説明

遊技媒体貸出装置

【課題】既存のプリペイド媒体を用いた遊技媒体貸出システムの構成を有効活用しつつ、遊技媒体貸出価格の変更に対して柔軟に対応できる遊技球貸出装置を提供する。
【解決手段】プリペイド媒体投入口22aからプリペイド媒体40が投入される遊技球貸出装置20は、プリペイド媒体R/W部23により読み出した価値情報の範囲内で基準単位である度数毎に遊技機10へ球貸要求を行い、プリペイド媒体40の価値情報が1度数に満たない端数価値になると、主制御部21は端数価値を精算するために払い出す端数分の遊技球数を換算し、精算用遊技球払出機構部27を駆動させて端数分の遊技球を払い出させることにより、精算用遊技球払出ノズル28を介して遊技機10の上皿13へ端数分の遊技球が供給され、1度数に満たない端数価値を遊技球として精算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機で用いるパチンコ球やスロットマシンで用いる遊技メダル等の遊技媒体を遊技者に貸し出す遊技媒体貸出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パチンコ遊技機やスロットマシンが設置される遊技場においては、磁気記録部を備えたカード状の記録媒体や、ICチップを内蔵したコイン状の記録媒体等を予め現金で購入し(いわゆるプリペイド方式)、この記録媒体を用いて遊技に供する遊技媒体(パチンコ球や遊技メダル)を球貸機やメダル貸出機から借り受け、遊技を行うようになっている。また、近来の球貸機やメダル貸出機では、遊技機の夫々に対応するように設けられ、遊技機が備える遊技媒体払出機構部を利用して遊技媒体を払い出させることで遊技媒体の貸出を行うものが広く用いられている。この種の遊技媒体貸出装置では、遊技媒体払出機構部を設ける必要がないので、スリムなユニット形状に構成することができる。
【0003】
なお、プリペイド媒体を用いた遊技媒体の貸出においては、金銭と等価な価値情報を直接使わずに、遊技媒体を貸し出す上での基準単位である“度数”に対応させて設定した遊技媒体の貸出数量(例えば、1度数で遊技球25個、1度数で遊技メダル5枚)を用いており、遊技者は度数単位で遊技媒体を借り受けるものとなっている。よって、プリペイド媒体の購入金額は、1度数の自然数倍(1度数100円の場合には、10度数のカードが千円、30度数のカードが3千円など)に設定されている。
【0004】
また、遊技者の利便性を向上させるため、金銭を受入れてプリペイド媒体を発行する機能が付加された遊技媒体貸出装置も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−126328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載されているような従来の遊技媒体貸出装置は、プリペイド媒体を用いた遊技媒体の貸出に際して、基準単位である度数で遊技媒体を貸し出す構成となっており、度数に満たない端数の価値を扱う技術は採用されていない。
【0007】
このため、1度数当たりの球貸し料金を外税徴収方式へ変更する場合には、1度数として端数価値を取り扱わざるを得ないことから、既存のプリペイド媒体(千円、3千円のように端数の出ない価格で販売されるカード)を用いた遊技媒体貸出システムでは対応できない。
【0008】
なお、税率による増額分を反映した販売価格のプリペイド媒体を扱えるように遊技媒体貸出システム全体を刷新すれば、プリペイド媒体を度数単位で使い切れるようにできるものの、新たな遊技媒体貸出システムを導入するコストで遊技店の負担が大きいため、新しい遊技媒体貸出システムへの移行が円滑に進むとは考えがたい。また、税率が変更された場合における徴税額の変更への対応も、少なからぬ負担になると想像される。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、既存のプリペイド媒体を用いた遊技媒体貸出システムの構成を有効活用しつつ、遊技媒体貸出価格の変更に対して柔軟に対応できる遊技球貸出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、遊技に供する遊技媒体を払い出す遊技媒体払出機構部を備える遊技機に対応して設けられ、遊技媒体との交換に供し得る価値情報を記録価値として保持するプリペイド媒体から記録価値を読み出し、予め定めた単位価値を変換基準として記録価値を貸出用遊技媒体の数量に換算し、換算した数量の遊技媒体を遊技機の遊技媒体払出機構部から排出させるように遊技機へ貸出要求を行う機能を備えた遊技媒体貸出装置において、遊技に供する遊技媒体を精算用遊技媒体として貯留する精算用遊技媒体払出機構部と、前記プリペイド媒体の記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、端数価値を精算用遊技媒体の数量に換算する端数価値換算手段と、前記端数価値換算手段により換算された数量の遊技媒体を前記精算用遊技媒体払出機構部から排出させる端数払出手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、遊技に供する遊技媒体を払い出す遊技媒体払出機構部を備える遊技機に対応して設けられ、遊技媒体との交換に供し得る価値情報を記録価値として保持するプリペイド媒体から記録価値を読み出し、予め定めた単位価値を変換基準として記録価値を貸出用遊技媒体の数量に換算し、換算した数量の遊技媒体を遊技機の遊技媒体払出機構部から排出させるように遊技機へ貸出要求を行う遊技媒体貸出装置において、前記プリペイド媒体の記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、端数価値を精算用遊技媒体の数量に換算する端数価値換算手段と、前記端数価値換算手段により換算された数量の遊技媒体を遊技機の遊技媒体払出機構部から排出させるように遊技機へ端数払出要求を行う端数払出要求手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、遊技に供する遊技媒体を払い出す遊技媒体払出機構部を備える遊技機に対応して設けられ、遊技媒体との交換に供し得る価値情報を記録価値として保持するプリペイド媒体から記録価値を読み出し、予め定めた単位価値を変換基準として記録価値を貸出用遊技