説明

連続栽培方法及び連続栽培装置

【解決手段】栽培台4上に植付け時期の異なる複数の栽培パレット群を栽培台の供給口4a側から取出口4b側にわたり植付け時期の新しいものから古いものの順に並べ、各栽培パレット群を栽培台4の供給口4a側から取出口4b側へ所定期間ごとに移動させ、栽培台4の取出口4bから最古植付け時期の栽培パレット群を取り出すとともに、栽培台4の供給口4aに最新植付け時期の栽培パレット群を供給する。各栽培パレット群を栽培台4の供給口4a側から取出口4b側へ移動させる際に、栽培台4の下側に設けた熱伝導室6で各栽培パレット8に遠赤外線特に波長6〜14μmの育成光線と超音波とを放射する。
【効果】葉菜類等を一年を通して安定的に供給するとともに葉菜類等の育成を助長することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉菜類等を供給することができる連続栽培方法及び連続栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、葉菜類等は栽培ハウス内で適宜時期に適宜面積だけ植え付けられて適量ずつ出荷されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、葉菜類等を一年を通して安定的に供給することが難しかった。
この発明は、葉菜類等を一年を通して安定的に供給するとともに葉菜類等の育成を助長することができる連続栽培方法及び連続栽培装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
後記実施形態の図面(図1〜3)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる連続栽培方法においては、栽培台4上に植付け時期の異なる複数の栽培パレット群P1〜P11を栽培台4の供給口4a側から取出口4b側にわたり植付け時期の新しいものから古いものの順に並べ、この各栽培パレット群P1〜P11を栽培台4の供給口4a側から取出口4b側へ所定期間ごとに移動させ、栽培台4の取出口4bから最古植付け時期の栽培パレット群を取り出すとともに、栽培台4の供給口4aに最新植付け時期の栽培パレット群を供給する。
【0005】
請求項1の発明では、植付け時期の異なる栽培パレット群を植付け時期の古いものから順次連続的に取り出して葉菜類等を効率的に生産することができる。
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明においては、前記各栽培パレット群P1〜P11を栽培台4の供給口4a側から取出口4b側へ移動させる際に、この栽培台4の下側に設けた熱伝導室6で各栽培パレット8に対し熱伝導パイプ10により遠赤外線と超音波とを放射する。
【0006】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記遠赤外線は波長6〜14μmの育成光線である。
請求項2〜3の発明では、熱伝導室6で栽培パレット8に遠赤外線特に波長6〜14μmの育成光線と超音波とを放射するので、栽培パレット8に植え付けられた葉菜類等や栽培パレット8の堆肥を活性化することができる。従って、その葉菜類等の育成を助長することができる。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項4の発明においては、前記各栽培パレット群P1〜P11を栽培台4の供給口4a側から取出口4b側へ移動させる際に、この栽培台4の下側に設けた熱伝導室6で各栽培パレット8に対し熱伝導パイプ10により加熱放射または冷却放射する。
【0008】
請求項4の発明では、熱伝導室6で各栽培パレット8に加熱放射または冷却放射するので、熱伝導室6を最適な温度環境にして、栽培パレット8に植え付けられた葉菜類等の育成を助長することができる。
【0009】
請求項5の発明にかかる連続栽培装置においては、複数の栽培パレット群P1〜P11を載置して供給口4a側から取出口4b側に移動させることができる栽培台4を栽培ハウス1内に備え、この栽培台4の下側には熱伝導室6で各栽培パレット8に遠赤外線特に波長6〜14μmの育成光線と超音波とを放射することができる複数の熱伝導パイプ10を配設した。
【0010】
請求項5の発明では、植付け時期の異なる栽培パレット群を植付け時期の古いものから順次連続的に取り出して葉菜類等を効率的に生産する連続栽培方法に適している。また、熱伝導室6で熱伝導パイプ10から栽培パレット8に遠赤外線特に波長6〜14μmの育成光線と超音波とを放射するので、栽培パレット8に植え付けられた葉菜類等や栽培パレット8の堆肥を活性化することができる。従って、その葉菜類等の育成を助長することができる。
【0011】
請求項6の発明にかかる連続栽培装置においては、複数の栽培パレット群P1〜P11を載置して供給口4a側から取出口4b側に移動させることができる栽培台4を栽培ハウス1内に備え、この栽培台4の下側には熱伝導室6で各栽培パレット8に加熱放射または冷却放射することができる複数の熱伝導パイプ10を配設した。
【0012】
