連続誘導加熱装置
【課題】誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトを配置し、搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる連続誘導加熱装置を提供すること。
【解決手段】連続誘導加熱装置1に備わる誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源から供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そして、連続誘導加熱装置1は、フェライトより形成されるとともに第1バーコイル部3および搬送路Wを互いに挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(11,12)を有する第1磁束制御手段10と、フェライトより形成されるとともに第2バーコイル部4および搬送路Wを互いに挟み込む位置に配置された第3および第4サイドコア(21,22)を有し、第1磁束制御手段10に対向して配置された第2磁束制御手段20とを、備える。
【解決手段】連続誘導加熱装置1に備わる誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源から供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そして、連続誘導加熱装置1は、フェライトより形成されるとともに第1バーコイル部3および搬送路Wを互いに挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(11,12)を有する第1磁束制御手段10と、フェライトより形成されるとともに第2バーコイル部4および搬送路Wを互いに挟み込む位置に配置された第3および第4サイドコア(21,22)を有し、第1磁束制御手段10に対向して配置された第2磁束制御手段20とを、備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送路に沿って搬送される被加熱体を連続的に加熱する連続加熱装置に関し、誘導加熱コイルが搬送路を挟んで平行に配置された第1および第2バーコイル部を備える連続加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に多くの生産工場において、部品の加工や組み立て等は各工程が空間的に繋がる生産ラインによって行われている。そして、この生産ラインにおいては、対象部品が各工程間を連続的に移動するだけでなく、加工や組み立て等の各工程中においても、対象製品が連続的に移動するものもある。このような生産ラインにおいては、加熱処理も対象製品である被加熱体が移動しながら行われることがある。そして、このように被加熱体が移動しながら加熱処理が行われる際、加熱装置として誘導加熱装置が用いられる場合、連続的に移動する被加熱体を連続的に加熱することができる連続誘導加熱装置が用いられる。
【0003】
以下、連続誘導加熱装置の従来例について、図14および図15に基づいて説明する。ここで、図14は従来例の連続誘導加熱装置の斜視図であり、図15は図14にてE−E断面にて指示される断面図である。連続誘導加熱装置500は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル502を備え、この誘導加熱コイル502に高周波の電流が流れる。そして、誘導加熱コイル502は、円環形状のパイプ部材PIより形成されており、直線状に被加熱体Hが搬送される搬送路Wを囲んで、パイプ部材PIが3巻きされた構造となっており、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置された第1および第2バーコイル部(503,504)を有する。また、誘導加熱コイル502の両端のコーナー部(505,506)は、直線状に搬送される被加熱体Hの搬送路Wを遮らないよう搬送路Wに対し直角の方向に曲げられている。なお、誘導加熱コイル502は、上記のように中空のパイプ形状になっており、コイル502を冷却するための冷却水がコイル502内を循環している。
【0004】
このように搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置された第1および第2バーコイル部(503,504)には、長手方向に互いに逆向きの電流が流れ、例えば、紙面視にて第1バーコイル部503に右から左に向けて電流が流れているときは、第2バーコイル部504には左から右に向けて電流が流れ、第1バーコイル部503に左から右に向けて電流が流れているときは、第2バーコイル部504には右から左に向けて電流が流れる。このような電流路が形成される誘電加熱コイル502において、高周波電源から供給される高周波電流により第1および第2バーコイル部(503,504)の内外に形成される磁束について図16に基づき説明する。ここで、図16は、高周波電源PSから誘導加熱コイル502に高周波の電流が供給されるときに連続誘導加熱装置500に形成される磁束の分布を示した図である。
【0005】
図16では、第1バーコイル部503には手前方向に、第2バーコイル部504には奥行き方向に電流が流れるときに形成される磁束φを示したものである。第1バーコイル部503の軸回りには反時計方向の磁束φが形成され、第2バーコイル部504の軸回りには時計方向の磁束φが形成され、これらの磁束φにより搬送路Wには紙面視にて左から右へ流れる磁束φが形成されている。そして、上記と逆向きに第1および第2バーコイル部(503,504)に電流が流れたときには、上記に対して反転した向きに、すなわち、搬送路Wには紙面視にて右から左へ流れる磁束φが形成される。
【0006】
この搬送路Wに形成される磁束φの向きは、高周波電源から供給される電流の交番に対応
して周期的に短時間ごとに反転する(右→左 or 左→右)。そのため、搬送路W内に磁性材料からなる被加熱体Hを配置した場合、被加熱体Hには、この反転する磁束φを阻害する方向に新たに磁束を形成する物理現象が生じ、この新たに形成される磁束を形成すべく被加熱体H自体に渦電流が流れる。そして、この被加熱体Hに形成される渦電流により被加熱体H自体にジュール熱が生じ、このジュール熱により被加熱体Hは加熱される。
【0007】
上記のように被加熱体Hは搬送路Wに形成される磁束φにより加熱され、この搬送路Wに形成される磁束φの磁束密度が高いほど被加熱体Hの発熱量は大きくなる。そのため、被加熱体Hを短時間に加熱するためには、搬送路Wに形成される磁束φの磁束密度を高くする必要がある。しかしながら、図14および図15に示す従来例の連続加熱装置500においては、図16に示すように、第1および第2バーコイル部(503,504)にて形成された磁束φは、第1および第2バーコイル部(503,504)の周辺に大きく散逸しており、搬送路Wに形成される磁束φの磁束密度を高密度化することが困難である。
【0008】
そのため、搬送路Wに形成される磁束φの磁束密度を高くするためには、高周波電源PSから供給される電力の電力量を大きくする必要があり、少ない電力量で効率的に被加熱体Hを加熱することが困難である。ここで、生産工場の生産システムにおいては、加工設備、組み立て設備等の多くの機械設備が用いられ、それぞれの設備に多大の電力が供給されている。そして、誘導加熱装置を備える生産システムにおいては、誘導加熱装置に供給される電力の電力量の割合が高いことが多い。そのため、生産工場の省エネ化のためには、誘導加熱装置の高効率化が特に求められ、誘導加熱装置の高効率化は、省エネ化の要求が高い製造業に多大な貢献を与える。
【0009】
このような課題に対して、特許文献1には、搬送路内の磁束密度を高めるために、磁束の経路を制御する磁束制御部材が用いられた誘導加熱装置が示されている。この誘導加熱装置では、磁束制御部材によりバーコイル部にて形成された磁束を集束するとともに集束された磁束が搬送路内を流れるよう磁束の経路が制御され、この制御された磁束により搬送路内の磁束密度が高められる手法が示されている。そして、この磁束制御部材としてフェライトが用いられている。ここで、フェライトは透磁率が高いため磁束を集束しやすい一方、抵抗値が大きいため渦電流が生じにくくジュール熱による発熱が少ない。そのため、磁束制御部材としてフェライトは好適な材料である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−171888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に示すように、誘導加熱装置に磁束制御部材を用いるとともに、磁束制御部材としてフェライトを採用することは搬送路内の磁束の磁束密度を高めるためには有効な手段である。一方、図14および図15に示される従来例の連続誘導加熱装置500は、誘導加熱コイル502の構造が簡易であるため設計および製造が容易であり、誘導加熱装置502として既に多くの工場で用いられている。
【0012】
そのため、このような連続誘導加熱装置500に新たに磁束制御部材を適用して、搬送路Wにおける磁束φの磁束密度を高密度化することができれば、高周波電源PSから供給する電力の電力量を大きくすることなく効率よく被加熱体Hを加熱することができ、省エネ化が求められる製造業において多大な貢献を与えることができる。
【0013】
ここで、搬送路内の磁束の磁束密度を有効に高密度化するためには、磁束の散逸を有効に
防止するとともに、磁束の経路を搬送路内に有効に集束させることができる好適な位置にフェライトを配置することが求められる。また、フェライトは単位体積当たりの価格が高い高価な材料であり、その使用量はできるだけ少ないことが求められる。そのため、搬送路内における磁束の磁束密度をフェライトの使用量を抑えつつ有効に高密度化すべく、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトを配置することが求められる。
【0014】
そこで、この発明の目的は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置された第1および第2バーコイル部を有し、第1および第2バーコイルに互いに逆向きに電流が流れる連続誘導加熱装置において、磁束制御部材としてフェライトを適用する。そして、搬送路内における磁束の磁束密度をフェライトの使用量を抑えつつ有効に高密度化すべく、この連続誘導加熱装置において、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトを配置するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の連続誘導加熱装置は、高周波電源に接続される誘導加熱コイルを備え、この誘導加熱コイルは搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに前記高周波電源から供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された前記第1および第2バーコイル部を有する。そして、この連続誘導加熱装置においては、フェライトより形成されるとともに前記第1バーコイル部および前記搬送路を互いに挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコアを備える第1磁束制御手段と、フェライトより形成されるとともに前記第2バーコイル部および前記搬送路を互いに挟み込む位置に配置された第3および第4サイドコアを備え、前記第1磁束制御手段に対して所定の長さ離間し対向して配置された第2磁束制御手段とが、備えられている。
【0016】
このように、請求項1に記載の連続誘導装置の誘導加熱コイルは、搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源から供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部を有する。そのため、高周波電源から誘導加熱コイルに電流が供給されると、第1バーコイル部には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束が形成され、第2バーコイル部には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束が形成されるとともに、第1および第2バーコイル部間の搬送路には第1バーコイル部を第2バーコイル部の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束が形成される。
【0017】
ここで、請求項1に記載の連続誘導加熱装置は第1および第2磁束制御手段を備えており、第1磁束制御手段は、フェライトより形成され第1バーコイル部および搬送路を挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコアを備え、第2磁束制御手段は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部および搬送路を挟み込むとともに第1磁束制御手段に対向する位置に配置された第3および第4サイドコアを備えている。
【0018】
また、フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部の軸回りに形成された磁束は、第1から第4サイドコア内に集束される。そのため、第1磁束制御手段により、第1バーコイル部の軸回りに形成された磁束は、第1および第2サイドコア内に集束され、第1バーコイル部の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、第1および第2サイドコア内に集束された磁束が、第1および第2サイドコアに挟まれた搬送路を横断するため、第1および第2サイドコアに挟まれた搬送路には高密度化された磁束が形成される。同様に、第2磁束制御手段により、第3および第4サイドコアに挟まれた搬送路内には高密度化された磁束が形成される。
【0019】
このように、第1から第4サイドコアにより、第1および第2バーコイル部に形成された磁束は、外延への散逸が抑えられるとともに搬送路内に積極的に集束され、搬送路内の磁束の高密度化が図られる。また、第1および第2バーコイル部を挟み込む位置にサイドコ
アを配置する構成は、サイドコア(フェライト)の使用量を抑えつつ搬送路内の磁束を積極的に集束させるためには効果的は構成であり、少ないフェライトの使用量で有効に搬送路内の磁束を高密度化させることができる構成である。
【0020】
また、第1および第2磁束制御手段は所定の長さ離間し対向して配置されている。よって、互いに対向する第1サイドコア(第1磁束制御手段)と第3または第4サイドコア(第2磁束制御手段)との間、並びに第2サイドコア(第1磁束制御手段)と第4または第3サイドコア(第2磁束制御手段)との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材を保持することができる。また、この空隙は搬送路の両側に形成されるので、シャフト等の両側に突出する突出部材を被加熱部材が備える場合には、この空隙内に突出部材を配することができる。そのため、搬送路を挟んで対面するサイドコア間の距離を離すことなく搬送路内に被加熱部材を配することができる。つまり、サイドコア間の距離を離して搬送路内の面積を大きくすることなく、搬送路内に被加熱部材を配することができ磁束を高密度に保った状態とすることができる。
【0021】
すなわち、請求項1に記載の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0022】
請求項2に記載の連続誘導加熱装置は、請求項1に記載の連続誘導加熱装置に対して、第1磁束制御手段の第1サイドコアと第2磁束制御手段の第3サイドコアとが、第1および第2バーコイル部の同一側にともに配置されるとともに一連一体的に構成されることを特徴とする。
【0023】
このように、請求項2に記載の連続誘導加熱装置は、請求項1に記載の連続誘導加熱装置に対して、第1サイドコア(第1磁束制御手段)と第3サイドコア(第2磁束制御手段)とが一連一体的に構成されているため、第1および第2バーコイル部にて形成された磁束は、外延へ散逸することがより効果的に抑えられ、搬送路内の磁束はより高密度化される。また、第1および第3サイドコアを繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
【0024】
すなわち、請求項2に記載の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0025】
請求項3に記載の連続誘導加熱装置は、請求項1に記載の連続誘導加熱装置に対して、第1磁束制御手段において、フェライトより形成されるとともに第1バーコイル部を挟んで搬送路に対して反対側の位置に配置された第1アッパーコアが備えられていること、および第2磁束制御手段において、フェライトより形成されるとともに第2バーコイル部を挟んで搬送路に対して反対側の位置に配置された第2アッパーコアが備えられていること、を特徴とする。
【0026】
このように、請求項3に記載の連続誘導加熱装置においては、請求項1に記載の連続誘導加熱装置に対して、フェライトより形成された第1および第2アッパーコアが追加して備えられている。そして、第1アッパーコアは、第1バーコイル部を挟んで搬送路に対して反対側の位置に配置され、第2アッパーコアは、第2バーコイル部を挟んで搬送路に対して反対側の位置に配置されている。
【0027】
そのため、第1磁束制御手段においては、第1アッパーコア、ならびに第1アッパーコア
を挟んで両側に配置される第1および第2サイドコアが、第1バーコイル部および搬送路を囲んで略コの字形状に配置される。同様に、第2磁束制御手段においては、第2アッパーコア、ならびに第2アッパーコアを挟んで両側に配置される第3および第4サイドコアが、第2バーコイル部および搬送路を囲んで略コの字形状に配置される。
【0028】
