説明

遊技媒体貸し機の補給制御装置および遊技媒体貸し機

【課題】遊技媒体貸し機に対して不正行為が行われた場合に被害の拡大を抑制することが可能な、遊技媒体貸し機の補給制御装置およびそれを備えた遊技媒体貸し機を提供する。
【解決手段】補給制御装置40は、遊技機で使用される遊技媒体Mの貸し出し要求Rに基づいて遊技媒体Mを貸し出す遊技媒体貸し機2への遊技媒体Mの補給を制御するものであり、遊技媒体貸し機2内に残留する遊技媒体Mの残留量が所定量よりも少なくなったことを検知することが可能なニアエンドセンサ36と、貸し出し要求Rの発生に基づいて貸し出される遊技媒体Mの累積数を計数する累積計数部43と、ニアエンドセンサ36により残留量が前記所定量よりも少なくなったことが検知され、かつ累積計数部43によって得られる前記累積数が所定数以上となると、遊技媒体貸し機2への遊技媒体Mの補給を行なうよう補給指示を出す補給指示部47とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機で使用される遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸し機への遊技媒体の補給を制御する補給制御装置に関する。また、本発明は、その補給制御装置を備えた遊技媒体貸し機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機で使用される遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸し機への遊技媒体の補給を行う装置として、特許文献1のものが知られている。特許文献1の補給装置は、遊技媒体貸し機内に貯留される遊技媒体の残留量が所定量よりも少なくなったことを検知すると、遊技媒体貸し機内に遊技媒体を自動的に補給している。
【特許文献1】特開2006−20752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の補給装置では、遊技媒体の残留量が所定量よりも少なくなると、遊技媒体の補給が自動的に行われるので、遊技媒体が遊技媒体貸し機から不正に抜き取られて遊技媒体の残留量が所定量よりも少なくなった場合であっても遊技媒体貸し機への補給が行われる。そのため、いわゆるゴト師によって不正行為が繰り返されると、遊技媒体貸し機内に残っていた遊技媒体だけでなく新たに補給される遊技媒体も不正に抜き取られて、被害が拡大する。
【0004】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、遊技媒体貸し機に対して不正行為が行われた場合に被害の拡大を抑制することが可能な、遊技媒体貸し機の補給制御装置およびそれを備えた遊技媒体貸し機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る補給制御装置は、遊技機で使用される遊技媒体の貸し出し要求に基づいて該遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸し機への前記遊技媒体の補給を制御する補給制御装置であって、前記遊技媒体貸し機内に残留する前記遊技媒体の残留量が所定量よりも少なくなったことを検知することが可能な残留量検知部と、前記貸し出し要求の発生に基づいて貸し出される前記遊技媒体の累積数を計数する累積計数部と、前記残留量検知部により前記残留量が前記所定量よりも少なくなったことが検知され、かつ前記累積計数部によって得られる前記累積数が所定数以上となると、前記遊技媒体貸し機への遊技媒体の補給を行なうよう補給指示を出す補給指示部とを含む。
【0006】
本発明に係る補給制御装置によれば、遊技媒体貸し機への遊技媒体の補給は、遊技媒体貸し機内に残留する遊技媒体の残留量が所定量よりも少なくなるという条件に加え、貸し出し要求に従って貸し出される遊技媒体の累積数が所定数以上になるという条件を満たしたときに行われる。したがって、貸し出し要求が発生していない状態で貸し出された遊技媒体、つまり遊技媒体貸し機に対する不正行為により遊技媒体貸し機から抜き取られた遊技媒体は、累積計数部によって累積計数されないので、不正行為により遊技媒体貸し機内の遊技媒体の残留量がゼロになっても、新たな遊技媒体が遊技媒体貸し機に補給されるよう補給指示が出されることはない。これにより、遊技媒体貸し機に対して不正行為があった場合、不正行為による被害は、最大でも、不正行為が行われる前に遊技媒体貸し機内に貯留されていた遊技媒体のみに抑えることが可能である。
