遊技機
【課題】不正行為を容易に判定し得る遊技機を提供する。
【解決手段】不正検出装置84は、発振検出状態と発振非検出状態とに状態変化するよう構成され、電波により発振非検出状態から発振検出状態に状態変化される検出センサユニット85と、検出センサユニット85を発振非検出状態に維持する検出用金属球86とを備える。検出センサユニット85および検出用金属球86は、第1始動球検出センサ53が配設されるケース体51に収容保持される。検出センサユニット85が発振検出状態に状態変化されたときに、主制御装置が不正電波行為があったと判定する。
【解決手段】不正検出装置84は、発振検出状態と発振非検出状態とに状態変化するよう構成され、電波により発振非検出状態から発振検出状態に状態変化される検出センサユニット85と、検出センサユニット85を発振非検出状態に維持する検出用金属球86とを備える。検出センサユニット85および検出用金属球86は、第1始動球検出センサ53が配設されるケース体51に収容保持される。検出センサユニット85が発振検出状態に状態変化されたときに、主制御装置が不正電波行為があったと判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、球検出センサに対する不正行為を検出可能な不正検出装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、遊技機の代表例の一つであるパチンコ機は、機内にセットされる遊技盤の盤面にパチンコ球(遊技球)が打ち出される遊技領域が画成されている。遊技盤の後側には、設置部材が配設され、該設置部材に、各種図柄を変動表示して図柄変動演出を行なう液晶式やドラム式等の図柄表示装置が配設される。また、前記遊技盤には、図柄表示装置の下方位置に、該図柄表示装置での図柄変動演出を開始させる契機となる始動入賞装置が配設されている。前記始動入賞装置には、球検出センサが設けられており、前記遊技領域を流下するパチンコ球が、始動入賞装置に設けた始動口に入賞して球検出センサで検出されることで、図柄表示装置での図柄変動演出を開始させると共に、パチンコ球を賞球として払出すよう構成される。そして、前記図柄表示装置で図柄変動に伴うリーチ演出等の各種の遊技演出がなされ、該図柄表示装置に図柄が所定の組み合わせで停止することにより所謂大当りが発生すると、遊技盤に設けられた特別入賞装置が開放して多数の賞球を獲得し得るチャンスが与えられるよう構成されている。
【0003】
前記球検出センサは、パチンコ球が通過可能な検出口を備えた近接センサであって、パチンコ球を検出していない非検出状態では、高レベルの信号(高レベル信号)を出力するようになっている。また、球検出センサは、パチンコ球が検出口を通過する間、パチンコ球を検出した検出状態となり、低レベルの信号(低レベル信号)を出力するようになっている。そして、パチンコ球が検出口を完全に通過すると、球検出センサは、再び非検出状態に戻り、高レベル信号を出力する。球検出センサから出力された信号は、パチンコ機の後側に配設された主制御装置に入力されるようになっている。そして、主制御装置は、低レベル信号が高レベル信号に切り換わった際に、パチンコ球を1カウントして前記図柄変動演出や賞球の払出しを各装置に実行させるよう構成される。
【0004】
ところが、近年では、このような球検出センサの原理を悪用して、電波により球検出センサを検出状態および非検出状態に強制的に切り換える不正行為(いわゆる電波ゴト)が多発して問題となっている。この電波ゴトでは、パチンコ球を検出中(すなわち、パチンコ球が検出口を通過中)の球検出センサに電波を浴びせ、球検出センサを検出状態→非検出状態→検出状態→・・・と強制的に状態変化させる。これにより、主制御装置は、1個のパチンコ球であるのに拘わらず複数回分のカウントをしてしまい、大量の賞球が支払われてしまう弊害がある。
【0005】
そこで、このような電波ゴトへの対策として、例えば特許文献1には、不正な電波を検出する不正検出装置を備えた遊技機が提案されている。この不正検出装置では、通常の球検出センサの内部に不正検出部を設け、該不正検出部が不正な電波を検出すると、球検出センサから出力される球検出信号を無効にして、不正な賞球の獲得を未然に防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−286344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1の不正検出装置では、球検出センサの内部に通常の球検出部と不正検出部とが併存しているため、構造が複雑化してコストが嵩む要因となる。しかも、不正検出部が不正を検出した場合に、球検出信号の出力を無効化する回路を形成する必要があり、不正検出装置内での信号処理が複雑化して誤判定等が発生する虞がある。
【0008】
すなわち、本発明は、従来技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、不正行為を容易に判定し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明に係る遊技機は、
遊技領域(33)が前側に設けられる遊技盤(12)と、該遊技盤(12)に設けられ、前記遊技領域(33)を流下する遊技球が入賞可能な始動口(45a)と、該始動口(45a)に入賞した遊技球を検出する球検出センサ(53)とを備え、該球検出センサ(53)による遊技球の検出を契機として、通常遊技よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの抽選が行なわれる遊技機において、
前記遊技盤(12)の裏側に不正検出装置(84)が配設され、
該不正検出装置(84)は、
検出コイル(88)、発振回路(F)および発振検出回路(G)を備え、発振回路(F)の発振を発振検出回路(G)が検出した第1状態と、該発振回路(F)の発振の停止または減衰を発振検出回路(G)が検出した第2状態とに状態変化するよう構成されると共に、電磁波により第2状態から第1状態に状態変化される状態変化手段(85)と、
磁性体から構成され、前記発振回路(F)の発振を停止または減衰させて前記状態変化手段(85)を第2状態に維持する状態維持手段(86)と、
前記検出コイル(88)内に前記状態維持手段(86)が位置するよう前記状態変化手段(85)および状態維持手段(86)を保持するケース体(51)とを備え、
前記ケース体(51)に前記球検出センサ(53)を配設したことを要旨とする。
請求項1の発明によれば、第2状態に維持された状態変化手段が第1状態に状態変化されることで、電磁波による不正行為を容易に検出することができる。また、状態維持手段が検出コイル内に位置するようケース体に保持されるので、状態変化手段を第2状態に確実に維持し得る。しかも、不正検出装置は、ケース体に状態変化手段、状態維持手段および球検出センサを配設する構成としたので、状態変化手段と球検出センサとの位置関係を適正に維持することができ、球検出センサに対する不正行為を確実に検出することができると共に、不正検出装置の取り扱いが容易となる。
【0010】
請求項2に係る遊技機では、前記状態変化手段は、前記検出コイル(88)、発振回路(F)および発振検出回路(G)を備えた検出センサユニット(85)であって、該検出センサユニット(85)は、前記検出コイル(88)が設けられた検出口(87a)を備え、検出センサユニット(85)は、前記検出口(87a)の開口方向に電波の検出範囲が大きく設定され、該開口方向が斜め下向きとなる姿勢で検出センサユニット(85)が前記ケース体(51)に保持されることを要旨とする。
請求項2の発明によれば、球検出センサに対しては下側から不正な電磁波が照射される可能性が高く、この下側からの電磁波を確実に検出することができる。
【0011】
請求項3に係る遊技機では、前記ケース体(51)は、前方に開口するベース体(55)と、該ベース体(55)の前側に組み付けられるカバー体(56)とからなり、ベース体(55)およびカバー体(56)の間に前記検出センサユニット(85)を収容するよう構成され、前記カバー体(56)における検出センサユニット(85)に対応する位置に、第1支持部(90a)および壁面を後方に凹ませた第2支持部(90b)が設けられて、ベース体(55)にカバー体(56)を組み付けた際に、第1支持部(90a)で検出センサユニット(85)を開口方向が斜め下向きとなる姿勢に支持すると共に、第2支持部(90b)で前記状態維持手段(86)を検出口(87a)内に位置するように支持するよう構成したことを要旨とする。
請求項3の発明によれば、ベース体にカバー体を組み付けることで、検出センサユニットを適正な姿勢に支持すると共に、状態維持手段を検出センサユニットの検出口に位置させることができ、検出センサユニットを第2状態に確実に維持し得る。
【0012】
請求項4に係る遊技機では、前記検出センサユニット(85)は、前記球検出センサ(53)の側方に配置されることを要旨とする。
請求項4の発明によれば、球検出センサに対して照射される不正な電磁波を確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る遊技機によれば、簡単な構造で不正行為を容易に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】実施例に係るパチンコ機を、中枠から遊技盤および前枠を外した状態で示す正面図である。
【図3】実施例に係る中枠の背面図である。
【図4】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
【図5】実施例に係る遊技盤を、各種入賞装置を取り外した状態で示す正面図である。
【図6】実施例に係る設置部材を前側から見た状態で示す斜視図である。
【図7】図4のA−A線断面図である。
【図8】図4のB−B線断面図である。
【図9】実施例に係る第1始動球検出センサおよび検出センサユニットが配設されたケース体を示す正面図である。
【図10】図9のC−C線断面図である。
【図11】実施例に係る設置部材から取り外したケース体を前側から見た状態で示す分解斜視図である。
【図12】実施例に係るケース体を後側から見た状態で示す分解斜視図である。
【図13】実施例に係る遊技盤における特別入賞装置および第2普通入賞装置の配設部位を示す要部背面図である。
【図14】実施例に係る設置部材における第2球通路部材の配設部位を前側から見た状態で示す要部斜視図である
【図15】実施例に係る第2普通入賞装置と第2球通路部材との関係を示す遊技盤の要部断面図である。
【図16】実施例に係る特別入賞装置と第2球通路部材との関係を示す遊技盤の要部断面図である。
【図17】実施例に係る第2球通路部材の背面図である。
【図18】実施例に係るパチンコ機の制御構成を示すブロック図である。
【図19】(a)は球検出センサを示す概略図であり、(b)は非検出時、球通過時および不正電波行為時における球検出センサの出力信号を示す図である。
【図20】実施例に係る検出センサユニットの回路構成を示すブロック図である。
【図21】(a)は発振検出状態での検出センサユニット内の信号の流れを示すブロック図であり、(b)は発振非検出状態での検出センサユニット内の信号の流れを示すブロック図である。
【図22】正常時および不正行為時において主制御装置に入力される信号波形を示す図である。
【図23】不正電波行為時での検出センサユニット内の信号の流れを示すブロック図である。
【図24】検出範囲を示す図である。
【図25】不正電波行為時および不正磁気行為時における各装置での報知方法を示す図である。
【図26】変更例に係るパチンコ機の制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行なうパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、図1に示すようにパチンコ機10を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0016】
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦向きに設置される固定枠としての矩形枠状の外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤12を着脱可能に保持する本体枠としての中枠13が開閉および着脱可能に組み付けられると共に、遊技盤12の裏側に配設された設置部材14に対して、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置15が着脱自在に取り付けられるよう構成される。また、前記中枠13の前面側には、前記遊技盤12を透視保護するガラス板等の透視保護板(図示せず)を備えた装飾枠としての前枠16が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠16の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿17が開閉可能に組み付けられる。前記前枠16の上部には、フルカラーLED等の発光体を実装した発光体基板(何れも図示せず)を備えたランプ装置(報知手段)18,18が左右に2つ配設されている。前記ランプ装置18は、後述する統括制御装置19に電気的に接続され、該統括制御装置19の制御に基づいて発光体が点灯・点滅したり、発光色を変更させたりするようになっている。なお、前記ランプ装置18の前側は、光透過性のランプカバー18aで被覆してある。また、前記前枠16の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿20が一体的に組み付けられており、前枠16の開閉に合わせて上球受け皿20も一体的に開閉するよう構成される。なお、実施例では、前記図柄表示装置15としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。また、前記上球受け皿20は、前記前枠16と別体に形成してもよい。
【0017】