このように、第1および第2磁束制御手段においては、第1または第2アッパーコアが搬送路を挟んでそれぞれ第1または第2バーコイル部の反対側に配置されている。そのため、第1および第2アッパーコアにより、第1または第2バーコイル部において搬送路の反対側に形成される磁束は集束され、搬送路の反対側に散逸する磁束を第1および第2アッパーコア内に集束させることができる。
【0029】
そして、第1および第2アッパーコアにより、第1および第2磁束制御手段により効果的に集束された磁束が、サイドコアに挟まれた搬送路内に形成され、搬送路内の磁束はより効果的に高密度化される。また、また、第1および第2アッパーコアを設けるために新たに用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると決して多い量であるといえない。
【0030】
すなわち、請求項3に記載の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0031】
請求項4に記載の連続誘導加熱装置は、請求項3に記載の連続誘導加熱装置において、第1磁束制御手段における第1および第2サイドコア並びに第1アッパーコアとは一連一体的に構成され、第2磁束制御手段における第3および第4サイドコア並びに第2アッパーコアとは一連一体的に構成されていることを特徴とする。
【0032】
このように、請求項4に記載の連続誘導加熱装置は、請求項3に記載の連続誘導加熱装置に対して、第1磁束制御手段における第1および第2サイドコア並びに第1アッパーコアとは一連一体的に構成されているため、第1バーコイル部にて形成された磁束は、外延へ散逸することがより効果的に抑えられる。同様に、第2磁束制御手段における第3および第4サイドコア並びに第2アッパーコアとは一連一体的に構成されているため、第2バーコイル部にて形成された磁束は、外延へ散逸することがより効果的に抑えられる。そのため、搬送路内の磁束はより高密度化される。また、これらのコアを繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
【0033】
すなわち、請求項4に記載の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0034】
請求項5に記載の連続誘導加熱装置は、請求項4に記載の連続誘導加熱装置において、第1磁束制御手段の第1サイドコアと第2磁束制御手段の第3サイドコアとは、前記第1および第2バーコイル部の同一側にともに配置されるとともに一連一体的に構成されていることを特徴とする。
【0035】
このように、請求項5に記載の連続誘導加熱装置は、請求項4に記載の連続誘導加熱装置に対して、第1サイドコア(第1磁束制御手段)と第3サイドコア(第2磁束制御手段)とが一連一体的に構成されているため、第1および第2バーコイル部にて形成された磁束は、外延へ散逸することがより効果的に抑えられ、搬送路内の磁束はより高密度化される。また、第1および第3サイドコアを繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの
使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
【0036】
すなわち、請求項5に記載の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態における連続誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図2】図1においてA−A断面にて示される断面図である。
【図3】A−A断面にて形成される磁束を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における連続誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図5】図4においてB−B断面にて示される断面図である。
【図6】B−B断面にて形成される磁束を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における連続誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図8】図7においてC−C断面にて示される断面図である。
【図9】C−C断面にて形成される磁束を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の加熱特性を示すグラフである。
【図11】本発明の第4の実施形態における連続誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図12】図12においてD−D断面にて示される断面図である。
【図13】D−D断面にて形成される磁束を示す図である。
【図14】従来技術における連続誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図15】図14において、E−E断面にて示される断面図である。
【図16】E−E断面にて形成される磁束を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1の実施形態)この発明の第1の実施形態における連続誘導加熱装置を図1および図2に基づき説明する。図1は本実施形態の連続誘導加熱装置1を示す斜視図であり、図2は図1においてA−A断面にて示される断面図である。
【0040】
連続誘導加熱装置1は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
【0041】
誘導加熱コイル2は、円環形状のパイプ部材PIより形成されており、被加熱体Hが搬送される直線状の搬送路Wを囲んで、パイプ部材PIが3回巻き回された構造となっている。なお、パイプ部材PIは銅より形成されるとともに外壁面はホーロー加工が施されている。そして、パイプ部材PI内には冷却水が循環され、この冷却水によりパイプ部材PIより形成される誘導加熱コイル2は冷却される。
【0042】
以下、パイプ部材PIが3回巻き回されて形成される誘導加熱コイル2において、誘導加熱コイル2を形成する各コイル部(3〜8)について説明する。
【0043】
誘導加熱コイル2は、高周波電源PSに接続される第1および第2接続コイル部(7,8)と、第1バーコイル部3と、第2バーコイル部4と、第1および第2バーコイル部(3,4)間を繋ぐ第1および第2コーナーコイル部(5,6)とを備えている。ここで、第
1バーコイル部3は直線状の6本のバーコイル(3a〜3f)より形成され、第2バーコイル部4は同じく直線状の3本のバーコイル(4a〜4c)より形成されている。そして、第1コーナーコイル部5はヘアピン形状の3本のコーナーコイル(5a〜5c)より形成され、第2コーナーコイル部6は同じくヘアピン形状の3本のコーナーコイル(6a〜6c)より形成されている。
【0044】
次に、各コイル部(3〜8)の接続関係について説明する。なお、誘導加熱コイル2は、第1接続コイル部7から第2接続コイル部8に向けてパイプ部材PIが順に巻き回され形成されているものとし、各コイル部(3〜8)の接続関係について以下説明する。
【0045】
高周波電源PSに接続される第1接続コイル部7には、順にバーコイル3a、コーナーコイル5a、バーコイル4a、コーナーコイル6aおよびバーコイル3dが繋がれており、このバーコイル3a、コーナーコイル5a、バーコイル4a、コーナーコイル6aおよびバーコイル3dにより誘導加熱コイル2の第1巻きコイル2aが形成される。次に、第1巻きコイル2aの端部に位置するバーコイル3dには、順にバーコイル3b、コーナーコイル5b、バーコイル4b、コーナーコイル6bおよびバーコイル3eが繋がれており、バーコイル3b、コーナーコイル5b、バーコイル4b、コーナーコイル6bおよびバーコイル3eにより誘導加熱コイル2の第2巻きコイル2bが形成される。最後に、第2巻コイル2bの端部に位置するバーコイル3eには、順にバーコイル3c、コーナーコイル5c、バーコイル4c、コーナーコイル6cおよびバーコイル3fが繋がれており、このバーコイル3c、コーナーコイル5c、バーコイル4c、コーナーコイル6cおよびバーコイル3fにより誘導加熱コイル2の第3巻きコイル2cが形成される。
【0046】
次に、各コイル部(3〜8)の搬送路Wに対する配置について説明する。
【0047】
第1バーコイル部3は、上記のように直線状の6本のバーコイル(3a〜3f)より形成されており、6本のバーコイル(3a〜3f)は搬送路Wに対面する同一の平面内において、搬送路Wに対して搬送方向に平行して配置されている。ここで、3本のバーコイル(3a〜3c)およびバーコイル(3d〜3f)は、互いに近接した状態でそれぞれ搬送方向に平行に並んで配置されている。
【0048】
一方、第2バーコイル部4は、上記のように直線状の3本のバーコイル(4a〜4c)より形成されており、3本のバーコイル(4a〜4c)は搬送路Wを挟んでバーコイル(3a〜3f)と反対側にて、搬送路Wに対面する同一の平面内において、搬送路Wに対して搬送方向に平行して配置されている。ここで、3本のバーコイル(4a〜4c)は、互いに近接した状態でそれぞれ搬送方向に平行に並んで配置されている。上記のように6本のバーコイル(3a〜3f)および3本のバーコイル(4a〜4c)が配置されることにより、バーコイル(3a〜3f)より形成される第1および第2バーコイル部(3,4)は、搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置される。
【0049】
第1コーナーコイル部5は、上記のように3本のヘアピン形状のコーナーコイル(5a〜5c)より形成されている。そして、このコーナーコイル(5a〜5c)は搬送路W内に出入する被加熱体Hの進路を阻害しないように、搬送路Wに対して略直角の方向に配置されている。同様に、第2コーナーコイル部6は、上記のように3本のヘアピン形状のコーナーコイル(6a〜6c)より形成されている。そして、このコーナーコイル(6a〜6c)は搬送路W内に出入する被加熱体Hの進路を阻害しないように、搬送路Wに対して略直角の方向に配置されている。
【0050】
上記のように誘導加熱コイル2は各コイル部(3〜8)が一連に接続され構成となっている。そのため、高周波電源PSより第1接続コイル部7から第2接続コイル部8に向けて
流れる電流が供給された場合、バーコイル(3a〜3c)またはバーコイル(3d〜3f)より形成される第1バーコイル部3には、搬送方向に対して逆向きに電流が流れ、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4には、搬送方向に対して同じ向きに電流が流れる。一方、高周波電源PSより第2接続コイル部8から第1接続コイル部7に向けて流れる電流が供給された場合、バーコイル(3a〜3c)またはバーコイル(3d〜3f)より形成される第1バーコイル部3には、搬送方向と同じ向きに電流が流れ、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4には、搬送方向に対して逆向きに電流が流れる。すなわち、第1および第2バーコイル部(3,4)には、高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れる。
【0051】
次に、連続誘導加熱装置1に備わる第1磁束制御手段(10,30)および第2磁束制御手段(20,40)について、図1および図2に基づき説明する。ここで、連続誘導加熱装置1は、2対の第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)を備えており、第1および第2磁束制御手段(10,20)は連続誘導加熱装置1において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(30,40)は、連続誘導加熱装置1において搬送路Wの出口側に配置されている。そして、第1および第2磁束制御手段(10,20)と第1および第2磁束制御手段(30,40)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。
【0052】
上記のように第1および第2磁束制御手段(30,40)は、第1および第2磁束制御手段(10,20)とそれぞれ同じ部品にて同一に構成であるため、以下、第1および第2磁束制御手段(10,20)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(30,40)については、第1および第2磁束制御手段(10,20)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
第1磁束制御手段10は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第1および第2サイドコア(11,12)を備える。そして、第1および第2サイドコア(11,12)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段10を構成する第1および第2サイドコア(11,12)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0054】
第2磁束制御手段20は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第3および第4サイドコア(21,22)を備える。第3および第4サイドコア(21,22)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第2磁束制御手段20を構成する第3および第4サイドコア(21,22)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されるとともに、第3および第4サイドコア(21,22)は、第1磁束制御手段10を構成する第1および第2サイドコア(11,12)に対しそれぞれ所定の長さ離間し対向した位置に配置されている。
【0055】
上記のように第1および第2サイドコア(11,12)に対し、第3および第4サイドコア(21,22)は、それぞれ所定の長さ離間して配置されており、各コア(11,21)(12,22)間には、所定の長さの空隙が形成される。
【0056】
そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(12,22)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。また、サイドコア(12,22)間のみならず、サイドコア(11,21)間にも空隙が形成されているため、被加熱部材Hがシャフト等の被加熱部材Hの両側に突出する突出部材を備える場合にも、サイドコア(11
,21)間およびサイドコア(12,22)間に形成された空隙内に突出部材を配することができる。また、その場合の空隙の長さも突出部材が挿通可能な程度の長さに設定されている。
【0057】
次に、図3に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置1内に形成される磁束について説明する。
【0058】
上記のように連続誘導装置1の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
【0059】
ここで、連続誘導加熱装置1は第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)を備えており、第1磁束制御手段(10,30)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(11,12)を備え、第2磁束制御手段(20,40)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(10,30)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(21,22)を備えている。
【0060】
また、フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(11,12,21,22)に集束される。そのため、第1磁束制御手段(10,30)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(11,12)内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、第1および第2サイドコア(11,12)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(11,12)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(11,12)に挟まれた搬送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(20,40)により、第3および第4サイドコア(21,22)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
【0061】
このように、第1から第4サイドコア(11,12,21,22)により、第1および第2バーコイル部(3,4)に形成された磁束φは、外延への散逸が抑えられるとともに搬送路W内に積極的に集束され、搬送路W内の磁束の高密度化が図られる。また、第1および第2バーコイル部(3,4)を挟み込む位置にサイドコア(11,12,21,22)を配置する構成は、サイドコア(フェライト)(11,12,21,22)の使用量を抑えつつ搬送路W内の磁束φを積極的に集束させるためには効果的は構成であり、少ないフェライトの使用量で有効に搬送路W内の磁束φを高密度化させることができる構成である。
【0062】
また、第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)は所定の長さ離間し対向して配置されている。よって、互いに対向する第1サイドコア11(第1磁束制御手段(10,30))と第3サイドコア21(第2磁束制御手段(20,40))との間、並びに第2サイドコア12(第1磁束制御手段(10,30))と第4サイドコア22(第2磁束制御手段(20,40))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。また、この空隙は搬送路Wの両側に形成されるので、シャフト等の両側に突出
