説明

連結機構

【課題】連結と切り離しをスムーズに行うことができる連結機構を提供する。
【解決手段】回転動力を出力できる駆動側ユニット1と、駆動側ユニット1から回転動力の伝達を受けて往復動を行う押圧部材48を有する被動側ユニット2とを回転動力伝達可能に連結する連結機構であって、駆動側ユニット1には、回転動力源11と駆動力出力部材19との間に常態においては「断」となるクラッチ機構と、クラッチ機構が「断」の常態においては、駆動力出力部材19を原位置に復帰させるネジリコイルバネ193が設けられ、被動側ユニット2には、駆動力出力部材19に連結および取り外し自在に係合する連結部材43と、この連係部材43の回転動により往復動する押圧部材48が設けられ、駆動力出力部材19と連結部材43との連結が解除されると、連結部材43は駆動力出力部材19に連結可能な位相に復帰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連結機構に関するものであり、詳しくは、駆動力を出力する出力部を備える一方側と、該一方側から取り外し可能であってかつ前記一方側が出力する駆動力の伝達を受ける伝達部を有するとともにこの駆動力を継および断できる他方側との連結機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転動力源を有し外部に回転動力を出力する回転動力ユニットと、外部から回転動力の伝達を受けて何らかの所定の動作を行う被動側ユニットとの間を、回転動力伝達可能に接続する構成としては、例えば軸継手やクラッチなどが用いられる。そして、回転動力ユニットと被動側ユニットの間を、回転動力の伝達を断続可能に接続するものとしては、各種クラッチが知られている。しかしながら、一般的にクラッチは、回転動力の伝達を断続することはできるが、駆動軸と被動軸とを物理的に容易に分離や結合したりすることはできない。換言すると、回転動力ユニットと被動側ユニットとを容易に分離したり結合したりすることは困難である。
【0003】
ところで、最近の掃除機には、集塵室内に溜まったゴミや塵埃を、物理的に圧縮してその体積を減少させる機構を有するものがある(特許文献4〜6)参照。前記各特許文献に記載の構成は、集塵室内に設けられる上板などの板状の部材を下降させることによって、集塵室内のゴミや塵埃を圧縮するものである。そして上板などの下降動作は、手動で(例えばボタンを押すことにより)行うものである。
【0004】
このため、このようなゴミや塵埃を圧縮する動作を自動的に行わせたいという要望がある。併せて、集塵室のネットに付着したゴミや塵埃を除去し、これにより電気掃除機のゴミや塵埃の吸引力を低下させないようにしたいという要望もある。
【0005】
また、最近の電気掃除機には、フィルタに付着したゴミや塵埃を電気的動力源によって自動的に掻き落とす機構を有するものがある(特許文献1〜3参照)。フィルタに付着したゴミや塵埃を掻き落とすことにより、電気掃除機の使用を続けても、その性能(すなわちゴミや塵埃の吸引力)を維持することができる。
【0006】
しかしながら、集塵室内に溜まったゴミや塵埃の圧縮、および集塵室のネットに付着したゴミや塵埃を電気的動力源によって自動的に行うには、次のような問題を有する。すなわち、集塵室はゴミや塵埃が溜まるスペースであるため、溜まったゴミや塵埃によって汚れやすい。このためユーザは、集塵室の汚れ度合が高くなった場合には、集塵室を電気掃除機から取り外して洗浄したいと考えることがある。しかし、電気動力源は一般に水濡れを嫌うことから、集塵室に電気動力源を有するゴミや塵埃の圧縮や除去する機構が設けられると、集塵室を水洗することが困難となる。
【0007】
そこで、電気動力源(すなわち水濡れを嫌う部材や機構)は掃除機本体に配設され、水に濡れても問題のない部材や機構は集塵室に配設される構成とすることが望まれる。しかしながら前記のとおり、例えば一般的にクラッチは、回転動力の伝達を断続することはできるが、駆動軸と被動軸とを物理的に容易に分離や結合したりすることはできない。すなわち、電気動力源を有する駆動ユニットと、集塵室内に溜まったゴミや塵埃を圧縮や除去する被動ユニットとを容易に分離したり結合したりすることは困難である。
【0008】
【特許文献1】特開2005−13312号公報
【特許文献2】特開2005−58641号公報
【特許文献3】特開2005−190056号公報
【特許文献4】特開2005−177289号公報
【特許文献5】特開2004−298494号公報
【特許文献6】特開2004−298495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、動力源を有する駆動ユニットと、駆動ユニットから駆動力の伝達を受けて所定の動作を行う被動ユニットとの間において、連結および取り外しが容易な連結機構を提供すること、または、動力源を有する駆動ユニットと、駆動ユニットから駆動力の伝達を受けて所定の動作を行う被動ユニットとが物理的に離れた状態から、容易に駆動力を伝達可能に連結できる連結機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
動力源と該動力源の駆動力を出力する出力部とを備えた駆動部を備えた一方側と、該一方側が所定の位置に取り付けおよび所定の位置から取りはずし自在に設けられた他方側とを有し、該他方側には、前記一方側が前記所定の位置に取り付けられたとき、前記出力部が係合して駆動力が伝達されるとともに前記一方側が前記所定の位置から取り外されたときに前記出力部が脱離される伝達部を有し、前記駆動部には、前記動力源と前記出力部との間に、前記動力源から前記出力部への駆動力を継および断するクラッチ部と、該クラッチ部が前記断されたとき、前記出力部を前記伝達部と係合可能な位置に復帰させる復帰部材を有し、前記出力部と前記伝達部とが前記離脱されると前記クラッチ部が前記断されて前記出力部が原位置に復帰されることにより、前記一方側が前記他方側の所定の位置に取り付けられるときに原点位置に復帰した前記伝達部と係合可能に構成されていることを要旨とするものである。
【0011】
ここで、前記出力部材を軸方向の一方に移動して前記クラッチを継するとともに前記出力部材を軸方向の他方に移動して前記クラッチ部を断するように構成するとともに前記クラッチ部が前記断となる方向に前記出力部材を付勢する付勢部材を有し、前記一方側が前記他方側の所定の位置から取り外されることにより、前記付勢部材によって前記出力部が他方に移動して前記クラッチ部が前記断となるとともに、前記一方側が前記他方側の所定の位置に取り付けられることにより、前記付勢部材に抗して前記出力部材が一方に移動して前記クラッチ部が前記継となることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、駆動力を出力する出力部を備えた一方側と、この一方側から駆動力の伝達を受ける他方側とが、所定の位置に取り付けおよび所定の位置に取り外し自在に設けられる。すなわち、前記一方側と前記他方側とを、物理的に連結および取り外しを行うことができる。このため、一方側と他方側とを分離および連結可能なユニット化することができる。例えば、水濡れさせたくない部材等は前記一方側のユニットに配設され、水濡れしてもよい部材等は前記他方側のユニットに配設される構成にすることができる。
【0013】
また、クラッチ機構が「断」の状態にあるときには、出力部を原位置に復帰させる部材を有し、前記他方側の所定の位置に取り付けられるときに原点位置に復帰した前記伝達部と係合可能に構成されているから、前記一方側と前記他方側との連結を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態にかかる連結機構を有する一方側(動力源を備える側)の構成を、模式的に示した分解斜視図である。以下、この動力源を備える一方側を「駆動側ユニット」と称し、他方側を「被動側ユニット」と称することがある。
【0016】
この駆動側ユニット1は、回転動力源11と、ウォーム12と、ウォーム軸受け13と、ウォームホイール14と、第一の歯車15と、第二の歯車16と、第三の歯車17と、第四の歯車18と、駆動力出力部材19と、第四の歯車18と駆動力出力部材19との間のクラッチ機構と、その他の所定の部材とを備える。さらにケーシング(第一のケーシング部品21と第二のケーシング部品22)と、第一の回転軸211と、第二の回転軸212と、第三の回転軸221とを備える。
【0017】
回転動力源11が生成する回転駆動力は、ウォーム12と、ウォームホイール14と、第一の歯車15と、第二の歯車16と、第三の歯車17と、第四の歯車18と、クラッチ機構とを介して、駆動力出力部材19に伝達される。そして駆動力出力部材19に伝達された回転駆動力は、この駆動力出力部材19を介して外部に伝達できる。
【0018】
駆動側ユニット1の具体的な構成は次のとおりである。
【0019】
駆動側ユニット1の回転動力源11には、各種電動機など、公知の各種回転動力源が適用できる。この回転動力源11の回転軸(駆動軸)111には、ウォーム12が接続される。ウォーム12は、その先端がウォーム軸受け13により回転可能に支持されるとともに、ウォームホイール14と噛合する。そしてウォーム12とウォームホイール14とにより、回転動力源11の回転方向が略90°変換される。
【0020】
ウォームホイール14と第一の歯車15とは、同軸状に配設されるとともに、一体に回転するように構成される。例えばこのウォームホイール14と第一の歯車15は、樹脂材料により一体に成形される。そして共通の軸孔151に第一のケーシング部品21に設けられる第一の回転軸211が挿通され、この第一の回転軸211により回転可能に支持される。
【0021】