前記中枠13は、図2に示すように、上下左右の縁部をなす枠部材13a〜13dにより、全体が前記外枠11の開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、中枠13の前後に開口する開口縁部が、前記遊技盤12を設置する遊技盤保持部21として機能するよう構成されている。下枠部材13bの前側には、スピーカ(報知手段)22や打球発射装置23が設置されると共に、遊技者により回動操作されて打球発射装置23を作動させる操作ハンドル24が設けられている。ここで、前記操作ハンドル24の回動量に応じて前記打球発射装置23によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作ハンドル24を操作して回動量を調節することで、前記遊技盤12に形成された第1経路33a(後述)をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該遊技盤12に形成された第2経路33b(後述)をパチンコ球が流下する所謂「右打ち(ゴム打ち)」とを打ち分け得るようになっている。
【0018】
図3に示すように、前記上枠部材13aの後側には、設置枠台等に設けられた外部球供給設備から供給されるパチンコ球を貯留する球タンク25が、該上枠部材13aの左右幅の略全幅に亘って設けられている。また、下枠部材13bの後側には、前記上下の球受け皿20,17に連通する球供給路や設置枠台に設けた球回収樋(何れも図示せず)に連通する球排出路が夫々形成されたセット部材26が配設されている。前記球タンク25とセット部材26とは、各部材25,26における左枠部材13c側の端部間に架設された球通路ユニット27を介して連通接続されており、該球通路ユニット27に配設された球払出装置28の駆動により球タンク25に供給されたパチンコ球を前記上下の球受け皿20,17へ給出するよう構成されている。また、セット部材26には、前記球払出装置28を駆動制御する払出制御装置29、前記打球発射装置23を駆動制御する発射制御装置30等が配設されている。前記払出制御装置29は、前記パチンコ機10の後側に配設される主制御装置(制御手段)31に電気的に接続されており、該主制御装置31から入力される制御信号に基づいて、払出制御装置29が球払出装置28を制御するようになっている(図18参照)。
【0019】
〔遊技盤12について〕
図4に示すように、前記遊技盤12は、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂材やベニア等の木板から前記中枠13の遊技盤保持部21に整合する略矩形平板状に形成され、該遊技盤12の前面(盤面)に配設された略円形状に湾曲形成された案内レール32により、パチンコ球が流下可能な遊技領域33が画成されている。また、遊技盤12の裏面に、前記図柄表示装置15が取り付けられた前記設置部材14が配設されている。
【0020】
ここで、前記案内レール32は、図4に示す如く、遊技盤12の左下部から右上部に至るよう左方向に膨出する円弧状に形成された外レール34と、該外レール34の内側に配置されて、遊技盤12の右上部、右下部および左上部に至るよう右方向に膨出する円弧状に形成された内レール35,36とから構成されている。前記内レール35,36は、遊技盤12の右上部から下部に亘って配設され、左端縁が右方に凹む円弧状に形成された盤面飾り部材35と、遊技盤12の下部から左上部に亘って配設されて盤面飾り部材35の下端部に連接し、前記外レール34の右方に離間して位置するレール部材36とから構成され、該外レール34およびレール部材36により1個のパチンコ球が通過可能な発射通路32aが画成されている。ここで、前記内レールを構成するレール部材36は、図4に示す如く、前記遊技盤12の左上部に開放端を臨ませるよう構成されて、前記打球発射装置23から発射されたパチンコ球が発射通路32aの下方開口から飛翔して、レール部材36の開放端側から遊技領域33内に打ち出されるようになっている。
【0021】
前記遊技盤12には、前後に貫通する装着口37a,37b,37c,37d,37e,37f,37gが前記遊技領域33内に複数開設されて(図5参照)、各装着口37a,37b,37c,37d,37e,37f,37gに対して各種部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域33の最下部位置には、該遊技領域33に打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口39が開設されている。また遊技盤12には、図4に示す如く、前記遊技領域33内に多数の遊技釘40が植設されており、遊技領域33を流下するパチンコ球が遊技釘40に接触することでパチンコ球の流下方向を不規則に変化させると共に減勢するようになっている。なお、前記装着口の形成数は、遊技盤12に対して取り付けられる各種部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜決定される。
【0022】
〔枠状装飾体41について〕
実施例の前記遊技盤12には、前記案内レール32で囲まれた前記遊技領域33の略中央の大部分が開口する第1装着口37aに、前後に開口する窓口(開口部)41aが形成された枠状装飾体41が取り付けられ、該枠状装飾体41の窓口41aを介して図柄表示装置15の表示部15aが遊技盤12の前面側に臨むよう構成される。枠状装飾体41は、前記第1装着口37aに沿って延在する環状に形成された薄板状の固定板41bと、該固定板41bの開口内周に沿って後方へ突出する内周壁部(図示せず)と、該固定板41bの開口内周に沿って設けられて、遊技盤12の前面より前方へ突出する庇部41cとを備える。そして、枠状装飾体41は、第1装着口37a内に内周壁部を挿入した状態で、遊技盤12に固定板41bが前側からネジ止めされている。前記固定板41b、内周壁部および庇部41cの夫々は一体に樹脂形成する構成であっても、別部材として形成する構成であってもよい。
【0023】
前記枠状装飾体41の庇部41cは、枠状装飾体41(固定板41b)の左側縁の中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するよう設けられており、前記図柄表示装置15における表示部15aの前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。また庇部41cは、最上部位置から左右方向に下方傾斜するよう形成されて、遊技領域33に打ち出されたパチンコ球が庇部41c上で滞ることなく枠状装飾体41の左側方または右側方へ誘導案内されるよう形成されている。すなわち、前記遊技盤12に画成された遊技領域33には、枠状装飾体41の左側方をパチンコ球が流下する第1経路33a、および枠状装飾体41の右側方をパチンコ球が流下する第2経路33bが設けられており、前記打球発射装置23により遊技領域33内に発射されたパチンコ球は、到達位置に応じて枠状装飾体41およびレール部材36(内レール)の間に形成される第1経路33aか、或いは枠状装飾体41および盤面飾り部材35(内レール)の間に形成される第2経路33bの何れかを流下するよう構成される。
【0024】
前記枠状装飾体41には、図4に示す如く、窓口41aの下側(枠状装飾体41の内周下縁部)に、ステージ42が配設されると共に、窓口41aの左側に、前記第1経路33a(遊技領域33)に開口して該第1経路33aを流下するパチンコ球を取り込む球導入部43が設けられ、該球導入部43がステージ42に連通するよう構成される。そして、球導入部43からステージ42に通出されたパチンコ球は、ステージ42上を左右に転動した後に、後述する各入賞装置44,46,47,49が配設されている遊技領域33に排出される。
【0025】
前記遊技盤12における前記第1装着口37a(枠状装飾体41)の下方に開設された第2装着口(装着口)37bに、遊技領域33(第1経路33aおよび第2経路33b)を流下するパチンコ球が入賞可能な後述する第1始動入賞装置44を構成する始動口飾り45が取り付けられている。また、第2装着口37bの右方に開設された第3装着口37cに、第2経路33bを流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞装置46が配設されると共に、該第3装着口37cの上方に開設された第4装着口37dに、第2経路33bを流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞装置47が取り付けられている。更に、第4装着口37dの上方に開設された第5装着口37eに、第2経路33bを流下するパチンコ球が通過可能な球通過ゲート48が取り付けられている。更にまた、第2装着口37bの左方に開設された第6装着口37fに、第1経路33aを流下するパチンコ球が入賞可能な第1普通入賞装置49が取り付けられると共に、前記第5装着口37eの右上方に開設された第7装着口37gに、第2経路33bを流下するパチンコ球が入賞可能な第2普通入賞装置50が取り付けられている(図4参照)。
【0026】
〔第1始動入賞装置44について〕
前記遊技盤12に配設される第1始動入賞装置(始動入賞装置)44は、図7に示す如く、遊技領域33に常に開放して該遊技領域33を流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動口(始動口)45aを備えた前記始動口飾り45と、遊技盤12の裏側に配設された設置部材14に取り付けられ、該始動口飾り45から裏側に通出されたパチンコ球を機外に排出する球排出通路52が形成されたケース体(設置部)51と、該ケース体51に配設されて球排出通路52を流通するパチンコ球を検出する第1始動球検出センサ(球検出センサ)53とを備える。第1始動球検出センサ53は、パチンコ機10の裏側に配設された主制御装置31に図示しない中継基板を介して電気的に接続されている(図18参照)。
【0027】
前記始動口飾り45は、前記第2装着口37bを前側から覆い得る寸法および形状に形成された光透過性の装飾板体45bと、該装飾板体45bの前面から前側に突出する光透過性の始動口形成部45cと、該始動口形成部45cによって形成される前記第1始動口45aとを備える。そして、始動口飾り45は、装飾板体45bの後端面を遊技盤12の前面に当接してネジ止め固定することで、装飾板体45bで第2装着口37bを前側から覆うと共に、第1始動口45aが遊技領域33において上方に開口するようになっている。また始動口飾り45には、図7に示す如く、第1始動口45aに連通する球導入通路54を画成する樋状の通路壁45dが、第2装着口37b内を遊技盤12の裏面まで延出するように設けられ、遊技領域33から第1始動口45aに入賞したパチンコ球は、球導入通路54を通って前記球排出通路52に通入するよう構成される。なお、第2装着口37bの開口寸法は、始動口飾り45の通路壁45dに比べて大きく設定されており、始動口飾り45を遊技盤12に取り付けた状態で通路壁45dの下側で装飾板体45bおよび始動口形成部45cの後方に、後述する発光装置60を前記ケース体51に配設するための設置収容部56b(後述)を収容可能な空間(第2装着口37bの一部)が確保されるようになっている。また、装飾板体45bおよび始動口形成部45cには光拡散加工が施されて、該装飾板体45bおよび始動口形成部45cを介して裏側が視認し難くしてある。
【0028】
〔ケース体51について〕
前記ケース体51は、図11,図12に示す如く、前方に開口するベース体55の前側に、該ベース体55の前方開口を覆うように透明なカバー体56が組み付けられて構成され、該ベース体55とカバー体56との間に画成された空間に、前記第1始動球検出センサ53および後述する検出センサユニット85および検出用金属球86を収納するように配設して、ユニットとして取り扱い得るようになっている。ケース体51は、ベース体55が前記設置部材14の後述するケース設置部72に着脱自在に取り付けられ、設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態では、ケース体51に画成した球排出通路52の後述する球入口52aが、前記始動口飾り45に形成した前記球導入通路54の球出口54aに連通するよう構成される(図7参照)。
【0029】
前記ベース体55の左右方向の略中央には、図12に示す如く、該ベース体55の後壁を、その前面がベース体55の前端と略同一位置となるまで前側に向けて凹設した凹部55aが上下方向に延在するよう設けられる。またベース体55の裏面に、凹部55aの後方開口を塞ぐように蓋部材57が着脱自在に取り付けられ、該凹部55aおよび蓋部材57により球排出通路52が画成される(図7参照)。凹部55aを構成する前壁55bの上部は矩形状に切欠かれて前後に貫通し、該貫通部分が球排出通路52の球入口52aとして機能するようになっている(図11参照)。また、前壁55bにおける球入口52aの下縁を画成する部分には、後方に所定長さで延在する底壁58が形成され、該底壁58の後端と前記蓋部材57との間に、上下方向に連通する連通口52bが形成されている。すなわち、球排出通路52は、図7に示す如く、前方に向けて球入口52aが開口すると共に後方に延在する水平通路52cと、該水平通路52cを画成する底壁58に形成した連通口52bを介して連通して下方に延在する縦通路52dとから構成される。
【0030】
前記蓋部材57に第1始動球検出センサ53が着脱自在に配設されており、該蓋部材57をベース体55に取り付けることで、第1始動球検出センサ53は、前記球排出通路52における連通口52bの直下(球出口54aと球入口52aとの連通部に近接する位置)において、パチンコ球が通過可能な検出口53aを上下方向に開口した水平姿勢で位置するよう構成される。なお、第1始動球検出センサ53は、図示しないが、該球検出センサ53の後端に接続する配線が前記設置部材14の裏側に引き出され、該設置部材14の裏側に配設した中継基板に接続してある。
【0031】
前記連通口52bより前側の底壁58の上面に、連通口52bに向けて下方傾斜する傾斜案内面58aが形成され、前記球入口52aから水平通路52cに通入したパチンコ球を、該傾斜案内面58aで連通口52b、すなわち第1始動球検出センサ53の検出口53aにスムーズに案内し得るよう構成される。また水平通路52cを画成する上壁および後壁に、図7に示す如く、前側に臨む面が上方から下方に向かうにつれて後方に変位する案内突条59が突設され、該案内突条59によってもパチンコ球の検出口53aへのスムーズな案内を行ない得るようになっている。
【0032】
