説明

造粒装置

【課題】安全でメンテナンスが容易な造粒装置を提供する。
【解決手段】造粒装置10では、通常時は装置本体16が筐体12の内部に収容されているため、処理槽20やメインモータ26等の機構部が装置の外部に露出しない。これにより、作業者の安全性を確保することができる。しかも、踏み台76のステップカバー92と天板94をフレーム78から取り外し、フロントカバー96、98、100を筐体12から取り外すと共に、装置本体16を筐体12に固定するボルトを外すことにより、装置本体16を踏み台76側へ引き出すことができる。これにより、処理槽20の上方の構成(ホッパ40等)を分解しなくとも処理槽20やメインモータ26等を筐体12の外部に露出させることができるため、装置本体16のメンテナンスを容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽内に供給されたシート状の被処理物(例えば、合成樹脂シートや合成樹脂フィルムなど)を破砕して粒状に成形する造粒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の造粒装置(例えば、特許文献1参照)では、使用済みの合成樹脂シート等の被処理物を処理槽内に所定量供給すると共に、処理槽の蓋を閉め、処理槽内に設けられた羽根体及び回転刃体を回転させて被処理物を破砕する。そして、破砕片同士の衝突摩擦により破砕片の表面が半ゲル化したところで処理槽内へ一定量の冷却水を噴霧する。これにより、破砕片の表面が急冷却され、全体として丸みを帯びた粒状の造粒物が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭48−64552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き造粒装置では、処理槽や羽根体駆動用のモータ等の機構部が装置の外部に露出しているため、装置のメンテナンスを容易に行うことができるが、作業者の安全性を確保する点では改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、安全でメンテナンスが容易な造粒装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る造粒装置は、作業用の踏み台が水平方向一側に一体的に設けられた筐体と、前記筐体内の上部に収容され、内部に被処理物が供給されるホッパと、前記筐体内の下部に収容され、前記ホッパ内から供給される前記被処理物を破砕して粒状に成形する装置本体と、前記装置本体を前記踏み台側へ引き出し可能に支持する支持手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の造粒装置では、装置本体が筐体の内部に収容される。したがって、作業者の安全性を確保することができる。また、装置本体は支持手段によって支持されており、筐体の水平方向一側に設けられた作業用の踏み台側へ引き出すことができる。したがって、装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる。しかも、踏み台の設置スペース内(すなわち装置の設置スペース内)でメンテナンスを行うことができるため、メンテナンス用のスペースを装置の設置スペース外に確保する必要がなく好適である。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る造粒装置は、請求項1に記載の造粒装置において、前記支持手段は、前記筐体と一体的に設けられたレールと、前記装置本体に設けられ、前記レール上を転動する車輪とを有することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の造粒装置では、装置本体に設けられた車輪が、筐体と一体的に設けられたレール上を転動することにより、装置本体が踏み台側へ引き出される。したがって、重量の重い装置本体を容易に踏み台側へ引き出すことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る造粒装置は、請求項1又は請求項2に記載の造粒装置において、前記レールは、前記踏み台の天板の下側に配置され、前記装置本体が前記踏み台側へ引き出される際には前記天板が取り外されることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の造粒装置では、装置本体を支持するレールが踏み台の天板の下側に配置されており、装置本体が踏み台側へ引き出される際にはこの天板が取り外される。このように、装置本体を支持するレールの配置が踏み台の天板よりも下側に設定されているため、装置本体の配置を低くすることができ、結果として装置全体の高さ寸法(筐体の高さ寸法)を低くすることができる。また、踏み台上で作業をする際に、レールが邪魔になることがなく好適である。
【0012】
