説明

連結具

【課題】全体としてコンパクトに構成でき、かつ、ベルトや紐あるいは連結材が動くのを防止できる連結具を提供する。
【解決手段】 互いに回動可能に連結された一対の保持具(A,B)を備える連結具。少なくとも一方の保持具(A,B)は、第1挟持板(10)と、この第1挟持板(10)に対して起伏可能に支持された第2挟持板(20)と、第1挟持板(10)および第2挟持板(20)の互いに対向する面のいずれか一方(第1挟持板(10))に設けられた突起状の係合部(30)と、第1挟持板(10)および第2挟持板(20)の互いに対向する面のいずれか他方(第2挟持板(20))に設けられ係合部(30)に係合する被係合部(40)とを含む。全体としてコンパクトに構成でき、かつ、ベルトや紐あるいは連結材が動くのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結具に関する。たとえば、バック類において、ベルトや紐の着脱用として用いられる連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、バック類において、ベルトや紐を簡易に着脱するための金具として、なす環が利用されている。
通常、なす環は、一端がテープなどに固定され、他端にベルトや紐などの連結部を着脱可能なフック部を備えた構造であるが、中には、両端部にフック部を備えた連結なす環も提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この連結なす環は、フック部の開口に閉止杆を常時閉塞するように付勢した一対のなす環の基部に軸をそれぞれ突出させ、この一対のなす環の軸をそれぞれ接続輪環の両端から貫挿し、接続輪環に対してなす環が軸を中心として回動可能に連結された構造である。
従って、両側になす環をもっているため、一方を任意の場所に連結し、他方をベルトや紐の連結部の着脱用として利用することができる。
【0004】
【特許文献1】実開昭61−57219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の連結なす環は、フック部の開口に閉止杆を常時閉塞するように付勢した一対のなす環の基部に軸をそれぞれ突出させ、この一対のなす環の軸を向かい合わせにして、それぞれ接続輪環に貫挿させた構造であるため、全長が長くなる。
しかも、フック部にベルトや紐、あるいは、これらの先端に取り付けた連結材を引っ掛けて連結する構造のため、ベルトや紐、あるいは、連結材がフック部内でがたついたり、あるいは、回りやすく、安定した状態で連結できない。
【0006】
本発明の目的は、このような課題を解決し、全体としてコンパクトに構成でき、かつ、ベルトや紐あるいは連結材を安定して連結できる連結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の連結具は、互いに回動可能に連結された一対の保持具を備え、前記一対の保持具のうち少なくとも一方の前記保持具は、第1挟持板と、この第1挟持板に対して起伏可能に支持された第2挟持板と、前記第1挟持板および前記第2挟持板の互いに対向する面のいずれか一方に設けられた突起状の係合部と、前記第1挟持板および前記第2挟持板の互いに対向する面のいずれか他方に設けられ前記係合部と係合する被係合部とを含む、ことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、連結するベルトや紐、あるいは、これらの先端に取り付けた連結材の係合孔を係合部に差し込んだのち、第2挟持板を第1挟持板に対して伏した状態にすると、係合部が被係合部に係合され、第1挟持板と第2挟持板が係合される。
この状態では、ベルトや紐、あるいは、連結材は、第1挟持板と第2挟持板との間に挟まれているため、これらの間での動きが規制される。従って、ベルトや紐あるいは連結材ががたついたり、回転するのを防止できる。
また、一対の保持具のうち少なくとも一方の保持具は、第1挟持板に対して第2挟持板が起伏する構造であるため、全長も短くできる。つまり、従来の連結なす環のように、細長いフック部の構成としなくてもよいから、全長も短くできる。
【0009】
本発明の連結具において、前記一対の保持具を連結し、かつ、この連結方向軸線を中心に前記各保持具を回動可能に支持する連結部材を備え、前記連結部材は、両端部に前記一対の保持具を回動可能に支持した連結軸によって構成されている、ことが好ましい。
