説明

遊技媒体貸出装置

【課題】遊技媒体貸出装置の新規導入や入替後の結線確認や機器動作を簡便にテストできる遊技媒体貸出装置を提供する。
【解決手段】プリペイドシステム管理コンピュータ50からテストモード移行指令を受けた遊技媒体貸出装置20は、その動作をモード切替手段29によってテストモードに切り替え、台番号記憶手段27に記憶されている台番号に対応したテスト用の販売信号、消費信号、再プレイ信号の各パルス数を台番号対応発生パルス数変換記憶手段29により算出・記憶し、プリペイドシステム管理コンピュータ50からテストパルスの出力指示を受けると、台番号対応発生パルス数変換記憶手段29に記憶するパルス数の各テスト信号を外部出力パルス発生手段25により発生させ、ホールコン中継基板30を介してホールコンピュータ40へテスト信号として送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売金額等の売上情報を遊技場内のホールコンピュータ等へ送信する機能を有する遊技媒体貸出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技店の開店時や機種入替時などには、遊技媒体貸出装置の新規導入や設置場所の変更などが行われることがあり、設置後には各遊技媒体貸出装置が適正に設定されているかを確認する必要がある。このような必要性から、施錠装置への鍵操作によってメンテナンスモードに切り替え、設定情報を確認できるようにした遊技媒体貸出装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−27961号公報(第28頁〜第30頁、図15)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された遊技媒体貸出装置のメンテナンスモードでは、遊技媒体貸出装置のバージョン番号、遊技球を1回貸し出す際の単位となる遊技球数(貸玉数)、会員カードを利用して高額紙幣を使用した際の1回当りの貸出金額(カード千円)、会員カードを利用して上述の残高を用いた貸出や、リプレイ球の使用時に暗証番号の入力を必要とするか否かや、パルス信号の規格等を表示できるだけで、遊技媒体貸出装置の新規導入や入替後の結線確認や機器動作をテストすることは出来ない。
【0005】
そのため、遊技媒体貸出装置の新規導入や入替後の動作確認作業に際しては、いちいち実際に現金を入れたり、会員カードを投入して消費することにより、売上情報の信号をホールコンピュータへ送信させてみないと、遊技媒体貸出装置の紙幣識別機やカードリーダ・ライタが正常に動作するか、ホールコンピュータと遊技媒体貸出装置との配線が正しく接続されているか等を確認できず、確認テストの作業効率が非常に悪い。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、遊技媒体貸出装置の新規導入や入替後の結線確認や機器動作を簡便にテストできる遊技媒体貸出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、遊技場に設置された遊技機に夫々対応して設けられ、投入された貨幣の価値及び真贋を識別する貨幣識別部を備え、該貨幣識別部により識別された貨幣価値に基づく価値を付加した情報記録媒体の発行あるいは投入された情報記録媒体への価値加算を行い、情報記録媒体に記録された価値に基づいて遊技機に供する遊技媒体を遊技機より払い出す遊技媒体貸出制御を行い、価値の付加および価値の消費に関わる売上情報を外部へ出力する売上情報出力線を有する遊技媒体貸出装置において、外部からのテストモード移行信号を受けることにより、遊技機と連携した遊技媒体の貸出機能が有効な通常モードから貸出機能が無効なテストモードに切り替えるモード切替手段と、前記モード切替手段によりテストモードに切り替わったとき、外部からの指令により、当該遊技媒体貸出装置の固有情報と関連付けて生成したテスト信号を売上情報出力線より出力するテスト信号出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の遊技媒体貸出装置において、前記モード切替手段によりテストモードに切り替わったとき、貨幣が投入されても情報記録媒体の発行および情報記録媒体への価値加算を規制し、貨幣識別部により識別した貨幣価値を表示する貨幣識別テスト手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の遊技媒体貸出装置において、前記テスト信号出力手段が生成するテスト信号は、遊技場内の各遊技媒体貸出装置に固有情報として割り振られた固体番号から一意に定まる数のパルスを出力するものとしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の遊技媒体貸出装置において、前記売上情報は、少なくとも、情報記録媒体の発行または情報記録媒体へ付加した価値である販売金額と、遊技媒体の貸出に消費した価値である消費金額と、を含み、前記テスト信号出力手段は、販売金額のテスト信号と消費金額のテスト信号とを識別可能に生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る遊技媒体貸出装置によれば、外部からのテストモード移行信号を受けることにより、遊技機と連携した遊技媒体の貸出機能が有効な通常モードから貸出機能が無効なテストモードに切り替えるモード切替手段と、前記モード切替手段によりテストモードに切り替わったとき、外部からの指令により、当該遊技媒体貸出装置の固有情報と関連付けて生成したテスト信号を売上情報出力線より出力するテスト信号出力手段と、を備えるので、遊技媒体貸出装置の新規導入や入替後の結線確認や機器動作を、テストモードで簡便にテストすることが可能となる。
【0012】
また、請求項2に係る遊技媒体貸出装置によれば、前記モード切替手段によりテストモードに切り替わったとき、貨幣が投入されても情報記録媒体の発行および情報記録媒体への価値加算を規制し、貨幣識別部により識別した貨幣価値を表示する貨幣識別テスト手段を備えるので、テスト用の貨幣投入が実際の売上に計上されてしまうような不合理を無くすことができる。
【0013】
また、請求項3に係る遊技媒体貸出装置によれば、前記テスト信号出力手段が生成するテスト信号は、遊技場内の各遊技媒体貸出装置に固有情報として割り振られた固体番号から一意に定まる数のパルスを出力するものとしたので、遊技媒体貸出装置の新規導入や入替後にテストモードで行うテスト信号のパルス数から、固体番号の設定ミスの有無を推し量ることができる。
【0014】
また、請求項4に係る遊技媒体貸出装置によれば、前記売上情報は、少なくとも、情報記録媒体の発行または情報記録媒体へ付加した価値である販売金額と、遊技媒体の貸出に消費した価値である消費金額と、を含み、前記テスト信号出力手段は、販売金額のテスト信号と消費金額のテスト信号とを識別可能に生成するので、遊技媒体貸出装置の新規導入や入替後にテストモードで行うテスト信号から、販売金額の出力信号線と消費金額の出力信号線の結線間違いを明確に判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置の概略構成図である。
【図2】通常モードとテストモードの切替を行うプリペイドシステム管理コンピュータを含む遊技場のシステム構成図である。
【図3】テストモード時における遊技媒体貸出装置からホールコンピュータへ送信するテスト信号の説明図である。
【図4】遊技媒体貸出装置の起動処理を示すフローチャートである。
【図5】遊技媒体貸出装置のテストモード処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、遊技媒体である遊技球の貸出機能を備えたCRタイプの遊技機10と、これに対応して接続された遊技媒体貸出装置(いわゆるCRユニット)20として説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、遊技媒体としてコイン形状の遊技メダルを使うスロット式遊技機と、これに対応して接続されたメダル貸出装置にも適用可能である。
【0017】
図1は、遊技球を用いた弾球遊技を行うための種々の機能を備える遊技機10と第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置20の概略構成を示すもので、遊技媒体貸出装置20の貸出インターフェース基板201と遊技機10の遊技媒体貸出装置接続端子板101とがPIFケーブル(図示省略)で接続され、遊技機10から遊技媒体貸出装置20へは、遊技機接続確認信号(PSI),遊技機準備状態信号(PRDY),遊技機貸出完了信号(EXS),貸出ボタンスイッチ信号等が送信されると共に、遊技媒体貸出装置20から遊技機10へは、貸出装置準備状態信号(BRDY),貸出装置貸出要求信号(BRQ)が送信され、相互に状態確認しつつ適正な遊技媒体貸出制御が実行される。
【0018】