請求項4に記載の発明に係る造粒装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の造粒装置において、前記装置本体が前記筐体内に収容された状態では前記装置本体を作動可能とすると共に、前記装置本体が前記踏み台側へ引き出された状態では前記装置本体を作動不能とする安全スイッチを有することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の造粒装置では、装置本体が踏み台側へ引き出された状態では、安全スイッチによって装置本体が作動不能とされる。したがって、メンテナンス時に装置本体が不要に作動することを防止でき、メンテナンス時の安全性を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係る造粒装置では、作業者の安全性を確保することができると共に、装置のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る造粒装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示される造粒装置から踏み台の天板等が取り外された状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示される造粒装置の装置本体が踏み台側へ引き出された状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示される造粒装置の構成を示す縦断面図である。
【図5】図1に示される造粒装置の装置本体を構成する処理槽の横断面図である。
【図6】図1に示される造粒装置の装置本体の車輪を含む周辺の構成を示す斜視図である。
【図7】図2に示される造粒装置の装置本体の固定用ブラケットを含む周辺の構成を示す拡大斜視図である。
【図8】図3に示される造粒装置の装置本体の固定用ブラケットを含む周辺の構成を示す拡大斜視図であり、当該固定用ブラケットに取り付けられたストッパによって装置本体が引出位置に拘束された状態の図である。
【図9】図1に示される造粒装置の電磁ロック式スイッチを含む周辺の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1〜図9を参照して、本発明の実施形態に係る造粒装置10について説明する。なお、説明の都合上、各図は概略的に記載されており、一部の部材の図示が省略されている。
【0017】
本実施形態に係る造粒装置10は、使用済み又は未使用の合成樹脂シートや合成樹脂フィルムなどの如きシート状の被処理物(スクラップ材)を破砕して粒状に成形するための廃プラスチック処理装置であり、図1〜図4に示されるように筐体12を備えている。この筐体12は、中空の直方体状に形成されている。
【0018】
図4に示されるように、筐体12内の下部には、本体収容室14が設けられており、この本体収容室14には、装置本体16が収容されている。この装置本体16は、フレーム18を備えており、フレーム18の上部の一側には、処理槽20が取り付けられている。
【0019】
処理槽20は、有底の円筒状に形成されており、軸線方向が筐体12の上下方向に沿う状態で配置されている。処理槽20の上端部は開口しており、処理槽20の底壁中央部には、円柱状に形成された主軸22が貫通している。この主軸22は、処理槽20に対して同軸的に配置されており、複数の軸受を介してフレーム18に回転可能に支持されている。主軸22の下端部には、プーリ24が取り付けられている。
【0020】
一方、フレーム18の上部の他側には、メインモータ26が設けられている。メインモータ26は、出力軸を下方へ突出させた状態でフレーム18に取り付けられている。メインモータ26の出力軸には、プーリ28が取り付けられており、このプーリ28と前述したプーリ24には、複数のベルト30が巻き掛けられている。このため、メインモータ26が出力軸を回転させると、プーリ28、ベルト30、及びプーリ24を介して出力軸の回転力が主軸22に伝達され、主軸22が回転されるようになっている。なお、メインモータ26は、本造粒装置10に搭載された図示しない制御装置に電気的に接続されており、この制御装置によって作動を制御される。
【0021】
主軸22の上端側は、処理槽20内へ突出しており、当該突出部分には羽根体32が取り付けられている。羽根体32は、長尺な角棒状に形成されており、長手方向中央部に設けられた円筒状の連結部に主軸22が挿嵌されてキー止めされている。このため、羽根体32は長手方向両端側を主軸22の半径方向に突出させた状態で主軸22と一体に回転する。
【0022】
図5に示されるように、羽根体32の長手方向両端部の上部には、ブロック状に形成された回転刃体34が取り付けられている。この回転刃体34は、処理槽20の内壁に近接して配置されており、処理槽20の内壁との間に所定の間隙を確保した状態で旋回する。
【0023】
処理槽20の内壁には、板状に形成された固定刃体36が固定されている。固定刃体36は、回転刃体34の旋回軌跡の上側近傍に配置されており、当該旋回軌跡に対して所定の間隙を置いて対向している。なお、この間隙は、処理槽20の底壁と羽根体32との間に配置される図示しないカラーの厚さを変更することで調節することができる。
【0024】
回転刃体34の回転方向前方側(図5の矢印A方向側)の上端角部には、切断刃34Aが形成されており、固定刃体36には、回転刃体34の回転方向後方側(図5の反矢印A方向側)の下端角部に、切断刃36Aが形成されている。
【0025】
