説明

遊技台の基板、およびこの基板を備える遊技台

【課題】テスト用部品の誤実装を確実に防止可能であるばかりではなく、効率よく基板テストを実施可能な遊技台の基板、およびこの基板を備える遊技台を提供する。
【解決手段】特定部品を実装する所定回路の配線パターンが形成された遊技台の基板700は、所定回路からの出力をテストするための接続ピン741を実装するためのテスト用スルーホールTTHを含む複数のスルーホールTHを有し、テスト用スルーホールTTHは、他のスルーホールTHよりも穴径が大きく、実装用ホールの穴径と略等しく、当該スルーホールTHがテスト用と判別できる識別情報が表示され、テスト用スルーホールの穴ピッチが、テスト用部品のリードピッチと略等しく、テスト用部品の1番ピンに対応するテスト用スルーホールは、グラウンドに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(例えばパチンコ機)や回胴遊技機(例えばスロットマシン)などに代表される遊技台の基板、およびこの基板を備える遊技台に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やスロットマシン等の遊技台には、制御回路をはじめ多数の電気的な基板が使用されている。そして、従来のプリント配線基板の分野にあっては、実装された部品が正常な動作を行うか否かを確認するために、インサーキットテスターなどの検査機を用いている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような目的で使用されるインサーキットテスターは、主に部品の動作を確認するための電子回路と、該電子回路を前記プリント配線基板に電気的に接続するための多数のチェックピンとを有しており、前記プリント配線基板の導通部と前記チェックピンとを真空吸引により強制的に導通させて電気的導通試験を行っている。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−120498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の基板のテスト方法では、真空吸引する際に空気漏れがあると導通が不十分となって正確に試験を行うことが出来ない場合があった。このため、確実に検査機とプリント配線基板とを導通させるには、半田付けをすることが好ましい。
【0006】
また、他の検査内容としては、プリント配線基板に構成された回路の出力をテストするために、テスト用部品を前記プリント配線基板の導通部に半田付けして、テスト用部品を導通させて出力テストを行うものがあった。この出力テストに使用される前記プリント配線基板の導通部としては、実装された部品のリード、基板上のパッドやスルーホールなどがある。
【0007】
しかし、部品を半田付けする際に当該部品が微動してしまうと、半田付け不良を起こしてしまうので、半田付けする際にテスト用部品をしっかり支えておかなければならない。このため、半田付け作業が煩雑で手間がかかるという問題があった。また、テスト用部品を実装可能な穴径のスルーホールが存在していても、そのスルーホールがテストを行うための導通部とは必ずしも限らない。むしろ、テスト用部品を誤って実装してしまう可能性が発生するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、テスト用部品の誤実装を確実に防止可能であるばかりではなく、効率よく基板テストを実施可能な遊技台の基板、およびこの基板を備える遊技台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、特定部品(例えば、コネクタ711、コンデンサ712、コイル713)を実装する所定回路の配線パターン(例えば、配線パターン720)が形成された遊技台(例えば、パチンコ機100)の基板(例えば、サブ基板164)であって、前記基板は、前記所定回路からの出力をテストするためのテスト用部品(例えば、接続ピン741、コネクタ742、スイッチ743、コンデンサ744、バリスタ745、抵抗740R1、抵抗740R2)を実装するためのテスト用スルーホール(例えば、TTH)を含む複数のスルーホール(例えば、TH)を前記配線パターン上に有し、前記テスト用スルーホールは、他のスルーホールよりも穴径が大きいことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された遊技台の基板であって、前記基板は、前記特定部品を実装するための実装用ホール(例えば、RH)を前記配線パターン上に有し、前記テスト用スルーホールは、穴径の大きさが前記実装用ホールと略等しいことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の遊技台の基板であって、前記基板は、前記テスト用スルーホールの近傍に、当該スルーホールがテスト用と判別できる識別情報(例えば、TEST1,TEST2,TEST3)が表示されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の遊技台の基板であって、前記基板は、少なくとも2つ以上が導通している前記テスト用スルーホールを少なくとも有することを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の遊技台の基板であって、前記基板は、複数リードを有する前記テスト用部品のリードピッチと穴ピッチが略等しい隣接する前記テスト用スルーホールを少なくとも有することを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の遊技台の基板であって、複数リードを有する前記特定部品のリードピッチと穴ピッチが略等しい隣接する前記テスト用スルーホールを少なくとも有することを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項5又は請求項6に記載の遊技台の基板であって、前記隣接するテスト用スルーホールは、少なくとも2つ以上が一直線上に並ぶことを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の遊技台の基板であって、複数リードを有する前記テスト用部品の1番ピンに対応する前記テスト用スルーホールは、グラウンドに接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の遊技台の基板を備えたことを特徴とする遊技台(例えば、パチンコ機100、スロットマシン1000)である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、テスト用部品、例えば接続ピンのリードの径が、テスト用スルーホールの穴径とほゞ同じで、一般のスルーホールの穴径よりも大きく形成してある場合、接続ピンのリードを、他のスルーホールへ誤って差し込むことはできないので、誤接続を確実に防止することができる。半田付けを行なう場合であっても、テスト用部品を、テスト用スルーホールに差し込んで、仮固定した状態で、半田付け作業を行なうことができるので、部品が安定し、半田付けに失敗することがなく、接続不良や信頼性の低下を招くことがなく、基板テストの作業性が向上する。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、テスト用スルーホールの穴径と、特定部品、例えば抵抗を実装するための実装用ホールの穴径とが、ほゞ同じ大きさになっているので、テスト用部品として実装用の部品を流用することができ、テスト用部品として特別な部品を用意する必要がないので、部品の調達が容易になり、基板テストの効率を上げることができる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、テスト用スルーホールの近傍に、これらのスルーホールが、テスト用のものであることを示す、例えば「TEST1」、「TEST2」、「TEST3]なる識別情報の表示が、例えばシルク印刷によって明示されている場合、これらのスルーホールがテスト用であることが、一目で識別でき、誤実装を確実に防止することができ、基板テストの効率を上げることができる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、例えば、第1のテスト用スルーホールと、第2のテスト用スルーホールとの間に、テスト用部品として抵抗を実装する場合に、この抵抗が、既に実装用ホールに実装されている抵抗と並列接続になるので、IC1の端子電圧を変化させることができ、基板テストの内容を多彩にできる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、テスト用部品を加工せずにそのままテスト用スルーホールに実装することができるため、基板テストの効率を上げることができる。
