連結具
【課題】連結される部材間の隙間をできる限り小さくし、かつ、連結強度も高くする連結具を提供する。
【解決手段】雌型係止部材9の係止山41は、挿入側Cから奥部D側に向って縮径する雌側の挿入側傾斜面41aと、該挿入側傾斜面41aの内径端41bから奥部Dに向って拡径する雌側の奥側傾斜面41cとにより形成され、前記雌型連結部材9の軸芯Y−Yに直交する直交軸と前記雌側の挿入側傾斜面41aとの角度は、前記直交軸と前記雌側の奥側傾斜面41cとの角度よりも大きく設定する。 雄型係止部材23の挿入側Aから奥部B側に向って拡径する雄側の挿入側傾斜面40aと、該挿入側傾斜面40aの外径端40bから奥部側Bに向って縮径する雄側の奥側傾斜面40cとにより形成され、前記雄型係止部材23の軸芯X−Xに直交する直交軸と前記雄側の挿入側傾斜面40aとの角度は、前記直交軸と前記雄側の奥側傾斜面40cとの角度よりも大きく設定する。
【解決手段】雌型係止部材9の係止山41は、挿入側Cから奥部D側に向って縮径する雌側の挿入側傾斜面41aと、該挿入側傾斜面41aの内径端41bから奥部Dに向って拡径する雌側の奥側傾斜面41cとにより形成され、前記雌型連結部材9の軸芯Y−Yに直交する直交軸と前記雌側の挿入側傾斜面41aとの角度は、前記直交軸と前記雌側の奥側傾斜面41cとの角度よりも大きく設定する。 雄型係止部材23の挿入側Aから奥部B側に向って拡径する雄側の挿入側傾斜面40aと、該挿入側傾斜面40aの外径端40bから奥部側Bに向って縮径する雄側の奥側傾斜面40cとにより形成され、前記雄型係止部材23の軸芯X−Xに直交する直交軸と前記雄側の挿入側傾斜面40aとの角度は、前記直交軸と前記雄側の奥側傾斜面40cとの角度よりも大きく設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部材相互の連結具として図21に示すように、内部にテーパ穴201を形成するとともに、そのテーパ穴201の内面に軸方向に沿った摺動案内突条202を周方向に分割して複数形成したケーシング203と、外面を前記テーパ穴201に沿うテーパ面に形成するとともに内面に雌ねじ204を刻設した楔ナット205と、この楔ナット205を押圧する圧縮バネ206とで構成されたナット207と、該ナット207に連結するボルト208とからなる連結具が知られている。そして、該連結具における連結に際しては、そのナット207を回転することなく該ナット207に前記ボルト208を挿通することにより、分割された楔ナット205の雌ねじ204がボルト208の雄ねじ209に係合してその楔ナット205が圧縮バネ206に抗して大径側へ押され、複数個の楔ナット205で形成される雌ねじ孔の内径が拡径してナット207をボルト208の所定位置まで挿通でき、その挿通が終ると、圧縮バネ206の付勢力によって楔ナット205の雌ねじ204がボルト208の雄ねじ209に噛合し、ナット207とボルト208の連結が行われるようになっている。
【0003】
このような楔ナット205の雌ねじ204とボルト208の雄ねじ209の軸方向の断面は、図22に示すように、雄ねじ209と雌ねじ204のねじ山221、222の両面221a、222aと221b、222bを軸方向X−Xに対して同角度で反対側に傾斜した面に形成した二等辺三角形状に形成されている。また、この雌ねじ204と雄ねじ209は、JISで規定されている並目ねじか或いは細目ねじで形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記のように構成された連結具を用いて、例えばコンクリート製のシールドセグメント相互を連結する要望がある。この場合、図23に示すように、前記連結具のナット207を一方のシールドセグメント210に設け、ボルト208を他方のシールドセグメント211に設ける。そして、連結に際してはナット207をボルト208に挿通した状態で一方のシールドセグメント210を他方のシールドセグメント211に当接するまで移動して連結するが、ナット207における楔ナット205の雌ねじ204が、ボルト208における雄ねじ209の最終的に噛合すべきねじ山を乗り越えることができず、一方のシールドセグメント210の接合端面212と他方のシールドセグメント211の接合端面213との間に隙間D1が発生する。この隙間D1は可能な限り小さいことが要求される。また、雌ねじ204と雄ねじ209の軸方向の面が共に傾斜しているため、雄ねじ209の先端部のねじ山221が雌ねじ204のねじ山222をわずかに乗り越えた場合には係止力が小さく、1山もどってしまうおそれがある。
【0005】
また、前記従来のように、楔ナット205とボルト208のねじがJISで規定されている並目ねじか或いは細目ねじで形成されているものにおいては、比較的大きな隙間を生じる。
【0006】
例えば、呼び径M24の場合において、JISに規定するメートル並目ねじの場合にはねじピッチが3mmであるため、隙間D1が約1.5〜6mmとなり、メートル細目ねじの場合にはねじピッチが2mm又は1.5mm又は1mmであるため、隙間D1が1〜4mm又は0.75〜3mm又は0.5〜2mmとなる。
【0007】
また、呼び径M30の場合において、JISに規定するメートル並目ねじの場合にはねじピッチが3.5mmであるため、隙間D1が約1.75mm〜7mmとなり、メートル細目ねじの場合にはねじピッチが3mm又は2mm又は1.5mm又は1mmであるため隙間D1はそれぞれの半分〜2倍の寸法となる。
【0008】
前記のように隙間D1が大きくなると、シールドセグメント210、211の接合面間212、213での水もれが発生しやすくなる問題がある。
【0009】
そこで本発明は、連結される部材間の隙間をできる限り小さくし、かつ、連結強度も高くする連結具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、収納室内に、内面側に連続する複数の係止山からなる係止部を設けた雌型係止部材を有する雌型連結部材と、
複数の係止山からなる係止部を設けた雄型係止部材とからなり、
雄型係止部材を前記雌型連結部材に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径して前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材の係止部を構成する係止山は、前記雄型係止部材を挿入する挿入側から奥部側に向って縮径する雌側の挿入側傾斜面と、該挿入側傾斜面の内径端から奥部に向って拡径する雌側の奥側傾斜面とにより形成され、かつ、前記雌型連結部材の軸芯に直交する直交軸と前記雌側の挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と前記雌側の奥側傾斜面との角度よりも大きく設定し、
前記雄型係止部材の係止部を構成する係止山は、該雄型係止部材の先端側から奥部側に向って拡径する雄側の挿入側傾斜面と、該挿入側傾斜面の外径端から奥部側に向って縮径する雄側の奥側傾斜面とにより形成され、前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と前記雄側の挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と前記雄側の奥側傾斜面との角度よりも大きく設定したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記雌型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雌型係止部材の係止山の前記雌側の奥側傾斜面との角度及び、
前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雄型係止部材の係止山の前記雄側の奥側傾斜面との角度を30度より小さく、かつ、0度より大きく設定したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記雌型連結部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雌型係止部材の係止山の前記雌側の挿入側傾斜面との角度及び、
前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雄型係止部材の係止山の前記雄側の挿入側傾斜面との角度を30度より大きく設定したことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記雌型係止部材の係止山の角度及び、前記雄型係止部材の係止山の角度を60度に設定したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記雄型係止部材の係止山を螺旋状に形成し、前記雌型係止部材の係止山を螺旋の一部で形成したことを特徴とするものである。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記雄型係止部材の係止山を前記雄型係止部材の軸芯に対して直交し、かつ、隣接する係止山と平行する環状に形成し、
前記雌型係止部材の係止山を前記雌型連結部材の軸芯に対して直交し、かつ、隣接する係止山と平行する環状の一部で形成したことを特徴とするものである。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記雌型係止部材における隣接する係止山相互の間隔と、前記雄側係止部材における隣接する係止山相互の間隔を、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、雄型係止部材及び雌型係止部材の係止部の係止山を、連続する不等辺三角形の形状に形成し、かつ、雌型連結部材の軸芯に直交する直交軸と雌側の挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と奥側傾斜面との角度よりも大きく設定し、雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と雄側の奥側傾斜面との角度よりも大きく設定したので、従来のような二等辺三角形の形状を有するねじ山に比べて、雄型係止部材の係止山と雌型係止部材の係止山とが相互に嵌合する際の両者の噛合が早く、かつ、大きく噛み合い、かつ、連結される部材間の隙間を小さくすることができる。
【0018】
更に、請求項2記載の発明によれば、係止山の引張り強度を確保しつつ、かつ、雌型係止部材の係止部と雄型係止部材の係止部とが速やかに、かつ、大きく噛み合い、かつ、連結部材間の隙間を小さくすることができる。したがって、例えば、本発明の連結具をシールドセグメントの連結に用いた場合、シールドセグメント間での水漏れを防止できる。
【0019】
更に、請求項3記載の発明によれば、雄型係止部材を雌型係止部材に挿入する際に、挿入抵抗が減少して挿入しやくなる。
【0020】
更に、請求項4記載の発明によれば、JIS規格のねじ山を作成する時に使用する切削チップをそのまま使用することができ、製作のコストを削減できる。
【0021】
更に、請求項5記載の発明によれば、雌型係止部材を分割して周方向に配置するようにした場合、多数製造された雌型係止部材の中からランダムに雌型係止部材を取り出して使用することにより、その使用した複数個の雌型係止部材の係止山は、1つの螺旋上に位置することなく、1つの螺旋上から相互に軸方向にずれる確率が極めて高く、この係止山のずれにより、噛合が早く、かつ、噛合量を多くすることができる。
【0022】
したがって、係止山の形状と螺旋形状とが相まって、早く、かつ、強固な連結が可能となる。
【0023】
更に、請求項7記載の発明によれば、係止山間の間隔をJIS規格よりも小さく設定することで、両係止山相互の噛合状態でのガタつき量も少なくなる。
【0024】
更に、連結部材の連結面間の隙間が小さくなることで、水もれの防止を高めることができる。また、シールドセグメントにシール材を設ける場合においても、このシール材を小さなものにしてコスト低減を図ることができる。
【0025】
また、係止山間の間隔を従来のJIS規格ものよりも小さくすることによって、連結具全体を小型化し、シールドセグメントの厚さを薄くすることができ、かつ連結具及びシールドセグメントのコスト低減を図ることができる。
【0026】
また、付勢手段の付勢力によって雌型係止部材の係止山が雄型係止部材の係止山へ食い込むように作用し、かつ、雄型係止部材に抜け方向への力が作用すると雌型係止部材が食い込むため、係止山間の間隔が小さくても強固な連結状態が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0028】
図1乃至図11は、実施例1を示す。
図1及び図2は雌型連結部材1を、図3は雄型連結部材2を示すものである。
【0029】
雌型連結部材1は、ケーシング3を有し、該ケーシング3は、筒状、例えば円筒状に形成され、その内部に収納室4が形成されている。該収納室4の先部は、その内周面を先端部4a側(挿入側)から後方(奥部)にかけて内径が徐々に拡大するテーパ面にしてなる円錐状のテーパ穴5に形成され、収納室4の中間部は付勢手段収納部6に形成され、収納室4の後部内周には雌ねじ3aが刻設されている。前記テーパ穴5より先部には挿入口(開口部)7が開口形成されている。
【0030】
前記テーパ穴5内には、雌型連結部材1の軸Y−Y方向に沿った摺動案内突条8が、図2(a)に示すように周方向に分割して複数形成されている。なお、この摺動案内突条8はなくても良い。
【0031】
また、前記テーパ穴5内には、図2(a)に示すように周方向に複数に分割してなる楔状の雌型係止部材9が、前記摺動案内突条8相互間においてケーシング3の軸方向に摺動可能に配設されている。雌型係止部材9の数を、本実施例においては、図2(a)に示すように3個としたが、図2(b)に示すように1個でもよく、任意に設定する。
【0032】
更に、該楔状の雌型係止部材9の外面は、前記テーパ穴5のテーパ面に沿った、すなわち、先端部4a側から後方にかけて外径が徐々に拡大するテーパ面9aに形成されている。更に、各雌型係止部材9の内周面には係止部9bが、ケーシング3の軸芯(雌型連結部材の軸芯)Y−Yを中心とする円弧でかつ軸芯Y−Yに沿った方向に刻設されている。なお、以下において、雌型係止部材9を以下楔ナット9ともいう。また、係止部9bは、本実施例では軸Y−Yを中心とする螺旋の山及び谷の一部で形成されているので、以下雌ねじ9bともいう。
【0033】
上記により、1個若しくは複数個の楔ナット9により図2(a)(b)に示すように係止穴(雌ねじ穴)9cが形成され、各楔ナット9がテーパ穴5のテーパ面に沿って奥部へ後退することにより、その雌ねじ穴9cが拡径され、先端部4a側(挿入側)へ移動することにより、その雌ねじ穴9cが縮径するようになっている。