この構成によれば、連結軸の両端部によって、一対の保持具を回動可能に支持したので、連結部材の構成を簡易にかつ安価に構成できる。とくに、連結軸によって、一対の保持具が連結方向軸線を中心に回動可能に連結されているので、これらの保持具にベルトや紐などを連結する場合、ベルトや紐は捩れたりしやすいが、これらの捩れにも対応して捩れがない状態で連結できる。
【0010】
本発明の連結具において、前記係合部は、前記第1挟持板および前記第2挟持板の互いに対向する面のいずれか一方に設けられた突起の先端に、突起の軸と直交する方向の寸法が大きくなった頭部を有し、前記被係合部は、前記第1挟持板および前記第2挟持板のいずれか他方にスライド可能に設けられた少なくとも1つのスライド部材を有し、前記スライド部材は、スライド方向の一方向へ付勢され、かつ、付勢された状態において前記係合部の頭部が入り込み、頭部と係合する開口を有する、ことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、スライド部材の開口が係合部と一致した状態、または、僅かずれた状態において、第2挟持板を第1挟持板に対して伏した姿勢に回動すると、係合部が開口に入り込む。係合部の頭部が開口を超えた位置まで入り込むと、スライド部材が付勢方向へスライドされる。すると、開口と係合部とが係合される。つまり、係合部の頭部が開口に引っ掛かり、第2挟持板が起立するのが規制されるから、簡単な構造で、第1挟持板と第2挟持板とを係合させることができる。
【0012】
本発明の連結具は、前記被係合部は、前記第1挟持板および前記第2挟持板のいずれか他方にスライド可能に設けられた一対のスライド部材を有し、前記一対のスライド部材は、互いに重ね合わされた状態でスライド可能に設けられた一対のスライド片と、この各スライド片に一体形成されこれら一対のスライド片を互いに離間する方向へ付勢する弾性脚片と、前記各スライド片に設けられ前記弾性脚片によって一対のスライド片が互いに離間する方向へ付勢された状態において前記第1挟持板および前記第2挟持板のいずれか他方から突出する操作部と、前記各スライド片に設けられ前記弾性脚片によって一対のスライド片が互いに離間する方向へ付勢された状態において前記係合部と係合する挟持部とを有する、ことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、一対のスライド片の操作部を操作して、スライド片を互いに接近する方向へスライドさせると、スライド片の挟持部が離間される。すると、これに係合されていた係合部が解除されるから、この状態で第2挟持板を第1挟持板に対して起立させたのち、係合部からベルトや紐、あるいは、これらの先端に取り付けた連結材を外せば、連結具からベルトや紐、あるいは、これらの先端に取り付けた連結材を外すことができる。
【0014】
本発明の連結具において、前記第2挟持板は、前記第1挟持板に前記連結方向軸線に対して略直交する支軸を支点として起伏可能に支持されている、ことが好ましい。
この構成によれば、第2挟持板は、第1挟持板に連結方向軸線に対して略直交する支軸を支点として起伏可能に支持されているから、第2挟持板を第1挟持板に対して起伏動作させても、保持具が連結方向軸線を中心に回動するのを防止できる。つまり、第2挟持板の起伏動作と一対の保持具の回動動作とが、直交しているから、一方の動作によって他方が動作するのを防止できる。
【0015】
本発明の連結具において、前記一対の保持具のうち他方の保持具は、ベルトを連結可能なリング状に形成されている、ことが好ましい。
例えば、他方の保持具は、幅方向中央部が一方の保持具に回動可能に連結された枠体と、この枠体の内部に設けられベルトが挿通して連結されるベルト挿通孔とを備えるリング状に形成された構成が好ましい。このようにすれば、ベルト挿通孔の幅寸法が異なる保持具を数種類用意しておけば、簡単な構成で幅寸法の異なるベルトにも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
<実施形態の説明>
図1は本実施形態の連結具を示す斜視図、図2は同連結具の一方の保持具を回動させた状態を示す斜視図、図3は同連結具の分解斜視図、図4は係合状態の保持具内部を示す断面図、図5は解除状態の保持具内部を示す断面図、図6は図1のVI-VI線断面図、図7は図6の状態から係合部が外れた状態を示す断面図、図8はベルトの連結状態を示す一部切り欠き側面図である。
【0017】
(全体構成)
図1〜図3に示すように、本実施形態の連結具1は、ベルト2の先端に取り付けられたDカンと称される連結材3と、ベルト4の先端に取り付けられたDカンと称される連結材5とを着脱可能に連結するためのもので、一対の保持具A,Bと、この一対の保持具A,Bを連結し、かつ、この連結方向軸線Lを中心に各保持具A,Bを回動可能に支持する連結部材Cとを備えている。