【0023】
請求項6に係る発明によれば、テスト用部品として、例えば特定部品と同じ種類の部品を、加工せずにそのままテスト用スルーホールに実装することができるため、基板テストの効率を上げることができる。
【0024】
請求項7に係る発明によれば、テスト用部品として実装用の電気部品を使用することができるため、テスト用部品として特別な部品を用意する必要がなく、部品の調達が容易になり、基板テストの効率を上げることができる。
【0025】
請求項8に係る発明によれば、例えば、テスターで検証する場合に、グランドとして第1のテスト用スルーホールを利用することができ、グランドをとる場所が判別し易くなるので、基板テストの効率を上げることができる。
【0026】
請求項9に係る発明によれば、前記したような基板を搭載する遊技台は、多彩な基板テストを容易に実施することができ、基板テストの効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る遊技台の基板を適用する、遊技台の一例としてのパチンコ機を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。図2は、パチンコ機の遊技盤を正面から見た略示正面図である。図3は、パチンコ機を背面側から見た外観斜視図である。図4は、パチンコ機の制御部を構成する回路ブロック図である。
【0028】
<全体構成>
まず、図1を用いて、パチンコ機100の全体構成について説明する。パチンコ機100は、ガラス製または樹脂製の透明板部材152および透明部材保持枠154からなる扉部材156の奥側にガラスを通して視認可能に配設した後述する遊技盤(盤面)102を備えている。
【0029】
扉部材156の下方には、後述する発射モータ602(図1には(図示せず)、図4参照)によって回動する発射杆138と、この発射杆138の先端部に取り付けて球を後述する遊技領域104に向けて打ち出す発射槌140と、この発射槌140によって打ち出す球を後述する外レール106に導くための発射レール142と、球を一時的に貯留すると共に、貯留している球を順次、発射レール142に供給するための貯留皿144と、遊技者による押下操作が可能であり、所定の時期にその操作を検出した場合に後述する装飾図柄表示装置110等による演出表示を変化させるためのチャンスボタン146を配設している。
【0030】
また、発射杆138および発射槌140の下方には、発射杆138を制御して遊技領域104に向けて球の発射強度の操作を行うための操作ハンドル148を配設していると共に、貯留皿144の下方には、貯留皿144に貯留できない溢れ球を貯留するための下皿150を設けている。
【0031】
図2は、パチンコ機100の遊技盤102を正面から見た略示正面図である。遊技盤102には、外レール106と内レール108とを配設し、遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある。)が転動可能な遊技領域104を区画形成している。
【0032】
遊技領域104の略中央には、演出装置200を配設している。この演出装置200には、略中央に横長の装飾図柄表示装置110を配設し、その周囲に、普通図柄表示装置112と、特別図柄表示装置114と、普通図柄保留ランプ116と、特別図柄保留ランプ118と、高確中ランプ120を配設している。なお、以下、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」と称する場合がある。
【0033】
演出装置200は、可動部を動作して演出を行うものであり、詳細については後述する。
【0034】
装飾図柄表示装置110は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な画像を表示するための表示装置であり、本実施例では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。この装飾図柄表示装置110は、左図柄表示領域110a、中図柄表示領域110b、右図柄表示領域110cおよび演出表示領域110dの4つの表示領域に分割し、左図柄表示領域110a、中図柄表示領域110bおよび左図柄表示領域110cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、演出表示領域110dは演出に用いる画像を表示する。さらに、各表示領域110a、110b、110c、110dの位置や大きさは、装飾図柄表示装置110の表示画面内で自由に変更することを可能としている。なお、装飾図柄表示装置110は、液晶表示装置に代えて、ドットマトリクス表示装置、7セグメント表示装置、EL(ElectroLuminescence)表示装置、ドラム式表示装置、リーフ式表示装置等他の表示デバイスを採用してもよい。
【0035】
普図表示装置112は、普図の表示を行うための表示装置であり、本実施例では7セグメントLEDによって構成する。特図表示装置114は、特図の表示を行うための表示装置であり、本実施例では7セグメントLEDによって構成する。
【0036】
普図保留ランプ116は、保留している普図変動遊技(詳細は後述)の数を示すためのランプであり、本実施例では、普図変動遊技を2つまで保留することを可能としている。特図保留ランプ118は、保留している特図変動遊技(詳細は後述)の数を示すためのランプであり、本実施例では、特図変動遊技を4つまで保留することを可能としている。高確中ランプ120は、遊技状態が高確率状態であること、または高確率状態になることを示すためのランプであり、遊技状態を低確率状態から高確率状態にする場合に点灯し、高確率状態から低確率状態にする場合に消灯する。
【0037】
また、この演出装置200の周囲には、一般入賞口122と、普図始動口124と、第1特図始動口126と、第2特図始動口128と、可変入賞口130を配設している。
【0038】
一般入賞口122は、本実施例では遊技盤102に複数配設しており、この一般入賞口122への入球を所定の球検出センサ(図示省略)が検出した場合(一般入賞口122に入賞した場合)、後述する払出装置552を駆動し、所定の個数(本実施例では10個)の球を賞球として後述する貯留皿144に排出する。貯留皿144に排出した球は遊技者が自由に取り出すことが可能であり、これらの構成により、入賞に基づいて賞球を遊技者に払い出すようにしている。なお、一般入賞口122に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。本実施例では、入賞の対価として遊技者に払い出す球を「賞球」、遊技者に貸し出す球を「貸球」と区別して呼ぶ場合があり、「賞球」と「貸球」を総称して「球(遊技球)」と呼ぶ。
【0039】
