説明

遊技媒体記録読取装置

【課題】貸球の払出個数を調整することができるカードユニット装置を提供すること。
【解決手段】貸球の100円単位の払出個数は、カード読取ユニット23の電源投入時に貸球数設定スイッチ56の状態に応じて設定される。設定された貸球の払出個数に基づいた貸出要求信号を払出制御基板Hに出力することにより、100円単位の払出個数が調整された貸球を払い出すことができる。よって、消費税の税率等を考慮した貸球の払い出しを行うことができるのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機を代表する遊技機に接続されて使用される遊技媒体記録読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機における遊技は、遊技者がパチンコホールから球を借りて、言い換えれば、パチンコホールが遊技者に球を貸し出して、その貸し出された球によって行われる。球の貸出レートは、通常、1球4円となっており、100円を1単位として貸し出されるので、遊技者へは100円毎に25球の球が貸し出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる場合に、貸し出される球は25球と決まっているので、遊技場(ホール)の方針等に応じて貸球の払出個数を変更したくても、それができないという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、遊技媒体の払出個数を調整することができる遊技媒体記録読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するために請求項1記載の遊技媒体記録読取装置は、遊技媒体情報が記録された遊技媒体記録手段を投入することにより、対応する遊技機に遊技媒体を貸し出して遊技を行うことができる遊技媒体記録読取手段を備えており、前記遊技機は、前記遊技媒体を払い出す払出制御手段を備え、前記遊技媒体記録読取読取手段は、前記払出制御手段による遊技媒体の1単位の払出個数を2種以上の個数に設定可能な貸出個数設定手段を備えている。
この請求項1記載の遊技媒体記録読取装置によれば、遊技媒体記録読取手段に設けられ、遊技媒体の1単位の払出個数を2種以上の個数に設定可能な貸出個数設定手段により、払出制御手段から払い出される遊技媒体の1単位の払出個数が設定される。
【発明の効果】
【0005】
本発明の遊技媒体記録読取装置によれば、遊技媒体記録読取手段に備えられた貸出個数設定手段により、遊技機の払出制御手段による遊技媒体の1単位の払出個数を2種以上の個数に設定できるので、遊技場(ホール)の方針に応じて、遊技媒体の払出個数を調整することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施例であるパチンコ機とカード読取ユニットとの正面図である。
【図2】パチンコ機とカード読取ユニットとの電気的構成を示したブロック図である。
【図3】カード読取ユニットで実行される処理のフローチャートである。
【図4】カード読取ユニットで実行される信号出力処理のフローチャートである。
【図5】払出制御基板で実行される球貸し動作処理のフローチャートである。
【図6】払出制御基板で実行される貸球モータ駆動処理のフローチャートである。
【図7】払出制御基板で実行される貸球カウントスイッチ読込処理のフローチャートである。
【図8】本発明のカード読取ユニットである消費税対応型(貸球の払出個数を変更可能)の新カードユニットと、消費税非対応型(貸球の払出個数を固定設定)の旧カードユニット(従来品)と、新カードユニットからの貸出要求信号に対応できる貸出要求信号対応型の新パチンコ機と、対応することができない貸出要求信号非対応型の旧パチンコ機(従来品)との対応関係を示した図である。
【図9】貸球の払出個数に応じた貸出要求信号のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0008】
図1は、本実施例のパチンコ機1の遊技盤の正面図である。パチンコ機1の前面には前面枠2が配設されており、その略中央部分には略短形状の開口2aが穿設され、かかる開口2aの内周には金枠3が周設されている。この金枠3の内側の上方には、2枚のガラス板を装着可能なガラス扉枠4が開閉可能に配設されており、ガラス扉枠4の後方に遊技盤5が配置されている。
【0009】
遊技盤5の前面には略円弧状の外レール6が植立され、その外レール6の内側位置には円弧状の内レール7が植立されている。外レール6と内レール7とにより囲まれた遊技盤5の前面には、球が打ち込まれる遊技領域8が形成されており、その遊技領域8内には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の普通入賞口9が配設されている。
【0010】
遊技領域8の略中央部分には、複数種類の識別情報としての図柄などを変動表示する液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、以下「LCD」と略す)10を備えた可変表示装置11が配設されている。この可変表示装置11のLCD10の手前側周囲には、装飾部材を兼ねたセンターフレーム11aが周設されており、このセンターフレーム11aによりLCD10の周囲が装飾されている。また、センターフレーム11aの上部中央には、表示装置の一種である7セグメントLED11bが配設されている。
【0011】
可変表示装置11の下方には、図柄作動口(第1種始動口)12が配設されている。この図柄作動口12へ球が入賞すると、第1種始動口スイッチ(各種スイッチ37、図2参照)がオンして、上述した可変表示装置11で変動表示が開始されると共に、5個の球が賞球として払い出される。また、図柄作動口12の下方には可変入賞装置13が配設されている。この可変入賞装置13は、その略中央部分に2以上の球が同時に通過可能な幅広短形状の開口である大入賞口13aが穿設されている。
【0012】