なお、前記縦通路52dを画成する前壁55bは、図7に示す如く、上側から下側に向かうにつれて後方に傾斜するように延在する後方傾斜部分と、垂直に延在する垂直部分および上側から下側に向かうにつれて前方に傾斜するように延在する前方傾斜部分とが連設するように形成されている。また、前記蓋部材57における縦通路52dに対応する位置で、前壁55bにおける後方傾斜部分および前方傾斜部分と対向する部位に突条57aが上下方向に延在するように夫々設けられ、前壁55bと突条57aとによって、パチンコ球が流通する縦通路52dが前後方向に屈曲するよう構成されて、該縦通路52dを流通するパチンコ球を減勢し得るよう構成される。更に、縦通路52dを画成する左右の壁に、前後方向に延在する突片55eが上下に離間して突設され、該突片55eによっても縦通路52dを流通するパチンコ球を減勢し得るようになっている。
【0033】
前記カバー体56には、図9に示す如く、前記ベース体55に形成した球入口52aの前側に、該球入口52aを前方に開放するよう壁を略U字状に切欠くことで位置決め受け部56aが形成されており、前記球導入通路54を画成する通路壁45dの後端部が、該位置決め受け部56aで支え受けられるよう構成される。そして、位置決め受け部56aで通路壁45dを支え受けた状態で設置部材14を遊技盤12に配設することで、前記球導入通路54の球出口54aと球排出通路52の球入口52aとが前後に整合するよう構成される(図7参照)。
【0034】
前記カバー体56には、前記位置決め受け部56aの左右両側から下端部までの大部分の壁を前方に凹設した設置収容部56bが設けられ、該設置収容部56bに発光装置60が収納されている。設置収容部56bは、図7に示す如く、設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態で前記第2装着口37b内に収容されて、前記始動口飾り45(装飾板体45bおよび始動口形成部45c)に対向するよう構成される。発光装置60は、発光基板60aと、該発光基板60aの前面に実装した複数のLED60bとから構成され、該LED60bを発光することで、始動口飾り45を後方から照明するようになっている。またケース体51には、前記球排出通路52の側方(実施例では右方)に、後述する検出センサユニット85および検出用金属球86を収容保持するセンサ設置部61が設けられている。なお、センサ設置部61については、検出センサユニット85および検出用金属球86を備える不正検出装置84との関係で後述する。
【0035】
〔第2始動入賞装置46について〕
前記第2始動入賞装置46には、図4に示す如く、開閉体46b,46bによって常には閉鎖される第2始動口46aが設けられ、該第2始動口46aは、所定の開放条件および閉鎖条件(何れも後述)に従って開閉体46b,46bにより開閉されるよう構成される。第2始動口46aに入賞したパチンコ球は遊技盤12の後方へ送られ、前記設置部材14に設けた始動口用球通路63(図14参照)を流下して下方へ排出されるよう構成される。そして、この始動口用球通路63に、前記主制御装置31に接続された第2始動球検出センサ62が配設されて、前記第2始動口46aに入賞したパチンコ球を第2始動球検出センサ62で検出し得るよう構成されている。
【0036】
前記第1始動球検出センサ53または第2始動球検出センサ62によるパチンコ球の検出(すなわち第1始動口45aへの入賞または第2始動口46aへの入賞)に伴って、両センサ53,62から出力されるパチンコ球の検出信号が、主制御装置31に入力されるよう構成される。そして、主制御装置31は、第1始動球検出センサ53または第2始動球検出センサ62から検出信号を受けると、大当りを発生するか否か(特別入賞装置47を開放するか否か)を決定する大当り抽選を行なうと共に、統括制御装置19に制御信号を出力して、前記図柄表示装置15に図柄変動演出を行なわせるようになっている。また、主制御装置31は、第1始動球検出センサ53または第2始動球検出センサ62から検出信号を受けると、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させるよう構成される。
【0037】
〔特別入賞装置47について〕
前記特別入賞装置47は、図4に示す如く、遊技領域33に臨む横長の特別入賞口(第2入賞口)47aが開閉部材47bで常には閉鎖されており、前記第1または第2始動口45a,46aへのパチンコ球の入賞を契機とした前記大当り抽選の結果、大当りが発生すると、前記図柄表示装置15に所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の3つ揃い等)で図柄が停止表示されると共に、開閉部材47bが開放するよう作動制御されて、特別入賞口47aへの入賞により多数の賞球を獲得し得るよう構成されている。特別入賞装置47の装置本体47c(図13,図18参照)には、前記主制御装置31に電気的に接続された特別球検出センサ(第2検出手段)64が設けられている。特別球検出センサ64がパチンコ球を検出すると、検出信号を主制御装置31に出力し、主制御装置31は、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に多数の賞球を払い出させる。なお、図16に示すように、特別入賞装置47の装置本体47cは、遊技盤12に設けた前記第4装着口37dを介して遊技盤12の後方に突出している。
【0038】
前記特別入賞装置47の装置本体47cには、図16に示す如く、特別入賞口47aに入賞したパチンコ球を後方に案内する案内通路65が形成されると共に、装置本体47cにおける遊技盤12の後方に突出する部分に、該案内通路65に連通する球出口65aが下方に開口するように形成されている。そして、球出口65aから通出して落下するパチンコ球は、後述する第2球通路75の受入れ口76cに通入するよう構成される。また前記特別球検出センサ64は、前記案内通路65に配設されて、球出口65aから通出する前のパチンコ球を検出するよう構成されている。
【0039】
前記特別入賞装置47では、前記「大当り」の発生時に行なわれる大当り遊技において、前記特別入賞口47aへのパチンコ球の入賞が阻まれる不利な第1状態(特別入賞口47aの閉鎖)と、特別入賞口47aへのパチンコ球の入賞が許容される第2状態(特別入賞口47aの開放)とに変動されるラウンド遊技を繰返すよう構成される。ここで、特別入賞装置47におけるラウンド遊技とは、不利な第1状態から有利な第2状態に移行し、再び不利な第1状態に移行するまでを云い、大当り遊技において予め決定された継続回数のラウンド遊技が繰返されるようになっている。また、ラウンド遊技において第1状態から第2状態への移行は、第1状態から第2状態へ移行してからの第2状態の継続時間(特別入賞口47aの開放時間)、または第2状態での特別入賞口47aへのパチンコ球の入賞数(特別球検出センサ64による設定数のパチンコ球の検出)の何れかが、予め設定された値となったことを条件として行なわれる。
【0040】
ここで、実施例のパチンコ機10では、前記大当り遊技以外の遊技が行なわれる遊技状態として、3つの状態が設定されている。すなわち、パチンコ機10において通常行なわれる通常状態と、該通常状態に較べて大当りの発生確率が高く、かつ前記第2始動入賞装置46の第2始動口46aへの入賞確率が高く設定された確率変動状態と、通常状態に較べて大当りの発生確率が同等で、かつ第2始動入賞装置46の第2始動口46aへの入賞確率が高く設定された時間短縮状態が設定されている。そして、前記第1および第2始動口45a,46aへパチンコ球が入賞した際に、前記遊技状態を変更するか否かが前記主制御装置31で決定される。前記確率変動状態および時間短縮状態は、何れも通常状態よりは遊技者にとって有利な特別遊技状態である。
【0041】
また、前記球通過ゲート48は、前記第2経路33bを流下するパチンコ球が通過可能に構成されたものであって、パチンコ球を検出するゲート用球検出センサ66を備えている(図13参照)。前記球通過ゲート48のゲート用球検出センサ66は、図18に示す如く、前記主制御装置31に接続されており、該ゲート用球検出センサ66の検出に伴って主制御装置31において前記第2始動入賞装置46における第2始動口46aを開放するか否かの始動口開放抽選が行なわれ、該始動口開放抽選の結果が当選の場合に、第2始動口46aを開放するよう第2始動入賞装置46が駆動制御されるようになっている。すなわち、実施例のパチンコ機10では、前記球通過ゲート48のゲート用球検出センサ66がパチンコ球を検出して行なわれる始動口開放抽選の結果が当選となることが、前記第2始動入賞装置46の第2始動口46aを開放する開放条件とされている。
【0042】
そして、前記第2始動口46aを開放してから所定の閉鎖条件が成立することで、該第2始動口46aが閉鎖されるようになっている。ここで、前記第2始動口46aを閉鎖する閉鎖条件としては、例えば前記開閉体46b,46bが入賞許容位置に移動してからの経過時間(第2始動口46aの開放時間)や、第2始動球検出センサ62による設定数のパチンコ球の検出等が挙げられるが、これに限られるものではない。すなわち、パチンコ機10において入賞口を開閉する開閉式の始動入賞装置に採用される開閉体46b,46bの開放条件および閉鎖条件に従って、該開閉体46b,46bを開閉作動するソレノイド(図示せず)が駆動制御される。
【0043】
〔特定条件について〕
また、実施例のパチンコ機10では、前記第2始動入賞装置46の第2始動口46aを開放する開放条件および該第2始動口46aを閉鎖する閉鎖条件は、遊技状態に応じて設定される。すなわち、遊技状態が前記確率変動状態および時間短縮状態の場合には、遊技状態が通常状態の場合に較べて、前記第2始動入賞装置46の第2始動口46aが開放され易くなるよう前記開放条件や閉鎖条件が設定されて、第2始動口46aへの入賞率を高くするよう構成されている。具体的には、実施例では、遊技状態が前記確率変動状態および時間短縮状態の場合には、遊技状態が通常状態の場合に較べて、前記始動口開放抽選の結果が確定するまでの時間が短くなるよう設定されると共に、第2始動口46aの1回の開放毎の開放時間を長く設定することで、確率変動状態および時間短縮状態における第2始動口46aへの入賞確率を高くしている。例えば、遊技状態が通常状態の場合には、始動口開放抽選の結果が確定するまでの時間が略30秒で、かつ第2始動口46aの開放時間が0.1秒/1回に設定されるのに対し、遊技状態が確率変動状態および時間短縮状態の場合には、始動口開放抽選の結果が確定するまでの時間が略2秒で、かつ第2始動口46aの開放時間が2秒/1回に設定されている。
【0044】
そして、前記第2始動入賞装置46の第2始動口46aを開放するか否かの始動口開放抽選を行なう契機となる球検出を行なうゲート用球検出センサ66を備える前記球通過ゲート48を、前記遊技盤12の右側部に配置したことで、パチンコ球が前記第2経路33bを流下する場合にのみ、該パチンコ球が球通過ゲート48を通過可能になっている。従って、実施例のパチンコ機10は、特定の条件が成立した場合(遊技状態が確率変動遊技状態または時間短縮遊技状態となった場合)に、パチンコ球を第2経路33bへ打ち出す「右打ち」を実施することで、第2始動口46aへの入賞確率が高い状態である遊技者にとって有利な遊技を享受させ得るよう構成される。また、実施例のパチンコ機10では、前記遊技盤12の第2経路33bにおける遊技釘40の配設数を少なくして、前記大当り状態(特定の条件の成立、特別遊技状態)に際して「右打ち」を実施することで、当該大当り状態で行なわれるラウンド遊技を早く消化して短時間で多くの賞球を獲得し得る有利な遊技を行ない得るよう構成されている。これに対し、特定条件が不成立の場合(遊技状態が通常状態の場合)には、「右打ち」を実施したとしても遊技者に有利な遊技が行なわれない(逆にパチンコ球が早く消費されて遊技者にとっては不利となる)ことから、該特定条件が不成立の場合にはパチンコ球を第1経路33aへ打ち出す「左打ち」を実施することで、所定の遊技が行なわれるよう構成されている。このように、遊技者が遊技状態(特定条件の成立・不成立)に応じて前記操作ハンドル24を操作してパチンコ球の打ち出し位置を変更するよう構成することで、遊技者に能動的な遊技参加を促し、遊技の興趣を高めるようになっている。そして、実施例において特定条件の成立とは、パチンコ球を第2経路33bへ打ち出す「右打ち」を実施するのに適した条件の成立をいうものである。
【0045】
〔第1普通入賞装置49について〕
前記第1普通入賞装置49は、図4に示す如く、複数(実施例では、3つ)の第1普通入賞口49aを備え、該第1普通入賞口49aに入賞したパチンコ球は遊技盤12の後方へ送られる。そして、遊技盤12の後方へ送られたパチンコ球は、設置部材14に設けた後述する第1球通路部材73(図6参照)に形成した第1球通路73aを流下して下方へ排出されるよう構成される。
【0046】
〔第2普通入賞装置50について〕
前記第2普通入賞装置50は、図4および図15に示す如く、遊技領域33(第2経路33b)に常に開放する第1入賞口としての第2普通入賞口(普通入賞口)50aと、該第2普通入賞口50aに通入したパチンコ球を遊技盤12の後方へ送る樋部50bとを備え、該樋部50bは前記第7装着口37gの後端で開口している。そして、樋部50bの後端の出口50cから通出したパチンコ球は、前記設置部材14に設けた後述する第2球通路部材76の第2球通路75を流下して下方へ排出されるよう構成される。
【0047】
〔設置部材14について〕
図6に示すように、前記設置部材14は、前記遊技盤12に対向する略矩形状の対向面部67と、該対向面部67の周縁部から前方に延出する外周壁部68とから前方に開放する箱状に形成され、全体が透明の部材で構成されている。前記外周壁部68の前端部には、設置部材14の開口外側へ延出する設置固定部69が複数形成されている。そして、設置固定部69を遊技盤12の裏面に当接した状態で、各設置固定部69を遊技盤12にネジ止めすることで、設置部材14が遊技盤12に着脱自在に取り付けられる。設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態では、該遊技盤12および設置部材14の間に所要の設置スペースが画成される。設置部材14には、遊技状態に合わせて発光演出や可動演出を行なう複数の演出装置70が配設されており、設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態で、これら演出装置70が設置スペースに臨むようになっている。