一方、図4に示されるように、筐体12内の上部には、ホッパ収容室38が設けられており、このホッパ収容室38には、中空の直方体状に形成されたホッパ40が収容されている。ホッパ40の下端側は、漏斗状に絞り加工され、処理槽20の直径と同程度に縮径されている。ホッパ40の下端縁にはゴム等(例えば、耐油性TPE(熱可塑性エラストマー))からなるパッキン42が取り付けられており、このパッキン42によってホッパ40の下端縁と処理槽20の上端部との間がシールされるようになっている。
【0026】
筐体12の前面壁の上部には、ホッパ40内に被処理物を投入するための処理物投入口44が形成されている。この処理物投入口44は、筐体12の前面壁に回動可能に取り付けられた扉46(図1〜図3参照)によって開閉されるようになっている。
【0027】
図4に示されるように、ホッパ40内の上下方向中間部には、アジテータ48(攪拌部材)が設けられている。このアジテータ48は、ホッパ40内を横断する状態で筐体12に対して回転可能に支持された回転軸50と、回転軸50の外周部から回転軸50の半径方向外側へ突出した複数の攪拌棒52とを備えており、ホッパ40の側壁に取り付けられた攪拌モータ54によって回転されるようになっている。これにより、ホッパ40内の被処理物が複数の攪拌棒52によって攪拌される。
【0028】
また、ホッパ40の下端側(絞り加工された部分)には、処理槽20内に水を供給するための供給管56が接続されている。この供給管56は、図示しない一端側が水の供給源(図示省略)に接続されており、供給管56の中間部に取り付けられた電磁弁58が開くことで処理槽20内に水が供給される。
【0029】
一方、処理槽20の側壁には、処理槽20内の温度を検出する温度センサ60が取り付けられている。この温度センサ60は、前述した制御装置に電気的に接続されている。この制御装置は、電磁弁58に電気的に接続されており、処理槽20内が所定の温度になったことを温度センサ60が検出した際に、所定時間だけ電磁弁58を開くようになっている。これにより、一定量の水が供給管56から処理槽20内へ供給(噴霧)される。
【0030】
また、処理槽20の側壁には、処理槽20内で造粒した造粒物を装置外部へ排出するための樋状の排出口62が取り付けられており、この排出口62を介して処理槽20の内部が装置外部に連通するようになっている。この排出口62は、排出シリンダ64によって駆動される排出シャッタ66によって開閉される。
【0031】
ここで、この造粒装置10では、図4に示されるように、装置本体16の下側で筐体12の下端部には、H型鋼により構成された左右一対のレール68、70が設けられている。これらのレール68、70は、筐体12の前後方向を長手として配置されており、長手方向一端部(筐体12の後方側の端部)が筐体12の骨格を構成するフレーム72(図9参照)に溶接されている。
【0032】
また、装置本体16のフレーム18の下部には、左右両端部にそれぞれ前後一対の車輪74(キャスター)が取り付けられている(図6参照)。フレーム18の左側端部に取り付けられた前後一対の車輪74は、左側のレール68の縦壁の上端に係合している。また、フレーム18の右側端部に取り付けられた前後一対の車輪74は、右側のレール70の縦壁の上端に係合している。これにより、装置本体16は、合計4つの車輪74を介してレール68、70に支持されており、これらの車輪74がレール68、70上で転動することにより、筐体12に対して前後方向にスライド可能とされている。
【0033】
図2に示されるように、レール68、70は、筐体12の前方(水平方向一側)へ延び出しており、作業用の踏み台76(ステップ。図1参照)を構成するフレーム78の内側に配置されている。このフレーム78は、筐体12のフレーム72と一体的に構成された左右一対の側部80、82と、側部80、82の先端を筐体12の左右方向に連結した連結部86とを有している。この連結部86には、各レール68、70の先端部が溶接されている。
【0034】
また、側部80、82の先端部には、フレーム78の一部を構成する手すり88、90の下端部が接続されている。手すり88、90の上端側は、筐体12側へ屈曲しており、筐体12の上下方向中間部に接続されている。また、図1に示されるように、手すり88、90の下端部間には、板金製のステップカバー92が取り付ける構成になっている。このステップカバー92は、側部80、82に引っ掛けられてボルト締めされる。
【0035】
さらに、上述のフレーム78の上部には、踏み台76を構成する複数(ここでは3枚)の天板94が設けられている。各天板94は、長尺な板状に形成されており、長手方向一端部が側部80の上端に引っ掛かり、長手方向他端部が側部82の上端に引っ掛かることでフレーム78の上部に載置される構成になっている。この載置状態では、レール68、70が3枚の天板94の下側に配置され、これらの天板94によって覆われる(図1参照)。
【0036】
一方、踏み台76の上側には、左右一対のフロントカバー96、98が配置されている。これらのフロントカバー96、98は、下端縁に設けられた舌片が装置本体16のフレーム18に引っ掛けられ、上端側が筐体12にボルト締めされる構成になっており、ボルトを外すことで筐体12から取り外すことができる。
【0037】