【0034】
また、前記楔ナット9の後端には、各楔ナット9に共通して係合する付勢手段受け(バネ受け)10が配置されている。
【0035】
前記ケーシング3の後部の雌ねじ3aには、中心部にねじ穴11aを形成した蓋板11が螺着されている。前記付勢手段収納部6内の前記付勢手段受け10と蓋板11の間には付勢手段12が収納されている。該付勢手段12は、コイルバネ、ゴム、樹脂、ウレタンなどの弾性部材で形成される。本実施例1ではコイルバネを使用して圧縮状態で収納されている。該付勢手段12の付勢力により各楔ナット9は、常時先端部4a方向へ付勢されている。
【0036】
前記蓋体11には、蓋体11から後方向に突出するアンカーバー14が螺着して固設されている。アンカーバー14の後側には、抜け止め部14aが外周側へ突出して設けられている。
【0037】
前記ケーシング3は、図1に示すように、ケーシング3の先端部4a側を除いて調整部材16により覆われている。該調整部材16は、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールなどにより構成されている。調整部材16は、ケーシング3の外周全面を被覆する筒状部16aと、蓋板11の後部を被覆する鍔状部16bと、該鍔状部16bの内周側から後方へ突出して前記アンカーバー14の外周に係止する環状の突部16cとからなり、これらは一体に形成され、ケーシング3に嵌着されている。
【0038】
アンカーバー14の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空隙保持用パイプ17が設けられており、アンカーバー14と空隙保持用パイプ17の間には空隙18が設けられている。空隙保持用パイプ17の先端部は、前記調整部材16の突部16cの外側面に係止し、後端部は座部材19の外側面に係止している。該座部材19は、アンカーバー14とアンカーバー14の抜け止め部14aの間に設けられた、ゴム等の弾性材からなるものである。
【0039】
なお、前記空隙18を設けることなく、前記調整部材16と同様の部材をアンカーバー14の外面に沿って設けても良い。
【0040】
前記の雌型連結部材1は、一方の連結部材、例えばシールドセグメント15に、ケーシング3の先端部側4a面がシールドセグメント15の接合面15aと面一になるように埋設して固設されるもので、その前記調整部材16、空隙保持用パイプ17、抜け止め部14aの外部にはコンクリート15bが打設されている。このように、コンクリート15bが打設されていても、前記調整部材16と空隙保持用パイプ17と空隙18と座部材19を設けたことで、雌型連結部材1は、抜け止め部14aを中心として、雌型連結部材1の軸芯Y−Yと直交する径方向に移動できる。
【0041】
次に、雄型連結部材2について説明する。
雄型連結部材2は、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールで形成された円筒状の調整部材21内に、内周に雌ねじ22aを刻設した連結体22を設け、該連結体22の先部に雄型係止部材23の基部側に形成した雄ねじ体23aを螺着して構成されている。
【0042】
前記雄型係止部材23は、前記連結体22の先端22bより突出しており、その先部(挿入側)には、先部が縮径するドーム状の案内部24が形成されている。すなわち、前記雌型係止部材9を誘導する曲面が形成され、その後部、かつ、雄ねじ体23aより先部には係止部23bが刻設されており、該係止部23bの直径は、前記各楔ナット9が最前進した場合に、これらで形成される雌ねじ穴9cの直径よりも若干大径に設定されている。係止部23bは、軸X−Xを中心とする螺旋の山と谷で形成されているので、以下雄ねじともいう。
【0043】
前記連結体22の後部には、図3に示すように、アンカーバー30が螺着して固設されている。該アンカーバー30の後端には抜け止め部30aが設けられている。また、アンカーバー30の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空隙保持用パイプ31が設けられている。空隙保持用のパイプ31の前側端部は、調整部材21の後側の突部21aの外周面に係止し、後側端部は、アンカーバー30の抜け止め部30aに設けられたゴム等の弾性材からなる座部材32に係止している。アンカーバー30と空間保持用のパイプ31との間には空隙33が設けられている。
【0044】
なお、前記雌型連結部材1の空隙18と同様に空隙33を設けることなく、前記調整部材21と同様の部材をアンカーバー30の外面に沿って設けても良い。
【0045】
前記調整部材21、アンカーバー30、空隙保持用パイプ31は、他方の連結部材、例えば、シールドセグメント35に、連結体22の前端面22bがシールドセグメント35の接合面35aと面一になるように埋設して固設されるもので、その前記調整部材21、空隙保持用パイプ31、抜け止め部30aの外部にはコンクリート35bが打設されている。
【0046】
また、図5に示すように、前記一方のシールドセグメント15における接合面15aにはシール材36が突出して設けられ、他方のシールドセグメント35における接合面35aにはシール材37が突出して設けられている。
【0047】
前記雌型連結部材1と同様、他方の連結部材35に設けられた雄型連結部材2は、変形できる部材からなる調整部材21と空隙33と空隙保持用パイプ31と座部材32の相互作用により、アンカーバー30の抜け止め部30aを中心として軸芯X−Xと直交する方向に変位できるようになっている。
【0048】
次に本発明をシールドセグメントに適用した例に基づいて連結操作を説明する。
先ず、図4に示すように、雌型連結部材1の軸芯Y−Yと雄型連結部材2の雄型係止部材23の軸芯X−Xとが略同軸上に位置した状態で、一方のシールドセグメント15と他方のシールドセグメント35を相対的に近接させ、雄型係止部材23を雌型連結部材1の挿入口7より挿入する。
【0049】
雄型係止部材23を、雌型連結部材1における挿入口7から挿入すると、雄型係止部材23が各楔ナット9を付勢手段12の付勢力に抗して後退させて各楔ナット9で形成される雌ねじ穴9cを拡径し、各楔ナット9における係止部9bの係止山(ねじ山)41を乗り越えつつ挿入する。
【0050】
雌型連結部材1におけるケーシング3の先端側4a面、すなわち、一方のシールドセグメント15の接合面15aと、雄型連結部材2における連結体22の先端面22b、すなわち他方のシールドセグメント35の接合面35aが接して雄型連結部材2の挿入が停止されると、各楔ナット9は、付勢手段12の付勢力によって先端面4a側へ押戻されるとともにテーパ穴5のテーパ面によって各楔ナット9で形成される雌ねじ穴9cの穴径が縮径し、各楔ナット9の雌ねじ9bが雄型係止部材23の雄ねじ23bに噛合する。これによって両シールドセグメント15、35は相互に連結される。
【0051】
次に、両連結部材15、35の軸芯がずれて、雌型連結部材1の軸芯Y−Yと雄型連結部材2(雄型係止部材23)の軸芯X−Xとが、相互に非同芯状態(目違い状態)で雄型係止部材23が挿入口7から挿入された場合について説明する。
【0052】
この目違い状態で雌型連結部材1と雄型連結部材2を連結する際には、雌型連結部材1は、調整部材16と空隙保持用パイプ17と空隙18と座部材19により、アンカーバー14の抜け止め部14aを中心として、雄型連結部材2が位置する側の方向に回動し、雄型連結部材2も、同様に雄型連結部材2のアンカーバー30の抜け止め部30aを中心として雌型連結部材1が位置する側の方向に回動してそれぞれが傾斜して挿入される。すなわち、雌型連結部材1と雄型連結部材2におけるそれぞれの調整部材16、21が加圧方向に圧縮されて、ケーシング3と連結体22が傾斜する。
【0053】
そして、雌型連結部材1と雄型連結部材2とが連結すると、雌型連結部材1の軸芯と、雄型連結部材2の軸芯とは一直線となる。
【0054】
このように、雌型連結部材1と雄型連結部材2との双方が回動することにより、雌型連結部材1の軸芯と、雄型連結部材2の軸芯とは一直線となることができ、雌型連結部材1の連結面と雄型連結部材2の連結面とは、平行に相対し、かつ、両シールドセグメント15、35を、その連結面間の隙間を少なくして、密着状態に接して連結することができ、連結部材相互の連結状態をより高めることができる。そのため、両シールドセグメント15、35間での水漏れを防止できる。
【0055】
また、雌型連結部材1と雄型連結部材2とが連結状態の時に、地震が起きて両連結部材15、35がずれた場合にも、連結面間が開くことなく密着した連結状態を確保することができる。
【0056】
次に、前記本発明の実施例における楔ナット9の係止部(雌ねじ)9bと、雄型係止部材23の係止部(雄ねじ)23bについて説明する。
【0057】
前記雄型係止部材23の係止部(雄ねじ)23bは、図7(a)に示すように、雄型係止部材23の軸方向X‐Xの断面を、図6乃至図9に示すような、複数の係止山(ねじ山)40が軸方向X−Xに連続してなる形状に形成されている。該係止山40は不等辺三角形に形成されている。
【0058】
より詳しくは、係止山(ねじ山)40の軸方向X‐Xの断面は、雄型係止部材23の挿入側Aから奥部(後方)B側に向って拡径する挿入側傾斜面40aと、該挿入側傾斜面40aの外径端(頂部)40bから奥部B側に向って縮径する奥側傾斜面40cとにより形成されている。
【0059】
また、軸方向X−Xに対して直交する直交軸Zに対する挿入側傾斜面40aの角度α(図7(a))の範囲は、30°<αであり、本実施例においては55°に設定した。また、軸方向X−Xに対して直交する直交軸Zに対する奥側傾斜面40cの角度βは、0°<β<30°の範囲に設定するものであり、好ましくは0°<β<15°であり、本実施例においては5°に設定した。
【0060】
また、係止山(ねじ山)40の角度(=α+β)を60°とすることで、従来のJIS規格のねじ山(JIS規格のねじ山の角度は60°)を作成する時に使用する切削チップを傾けてそのまま使用することができ、製作のコストを削減できる。
【0061】
更に、前記係止山(ねじ山)40及び係止山40、40間により形成される係止溝(谷部)は、雄型係止部材23の軸心X−Xを中心とする螺旋状に形成され、その隣接する係止山相互の間隔(ねじピッチ)Pは後述するように設定されている。
【0062】
次に、楔ナット9の係止部(雌ねじ)9bについて説明する。
前記楔ナット9の係止部9bは、前記雌型係止部材1の軸方向、すなわち、楔ナット9が進退する方向(雌ねじ穴9cの軸方向)Y−Yにおける断面を、図6乃至図9に示すように、複数の係止山(ねじ山)41が軸方向Y−Yに連続してなる形状に形成されている。該係止山41は不等辺三角形に形成されている。
【0063】
より詳しくは、係止山(ねじ山)41のY−Y方向の断面は、図7(b)に示すように、雄型係止部材23の係止部23bを挿入する挿入側Cから奥部(後方)D側に向って縮径する挿入側傾斜面41aと、該挿入側傾斜面41aの内径端(頂部)41bから奥部D側に向って拡径する奥側傾斜面41cとにより形成されている。
【0064】
また、軸方向Y−Yに対して直交する直交軸Zに対する挿入側傾斜面41aの角度γ(図7(b))は、30°<γの範囲に設定するもので、本実施例においては55°に設定した。
【0065】
また、軸方向Y−Yに対して直交する直交軸Zに対する奥側傾斜面41cの角度δは、0°<δ<30°の範囲に設定するもので、好ましくは0°<δ<15°であり、本実施例においては5°に設定した。
【0066】
また、前記の雄型係止部材23の係止部(雄ねじ)23bの係止山(ねじ山)40と同様に、雌型係止部材9の係止部(雌ねじ)9bの係止山(ねじ山)41の角度(=γ+δ)を60°とすることで、製作のコストを削減できる。
【0067】
前記楔ナット9の隣接する係止山(ねじ山)41、41間で形成される係止溝のY−Y方向の断面形状は、前記雄型係止部材23における係止山(ねじ山)40のX−X方向の断面形状と同様に形成され、これら相互が噛合するようになっている。そのため、前記両係止山40、41の角度は、前記の範囲から所望に設定した角度で同一に形成する。
【0068】
そして、この各楔ナット9で形成された雌ねじ穴9cに前記雄型係止部材23が挿入された場合に、各楔ナット9の係止山(ねじ山)41が、挿入された雄型係止部材23の隣接する係止山(ねじ山)40、40間(谷部)に嵌合するように、各楔ナット9の係止山(ねじ山)41と係止溝(谷部)は、前記雄型係止部材23のねじ山40と谷の螺旋と同一の螺旋上に配置されるように形成されている。
【0069】
次に前記楔ナット9の雌ねじ9bと、前記雄型係止部材23の雄ねじ23bにおける隣接する係止山相互の間隔(ねじピッチ)Pについて説明する。
【0070】
前記楔ナット9の雌ねじ9bと、前記雄型係止部材23の雄ねじ23bのねじピッチP(図6及び図11参照)は所望に形成するもので、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチとしてもよく、また、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さくしてもよい。
【0071】
例として、呼び径がM24(mm)の場合には、前記JIS B 0207のメートル細目ねじではねじピッチPを2mm又は1.5mm又は1mmに形成するが、本発明では、ねじピッチPを0.3mm〜0.8mm、望ましくは0.5mmに設定する。
【0072】
また、呼び径がM30(mm)の場合もねじピッチPを0.3mm〜0.8mm、望ましくは0.5mmに設定する。
【0073】
次に、連結状態における、楔ナット9の雌ねじ9bと雄型係止部材23の雄ねじ23bの作用、効果について説明する。
【0074】
前記図21乃至図23に示すような従来のJIS規格のねじ204、209は、ねじ山の両面221a、221bと222a、222bが軸X−Xに直交する軸に対してともに30°の角度を有しており、連結時において、ボルト208のねじ山221が楔ナット205のねじ山222をわずかに乗り越えた状態では、ねじ山221、222の相互の噛み込みが少なくなる。
【0075】
そのため、例えば、図24に示すように楔ナット205のねじ山222の奥側面222cと、ボルト208のねじ山221の奥側面221cをともに軸X−Xに対して垂直状に形成すると、雄ねじ209のねじ山221が雌ねじ204のねじ山222を乗り越えると、雄ねじ209の奥側面221cと雌ねじ204の奥側面222cとが速やかに、かつ、大きく噛み合い、かつ、シールドセグメント210、211間の隙間D1を小さくすることができる。
【0076】
