説明

遊技機

【課題】 封止手段の破壊の有無を簡単に視認でき、封止状態が解除されているか否かを確実に判断することができる遊技機の基板ケースを実現する。
【解決手段】 基板ケース84の本体85と蓋体86との封止状態を解除するためには、右側封止部材87aの連結部材91aの切断部91e、91eをニッパ等の工具によって切断する。このとき、突起部97aは切断部91eに接して設けられているため、切断部91eとともに切断される。突起部97aの一部が破壊されると、突起部97aの先端部まで形成されている電気回路98aの一部が切断され、太陽電池96aによる電力の供給が行われなくなるため、LED95aは消灯する。つまり、突起部が破壊していないLEDは点灯し、突起部が破壊されたLEDは消灯するため、封止状態が解除されたか否かをLEDの点灯状態により確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技に関する制御を行う制御基板が収容される基板ケースを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の基板ケースは、本体と、この本体を覆う蓋体とから構成され、基板ケースの内部には、当たりかハズレかの判定などを行う主制御基板など、遊技に関する制御を行う制御基板が収容されている。基板ケースには、制御基板に設けられたROM,CPU等を不正に交換するような不正行為の防止を目的として、本体と蓋体とを封止する封止手段が設けられている。
従来、この封止手段として、本体および蓋体の接合部位に両者を封止する手段を設けて、開封不能に封止し、封止手段の破壊の有無により、不正行為があったか否かを判断するものが知られている。
ところで、封止手段を不正に破壊した後に、その破壊部位を巧妙に修復することにより隠蔽する事犯も発生するようになった。そこで、封止手段の破壊をより一層視認しやすくする方法が提案されている。例えば、インク類を封止手段内部に封入し、封止手段の破壊に伴って周囲に流出するインク類の付着状態の有無によって破壊の有無を明示する方法がある(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−314624号公報(第3−4頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、インク類の付着状態の確認作業は、遊技盤の裏側という照明が十分に行き届きにくい環境下での作業なので、視認されずに見過ごしてしまうおそれがあった。また、確認作業を行う者にとっては、不正発見のための確認作業に時間がかかり、細心の注意が必要となるため、大きな負担となっていた。また、インク類が封止手段の破壊前に封入部から漏れてしまったり、封止手段が破壊してもインク類が視認するために必要な量が流出しなかったりすることがあり、破壊の有無を明確かつ瞬時に判断することができなかった。更に、インク類の漏出、流出による他部品への悪影響等も問題となっていた。
【0005】
そこで、この発明は、封止状態が解除されているか否かを簡単に視認でき、確実に判断することができる遊技機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、遊技に関する制御を行う制御基板(100)が収容される本体(85)と、この本体を覆う蓋体(86)とを有する基板ケース(84)を備えた遊技機(1)において、前記基板ケース(84)に設けられており、前記本体(85)を前記蓋体(86)が覆った状態で封止する封止手段(87a〜87d、88a〜88d)と、前記基板ケース(84)に外部から視認可能に取り付けられている発光体(95a〜95d)と、前記発光体(95a〜95d)と接続されており、前記発光体(95a〜95d)を点灯または消灯させる電気回路(98a、98b)と、前記発光体(95a〜95d)と前記電気回路(98a、98b)により接続されており、前記発光体(95a〜95d)の発光のための電力を供給する電源(96a〜96d)とを備えており、前記封止手段(87a〜87d、88a〜88d)による前記本体(85)と前記蓋体(86)との封止状態が解除されると、前記電気回路(98a、98b)が遮断され、前記発光体(95a〜95d)が消灯または点灯する、という技術的手段を採用する。