なお、遊技機10の前面側には、遊技者が遊技球の貸出を要求するために操作する貸出ボタン、この貸出ボタンが操作可能な状態である場合に点灯表示される貸出可能ランプ、遊技媒体貸出装置20へ投入した情報記録媒体(プリペイドカード/コインや会員カード等)を排出させるための返却ボタン等を設け、遊技機10の裏面側には、弾球遊技の主たる制御を行う主制御装置、表示制御や音制御といった演出面の動作制御を行う副制御装置、遊技球の発射動作を制御する発射制御装置、賞としての遊技球や貸出用の遊技球を排出する遊技球排出装置、この遊技球排出装置に対する遊技球の排出制御を行う排出制御装置等を設けてあり、遊技媒体貸出装置20からの貸出要求に応じた数量の遊技球が遊技機10から排出され、遊技者に貸し出される。
【0019】
また、遊技媒体貸出装置20の外部出力端子板202からは、価値の付加および価値の消費に関わる売上情報として、情報記録媒体C(遊技媒体の貸出に利用できる有価価値情報が記録されたプリペイドカード、ICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコインや会員カード等)の新規発行や発行済みの情報記録媒体Cへの価値加算よりなる販売情報を示す販売信号、遊技媒体貸出の実行により有価価値を消費した消費情報(例えば、消費度数や消費金額など)を示す消費信号、遊技店に預け入れておいた貯玉を引き出して使用した再プレイ情報を示す再プレイ信号などを出力し、ホールコン中継基板30を介してホールコンピュータ40へ送信される。このほか、遊技媒体貸出装置20にて生じたエラーを報らせるエラー信号もホールコン中継基板30を介してホールコンピュータ40へ送信される。
【0020】
遊技機10の外部出力端子板102からは、賞球信号、不正検出信号、始動入賞信号、図柄停止信号、大当り信号などが出力され、ホールコン中継基板30を介してホールコンピュータ40へ送信される。なお、ホールコン中継基板30は、遊技機10が設置されている島設備の補給機構から出力される補給信号やアウト玉信号を中継してホールコンピュータ40へ送信している。
【0021】
ホールコン中継基板30は、遊技機10と遊技媒体貸出装置20の組み合わせ毎に1台が割り当てられるもので、ホールコンピュータ40は、ホールコン中継基板30に割り振られたアドレス等の固有情報に基づいて、各ホールコン中継基板30を介して信号送信している遊技機10と遊技媒体貸出装置20を個別に認識できる。例えば、台番号1のホールコン中継基板30から中継された遊技機情報は台番号1の遊技機10からの情報として収集管理でき、同様に、台番号1のホールコン中継基板30から中継された売上情報は台番号1の遊技媒体貸出装置20からの情報として収集管理できる。
【0022】
遊技媒体貸出装置20には、遊技媒体の貸出制御を統括する機能や種々の販売情報を集計して記憶しておく機能を有するほか、図1に示すように、貨幣投入口より投入された貨幣Mの額面や真贋を識別する貨幣識別部21、媒体挿排口より挿入された情報記録媒体Cから情報を読み出したり書き換えたりする媒体R/W部22、遊技媒体の貸出に関する表示や入力操作を行う表示・操作部23、貸出インターフェース基板201を介して遊技機10との信号授受を制御する貸出インターフェース信号制御手段24、外部出力端子板202を介して外部へ出力するパルスを発生させる外部パルス発生手段25、通信回線を通じて上位管理コンピュータ(例えば、プリペイドシステム管理コンピュータ50)との通信を行う外部通信手段26、当該遊技媒体貸出装置20の固有情報として設定された台番号を記憶する台番号記憶手段27等を有する。
【0023】
さらに、遊技媒体貸出装置20にはモード切替手段28を設けてあり、遊技機10と連携した遊技媒体の貸出機能が有効な通常モードと、遊技機10と連携した遊技媒体の貸出機能が有効となるテストモードとを切り替えることができる。モード切替手段28に対するモード切替の指示は、プリペイドシステム管理コンピュータ50からの指令信号により行うものとし、遊技媒体貸出装置20の新規導入や入替後など、結線確認や機器動作をテストしたいときに、プリペイドシステム管理コンピュータ50からの切替指示で一斉にテストモードへ移行させれば、結線確認や機器動作状態を簡便にテストすることが可能となる。なお、遊技媒体貸出装置20本体に設けた表示・操作部23や設定パネル等の直接操作や、遊技店の係員が所持しているリモコンからの切替信号送信により、モード切替を行えるようにしても良い。
【0024】