第一の歯車15は第二の歯車16と噛合する。第二の歯車16は第三の歯車17と同軸に配設されるとともに、一体に回転するように構成される。例えば第二の歯車16と第三の歯車17は、前記ウォームホイール14と第一の歯車15と同様に、例えば樹脂材料などにより一体に成形される。そして第二の歯車16と第三の歯車17の共通の軸孔171に、第一のケーシング部品21に設けられる第二の回転軸212が挿通され、第二の回転軸212より回転可能に支持される。
【0022】
第三の歯車17は第四の歯車18と噛合する。このため、回転動力源11が生成した回転動力は、ウォーム12と、ウォームホイール14と、第一の歯車15と、第二の歯車16と、第三の歯車17とを介して第四の歯車18に伝達される。
【0023】
第一の歯車15のピッチ円直径は、ウォームホイール14のピッチ円直径よりも小さく設定される。第三の歯車17のピッチ円直径は、第二の歯車16のピッチ円直径よりも小さく設定される。すなわち、ウォームホイール14と第一の歯車15の結合体および第二の歯車16と第三の歯車17の結合体は、いずれも被動歯車のピッチ円直径が駆動歯車のピッチ円直径よりも小さく設定される。したがって、回転動力源11が生成する回転動力は、減速されて第四の歯車18に伝達される。
【0024】
また、回転動力源11と第四の歯車18との間には、回転動力源11の側にウォーム12が配設され、第四の歯車18の側にウォームホイールが配設されるような組合せが存在する。このため、通常は回転動力源11が生成する回転駆動力を第四の歯車18に伝達することができるが、第四の歯車18を外力(回転動力源11の回転によらない駆動力をいう)により回転させることはできない。
【0025】
ただし、第四の歯車18が外力により回転できない構成である必要はない。例えば、ウォーム12に進ミ角の大きいもの(例えば二条以上のウォーム)を適用し、第四の歯車18の側(すなわちウォームホイール14の側)からウォーム12を回転させられるような構成であってもよい。
【0026】
第四の歯車18と駆動力出力部材19との間にはクラッチ機構が構成される。
【0027】
第四の歯車18の具体的な構成は次のとおりである。図1(特にa矢視図参照)に示すように、第四の歯車18は底の浅い円形のトレイ状の形状または底の浅い円筒容器状の形状を有している。そしてトレイの側壁(縁)または円筒容器の筒部に相当する部分の外周面には、第三の歯車17と噛合するための歯(すなわち第四の歯車18の歯)が形成される。また、トレイまたは円筒容器の底面に相当する面からは、円筒状の軸受け部181が、トレイの側壁(縁)または円筒容器の筒部に相当する部分に同心で、かつトレイまたは円筒容器の開口部から突出する長さを有するように形成される。
【0028】
また、第四の歯車18のトレイの内側または円筒容器の内側に相当する領域には、クラッチの爪182が形成される。クラッチの爪182は、図1(特にa矢視図参照)に示すように、第四の歯車18の内周面から中心に向かって延びる襞状の部位であり、これらの複数のクラッチの爪182が円周方向に略等間隔に配列される。
【0029】
なお、クラッチの各爪182の半径方向の一端はトレイまたは円筒容器の側壁または筒部に相当する部分の内周面に達しているが(換言すると、クラッチの各爪182がトレイまたは円筒容器の側壁または筒部に相当する部分の内周面から生えるような構成を有するが)、他端(すなわち中心側の端部)は軸受け部181の外周に達しておらず、クラッチの各爪182の他端と軸受け部181の外周面との間には所定の隙間が形成される。
【0030】
さらにクラッチの各爪182の軸線(ここでいう軸線とは、第四の歯車18の回転軸の軸線をいう)方向端部は、先細り形状、例えば断面略錐状や断面略円弧状に形成される。
【0031】
駆動力出力部材19は、第一の部品191と、第二の部品192と、ネジリコイルバネ193とからなる。
【0032】
第一の部品191は、略円盤形状の部分1911の片側表面に、当該円盤形状の部分1911の面の法線方向に突出するクラッチの複数の爪1912と、同じ側の片側表面に円盤に同心に突出する軸受け部1913とが形成される。
【0033】
クラッチの爪1912は、円盤形状の部分1911の半径方向に長く形成される薄い板状の部分であり、所定の数の複数のクラッチの爪1912が円盤形状の部分1911の円周方向に、略等間隔に配設される。換言すると、第一の部品191は、円盤形状の部分1911の片側表面に歯を有するクラウンギア的(但し歯車ではなくクラッチ)な構成を有する。
【0034】
軸受け部1913は、中空の円筒状に形成される部分であり、第四の歯車18の軸受け部181を挿入して回転可能に支持することができる。すなわち、第四の歯車18の軸受け部181の先端を挿入し、挿入した状態で、第四の歯車18と駆動力出力部材19の第一の部品191とが各軸受け部181,1913の中心を共通の中心として相対的に回転することができる。
【0035】
また、第一の部品191の軸受け部1913に形成される穴は、開口部側においては前記第四の歯車18の軸受け部181を挿入可能な径に形成され、その穴の奧においては、第二のケーシング部品22に配設される第三の回転軸221の先端を挿入可能な径に形成される。すなわち、第一の部品191の軸受け部1913に形成される穴は、開口部側において内径が大きく、奧部において内径が小さい。そして第三の回転軸221が軸受け部1913の奧の内径が小さい部分に挿入された状態においても、第一の部品191および第四の歯車18は回転できる。
【0036】
換言すると第一の部品191は、第二のケーシング部品22に設けられる第三の回転軸221により回転可能に支持される。さらに第一の部品191は、第三の回転軸221に第四の歯車18が回転可能に支持された状態において、第一の部品191の軸受け部1913に形成される穴に、第三の回転軸221の先端および第四の歯車18の軸受け部181を挿入できる。そしてこの状態において、第一の部品191は、第三の回転軸221の軸線方向に往復動できる。
【0037】
また、第一の部品191の円盤状の部分1911の外周には、半径方向に突出する回り止め片1914が設けられる。この回り止め片1914は、駆動力出力部材19の回転量(回転角)を規制する部分である。図1においては扇状の形状を有する構成を示すが、この回り止め片1914の寸法形状は、駆動力出力部材19の回転量を規制できる寸法形状であれば特に限定されるものではない。なお、回り止め片1914の具体的な機能については後述する。
【0038】
また、第一の部品191の円盤状の部分1911の反対側の表面には、円盤状の部分1911に略同軸状に突出する嵌合部1915が形成される。この嵌合部1915は後述する第二の部品192と結合するための部分であり、所定の断面形状を有する。
【0039】
駆動力出力部材19の第二の部品192は、外径が異なる円柱または円筒状の部分が同軸状に連なるような形状を有する部品である。具体的には外径が最も大きい円盤状(円柱または円筒状)の部分1921と、その一端面から同軸状に突出する嵌合部1922と、その他端面から同軸状に突出する連結部1923とを有する。なお、嵌合部1922および連結部1923の外径は、前記円盤状の部分1921より小さく設定される。
【0040】
第二の部品192の嵌合部1922には、第一の部品191の嵌合部1915を嵌合可能な嵌合穴が形成される。また、第二の部品192には、回り止め片1924およびネジリコイルバネ固定片1925が、外径の大なる円盤状の部分1921から嵌合部1922と同じ向きに突出するように形成される。第二の部品192の回り止め片1924は、第一の部品192に設けられる回り止め片1914と略同じ寸法形状を有する。ネジリコイルバネ固定片1925は、外径の大なる円盤状の部分1921の外周に沿って形成される、所定の円周方向長さを有する側壁状の部分である。そして、嵌合部1922と同じ向きに突出する。
【0041】
なお、回り止め片1924とネジリコイルバネ固定片1925は、外径の大なる円盤状の部分1921に、円周方向に近接して形成される。換言すると、回り止め片1924とネジリコイルバネ固定片1925との間に僅かな隙間が形成される。この隙間の寸法は、後述するネジリコイルバネ193の延出部を挿入できる寸法であればよい。
【0042】
連結部1923は、略円柱状または円筒状に部分である。そしてその先端には、他方のユニット(被動側ユニット)の連結部(後述)と係合可能な構造に構成される。例えば図に示すように、連結部1923の先端面には断面略方形の凹部1926が形成される。そして他方のユニット(被動側ユニット)の連結部の凸部(後述)がこの凹部1926に係合することにより、回転動力を他方側(被動側ユニット)に伝達することができる。
【0043】
ネジリコイルバネ193は、その両端が半径方向外側に向かって延出する延出部1931を有しており、さらに各延出部1931の先端は、略円周方向に曲げられており、カギ部1932を構成する。なお、両端のカギ部1932は、互いに向きあう(または背反する)向きに曲げられる。
【0044】
さらにクラッチ機構は、圧縮コイルバネ201を有する。この圧縮コイルバネ201は、その軸線方向に圧縮する外力に対して反発する力を有するバネである。その内径は、第一の部品191の軸受け部1913の外径より大きく、第四の歯車18および第一の部品191のクラッチの爪182,1912の内径より小さい径であればよい。すなわち、第一の部品191の軸受け部1913とクラッチの爪182,1912の内周面側端部との間に遊嵌できる内径と外径であればよい。
【0045】
駆動力出力部材19の組み付け構造は次のとおりである。
【0046】