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の遊技機(1)において、前記封止手段(87a〜87d、88a〜88d)は前記基板ケース(84)の外部に突出して設けられており、前記電気回路(98a、98b)の一部が前記封止手段(87a〜87d、88a〜88d)と一体的に突出して形成されている、という技術的手段を採用する。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の遊技機(1)において、前記電源(96a〜96d)が太陽電池である、という技術的手段を採用する。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の遊技機(1)において、前記発光体(95a〜95d)と前記封止手段(87a〜87d、88a〜88d)とが複数組設けられており、前記封止手段(87a〜87d、88a〜88d)は、その1つにつき前記本体(85)と前記蓋体(86)との封止を1回のみ行うことができ、その1回のみ行った封止による前記本体(85)と前記蓋体(86)との封止状態が解除されると、再度、同じ封止手段によっては封止することができなくなる、という技術的手段を採用する。
なお、上記括弧内の符号は、後述の実施形態において使用する符号に対応するものである。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1に記載の発明の作用)
封止手段による基板ケースの本体と蓋体との封止状態が解除されると、基板ケースに外部から視認可能に取り付けられている発光体を点灯または消灯させる電気回路が遮断され、発光体が消灯または点灯する。
【0011】
(請求項1に記載の発明の効果)
発光体の点灯状態が、基板ケースの本体と蓋体との封止状態が解除されることにより変化するため、封止状態が解除されているか否かを簡単に視認でき、確実に判断することができる遊技機を実現できる。
【0012】
(請求項2に記載の発明の効果)
電気回路の一部が、基板ケースの外部に、封止手段と一体的に突出して形成されているため、封止手段の破壊とともに電気回路が遮断されやすいので、より確実に封止状態の解除を検知できる。
【0013】
(請求項3に記載の発明の効果)
発光体の発光のための電力を供給する電源が太陽電池であるので、該太陽電池に何らかの光が照射された時に発光体に通電するため、遊技機の電源を投入しなくても、封止状態を点検することができる。また、乾電池などと異なり、室内灯などにより発電するため、電池切れのおそれがない。更に、発光体の寿命を長くすることができる。
【0014】
(請求項4に記載の発明の効果)
封止手段が複数個設けられているので、基板ケースの封止および開封を複数回行うことができる。また、発光体が上記した複数個の封止手段に夫々対応して設けられているので、封止状態を解除する度に新たに基板ケースに発光体を取り付ける手間をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[パチンコ機1の主要構成]
この発明を実施するための最良の形態では、この発明に係る遊技機としてパチンコ機を代表に説明する。
まず、この実施形態のパチンコ機の主要構成について図1を参照して説明する。図1は、そのパチンコ機の外観の斜視説明図である。
パチンコ機1には、外殻を構成する外枠2が設けられており、その外枠2にはガラス枠3が開閉可能に取付けられている。ガラス枠3の内側には遊技盤5が設けられており、外枠2の前面右下方には、遊技盤5へ遊技球を発射する発射装置を操作する発射レバー15aが回動可能に取付けられている。ガラス枠3の左下方には、賞球や貸球が供給される賞球・貸球供給口6aが形成されており、その賞球・貸球供給口6aの供給側には、その賞球・貸球供給口6aから供給された賞球や貸球を収容する上皿6が設けられている。上皿6の前面には、遊技球の貸出しを行う場合に押す貸出ボタン81と、図示しないカード挿入口に挿入されているプリペイドカードを返却するために押す返却ボタン82とが備えられているボタンユニット80が取付けられている。ボタンユニット80の下方には、プリペイドカードの残高などを表示する残高表示器9が取付けられている。上皿6の下方には、上皿6の収容可能数を超えて流下した賞球や上皿球抜きレバー6bの操作により上皿6から排出された遊技球などを排出する排出口7aが形成されている。排出口7aの排出側には、その排出口7aから排出された遊技球を収容する下受け皿7が設けられている。