しかし、このように形成した場合、図24に示すようにボルト209と楔ナット205に相対的に抜け方向の力Fが作用した際、この抜け方向の力Fの全てがねじ山221、222に軸方向X−Xに直接作用するために、ボルト209若しくは楔ナット205のねじ山221、222の根元に大きな剪断力が作用する。
【0077】
本発明においては、前記のように、雌型係止部材9の雌ねじ9bの奥側傾斜面41cと、雄型係止部材23の雄ねじ23bの奥側傾斜面40cの軸方向Y−Y、X−Xに対して直交する直交軸Zに対する角度β、δを、前記のようにβ>0、δ>0設定したので、図11に示すように相対的な抜け作用によって軸方向X−X、Y−Yに作用した力(抜け力)Fは、F1、F2に分力する。そのため、係止山(ねじ山)40、41に作用する軸方向X−X、Y−Y方向の力F1は減衰し、また、ねじ山40、41に作用する力F1は、雌型係止部材9及び雄型係止部材23の肉厚な部分の方向に作用するために、ねじ山40、41が前記図24に示すねじ山221、222に比べて破断しにくくなり、引張り強度を高めることができる。
【0078】
更に、本発明は、ねじ山40、41の奥側傾斜面40c、41cの角度β、δをβ<30°、δ<30°に設定したので、前記図22に示すJIS規格のねじ山204、209に比べて、雌型係止部材9の雌ねじ9bと雄型係止部材23の雄ねじ23bとが速やかに、かつ、大きく噛み合い、かつ、シールドセグメント15、35間の隙間を小さくすることができる。
【0079】
また、雄型係止部材23のねじ山40の挿入側傾斜面40aと、雌型係止部材9のねじ山41の挿入側傾斜面41aの軸方向X−X、Y−Yに対して直交する直交軸Zに対する角度α、γを前記のように設定することで、JIS規格のねじが有する傾斜面の角度(30°)よりも大きくなり、雄型係止部材23を雌型係止部材9に挿入する際に、挿入抵抗が減少して挿入しやくなる。
【0080】
更に、前記のような、雌型係止部材9の雌ねじ9bと雄型係止部材23の雄ねじ23bを螺旋状に形成した効果について説明する。
【0081】
先ず、前記楔ナット9は、次のように製造される。
前記のようなY−Y方向の断面の肉厚が楔状に形成され、その内周に前記のような、不等辺三角形の形状で、かつ螺旋状の雌ねじ9bを刻設した1個の円筒体(周方向に連続した一体状の筒)を、周方向の等間隔、例えば3等分間隔の位置で、軸方向に切断して、前記の楔ナット9を複数、例えば3個製造する。これにより、3個の楔ナットの雌ねじ9bは、螺旋の一部で形成される。このように製造された3個の楔ナット9は、そのねじ山41が1つの螺旋上に位置する。
【0082】
そして、このように製造されて貯蔵された多数の楔ナット9の中から、選択することなくランダムに必要な数、例えば実施例では3個の楔ナット9を取り出し、前記のようにケーシング3内へ挿入する。
【0083】
ここで、前記のように、螺旋状の雌ねじ9bを刻設した1個の円筒体を3分割し、この3分割されたその楔ナット9自体をそのままケーシング3内へ挿入すると、図6において第2の楔ナット9(図6の下側の楔ナット9)のねじ山9bは、第1の楔ナット9(図6の上側の楔ナット9)のねじ山9bにおける頂点41bの螺旋の延長線上、すなわち、図6の鎖線で示す延長線上の点Eに形成される。
【0084】
しかし、前記のように、楔ナット9を、多数貯蔵された中から、ランダムに取出して使用することにより、図6に示すように、第2の楔ナット9として、そのねじ山9bの頂点が前記E点より軸方向Y−Yにずれたねじ山9bを有する楔ナット9が使用される確率が極めて高い。また、第3の楔ナット9も、そのねじ山9bが、第1及び第2の楔ナット9のねじ山に対して前記のようにずれる確率が極めて高い。
【0085】
このように、第1〜第3の楔ナット9における各ねじ山41が形成する螺旋が軸方向Y−Yに相対的にずれた場合において、図8に示すように、雄ねじ23bの先端のねじ山40dが第1の楔ナット9における隣接するねじ山41d、41e間に位置しても、雄ねじ23bの先端のねじ山40dが第2又は第3の楔ナット9における前記ねじ山41dより奥部に位置するねじ山41fに係止する。なお、図8の場合は、雄ねじ23のねじ山40dは、第1の楔ナット9Eのねじ山41dに噛合し、図9のようになる。
【0086】
したがって、螺旋が軸方向Y−Yに相対的にずれた場合においても、雄ねじ23bと雌ねじ9との噛合量が多くなり、連結強度が大きくなる。
【0087】
更に、連結時における噛合が早くなり、更に、連結状態でのケーシング3と連結体22との隙間D2(図10参照)、すなわち、両シールドセグメント15、35間の隙間も小さくすることができる。
【0088】
次に、本発明は、前記の雌型係止部材(楔ナット)9の雌ねじ9bと雄型係止部材23の雄ねじ23bのねじピッチPを所望に設定するものであるが、前記のように、通常使用されているJIS規定の細目ねじのピッチよりも小さく形成すると次のような効果を発揮できる。
【0089】
連結時において、各楔ナット9は、最終的に噛合すべき雄型係止部材23のねじ山41を乗り越えることができない場合もあり、この場合には、雄型係止部材23には、その軸方向へのガタつきが生じ、ケーシング2と連結体22の相互間、すなわち、両シールドセグメント15、35の接合面15a、35a相互間に図10に示すように隙間D2が生じる。
【0090】
しかし、このとき、本発明においては、楔ナット9の雌ねじ9bと雄型係止部材23の雄ねじ23bのねじピッチPが、前記のように、通常使用されているJIS規定の細目ねじのピッチよりも小さく形成されているので、前記のガタつきは極めて小さくなる。
【0091】
例えば、呼び径がM24(mm)の場合において、ねじピッチPが従来のJIS B 0207の細目ねじのように2mmであると、前記のように隙間が1〜4mmになるのに対し、本発明の前記実施例のように呼び径がM24(mm)の場合にねじピッチPを0.5mmに設定すると前記の隙間D2は0.25〜1mmとなる。
【0092】
このように、隙間が小さくなることは、両シールドセグメント15、35間での水もれの防止を高めることができる。更に、シールドセグメント15、35にシール材36、37を設ける場合においても、このシール材36、37を小さなものにしてコスト低減を図ることができる。
【0093】
また、ねじピッチPを従来のものよりも小さくすることによって、楔ナット9及び雄型係止部材23の径方向の寸法を従来のものよりも小さくすることができ、これにより、連結具全体を小型化し、シールドセグメントの厚さを薄くすることができ、かつ連結具及びシールドセグメントのコスト低減を図ることができる。
【0094】
また、付勢手段12の付勢力によって楔ナット9の雌ねじ9bが雄型係止部材23の雄ねじ23bへ食い込むように作用し、かつ、雄型係止部材23に抜け方向への力Fが作用すると楔ナット9が食い込むため、ねじピッチPが小さくても強固な連結状態が確保される。
【0095】
なお、前記のように摺動案内突条8を設けた場合には、雌型連結部材1又は雄型連結部材2のいずれかを回転することにより、これらを分離できるが、このような分離が不要或いは不可にする場合には摺動案内突条8を設けない。
【実施例2】
【0096】
図12は、実施例2を示す。
本実施例2は、前記実施例1の雄型係止部材23のねじ山40と、雌型係止部材9のねじ山41を、図12に示すように、軸心X−X、Y−Yに対して直交、かつ、平行な環状の非螺旋山からなる係止山45、46に形成したものである。すなわち、雄型係止部材23の各係止山45が相互に不連続に、また、雌型係止部材9の各係止山46が相互が不連続に形成されている。なお、雄型係止部材23の係止部23bの係止溝47、及び雌型係止部材9の係止部9bの係止溝48についても環状に形成されている。
【0097】
前記係止山45、46のX−X、Y−Y方向の断面形状は、前記実施例1の係止山(ねじ山)40、41と同様の不等辺三角形に形成されている。
【0098】
更に隣接する係止山45、46相互の間隔(ピッチ)Pの寸法は、前記実施例1に示したねじピッチPの寸法に相当する値に設定する。
【0099】
本実施例2の雄型係止部材23と雌型係止部材9も前記実施例1と同様な構造において使用される。また、前記実施例1と同様の部分については、前記実施例1と同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
本実施例2においても、前記実施例1と同様の係止山45、46の形状、隣接する係止山相互の間隔(ピッチ)P、調整部材16、21等を有することで、前記実施例1と同様な次のような効果が得られる。
【0101】
係止山45、46を不等三角形に形成したことで、係止山45、46引張り強度を確保しつつ、かつ、雌型係止部材9の係止部9bと雄型係止部材23の係止部23bとが速やかに、かつ、大きく噛み合い、かつ、シールドセグメント15、35間の隙間を小さくすることができる。また、雄型係止部材23を雌型係止部材9に挿入する際に、挿入抵抗が減少して挿入しやくなる。
【0102】
更に、係止山45、46の角度(=α+β)を60°とすることで、従来のJIS規格のねじ山(JIS規格のねじ山の角度は60°)を作成する時に使用する切削チップをそのまま使用することができ、製作のコストを削減できる。
【0103】
更に、ピッチPは、JIS規定の細目ねじのピッチよりも小さく形成されているので、連結時において、ガタつき・連結間の隙間は極めて小さくなり、両シールドセグメント15、35間での水もれの防止を高めることができる。更に、シールドセグメント15、35にシール材36、37を設ける場合においても、このシール材36、37を小さなものにしてコスト低減を図ることができる。
【0104】
更に、ピッチPを従来のJIS規格ものよりも小さくすることによって、連結具全体を小型化し、シールドセグメントの厚さを薄くすることができ、かつ連結具及びシールドセグメントのコスト低減を図ることができる。
【0105】
更に、付勢手段12の付勢力によって楔ナット9の雌ねじ9bが雄型係止部材23の雄ねじ23bへ食い込むように作用し、かつ、雄型係止部材23に抜け方向への力Fが作用すると楔ナット9が食い込むため、ねじピッチPが小さくても強固な連結状態が確保される。
【0106】
更に、調整部材16、21等を有することで、雌型連結部材1の軸芯Y−Yと雄型連結部材2の軸芯X−Xとが、相互に非同芯状態(目違い状態)で結合しても、雌型連結部材1と雄型連結部材2との双方が回動することにより、雌型連結部材1の軸芯と、雄型連結部材2の軸芯とは一直線となることができ、雌型連結部材1の連結面と雄型連結部材2の連結面とは、平行に相対し、かつ、両シールドセグメント15、35の連結面間の隙間が少なくでき、密着して接して連結することができ、連結相互の連結状態をより高めることができる。
【実施例3】
【0107】
図13乃至図14は、実施例3を示す。
本実施例3は、前記実施例1における雌型連結部材1の変形例である。
【0108】
図13は、雌型連結部材51と雄型連結部材2を示すものである。
雌型連結部材51は、ケーシング52を有し、該ケーシング52は、筒状、例えば円筒状に形成され、その内部に収納室53が形成されている。該収納室53は、後述する固定係止部54を除いて平滑面53aで形成されている。
【0109】
該収納室53は、図13及び図14に示すように、軸方向Y−Yに円筒状に形成された円筒部と、円筒部の前部周方向の一部で、軸方向Y−Yから径方向の外側へ突出するテーパ穴55とで形成されている。該テーパ穴55の内周面は挿入側から奥部にかけて内径が徐々に拡大するテーパ面55aに形成され、該テーパ穴55の後部(収納室53の中間部)には、付勢手段収納部56が形成され、収納室53の後部内周には雌ねじ53aが刻設されている。前記テーパ穴55より先部には挿入口(開口部)57が開口形成されている。
【0110】
前記テーパ穴55の横断面形状は、図14に示すように、収納室53の軸芯Yを中心とする略扇型に形成され、その周方向両端面が収納室53の軸芯Yを中心とした放射線に略沿った係止面55b、55cに形成されている。
【0111】
また、前記テーパ穴55内には、図14に示すように、テーパ穴55の扇型横断面形状に沿った扇型横断面形状の1個の雌型係止部材9が、ケーシング52の軸方向に摺動可能に配設されている。なお、雌型係止部材9の係止部9bは、前記実施例1又は2の雌型係止部材9の係止部9bと同様の形状であり、その内側に、前記実施例1と同様な係止山41又は実施例2と同様な係止山46が形成されている。
【0112】
前記収納室53における雌型係止部材9と対向する側の面には1個の固定係止部54が形成されており、該固定係止部54は、ケーシング52に一体に形成されている。該固定係止部54は、収納室53の周方向の一部において、周方向に所定の長さに設定して形成されている。また、固定係止部54の内周面54aには、雌型係止部材9の係止部9bと同様の係止山が刻設されている。
【0113】
前記においては、テーパ穴55と雌型係止部材9を、収納室53の横断面における一方の側に位置して一個のみ設けたが、これらは、収納室53の横断面における一方の側に位置して、周方向に複数個に分割して設けても良い。また、前記固定係止部54を周方向に複数に分割して形成しても良い。
【0114】
前記雌型係止部材9の係止部9bと固定係止部54の内周面54aとで係止穴9cが形成され、雌型係止部材9がテーパ面55aに沿って後退することにより、その係止穴9cが拡径され、挿入側へ移動することにより、その係止穴9cが縮径するようになっている。
【0115】
前記雌型係止部材9の内側に形成された係止部9bと、固定係止部54の内周面54aの係止山と係止溝は、前記実施例1の図6及び図11の形状又は実施例2の図12の形状と同様に形成されている。
【0116】
雌型連結部材51のその他の構造は前記実施例1と同様である。
本実施例3の雄型連結部材2は、前記実施例1又は2の雄型連結部材2と同様の構造であり、雌型連結部材51と雄型連結部材2の連結方法は、前記実施例1と同様である。
【0117】
また、前記実施例1又は2と同様の部材については、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0118】
本実施例3においても、前記実施例1又は2と同様の効果を奏する。
更に、本実施例3においては、雌型係止部材9をケーシング52の周方向の一部に設けたことにより、全周にわたって設ける前記実施例1のものに比べると、連結具の小型化、低コストを図ることができる。
【0119】
更に、雌型係止部材9を周方向の一部に設けても、この雌型係止部材9に対向する側に固定係止部54を設けたので、前記実施例1において雌型係止部材9を1個のみを設けた場合よりも、雄型係止部材23の折損のおそれを少なくすることができる。
【実施例4】
【0120】
図15乃至図19は実施例4を示す。
本実施例4は、前記の雌型連結部材1を平板状の雌型連結部材61に形成したものである.