普図始動口124は、ゲートやスルーチャッカーと呼ばれる、遊技領域の所定の領域を球が通過したか否かを判定するための装置で構成しており、本実施例では遊技盤102の左側に1つ配設している。普図始動口124を通過した球は一般入賞口122に入球した球と違って、遊技島側に排出することはない。球が普図始動口124を通過したことを所定の玉検出センサが検出した場合、パチンコ機100は、普図表示装置112による普図変動遊技を開始する。
【0040】
第1特図始動口126は、本実施例では遊技盤102の中央に1つだけ配設している。この第1特図始動口126への入球を所定の球検出センサが検出した場合、後述する払出装置552を駆動し、所定の個数(本実施例では3個)の球を賞球として後述する貯留皿144に排出するとともに、特図表示装置114による特図変動遊技を開始する。なお、第1特図始動口126に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
【0041】
第2特図始動口128は、電動チューリップ(電チュー)と呼ばれ、本実施例では第1特図始動口126の真下に1つだけ配設している。この第2特図始動口128は、左右に開閉自在な羽根を備え、羽根の閉鎖中は球の入球が不可能であり、普図変動遊技に当選し、普図表示装置112が当たり図柄を停止表示した場合に羽根が所定の時間間隔、所定の回数で開閉する。第2特図始動口128への入球を所定の球検出センサが検出した場合、後述する払出装置552を駆動し、所定の個数(本実施例では5個)の球を賞球として後述する貯留皿144に排出するとともに、特図表示装置114による特図変動遊技を開始する。なお、第2特図始動口128に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
【0042】
可変入賞口130は、大入賞口またはアタッカーと呼ばれ、本実施例では遊技盤102の中央部下方に1つだけ配設している。この可変入賞口130は、開閉自在な扉部材を備え、扉部材の閉鎖中は球の入球が不可能であり、特図変動遊技に当選し、特図表示装置114が大当たり図柄を停止表示した場合に扉部材が所定の時間間隔(例えば、開放時間29秒、閉鎖時間1.5秒)、所定の回数(例えば15回)で開閉する。可変入賞口130への入球を所定の球検出センサが検出した場合、後述する払出装置552を駆動し、所定の個数(本実施例では15球)の球を賞球として後述する貯留皿144に排出する。なお、可変入賞口130に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
【0043】
さらに、これらの入賞口や始動口の近傍には、風車と呼ばれる円盤状の打球方向変換部材132や、遊技釘134を複数個、配設していると共に、内レール108の最下部には、いずれの入賞口や始動口にも入賞しなかった球をパチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出するためのアウト口136を設けている。
【0044】
このパチンコ機100は、遊技者が貯留皿144に貯留している球を発射レール142の発射位置に供給し、遊技者の操作ハンドル148の操作量に応じた強度で発射モータ602を駆動し、発射杆138および発射槌140によって外レール106、内レール108を通過させて遊技領域104に打ち出す。そして、遊技領域104の上部に到達した球は、打球方向変換部材132や遊技釘134等によって進行方向を変えながら下方に落下し、入賞口(一般入賞口122、可変入賞口130)や始動口(第1特図始動口126、第2特図始動口128)に入賞するか、いずれの入賞口や始動口にも入賞することなく、または普図始動口124を通過するのみでアウト口136に到達する。
【0045】
<演出装置>
次に、パチンコ機100の演出装置200について説明する。この演出装置200の前面側には、ワープ装置230およびステージを配設し、演出装置200の背面側には、装飾図柄表示装置110および遮蔽手段250を配設している。すなわち、演出装置200において、装飾図柄表示装置110および遮蔽手段250は、ワープ装置230およびステージの後方に位置することとなる。
【0046】
ワープ装置230は、演出装置200の左上方に設けた入球口232に入った遊技球を演出装置200の前面下方の前面ステージ234に排出し、さらに、前面ステージ234に排出した遊技球が前面ステージ234の中央部後方に設けた第2の入球口236に入った場合は、遊技球を、第1特図始動口126の上方である演出装置200の下部中央に設けた排出口238から第1特図始動口126に向けて排出するものである。この排出口238から排出した遊技球は特図始動口126に入球しやすくなっている。
【0047】
遮蔽手段250は、格子状の左扉250aおよび右扉250bからなり、装飾図柄表示装置110および前面ステージ234の間に配設する。左扉250aおよび右扉250bの上部には、図示しない2つのプーリに巻き回したベルトをそれぞれ固定している。すなわち、左扉250aおよび右扉250bは、モータによりプーリを介して駆動するベルトの動作に伴って左右にそれぞれ移動する。遮蔽手段250は、左右扉250a、250bを閉じた状態ではそれぞれの内側端部が重なり、遊技者が装飾図柄表示装置110を視認し難いように遮蔽する。左右扉250a、250bを開いた状態ではそれぞれの内側端部が装飾図柄表示装置110の表示画面の外側端部と若干重なるが、遊技者は装飾図柄表示装置110の表示の全てを視認可能である。また、左右扉250a、250bは、それぞれ任意の位置で停止可能であり、例えば、表示した装飾図柄がどの装飾図柄であるかを遊技者が識別可能な程度に、装飾図柄の一部だけを遮蔽するようなことができる。なお、左右扉250a、250bは、格子の孔から後方の装飾図柄表示装置110の一部を視認可能にしてもよいし、格子の孔の障子部分を半透明のレンズ体で塞ぎ、後方の装飾図柄表示装置110による表示を漠然と遊技者に視認させるようにしてもよいし、格子の孔の障子部分を完全に塞ぎ(遮蔽し)、後方の装飾図柄表示装置110を全く視認不可にしてもよい。
【0048】
なお、パチンコ機100における演出装置200は、遮蔽手段250を備えていなくてもよく、すなわち、装飾図柄表示装置110が表示する装飾図柄を常に視認可能なように構成してもよい。
【0049】
図3は、パチンコ機100を背面側から見た外観斜視図である。パチンコ機100の背面上部には、上方に開口した開口部を有し、球を一時的に貯留するための球タンク152と、この球タンク152の下方に位置し、球タンク152の底部に形成した連通孔を通過して落下する球を背面右側に位置する払出装置154に導くためのタンクレール153とを配設している。
【0050】
払出装置154は、筒状の部材からなり、その内部には、スプロケット157と払出センサ158とを備えている。
【0051】
スプロケット157は、モータによって回転可能に構成されており、タンクレール153を通過して払出装置154内に落下した球を一時的に滞留させると共に、モータを駆動して所定角度だけ回転することにより、一時的に滞留した球を払出装置154の下方へ1個ずつ送り出すように構成している。
【0052】
払出センサ158は、スプロケット157が送り出した球の通過を検知するためのセンサであり、球が通過しているときにオンの信号を出力し、球が通過していないときはオフの信号を出力する。なお、この払出センサ158を通過した球は、図示しない球レールを通過してパチンコ機100の表側に配設した貯留皿144に到達するように構成しており、パチンコ機100は、この構成により遊技者に対して球の払い出しを行う。
【0053】
払出装置154の左側には、後述する主制御部300を構成する主基板161と、後述する副制御部400を構成するサブ基板164とを配設している。また、これら主基板161やサブ基板164の下方には、後述する発射制御部600を構成する発射基板166と、後述する電源管理部650を構成する電源基板162と、後述する払出制御部550を構成する払出基板165と、この払出基板165に接続したCRインターフェース部163とを配設している。一方、前記した主基板161やサブ基板164の上方には、後述する装飾図柄表示装置110および遮蔽手段250の制御を行うための副制御部500が配設してある。