なお、ここで用いるDカンと称される連結材3,5は、略三角形板で、底辺側にベルト挿通孔6を有し、中央部に引掛孔7を有するもので、例えば、合成樹脂や金属などによって形成されている。
【0018】
(保持具)
保持具A,Bは、第1挟持板10と、この第1挟持板10に対して起伏可能に支持された第2挟持板20と、第1挟持板10および第2挟持板20の互いに対向する面のいずれか一方、本実施形態では第1挟持板10に設けられた突起状の係合部30と、第1挟持板10および第2挟持板20の互いに対向する面のいずれか他方、本実施形態では第2挟持板20に設けられ係合部30が係合する被係合部40とを含んで構成されている。
なお、第1挟持板10および係合部30は、金属、例えば、亜鉛合金などのダイカスト成形によって一体成形されている。第2挟持板20も、金属、例えば、亜鉛合金などのダイカスト成形によって一体成形されている。被係合部40については、合成樹脂、例えば、ポリアセタールなどの射出成形によって成形されている。
【0019】
第1挟持板10は、平面から見て略正方形板状で、連結側とは反対の先端縁の両角部が円弧状に形成され、連結側に位置する基端縁からこれを挟む両側縁に跨ってコ字状の立上壁11を有する。立上壁11の中間には軸受壁12が起立して設けられ、この軸受壁12には、連結部材Cを挿通するための連結軸挿通孔13と、第2挟持板20を第1挟持板10に対して起伏可能に支持する支軸14を挿通するための支軸挿通孔15とが直交して形成されている。つまり、軸受壁12の下部に軸受壁12の厚み方向へ貫通する連結軸挿通孔13が形成され、軸受壁12の上部に軸受壁12を幅方向へ貫通する支軸挿通孔15が形成されている。支軸14は、金属板を円筒状に巻いた割ピンによって構成されているが、これに限られない。
第1挟持板10の先端部側には、幅方向中央に断面矩形状の突起16が起立して設けられているとともに、この突起16を挟んだ両側に矩形溝状の係合凹部17がそれぞれ形成されている。つまり、図3や図6に示すように、突起16の左右前後方向に第1挟持板10の平板面が形成され、また、図8に示すように、突起16と軸受壁12との間に第1挟持板10の平板面が形成されている。
【0020】
係合部30は、突起16の先端に形成され幅方向寸法が突起16の基部よりも狭くなった首部31と、この首部31より先端に形成され幅方向寸法が首部31よりも大きい頭部32とを有する。頭部32は、中央から幅方向両端へ向かうに従って下方へ弧状に湾曲するやじり状に形成されている。つまり、係合部30は、突起16の先端に突起16の軸と直交する方向の寸法が大きくなった頭部32を有している。
【0021】
第2挟持板20は、図4〜図7にも示すように、第1挟持板10の輪郭形状と略同じ平面形状を有する正方形板状で、連結側に位置する基端縁に軸受壁12が嵌り込む凹部21を有する形状に形成されている。凹部21を挟む両側部分には、支軸14が挿通される支軸挿通孔22が形成されている。従って、第1挟持板10の軸受壁12に第2挟持板20の凹部21を位置させ、この第2挟持板20および軸受壁12に形成された支軸挿通孔22,15に支軸14を挿入することにより、第2挟持板20は、第1挟持板10に連結方向軸線Lに対して略直交する支軸14を支点として起伏可能に支持される。つまり、第2挟持板20は、第1挟持板10と平行でこれと対面する第1の位置と、第1挟持板10の平面に対して略直角に起立した第2の位置とに起伏可能に支持されている。
第2挟持板20の先端部側には、第2挟持板20の両側面に開口し内部に被係合部40を有する収容部23が形成されているとともに、第1挟持板10と対向する内面に収容部23に連通する挿入孔26と、この挿入孔26を挟んだ両側に係合凹部24とがそれぞれ形成されている。収容部23の開口(第2挟持板20の両側面に開口する開口)は、支軸挿通孔22と同方向に形成されている。
【0022】
収容部23の内部中間位置には、係合溝25が形成されている。
挿入孔26には、第1挟持板10の突起16が挿入されるとともに、挿入孔26の内底面に係合部30の頭部32に当接する当接面27が設けられている。つまり、第1挟持板10に対して第2挟持板20が伏した状態において、第2挟持板20には、係合部30の頭部32に当接する当接面27が設けられている。これにより、係合部30の頭部32が、当接面27と後述する挟持部45との間で上下の動きが規制されている。すなわち、頭部32が上へ動こうとすると当接面27に当接して規制され、また、下へ動こうとすると挟持部45に当接して規制される。