図2は、ネジリコイルバネ193が第二の部品などの所定の部品・部材と係合した状態を示した平面図である。なお、それぞれ図2(a)は、常態を示した図、図2(b)は、ネジリコイルバネ193の付勢力に抗してネジリコイルバネ193が捻られた状態(換言すると駆動力出力部材19の第二の部品192が回転させられた状態)を示した図である。
【0047】
まず、第二の部品192の嵌合部1922に、ネジリコイルバネ193が遊嵌される。そしてネジリコイルバネ193の両端の延出部1931の間に、ネジリコイルバネ固定片1925が位置するように係合される。この際、ネジリコイルバネ193に捻り(円周方向の力)が加えられ、(すなわち、所定の角度だけ捻られ)、ネジリコイルバネ193の両端の延出部1931がネジリコイルバネ固定片1925に付勢されて挟まれるとともに、各延出部1931の先端のカギ部1932どうしがネジリコイルバネ固定片1925を挟んで向きあう(突き合う)ようにされる。
【0048】
このようにすると、ネジリコイルバネ193の両端の延出部1931の一方は、回り止め片1924とネジリコイルバネ固定片1925の隙間から外部に突出することになる。
【0049】
そして第一の部品191の嵌合部1915が第二の部品192の嵌合部1922に嵌合される。これによりネジリコイルバネ193は、第二の部品192の嵌合部1922に遊嵌されるとともに、その軸線方向両端は、第一の部品191の円盤状の部分1911と第二の部品192の外径の大なる円盤状の部分1921に挟まれるように支持される。したがって、ネジリコイルバネ193は、駆動力出力部材19から脱落しなくなる。
【0050】
また、第二の部品192のネジリコイルバネ固定片1925の先端は、第一の部品191の円盤状の部分1911の円盤面に略当接する。このため、各延出部1931の先端のカギ部1932がネジリコイルバネ固定片1925を挟んで向きあう状態が保持される。
【0051】
そして、このような構成によれば、ネジリコイルバネ193の延出部1931のうち、ネジリコイルバネ固定片1925と回り止め片1924との隙間から外に突出する側は、円周方向にはほとんど移動できず、略固定された状態となる。すなわち、この延出部1931は、ネジリコイルバネ固定片1925と回り止め片1924との隙間に挟まれるような構成となるため、円周方向への移動がほとんどできない。
【0052】
これに対して他方の延出部1931は、円周方向に力が加えられることにより、ネジリコイルバネ193が捻られ、ネジリコイルバネ固定片1925から離れる向きに移動することができる(すなわち図2(b)に示す状態となることができる)。そしてこの力を除去すると、この延出部1931はネジリコイルバネ193の付勢力によって、元の位置(すなわちネジリコイルバネ固定片1925に当接する位置であって、図2(a)に示す常態)に戻る。
【0053】
図1に戻って説明すると、駆動側ユニット1のケーシングは、第一のケーシング部品21と第二のケーシング部品22とからなる。
【0054】
第一のケーシング部品21には、回転動力源11を収容し固定できる回転動力源収容部213と、ウォーム軸受け13を支持するウォーム軸受け支持部214と、駆動力出力部材19の第二の部品192の連結部1923を挿通可能な挿通孔(図1においては隠れて見えない。なお、説明の便宜上、符号「215」を付す)が形成される。また、この挿通孔215の第一のケーシング部品21の内面側には、駆動力出力部材19の第二の部品192の外径が大なる円盤状の部分1921を遊嵌できる遊嵌部216が形成される。
【0055】
換言すると、駆動力出力部材19の第二の部品192の外径が大なる円盤状の部分1921を遊嵌できる円筒の遊嵌部216が形成され、遊嵌部216の底面にはこの外径が大なる円盤状の部分1921の外径より小さく連結部1923の外径より大きい直径の挿通孔215が形成される。
【0056】
さらに、第一のケーシング部品21の内面側であって、遊挿部216の外周の所定の位置には、駆動力出力部材位置決め片217と駆動力出力部材回転角度規制片218とが形成される。
【0057】
駆動力出力部材位置決め片217は、本駆動側ユニット1が動作していない間において、駆動力出力部材19の連結部1923の端面に設けられる凹部1926が常に所定の角度にあるようにするためのものである。換言すると、本駆動側ユニット1が作動していない状態において、第一のケーシング部品21と駆動力出力部材19の円周方向位置(位相)を所定の位置(角度、位相)関係に保持するためのものである。
【0058】
駆動力出力部材位置決め片217の具体的な形状は特に限定されるものではないが、例えば図1に示すように、遊嵌部216の外周に沿うように円弧状の立壁状に形成される。半径方向寸法(すなわち駆動力出力部材位置決め片217の厚さ)は、駆動力出力部材19の第二の部品192の外径の大なる円盤状の部分1921を、この遊嵌部216に遊嵌した際に、ネジリコイルバネ193の延出部1931のカギ部1932が、駆動力出力部材位置決め片217の円周方向の両端に引っ掛かることができる寸法であればよい。
【0059】
また、駆動力出力部材位置決め片217の円周方向寸法(すなわち長さ)は、駆動力出力部材19の第二の部品のネジリコイルバネ固定片1925の円周方向長さと略同じ長さでよい。
【0060】
駆動力出力部材回転角度規制片218は、駆動側ユニット1が作動する際において、駆動力出力部材19の回転する量(回転角)を規制するためのものである。具体的には、駆動力出力部材19の第一の部品191および第二の部品192に設けられる回り止め片1914,1924と係合することによって、駆動力出力部材19の回転が規制させられる。
【0061】
このほか第一のケーシング部品21には、第一の軸211と第二の軸212が設けられる。第一の軸211は、ウォームホイールと14と第一の歯車15の結合体の共通の軸孔151に挿入される部材である。そしてウォームホイールと14と第一の歯車15の結合体を回転自在に支持する。第二の軸212は、第二の歯車16と第三の歯車17の結合体の共通の軸孔171に挿入される部材である。そして、第二の歯車16と第三の歯車17の結合体を回転自在に支持する。
【0062】
ウォーム軸受け支持部214は、前記のとおりウォーム軸受け13を第一のケーシング部品21に固定する部位である。その寸法形状はウォーム軸受け13の寸法形状に応じて設定される。要は、ウォーム軸受け13を第一のケーシング部品21に固定できればよい。
【0063】
第二のケーシング部品22には、第三の軸221が設けられる。この第三の軸の中心線は、第一のケーシング部品21と第二のケーシング部品22とを設計どおりに結合させた状態において、第一のケーシング部品21に設けられる挿通孔215および遊嵌部216の中心線に一致するように設定される。このほか第二のケーシング部品22には、第一の軸211および第二の軸212の先端部が係合する係合凹部が形成される。
【0064】
上記各部材を有する駆動側ユニット1の組み付け構造は、次のとおりである。
【0065】
前記のとおり組み付けられた駆動力出力部材19の連結部1923が第一のケーシング部品21の挿通孔215に内側から外側に向かって挿通され、外径の大なる円盤状の部分1921が遊嵌部216に収容される。この際に、ネジリコイルバネ193の両端の延出部1931が、駆動力出力部材固定片1925を挟むように配設される。なお、駆動力出力部材固定片1925の寸法は前記のとおりである。但し実際には、駆動力出力部材19を第一のケーシング部品21に収納された状態において、延出部1931と駆動力出力部材固定片1925との間に多少のクリアランスがあってもよい。また、二本の延出部1931により付勢されて挟まれる状態にあってもよい。
【0066】
このようにすると、駆動力出力部材19の回り止め片1924と、駆動力出力部材位置決め片217とがすでに近接した状態となる。したがって、駆動力出力部材19は、駆動力出力部材19の回り止め片1924が駆動力出力部材位置決め片217に接近する向きにはほとんど回転させることができない。
【0067】
一方、駆動力出力部材19の回り止め片1924が駆動力出力部材位置決め片217から遠ざかる向きについては、駆動力出力部材19は、回り止め片1924が駆動力出力部材回転角度規制片218に当接するまでの範囲であれば回転することができる。そして駆動力出力部材19を駆動力出力部材19の回り止め片1924が駆動力出力部材位置決め片217から遠ざかる向きに回転させると、ネジリコイルバネ193が弾性変形する。このため、駆動力出力部材19を回転させた力を除去すると、駆動力出力部材19は、ネジリコイルバネ193の力によって、ネジリコイルバネ19の両端の延出部1931が駆動力出力部材位置決め片217を挟む位置(この位置を「原位置」と称することがある)にまで自動的に戻る。
【0068】
そして駆動力出力部材19の第一の部品191の円盤状の部分1911の円盤面に、圧縮コイルバネ201が配設される。駆動力出力部材19の第一の部品191の軸受け部1913の外径は圧縮コイルバネ201の内径より小さく、各クラッチの爪1912の半径方向端部は圧縮コイルバネ201の外周より外側に位置するから、この隙間に圧縮コイルバネ201の端部を挿入することができる。
【0069】
そして第四の歯車18が、そのクラッチの爪182が形成される側の面が駆動力出力部材19の第一の部品19に形成されるクラッチの爪1912に対向する向きに配設される。第四の歯車18も、その軸受け部181の外径は圧縮コイルバネ201の内径より小さく、各クラッチの爪182の半径方向端部は圧縮コイルバネ201の外周より外側に位置するから、この隙間に圧縮コイルバネ201の端部を挿入することができる。
【0070】
また、第一のケーシング部品21の回転動力源収容部213に回転動力源11が収容されて固定される。また、回転動力源11の駆動軸111に連結されるウォーム12のウォーム軸受け13を、ウォーム軸受け支持部に支持させる。