この大入賞口13aは、可変表示装置11の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせ(大当たり表示)の1つと一致する場合に、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒)経過するまで、或いは、所定個数(例えば、10個)の球が入賞するまで、開放される入賞口である。この大入賞口13aの開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)である。かかる可変入賞装置13の下方であって、遊技領域8の最下方には、いずれの入賞口にも入賞しなかった球を遊技領域8外へ排出するためのアウト口14が形成されている。
【0013】
アウト口14の下方、即ちガラス扉枠4の下方には、金枠3に開閉可能に取着された前面扉板(腰板)15が配設されている。この前面扉板15の前面には、球を貯留すると共に球発射装置(図示せず)へ球を供給するための上皿16が配設され、その上皿16の下方であって、前面枠2の下側部分には上皿16に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿17が配設されている。また、下皿17の右側部分には、球を遊技領域8へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル18が配設され、かかる操作ハンドル18の内部には球発射装置の発射用モータ(図示せず)を駆動させるためのハンドルスイッチ18aが内蔵されている。
【0014】
上皿16の上部中央には、後述するカード読取ユニット23により読み取られたカードの残高金額を表示する3つの7セグメントLEDにより構成された残高表示器19が配設されており、この残高表示器19の右側には、カード読取ユニット23のカード挿入口24に挿入されているカードを取り出すための返却ボタン20が配設され、一方、残高表示器19の左側には、貸球の払い出し(貸出)を開始するための貸出ボタン21が配設されている。この貸出ボタン21が遊技者により押下されると、カード読取ユニット23からパチンコ機1の払出制御基板Hへ貸出要求信号が出力される。なお、貸出要求信号とは、後述する貸球数設定スイッチ56により設定された貸球の払出個数を示す信号であると共に、払出制御基板Hに貸球の払い出しを実行させる信号である。
【0015】
また、貸出ボタン21の左側上方には貸球の払い出しが可能であるか否かを表示する貸出ボタンランプ22が配設されている。この貸出ボタンランプ22は、貸球の払い出しが可能である場合(貸出ボタン21が押下可能な状態である場合)に点灯され、一方、貸球の払い出しができない場合(貸出ボタン21が押下不可能な状態である場合)に消灯されるように構成されている。
【0016】
上記のように構成されたパチンコ機1の左側には、正面視縦長の長方形状のカード読取ユニット23(遊技媒体記録読取装置)が並設されている。カード読取ユニット23は、カードに記録された残高金額のデータを読み取るためのものであり、その上下方向における略中央部分には、金銭と同等の有価価値を有するカードを挿入するためのカード挿入口24が配設されている。このカード挿入口24の上方であって、カード読取ユニット23の上部にはLEDで構成されたカード利用可能ランプ25が配設されている。このカード利用可能ランプ25は、例えば、カード挿入口24へカードが挿入可能である場合に点灯される一方、カード挿入口24へカードが挿入不可能である場合に消灯される。
【0017】
また、カード挿入口24の上側には、略三角形状に形成された上下一対の連結台方向表示ランプ26が配設されている。この一対の連結台方向表示ランプ26は、カード読取ユニット23が接続されているパチンコ機1の配設(並設)方向を示すためのものである。よって、例えば、カード読取ユニット23が右側に並設されるパチンコ機1に接続される場合には下側のLEDが点灯され、カード読取ユニット23が左側に並設されるパチンコ機(図示せず)に接続される場合には上側のLEDが点灯される。この連結台方向表示ランプ26の下側には、カード挿入中ランプ27が配設されている。このカード挿入中ランプ27は、カードがカード挿入口24に挿入されている場合には点灯され、一方、カードがカード挿入口24に挿入されていない場合には消灯される。
【0018】
図2は、パチンコ機1の電気的構成を示したブロック図であり、特に、パチンコ機1の遊技内容の制御を行う主制御基板Cと、賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、遊技者によるカードの投入によりそのカードの残高を読み取って払出制御基板Hに貸球の貸出要求を行うカード読取ユニット23との電気的構成を示したブロック図である。
【0019】
パチンコ機1の主制御基板Cは、演算装置であるMPU31と、そのMPU31により実行される各種の制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM32と、ワークメモリ等として使用されるRAM33とを備えている。これらMPU31、ROM32及びRAM33は、バスライン34を介して相互に接続されている。バスライン34は、また、入出力ポート35にも接続されている。入出力ポート35は、入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)36,48を介して払出制御基板Hと接続されるほか、複数の普通入賞口9へ入賞した球や図柄作動口(第1種始動口)12へ入賞した球を検出する各種スイッチ37や、賞球カウントスイッチ38及び他の入出力装置39等と接続されている。
【0020】
賞球カウントスイッチ38は、払出制御基板Hによって払い出される賞球数をカウントするためのスイッチであり、その出力は主制御基板Cおよび払出制御基板Hへ入力されている。この賞球カウントスイッチ38の検出結果に基づいて、本来の賞球数を超えた賞球の払い出しや、本来の賞球数に満たない賞球の払い出しがチェックされる。
【0021】
この主制御基板Cは、前記したように、入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)36,48を介して、払出制御基板Hと接続されている。このため主制御基板Cと払出制御基板Hとの間における各種データの送受信は、主制御基板Cから払出制御基板Hへの一方向にのみ行われ、払出制御基板Hから主制御基板Cへデータ等の送信を行うことはできない。