雌型連結部材61は、図15に示すように、各平板材を積層して板状に形成されており、その構成する部品である裏カバー62は金属の平板で形成されている。
【0121】
前記裏カバー62の表面には一対の裏スペーサ63、64が、同一平面内において、雄型係止部材65を挿通する中央部X1−X2を挟んで左右に所定の隙間D3を有して、図16に示すように、平行に配置され、これらの裏スペーサ63、64間の隙間D3が、図18に示すように、収納室66の一部を形成している。該裏スペーサ63、64は金属の平板で形成されている。
【0122】
前記一対の裏スペーサ63、64の表面側には一対のケース板67、68が、前記ボルト状の雄型係止部材65が挿通される中央部X1−X2を挟んで所定の隙間を有して平行に配置され、図18に示すように、これら一対のケース板67、68間の隙間が収納室66の一部を形成している。該一対のケース板67、68の夫々の内側面には、後方(X2側)が外側へ拡がるテーパ面69、70が形成されている。該一対のケース板67、68は夫々金属の平板で形成されている。
【0123】
前記一対のケース板67、68の夫々の内側には夫々楔型の雌型係止部材71、72が配置されている。該雌型係止部材71、72の内側面には前記雄型係止部材65の挿通方向(前記X1−X2方向)に沿って係止部71a、72aが刻設されている。また、該雌型係止部材71、72の外側面は前記テーパ面69、70に沿ったテーパ面71b、72bに形成されている。更に、前記雌型係止部材71、72は金属で形成され、またその表面側には夫々案内ピン73、74が上方へ突設されている。
【0124】
前記一対のケース板67、68の表面には金属の平板からなる一対の表スペーサ75、76が、前記一対の裏スペーサ63、64と同様に所定の隙間D3を有して平行に配置されている。該一対の表スペーサ75、76には、前記雌型係止部材71、72の案内ピン73、74が摺動可能に嵌合する案内長孔77、78が表裏方向に貫通して形成されている。該案内長孔77、78には前記テーパ面69、70に沿って、すなわち、後方が外側へ拡がるように傾斜して形成されている。また、案内長孔77、78の前側にはストッパ面77a、78aが形成されている。
【0125】
また、前記ケース板67、68には、雌型係止部材71、72の後部に付勢手段収納室79、80が形成されており、該収納室79、80内に前記実施例1と同様の付勢手段81、82が収納されている。前記裏スペーサ63、64と表スペーサ75、76で付勢手段81、82の外脱が阻止されている。そして、該付勢手段81、82により前記雌型係止部材71、72を常時前方へ付勢している。
【0126】
前記一対の表スペーサ75、76の表面側には、これらの間にわたる1枚の表カバー83が配置されている。該表カバー83には、前記案内長孔77、78と同一位置において、かつ、同一方向に傾斜する一対の案内長孔84、85が形成されている。該一対の案内長孔84、85は表カバー83の表裏方向に貫通している。また、該表カバー83は金属の平板で形成されている。
【0127】
裏カバー62、裏スペーサ63、64、ケース板67、68、表スペーサ75、76及び、表カバー83によりケーシング86が形成されている。
【0128】
また、収納室66は、裏カバー62、裏スペーサ63、64、ケース板67、68、表スペーサ75、76及び、表カバー83により形成された空間である。
【0129】
前記表カバー83の表面側には、抜き治具87が前後方向に摺動可能に配置されている。
【0130】
前記抜き治具87は、後部に幅の広い係止部88を有する金属の平板で形成され、該係止部88に前端係止面88aと後端係止面88bが形成されている。更に、該抜き治具87の裏側には、前記両案内ピン73、74が夫々嵌合する凹部89、90が形成されている。該凹部89、90の前後方向長は案内ピン73、74の前後方向長と略同長に形成され、左右方向長は案内ピン73、74の左右方向長よりも長く形成されている。更に、抜き治具87の表面には、係止部88の左右幅より短い幅の操作部91が一体に突設されている。
【0131】
前記抜き治具87の表側にはカバー92が配置されている。
該表カバー92の裏側には裏面が開口する案内凹部93が形成されており、該案内凹部93内に前記抜き治具87が前後方向に移動可能に嵌合される。更に、該案内凹部93の前端は前記抜き治具87の前端係止面88aが当たる前端規制面93aとなっており、後端は抜き治具87の後端係止面88bが当たる後端規制面93bになっている。更に、カバー92の中央部には前記操作部91が前後方向に移動可能に嵌合する窓94が形成されている。
【0132】
前記案内ピン73、74、案内長孔77、78、抜き治具87、操作部91などにより解除手段95を形成している。
【0133】
前記各部材には共通する位置に取付用穴96が形成され、該各取付用穴96にビス97などの連結部材を挿通して各部材を一体的に連結し、雌型連結部材61を構成している。
【0134】
雄型係止部材65は、前記実施例1又は2の雄型係止部材23の係止部(雄ねじ)23bと同様の係止部65bを有する。
【0135】
また、雌型連結部材71、72の係止部71a、72a及び雄型係止部材65の係止部65bは、前記実施例1又は2の係止山40、41、45、46と同様の形状、ピッチPを有する。
【0136】
また、ケーシング86の両側面及び後部に前記実施例1の調整部材16を設けてもよく、該調整部材16を設けることで、前記実施例1と同様にX1−X2と直交する方向に変位できるようになる。
【0137】
そして、前記雌型連結部材61を図15及び図19に示すように、一方のパネル98の連結側端面98aに雌型連結部材61の収納室66の挿入側端が位置するように一方のパネル98に適宜手段で固定して備え、また、雄型係止部材65を、その先部が他方のパネル99の連結側端面99aより突出させて適宜手段により他方のパネル99に固定して備える。
【0138】
前記雌型連結部材61と雄型係止部材65の連結方法は、前記実施例1と同様である。
次に、前記の連結状態から両パネル98、99を分離する場合には、カバー92に露出した操作部91の先端を手操作で後方へ移動させて雌型係止部材71、72を後方へ移動させる。これにより、雌型係止部材71、72が案内長孔77、78によって両側方へ移動し、雌型係止部材71、72で形成される係止穴が拡径する。そのため、雄型係止部材65を雌型連結部材61より抜き外すことができ、この雄型係止部材65を抜き外すことにより両パネル98、99を分離することができる。
【0139】
また、本実施例4においても前記実施例1又は2と同様の効果を奏する。
【実施例5】
【0140】
図20は、実施例5を示す。
本実施例5は、前記実施例1又は2の雌型連結部材1と雄型連結部材2を図20に示すように板状の雌型連結部材100と、板状の雄型連結部材101としたものである。
【0141】
雌型連結部材100は、ケーシング102a、102bを有する。該ケーシング102a、102bは、例えば、直方体に形成して合体されており、その内部に収納室103が形成されている。該収納室103の先部は、その側周面を先端部側から後方(奥部)にかけて拡がるテーパ面104に形成されている。収納室103の先端部は扁平状に開口して挿入口102cになっている。また、収納室103の奥部には付勢手段収納部105、106が形成されている。
【0142】
また、前記収納室103のテーパ面104、104間には、図20に示すように、2個の雌型係止部材107、108が所望の距離で離間して対向配設されている。前記雌型係止部材107、108の外側面は前記テーパ面104に沿った、すなわち、先端部(挿入口102c)側から後方にかけて徐々に拡がる外側テーパ面107a、108aが形成されている。更に、各雌型係止部材107、108の内側面には、収納室103の中心線と平行に係止部107b、108bが刻設されている。
【0143】
雌型係止部材107、108の係止部107b、108bの係止山は、前記実施例1又は2の雌型係止部材9の係止部9bの係止山と同様な不等辺三角形が図示のように連続してなる形状に形成されている。
【0144】
この雌型係止部材107、108には表裏面に貫通する案内長穴110、111が前後方向に形成され、ケーシング102a、102b側には、前記案内長穴110、111に挿通する案内ピン112、113が固着されて立設されている。これにより、雌型係止部材107、108が、テーパ面104に沿って収納室103内を前後方向に摺動可能になっている。
【0145】
付勢手段収納部105、106には付勢手段114、115であるバネが圧縮して収納されており、該付勢手段114、115の付勢力により、雌型係止部材107、108は先端部(挿入口102c)方向に常時付勢されている。
【0146】
前記ケーシング102a、102bの左右側には、前記実施例1と同様の調整部材16が配置されている。また、前記実施例1と同様に、ケーシング102a、102bの後方には、アンカーバー116、抜け止め部116aを設け、アンカーバー116の外周部には前記の調整部材16と同様の調整部材117が設けられている。
【0147】
雄型連結部材101は、雄型係止部材120とアンカーバー121とから構成され、これらがプレス或いは鋳造により一体に形成されている。
【0148】
雄型係止部材120の先部には、係止部120aが刻設されており、該係止部120aの係止山は、前記実施例1の雄型係止部材23の係止部23bの係止山と同様な不等辺三角形が連続してなる形状に形成されており、雌型係止部材107、108の係止部107b、108bと、雄型係止部材120の係止部120aとが噛合する形状に形成されている。
【0149】
雌型係止部材107、108の係止部107b、108bと雄型係止部材120の係止部120aの係止山の間隔は、前記実施例1と同様に設定してもよい。
【0150】
アンカーバー116の後端部には抜け止め部116aが形成されている。アンカーバー116の外周部には、前記の調整部材21と同様の調整部材122が設けられている。
【0151】
上記以外の構造は、前記実施例1又は2と同様であり、前記実施例1又は2と同様の部材については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0152】
本実施例5においても、雄型連結部材101の雄型係止部材120を、雌型連結部材100の挿入口102aから挿入することにより、前記実施例1乃至4と同様に連結することができる。
【0153】
また、本実施例5においても、雌型連結部材100の雌型係止部材107、108と雄型連結部材101の雄型係止部材120の係止部107b、108bの係止山の形状が前記実施例1と同様の形状を有することから、前記実施例1の係止山による連結と同様の効果を奏する。
【0154】
つまり、係止山を不等辺三角形に形成したことで、係止山の引張り強度を確保しつつ、かつ、雌型係止部材107、108の係止部107b、108bと雄型係止部材120の係止部120bとが速やかに、かつ、大きく噛み合い、かつ、連結部材間の隙間を小さくすることができる。また、雄型係止部材120を雌型連結部材100挿入時に、抵抗が減少して挿入しやくなる。
【0155】
係止山の角度(=α+β)を60°とすることで、従来のJIS規格のねじ山(JIS規格のねじ山の角度は60°)を作成する時に使用する切削チップをそのまま使用することができ、製作のコストを削減できる。
【0156】
また、調整部材16、112、117等を有することで、雌型連結部材100の軸芯と雄型連結部材101の軸芯とが、相互に非同芯状態(目違い状態)で結合しても、雌型連結部材100と雄型連結部材101との双方が回動することにより、雌型連結部材100の軸芯と、雄型連結部材101の軸芯とは一直線となることができ、雌型連結部材100の連結面と雄型連結部材101の連結面とは、平行に相対し、かつ、連結面間の隙間を少なくできる。したがって、連結すべき部材を相対的に密着して接して連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の実施例1における雌型連結部材の軸方向断面図。
【図2】(a)は図1のJ−J線断面図で、(b)は、雌型連結部材を1個設けた場合の図。
【図3】本発明の実施例1を示すもので、雄型連結部材の軸方向断面図。
【図4】図1の雌型連結部材と図3の雄型連結部材を結合を説明する軸方向断面拡大図。
【図5】図1の雌型連結部材と図3の雄型連結部材をシールドセグメントに設けた実施例を示す図。
【図6】本発明の実施例1における雌型係止部材と雄型係止部材を示す図。
【図7】本発明の実施例1における係止山の断面図で、(a)は雄型係止部材の係止山の拡大断面図、(b)は雌型係止部材の係止山の拡大断面図。
【図8】図6の雌型係止部材と雄型係止部材との噛合を説明する図。
【図9】図8の噛合状態を示す図。
【図10】図1の雌型連結部材と図3の雄型連結部材を連結した軸方向断面図。
【図11】雌型係止部材と雄型係止部材の噛合状態での軸方向拡大断面図。
【図12】本発明の実施例2における雌型係止部材と雄型係止部材を示す図。
【図13】本発明の実施例3を示すもので、雌型連結部材と雄型連結部材の軸方向断面図。
【図14】図13のK−K線断面図。
【図15】本発明の実施例4における雄型係止部材と雌型連結部材を示す斜視図。
【図16】図15の雌型連結部材の分解斜視図。
【図17】図15の雌型連結部材の正面図。
【図18】図15のQ−Q線断面図。
【図19】本発明の実施例の4の雌型係止部材と雄型係止部材の噛合状態を示す図。
【図20】本発明の実施例5における雄型連結部材と雌型連結部材を示す斜視図。
【図21】従来の連結具を示す軸方向断面図。
【図22】従来の雄ねじと雌ねじを示す軸方向断面図。
【図23】図21の連結具の連結状態を示す軸方向断面図。
【図24】本発明を説明するための仮想の雄型係止部材と雌型係止部材の係止山同士が噛合う状態を示す図。
【符号の説明】
【0158】
1、51、61、100 雌型連結部材
2、101 雄型連結部材
4、53、66、103 収納室
9、71、72、107、108 雌型係止部材(楔ナット)
9b、71a、72a、107b、108b 雌型係止部材の係止部(雌ねじ)
9c 係止穴
12、81、82、114、115 付勢手段
23b 雄型係止部材の係止部(雄ねじ)
40、45 雄型係止部材の係止山
40a 雄側の挿入側傾斜面
40c 雄側の奥側傾斜面
41、46 雌型係止部材の係止山
41a 雌側の挿入側係止斜面
41c 雌側の奥側傾斜面
P 隣接する係止山相互の間隔(ねじピッチ)
【技術分野】
【0001】
本発明は連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部材相互の連結具として図21に示すように、内部にテーパ穴201を形成するとともに、そのテーパ穴201の内面に軸方向に沿った摺動案内突条202を周方向に分割して複数形成したケーシング203と、外面を前記テーパ穴201に沿うテーパ面に形成するとともに内面に雌ねじ204を刻設した楔ナット205と、この楔ナット205を押圧する圧縮バネ206とで構成されたナット207と、該ナット207に連結するボルト208とからなる連結具が知られている。そして、該連結具における連結に際しては、そのナット207を回転することなく該ナット207に前記ボルト208を挿通することにより、分割された楔ナット205の雌ねじ204がボルト208の雄ねじ209に係合してその楔ナット205が圧縮バネ206に抗して大径側へ押され、複数個の楔ナット205で形成される雌ねじ孔の内径が拡径してナット207をボルト208の所定位置まで挿通でき、その挿通が終ると、圧縮バネ206の付勢力によって楔ナット205の雌ねじ204がボルト208の雄ねじ209に噛合し、ナット207とボルト208の連結が行われるようになっている。
【0003】