【0054】
<制御部>
次に、図4を用いて、このパチンコ機100の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。
【0055】
パチンコ機100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて、主に演出の制御を行う副制御部400と、主制御部300が送信するコマンドに応じて、主に遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部550と、遊技球の発射制御を行う発射制御部600と、パチンコ機100に供給される電源を制御する電源管理部650によって構成している。
【0056】
<主制御部>
まず、パチンコ機100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えており、この基本回路302には、CPU304と、制御プログラムや各種データを記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312と、プログラム処理の異常を監視するWDT313を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部400についても同様である。この基本回路302のCPU304は、水晶発信器314(314b)が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。
【0057】
また、基本回路302には、水晶発信器314(314a)が出力するクロック信号を受信する度に0〜65535の範囲で数値を変動させるハードウェア乱数カウンタとして使用しているカウンタ回路316(この回路には2つのカウンタを内蔵しているものとする)と、各始動口、入賞口の入り口および可変入賞口の内部に設けた球検出センサを含む各種センサ318が出力する信号を受信し、増幅結果や基準電圧との比較結果をカウンタ回路316および基本回路302に出力するためのセンサ回路320と、特図表示装置114の表示制御を行うための表示回路322と、普図表示装置112の表示制御を行うための表示回路324と、各種状態表示部326(普図保留ランプ116、特図保留ランプ118、高確中ランプ120等)の表示制御を行うための表示回路328と、第2特図始動口128や可変入賞口130等を開閉駆動する各種ソレノイド330を制御するためのソレノイド回路332を接続している。
【0058】
なお、第1特図始動口126に球が入賞したことを球検出センサ318(各種センサの一つ)が検出した場合には、センサ回路320は球を検出したことを示す信号をカウンタ回路316に出力する。この信号を受信したカウンタ回路316は、第1特図始動口126に対応するカウンタのそのタイミングにおける値をラッチし、ラッチした値を、第1特図始動口126に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶する。また、カウンタ回路316は、第2特図始動口128に球が入賞したことを示す信号を受信した場合も同様に、第2特図始動口128に対応するカウンタのそのタイミングにおける値をラッチし、ラッチした値を、第2特図始動口128に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶する。
【0059】
さらに、基本回路302には、情報出力回路334を接続しており、主制御部300は、この情報出力回路334を介して、外部のホールコンピュータ(図示省略)等が備える情報入力回路652にパチンコ機100の遊技情報(例えば、遊技状態)を出力する。
【0060】
また、主制御部300には、電源管理部650から主制御部300に供給している電源の電圧値を監視する電圧監視回路336を設けており、この電圧監視回路336は、電源の電圧値が所定の値(本実施例では9v)未満である場合に電圧が低下したことを示す低電圧信号を基本回路302に出力する。
【0061】
また、主制御部300には、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路(リセット信号出力回路)338を設けており、CPU304は、この起動信号出力回路338から起動信号を入力した場合に、遊技制御を開始する。
【0062】
また、主制御部300は、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェースと、払出制御部550にコマンドを送信するための出力インタフェースをそれぞれ備えており、この構成により、副制御部400および払出制御部550との通信を可能としている。なお、主制御部300と副制御部400および払出制御部550との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は副制御部400および払出制御部550にコマンド等の信号を送信できるように構成しているが、副制御部400および払出制御部550からは主制御部300にコマンド等の信号を送信できないように構成している。
【0063】
<副制御部>
次に、パチンコ機100の副制御部400について説明する。副制御部400は、主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402には、CPU404と、制御プログラムや各種データを記憶するためのROM406と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。この基本回路402のCPU404は、水晶発信器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。
【0064】
また、基本回路402には、スピーカ416(およびアンプ)の制御を行うための音源IC418と、各種ランプ420の制御を行うための表示回路422と、演出装置200の演出用可動体等を駆動する駆動装置であるソレノイドまたはモータ等が含まれる各種演出用駆動装置424の制御を行うための演出用駆動装置制御回路426と、装飾図柄表示装置(液晶表示装置)110および遮蔽手段250の制御を行うための副制御部500と、チャンスボタン146の押下を検出して信号を出力するチャンスボタン検出回路380を接続している。
【0065】
<払出制御部、発射制御部、電源管理部>
次に、パチンコ機100の払出制御部550、発射制御部600、電源管理部650について説明する。
【0066】
払出制御部550は、主に主制御部300が送信したコマンド等の信号に基づいて払出装置552を制御すると共に、払出センサ554が出力する制御信号に基づいて賞球または貸球の払い出しが完了したか否かを検出すると共に、インタフェース部556を介して、パチンコ機100とは別体で設けられたカードユニット654との通信を行う。
【0067】
発射制御部600は、払出制御部550が出力する、発射許可または停止を指示する制御信号や、操作ハンドル148内に設けた発射強度出力回路が出力する、遊技者による操作ハンドル148の操作量に応じた発射強度を指示する制御信号に基づいて、発射杆138および発射槌140を駆動する発射モータ602の制御や、貯留皿144から発射レール142に球を供給する球送り装置604の制御を行う。
【0068】
電源管理部650は、パチンコ機100に外部から供給される交流電源を直流化し、所定の電圧に変換して主制御部300、副制御部400等の各制御部や払出装置552等の各装置に供給する。さらに、電源管理部650は、外部からの電源が断たれた後も所定の部品(例えば主制御部300のRAM308等)に所定の期間(例えば10日間)電源を供給するための蓄電回路(例えばコンデンサ)を備えている。