【0016】
[遊技盤5の主要構成および主な遊技]
次に、遊技盤5の主要構成について図2を参照して説明する。図2は、遊技盤5の主要構成を示す正面説明図である。
遊技盤5の略中央には、立体的な構造物であるセンターケース30が備えられている。センターケース30には、複数の特別図柄(たとえば、0〜9の数字を表現した図柄)および複数の普通図柄(例えば、○、×)を表示する特別図柄表示装置32が設けられている。特別図柄表示装置32は、複数の特別図柄を所定の順序で画面上に表示する(以下、その表示を特別図柄の変動表示という)。変動表示の手法は複数あり、たとえば複数の特別図柄を縦方向に配列した図柄列を画面の横方向3個所の表示領域においてそれぞれ上から下に向けて移動させる手法がある。
センターケース30の下方には、第1種始動口27を内部に備えた普通電動役物28が設けられている。遊技球が第1種始動口27に入賞すると、特別図柄表示装置32が特別図柄の変動表示を開始する。また、遊技球が第1種始動口27に入賞すると、所定個数(たとえば、4個)の賞球が払出される。なお、特別図柄の変動表示中に遊技球が第1種始動口27に入賞した場合は、その入賞による特別図柄の変動表示が保留され、その保留された変動表示は、現在行われている変動表示終了後に行われる。保留されている数(以下、特別図柄始動記憶数という)は、特別図柄表示装置32の上部に設けられた特別図柄始動記憶数表示装置34のLEDの点灯数により表示される。
【0017】
特別図柄の変動表示開始から所定時間経過すると、各図柄列を所定の順序で停止させ、各表示領域に停止図柄を表示する。そして、各停止図柄が大当り図柄(たとえば、777などの同一数字からなるもの)の場合に大当りが発生する。大当りが発生すると、普通電動役物28の下方に設けられた変動入賞装置40が作動し、大入賞口開閉部材43が開放し、大入賞口41が開口する。そして、大入賞口41に遊技球が入賞すると、所定個数(たとえば15個)の賞球が払出される。大入賞口41が開口してから所定時間(たとえば約30秒)経過したか、あるいは大入賞口41への入賞数が所定数(たとえば10個)に達したかのいずれかの条件が満足されると大入賞口41が閉口する。大入賞口41の開口から閉口までを1ラウンドといい、ラウンド中に、大入賞口41の内部に設けられた特定領域に遊技球が入賞したことを条件として次のラウンドに進むことができ、複数のラウンド(たとえば16ラウンド)を実行することができる。以下、第1ラウンドから最終ラウンドまでの遊技を大当り遊技という。
【0018】
遊技球が遊技盤5に設けられた右ゲート25または左ゲート26を通過すると特別図柄表示装置32により普通図柄の変動表示が開始され、当りの普通図柄で停止すると、普通電動役物28の両翼が開放し、第1種始動口27への入賞が容易となる。普通図柄の変動表示中に遊技球が右ゲート25または左ゲート26を通過した場合は、その通過による普通図柄の変動表示が保留され、その保留された変動表示は、現在行われている変動表示終了後に行われる。保留されている数(以下、普通図柄始動記憶数という)は、特別図柄始動記憶数表示装置34の左側に設けられた普通図柄始動記憶数表示装置35のLEDの点灯数により表示される。
【0019】
また、遊技盤5には、右入賞口22、左入賞口23、右下入賞口14および左下入賞口44(以下、これらの入賞口を一般入賞口という)が設けられている。一般入賞口に入賞すると所定個数(たとえば、7個)の賞球が払出される。
その他遊技盤5には、風車24、発射された遊技球を遊技領域へ案内する案内レール16、遊技盤5の上方角部を装飾するコーナー飾り11、側部を装飾するサイド飾り20、どこにも入賞しなかった遊技球をアウト球として回収するアウト口45などが設けられている。遊技盤5の盤面には、多くの遊技釘21が打ち込まれており、発射された遊技球は遊技釘に衝突することによって流下方向が変化し、入賞口に入賞したり、右ゲート25または左ゲート26を通過したりする。
【0020】
[パチンコ機1の電気的構成]
次に、パチンコ機1の主な電気的構成についてそれをブロックで示す図3を参照して説明する。