する突出部材を被加熱部材Wが備える場合には、この空隙内に突出部材を配することができる。そのため、搬送路Wを挟んで対面するサイドコア(11,12)(21,22)間の距離を拡張することなく搬送路W内に被加熱部材Hを配することができる。つまり、サイドコア(11,12)(21,22)間の距離を拡張して搬送路W内の面積を大きくすることなく、搬送路W内に被加熱部材Hを配することができ、搬送路W内の磁束φを高密度に保った状態とすることができる。
【0063】
すなわち、連続誘導加熱装置1によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0064】
(第2の実施形態)次に、この発明の第2の実施形態における連続誘導加熱装置を図5および図6に基づき説明する。図5は本実施形態の連続誘導加熱装置200を示す斜視図であり、図6は図5にてB−B断面にて示される断面図である。
【0065】
連続誘導加熱装置200は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
【0066】
なお、第2の実施形態における連続誘導加熱装置200は、第1の実施形態における連続誘導加熱装置1に対して、第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)の構造が異なり、その他の部分である誘導加熱コイル2は同一の構造である。そのため、誘導加熱コイル2については第1の実施形態の連続誘導加熱装置1と同一の符号を付するとともに説明を省略し、以下、第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)について説明する。
【0067】
上記のように、連続誘導加熱装置200は、2対の第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)を備えている。そして、第1および第2磁束制御手段(210,220)は連続誘導加熱装置200において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(230,240)は、連続誘導加熱装置200において搬送路Wの出口側に配置されている。
【0068】
そして、第1および第2磁束制御手段(210,220)と第1および第2磁束制御手段(230,240)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。そのため、以下、第1および第2磁束制御手段(210,220)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(230,240)については、第1および第2磁束制御手段(210,220)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
第1磁束制御手段210は、フェライトの板材より長方形に形成された第1および第2サイドコア(211,212)を備える。そして、第1および第2サイドコア(211,212)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段210を構成する第1および第2サイドコア(211,212)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0070】
第2磁束制御手段220は、フェライトの板材より長方形に形成された第3および第4サイドコア(221,222)を備える。第3および第4サイドコア(221,222)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、第2磁束制御手段220を構成する第3お
よび第4サイドコア(221,222)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0071】
ここで、第1磁束制御手段210を構成する第1サイドコア211と、第2磁束制御手段220を構成する第3サイドコア221とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されている。また、第1磁束制御手段210を構成する第2サイドコア212と、第2磁束制御手段220を構成する第4サイドコア222とは、互いに対向する位置に配置されるとともに所定の長さ離間した位置に配置されている。
【0072】
上記のように第2サイドコア212に対し、第4サイドコア222は、所定の長さ離間して配置されており、各コア(212,222)間には、所定の長さの空隙が形成される。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(212,222)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。
【0073】
次に、図6に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置200内に形成される磁束について説明する。
【0074】
上記のように連続誘導装置200の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
【0075】
ここで、連続誘導加熱装置1は第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)を備えており、第1磁束制御手段(210,230)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(211,212)を備え、第2磁束制御手段(220,240)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(210,230)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(221,222)を備えている。そして、第1磁束制御手段210を構成する第1サイドコア211と、第2磁束制御手段220を構成する第3サイドコア221とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されている
【0076】
フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(211,212,221,222)に集束される。そのため、第1磁束制御手段(210,230)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(211,212)内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、第1および第2サイドコア(211,212)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(211,212)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(211,212)に挟まれた搬送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(220,240)により、第3および第4サイドコア(221,222)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
【0077】
さらに、上記のように第1磁束制御手段210を構成する第1サイドコア211と、第2磁束制御手段220を構成する第3サイドコア221とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されているため、第1および第2バーコイル部(3,4)にて形成された磁束φは、外延へ散逸することがより効果的に抑えられ、搬送路W内に高密度化された磁束φが形成される。
【0078】
このように、第1から第4サイドコア(211,212,221,222)により、第1および第2バーコイル部(3,4)に形成された磁束φは、外延への散逸が抑えられるとともに搬送路W内に積極的に集束され、搬送路W内の磁束の高密度化が図られる。また、第1および第2バーコイル部(3,4)を挟み込む位置にサイドコア(211,212,221,222)を配置する構成は、サイドコア(フェライト)(211,212,221,222)の使用量を抑えつつ搬送路W内の磁束φを積極的に集束させるためには効果的は構成であり、少ないフェライトの使用量で有効に搬送路W内の磁束φを高密度化させることができる構成である。また、第1および第3サイドコア(211,221)を繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
【0079】
すなわち、連続誘導加熱装置200によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0080】
また、互いに対向する第2サイドコア212(第1磁束制御手段(210,230))と第4サイドコア222(第2磁束制御手段(220,240))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。
【0081】
(第3の実施形態)次に、この発明の第3の実施形態における連続誘導加熱装置を図7および図8に基づき説明する。図7は本実施形態の連続誘導加熱装置300を示す斜視図であり、図8は図7にてC−C断面にて示される断面図である。
【0082】
連続誘導加熱装置300は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
【0083】
なお、第3の実施形態における連続誘導加熱装置300は、第1の実施形態における連続誘導加熱装置1に対して、第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)の構造が異なり、その他の部分である誘導加熱コイル2は同一の構造である。そのため、誘導加熱コイル2については第1の実施形態の連続誘導加熱装置1と同一の符号を付するとともに説明を省略し、以下、第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)について説明する。
【0084】
上記のように、連続誘導加熱装置300は、2対の第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)を備えている。そして、第1および第2磁束制御手段(310,320)は連続誘導加熱装置300において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(330,340)は、連続誘導加熱装置300において搬送路Wの出口側に配置されている。
【0085】
そして、第1および第2磁束制御手段(310,320)と第1および第2磁束制御手段(330,340)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。そのため、以下
、第1および第2磁束制御手段(310,320)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(330,340)については、第1および第2磁束制御手段(310,320)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0086】
第1磁束制御手段310は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第1および第2サイドコア(311,312)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第1アッパーコア313とを備える。そして、第1および第2サイドコア(311,312)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段310を構成する第1および第2サイドコア(311,312)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0087】
また、第1アッパーコア313は、第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第1サイドコア311と第1アッパーコア313と、第2サイドコア312と第1アッパーコア313とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第1磁束制御手段310は、それぞれ別体に形成された第1および第2サイドコア(311,312)並びに第1アッパーコア313が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
【0088】
同様に、第2磁束制御手段320は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第3および第4サイドコア(321,322)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第2アッパーコア323とを備える。第3および第4サイドコア(321,322)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、第2磁束制御手段320を構成する第3および第4サイドコア(321,322)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0089】
また、第2アッパーコア323は、第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第3サイドコア321と第2アッパーコア323と、第4サイドコア322と第2アッパーコア323とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第2磁束制御手段320は、それぞれ別体に形成された第3および第4サイドコア(321,322)並びに第2アッパーコア323が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
【0090】
ここで、第2磁束制御手段320を構成する第3および第4サイドコア(321,322)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されるとともに、第3および第4サイドコア(321,322)は、第1磁束制御手段310を構成する第1および第2サイドコア(311,312)に対しそれぞれ所定の長さ離間し対向した位置に配置されている。
【0091】
上記のように第1および第2サイドコア(311,312)に対し、第3および第4サイドコア(321,322)は、それぞれ所定の長さ離間して配置されており、各コア(311,321)(312,322)間には、所定の長さの空隙が形成される。
【0092】
そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(312,322)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。また、サイドコア(312,322)間のみならず、サイドコア(311,321)間にも空隙が形成されているため、被加
熱部材Hがシャフト等の被加熱部材Hの両側に突出する突出部材を備える場合にも、サイドコア(311,321)間およびサイドコア(312,322)間に形成された空隙内に突出部材を配することができる。また、その場合の空隙の長さも突出部材が挿通可能な程度の長さに設定されている。
【0093】
次に、図9に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置300内に形成される磁束について説明する。
【0094】
上記のように連続誘導装置300の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
【0095】
ここで、連続誘導加熱装置300は第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)を備えている。そして、第1磁束制御手段(310,330)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(311,312)、並びにフェライトより形成され第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第1アッパーコア313を備える。一方、第2磁束制御手段(320,340)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(310,330)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(321,322)、並びにフェライトより形成され第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第2アッパーコア323を備える。
【0096】
フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(311,312,321,322)および第1および第2アッパーコア(313,323)内に集束される。
【0097】
そのため、第1磁束制御手段(310,330)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(311,312)内および第1アッパーコア313内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、搬送路Wを挟み込む第1および第2サイドコア(311,312)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(311,312)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(311,312)に挟まれた搬送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(320,340)により、第3および第4サイドコア(321,322)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