【0007】
本発明の好ましい実施形態では、前記補給指示に基づき前記遊技媒体貸し機に対して補給が行われた後、前記累積計数部は、前記補給が行われる前に得た前記累積数をクリアする。
【0008】
また、本発明に係る遊技媒体貸し機は、遊技機で使用される遊技媒体の貸し出し要求に基づいて該遊技媒体を貸し出す貸し機本体と、前記貸し機本体への前記遊技媒体の補給を制御する補給制御装置とを含み、前記補給制御装置は、前記貸し機本体内に残留する前記遊技媒体の残留量が所定量よりも少なくなったことを検知することが可能な残留量検知部と、前記貸し出し要求の発生に基づいて貸し出される前記遊技媒体の累積数を計数する累積計数部と、前記残留量検知部により前記残留量が前記所定量よりも少なくなったことが検知され、かつ前記累積計数部によって得られる前記累積数が所定数以上となると、前記貸し機本体への遊技媒体の補給を行なうよう補給指示を出す補給指示部とを有する。
【0009】
本発明の遊技媒体貸し機によれば、補給制御装置により、上述したように、貸し機本体に対して不正行為があった場合、不正行為による被害は、最大でも、不正行為が行われる前に貸し機本体内に貯留されていた遊技媒体のみに抑えることが可能である。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、前記貸し機本体は、管理者が遊技媒体を手動で補給することが可能な遊技媒体ホッパと、前記補給指示部からの前記補給指示を受けると、前記貸し機本体に前記遊技媒体を補給する必要があることを前記管理者に報知する補給報知部とを有している。
【0011】
この構成によれば、補給制御装置を、貸し機本体が所謂スタンドアローン式である場合に適用することができる。この場合、補給報知部は、例えばランプであり、補給指示を受けると点灯、点滅等することによって管理者に補給が必要であることを知らせる。
【0012】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記貸し出し要求は、貸し機本体への入金に基づいて発生するものであり、入金毎に貸し出される遊技媒体の数が設定されていてもよい。この構成によれば、入金毎に貸し出される遊技媒体の数が固定されているので、貸し出し要求の発生に基づいて貸し出される遊技媒体の累積数を容易に得ることができる。また、前記貸し出し要求は、遊技機からの要求に基づいて発生するものであってもよい。
【0013】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記補給指示に基づき前記貸し機本体に対して補給が行われた後、前記累積計数部は、前記補給が行われる前に得た前記累積数をクリアする。
【0014】
さらに、本発明では、上記構成の遊技媒体貸し機と、前記遊技媒体貸し機の補給制御装置からの補給指示に基づき、前記遊技媒体貸し機の貸し機本体に遊技媒体を自動的に補給することが可能に構成された自動補給装置とを組み合わせて自動補給システムを構成してもよい。この自動補給システムは、不正行為による被害の拡大を抑制しつつ、自動補給装置により貸し機本体に遊技媒体を自動的に補給することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る補給制御装置および遊技媒体貸し機によれば、遊技媒体貸し機に対して不正行為が行われた場合に被害の拡大を抑制することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る補給制御装置が適用される自動補給システムの構成を示す説明図である。自動補給システム1は、遊技場においてスロットマシーン等の遊技機の台間に配置されて遊技機と共に、いわゆる島を形成する遊技媒体貸し機に遊技媒体(本実施形態では、メダル)を自動的に補給するシステムである。この自動補給システム1は、遊技者にメダルM(図4)を貸し出す遊技媒体貸し機(以下、単に貸し機という)2と、貸し機2に自動的にメダルMを補給する自動補給装置3とで構成される。
【0018】