【0071】
また、ウォームホイール14と第一の歯車15との結合体の共通の軸孔151に、第一の軸211が挿通され、ウォーム12とウォームホイール14とが噛合する。さらに第二の歯車16と第三の歯車17との結合体の共通の軸孔171には、第二の軸212が挿通される。これにより、第一の歯車15と第二の歯車16とが噛合するとともに、第三の歯車17と第四の歯車18とが噛合する。
【0072】
そして、第一のケーシング部品21と第二のケーシング部品22とが結合させられる。この際に、他方のケーシング22に配設される第三の軸221が、第四の歯車18の軸受け部181に形成される軸孔に挿通されるとともに、第三の軸221の先端が駆動力出力部材19の第一の部品191の軸受け部1913に形成される軸孔に挿入される。
【0073】
さらに、第四の歯車18と駆動力出力部材19との間に配設される圧縮コイルバネ201の付勢力に抗して第一のケーシング部品21と第二のケーシング部品22とが結合させられる。このような構成であると、圧縮コイルバネ201によって、第四の歯車18と駆動力出力部材19とが互いに離れる向きに付勢される。その結果、駆動力出力部材19は、第二の部品192の外径の大なる円盤状の部分1921が遊嵌部216に収容されるとともに、連結部1923が挿通孔215から第一のケーシング部品21の外部に突出する。
【0074】
そして、圧縮コイルバネ201の付勢力により、第二の部品192の外径が大なる円盤状の部分1921の外周縁が、挿通孔215の縁部に付勢した状態で係止する。また、前記のとおり第四の歯車と駆動力出力部材19とが互いに離れる向きに付勢されるから、第四の歯車18のクラッチの爪182と、駆動力出力部材19の第一の部品191のクラッチの爪1912は噛合しない状態に保持される。
【0075】
この状態において、第一のケーシング部品21の挿通孔215から外部に突出する連結部1923に、外部から回転させる力を加えると、前記のとおり、駆動力出力部材19は、駆動力出力部材19の回り止め片1924が駆動力出力部材位置決め片217に接近する向きにはほとんど回転させることができない。一方、駆動力出力部材19の回り止め片1924が駆動力出力部材位置決め片217から遠ざかる向きについては、駆動力出力部材19は、回り止め片1924が駆動力出力部材回転角度規制片218に当接するまでの範囲であれば回転することができる。
【0076】
そして駆動力出力部材19の連結部1923に加えた力を除去すると、ネジリコイルバネ193の付勢力によって、原位置に戻る。すなわち、駆動側ユニット1の回転動力源11を作動させない状態、または駆動力出力部材19の連結部1923に外力を加えない状態においては、連結部の円周方向角度とケーシングとの相対的な角度の関係は一定(すなわち原位置)に維持される。なお、仮にこの状態で回転動力源11を作動させても、第四の歯車18と駆動力出力部材19との間に設けられるクラッチ機構は「断」の状態にあるから、駆動力出力部材19は回転しない。
【0077】
これに対して、駆動力出力部材19の連結部1923に第一のケーシング部品21と第二のケーシング部品22の結合体の内部に押し込むような力が加えられると、圧縮コイルバネ201が圧縮変形して駆動力出力部材19の第一の部品191と第四の歯車18とが近接する。そして駆動力出力部材19の第一の部品191に設けられるクラッチの爪1912と、第四の歯車18に設けられるクラッチの爪182とが噛合し、クラッチ機構は「継」の状態となる。
【0078】
したがって、この状態においては、外部から駆動力出力部材19の連結部1923を回転させる力が加わっても、ウォーム12とウォームホイール14との噛合により、駆動力出力部材19は回転することができない。ただし、前記のように、進ミ角の大きいウォームを適用した場合には、外部から駆動力出力部材19を回転させることができる場合がある。
【0079】
なお、この状態で回転動力源11を作動させると、駆動力出力部材19は、原位置から所定の角度(すなわち駆動力出力部材回転角度規制片218に当接するまでの間)だけ回転する。
【0080】
第四の歯車18および駆動力出力部材19の第一の部品191のそれぞれのクラッチの爪182,1912の先端は、先細り形状に形成される。したがって、駆動力出力部材19に第一のケーシング部品21と第二のケーシング部品22の内部に押し込むような力が加わると、第四の歯車18に設けられるクラッチの爪182と駆動力出力部材19の第一の部品191に設けられるクラッチの爪1912とが、スムーズに噛合する。
【0081】
次に被動側ユニット4について説明する。図3は、被動側ユニット4の構成を模式的に示した分解斜視図である。
【0082】
被動側ユニット4は、第三のケーシング部品41と、第四のケーシング部品42と、連結部材43と、第五の歯車44と、第六の歯車45と、第七の歯車46と、ピニオン47と、押圧部材48と、第一のYリング432と、第二のYリング483と、第一のYリングガイド431と、第二のYリングガイド484と、第四の軸411と、第五の軸412とを備える。
【0083】
被動側ユニット4の構成と動作の概略は次のとおりである。連結部材43と第五の歯車44は一体に回転する。第六の歯車45は第五の歯車44と噛合しており、第五の歯車44の回転により被動する。第六の歯車45と第七の歯車46は同軸に配設されるとともに一体に回転する。第七の歯車46はピニオン47と噛合しており、第七の歯車46の回転に伴ってピニオン47が回転する。押圧部材48は、ラック部482と押圧部481とからなり、ラック部482にはラック4821が形成される(特にc矢視図参照)。そしてピニオン47はラック4821と噛合しており、ピニオン47の回転に伴って、押圧部材48はその軸線方向に直線運動する。
【0084】
次に被動側ユニット4の各部材の構成は次のとおりである。
【0085】
連結部材43は、円柱状または円筒状の部分を有する部材であり、円柱状または円筒状の部分の外周には、円周方向に沿って円周状の溝433が形成される。この円周状の溝433には、第一のYリング432が嵌合可能である。なお、第一のYリング432には、一般的なYリングが適用できる。また、連結部材43の軸線方向端面の一方には、駆動側ユニット1の駆動力出力部材を押圧19の連結部1923に形成される凹部1926に係合可能な凸部434が形成される。
【0086】
この凸部434の寸法形状は、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の連結部1923に形成される凹部1926の寸法形状に応じて設定される。要は、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の連結部1923に形成される凹部1926に、被動側ユニット4の連結部材43の凸部434が、回転動力を授受可能に係合できる寸法形状であればよい。なお、図においては略直方体の凸部434が形成される構成を示す。
【0087】
連結部材43の他端には、第五の歯車44が設けられる。この第五の歯車44はカサ歯車である。連結部材43と第五の歯車44は同軸に結合した構造を有する。例えば連結部材43と第五の歯車44は、樹脂材料などにより一体に成形される。また、第五の歯車44の円盤面の略中心には、位置決め用の突起(図3においては隠れて見えない。なお、説明の便宜上、符号「441」を付す)が形成される。この位置決め用の突起441は例えば断面略円柱状の部位であり、その先端は略平面に形成される。
【0088】
第一のYリングガイド431は、略方形の板状の部分4311に略円形の貫通孔が形成され、この貫通孔の縁部からその軸線方向に沿って円筒状の側壁状の部分4312が形成される部材である。換言すると、貫通孔が形成される円筒状の部分4312の外周面に、その半径方向外側に向かって略方形の板状の部分4311がフランジ状に形成される構成を有する。
【0089】
そして、連結部材43の円柱状または円筒状の部分435に形成される円周状の溝433に第一のYリングが嵌合され、当該部分435が第一のYリングガイド431の貫通孔に遊挿される。これにより連結部材43および第五の歯車44は、第一のYリングガイド431により回転可能に支持される。
【0090】
なお、連結部材43の外周面と第一のYリングガイド431との内周面との間には第一のYリング432が介在することから、連結部材43の外周面と第一のYリングガイド431の貫通孔の内周面との間を異物、塵埃、液体が通過することが防止または抑制される。
【0091】
第六の歯車45はカサ歯車であり、第五の歯車44と噛合する。これにより回転動力の回転の向きが変換される。第五の歯車44と第六の歯車45の軸角は例えば90°に設定される。
【0092】
第七の歯車46は、第六の歯車45と同軸に配設されるとともに、一体に回転する構成を備える。具体的には例えば、第六の歯車45と第七の歯車46とが樹脂材料などにより一体に成形される。そしてその回転中心には、共通の軸孔461が形成される。
【0093】
第七の歯車46には一般的な円筒歯車(具体的には例えば一般的な平歯車)が適用できる。第七の歯車46はピニオン47と噛合する。そして第七の歯車46の回転はピニオン47に伝達される。このピニオン47にも、一般的な円筒歯車(具体的には例えば一般的な平歯車)が適用できる。このピニオン47は、押圧部材48のラック部482に形成されるラック4821と噛合する。
【0094】
押圧部材48は、被動側ユニット4の外部に設けられる所定の部材を押圧して移動させる部材である。この押圧部材48は、円筒状または円柱状の押圧部481と、ラック4821が形成されるラック部482とを有する。
【0095】