【0069】
次に、本発明に係る遊技台の基板の一例を、図5ないし図7を用いて説明する。図5は、基板の一例として、前記したパチンコ機100の副制御部400を形成するサブ制御基板の一部を示す概略平面図である。図6は、テスト用部品の一例を実装した状態を説明するためのサブ制御基板の一部を示す概略平面図である。図7は、他のテスト用部品を実装した状態を説明するためのサブ制御基板の一部を示す概略平面図である。
【0070】
サブ制御基板700(以下、単に基板700と略称することがある)は、特定部品710として、コネクタ711、コンデンサ712、コイル713、或いは図示していないICなどを実装するために所定回路の配線パターン720が形成され、前記した特定部品710類が実装されている。また、この基板700には、複数のスルーホールTHが配線パターン720上に形成されている。そして、これらのスルーホールTHの一部は、所定回路からの出力をテストするときにテスト用部品740を実装するためのテスト用スルーホールTTHとなっている。言い換えると、基板700に設けたスルーホールTHは、テスト用スルーホールTTHを含んでいると言える。
【0071】
図示の実施例におけるテスト用スルーホールTTHは、図示する基板700のほゞ中央に位置する縦に3個並んだ一群のスルーホールTTH1,TTH2,TTH3が、該当している。すなわち、「P200」、「P201」、「P202」と、記載されたスルーホールが、テスト用スルーホールTTHとして機能する。
【0072】
このテスト用スルーホールTTHの穴径は、他のスルーホールTH、すなわち何ら表示のないその他多数のスルーホールTHの穴径よりも、大きく形成してある。言い換えると、他の一般的なスルーホールTHの穴径は、テスト用スルーホールTTHの穴径よりも小さい。
【0073】
図6に示す実施例は、テスト用部品740として、1本のリード7411を備える接続ピン741を用いている。この接続ピン741は、導電性を有する例えば金属製のリード7411のほゞ中段部分に、非導電性部材例えば合成樹脂からなり、リード7411に比べて充分に太いストッパ部7412を備えている。なお、このストッパ部7412より上のリードを頭部7411aと言い、ストッパ部7412より下のリードを脚部7411bと言うことがある。
【0074】
そして、このテスト用部品740である接続ピン741を、テスト用スルーホールTTHの1つである「P200」と表示したスルーホールTTH1へ実装した状態が、図6であり、ストッパ部7412より上方の頭部7411aに、図示していないジャンパーピンを介したり、クリップなどを挟んだりして、他のテスト用機器、例えば図示していないテスターなどに接続してテストを実行する。
【0075】
ところで、テスト用リードの幅、すなわち接続ピン741の脚部7411bの径は、テスト用スルーホールTTHの穴径とほゞ同じ或いは僅かに小さく、一般のスルーホールTHの穴径よりも大きく形成してある。このため、テスト用部品740である接続ピン741の脚部7411bを、他のスルーホールTHへ誤って差し込むことはできないので、誤接続を確実に防止することができる。
【0076】
図7に示す実施例は、テスト用部品740として、3本のリードを備えるコネクタ742を用いている。このコネクタ742は、上面が開放する箱形の絶縁受入部7422に、下方へ貫通する3本のリード7421を備え、これらのリード7421の上端部分が、絶縁受入部7422に位置している。
【0077】
そして、このテスト用部品740としてのコネクタ742の各リード7421、言い換えると各脚部を、テスト用スルーホールTTHである「P200」、「P201」、「P202」と表示したスルーホールTTH1,TTH2,TTH3へそれぞれ実装した状態が、図7であり、このコネクタ742の絶縁受入部7422に、テスター等の試験装置に接続した図示していない雄型コネクタを装着してテストを実行する。
【0078】
なお、この実施例では、P200およびP202は映像信号を出力するサブ制御CPUに、P201はグランドに接続されており、コネクタ742を実装することによって映像信号を外部に出力し易くなっている。
【0079】
ところで、図面に示す実施例では、テスト用部品740のリードを、角柱状に画いているが、このリードの形状は、これに限定されるものではなく、円形状や多角形であってもよく、また、先細のテーパーを備えていてもよいし、リードの頭部と脚部とで形状を変えてもよい。また、この明細書において、実装とは、テスト用部品740のリードを、テスト用スルーホールTTHに差し込んで導通させた状態と、テスト用部品740のリードをテスト用スルーホールTTHに差し込んで半田付けを行なって導通させた状態と、を含むものとする。
【0080】
図8および図9は、本発明を概略的に説明するための図面である。すなわち、図8(a)は、テスト用スルーホールTTHと、他のスルーホールTHとの関係、特に穴径を示すための、基板700の要部を示す平面図である。図8(b)は、テスト用部品740の一例である、1本のリード7411を備える接続ピン741の側面図である。図8(c)は、同図(a)におけるA−A線断面図である。図9は、テスト用部品740である接続ピン741の使用法を示す、基板700および接続ピン741、ならびに作業者の手先を示す概略斜視図である。
【0081】
基板700は、テスト用スルーホールTTH、または他の一般用スルーホールTHともに、当該スルーホールTHの周囲に、導通部701およびソルダレジスト702を有している。具体的には、絶縁体からなる基板本体703に、スルーホールTHとなるように、上下面を貫通する貫通孔を穿設し、該貫通孔の周面および基板本体703の表面にメッキ手段等によって例えば銅箔層からなる導通部701を形成し、ハンダ付けが不要な部分に、例えばエポキシ樹脂等よりなるソルダレジスト702を形成してある。
【0082】
そして、本発明に係る基板700においては、スルーホールTHの穴径(m)と、テスト用部品740のリードの径(l)と、他のスルーホールTHの穴径(n)との関係が、「m≧l>n」となるように、形成してある。
【0083】
したがって、テスト用部品740のリードを、他のスルーホールTHへ誤って差し込むことができない。このため、このような基板700によれば、テスト時に、誤実装或いは誤配線を確実に防止することができ、基板テストの作業性が向上する。また、テスト用部品740と基板700とを導通させるために、半田付けを行なう場合であっても、テスト用部品740を、テスト用スルーホールTTHに差し込んで、仮固定した状態で、半田付け作業を行なうことができるので、部品が安定し、半田付けに失敗することがなく、接続不良や信頼性の低下を招くことがなく、基板テストの作業性が向上する。
【0084】
そして、基板700のテスト作業は、例えば、図9に示すように、テスト用部品740である接続ピン741に、例えば図示していないテスト装置に接続されているリード線の先端に設けたクリップCLを、接続ピン741の上端部分、すなわちリード7411の頭部7411aに挟着し、テスト用スルーホールTTHとテスト装置とを、接続ピン741を介して導通させることによって、実行する。
【0085】
図10および図11に示す実施例は、IC1の端子電圧のテストを行なう実施例である。この実施例における基板700は、テスト用スルーホールTTHの近傍に、当該スルーホールTHがテスト用のものであると判別できる識別情報が表示されている。
【0086】
具体的には、特定部品710の一例であるIC1をテストするための、各テスト用スルーホールTTH1,TTH2,TTH3の近傍には、これらのスルーホールが、テスト用のものであることを示す、「TEST1」、「TEST2」、「TEST3]の表示が、例えばシルク印刷によって明示されている。このため、これらのスルーホールがテスト用であることが、一目で識別できる。したがって、誤実装を確実に防止することができ、基板テストの効率を上げることができる。