【0022】
払出制御基板Hは、賞球や貸球の払出制御を行うものであり、演算装置であるMPU41と、そのMPU41により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM42と、ワークメモリ等として使用されるRAM43とを備えている。図5から図7に示すフローチャートのプログラムは、ROM42内に記憶されている。また、払出制御基板HのRAM43には、貸球払出カウンタ43aが設けられている。
【0023】
貸球払出カウンタ43aは、払い出される貸球の数を記憶するためのカウンタである。貸球の払い出しは貸出金額100円単位で行われる。即ち、貸球払出カウンタ43aの値が「0」である場合に、カード読取ユニット23から、後述する貸球数設定スイッチ56の設定に基づいて貸球信号設定メモリ53aに記憶された貸球の払出個数の値に応じた貸出要求信号が払出制御基板Hへ出力され、払出制御基板Hで受信されると、その貸出要求信号に応じた値が貸球払出カウンタ43aに書き込まれて、100円分の貸球の払い出しが行われる。その後、球貸し動作の進行により、再度、貸出要求信号に応じた値が貸球払出カウンタ43aに書き込まれると、再び100円分の貸球の払い出しが行われる。
【0024】
なお、貸出要求信号は、その貸球の払出個数ごとに信号の所定部分の出力時間(タイミング)が異なるように構成されている。よって、払出制御基板Hは、信号の所定部分の出力時間(タイミング)を判別することにより、貸球の払出個数を判断することができる。
【0025】
例えば、貸出要求信号の所定部分の出力時間(タイミング)を、25球の場合は5〜10ms、24球の場合は15〜20ms、および、23球の場合は25〜30msという具合に一定の幅をもたせた長さで区別して構成する。このように貸出要求信号が構成されている場合、パチンコ機が貸球の払出個数を25球しか払い出すことができないものであれば、カード読取ユニット23から所定部分の出力時間が25〜30msの信号、即ち、23球の貸出要求信号が出力されると、パチンコ機の払出制御基板はエラーと判断して、カード読取ユニット23へエラー信号を出力する。なお、この貸出要求信号については、図9において詳細に説明する。
【0026】
一方、本実施例のように、各貸出要求信号に対応することができるパチンコ機1とカード読取ユニット23とが接続されていれば、カード読取ユニット23から所定部分の出力時間が25〜30msの信号、即ち、23球の貸出要求信号が出力されると、パチンコ機1の払出制御基板Hは、その貸出要求信号を適正と判断して、受信した23球の貸出要求信号に応じた値を貸球払出カウンタ43aへ書き込んで貸球の払い出しを行うと共に、カード読取ユニット23へ貸球の払い出しが実行されたこと示唆する払出実行信号を出力するのである(図5参照)。
【0027】
貸球払出カウンタ43aの値が「0」でない場合には、貸球モータ駆動処理(図6参照)によって貸球モータ47が駆動され、これにより貸球の払い出しが行われる。払い出された貸球が貸球カウントスイッチ49によって検出されると、貸球払出カウンタ43a値は、その検出毎に「1」ずつ減算される。この貸球の払い出し動作は、貸球払出カウンタ43aの値が「0」になるまで繰り返される。
【0028】
これらMPU41、ROM42およびRAM43は、バスライン44を介して相互に接続されている。バスライン44は、また、入出力ポート45にも接続されている。この入出力ポート45は、ドライバ回路46をはじめ、前記した入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)36,48を介して主制御基板Cと接続されるほか、カード読取ユニット23、賞球カウントスイッチ38、貸球カウントスイッチ49などとそれぞれ接続されている。
【0029】
ドライバ回路46は、貸球モータ47を駆動し回転させるための回路である。このドライバ回路46によって貸球モータ47が駆動されることにより、貸球の払い出しが行われる。かかる貸球の払い出しは、貸球カウントスイッチ49により検出される。貸球カウントスイッチ49は、払出制御基板Hによって払い出される貸球数をカウントするためのスイッチであり、その出力は払出制御基板Hへ出力されている。この貸球カウントスイッチ49によって、本来の貸球数を越えた貸球の払い出しや本来の貸球数に満たない貸球の払い出しがチェックされる。
【0030】
カード読取ユニット23は、カードに記録された残高金額のデータを読み取るためのものであり、演算装置であるMPU51と、そのMPU51により実行される各種プログラムや固定値データ等を記憶したROM52と、ワークメモリ等として使用されるRAM53とを備えている。図3および図4に示すフローチャートのプログラムは、ROM52内に記憶されている。また、カード読取ユニット23のRAM53には、貸球信号設定メモリ53aと、データメモリ53bとが設けられている。
【0031】
貸球信号設定メモリ53aは、貸球の100円単位の払出個数を記憶するためのメモリであり、その値は後述する貸球数設定スイッチ56に基づいてセットされる。貸球数設定スイッチ56にセットされた値が、貸出要求信号として払出制御基板Hへ出力される。その出力された貸出要求信号が払出制御基板Hで受信されると、貸出要求信号で指示される値(貸球の払出個数)が貸球払出カウンタ43aに書き込まれて記憶される。この貸球信号設定メモリ53aの値は、カード読取ユニット23の電源投入時にのみセットされるので、たとえ遊技の途中で貸球数設定スイッチ56が操作されても、貸球信号設定メモリ53aの値を変更することなく保持して、貸球の払出個数を一定量に維持することができる。
【0032】
なお、設定された貸球信号設定メモリ53aの値を、外部管理装置の遊技場管理装置57およびカード会社コンピュータ58に出力するように構成しても良い。このように構成すれば、貸球信号設定メモリ53aの値を遊技場管理装置57やカード会社コンピュータ58で監視することができるので、遊技中における不自然な貸球信号設定メモリ53aの書き換え等の不正行為を防止することができる。例えば、本実施例において、貸球信号設定メモリ53aの値は初期化処理時に設定されるので、遊技中に貸球信号設定メモリ53aの値が変更された場合には明らかに不自然である。そこで、遊技場管理装置57またはカード会社コンピュータ58で貸球信号設定メモリ53aの値を監視することにより、遊技中に行われる貸球信号設定メモリ53aの値の書き換え等の不正行為等を防止することができるのである。
