説明

遊技機

【課題】演出装置周辺に設けた図柄表示装置の視認性を低下することなく発光による演出を可能とする。
【解決手段】機前面側へ光を照射可能な第1LED51および基板面と平行に光を照射可能な第2LED52を有するLED基板50と、LED基板50との間に間隙を形成し、駆動手段53の駆動によりLED基板50の前側で回転される可動体60と、可動体60の外周囲を囲繞する筒状部材90とから演出装置40を構成する。周壁部91のLED基板50からの突出寸法は、該LED基板50から可動体60までの離間寸法より大きく設定されて、第1LED51からの光は、可動体60の露出部78から前方へ照射されると共に、第2LED52からの光は、LED基板50および可動体60間の間隙から可動体60の外方へ向けて照射されて周壁部91に照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤に画成された遊技領域に、可動体を有する可動演出装置を配設して遊技演出を行ない得るよう構成された遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、機内にセットされる遊技盤の盤面に画成した遊技領域の略中央位置に装飾部材が配設されて、該装飾部材の開口部から液晶式やドラム式等の図柄表示装置を遊技盤裏側から臨ませ、この図柄表示装置で図柄組み合わせゲームやリーチ演出等の遊技演出を行なうよう構成されている。また、この種のパチンコ機では、前記遊技盤や装飾部材に発光装置を配設して、前記図柄表示装置での図柄変動による演出に加えて、発光装置による光の演出を行ない得るよう構成されたものが一般に知られている。このような発光演出としては、例えば特許文献1のように、前記図柄表示装置が臨む前記装飾部材の開口上縁側に複数の発光体を配設し、該発光体の前側に光を拡散すると共に複数色の色彩が帯状に着色されたフィルタ部材を設けて、該フィルタ部材を往復移動させることで、フィルタ部材を透過した光を複数色に変化させるよう構成したものが提案されている。
【特許文献1】特開2001−161905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、発光装置が配設されたパチンコ機では、発光体の発光により電飾効果に優れた演出が期待できるものの、該発光装置の周辺に設けられる部材に対して光の漏れが生じ、当該発光装置の周辺部材の視認性が低下することが懸念される。特に、発光装置の周辺に図柄表示装置が配設された構成では、発光装置からの光が図柄表示装置の表示面に写り込んで、図柄表示装置での図柄変動演出の妨げになる虞があり、結果的に遊技盤全体の視認性の低下を招来することにも繋がってしまう。この場合に、発光装置の光量を低下させれば、発光装置の周辺部材の視認性が低下するのを防止できるものの、発光装置の発光による演出効果の低下を招来する問題が指摘される。
【0004】
そこで、本発明は、演出装置周辺に設けた図柄表示装置の視認性を低下することなく発光による演出を行ない得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る遊技機は、
遊技球が流下可能な遊技領域(20a)が画成された遊技盤(20)に、前後に開口する開口部(31)が開設された枠状装飾体(30)が配設されて、遊技盤(20)の裏側に配設された図柄表示装置(17)が枠状装飾体(30)の開口部(31)を介して前方に臨むと共に、該枠状装飾体(30)の開口縁部に、動作演出を行なう演出装置(40)が図柄表示装置(17)の前方に位置するよう配設された遊技機において、
前記演出装置(40)は、
機前面側へ光を照射可能な第1発光体(51)および該第1発光体(51)の光の照射方向と交差する方向へ光を照射可能な第2発光体(52)を備えた発光体基板(50)と、
前記発光体基板(50)の前側に配置されて前記発光体基板(50)との間に間隙(S)を形成し、駆動手段(53)の駆動により発光体基板(50)の前側で回転される可動体(60)と、
前記可動体(60)の外周囲を囲繞する筒状部材(90)とを備え、
前記可動体(60)は、前記駆動手段(53)に連繋接続され、前記発光体基板(50)の前側に対向するよう配置されて駆動手段(53)の駆動により発光体基板(50)に対向する状態で回転する光透過部材(64)と、前記光透過部材(64)の前側に配設されたレンズ部材(70)と、前記光透過部材(64)およびレンズ部材(70)の間に配設される光拡散シート(74)と、前記レンズ部材(70)の前側に配設されて前記光透過部材(64)に固定され、該光透過部材(64)との間にレンズ部材(70)および光拡散シート(74)を挟持すると共に、当該レンズ部材(70)と光拡散シート(74)とが重なっている部分が露出する露出部(78)を有する装飾カバー体(76)とから構成されて、
前記第1発光体(51)からの光は、前記光透過部材(64)およびレンズ部材(70)を透過すると共に前記光拡散シート(74)で拡散されて前記装飾カバー体(76)の露出部(78)から前方へ照射されると共に、前記第2発光体(52)からの光は、前記発光体基板(50)および可動体(60)間の間隙(S)から可動体(60)の外方へ向けて照射され、
前記筒状部材(90)における周壁部(91)の発光体基板(50)から前方への突出寸法は、該発光体基板(50)から可動体(60)までの離間寸法より大きく設定されて、前記第2発光体(52)の光が発光体基板(50)および可動体(60)間の間隙(S)を介して周壁部(91)に照射されるよう構成されると共に、該周壁部(91)の突出寸法が前記枠状装飾体(30)の開口縁部に近接するにつれて増大するよう構成されることを要旨とする。
【0006】
請求項1に係る遊技機では、可動体の外周囲を囲繞する筒状部材における周壁部の発光体基板からの突出寸法を、該発光体基板から可動体までの離間寸法より大きく設定して、発光体基板および可動体間の間隙を介して第2発光体からの光が周壁部に照射されるようにしたことで、該第2発光体からの光を周壁部で遮って図柄表示装置へ照射されるのを防止でき、図柄表示装置の視認性を良好な状態に維持し得る。更に、図柄表示装置に近接するにつれて前記周壁部の突出寸法が増大するように構成したことで、発光体からの光が周壁部で確実に遮られ、発光による演出効果を高めることができる。また、発光体基板の前側に可動体を設けたことで、発光体の発光による演出と可動体の回転による演出との相乗的な演出が可能となる。更に、前記可動体にレンズ部材および光拡散シートを透過した光が前面側に照射されることで、可動体前面の光による装飾性を向上しつつ、発光体基板および可動体間の間隙を介して周壁部に光が照射されることで、可動体の外周囲の光による装飾性を向上し得る。このとき、可動体の外周囲を照明する光は前記筒状部材の周壁部で遮られるから、図柄表示装置の視認性を低下することはない。
【0007】