また、左側のフロントカバー96の側方で筐体12の角部には、長尺なフロントカバー100が設けられている。このフロントカバー100は、筐体12にボルト締めされており、ボルトを外すことで筐体12から取り外すことができる。
【0038】
ここで、前述したステップカバー92及び天板94がフレーム78から取り外されると共に、フロントカバー96、98、100が筐体12から取り外された状態では、図2に示されるように、装置本体16が筐体12の外側に露出する。
【0039】
装置本体16のフレーム18の前端部には、左右一対の固定用ブラケット102が取り付けられている(図7参照)。これらの固定用ブラケット102は、ボルト104によって筐体12のフレーム72に締結されており、ボルト104を外すことで筐体12に対する装置本体16の固定が解除される。これにより、図3に示されるように、装置本体16をレール68、70に沿って踏み台76側(すなわち筐体12の外側)へスライド式に引き出すことができるようになっている。
【0040】
また、各固定用ブラケット102には、それぞれストッパ106が取り付けられており、各ストッパ106には、上下方向にスライド可能なピン108が設けられている。各ピン108は、装置本体16が図3に示される引出位置へ引き出された状態で、フレーム78の連結部86の上面に形成された図示しない孔に挿入される(図8参照)。これにより、装置本体16が引出位置に拘束される。
【0041】
また、上述の如く装置本体16が踏み台76側(引出位置側)へ引き出される際には、図9に示されるように、装置本体16のフレーム18に固定された操作キー112が、筐体12のフレーム72に固定された電磁ロック式スイッチ114(安全スイッチ)から引き抜かれるようになっている。これにより、装置本体16のメインモータ26、攪拌モータ51、排出シリンダ61等への給電経路が電磁ロック式スイッチ114によって遮断され、装置本体16が作動不能となる。
【0042】
一方、装置本体16が本体収容室14内の収容位置(図2に示される位置)へ収容されると、操作キー112が電磁ロック式スイッチ114に挿入されるようになっている。これにより、電磁ロック式スイッチ114がメインモータ26への給電経路を導通させ、装置本体16が作動可能となる。
【0043】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0044】
上記構成の造粒装置10を使用する際には、先ず処理物投入口44の扉46を開き、処理物投入口44からホッパ40内に被処理物(例えば、使用済みの所謂エアキャップ(商品名)など)を投入する。この場合、作業者は踏み台76の天板94の上に乗って被処理物の投入作業をすることができる。
【0045】
ホッパ40内に投入された被処理物は、アジテータ48に引っ掛かり、処理槽20内への落下を規制される。そして、ホッパ40内に被処理物が満杯に供給されたら、処理物投入口44の扉46を閉じ、操作パネル116(図1〜図3参照)に設けられた運転スイッチをオンにする。運転スイッチがオンにされると、制御装置がメインモータ26を作動させて羽根体32を回転させると共に、攪拌モータ54を作動させてアジテータ48を回転させる。これにより、ホッパ40内の被処理物がアジテータ48の複数の攪拌棒52によって攪拌され、処理槽20内へ落とし込まれる。
【0046】
処理槽20内へ落とし込まれた被処理物は、羽根体32の回転方向前方側縁に引っ掛かり、その回転に伴う遠心力によって羽根体32の長手方向端部側(処理槽20の内壁側)へ移動される。処理槽20の内壁側へ移動された被処理物は、回転刃体34の切断刃34Aと固定刃体36の切断刃36Aとの間で切断破砕されると共に、羽根体32によって上方へ跳ね上げられ、上述の如き切断破砕を繰り返される。これにより、被処理物は回転刃体34と固定刃体36との間隙にみあう大きさの破砕片に切断破砕される。
【0047】
そして、ホッパ40内から新たに処理槽20内へ落下する被処理物が破砕・減容を繰り返され、能率よく大量処理される。これにより、ホッパ40内に投入された被処理物は処理槽20内で数十分の一の容積に減容される。このようにして減容された被処理物(破砕片)は、羽根体32によって繰り返し上方へ跳ね上げられ、各破砕片同士が衝突摩擦してその摩擦熱により各破砕片の表面が半ゲル化される。これにより、各破砕片は、全体として丸みを帯びた粒体に成形される。
【0048】
そして、上述の如き破砕片同士の摩擦によって処理槽20内が所定の温度になると、温度センサ60が作動して電磁弁58が開き、供給管56から処理槽20内へ一定量の水が供給(噴霧)される。これにより、上述の如く半ゲル化した破砕片の表面が急冷却され、各破砕片同士の融着が防止される。なお、この急冷却の際には、処理槽20内に水蒸気が発生するが、当該水蒸気は図示しない吸引ブロアの作動によって処理槽20内から排出される。また、上記急冷却によって固化された造粒物は、排出シリンダ64によって排出シャッタ66が開放されることにより、排出口62を介して処理槽20の外側へ排出される。これにより造粒処理が完了する。
【0049】
ここで、本第1実施形態に係る造粒装置10では、通常時は装置本体16が筐体12の内部に収容されているため、処理槽20やメインモータ26等の機構部(造粒部)が装置の外部に露出しない。これにより、作業者の安全性を確保することができる。