【0087】
また、この実施例においては、テスト用スルーホールTTHの穴径と、特定部品710、例えば抵抗Rを実装するための実装用ホールRHの穴径とが、ほゞ同じ大きさ(p)になっている。したがって、テスト用部品740として特定部品710を流用することができ、テスト用部品740として特別な部品を用意する必要がない。このため、部品の調達が容易になり、基板テストの効率を上げることができる。
【0088】
さらに、この実施例においては、特定部品710、例えば抵抗Rを実装するための実装用ホールRHのピッチと、テスト用スルーホールTTHのピッチとがほゞ等しくなっている。したがって、テスト用部品740として、特定部品710と同じ種類の部品を使用することができる。また、テスト用部品740を加工せずにそのままテスト用スルーホールTTHに実装することができるため、基板テストの効率を上げることができる。そして、特定部品710或いはテスト用部品740の汎用性が高く、またコストダウンが可能である。
【0089】
この実施例において、第1のテスト用スルーホールTTH1(以下、TEST1という)と、第2のテスト用スルーホールTTH2(以下、TEST2という)との間に、テスト用部品740として抵抗740R1を実装する場合(図11参照)、この抵抗740R1が、既に実装用ホールRHに実装されている抵抗R1と並列接続になるので、IC1の端子電圧を変化させることができる。
【0090】
また、前記した第2のテスト用スルーホールTTH2(TEST2)と、第3のテスト用スルーホールTTH3(以下、TEST3という)との間に、テスト用部品740として抵抗740R2を実装する場合には、この抵抗740R2と、抵抗R2とが並列接続になるので、前記したのと同様に、IC1の端子電圧を変化させることができる。
【0091】
このようにして、IC1の端子電圧を変化させると、当該IC1の出力値が変化するため、IC1の特性を簡単に検証することができ、基板テストの内容を多彩にできる。
【0092】
図12および図13に示す実施例は、IC1の種々のテストを行なう実施例である。この実施例における基板700にも、テスト用スルーホールTTHの近傍に、当該スルーホールがテスト用のものであることが容易に判別できる識別情報が表示されている。すなわち、IC1をテストするための、各テスト用スルーホールTTH1,TTH2の近傍には、これらのスルーホールが、テスト用であることを示す、「TEST1」および「TEST2」が表示されている。なお、テスト用スルーホールTTHの穴径は、実装用ホールRHの穴径とほゞ等しくなっている。また、テスト用スルーホールTTHの穴ピッチは、実装用ホールRHの穴ピッチとほゞ等しくなっている。
【0093】
そして、これらのテスト用スルーホールTTH1,TTH2であるTEST1およびTEST2には、テスト用部品740として、スイッチ743、コンデンサ744、バリスタ745等の、電気部品を実装することができる。
【0094】
そこで、テスト用スルーホールTTHであるTEST1とTEST2との間に、テスト用部品740としてスイッチ743を実装した場合、IC1のハード設定ピンの検討を行なうことができる。すなわち、スイッチ743がオフのときはIC1への信号がハイになり、スイッチ743がオンのときにはIC1への信号がローとなる。
【0095】
また、テスト用スルーホールTTHであるTEST1とTEST2との間に、コンデンサ744を実装した場合、フィルタ(ローパスフィルタ)の検討を行なうことができる。
【0096】
さらに、テスト用スルーホールTTHであるTEST1とTEST2との間に、サージ吸収用の保護素子(バリスタ745)を実装した場合、静電気対策を検討することができる。
【0097】
このように、テスト用部品740となる種々の電気部品を、テスト用スルーホールTTHに実装すれば、種々のテストを行なうことができる。また、テスト用スルーホールTTHの穴径およびピッチが、実装用ホールRHの穴径およびピッチとほゞ同一に形成してあるので、テスト用部品740として実装用の電気部品を使用することができる。このため、テスト用部品740として特別な部品を用意する必要がない。したがって、部品の調達が容易になり、基板テストの効率を上げることができる。
【0098】
図14ないし図16に示す実施例では、3本のリードを備えるコネクタCN1と並列に、当該コネクタCN1のリードピッチとは異なるピッチで、3つのテスト用スルーホールTTHを、直線状に並べて設けている。
【0099】
具体的には、第1のテスト用スルーホールTTH1(TEST1)と、第2のテスト用スルーホールTTH2(TEST2)と、第3のテスト用スルーホールTTH3(TEST3)とが、コネクタCN1のリードピッチのほゞ半分のピッチでもって、コネクタCN1のリードが並ぶラインとほゞ平行になるように、一直線上に並んで形成してある。また、第1のテスト用スルーホールTTH1であるTEST1が、グランドに接続してある。なお、このTEST1は、特定部品710であるCN1の1番ピンに対応している。
【0100】
この実施例によれば、リードピッチの異なるコネクタ746(図15参照)を実装して、出力を分岐することができる。また、図16に示すように、テスターTで検証する場合に、グランドとして第1のテスト用スルーホールTTH1であるTEST1を利用することができる。そして、グランドをとる場所が判別し易くなるので、基板テストの効率を上げることができる。すなわち、テスターTに装着した一方のリード端子L1の先端を、第1のテスト用スルーホールTTH1(TEST1)に差し込んで、或いは係止させた状態で、他方のリード端子L2で各部の検証を行なうことができ、接地点を捜しながら検証する必要がない。
【0101】
テスト用部品740としては、前記した接続ピン741、コネクタ742、スイッチ743、コンデンサ744、バリスタ745、或いは抵抗等に限定されるものではなく、基板700に実装可能なあらゆる電気電子部品を利用可能である。
【0102】
前記したような基板700を搭載する遊技台としてのパチンコ機100は、多彩な基板テストを容易に実施することができ、基板テストの効率を向上させることができる。
【0103】
前記実施例では、遊技台として、パチンコ機100における制御部の基板700について説明したが、遊技台はパチンコ機100に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するようなスロットマシン1000であってもよい。
【0104】
<スロットマシン>
図17に示すスロットマシン1000は、本体1010と、この本体1010の正面に取付けられ、本体1010に対して開閉可能な前面扉1020と、を備える。本体1010の中央内部には、(図17において図示省略)外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール1100、中リール1110、右リール1120)収納され、スロットマシン1000の内部で回転できるように構成されている。これらのリール1100乃至1120はステッピングモータ等の駆動手段により回転駆動される。
【0105】
本実施例において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形筒状の枠材に貼り付けられて各リール1100乃至1120が構成されている。リール1100乃至1120上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓1130から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール1100乃至1120を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール1100乃至1120は複数種類の図柄の組合せを変動可能に表示する表示手段として機能する。なお、このような表示手段としてはリール以外にも液晶表示装置等の電子画像表示装置も採用できる。また、本実施例では、3個のリールをスロットマシン1000の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