【0048】
前記設置部材14の対向面部67には、前記枠状装飾体41の窓口41aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部14aが前後に開口するよう開設されると共に、該対向面部67の裏側に前記図柄表示装置15が着脱自在に取付けられて、該開口部14aを介して図柄表示装置15の表示部15aが遊技盤12の前側に臨むようになっている。なお、開口部14aの下側の対向面部67については、特に下対向面部67aとして区別して指称する場合もある。
【0049】
前記図柄表示装置15の裏側には、パチンコ機10の遊技演出を統括的に制御する統括制御装置19が配設される(図3参照)。図18に示すように、統括制御装置19は、前記図柄表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22に電気的に接続されており、該統括制御装置19から出力される演出制御信号に基づいて、各種装置15,18,22が作動制御されるようになっている。また、統括制御装置19には、前記各演出装置70が電気的に接続されており、該統括制御装置19により各演出装置70の演出動作が制御される。対向面部67の裏側には、図柄表示装置15の下側に、前記主制御装置31が着脱自在に配設される。主制御装置31は、パチンコ機10全体の作動を制御するものであって、図18に示す如く、前記第1始動球検出センサ53や第2始動球検出センサ62、統括制御装置19等、各種装置と電気的に接続されている。また、主制御装置31は、後述する不正検出装置84や磁気センサ79,81からの出力信号に基づいて、不正行為の発生を判定する。
【0050】
〔ケース設置部72について〕
図6,図11に示すように、前記開口部14aより下側の下対向面部67aの前側中央部には、前記第1始動入賞装置44のケース体51が着脱自在に配設されるケース設置部72が設けられる。このケース設置部72には、複数(実施例では3つ)の取着柱72aが上下および左右に離間して突設され、各取着柱72aの前端部を、ケース体51(ベース体55)に形成した対応の受け部55cに夫々嵌合したもとで、各受け部55cの通孔を介して取着柱72aにネジを螺挿することで、ケース体51がケース設置部72(設置部材14)に位置決め固定される。そして、設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態で、ケース体51の前端面が、遊技盤12の裏面に近接するよう構成される(図7参照)。
【0051】
〔第1球通路73aについて〕
前記下対向面部67aには、図6に示す如く、前記ケース設置部72の左方に、前記第1普通入賞装置49の第1普通入賞口49aに入賞したパチンコ球を機外に排出する第1球通路73aが形成された第1球通路部材73が配設されている。第1球通路73aは、前記3つの第1普通入賞口49aの夫々に連通する分岐前通路と、これら分岐前通路が合流する合流通路とからなり、合流通路の下流端に、パチンコ球を機外に排出する出口73bが形成されている。また第1球通路部材73には、前記合流通路に対応する位置に、合流通路(第1球通路73a)を流通するパチンコ球を検出する第1普通球検出センサ74が着脱自在に取り付けられる。第1普通球検出センサ74は、図18に示す如く、前記主制御装置31に電気的に接続され、第1普通球検出センサ74がパチンコ球を検出すると、検出信号が主制御装置31に出力されるようになっている。そして、主制御装置31は、第1普通球検出センサ74から検出信号が入力されると、前記払出制御装置29に制御信号を出力し、球払出装置28に所定数の賞球を払い出させるよう構成される。
【0052】
〔第2球通路75について〕
前記下対向面部67aには、図6および図14に示す如く、前記ケース設置部72の右方に、前記第2普通入賞装置50の第2普通入賞口50aに入賞したパチンコ球を機外に排出する第2球通路(球通路)75が形成された第2球通路部材76が配設されている。第2球通路部材76の上端部には、前方に向けて開口する入口76aが形成され、該入口76aが、第2普通入賞装置50の出口50cに連通するよう構成される。第2球通路75は、図17に示す如く、上端部で入口76aに連通して略鉛直下方に延在する第1縦通路部75aと、該第1縦通路部75aの下流端に接続して左方に向けて斜め下方に延在する傾斜通路部75bと、該傾斜通路部75bの下流端に接続して略鉛直下方に延在する第2縦通路部75cとから構成され、該第2縦通路部75cの下流端に出口76bが形成され、第2球通路75を流通するパチンコ球は、出口76bから機外に排出されるよう構成される。
【0053】
前記第1縦通路部75aには、第2普通入賞装置50の第2普通入賞口50aに入賞して第2球通路75を流通するパチンコ球を検出する第2普通球検出センサ(第1検出手段)77が着脱自在に取り付けられる。第2普通球検出センサ77は、図18に示す如く、前記主制御装置31に電気的に接続され、第2普通球検出センサ77がパチンコ球を検出すると、検出信号が主制御装置31に出力されるようになっている。そして、主制御装置31は、第2普通球検出センサ77から検出信号が入力されると、前記払出制御装置29に制御信号を出力し、球払出装置28に所定数の賞球を払い出させるよう構成される。
【0054】
前記傾斜通路部75bと第2縦通路部75cとの接続部には、上方に向けて開口する受入れ口76cが形成され、該受入れ口76cは、前記特別入賞装置47の球出口65aの直下に対向している(図16,図17参照)。すなわち、球出口65aから通出して落下するパチンコ球は、受入れ口76cから第2球通路75に通入するよう構成される。また受入れ口76cの開口寸法は、特別入賞装置47の球出口65aの開口寸法より大きく設定されており、平面視において受入れ口76cの内側に球出口65aが臨むよう構成されて、球出口65aから通出されたパチンコ球を受入れ口76cに確実に通入し得るようになっている。なお、受入れ口76cを画成する前壁の内面は、前側から後側に向かうにつれて後方に変位する傾斜案内面76dとされ、受入れ口76cから通入したパチンコ球を傾斜案内面76dで前記第2縦通路部75cとの連通部に向けてスムーズに案内し得るよう構成される。
【0055】
〔磁気センサ79,81について〕
前記設置部材14における開口部14aより左側の対向面部67に、前記枠状装飾体41の球導入部43に近接する裏側位置に、第1センサ保持部(図示せず)が設けられ、該第1センサ保持部に、第1磁気センサ79が着脱自在に配設される。また、前記第2通路部材76の上端(入口76aの上方)に、第2センサ保持部80が設けられ、該第2センサ保持部80に、第2磁気センサ81が着脱自在に配設される。第1および第2磁気センサ79,81は、磁石等から発せられる磁気を検出するものであって、遊技盤12に磁石等を近付けて遊技領域33を流下するパチンコ球を誘導する不正行為(以下、不正磁気行為という)を検出するものである。両磁気センサ79,81は、図18に示す如く、前記主制御装置31に電気的に接続され、各磁気センサ79,81が磁気を検出した際に出力される検出信号(以下、磁気検出信号という)は、主制御装置31に入力される。
【0056】
〔電波による不正行為について〕
ここで、前述した2つの始動球検出センサ53,62や特別球検出センサ64は、いわゆる誘導式近接スイッチであって、実施例のパチンコ機10では、何れも同一のセンサ(以後、これらセンサ53,62,64を単に球検出センサDという場合がある)が採用されている。図19(a)に示すように、球検出センサDは、発振回路等を備えたセンサ本体82とコイルが設けられてパチンコ球が通過可能な球通過口83とを基本構成としている。図19(b)に示す如く、球検出センサDは、パチンコ球を検出していない状態(パチンコ球が球通過口83を通過していない状態)では、発振回路が発振して、高レベルの信号(以下、ハイレベル信号という)を出力するように設定されている。一方、球検出センサDは、パチンコ球を検出している状態(パチンコ球が球通過口83を通過している間)では、発振回路の発振が停止または減衰して、低レベルの信号(以下、ローレベル信号という)を出力するように設定されている。そして、主制御装置31は、球検出センサDからの出力信号がハイレベル信号からローレベル信号に切り換わったときにパチンコ球を1カウントして、前記払出制御装置29を制御して球払出装置28に賞球を払い出させる。
【0057】
ところが、この球検出センサDに電波を放射して、該球検出センサDの出力信号を強制的に変更する不正行為(以下、不正電波行為という)が行なわれることがある。一般的に、この不正電波行為は、図8に示す如く、不正行為者が遊技盤12の斜め下方に電波発生器Eを隠し持ち、第1および第2始動入賞装置44,46や特別入賞装置47等が設けられる遊技盤12の下部へ向けて電波を電波発生器Eから放射して行なわれる。この電波発生器Eから放射される電波を、パチンコ球が球通過口83を通過する間に球検出センサDが浴びると、該球検出センサDは、断続的な発振があったと誤検出してしまう。その結果、図19(b)に示すように、球検出センサDは、ローレベル信号およびハイレベル信号を繰り返し出力し、前記主制御装置31は、ハイレベル信号からローレベル信号に切り換わる度にパチンコ球をカウントすることとなる。そして、主制御装置31は、1個のパチンコ球が球通過口83を通過したのにも拘わらず、複数個分のカウントをして、多くの賞球を払い出したり、大当り抽選が行なわれてしまう虞がある。そこで、実施例のパチンコ機10では、このような不正電波行為を検出するべく、前記第1始動入賞装置44に不正検出装置84が設置されている。
【0058】
〔不正検出装置84について〕
図11,図12に示すように、前記不正検出装置84は、検出センサユニット(状態変化手段)85と、検出用金属球(状態維持手段)86と、これら検出センサユニット85および検出用金属球86を収容した前記ケース体51とから基本的に構成されている。すなわち、実施例の不正検出装置84は、前記第1始動球検出センサ53が配設されるケース体51を、検出センサユニット85および検出用金属球86を収容するケース体として兼用している。
【0059】
前記検出センサユニット85は、矩形状のセンサ装置本体87と、貫通孔が画成された円筒状の検出口(球通過口)87aとから基本的に構成され、実施例では、前述した第1および第2始動入賞装置44,46や特別入賞装置47等に設けられる球検出センサDと同一のものが採用されている。前記検出口87aの開口円の直径は、前記検出用金属球86の直径より僅かに大きく設定されている(図10参照)。前記検出口87aには、開口縁に沿って検出コイル88が巻装されており、該検出コイル88により検出口87aの周囲に磁界を発生させるようになっている。図20に示すように、前記センサ装置本体87には、発振回路F、発振検出回路Gおよび出力回路Hが形成されている。図21(a)に示すように、前記発振回路Fは、検出口87aの磁界中に磁性体(検出用金属球86)が存在しない状態で、高周波(例えば、1MHz)で発振するようになっている。また、図21(b)に示すように、前記検出口87aの磁界中に磁性体(検出用金属球86)が存在すると、発振回路Fは、発振を停止または減衰させるようになっている。実施例の発振回路Fは、検出口87aに磁性体(検出用金属球86)が存在した状態で、発振を停止させるように設定されている。
【0060】
前記発振検出回路Gは、前記発振回路Fの発振状態を検出して、当該発振状態に応じた信号を出力するものである。図21(a)に示すように、発振検出回路Gは、発振回路Fの発振を検出すると発振検出信号を前記出力回路Hに出力すると共に、図21(b)に示すように、発振回路Fが発振を停止または減衰(実施例では、発振の停止)を検出すると出力回路Hに発振停止検出信号を出力するよう構成される。すなわち、検出センサユニット85は、磁性体の有無により、発振検出回路Gが発振を検出した発振検出状態(第1状態)と、発振検出回路Gが発振の停止を検出した発振非検出状態(第2状態)とに状態変化可能に構成されている。
【0061】
前記出力回路Hは、前記発振検出回路Gから発振検出信号が入力されると、前記ハイレベル信号を出力し、該発振検出回路Gから発振停止検出信号が入力されると、前記ローレベル信号を出力するようになっている。なお、図21(b)に示すように、ローレベル信号は、0より僅かに大きな値となっている。前記出力回路Hは、図示しない中継基板を介して前記主制御装置31に電気的に接続されており、出力回路Hから出力されたハイレベル信号およびローレベル信号は、主制御装置31に入力される。前記検出用金属球86は、前記発振回路Fの発振を停止させて検出センサユニット85を発振非検出状態に維持する(状態変化手段を第2状態に維持する)ものである。実施例では、検出用金属球86として、磁性体であるパチンコ球が用いられている。後述するように、検出用金属球86は、検出口87a内に位置した状態でケース体51に収容される(図10参照)。
【0062】
すなわち、実施例の不正検出装置84は、前記不正電波行為が行なわれていない正常時では、検出用金属球86により発振回路Fの発振が停止されて、検出センサユニット85は、発振非検出状態に維持される。従って、図22に示すように、発振検出回路Gは、発振停止検出信号を出力し、出力回路Hからローレベル信号が出力されるので、前記主制御装置31に対して常にローレベル信号が入力される。一方、検出センサユニット85が発振非検出状態にある場合において、前記電波発生器Eから電波が検出センサユニット85に放射されると、図23に示すように、発振回路Fは発振を停止しているのにも拘わらず、電波によって断続的な発振が強制的に生起される。従って、不正電波行為が行なわれると、発振検出回路Gが断続的な発振を検出して、発振検出信号および発振停止検出信号を交互に出力するようになっている。これにより、図22に示すように、前記出力回路Hは、ハイレベル信号およびローレベル信号を主制御装置31に交互に出力する。なお、実施例に係る不正検出装置84では、検出センサユニット85における電波の検出範囲が、図24に示す如く、前記検出口87aの開口方向側(図24では上下方向)が大きくなっている。すなわち、検出センサユニット85は、検出口87aの開口方向から放射される電波に反応し易い構成となっている。
