなり、今度は、第2のレーザスキャナ10bによって検出されるようになるため、このような順序で検出がなされた場合には、管理区域AR0の外側から内側へ物体(人)が通過したと判断することになる。
【0040】
また、その逆も同様であり、管理区域AR0の内側から外側へ人が出るときには、管理区域AR0内において扉を開く前、及び扉を開いた後に扉の内側に面しているときは、第2のレーザスキャナ10bに検出されることになる。その後、外側に出ようとして扉5の外側に面するように移動すると、第2のレーザスキャナ10bによって検出されなくなり、今度は、第1のレーザスキャナ10aによって検出されるようになるため、このような順序で検出がなされた場合には、管理区域AR0の内側から外側へ物体(人)が通過したと判断することになる。
【0041】
また、人が複数人通過する場合でも同様であり、、管理区域AR0の外側から内側へ人が入るときには、扉5が開く前及び扉5がある程度閉じるまでは第1のレーザスキャナ10aによって通過者がそれぞれ検出されることになる。その後、扉5がある程度閉められたときには、出入口を通過した者が第2のレーザスキャナ10bによって検出されるため、このような順序で検出がなされた場合、両レーザスキャナによって重複して検出された人数が外側から内側に進入したと判断することができる。
【0042】
このような構成により、管理区域AR0の外側から内側に通過した人数と、管理区域AR0の内側から外側に通過した人数とをそれぞれ検出できるようになる。そして、S3の後には、このように検出された通過人数を認証済みの人数と照らし合わせ、共連れが発生したか否かを判断している(S4、S5)。
【0043】
ここで、共連れ判断の前提となる認証処理について説明する。
本実施形態では、上述のICカードリーダによってICカードを読み取ったときに、ICカードに記録された固有ID(固有情報)に基づいて図6に示す認証処理を行っている。この認証処理は、例えば図5の通過監視処理の開始後に、当該通過監視処理と並行して常時行われるようになっており、まず、認証要求が発生したか否かを判断する(S10)。このS10の処理では、外側ICカードリーダ7a又は内側ICカードリーダ7bのいずれかによってICカードが読み取られたか否かを判断している。
【0044】
外側ICカードリーダ7a又は内側ICカードリーダ7bのいずれかによってICカードが読み取られた場合、S10にてYesに進み、認証を要求する人が許可された人(通過許可者)であるか否かを判断する(S11)。S11では、S10で読み取りが判断されたICカードに記録された固有IDが、既に登録されている登録IDに含まれているか否かを判断し、含まれていれば通過許可者と判断してS11にてYesに進む。一方、読み取られた固有IDが登録IDに含まれていない場合にはS11にてNoに進む。なお、登録IDは例えばメモリ9cに記憶しておくことができる。
【0045】
S11にてYesに進む場合には、認証済みの人数をカウントアップする(S12)。本実施形態では、外側ICカードリーダ7aでの読み取りによって認証された人数(外側許可者人数)と、内側ICカードリーダ7bでの読み取りによって認証された人数(内側許可者人数)とを別個に管理しており、S11での判断が外側ICカードリーダ7aで読み取りによるものであれば、外側許可者人数をカウントアップする。また、S11での判断が内側ICカードリーダ7bで読み取りによるものであれば、内側許可者人数をカウントアップする。このように、認証処理が継続的に行われることで、外側ICカードリーダ7a、内側ICカードリーダ7bを介した認証が成功する毎に内側許可者人数、外側許可者人数がそれぞれカウントアップされることになる(即ち、1を足す)。
【0046】
ここで、図5に戻って通過監視処理の説明を続ける。
上述したように、本実施形態では、管理区域AR0の外側から内側に通過した人数と、管理区域AR0の内側から外側に通過した人数とをそれぞれ検出できるようになっており、S2において、いずれかの方向の通過が検出された場合には、通過した方向に応じて認証済みの人数(許可者人数)からカウントダウンする(1を引く)。例えば、S2での待機処理中(即ち、S2でのNoが繰り返している最中)に、管理区域AR0の外側から内側への通過が検出され、S2にてYesに進む場合、外側許可者人数から1を引く。逆に、S2での待機処理中(即ち、S2でのNoが繰り返している最中)に、管理区域AR0の内側から外側への通過が検出され、S2にてYesに進む場合、内側許可者人数から1を引く。
【0047】