係合凹部24は、第1挟持板10の係合凹部17と対向して設けられている。
【0023】
被係合部40は、第2挟持板20の両側面開口(収容部23の開口)から挿入され、収容部23内にスライド可能に設けられた一対のスライド部材41A,41Bを有する。
これら一対のスライド部材41A,41Bは、同じ形状に形成され、一方が他方に対して裏返しされ、かつ、重ね合わせた状態で使用される。各スライド部材41A,41Bは、長方形板状のスライド片42と、このスライド片42の長手方向に沿った側面からスライド片42の挿入方向に対して逆方向へ屈曲して形成され収容部23の係合溝25に係合されるストッパ片47と、スライド片42の長手方向一端から延長して形成された弾性脚片48とを有する。
【0024】
スライド片42には、内部に矩形状の開口43が形成されているとともに、挿入方向先端(弾性脚片48が延長する方向端)とは反対の挿入方向後端部裏面側に肉厚が他より厚い段部44が形成されている。開口43の長手方向開口縁のうち、挿入方向先端縁には、第1挟持板10の係合部30を挟持する挟持部45が形成されている。段部44の挿入方向後端部には、スライド片42が互いに離間する方向へ付勢された状態において第2挟持板20の収容部23から外部へ突出する操作部46が形成されている。
【0025】
ストッパ片47は、スライド片42の長手方向に沿った側面の略中央位置からスライド片42の挿入方向に対して逆方向へ屈曲して形成されている。スライド片42が収容部23内に挿入されると、ストッパ片47は、内側へ弾性変形された状態で挿入され、所定位置まで挿入された段階で外側へ弾性復帰して、係合溝25に係合される。つまり、ストッパ片47が係合溝25に係合するため、スライド片42が収容部23から脱落するのが防止される。
【0026】
弾性脚片48は、スライド片42の挿入方向先端一側から幅方向外側へ向かって延長され、更に、スライド片42の幅方向他側へ向かって延長されたのち、先端に円柱状の接触子49を有する。スライド片42が収容部23内に挿入された状態において、先端の接触子49が、相手方のスライド片42の段部44に当接される。これにより、弾性脚片48の弾性力により、一対のスライド部材41A,41Bが互いに離間する方向へ付勢され、これらスライド部材41A,41Bの操作部46が収容部23から外部へ突出される。
【0027】
(連結部材)
連結部材Cは、両端部に一対の保持具A,Bを回動可能に支持した連結軸50によって構成されている。連結軸50は、軸受壁12の連結軸挿通孔13に回動可能に挿通される太さの軸材で、中央にフランジ51を有し、両端部分にストップリング係止溝52を有する。従って、連結軸50の両端部分に各保持具A,Bの軸受壁12に形成された連結軸挿通孔13を挿通したのち、各連結軸挿通孔13から突出した連結軸50のストップリング係止溝52にストップリング53を係合すれば、一対の保持具A,Bが連結軸50によって回動可能に連結される。
【0028】
(作用・効果)
ベルト2の先端に取り付けられた連結材3と、ベルト4の先端に取り付けられた連結材5とを連結するには、各保持具A,Bに連結材3,5を保持させる。
これには、図8に示すように、第2挟持板20を第1挟持板10に対して起立させた状態、つまり、突起16と軸受壁12との間に連結材3,5の一部が収容される収容空間を開口した状態とし、この状態において、第1挟持板10の突起16に連結材3,5の引掛孔7を挿入したのち、第2挟持板20を支軸14を支点として回動し、第1挟持板10に対して伏した状態とする。
【0029】
すると、図6および図7に示すように、第2挟持板20が第1挟持板10の突起16の真上に位置し、更に、第2挟持板20の被係合部40が第1挟持板10の突起16の頭部32に当接する。つまり、第2挟持板20の被係合部40を構成する一対のスライド部材41A,41Bの挟持部45が、突起16の頭部32に当接し、この頭部32によってスライド部材41A,41Bが弾性脚片48を弾性変形させながら、収容部23内に挿入される方向へスライドされる(図5の状態)。これにより、スライド部材41A,41Bの挟持部45の間隔が拡がるため、突起16の頭部32がこれらの挟持部45を越えて第2挟持板20の収容部23内に挿入される。突起16の頭部32が挟持部45を越えると、スライド部材41A,41Bは、弾性変形されていた弾性脚片48の復帰力により、元の位置までスライドされる(図4の状態)。
【0030】