このような楔ナット205の雌ねじ204とボルト208の雄ねじ209の軸方向の断面は、図22に示すように、雄ねじ209と雌ねじ204のねじ山221、222の両面221a、222aと221b、222bを軸方向X−Xに対して同角度で反対側に傾斜した面に形成した二等辺三角形状に形成されている。また、この雌ねじ204と雄ねじ209は、JISで規定されている並目ねじか或いは細目ねじで形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記のように構成された連結具を用いて、例えばコンクリート製のシールドセグメント相互を連結する要望がある。この場合、図23に示すように、前記連結具のナット207を一方のシールドセグメント210に設け、ボルト208を他方のシールドセグメント211に設ける。そして、連結に際してはナット207をボルト208に挿通した状態で一方のシールドセグメント210を他方のシールドセグメント211に当接するまで移動して連結するが、ナット207における楔ナット205の雌ねじ204が、ボルト208における雄ねじ209の最終的に噛合すべきねじ山を乗り越えることができず、一方のシールドセグメント210の接合端面212と他方のシールドセグメント211の接合端面213との間に隙間D1が発生する。この隙間D1は可能な限り小さいことが要求される。また、雌ねじ204と雄ねじ209の軸方向の面が共に傾斜しているため、雄ねじ209の先端部のねじ山221が雌ねじ204のねじ山222をわずかに乗り越えた場合には係止力が小さく、1山もどってしまうおそれがある。
【0005】
また、前記従来のように、楔ナット205とボルト208のねじがJISで規定されている並目ねじか或いは細目ねじで形成されているものにおいては、比較的大きな隙間を生じる。
【0006】
例えば、呼び径M24の場合において、JISに規定するメートル並目ねじの場合にはねじピッチが3mmであるため、隙間D1が約1.5〜6mmとなり、メートル細目ねじの場合にはねじピッチが2mm又は1.5mm又は1mmであるため、隙間D1が1〜4mm又は0.75〜3mm又は0.5〜2mmとなる。
【0007】
また、呼び径M30の場合において、JISに規定するメートル並目ねじの場合にはねじピッチが3.5mmであるため、隙間D1が約1.75mm〜7mmとなり、メートル細目ねじの場合にはねじピッチが3mm又は2mm又は1.5mm又は1mmであるため隙間D1はそれぞれの半分〜2倍の寸法となる。
【0008】
前記のように隙間D1が大きくなると、シールドセグメント210、211の接合面間212、213での水もれが発生しやすくなる問題がある。
【0009】
そこで本発明は、連結される部材間の隙間をできる限り小さくし、かつ、連結強度も高くする連結具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、収納室内に、内面側に連続する複数の係止山からなる係止部を設けた雌型係止部材を有する雌型連結部材と、
複数の係止山からなる係止部を設けた雄型係止部材とからなり、
雄型係止部材を前記雌型連結部材に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径して前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材の係止部を構成する係止山は、前記雄型係止部材を挿入する挿入側から奥部側に向って縮径する雌側の挿入側傾斜面と、該挿入側傾斜面の内径端から奥部に向って拡径する雌側の奥側傾斜面とにより形成され、かつ、前記雌型連結部材の軸芯に直交する直交軸と前記雌側の挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と前記雌側の奥側傾斜面との角度よりも大きく設定し、
前記雄型係止部材の係止部を構成する係止山は、該雄型係止部材の先端側から奥部側に向って拡径する雄側の挿入側傾斜面と、該挿入側傾斜面の外径端から奥部側に向って縮径する雄側の奥側傾斜面とにより形成され、前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と前記雄側の挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と前記雄側の奥側傾斜面との角度よりも大きく設定したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記雌型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雌型係止部材の係止山の前記雌側の奥側傾斜面との角度及び、
前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雄型係止部材の係止山の前記雄側の奥側傾斜面との角度を30度より小さく、かつ、0度より大きく設定したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記雌型連結部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雌型係止部材の係止山の前記雌側の挿入側傾斜面との角度及び、
前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雄型係止部材の係止山の前記雄側の挿入側傾斜面との角度を30度より大きく設定したことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記雌型係止部材の係止山の角度及び、前記雄型係止部材の係止山の角度を60度に設定したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記雄型係止部材の係止山を螺旋状に形成し、前記雌型係止部材の係止山を螺旋の一部で形成したことを特徴とするものである。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記雄型係止部材の係止山を前記雄型係止部材の軸芯に対して直交し、かつ、隣接する係止山と平行する環状に形成し、
前記雌型係止部材の係止山を前記雌型連結部材の軸芯に対して直交し、かつ、隣接する係止山と平行する環状の一部で形成したことを特徴とするものである。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記雌型係止部材における隣接する係止山相互の間隔と、前記雄側係止部材における隣接する係止山相互の間隔を、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、雄型係止部材及び雌型係止部材の係止部の係止山を、連続する不等辺三角形の形状に形成し、かつ、雌型連結部材の軸芯に直交する直交軸と雌側の挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と奥側傾斜面との角度よりも大きく設定し、雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と雄側の奥側傾斜面との角度よりも大きく設定したので、従来のような二等辺三角形の形状を有するねじ山に比べて、雄型係止部材の係止山と雌型係止部材の係止山とが相互に嵌合する際の両者の噛合が早く、かつ、大きく噛み合い、かつ、連結される部材間の隙間を小さくすることができる。
【0018】
更に、請求項2記載の発明によれば、係止山の引張り強度を確保しつつ、かつ、雌型係止部材の係止部と雄型係止部材の係止部とが速やかに、かつ、大きく噛み合い、かつ、連結部材間の隙間を小さくすることができる。したがって、例えば、本発明の連結具をシールドセグメントの連結に用いた場合、シールドセグメント間での水漏れを防止できる。
【0019】
更に、請求項3記載の発明によれば、雄型係止部材を雌型係止部材に挿入する際に、挿入抵抗が減少して挿入しやくなる。
【0020】
更に、請求項4記載の発明によれば、JIS規格のねじ山を作成する時に使用する切削チップをそのまま使用することができ、製作のコストを削減できる。
【0021】
更に、請求項5記載の発明によれば、雌型係止部材を分割して周方向に配置するようにした場合、多数製造された雌型係止部材の中からランダムに雌型係止部材を取り出して使用することにより、その使用した複数個の雌型係止部材の係止山は、1つの螺旋上に位置することなく、1つの螺旋上から相互に軸方向にずれる確率が極めて高く、この係止山のずれにより、噛合が早く、かつ、噛合量を多くすることができる。
【0022】
したがって、係止山の形状と螺旋形状とが相まって、早く、かつ、強固な連結が可能となる。
【0023】
更に、請求項7記載の発明によれば、係止山間の間隔をJIS規格よりも小さく設定することで、両係止山相互の噛合状態でのガタつき量も少なくなる。
【0024】
更に、連結部材の連結面間の隙間が小さくなることで、水もれの防止を高めることができる。また、シールドセグメントにシール材を設ける場合においても、このシール材を小さなものにしてコスト低減を図ることができる。
【0025】
また、係止山間の間隔を従来のJIS規格ものよりも小さくすることによって、連結具全体を小型化し、シールドセグメントの厚さを薄くすることができ、かつ連結具及びシールドセグメントのコスト低減を図ることができる。
【0026】
また、付勢手段の付勢力によって雌型係止部材の係止山が雄型係止部材の係止山へ食い込むように作用し、かつ、雄型係止部材に抜け方向への力が作用すると雌型係止部材が食い込むため、係止山間の間隔が小さくても強固な連結状態が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0028】
図1乃至図11は、実施例1を示す。
図1及び図2は雌型連結部材1を、図3は雄型連結部材2を示すものである。
【0029】
雌型連結部材1は、ケーシング3を有し、該ケーシング3は、筒状、例えば円筒状に形成され、その内部に収納室4が形成されている。該収納室4の先部は、その内周面を先端部4a側(挿入側)から後方(奥部)にかけて内径が徐々に拡大するテーパ面にしてなる円錐状のテーパ穴5に形成され、収納室4の中間部は付勢手段収納部6に形成され、収納室4の後部内周には雌ねじ3aが刻設されている。前記テーパ穴5より先部には挿入口(開口部)7が開口形成されている。
【0030】
前記テーパ穴5内には、雌型連結部材1の軸Y−Y方向に沿った摺動案内突条8が、図2(a)に示すように周方向に分割して複数形成されている。なお、この摺動案内突条8はなくても良い。
【0031】
また、前記テーパ穴5内には、図2(a)に示すように周方向に複数に分割してなる楔状の雌型係止部材9が、前記摺動案内突条8相互間においてケーシング3の軸方向に摺動可能に配設されている。雌型係止部材9の数を、本実施例においては、図2(a)に示すように3個としたが、図2(b)に示すように1個でもよく、任意に設定する。
【0032】
更に、該楔状の雌型係止部材9の外面は、前記テーパ穴5のテーパ面に沿った、すなわち、先端部4a側から後方にかけて外径が徐々に拡大するテーパ面9aに形成されている。更に、各雌型係止部材9の内周面には係止部9bが、ケーシング3の軸芯(雌型連結部材の軸芯)Y−Yを中心とする円弧でかつ軸芯Y−Yに沿った方向に刻設されている。なお、以下において、雌型係止部材9を以下楔ナット9ともいう。また、係止部9bは、本実施例では軸Y−Yを中心とする螺旋の山及び谷の一部で形成されているので、以下雌ねじ9bともいう。
【0033】
上記により、1個若しくは複数個の楔ナット9により図2(a)(b)に示すように係止穴(雌ねじ穴)9cが形成され、各楔ナット9がテーパ穴5のテーパ面に沿って奥部へ後退することにより、その雌ねじ穴9cが拡径され、先端部4a側(挿入側)へ移動することにより、その雌ねじ穴9cが縮径するようになっている。
【0034】
また、前記楔ナット9の後端には、各楔ナット9に共通して係合する付勢手段受け(バネ受け)10が配置されている。
【0035】
前記ケーシング3の後部の雌ねじ3aには、中心部にねじ穴11aを形成した蓋板11が螺着されている。前記付勢手段収納部6内の前記付勢手段受け10と蓋板11の間には付勢手段12が収納されている。該付勢手段12は、コイルバネ、ゴム、樹脂、ウレタンなどの弾性部材で形成される。本実施例1ではコイルバネを使用して圧縮状態で収納されている。該付勢手段12の付勢力により各楔ナット9は、常時先端部4a方向へ付勢されている。
【0036】
前記蓋体11には、蓋体11から後方向に突出するアンカーバー14が螺着して固設されている。アンカーバー14の後側には、抜け止め部14aが外周側へ突出して設けられている。
【0037】
前記ケーシング3は、図1に示すように、ケーシング3の先端部4a側を除いて調整部材16により覆われている。該調整部材16は、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールなどにより構成されている。調整部材16は、ケーシング3の外周全面を被覆する筒状部16aと、蓋板11の後部を被覆する鍔状部16bと、該鍔状部16bの内周側から後方へ突出して前記アンカーバー14の外周に係止する環状の突部16cとからなり、これらは一体に形成され、ケーシング3に嵌着されている。
【0038】
アンカーバー14の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空隙保持用パイプ17が設けられており、アンカーバー14と空隙保持用パイプ17の間には空隙18が設けられている。空隙保持用パイプ17の先端部は、前記調整部材16の突部16cの外側面に係止し、後端部は座部材19の外側面に係止している。該座部材19は、アンカーバー14とアンカーバー14の抜け止め部14aの間に設けられた、ゴム等の弾性材からなるものである。
【0039】
なお、前記空隙18を設けることなく、前記調整部材16と同様の部材をアンカーバー14の外面に沿って設けても良い。
【0040】
前記の雌型連結部材1は、一方の連結部材、例えばシールドセグメント15に、ケーシング3の先端部側4a面がシールドセグメント15の接合面15aと面一になるように埋設して固設されるもので、その前記調整部材16、空隙保持用パイプ17、抜け止め部14aの外部にはコンクリート15bが打設されている。このように、コンクリート15bが打設されていても、前記調整部材16と空隙保持用パイプ17と空隙18と座部材19を設けたことで、雌型連結部材1は、抜け止め部14aを中心として、雌型連結部材1の軸芯Y−Yと直交する径方向に移動できる。
【0041】
次に、雄型連結部材2について説明する。
雄型連結部材2は、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールで形成された円筒状の調整部材21内に、内周に雌ねじ22aを刻設した連結体22を設け、該連結体22の先部に雄型係止部材23の基部側に形成した雄ねじ体23aを螺着して構成されている。
【0042】
前記雄型係止部材23は、前記連結体22の先端22bより突出しており、その先部(挿入側)には、先部が縮径するドーム状の案内部24が形成されている。すなわち、前記雌型係止部材9を誘導する曲面が形成され、その後部、かつ、雄ねじ体23aより先部には係止部23bが刻設されており、該係止部23bの直径は、前記各楔ナット9が最前進した場合に、これらで形成される雌ねじ穴9cの直径よりも若干大径に設定されている。係止部23bは、軸X−Xを中心とする螺旋の山と谷で形成されているので、以下雄ねじともいう。
【0043】
前記連結体22の後部には、図3に示すように、アンカーバー30が螺着して固設されている。該アンカーバー30の後端には抜け止め部30aが設けられている。また、アンカーバー30の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空隙保持用パイプ31が設けられている。空隙保持用のパイプ31の前側端部は、調整部材21の後側の突部21aの外周面に係止し、後側端部は、アンカーバー30の抜け止め部30aに設けられたゴム等の弾性材からなる座部材32に係止している。アンカーバー30と空間保持用のパイプ31との間には空隙33が設けられている。
【0044】