請求項2に係る遊技機は、前記枠状装飾体(30)の内周下縁部には、遊技球が転動可能なステージ(34)が設けられて、該ステージ(34)の側端部に、前記筒状部材(90)の周壁部(91)の一部がステージ(34)より上方に位置する状態で前記演出装置(40)が配設されると共に、該演出装置(40)の外周壁(42a,91)がステージ(34)の前後幅の全長に亘って臨んで、ステージ(34)上を転動する遊技球の筒状部材(90)内への移動を当該周壁部(91)で規制するよう構成されたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に係る遊技機では、筒状部材の周壁部の一部がステージより上方に位置する状態で演出装置をステージの側端部に配設することで、ステージの端部まで転動した遊技球を演出装置の筒状部材でステージに戻すことができる。すなわち、筒状部材が遮光機能だけでなく、遊技球の戻し機能を具備することで、該筒状部材の汎用性が向上する。そして、筒状部材が遊技球の戻し機能を備えることで、ステージの端部まで転動した遊技球をステージに戻す部材を別途設ける必要がなく、部品点数を減少させて、コストの低減を図り得る。
【0009】
請求項3に係る遊技機は、前記筒状部材(90)における前記周壁部(91)の内面側および前記可動体(60)の外側面(79)は、光を反射し得るよう形成されると共に、該周壁部(91)における前記発光体基板(50)からの突出寸法を、該発光体基板(50)から可動体(60)の外側面(79)前端までの寸法以上に設定されて、前記第2発光体(52)からの光を筒状部材(90)の周壁部(91)と可動体(60)の外側面(79)との間で反射させ得るよう構成したことを要旨とする。
【0010】
請求項3に係る遊技機では、第2発光体から筒状部材の周壁部に照射された光は、該周壁部と可動体の外側面との間で相互に反射されるから、可動体の外側面での発光による装飾性が一層向上し、発光による高い演出効果を得られる。特に、前記筒状部材の周壁部の内面や可動体の外側面を凹凸形状に形成すれば、周壁部と可動体の外側面との間での光の乱反射により発光による装飾性がより一層高められる。
【0011】
請求項4に係る遊技機は、前記遊技盤(20)の前側に遊技領域(20a)を透視可能に保護する透明部材(13a)を備え、前記筒状部材(90)の前端部と透明部材(13a)との間隙(S)を、遊技球の直径より小さく設定したことを要旨とする。
【0012】
請求項4に係る遊技機では、遊技盤の遊技領域を透視保護する透明部材と前記筒状部材の前端部との間隙を、遊技球の直径より小さく設定することで、筒状部材の内部に遊技球が進入するのを防止できる。すなわち、筒状部材の内部に遊技球が進入するカバー部材を筒状部材の開口前側に別途設ける必要がないから、部品点数を減少させて、コストの低減を図り得る。また、カバー部材を設ける構成では、カバー部材により発光による装飾性が少なからず影響を受けることになるが、透明部材と筒状部材との間隔により遊技球の進入を規制することで、可動体前面側での発光や可動体外側面側での発光により遊技機前面が直接装飾でき、発光による装飾性の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る遊技機によれば、演出装置周辺に設けた図柄表示装置の視認性を低下することなく発光や可動体の動作による演出を行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行なうパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0015】
(パチンコ機について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤20(図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤20の裏側に対して、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置17が着脱し得るよう構成される。また、前記中枠12の前面側には、装飾用の電飾装置等が設置された装飾枠としての前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられている。前記前枠13には、前記中枠12に保持された遊技盤20の前面に、ガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透明保護板13aが備えられており、該遊技盤20を透視保護するよう構成されている。なお、実施例では、前記前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。
【0016】
(遊技盤について)
前記遊技盤20は、図3に示すように、略矩形状に形成されたアクリルやポリカーボネート等の透明な合成樹脂材からなる透明板21と、該透明板21の裏面に組み付けられると共に前記図柄表示装置17が配設される裏ユニット25とから構成される。図2に示すように、前記透明板21の前面には、外レール22aと内レール22bとが半円弧状に配設されており、両レール22a,22bにより画成される略円形の遊技領域20aに、前記中枠12に配設された図示しない打球発射装置から発射されたパチンコ球が遊技領域20a内に打ち出されて、該遊技領域20a内をパチンコ球が流下して遊技が行なわれるようになっている。なお、打球発射装置から発射されたパチンコ球は、透明板21の下側から左側に両レール22a,22bで案内されて、遊技領域20aの左上部に打ち出される。
【0017】
また、前記透明板21には、前記裏ユニット25に配設された前記図柄表示装置17の表示面17aに対応して前後に開口する装着口(図示せず)が形成されており、該装着口に対して枠状装飾体30が配設される。更に、前記透明板21の前面には、図2に示す如く、前記枠状装飾体30より下方位置に、前記遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞装置23や特別入賞装置24が配設されており、該始動入賞装置23の入賞口にパチンコ球が入賞することで、前記図柄表示装置17の表示面17aで図柄変動が開始されるようになっている。また、前記特別入賞装置24は、入賞口が開閉扉24aで常には閉鎖されており、前記図柄表示装置17での図柄変動の結果、図柄表示装置17に所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の三つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂「大当り」が発生し、これにより開閉扉24aが開放して入賞口への入賞により多数の賞球を獲得し得るようになっている。なお、前記透明板21の遊技領域20aには、前記枠状装飾体30の外側位置に多数の遊技釘が植設されて、遊技領域20aを流下するパチンコ球の流下方向が不規則に変更され得るようになっている。