【0033】
データメモリ53bは、カード挿入口24のカード読取部24aによって読み取られた残高データを記憶しておくためのメモリである。データメモリ53bに記憶された残高データは、カード読取ユニット23が貸出要求信号を払出制御基板Hへ出力して、払出制御基板Hから払出実行信号を受信した場合に(図4参照)、カードの残高データが書き換えられることにより更新される。また、データメモリ53bに記憶される残高データの値は残高表示器19に表示されるように構成されている。
【0034】
これらMPU51、ROM52およびRAM53は、バスライン54を介して相互に接続されている。バスライン54は、また、入出力ポート55にも接続されている。この入出力ポート55は、払出制御基板Hをはじめとして、残高表示器19と、返却ボタン20と、貸出ボタン21と、貸出ボタンランプ22と、カード挿入口24の内部に設けられてカードの磁気データを読み取るカード読取部24a(遊技媒体記録読取手段)と、カード利用可能ランプ25と、連結台方向表示ランプ26と、カード挿入中ランプ27と、貸球数設定スイッチ56と、カード読取ユニット23からの所定の売上げ信号を入出力する外部管理装置である遊技場管理装置57およびカード会社コンピュータ58と接続されている。
【0035】
カード読取ユニット23と払出制御基板Hとは、複数の信号線で接続されており、双方向通信が可能に構成されている。なお、本実施例では、貸球の払出個数(貸球数データ)の指示を信号により行っているが、これに代えて、制御用コマンド等で貸球の払出個数(貸球数データ)の指示を行うように構成しても良い。かかる場合には、カード読取ユニット23と払出制御基板Hとは制御用コマンドを送信するのに十分な数のデータ信号線で接続される。
【0036】
貸球数設定スイッチ56は、貸球の貸出金額100円単位の払出個数を設定するためのスイッチであり、5つのスイッチSW0〜SW4を有するディップスイッチによって構成されている。各スイッチSW0〜SW4の入出力ポート55側の一端は、それぞれ抵抗Rを介して+5ボルトにプルアップされており、また、その他端は0ボルトに接続されている。よって、各スイッチSW0〜SW4は、それぞれオフの場合に入出力ポート55へハイ(「1」)が出力され、オンの場合にロウ(「0」)が出力される。貸球の貸出金額100円単位の払出個数は、この貸球数設定スイッチ56の各スイッチSW0〜SW4の状態によって表される数値により設定される。例えば、スイッチSW4,SW3,SW2,SW1,SW0の順に「11001(オフ、オフ、オン、オン、オフ)」に設定されていれば貸球の払出個数は25球に設定され、「11000(オフ、オフ、オン、オン、オン)」に設定されていれば貸球の払出個数は24球に設定される。
【0037】
なお、実際に使用する貸球の払出個数は、景品交換手数料や消費税率、遊技場(ホール)の方針に基づいて決められるが、一般的には「21球」から「25球」の範囲において使用される。よって、本実施例では、かかる範囲での貸球数の設定が可能なように貸球数設定スイッチ56が設けられている。
【0038】
また、貸球数設定スイッチ56は、必ずしも5つのスイッチSW0〜SW4を有するディップスイッチに限られるものではなく、例えば、カード読取ユニット23に回路パターンの一部として形成された5つのソルダーポイントとして構成しても良いのである。この場合、貸球数設定スイッチ56と同様に、ソルダーポイントの入出力ポート55側の一端をそれぞれ抵抗Rを介して+5ボルトにプルアップし、その他端を0ボルトに接続する。よって、ソルダーポイントがオンされたラインの入出力ポート55への出力はロウ(「0」)となるので、かかる入出力ポート55への出力状態によって貸球の貸出金額100円単位の払出個数を設定するのである。
【0039】
また、当然のことながら、貸球数設定スイッチ56は、ディップスイッチやソルダーポイント以外の他のスイッチで構成しても良いし、4以下或いは6以上のスイッチで構成しても良い。例えば、入出力ポート55のアナログデジタル変換端子(AD端子)に貸球数設定スイッチ56を接続し、そのAD端子に入力される電圧値に応じて貸球の払出個数を設定するようにしても良い。具体的には、可変抵抗を用いて、その抵抗値を変化させることによりAD端子に入力される電圧値を変化させ、貸球の払出個数を「21球」から「25球」の範囲で設定可能に構成する。更に、貸球数設定スイッチ56のスイッチを1つだけ設け、具体的には、そのスイッチがオンの場合には貸球の払出個数を24球に設定し、オフの場合には25球に設定するようにしても良い。
【0040】
次に、図3および図4を参照して、カード読取ユニット23で行われる処理について説明する。図3は、カード読取ユニット23で実行される処理のフローチャートである。カード読取ユニット23の電源が投入されると、カード読取ユニット23のMPU41は、まず、RAM43の値を初期化して初期値を設定するなどの初期化処理を実行する(S1)。次に、貸球数設定スイッチ56の値をリードし(S2)、そのリードした値を貸球信号設定メモリ53aへ書き込み、残高表示器19に残高数「00」を表示する(S3)。その後は、カード読取ユニット23で常時実行されるメイン処理であるS4〜S15の各処理を繰り返す。
【0041】
具体的にメイン処理では、まず、カード読取ユニット23が使用可能状態、即ち、カード読取ユニット23が正常に作動するか否かを調べる(S4)。使用可能状態でない場合(カード読取ユニット23が正常に作動していない状態)は(S4:No)、貸出ボタンランプ22、カード利用可能ランプ25及び連結台方向表示ランプ26を消灯し(S5)、カード読取ユニット23が使用可能状態になるまでS4及びS5の処理をループする。
【0042】