パチンコ機1には、主制御基板100が設けられており、その主制御基板100には、マイクロプロセッサ110が搭載されている。主制御基板100は、後述する本発明の要部に係る基板ケース84に収容される。マイクロプロセッサ110は、メインCPU112と、ROM114と、RAM116とを備える。メインCPU112は、入賞の発生の検知、入賞数の演算、払出個数の監視、払出すべき賞球数と実際に払出された賞球数との誤差の演算、誤差の演算結果に基づくエラー報知、大当りかハズレかの判定(以下、大当り判定という)、特別図柄の変動表示内容の決定など、遊技の進行および遊技状態の変更に必要な主な制御および処理を行う。
ROM114には、メインCPU112が各種制御などを実行するための各種制御プログラム、制御プログラム実行時に参照する各種テーブルなどが記録されている。RAM116は、メインCPU112の処理結果などの遊技中に発生する各種データ、ROM114から読出された制御プログラムなどを一時的に格納し、電源遮断時に停電直前の遊技状態を示すデータなどをバックアップして記憶するバックアップ領域を備える。
【0021】
主制御基板100には、次に記載するものが電気的に接続されている。遊技球が第1種始動口27に入賞したことを検知する第1種始動口スイッチ(SW)27a、特別図柄表示装置32を制御する図柄制御基板32a、遊技中に発生する効果音を制御する音声制御基板79、LEDやランプ類などの発光部材の点灯・点滅を制御するランプ制御基板300、電源基板71、賞球および貸球の払出しなどを制御する払出制御基板200、大当りの発生や賞球払出数などに関する遊技盤情報をパチンコホールの管理室などに設けられたホールコンピュータへ送信するための遊技枠情報端子基板52、盤面中継基板51、遊技枠中継基板53である。
【0022】
払出制御基板200には、主制御基板100から送信されてくる賞球コマンドなどを受信するマイクロプロセッサ210が搭載されており、マイクロプロセッサ210には、賞球および貸球の払出しなどの制御を実行するサブCPU212と、このサブCPU212が賞球および貸球の払出しなどの制御を実行するための各種制御プログラムが記録されたROM214と、メインCPU112から送信された賞球コマンドにより示される賞球数やサブCPU212が各種制御プログラムを実行する際にROM214から読出された制御プログラムなどを一時的に格納するRAM216とが搭載されている。また、RAM216は、電源遮断時に、入賞数や未払いの賞球数などを示すデータをバックアップして記憶するバックアップ領域を備える。
また、払出制御基板200には、電源基板71、発射モータ15eを駆動するための発射モータ駆動基板15c、遊技枠情報端子基板52および払出中継基板55が電気的に接続されている。発射モータ駆動基板15cには、発射モータ駆動基板15cから発射モータ15eへ駆動信号を出力させるための発射スイッチ(SW)15dが電気的に接続されている。
【0023】
遊技枠中継基板53には、下受け皿7が遊技球で満杯になったことを検知する下皿満杯検知スイッチ(SW)72、賞球切れを検知する賞球切れ検出スイッチ(SW)73およびセンサ中継基板54が電気的に接続されている。センサ中継基板54は、払出装置62に備えられた前部払出センサ62a、後部払出センサ62bおよび払出中継基板55と電気的に接続されている。払出中継基板55には、貸球切れを検知する貸球切れ検出スイッチ(SW)61および払出モータ62cが電気的に接続されている。
盤面中継基板51には、普通電動役物28の両翼を開閉駆動する普通電動役物ソレノイド(SL)28a、右ゲート25を通過した遊技球を検知する右ゲートスイッチ(SW)25a、左ゲート26を通過した遊技球を検知する左ゲートスイッチ(SW)26a、大入賞口41に入賞した遊技球を検知する大入賞口スイッチ(SW)41a、右入賞口22に入賞した遊技球を検知する右入賞口スイッチ(SW)22a、左入賞口23に入賞した遊技球を検知する左入賞口スイッチ(SW)23a、右下入賞口14に入賞した遊技球を検知する右下入賞口スイッチ(SW)14a、左下入賞口44に入賞した遊技球を検知する左下入賞口スイッチ(SW)44a、大入賞口中継基板50が電気的に接続されている。
【0024】