媒体の数量に換算し、換算した数量の遊技媒体を遊技機の遊技媒体払出機構部から排出させるように遊技機へ貸出要求を行う遊技媒体貸出装置において、前記プリペイド媒体の価値情報記録領域に記録されている記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、価値情報記録領域とは異なる端数価値記録領域に端数価値を書込むと共に、価値情報記録領域の価値情報から端数価値を減ずる端数価値処理手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る遊技機によれば、遊技に供する遊技媒体を精算用遊技媒体として貯留する精算用遊技媒体払出機構部と、前記プリペイド媒体の記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、端数価値を精算用遊技媒体の数量に換算する端数価値換算手段と、前記端数価値換算手段により換算された数量の遊技媒体を前記精算用遊技媒体払出機構部から排出させる端数払出手段と、を備えるので、プリペイド媒体の発行時における記録価値や遊技媒体との変換基準となる単位価値に制限されることなく、既存の遊技媒体貸出システムを活用した遊技媒体の貸出制御を行うことができ、単位価値に満たない端数価値分を精算用遊技媒体払出機構部から遊技媒体として排出することにより、プリペイド媒体の記録価値全てを使い切ることが可能となる。
【0014】
請求項2に係る遊技機によれば、前記プリペイド媒体の記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、端数価値を精算用遊技媒体の数量に換算する端数価値換算手段と、前記端数価値換算手段により換算された数量の遊技媒体を遊技機の遊技媒体払出機構部から排出させるように遊技機へ端数払出要求を行う端数払出要求手段と、を備えるので、プリペイド媒体の発行時における記録価値や遊技媒体との変換基準となる単位価値に制限されることなく、既存の遊技媒体貸出システムを活用した遊技媒体の貸出制御を行うことができ、単位価値に満たない端数価値分は、端数払出要求手段が端数払出要求を行うことよって、遊技機の遊技媒体払出機構部から遊技媒体として排出され、プリペイド媒体の記録価値全てを使い切ることが可能となる。
【0015】
請求項3に係る遊技機によれば、前記プリペイド媒体の価値情報記録領域に記録されている記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、価値情報記録領域とは異なる端数価値記録領域に端数価値を書込むと共に、価値情報記録領域の価値情報から端数価値を減ずる端数価値処理手段を備えるので、遊技媒体への変換ができない端数価値は、端数価値処理手段の制御により、プリペイド媒体の価値情報記録領域とは異なる端数価値記録領域に書込まれて、遊技者に返却される。従って、使用済みとなったプリペイド媒体の精算には、種々の精算方式を適用でき、遊技者の利便性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る遊技機の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、遊技媒体として遊技球を用いた弾球遊技が行える遊技機(いわゆるパチンコ機)に対応して設けられる遊技球貸出装置に本発明を適用したもののみ示すが、遊技媒体として遊技メダルを用いた回胴式遊技機(いわゆるパチスロ機)に対応して設けられる遊技メダル貸出装置に適用することも可能である。
【0017】
図1に示すのは、遊技機10に対応して設けた第1実施形態に係る遊技球貸出装置20の機能ブロック図である。なお、本機能ブロック図中における遊技機10では、遊技球の貸出に用いる機能のみ抽出して記載してあり、遊技の進行制御を行う機能や各種情報の伝送機能、遊技者が操作する操作スイッチや操作ハンドル等については省略してある。また、本機能ブロック図中における遊技球貸出装置20においても、遊技球の貸出・精算機能のみ抽出して記載してあり、プリペイド媒体の使用情報をカード管理会社等へ送信する機能等については省略してある。以下の実施形態においても同様とする。
【0018】
遊技機10および遊技球貸出装置20は、図示を省略した島設備に組み込まれ、島設備内の補給機構から遊技球補給路31および遊技球補給路32を介して、各々遊技媒体としての遊技球が補給される。遊技球補給路31から遊技機10へ補給される遊技球は、遊技球払出機構部11に貯留され、入賞に基づく賞球排出要求や遊技球貸出装置20からの貸出要求信号に基づく貸球排出要求に応じて、遊技球払出機構部11が所定数の遊技球を排出すると、この排出された遊技球は球排出流路12を経て遊技機10の前面側適所に設けられた上皿13へ至り、この上皿13に貯留される。なお、上皿13に貯留された遊技球は、図示を省略した発射機構部へ1個宛て順次供給され、弾発遊技に供される。
【0019】
ここで、上述した遊技機10へ遊技球の貸出要求信号を送出する遊技球貸出装置20について詳述する。遊技球貸出装置20は、各部の統括的制御を行うマイクロコンピュータ構成(少なくとも、ROM、RAM、CPUとI/Oを有する構成)の主制御部21を備え、磁気記録カードやICチップ内蔵カード等の書き換え可能な記録部を有するプリペイド媒体40がプリペイド媒体投入口22aから投入されると、このプリペイド媒体40に記録されている各種情報をプリペイド媒体R/W部23が読み取り、主制御部21へ送信される。
【0020】
プリペイド媒体40の記録情報としては、少なくとも、当該プリペイド媒体40に固有の媒体IDと、遊技球との変換に使える価値情報(球貸に使用していない残金情報、あるいは残金情報を一意に把握できる情報)、偽造等の不正判定に用いるセキュリティ情報が記録されており、これらの情報から、真正なプリペイド媒体ではないと主制御部21に判定されたプリペイド媒体40は、そのままプリペイド媒体投入口22aから返却される。なお、不適正なプリペイド媒体40が投入された場合には、これを報知するようにしても良い。
【0021】