貸し機2は、メダルMを貯留すると共に、メダルMの貸し出し要求Rに基づいてメダルMを貸し出す貸し機本体20と、貸し機本体20へのメダルMの補給を制御する補給制御装置40とを含む。補給制御装置40は、管理コンピュータ5に接続されており、遊技場の管理者は、管理コンピュータ5によって補給制御装置40に対してメダル補給等に関する条件設定を行う。なお、管理コンピュータ5に複数の貸し機2を接続し、各貸し機2の補給制御装置40に対してメダル補給等に関する条件設定を行うようにしてもよい。
【0019】
自動補給装置3は、島ごとに1つずつ配置されており、基本構成要素として、貸し機本体20に補給するためのメダルMを貯留する図略のメダル貯留部と、メダル貯留部から貸し機本体20にメダルMを搬送する、コンベヤ等からなる図略のメダル搬送部とを有する。自動補給装置3は、補給制御装置40から出力される補給指示信号S2に基づき、貸し機本体20にメダルMを補給する。なお、自動補給装置3は、同一の島に配置されている遊技機にメダルMを補給することも可能に構成されている。
【0020】
貸し機本体20は、図2に示すように、縦長の略直方体の形状を有しており、その前面に、開閉可能な3つの、上段フロントパネル21、中段フロントパネル22および下段フロントパネル23を有している。上段フロントパネル21には、遊技者によって紙幣が投入される紙幣投入口25が設けられている。中段フロントパネル22および下段フロントパネル23の位置に対応する貸し機本体20の内部には、紙幣の投入により発生するメダル貸し出し要求Rに基づいて、メダルMを遊技者に所定枚数払い出すための払出し装置30(図3)が配置されている。また、下段フロントパネル23の下方には、ノズルシュート24が設けられており、このノズルシュート24によって、払出し装置30から払い出されたメダルMが、隣接する遊技機に設けられた受け皿に案内される。
【0021】
さらに、貸し機本体20の内部には、貨幣取扱部28および払出し制御部26(図4)が設けられている。貨幣取扱部28は、紙幣の投入によるメダル貸し出し要求Rがあるか否かを判定し、貸し出し要求Rがあると判定した場合、払出し制御部26に対して払出し指示信号を出力する。払出し制御部26は、貨幣取扱部28から払出し指示信号を受け取ると、払出し装置30を動作させて所定枚数のメダルMを払い出させる。また、払出し制御部26は、払出し装置30に設けられた後述する計数センサ34(図3)に対して計数指示信号を出力して、払出し装置30から払い出されるメダルMの枚数を計数させる。なお、上段フロントパネル21には、500円玉等の硬貨やICコインも投入可能な硬貨投入口を設けてもよい。
【0022】
払出し装置30は、図3に示すように、メダルMを貯留するホッパ31と、ホッパ31の下部に設けられてホッパ31に貯留されるメダルMを、払出し制御部26からの指示によって所定枚数払い出す払出し機32と、払出し機32内に配置された計数センサ34とを有する。
【0023】
計数センサ34は、貨幣取扱部28が紙幣の投入によるメダル貸し出し要求Rがあると判定した場合において、その貸し出し要求Rに基づいて払出し機32から払い出されるメダルMの枚数を、払出し制御部26からの計数指示信号によって計数すると共に、貸し出し要求Rに基づき払出し機32から所定枚数のメダルMが払い出される度に、後述する累積計数部43(図4)に信号S12を出力する。
【0024】
図4は、貸し機2の制御系統を示すブロック図であり、自動補給システム1におけるメダル補給に関する信号伝達経路を示している。補給制御装置40には、その機能として、ニアエンドセンサ(残留量検知部)36、累積計数部43、補給判定部45および補給指示部47が含まれる。
【0025】
ニアエンドセンサ36は、払出し装置30のホッパ31内に配置された一対の電極部33a,33bから構成されており、ホッパ31内に残留するメダルMの残留量が所定量よりも少なくなったことを検知することが可能である。具体的には、メダルMがホッパ31内に所定量以上貯留されているときには、電極部33a,33b間がメダルMを介して導通状態(クローズ状態)になるので、後述する補給判定部45は、この導通状態に基づき、メダルMの残留量が所定量以上であることを検知する。一方、貸し出し要求Rに基づき払出し機32によりホッパ31内のメダルMがある程度払い出されて、ホッパ31内のメダルMが所定量よりも少なくなると、電極部33a,33b間が不導通状態(オープン状態)となる。補給判定部45は、電極部33a,33b間の導通状態の変化を認識することが可能に構成されており、電極部33a,33b間が不導通状態になったこと、つまりホッパ31内のメダルMの残留量が所定量よりも少なくなったこと(ニアエンド)を認識することにより、ニアエンドセンサ36から信号S11が出力されたとみなしている。