【0098】
ここで、上記のように第1および第2磁束制御手段(310,320)においては、第1または第2アッパーコア(313,323)が搬送路Wを挟んでそれぞれ第1または第2バーコイル部(3,4)の反対側に配置されている。そのため、第1および第2アッパーコア(313,323)により、第1または第2バーコイル部(3,4)において搬送路の反対側に形成される磁束は集束され、搬送路Wの反対側に散逸する磁束を第1および第2アッパーコア(313,323)内に集束させることができる。
【0099】
そして、第1および第2アッパーコア(313,323)により、第1および第2磁束制
御手段(310,320)に一層効果的に集束された磁束が、サイドコア(311,312,321,322)に挟まれた搬送路W内に形成され、搬送路内の磁束はより効果的に高密度化される。また、また、第1および第2アッパーコア(313,323)を設けるために新たに用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると決して多い量であるといえない。
【0100】
また、第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)は所定の長さ離間し対向して配置されている。よって、互いに対向する第1サイドコア311(第1磁束制御手段(310,330))と第3サイドコア321(第2磁束制御手段(320,340))との間、並びに第2サイドコア312(第1磁束制御手段(310,330))と第4サイドコア322(第2磁束制御手段(320,340))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。
【0101】
そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。また、この空隙は搬送路Wの両側に形成されるので、シャフト等の両側に突出する突出部材を被加熱部材Wが備える場合には、この空隙内に突出部材を配することができる。そのため、搬送路Wを挟んで対面するサイドコア(311,312)(321,322)間の距離を拡張することなく搬送路W内に被加熱部材Hを配することができる。つまり、サイドコア(311,312)(321,322)間の距離を拡張して搬送路W内の面積を大きくすることなく、搬送路W内に被加熱部材Hを配することができ、搬送路W内の磁束φを高密度に保った状態とすることができる。
【0102】
すなわち、連続誘導加熱装置300によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0103】
次に、図10に基づき、本実施形態の連続誘導加熱装置300の加熱特性について、図14に示す従来例の連続誘導加熱装置500と対比して説明する。
【0104】
図10は、従来例の連続誘導加熱装置500および本実施形態の連続誘導加熱装置300にて被加熱体Hを加熱したときの被加熱体Hの表面温度の経時変化を示す解析結果である。なお、上記の解析においては、加熱装置500の誘導加熱コイル502と加熱装置300の誘導加熱装置2とは同一の形状および構造とし、それぞれのコイル(502,2)に供給される電力の周波数および電力量は同一とした。
【0105】
図10に示すように、本実施形態の連続誘導加熱装置300にて被加熱体Hを加熱した場合には、実施例の連続誘導加熱装置500にて被加熱体Hを加熱した場合に比して、被加熱体Hの単位時間当たりに上昇する温度が大きい。そのため、設定温度(240℃)に到達する時間が、連続誘導加熱装置500では「20秒」であるのに対し、連続誘導加熱装置300では「6秒」であり、連続誘導加熱装置300は連続誘導加熱装置500の半分以下の時間で被加熱体Hを設定温度(240℃)まで加熱することができる。このことから、本実施形態の連続誘導加熱装置300では、搬送路内における磁束φの磁束密度が有効に高密度化されていることが確認される。
【0106】
(第4の実施形態)次に、この発明の第4の実施形態における連続誘導加熱装置を図11および図12に基づき説明する。図11は本実施形態の連続誘導加熱装置400を示す斜視図であり、図12は図11にてD−D断面にて示される断面図である。
【0107】
連続誘導加熱装置400は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(410,420)(430
,440)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
【0108】
なお、第4の実施形態における連続誘導加熱装置400は、第1の実施形態における連続誘導加熱装置1に対して、第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)の構造が異なり、その他の部分である誘導加熱コイル2は同一の構造である。そのため、誘導加熱コイル2については第1の実施形態の連続誘導加熱装置1と同一の符号を付するとともに説明を省略し、以下、第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)について説明する。
【0109】
上記のように、連続誘導加熱装置400は、2対の第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)を備えている。そして、第1および第2磁束制御手段(410,420)は、連続誘導加熱装置400において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(430,440)は、連続誘導加熱装置400において搬送路Wの出口側に配置されている。
【0110】
そして、第1および第2磁束制御手段(410,420)と第1および第2磁束制御手段(430,440)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。そのため、以下、第1および第2磁束制御手段(410,420)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(430,440)については、第1および第2磁束制御手段(410,420)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
第1磁束制御手段410は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第1および第2サイドコア(411,412)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第1アッパーコア413とを備える。そして、第1および第2サイドコア(411,412)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段410を構成する第1および第2サイドコア(411,412)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0112】
また、第1アッパーコア413は、第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第1サイドコア411と第1アッパーコア413と、第2サイドコア412と第1アッパーコア413とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第1磁束制御手段410は、それぞれ別体に形成された第1および第2サイドコア(411,412)並びに第1アッパーコア413が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
【0113】
同様に、第2磁束制御手段420は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第3および第4サイドコア(421,422)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第2アッパーコア423とを備える。第3および第4サイドコア(421,422)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、第2磁束制御手段420を構成する第3および第4サイドコア(421,422)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0114】
また、第2アッパーコア423は、第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第3サイドコア421と第2アッパーコア423と、第4サイドコア422と第2アッパーコア423とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第2磁束制御手段420は、それぞれ別体に形
成された第3および第4サイドコア(421,422)並びに第2アッパーコア423が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
【0115】
ここで、第1磁束制御手段410を構成する第1サイドコア411と、第2磁束制御手段420を構成する第3サイドコア421とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されている。また、第1磁束制御手段410を構成する第2サイドコア412と、第2磁束制御手段420を構成する第4サイドコア422とは、互いに対向する位置に配置されるとともに所定の長さ離間した位置に配置されている。
【0116】
上記のように第2サイドコア412に対し、第4サイドコア422は、所定の長さ離間して配置されており、各コア(412,422)間には、所定の長さの空隙が形成される。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(212,222)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。
【0117】
次に、図13に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置400内に形成される磁束について説明する。
【0118】
上記のように連続誘導装置400の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
【0119】
ここで、連続誘導加熱装置400は第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)を備えている。そして、第1磁束制御手段(410,430)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(411,412)、並びにフェライトより形成され第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第1アッパーコア413を備える。一方、第2磁束制御手段(420,440)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(410,430)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(421,422)、並びにフェライトより形成され第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第2アッパーコア423を備える。
【0120】
フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(411,412,421,422)および第1および第2アッパーコア(413,423)内に集束される。
【0121】
そのため、第1磁束制御手段(410,430)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(411,412)内および第1アッパーコア413内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、搬送路Wを挟み込む第1および第2サイドコア(411,412)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(411,412)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(411,412)に挟まれた搬
送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(420,440)により、第3および第4サイドコア(421,422)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
【0122】
ここで、上記のように第1および第2磁束制御手段(410,420)においては、第1または第2アッパーコア(413,423)が搬送路Wを挟んでそれぞれ第1または第2バーコイル部(3,4)の反対側に配置されている。そのため、第1および第2アッパーコア(413,423)により、第1または第2バーコイル部(3,4)において搬送路の反対側に形成される磁束は集束され、搬送路Wの反対側に散逸する磁束を第1および第2アッパーコア(413,423)内に集束させることができる。
【0123】
そして、第1および第2アッパーコア(413,423)により、第1および第2磁束制御手段(410,420)に一層効果的に集束された磁束が、サイドコア(411,412,421,422)に挟まれた搬送路W内に形成され、搬送路内の磁束はより効果的に高密度化される。また、また、第1および第2アッパーコア(413,423)を設けるために新たに用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると決して多い量であるといえない。
【0124】
さらに、上記のように第1磁束制御手段310を構成する第1サイドコア411と、第2磁束制御手段420を構成する第3サイドコア421とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されているため、第1および第2バーコイル部(3,4)にて形成された磁束φは、外延へ散逸することが更に効果的に抑えられ、搬送路W内に高密度化された磁束φが形成される。また、第1および第3サイドコア(411,421)を繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
【0125】
すなわち、連続誘導加熱装置400によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0126】
また、互いに対向する第2サイドコア412(第1磁束制御手段(410,430))と第4サイドコア422(第2磁束制御手段(420,440))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。
【符号の説明】
【0127】
1,200,300,400,500 連続誘導加熱装置
2,502 誘導加熱コイル
3,503 第1バーコイル部
4,504 第2バーコイル部
5,505 第1コーナーコイル部
6,506 第2コーナーコイル部
7 第1接続コイル部
8 第2接続コイル部
10,30,210,230,310,330,410,430 第1磁束制御手段
20,40,220,240,320,340,420,440 第2磁束制御手段
11,211,311,411 第1サイドコア
12,212,312,412 第2サイドコア
21,221,321,421 第3サイドコア
22,222,322,422 第4サイドコア
313,413 第1アッパーコア
323,423 第2アッパーコア
PI パイプ部材
PS 高周波電源
φ 磁束
W 搬送路
H 被加熱体
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送路に沿って搬送される被加熱体を連続的に加熱する連続加熱装置に関し、誘導加熱コイルが搬送路を挟んで平行に配置された第1および第2バーコイル部を備える連続加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に多くの生産工場において、部品の加工や組み立て等は各工程が空間的に繋がる生産ラインによって行われている。そして、この生産ラインにおいては、対象部品が各工程間を連続的に移動するだけでなく、加工や組み立て等の各工程中においても、対象製品が連続的に移動するものもある。このような生産ラインにおいては、加熱処理も対象製品である被加熱体が移動しながら行われることがある。そして、このように被加熱体が移動しながら加熱処理が行われる際、加熱装置として誘導加熱装置が用いられる場合、連続的に移動する被加熱体を連続的に加熱することができる連続誘導加熱装置が用いられる。
【0003】
以下、連続誘導加熱装置の従来例について、図14および図15に基づいて説明する。ここで、図14は従来例の連続誘導加熱装置の斜視図であり、図15は図14にてE−E断面にて指示される断面図である。連続誘導加熱装置500は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル502を備え、この誘導加熱コイル502に高周波の電流が流れる。そして、誘導加熱コイル502は、円環形状のパイプ部材PIより形成されており、直線状に被加熱体Hが搬送される搬送路Wを囲んで、パイプ部材PIが3巻きされた構造となっており、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置された第1および第2バーコイル部(503,504)を有する。また、誘導加熱コイル502の両端のコーナー部(505,506)は、直線状に搬送される被加熱体Hの搬送路Wを遮らないよう搬送路Wに対し直角の方向に曲げられている。なお、誘導加熱コイル502は、上記のように中空のパイプ形状になっており、コイル502を冷却するための冷却水がコイル502内を循環している。