大入賞口中継基板50には、特定領域を通過した遊技球を検知する特定領域スイッチ(SW)42aと、遊技球を特定領域へ案内する状態と案内しない状態とに変化する部材を動作させる特定領域ソレノイド(SL)42bと、大入賞口開閉部材43を開閉動作させる大入賞口ソレノイド(SL)41bとが電気的に接続されている。電源基板71は、CR接続基板56と電気的に接続されており、CR接続基板56には、残高表示器9に残り度数を表示するための回路が搭載された度数表示基板57が電気的に接続されている。度数表示基板57には、貸出ボタン81と、返却ボタン82と、貸出ボタンランプ83とが電気的に接続されている。
電源基板71は、AC24V(50Hz/60Hz)の主電源70から電源の供給を受け、各基板および装置へ動作電源を供給する。図示しないが、電源基板71には、パチンコ機1の電源のON・OFFを行う電源スイッチ(SW)と、RAM116,216のバックアップ領域に記憶されているデータをクリアするためのRAMクリアスイッチとが設けられている。
【0025】
[基板ケースの構造]
次に、基板ケースの構造について図4ないし図7を参照して説明する。図4は、パチンコ機1の裏面側から見た基板ケースの説明図である。図5は、基板ケースの封止部材近傍の斜視説明図である。図6は、LED基板が取り付けられた封止部材近傍の斜視説明図である。図7(A)は、突起部が破壊していない場合のLEDの発光状態の説明図であり、図7(B)は、突起部が破壊した場合のLEDの発光状態の説明図である。
【0026】
基板ケース84は、パチンコ機1の裏面に設けられており、図4に示すように、主制御基板100を収容する本体85と、その本体85を被覆する蓋体86と、この両者を右側面において封止する右側封止部材87a〜87dと、左側面において封止する左側封止部材88a〜88dとを有する。
【0027】
本体85は、透光性を有する材料、例えば、アクリルなどの透明な合成樹脂材料により上面が開口した箱状に形成されており、その底面には主制御基板100が固定されている。
蓋体86は、本体85同様の材料により下面が開口した箱状に形成されており、その開口部の外周形状は、本体85の開口部の外周形状と略同一である。また、蓋体86の開口部の内側面には、本体85の開口部の内側面に当接し、位置決めするための図示しないガイド部が設けられており、本体85と蓋体86とは開口部の周縁同士が合わさって一体的に位置決めされる。
【0028】
蓋体86は、左右2箇所の角部に設けられた固定部89a、89bと左右2箇所にそれぞれ4組ずつ設けられた右側封止部材87a〜87dおよび左側封止部材88a〜88dとで本体85と固定される。蓋体86の上面には、パチンコ機1の型式、製造者などを記入した型式名・製造者名記入票58と、基板管理番号、公的機関による基板開封履歴などを記入した基板開封履歴シール59とが貼付されている。
基板ケース84の内部右下には、コネクタ取り付け領域60aが設けられており、内部上方には、コネクタ取り付け領域60bが設けられている。コネクタ取り付け領域60a、60bには、基板ケース84の内部と外部とにまたがったコネクタがそれぞれ設けられており、本体85と蓋体86とが封止された状態で、主制御基板100が上記コネクタを介して基板ケース84の外部の配線に接続されている。
なお、右側封止部材87a〜87dと左側封止部材88a〜88dとは、同じ構成であるので、以下では右側封止部材87a〜87dについてのみ説明する。
【0029】
[右側封止部材の構造]
4組の右側封止部材87a〜87dは、基板ケース84の右側面に沿って所定間隔毎に並んで設けられている。なお、右側封止部材87a〜87dは、それぞれ同じ構成であるため、ここでは、右側封止部材87aを代表にして説明する。
図6に示すように、右側封止部材87aは、蓋体86に設けられている連結部材91aと、本体85に設けられており、連結部材91aと連結される結合部材92aと、連結部材91aと結合部材92aとを結合して基板ケース84を封止状態にするための封止ネジ90a(図4)とから構成される。
【0030】
連結部材91aは、封止を解除する際に切断する1組の切断部91e,91eと、封止ネジ90a(図6)の頭部によって結合部92aに係止されるためのネジ止め部91pとから構成される。各切断部91eは、それぞれ蓋体86の右側面から突出して設けられており、各切断部間には、封止ネジ90aの頭部が通過可能な空間が形成されている。各切断部91eは、ニッパなどの工具によって破断可能な形状および大きさに形成されている。この実施形態では、各切断部91eは、蓋体86の右側面から右下方に向かって円弧を描く縦断面略扇形の板状にそれぞれ形成されている。