【0063】
〔ケース体51のセンサ設置部61について〕
前記ケース体51には、前記球排出通路52の側方(実施例では右方)に、前記検出センサユニット85および検出用金属球86を収納保持するセンサ設置部61が設けられる。センサ設置部61は、ベース体55に設けた後設置部89と、カバー体56に設けた前設置部90とから構成され、ベース体55にカバー体56を取り付けることで、前後の設置部89,90間に検出センサユニット85および検出用金属球86が位置決め保持されるよう構成される。後設置部89は、図11に示す如く、左右方向に離間する一対の側壁89a,89aと、両側壁89a,89aの後端縁間に設けられて、上側から下側に向かうにつれて後方傾斜する後壁89bとにより前方に開口するセンサ収容部89cが画成される。また後壁89bには、左右の側壁89a,89aに沿ってセンサ収容部89cに突出する規制部89d,89dが突設され、該規制部89dの上面は、後側から前側に向かうにつれて下方傾斜している。そして、検出センサユニット85におけるセンサ装置本体87の長手方向一端(配線の接続端)を規制部89d,89dに当接支持すると共に、該センサ装置本体87の後面を後壁89bに当接支持することで、該センサ装置本体87は、上側から下側に向かうにつれて後方傾斜する姿勢で支持される。また、後設置部89の後壁89bには、センサ装置本体87の検出口87aに対応する位置に、後方に向けて凹む半球状の球受部89eが形成されている。
【0064】
前記前設置部90は、図12に示す如く、前記後設置部89における側壁89a,89aの内側に臨む間隔で左右方向に離間する一対の第1支持部90a,90aが、後方に向けて突設されており、各第1支持部90aの後端面は、前記後壁89bと平行に形成されている。そして、ベース体55にカバー体56を組み付けた状態で、図10に示す如く、後設置部89のセンサ収容部89cに収容された検出センサユニット85におけるセンサ装置本体87の前面に第1支持部90a,90aが当接して、該検出センサユニット85を、上側から下側に向かうにつれて後方傾斜する姿勢で位置決めするよう構成される。すなわち、ケース体51を配設した設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態で、検出センサユニット85は、遊技盤12の盤面に対し所定角度(実施例では約60°)で後方傾斜する姿勢(検出口87aの開口方向が斜め下向きとなる姿勢)となるよう構成される(図8参照)。また、ケース体51における第1始動球検出センサ53と検出センサユニット85との位置関係は、第1始動球検出センサ53の右側方において、検出センサユニット85におけるセンサ装置本体87の前端の位置が、前後方向において第1始動球検出センサ53の前端と略同一位置に位置するよう設定される。更に、センサ装置本体87の検出口87aは、正面視において第1始動球検出センサ53の配設位置より上方でかつ、平面視において両者の検出口53a,87aが左右方向に略整列するように設定されている。
【0065】
前記前設置部90は、図11に示す如く、両第1支持部90a,90aの間の壁面を後方に凹ませることで、両第1支持部90a,90a間に第2支持部90bが設けられる。この第2支持部90bは、第1支持部90a,90aの後端面から所定長さだけ前側に位置すると共に、該第2支持部90bの後端面は、第1支持部90aの後端面と平行に延在するよう構成される。そして、ベース体55にカバー体56を組み付けた状態で、検出センサユニット85の検出口87aに位置する検出用金属球86を、該検出口87a内に位置するように第2支持部90bで支持するよう構成される(図10参照)。また、ベース体55およびカバー体56を組み付けた状態で、前記球受部89eと第2支持部90bとで支持された検出用金属球86は、センサ設置部61にガタつくことなく保持されると共に、該検出用金属球86の中心が検出口87aにおける開口方向の中央部と略一致するよう位置決めされる。なお、カバー体56における第2支持部90bより上側の壁裏面に、支持突片90cが設けられる。この支持突片90cの下面は、前記規制部89dの上面と平行に延在するよう形成され、ベース体55にカバー体56を組み付けた際に、該支持突片90cの下面がセンサ装置本体87の上端に当接し、該センサ装置本体87を前記規制部89d,89dとで挟んで上下方向の移動を規制するよう構成される。
【0066】
前記ケース体51が設置部材14のケース設置部72に取り付けられた状態では、前記検出センサユニット85は、遊技盤12の下部後方において、前記第1始動入賞装置44、第2始動入賞装置46および特別入賞装置47に近接して位置することとなる(図4参照)。また、検出センサユニット85は、上側から下側に向かうにつれて後方傾斜した姿勢でケース体51内に収容されているから、図8に示すように、前記検出口87aの開口方向が後側から前側に向けて下方傾斜する方向となる。すなわち、検出口87aの開口方向を遊技盤12の前側下方へ向けて指向させることで、遊技盤12の前側下方にセットした電波発生器Eから放射される不正電波を捉え易くしている。なお、検出センサユニット85は、図示しないが、該センサユニット85に接続する配線がケース体51の裏側に引き出されてから前記設置部材14の裏側に引き回し、該設置部材14の裏側に配設した中継基板に接続してある。
【0067】
〔主制御装置31の不正判定について〕
前述のように、前記主制御装置31は、正常時(発振非検出状態)には、不正検出装置84からローレベル信号が入力される(図22参照)。また、不正電波行為により検出センサユニット85が発振検出状態に状態変化されると、出力回路Hからハイレベル信号が入力される。そして、主制御装置31は、不正検出装置84からの信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、不正電波行為が発生したと判定するようになっている(図22参照)。すなわち、検出用金属球86により発振非検出状態に維持されている筈の検出センサユニット85が発振検出状態に状態変化されると、主制御装置31は不正電波行為を検出する。
【0068】
ここで、不正行為者により検出センサユニット85から導出する配線(図示せず)が切断されたり、検出センサユニット85から引き抜かれたりした場合(以下、断線行為という)、図22に示すように、出力回路Hから信号が出力されなくなる(すなわち、信号が0となる)。そこで、主制御装置31は、前記断線行為により、出力回路Hからの出力がなくなったときに、断線行為が発生したと判定するよう設定されている。また、不正行為者が検出センサユニット85から検出用金属球86を抜き取った場合(以下、球抜行為という)、発振回路Fは発振して、前記検出センサユニット85が発振検出状態に維持される。このため、前記電波発生器Eからの電波を受けても発振回路Fの発振は継続されるから、図22に示すように、出力回路Hからハイレベル信号が出力され続ける。すなわち、電波を受けても出力回路Hから出力される信号が切り換わらなくなるから、不正電波行為を検出し得なくなってしまう。そこで、主制御装置31は、前記球抜行為により、出力回路Hからの出力がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、球抜行為が発生したと判定するようになっている。なお、不正磁気行為については、前記第1,第2磁気センサ79,81から前記磁気検出信号が入力されたときに、主制御装置31が不正磁気行為の発生を判定する。
【0069】
〔不正判定時の制御構成について〕
次に、不正判定時における主制御装置31の制御構成について、以下説明する。前記主制御装置31は、前記断線行為および球抜行為を含む不正電波行為や不正磁気行為の発生を検出すると、これら不正行為の発生を報知する制御を行なう。すなわち、主制御装置31は、前記統括制御装置19に制御信号を出力して前記図柄表示装置15やランプ装置18、スピーカ22で不正行為の発生を報知させる。ここで、図25に示すように、実施例に係るパチンコ機10では、不正電波行為(断線行為および球抜行為を含む)および不正磁気行為で、図柄表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22での作動態様が異なっている。従って、主制御装置31は、発生した不正行為に対応した制御信号を統括制御装置19に出力するよう構成される。具体的には、不正電波行為が発生した場合には、図柄表示装置15の表示部15aに不正電波行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22に不正電波行為発生の旨を音声出力させる。更に、前記ランプ装置18を第1の色(実施例では、緑色)で発光させて、不正電波行為の発生を報知させる。また、不正磁気行為が発生した場合には、図柄表示装置15の表示部15aに不正磁気行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22に不正磁気行為発生の旨を音声出力させる。更に、ランプ装置18を第2の色(実施例では、紫色)で発光させて、不正磁気行為の発生を報知する。
【0070】
図18に示すように、主制御装置31は、パチンコ機10の裏側に設けた外部端子板91を介して遊技場の管理室等に設置されたホールコンピュータ(報知手段)92に電気的に接続されている。そして、前記不正電波行為および不正磁気行為を検出すると、主制御装置31は、ホールコンピュータ92に対してセキュリティー信号を出力するよう設定されている。実施例では、不正電波行為および不正磁気行為の何れの場合も、同一のセキュリティー信号が出力されるようになっている。前記ホールコンピュータ92では、セキュリティー信号が入力されると、不正行為の発生を該ホールコンピュータ92の図示しないディスプレイ等に表示させて、管理者等に不正行為の発生を報知させるようになっている。ここで、何れの不正行為が発生しても、同一のセキュリティー信号がホールコンピュータ92に入力されるので、前記ディスプレイでの表示内容は同一となる。但し、図柄表示装置15やランプ装置18、スピーカ22における作動態様は、不正電波行為および不正磁気行為で異なっていることから、何れの不正行為が発生したかを判別することは可能である。
【0071】
〔実施例の作用〕
次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0072】
前記中枠13の前面側に設けられた前記操作ハンドル24を遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置23から発射されたパチンコ球が前記遊技盤12に設けた案内レール32により画成された発射通路32aを介して遊技領域33内に打ち出される。このとき、前記操作ハンドル24の回動量に応じてパチンコ球の打ち出し位置が変化し、打ち出し位置に応じて遊技領域33の第1経路33aまたは第2経路33bをパチンコ球が流下する。前記特定条件が成立していない状態(大当り状態、確率変動状態、時間短縮状態となっていない状態)では、遊技者は第1経路33aを流下する「左打ち」となるようパチンコ球を打ち出す。
【0073】
前記第1経路33aを流下するパチンコ球が前記球導入部43に通入すると、該パチンコ球は球導入部43から前記ステージ42に通出される。このパチンコ球は、ステージ42上を左右に転動した後に遊技領域33に排出される。前記第1始動入賞装置44の第1始動口45aにパチンコ球が入賞すると、該パチンコ球は球導入通路54を後方へ案内されて前記ケース体51に形成した球排出通路52に通入し、最終的に機外に排出される。球排出通路52を流通するパチンコ球は、該通路52を画成する前記前壁55bの傾斜や蓋部材57の突条57aおよび突片55eの作用によって減勢され、スムーズな排出が達成される。
【0074】
また、球排出通路52を流通するパチンコ球が前記第1始動球検出センサ53で検出されると、前記主制御装置31の制御に基づいて前記図柄表示装置15での図柄変動演出が開始され、図柄変動演出の結果、図柄表示装置15の表示部15aに所定の図柄組み合わせが表示されると大当りが発生する。大当りが発生すると、図柄表示装置15に表示された図柄組み合わせに応じて、前記遊技盤12に設けられた特別入賞装置47の特別入賞口47aが開放されると共に、前記主制御装置31の制御に基づいて図柄表示装置15において大当り演出が行なわれる。なお、主制御装置31は、第1始動球検出センサ53から検出信号を受けると、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させる。
【0075】
前記パチンコ機10では、各種遊技状態に応じて、前記各種演出装置70が主制御装置31により作動制御されて、動作および光による演出により遊技の興趣が高められる。また、前記第1始動入賞装置44に配設した発光装置60のLED60bを発光すると、該LED60bの光は、前記始動口飾り45の装飾板体45bや始動口形成部45cに裏側から照射される。第1始動入賞装置44は、パチンコ球の入賞が前記図柄表示装置15での図柄変動開始や賞球獲得の契機となることから、第1始動入賞装置44は、パチンコ機10に備えられた装置の中でも遊技者の注意が特に強く惹き付けられる。すなわち、前記発光装置60のLED60bを発光することで、遊技者の注目度が高い第1始動入賞装置44における第1始動口45aの周囲を明輝させることができ、演出効果により遊技の興趣を高め得る。
【0076】
前記第1始動入賞装置44は、電気部品が配設されない始動口飾り45と、第1始動球検出センサ53や発光装置60等の電気部品を配設したケース体51を分け、始動口飾り45を遊技盤12に取り付ける一方、ケース体51を設置部材14に取り付けるよう構成した。従って、始動口飾り45を遊技盤12に取り付ける際に、配線が遊技盤12との間に挟み込まれるのを注意することなく組み付けることができ、作業が容易となる。また、ケース体51に配設した第1始動球検出センサ53や発光装置60から導出する配線は、ケース体51の裏側に引き出されて設置部材14に配設した中継基板に接続されているので、該ケース体51を遊技盤12に組み付ける際においても、配線が遊技盤12との間に挟み込まれるのを注意することなく組み付けることができる。すなわち、第1始動入賞装置44の遊技盤12に対する組み付け作業が容易となる。