【0004】
このように搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置された第1および第2バーコイル部(503,504)には、長手方向に互いに逆向きの電流が流れ、例えば、紙面視にて第1バーコイル部503に右から左に向けて電流が流れているときは、第2バーコイル部504には左から右に向けて電流が流れ、第1バーコイル部503に左から右に向けて電流が流れているときは、第2バーコイル部504には右から左に向けて電流が流れる。このような電流路が形成される誘電加熱コイル502において、高周波電源から供給される高周波電流により第1および第2バーコイル部(503,504)の内外に形成される磁束について図16に基づき説明する。ここで、図16は、高周波電源PSから誘導加熱コイル502に高周波の電流が供給されるときに連続誘導加熱装置500に形成される磁束の分布を示した図である。
【0005】
図16では、第1バーコイル部503には手前方向に、第2バーコイル部504には奥行き方向に電流が流れるときに形成される磁束φを示したものである。第1バーコイル部503の軸回りには反時計方向の磁束φが形成され、第2バーコイル部504の軸回りには時計方向の磁束φが形成され、これらの磁束φにより搬送路Wには紙面視にて左から右へ流れる磁束φが形成されている。そして、上記と逆向きに第1および第2バーコイル部(503,504)に電流が流れたときには、上記に対して反転した向きに、すなわち、搬送路Wには紙面視にて右から左へ流れる磁束φが形成される。
【0006】
この搬送路Wに形成される磁束φの向きは、高周波電源から供給される電流の交番に対応
して周期的に短時間ごとに反転する(右→左 or 左→右)。そのため、搬送路W内に磁性材料からなる被加熱体Hを配置した場合、被加熱体Hには、この反転する磁束φを阻害する方向に新たに磁束を形成する物理現象が生じ、この新たに形成される磁束を形成すべく被加熱体H自体に渦電流が流れる。そして、この被加熱体Hに形成される渦電流により被加熱体H自体にジュール熱が生じ、このジュール熱により被加熱体Hは加熱される。
【0007】
上記のように被加熱体Hは搬送路Wに形成される磁束φにより加熱され、この搬送路Wに形成される磁束φの磁束密度が高いほど被加熱体Hの発熱量は大きくなる。そのため、被加熱体Hを短時間に加熱するためには、搬送路Wに形成される磁束φの磁束密度を高くする必要がある。しかしながら、図14および図15に示す従来例の連続加熱装置500においては、図16に示すように、第1および第2バーコイル部(503,504)にて形成された磁束φは、第1および第2バーコイル部(503,504)の周辺に大きく散逸しており、搬送路Wに形成される磁束φの磁束密度を高密度化することが困難である。
【0008】
そのため、搬送路Wに形成される磁束φの磁束密度を高くするためには、高周波電源PSから供給される電力の電力量を大きくする必要があり、少ない電力量で効率的に被加熱体Hを加熱することが困難である。ここで、生産工場の生産システムにおいては、加工設備、組み立て設備等の多くの機械設備が用いられ、それぞれの設備に多大の電力が供給されている。そして、誘導加熱装置を備える生産システムにおいては、誘導加熱装置に供給される電力の電力量の割合が高いことが多い。そのため、生産工場の省エネ化のためには、誘導加熱装置の高効率化が特に求められ、誘導加熱装置の高効率化は、省エネ化の要求が高い製造業に多大な貢献を与える。
【0009】
このような課題に対して、特許文献1には、搬送路内の磁束密度を高めるために、磁束の経路を制御する磁束制御部材が用いられた誘導加熱装置が示されている。この誘導加熱装置では、磁束制御部材によりバーコイル部にて形成された磁束を集束するとともに集束された磁束が搬送路内を流れるよう磁束の経路が制御され、この制御された磁束により搬送路内の磁束密度が高められる手法が示されている。そして、この磁束制御部材としてフェライトが用いられている。ここで、フェライトは透磁率が高いため磁束を集束しやすい一方、抵抗値が大きいため渦電流が生じにくくジュール熱による発熱が少ない。そのため、磁束制御部材としてフェライトは好適な材料である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−171888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に示すように、誘導加熱装置に磁束制御部材を用いるとともに、磁束制御部材としてフェライトを採用することは搬送路内の磁束の磁束密度を高めるためには有効な手段である。一方、図14および図15に示される従来例の連続誘導加熱装置500は、誘導加熱コイル502の構造が簡易であるため設計および製造が容易であり、誘導加熱装置502として既に多くの工場で用いられている。
【0012】
そのため、このような連続誘導加熱装置500に新たに磁束制御部材を適用して、搬送路Wにおける磁束φの磁束密度を高密度化することができれば、高周波電源PSから供給する電力の電力量を大きくすることなく効率よく被加熱体Hを加熱することができ、省エネ化が求められる製造業において多大な貢献を与えることができる。
【0013】
ここで、搬送路内の磁束の磁束密度を有効に高密度化するためには、磁束の散逸を有効に
防止するとともに、磁束の経路を搬送路内に有効に集束させることができる好適な位置にフェライトを配置することが求められる。また、フェライトは単位体積当たりの価格が高い高価な材料であり、その使用量はできるだけ少ないことが求められる。そのため、搬送路内における磁束の磁束密度をフェライトの使用量を抑えつつ有効に高密度化すべく、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトを配置することが求められる。
【0014】
そこで、この発明の目的は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置された第1および第2バーコイル部を有し、第1および第2バーコイルに互いに逆向きに電流が流れる連続誘導加熱装置において、磁束制御部材としてフェライトを適用する。そして、搬送路内における磁束の磁束密度をフェライトの使用量を抑えつつ有効に高密度化すべく、この連続誘導加熱装置において、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトを配置するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の連続誘導加熱装置は、高周波電源に接続される誘導加熱コイルを備え、この誘導加熱コイルは搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに前記高周波電源から供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された前記第1および第2バーコイル部を有する。そして、この連続誘導加熱装置においては、フェライトより形成されるとともに前記第1バーコイル部および前記搬送路を互いに挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコアを備える第1磁束制御手段と、フェライトより形成されるとともに前記第2バーコイル部および前記搬送路を互いに挟み込む位置に配置された第3および第4サイドコアを備え、前記第1磁束制御手段に対して所定の長さ離間し対向して配置された第2磁束制御手段とが、備えられている。
【0016】
このように、請求項1に記載の連続誘導装置の誘導加熱コイルは、搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源から供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部を有する。そのため、高周波電源から誘導加熱コイルに電流が供給されると、第1バーコイル部には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束が形成され、第2バーコイル部には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束が形成されるとともに、第1および第2バーコイル部間の搬送路には第1バーコイル部を第2バーコイル部の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束が形成される。
【0017】
ここで、請求項1に記載の連続誘導加熱装置は第1および第2磁束制御手段を備えており、第1磁束制御手段は、フェライトより形成され第1バーコイル部および搬送路を挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコアを備え、第2磁束制御手段は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部および搬送路を挟み込むとともに第1磁束制御手段に対向する位置に配置された第3および第4サイドコアを備えている。
【0018】
また、フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部の軸回りに形成された磁束は、第1から第4サイドコア内に集束される。そのため、第1磁束制御手段により、第1バーコイル部の軸回りに形成された磁束は、第1および第2サイドコア内に集束され、第1バーコイル部の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、第1および第2サイドコア内に集束された磁束が、第1および第2サイドコアに挟まれた搬送路を横断するため、第1および第2サイドコアに挟まれた搬送路には高密度化された磁束が形成される。同様に、第2磁束制御手段により、第3および第4サイドコアに挟まれた搬送路内には高密度化された磁束が形成される。
【0019】
このように、第1から第4サイドコアにより、第1および第2バーコイル部に形成された磁束は、外延への散逸が抑えられるとともに搬送路内に積極的に集束され、搬送路内の磁束の高密度化が図られる。また、第1および第2バーコイル部を挟み込む位置にサイドコ
アを配置する構成は、サイドコア(フェライト)の使用量を抑えつつ搬送路内の磁束を積極的に集束させるためには効果的は構成であり、少ないフェライトの使用量で有効に搬送路内の磁束を高密度化させることができる構成である。
【0020】
また、第1および第2磁束制御手段は所定の長さ離間し対向して配置されている。よって、互いに対向する第1サイドコア(第1磁束制御手段)と第3または第4サイドコア(第2磁束制御手段)との間、並びに第2サイドコア(第1磁束制御手段)と第4または第3サイドコア(第2磁束制御手段)との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材を保持することができる。また、この空隙は搬送路の両側に形成されるので、シャフト等の両側に突出する突出部材を被加熱部材が備える場合には、この空隙内に突出部材を配することができる。そのため、搬送路を挟んで対面するサイドコア間の距離を離すことなく搬送路内に被加熱部材を配することができる。つまり、サイドコア間の距離を離して搬送路内の面積を大きくすることなく、搬送路内に被加熱部材を配することができ磁束を高密度に保った状態とすることができる。
【0021】
すなわち、請求項1に記載の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0022】
請求項2に記載の連続誘導加熱装置は、請求項1に記載の連続誘導加熱装置に対して、第1磁束制御手段の第1サイドコアと第2磁束制御手段の第3サイドコアとが、第1および第2バーコイル部の同一側にともに配置されるとともに一連一体的に構成されることを特徴とする。
【0023】
このように、請求項2に記載の連続誘導加熱装置は、請求項1に記載の連続誘導加熱装置に対して、第1サイドコア(第1磁束制御手段)と第3サイドコア(第2磁束制御手段)とが一連一体的に構成されているため、第1および第2バーコイル部にて形成された磁束は、外延へ散逸することがより効果的に抑えられ、搬送路内の磁束はより高密度化される。また、第1および第3サイドコアを繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
【0024】
すなわち、請求項2に記載の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0025】
請求項3に記載の連続誘導加熱装置は、請求項1に記載の連続誘導加熱装置に対して、第1磁束制御手段において、フェライトより形成されるとともに第1バーコイル部を挟んで搬送路に対して反対側の位置に配置された第1アッパーコアが備えられていること、および第2磁束制御手段において、フェライトより形成されるとともに第2バーコイル部を挟んで搬送路に対して反対側の位置に配置された第2アッパーコアが備えられていること、を特徴とする。
【0026】
このように、請求項3に記載の連続誘導加熱装置においては、請求項1に記載の連続誘導加熱装置に対して、フェライトより形成された第1および第2アッパーコアが追加して備えられている。そして、第1アッパーコアは、第1バーコイル部を挟んで搬送路に対して反対側の位置に配置され、第2アッパーコアは、第2バーコイル部を挟んで搬送路に対して反対側の位置に配置されている。
【0027】
そのため、第1磁束制御手段においては、第1アッパーコア、ならびに第1アッパーコア
を挟んで両側に配置される第1および第2サイドコアが、第1バーコイル部および搬送路を囲んで略コの字形状に配置される。同様に、第2磁束制御手段においては、第2アッパーコア、ならびに第2アッパーコアを挟んで両側に配置される第3および第4サイドコアが、第2バーコイル部および搬送路を囲んで略コの字形状に配置される。
【0028】
このように、第1および第2磁束制御手段においては、第1または第2アッパーコアが搬送路を挟んでそれぞれ第1または第2バーコイル部の反対側に配置されている。そのため、第1および第2アッパーコアにより、第1または第2バーコイル部において搬送路の反対側に形成される磁束は集束され、搬送路の反対側に散逸する磁束を第1および第2アッパーコア内に集束させることができる。
【0029】
そして、第1および第2アッパーコアにより、第1および第2磁束制御手段により効果的に集束された磁束が、サイドコアに挟まれた搬送路内に形成され、搬送路内の磁束はより効果的に高密度化される。また、また、第1および第2アッパーコアを設けるために新たに用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると決して多い量であるといえない。
【0030】
すなわち、請求項3に記載の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0031】
請求項4に記載の連続誘導加熱装置は、請求項3に記載の連続誘導加熱装置において、第1磁束制御手段における第1および第2サイドコア並びに第1アッパーコアとは一連一体的に構成され、第2磁束制御手段における第3および第4サイドコア並びに第2アッパーコアとは一連一体的に構成されていることを特徴とする。
【0032】
このように、請求項4に記載の連続誘導加熱装置は、請求項3に記載の連続誘導加熱装置に対して、第1磁束制御手段における第1および第2サイドコア並びに第1アッパーコアとは一連一体的に構成されているため、第1バーコイル部にて形成された磁束は、外延へ散逸することがより効果的に抑えられる。同様に、第2磁束制御手段における第3および第4サイドコア並びに第2アッパーコアとは一連一体的に構成されているため、第2バーコイル部にて形成された磁束は、外延へ散逸することがより効果的に抑えられる。そのため、搬送路内の磁束はより高密度化される。また、これらのコアを繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
【0033】
すなわち、請求項4に記載の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0034】
請求項5に記載の連続誘導加熱装置は、請求項4に記載の連続誘導加熱装置において、第1磁束制御手段の第1サイドコアと第2磁束制御手段の第3サイドコアとは、前記第1および第2バーコイル部の同一側にともに配置されるとともに一連一体的に構成されていることを特徴とする。
【0035】
このように、請求項5に記載の連続誘導加熱装置は、請求項4に記載の連続誘導加熱装置に対して、第1サイドコア(第1磁束制御手段)と第3サイドコア(第2磁束制御手段)とが一連一体的に構成されているため、第1および第2バーコイル部にて形成された磁束は、外延へ散逸することがより効果的に抑えられ、搬送路内の磁束はより高密度化される。また、第1および第3サイドコアを繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの
使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
【0036】
すなわち、請求項5に記載の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の連続誘導加熱装置によれば、誘導加熱コイルの周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束の磁束密度を有効に高密度化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態における連続誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図2】図1においてA−A断面にて示される断面図である。