【0018】
前記裏ユニット25は、図3に示すように、前記透明板21の外郭形状と略整合する大きさおよび形状に形成されると共に前方に開口する箱枠状に形成されて、該裏ユニット25の開口前端部を透明板21の裏面に当接させた状態で、透明板21と裏ユニット25とが連結固定される。そして、前記裏ユニット25には、前記透明板21との間に画成される空間に、可動演出装置26や各種の装飾部材が配設されており、透明板21を介して可動演出装置26や各種の装飾部材を視認し得るようになっている。また、前記裏ユニット25には、略矩形状の開口部25aが前後に開口するよう開設されると共に、該裏ユニット25の裏側に前記図柄表示装置17が着脱自在に取り付けられており、該開口部25aを介して図柄表示装置17が透明板21の前側から視認し得るようになっている。なお、図柄表示装置17としては、液晶表示装置やドラム式の表示装置、ベルト式の表示装置等の各種図柄を変動表示可能な従来公知の表示装置を用いることができる。また、前記可動演出装置26は、前記裏ユニット25の開口部25aの右側部側に可動部材27が位置するよう配設されて、図示しない駆動手段の駆動により可動部材27が左方向へ傾倒するよう構成されている。
【0019】
(枠状装飾体について)
図4に示すように、前記枠状装飾体30は、前後に開口する枠状に形成されて、前記遊技盤20(透明板21)に開設した装着口(図示せず)に取り付けられており、前記裏ユニット25に配設された図柄表示装置17が枠状装飾体30の開口部31に臨んで前側から視認し得るようになっている。また、前記枠状装飾体30の左側部には、前記遊技領域20aを流下するパチンコ球が通過可能な球入口32や、該球入口32に通入したパチンコ球を枠状装飾体30の内周下縁部へ誘導する球通路33が形成されると共に、該枠状装飾体30の内周下縁部には、球通路33を通過したパチンコ球が転動するステージ34が形成されている。また、前記枠状装飾体30におけるステージ34の右側端部には、前記始動入賞装置23へのパチンコ球の入賞に伴って、所定の制御条件下で発光および回転動作される回転演出装置40(後述)が配設されている。
【0020】
なお、実施例のステージ34は、左右方向の略中央位置が隆起する起伏状に形成された、所謂波形ステージ等とも称される第1ステージ部35aおよび該第1ステージ部35aの前側に位置して下に凸となる湾曲状に形成された第2ステージ部35bの前後2列のステージ部が設けられている。そして、前記球通路33を通過したパチンコ球は第1ステージ部35a上に転動し、該第1ステージ部35aから第2ステージ部35bに移動したパチンコ球が遊技領域20a内に排出されるようになっている。なお、前記第1ステージ部35aにおける隆起部分の頂部には、後方へ向けてパチンコ球を案内する球誘導路36が形成されて、前記枠状装飾体30において前記始動入賞装置23の入賞口の真上で開口する球排出口37に、該球誘導路36が連通するよう構成されており、球誘導路36を通過したパチンコ球の始動入賞装置23への入賞確率を高めている。
【0021】
(回転演出装置について)
図5、図6、図7または図8に示すように、前記枠状装飾体30に配設される前記回転演出装置40は、LED基板(発光体基板)50および駆動モータ(駆動手段)53が配設されるベース部材41と、LED基板50の前側に位置するようベース部材41に回転可能に支持され、駆動モータ53の駆動によりLED基板50の前側で回転される可動体60と、当該ベース部材41に固定されて可動体60の外周囲を囲繞する筒状部材90とから形成されて、駆動モータ53の駆動により、筒状部材90の内側で可動体60が回転するよう構成される。なお、前記回転演出装置40を枠状装飾体30に配設した状態では、前記可動体60および筒状部材90が前面に露出し、前記ベース部材41は枠状装飾体30により被覆されるようになっている。
【0022】
(ベース部材)
前記ベース部材41は、図5〜図8に示すように、LED基板50が設置される本体部42と、駆動モータ53が設置されるモータ設置部47とを備えている。前記本体部42は、略円板状に形成されて外周端縁から前方へ突出し、回転演出装置40の外周壁の一部を構成する支持壁42aが設けられると共に、該本体部42の略中心位置に、前後に貫通する通孔43aを有する軸挿通部43が形成されている。また、前記支持壁42aの一部には、前方に開口する位置決め凹部42cが形成されており、該位置決め凹部42cに前記筒状部材90のフランジ片94を臨ませるようになっている。前記LED基板50は、前記軸挿通部43を挿通し得るよう中心位置が前後に開口した環状に形成されており、該LED基板50の中心開口に軸挿通部43を挿通した状態で前記本体部42にネジ止めされている。そして、前記本体部42の前面には、位置決め部42bが複数箇所(実施例では4箇所)に形成されており、該位置決め部42bに前記筒状部材90を固定するようになっている。また、前記本体部42の裏面には、前記可動体60の原位置を検出する原位置検出センサ46が取り付けられている。なお、前記原位置検出センサ46としては、フォトセンサ等の光学式センサを好適に採用できるが、これに限らず、磁気センサやマイクロスイッチ、その他従来公知のセンサを可動体60側に設けられる被検出部に応じて採用することができる。
【0023】
ここで、前記LED基板50の前面には、図7(b)または図8に示すように、前方(機前面側)へ光を照射可能な第1LED(第1発光体)51および該第1LED51の光の照射方向と交差する方向へ光を照射可能な第2LED(第2発光体)52が実装されている。実施例では、前記LED基板50の外周端部に、5つの第1LED51が周方向に略均等に離間して配置されると共に、周方向に隣接する第1LED51の略中間位置に1つの第2LED52(合計で5つ)が夫々配置されている。なお、実施例の第2LED52は、前記LED基板50と略平行に光を照射し得るよう実装される(図11参照)。
【0024】
前記モータ設置部47は、前記本体部42の後方に位置すると共に該本体部42の略中心位置から側方へ延在するよう設けられて、本体部42の裏面とモータ設置部47の前面との間に段差が形成されている。前記駆動モータ53は、前記モータ設置部47の裏面に取り付けられて、該モータ設置部47に前後に貫通するよう形成された通孔48から突出させた駆動軸(図示せず)に駆動歯車54が取り付けられている。また、前記モータ設置部47の前面には第1従動歯車55が回転可能に軸支されており、前記駆動歯車54と第1従動歯車55とが噛合するようになっている。前記モータ設置部47は、前記本体部42の裏側における略中心位置近傍で開口するよう形成されて、モータ設置部47が本体部42の裏側に連通するよう形成されている。そして、前記本体部42の裏側で、前記第1従動歯車55と、前記可動体60に連結された第2従動歯車62(後述)と噛合している。すなわち、前記駆動モータ53の駆動により駆動歯車54が回転されると、前記第1および第2従動歯車55,62が従動されて前記可動体60が回転するよう構成されている。