なお、前記雌型連結部材1の空隙18と同様に空隙33を設けることなく、前記調整部材21と同様の部材をアンカーバー30の外面に沿って設けても良い。
【0045】
前記調整部材21、アンカーバー30、空隙保持用パイプ31は、他方の連結部材、例えば、シールドセグメント35に、連結体22の前端面22bがシールドセグメント35の接合面35aと面一になるように埋設して固設されるもので、その前記調整部材21、空隙保持用パイプ31、抜け止め部30aの外部にはコンクリート35bが打設されている。
【0046】
また、図5に示すように、前記一方のシールドセグメント15における接合面15aにはシール材36が突出して設けられ、他方のシールドセグメント35における接合面35aにはシール材37が突出して設けられている。
【0047】
前記雌型連結部材1と同様、他方の連結部材35に設けられた雄型連結部材2は、変形できる部材からなる調整部材21と空隙33と空隙保持用パイプ31と座部材32の相互作用により、アンカーバー30の抜け止め部30aを中心として軸芯X−Xと直交する方向に変位できるようになっている。
【0048】
次に本発明をシールドセグメントに適用した例に基づいて連結操作を説明する。
先ず、図4に示すように、雌型連結部材1の軸芯Y−Yと雄型連結部材2の雄型係止部材23の軸芯X−Xとが略同軸上に位置した状態で、一方のシールドセグメント15と他方のシールドセグメント35を相対的に近接させ、雄型係止部材23を雌型連結部材1の挿入口7より挿入する。
【0049】
雄型係止部材23を、雌型連結部材1における挿入口7から挿入すると、雄型係止部材23が各楔ナット9を付勢手段12の付勢力に抗して後退させて各楔ナット9で形成される雌ねじ穴9cを拡径し、各楔ナット9における係止部9bの係止山(ねじ山)41を乗り越えつつ挿入する。
【0050】
雌型連結部材1におけるケーシング3の先端側4a面、すなわち、一方のシールドセグメント15の接合面15aと、雄型連結部材2における連結体22の先端面22b、すなわち他方のシールドセグメント35の接合面35aが接して雄型連結部材2の挿入が停止されると、各楔ナット9は、付勢手段12の付勢力によって先端面4a側へ押戻されるとともにテーパ穴5のテーパ面によって各楔ナット9で形成される雌ねじ穴9cの穴径が縮径し、各楔ナット9の雌ねじ9bが雄型係止部材23の雄ねじ23bに噛合する。これによって両シールドセグメント15、35は相互に連結される。
【0051】
次に、両連結部材15、35の軸芯がずれて、雌型連結部材1の軸芯Y−Yと雄型連結部材2(雄型係止部材23)の軸芯X−Xとが、相互に非同芯状態(目違い状態)で雄型係止部材23が挿入口7から挿入された場合について説明する。
【0052】
この目違い状態で雌型連結部材1と雄型連結部材2を連結する際には、雌型連結部材1は、調整部材16と空隙保持用パイプ17と空隙18と座部材19により、アンカーバー14の抜け止め部14aを中心として、雄型連結部材2が位置する側の方向に回動し、雄型連結部材2も、同様に雄型連結部材2のアンカーバー30の抜け止め部30aを中心として雌型連結部材1が位置する側の方向に回動してそれぞれが傾斜して挿入される。すなわち、雌型連結部材1と雄型連結部材2におけるそれぞれの調整部材16、21が加圧方向に圧縮されて、ケーシング3と連結体22が傾斜する。
【0053】
そして、雌型連結部材1と雄型連結部材2とが連結すると、雌型連結部材1の軸芯と、雄型連結部材2の軸芯とは一直線となる。
【0054】
このように、雌型連結部材1と雄型連結部材2との双方が回動することにより、雌型連結部材1の軸芯と、雄型連結部材2の軸芯とは一直線となることができ、雌型連結部材1の連結面と雄型連結部材2の連結面とは、平行に相対し、かつ、両シールドセグメント15、35を、その連結面間の隙間を少なくして、密着状態に接して連結することができ、連結部材相互の連結状態をより高めることができる。そのため、両シールドセグメント15、35間での水漏れを防止できる。
【0055】
また、雌型連結部材1と雄型連結部材2とが連結状態の時に、地震が起きて両連結部材15、35がずれた場合にも、連結面間が開くことなく密着した連結状態を確保することができる。
【0056】
次に、前記本発明の実施例における楔ナット9の係止部(雌ねじ)9bと、雄型係止部材23の係止部(雄ねじ)23bについて説明する。
【0057】
前記雄型係止部材23の係止部(雄ねじ)23bは、図7(a)に示すように、雄型係止部材23の軸方向X‐Xの断面を、図6乃至図9に示すような、複数の係止山(ねじ山)40が軸方向X−Xに連続してなる形状に形成されている。該係止山40は不等辺三角形に形成されている。
【0058】
より詳しくは、係止山(ねじ山)40の軸方向X‐Xの断面は、雄型係止部材23の挿入側Aから奥部(後方)B側に向って拡径する挿入側傾斜面40aと、該挿入側傾斜面40aの外径端(頂部)40bから奥部B側に向って縮径する奥側傾斜面40cとにより形成されている。
【0059】
また、軸方向X−Xに対して直交する直交軸Zに対する挿入側傾斜面40aの角度α(図7(a))の範囲は、30°<αであり、本実施例においては55°に設定した。また、軸方向X−Xに対して直交する直交軸Zに対する奥側傾斜面40cの角度βは、0°<β<30°の範囲に設定するものであり、好ましくは0°<β<15°であり、本実施例においては5°に設定した。
【0060】
また、係止山(ねじ山)40の角度(=α+β)を60°とすることで、従来のJIS規格のねじ山(JIS規格のねじ山の角度は60°)を作成する時に使用する切削チップを傾けてそのまま使用することができ、製作のコストを削減できる。
【0061】
更に、前記係止山(ねじ山)40及び係止山40、40間により形成される係止溝(谷部)は、雄型係止部材23の軸心X−Xを中心とする螺旋状に形成され、その隣接する係止山相互の間隔(ねじピッチ)Pは後述するように設定されている。
【0062】
次に、楔ナット9の係止部(雌ねじ)9bについて説明する。
前記楔ナット9の係止部9bは、前記雌型係止部材1の軸方向、すなわち、楔ナット9が進退する方向(雌ねじ穴9cの軸方向)Y−Yにおける断面を、図6乃至図9に示すように、複数の係止山(ねじ山)41が軸方向Y−Yに連続してなる形状に形成されている。該係止山41は不等辺三角形に形成されている。
【0063】
より詳しくは、係止山(ねじ山)41のY−Y方向の断面は、図7(b)に示すように、雄型係止部材23の係止部23bを挿入する挿入側Cから奥部(後方)D側に向って縮径する挿入側傾斜面41aと、該挿入側傾斜面41aの内径端(頂部)41bから奥部D側に向って拡径する奥側傾斜面41cとにより形成されている。
【0064】
また、軸方向Y−Yに対して直交する直交軸Zに対する挿入側傾斜面41aの角度γ(図7(b))は、30°<γの範囲に設定するもので、本実施例においては55°に設定した。
【0065】
また、軸方向Y−Yに対して直交する直交軸Zに対する奥側傾斜面41cの角度δは、0°<δ<30°の範囲に設定するもので、好ましくは0°<δ<15°であり、本実施例においては5°に設定した。
【0066】
また、前記の雄型係止部材23の係止部(雄ねじ)23bの係止山(ねじ山)40と同様に、雌型係止部材9の係止部(雌ねじ)9bの係止山(ねじ山)41の角度(=γ+δ)を60°とすることで、製作のコストを削減できる。
【0067】
前記楔ナット9の隣接する係止山(ねじ山)41、41間で形成される係止溝のY−Y方向の断面形状は、前記雄型係止部材23における係止山(ねじ山)40のX−X方向の断面形状と同様に形成され、これら相互が噛合するようになっている。そのため、前記両係止山40、41の角度は、前記の範囲から所望に設定した角度で同一に形成する。
【0068】
そして、この各楔ナット9で形成された雌ねじ穴9cに前記雄型係止部材23が挿入された場合に、各楔ナット9の係止山(ねじ山)41が、挿入された雄型係止部材23の隣接する係止山(ねじ山)40、40間(谷部)に嵌合するように、各楔ナット9の係止山(ねじ山)41と係止溝(谷部)は、前記雄型係止部材23のねじ山40と谷の螺旋と同一の螺旋上に配置されるように形成されている。
【0069】
次に前記楔ナット9の雌ねじ9bと、前記雄型係止部材23の雄ねじ23bにおける隣接する係止山相互の間隔(ねじピッチ)Pについて説明する。
【0070】
前記楔ナット9の雌ねじ9bと、前記雄型係止部材23の雄ねじ23bのねじピッチP(図6及び図11参照)は所望に形成するもので、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチとしてもよく、また、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さくしてもよい。
【0071】
例として、呼び径がM24(mm)の場合には、前記JIS B 0207のメートル細目ねじではねじピッチPを2mm又は1.5mm又は1mmに形成するが、本発明では、ねじピッチPを0.3mm〜0.8mm、望ましくは0.5mmに設定する。
【0072】
また、呼び径がM30(mm)の場合もねじピッチPを0.3mm〜0.8mm、望ましくは0.5mmに設定する。
【0073】
次に、連結状態における、楔ナット9の雌ねじ9bと雄型係止部材23の雄ねじ23bの作用、効果について説明する。
【0074】
前記図21乃至図23に示すような従来のJIS規格のねじ204、209は、ねじ山の両面221a、221bと222a、222bが軸X−Xに直交する軸に対してともに30°の角度を有しており、連結時において、ボルト208のねじ山221が楔ナット205のねじ山222をわずかに乗り越えた状態では、ねじ山221、222の相互の噛み込みが少なくなる。
【0075】
そのため、例えば、図24に示すように楔ナット205のねじ山222の奥側面222cと、ボルト208のねじ山221の奥側面221cをともに軸X−Xに対して垂直状に形成すると、雄ねじ209のねじ山221が雌ねじ204のねじ山222を乗り越えると、雄ねじ209の奥側面221cと雌ねじ204の奥側面222cとが速やかに、かつ、大きく噛み合い、かつ、シールドセグメント210、211間の隙間D1を小さくすることができる。
【0076】
しかし、このように形成した場合、図24に示すようにボルト209と楔ナット205に相対的に抜け方向の力Fが作用した際、この抜け方向の力Fの全てがねじ山221、222に軸方向X−Xに直接作用するために、ボルト209若しくは楔ナット205のねじ山221、222の根元に大きな剪断力が作用する。
【0077】
本発明においては、前記のように、雌型係止部材9の雌ねじ9bの奥側傾斜面41cと、雄型係止部材23の雄ねじ23bの奥側傾斜面40cの軸方向Y−Y、X−Xに対して直交する直交軸Zに対する角度β、δを、前記のようにβ>0、δ>0設定したので、図11に示すように相対的な抜け作用によって軸方向X−X、Y−Yに作用した力(抜け力)Fは、F1、F2に分力する。そのため、係止山(ねじ山)40、41に作用する軸方向X−X、Y−Y方向の力F1は減衰し、また、ねじ山40、41に作用する力F1は、雌型係止部材9及び雄型係止部材23の肉厚な部分の方向に作用するために、ねじ山40、41が前記図24に示すねじ山221、222に比べて破断しにくくなり、引張り強度を高めることができる。
【0078】
更に、本発明は、ねじ山40、41の奥側傾斜面40c、41cの角度β、δをβ<30°、δ<30°に設定したので、前記図22に示すJIS規格のねじ山204、209に比べて、雌型係止部材9の雌ねじ9bと雄型係止部材23の雄ねじ23bとが速やかに、かつ、大きく噛み合い、かつ、シールドセグメント15、35間の隙間を小さくすることができる。
【0079】
また、雄型係止部材23のねじ山40の挿入側傾斜面40aと、雌型係止部材9のねじ山41の挿入側傾斜面41aの軸方向X−X、Y−Yに対して直交する直交軸Zに対する角度α、γを前記のように設定することで、JIS規格のねじが有する傾斜面の角度(30°)よりも大きくなり、雄型係止部材23を雌型係止部材9に挿入する際に、挿入抵抗が減少して挿入しやくなる。
【0080】
更に、前記のような、雌型係止部材9の雌ねじ9bと雄型係止部材23の雄ねじ23bを螺旋状に形成した効果について説明する。
【0081】
先ず、前記楔ナット9は、次のように製造される。
前記のようなY−Y方向の断面の肉厚が楔状に形成され、その内周に前記のような、不等辺三角形の形状で、かつ螺旋状の雌ねじ9bを刻設した1個の円筒体(周方向に連続した一体状の筒)を、周方向の等間隔、例えば3等分間隔の位置で、軸方向に切断して、前記の楔ナット9を複数、例えば3個製造する。これにより、3個の楔ナットの雌ねじ9bは、螺旋の一部で形成される。このように製造された3個の楔ナット9は、そのねじ山41が1つの螺旋上に位置する。
【0082】
そして、このように製造されて貯蔵された多数の楔ナット9の中から、選択することなくランダムに必要な数、例えば実施例では3個の楔ナット9を取り出し、前記のようにケーシング3内へ挿入する。
【0083】
ここで、前記のように、螺旋状の雌ねじ9bを刻設した1個の円筒体を3分割し、この3分割されたその楔ナット9自体をそのままケーシング3内へ挿入すると、図6において第2の楔ナット9(図6の下側の楔ナット9)のねじ山9bは、第1の楔ナット9(図6の上側の楔ナット9)のねじ山9bにおける頂点41bの螺旋の延長線上、すなわち、図6の鎖線で示す延長線上の点Eに形成される。
【0084】
しかし、前記のように、楔ナット9を、多数貯蔵された中から、ランダムに取出して使用することにより、図6に示すように、第2の楔ナット9として、そのねじ山9bの頂点が前記E点より軸方向Y−Yにずれたねじ山9bを有する楔ナット9が使用される確率が極めて高い。また、第3の楔ナット9も、そのねじ山9bが、第1及び第2の楔ナット9のねじ山に対して前記のようにずれる確率が極めて高い。
【0085】
このように、第1〜第3の楔ナット9における各ねじ山41が形成する螺旋が軸方向Y−Yに相対的にずれた場合において、図8に示すように、雄ねじ23bの先端のねじ山40dが第1の楔ナット9における隣接するねじ山41d、41e間に位置しても、雄ねじ23bの先端のねじ山40dが第2又は第3の楔ナット9における前記ねじ山41dより奥部に位置するねじ山41fに係止する。なお、図8の場合は、雄ねじ23のねじ山40dは、第1の楔ナット9Eのねじ山41dに噛合し、図9のようになる。
【0086】
したがって、螺旋が軸方向Y−Yに相対的にずれた場合においても、雄ねじ23bと雌ねじ9との噛合量が多くなり、連結強度が大きくなる。
【0087】
更に、連結時における噛合が早くなり、更に、連結状態でのケーシング3と連結体22との隙間D2(図10参照)、すなわち、両シールドセグメント15、35間の隙間も小さくすることができる。
【0088】
次に、本発明は、前記の雌型係止部材(楔ナット)9の雌ねじ9bと雄型係止部材23の雄ねじ23bのねじピッチPを所望に設定するものであるが、前記のように、通常使用されているJIS規定の細目ねじのピッチよりも小さく形成すると次のような効果を発揮できる。
【0089】
連結時において、各楔ナット9は、最終的に噛合すべき雄型係止部材23のねじ山41を乗り越えることができない場合もあり、この場合には、雄型係止部材23には、その軸方向へのガタつきが生じ、ケーシング2と連結体22の相互間、すなわち、両シールドセグメント15、35の接合面15a、35a相互間に図10に示すように隙間D2が生じる。
【0090】
しかし、このとき、本発明においては、楔ナット9の雌ねじ9bと雄型係止部材23の雄ねじ23bのねじピッチPが、前記のように、通常使用されているJIS規定の細目ねじのピッチよりも小さく形成されているので、前記のガタつきは極めて小さくなる。
【0091】
例えば、呼び径がM24(mm)の場合において、ねじピッチPが従来のJIS B 0207の細目ねじのように2mmであると、前記のように隙間が1〜4mmになるのに対し、本発明の前記実施例のように呼び径がM24(mm)の場合にねじピッチPを0.5mmに設定すると前記の隙間D2は0.25〜1mmとなる。