【図3】A−A断面にて形成される磁束を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における連続誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図5】図4においてB−B断面にて示される断面図である。
【図6】B−B断面にて形成される磁束を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における連続誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図8】図7においてC−C断面にて示される断面図である。
【図9】C−C断面にて形成される磁束を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の加熱特性を示すグラフである。
【図11】本発明の第4の実施形態における連続誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図12】図12においてD−D断面にて示される断面図である。
【図13】D−D断面にて形成される磁束を示す図である。
【図14】従来技術における連続誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図15】図14において、E−E断面にて示される断面図である。
【図16】E−E断面にて形成される磁束を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1の実施形態)この発明の第1の実施形態における連続誘導加熱装置を図1および図2に基づき説明する。図1は本実施形態の連続誘導加熱装置1を示す斜視図であり、図2は図1においてA−A断面にて示される断面図である。
【0040】
連続誘導加熱装置1は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
【0041】
誘導加熱コイル2は、円環形状のパイプ部材PIより形成されており、被加熱体Hが搬送される直線状の搬送路Wを囲んで、パイプ部材PIが3回巻き回された構造となっている。なお、パイプ部材PIは銅より形成されるとともに外壁面はホーロー加工が施されている。そして、パイプ部材PI内には冷却水が循環され、この冷却水によりパイプ部材PIより形成される誘導加熱コイル2は冷却される。
【0042】
以下、パイプ部材PIが3回巻き回されて形成される誘導加熱コイル2において、誘導加熱コイル2を形成する各コイル部(3〜8)について説明する。
【0043】
誘導加熱コイル2は、高周波電源PSに接続される第1および第2接続コイル部(7,8)と、第1バーコイル部3と、第2バーコイル部4と、第1および第2バーコイル部(3,4)間を繋ぐ第1および第2コーナーコイル部(5,6)とを備えている。ここで、第
1バーコイル部3は直線状の6本のバーコイル(3a〜3f)より形成され、第2バーコイル部4は同じく直線状の3本のバーコイル(4a〜4c)より形成されている。そして、第1コーナーコイル部5はヘアピン形状の3本のコーナーコイル(5a〜5c)より形成され、第2コーナーコイル部6は同じくヘアピン形状の3本のコーナーコイル(6a〜6c)より形成されている。
【0044】
次に、各コイル部(3〜8)の接続関係について説明する。なお、誘導加熱コイル2は、第1接続コイル部7から第2接続コイル部8に向けてパイプ部材PIが順に巻き回され形成されているものとし、各コイル部(3〜8)の接続関係について以下説明する。
【0045】
高周波電源PSに接続される第1接続コイル部7には、順にバーコイル3a、コーナーコイル5a、バーコイル4a、コーナーコイル6aおよびバーコイル3dが繋がれており、このバーコイル3a、コーナーコイル5a、バーコイル4a、コーナーコイル6aおよびバーコイル3dにより誘導加熱コイル2の第1巻きコイル2aが形成される。次に、第1巻きコイル2aの端部に位置するバーコイル3dには、順にバーコイル3b、コーナーコイル5b、バーコイル4b、コーナーコイル6bおよびバーコイル3eが繋がれており、バーコイル3b、コーナーコイル5b、バーコイル4b、コーナーコイル6bおよびバーコイル3eにより誘導加熱コイル2の第2巻きコイル2bが形成される。最後に、第2巻コイル2bの端部に位置するバーコイル3eには、順にバーコイル3c、コーナーコイル5c、バーコイル4c、コーナーコイル6cおよびバーコイル3fが繋がれており、このバーコイル3c、コーナーコイル5c、バーコイル4c、コーナーコイル6cおよびバーコイル3fにより誘導加熱コイル2の第3巻きコイル2cが形成される。
【0046】
次に、各コイル部(3〜8)の搬送路Wに対する配置について説明する。
【0047】
第1バーコイル部3は、上記のように直線状の6本のバーコイル(3a〜3f)より形成されており、6本のバーコイル(3a〜3f)は搬送路Wに対面する同一の平面内において、搬送路Wに対して搬送方向に平行して配置されている。ここで、3本のバーコイル(3a〜3c)およびバーコイル(3d〜3f)は、互いに近接した状態でそれぞれ搬送方向に平行に並んで配置されている。
【0048】
一方、第2バーコイル部4は、上記のように直線状の3本のバーコイル(4a〜4c)より形成されており、3本のバーコイル(4a〜4c)は搬送路Wを挟んでバーコイル(3a〜3f)と反対側にて、搬送路Wに対面する同一の平面内において、搬送路Wに対して搬送方向に平行して配置されている。ここで、3本のバーコイル(4a〜4c)は、互いに近接した状態でそれぞれ搬送方向に平行に並んで配置されている。上記のように6本のバーコイル(3a〜3f)および3本のバーコイル(4a〜4c)が配置されることにより、バーコイル(3a〜3f)より形成される第1および第2バーコイル部(3,4)は、搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置される。
【0049】
第1コーナーコイル部5は、上記のように3本のヘアピン形状のコーナーコイル(5a〜5c)より形成されている。そして、このコーナーコイル(5a〜5c)は搬送路W内に出入する被加熱体Hの進路を阻害しないように、搬送路Wに対して略直角の方向に配置されている。同様に、第2コーナーコイル部6は、上記のように3本のヘアピン形状のコーナーコイル(6a〜6c)より形成されている。そして、このコーナーコイル(6a〜6c)は搬送路W内に出入する被加熱体Hの進路を阻害しないように、搬送路Wに対して略直角の方向に配置されている。
【0050】
上記のように誘導加熱コイル2は各コイル部(3〜8)が一連に接続され構成となっている。そのため、高周波電源PSより第1接続コイル部7から第2接続コイル部8に向けて
流れる電流が供給された場合、バーコイル(3a〜3c)またはバーコイル(3d〜3f)より形成される第1バーコイル部3には、搬送方向に対して逆向きに電流が流れ、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4には、搬送方向に対して同じ向きに電流が流れる。一方、高周波電源PSより第2接続コイル部8から第1接続コイル部7に向けて流れる電流が供給された場合、バーコイル(3a〜3c)またはバーコイル(3d〜3f)より形成される第1バーコイル部3には、搬送方向と同じ向きに電流が流れ、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4には、搬送方向に対して逆向きに電流が流れる。すなわち、第1および第2バーコイル部(3,4)には、高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れる。
【0051】
次に、連続誘導加熱装置1に備わる第1磁束制御手段(10,30)および第2磁束制御手段(20,40)について、図1および図2に基づき説明する。ここで、連続誘導加熱装置1は、2対の第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)を備えており、第1および第2磁束制御手段(10,20)は連続誘導加熱装置1において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(30,40)は、連続誘導加熱装置1において搬送路Wの出口側に配置されている。そして、第1および第2磁束制御手段(10,20)と第1および第2磁束制御手段(30,40)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。
【0052】
上記のように第1および第2磁束制御手段(30,40)は、第1および第2磁束制御手段(10,20)とそれぞれ同じ部品にて同一に構成であるため、以下、第1および第2磁束制御手段(10,20)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(30,40)については、第1および第2磁束制御手段(10,20)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
第1磁束制御手段10は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第1および第2サイドコア(11,12)を備える。そして、第1および第2サイドコア(11,12)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段10を構成する第1および第2サイドコア(11,12)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0054】
第2磁束制御手段20は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第3および第4サイドコア(21,22)を備える。第3および第4サイドコア(21,22)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第2磁束制御手段20を構成する第3および第4サイドコア(21,22)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されるとともに、第3および第4サイドコア(21,22)は、第1磁束制御手段10を構成する第1および第2サイドコア(11,12)に対しそれぞれ所定の長さ離間し対向した位置に配置されている。
【0055】
上記のように第1および第2サイドコア(11,12)に対し、第3および第4サイドコア(21,22)は、それぞれ所定の長さ離間して配置されており、各コア(11,21)(12,22)間には、所定の長さの空隙が形成される。
【0056】
そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(12,22)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。また、サイドコア(12,22)間のみならず、サイドコア(11,21)間にも空隙が形成されているため、被加熱部材Hがシャフト等の被加熱部材Hの両側に突出する突出部材を備える場合にも、サイドコア(11
,21)間およびサイドコア(12,22)間に形成された空隙内に突出部材を配することができる。また、その場合の空隙の長さも突出部材が挿通可能な程度の長さに設定されている。
【0057】
次に、図3に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置1内に形成される磁束について説明する。
【0058】
上記のように連続誘導装置1の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
【0059】
ここで、連続誘導加熱装置1は第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)を備えており、第1磁束制御手段(10,30)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(11,12)を備え、第2磁束制御手段(20,40)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(10,30)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(21,22)を備えている。
【0060】
また、フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(11,12,21,22)に集束される。そのため、第1磁束制御手段(10,30)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(11,12)内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、第1および第2サイドコア(11,12)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(11,12)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(11,12)に挟まれた搬送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(20,40)により、第3および第4サイドコア(21,22)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
【0061】
このように、第1から第4サイドコア(11,12,21,22)により、第1および第2バーコイル部(3,4)に形成された磁束φは、外延への散逸が抑えられるとともに搬送路W内に積極的に集束され、搬送路W内の磁束の高密度化が図られる。また、第1および第2バーコイル部(3,4)を挟み込む位置にサイドコア(11,12,21,22)を配置する構成は、サイドコア(フェライト)(11,12,21,22)の使用量を抑えつつ搬送路W内の磁束φを積極的に集束させるためには効果的は構成であり、少ないフェライトの使用量で有効に搬送路W内の磁束φを高密度化させることができる構成である。
【0062】
また、第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)は所定の長さ離間し対向して配置されている。よって、互いに対向する第1サイドコア11(第1磁束制御手段(10,30))と第3サイドコア21(第2磁束制御手段(20,40))との間、並びに第2サイドコア12(第1磁束制御手段(10,30))と第4サイドコア22(第2磁束制御手段(20,40))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。また、この空隙は搬送路Wの両側に形成されるので、シャフト等の両側に突出
する突出部材を被加熱部材Wが備える場合には、この空隙内に突出部材を配することができる。そのため、搬送路Wを挟んで対面するサイドコア(11,12)(21,22)間の距離を拡張することなく搬送路W内に被加熱部材Hを配することができる。つまり、サイドコア(11,12)(21,22)間の距離を拡張して搬送路W内の面積を大きくすることなく、搬送路W内に被加熱部材Hを配することができ、搬送路W内の磁束φを高密度に保った状態とすることができる。
【0063】
すなわち、連続誘導加熱装置1によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0064】
(第2の実施形態)次に、この発明の第2の実施形態における連続誘導加熱装置を図5および図6に基づき説明する。図5は本実施形態の連続誘導加熱装置200を示す斜視図であり、図6は図5にてB−B断面にて示される断面図である。
【0065】
連続誘導加熱装置200は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
【0066】
なお、第2の実施形態における連続誘導加熱装置200は、第1の実施形態における連続誘導加熱装置1に対して、第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)の構造が異なり、その他の部分である誘導加熱コイル2は同一の構造である。そのため、誘導加熱コイル2については第1の実施形態の連続誘導加熱装置1と同一の符号を付するとともに説明を省略し、以下、第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)について説明する。
【0067】
上記のように、連続誘導加熱装置200は、2対の第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)を備えている。そして、第1および第2磁束制御手段(210,220)は連続誘導加熱装置200において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(230,240)は、連続誘導加熱装置200において搬送路Wの出口側に配置されている。
【0068】
そして、第1および第2磁束制御手段(210,220)と第1および第2磁束制御手段(230,240)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。そのため、以下、第1および第2磁束制御手段(210,220)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(230,240)については、第1および第2磁束制御手段(210,220)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
第1磁束制御手段210は、フェライトの板材より長方形に形成された第1および第2サイドコア(211,212)を備える。そして、第1および第2サイドコア(211,212)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段210を構成する第1および第2サイドコア(211,212)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0070】