【0025】
(可動体について)
図9、図10または図11に示すように、前記可動体60は、前記LED基板50の前面に対向する光透過部材64と、該光透過部材64の前側に配設されたレンズ部材70と、光透過部材64およびレンズ部材70の間に配設される光拡散シート74と、レンズ部材70の前側に配設される装飾カバー体76とから構成されている。そして、前記ベース部材41の軸挿通部43に形成した通孔43aに挿通される回転軸61の前端部に前記光透過部材64が連結固定されると共に、該回転軸61の後端部に前記第2従動歯車62が連結固定されて、第2従動歯車62の回転により前記可動体60が回転軸61を中心に回転されるようになっている。ここで、前記第2従動歯車62の後端部には、径方向へ延出する位置検出片63が全周に亘って形成されると共に、該位置検出片63の所定位置に前記被検出部としてのスリット63aが形成されており、該スリット63aを前記原位置検出センサ46が検出することで、可動体60の原位置が検出されるようになっている。なお、前記スリット63aの開口幅は、駆動モータ53の振動等に起因して位置検出片63が僅かに回転された場合であっても、前記原位置検出センサ46がスリット63aを検出し続けられるように幅広設定される。すなわち、駆動モータ53の振動等に起因して位置検出片63が僅かに回転されたとしても、原位置検出センサ46の検出・非検出が切り替わって可動体60が回転されることはない。
【0026】
(光透過部材)
前記光透過部材64は、図9または図10に示すように、前記回転軸61を介して前記ベース部材41に回転可能に支持された状態で、前記LED基板50から所定距離だけ前側に離間するよう構成されており、光透過部材64とLED基板50との間に間隙Sが画成されている。すなわち、前記光透過部材64(可動体60)は、前記駆動モータ53の駆動時に、前記LED基板50に対向した状態で前記間隙Sを保持したまま回転するようになっている。また、前記光透過部材64には、前記回転軸61を中心として周方向に等間隔で離間する位置に、略円形状に形成された5つの第1レンズ部65が形成されている。この第1レンズ部65は、前記可動体60を原位置に停止保持した状態で、前記LED基板50に設けた前記各第1LED51の前側に位置している。すなわち、前記可動体60を原位置に停止保持した状態で前記第1LED51を発光させた場合には、各第1LED51からの光が対応の第1レンズ部65を透過するようになっている。ここで、図11に示すように、前記第1レンズ部65は、回転軸61側の端部から離間するにつれて後方へ傾斜するよう形成されて、前記各第1LED51からの光が第1レンズ部65に対して斜めに入射するよう構成されており、第1レンズ部65を透過する光を屈折・拡散させ得るようになっている。なお、前記光透過部材64には、隣接する第1レンズ部65の間に、前後に貫通するネジ挿通孔68が形成されている。
【0027】
また、前記光透過部材64には、中心位置近傍(各第1レンズ部65より回転軸61側)に、前方へ突出する第1シート押え部66が形成されると共に、各第1レンズ部65における回転軸61から離間する端部に、前方へ突出する第2シート押え部67が形成されている。すなわち、前記第1および第2シート押え部66,67の夫々が前記光拡散シート74に当接することで、該光透過部材64とレンズ部71の間に配置された光拡散シート74を、レンズ部材70側に押し付けるようになっている。
【0028】
(レンズ部材)
前記レンズ部材70の外郭形状は、図9または図10に示すように、前記光透過部材64の外郭形状より全体的に小型に形成されると共に、正面視において略相似形をなすよう形成されており、光透過部材64とレンズ部材70とを前後に重ね合わせた際に、正面視においてレンズ部材70が光透過部材64の内側に隠れるようになっている。また、前記レンズ部材70には、前記光透過部材64の第1レンズ部65と前後に整列する位置に、前方へ膨出する5つの第2レンズ部71が夫々形成されており、該第1レンズ部65を透過した光が第2レンズ部71に照射されるようになっている。また、前記レンズ部材70の裏面(光透過部材64との対向面)には光拡散処理がなされており、第1レンズ部65を透過した光を拡散して第2レンズ部71の全体が明輝されるようになっている。ここで、前記光拡散処理としては、シボ加工等によりレンズ部材70の裏面に凹凸が形成されている。なお、光拡散処理は、前記第2レンズ部71の裏面に対応する部位に少なくとも施されていればよい。
【0029】
また、前記レンズ部材70は、前記回転軸61と前後に対応する位置で最も前方に突出する球面状に膨出形成されている。そして、前記各第2レンズ部71から外方に離間する端部に、後方へ突出する突起部73が形成されており、レンズ部材70と光透過部材64とを前後に重ね合わせた際に、各突起部73が光透過部材64に当接して、第1レンズ部65と第2レンズ部71(光拡散シート74)との間に空間が形成されるようになっている。すなわち、前記第1レンズ部65を透過した光が第2レンズ部71(光拡散シート74)に入射するまでの距離を確保して、該第1レンズ部65でのレンズ効果を高めている。ここで、前記光透過部材64とレンズ部材70との間に配設される前記光拡散シート74は、該レンズ部材70の裏面に略整合する形状に形成されて、該光拡散シート74でレンズ部材70の裏面全体を覆うようになっている。また、前記レンズ部材70には、前記光透過部材64に形成されたネジ挿通孔68と前後に整列する位置に切欠き部72が夫々形成されており、光透過部材64とレンズ部71とを重ね合わせた際に、ネジ挿通孔68が前側に露出するよう構成されている。
【0030】
(装飾カバー体)
図9、図10または図11に示すように、前記装飾カバー体76は、前記レンズ部材70の前面を覆う前面板77と、該前面板77の外周囲から後方へ延出する外側面79とから後方に開口するよう形成されている。そして、前記前面板77と外側面79とで囲まれる装飾カバー体76の内部に、前記光透過部材64、レンズ部材70および光拡散シート74の夫々が収容されている。前記装飾カバー体76の前面板77は、前記レンズ部材70と略同一の曲率で球面状に膨出するよう形成されると共に、該レンズ部材70に設けられた各第2レンズ部71に対応して、前後に開口する5つの露出窓部(露出部)78が形成されている。すなわち、前記装飾カバー体76の前面板77の裏側にレンズ部材70を当接させた際に、各露出窓部78に第2レンズ部71が臨むようになっている。
【0031】