ネジ止め部91pは、横断面円環状に形成されており、封止ネジ90aを挿通する孔部が上下方向に貫通形成されている。また、その孔部の底部には、封止ネジ90aの頭部の下面によって係止されるためのつば部が内周壁から中心に張り出して形成されている。各切断部91eの下端とネジ止め部91pの上端とは、一体的に結合されている。
結合部材92aの内部には、封止ネジ90aをねじ込むことによりネジ溝が形成されるネジ下孔が上下方向に貫通形成されている。また、結合部材92aは、蓋体86を本体85に被せたときにネジ止め部91pの直下に位置するように設けられており、ネジ止め部91pの孔部は、結合部材92aのネジ下孔と連通する。
封止ネジ90a〜90d(図4)は、締め付け方向にのみ回転させることができるワンウェイネジであり、一旦締め付けると取り外すことはできない。
【0031】
[LED基板の構造]
基板ケース84の内部には、略平板状に形成されたLED(発光ダイオード)基板94が蓋体86に固定されて設けられている。LED基板94には、4個のLED95a〜95dが、それぞれ右側封止部材87a〜87dのほぼ左方になるように並んで設けられており、それぞれにLED95a〜95dの電源である太陽電池96a〜96dが、電気回路98a、98bおよびLED95c、95dの図示しない電気回路で接続されている(図7)。ここで、電源が太陽電池96a〜96dなので、該太陽電池96a〜96dに何らかの光が照射された時にだけLED95a〜95dに通電されるため、LED95a〜95dの寿命が長くなるとともに、乾電池のように電池切れを起こすおそれがない。
【0032】
LED基板94の右側端部からは、右側封止部材87a〜87dに対応して右方向に4箇所の突起部97a〜97dが形成されている。図7(A)に示すように、電気回路98a、98bは突起部97a〜97dの略先端部に及ぶように延長されて形成されている。パチンコ機1の裏面を開放すると、LED基板94に設けられたLED95a、95bが、室内灯からの光で蓄電された太陽電池96a、96bにより電流が送られて点灯する。この実施形態では、電気回路98a、98bはエッチングにより形成されている。
【0033】
図6に示すように、蓋体86の右側面には、突起部97a〜97dを挿通するとともに、突起部97a〜97dを夫々切断部91e〜91hに接して位置決めするための挿通口93a〜93dが貫通形成されている。LED基板94を蓋体86に固定するには、突起部97a〜97dを挿通口93a〜93dに挿通し、基板ケース84の外部にその先端部を突出させ、それぞれ切断部91e〜91hと接して並列に配置した上で、図示しない取付ビスによって蓋体86に螺着する。
この実施形態では、突起部97a〜97dは角柱状に形成されている。
【0034】
[本体85と蓋体86との封止および封止状態の解除]
基板ケース84は、蓋体86にLED基板94を固定した状態で、右側封止部材87aにおいてネジ止め部91pと結合部材92aとを対向させて、蓋体86を本体85に被せて組み合わせ、封止ネジ90aをネジ止め部91pに挿入し、結合部材92aにねじ込むことにより封止される。左側封止部材88dについても同様な手順で封止される。ここで、封止ネジ90aはワンウェイネジであり、一旦締め付けると取り外すことはできないため、右側封止部材87aおよび左側封止部材88dを破壊せずに封止状態を解除することはできない。
【0035】
右側封止部材87a〜87dおよび左側封止部材88a〜88dはそれぞれにおいて封止可能であるが、通常は、左右の封止部材をそれぞれ1箇所のみ封止する。基板ケース84は点検等のために開封する場合があるが、左右の封止部材をそれぞれ1箇所のみ封止するようにしておけば、各封止部材の封止されている箇所の切断部を切断して開封し、点検等の後に残った未使用の封止部材を用いて封止することができる。封止部材は左右に4個1組でそれぞれ設けてあるので、最大4回までの封止および開封が可能である。この実施形態では、図4に示すように、右側封止部材87aおよび左側封止部材88dの2箇所のみが封止されている。