【0026】
なお、ニアエンドセンサ36がオープン状態になっても、実際には、一定数のメダルMがホッパ31内に残留している。言い換えれば、ニアエンドセンサ36は、ホッパ31内に一定数のメダルM(後述するように、例えば複数回の貸し出し要求Rに応じることが可能な枚数のメダルM)が残留している状態で信号S11を出力するように位置設定されている。また、図3に示すように、一対の電極部33a,33bは、ホッパ31の側壁に取り付けられたブラケット35によって支持され、ホッパ31の側壁からホッパ31内部の底部近傍に向かって延設されている。
【0027】
累積計数部43は、払出し装置30の計数センサ34から出力される信号S12を受け取って、貸し出し要求Rに従って払い出されたメダルMの累積枚数を計数するものである。具体的には、1回の貸し出し要求Rによって払出し装置30から払い出されるメダル枚数が50枚に設定されている場合、累積計数部43は、計数センサ34から信号S12を1回、2回、3回、4回、N回と受け取る度に、払い出されたメダルMの枚数を、50枚、50枚+50枚=100枚、100枚+50枚=150枚、150枚+50枚=200枚、(N−1)×50枚+50枚=50×N枚と累積計数する。そして、累積計数部43は、実際に払い出されたメダルMの累積枚数が所定の累積枚数以上になると、補給判定部45に累積数信号S22を出力する。なお、累積計数部43は、遊技者が途中で変わっても、メダルMの累積計数を続行する。
【0028】
補給判定部45は、ニアエンドセンサ36からの補給要求信号S11および累積計数部43からの累積数信号S22に基づき、貸し機本体20にメダルMを補給する必要があるか否かを判定するものである。具体的には、補給判定部45は、ニアエンドセンサ36から補給要求信号S11を受け取っただけでは判定を行わず、補給要求信号S11を受け取ったうえで、累積計数部43から累積数信号S22を受け取ったときに、貸し機本体20にメダルMを補給する必要があるとの判定を行う。言い換えれば、補給判定部45は、貸し機本体20のホッパ31内のメダルMがニアエンド状態のとき、かつ貸し出し要求Rに基づいて貸し機本体20から貸し出されたメダルMの累積枚数が所定の累積枚数以上となったときに、貸し機本体20にメダルMを補給する必要があるとの判定を行う。補給判定部45は、補給が必要であるとの判定を行うと補給指示部47に対して信号S23を出力する。
【0029】
補給指示部47は、補給判定部45からの信号S23を受け取ると、自動補給装置3に対して補給指示信号S2を出力する。自動補給装置3は、補給指示信号S2を受け取ると、貸し機本体20のホッパ31へのメダルMの補給を開始する。メダルMの補給は、ニアエンドセンサ36がクローズ状態になった後、つまりニアエンド状態が解消された後、所定の時間(例えば十数秒)経過するまで続けられる。所定時間の経過後、補給指示部47は、補給指示信号S2の出力をOFFして、自動補給装置3によるメダル補給を停止させる。なお、メダル補給の停止は、ホッパ31の適所に配置したメダルフルセンサからの検知に基づき行ってもよい。
【0030】
次に、図5を参照しながら、自動補給システム1によるメダル補給を開始するタイミングを説明する。図5では、1回の貸し出し要求Rにつき払い出されるメダルMの枚数を50枚に設定し、また累積数信号S22が出力される所定のメダル累積枚数を200枚に設定したものとして説明する。1回目の貸し出し要求Rが発生する前、貸し機本体20のホッパ31内には少なくとも200枚のメダルMが貯留されている。この時点T1では、ニアエンドセンサ36はクローズ状態にあり、ホッパ31内のメダルMはニアエンド状態になっていない。1回目の貸し出し要求Rが発生して50枚のメダルMが払い出されると(時点T2)、実際に払い出されたメダルMの累積枚数は50枚となり、ホッパ31内のメダル残留数は少なくとも150枚となる。この時点T2で、ニアエンドセンサ36がオープン状態となり、ホッパ31内のメダルMはニアエンド状態となるが、実際のメダル累積枚数は設定累積枚数(200枚)に到達していないので補給指示信号S2は出力されない。
【0031】