また、前記装飾カバー体76には、前記レンズ部材70の各切欠き部72と対応する位置に、該切欠き部72と嵌合する位置決めボス(図示せず)が後方へ突出するよう形成されており、該位置決めボスが対応の切欠き部72に嵌合することで、装飾カバー体76に対してレンズ部材70および光拡散シート74の夫々が位置決めされる。そして、前記光透過部材64のネジ挿通孔68に挿通したネジを各位置決めボスの後端部に形成したネジ孔(図示せず)に螺挿することで、光透過部材64と装飾カバー体76とが固定される。すなわち、前記光透過部材64を装飾カバー体76にネジ止めすることで、該光透過部材64と装飾カバー体76との間に配置された前記レンズ部材70および光拡散シート74が狭持固定されて、可動体60を単一部品として取り扱い得るようになっている。
【0032】
また、前記装飾カバー体76の外側面79は、前記光透過部材64の後端部まで延出するよう形成されて、該装飾カバー体76に固定された光透過部材64、レンズ部材70および光拡散シート74の夫々の外周面を被覆している。すなわち、可動体60の全体として、前記LED基板50との間に間隙Sが画成されている。すなわち、前記第1LED51からの光は、前記光透過部材64の第1レンズ部65を透過して前記光拡散シート74で拡散され、更に前記レンズ部材70の第2レンズ部71を透過して前記装飾カバー体76の露出窓部78から遊技者側(前面側)へ照射されると共に、前記第2LED52からの光は、前記LED基板50および可動体60の間の間隙Sから可動体60の外方へ向けて照射されるようになっている。また、前記装飾カバー体76の外側面79は、曲面や凹凸部を有する立体形状に形成されると共に全面に光反射処理がなされている。実施例では、光反射処理として、装飾カバー体76の外側面79に金属メッキを施してある。
【0033】
(筒状部材について)
図5、図6、図8または図11に示すように、前記筒状部材90は、前記可動体60(装飾カバー体76)の外周囲を囲繞し、回転演出装置40の外周壁の一部を構成する筒状の周壁部91と、該周壁部91の後端部に設けられた底面板92とから構成される。そして、前記底面板92の裏面には、前記ベース部材41(本体部42)に形成した前記各位置決め部42bに嵌合する固定突部(図示せず)が後方へ向けて突出するよう形成されており、各固定突部を位置決め部に嵌合した状態で、ベース部材41と筒状部材90とがネジ止めされる。このとき、前記ベース部材41の本体部42に形成した支持壁42aの前端部に前記筒状部材90の底面板92が当接して支持される。また、前記底面板92の略中心位置には、前記LED基板50の外郭形状に略整合する円形の開口部92aが開設されている。そして、前記ベース部材41と筒状部材90とを固定した状態で、図7(b)または図11に示すように、前記底面板92に形成した開口部92aにLED基板50が臨んで、該底面板92の前面とLED基板50の前面とが略同一平面上に位置するようになっている。すなわち、前記筒状部材90における周壁部91の内側に、前記LED基板50に設置された第1および第2LED51,52が位置して、第2LED52からの光が前記可動体60とLED基板50(底面板92)との間の間隙Sを介して周壁部91に照射されるようになっている。
【0034】
ここで、前記周壁部91の開口前端は、円筒体を斜めに切断した傾斜状に形成されており、該周壁部91における前記底面板92から開口端までの長さ寸法L(底面板92からの突出寸法)が連続的に変化するよう形成されている。そして、前記回転演出装置40を枠状装飾体30に配設した状態では、図11または図12に示すように、前記周壁部91の開口前端面が前記前枠13の透明保護板13aと略平行になるよう構成される。このとき、前記回転演出装置40は、前記枠状装飾体30の開口部31(ステージ34)に近接するにつれて前記周壁部91の前方への突出寸法が増大する傾斜姿勢で配設される。換言すると、前記筒状部材90の底面板92(LED基板50)は、鉛直面をなすと共に、ステージ34側の端部(左端部)が前記図柄表示装置17の表示面17aに近接するよう傾斜している。
【0035】
また、前記筒状部材90における周壁部91が底面板92(LED基板50)から前方へ突出する最短の長さ寸法Lは、該LED基板50から可動体60までの離間寸法Lよりも大きくなるよう設定されている。具体的には、前記底面板92(LED基板50)から突出する周壁部91の最短の長さ寸法Lが、前記底面板92(LED基板50)から可動体60における外側面79の前端までの寸法H以上に設定される。すなわち、前記周壁部91全体が底面板92(LED基板50)から可動体60の外側面79の前端までの寸法H以上となっている。従って、前記LED基板50と略平行に照射される前記第2LED52からの光は、前記底面板92(LED基板50)と可動体60との間の間隙Sを介して前記周壁部91の内周面に常に照射される。
【0036】
また、前記筒状部材90の内周面には、前後方向に延在する溝状部91aが周方向に離間して複数形成されて、該内周面が曲面や凹凸面を有する立体形状を呈すると共に、該筒状部材90の全体(周壁部91および底面板92)に光反射処理がなされている。なお実施例では、光反射処理として金属メッキを施してある。また、前記溝状部91aは、前記筒状部材90の底面板92から可動体60の外側面79の前端部より前方まで延在するよう形成されている。すなわち、前記底面板92(LED基板50)と可動体60との間の間隙Sを介して前記周壁部91の内周面に照射された前記第2LED52からの光は、該周壁部91の内周面と可動体60の外側面79との間で複雑に乱反射して機全面側に照射される。
【0037】
前記筒状部材90における周壁部91の外周面には、図5、図6または図8に示すように、外方へ突出する複数(実施例では3つ)のフランジ片93,94が形成されると共に、該フランジ片93,94に前後に貫通する通孔93a,94aが形成されている。ここで、1つのフランジ片94は、前記筒状部材90の底面板92より後方に位置するよう形成されており、該底面板92より後方に位置するフランジ片94を、前記ベース部材42に形成された位置決め凹部42cに臨ませることで、ベース部材41(本体部42)の各位置決め部42bと筒状部材90の各固定突部とが嵌合して両部材41,90を所定の位置関係で固定し得るようになっている。すなわち、前記ベース部材42の位置決め凹部42cおよび筒状部材90のフランジ片94は、ベース部材42と筒状部材90とを所定の位置関係に位置合わせする位置合わせ手段として機能している。そして、前記フランジ片93の通孔93aに後方から挿通したネジを、前記枠状装飾体30の裏側に形成したネジ孔(図示せず)に螺挿することで、筒状部材90(回転演出装置40)が枠状装飾体30に固定される。このとき、前記筒状部材90および該筒状部材90の内側に位置する前記可動体60の夫々は前記枠状装飾体30の設置窓38から露出する一方で、ベース部材41(モータ設置部47)は枠状装飾体30と前後に重なって前方から視認し得ないようになっている。
【0038】