封止した箇所以外の封止ネジ90b〜90dは、紛失を避けるために、結合部材92b〜92dの内部に設けられた図示しない収納部に収納されている。
【0036】
基板ケース84の本体85と蓋体86との封止状態を解除し、開封可能にするためには、図6に示すように、右側封止部材87aの連結部材91aの切断部91e、91eをニッパ等の工具によって切断する。切断部91e、91eを切断することで、右側封止部材87aのネジ止め部91pが蓋体86から分断され、蓋体86を本体85から外すことができる。
ここで、突起部97aは切断部91eに接して設けられているため、すなわち、図6に示す状態で切断部91eを切断するためには突起部97aも併せて切断せざるをえないように設けられているため、ニッパ等の工具によって切断部91eを切断するときに、突起部97aも切断部91eとともに切断される。
基板ケース84を不正に開封しようとする者が、突起部97aの存在に気づき、突起部97aの破壊を回避しようとしても、突起部97aは切断部91eに接して設けられているため、切断部91eを破壊するときの動作や破壊したときの衝撃に伴って、突起部97aも破壊されてしまう。
【0037】
図7(B)に示すように、切断部91eの破壊と共に突起部97aの一部が破壊されると、突起部97aの先端部まで形成されている電気回路98aの一部が切断される。電気回路98aの一部が切断されると、太陽電池96aによる電力の供給が行われなくなるため、LED95aは消灯する。
つまり、突起部が破壊していないLEDは点灯し、突起部が破壊されたLEDは消灯するため、突起部と共に破壊される連結部材の破壊の有無、すなわち封止状態が解除されたか否かをLEDの点灯状態により容易かつ確実に確認することができる。
【0038】
[発明を実施するための最良の形態による効果]
(1)以上のように、上記最良の形態のパチンコ機1を使用すれば、LED95a〜95dの点灯状態が、基板ケース84の本体85と蓋体86との封止状態が解除されているか否かで変化するため、封止状態が解除されているか否かを簡単に視認することができ、判断することができる。
従って、右側封止部材87a〜87dの破壊の有無を簡単に視認でき、基板ケース84の本体85と蓋体86との封止状態が解除されているか否かを確実に判断することができるパチンコ機1を実現できる。
【0039】
(2)電気回路98a、98bの一部が、突起部97a、97bの先端部までそれぞれ形成され、突起部97aは基板ケース84の外部に、切断部91eと接するように一体的に突出して形成されているため、切断部91eの破壊とともに電気回路98aが遮断されるので、より確実に基板ケース84の本体85と蓋体86との封止状態の解除を検知できる。
【0040】
(3)LED95a〜95dの発光のための電力を供給する電源が太陽電池96a〜96dであるので、該太陽電池96a〜96dに何らかの光が照射された時に発光体に通電するため、パチンコ機1の電源を投入しなくても、封止状態を点検することができる。また、乾電池などと異なり、室内灯などにより発電するため、電池切れのおそれがない。更に、LED95a〜95dの寿命を長くすることができる。
【0041】
(4)右側封止部材87a〜87dは4個設けられているので、基板ケース84の封止および開封を4回行うことができる。LED95a〜95dは右側封止部材87a〜87d毎に4組設けられているので、基板ケース84の本体85と蓋体86との封止状態を解除する度に新たに基板ケース84にLED95a〜95dを取り付ける手間をなくすことができる。
なお、以上の最良の形態の(1)〜(4)の効果は、左側封止部材88a〜88dについても奏することができる。
【0042】
(その他の実施形態)
(1)前述した最良の形態においては、発光体に接続される電気回路の一部を備えた突起部を切断部に接して設ける方法を採用したが、これに限定する必要はない。つまり、切断部を切断するためには突起部を共に切断せざるをえない構成であれば他の構成でもよく、例えば、切断部の内部に突起部を埋設した構成でもよい。この構成を使用した場合でも、前述した最良の形態の効果を奏することができる。
【0043】
(2)発光体は、LEDの他、電球など他の発光体を用いてもよい。この構成を使用した場合でも、電源として太陽電池を採用しているので、発光体として比較的寿命の短い電球等を用いても、長時間使用することができ、前述した最良の形態の効果を奏することができる。