この状態、つまり、係合部30が被係合部40に係合され、第1挟持板10と第2挟持板20が係合された状態では、ベルト2,4の先端の連結材3,5は、突起16に引っ掛けられ、かつ、突起16より幅広な第1挟持板10と第2挟持板20との間に挟まれているため、これらの間での動きが規制される。例えば、連結材3,5が、連結部材Cの軸線と同じ方向を中心として回動しようとしても、連結材3,5が第1挟持板10と第2挟持板20とに接触するので、第1挟持板10と第2挟持板20との間での動きが規制される。
従って、連結材3,5が連結具1に連結された状態において、連結材3,5ががたついたり、回転するのを防止できる。
【0031】
しかも、第2挟持板20を第1挟持板10に対して伏した状態では、第2挟持板20の当接面27が、係合部30の頭部32に当接するため、それ以上、第2挟持板20が第1挟持板10に接近するのを防止できる。従って、第1挟持板10と第2挟持板20との間隔を一定間隔に維持できる。
ここで、連結材3,5を挟持するとは、図8にも示すように、第1挟持板10と第2挟持板20とが対面し、これらの間隔を持った空間に連結材3,5の一部が配置されることで、第1挟持板10および第2挟持板20と連結材3,5との間に隙間があることも挟持である。
【0032】
また、各保持具A,Bは、第1挟持板10に対して第2挟持板20が起伏する構造で、ベルトを連結したときに内部に連結部を収容する形をとるため、全長も短くできる。つまり、第1挟持板10が支軸14を中心に回動することで、連結材3,5が収容される収容空間が開口される構造であるため、従来の連結なす環のように、細長いフック部の構成としなくてもよいから、全長も短くできる。
また、連結軸50を介して連結された一対の保持具A,Bは、連結軸50の軸線を中心に回動可能であるため、連結材3,5やベルト2,4の向きを使用状態に応じて最適な向き(姿勢)にした状態で連結することができる。
しかも、連結軸50の両端部によって、一対の保持具A,Bを回動可能に支持したので、連結部材Cの構成を簡易にかつ安価に構成できる。
【0033】
また、ベルト2,4の先端に取り付けられた連結材3,5を、各保持具A,Bから外すには、スライド部材41A,41Bの操作部46を押圧操作して、スライド部材41A,41Bを収容部23内に挿入する方向へスライドさせると、スライド部材41A,41Bの挟持部45が離間される。
挟持部45の間隔が係合部30の頭部32よりも大きい寸法に離間されると、係合部30はこれらから解除されるから、この状態で第2挟持板20を第1挟持板10に対して起立させたのち、突起16から連結材3,5を外せば、保持具A,Bから連結材3,5を外すことができる。
【0034】
この際、連結材3,5の着脱に際して、第2挟持板20を第1挟持板10に対して起伏動作させても、一対の保持具A,Bが連結方向軸線を中心に回動するのを防止できる。つまり、第2挟持板20の起伏動作と一対の保持具A,Bの回動動作とが、直交しているから、一方の動作によって他方が動作するのを防止できる。
【0035】
<変形例の説明>
なお、本発明は、前記実施形態で説明した構造のバックルに限定されるものでなく、次のような変形例も含む。
【0036】
(第1変形例)
前記実施形態で説明した連結材3,5は、略三角形板で、底辺側にベルト挿通孔6を有し、中央部に引掛孔7を有する形状であったが、連結材の形状は、これに限られない。例えば、図9〜図11に示す形状の連結材81〜83であってもよい。
図9に示す連結材81は、幅広のベルトを連結するためのもので、逆T字形状の底辺部側にベルトの幅寸法に対応する長さ寸法のベルト挿通孔6を有し、この底辺部の中央からこれと直交して延出された中央延長部の先端に略正方形状の引掛孔7を有する構造である。長さ寸法の異なるベルト挿通孔6を有する複数種の連結材81を用意しておけば、幅寸法の異なるベルトにも適用できる。
図10に示す連結材82は、紐を連結するためのもので、略矩形形状の一端に幅寸法が小さく縦長形状のベルト挿通孔6を有し、他端に略正方形状の引掛孔7を有する構造である。
図11に示す連結材83は、幅寸法の異なるベルトを連結するためのもので、円盤形状の外周縁に略正方形状の引掛孔7を有し、この引掛孔7および円盤の中心を通る線の所定間隔位置に幅寸法の異なる3つのベルト挿通孔6A,6B,6Cが互いに平行に形成された構造である。
【0037】
(第2変形例)
更に、例えば、図12に示すように、いわゆる、平カンと称される連結材70を連結することもできる。連結材70は、矩形輪状に形成された連結材で、幅方向寸法が連結するベルトの幅寸法に応じて何種類か用意されている。例えば、図12に示す連結材71のほかに、これより幅寸法が小さい連結材が用意されている。