ここで、前記回転演出装置40は、前記枠状装飾体30の開口部31(すなわち図柄表示装置17)に近接するにつれて前記周壁部91の突出寸法Lが増大する姿勢で枠状装飾体30に配設されて、該回転演出装置40の外周壁(ベース部材41の支持壁42aおよび筒状部材90の周壁部91)がステージ34より上方に位置するようになっている。更に、回転演出装置40における前記ステージ34より上方に位置する部位は、該ステージ34の前後幅(第1ステージ部35aの後端部から第2ステージ部35bの前端部までの幅)の全長に亘って、前記ベース部材41の支持壁42aおよび筒状部材90の周壁部91が臨むよう構成されており、ステージ34の右側端部まで転動して周壁部91に接触したパチンコ球を、ステージ34側に跳ね返して筒状部材90内へパチンコ球が進入するのを規制するようになっている(図12参照)。また、前記回転演出装置40を枠状装飾体30に取り付けた状態では、前記周壁部91の開口前端から前記前枠13の透明保護板13aまでの間隙(すなわち周壁部91の開口前端から透明保護板13aまでの離間寸法L)がパチンコ球の直径寸法より小さくなるよう設定されており、遊技領域20aを流下するパチンコ球が筒状部材90の内部に進入しないようになっている。すなわち、前記筒状部材90の周壁部91は、該筒状部材90内へのパチンコ球の進入を規制する規制手段として機能している。
【0039】
〔実施例の作用〕
次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ機10の作用について説明する。
【0040】
前記遊技盤20に設けた内外のレール22a,22bに沿って遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球は、遊技盤20上に設けた遊技釘等に接触して流下方向を変更しながら流下する。そして、前記遊技領域20aを流下するパチンコ球が前記始動入賞装置23に入賞すると、前記図柄表示装置17において所要の図柄変動演出が開始され、図柄変動演出の結果、図柄表示装置17に特定の図柄組合わせが表示されると大当りが発生し、前記特別入賞装置24が開放してパチンコ球の入賞が許容される。そして、前記始動入賞装置23にパチンコ球が入賞すると、所定の制御条件下で前記回転演出装置40の発光により発光演出が行なわれると共に、可動体60の回転により動作演出が行なわれる。
【0041】
前記回転演出装置40は、前記可動体60が原位置にある状態では、前記LED基板50に設けた各第1LED51の前側に、前記光透過部材64の第1レンズ部65およびレンズ部材70の第2レンズ部71が夫々位置している。従って、前記可動体60が原位置にある状態で各第1LED51から照射された光は、前記第1レンズ部65を透過して光透過部材64と第2レンズ部71との間に配置された光拡散シート74により拡散された後に、更に第2レンズ部71を透過し、前記装飾カバー体76の露出窓部78を介して遊技者側(機前面側)へ照射される。
【0042】
ここで、前記第2レンズ部71の裏側には光拡散処理が施されているから、前記光拡散シート74で拡散された光が該第2レンズ部71を透過する際に更に光拡散される。これにより、前記各第2レンズ部71(装飾カバー体76の露出窓部78)の全体を明輝させることができる。すなわち、前記第1LED51からの光が点光源のように明輝されるのを防止できるから、前記可動体60が原位置にある状態での第1LED51による光装飾効果を高めることができる。また、前記光拡散シート74を設けると共に第2レンズ部71に光拡散処理を施すことで、装飾カバー体76の露出窓部78を介して遊技者側からLED基板50が目視されるのを防止でき、回転演出装置40の装飾性が損なわれることはない。
【0043】
また、前記可動体60をLED基板50の前側で回転させた場合には、前記各第1レンズ部65および第2レンズ部71が周方向に隣接して位置する第1LED51の前側に順次移動するから、第1LED51から照射された光は、前述と同様に第1レンズ部65を透過して光透過部材64と第2レンズ部71との間に配置された光拡散シート74により拡散された後に、更に第2レンズ部71を透過し、前記装飾カバー体76の露出窓部78を介して遊技者側(機前面側)へ照射される。従って、第1LED51からの光が点光源のように明輝されるのを防止して、前記各第2レンズ部71(装飾カバー体76の露出窓部78)の全体が明輝することで光装飾効果を高められると共に、装飾カバー体76の露出窓部78を介して遊技者側からLED基板50が目視されるのを防止できる。
【0044】
また、前記可動体60は、前記LED基板50との間に一定の間隙Sを保持したまま、該LED基板50の前側で回転される。従って、前記LED基板50に設けた第2LED52からの光は、可動体60とLED基板50との間の間隙Sを介して可動体60の外方へ照射される。ここで、前記可動体60の外側面79を筒状部材90で囲繞すると共に、該筒状部材90の周壁部91を底面板92(LED基板50)から可動体60の外周面前端まで延在するよう形成してあるから、前記第2LED52からの光は間隙Sを介して周壁部91の内周面へ照射される。このとき、前記筒状部材90の全体および可動体60の外周面に光反射処理を施してあるから、第2LED52から周壁部91の内周面に照射された光は、該周壁部91の内周面と可動体60の外側面79との間で相互に反射して機前方(遊技者側)へ照射される。すなわち、実施例の回転演出装置40は、前記第1LED51の光により可動体60の前面(すなわち前面板76側)が明輝されると共に、前記第2LED52の光により可動体60の周り(すなわち外側面79側)も明輝されるから、光による装飾性が一層向上し、高い演出効果が得られる。
【0045】
また、実施例では、前記周壁部91の内周面に複数の溝状部91aを設けて立体的な形状に形成すると共に可動体60の外側面79も立体的な形状に形成してある。このため、第2LED52から周壁部91の内周面に照射された光は、周壁部91の内周面と可動体60の外側面79との間で乱反射して、光による装飾性が一段と高められる。更に、前記周壁部91の内周面および可動体60の外側面79間で光が乱反射することで、前記可動体60が回転した際には、可動体60の外側面79側での光の発光態様が複雑に変化し、実施例のようにLED基板50に第2LED52を固定的に配設した構成であっても、可動体60の外側面79側の装飾性を一層向上することができる。このように、実施例に係る回転演出装置40では、LED基板50の前側で可動体60を回転させることで、第1および第2LED51,52の発光による演出と可動体60の回転による演出との相乗的な演出が可能となる。
【0046】