S3の処理の後には、外側許可者人数及び内側許可者人数のいずれもが0以上であるか否かを判断し(S4)、0以上である場合には、S4にてYesに進み、S1以降の処理を繰り返す。一方、外側許可者人数及び内側許可者人数のいずれかが0未満である場合、S4にてNoに進む。S4にてNoに進む場合、管理区域AR0の外側又は内側の一方の許可者人数に対して、当該一方から他方へ進入した者の数の方が多くなるため、共連れが発生したものと判断して警報を発する(S5)。なお、S5の処理は、例えばブザー8を鳴動させるように制御を行ってもよく、図示しない管理装置などに警報情報を発するようにしてもよい。或いは、警告灯などを点灯させるようにしてもよい。
【0048】
なお、本実施形態では、図6の処理を行う制御部9aが許可者人数検出手段の一例に相当し、固有情報取得手段によって取得された固有情報と、予め登録された許可者の情報とに基づいて、検出側に存在する通過許可者の人数を検出するように機能する。この制御部9aは、具体的には、外側許可者人数検出手段、内側許可者人数検出手段として機能しており、外側ICカードリーダ7a(外側固有情報取得手段)によって管理区域AR0の外側の被検出者のICカードから取得された固有ID(固有情報)と、予め登録された許可者の情報(メモリ9cに登録される登録ID)とに基づき、管理区域AR0の外側の通過許可者の人数を検出している。また、制御部9aは、内側ICカードリーダ7b(内側固有情報取得手段)によって管理区域AR0の内側の被検出者のICカードから取得された固有ID(固有情報)と、予め登録された許可者の情報(メモリ9cに登録される登録IC)とに基づき、管理区域AR0の内側の通過許可者の人数を検出している。
【0049】
また、制御部9a及びレーザスキャナ10は、カウント手段に相当し、出入口3(入退口)の非施錠時において検出側から出入口3(入退口)を通過しようとする通過候補者をカウントするように機能する。また、比較判断手段に相当する制御部9aは、そのカウントされた通過候補者の人数が許可者人数検出手段によって検出された通過許可者の人数を超えたか否かを判断可能とされている。また、制御部9a及びブザー8は、警報手段の一例に相当し、カウント手段によってカウントされた通過候補者の人数が通過許可者の人数を超えた場合に警報を発するように機能する。
【0050】
次に、S7で行われる開錠判定処理について説明する。
S7の開錠判定処理の開始に伴い、図7に示すように、まずレーザスキャナ10によるスキャンを開始する。これにより、第1のレーザスキャナ10a及び第2のレーザスキャナ10bのいずれも動作を開始し、管理区域AR0の内側及び外側でレーザ光の操作が行われる。
【0051】
その後、第1のレーザスキャナ10a及び第2のレーザスキャナ10bのいずれかによって物体(人)が検出された場合には、S22にてYesに進み、管理区域AR0の内側、外側のいずれにおいても、検出エリア内の実際の人数(実在人数)と認証済みの人数(通過許可者の人数)とを比較する(S23)。具体的には、第1のレーザスキャナ10aでのレーザ走査によって第1の検出エリアAR1内で検出された物体数(即ち外側実在人数)と、現在(即ち、S23の処理時点)での外側許可者人数とを比較して一致しているか否かを判断する。同様に第2のレーザスキャナ10bでのレーザ走査によって第2の検出エリアAR2内で検出された物体数(即ち内側実在人数)と、現在(即ち、S23の処理時点)での内側許可者人数とを比較して一致しているか否かを判断する。
【0052】
なお、本実施形態では、制御部9a及びレーザスキャナ10が「実在人数検出手段」の一例に相当し、レーザスキャナによる検出エリア内の物体検出結果に基づいて、当該検出エリア内の実在人数を検出するように機能する。具体的には、制御部9a及び第1のレーザスキャナ10aが外側実在人数検出手段の一例に相当しており、第1のレーザスキャナ10aによる第1の検出エリアAR1内の物体検出結果に基づいて、当該第1の検出エリアAR1内の実在人数を検出している。また、制御部9a及び第2のレーザスキャナ10bが内側実在人数検出手段の一例に相当しており、第2のレーザスキャナ10bによる第2の検出エリアAR2内の物体検出結果に基づいて、当該第2の検出エリアAR2内の実在人数を検出している。
【0053】
S23の後には、外側実在人数と外側許可者人数とが一致し、且つ内側実在人数と内側許可者人数とが一致した状態であるか否かを判断する。いずれも一致状態にあるときには、S24にてYesに進み、電気錠6を開錠状態に切り替える。一方、少なくともいずれかが一致状態でない場合には、S24にてNoに進み、施錠状態とする(S26)。
【0054】