【0092】
このように、隙間が小さくなることは、両シールドセグメント15、35間での水もれの防止を高めることができる。更に、シールドセグメント15、35にシール材36、37を設ける場合においても、このシール材36、37を小さなものにしてコスト低減を図ることができる。
【0093】
また、ねじピッチPを従来のものよりも小さくすることによって、楔ナット9及び雄型係止部材23の径方向の寸法を従来のものよりも小さくすることができ、これにより、連結具全体を小型化し、シールドセグメントの厚さを薄くすることができ、かつ連結具及びシールドセグメントのコスト低減を図ることができる。
【0094】
また、付勢手段12の付勢力によって楔ナット9の雌ねじ9bが雄型係止部材23の雄ねじ23bへ食い込むように作用し、かつ、雄型係止部材23に抜け方向への力Fが作用すると楔ナット9が食い込むため、ねじピッチPが小さくても強固な連結状態が確保される。
【0095】
なお、前記のように摺動案内突条8を設けた場合には、雌型連結部材1又は雄型連結部材2のいずれかを回転することにより、これらを分離できるが、このような分離が不要或いは不可にする場合には摺動案内突条8を設けない。
【実施例2】
【0096】
図12は、実施例2を示す。
本実施例2は、前記実施例1の雄型係止部材23のねじ山40と、雌型係止部材9のねじ山41を、図12に示すように、軸心X−X、Y−Yに対して直交、かつ、平行な環状の非螺旋山からなる係止山45、46に形成したものである。すなわち、雄型係止部材23の各係止山45が相互に不連続に、また、雌型係止部材9の各係止山46が相互が不連続に形成されている。なお、雄型係止部材23の係止部23bの係止溝47、及び雌型係止部材9の係止部9bの係止溝48についても環状に形成されている。
【0097】
前記係止山45、46のX−X、Y−Y方向の断面形状は、前記実施例1の係止山(ねじ山)40、41と同様の不等辺三角形に形成されている。
【0098】
更に隣接する係止山45、46相互の間隔(ピッチ)Pの寸法は、前記実施例1に示したねじピッチPの寸法に相当する値に設定する。
【0099】
本実施例2の雄型係止部材23と雌型係止部材9も前記実施例1と同様な構造において使用される。また、前記実施例1と同様の部分については、前記実施例1と同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
本実施例2においても、前記実施例1と同様の係止山45、46の形状、隣接する係止山相互の間隔(ピッチ)P、調整部材16、21等を有することで、前記実施例1と同様な次のような効果が得られる。
【0101】
係止山45、46を不等三角形に形成したことで、係止山45、46引張り強度を確保しつつ、かつ、雌型係止部材9の係止部9bと雄型係止部材23の係止部23bとが速やかに、かつ、大きく噛み合い、かつ、シールドセグメント15、35間の隙間を小さくすることができる。また、雄型係止部材23を雌型係止部材9に挿入する際に、挿入抵抗が減少して挿入しやくなる。
【0102】
更に、係止山45、46の角度(=α+β)を60°とすることで、従来のJIS規格のねじ山(JIS規格のねじ山の角度は60°)を作成する時に使用する切削チップをそのまま使用することができ、製作のコストを削減できる。
【0103】
更に、ピッチPは、JIS規定の細目ねじのピッチよりも小さく形成されているので、連結時において、ガタつき・連結間の隙間は極めて小さくなり、両シールドセグメント15、35間での水もれの防止を高めることができる。更に、シールドセグメント15、35にシール材36、37を設ける場合においても、このシール材36、37を小さなものにしてコスト低減を図ることができる。
【0104】
更に、ピッチPを従来のJIS規格ものよりも小さくすることによって、連結具全体を小型化し、シールドセグメントの厚さを薄くすることができ、かつ連結具及びシールドセグメントのコスト低減を図ることができる。
【0105】
更に、付勢手段12の付勢力によって楔ナット9の雌ねじ9bが雄型係止部材23の雄ねじ23bへ食い込むように作用し、かつ、雄型係止部材23に抜け方向への力Fが作用すると楔ナット9が食い込むため、ねじピッチPが小さくても強固な連結状態が確保される。
【0106】
更に、調整部材16、21等を有することで、雌型連結部材1の軸芯Y−Yと雄型連結部材2の軸芯X−Xとが、相互に非同芯状態(目違い状態)で結合しても、雌型連結部材1と雄型連結部材2との双方が回動することにより、雌型連結部材1の軸芯と、雄型連結部材2の軸芯とは一直線となることができ、雌型連結部材1の連結面と雄型連結部材2の連結面とは、平行に相対し、かつ、両シールドセグメント15、35の連結面間の隙間が少なくでき、密着して接して連結することができ、連結相互の連結状態をより高めることができる。
【実施例3】
【0107】
図13乃至図14は、実施例3を示す。
本実施例3は、前記実施例1における雌型連結部材1の変形例である。
【0108】
図13は、雌型連結部材51と雄型連結部材2を示すものである。
雌型連結部材51は、ケーシング52を有し、該ケーシング52は、筒状、例えば円筒状に形成され、その内部に収納室53が形成されている。該収納室53は、後述する固定係止部54を除いて平滑面53aで形成されている。
【0109】
該収納室53は、図13及び図14に示すように、軸方向Y−Yに円筒状に形成された円筒部と、円筒部の前部周方向の一部で、軸方向Y−Yから径方向の外側へ突出するテーパ穴55とで形成されている。該テーパ穴55の内周面は挿入側から奥部にかけて内径が徐々に拡大するテーパ面55aに形成され、該テーパ穴55の後部(収納室53の中間部)には、付勢手段収納部56が形成され、収納室53の後部内周には雌ねじ53aが刻設されている。前記テーパ穴55より先部には挿入口(開口部)57が開口形成されている。
【0110】
前記テーパ穴55の横断面形状は、図14に示すように、収納室53の軸芯Yを中心とする略扇型に形成され、その周方向両端面が収納室53の軸芯Yを中心とした放射線に略沿った係止面55b、55cに形成されている。
【0111】
また、前記テーパ穴55内には、図14に示すように、テーパ穴55の扇型横断面形状に沿った扇型横断面形状の1個の雌型係止部材9が、ケーシング52の軸方向に摺動可能に配設されている。なお、雌型係止部材9の係止部9bは、前記実施例1又は2の雌型係止部材9の係止部9bと同様の形状であり、その内側に、前記実施例1と同様な係止山41又は実施例2と同様な係止山46が形成されている。
【0112】
前記収納室53における雌型係止部材9と対向する側の面には1個の固定係止部54が形成されており、該固定係止部54は、ケーシング52に一体に形成されている。該固定係止部54は、収納室53の周方向の一部において、周方向に所定の長さに設定して形成されている。また、固定係止部54の内周面54aには、雌型係止部材9の係止部9bと同様の係止山が刻設されている。
【0113】
前記においては、テーパ穴55と雌型係止部材9を、収納室53の横断面における一方の側に位置して一個のみ設けたが、これらは、収納室53の横断面における一方の側に位置して、周方向に複数個に分割して設けても良い。また、前記固定係止部54を周方向に複数に分割して形成しても良い。
【0114】
前記雌型係止部材9の係止部9bと固定係止部54の内周面54aとで係止穴9cが形成され、雌型係止部材9がテーパ面55aに沿って後退することにより、その係止穴9cが拡径され、挿入側へ移動することにより、その係止穴9cが縮径するようになっている。
【0115】
前記雌型係止部材9の内側に形成された係止部9bと、固定係止部54の内周面54aの係止山と係止溝は、前記実施例1の図6及び図11の形状又は実施例2の図12の形状と同様に形成されている。
【0116】
雌型連結部材51のその他の構造は前記実施例1と同様である。
本実施例3の雄型連結部材2は、前記実施例1又は2の雄型連結部材2と同様の構造であり、雌型連結部材51と雄型連結部材2の連結方法は、前記実施例1と同様である。
【0117】
また、前記実施例1又は2と同様の部材については、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0118】
本実施例3においても、前記実施例1又は2と同様の効果を奏する。
更に、本実施例3においては、雌型係止部材9をケーシング52の周方向の一部に設けたことにより、全周にわたって設ける前記実施例1のものに比べると、連結具の小型化、低コストを図ることができる。
【0119】
更に、雌型係止部材9を周方向の一部に設けても、この雌型係止部材9に対向する側に固定係止部54を設けたので、前記実施例1において雌型係止部材9を1個のみを設けた場合よりも、雄型係止部材23の折損のおそれを少なくすることができる。
【実施例4】
【0120】
図15乃至図19は実施例4を示す。
本実施例4は、前記の雌型連結部材1を平板状の雌型連結部材61に形成したものである.
雌型連結部材61は、図15に示すように、各平板材を積層して板状に形成されており、その構成する部品である裏カバー62は金属の平板で形成されている。
【0121】
前記裏カバー62の表面には一対の裏スペーサ63、64が、同一平面内において、雄型係止部材65を挿通する中央部X1−X2を挟んで左右に所定の隙間D3を有して、図16に示すように、平行に配置され、これらの裏スペーサ63、64間の隙間D3が、図18に示すように、収納室66の一部を形成している。該裏スペーサ63、64は金属の平板で形成されている。
【0122】
前記一対の裏スペーサ63、64の表面側には一対のケース板67、68が、前記ボルト状の雄型係止部材65が挿通される中央部X1−X2を挟んで所定の隙間を有して平行に配置され、図18に示すように、これら一対のケース板67、68間の隙間が収納室66の一部を形成している。該一対のケース板67、68の夫々の内側面には、後方(X2側)が外側へ拡がるテーパ面69、70が形成されている。該一対のケース板67、68は夫々金属の平板で形成されている。
【0123】
前記一対のケース板67、68の夫々の内側には夫々楔型の雌型係止部材71、72が配置されている。該雌型係止部材71、72の内側面には前記雄型係止部材65の挿通方向(前記X1−X2方向)に沿って係止部71a、72aが刻設されている。また、該雌型係止部材71、72の外側面は前記テーパ面69、70に沿ったテーパ面71b、72bに形成されている。更に、前記雌型係止部材71、72は金属で形成され、またその表面側には夫々案内ピン73、74が上方へ突設されている。
【0124】
前記一対のケース板67、68の表面には金属の平板からなる一対の表スペーサ75、76が、前記一対の裏スペーサ63、64と同様に所定の隙間D3を有して平行に配置されている。該一対の表スペーサ75、76には、前記雌型係止部材71、72の案内ピン73、74が摺動可能に嵌合する案内長孔77、78が表裏方向に貫通して形成されている。該案内長孔77、78には前記テーパ面69、70に沿って、すなわち、後方が外側へ拡がるように傾斜して形成されている。また、案内長孔77、78の前側にはストッパ面77a、78aが形成されている。
【0125】
また、前記ケース板67、68には、雌型係止部材71、72の後部に付勢手段収納室79、80が形成されており、該収納室79、80内に前記実施例1と同様の付勢手段81、82が収納されている。前記裏スペーサ63、64と表スペーサ75、76で付勢手段81、82の外脱が阻止されている。そして、該付勢手段81、82により前記雌型係止部材71、72を常時前方へ付勢している。
【0126】
前記一対の表スペーサ75、76の表面側には、これらの間にわたる1枚の表カバー83が配置されている。該表カバー83には、前記案内長孔77、78と同一位置において、かつ、同一方向に傾斜する一対の案内長孔84、85が形成されている。該一対の案内長孔84、85は表カバー83の表裏方向に貫通している。また、該表カバー83は金属の平板で形成されている。
【0127】
裏カバー62、裏スペーサ63、64、ケース板67、68、表スペーサ75、76及び、表カバー83によりケーシング86が形成されている。
【0128】
また、収納室66は、裏カバー62、裏スペーサ63、64、ケース板67、68、表スペーサ75、76及び、表カバー83により形成された空間である。
【0129】
前記表カバー83の表面側には、抜き治具87が前後方向に摺動可能に配置されている。
【0130】
前記抜き治具87は、後部に幅の広い係止部88を有する金属の平板で形成され、該係止部88に前端係止面88aと後端係止面88bが形成されている。更に、該抜き治具87の裏側には、前記両案内ピン73、74が夫々嵌合する凹部89、90が形成されている。該凹部89、90の前後方向長は案内ピン73、74の前後方向長と略同長に形成され、左右方向長は案内ピン73、74の左右方向長よりも長く形成されている。更に、抜き治具87の表面には、係止部88の左右幅より短い幅の操作部91が一体に突設されている。
【0131】
前記抜き治具87の表側にはカバー92が配置されている。
該表カバー92の裏側には裏面が開口する案内凹部93が形成されており、該案内凹部93内に前記抜き治具87が前後方向に移動可能に嵌合される。更に、該案内凹部93の前端は前記抜き治具87の前端係止面88aが当たる前端規制面93aとなっており、後端は抜き治具87の後端係止面88bが当たる後端規制面93bになっている。更に、カバー92の中央部には前記操作部91が前後方向に移動可能に嵌合する窓94が形成されている。
【0132】
前記案内ピン73、74、案内長孔77、78、抜き治具87、操作部91などにより解除手段95を形成している。
【0133】
前記各部材には共通する位置に取付用穴96が形成され、該各取付用穴96にビス97などの連結部材を挿通して各部材を一体的に連結し、雌型連結部材61を構成している。
【0134】
雄型係止部材65は、前記実施例1又は2の雄型係止部材23の係止部(雄ねじ)23bと同様の係止部65bを有する。
【0135】
また、雌型連結部材71、72の係止部71a、72a及び雄型係止部材65の係止部65bは、前記実施例1又は2の係止山40、41、45、46と同様の形状、ピッチPを有する。
【0136】
また、ケーシング86の両側面及び後部に前記実施例1の調整部材16を設けてもよく、該調整部材16を設けることで、前記実施例1と同様にX1−X2と直交する方向に変位できるようになる。
【0137】
そして、前記雌型連結部材61を図15及び図19に示すように、一方のパネル98の連結側端面98aに雌型連結部材61の収納室66の挿入側端が位置するように一方のパネル98に適宜手段で固定して備え、また、雄型係止部材65を、その先部が他方のパネル99の連結側端面99aより突出させて適宜手段により他方のパネル99に固定して備える。
【0138】
前記雌型連結部材61と雄型係止部材65の連結方法は、前記実施例1と同様である。
次に、前記の連結状態から両パネル98、99を分離する場合には、カバー92に露出した操作部91の先端を手操作で後方へ移動させて雌型係止部材71、72を後方へ移動させる。これにより、雌型係止部材71、72が案内長孔77、78によって両側方へ移動し、雌型係止部材71、72で形成される係止穴が拡径する。そのため、雄型係止部材65を雌型連結部材61より抜き外すことができ、この雄型係止部材65を抜き外すことにより両パネル98、99を分離することができる。
【0139】
また、本実施例4においても前記実施例1又は2と同様の効果を奏する。
【実施例5】
【0140】
図20は、実施例5を示す。
本実施例5は、前記実施例1又は2の雌型連結部材1と雄型連結部材2を図20に示すように板状の雌型連結部材100と、板状の雄型連結部材101としたものである。
【0141】