また、前記回転演出装置40は、前記枠状装飾体30に配設された状態で前記ステージ34の右側端部に配置されて、回転演出装置40の外周壁(ベース部材41の支持壁42aおよび筒状部材90の周壁部91)がステージ34より上方に位置するようになっている。このため、パチンコ機10を遊技者側(正面)から見た状態では、前記枠状装飾体30の開口部31に臨む図柄表示装置17の表示面17aが前記回転演出装置40に隣接して位置することになる。このため、前記回転演出装置40からの光が図柄表示装置17からの光に干渉すると、該図柄表示装置17が視認性の低下を招く可能性がある。そこで、実施例の回転演出装置40では、前記可動体60の外側面79を囲繞している前記周壁部91のLED基板50から突出する最短の長さ寸法Lを、該LED基板50から可動体60までの離間寸法Lより大きく設定して、前記第2LED52からの光が周壁部91に照射されるようにしている。すなわち、第2LED52からの光は前記周壁部91で遮られるから、図柄表示装置17からの光に干渉するのを防止でき、図柄表示装置17の視認性を良好な状態に維持し得る。更に、前記周壁部91は、前記枠状装飾体30の開口部31(図柄表示装置17)に近接するにつれて前方へ突出する長さ寸法Lが増大するよう構成されているから、第2LED52からの光を周壁部91で効果的に遮ることができ(図12参照)、回転演出装置40での発光による演出が図柄表示装置17での図柄変動演出の妨げになるのを防止すると共に、回転演出装置40の発光による演出効果も向上することができる。すなわち、前記枠状装飾体30の開口部31(図柄表示装置17)に近接するにつれて前記周壁部91の前方への突出長さ寸法Lが増大することで、該枠状装飾体30の開口部31側では可動体60から周壁部91の開口前端側までの距離が大きくなることから、周壁部91の開口前端に近づくにつれて光の反射量が少なくなって可動体60の外縁が縁取られるように明暗が明確になり、回転演出装置40での発光による演出と図柄表示装置17での演出による光とを明確に区別し得るようになる。
【0047】
また、前記回転演出装置40は、前記回転演出装置40の外周壁(ベース部材41の支持壁42aおよび筒状部材90の周壁部91)がステージ34より上方に位置するよう構成されているから、ステージ34の端部まで転動したパチンコ球は該回転演出装置40の外周壁との接触によりステージ34側に戻される。すなわち、筒状部材90が遮光機能だけでなく、ステージ34の端部まで転動したパチンコ球をステージ34へ戻す球戻し機能を具備することで、該筒状部材90の汎用性が向上する。更に、前記筒状部材90がパチンコ球をステージ34側に戻すことで、ステージ34を転動するパチンコ球が筒状部材90の内側に進入するのを防止でき、可動体60の動作不良が発生するのを防止できる。そして、ステージ34の端部まで転動したパチンコ球をステージ34に戻す部材を別途設ける必要がなく、部品点数の減少を図りコスト低減をなし得る利点もある。
【0048】
また、実施例のパチンコ機10では、遊技盤20の遊技領域20aを透視保護する前枠13の透明保護板13aから前記筒状部材90の開口前端までの離間寸法Lを、パチンコ球の直径寸法より狭くなるよう設定したことで、遊技領域20aを流下するパチンコ球が筒状部材90の内部に進入することはない。すなわち、筒状部材90の内部にパチンコ球が進入するカバー部材を筒状部材90の開口前端側に別途設ける必要がないから、部品点数を減少させて、コストの低減を図り得る。また、筒状部材90の開口前端にカバー部材を設ける構成では、前記第1LED51および第2LED52からの光がカバー部材を透過する際に輝度の低下が発生したり、カバー部材に発光斑が生ずる等の悪影響を少なからず受ける虞があるが、透明保護板13aと筒状部材90の開口前端との離間寸法Lを調整して筒状部材90の内部へのパチンコ球の進入を規制することで、このようなカバー部材の悪影響を排除できる。従って、可動体60の前面での発光や可動体60外周面での発光による装飾性の低下を防止できる。
【0049】
〔変更例〕
なお、遊技機の構成としては、実施例のものに限らず、種々の変更が可能である。例えば、実施例では、遊技盤を透明板と裏ユニットとを積層して構成したが、所定厚のベニヤ板や合成樹脂板の単体から構成してもよく、また3つ以上の部材を積層して遊技盤20を構成するようにしてもよい。
【0050】
実施例では、発光体基板としてのLED基板に、LED基板に直交する機前面側へ光を照射可能な第1発光体としての第1LEDおよび該LED基板と平行に光を照射可能な第2発光体としての第2LEDを配設するようにしたが、これに限られるものではなく、従来公知の各種の発光体を第1および第2発光体として採用できる。また、第2発光体の光の照射方向としては、発光体基板と平行な方向に限られるものではなく、第1発光体の光の照射方向と交差する方向に光を照射するよう構成すればよい。
【0051】
実施例では、発光体基板としての単一のLED基板に第1および第2LEDを配置した構成を示したが、発光体基板を複数のLED基板から構成して第1LEDと第2LEDとを別々のLED基板に実装するようにしてもよい。また、第1および第2LEDとしては、発光色が単色のものであってもよく、また複数色を発光し得るものであってもよいことは当然である。また、発光体基板に配設する第1発光体および第2発光体の配設数に関しても、5つに限定されるものではなく、1つまたは複数の発光体を発光体基板に設けることができる。更に、発光体基板の形状としても、実施例のものに限られるものではなく、任意に決定することができる。
【0052】
また、実施例では、LED基板や駆動モータを設置するベース部材を設けたが、該ベース部材を必ずしも単独で設ける必要はなく、筒状部材と一体的に形成することもできる。
【0053】
更に、可動体の形状・構成も、実施例に示したものに限られるものではない。すなわち、可動体を構成する光透過部材やレンズ部材、光拡散シート、装飾カバー体の形状の形状・構成は、演出内容や配設位置等に応じて、任意に変更できる。また、光透過部材に形成された第1レンズ部の数や形状、形成位置も適宜変更可能である。なお、第2レンズ部や装飾カバー体の露出部の位置や形状、形成数等についても、第1レンズ部に応じて任意に変更できる。また、実施例では、光透過部材に第1シート押え部および第2シート押え部を形成したが、該シート押え部の一方または両方を省略することも可能である。
【0054】
実施例では、筒状部材における周壁部の発光体基板からの突出寸法を、該発光体基板から可動体の外周面前端までの寸法以上に設定するよう構成したが、該周壁部の発光体基板からの突出寸法は、該発光体基板から可動体までの離間寸法より大きくなるよう設定すれば、発光体基板に設けた第2発光体からの光を周壁部で遮って図柄表示装置へ照射されるのを防止でき、図柄表示装置の視認性を良好な状態に維持することができる。
【0055】
実施例では、回転演出装置を枠状装飾体に配設するよう構成したが、裏ユニット側に配設するよう構成することもできる。
【0056】