なお、S23、S24の処理を実行する制御部9aが比較判断手段の一例に相当し、許可者人数検出手段によって検出された通過許可者の人数と、実在人数検出手段によって検出された実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断するように機能する。具体的には、制御部9aは、第1の比較判断手段として機能し、外側許可者人数検出手段によって検出された外側の通過許可者の人数と、外側実在人数検出手段によって検出された第1の検出エリア内の実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断する。また、制御部9aは、第2の比較判断手段としても機能し、内側許可者人数検出手段によって検出された内側の通過許可者の人数と、内側実在人数検出手段によって検出された第2の検出エリア内の実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断する。
【0055】
また、S24、S25、S26の処理を実行する制御部9a及び電気錠6が解錠制御手段の一例に相当し、比較判断手段によって通過許可者の人数と実在人数とが一致状態であると判断されることを条件として出入口3(入退口)を解錠状態とするように機能する。具体的には、第1の比較判断手段及び第2の比較判断手段のいずれもが一致状態と判断することを条件として入退口を解錠状態としている。
【0056】
なお、S24で一致していないと判断された場合には、S26においてブザー8の鳴動やランプの点灯などの報知処理を行うようにしてもよい。この場合、制御部9a及びブザー8が「報知手段」の一例に相当し、比較判断手段によって通過許可者の人数と実在人数とが一致状態でないと判断された場合に報知を行うように機能する。
【0057】
なお、図7の例では、電気錠6が施錠状態にあるときに、第1のレーザスキャナ10a及び第2のレーザスキャナ10bによって継続的にスキャンを行っているが、各スキャンは通過許可者が存在する場合にのみ行うようにしてもよい。例えば、第1のレーザスキャナ10a及び第2のレーザスキャナ10bによるレーザ走査は、外側ICカードリーダ7a又は内側ICカードリーダ7bのいずれかから認証要求があってから、外側許可者人数及び内側許可者人数が共に一定時間以上0となるまで行い、外側許可者人数及び内側許可者人数が共に一定時間以上0となったときに、第1のレーザスキャナ10a及び第2のレーザスキャナ10bによるレーザ走査をいずれも停止するようにしてもよい。この場合、比較判断手段に相当する制御部9aは、第1のレーザスキャナ10a及び第2のレーザスキャナ10bによるレーザ走査が停止している間は判断処理を行わず、この場合には電気錠の施錠状態が維持されることになる。一方、外側ICカードリーダ7a又は内側ICカードリーダ7b(固有情報取得手段)によって固有情報が取得された後には、S1以降の処理がなされるため、管理区域AR0の内側又は外側において通過許可者の人数と実在人数とが一致状態であるか否かを判断することになる。
【0058】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態に係る通行管理システム1では、「固有情報取得手段」が設けられ、管理区域AR0の外側及び内側の少なくともいずれか一方側(図1等では両側)を検出側とし、当該検出側において被検出者から固有情報を取得している。そして、「許可者人数検出手段」は、その取得された固有情報と、予め登録された許可者の情報とに基づいて、検出側に存在する通過許可者の人数を検出している。この構成によれば、被検出者から実際に取得した固有情報を登録された許可者の情報に照らして確実に確認でき、検出側における通過許可者の人数を正確に把握することができる。
【0059】
更に、レーザスキャナ10を備えた「実在人数検出手段」が設けられており、検出側において出入口3(入退口)から所定の範囲で設定された検出エリア内をレーザ光によって走査し、その検出エリア内の物体検出結果に基づいて、当該検出エリア内の実在人数を検出している。このようにレーザ走査によって検出エリア内の実在人数を把握すれば、他の人感センサ(赤外線センサ等)などと比較して実在する人数を検出する精度が格段に高まることになる。
【0060】
また、「比較判断手段」が設けられ、このように検出された通過許可者の人数と、実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断している。そして、通過許可者の人数と実在人数とが一致状態であると判断されることを条件として、「解錠制御手段」が出入口3(入退口)を解錠状態に切り替えている。この構成によれば、精度高く検出された通過許可者の人数及び実在人数に基づいて、出入口3(入退口)付近の実際の人数が既に許可された者に対応しているかをより正確に判断することができる。そして、それらの一致状態が判断されることを条件として出入口3(入退口)が解錠されるため、許可者以外の者が許可者と一緒に進入しようとしているとき(即ち、、共連れが発生し得る状態のとき)には、このような状態をより確実に検出して解錠を停止することができ、共連れの発生を未然に防ぐことができる
【0061】