請求項6の発明では、植付け時期の異なる栽培パレット群を植付け時期の古いものから順次連続的に取り出して葉菜類等を効率的に生産する連続栽培方法に適している。また、熱伝導室6で熱伝導パイプ10から各栽培パレット8に加熱放射または冷却放射するので、熱伝導室6を最適な温度環境にして、栽培パレット8に植え付けられた葉菜類等の育成を助長することができる。
【0013】
請求項5または請求項6の発明を前提とする請求項7の発明において、前記各熱伝導パイプ10は、真空に保たれた状態で作動液を封入したメインパイプ11内に、熱が供給されるコアパイプ12を挿通したものである。
【0014】
請求項7の発明では、コアパイプ12に熱を供給するだけで、熱伝導パイプ10と熱伝導室6との間の熱交換作用により、熱伝導室6に加熱放射または冷却放射することができる。また、コアパイプ12に熱を供給するだけで、メインパイプ11から熱伝導室6に遠赤外線特に波長6〜14μmの育成光線と超音波とを放射することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる連続栽培方法及び連続栽培装置は、葉菜類等を一年を通して安定的に供給するとともに葉菜類等の育成を助長することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明の一実施形態にかかる連続栽培装置について図面を参照して説明する。
図1(a)及び図2に示すように、栽培ハウス1内には管材3を縦横に組んだ枠体2が設置され、この枠体2で上下方向Zの中間部には栽培台4が設けられているとともに、この栽培台4の下側には枠体2の外周に巻かれた遮光シート5により囲まれた熱伝導室6が設けられている。この栽培台4においては、前後方向Xへ延びる複数のレール7が左右方向Yへ互いに間隔をあけて並設されている。この各レール7には多数の栽培パレット8がこの熱伝導室6に連通するように載せられて前後方向X及び左右方向Yへ並べられている。作業者は、この各栽培パレット8を押して各レール7ごとに前後方向Xへ栽培台4の供給口4a側から取出口4b側に移動させることができる。この栽培台4の上方で枠体2上には有機液体肥料などを各栽培パレット8上に噴霧することができる噴霧走行台9が前後方向Xへ往復移動可能に支持されている。前記熱伝導室6においては、前後方向Xへ延びる複数の熱伝導パイプ10が左右方向Yへ並べて配設されている。この熱伝導パイプ10においては、図1(b)に示すように、真空に保たれた状態で作動液Lが封入されたメインパイプ11内に、熱が供給されるコアパイプ12が挿通されている。ちなみに、各栽培パレット8では、例えば、図示しない葉菜類が安全な特殊養土と有機液体肥料とを使用した完全無農薬有機栽培により生産される。
【0017】
さて、図3(a)で概略的に示す植付け状態では、栽培台4上に並べられた各栽培パレット8のうち、前後方向Xで互いに区分された複数の栽培パレット群P1〜P10は、植付け時期が異なり、栽培台4の供給口4a側から取出口4b側にわたり植付け時期の新しいものから古いものの順に並べられている。作業者が各栽培パレット群P1〜P10を栽培台4の供給口4a側から取出口4b側へ所定期間(例えば、葉菜類の育成日数を複数区分し、その一区分の日数)ごとに移動させると、図3(b)で概略的に示すように、最古植付け時期の栽培パレット群P1が栽培台4の取出口4bから取り出され、後続の栽培パレット群P2が最古植付け時期のものとして栽培台4の取出口4bに移動するとともに、栽培台4の供給口4aが空となる。その後、図3(c)で概略的に示すように、栽培台4の供給口4aに最新植付け時期の栽培パレット群P11を供給する。このようにして栽培パレット群を連続的に取り出して完全無農薬有機栽培された葉菜類を効率的に生産することができる。
【0018】
その完全無農薬有機栽培時、図1(a)(b)に示す熱伝導室6の各熱伝導パイプ10において、コアパイプ12に熱を供給すると、熱伝導パイプ10と熱伝導室6との間の熱交換作用により、熱伝導室6に加熱放射または冷却放射することができる。また、そのコアパイプ12に熱を供給すると、その熱がコアパイプ12からメインパイプ11内の作動液Lに伝わり、真空状態のメインパイプ11内で作動液Lの沸点が下がるため、低温域から作動液Lが沸騰し、液界面からジェットJ(蒸気流)が発生する。そのジェットJ(蒸気流)は、コアパイプ12からの潜熱を含むため、メインパイプ11の外壁に向かい音速に近い速さで熱輸送を行う。その潜熱はメインパイプ11の外壁を介して熱伝導室6との間で熱交換されて熱伝導室6に放出され、作動液Lが凝縮する。この蒸発と凝縮とのサイクルは、コアパイプ12に対する熱供給中、連続して行われる。ジェットJ(蒸気流)の動きは、メインパイプ11に対する衝突時に衝撃エネルギーとなってメインパイプ11を振動させる。従って、メインパイプ11からは熱とともに遠赤外線特に波長6〜14μmの育成光線と超音波とを放射する。
【0019】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 栽培台4の供給口4a側から取出口4b側にわたり植付け時期の新しいものから古いものの順に並べた各栽培パレット群P1〜P11をその供給口4a側から取出口4b側へ所定期間ごとに移動させて植付け時期の古いものから順次連続的に取り出すので、葉菜類等を効率的に生産することができる。