一方、カード読取ユニット23が使用可能状態であれば(S4:Yes)、貸出ボタンランプ22、カード利用可能ランプ25及び連結台方向表示ランプ26を点灯し(S6)、カード挿入口24にカードが挿入されているか否かを確認する(S7)。確認の結果、カードが挿入されていれば(S7:Yes)、カード挿入中ランプ27を点灯し(S8)、挿入されたカードの残高データをカード読取部24aにより読み込み、その値をデータメモリ53bに記憶すると共に、その残高データの値を残高表示器19に表示する(S9)。一方、カードがカード挿入口24に挿入されていなければ(S7:No)、処理をS4へ移行してカードが挿入されるまでS4〜S7の各処理を繰り返す。
【0043】
そして、カードの残高データが有るか否か、即ち、データメモリ53bに記憶されている値が「0」か否かを確認し(S10)、その値が「0」でなければ(S10:Yes)、貸出ボタン21が遊技者により押下されたか否かを確認する(S11)。貸出ボタン21が押下されていれば(S11:Yes)、払出制御基板Hに貸球の払い出しを要求する信号出力処理(図4参照)を実行する(S12)。尚、S10の処理においてカードの残高データがない場合、即ちデータメモリ53bに記憶されている値が「0」である場合には(S10:No)、S11〜S13の各処理をスキップして、S14の処理へと移行する。また、S11の処理において貸出ボタン21が遊技者により押下されていない場合は(S11:No)、S12の信号出力処理をスキップして、S13の処理へと移行する。
【0044】
信号出力処理(S12)の終了後は、返却ボタン20が遊技者により押下されたか否かを確認する(S13)。返却ボタン20が押下されていれば(S13:Yes)、カード挿入口24に挿入されているカードを返却し(S14)、カード挿入中ランプ27を消灯すると共に、残高表示器19に残高数「00」を表示して(S15)、その後の処理をS4へと移行する。一方、返却ボタン20が押下されていない場合には(S13:No)、S14及びS15の各処理をスキップして、処理をS4へ移行する。
【0045】
図4は、信号出力処理(S12)のフローチャートである。この信号出力処理では、まず、貸球信号設定メモリ53aに記憶されている値に応じた貸出要求信号を払出制御基板Hへ出力する(S21)。なお、貸出要求信号とは、貸球数設定スイッチ56の値に基づいて貸球信号設定メモリ53aに記憶される値に応じた信号であり、その信号の所定部分の出力時間(タイミング)が、貸球の払出個数ごとに幅をもたせて異なるように構成されている。例えば、25球の貸出要求信号の所定部分の出力時間(タイミング)は5〜10ms、24球の貸出要求信号は15〜20ms、および、23球の貸出要求信号は25〜30msという具合に構成される。
【0046】
パチンコ機1の払出制御基板Hは、この貸出要求信号の所定部分の出力時間(タイミング)を判別することにより、エラー処理を行わせるエラー信号、または、貸球の払い出しが行われたことを意味する払出実行信号をカード読取ユニット23へ出力する。払出制御基板Hへ貸出要求信号を出力した後は、払出制御基板Hから受信した信号を確認し(S22)、エラー信号を受信していれば(S22:「エラー信号」)、エラー信号に基づいてエラー処理を実行して(S28)、この信号出力処理を終了する。従って、上記のように貸出要求信号を構成することにより、パチンコ機1が貸球の払出個数を25球しか払い出すことができないように構成されている場合、カード読取ユニット23から所定部分の出力時間が25〜30msの信号、即ち、23球の貸出要求信号が出力されれば、パチンコ機1の払出制御基板Hはエラーと判断して、カード読取ユニット23へエラー信号を出力するのである。
【0047】
一方、払出実行信号を受信していれば(S22:「払出実行信号」)、貸出要求信号が正常に受信されたということなので、カード挿入口24に挿入されているカードの残高データの書き換えを行い(S23)、その書き換えられたカードの残高データをデータメモリ53bに記憶すると共に、書き換えられた残高データの値を残高表示器19に表示する(S24)。その後、遊技場管理装置57およびカード会社コンピュータ58の外部管理装置にカードの売上信号を出力し(S25)、払出制御基板Hから貸球の払い出しの終了を示す貸出終了信号を受信したか否かを確認する(S26)。ここで貸出終了信号を受信していなければ(S26:No)、貸出終了信号を受信するまで待機し、貸出終了信号を受信した場合は(S26:Yes)、貸出要求分(例えば、500円分)の貸球がすべて払い出されたか否かを確認する(S27)。貸出要求分の貸球が払い出されていなければ(S27:No)、S21の処理へ移行して、貸出要求分の貸球が払い出されるまで信号出力処理を繰り返す。貸出要求分の貸球が払い出されれば(S27:Yes)、この信号出力処理を終了する。
【0048】
次に、図5から図7を参照して、払出制御基板Hで行われる貸球の払出処理について説明する。図5は、払出制御基板Hがカード読取ユニット23から貸球の払出個数に関する貸出要求信号を受信した際に実行される球貸し動作処理のフローチャートである。この球貸し動作処理により、払出制御基板Hの貸球払出カウンタ43aにカード読取ユニット23の貸球数設定スイッチ56により設定された貸球の払出個数が書き込まれる。
【0049】
球貸し動作処理では、まず、カード読取ユニット23から貸出要求信号を受信したか否かを確認する(S31)。貸出要求信号を受信していなければ(S31:No)、この球貸し動作処理を終了する一方、貸出要求信号を受信していれば(S31:Yes)、貸出要求信号を受信したことによるエラーか否かを確認する(S32)。受信した貸出要求信号がエラーと判断されれば(S32:Yes)、エラー信号をカード読取ユニット23へ出力し(S36)、この球貸し動作処理を終了する。一方、受信した貸出要求信号がエラーでなければ(S32:No)、貸出要求信号に対応する貸球数の値を貸球払出カウンタ43aに書き込むと共に、カード読取ユニット23へ払出実行信号を出力する(S33)。
【0050】
S33の処理のあとは、貸球払出カウンタ43aの値が「0」であるか否かを確認し(S34)、貸球払出カウンタ43aの値が「0」でない場合は(S34:No)、その値が「0」になるまで待機する。貸球払出カウンタ43aの値が「0」になれば(S34:Yes)、要求された貸球の払い出しが終了したということであるので、貸出終了信号をカード読取ユニット23へ出力して(S35)、この球貸し動作処理を終了する。
【0051】