また、本実施形態において、「比較判断手段」は、上記「固有情報取得手段」によって固有情報が取得された後に、通過許可者の人数と実在人数とが一致状態であるか否かを判断している。更に、「報知手段」を設置可能としており、これにより、「比較判断手段」によって通過許可者の人数と実在人数とが一致状態でないと判断された場合に報知を行うことが可能となっている。
この構成によれば、固有情報が取得され、当該固有情報に係る検出者が出入口3(入退口)を通過しようとする時期(即ち、解錠の判断が求められる時期)を選択して通過許可者の人数と実在人数との一致状態を判断することができ、闇雲に一致状態の判断がなされなくなる。そして、一致状態でない場合にはその旨を報知して注意を促すことができ、セキュリティ性を高めることができる。また、闇雲に一致状態を判断して報知を行うわけではないので、通過許可者が入退口を通過する可能性の低い時期に無闇に報知が行われることもない。
【0062】
また、本実施形態では、「実在人数検出手段」において「カウント手段」が設けられている。この「カウント手段」は、出入口3(入退口)の非施錠時において検出側から出入口3(入退口)を通過しようとする通過候補者をカウントしている。また、「比較判断手段」は、カウント手段によってカウントされた通過候補者の人数が許可者人数検出手段によって検出された通過許可者の人数を超えたか否かを判断可能とされている。更に、「警報手段」を設置可能としており、これにより、カウント手段によってカウントされた通過候補者の人数が通過許可者の人数を超えた場合に警報を発することが可能となっている。
この構成では、一致状態が確認されて解錠された後に万が一第三者(通過が許可されていない者)が出入口3(入退口)に飛び込もうとしたとしても、或いはこのような第三者が出入口3(入退口)を通ってしまったとしても、通過許可者の人数と実際の人数とを照らし合わせ、このような不正な通過をより確実に検出し、警報を発することができる。従って、解錠後の飛び込みによる共連れを確実に検出し、関係者(例えば入退口のセキュリティ管理者等)に対応を促すことができる。
【0063】
また、本実施形態では、「固有情報取得手段」として、管理区域の外側において被検出者から固有情報を取得する「外側固有情報取得手段」と、管理区域の内側において被検出者から固有情報を取得する「内側固有情報取得手段」と、が設けられている。
また、「許可者人数検出手段」としては、「外側許可者人数検出手段」と、「内側許可者人数検出手段」とが設けられている。そして、「外側許可者人数検出手段」は、「外側固有情報取得手段」によって管理区域の外側の被検出者から取得された固有情報と、予め登録された許可者の情報とに基づき、管理区域の外側の通過許可者の人数を検出している。また、「内側許可者人数検出手段」は、「内側固有情報取得手段」によって管理区域の内側の被検出者から取得された固有情報と、予め登録された許可者の情報とに基づき、管理区域の内側の通過許可者の人数を検出している。
この構成によれば、入退口(出入口3)の内側においても、外側においても通過許可者の人数を正確に把握することができる。
【0064】
更に、「実在人数検出手段」として、「外側実在人数検出手段」と、「内側実在人数検出手段」とが設けられている。そして、「外側実在人数検出手段」は、管理区域AR0の外側において入退口(出入口3)から第1の所定範囲で設定された第1の検出エリアAR1内をレーザ光によって走査する第1のレーザスキャナ10aを備え、第1のレーザスキャナ10aによる第1の検出エリアAR1内の物体検出結果に基づいて、当該第1の検出エリアAR1内の実在人数を検出している。また、「内側実在人数検出手段」は、管理区域AR0の内側において入退口3から第2の所定範囲で設定された第2の検出エリアAR2内をレーザ光によって走査する第2のレーザスキャナ10bを備え、第2のレーザスキャナ10bによる第2の検出エリアAR2内の物体検出結果に基づいて、当該第2の検出エリアAR2内の実在人数を検出している。
この構成によれば、入退口(出入口3)の内側においても、外側においても、実在する人数をより正確に検出することができる。
【0065】
更に、「比較判断手段」として、「第1の比較判断手段」と「第2の比較判断手段」とが設けられている。そして、「第1の比較判断手段」は、「外側許可者人数検出手段」によって検出された外側の通過許可者の人数と、「外側実在人数検出手段」によって検出された第1の検出エリア内の実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断している。更に、「第2の比較判断手段」は、「内側許可者人数検出手段」によって検出された内側の通過許可者の人数と、「内側実在人数検出手段」によって検出された第2の検出エリア内の実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断している。