【0077】
前記始動口飾り45における球導入通路54を画成する通路壁45dは、図7に示す如く、遊技盤12に設置部材14を組み付けた状態で、ケース体51に設けた位置決め受け部56aで支え受けられる。これにより、球導入通路54の球出口54aとケース体51に形成した球排出通路52の球入口52aとが整合して連通し、球導入通路54からのパチンコ球を球排出通路52へ円滑に通入させてパチンコ球を確実に排出処理し得る。また、図7に示す如く、前記球排出通路52において球導入通路54からのパチンコ球を受ける底壁58の上面に、前記連通口52bに向けて下方傾斜する傾斜案内面58aを形成してあるので、前記球入口52aから球排出通路52(水平通路52c)に通入したパチンコ球を、該傾斜案内面58aで連通口52b、すなわち前記第1始動球検出センサ53の検出口53aに速やかに案内して検出させることができる。これにより、パチンコ球が第1始動口45aに入賞してから第1始動球検出センサ53で検出されるまでの時間が長くなることで生ずる、例えば主制御装置31で大当り抽選を開始するまでに時間が掛かることで遊技者にとって有利となる遊技状態となるまでの時間が長くなる不都合等の発生を抑制し得る。
【0078】
前記パチンコ機10において、特定条件が成立する前記大当りの発生や、確率変動状態や時間短縮状態へ移行した際には、遊技者は前記操作ハンドル24を回転操作して打球発射装置23によるパチンコ球の打球力を高め、前記第2経路33bに向けてパチンコ球を打ち出す「右打ち」を行なう。右打ちに際して第2経路33bに打ち出されたパチンコ球は、前記枠状装飾体41の右側の庇部41cに沿って転動する。第2経路33bを流下するパチンコ球が、前記第2普通入賞装置50の第2普通入賞口50aに入賞すると、該パチンコ球は、図15に示す如く、樋部50bで案内されて出口50cから第2球通路部材76に形成した第2球通路75に通入し、前記出口76bから機外に排出される。第2球通路75における第1縦通路部75aを流通するパチンコ球が第2普通球検出センサ77で検出されると、該検出信号が前記主制御装置31に送信され、該主制御装置31は、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させる。
【0079】
前記大当りが発生した大当り遊技中に前記特別入賞口47aに入賞したパチンコ球は、図16に示す如く、特別入賞装置47の装置本体47cに設けた案内通路65で後方に案内されて球出口65aから通出される。このパチンコ球は、前記第2球通路部材76に形成した受入れ口76cに向けて落下して通入し、前記第2縦通路部75cを流通して出口76bから機外に排出される。すなわち、特別入賞口47aに入賞したパチンコ球を、第2普通入賞口50aに入賞したパチンコ球を排出する第2球通路75に受入れて排出するよう構成したから、特別入賞口47aに入賞したパチンコ球を排出するための専用の球通路を設ける必要はなく、遊技盤裏側において球通路を設けるための設置スペースを小さくすることができる。
【0080】
ここで、遊技盤12における幅方向中央より右側の領域(第2経路33b)に始動入賞装置46、特別入賞装置47、普通入賞装置50および球通過ゲート48等、多数の部品を配設して「右打ち」を行なわせるようにしたパチンコ機10においては、狭いスペースに多くの部品を配設するために設計の自由度が低くなる。しかるに実施例では、複数の入賞口47a,50aに入賞したパチンコ球を排出処理するための球通路を1つで兼用するよう構成して球通路の配設数を低減するようにしたので、多数の部品を偏って配設する場合においても部品の設置スペースを圧迫することなく、設計の自由度を向上することができる。
【0081】
前記特別入賞口47aに入賞したパチンコ球は、前記特別球検出センサ64で検出され、その検出信号が前記主制御装置31に送信されると、該主制御装置31は、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させる。特別球検出センサ64は、前記受入れ口76cに通入する前のパチンコ球を検出するよう構成される。また、前記第2普通入賞口50aに入賞したパチンコ球を検出する第2普通球検出センサ77は、図17に示す如く、第2球通路75における受入れ口76cより上流側の第1縦通路部75aに配設されている。すなわち、特別入賞口47aおよび第2普通入賞口50aに入賞したパチンコ球を排出処理するための球通路を1つとしても、各入賞口47a,50aに入賞したパチンコ球を個別に検出することができ、賞球数等を変更する等、各入賞口50a,47a毎に異なる対応が可能となる。
【0082】
実施例の第2球通路部材76は、図17に示す如く、特別入賞装置47の球出口65aと対向する受入れ口76cを開口形成しただけで、球出口65aに連通するための分岐路を該第2球通路部材76に別途形成したものではないので、第2球通路部材76の形状が複雑になることもなく、成形は容易である。また、特別入賞装置47の球出口65aに対して下方で対向する受入れ口76cの開口寸法を球出口65aより大きく設定しているので、該球出口65aから通出されて落下するパチンコ球を受入れ口76cに確実に受入れることができる。更に、受入れ口76cを画成する前壁の内面を、図16に示す如く、前側から後側に向かうにつれて後方に変位する傾斜案内面76dとして形成してあるので、受入れ口76cに通入したパチンコ球は滞ることなく傾斜案内面76dで第2縦通路部75cとの連通部に向けてスムーズに案内される。
【0083】
前記第2経路33bを流下するパチンコ球が前記球通過ゲート48を通過すると、該ゲート48の前記ゲート用球検出センサ66で検出される。ゲート用球検出センサ66の球検出に応じて前記主制御装置31では、前記第2始動入賞装置46における第2始動口46aを開放するか否かの始動口開放抽選が行なわれ、該始動口開放抽選の結果が当選の場合に、第2始動口46aを開放するよう第2始動入賞装置46が駆動制御される。
【0084】
前記第2始動口46aが開放している間に該第2始動口46aにパチンコ球が入賞し、該パチンコ球が前記第2始動球検出センサ62で検出されると、主制御装置31は、大当りを発生するか否かを決定する大当り抽選を行なう。なお、大当り遊技中に第2始動口46aに入賞したパチンコ球は保留球として記憶され、大当り遊技の終了後に保留球に基づいて大当り抽選が行なわれ、第1始動球検出センサ53でパチンコ球を検出した場合と同様に、主制御装置31は、前記図柄表示装置15での図柄変動演出が開始させる。また主制御装置31は、第2始動球検出センサ62から検出信号を受けると、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させる。
【0085】
〔不正検出装置84について〕
次に、前記不正検出装置84の作用について説明する。先ず始めに、前記検出センサユニット85および検出用金属球86をケース体51に組み付ける際には、前記ベース体55のセンサ収容部89cに検出センサユニット85を収容セットし、前記検出口87a内に検出用金属球86を挿入する。そして、前記カバー体56の第1支持部90a,90aをセンサ収容部89c内に挿入したもとで、該カバー体56をベース体55にネジ止め固定することで、検出センサユニット85および検出用金属球86はケース体51の内部に位置決め保持される。不正検出装置84は、前記第1始動球検出センサ53が取り付けられるケース体51に、検出センサユニット85および検出用金属球86を収容して第1始動球検出センサ53と一体で取り扱うことができるので、両者53,85の位置関係を適正に維持することができる。
【0086】
図10に示すように、ベース体55およびカバー体56を組み付けると、検出センサユニット85は、左右方向両側の移動が側壁89a,89aで規制された状態で、後壁89bおよび第1支持部90a,90aにより前後から挟持され、かつ規制部89d,89dおよび支持突片90cにより上下から挟持された状態で位置決め保持される。これにより、検出センサユニット85は、センサ設置部61にガタつくことなく保持される。更に、検出口87a内にセットした検出用金属球86に対して、球受部89eおよび第2支持部90bが当接するから、該検出用金属球86は、検出口87a内の開口方向の略中央位置に保持される。すなわち、検出用金属球86を検出コイル88の誘導磁界内に正確に位置させることができ、検出センサユニット85を発振非検出状態に確実に維持させることが可能となる。
【0087】
前記ベース体55およびカバー体56を組み付けるだけで、検出センサユニット85および検出用金属球86の適切な位置関係が規定されるから、両者の位置関係を確保するための慎重な作業を要することなく、組み付け作業を極めて効率的にすることができる。また、検出センサユニット85および検出用金属球86を適切な位置関係で保持するための複雑な構造を要しないから、コストを低廉にし得る。しかも、球体の検出用金属球86を採用することで、該検出用金属球86の姿勢を考慮することなく検出口87a内に位置させればよく、検出用金属球86の組み付けが簡単となる。このように、実施例では、検出センサユニット85として、既存の検出センサDと同一のものを採用し、検出用金属球86としてのパチンコ球により検出センサユニット85を発振非検出状態に維持する構成とした。従って、検出センサユニット85や検出用金属球86を新たに開発、製造する必要がなく、コストを低廉にし得る。
【0088】
前記ケース体51を設置部材14のケース設置部72に、複数の取付柱72aを介して位置決め固定したもとで、該設置部材14を遊技盤12の裏面に取り付ける。この状態で、検出センサユニット85は、遊技盤12の下部後方において、前記第1および第2始動入賞装置44,46や特別入賞装置47に近接して位置することとなる(図4参照)。そして、検出センサユニット85が上側から下側に向けて後方に傾斜した姿勢となるから、該検出センサユニット85の検出口87aの開口方向は、後側から前側に向けて下方傾斜した方向となる。従って、図8に示す如く、遊技盤12の前側下方から前記第1および第2始動入賞装置44,46や特別入賞装置47に向けて放射された電波を捉え易くして、不正電波行為を確実に検出することが可能となる。しかも、不正検出装置84は、検出センサユニット85および検出用金属球86を取り付けるケース体として、第1始動入賞装置44の第1始動球検出センサ53が配設されるケース体51を兼用しているので、検出センサユニット85と第1始動球検出センサ53との位置関係は適正に維持されており、第1始動球検出センサ53に対する不正行為を確実に検出し得る。
【0089】
なお、前記ケース体51に収容された検出センサユニット85は、遊技盤12や始動口飾り45で略隠されて前側から視認し難くなっているので、不正行為者に不正対策が施されていることを覚知されるのを回避し得る。また、検出センサユニット85の設置箇所が判別し難いから、該検出センサユニット85の検出範囲を避けるように電波を放射させて、不正電波行為の検出を免れるような行為を抑制することができる。
【0090】
〔不正行為時の作用について〕
次に、不正電波行為が行なわれた場合の作用について、説明する。なお、不正検出装置84は、不正電波行為が行なわれていない正常時では、前記検出用金属球86により検出センサユニット85が発振非検出状態に維持されて、出力回路Hからローレベル信号が出力されている。従って、図22に示すように、正常時においては、主制御装置31にローレベル信号が入力され続ける。不正電波行為が発生すると、図23に示すように、電波により発信検出回路Gが断続的な発振を誤検出して、出力回路Hは、ローレベル信号およびハイレベル信号を交互に繰り返し出力する。そして、主制御装置31は、出力回路Hからの信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、不正電波行為が発生したと判定する。すなわち、実施例の不正検出装置84によれば、電波により検出センサユニット85が発振非検出状態から発振検出状態に変化するので、簡単な構造により不正電波行為を極めて容易に検出し得る。そして、実施例では、出力回路Hからの出力がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったことで、主制御装置31が不正電波行為の発生を判定するので、極めて簡単な制御で不正電波行為を検出することができる。従って、主制御装置31での制御負担を少なくすることができ、誤判定が生ずる可能性も少なくなる。また、検出センサユニット85に電波を検出するための回路等を別途形成することなく、既存の検出センサDと同じものを検出センサユニット85として採用し得るから、不正検出装置84の製造コストを抑制することができる。
【0091】
不正電波行為の発生を判定すると、主制御装置31は、統括制御装置19に制御信号を出力して、図柄表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22に不正電波行為の発生を報知させる。すなわち、図25に示すように、図柄表示装置15は、表示部15aに不正電波行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22が不正電波行為発生の旨を音声出力する。更に、前記ランプ装置18が第1の色で発光体を発光させて、不正電波行為の発生を遊技場の従業員等に報知させる。このように、不正電波行為が発生すると、直ちに当該不正の発生を図柄表示装置15等が報知するから、当該不正を遊技場内の従業員等に速やかに知らせることができる。しかも、図柄表示装置15やスピーカ22等には、不正電波行為の発生の旨が報知されると共に、ランプ装置18が不正電波行為に対応した第1の色で発光するから、従業員等は、何れの不正行為が発生したかについても容易に判別することができ、迅速に対応することができる。
【0092】
更に、前記主制御装置31は、外部端子板91を介してホールコンピュータ92にセキュリティー信号を出力する。セキュリティー信号を受けたホールコンピュータ92は、ディスプレイに何らかの不正行為が発生した旨を表示させて、管理室の管理者等に報知させる。このように、不正電波行為の発生が判定されると、パチンコ機10だけでなく、ホールコンピュータ92にも報知されるので、仮に遊技場の従業員等が不正の発生に気付かなかったとしても、管理室の管理者等に不正の発生を知らせることができる。なお、ホールコンピュータ92には、同一のセキュリティー信号が入力されるから、前記ディスプレイでの表示内容は何れの不正行為(不正電波行為または不正磁気行為)が生じた場合でも同一となる。しかるに、前述のように、図柄表示装置15やランプ装置18、スピーカ22において不正電波行為である旨が報知されるから、従業員等は、不正電波行為が発生したことを認識することができる。