2回目の貸し出し要求Rが発生して50枚のメダルMが払い出されると(時点T3)、メダル累積枚数は100枚となり、ホッパ31内のメダル残留枚数は少なくとも100枚となる。さらに、3回目の貸し出し要求Rが発生して50枚のメダルMが払い出されると(時点T4)、メダル累積枚数は150枚となり、ホッパ31内のメダル残留枚数は少なくとも50枚となる。時点T3および時点T4では、ホッパ31内のメダルMはニアエンド状態にあるものの、実際に払い出されたメダルMの累積枚数はそれぞれ、設定累積枚数である200枚よりも少ない100枚および150枚であるため、補給指示信号S2は出力されない。
【0032】
そして、4回目の貸し出し要求Rが発生して50枚のメダルMが払い出されると(時点T5)、メダル累積枚数は200枚となり、実際に払い出されたメダルMの累積枚数は設定累積枚数以上となる。このとき、補給指示部47から補給指示信号S2が自動補給装置3に対して出力され、自動補給装置3はホッパ31へのメダルMの補給を開始する。このように、累積数信号S22が出力されるまで複数回のメダル払出しが行われる。
【0033】
以下、自動補給システム1によるメダル補給の動作を、図6のフロー図に基づいて説明する。まず、貸し機の管理者は、管理コンピュータ5を介して補給指示信号S2の出力条件であるメダルMの累積払出枚数を設定する(ステップS1)。次に、貸し機本体20の貨幣取扱部28は、入金によるメダル貸し出し要求Rが発生しているか否かを判定する(ステップS2)。
【0034】
メダル貸し出し要求Rが発生している場合(ステップS2でYES)、貸し機本体20の払出し制御部26は、払出し装置30を動作させて所定枚数(例えば50枚)のメダルMを遊技者に払い出す(ステップS3)。このとき、払出し制御部26は、払い出されたメダルMの枚数を計数するよう計数センサ34に対して計数指示信号を出力する。次に、補給制御装置40の累積計数部43は、払出し装置30の動作に従って計数センサ34から出力された信号S12を受けて、払い出されたメダルMの累積枚数を更新する(ステップS4)。すなわち、1回の貸し出し要求R毎の払出し枚数が50枚に設定されている場合、今回の払出し動作(つまり、信号S12の出力)が2回目であるなら、メダル累積枚数は、1回目の払出し枚数と2回目の払出し枚数とを合わせた100枚となる。
【0035】
一方、メダル貸し出し要求Rが発生していない場合(ステップS2でNO)、メダル補給動作は、後述するステップS5に進む。
【0036】
次に、補給制御装置40のニアエンドセンサ36によって、メダルMがニアエンド状態であるか否かが確認される(ステップS5)。ニアエンド状態が確認された場合(ステップS5でYES)、補給制御装置40の補給判定部45は、累積計数部43からの累積数信号S22に基づき、実際に払い出されたメダルMの累積枚数が、管理者によって設定されたメダルMの累積枚数以上になっているか否かを判定する。実際の累積枚数が設定累積枚数以上になっている(つまり、累積数信号S22が出力された)場合(ステップS6でYES)、補給判定部45は、補給指示部47に対して信号S23を出力し、補給指示部47は、信号S23を受け取ると、自動補給装置3に対して補給指示信号S2を出力する(ステップS7)。
【0037】
ステップS5において、ニアエンド状態が確認されない場合(ステップS5でNO)、およびステップS6において、実際の累積枚数が設定累積枚数以上になっていない場合(ステップS6でNO)、メダル補給動作はステップS2に戻る。
【0038】
自動補給装置3は、補給指示部47から補給指示信号S2を受け取ると、貸し機本体20のホッパ31へのメダルMの補給を開始する(ステップS8)。次に、メダル補給によってニアエンド状態が解消されたか否かが確認される(ステップS9)。ニアエンド状態が解消されてニアエンドセンサ36から信号S11が出力されなくなると(ステップS9でYES)、メダル補給はニアエンド解消後も所定時間続けられる(ステップS10)。一方、ニアエンド状態が解消されていなければ(ステップS9でNO)、メダル補給はニアエンド状態が解消されるまで続けられ、ニアエンド状態が解消されてニアエンドセンサ36から信号S11が出力されなくなるとステップS10に進む。
【0039】