そして、「解錠制御手段」は、「第1の比較判断手段」及び「第2の比較判断手段」のいずれもが一致状態と判断することを条件として入退口(出入口3)を解錠状態としている。
この構成によれば、入退口(出入口3)の内側においても、外側においても、入退口(出入口3)付近の実際の人数が既に許可された者に対応しているかをより正確に判断することができる。そして、両側での一致状態が判断されることを条件として入退口(出入口3)に設けられた電気錠6が解錠されるため、入退口(出入口3)の内外のいずれかにおいて共連れが発生し得る状態が生じているときには、このような状態をより確実に検出して解錠を停止することができ、共連れ対策をより万全なものとすることができる。
【0066】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
上記実施形態では、管理区域の例として部屋内(室内)を例示したが、病院、会社、ビル、工場、官公庁施設、住宅等の建物内などを管理区域とし、この管理区域の入退口(例えば玄関等)の通行を管理するようなシステムであってもよい。或いは、特定の敷地内を管理区域とし、この敷地の入退口(例えば企業の敷地に配される門など)の通行を管理するようなシステムであってもよい。
【0068】
上記実施形態では、レーザスキャナ10やICカードリーダ7を管理区域の内部側にも外部側にも設けた例を示したが、これらがいずれか一方側(例えば管理区域の外部側)のみに設けられていてもよい。
【0069】
上記実施形態では入退口の通過をカウントする一例を示したが、上記実施形態以外の方法でカウントしてもよい。例えば、制御部9a及び第1のレーザスキャナ7aをカウント手段として機能させ、管理区域AR0の外側において、外側ICカードリーダ7aが設置された外側所定位置(第1の位置)から、当該外側所定位置(第1の位置)よりも出入口3(入退口)に近い所定の第2の位置(領域AR5の境界)までの間に通過管理エリアを設定し、通過管理エリア内を移動し且つ第2の位置(領域AR5の境界)に達した人数を通過候補者としてカウントするようにしてもよい。同様に、制御部9a及び第2のレーザスキャナ7bをカウント手段として機能させ、管理区域AR0の内側において、内側ICカードリーダ7bが設置された内側所定位置(第1の位置)から、当該内側所定位置(第1の位置)よりも出入口3(入退口)に近い所定の第2の位置(領域AR6の境界)までの間に通過管理エリアを設定し、通過管理エリア内を移動し且つ第2の位置(領域AR6の境界)に達した人数を通過候補者としてカウントするようにしてもよい。
この構成では、正規の者(固有情報によって認証を受けることが可能な者)が第2の位置に至るときには既に通過許可者として認識済みである可能性が高い配置となるため、正規の者が通過許可者として認証される前に通過候補者としてカウントされ難くなる。従って、認証を受ける前の正規の者(固有情報を有し、これから認証を受けようとする者)が混ざった状態で通過許可者と通過候補者とが比較される事態を回避し易くなり、入退口付近に正規者のみが存在するか否かをより正確に判別し易くなる。
【符号の説明】
【0070】
1…通行管理システム
3…出入口(入退口)
6…電気錠(解錠制御手段)
7…ICカードリーダ(固有情報取得手段)
7a…外側ICカードリーダ(外側固有情報取得手段)
7b…内側ICカードリーダ(内側固有情報取得手段)
8…ブザー(報知手段、警報手段)
9…コントローラ
9a…制御回路(許可者人数検出手段、実在人数検出手段、比較判断手段、解錠制御手段、報知手段、カウント手段、警報手段、外側許可者人数検出手段、内側許可者人数検出手段、第1の比較判断手段、第2の比較判断手段)
10…レーザスキャナ(実在人数検出手段)
10a…第1のレーザスキャナ(外側実在人数検出手段)
10b…第2のレーザスキャナ(内側実在人数検出手段)
AR0…管理区域
AR1…第1の検出エリア
AR2…第2の検出エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理区域の入退口の通行を管理する通行管理システムであって、
前記管理区域の外側及び内側の少なくともいずれか一方側を検出側とし、当該検出側において被検出者から固有情報を取得する固有情報取得手段と、
前記固有情報取得手段によって取得された前記固有情報と、予め登録された許可者の情報とに基づいて、前記検出側に存在する通過許可者の人数を検出する許可者人数検出手段と、
前記検出側において前記入退口から所定の範囲で設定された検出エリア内をレーザ光によって走査するレーザスキャナを備え、前記レーザスキャナによる前記検出エリア内の物体検出結果に基づいて、当該検出エリア内の実在人数を検出する実在人数検出手段と、