図6は、払出制御基板Hにおいて、0.5ms毎に発生するインターバル割込処理により実行される貸球モータ駆動処理のフローチャートである。この貸球モータ駆動処理によって貸球モータ47が回転され、貸球の払い出しが行われる。なお、払い出された貸球の数は、後述する貸球カウントスイッチ読込処理(図7参照)によってカウントされる。
【0052】
貸球モータ駆動処理では、まず、貸球払出カウンタ43aの値が「0」であるか否かを確認する(S41)。貸球払出カウンタ43aの値が「0」でなければ(S41:No)、貸球モータ47を回転して貸球を払い出す(S42)。一方、貸球払出カウンタ43aの値が「0」であれば(S41:Yes)、貸球の払い出し動作はすべて終了しているので、かかる場合には、貸球モータ47を停止して(S43)、この貸球モータ処理を終了する。
【0053】
図7は、払出制御基板Hにおいて、2ms毎に発生するインターバル割込処理により実行される貸球カウントスイッチ読込処理のフローチャートである。この貸球カウントスイッチ読込処理によって、実際に払い出された貸球の数がカウントされる。まず、貸球カウントスイッチ49が貸球を検出したか否かを確認し(S51)、貸球を検出していれば(S51:Yes)、貸球払出カウンタ43aの値を「1」減算する(S52)。一方、貸球カウントスイッチ49が貸球を検出しなければ(S51:No)、S52の処理をスキップしてこの貸球カウントスイッチ読込処理を終了する。
【0054】
図3から図7のフローチャートを参照して説明したように、本実施例のカード読取ユニット23によれば、貸球の100円単位の払出個数は、カード読取ユニット23の電源投入時に貸球数設定スイッチ56の状態に応じて決定される。そして、設定された貸球の払出個数に基づいた貸出要求信号を払出制御基板Hに出力することにより、100円単位の払出個数が調整された貸球の払い出しを行うことができる。よって、消費税の税率等を考慮した貸球の払い出しを行うことができるのである。
【0055】
次に、図8を参照して、カード読取ユニット23とパチンコ機1との使用形態を具体例を挙げながら説明する。図8は、本実施例の消費税対応型(貸球の払出個数を変更可能)のカード読取ユニット23(以下、「新カードユニット」と略す)と、消費税非対応型(貸球の払出個数を固定設定)の旧カードユニット(従来品)と、新カードユニットからの貸出要求信号に対応できる貸出要求信号対応型の本実施例のパチンコ機1(以下、「新パチンコ機」と略す)と、新カードユニットに対応することができない貸出要求信号非対応型の旧パチンコ機(従来品)との対応関係を示した図である。なお、貸出要求信号は、所定部分の出力時間(例えば、タイミング等)が貸球の払出個数ごとに区別されて構成されている。よって、払出制御基板Hは、貸出要求信号の所定部分の出力時間(タイミング等)を判別することにより、貸球の払出個数を判断することができる。
【0056】
また、払出制御基板Hは、カード読取ユニット23から出力される貸出要求信号が適切でない場合や、その貸出要求信号の所定部分の出力時間(タイミング)が適切でない場合等に、受信した貸出要求信号が適正でないと判断してエラー信号を出力するよう構成されている。
【0057】
「No.1」は、旧カードユニットと旧パチンコ機とが接続されるパターンである。この場合には、旧カードユニットから「25球」の貸出要求信号が旧パチンコ機へ出力され、旧パチンコ機から「25球」の貸球が払い出される。この「No.1」のパターンは、貸球の払出個数の調整を考慮していない従来品の組み合わせであるので、従来通り「25球」の球貸しが行われる。
【0058】
「No.2」は、旧カードユニットと新パチンコ機とが接続されるパターンである。この場合には、旧カードユニットから「25球」の貸出要求信号が新パチンコ機へ出力されるので、「No.1」の場合と同様、新パチンコ機から「25球」の貸球が払い出される。「25球」の貸出要求信号は、新カードユニットおよび旧カードユニットを問わず、貸出要求信号の所定部分の出力時間(タイミング等)が同等に構成されている。よって、新旧のパチンコ機を問わず、「25球」の貸出要求信号が受信されると、新パチンコ機および旧パチンコ機から「25球」の貸球が払い出されるのである。
【0059】
「No.3」は、貸球25球設定の新カードユニットと旧パチンコ機とが接続されるパターンである。この場合には、貸球数設定スイッチ56が「25球」に設定されているので、新カードユニットから「25球」の貸出要求信号が旧パチンコ機へ出力され、その結果、旧パチンコ機から「25球」の貸球が払い出される。この「No.3」のパターンは、貸球数設定スイッチ56が新カードユニットに設けられているが、貸球の払出個数が「25球」に設定されている。旧パチンコ機は、「25球」の貸出要求信号には対応することができるので、「25球」の貸出要求信号を旧パチンコ機が受信して、「25球」の貸球を払い出すことができるのである。
【0060】
「No.4」は、貸球24球設定の新カードユニットと旧パチンコ機とが接続されるパターンである。この場合には、貸球数設定スイッチ56が「24球」に設定されているので、新カードユニットから「24球」の貸出要求信号が旧パチンコ機へ出力され、その結果、旧パチンコ機は球貸しを行わずにエラー信号を新カードユニットへ出力する。上述したように、旧パチンコ機は「24球」の貸出要求信号に対応することができないように構成されているので、旧パチンコ機が「24球」の貸出要求信号を受信した場合には、エラー信号を新カードユニットへ出力するのである。ここで、エラー信号を新カードユニットへ出力することにより、新カードユニットでエラー処理が行われるので(図4、S28参照)、不適切な貸球の払い出しや、不適切なカードの残高数の減算を防止することができるのである。
【0061】
「No.5」は、貸球25球設定の新カードユニットと新パチンコ機とが接続されるパターンである。この場合には、貸球数設定スイッチ56が「25球」に設定されているので、新カードユニットから「25球」の貸出要求信号が新パチンコ機へ出力され、その結果、新パチンコ機から「25球」の貸球が払い出される。
【0062】