【0038】
連結材70を連結具1に連結するに際しては、それぞれに連結材70の幅方向の孔寸法より僅かに小さい長さ寸法を有する直方体形状のアタッチメント73を用いて連結する。
アタッチメント73は、図13A、図13Bに示すように、連結材70の幅寸法に対応して2種類のアタッチメント73A,73Bが用意されている。アタッチメント73A,73Bは、長手方向の略中央位置に突起16に係合する係合孔74を備えているとともに、これを挟んだ両側表裏面に、第1挟持板10および第2挟持板20の係合凹部17,24に係合する係合突起75が形成されている。
【0039】
従って、図12に示す連結材71を連結するには、図13Aのアタッチメント73Aを第1挟持板10の係合凹部17に係合させるとともに、このアタッチメント73Aに連結材71を嵌め込んだのち、第2挟持板20を第1挟持板10に対して伏した状態に回動すればよい。
また、サイズの異なる連結材、例えば、連結材71の幅方向寸法より小さい連結材を連結するには、図13Bのアタッチメント73Bを第1挟持板10の係合凹部17に係合させるとともに、このアタッチメント73Bに幅寸法の小さい連結材を嵌め込んだのち、第2挟持板20を第1挟持板10に対して伏した状態に回動すればよい。
【0040】
(第3変形例)
第2変形例では、矩形輪状に形成された連結材70を、この連結材70の幅方向の孔寸法より僅かに小さい長さ寸法を有する直方体形状のアタッチメント73を用いて連結するようにしたが、矩形輪状に形成された連結材70を2つに分割し、その一方に引掛孔7を形成するとともに、他方を一方に対して着脱可能に係合できるように構成してもよい。
例えば、図14に示すように、中央に矩形状の引掛孔7を有し、両端に係合溝76を有する第1連結片70Aと、矩形輪状の長辺側の一方を切り欠いた開口端に係合部77を形成したC字形状の第2連結片70Bとから構成し、第2連結片70Bの係合部77を第1連結片70Aの係合溝76に着脱可能に係合するようにしてもよい。
このようにすれば、予め、ベルトの先端をループ状に縫製した状態であっても、ベルトの先端のループに第2連結片70Bを通すことができる利点がある。
【0041】
(第4変形例)
前記実施形態および前記各変形例では、1つの連結材は、1つの連結具に連結される構造であったが、1つの連結材に対して2つの連結具が連結される構造にもできる。
例えば、図15に示す連結材90は、矩形板状で、一方の長辺側に沿ってベルト挿通孔6が形成され、他方の長辺側の角部に引掛孔7A,7Bがそれぞれ形成されている。図16に示すように、これらの各引掛孔7A,7Bを異なる連結具1に連結すれば、3本のベルトなどを交差して連結できるので、より自在なベルトの利用が可能である。
【0042】
(第5変形例)
前記実施形態では、第1挟持板10に突起16を一体成形し、この突起16に係合部30を形成するとともに、第2挟持板20に係合部30と係合する一対のスライド部材41A,41Bを有する被係合部40を構成したが、これに限らず、他の構造の被係合部でもよい。
例えば、図17に示すように、第1挟持板10の幅方向(連結方向軸線Lに対して略直交する方向)に沿って突条16Aを一体成形し、この突条16Aの先端に係合部30Aを形成するとともに、第2挟持板20の幅方向(連結方向軸線Lに対して略直交する方向)に沿って突条16Aと係合する被係合部40Aを形成する。係合部30Aは、先端に頭部が軸部よりも大きくなったやじり状に形成されている。被係合部40Aは、開口よりも奥部が広くなった蟻溝形状に形成されている。これにより、第2挟持板20が第1挟持板10に対して伏した状態に回動されると、係合部30Aは、被係合部40Aの開口より奥へ入って蟻溝状の被係合部40Aに係合される。
このようにすれば、被係合部40Aを極めてシンプルな構造に形成できる。
【0043】
(第6変形例)
前記実施形態では、第2挟持板20に一対のスライド部材41A,41Bを有する被係合部40を設けたが、被係合部40の構造については、これに限らず、他の構成であってもよい。
例えば、第2挟持板20に少なくとも1つのスライド部材41Bをスライド可能に配置し、このスライド部材41Bの弾性脚片48の先端に当接する当接壁を収容部23内に形成し、スライド部材41Bがスライド方向の一方向(スライド部材41Bが収容部23から外部へ突出する方向)へ付勢された構造であってもよい。この場合、スライド部材41Bが突出された状態において、スライド部材41Bの開口43が係合部30と係合する。
【0044】