【0093】
次に、前記断線行為が行なわれた場合には、図22に示すように、出力回路Hから主制御装置31に信号が入力されなくなる。出力回路Hからの入力がなくなると、主制御装置31は、断線行為が発生したと判定して、前述した不正電波行為の場合と同じ対応を行なう。すなわち、図柄表示装置15の表示部15aに不正電波行為発生の旨が表示されると共に、スピーカ22が不正電波行為発生の旨を音声出力する。また、前記ランプ装置18を第1の色で発光させて、不正電波行為の発生を遊技場の従業員等に報知させる。更に、主制御装置31は、ホールコンピュータ92にセキュリティー信号を出力して、ホールコンピュータ92のディスプレイに何らかの不正行為が発生した旨を表示させる。このように実施例では、断線行為が行なわれた場合にも、当該行為を検出し得るので、検出センサユニット85の配線を切断して、不正検出装置84が無効化されるのを防止し得る。
【0094】
また、前記球抜行為が行なわれた場合には、該検出用金属球86が検出口87aから取り外されることで、前記発振回路Fが発振を開始する。従って、発振検出回路Gが発振を検出して、検出センサユニット85が発振検出状態に状態変化する。これにより、図22に示すように、出力回路Hの出力信号はローレベル信号からハイレベル信号に切り換わる。そこで、主制御装置31は、出力回路Hから入力される信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、球抜行為が発生したと判定して、前述した不正電波行為の場合と同じ対応を行なって、不正の発生を報知する。このように、実施例では、球抜行為が行なわれた場合においても、当該不正行為を検出し得るので、検出用金属球86を検出口87aから取り外して、不正検出装置84が無効化されるのを防止することができる。
【0095】
なお、不正磁気行為が行なわれた場合には、磁石等の磁気を第1磁気センサ79または第2磁気センサ81が検出して、検出信号を主制御装置31に出力する。第1磁気センサ79または第2磁気センサ81から検出信号が入力されると、主制御装置31は、不正磁気行為が発生したと判定して、当該不正行為を図柄表示装置15等に報知させる。すなわち、主制御装置31は、統括制御装置19に制御信号を出力して、図柄表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22に不正磁気行為の発生を報知させる。具体的には、図25に示すように、図柄表示装置15の表示部15aに不正磁気行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22に不正磁気行為発生の旨を音声出力させる。更に、前記ランプ装置18が第2の色で発光体を発光させて、不正磁気行為の発生を遊技場の従業員等に報知させる。このように、不正磁気行為が発生した場合にも、当該不正行為の発生を直ちに従業員等に報知することができる。しかも、図柄表示装置15やスピーカ22等の出力内容やランプ装置18の発光色から不正磁気行為が発生したのを判別し得るから、従業員等は、当該不正磁気行為に素早く対応することができる。なお、主制御装置31は、不正磁気行為が発生した場合にも、セキュリティー信号をホールコンピュータ92に出力する。従って、ホールコンピュータ92のディスプレイに何らかの不正行為が発生した旨が表示されて、管理室の管理者等は、不正行為の発生を知ることができる。
【0096】
〔変更例〕
なお、前述した実施例は、以下に示す通り、種々の変更が可能である。
(1) 実施例では、主制御装置は、外部端子板を介してホールコンピュータに電気的に接続する構成とした。そして、主制御装置からのセキュリティー信号は、外部端子板を介してホールコンピュータに入力されるようになっていた(図18参照)。しかしながら、例えば、図26に示すように、外部端子板91を払出制御装置29に接続して、主制御装置31が、払出制御装置29、外部端子板91を介してホールコンピュータ92に電気的に接続する構成としてもよい。この場合、主制御装置31から出力されたセキュリティー信号は、払出制御装置29→外部端子板91を経てホールコンピュータ92に入力される。
(2) 実施例では、何れの不正行為が発生した場合も、主制御装置が同一のセキュリティー信号を出力する構成とした。しかしながら、主制御装置が出力するセキュリティー信号を不正行為毎に変更して、ホールコンピュータでの表示内容が不正行為毎に異なるようにしてもよい。このように、不正行為の種類に応じたセキュリティー信号を出力すれば、ホールコンピュータにおいて、不正電波行為または不正磁気行為の何れが発生したかを管理者等が簡単に判別することができる。
(3) 実施例では、断線行為や球抜行為が発生した場合にも、不正電波行為の発生時と同じように図柄表示装置等に報知させる構成とした。しかしながら、断線行為や球抜行為が生じた場合に、夫々異なる態様で報知させるようにしてもよい。例えば、断線行為が発生した場合には、図柄表示装置やスピーカに断線行為が発生した旨を報知させると共に、ランプ装置を第3の色(例えば赤色)で発光させる。また、球抜行為が発生した場合には、図柄表示装置やスピーカに球抜行為が発生した旨を表示させると共に、ランプ装置を第4の色(例えば白色)で発光させる等して、断線行為や球抜行為についても夫々判別し得るようにしてもよい。
(4) 実施例では、発振検出状態で出力回路がハイレベル信号を出力し、発振非検出状態で出力回路がローレベル信号を出力する構成とし、ハイレベル信号が出力されたときに主制御装置が不正電波行為の発生を判定する構成とした。しかしながら、出力回路が出力する信号としては、発振検出状態および発振非検出状態に対応した2種類の信号であれば、如何なる信号であってもよい。例えば、実施例とは反対に、発振検出状態でローレベル信号を出力し、発振非検出状態でハイレベル信号を出力する構成としてもよい。この場合、ローレベル信号が入力されたときに、主制御装置は不正電波行為が発生したと判定する。
(5) 実施例では、検出センサユニット(状態維持手段)が電波により発振非検出状態(第2状態)から発振検出状態(第1状態)に状態変化される構成とした。しかしながら、磁気により状態変化手段が第2状態から第1状態に変化される構成として、磁気によって、例えば第1始動球検出センサ、特別球検出センサ等を誤作動させる行為を検出し得るようにしてもよい。
(6) 実施例では、状態維持手段としてパチンコ球である検出用金属球を採用したが、状態維持手段としては、発振回路の発振を停止または減衰させ得る磁性体であれば、如何なるものであってもよい。例えば、角柱状や円柱状の金属体を状態維持手段として採用し得る。
(7) 実施例では、遊技領域に常に開放する始動口を備える始動入賞装置の電気部品が配設されるケース体に検出センサユニットおよび検出用属球を配設したが、開閉体により開閉される始動口を備える始動入賞装置において、電気部品が配設されるケース体に検出センサユニットおよび検出用金属球を配設するものであってもよい。また、複数の不正検出装置を遊技機に設置してもよい。
(8) 実施例では、特定の条件の成立時に「右打ち」を実施することで、遊技者にとって有利な遊技を享受させ得るよう構成されたパチンコ機の場合で説明したが、「右打ち」によっても遊技者にとって有利な遊技とならないパチンコ機であってもよい。
(9) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
12 遊技盤
33 遊技領域
45a 第1始動口(始動口)
51 ケース体
53 第1始動球検出センサ(球検出センサ)
55 ベース体
56 カバー体
84 不正検出装置
85 検出センサユニット(状態変化手段)
86 検出用金属球(状態維持手段、磁性体、金属球)
87a 検出口
88 検出コイル
90a 第1支持部
90b 第2支持部
F 発振回路
G 発振検出回路
【技術分野】
【0001】
この発明は、球検出センサに対する不正行為を検出可能な不正検出装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、遊技機の代表例の一つであるパチンコ機は、機内にセットされる遊技盤の盤面にパチンコ球(遊技球)が打ち出される遊技領域が画成されている。遊技盤の後側には、設置部材が配設され、該設置部材に、各種図柄を変動表示して図柄変動演出を行なう液晶式やドラム式等の図柄表示装置が配設される。また、前記遊技盤には、図柄表示装置の下方位置に、該図柄表示装置での図柄変動演出を開始させる契機となる始動入賞装置が配設されている。前記始動入賞装置には、球検出センサが設けられており、前記遊技領域を流下するパチンコ球が、始動入賞装置に設けた始動口に入賞して球検出センサで検出されることで、図柄表示装置での図柄変動演出を開始させると共に、パチンコ球を賞球として払出すよう構成される。そして、前記図柄表示装置で図柄変動に伴うリーチ演出等の各種の遊技演出がなされ、該図柄表示装置に図柄が所定の組み合わせで停止することにより所謂大当りが発生すると、遊技盤に設けられた特別入賞装置が開放して多数の賞球を獲得し得るチャンスが与えられるよう構成されている。
【0003】
前記球検出センサは、パチンコ球が通過可能な検出口を備えた近接センサであって、パチンコ球を検出していない非検出状態では、高レベルの信号(高レベル信号)を出力するようになっている。また、球検出センサは、パチンコ球が検出口を通過する間、パチンコ球を検出した検出状態となり、低レベルの信号(低レベル信号)を出力するようになっている。そして、パチンコ球が検出口を完全に通過すると、球検出センサは、再び非検出状態に戻り、高レベル信号を出力する。球検出センサから出力された信号は、パチンコ機の後側に配設された主制御装置に入力されるようになっている。そして、主制御装置は、低レベル信号が高レベル信号に切り換わった際に、パチンコ球を1カウントして前記図柄変動演出や賞球の払出しを各装置に実行させるよう構成される。
【0004】
ところが、近年では、このような球検出センサの原理を悪用して、電波により球検出センサを検出状態および非検出状態に強制的に切り換える不正行為(いわゆる電波ゴト)が多発して問題となっている。この電波ゴトでは、パチンコ球を検出中(すなわち、パチンコ球が検出口を通過中)の球検出センサに電波を浴びせ、球検出センサを検出状態→非検出状態→検出状態→・・・と強制的に状態変化させる。これにより、主制御装置は、1個のパチンコ球であるのに拘わらず複数回分のカウントをしてしまい、大量の賞球が支払われてしまう弊害がある。
【0005】
そこで、このような電波ゴトへの対策として、例えば特許文献1には、不正な電波を検出する不正検出装置を備えた遊技機が提案されている。この不正検出装置では、通常の球検出センサの内部に不正検出部を設け、該不正検出部が不正な電波を検出すると、球検出センサから出力される球検出信号を無効にして、不正な賞球の獲得を未然に防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−286344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1の不正検出装置では、球検出センサの内部に通常の球検出部と不正検出部とが併存しているため、構造が複雑化してコストが嵩む要因となる。しかも、不正検出部が不正を検出した場合に、球検出信号の出力を無効化する回路を形成する必要があり、不正検出装置内での信号処理が複雑化して誤判定等が発生する虞がある。
【0008】
すなわち、本発明は、従来技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、不正行為を容易に判定し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明に係る遊技機は、
遊技領域(33)が前側に設けられる遊技盤(12)と、該遊技盤(12)に設けられ、前記遊技領域(33)を流下する遊技球が入賞可能な始動口(45a)と、該始動口(45a)に入賞した遊技球を検出する球検出センサ(53)とを備え、該球検出センサ(53)による遊技球の検出を契機として、通常遊技よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの抽選が行なわれる遊技機において、
前記遊技盤(12)の裏側に不正検出装置(84)が配設され、
該不正検出装置(84)は、
検出コイル(88)、発振回路(F)および発振検出回路(G)を備え、発振回路(F)の発振を発振検出回路(G)が検出した第1状態と、該発振回路(F)の発振の停止または減衰を発振検出回路(G)が検出した第2状態とに状態変化するよう構成されると共に、電磁波により第2状態から第1状態に状態変化される状態変化手段(85)と、
磁性体から構成され、前記発振回路(F)の発振を停止または減衰させて前記状態変化手段(85)を第2状態に維持する状態維持手段(86)と、
前記検出コイル(88)内に前記状態維持手段(86)が位置するよう前記状態変化手段(85)および状態維持手段(86)を保持するケース体(51)とを備え、
前記ケース体(51)に前記球検出センサ(53)を配設したことを要旨とする。
請求項1の発明によれば、第2状態に維持された状態変化手段が第1状態に状態変化されることで、電磁波による不正行為を容易に検出することができる。また、状態維持手段が検出コイル内に位置するようケース体に保持されるので、状態変化手段を第2状態に確実に維持し得る。しかも、不正検出装置は、ケース体に状態変化手段、状態維持手段および球検出センサを配設する構成としたので、状態変化手段と球検出センサとの位置関係を適正に維持することができ、球検出センサに対する不正行為を確実に検出することができると共に、不正検出装置の取り扱いが容易となる。
【0010】
請求項2に係る遊技機では、前記状態変化手段は、前記検出コイル(88)、発振回路(F)および発振検出回路(G)を備えた検出センサユニット(85)であって、該検出センサユニット(85)は、前記検出コイル(88)が設けられた検出口(87a)を備え、検出センサユニット(85)は、前記検出口(87a)の開口方向に電波の検出範囲が大きく設定され、該開口方向が斜め下向きとなる姿勢で検出センサユニット(85)が前記ケース体(51)に保持されることを要旨とする。