プリペイドシステム管理コンピュータ50によるテストモードへの切替指示を行う操作画面を図2に示す。例えば、テスト用のパルスを発生させる信号種別(販売、消費、再プレイ)の選択、紙幣識別テスト実施の可否、テスト信号の発生を指示する範囲(島毎、台番号、全台一斉)を設定して、プリペイドシステム用通信路61を介して遊技媒体貸出装置20へ送信される。そして、台番号1の遊技機10aと共に台番号1のホールコン中継基板30aに接続されている1番台の遊技媒体貸出装置20aに対して、プリペイドシステム管理コンピュータ50よりモード切替とテスト信号発生の指示があれば、貨幣Mを投入して情報記録媒体Cを新規発行したり価値加算したりしなくても、遊技媒体貸出装置20aから販売金額のテスト信号が出力され、ホールコン中継基板30aを介してホールコン用通信路62よりホールコンピュータ40へ送信される。同様に、遊技機10と連携した遊技媒体貸出により価値を消費しなくても、遊技媒体貸出装置20aから消費金額のテスト信号が出力され、ホールコン中継基板30aを介してホールコン用通信路62よりホールコンピュータ40へ送信されるし、貯玉のある情報記録媒体Cから貯玉を引き出さなくても、遊技媒体貸出装置20aから再プレイのテスト信号が出力され、ホールコン中継基板30aを介してホールコン用通信路62よりホールコンピュータ40へ送信される。また、台番号2の遊技機10bと共に台番号2のホールコン中継基板30bに接続されている2番台の遊技媒体貸出装置20bに対して、プリペイドシステム管理コンピュータ50よりモード切替とテスト信号発生の指示があれば、2番台の遊技媒体貸出装置20bより販売情報のテスト信号が出力される。
【0025】
上述したようにして、遊技媒体貸出装置20よりテスト信号を出力させるとき、どのような信号形態で出力させても、ホールコン中継基板30との誤接続・断線といった結線状態を判定するには支障ない。しかしながら、単純に全機が同じ形態のテスト信号を出力するようにした場合、台番号記憶手段27に台番号1として記憶している1番台の遊技媒体貸出装置20aが、台番号2に設定されているホールコン中継基板30bに接続されていたような接続ミスをホールコンピュータ40で把握することが出来ない。
【0026】
そこで、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置20には、台番号対応発生パルス変換記憶手段29を設け、所定の変換規則により、台番号記憶手段27に記憶されている台番号からテスト信号(所定幅のパルスの連続出力数)に変換し、このパルス数を記憶しておくようにした。従って、テストモードでテスト信号の出力を指示された場合には、台番号対応発生パルス数変換記憶手段29が記憶するパルス数のテスト信号を外部出力パルス発生手段25により発生して外部出力端子板202より出力するのである。
【0027】
図3は、プリペイドシステム管理コンピュータ50からテストモード移行の指示を受ける台番号1の遊技媒体貸出装置20aと台番号2の遊技媒体貸出装置20bが各々ホールコン中継基板30a,30bを介して売上信号をホールコンピュータ40へ出力するシステム構成において、テストモード中に遊技媒体貸出装置20a,20bより出力されるテスト信号の一例を示したものである。ホールコン用通信路62から各遊技媒体貸出装置20の売上情報を収集するホールコンピュータ40は、台毎に売上情報を集計して画面上に表示でき、必要に応じて画面内容を印刷した帳票で確認することもできる。
【0028】
ここで、遊技媒体貸出装置20の台番号対応発生パルス数変換記憶手段29に設定する変換規則として、販売金額のテスト信号のパルス数は台番号の“一の位”、消費金額のテスト信号のパルス数は台番号の“一の位”+10、再プレイによる引出玉数のテスト信号は台番号の“一の位”+20に設定すると、ホールコン中継基板30aからホールコンピュータ40に、販売信号としてパルス数=1のテスト信号、消費信号としてパルス数=11のテスト信号、再プレイ信号としてパルス数=21のテスト信号が入力されれば、台番号1のホールコン中継基板30aに台番号1の遊技媒体貸出装置20aが接続されていると推量でき、ホールコン中継基板30bからホールコンピュータ40に、販売信号としてパルス数=2のテスト信号、消費信号としてパルス数=12のテスト信号、再プレイ信号としてパルス数=22のテスト信号が入力されれば、台番号2のホールコン中継基板30bに台番号2の遊技媒体貸出装置20aが接続されていると推量できる。なお、台番号対応発生パルス数変換記憶手段29に設定する変換規則として使用する台番号の“一の位”が0の場合、これを10と看做すものとし、台番号10の遊技媒体貸出装置からは、販売信号としてパルス数=10のテスト信号、消費信号としてパルス数=20のテスト信号、再プレイ信号としてパルス数=30のテスト信号が出力される。