また、プリペイド媒体R/W部23は、新規に発行するためのプリペイド媒体40をストックしておくプリペイド媒体貯留機構部を備えるもので、例えば、紙幣50が紙幣投入口22bより投入されて、その真贋および金額を入金識別部24が識別し、適正な紙幣の金額を主制御部21へ送信する。投入金額の範囲内で発行可能なプリペイド媒体40の発行が操作スイッチ25の操作により指示されると、プリペイド媒体R/W部23にプリペイド媒体40を発行させると共に、入金識別部24にて投入された紙幣50を取り込ませせる。高額紙幣が投入された場合に、お釣りの紙幣を返却させる機能を備えるものであっても良い。
【0022】
なお、プリペイド媒体40は規定額のもの(例えば、千円カード)のみ発行するものとして、規定額の紙幣が投入されると、遊技者による操作スイッチ25の操作を要することなく、自動的に規定額のプリペイド媒体40を発行させるようにしても良い。また、プリペイド媒体40を購入する際に、硬貨を受入れるようにして、遊技者の利便性を向上させるようにしても良い。
【0023】
遊技者が紙幣50を投入することによりプリペイド媒体R/W部23により発行するプリペイド媒体40は、そのまま遊技球貸出装置20内に保持しておき、遊技球貸出装置20の前面側適所に設けた度数表示器等に球貸可能な度数表示を行うことで、プリペイド媒体40が有効に発行されたことを示すだけでも良いし、一旦、プリペイド媒体投入口22aから遊技者に返却して、改めて遊技者によりプリペイド媒体40を投入して貰うようにしても良い。
【0024】
なお、プリペイド媒体40を用いた遊技球の貸出を行うためには、予め定めた貸出可能条件が満たされていることを要するものとし、遊技球貸出装置20における諸機能が正常動作していることは勿論であるが、本実施形態においては、遊技機10が適正な球貸要求を受信して処理できる状態にあることを示す貸出準備状態信号が遊技機10の遊技球貸出要求受入部14より遊技球貸出装置20の遊技球貸出要求送出部26へ入力されていることを付加条件の一つとした。
【0025】
上述したように、プリペイド媒体40を用いた遊技球の貸出が可能になると、残度数の範囲内で遊技者が操作スイッチ25を操作することにより遊技球の貸出を要求すると、これを受けた主制御部21が遊技球貸出要求送出部26から貸出要求信号を送出させ、この貸出要求信号を受けた遊技機10の遊技球貸出要求受入部14が遊技球払出機構部11へ貸出要求に応じた所定数の遊技球の払出要求を行うことで、遊技球払出機構部11から貸出用の遊技球が排出され、球排出流路12を経て上皿13に貸出用の遊技球が払い出されるのである。なお、球貸要求を行う操作スイッチは、遊技者の利便性が良いように遊技機10の適所に設けても良い。その場合には、専用のコネクタ等を介して遊技機10から遊技球貸出装置20の主制御部21へ操作信号を入力させる。
【0026】
上記遊技球貸出要求受入部14による遊技機10側での遊技球貸出動作が完了すると、貸出応答信号を遊技球貸出装置20の遊技球貸出要求送出部26へ送出し、この貸出応答信号の受信に基づいて、主制御部21はプリペイド媒体R/W部23によるプリペイド媒体40の価値情報の書き換えを指示する。なお、プリペイド媒体R/W部23は随時プリペイド媒体40の記録内容を書き換えずに、プリペイド媒体40を返却する際に最終的な価値情報に書き換えるようにしても良い。
【0027】
このようにプリペイド媒体40の価値情報の範囲内で度数単位の球貸要求を行ったとき、1度数に満たない端数価値が残ってしまうことがある。例えば、プリペイド媒体40を発行した際の価値情報が1000円分であり、25個の遊技球を借り受けできる1度数が105円であったとすると、9度数分を消費すると端数価値として55円分が残る。この端数価値の精算は、遊技機10に対する通常の貸出要求信号によって処理することはできない。
【0028】
そこで、本実施形態に係る遊技球貸出装置20においては、遊技球補給路32を介して補給される遊技球を精算用遊技媒体として貯留すると共に任意個数の遊技球を払い出せる精算用遊技媒体払出機構部としての精算用遊技球払出機構部27を設けると共に、主制御部21には、端数価値(55円分)が概ね遊技球13個分に相当する(55÷4.2≒13.1)と換算する機能(プリペイド媒体の記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、端数価値を精算用遊技媒体の数量に換算する端数価値換算手段としての機能)と、この換算された端数分の遊技球の払出を精算用遊技球払出機構部27に指示する機能(端数価値換算手段により換算された数量の遊技媒体を精算用遊技媒体払出機構部から排出させる端数払出手段としての機能)を持たせるものとした。
【0029】
これにより、度数単位での球貸が行えない端数価値に対しては、その端数価値に相当する数量の遊技球が精算用遊技球払出機構部27から払い出され、精算用遊技球払出ノズル28を介して遊技機10の上皿13へ供給されるので、プリペイド媒体40の価値情報全てを使い切ることができる。
【0030】
すなわち、第1実施形態に係る遊技球貸出装置20を用いた遊技媒体貸出システムにおいては、プリペイド媒体40の価値情報記録方式や遊技機10の構造に格別の設計変更を行うことなく、基準単位に満たない端数価値の精算処理を遊技球貸出装置20の機能によって行うことができるので、既存の遊技媒体貸出システムとの親和性を高めて端数価値の精算が可能な遊技媒体貸出システムを構築できる。
【0031】
なお、遊技球貸出装置20における球貸の基準である単位価値(上述した例においては、1度数=105円=25個)は、固定的に設定しておくものに限らず、適宜に設定変更できるようにしても良い。例えば、主制御部21の機能として「記録価値を貸出用遊技媒体の数量に換算する変換基準となる単位価値を書き換え可能に記憶する単位価値記憶手段」と「新たな単位価値への変更要求を受けることに基づいて、単位価値記憶手段が記憶する単位価値を新たな単位価値に書き換えさせる単位価値更新手段」を持たせておき、端数価値換算手段は、単位価値記憶手段が記憶する単位価値を参照して“端数価値の読み出し”及び“精算用遊技媒体の数量への換算”を行うようにしておけば、球貸価格の改定を容易に行うことができる。
【0032】
このように、単位価値の変更が容易に行える遊技媒体貸出システムとした場合、単位価値更新手段に対して新たな単位価値への変更要求を行う手法は特に限定されるものではなく、遊技球貸出装置20毎に予め設けた単位価値変更スイッチを遊技店員等が操作することで、遊技球貸出装置20毎に新たな単位価値に設定変更できるようにしても良いが、設定変更されていない古い設定値のままの遊技球貸出装置や、誤った単位価値が設定されてしまった遊技球貸出装置が同一遊技店内に混在してしまう可能性もある上に、設定変更に伴う遊技店員等の作業負担も大きいので、遊技球貸出装置に対する設定変更を一斉に自動で行えることが望ましい。