このような構成において、第2挟持板20を第1挟持板10に対して伏した状態に回動すると、係合部30にスライド部材41Bの開口43がずれた状態で当接される。更に、第2挟持板20を第1挟持板10に向かって回動すると、開口43が係合部30に一致する方向へスライド部材41Bがスライドされる。こののち、係合部30が開口43を突き抜けたのち、スライド部材41Bが元の位置に復帰されることにより、開口43と係合部30とが係合される。このような構成であれば、簡単な構造で、前記実施形態と略同様な効果が期待できる。
なお、この変形例の場合、開口43については、図3〜図5で矩形状の孔として形成されているが、必ずしも、周囲が閉じた孔でなくてもよく、一部が開口された凹状の形状であってもよい。
【0045】
(第7変形例)
前記実施形態および変形例では、同一構造の一対の保持具A,Bを備える構成であったが、一対の保持具のうち、一方を前記実施形態および変形例で説明した構造、つまり、第1挟持板10と、第2挟持板20と、係合部30,30Aと、被係合部40,40Aを備える構造とし、他方をベルトを挿通させて連結可能なリング状の構造であってもよい。
例えば、図18に示すように、一方の保持具Bを、第1挟持板10と、第2挟持板20と、係合部や被係合部(図示省略)を備える構造とし、他方の保持具A’をベルトを挿通し連結可能なリング状構造としてもよい。保持具A’は、幅方向中央部が連結軸50を介して保持具Bに回動可能に連結された枠体100と、この枠体100の内部に設けられベルトが挿通して連結されるベルト挿通孔101とを備える。ベルト挿通孔101の幅寸法が異なるものを数種類用意しておけば、簡単な構成で幅寸法の異なるベルトにも適用できる。
【0046】
(その他の変形例)
前記実施形態では、一対の保持具A,Bと、この一対の保持具A,Bを連結し、かつ、この連結方向軸線Lを中心に各保持具A,Bを回動可能に保持する連結部材Cとを含んで構成したが、連結部材Cを別体として設けなくてもよい。例えば、一対の保持具A,Bのいずれか一方に連結軸を一体に形成するとともに、他方に連結軸が嵌合する連結軸嵌合孔を形成しても、同様な効果が期待できる。
【0047】
前記実施形態および変形例では、第1挟持板10に突起16や突条16Aを一体成形し、この突起16や突条16Aに係合部30,30Aを形成するとともに、第2挟持板20に係合部30,30Aが係合する被係合部40,40Aを構成したが、これらは逆であってもよい。つまり、第2挟持板20に突起16や突条16Aを一体成形し、この突起16や突条16Aに係合部30,30Aを形成するとともに、第1挟持板20に係合部30,30Aが係合する被係合部40を構成しても、同様な効果が期待できる。
【0048】
また、連結する部材としては、帯状のベルトに限らず、幅がない細い紐であってもよい。
また、これらのベルトや紐の先端に連結材を取り付けることなく、ベルトや紐の先端を輪状にし、この輪状部分を連結具1の突起16に引っ掛けて連結するようにしてもよい。
前記実施形態では、第1挟持板10および係合部30、あるいは、第2挟持板20を金属のダイカスト成形によって製造したが、これに限らず、合成樹脂によって成形してもよい。あるいは、被係合部40を構成する2枚のスライド部材41A,41Bを合成樹脂の射出成形によって成形したが、これに限らず、金属などで形成してもよい。
【0049】
以上、本発明に関して、好適な実施形態および各種の変形例を挙げたが、これらを適宜組み合わせて構成してもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば、バッグ類のベルトや紐を着脱するための連結具として好適であるが、その他どのような用途にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態の連結具を示す斜視図である。
【図2】前記実施形態において、一方の保持具を回転させた状態を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態の分解斜視図である。
【図4】前記実施形態の第2挟持板を水平方向へ切断した状態の断面図である。
【図5】図4の状態から、スライド部材を押し込んだ状態の断面図である。
【図6】図1のVI-VI線断面図である。
【図7】図6の断面図において、第2挟持板と突起とを分離した状態の断面図である。
【図8】前記実施形態において、連結材を連結する様子を示す一部破断の側面図である。
【図9】本発明の第1変形例(逆T字形連結材)を示す図である。
【図10】本発明の第1変形例(長方形連結材)を示す図である。