自動補給装置3によって前記所定時間メダルMが補給された後、補給指示部47は、補給指示信号S2の出力をOFFして(ステップS11)、自動補給装置3によるメダル補給を停止させる(ステップS12)。この時点で、ホッパ31内には、設定累積枚数である新たな少なくとも200枚のメダルMが存在する。最後に、累積計数部43は、メダル補給が開始される前に得た累積枚数をクリア、つまりゼロにする(ステップS13)。そして、メダル補給動作はステップS2に戻る。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る自動補給システム1によれば、貸し機本体20のホッパ31へのメダルMの補給は、ホッパ31内に残留するメダルMの残留量が所定量よりも少なくなる(ニアエンド状態)という条件に加え、入金による貸し出し要求Rに従って貸し出されるメダルMの累積枚数が、管理者が設定する設定累積枚数以上になるという条件を満たしたときに行われる。したがって、入金による貸し出し要求Rが発生していない状態で貸し出されたメダルM、つまり貸し機本体20に対する不正行為によりホッパ31から抜き取られたメダルMは、累積計数部43によって累積計数されないので、累積計数部43から累積数信号S22が補給判定部45に出力されることはない。これにより、補給判定部45はメダル補給が必要であるとする判定を行わないので、不正行為によりホッパ31内のメダルMの残留量がゼロになっても、新たなメダルMがホッパ31に補給されるよう補給指示部47から補給指示信号S2が出されることはない。これにより、貸し機本体20に対して不正行為があった場合、不正行為による被害は、最大でも、不正行為が行われる前にホッパ31内に貯留されていたメダルMのみに抑えることが可能である。
【0041】
図5を用いて上記作用を説明すると、ゴト師が、例えば時点T2において通常の入金により50枚のメダルMを得た後、不正行為によりホッパ31内の残りのメダル150枚を抜き取ったとしても、その150枚のメダルMは、各時点T3,T4,T5において、入金による貸し出し要求Rの発生に基づき累積計数部43によって累積計数されたメダルではないので、言い換えれば、入金による貸し出し要求Rに基づいて実際に払い出されたメダルMの累積枚数(この場合、50枚)は、設定累積枚数(200枚)に到達することはないので、ホッパ31内のメダル残留枚数がゼロになっても新たなメダルMがホッパ31に補給されることはない。これに対し、従来では、メダルMがニアエンド状態である限り、新たなメダルMの補給が行われ続けるので、不正行為が繰り返されると被害が拡大しやすい。このように、本実施形態に係る自動補給システム1によれば、ゴト師の不正行為による被害を、ホッパ31内に残留するメダルMのみに抑えることが可能である。
【0042】
また、自動補給システム1では、貸し機2が設置されるホール(遊技場)の状況に対応して、払い出されるメダルMの累積枚数を設定することができ、またそれに応じて、ニアエンドセンサ36の上下位置を調整することにより、ホッパ31内に貯留されるメダルMの枚数を概ね設定することができる。
【0043】
さらに、自動補給システム1では、1回の貸し出し要求Rに基づき払い出されるメダルMの枚数が設定されているので、実際に払い出されたメダルMの累積枚数を容易に得ることができる。
【0044】
なお、図1〜図6に示す自動補給システム1では、1つの貸し機本体20と1つの補給制御装置40とで遊技媒体貸し機を構成した場合につき説明したが、複数の貸し機本体20と1つの補給制御装置40とで遊技媒体貸し機を構成してもよく、その場合、1つの補給制御装置40が複数の貸し機本体20に対してメダル補給の制御を行う。
【0045】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る補給制御装置が適用される遊技媒体貸し機を示す外観斜視図である。この遊技媒体貸し機10は、手動で遊技媒体(以下、メダルM)を補給する、所謂スタンドアローン式の貸し機である。貸し機10は、メダルMを貯留すると共に、メダルMの貸し出し要求Rに基づいてメダルMを貸し出す貸し機本体20′と、貸し機本体20′の内部に設けられ、貸し機本体20′へのメダルMの補給を制御する補給制御装置40とを含む。第2実施形態では、補給制御装置40は、第1実施形態と異なり、管理コンピュータ5に接続されておらず、遊技場の管理者は、補給制御装置40に設けられた設定用基板を介してメダル補給等に関する条件設定を行う。
【0046】
貸し機本体20′は、上段フロントパネル21の上方に設けられた補給報知部27を有しており、中段フロントパネル22を開状態にすると、内部に設けられた払出し装置30のホッパ31にメダルMを直接補給できるように構成されている。補給報知部27は、例えば点灯、点滅可能なランプである。貸し機本体20′のその他の構成は、図2に示す貸し機本体20と同一の構成を有するので、その説明を省略する。