【0106】
各々のリール1100乃至1120の背面には、図柄表示窓1130に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図17において図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン1000内部において各々のリール1100乃至1120の近傍には、投光部と受光部から成る光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間をリールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン1140上に表示されるようにリール1100乃至1120を停止させる。
【0107】
入賞ライン表示ランプ1200は、有効となる入賞ライン1140を示すランプである。有効となる入賞ライン1140は、遊技媒体としてベットされたメダルの数によって予め定まっている。入賞ライン1140は5ラインあり、例えば、メダルが1枚ベットされた場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚ベットされた場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚ベットされた場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ライン1140として有効になる。なお、入賞ライン1140の数については5ラインに限定されるものではなく、また、例えば、メダルが1枚ベットされた場合に、中段の水平入賞ライン、上段水平入賞ライン、下段水平入賞ライン、右下り入賞ラインおよび右上り入賞ラインの5ラインを入賞ラインとして有効としてもよい。
【0108】
告知ランプ1230は、例えば、内部抽選において特定の入賞役(具体的には、ボーナス)に内部当選していること、または、ボーナス遊技中であることを遊技者に知らせるランプである。遊技メダル投入可能ランプ1240は、遊技者が遊技メダルを投入可能であることを知らせるためのランプである。再遊技ランプ1220は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。リールパネルランプ1280は演出用のランプである。
【0109】
ベットボタン1300乃至1320は、スロットマシン1000に電子的に貯留されているメダル(クレジットという。)を所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施例においては、ベットボタン1300が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、ベットボタン1310が押下されると2枚投入され、ベットボタン1320が押下されると3枚投入されるようになっている。以下、ベットボタン1320はMAXベットボタンとも言う。なお、遊技メダル投入ランプ1290は、投入されたメダル数に応じた数のランプを点灯させ、規定枚数のメダルの投入があった場合、遊技の開始操作が可能な状態であることを知らせる遊技開始ランプ1210が点灯する。
【0110】
メダル投入口1340は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、ベットボタン1300乃至1320により電子的に投入することもできるし、メダル投入口1340から実際のメダルを投入(投入操作)することもでき、投入とは両者を含む意味である。貯留枚数表示器1250は、スロットマシン1000に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技情報表示器1260は、各種の内部情報(例えば、ボーナス遊技中のメダル払出枚数)を数値で表示するための表示器である。払出枚数表示器1270は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。
【0111】
スタートレバー1350は、リール1100乃至1120の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口1340に所望するメダル枚数を投入するか、ベットボタン1300乃至1320を操作して、スタートレバー1350を操作すると、リール1100乃至1120が回転を開始することとなる。スタートレバー1350に対する操作を遊技の開始操作と言う。
【0112】
ストップボタンユニット1360には、ストップボタン1370乃至1390が設けられている。ストップボタン1370乃至1390は、スタートレバー1350の操作によって回転を開始したリール1100乃至1120を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール1100乃至1120に対応づけられている。以下、ストップボタン1370乃至1390に対する操作を停止操作と言い、最初の停止操作を第1停止操作、次の停止操作を第2停止操作、最後の停止操作を第3停止操作という。なお、各ストップボタン1370乃至1390の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン1370乃至1390の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
【0113】
メダル返却ボタン1330は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。精算ボタン1335は、スロットマシン1000に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口1550から排出するためのボタンである。ドアキー孔1400は、スロットマシン1000の前面扉1020のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。メダル払出口1550は、メダルを払出すための払出口である。タイトルパネル1620は、そのスロットマシンの機種名や各種のデザインが描かれるパネルである。
【0114】
音孔1430および音孔1610は、スロットマシン1000内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。前面扉1020の左右各部に設けられたサイドランプ1440は遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。前面扉1020の上部には演出装置1600が配設されている。この演出装置1600は、水平方向に開閉自在な2枚の右扉1630a、左扉1630bからなる扉(シャッタ)部材1630と、この扉部材1630の奥側に配設された液晶表示装置1570を備えており、2枚の右扉1630a、左扉1630bが液晶表示装置1570の手前で水平方向外側に開くと液晶表示装置1570の表示画面がスロットマシン1000正面(遊技者側)に出現する構造となっている。なお、液晶表示装置でなくとも、種々の演出画像や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、リール(ドラム)、ドットマトリクスディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、プロジェクタを含むディスプレイであってもよい。
【0115】