第2磁束制御手段220は、フェライトの板材より長方形に形成された第3および第4サイドコア(221,222)を備える。第3および第4サイドコア(221,222)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、第2磁束制御手段220を構成する第3お
よび第4サイドコア(221,222)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0071】
ここで、第1磁束制御手段210を構成する第1サイドコア211と、第2磁束制御手段220を構成する第3サイドコア221とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されている。また、第1磁束制御手段210を構成する第2サイドコア212と、第2磁束制御手段220を構成する第4サイドコア222とは、互いに対向する位置に配置されるとともに所定の長さ離間した位置に配置されている。
【0072】
上記のように第2サイドコア212に対し、第4サイドコア222は、所定の長さ離間して配置されており、各コア(212,222)間には、所定の長さの空隙が形成される。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(212,222)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。
【0073】
次に、図6に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置200内に形成される磁束について説明する。
【0074】
上記のように連続誘導装置200の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
【0075】
ここで、連続誘導加熱装置1は第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)を備えており、第1磁束制御手段(210,230)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(211,212)を備え、第2磁束制御手段(220,240)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(210,230)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(221,222)を備えている。そして、第1磁束制御手段210を構成する第1サイドコア211と、第2磁束制御手段220を構成する第3サイドコア221とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されている
【0076】
フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(211,212,221,222)に集束される。そのため、第1磁束制御手段(210,230)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(211,212)内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、第1および第2サイドコア(211,212)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(211,212)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(211,212)に挟まれた搬送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(220,240)により、第3および第4サイドコア(221,222)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
【0077】
さらに、上記のように第1磁束制御手段210を構成する第1サイドコア211と、第2磁束制御手段220を構成する第3サイドコア221とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されているため、第1および第2バーコイル部(3,4)にて形成された磁束φは、外延へ散逸することがより効果的に抑えられ、搬送路W内に高密度化された磁束φが形成される。
【0078】
このように、第1から第4サイドコア(211,212,221,222)により、第1および第2バーコイル部(3,4)に形成された磁束φは、外延への散逸が抑えられるとともに搬送路W内に積極的に集束され、搬送路W内の磁束の高密度化が図られる。また、第1および第2バーコイル部(3,4)を挟み込む位置にサイドコア(211,212,221,222)を配置する構成は、サイドコア(フェライト)(211,212,221,222)の使用量を抑えつつ搬送路W内の磁束φを積極的に集束させるためには効果的は構成であり、少ないフェライトの使用量で有効に搬送路W内の磁束φを高密度化させることができる構成である。また、第1および第3サイドコア(211,221)を繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
【0079】
すなわち、連続誘導加熱装置200によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0080】
また、互いに対向する第2サイドコア212(第1磁束制御手段(210,230))と第4サイドコア222(第2磁束制御手段(220,240))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。
【0081】
(第3の実施形態)次に、この発明の第3の実施形態における連続誘導加熱装置を図7および図8に基づき説明する。図7は本実施形態の連続誘導加熱装置300を示す斜視図であり、図8は図7にてC−C断面にて示される断面図である。
【0082】
連続誘導加熱装置300は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
【0083】
なお、第3の実施形態における連続誘導加熱装置300は、第1の実施形態における連続誘導加熱装置1に対して、第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)の構造が異なり、その他の部分である誘導加熱コイル2は同一の構造である。そのため、誘導加熱コイル2については第1の実施形態の連続誘導加熱装置1と同一の符号を付するとともに説明を省略し、以下、第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)について説明する。
【0084】
上記のように、連続誘導加熱装置300は、2対の第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)を備えている。そして、第1および第2磁束制御手段(310,320)は連続誘導加熱装置300において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(330,340)は、連続誘導加熱装置300において搬送路Wの出口側に配置されている。
【0085】
そして、第1および第2磁束制御手段(310,320)と第1および第2磁束制御手段(330,340)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。そのため、以下
、第1および第2磁束制御手段(310,320)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(330,340)については、第1および第2磁束制御手段(310,320)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0086】
第1磁束制御手段310は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第1および第2サイドコア(311,312)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第1アッパーコア313とを備える。そして、第1および第2サイドコア(311,312)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段310を構成する第1および第2サイドコア(311,312)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0087】
また、第1アッパーコア313は、第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第1サイドコア311と第1アッパーコア313と、第2サイドコア312と第1アッパーコア313とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第1磁束制御手段310は、それぞれ別体に形成された第1および第2サイドコア(311,312)並びに第1アッパーコア313が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
【0088】
同様に、第2磁束制御手段320は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第3および第4サイドコア(321,322)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第2アッパーコア323とを備える。第3および第4サイドコア(321,322)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、第2磁束制御手段320を構成する第3および第4サイドコア(321,322)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0089】
また、第2アッパーコア323は、第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第3サイドコア321と第2アッパーコア323と、第4サイドコア322と第2アッパーコア323とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第2磁束制御手段320は、それぞれ別体に形成された第3および第4サイドコア(321,322)並びに第2アッパーコア323が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
【0090】
ここで、第2磁束制御手段320を構成する第3および第4サイドコア(321,322)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されるとともに、第3および第4サイドコア(321,322)は、第1磁束制御手段310を構成する第1および第2サイドコア(311,312)に対しそれぞれ所定の長さ離間し対向した位置に配置されている。
【0091】
上記のように第1および第2サイドコア(311,312)に対し、第3および第4サイドコア(321,322)は、それぞれ所定の長さ離間して配置されており、各コア(311,321)(312,322)間には、所定の長さの空隙が形成される。
【0092】
そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(312,322)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。また、サイドコア(312,322)間のみならず、サイドコア(311,321)間にも空隙が形成されているため、被加
熱部材Hがシャフト等の被加熱部材Hの両側に突出する突出部材を備える場合にも、サイドコア(311,321)間およびサイドコア(312,322)間に形成された空隙内に突出部材を配することができる。また、その場合の空隙の長さも突出部材が挿通可能な程度の長さに設定されている。
【0093】
次に、図9に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置300内に形成される磁束について説明する。
【0094】
上記のように連続誘導装置300の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
【0095】
ここで、連続誘導加熱装置300は第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)を備えている。そして、第1磁束制御手段(310,330)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(311,312)、並びにフェライトより形成され第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第1アッパーコア313を備える。一方、第2磁束制御手段(320,340)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(310,330)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(321,322)、並びにフェライトより形成され第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第2アッパーコア323を備える。
【0096】
フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(311,312,321,322)および第1および第2アッパーコア(313,323)内に集束される。
【0097】
そのため、第1磁束制御手段(310,330)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(311,312)内および第1アッパーコア313内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、搬送路Wを挟み込む第1および第2サイドコア(311,312)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(311,312)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(311,312)に挟まれた搬送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(320,340)により、第3および第4サイドコア(321,322)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
【0098】
ここで、上記のように第1および第2磁束制御手段(310,320)においては、第1または第2アッパーコア(313,323)が搬送路Wを挟んでそれぞれ第1または第2バーコイル部(3,4)の反対側に配置されている。そのため、第1および第2アッパーコア(313,323)により、第1または第2バーコイル部(3,4)において搬送路の反対側に形成される磁束は集束され、搬送路Wの反対側に散逸する磁束を第1および第2アッパーコア(313,323)内に集束させることができる。
【0099】
そして、第1および第2アッパーコア(313,323)により、第1および第2磁束制
御手段(310,320)に一層効果的に集束された磁束が、サイドコア(311,312,321,322)に挟まれた搬送路W内に形成され、搬送路内の磁束はより効果的に高密度化される。また、また、第1および第2アッパーコア(313,323)を設けるために新たに用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると決して多い量であるといえない。
【0100】
また、第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)は所定の長さ離間し対向して配置されている。よって、互いに対向する第1サイドコア311(第1磁束制御手段(310,330))と第3サイドコア321(第2磁束制御手段(320,340))との間、並びに第2サイドコア312(第1磁束制御手段(310,330))と第4サイドコア322(第2磁束制御手段(320,340))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。
【0101】
そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。また、この空隙は搬送路Wの両側に形成されるので、シャフト等の両側に突出する突出部材を被加熱部材Wが備える場合には、この空隙内に突出部材を配することができる。そのため、搬送路Wを挟んで対面するサイドコア(311,312)(321,322)間の距離を拡張することなく搬送路W内に被加熱部材Hを配することができる。つまり、サイドコア(311,312)(321,322)間の距離を拡張して搬送路W内の面積を大きくすることなく、搬送路W内に被加熱部材Hを配することができ、搬送路W内の磁束φを高密度に保った状態とすることができる。
【0102】
すなわち、連続誘導加熱装置300によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0103】
次に、図10に基づき、本実施形態の連続誘導加熱装置300の加熱特性について、図14に示す従来例の連続誘導加熱装置500と対比して説明する。
【0104】
図10は、従来例の連続誘導加熱装置500および本実施形態の連続誘導加熱装置300にて被加熱体Hを加熱したときの被加熱体Hの表面温度の経時変化を示す解析結果である。なお、上記の解析においては、加熱装置500の誘導加熱コイル502と加熱装置300の誘導加熱装置2とは同一の形状および構造とし、それぞれのコイル(502,2)に供給される電力の周波数および電力量は同一とした。