押圧部481は、外径が略一定の円筒状または円柱状の部分である。この押圧部481は押圧部材48の軸線方向の往復動により、第三のケーシング部品41と第四のケーシング部品42の結合体から突出および収容される部分である。そして押圧部481の端面により、被動側ユニット4の外部に配設される所定の部材を押圧して直線動的に移動させることができる。
【0096】
押圧部材48の押圧部481には、第二のYリング483と第二のYリングガイド484が装着される。
【0097】
第二のYリング483には、一般的なYリングが適用できる。第二のYリングガイド484は略方形の板状の部分に押圧部材48の押圧部481が遊挿され貫通可能な貫通孔が形成される部材である。さらにこの貫通孔の外径よりも大きい内径を有する円筒状の部分4841が、貫通孔に同軸に形成される。
【0098】
換言するとこの第二のYリングガイド484は、軸線方向長さの短い円筒状の部分4841を有し、その軸線方向一端において、その半径方向外側に向かって略方形の板状の部分4842が設けられる。さらに同じ側の端部には、その半径方向内側に向かって内周の全周に襞状の突起4843が形成される。このため、円筒に同軸でかつ円筒の内径よりも径の小さい貫通孔が形成される構成を備える。そして第二のYリングは、円筒状の部分4841の内側に配設される。
【0099】
ラック部482は、略方形の断面を有し、四面のうちの背中合わせとなる二面には、押圧部材48の軸線方向に沿った直線状のガイド溝4822が形成される。換言すると、ラック部482は略「H」字状の断面を有する。そしてガイド溝4822が形成されない二面のうちの一方には、押圧部材48の軸線方向に連続するラック4821が形成される(特にc矢視図参照)。
【0100】
第三のケーシング部品41および第四のケーシング部品42は、所定の形状の底面を有するとともに、底面の外周縁には所定の高さの側壁が形成される。そして第三のケーシング部品41と第四のケーシング部品42とが結合されることにより、内部に空洞を有する箱状の部材、すなわち被動側ユニット4のケーシングが構成される。
【0101】
第三のケーシング部品41には、第四の軸411と、第五の軸412と、押圧部材48のラック部482のガイド溝4822に係合する凸条のガイド(図においては隠れて見えない。その構成は、後述する第四のケーシング部品42のガイド421と略同一である。なお、説明の便宜上、符号「413」を付す)とが形成される。
【0102】
また、側壁に相当する部分の所定の位置には、第一のYリングガイド431を係合できる第一のYリングガイド係合部414と、第二のYリングガイド484を係合できる第二のYリングガイド係合部415とが形成される。なお、第一のYリングガイド係合部414と第二のYリングガイド係合部415の構成については後述する。
【0103】
第四のケーシング部品42には、第四の軸411の先端が係合可能な凹部と、第五の軸412の先端が係合可能な凹部と、押圧部材48のラック部482のガイド溝4822に係合する凸条のガイド421とが形成される。また、側壁に相当する部分の所定の位置には、第一のYリングガイド431を係合できる第一のYリングガイド係合部422と、第二のYリングガイド484を係合できる第二のYリングガイド係合部423とが形成される。
【0104】
ガイド421は、押圧部材48のラック部482に形成されるガイド溝4822に係合可能な凸条の部位である。そして、ガイド溝4822とガイド21とが契合した状態において、押圧部材48は、第四のケーシングに対してガイド421の軸線方向に往復動できる。第一のYリングガイド係合部414および第二のYリングガイド係合部415の構成は、第三のケーシング部品41に形成されるものとほぼ同じである。
【0105】
このような部材を備える被動側ユニット4の組み付け構造は、次のとおりである。
【0106】
連結部材43と第五の歯車44の結合体に形成される円周状の溝433に、第一のYリング432が装着される。そして連結部材43の断面が略円筒の部分であって第一のYリング432が装着される部分に、第一のYリングガイド431が装着される。図に示すように、第一のYリングガイド431の板状の部分4311が形成される側が、第五の歯車44に近接する側に位置するように装着される。この状態において、連結部材43と第五の歯車44の結合体と、第一のYリングガイド431とは、相対的に同軸に回転可能である。
【0107】
そして、第一のYリングガイド431が、第三のケーシング部品41に形成される第一のYリングガイド係合部414に係合する。第一のYリングガイド係合部414は、第三のケーシング部品41の側壁に相当する部分の所定の位置に形成される半円状の切り欠き部4221と、側壁の内側であって切り欠き部4221の両側に(切り欠き部4221を挟むように)形成される凸条の係合片4222とからなる。これらの係合片4222は、第三のケーシング部品41の底面および側壁に相当する部分から略直角方向に突起する凸条の部分であり、互いに略平行に形成されるとともに、その間隔は、第一のYリングガイド431の板状の部分4311を嵌め込むことができる寸法に設定される。
【0108】
したがって、第一のYリングガイド431の略板状の部分4311が、前記第一のYリングガイド係合部414の二本の凸条の係合片4222の間に収まるとともに、第一のYリングガイド431の円筒状の部分4312が、ケーシングの側壁に相当する部分に形成される半円状の切り欠き部4221に嵌りこむ。このため、第一のYリングガイド431の板状の部分は、半円状の切り欠き部4221から第三のケーシングの部品41の外部に抜け出ることはない。
【0109】
また、第五の歯車44の円盤面に設けられる突起の先端が、第五の軸412の基端部に当接する。一方、第五の歯車44の外径は連結部材43の円柱状または円筒状の部分435の外径より大きく設定されており、第五の歯車44と連結部材43の円柱状または円筒状の部分435との間に段差が形成される。そして、第一のYリングガイド431の板状の部分4311が、この段差面に当接する。この結果、第五の歯車44と連結部材43の結合体は、第一のYリングガイド係合部422に係合し、軸線方向に位置決めされた状態で回転することができる。
【0110】
第六の歯車45および第七の歯車46の結合体の共通の軸孔461に第四の軸411が挿通され、ピニオン47の軸孔に第五の軸412が挿通される。これにより、第六の歯車45が第五の歯車44に噛合し、第七の歯車46がピニオンに噛合する。
【0111】
また、第二のYリング483が第二のYリングガイド484に装着され、第二のYリング483が装着された第二のYリングガイド484が、押圧部材48の押圧部481に挿通される。この状態においては、押圧部材48と第二のYリングガイド484とは、押圧部材48の軸線方向に沿って相対的に往復動可能である。
【0112】
そして、第二のYリングガイド484が装着された押圧部材48が、第三のケーシング部品41の第二のYリングガイド係合部423に装着される。
【0113】
第二のYリングガイド係合部484は、側壁に相当する部分に形成される半円状の切り欠き部4231と、側壁の内側に形成される二条のガイド溝4232とを有する。さらに半円状の切り欠き部4231は、側壁に相当する部分の外面側に形成され、曲率半径が押圧部材48の円柱状または円筒状の部分の曲率半径と略同じか僅かに大きい部分(以下、「半径が小なる部分」と称することがある)42312と、側壁に相当する部分の内面側に形成され、第二のYリングガイド484の円筒状の部分4841の外径の曲率半径と略同じかまたは僅かに大きい部分(以下、「半径が大なる部分」と称することがある)42311とを有する。
【0114】
これら二条のガイド溝4232は、いずれも略直線で、前記切り欠き部4231を挟んで互いに向きあうように形成される。
【0115】
そして、第二のYリングガイド484の板状の部分4842の平行する二辺がそれぞれガイド溝4822に挿入され、第二のYリングガイド484の円筒状の部分4841がYリングガイド係合部の切り欠き部の曲率半径が大なる部分42311に係合される。また、押圧部材48の押圧部(円柱状または円筒状の部分)481は、第二のYリングガイド係合部423の切り欠き部4221の曲率半径が小なる部分42312から、第三のケーシング部品41の外部に突出させる。
【0116】
さらに、押圧部材48のラック部482に形成されるガイド溝4822を、第三のケーシング部品41に形成されるガイド413に係合させる。これにより押圧部材48はガイド413に沿って、直線往復動ができる。そして押圧部材48がガイド413に沿って直線往復動をすると、押圧部材48の押圧部481が、第三のケーシング部品41から突出または収容される。
【0117】
このような構成によれば、連結部材43を回転させると、第五の歯車44、第六の歯車45、第七の歯車46、ピニオン47が連動して回転し、押圧部材48がガイド413に沿って直線動する。一方、押圧部材48を直線動させると、押圧部材48のラック部482の直線動に応じてピニオン47が回転し、ピニオン47の回転に連動して第七の歯車46、第六の歯車45、第五の歯車44および連結部材が回転する。
【0118】
なお、押圧部材48が往復動できる範囲は、押圧部材48が第三のケーシング部品41内に収容される向きについては、押圧部材48のラック部481の端部が、第三のケーシング部品41の側壁の内面に当接する位置までである。一方、押圧部材48が第三のケーシング部品41から突出する向きについては、押圧部材48のラック部482の他端(押圧部481とラック部482の境界の段差)が第二のYリングガイド484の板状の部分4842に当接する位置までである。このように押圧部材48は、前記二つの位置の間の範囲において往復動をすることができる。