【図11】本発明の第1変形例(円盤形連結材)を示す図である。
【図12】本発明の第2変形例を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2変形例で用いられるアタッチメントを示す斜視図である。
【図14】本発明の第3変形例を示す斜視図である。
【図15】本発明の第4変形例(異なる形状の連結材)を示す斜視図である。
【図16】前記第4変形例の連結材を用いた使用例を示す斜視図である。
【図17】本発明の第5変形例を示す斜視図である。
【図18】本発明の第7変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1…連結具、10…第1挟持板、14…支軸、20…第2挟持板、30,30A…係合部、31…首部、32…頭部、40,40A…被係合部、41A,41B…スライド部材、42…スライド片、45…挟持部、46…操作部、48…弾性脚片、50…連結軸、A,A',B…保持具、C…連結部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに回動可能に連結された一対の保持具A,Bを備え、
前記一対の保持具A,Bのうち少なくとも一方の保持具は、第1挟持板10と、この第1挟持板10に対して起伏可能に支持された第2挟持板20と、前記第1挟持板10および前記第2挟持板20の互いに対向する面のいずれか一方に設けられた突起状の係合部30,30Aと、前記第1挟持板10および前記第2挟持板20の互いに対向する面のいずれか他方に設けられ前記係合部30,30Aと係合する被係合部40,40Aとを含む、ことを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記一対の保持具A,Bを連結し、かつ、この連結方向軸線を中心に前記各保持具A,Bを回動可能に支持する連結部材Cを備え、
前記連結部材Cは、両端部に前記一対の保持具A,Bを回動可能に支持した連結軸50によって構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
前記係合部30は、前記第1挟持板10および前記第2挟持板20の互いに対向する面のいずれか一方に設けられた突起16の先端に、突起16の軸と直交する方向の寸法が大きくなった頭部32を有し、
前記被係合部40は、前記第1挟持板10および前記第2挟持板20のいずれか他方にスライド可能に設けられた少なくとも1つのスライド部材41Bを有し、
前記スライド部材41Bは、スライド方向の一方向へ付勢され、かつ、付勢された状態において前記係合部30の頭部32が入り込み、頭部32と係合する開口43を有する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の連結具。
【請求項4】
前記被係合部40は、前記第1挟持板10および前記第2挟持板20のいずれか他方にスライド可能に設けられた一対のスライド部材41A,41Bを有し、
前記一対のスライド部材41A,41Bは、互いに重ね合わされた状態でスライド可能に設けられた一対のスライド片42と、この各スライド片42に一体形成されこれら一対のスライド片42を互いに離間する方向へ付勢する弾性脚片48と、前記各スライド片42に設けられ前記弾性脚片48によって一対のスライド片42が互いに離間する方へ付勢された状態において前記第1挟持板10および前記第2挟持板20のいずれか他方から突出する操作部46と、前記各スライド片42に設けられ前記弾性脚片48によって一対のスライド片42が互いに離間する方向へ付勢された状態において前記係合部30と係合する挟持部45とを有する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の連結具。
【請求項5】
前記第2挟持板20は、前記第1挟持板10に前記連結方向軸線に対して略直交する支軸14を支点として起伏可能に支持されている、ことを特徴とする請求項2に記載の連結具。
【請求項6】
前記一対の保持具B,A’のうち他方の保持具A’は、ベルトを連結可能なリング状に形成されている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−131606(P2009−131606A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231888(P2008−231888)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】