【0044】
(3)電源は、太陽電池の他、乾電池、パチンコ機からの電源供給など、他の電源を用いてもよい。この構成を使用した場合でも、前述した最良の形態の(1)、(2)および(4)の効果を奏することができる。
【0045】
(4)電気回路は、突起部の破壊に伴い切断されるものであれば、エッチングの他、めっきや細線による配線など他の電気回路でもよい。この構成を使用した場合でも、前述した最良の形態の効果を奏することができる。
【0046】
(5)挿入口から外部に突出している突起部の先端部分に、電気回路を切断しないように切り込みを形成してもよい。より小さな力で突起部を破壊させることができるため、切断部を破壊したときに、より確実に突起部を破壊させることができる。また、この構成を使用した場合にも、前述した最良の形態の効果を奏することができる。
【0047】
(6)この発明は、基板ケースに封止手段を備えた遊技機であれば、パチンコ機の他、スロットマシンなど、他の遊技機にも適用することができる。この構成を使用した場合でも、前述した最良の形態の効果を奏することができる。
【0048】
[各請求項と実施形態との対応関係]
(請求項1)
右側封止部材87a〜87dおよび左側封止部材88a〜88dが封止手段に、LED95a〜95dが発光体に、太陽電池96a〜96dが電源にそれぞれ対応する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】パチンコ機1の外観の斜視説明図である。
【図2】遊技盤5の主要構成を示す正面説明図である。
【図3】パチンコ機1の主な電気的構成をブロックで示す説明図である。
【図4】パチンコ機1の裏面側から見た基板ケースの説明図である。
【図5】基板ケースの封止部材近傍の斜視説明図である。
【図6】LED基板が取り付けられた封止部材近傍の斜視説明図である。
【図7】図7(A)は、突起部が破壊していない場合のLEDの発光状態の説明図であり、図7(B)は、突起部が破壊した場合のLEDの発光状態の説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 パチンコ機(遊技機)
51 基板ケース
52 本体
53 蓋体
87a〜87d 右側封止部材(封止手段)
88a〜88d 左側封止部材(封止手段)
95a〜95d LED(発光体)
96a〜96d 太陽電池(電源)
97a〜97d 突起部
98a〜98d 電気回路
100 主制御基板(制御基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する制御を行う制御基板が収容される本体と、この本体を覆う蓋体とを有する基板ケースを備えた遊技機において、
前記基板ケースに設けられており、前記本体を前記蓋体が覆った状態で封止する封止手段と、
前記基板ケースに外部から視認可能に取り付けられている発光体と、
前記発光体と接続されており、前記発光体を点灯または消灯させる電気回路と、
前記発光体と前記電気回路により接続されており、前記発光体の発光のための電力を供給する電源とを備えており、
前記封止手段による前記本体と前記蓋体との封止状態が解除されると、前記電気回路が遮断され、前記発光体が消灯または点灯することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記封止手段は前記基板ケースの外部に突出して設けられており、
前記電気回路の一部が前記封止手段と一体的に突出して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記電源が太陽電池であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記封止手段と前記発光体とが複数組設けられており、
前記封止手段は、その1つにつき前記本体と前記蓋体との封止を1回のみ行うことができ、その1回のみ行った封止による前記本体と前記蓋体との封止状態が解除されると、再度、同じ封止手段によっては封止することができなくなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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