【0119】
そして、連結部材43から押圧部材48の間には動力を断続する機構はなく、歯車(ラックも含む)のみで動力が伝達されるから、押圧部材48の位置と、各歯車および連結部材43の位相は、常に所定の関係にある。すなわち、押圧部材48の往復動を繰り返しても、押圧部材48のラック部482の端部が第三のケーシング部品41の側壁の内面に当接する位置における連結部材43の位相は、常に同一である。
【0120】
図4は、押圧部材48と連結部材43の位置および位相(回転角度)の関係を模式的に示した断面図および部分断面図である。具体的には、図4(a)は、押圧部材48が最も引きこまれた状態を示した断面図であり、図4(b)は、図4(a)の状態における連結部材43の位相(回転角度)を示した部分断面図である。また、図4(c)は、押圧部材48が最も突出した状態を示した断面図であり、図4(d)は図4(c)の状態における連結部材43の位相(回転角度)を示した部分断面図である。
【0121】
これらの図に示すように、前記のとおり、押圧部材48が最も引きこまれた状態(押圧部材48のラック部481の端部が、第三のケーシング部品41の側壁の内面にほぼ当接する位置)における連結部材43の位相は、図4(b)に示すように、常に同じである。一方、押圧部材48が最も突出した状態(押圧部481とラック部482の境界の段差が第二のYリングガイド484の板状の部分4842に当接する位置)における連結部材43の位相も、図4(d)に示すように、常に同じである。
【0122】
このように、押圧部材48の位置と、各歯車および連結部材43の位相は、常に所定の関係にある。すなわち、前記のとおり、押圧部材48の往復動を繰り返しても、押圧部材48のラック部482の端部が第三のケーシング部品41の側壁の内面に当接する位置における連結部材43の位相は、常に同一である。
【0123】
そして、第三のケーシング部品41の内部および/または外部に配設される各部材を覆うように、第四のケーシング部品42が第三のケーシング部品41に装着される。第三のケーシング部品41と第四のケーシング部品42とを結合することにより、内部に所定の部材が組み込まれた被動側ユニット4が得られる。
【0124】
このような駆動側ユニット1と被動側ユニット4の連結機構は次のとおりである。
【0125】
前記のとおり駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の連結部1923の位相は、外部から力が加わっていなければ、クラッチ機構が「断」の状態にあり、ネジリコイルバネ193により常に一定の位置に保持される。一方、被動側ユニット4の連結部材48の位相は、押圧部材48の位置に応じて定まる。そして、押圧部材48が外力により常にケーシング内部に収容される状態(厳密には、押圧部材48のラック部482の端部がケーシング(第三のケーシング部品41および/または第四のケーシング部品42)の側壁に相当する部分の内面に当接する状態)に維持されると、連結部材48の位相は、常に同じ位相に維持される。
【0126】
したがって、この状態において、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の連結部1923に形成される凹部1926と、被動側ユニット4の連結部材43に形成される凸部434とが係合する位置関係に設定されると、駆動側ユニット1と被動側ユニット4の連結と切り離しを繰り返しても、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の連結部1923に形成される凹部1926と、被動側ユニット4の連結部材43に形成される凸部434の位置関係は不変であるから、常にスムーズに連結することができる。
【0127】
そして駆動側ユニット1と被動側ユニット4とを連結する際に、互いに近接する向きに付勢する構成にすると、駆動側ユニット1に設けられる圧縮コイルバネ201が付勢力によって圧縮変形し、第四の歯車18と駆動力出力部材19の第一の部品191とが近接する。そして第四の歯車18に設けられるクラッチの爪182と、第一の部品191に設けられるクラッチの爪1912とが噛合する。
【0128】
この結果、駆動側ユニット1に設けられる回転動力源11の回転動力は、ウォーム12、ウォームホイール14、第一の歯車15、第二の歯車16、第三の歯車17、第四の歯車18、第四の歯車18と駆動力出力部材19の第一の部品191との間のクラッチ機構、駆動力出力部材19の第二の部品192を通じて、被動側ユニット4の連結部材43に伝達される。
【0129】
そして被動側ユニット4の連結部材43に伝達された回転動力は、第五の歯車44、第六の歯車45、第七の歯車46、ピニオン47を介して押圧部材48のラック部482に形成されるラック4821に伝達される。この結果、回転動力源11が生成した回転動力は、押圧部材48の直線動に変換されて外部に出力される。
【0130】
なお、被動側ユニット4の連結部材43は、押圧部材48のラック部482が第二のYリングガイド484の板状の部分4842に当接する位置までしか回転することができない。このため、前記のとおり駆動側ユニット1の駆動力出力部材19は、第一のケーシング部品ケーシング21に設けられる駆動力出力部材回転角度規制片218と、駆動力出力部材19に設けられる回り止め片1924とにより回転角度が規制され、押圧部材が前記位置に達するまでしか回転できないように構成される。
【0131】
このような構成によれば、駆動側ユニット1と被動側ユニット4の連結および切り離しを、スムーズに行うことができる。そして、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の第二の部品192と、被動側ユニット4の連結部材43の位置関係(位相関係)は常に一定に維持される。したがって、連結と切り離しを繰り返し行っても、常にスムーズに、駆動側ユニット1と被動側ユニット4の連結および切り離しを行うことができる。
【0132】
要は、駆動側ユニット1と被動側ユニット4とが離れている(連結していない)状態において、駆動側ユニット1のクラッチ機構が「断」の状態にあり、かつ駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の第二の部品192と、被動側ユニット4の連結部材43の位相が常に一致する状態に保持される構成であればよい。かつ、駆動側ユニット1と被動側ユニット4とを連結した状態において、駆動側ユニット4の駆動力出力部材19に押圧力が加わり、圧縮コイルバネ201の付勢力に抗してクラッチ機構が「継」の状態になる構成であればよい。
【0133】
次に、本発明の実施形態にかかる連結機構の適用例について説明する。ここでは、電気掃除機のゴミ圧縮機構に適用される例を説明する。
【0134】
図5は、本実施形態にかかる連結機構が適用される電気掃除機7(以下、「本掃除機」と称することがある)の構成を模式的に示した外観斜視図である。
【0135】
図5に示すように、本掃除機7は、本体71と、フィルタユニット72と、ダストボックス73とを備える。本体71はさらに、キャスター711と、本体カバー712と、吸引ユニット713と、ダストボックス収容スペース714と、吸引口715と、その他所定の部材や構造物(いずれも図略)を有する。そして本体カバー712の内面側に、本発明の実施形態にかかる駆動側ユニット1が配設される。また、ダストボックス73内には、本発明の実施形態にかかる被動側ユニット4の少なくとも一部が配設される。
【0136】
吸引ユニット713は、吸引ファンと電動機(図略)とを有し、吸引ファンがダストボックス収容スペース714の側に、電動機がその反対側に配設される。そして電動機の回転により吸引ファンが作動し、ダストボックス収容スペース714内の空気を電気掃除機本体の外部に排出する。これにより、ダストボックス収容スペース714内の気圧が外気より低くなり、吸引口715からダストボックス収容スペース714に収容されるダストボックス73内に、外気とともにゴミや塵埃などを吸引することができる。
【0137】
フィルタユニット72は、枠体とフィルタ本体とを有する。フィルタ本体は、空気は通過できるが、所定の寸法以上の大きさの物体は通過できない布状または板状の材料、例えば不織布などからなる。そして図に示すように、ジクザグ状(換言すると波状)に形成される。すなわち、一枚の布または板状の物体が、山折と谷折りを交互に繰り返されることにより、略直線状の山と谷が平行にかつ交互に形成される構成を有する。
【0138】
山折の先端および谷折りの先端部、およびフィルタ本体の周縁部は例えば合成樹脂材料などにより成形される。したがって、フィルタ本体は、ジクザグ状(換言すると波状)の形状が保持される。なお、フィルタ本体722は、可撓性を有するので、フィルタ本体722に衝撃を加えられると、捕集された塵埃が振るい落とされる。
【0139】
枠体は、第一の枠体部品と第二の枠体部品とを有する。そして第一の枠体部品と第二の枠体部品との間にフィルタ本体が挟まれた状態で、第一の枠体部品と第二の枠体部品とが結合される。これにより、フィルタ本体は枠体に固定される。
【0140】
本体カバー712は、電気掃除機7の本体71に開閉自在に備わる。そして本体カバー712を開くことにより、フィルタユニット72およびダストボックス73を、本体71のダストボックス収容スペース714に収容すること、およびダストボックス収容スペース714から取り外すことができる。
【0141】
本体カバー712の内側には、本発明の実施形態にかかる駆動側ユニット1が固定される。なお、ここでいう「固定」とは、少なくとも、本体カバー712の開閉動作を行う程度の外力が加わる状態において、所定の位置から移動または脱落しない程度の結合度合をいい、完全に移動および/または脱落不能に結合されることをいうものではない。