前記許可者人数検出手段によって検出された前記通過許可者の人数と、前記実在人数検出手段によって検出された前記実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断する比較判断手段と、
前記比較判断手段によって前記通過許可者の人数と前記実在人数とが一致状態であると判断されることを条件として前記入退口を解錠状態とする解錠制御手段と、
を備えたことを特徴とする通行管理システム。
【請求項2】
前記比較判断手段は、前記固有情報取得手段によって前記固有情報が取得された後に、前記通過許可者の人数と前記実在人数とが一致状態であるか否かを判断しており、
更に、前記比較判断手段によって前記通過許可者の人数と前記実在人数とが一致状態でないと判断された場合に報知を行う報知手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の通行管理システム。
【請求項3】
前記実在人数検出手段は、前記入退口の非施錠時において前記検出側から前記入退口を通過しようとする通過候補者をカウントするカウント手段を備え、
前記比較判断手段は、前記カウント手段によってカウントされた前記通過候補者の人数が前記許可者人数検出手段によって検出された前記通過許可者の人数を超えたか否かを判断可能とされており、
前記カウント手段によってカウントされた前記通過候補者の人数が前記通過許可者の人数を超えた場合に警報を発する警報手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通行管理システム。
【請求項4】
前記固有情報取得手段は、前記入退口から離れた所定の第1の位置に配置され、
前記カウント手段は、前記検出側において、前記固有情報取得手段が設置された前記第1の位置から、当該第1の位置よりも前記入退口に近い所定の第2の位置までの間に通過管理エリアを設定しており、前記通過管理エリア内を移動し且つ前記第2の位置に達した人数を前記通過候補者としてカウントすることを特徴とする請求項3に記載の通行管理システム。
【請求項5】
前記固有情報取得手段は、
前記管理区域の外側において被検出者から固有情報を取得する外側固有情報取得手段と、
前記管理区域の内側において被検出者から前記固有情報を取得する内側固有情報取得手段と、
を備え、
前記許可者人数検出手段は、
前記外側固有情報取得手段によって前記管理区域の外側の被検出者から取得された固有情報と、予め登録された前記許可者の情報とに基づき、前記管理区域の外側の通過許可者の人数を検出する外側許可者人数検出手段と、
前記内側固有情報取得手段によって前記管理区域の内側の被検出者から取得された固有情報と、予め登録された前記許可者の情報とに基づき、前記管理区域の内側の通過許可者の人数を検出する内側許可者人数検出手段と、
を備え、
前記実在人数検出手段は、
前記管理区域の外側において前記入退口から第1の所定範囲で設定された第1の検出エリア内をレーザ光によって走査する第1のレーザスキャナを備え、前記第1のレーザスキャナによる前記第1の検出エリア内の物体検出結果に基づいて、当該第1の検出エリア内の実在人数を検出する外側実在人数検出手段と、
前記管理区域の内側において前記入退口から第2の所定範囲で設定された第2の検出エリア内をレーザ光によって走査する第2のレーザスキャナを備え、前記第2のレーザスキャナによる前記第2の検出エリア内の物体検出結果に基づいて、当該第2の検出エリア内の実在人数を検出する内側実在人数検出手段と、
を備え、
前記比較判断手段は、
前記外側許可者人数検出手段によって検出された前記外側の通過許可者の人数と、前記外側実在人数検出手段によって検出された前記第1の検出エリア内の実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断する第1の比較判断手段と、
前記内側許可者人数検出手段によって検出された前記内側の通過許可者の人数と、前記内側実在人数検出手段によって検出された前記第2の検出エリア内の実在人数とを比較して一致状態であるか否かを判断する第2の比較判断手段と、
を備え、
前記解錠制御手段は、前記第1の比較判断手段及び前記第2の比較判断手段のいずれもが前記一致状態と判断することを条件として前記入退口を解錠状態とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の通行管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−207480(P2012−207480A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75086(P2011−75086)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】