【0047】
補給制御装置40は、図8に示すように、第1実施形態の図4に示す補給制御装置と同一の構成を有しているが、補給指示部47は、貸し機本体20′の補給報知部27に対して補給指示信号S2を出力するように構成されている。補給報知部27は、補給指示信号S2を受け取ると、点灯、点滅等することにより、ホッパ31にメダルMを補給する必要があることを貸し機の管理者に報知する。
【0048】
次に、貸し機10によるメダル補給に関する動作を、図9のフロー図を参照しながら説明する。図9に示すステップS1〜S7は、図6に示すステップS1〜S7と同一であるので、それらのステップS1〜S7の説明は省略する。ステップS7において、補給制御装置40の補給指示部47から貸し機本体20′の補給報知部27に対して補給指示信号S2が出力されると、補給報知部27は、点灯、点滅等することにより、ホッパ31にメダルMを補給する必要があることを管理者に報知する(ステップS14)。次に、管理者がメダルMをホッパ31内に手動で補給し(ステップS15)、この手動補給によりメダルMのニアエンド状態が解消されたか否かが、補給制御装置40のニアエンドセンサ36によって確認される(ステップS16)。ニアエンド状態の解消が確認された場合(ステップS16でYES)、補給報知部27は消灯する(ステップS17)。一方、ニアエンド状態の解消が確認されない場合(ステップS16でNO)、ニアエンド状態が解消するまで手動によるメダル補給が続けられる。
【0049】
最後に、ステップS18において、補給制御装置40の累積計数部43は、メダル補給が開始される前に得た累積枚数をクリア、つまりゼロにする(ステップS13)。そして、メダル補給動作はステップS2に戻る。
【0050】
以上説明したスタンドアローン式遊技媒体貸し機10は、図1〜図6に示す自動補給システム1と同様な作用を奏する。すなわち、貸し機10では、自動補給システム1と同様に、貸し機本体20′のホッパ31へのメダルMの補給は、ホッパ31内に残留するメダルMの残留量が所定量よりも少なくなる(ニアエンド状態)という条件に加え、入金による貸し出し要求Rに従って貸し出されるメダルMの累積枚数が、管理者が設定する設定累積枚数以上になるという条件を満たしたときに行われる。したがって、貸し機本体20′に対する不正行為によりホッパ31から抜き取られたメダルMは、累積計数部43によって累積計数されないので、累積計数部43から累積数信号S22が補給判定部45に対して出力されることはない。これにより、補給判定部45から補給指示部47に対して信号S23が出力されることはないので、不正行為によりホッパ31内のメダルMの残留量がゼロになっても、新たなメダルMがホッパ31に補給されるよう補給指示部47から補給指示信号S2が補給報知部27に対して出力されることはない。これにより、貸し機本体20′に対して不正行為があった場合、不正行為による被害は、最大でも、不正行為が行われる前にホッパ31内に貯留されていたメダルMのみに抑えることが可能である。
【0051】
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態では、メダルMの貸し出し要求Rは、入金によって発生するものとして説明してきたが、メダルMの貸し出し要求Rは、遊技機からの要求によって発生するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る補給制御装置が適用される自動補給システムの構成を示す説明図である。
【図2】自動補給システムにおける遊技媒体貸し機の貸し機本体を示す外観斜視図である。
【図3】貸し機本体の払出し装置の構成を示す概略図である。
【図4】自動補給システムの補給制御装置のブロック図であり、自動補給システムにおけるメダル補給に関する信号伝達を示している。
【図5】自動補給システムによるメダル補給を開始するタイミングを説明する説明図である。
【図6】自動補給システムによるメダル補給の動作を示すフロー図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る補給制御装置が適用される遊技媒体貸し機の外観斜視図である。