【0033】
例えば、遊技店内に設置された全ての遊技球貸出装置20とローカルエリアネットワーク(Ethernet(登録商標)、ARCNet、RS485等)を介して通信できる様に遊技店内に設置された店舗管理コンピュータにて新たな単位価値への変更設定を行うと、店内のローカルエリアネットワークを介して全ての遊技球貸出装置20へ新たな単位価値への変更要求を一斉配信することで、この変更要求を受けて全ての遊技球貸出装置20が同じ単位価値に変更されるようにしても良い。また、各遊技店の店舗管理コンピュータと一般公衆通信網(ISDN、ADSL、光ファイバ網等)を通じて通信可能なデータセンタから新たな単位価値への変更要求を一斉配信し、これを受けた各遊技店の店舗管理コンピュータが、店内のローカルエリアネットワークを介して全ての遊技球貸出装置20へ新たな単位価値への変更要求を再配信することで、複数の遊技店で一斉に単位価値の更新を行えるようにしても良い。
【0034】
なお、遊技媒体貸出装置に対する単位価値の設定変更要求は、遊技店内にある全ての遊技媒体貸出装置へ行うものに限定されない。例えば、予め指定した遊技媒体貸出装置に対してのみ設定変更を行えるようにすれば、遊技媒体貸出装置が取り扱う遊技媒体の種別に応じて設定変更の有無を指定することも可能となり、運用上の自由度を高められる。また、単位価値の設定変更の指令は、遊技店内の店舗管理コンピュータや店外のデータセンサから行う場合に限らず、単位価値の設定変更を行える専用装置を一時的に店内のローカルエリアネットワークに接続して、全ての遊技媒体貸出装置あるいは指定した遊技媒体貸出装置に対して設定変更要求を行うようにしても良い。
【0035】
次に、遊技球貸出装置20において行われる球貸処理の一具体例を図2のフローチャートに基づき説明する。
【0036】
先ず、貸出可能条件(例えば、遊技機10からの貸出準備状態信号がある第1条件、および精算用遊技球払出機構部27に精算用の遊技球が必要十分に貯留されている第2条件)が満たされているか否かに基づいて遊技球払出が可能であるか判定し(ステップS101)、遊技球払出が可能でなければ、そのまま一旦玉貸処理を終了する。
【0037】
上記ステップS101で払出可能と判定された場合には、適正なプリペイド媒体40が投入されている可否かを判定し(ステップS102)、適正なプリペイド媒体40が投入されていなければ、販売用プリペイド媒体がプリペイド媒体R/W部23のプリペイド媒体貯留機構部に貯留されているか否かを判定し(ステップS103)、販売用のプリペイド媒体40がストックされていない場合には、そのまま球貸処理を終了する。
【0038】
上記ステップS103で販売用のプリペイド媒体40がストックされていると判定された場合には、遊技者が紙幣50を投入することで入金されたか否かを判定し(ステップS104)、遊技者が投入した紙幣50を入金識別部24が識別して入金有りと判定されていなければ、そのまま球貸処理を一旦終了するが、ステップS104で入金有りと判定された場合には、入金識別部24により識別された入金額に相当するプリペイド媒体40を発行する(ステップS105)。なお、プリペイド媒体40を発行する態様は特に限定されるものではなく、発行金額相当の価値情報を記録したプリペイド媒体40をプリペイド媒体投入口22aから一旦排出しても良いし、発行金額相当の価値情報が記録されたプリペイド媒体40が既に投入された状態としても良い。
【0039】
一方、上記ステップS102で適正なプリペイド媒体40が投入されていると判定された場合には、プリペイド媒体R/W部23がプリペイド媒体40から読み出した価値情報を取得し(ステップS106)、価値情報が球貸の基準単位である1度数未満であるか否かを判定し(ステップS107)、1度数未満でなければ、遊技者が操作スイッチ25の一つである返却ボタンを押下したか否かを判定し(ステップS108)、返却ボタンが押されていれば、プリペイド媒体40をプリペイド媒体返却口22aから排出して遊技者にプリペイド媒体40を返却する(ステップS109)。
【0040】
上記ステップS108で返却ボタンが押されていないと判定された場合には、操作スイッチ25の一つである貸出ボタンが推されたか否かを判定し(ステップS110)、貸出ボタンが押されていなければ、そのまま球貸処理を一旦終了するが、貸出ボタンが押されていた場合には、遊技機10へ貸出要求信号を送出することで遊技機10による貸球排出動作を実行させ、貸球排出動作の完了を待ってプリペイド媒体40の記録価値を更新(球貸にて消費した度数分を減算した価値情報に更新)する(ステップS111)。なお、この記録価値の更新は、プリペイド媒体40における価値情報記録領域を実際に書き換えるものに限らず、プリペイド媒体40の価値情報を書き換えるための一時情報を更新するものでも良い。
【0041】
ここで、プリペイド媒体40の価値情報が1度数に満たない端数価値に減ったために、上記ステップS107にて1度数未満と判定された場合には、残っている端数価値に相当する数量の遊技球を精算用遊技球払出機構部27から払い出させ、精算用遊技球払出ノズル28より遊技機10の上皿13へ排出させる(ステップS112)。また、残った端数価値を精算用遊技球の払出によって精算し、価値情報として記録された全ての記録価値を消費し尽くしたプリペイド媒体40は、価値情報記録領域を帰零させて0価値のプリペイド媒体40とし、プリペイド媒体R/W部23のプリペイド媒体貯留機構部に販売用のストックとして収容する(ステップS113)。
【0042】
なお、0価値のプリペイド媒体40をプリペイド媒体R/W部23のプリペイド媒体貯留機構部に販売用のストックとして収容する場合、プリペイド媒体R/W部23のプリペイド媒体貯留機構部がストック用のプリペイド媒体40で満杯になっているときに、プリペイド媒体投入口22aから遊技者が所有していたプリペイド媒体40を受入れてしまうと、この新たに投入されたプリペイド媒体40を使い切ったときに回収することができなくなってしまうので、例えば、プリペイド媒体R/W部23のプリペイド媒体貯留機構部のストックが満杯状態であるときには、プリペイド媒体投入口22aからのプリペイド媒体投入を受け付けない処理としても良い。