実施例では、発光体基板や駆動手段をベース部材に配設して、該ベース部材と筒状部材とを固定するよう構成したが、筒状部材に発光体基板や駆動手段を配設するよう構成することもでき、ベース部材の省略により部品点数の削減を図り得る利点がある。
【0057】
実施例では、前記回転演出装置の一部が枠状装飾体に設けたステージより上方に位置するよう構成したが、これに限られるものではなく、回転演出装置の全体がステージより下方に位置するようにしてもよい。またステージが形成されていないタイプの枠状装飾体に回転演出装置を配設することも当然可能である。また、枠状装飾体に対する回転演出装置の配設位置としても、該枠状装飾体の上縁側に回転演出装置を配設するようにしてもよい。
【0058】
実施例では、前記周壁部の内面側および前記可動体の外周面に金属メッキを施すことで、該周壁部の内面側および可動体の外周面で光反射し得るようにしたが、これに限られるものではない。例えば、周壁部の内面側および可動体の外周面に光反射シールを貼付するようにしてもよく、また周壁部や可動体を白色等の光反射率の高い色彩を付与することも可能である。
【0059】
実施例では、筒状部材を円筒状に形成したが、筒状部材の内側で可動体が回転し得るよう構成すれば、角筒状に形成してもよい。
【0060】
実施例では、遊技機としてパチンコ機を例示して説明したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機等の従来公知の各種遊技機を採用し得る。また、図柄表示装置としても液晶パネルを用いたものに限らず、ドラム式やベルト式、その他の形式の図柄表示装置も採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
【図3】実施例に係る遊技盤を分解して示す側面図である。
【図4】実施例に係る枠状装飾体に回転演出装置を配設して示す正面図である。
【図5】実施例に係る回転演出装置を示す正面図である。
【図6】実施例に係る回転演出装置を示す斜視図である。
【図7】実施例に係る枠状装飾体に取り付けられた状態での回転演出装置を示す側面図であって、(a)は枠状装飾体に配設される傾斜姿勢を、筒状部材を取り付けた状態で示し、(b)は筒状部材を取り外した状態を示す。
【図8】実施例に係る回転演出装置を示す分解斜視図である。
【図9】実施例に係る可動体の分解斜視図である。
【図10】実施例に係る可動体を分解して示す側面図である。
【図11】図5におけるA−A線断面図であって、実施例に係る回転演出装置の可動体、LED基板および筒状部材の関係を示す。
【図12】実施例に係る回転演出装置と図柄表示装置との関係を概略で示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
13a 透明保護板(透明部材)
17 図柄表示装置
20 遊技盤
20a 遊技領域
30 枠状装飾体
31 開口部
34 ステージ
40 回転演出装置(演出装置)
50 LED基板(発光体基板)
51 第1LED(第1発光体)
52 第2LED(第2発光体)
53 駆動モータ(駆動手段)
60 可動体
64 光透過部材
70 レンズ部材
74 光拡散シート
76 装飾カバー体
78 露出窓部(露出部)
79 外側面
90 筒状部材
91 周壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域が画成された遊技盤に、前後に開口する開口部が開設された枠状装飾体が配設されて、遊技盤の裏側に配設された図柄表示装置が枠状装飾体の開口部を介して前方に臨むと共に、該枠状装飾体の開口縁部に、動作演出を行なう演出装置が図柄表示装置の前方に位置するよう配設された遊技機において、
前記演出装置は、
機前面側へ光を照射可能な第1発光体および該第1発光体の光の照射方向と交差する方向へ光を照射可能な第2発光体を備えた発光体基板と、
前記発光体基板の前側に配置されて前記発光体基板との間に間隙を形成し、駆動手段の駆動により発光体基板の前側で回転される可動体と、
前記可動体の外周囲を囲繞する筒状部材とを備え、
前記可動体は、前記駆動手段に接続され、前記発光体基板の前側に対向するよう配置されて駆動手段の駆動により発光体基板に対向する状態で回転する光透過部材と、前記光透過部材の前側に配設されたレンズ部材と、前記光透過部材およびレンズ部材の間に配設される光拡散シートと、前記レンズ部材の前側に配設されて前記光透過部材に固定され、該光透過部材との間にレンズ部材および光拡散シートを挟持すると共に、当該レンズ部材と光拡散シートとが重なっている部分が露出する露出部を有する装飾カバー体とから構成されて、
前記第1発光体からの光は、前記光透過部材およびレンズ部材を透過すると共に前記光拡散シートで拡散されて前記装飾カバー体の露出部から前方へ照射されると共に、前記第2発光体からの光は、前記発光体基板および可動体間の間隙から可動体の外方へ向けて照射され、
前記筒状部材における周壁部の発光体基板から前方への突出寸法は、該発光体基板から可動体までの離間寸法より大きく設定されて、前記第2発光体の光が発光体基板および可動体間の間隙を介して周壁部に照射されるよう構成されると共に、該周壁部の突出寸法が前記枠状装飾体の開口縁部に近接するにつれて増大するよう構成される
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記枠状装飾体の内周下縁部には、遊技球が転動可能なステージが設けられて、該ステージの側端部に、前記筒状部材の周壁部の一部がステージより上方に位置する状態で前記演出装置が配設されると共に、該演出装置の外周壁がステージの前後幅の全長に亘って臨んで、ステージ上を転動する遊技球の筒状部材内への移動を当該周壁部で規制するよう構成された請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記筒状部材における前記周壁部の内面側および前記可動体の外側面は、光を反射し得るよう形成されると共に、該周壁部における前記発光体基板からの突出寸法を、該発光体基板から可動体の外側面前端までの寸法以上に設定されて、前記第2発光体からの光を筒状部材の周壁部と可動体の外周面との間で反射させ得るよう構成した請求項1または2記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技盤の前側に遊技領域を透視可能に保護する透明部材を備え、前記筒状部材の前端部と透明部材との間隙を、遊技球の直径より小さく設定した請求項1〜3の何れか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−119666(P2010−119666A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296920(P2008−296920)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】