このようなスロットマシンは、図示していない、遊技の中枢部分を制御する主制御部や、主制御部が送信するコマンド信号に応じて、主に演出の制御を行う副制御部、などで構成する制御部によって制御される。そして、この主制御部や副制御部を形成する制御基板に、前記した各実施例による遊技台の基板を適用することができる。すなわち、スロットマシンにおけるこれらの基板にテスト用スルーホールを設け、このテスト用スルーホールの穴径を、他のスルーホールの穴径よりも大きくしたり、テスト用スルーホールのピッチを特定部品のリードのピッチと同じにしたりすることができる。
【0116】
そして、このスロットマシンにおける基板によっても、テスト部品の誤実装を防止し、他の部品を流用可能として部品の汎用性を高め、基板テストの内容を多彩にし、基板テストのテスト効率を向上させる、ことが可能である。
【0117】
以上、本発明を図示の実施例について説明したが、本発明は前記した各実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り適宜に実施できる。例えば、前記した実施例では、遊技台であるパチンコ機およびスロットマシンにおける制御部の基板について説明したが、本発明に係る遊技台の基板は、遊技媒体としてパチンコ玉を使用するパチンコ機や、遊技媒体としてメダルを使用するスロットマシンばかりではなく、遊技媒体としてパチンコ玉を使用してスロットゲームを行なう、いわゆるパチロット或いはパロットでもよいし、アレンジボールやアミューズメント施設におけるゲーム機であってもよく、これらの遊技台に用いる基板として広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】遊技台の一例であるパチンコ機を正面側からみた外観斜視図である。
【図2】パチンコ機の遊技盤を正面からみた概略正面図である。
【図3】パチンコ機を背面側からみた外観斜視図である。
【図4】パチンコ機の制御部の回路ブロック図である。
【図5】基板の一例であるサブ制御基板の一部を示す概略平面図である。
【図6】テスト用部品の一例を実装した状態を説明する、サブ制御基板の一部の概略平面図である。
【図7】他のテスト用部品を実装した状態を説明する、サブ制御基板の一部の概略平面図である。
【図8】テスト用スルーホールの穴径と他のスルーホールの穴径との関係を示し、(a)は基板の一部を示す平面図、(b)はテスト用部品の一例である接続ピンの正面図、(c)は同図(a)におけるA−A線断面図である。
【図9】基板テストの一例の概略を模式的に示す斜視状態の説明図である。
【図10】基板テストの一例の概略を説明するための、基板の一部の拡大平面図である。
【図11】基板テストの一例の概略を説明するための、基板の一部の拡大斜視図である。
【図12】基板テストの他の一例の概略を説明するための、基板の一部の拡大平面図である。
【図13】基板テストの他の一例の概略を説明するための、基板の一部の拡大斜視図である。
【図14】基板テストの他の一例の概略を説明するための、基板の一部の拡大平面図である。
【図15】基板テストの他の一例の概略を説明するための、基板の一部の拡大斜視図である。
【図16】基板テストの他の一例の概略を模式的に示す斜視状態の説明図である。
【図17】遊技台の他の一例であるスロットマシンを正面側からみた外観斜視図である。
【符号の説明】
【0119】
100 パチンコ機
102 遊技盤
104 遊技領域
110 装飾図柄表示装置
112 普通図柄表示装置
114 特別図柄表示装置
116 普通図柄保留ランプ
118 特別図柄保留ランプ
120 高確中ランプ
122 一般入賞口
124 普図始動口
126 第1特図始動口
126 特図始動口
128 第2特図始動口
130 可変入賞口
136 アウト口
144 貯留皿
146 チャンスボタン
148 操作ハンドル
150 下皿
161 主基板
162 電源基板
164 サブ基板
165 払出基板
166 発射基板
200 演出装置
250 遮蔽手段
300 主制御部
400 副制御部
500 副制御部
700 サブ制御基板
701 導通部
702 ソルダレジスト
703 基板本体
710 特定部品
711 コネクタ
712 コンデンサ
713 コイル
720 配線パターン
740 テスト用部品
741 接続ピン
7411 リード
742 コネクタ
7421 リード
7422 絶縁受入部
743 スイッチ
744 コンデンサ
745 バリスタ
746 コネクタ
1000 スロットマシン
1010 本体
1020 前面扉
1100 左リール
1110 中リール
1120 右リール
1130 図柄表示窓
1300 ベットボタン
1310 ベットボタン
1320 ベットボタン
1340 メダル投入口
1350 スタートレバー
1360 ストップボタンユニット
1570 液晶表示装置
1600 演出装置
1630 扉部材
CL クリップ
CN1 コネクタ
L1 リード端子
L2 リード端子
TH スルーホール
TTH テスト用スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定部品を実装する所定回路の配線パターンが形成された遊技台の基板であって、
前記基板は、前記所定回路からの出力をテストするためのテスト用部品を実装するためのテスト用スルーホールを含む複数のスルーホールを前記配線パターン上に有し、
前記テスト用スルーホールは、他のスルーホールよりも穴径が大きいことを特徴とする遊技台の基板。
【請求項2】
前記基板は、前記特定部品を実装するための実装用ホールを前記配線パターン上に有し、
前記テスト用スルーホールは、穴径の大きさが前記実装用ホールと略等しいことを特徴とする請求項1に記載の遊技台の基板。
【請求項3】
前記基板は、前記テスト用スルーホールの近傍に、当該スルーホールがテスト用と判別できる識別情報が表示されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技台の基板。
【請求項4】
前記基板は、少なくとも2つ以上が導通している前記テスト用スルーホールを少なくとも有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の遊技台の基板。
【請求項5】
前記基板は、複数リードを有する前記テスト用部品のリードピッチと穴ピッチが略等しい隣接する前記テスト用スルーホールを少なくとも有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の遊技台の基板。
【請求項6】
前記基板は、複数リードを有する前記特定部品のリードピッチと穴ピッチが略等しい隣接する前記テスト用スルーホールを少なくとも有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の遊技台の基板。
【請求項7】
前記隣接するテスト用スルーホールは、少なくとも2つ以上が一直線上に並ぶことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の遊技台の基板。
【請求項8】
複数リードを有する前記テスト用部品の1番ピンに対応する前記テスト用スルーホールは、グラウンドに接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の遊技台の基板。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の遊技台の基板を備えたことを特徴とする遊技台。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−297345(P2009−297345A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156680(P2008−156680)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(597044139)株式会社大都技研 (1,470)
【Fターム(参考)】