【0142】
図6は、ダストボックス73の構成と、ダストボックス73に被動側ユニット4が取り付けられた状態を模式的に示した断面図である。なお、この図6は、説明のための模式的な図であり、必ずしも現実の形状を示すものではない。また、ダストボックス73と被動側ユニット4の大きさの関係も、現実の関係を示したものではない。
【0143】
ダストボックス73は、集塵室732と底面部材731と塵埃掻き落とし部材733とを有する。
【0144】
集塵室732は、気体は通過可能であるが所定の大きさ以上のゴミや塵埃は通過できない網状の部材で形成される筒状の部材である。そして底面部材731が集塵室732の底面を形成し、塵埃掻き落とし部材733が集塵室732の天井面を形成する。
【0145】
また、集塵室732には、ダストボックス73がダストボックス収容スペース714に収納された状態において、電気掃除機7の本体の吸引口715に連通する貫通孔736が形成される。したがって、外気とともに吸引されたゴミや塵埃は、本体71の吸引口715および集塵室732の貫通孔726を通過して、集塵室732内に溜まる。
【0146】
塵埃掻き落とし部材733は、ガイド部材734によって、その軸線方向に沿って往復動可能に支持される。具体的には、底面部材731に近接する向きおよび底面部材から離れる向きに往復動できる。そしてダストボックス73の筐体と塵埃掻き落とし部材733の間には、圧縮コイルバネ735が架設される。
【0147】
塵埃掻き落とし部材733は、この圧縮コイルバネ735により、集塵室732の上端部(底面部材731に対向する面)に、付勢された状態で当接している。換言すると、引っ張りコイルバネ735により付勢された状態においては、前記のとおり塵埃掻き落とし部材733が集塵室732の天井面となる。
【0148】
底面部材731は集塵室732の底面となる部材であり、ダストボックス73に開閉自在に備わる。そして塵埃掻き落とし部材733を底面部材731に近接する向きに移動させるとともに、底面部材731を開くことにより、集塵室232に溜まったゴミや塵埃を押圧して外部に廃棄することができる。
【0149】
塵埃掻き落とし部材733とダストボックス73の天井(図において上側の面をいう)との間には、本発明の実施形態にかかる被動側ユニット4が配設される。そして、被動側ユニット4の押圧部材48は塵埃掻き落とし部材733により、ダストボックス73の天井に向けて付勢され、押圧部材48が最も被動側ユニット4のケーシングの内部に最も引き込んだ状態に付勢されて維持される。一方、被動側ユニット4の連結部材43は、ダストボックス73の天井から外部に露出している。
【0150】
一方、本体カバー712の内側の面には、駆動側ユニット1が所定の位置に所定の向きに固定される(「固定」については前述)。具体的には、ダストボックス73がダストボックス収容スペース714に収容され、本体カバー712が閉じられた状態において、本体カバー712の内側に設けられる駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の第二の部品192の端面の凹部1926に、ダストボックス73に設けられる被動側ユニット4の連結部材43の端面に設けられる凸部434が係合する。
【0151】
前記のとおり、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19は、外部から力が加わっていない限り、ネジリコイルバネ193の付勢力と、駆動力出力部材位置決め片217とにより、所定の位相(角度)に維持される。一方、被動側ユニット4の押圧部材48は塵埃掻き落とし部材733により付勢され、押圧部材48は最も被動側ユニット4の内部に最も引き込まれた状態に維持される。そして押圧部材48の位置と連結部材43の位相とは一定の関係を有するから、押圧部材48が最も被動側ユニット4の内部に最も引き込まれた状態に維持される限り、連結部材43の位相は常に一定に維持される。
【0152】
したがって、本体カバー712を閉じて駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の第二の部品192と被動側ユニット4の連結部材43とが当接したときに、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の第二の部品192の端部に設けられる凹部に、被動側ユニット4の連結部材43の凸部434が係合するような位置関係に設定しておく。
【0153】
このように設定されてなれば、本体カバー712の開閉を繰り返しても、本体カバー712を閉じるときは、常に自然に(スムーズに)駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の第二の部品192の端部の凹部に、被動側ユニット4の連結部材43の凸部434が係合する。このため、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19の第二の部品192の凹部と、被動側ユニット4の連結部材43の凸部434が係合する動作が、本体カバー712を閉じる動作の妨げとなることがない。
【0154】
さらに本体カバー712が完全に閉じられることにより、駆動側ユニット1が被動側ユニット4に接近するから、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19に被動側ユニット4の連結部材43が押し付けられ、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19が圧縮バネ201の付勢力に抗して第四の歯車18に近接する向きに移動する。したがって、第四の歯車18に設けられるクラッチの爪182と駆動力出力部材19の第一の部品191に設けられるクラッチの爪1912とが噛合し、クラッチ機構が「継」の状態となる。
【0155】
図7は、駆動側ユニットのクラッチ機構の動作を模式的に示した断面図である。それぞれ、(a)はクラッチ機構が「断」の状態を示した図、(b)は(a)の側面図、(c)はクラッチ機構が「継」の状態を示した図、(d)は(c)の側面図である。
【0156】
図7(a),(b)に示すように、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19に被動側ユニット4の連結部材43が押し付けられていない状態(すなわちフリーの状態)においては、各部材は次の状態となる。圧縮コイルバネ201の付勢力により、第四の歯車18と駆動力出力部材19とは、相離れる向きに(矢印bの向きに)付勢される。したがって、第四の歯車18に設けられるクラッチの爪182と、駆動力出力部材19の第一の部品191に設けられるクラッチの爪1912とは、離れた状態に維持される。このため、クラッチ機構は「断」の状態に維持される。また駆動力出力部材19は、圧縮コイルバネ201の付勢力により、一方側ケーシング21から突出するように(矢印bの向きに)付勢される。
【0157】
一方、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19に被動側ユニット4の連結部材43が押し付けられると、図7(c),(d)に示すように、駆動力出力部材19は圧縮コイルバネ201の付勢力に打ちかって、第四の歯車に接近する向きに(矢印aの向きに)移動する。したがって、第四の歯車18に設けられるクラッチの爪182と、駆動力出力部材19の第一の部品191に設けられるクラッチの爪1912とが噛合する。このため、クラッチ機構は「継」の状態になり、第四の歯車18から駆動力出力部材19に回転動力(駆動力)を伝達でき、さらに駆動力出力部材19に連結した連結部材43に駆動力を伝達できる。
【0158】
この状態で駆動側ユニット1の回転動力源11を作動させると、回転動力源11が生成する回転動力が、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19と、被動側ユニット4の連結部材43とを介して、被動側ユニット4の押圧部材48に伝達される。そして、押圧部材48は被動側ユニット4のケーシング(第三のケーシング部品41と第四のケーシング部品42との結合体)から突出する向きに移動する。この結果、塵埃掻き落とし部材733は、引っ張りコイルバネ735の付勢力に抗して集塵室732の底面部材731に近接する向きに移動する。
【0159】
塵埃掻き落とし部材733が集塵室732の底面部材731に近接する側に移動すると、塵埃掻き落とし部材733が集塵室732の側面(いわゆる網状の壁面)に付着しているゴミや塵埃を掻き落とすとともに、掻き落とした塵埃や集塵室732に溜まったゴミや塵埃を加圧圧縮する。このため、集塵室732の側面がフィルタとしての機能を回復するとともに、溜まったゴミの体積が減少する。したがって、電気掃除機7のゴミや塵埃の吸引力が回復する。
【0160】
その後、駆動側ユニット1の回転動力源11を逆回転させることにより、被動側ユニット4の押圧部材48を、被動側ユニット4のケーシングに最も引き込んだ状態にまで戻すことができる。
【0161】
なお、駆動側ユニット1の回転動力源11が生成する回転動力により、押圧部材48が塵埃掻き落とし部材733を押圧している状態において、本体カバー712が開かれると、駆動側ユニット1の駆動力出力部材19を押圧する付勢力がなくなる。このため、駆動力出力部材19は、圧縮コイルバネ201の付勢力によって第四の歯車18から離れる向きに移動し、これらの間に構成されるクラッチ機構が「断」の状態となる。この結果、駆動力出力部材19は、ネジリコイルバネの力によって回転し、原位置に戻る。