【0043】
また、上述した球貸処理においては、プリペイド媒体40の残価値が端数価値になったときに、遊技球貸出装置20が自動的に端数分の精算処理を行うものとしたが、端数精算処理の開始条件はこれに限定されるものではない。例えば、プリペイド媒体40の残価値が端数価値になったときには、紙幣の投入によって価値情報の追加更新を行い、返却スイッチが操作されて、プリペイド40を返却する際に端数精算処理を行うようにしても良い。また、端数精算ボタン等を操作スイッチ25として設けておき、遊技者の発意に基づく操作によって端数分の精算を行うようにしても良い。更に、端数の精算に際しては、端数分のみ処理する場合に限らず、残っている度数と併せて端数分を精算処理するようにしても良い。例えば、全額精算ボタン等を操作スイッチ25として設けておき、プリペイド媒体40の残価値が所定度数以下になったときに全額精算ボタンの操作が可能となって、遊技者が全額精算ボタンを操作すると、残度数に対応する数量の遊技球が遊技機10から排出されると共に、端数価値に対応する数量の遊技球が精算用遊技球払出ノズル28より払い出され、残価値全て(残っている所定度数と端数分)の精算が一括して行われるようにしても良い。或いは、遊技球貸出装置20に設けた設定スイッチ(遊技客には操作できないスイッチ)によって、これら複数の精算処理動作の中から、当該遊技店において許容する精算処理動作を遊技店側で予め設定できるようにしても良い。
【0044】
更に、遊技球貸出装置20に遊技球貸出機能(遊技球の貸出に十分な量の遊技球を貯留しておき、球貸要求に応じて遊技球を払い出す機能)を設けておき、遊技機10の遊技球払出機構部11や遊技球貸出要求受入部14に頼ることなく、遊技球貸出装置20単独で遊技球の貸出を行うと共に、端数価値の精算も行えるようにしておけば、貸出要求信号による球貸機能を備えた遊技機(いわゆるCR機)にも、貸出要求信号による球貸機能を備えていない遊技機(入賞に対する賞品球として遊技に供する遊技媒体を払い出す賞球払出機構部を備える、いわゆる現金機)にも対応する、Wモードの遊技球貸出装置20とすることができる。
【0045】
このようなWモードの遊技球貸出装置20とする場合、例えば、CR機対応モードの設定と現金機対応モードの設定をモード切替スイッチで切り替えできるようにし、CR機対応モードに設定されると、遊技球貸出装置20から遊技機10への接続線を介して球貸要求信号の送信を行って遊技機10の球排出流路12から上皿13へ貸出用の遊技球を払い出し、一方、現金機対応モードに設定されると、遊技球補給路32から補給された遊技球を球貸用に貯留する貸出用遊技球払出機構部(精算用遊技球払出機構部27の機能を併せ持つようにしても良い。)から貸出用遊技球払出ノズル(精算用遊技球払出ノズル28と併用しても良い。)を介して遊技球10の上皿13へ貸出用の遊技球を払い出す。
【0046】
なお、遊技球貸出装置20がCR機対応モードに設定されていても、正常な球貸動作を行えるように遊技機10と適切に接続されていなければ、遊技機10で貸出用の遊技球が払い出されないので、CR機対応モードでの動作信頼性を高めることが望ましい。そこで、CR機対応の遊技球貸出装置は接続用信号ケーブルを介して遊技機と正常な接続状態にあるか否かの検出を行っていることを利用し、遊技機10との正常な接続状態を検出できない遊技球貸出装置20は、モード切替スイッチがCR機対応モードに切り換えられてもCR機対応モードで動作させないことにより、機器としての動作信頼性を高めるようにしても良い。
【0047】
例えば、遊技機10との正常な接続状態を検出していないにも拘わらず、モード切替スイッチがCR機対応モードに切り替えられた場合には、エラー報知(警告音やエラー表示)を行って遊技球貸出装置20が動作しないようにしても良いし、遊技機10との接続状態の検出結果を優先して、強制的に現金機対応モードで遊技球貸出装置20を起動させるようにしても良い。また、モード切替スイッチで自動選択モードを設定できるようにしておき、自動選択モードに切り替えられた場合には、遊技機10との接続状態の検出結果に応じて、CR機対応モードもしくは現金機対応モードが自動で選択されるようにしても良い。
【0048】
上述した第1実施形態に係る遊技球貸出装置20を用いた遊技球貸出システムにおいては、単位価値に満たない端数価値の精算処理を、遊技球貸出装置20が備える精算用遊技球払出機構部27によって遊技球を払い出すことにより行うので、端数の精算処理が遊技者に分かり易いという利点がある反面、遊技球貸出装置20に精算用遊技球払出機構部27を設けると共に、島設備の補給機構から遊技球貸出装置20への補給機能を付加しなければならないという点で、多少問題がある。
【0049】
そこで、精算用遊技球払出機構部27を設ける必要がないと共に、島設備の補給機構から精算用遊技球を補給する必要もない第2実施形態に係る遊技球貸出装置20′を、図3に基づいて、以下に詳述する。なお、上述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態に係る遊技球貸出装置20′においては、単位価値未満の端数価値を読み出して端数価値を精算用遊技球の数量に換算する端数価値換算手段としての機能を主制御部21′に設けると共に、この換算された数量の遊技球を遊技機10′の遊技球払出機構部11から排出させるように遊技機10′へ端数払出要求を行う端数払出要求手段として機能する遊技球払出要求送出部29を備えるものとし、この遊技球払出要求送出部29からの信号を受ける遊技機10′の遊技球払出要求受入部15が、要求された数量の遊技球の払出要求を遊技球払出機構部11に対して行うものである。すなわち、遊技球貸出装置20′の遊技球払出要求送出部29からの球貸要求および端数精算要求に基づいて、遊技機10′が遊技球の払出を一手に行うので、遊技球貸出装置20′には精算用遊技球払出機構部を設ける必要がないと共に、島設備の補給機構から精算用遊技球を補給する必要もないのである。
【0051】
このように、球貸要求および端数精算要求を遊技機10′に対して的確に指示するため、本実施形態に係る遊技球貸出装置20′に設けた遊技球払出要求送出部29は、遊技機10′の遊技球払出要求受入部15から払出準備状態信号を受けると共に、払出要求信号の送信および払出応答信号を受信する点では、前記第1実施形態における遊技球貸出装置20の遊技球貸出要求送出部26と同様であるが、払出要求に対する基準となる払出単位を変更する機能を遊技球払出要求送出部29は有している。