「No.6」は、貸球24球設定の新カードユニットと新パチンコ機とが接続されるパターンである。この場合には、貸球数設定スイッチ56が「24球」に設定されているので、新カードユニットから「24球」の貸出要求信号が新パチンコ機へ出力され、その結果、新パチンコ機から「24球」の貸球が払い出される。この「No.6」のパターンでは、上述したように、新パチンコ機は貸出要求信号の所定部分の出力時間(タイミング等)を判別することにより、「24球」の貸出要求信号を判断することができる。よって、「24球」の貸出要求信号を受信しても、エラー信号を出力することなく、「24球」の貸球を払い出すことができる。
【0063】
「No.7」は、貸球n(nは自然数)球設定の新カードユニットと新パチンコ機とが接続されるパターンである。この場合には、貸球数設定スイッチ56が「n球」に設定されているので、新カードユニットから「n球」の貸出要求信号が新パチンコ機へ出力され、その結果、新パチンコ機から「n球」の貸球が払い出される。この「No.7」のパターンでは、上述したように、新パチンコ機は貸出要求信号の所定部分の出力時間(タイミング等)を判別することにより、「n球」の貸出要求信号を判断することができる。よって、「n球」の貸出要求信号を受信しても、エラー信号を出力することなく、「n球」の貸球を払い出すことができる。
【0064】
「No.1」〜「No.7」の各パターンに示すように、本実施例のカード読取ユニット23は、パチンコ機から適切な貸球の払い出しが行われるように構成されている。よって、たとえ貸出要求信号に対応していないパチンコ機(従来品)と接続された場合にも、不適切な貸球の払い出しや不適切なカードの残高数の減算を行うことなく、適切な貸球の払い出しを行うことができる。
【0065】
次に、図9を参照して、貸出要求信号について具体例をあげながら説明する。図9は、貸球の払出個数に応じた貸出要求信号のタイミングチャートである。図9(a)は、貸球の払出個数が「25球」の場合の貸出要求信号のタイミングチャートである。この場合の貸出要求信号のタイミングは、カード読取ユニット23からパチンコ機1へ貸球の払い出しがあることを報知すると共にその時間の長さにより貸球の払出個数を報知する貸出要求監視時間(T0=T1)が5〜10msで構成されている。貸出要求監視時間(T0=T1)の後には、パチンコ機1が貸球の貸出要求を了解したことを報知する貸出要求了解監視時間(TA)が設けられており、その時間は10ms〜10sで構成されている。なお、図8において上記したように、この「25球」の貸出要求信号は新・旧のカードユニットを問わず、同一に構成されている。また、貸出要求了解監視時間(TA)は、図9(a)〜図9(e)においてすべて10ms〜10sの幅で同一に構成されている。
【0066】
図9(b)は、貸球の払出個数が「24球」の場合の貸出要求信号のタイミングチャートである。この場合の貸出要求信号のタイミングは、貸出要求監視時間(T0=T2)が15〜20msで構成されている。図9(c)は、貸球の払出個数が「23球」の場合の貸出要求信号のタイミングチャートである。この場合の貸出要求信号のタイミングは、貸出要求監視時間(T0=T3)が25〜30msで構成されている。図9(d)は、貸球の払出個数が「22球」の場合の貸出要求信号のタイミングチャートである。この場合の貸出要求信号のタイミングは、貸出要求監視時間(T0=T4)が35〜40msで構成されている。図9(e)は、貸球の払出個数が「21球」の場合の貸出要求信号のタイミングチャートである。この場合の貸出要求信号のタイミングは、貸出要求監視時間(T0=T5)が45〜50msで構成されている。
【0067】
図9(a)〜図9(e)に示すように、貸球の払出個数ごとに信号のT0=T1〜T5の長さ(タイミング)が異なるように構成されている。よって、払出制御基板Hは、信号のT0=T1〜T5の長さ(タイミング)を判別することにより、貸球の払出個数を判断することができる。
【0068】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0069】
例えば、本実施例では、貸出要求信号を出力するごとに貸球の払出個数の設定数と貸球の払出指示(貸球の払い出し動作を実行を示唆)とが行われるように構成されている。しかし、これに代えて、貸球の払出個数の設定数は電源入時のみに出力するように構成し、貸出要求信号では貸球の払い出しのみを指示するように構成しても良い。
【0070】
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技媒体記録読取装置において、前記遊技媒体は貸球であり、前記貸出個数設定手段は、前記貸球の払出個数(貸球数データ)を変更できるように構成されていることを特徴とする遊技媒体記録読取装置1。従来、パチンコ機における遊技は、遊技者がパチンコホールから球を借りて、言い替えれば、パチンコホールが遊技者へ球を貸し出して、その貸し出された球によって行われる。通常、1球4円として、100円を1単位として貸し出されるので、遊技者へは、消費税等を考慮せずに100円毎に25球の球が貸し出される。これに対し、遊技終了後の景品交換時においては、景品交換手数料や消費税分を考慮して、或いは考慮せずに景品交換が行われる。球の貸出時には消費税等を考慮せずに球を貸し出し、その一方で、景品交換時においてのみ消費税等を考慮して景品交換を行うと、遊技に勝った遊技者は消費税等を負担することになるものの、遊技に負けた遊技者は消費税等を負担せずに済んでしまい、消費税等の負担の有無が不平等になってしまう。この場合には、遊技に負けた遊技者の消費税等はパチンコホールが負担しなければならない。これに対し、予め消費税等を考慮して、100円毎の貸球の払出個数を設定しておくことも可能であるが、消費税等の税率が変更された場合や、パチンコホールにおいて消費税等を考慮せずに球を貸し出したい場合には、かかる方式では対応することができない。従って、遊技媒体記録読取手段(遊技媒体記録読取装置)に貸出個数設定手段を設けることにより、景品交換手数料や消費税の税率、貸球に消費税分を加えるか否か等の遊技場(ホール)の方針に応じて、貸球の払出個数を調整することができる。
【0071】