【0020】
* 熱伝導室6で熱伝導パイプ10から栽培パレット8に遠赤外線特に波長6〜14μmの育成光線と超音波とを放射するので、共鳴吸収現象により分子間の運動エネルギーが増大して摩擦熱が生じる。そのため、栽培パレット8に植え付けられた葉菜類等においては、細胞の働きを活性化して炭酸同化作用を促進することができる。また、栽培パレット8の堆肥においては、発酵温度調節を簡単にするとともに発酵をむらなく均等に行い、バクテリアを活性化して堆肥化を促進することができる。従って、栽培パレット8に植え付けられた葉菜類等の育成を助長することができる。
【0021】
* 熱伝導パイプ10により熱伝導室6に加熱放射または冷却放射するので、熱伝導室6の温度をむらなく均等に温度管理して、最適な温度環境により、栽培パレット8に植え付けられた葉菜類等の育成を助長することができる。
【0022】
* 熱伝導パイプ10は、遠赤外線特に波長6〜14μmの育成光線と超音波とを放射する手段として適している。
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
【0023】
・ 前記連続栽培装置の熱伝導室6において、熱伝導パイプ10に代えて一般的な空調による温度管理を行う。
・ 前記連続栽培装置において、熱伝導室6及び熱伝導パイプ10を省略して栽培ハウス1内で一般的な空調による温度管理を行う。
【0024】
・ 前記実施形態では作業者が各栽培パレット8を押して栽培台4の供給口4a側から取出口4b側に移動させていたが、それを自動的に移動させる。
・ 前記実施形態では作業者が各栽培パレット8を栽培台4の供給口4aに供給するととともに栽培台4の取出口4bから取り出していたが、その供給及び取出しを自動的に行う。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は本実施形態にかかる連続栽培装置を側面側から見た断面図であり、(b)は(a)の熱伝導パイプを示す一部切欠き側面図である。
【図2】本実施形態にかかる連続栽培装置を正面側から見た断面図である。
【図3】(a)(b)(c)は本実施形態にかかる連続栽培方法を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0026】
1…栽培ハウス、4…栽培台、4a…栽培台の供給口、4b…栽培台の取出口、6…熱伝導室、8…栽培パレット、10…熱伝導パイプ、11…メインパイプ、12…コアパイプ、P1〜P11…栽培パレット群、L…作動液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培台上に植付け時期の異なる複数の栽培パレット群を栽培台の供給口側から取出口側にわたり植付け時期の新しいものから古いものの順に並べ、この各栽培パレット群を栽培台の供給口側から取出口側へ所定期間ごとに移動させ、栽培台の取出口から最古植付け時期の栽培パレット群を取り出すとともに、栽培台の供給口に最新植付け時期の栽培パレット群を供給することを特徴とする連続栽培方法。
【請求項2】
前記各栽培パレット群を栽培台の供給口側から取出口側へ移動させる際に、この栽培台の下側に設けた熱伝導室で各栽培パレットに対し熱伝導パイプにより遠赤外線と超音波とを放射することを特徴とする請求項1に記載の連続栽培方法。
【請求項3】
前記遠赤外線は波長6〜14μmの育成光線であることを特徴とする請求項2に記載の連続栽培方法。
【請求項4】
前記各栽培パレット群を栽培台の供給口側から取出口側へ移動させる際に、この栽培台の下側に設けた熱伝導室で各栽培パレットに対し熱伝導パイプにより加熱放射または冷却放射することを特徴とする請求項1に記載の連続栽培方法。
【請求項5】
複数の栽培パレット群を載置して供給口側から取出口側に移動させることができる栽培台を栽培ハウス内に備え、この栽培台の下側には熱伝導室で各栽培パレットに遠赤外線と超音波とを放射することができる複数の熱伝導パイプを配設したことを特徴とする連続栽培装置。
【請求項6】
複数の栽培パレット群を載置して供給口側から取出口側に移動させることができる栽培台を栽培ハウス内に備え、この栽培台の下側には熱伝導室で各栽培パレットに加熱放射または冷却放射することができる複数の熱伝導パイプを配設したことを特徴とする連続栽培装置。
【請求項7】
前記各熱伝導パイプは、真空に保たれた状態で作動液を封入したメインパイプ内に、熱が供給されるコアパイプを挿通したものであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の連続栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−253224(P2008−253224A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101722(P2007−101722)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(500261514)
【出願人】(591186866)株式会社箕浦 (8)
【Fターム(参考)】