【0052】
すなわち、遊技球払出要求送出部29が払出単位設定信号を遊技球払出要求受入部15へ送出することで、遊技球払出要求受入部15が払出要求信号により要求された払出数を解釈する単位を変更し、度数単位での払出と端数排出のための単位を切り替えさせるのである。
【0053】
例えば、遊技球払出要求送出部29から送出された払出要求信号を“1度数”単位として遊技球払出要求受入部15が受入れる度数払出モードにおいて、遊技球払出要求送出部29が払出単位設定信号を送出することにより遊技球払出要求受入部15が払出要求信号を“1個”単位で受入れる端数払出モードに設定変更され、このモード変更を遊技球払出要求受入部15からの払出単位確認信号により確認した遊技球払出要求送出部29は、端数として払い出させる遊技球の個数分だけ払出要求信号を遊技球払出要求受入部15へ送出すると、これを受けた遊技球払出要求受入部15から1個単位で遊技球払出機構部11への遊技球払出要求が指示され、端数分の遊技球が上皿13に排出されるのである。なお、端数分の遊技球払出が完了すると、遊技球払出要求送出部29は払出単位設定信号を遊技球払出要求受入部15へ送出して、遊技球払出要求受入部15を端数払出モードから度数払出モードに復帰させる。
【0054】
ここで、遊技球貸出装置20′において行われる球貸処理の一具体例を図4のフローチャートに基づき説明する。なお、本フローチャートにおけるステップS201〜ステップS211は、上述した図2のフローチャートにおけるステップS101〜ステップS111と同様であるから説明を省略する。
【0055】
ステップS207において、1度数未満と判定された場合には、端数返却処理212を行うことで端数価値を精算し、価値情報として記録された全ての記録価値を消費し尽くしたプリペイド媒体40は、価値情報記録領域を帰零させて0価値のプリペイド媒体40とし、プリペイド媒体R/W部23のプリペイド媒体貯留機構部に販売用のストックとして収容する(ステップS213)。
【0056】
端数価値返却処理212は、図5に示すように、先ず、払出単位を“1単位”に変更する払出単位設定信号を遊技機10′の遊技球払出要求受入部15へ送出し(ステップS2121)、この単位変更を遊技球払出要求受入部15が受入れて返信する払出単位変更の確認信号を受信したか否かを判定し(ステップS2122)、払出単位の変更が確認されれば、残っている端数価値相当の遊技球払出要求信号を遊技球払出要求受入部15へ送出し(ステップS2123)、この払出要求の完了を示す応答信号を遊技球払出要求受入部15から受信したか否かを判定し(ステップS2124)、払出完了の応答信号を受信すると、払出単位を“度数単位”に戻す払出単位設定信号を遊技球払出要求受入部15へ送出し(ステップS2125)、この払出単位の変更を遊技球払出要求受入部15が受入れて返信する払出単位変更の確認信号を受信したか否かを判定し(ステップS2126)、払出単位が“度数”に戻ったと確認されれば端数返却処理を終了する。
【0057】
上述した球貸処理においては、プリペイド媒体40の残価値が端数価値になったときに、遊技球貸出装置20′が自動的に端数価値返却処理を行うものとしたが、端数価値返却処理の開始条件はこれに限定されるものではない。例えば、プリペイド媒体40の残価値が端数価値になったときには、紙幣の投入によって価値情報の追加更新を行い、返却スイッチが操作されて、プリペイド40を返却する際に端数返却処理を行うようにしても良い。また、端数精算ボタン等を操作スイッチ25として設けておき、遊技者の発意に基づく操作によって端数分の精算を行うようにしても良い。更に、端数の精算に際しては、端数分のみ処理する場合に限らず、残っている度数と併せて端数分を精算処理するようにしても良い。例えば、全額精算ボタン等を操作スイッチ25として設けておき、プリペイド媒体40の残価値が所定度数以下になったときに全額精算ボタンの操作が可能となって、遊技者が全額精算ボタンを操作すると、残度数に対応する数量の遊技球と、端数価値に対応する数量の遊技球が、共に遊技機10′から排出され、残価値全て(残っている所定度数と端数分)の精算が一括して行われるようにしても良い。或いは、遊技球貸出装置20′に設けた設定スイッチ(遊技客には操作できないスイッチ)によって、これら複数の精算処理動作の中から、当該遊技店において許容する精算処理動作を遊技店側で予め設定できるようにしても良い。
【0058】
以上説明した第2実施形態に係る遊技球貸出装置20′においては、遊技機10が備える遊技球払出機能を用いて端数価値の精算を行うものとしたが、例えば、第1実施形態に係る遊技球貸出装置20の如き精算用遊技球払出機構部を遊技球貸出装置20′に設けておき、自身の精算用遊技球払出機構部によっても端数価値の精算を行える構成とすることで、端数価値を精算する際の自由度を高めるようにしても良い。例えば、遊技球貸出装置20′側に設けた端数精算ボタンを操作すると、遊技球貸出装置20′の精算用遊技球払出機構部から精算用遊技球払出ノズル28を介して遊技機10の上皿13に遊技球が払い出され、遊技機10側に設けた端数精算ボタンを操作すると、遊技機10の遊技球払出機構部11から球排出流路12を介して上皿13に遊技球が払い出されるようにすることもできる。また、遊技店の運営上の都合に合わせて、遊技球貸出装置20′毎に端数精算方式(遊技機10からの端数払出か、遊技球貸出装置20′からの端数払出か)を任意に設定できるようにしても構わない。
【0059】
上述した第1実施形態に係る遊技球貸出装置20あるいは第2実施形態に係る遊技球貸出装置20′を用いた遊技球貸出システムにおいては、単位価値に満たない端数価値を遊技球の数量に換算して、実体のある遊技球として遊技者に返却するものであるから、端数価値を遊技球の数量に換算する際に、1個の遊技球に満たない端数が出てしまった場合には、これを切り捨て或いは切り上げることで遊技球の数量を決定しなければならず、精算に際しての正確性を担保できないという問題が生ずる。
【0060】