請求項1記載の遊技媒体記録読取装置または遊技媒体記録読取装置1において、前記貸出個数設定手段は、スイッチ手段を有しており、そのスイッチ手段の設定に基づいて前記払出制御手段による貸球の1単位の払出個数を設定するものであることを特徴とする遊技媒体記録読取装置2。スイッチ手段としては、例えば、ディップスイッチや、基板に直接形成されたソルダーポイント等が例示される。ディップスイッチやソルダーポイントが5つのスイッチ(又は5つのソルダーポイント)を備えていれば、その5つのスイッチにより「0〜31」までの数値を設定することができるので、該スイッチに基づいて、貸球の1単位の払出個数を「0〜31」の範囲で任意に設定することができる。なお、スイッチ手段としては、例えば、オン及びオフの2つの状態に切り替わるスイッチを用いる場合、そのスイッチがオンであれば第1の個数(例えば、100円に付き24球)に、オフであれば第2の個数(例えば、100円に付き25球)に、貸球の1単位の払出個数を設定することができる。
【0072】
請求項1記載の遊技媒体記録読取装置または遊技媒体記録読取装置1もしくは2において、前記貸出個数設定手段は、前記遊技媒体記録読取手段(遊技媒体記録読取装置)から出力される信号を変更するものであることを特徴とする遊技媒体記録読取装置3。
【0073】
遊技媒体記録読取装置3において、前記遊技媒体記録読取手段(遊技媒体記録読取装置)から出力される信号は、その信号の所定部分の出力時間(タイミング)を変更することにより貸球の払出個数が識別されるものであることを特徴とする遊技媒体記録読取装置4。
【0074】
請求項1記載の遊技媒体記録読取装置または遊技媒体記録読取装置1から4のいずれかにおいて、前記遊技媒体記録読取手段(遊技媒体記録読取装置)は、前記払出制御手段へ前記貸出個数設定手段により設定された貸球の払出個数を示す貸球信号を出力するものであり、前記払出制御手段は、前記貸球信号を受信することにより貸球の払い出しを行うものであることを特徴とする遊技媒体記録読取装置5。
【0075】
遊技媒体記録読取装置5において、前記貸球信号は、前記貸出個数設定手段により設定された貸球の払出個数を示す信号であると共に、前記払出制御手段から貸球の払い出しを実行させる信号を兼ねていることを特徴とする遊技媒体記録読取装置6。1つの信号(貸球信号)を出力することにより、貸球の払出個数および貸球の払い出し動作の2つの指示を出すことができる。
【0076】
遊技媒体記録読取装置5または6において、前記遊技機の払出制御手段は、前記貸球信号が適切でない場合にエラー信号を前記遊技媒体記録読取手段(遊技媒体記録読取装置)へ出力するものであり、前記遊技媒体記録読取手段(遊技媒体記録読取装置)は、前記エラー信号を受信することによりエラー処理を行うものであることを特徴とする遊技媒体記録読取装置7。遊技媒体記録読取手段(遊技媒体記録読取装置)は、払出制御手段から出力されたエラー信号を受信するとエラー処理を行うので、不適切な貸球の払い出しや、不適切な遊技媒体記録手段の残高数の減算を防止することができる。
【0077】
遊技媒体記録読取装置5から7のいずれかにおいて、前記貸球信号は、貸球の払出個数ごとに所定部分の出力時間(タイミング)が異なるように設定されていることを特徴とする遊技媒体記録読取装置8。貸球信号の所定部分の出力時間(タイミング)を、貸球の払出個数ごとに異なるように設定して貸球信号を構成するので、その所定部分の出力時間(タイミング)を判別することにより貸球の払出個数を判別することができる。なお、所定部分の出力時間(タイミング)は、それぞれの信号ごとに幅を持たせて設定されている。
【0078】
また、遊技機の払出制御手段は、貸球信号の所定部分の出力時間(タイミング)を判別することによりエラー信号を出力する。例えば、25球の貸球信号の所定部分の出力時間(タイミング)を5〜10ms、24球の貸球信号は15〜20ms、および、23球の貸球信号は25〜30msという具合に構成する。このように貸球信号を構成することにより、遊技機が貸球の払出個数を25球しか払い出すことができないように構成されている場合、遊技媒体記録読取手段(遊技媒体記録読取装置)から所定部分の出力時間が25〜30msの信号、即ち、23球の貸球信号が出力されると、遊技機の払出制御手段はエラーと判断して、遊技媒体記録読取手段(遊技媒体記録読取装置)へエラー信号を出力するのである。
【0079】
請求項1記載の遊技媒体記録読取装置または遊技媒体記録読取装置1から8のいずれかにおいて、前記貸球信号は対応することができる遊技機と、その貸球信号には対応することができない遊技機とを判別することができることを特徴とする遊技媒体記録読取装置9。貸球信号に対応することができる遊技機と対応することができない遊技機とを判別することができるので、貸球信号を遊技機に出力することにより遊技機の新旧(対応型か非対応型か)を判断することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 パチンコ機(遊技機)
23 カード読取ユニット(遊技媒体記録読取装置)
24a カード読取部(遊技媒体記録読取手段の一部)
56 貸球数設定スイッチ(貸出個数設定手段)
H 払出制御基板(払出制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体情報が記録された遊技媒体記録手段を投入することにより、対応する遊技機に遊技媒体を貸し出して遊技を行うことができる遊技媒体記録読取手段を備えた遊技媒体記録読取装置において、
前記遊技機は、前記遊技媒体を払い出す払出制御手段を備えており、
前記遊技媒体記録読取手段は、前記払出制御手段による遊技媒体の1単位の払出個数を2種以上の個数に設定可能な貸出個数設定手段を備えていることを特徴とする遊技媒体記録読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−255205(P2011−255205A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181971(P2011−181971)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【分割の表示】特願2001−232783(P2001−232783)の分割
【原出願日】平成13年7月31日(2001.7.31)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】