【0029】
このように、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置20は、外部からのテストモード移行信号を受けることにより、遊技機と連携した遊技媒体の貸出機能が有効な通常モードから貸出機能が無効なテストモードに切り替えるモード切替手段28と、モード切替手段28によりテストモードに切り替わったとき、外部からの指令により、当該遊技媒体貸出装置20の固有情報(台番号)と関連付けて生成したテスト信号を売上情報出力線より出力するテスト信号出力手段(例えば、外部出力パルス発生手段25、台番号記憶手段27、台番号対応発生パルス数変換記憶手段29が協働することで実現する機能)と、を備えるので、遊技媒体貸出装置20の新規導入や入替後の結線確認や機器動作を、テストモードで簡便にテストすることが可能となる。
【0030】
しかも、テスト信号出力手段が生成するテスト信号は、遊技場内の各遊技媒体貸出装置20に固有情報として割り振られた固体番号(例えば、台番号記憶手段27に記憶させた台番号)から一意に定まる数(予め設定した変換規則に基づいて台番号から求められる数)のパルスを出力するものとしたので、遊技媒体貸出装置20の新規導入や入替後にテストモードで行うテスト信号のパルス数から、固体番号の設定ミスの有無を推し量ることができる。
【0031】
加えて、遊技媒体貸出装置20から出力する売上情報は、情報記録媒体Cの発行または情報記録媒体Cへ付加した価値である販売金額と、遊技媒体の貸出に消費した価値である消費金額と、会員カード機能を有する情報記録媒体Cを用いて預け入れた貯玉を引き出す再プレイの3種類を含むが、販売金額のテスト信号と消費金額のテスト信号と再プレイのテスト信号を識別可能に生成する(各々異なる変換規則を設定した)ので、販売信号として出力されるパルス数が「1」〜「10」の範囲、消費信号として出力されるパルス数が「11」〜「20」の範囲、再プレイ信号として出力されるパルス数が「21」〜「30」の範囲に収まっていなければ、遊技媒体貸出装置20とホールコン中継基板30との間に結線間違いがあることを明確に判別できる。なお、遊技媒体貸出装置20で扱える情報記録媒体Cが貯玉の可能な会員カードとして用いられていない場合、ホールコンピュータ40へテスト送信する売上情報としては、少なくとも販売金額と消費金額についてのテスト信号を各々識別可能に生成できればよい。
【0032】
上述した遊技媒体貸出装置20では、台番号の“一の位”のみを使ってテスト信号のパルス数に変換したので、テストに際して、販売信号として出力されるパルス数は「1」〜「10」、消費信号として出力されるパルス数は「11」〜「20」、再プレイ信号として出力されるパルス数は「21」〜「30」の各範囲に収めることが可能となり、著しくパルス数が増大してテストに要する時間が長くなってしまうことを抑制し、効率良く接続テストを行えるが、その反面、台番号の“十の位”或いは“百の位”が誤って設定されていた場合には、これを誤設定として明確に把握できないという欠点がある。しかしながら、パルス幅を短くして送信すれば、パルス数が3桁や4桁になっても短時間で送信できるので、台番号+100,台番号+200,…を変換規則に設定したパルス数をテスト信号として送信するようにしても良い。数百台の遊技媒体貸出装置20が導入されている遊技店においては、台番号+1000,台番号+2000,…を変換規則に設定したパルス数をテスト信号として送信するようにしても良い。
【0033】
また、本実施形態の遊技媒体貸出装置20においては、紙幣識別テストの実施を行うテストモード(プリペイドシステム管理コンピュータ50のテストモード操作画面にて設定可能)への移行が指示されて、モード切替手段28によりテストモードに切り替わったとき、貨幣投入口より貨幣Mが投入されても情報記録媒体Cの発行および情報記録媒体Cへの価値加算を規制し、貨幣識別部21により識別した貨幣価値を表示する貨幣識別テスト手段(例えば、貨幣識別部21、媒体R/W部22、貸出インターフェース信号制御手段24、モード切替手段28等が協働して実現される機能)を有するので、テスト用に投入した貨幣が実際の売上に計上されてしまうような不合理を無くすことができる。
【0034】