そこで、常に端数価値の正確な精算を行える第3実施形態に係る遊技球貸出装置20″を、図6に基づいて、以下に詳述する。なお、上述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
本実施形態に係る遊技球貸出装置20″が備えるプリペイド媒体R/W部23″は、端数価値記録領域を設けたプリペイド媒体40″に対する読み書きが可能な構造であり、主制御部21″は、プリペイド媒体40″の端数価値を精算する際には、プリペイド媒体R/W部23″に指示することで、プリペイド媒体40″の端数価値記録領域に端数価値を書込ませると共に、価値情報を帰零させる。すなわち、本実施形態においては、主制御部21″とプリペイド媒体R/W部23″が協働することで、「プリペイド媒体40″の価値情報記録領域に記録されている記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、価値情報記録領域とは異なる端数価値記録領域に端数価値を書込むと共に、価値情報記録領域の価値情報から端数価値を減ずる端数価値処理手段」として機能するのである。
【0062】
ここで、遊技球貸出装置20″において行われる球貸処理の一具体例を図7のフローチャートに基づき説明する。なお、本フローチャートにおけるステップS301〜ステップS311は、上述した図2のフローチャートにおけるステップS101〜ステップS111と同様であるから説明を省略する。
【0063】
ステップS307において、1度数未満と判定された場合には、紙幣等入部22bからの追加入金があったか否かを判定し(ステップS312)、追加入金があった場合には、入金額相当の価値をプリペイド媒体40″の価値情報記録領域に書込む。これにより、痕プリペイド媒体40″は1度数以上の価値情報が記録されることとなり、遊技球の貸出要求を行うことが可能となる。
【0064】
一方、上記ステップS312で追加入金が無いと判定された場合には、遊技者の操作により返却ボタンが押下されたか否かを判定し(ステップS314)、返却ボタンが押されていなければ球貸処理を一旦終了するが、返却ボタンが押されていた場合には、残価値の全てである端数価値を端数価値記録領域に記録すると共に価値情報記録領域を帰零させて0価値のプリペイド媒体40″とし、プリペイド媒体投入口22aから遊技者へ返却する(ステップS315)。
【0065】
このようにして、使用済みとなったプリペイド媒体40″は、価値情報記録領域が帰零されていることから、遊技球貸出装置20″に投入して遊技球の貸出に用いることはできないが、端数価値記録領域に書込まれた端数価値の精算を行うことができる。すなわち、遊技客に変換される0価値のプリペイド媒体40″に端数価値を記録させておくことで、その端数価値を精算するために採用する精算システムの自由度が高いので、種々の精算方式を適用でき、遊技者の利便性を高めることができる。プリペイド媒体40″の精算システムの構成例を図8に示す。
【0066】
図8(a)に示す精算機61は、プリペイド媒体投入口61aから投入されたプリペイド媒体40″の端数価値記録領域の読み書きができるプリペイド媒体R/W部61bにより端数価値が読み出され、端数価値相当分の現金を現金返却機構部61cから払い出す。すなわち、この精算機61によれば、遊技媒体の借り受けに使用できなかった価値情報をそのまま現金で遊技客に返却できる。なお、端数価値の返却が終わったプリペイド媒体40″は、端数価値記録領域もクリアされて精算機61内に回収される。
【0067】
図8(b)に示す精算機62は、プリペイド媒体投入口62aから投入されたプリペイド媒体40″の端数価値記録領域の読み書きができるプリペイド媒体R/W部62bにより端数価値が読み出され、釣り銭カード発行部62cによって端数価値相当分の金額情報を書き込んだ釣り銭カード70を釣り銭カード挿排口62dから排出する。すなわち、この精算機62によれば、遊技媒体の借り受けに使用できなかった価値情報を釣り銭カード70に記入して遊技客に発行するので、釣り銭カード70を用いた遊技店独自の精算方式を採用することが可能となるし、精算機62に少額の金銭を補充・管理する遊技店側の手間を省けるというメリットもある。例えば、釣り銭カード70を当該遊技店のみで利用可能なハウスカードとし、遊技客が所持する釣り銭カード70を精算機62に投入しておくと、プリペイド媒体40″から精算した少額の端数価値が釣り銭カード70に貯蓄されてゆき、貯まった釣り銭カード70でプリペイド媒体40″を発行できるようなシステムとすることもできる。なお、端数価値を釣り銭カード70へ移し終わったプリペイド媒体40″は、端数価値記録領域もクリアされて精算機61内に回収される。
【0068】
上述した精算機62においては、釣り銭カード発行部62cが釣り銭カード70のに価値情報を直接書き込むものとしたが、例えば、価値情報は釣り銭カード70に書き込まなずに、当該遊技店の店舗管理装置へ送信し、この店舗管理装置において集中的に管理する方式(いわゆる貯玉会員カードを用いた貯玉方式)としても良い。この場合、釣り銭カードの記録領域には店舗管理装置における管理情報(例えば、銀行のキャッシュカードと同様なカードIDによって特定される貯玉会員の口座番号、セキュリティ情報など)を記録しておくことで、安易に価値情報が改竄されることを防止できる。
【0069】
図8(c)に示す精算機63は、プリペイド媒体投入口63aから投入されたプリペイド媒体40″の端数価値記録領域の読み書きができるプリペイド媒体R/W部63bにより端数価値が読み出され、電子マネー媒体R/W部63cによって端数価値相当分の金額情報を電子マネー媒体80に追記すると共に、電子マネー決済システムインターフェース63dを介して電子マネー決済センターへ更新情報を伝送する。すなわち、この精算機63によれば、電子情報による決済を迅速に行うことができるので、遊技者の利便性が高まるし、精算機62に少額の金銭を補充・管理する遊技店側の手間を省けるというメリットもある。
【0070】
更に、電子マネー対応精算機63は、電子マネー媒体80を媒介とする金銭の投入が可能であるから、例えば、プリペイド媒体40″に残っている端数価値に応じた追加金額を支払うことで、プリペイド媒体40″をチャージ(端数価値領域の端数価値をクリアすると共に、追加金額と端数価値分の価値情報を価値情報記録領域に記録)し、遊技者がそのプリペイド媒体40″を継続使用できるようにすることも可能である。
【0071】