【0162】
一方、被動側ユニット4の連結部材43から駆動側ユニット1の駆動力出力部材19が離れると、被動側ユニット4の連結部材43に加えられる力がなくなる。このため、押圧部材48を被動側ユニット4のケーシングから突出させる力もなくなる。したがって、ダストボックス73に設けられる引っ張りコイルバネ735の付勢力によって塵埃掻き落とし部材733が集塵室732の天井に向かって移動する。そして被動側ユニット4の押圧部材48は、この塵埃掻き落とし部材733に押圧されて、被動側ユニット4のケーシングの内部に押し込まれる。前記のとおり、押圧部材48の位置と連結部材43の位相とは一定の関係を有するから、押圧部材48がケーシングの内部に最も押し込まれた位置にまで達すると、連結部材は元の位相に戻る。したがって、この後、再び本体カバーをスムーズに閉じることができる。
【0163】
(本形態の効果)
以上説明したように、本発明の実施形態にかかる連結機構によれば、駆動力を出力する出力部を備えた駆動側ユニットと、この駆動側ユニットから駆動力の伝達を受ける被動側ユニットとが、所定の位置に取り付けおよび所定の位置に取り外し自在に設けられる。すなわち、前記駆動側ユニットと前記被動側ユニットとを、物理的に連結および取り外しを行うことができる。このため、例えば、水濡れさせたくない部材等は前記駆動側ユニットに配設され、水濡れしてもよい部材等は前記被動側ユニットに配設される構成にすることができる。
【0164】
また、クラッチ機構が「断」の状態にあるときには、出力部を原位置に復帰させる部材を有し、前記他方側の所定の位置に取り付けられるときに原点位置に復帰した前記伝達部と係合可能に構成されているから、前記一方側と前記他方側との連結を容易に行うことができる。
【0165】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0166】
例えば、回転動力源の種類は特に限定されるものではなく、一般的な直流モータのほか、ステッピングモータ、ACモータなど、各種の回転動力源が適用できる。クラッチ機構は、圧縮コイルバネと複数の歯の噛み合わせを有する機構としたが、電磁クラッチや摩擦クラッチなど、他の各種クラッチ機構が適用できる。
【0167】
また、被動側ユニットにおいては、回転動力の伝達方向の変換はカサ歯車の組合せにより行われているが、円筒歯車またはカサ歯車とクラウンギアとの組合せであってもよい。さらに、被動側ユニット内において回転動力の回転方向の変換を行わずに、押圧部材にリードスクリューを設け、リードスクリューにより押圧部材が前進および後退する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の実施形態に係る連結機構を備える駆動側ユニットの構成を模式的に示した分解斜視図である。
【図2】ネジリコイルバネが第二の部品などの所定の部品・部材と係合した状態を示した平面図であり、(a)は常態を示した図、(b)はネジリコイルバネの付勢力に抗してネジリコイルバネが捻られた状態を示した図である。
【図3】本発明の実施形態に係る連結機構を備える被動側ユニットの構成を模式的に示した分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる連結機構を備える被動側ユニットにおいて、押圧部材と連結部材の位置および位相(回転角度)の関係を模式的に示した平面図であり、(a)は、押圧部材が最も引きこまれた状態を示した断面図、(b)は、(a)の状態における連結部材の位相(回転角度)を示した部分断面図、(c)は、押圧部材が最も突出した状態を示した断面図、(d)は(c)の状態における連結部材の位相(回転角度)を示した部分断面図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる連結機構が適用される電気掃除機の構成を、模式的に示した分解斜視図である。
【図6】ダストボックスの構成と動作を模式的に示した断面図である。
【図7】駆動側ユニットのクラッチ機構の動作を模式的に示した断面図であり、(a)はクラッチ機構が「断」の状態を示した図、(b)は(a)の側面図、(c)はクラッチ機構が「継」の状態を示した図、(d)は(c)の側面図である。
【符号の説明】
【0169】
1 駆動側ユニット
11 駆動側ユニットの回転動力源
111 回転動力源の回転軸(駆動軸)
12 ウォーム
13 ウォーム軸受け
14 ウォームホイール
15 第一の歯車
151 ウォームホイールと第一の歯車の共通の軸孔
16 第二の歯車
17 第三の歯車
171 第二の歯車と第三の歯車の共通の軸孔
18 第四の歯車
181 軸受け部
182 クラッチの爪
19 駆動力出力部材
191 駆動力出力部材の第一の部品
1911 駆動力出力部材の第一の部品の円盤状の部分
1912 駆動力出力部材の第一の部品のクラッチの爪
1913 駆動力出力部材の第一の部品の軸受け部
1914 駆動力出力部材の第一の部品の回り止め片
1915 駆動力出力部材の第一の部品の嵌合部
192 駆動力出力部材の第二の部品
1921 駆動力出力部材の第二の部品の円盤状の部分
1922 駆動力出力部材の第二の部品の嵌合部
1923 駆動力出力部材の第二の部品の連結部
1924 駆動力出力部材の第二の部品の回り止め片
1925 駆動力出力部材の第二の部品のネジリコイルバネ固定片
1926 駆動力出力部材の連結部の凹部
193 ネジリコイルバネ
1931 ネジリコイルバネの延出部
1932 ネジリコイルバネの延出部のカギ部
20 クラッチ機構
201 クラッチ機構の圧縮コイルバネ
21 駆動側ユニットの第一のケーシングの部品
211 第一の軸
212 第二の軸
213 回転動力源収容部
214 ウォーム軸受け支持部
215 挿通孔
216 遊嵌部
217 駆動力出力部材位置決め片
218 駆動力出力部材回転角度規制片
22 駆動側ユニットの第二のケーシングの部品
221 第三の軸
4 被動側ユニット
41 被動側ユニットの第三のケーシング部品
411 第四の軸
412 第五の軸
413 ガイド
414 第一のYリングガイド係合部
415 第二のYリングガイド係合部
42 被動側ユニットの第四のケーシング部品
421 ガイド
422 第一のYリングガイド係合部
4221 切り欠き部
4222 係合片
423 第二のYリングガイド係合部
4231 切り欠き部
42311 半径が大なる部分
42312 半径が小なる部分
4232 ガイド溝
43 連結部材
431 第一のYリングガイド
4311 板状の部分
4312 円筒状の部分
432 第一のYリング
433 円周状の溝
434 凸部
435 円柱状または円筒状の部分
44 第五の歯車
45 第六の歯車
46 第七の歯車
461 第六の歯車と第七の歯車の共通の軸孔
47 ピニオン
48 押圧部材
481 押圧部材の押圧部
482 押圧部材のラック部
4821 ラック
4822 ガイド溝
483 第二のYリング
484 第二のYリングガイド
4841 円筒状の部分
4842 板状の部分
4843 襞状の突起
7 電気掃除機
71 電気掃除機の本体
711 キャスター
712 本体カバー
713 吸引ユニット
714 ダストボックス収容スペース
715 吸引口
72 フィルタユニット
73 ダストボックス
731 ダストボックスの底面部材
732 ダストボックスの集塵室
733 ダストボックスの塵埃掻き落とし部材
734 ダストボックスのガイド部材
735 ダストボックスの圧縮コイルバネ
736 ダストボックスの貫通孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源と該動力源の駆動力を出力する出力部とを備えた駆動部を備えた一方側と、該一方側の所定の位置に取り付けおよび所定の位置から取りはずし自在に設けられた他方側とを有し、
該他方側には、前記一方側が前記所定の位置に取り付けられたとき、前記出力部が係合して駆動力が伝達されるとともに前記一方側が前記所定の位置から取り外されたときに前記出力部が脱離される伝達部を有し、
前記駆動部には、前記動力源と前記出力部との間に、前記動力源から前記出力部への駆動力を継および断するクラッチ部と、該クラッチ部が前記断されたとき、前記出力部を前記伝達部と係合可能な位置に復帰させる復帰部材を有し、
前記出力部と前記伝達部とが前記離脱されると前記クラッチ部が前記断されて前記出力部が原位置に復帰されることにより、前記一方側が前記他方側の所定の位置に取り付けられるときに原点位置に復帰した前記伝達部と係合可能に構成されていることを特徴とする前記出力部と前記伝達部との連結機構。
【請求項2】
前記出力部材を軸方向の一方に移動して前記クラッチを継するとともに前記出力部材を軸方向の他方に移動して前記クラッチ部を断するように構成するとともに前記クラッチ部が前記断となる方向に前記出力部材を付勢する付勢部材を有し、前記一方側が前記他方側の所定の位置から取り外されることにより、前記付勢部材によって前記出力部が他方に移動して前記クラッチ部が前記断となるとともに、前記一方側が前記他方側の所定の位置に取り付けられることにより、前記付勢部材に抗して前記出力部材が一方に移動して前記クラッチ部が前記継となることを特徴とする請求項1に記載の前記出力部と前記伝達部の連結機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−272194(P2008−272194A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119106(P2007−119106)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】