【0105】
図10に示すように、本実施形態の連続誘導加熱装置300にて被加熱体Hを加熱した場合には、実施例の連続誘導加熱装置500にて被加熱体Hを加熱した場合に比して、被加熱体Hの単位時間当たりに上昇する温度が大きい。そのため、設定温度(240℃)に到達する時間が、連続誘導加熱装置500では「20秒」であるのに対し、連続誘導加熱装置300では「6秒」であり、連続誘導加熱装置300は連続誘導加熱装置500の半分以下の時間で被加熱体Hを設定温度(240℃)まで加熱することができる。このことから、本実施形態の連続誘導加熱装置300では、搬送路内における磁束φの磁束密度が有効に高密度化されていることが確認される。
【0106】
(第4の実施形態)次に、この発明の第4の実施形態における連続誘導加熱装置を図11および図12に基づき説明する。図11は本実施形態の連続誘導加熱装置400を示す斜視図であり、図12は図11にてD−D断面にて示される断面図である。
【0107】
連続誘導加熱装置400は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(410,420)(430
,440)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
【0108】
なお、第4の実施形態における連続誘導加熱装置400は、第1の実施形態における連続誘導加熱装置1に対して、第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)の構造が異なり、その他の部分である誘導加熱コイル2は同一の構造である。そのため、誘導加熱コイル2については第1の実施形態の連続誘導加熱装置1と同一の符号を付するとともに説明を省略し、以下、第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)について説明する。
【0109】
上記のように、連続誘導加熱装置400は、2対の第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)を備えている。そして、第1および第2磁束制御手段(410,420)は、連続誘導加熱装置400において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(430,440)は、連続誘導加熱装置400において搬送路Wの出口側に配置されている。
【0110】
そして、第1および第2磁束制御手段(410,420)と第1および第2磁束制御手段(430,440)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。そのため、以下、第1および第2磁束制御手段(410,420)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(430,440)については、第1および第2磁束制御手段(410,420)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
第1磁束制御手段410は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第1および第2サイドコア(411,412)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第1アッパーコア413とを備える。そして、第1および第2サイドコア(411,412)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段410を構成する第1および第2サイドコア(411,412)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0112】
また、第1アッパーコア413は、第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第1サイドコア411と第1アッパーコア413と、第2サイドコア412と第1アッパーコア413とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第1磁束制御手段410は、それぞれ別体に形成された第1および第2サイドコア(411,412)並びに第1アッパーコア413が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
【0113】
同様に、第2磁束制御手段420は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第3および第4サイドコア(421,422)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第2アッパーコア423とを備える。第3および第4サイドコア(421,422)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、第2磁束制御手段420を構成する第3および第4サイドコア(421,422)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
【0114】
また、第2アッパーコア423は、第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第3サイドコア421と第2アッパーコア423と、第4サイドコア422と第2アッパーコア423とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第2磁束制御手段420は、それぞれ別体に形
成された第3および第4サイドコア(421,422)並びに第2アッパーコア423が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
【0115】
ここで、第1磁束制御手段410を構成する第1サイドコア411と、第2磁束制御手段420を構成する第3サイドコア421とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されている。また、第1磁束制御手段410を構成する第2サイドコア412と、第2磁束制御手段420を構成する第4サイドコア422とは、互いに対向する位置に配置されるとともに所定の長さ離間した位置に配置されている。
【0116】
上記のように第2サイドコア412に対し、第4サイドコア422は、所定の長さ離間して配置されており、各コア(412,422)間には、所定の長さの空隙が形成される。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(212,222)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。
【0117】
次に、図13に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置400内に形成される磁束について説明する。
【0118】
上記のように連続誘導装置400の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
【0119】
ここで、連続誘導加熱装置400は第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)を備えている。そして、第1磁束制御手段(410,430)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(411,412)、並びにフェライトより形成され第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第1アッパーコア413を備える。一方、第2磁束制御手段(420,440)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(410,430)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(421,422)、並びにフェライトより形成され第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第2アッパーコア423を備える。
【0120】
フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(411,412,421,422)および第1および第2アッパーコア(413,423)内に集束される。
【0121】
そのため、第1磁束制御手段(410,430)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(411,412)内および第1アッパーコア413内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、搬送路Wを挟み込む第1および第2サイドコア(411,412)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(411,412)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(411,412)に挟まれた搬
送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(420,440)により、第3および第4サイドコア(421,422)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
【0122】
ここで、上記のように第1および第2磁束制御手段(410,420)においては、第1または第2アッパーコア(413,423)が搬送路Wを挟んでそれぞれ第1または第2バーコイル部(3,4)の反対側に配置されている。そのため、第1および第2アッパーコア(413,423)により、第1または第2バーコイル部(3,4)において搬送路の反対側に形成される磁束は集束され、搬送路Wの反対側に散逸する磁束を第1および第2アッパーコア(413,423)内に集束させることができる。
【0123】
そして、第1および第2アッパーコア(413,423)により、第1および第2磁束制御手段(410,420)に一層効果的に集束された磁束が、サイドコア(411,412,421,422)に挟まれた搬送路W内に形成され、搬送路内の磁束はより効果的に高密度化される。また、また、第1および第2アッパーコア(413,423)を設けるために新たに用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると決して多い量であるといえない。
【0124】
さらに、上記のように第1磁束制御手段310を構成する第1サイドコア411と、第2磁束制御手段420を構成する第3サイドコア421とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されているため、第1および第2バーコイル部(3,4)にて形成された磁束φは、外延へ散逸することが更に効果的に抑えられ、搬送路W内に高密度化された磁束φが形成される。また、第1および第3サイドコア(411,421)を繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
【0125】
すなわち、連続誘導加熱装置400によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
【0126】
また、互いに対向する第2サイドコア412(第1磁束制御手段(410,430))と第4サイドコア422(第2磁束制御手段(420,440))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。
【符号の説明】
【0127】
1,200,300,400,500 連続誘導加熱装置
2,502 誘導加熱コイル
3,503 第1バーコイル部
4,504 第2バーコイル部
5,505 第1コーナーコイル部
6,506 第2コーナーコイル部
7 第1接続コイル部
8 第2接続コイル部
10,30,210,230,310,330,410,430 第1磁束制御手段
20,40,220,240,320,340,420,440 第2磁束制御手段
11,211,311,411 第1サイドコア
12,212,312,412 第2サイドコア
21,221,321,421 第3サイドコア
22,222,322,422 第4サイドコア
313,413 第1アッパーコア
323,423 第2アッパーコア
PI パイプ部材
PS 高周波電源
φ 磁束
W 搬送路
H 被加熱体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電源に接続される誘導加熱コイルを備え、前記誘導加熱コイルは搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに前記高周波電源から供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された前記第1および第2バーコイル部を有する連続誘導加熱装置において、
フェライトより形成されるとともに前記第1バーコイル部および前記搬送路を互いに挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコアを備える第1磁束制御手段と、
フェライトより形成されるとともに前記第2バーコイル部および前記搬送路を互いに挟み込む位置に配置された第3および第4サイドコアを備え、前記第1磁束制御手段に対し所定の長さ離間し対向して配置された第2磁束制御手段と、
を備えることを特徴とする連続誘導加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の連続誘導加熱装置において、
前記第1磁束制御手段の前記第1サイドコアと前記第2磁束制御手段の第3サイドコアとは、前記第1および第2バーコイル部の同一側にともに配置されるとともに一連一体的に構成されていることを特徴とする連続誘導加熱装置。
【請求項3】
請求項1に記載の連続誘導加熱装置において、
前記第1磁束制御手段は、フェライトより形成されるとともに前記第1バーコイル部を挟んで前記搬送路に対して反対側の位置に配置された第1アッパーコアを有し、
前記第2磁束制御手段は、フェライトより形成されるとともに前記第2バーコイル部を挟んで前記搬送路に対して反対側の位置に配置された第2アッパーコアを有していることを特徴とする連続誘導加熱装置。
【請求項4】
請求項3に記載の連続誘導加熱装置において、
前記第1磁束制御手段における前記第1および第2サイドコア並びに前記第1アッパーコアとは一連一体的に構成され、
前記第2磁束制御手段における前記第3および第4サイドコア並びに前記第2アッパーコアとは一連一体的に構成されていることを特徴とする連続誘導加熱装置。
【請求項5】
請求項4に記載の連続誘導加熱装置において、
前記第1磁束制御手段の前記第1サイドコアと前記第2磁束制御手段の前記第3サイドコアとは、前記第1および第2バーコイル部の同一側にともに配置されるとともに一連一体的に構成されていることを特徴とする連続誘導加熱装置。
【請求項1】
高周波電源に接続される誘導加熱コイルを備え、前記誘導加熱コイルは搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに前記高周波電源から供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された前記第1および第2バーコイル部を有する連続誘導加熱装置において、
フェライトより形成されるとともに前記第1バーコイル部および前記搬送路を互いに挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコアを備える第1磁束制御手段と、
フェライトより形成されるとともに前記第2バーコイル部および前記搬送路を互いに挟み込む位置に配置された第3および第4サイドコアを備え、前記第1磁束制御手段に対し所定の長さ離間し対向して配置された第2磁束制御手段と、
を備えることを特徴とする連続誘導加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の連続誘導加熱装置において、
前記第1磁束制御手段の前記第1サイドコアと前記第2磁束制御手段の第3サイドコアとは、前記第1および第2バーコイル部の同一側にともに配置されるとともに一連一体的に構成されていることを特徴とする連続誘導加熱装置。
【請求項3】
請求項1に記載の連続誘導加熱装置において、
前記第1磁束制御手段は、フェライトより形成されるとともに前記第1バーコイル部を挟んで前記搬送路に対して反対側の位置に配置された第1アッパーコアを有し、
前記第2磁束制御手段は、フェライトより形成されるとともに前記第2バーコイル部を挟んで前記搬送路に対して反対側の位置に配置された第2アッパーコアを有していることを特徴とする連続誘導加熱装置。
【請求項4】
請求項3に記載の連続誘導加熱装置において、
前記第1磁束制御手段における前記第1および第2サイドコア並びに前記第1アッパーコアとは一連一体的に構成され、
前記第2磁束制御手段における前記第3および第4サイドコア並びに前記第2アッパーコアとは一連一体的に構成されていることを特徴とする連続誘導加熱装置。
【請求項5】
請求項4に記載の連続誘導加熱装置において、
前記第1磁束制御手段の前記第1サイドコアと前記第2磁束制御手段の前記第3サイドコアとは、前記第1および第2バーコイル部の同一側にともに配置されるとともに一連一体的に構成されていることを特徴とする連続誘導加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−256537(P2012−256537A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129309(P2011−129309)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]