なお、電子マネー対応精算機63としては、ICカードや携帯電話等を電子マネー媒体80として既に運用されている汎用性のある電子マネーシステムに対応するものを導入しても良いし、遊技店の運営に沿った新規形態の電子マネーシステムに対応するような電子マネー対応精算機63を導入しても構わない。また、電子マネー媒体80は、非接触で電子マネー媒体R/W部63cにより読み書きできるものでも良いし、接触式で読み書きできる記録媒体(例えば、USBメモリ、コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード、SDカード、miniSDカード、XDカード、メモリスティック、接触型ICカード、磁気カード等)を電子マネー媒体80として採用しても良い。
【0072】
以上、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、これらの実施形態に限定されるものではない。例えば、第1〜第3実施形態の各々異なる端数価値精算手法を2つ或いは3つ全て備える遊技媒体貸出装置を構成し、これら複数の精算手法の中から、遊技者の好みに応じて精算手法を選択できるようにしても良い。また、複数の精算手法を備える遊技媒体貸出装置を構成した場合には、遊技店の判断により、遊技者が選択できる精算手法を予め制限できるようにしても良い。更に、上述した各実施形態においては、遊技媒体の貸出操作を全て遊技媒体貸出装置側で行うものとしたが、これに限らず、遊技機側に貸出スイッチを設けるようにしても良い。例えば、遊技媒体の貸出は遊技機に設けた球貸スイッチを操作することで遊技機から払い出させ、プリペイド媒体の端数価値を精算する操作スイッチは遊技媒体貸出装置側に設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1実施形態に係る遊技球貸出装置を用いた遊技媒体貸出システムの概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置が行う玉貸処理を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態に係る遊技球貸出装置を用いた遊技媒体貸出システムの概略構成図である。
【図4】第2実施形態に係る遊技媒体貸出装置が行う玉貸処理を示すフローチャートである。
【図5】端数価値返却処理を示すフローチャートである。
【図6】第3実施形態に係る遊技球貸出装置を用いた遊技媒体貸出システムの概略構成図である。
【図7】第3実施形態に係る遊技媒体貸出装置が行う玉貸処理を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態に係る遊技球貸出装置で端数精算を行ったプリペイド媒体の精算を行う精算装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0074】
10 遊技機
20 遊技球貸出装置
21 主制御部
23 プリペイド媒体R/W部
26 遊技球貸出要求送出部
27 精算用遊技球払出機構部
28 精算用遊技球払出ノズル28
32 遊技球補給路
40 プリペイド媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に供する遊技媒体を払い出す遊技媒体払出機構部を備える遊技機に対応して設けられ、遊技媒体との交換に供し得る価値情報を記録価値として保持するプリペイド媒体から記録価値を読み出し、予め定めた単位価値を変換基準として記録価値を貸出用遊技媒体の数量に換算し、換算した数量の遊技媒体を遊技機の遊技媒体払出機構部から排出させるように遊技機へ貸出要求を行う機能を備えた遊技媒体貸出装置において、
遊技に供する遊技媒体を精算用遊技媒体として貯留する精算用遊技媒体払出機構部と、
前記プリペイド媒体の記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、端数価値を精算用遊技媒体の数量に換算する端数価値換算手段と、
前記端数価値換算手段により換算された数量の遊技媒体を前記精算用遊技媒体払出機構部から排出させる端数払出手段と、
を備えることを特徴とする遊技媒体貸出装置。
【請求項2】
遊技に供する遊技媒体を払い出す遊技媒体払出機構部を備える遊技機に対応して設けられ、遊技媒体との交換に供し得る価値情報を記録価値として保持するプリペイド媒体から記録価値を読み出し、予め定めた単位価値を変換基準として記録価値を貸出用遊技媒体の数量に換算し、換算した数量の遊技媒体を遊技機の遊技媒体払出機構部から排出させるように遊技機へ貸出要求を行う遊技媒体貸出装置において、
前記プリペイド媒体の記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、端数価値を精算用遊技媒体の数量に換算する端数価値換算手段と、
前記端数価値換算手段により換算された数量の遊技媒体を遊技機の遊技媒体払出機構部から排出させるように遊技機へ端数払出要求を行う端数払出要求手段と、
を備えることを特徴とする遊技媒体貸出装置。
【請求項3】
遊技に供する遊技媒体を払い出す遊技媒体払出機構部を備える遊技機に対応して設けられ、遊技媒体との交換に供し得る価値情報を記録価値として保持するプリペイド媒体から記録価値を読み出し、予め定めた単位価値を変換基準として記録価値を貸出用遊技媒体の数量に換算し、換算した数量の遊技媒体を遊技機の遊技媒体払出機構部から排出させるように遊技機へ貸出要求を行う遊技媒体貸出装置において、
前記プリペイド媒体の価値情報記録領域に記録されている記録価値における単位価値未満の端数価値を読み出し、価値情報記録領域とは異なる端数価値記録領域に端数価値を書込むと共に、価値情報記録領域の価値情報から端数価値を減ずる端数価値処理手段を備えることを特徴とする遊技媒体貸出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−97925(P2007−97925A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293319(P2005−293319)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(501468770)株式会社ジョイコシステムズ (66)
【Fターム(参考)】