なお、テストモードで行える貨幣Mや情報記録媒体Cに関連するテストは、紙幣識別テストに限定されるものではない。例えば、通常モードでは予め情報記録媒体Cが投入されていないとチャージ用に貨幣を投入できないが、テストモードでは貨幣を受け入れてチャージ機能をテストできるようにしても良い。また、情報記録媒体Cの投入テストとして、投入・排出動作時の異常の有無を診断したり、内部にストックした販売用情報記録媒体のローディング等における、各種センサの検知異常等を診断するようにしても良い。なお、センサが配置されている情報記録媒体Cの通過経路としては、媒体投入口からR/W位置へ至る経路、0価値まで消費した使用済み媒体を販売用ストック位置へ引き込む経路、ストックする媒体が上限を超えたときに機外へ排出するためのオーバーフロー経路、R/W位置から返却用排出口へ至る経路、偽造された媒体など適正に情報が読み出せないエラー媒体を取り込んで回収するためのエラー媒体回収経路などがある。
【0035】
次に、遊技媒体貸出装置20が起動して、遊技媒体貸出動作が可能となる一連の処理を、図4に基づき説明する。
【0036】
先ず、遊技媒体貸出装置20は、電源投入により自己診断を行い(ステップS201)、台番号記憶手段27から台番号を取得する(ステップS02)。その後、プリペイドシステム管理コンピュータ50からこのコマンドを待ち(ステップS03)、コマンドを受信した場合には、そのコマンドがテストモード開始のコマンドか否かを判定し(ステップS04)、テストモード開始のコマンドでなければ、開店コマンドか否かを判定し(ステップS05)、受信したコマンドが開店コマンドと判定されれば、接続された遊技機10と相互認証を行って通常モードで起動し(ステップS06)、遊技媒体貸出に関する通常取引処理を行う(ステップS07)。その後は、閉店コマンドを受信したか否かの判定を行い(ステップS08)、閉店コマンドを受信すると通常取引を行わず、処理が終了となる。
【0037】
一方、上記ステップS04で、テストモード開始のコマンドを受けていると判定された場合には、遊技機10と連携しないテストモードで起動し(ステップS09)、テストモード処理を行う(ステップS10)。なお、テストモード処理が終了すると、ステップS05へとび、開店コマンドの受信を待つ処理とすることで、電源の再投入などで再起動することなく、そのまま通常モードで起動可能にする。
【0038】
上記起動処理のステップS10で行うテストモード処理の詳細を図5に示す。
【0039】
テストモード処理が開始されると、先ず、遊技機10と連携した遊技媒体貸出処理を無効化すると共に、テストモード状態であることを表示・操作部22等にて表示し(ステップS11)、台番号対応発生パルス数変換記憶手段29により、テスト送信する売上情報(販売信号、消費信号、再プレイ信号)の各テストパルス数を算出・記憶し(ステップS12)、プリペイドシステム管理コンピュータ50からコマンドを受信したか否かを判定し(ステップS13)、コマンドを受信していた場合には、それが販売信号のテストか否かを判定し(ステップS14)、販売信号のテストを行うコマンドを受信していれば、台番号対応発生パルス数変換記憶手段29により算出・記憶している販売信号のテスト用パルス数のテスト信号を出力する(ステップS14)。
【0040】
以下同様に、プリペイドシステム管理コンピュータ50から受信したコマンドが消費信号のテストか否かを判定し(ステップS16)、消費信号のテストを行うコマンドを受信していれば、台番号対応発生パルス数変換記憶手段29により算出・記憶している消費信号のテスト用パルス数のテスト信号を出力し(ステップS17)、プリペイドシステム管理コンピュータ50から受信したコマンドが再プレイ信号のテストか否かを判定し(ステップS18)、再プレイ信号のテストを行うコマンドを受信していれば、台番号対応発生パルス数変換記憶手段29により算出・記憶している再プレイ信号のテスト用パルス数のテスト信号を出力する(ステップS19)。
【0041】
続いて、プリペイドシステム管理コンピュータ50からテストモード終了の指示を受けたか否かの判定を行い(ステップS20)、テストモード終了の場合は、テストモードで設定した諸情報を初期化するテストモード終了処理を行って(ステップS21)、テストモード処理を終了し、起動処理の開店コマンド待ちとなる。
【0042】
一方、上記ステップS13でプリペイドシステム管理コンピュータ50からのコマンドを受信していないと判定された場合には、遊技媒体貸出装置20に対する何らかの操作が有ったか否かを判定し(ステップS22)、何の操作もないと判定された場合は、上記ステップS13にて再びコマンド受信待ちとなる。
【0043】