雌型連結部材100は、ケーシング102a、102bを有する。該ケーシング102a、102bは、例えば、直方体に形成して合体されており、その内部に収納室103が形成されている。該収納室103の先部は、その側周面を先端部側から後方(奥部)にかけて拡がるテーパ面104に形成されている。収納室103の先端部は扁平状に開口して挿入口102cになっている。また、収納室103の奥部には付勢手段収納部105、106が形成されている。
【0142】
また、前記収納室103のテーパ面104、104間には、図20に示すように、2個の雌型係止部材107、108が所望の距離で離間して対向配設されている。前記雌型係止部材107、108の外側面は前記テーパ面104に沿った、すなわち、先端部(挿入口102c)側から後方にかけて徐々に拡がる外側テーパ面107a、108aが形成されている。更に、各雌型係止部材107、108の内側面には、収納室103の中心線と平行に係止部107b、108bが刻設されている。
【0143】
雌型係止部材107、108の係止部107b、108bの係止山は、前記実施例1又は2の雌型係止部材9の係止部9bの係止山と同様な不等辺三角形が図示のように連続してなる形状に形成されている。
【0144】
この雌型係止部材107、108には表裏面に貫通する案内長穴110、111が前後方向に形成され、ケーシング102a、102b側には、前記案内長穴110、111に挿通する案内ピン112、113が固着されて立設されている。これにより、雌型係止部材107、108が、テーパ面104に沿って収納室103内を前後方向に摺動可能になっている。
【0145】
付勢手段収納部105、106には付勢手段114、115であるバネが圧縮して収納されており、該付勢手段114、115の付勢力により、雌型係止部材107、108は先端部(挿入口102c)方向に常時付勢されている。
【0146】
前記ケーシング102a、102bの左右側には、前記実施例1と同様の調整部材16が配置されている。また、前記実施例1と同様に、ケーシング102a、102bの後方には、アンカーバー116、抜け止め部116aを設け、アンカーバー116の外周部には前記の調整部材16と同様の調整部材117が設けられている。
【0147】
雄型連結部材101は、雄型係止部材120とアンカーバー121とから構成され、これらがプレス或いは鋳造により一体に形成されている。
【0148】
雄型係止部材120の先部には、係止部120aが刻設されており、該係止部120aの係止山は、前記実施例1の雄型係止部材23の係止部23bの係止山と同様な不等辺三角形が連続してなる形状に形成されており、雌型係止部材107、108の係止部107b、108bと、雄型係止部材120の係止部120aとが噛合する形状に形成されている。
【0149】
雌型係止部材107、108の係止部107b、108bと雄型係止部材120の係止部120aの係止山の間隔は、前記実施例1と同様に設定してもよい。
【0150】
アンカーバー116の後端部には抜け止め部116aが形成されている。アンカーバー116の外周部には、前記の調整部材21と同様の調整部材122が設けられている。
【0151】
上記以外の構造は、前記実施例1又は2と同様であり、前記実施例1又は2と同様の部材については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0152】
本実施例5においても、雄型連結部材101の雄型係止部材120を、雌型連結部材100の挿入口102aから挿入することにより、前記実施例1乃至4と同様に連結することができる。
【0153】
また、本実施例5においても、雌型連結部材100の雌型係止部材107、108と雄型連結部材101の雄型係止部材120の係止部107b、108bの係止山の形状が前記実施例1と同様の形状を有することから、前記実施例1の係止山による連結と同様の効果を奏する。
【0154】
つまり、係止山を不等辺三角形に形成したことで、係止山の引張り強度を確保しつつ、かつ、雌型係止部材107、108の係止部107b、108bと雄型係止部材120の係止部120bとが速やかに、かつ、大きく噛み合い、かつ、連結部材間の隙間を小さくすることができる。また、雄型係止部材120を雌型連結部材100挿入時に、抵抗が減少して挿入しやくなる。
【0155】
係止山の角度(=α+β)を60°とすることで、従来のJIS規格のねじ山(JIS規格のねじ山の角度は60°)を作成する時に使用する切削チップをそのまま使用することができ、製作のコストを削減できる。
【0156】
また、調整部材16、112、117等を有することで、雌型連結部材100の軸芯と雄型連結部材101の軸芯とが、相互に非同芯状態(目違い状態)で結合しても、雌型連結部材100と雄型連結部材101との双方が回動することにより、雌型連結部材100の軸芯と、雄型連結部材101の軸芯とは一直線となることができ、雌型連結部材100の連結面と雄型連結部材101の連結面とは、平行に相対し、かつ、連結面間の隙間を少なくできる。したがって、連結すべき部材を相対的に密着して接して連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の実施例1における雌型連結部材の軸方向断面図。
【図2】(a)は図1のJ−J線断面図で、(b)は、雌型連結部材を1個設けた場合の図。
【図3】本発明の実施例1を示すもので、雄型連結部材の軸方向断面図。
【図4】図1の雌型連結部材と図3の雄型連結部材を結合を説明する軸方向断面拡大図。
【図5】図1の雌型連結部材と図3の雄型連結部材をシールドセグメントに設けた実施例を示す図。
【図6】本発明の実施例1における雌型係止部材と雄型係止部材を示す図。
【図7】本発明の実施例1における係止山の断面図で、(a)は雄型係止部材の係止山の拡大断面図、(b)は雌型係止部材の係止山の拡大断面図。
【図8】図6の雌型係止部材と雄型係止部材との噛合を説明する図。
【図9】図8の噛合状態を示す図。
【図10】図1の雌型連結部材と図3の雄型連結部材を連結した軸方向断面図。
【図11】雌型係止部材と雄型係止部材の噛合状態での軸方向拡大断面図。
【図12】本発明の実施例2における雌型係止部材と雄型係止部材を示す図。
【図13】本発明の実施例3を示すもので、雌型連結部材と雄型連結部材の軸方向断面図。
【図14】図13のK−K線断面図。
【図15】本発明の実施例4における雄型係止部材と雌型連結部材を示す斜視図。
【図16】図15の雌型連結部材の分解斜視図。
【図17】図15の雌型連結部材の正面図。
【図18】図15のQ−Q線断面図。
【図19】本発明の実施例の4の雌型係止部材と雄型係止部材の噛合状態を示す図。
【図20】本発明の実施例5における雄型連結部材と雌型連結部材を示す斜視図。
【図21】従来の連結具を示す軸方向断面図。
【図22】従来の雄ねじと雌ねじを示す軸方向断面図。
【図23】図21の連結具の連結状態を示す軸方向断面図。
【図24】本発明を説明するための仮想の雄型係止部材と雌型係止部材の係止山同士が噛合う状態を示す図。
【符号の説明】
【0158】
1、51、61、100 雌型連結部材
2、101 雄型連結部材
4、53、66、103 収納室
9、71、72、107、108 雌型係止部材(楔ナット)
9b、71a、72a、107b、108b 雌型係止部材の係止部(雌ねじ)
9c 係止穴
12、81、82、114、115 付勢手段
23b 雄型係止部材の係止部(雄ねじ)
40、45 雄型係止部材の係止山
40a 雄側の挿入側傾斜面
40c 雄側の奥側傾斜面
41、46 雌型係止部材の係止山
41a 雌側の挿入側係止斜面
41c 雌側の奥側傾斜面
P 隣接する係止山相互の間隔(ねじピッチ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納室内に、内面側に連続する複数の係止山からなる係止部を設けた雌型係止部材を有する雌型連結部材と、
複数の係止山からなる係止部を設けた雄型係止部材とからなり、
雄型係止部材を前記雌型連結部材に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径して前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材の係止部を構成する係止山は、前記雄型係止部材を挿入する挿入側から奥部側に向って縮径する雌側の挿入側傾斜面と、該挿入側傾斜面の内径端から奥部に向って拡径する雌側の奥側傾斜面とにより形成され、かつ、前記雌型連結部材の軸芯に直交する直交軸と前記雌側の挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と前記雌側の奥側傾斜面との角度よりも大きく設定し、
前記雄型係止部材の係止部を構成する係止山は、該雄型係止部材の先端側から奥部側に向って拡径する雄側の挿入側傾斜面と、該挿入側傾斜面の外径端から奥部側に向って縮径する雄側の奥側傾斜面とにより形成され、前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と前記雄側の挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と前記雄側の奥側傾斜面との角度よりも大きく設定したことを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記雌型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雌型係止部材の係止山の前記雌側の奥側傾斜面との角度及び、
前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雄型係止部材の係止山の前記雄側の奥側傾斜面との角度を30度より小さく、かつ、0度より大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の連結具。
【請求項3】
前記雌型連結部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雌型係止部材の係止山の前記雌側の挿入側傾斜面との角度及び、
前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雄型係止部材の係止山の前記雄側の挿入側傾斜面との角度を30度より大きく設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の連結具。
【請求項4】
前記雌型係止部材の係止山の角度及び、前記雄型係止部材の係止山の角度を60度に設定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の連結具。
【請求項5】
前記雄型係止部材の係止山を螺旋状に形成し、前記雌型係止部材の係止山を螺旋の一部で形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の連結具。
【請求項6】
前記雄型係止部材の係止山を前記雄型係止部材の軸芯に対して直交し、かつ、隣接する係止山と平行する環状に形成し、
前記雌型係止部材の係止山を前記雌型連結部材の軸芯に対して直交し、かつ、隣接する係止山と平行する環状の一部で形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の連結具。
【請求項7】
前記雌型係止部材における隣接する係止山相互の間隔と、前記雄側係止部材における隣接する係止山相互の間隔を、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の連結具。
【請求項1】
収納室内に、内面側に連続する複数の係止山からなる係止部を設けた雌型係止部材を有する雌型連結部材と、
複数の係止山からなる係止部を設けた雄型係止部材とからなり、
雄型係止部材を前記雌型連結部材に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径して前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材の係止部を構成する係止山は、前記雄型係止部材を挿入する挿入側から奥部側に向って縮径する雌側の挿入側傾斜面と、該挿入側傾斜面の内径端から奥部に向って拡径する雌側の奥側傾斜面とにより形成され、かつ、前記雌型連結部材の軸芯に直交する直交軸と前記雌側の挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と前記雌側の奥側傾斜面との角度よりも大きく設定し、
前記雄型係止部材の係止部を構成する係止山は、該雄型係止部材の先端側から奥部側に向って拡径する雄側の挿入側傾斜面と、該挿入側傾斜面の外径端から奥部側に向って縮径する雄側の奥側傾斜面とにより形成され、前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と前記雄側の挿入側傾斜面との角度は、前記直交軸と前記雄側の奥側傾斜面との角度よりも大きく設定したことを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記雌型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雌型係止部材の係止山の前記雌側の奥側傾斜面との角度及び、
前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雄型係止部材の係止山の前記雄側の奥側傾斜面との角度を30度より小さく、かつ、0度より大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の連結具。
【請求項3】
前記雌型連結部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雌型係止部材の係止山の前記雌側の挿入側傾斜面との角度及び、
前記雄型係止部材の軸芯に直交する直交軸と、前記雄型係止部材の係止山の前記雄側の挿入側傾斜面との角度を30度より大きく設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の連結具。
【請求項4】
前記雌型係止部材の係止山の角度及び、前記雄型係止部材の係止山の角度を60度に設定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の連結具。
【請求項5】
前記雄型係止部材の係止山を螺旋状に形成し、前記雌型係止部材の係止山を螺旋の一部で形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の連結具。
【請求項6】
前記雄型係止部材の係止山を前記雄型係止部材の軸芯に対して直交し、かつ、隣接する係止山と平行する環状に形成し、
前記雌型係止部材の係止山を前記雌型連結部材の軸芯に対して直交し、かつ、隣接する係止山と平行する環状の一部で形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の連結具。
【請求項7】
前記雌型係止部材における隣接する係止山相互の間隔と、前記雄側係止部材における隣接する係止山相互の間隔を、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の連結具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−144956(P2006−144956A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337474(P2004−337474)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000144016)株式会社三ツ知 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000144016)株式会社三ツ知 (11)
【Fターム(参考)】
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