【図8】図7の補給制御装置のブロック図であり、貸し機本体および補給制御装置間のメダル補給に関する信号伝達を示している。
【図9】遊技媒体貸し機によるメダル補給の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0053】
1 自動補給システム
2 遊技媒体貸し機
3 自動補給装置
5 管理コンピュータ
10 遊技媒体貸し機
20,20′ 貸し機本体
26 払出し制御部
27 補給報知部
30 払出し装置
31 ホッパ
32 払出し機
34 計数センサ
36 ニアエンドセンサ(残留量検知部)
43 累積計数部
45 補給判定部
47 補給指示部
40 補給制御装置
M メダル
R 貸し出し要求
S11 補給要求信号
S22 累積数信号
S2 補給指示信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機で使用される遊技媒体の貸し出し要求に基づいて該遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸し機への前記遊技媒体の補給を制御する補給制御装置であって、
前記遊技媒体貸し機内に残留する前記遊技媒体の残留量が所定量よりも少なくなったことを検知することが可能な残留量検知部と、
前記貸し出し要求の発生に基づいて貸し出される前記遊技媒体の累積数を計数する累積計数部と、
前記残留量検知部により前記残留量が前記所定量よりも少なくなったことが検知され、かつ前記累積計数部によって得られる前記累積数が所定数以上となると、前記遊技媒体貸し機への遊技媒体の補給を行なうよう補給指示を出す補給指示部と、
を備えた補給制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の補給制御装置において、前記補給指示に基づき前記遊技媒体貸し機に対して補給が行われた後、前記累積計数部は、前記補給が行われる前に得た前記累積数をクリアする補給制御装置。
【請求項3】
遊技機で使用される遊技媒体の貸し出し要求に基づいて該遊技媒体を貸し出す貸し機本体と、
前記貸し機本体への前記遊技媒体の補給を制御する補給制御装置と、
を備え、
前記補給制御装置は、
前記貸し機本体内に残留する前記遊技媒体の残留量が所定量よりも少なくなったことを検知することが可能な残留量検知部と、
前記貸し出し要求の発生に基づいて貸し出される前記遊技媒体の累積数を計数する累積計数部と、
前記残留量検知部により前記残留量が前記所定量よりも少なくなったことが検知され、かつ前記累積計数部によって得られる前記累積数が所定数以上となると、前記貸し機本体への遊技媒体の補給を行なうよう補給指示を出す補給指示部と、
を含む遊技媒体貸し機。
【請求項4】
請求項3に記載の遊技媒体貸し機において、前記貸し機本体は、管理者が遊技媒体を手動で補給することが可能な遊技媒体ホッパと、前記補給指示部からの前記補給指示を受けると、前記貸し機本体に前記遊技媒体を補給する必要があることを前記管理者に報知する補給報知部とを有している遊技媒体貸し機。
【請求項5】
請求項3に記載の遊技媒体貸し機において、前記貸し出し要求は、前記貸し機本体への入金に基づいて発生するものであり、
入金毎に貸し出される遊技媒体の数が設定されている遊技媒体貸し機。
【請求項6】
請求項3に記載の遊技媒体貸し機において、前記貸し出し要求は、前記遊技機からの要求に基づいて発生する遊技媒体貸し機。
【請求項7】
請求項3に記載の遊技媒体貸し機において、前記補給指示に基づき前記貸し機本体に対して補給が行われた後、前記累積計数部は、前記補給が行われる前に得た前記累積数をクリアする遊技媒体貸し機。
【請求項8】
請求項3に記載の遊技媒体貸し機と、
前記遊技媒体貸し機の補給制御装置からの補給指示に基づき、前記遊技媒体貸し機の貸し機本体に遊技媒体を自動的に補給することが可能に構成された自動補給装置と、
を備えた自動補給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−5294(P2010−5294A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170929(P2008−170929)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000230858)日本金銭機械株式会社 (43)
【Fターム(参考)】