上記ステップS22にて操作有りと判定された場合には、それが紙幣投入か否かを判定し(ステップS23)、紙幣投入であった場合には、貨幣識別部21での識別結果を表示し(ステップS24)、投入された紙幣を搬送側へ排出して紙幣搬送装置により島端の紙幣収納庫へ搬送する(ステップS25)。なお、紙幣収納タイプの遊技媒体貸出装置の場合は、投入紙幣を内部の紙幣ストッカーへ収納処理することで、紙幣ストッカーの動作をテストするようにしても良い。
【0044】
上記ステップS23にて紙幣投入ではないと判定された場合には、台番号の設定操作か否かを判定し(ステップS26)、台番号の設定操作であった場合には、台番号の設定入力(例えば、表示・操作部23を介して行う操作入力)を受け付け(ステップS27)、台番号記憶手段27に記憶する(ステップS28)。
【0045】
上記ステップS26にて台番号の設定操作ではないと判定された場合には、設定情報の表示操作か否かを判定し(ステップS29)、設定情報の表示操作であると判定された場合には、表示・操作部23へ設定情報を表示する(ステップS30)。なお、上記ステップS29で設定情報の表示操作でもないと判定された場合には、その操作に応じた対応の処理を行う(ステップS31)。
【0046】
上記ステップS23〜S31の処理を行った後は、台番号の設定変更された可能性があることから、ステップS12にて、台番号対応発生パルス数変換記憶手段29によるテストパルス数を再算出し、改めて記憶する。
【0047】
以上、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、この実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。
【符号の説明】
【0048】
10 遊技機
20 遊技媒体貸出装置
202 外部出力端子板
21 貨幣識別部
22 媒体R/W部
25 外部出力パルス発生手段
26 外部通信手段
27 台番号記憶手段
28 モード切替手段
29 台番号対応発生パルス数変換記憶手段
30 ホールコン中継基板
40 ホールコンピュータ
50 プリペイドシステム管理コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場に設置された遊技機に夫々対応して設けられ、投入された貨幣の価値及び真贋を識別する貨幣識別部を備え、該貨幣識別部により識別された貨幣価値に基づく価値を付加した情報記録媒体の発行あるいは投入された情報記録媒体への価値加算を行い、情報記録媒体に記録された価値に基づいて遊技機に供する遊技媒体を遊技機より払い出す遊技媒体貸出制御を行い、価値の付加および価値の消費に関わる売上情報を外部へ出力する売上情報出力線を有する遊技媒体貸出装置において、
外部からのテストモード移行信号を受けることにより、遊技機と連携した遊技媒体の貸出機能が有効な通常モードから貸出機能が無効なテストモードに切り替えるモード切替手段と、
前記モード切替手段によりテストモードに切り替わったとき、外部からの指令により、当該遊技媒体貸出装置の固有情報と関連付けて生成したテスト信号を売上情報出力線より出力するテスト信号出力手段と、
を備えることを特徴とする遊技媒体貸出装置。
【請求項2】
前記モード切替手段によりテストモードに切り替わったとき、貨幣が投入されても情報記録媒体の発行および情報記録媒体への価値加算を規制し、貨幣識別部により識別した貨幣価値を表示する貨幣識別テスト手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項3】
前記テスト信号出力手段が生成するテスト信号は、遊技場内の各遊技媒体貸出装置に固有情報として割り振られた固体番号から一意に定まる数のパルスを出力するものとしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項4】
前記売上情報は、少なくとも、情報記録媒体の発行または情報記録媒体へ付加した価値である販売金額と、遊技媒体の貸出に消費した価値である消費金額と、を含み、
前記テスト信号出力手段は、販売金額のテスト信号と消費金額のテスト信号とを識別可能に生成することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の遊技媒体貸出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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