【0050】
また、この造粒装置10では、踏み台76のステップカバー92と天板94をフレーム78から取り外し、フロントカバー96、98、100を筐体12から取り外すと共に、固定用ブラケット102のボルト104を外すことにより、装置本体16を踏み台76側へ引き出すことができる。これにより、処理槽20の上方の構成(ホッパ40等)を分解しなくとも処理槽20やメインモータ26等を筐体12の外部に露出させることができるため、装置本体16のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0051】
しかも、装置本体16のメンテナンスを踏み台76の設置スペース内(すなわち本造粒装置10の設置スペース内)で行うことができるため、メンテナンス用のスペースを本造粒装置10の設置スペース外に確保する必要がなく好適である。
【0052】
さらに、この造粒装置10では、装置本体16に設けられた車輪74が、筐体12と一体的に設けられたレール68、70上を転動することにより、装置本体16が収容位置と引出位置との間でスライドされる。したがって、重量の重い装置本体16を容易に移動させることができる。また、装置本体16が引出位置へ引き出された状態では、ストッパ106によって装置本体16を引出位置に拘束することができるため、メンテナンス中に装置本体16が不要にスライドすることを防止できる。
【0053】
また、この造粒装置10では、装置本体16を支持するレール68、70が踏み台76の天板94の下側に配置されており、装置本体16が踏み台76側へ引き出される際には天板94が取り外される。このように、装置本体16を支持するレール68、70の配置が天板94よりも下側に設定されているため、装置本体16の配置を低くすることができ、結果として装置全体の高さ寸法(筐体12の高さ寸法)を低くすることができる。また、踏み台76上で作業をする際に、レール68、70が邪魔になることがなく好適である。
【0054】
さらに、この造粒装置10では、装置本体16が踏み台76側へ引き出された状態では、電磁ロック式スイッチ114によってメインモータ26等への給電経路が遮断される。したがって、万一、メンテナンス中に図示しない配電盤に電源が投入されても、メインモータ26等が不要に起動することを防止でき、メンテナンス時の安全性を確保することができる。
【0055】
なお、上記実施形態では、装置本体16を踏み台76側へ引き出し可能に支持する支持手段が、左右一対のレール68、70と、装置本体16に設けられた車輪74によって構成された場合について説明したが、本発明はこれに限らず、支持手段の構成は適宜変更することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、踏み台76が3枚の長尺板状の天板94を備えた構成にしたが、本発明はこれに限らず、天板94の数や形状は適宜変更することができる。
【0057】
また、上記実施形態では、筐体12の本体収容室14が3枚のフロントカバー96、98、100によって覆われる構成にしたが、本発明はこれに限らず、フロントカバーの数や形状は適宜変更することができる。
【0058】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
10 造粒装置
12 筐体
16 装置本体
20 処理槽
40 ホッパ
68、70 レール(支持手段)
74 車輪(支持手段)
76 踏み台
94 天板
114 電磁ロック式スイッチ(安全スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用の踏み台が水平方向一側に一体的に設けられた筐体と、
前記筐体内の上部に収容され、内部に被処理物が供給されるホッパと、
前記筐体内の下部に収容され、前記ホッパ内から供給される前記被処理物を破砕して粒状に成形する装置本体と、
前記装置本体を前記踏み台側へ引き出し可能に支持する支持手段と、
を備えた造粒装置。
【請求項2】
前記支持手段は、前記筐体と一体的に設けられたレールと、前記装置本体に設けられ、前記レール上を転動する車輪とを有することを特徴とする請求項1に記載の造粒装置。
【請求項3】
前記レールは、前記踏み台の天板の下側に配置され、前記装置本体が前記踏み台側へ引き出される際には前記天板が取り外されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の造粒装置。
【請求項4】
前記装置本体が前記筐体内に収容された状態では前記装置本体を作動可能とすると共に、前記装置本体が前記踏み台側へ引き出された状態では前記装置本体を作動不能とする安全スイッチを有することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の造粒装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−56476(P2011−56476A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211906(P2009−211906)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】