請求項2の発明によれば、球検出センサに対しては下側から不正な電磁波が照射される可能性が高く、この下側からの電磁波を確実に検出することができる。
【0011】
請求項3に係る遊技機では、前記ケース体(51)は、前方に開口するベース体(55)と、該ベース体(55)の前側に組み付けられるカバー体(56)とからなり、ベース体(55)およびカバー体(56)の間に前記検出センサユニット(85)を収容するよう構成され、前記カバー体(56)における検出センサユニット(85)に対応する位置に、第1支持部(90a)および壁面を後方に凹ませた第2支持部(90b)が設けられて、ベース体(55)にカバー体(56)を組み付けた際に、第1支持部(90a)で検出センサユニット(85)を開口方向が斜め下向きとなる姿勢に支持すると共に、第2支持部(90b)で前記状態維持手段(86)を検出口(87a)内に位置するように支持するよう構成したことを要旨とする。
請求項3の発明によれば、ベース体にカバー体を組み付けることで、検出センサユニットを適正な姿勢に支持すると共に、状態維持手段を検出センサユニットの検出口に位置させることができ、検出センサユニットを第2状態に確実に維持し得る。
【0012】
請求項4に係る遊技機では、前記検出センサユニット(85)は、前記球検出センサ(53)の側方に配置されることを要旨とする。
請求項4の発明によれば、球検出センサに対して照射される不正な電磁波を確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る遊技機によれば、簡単な構造で不正行為を容易に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】実施例に係るパチンコ機を、中枠から遊技盤および前枠を外した状態で示す正面図である。
【図3】実施例に係る中枠の背面図である。
【図4】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
【図5】実施例に係る遊技盤を、各種入賞装置を取り外した状態で示す正面図である。
【図6】実施例に係る設置部材を前側から見た状態で示す斜視図である。
【図7】図4のA−A線断面図である。
【図8】図4のB−B線断面図である。
【図9】実施例に係る第1始動球検出センサおよび検出センサユニットが配設されたケース体を示す正面図である。
【図10】図9のC−C線断面図である。
【図11】実施例に係る設置部材から取り外したケース体を前側から見た状態で示す分解斜視図である。
【図12】実施例に係るケース体を後側から見た状態で示す分解斜視図である。
【図13】実施例に係る遊技盤における特別入賞装置および第2普通入賞装置の配設部位を示す要部背面図である。
【図14】実施例に係る設置部材における第2球通路部材の配設部位を前側から見た状態で示す要部斜視図である
【図15】実施例に係る第2普通入賞装置と第2球通路部材との関係を示す遊技盤の要部断面図である。
【図16】実施例に係る特別入賞装置と第2球通路部材との関係を示す遊技盤の要部断面図である。
【図17】実施例に係る第2球通路部材の背面図である。
【図18】実施例に係るパチンコ機の制御構成を示すブロック図である。
【図19】(a)は球検出センサを示す概略図であり、(b)は非検出時、球通過時および不正電波行為時における球検出センサの出力信号を示す図である。
【図20】実施例に係る検出センサユニットの回路構成を示すブロック図である。
【図21】(a)は発振検出状態での検出センサユニット内の信号の流れを示すブロック図であり、(b)は発振非検出状態での検出センサユニット内の信号の流れを示すブロック図である。
【図22】正常時および不正行為時において主制御装置に入力される信号波形を示す図である。
【図23】不正電波行為時での検出センサユニット内の信号の流れを示すブロック図である。
【図24】検出範囲を示す図である。
【図25】不正電波行為時および不正磁気行為時における各装置での報知方法を示す図である。
【図26】変更例に係るパチンコ機の制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行なうパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、図1に示すようにパチンコ機10を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0016】
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦向きに設置される固定枠としての矩形枠状の外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤12を着脱可能に保持する本体枠としての中枠13が開閉および着脱可能に組み付けられると共に、遊技盤12の裏側に配設された設置部材14に対して、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置15が着脱自在に取り付けられるよう構成される。また、前記中枠13の前面側には、前記遊技盤12を透視保護するガラス板等の透視保護板(図示せず)を備えた装飾枠としての前枠16が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠16の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿17が開閉可能に組み付けられる。前記前枠16の上部には、フルカラーLED等の発光体を実装した発光体基板(何れも図示せず)を備えたランプ装置(報知手段)18,18が左右に2つ配設されている。前記ランプ装置18は、後述する統括制御装置19に電気的に接続され、該統括制御装置19の制御に基づいて発光体が点灯・点滅したり、発光色を変更させたりするようになっている。なお、前記ランプ装置18の前側は、光透過性のランプカバー18aで被覆してある。また、前記前枠16の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿20が一体的に組み付けられており、前枠16の開閉に合わせて上球受け皿20も一体的に開閉するよう構成される。なお、実施例では、前記図柄表示装置15としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。また、前記上球受け皿20は、前記前枠16と別体に形成してもよい。
【0017】
前記中枠13は、図2に示すように、上下左右の縁部をなす枠部材13a〜13dにより、全体が前記外枠11の開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、中枠13の前後に開口する開口縁部が、前記遊技盤12を設置する遊技盤保持部21として機能するよう構成されている。下枠部材13bの前側には、スピーカ(報知手段)22や打球発射装置23が設置されると共に、遊技者により回動操作されて打球発射装置23を作動させる操作ハンドル24が設けられている。ここで、前記操作ハンドル24の回動量に応じて前記打球発射装置23によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作ハンドル24を操作して回動量を調節することで、前記遊技盤12に形成された第1経路33a(後述)をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該遊技盤12に形成された第2経路33b(後述)をパチンコ球が流下する所謂「右打ち(ゴム打ち)」とを打ち分け得るようになっている。
【0018】
図3に示すように、前記上枠部材13aの後側には、設置枠台等に設けられた外部球供給設備から供給されるパチンコ球を貯留する球タンク25が、該上枠部材13aの左右幅の略全幅に亘って設けられている。また、下枠部材13bの後側には、前記上下の球受け皿20,17に連通する球供給路や設置枠台に設けた球回収樋(何れも図示せず)に連通する球排出路が夫々形成されたセット部材26が配設されている。前記球タンク25とセット部材26とは、各部材25,26における左枠部材13c側の端部間に架設された球通路ユニット27を介して連通接続されており、該球通路ユニット27に配設された球払出装置28の駆動により球タンク25に供給されたパチンコ球を前記上下の球受け皿20,17へ給出するよう構成されている。また、セット部材26には、前記球払出装置28を駆動制御する払出制御装置29、前記打球発射装置23を駆動制御する発射制御装置30等が配設されている。前記払出制御装置29は、前記パチンコ機10の後側に配設される主制御装置(制御手段)31に電気的に接続されており、該主制御装置31から入力される制御信号に基づいて、払出制御装置29が球払出装置28を制御するようになっている(図18参照)。
【0019】
〔遊技盤12について〕
図4に示すように、前記遊技盤12は、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂材やベニア等の木板から前記中枠13の遊技盤保持部21に整合する略矩形平板状に形成され、該遊技盤12の前面(盤面)に配設された略円形状に湾曲形成された案内レール32により、パチンコ球が流下可能な遊技領域33が画成されている。また、遊技盤12の裏面に、前記図柄表示装置15が取り付けられた前記設置部材14が配設されている。
【0020】
ここで、前記案内レール32は、図4に示す如く、遊技盤12の左下部から右上部に至るよう左方向に膨出する円弧状に形成された外レール34と、該外レール34の内側に配置されて、遊技盤12の右上部、右下部および左上部に至るよう右方向に膨出する円弧状に形成された内レール35,36とから構成されている。前記内レール35,36は、遊技盤12の右上部から下部に亘って配設され、左端縁が右方に凹む円弧状に形成された盤面飾り部材35と、遊技盤12の下部から左上部に亘って配設されて盤面飾り部材35の下端部に連接し、前記外レール34の右方に離間して位置するレール部材36とから構成され、該外レール34およびレール部材36により1個のパチンコ球が通過可能な発射通路32aが画成されている。ここで、前記内レールを構成するレール部材36は、図4に示す如く、前記遊技盤12の左上部に開放端を臨ませるよう構成されて、前記打球発射装置23から発射されたパチンコ球が発射通路32aの下方開口から飛翔して、レール部材36の開放端側から遊技領域33内に打ち出されるようになっている。
【0021】
前記遊技盤12には、前後に貫通する装着口37a,37b,37c,37d,37e,37f,37gが前記遊技領域33内に複数開設されて(図5参照)、各装着口37a,37b,37c,37d,37e,37f,37gに対して各種部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域33の最下部位置には、該遊技領域33に打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口39が開設されている。また遊技盤12には、図4に示す如く、前記遊技領域33内に多数の遊技釘40が植設されており、遊技領域33を流下するパチンコ球が遊技釘40に接触することでパチンコ球の流下方向を不規則に変化させると共に減勢するようになっている。なお、前記装着口の形成数は、遊技盤12に対して取り付けられる各種部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜決定される。
【0022】
〔枠状装飾体41について〕
実施例の前記遊技盤12には、前記案内レール32で囲まれた前記遊技領域33の略中央の大部分が開口する第1装着口37aに、前後に開口する窓口(開口部)41aが形成された枠状装飾体41が取り付けられ、該枠状装飾体41の窓口41aを介して図柄表示装置15の表示部15aが遊技盤12の前面側に臨むよう構成される。枠状装飾体41は、前記第1装着口37aに沿って延在する環状に形成された薄板状の固定板41bと、該固定板41bの開口内周に沿って後方へ突出する内周壁部(図示せず)と、該固定板41bの開口内周に沿って設けられて、遊技盤12の前面より前方へ突出する庇部41cとを備える。そして、枠状装飾体41は、第1装着口37a内に内周壁部を挿入した状態で、遊技盤12に固定板41bが前側からネジ止めされている。前記固定板41b、内周壁部および庇部41cの夫々は一体に樹脂形成する構成であっても、別部材として形成する構成であってもよい。
【0023】
前記枠状装飾体41の庇部41cは、枠状装飾体41(固定板41b)の左側縁の中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するよう設けられており、前記図柄表示装置15における表示部15aの前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。また庇部41cは、最上部位置から左右方向に下方傾斜するよう形成されて、遊技領域33に打ち出されたパチンコ球が庇部41c上で滞ることなく枠状装飾体41の左側方または右側方へ誘導案内されるよう形成されている。すなわち、前記遊技盤12に画成された遊技領域33には、枠状装飾体41の左側方をパチンコ球が流下する第1経路33a、および枠状装飾体41の右側方をパチンコ球が流下する第2経路33bが設けられており、前記打球発射装置23により遊技領域33内に発射されたパチンコ球は、到達位置に応じて枠状装飾体41およびレール部材36(内レール)の間に形成される第1経路33aか、或いは枠状装飾体41および盤面飾り部材35(内レール)の間に形成される第2経路33bの何れかを流下するよう構成される。
【0024】
前記枠状装飾体41には、図4に示す如く、窓口41aの下側(枠状装飾体41の内周下縁部)に、ステージ42が配設されると共に、窓口41aの左側に、前記第1経路33a(遊技領域33)に開口して該第1経路33aを流下するパチンコ球を取り込む球導入部43が設けられ、該球導入部43がステージ42に連通するよう構成される。そして、球導入部43からステージ42に通出されたパチンコ球は、ステージ42上を左右に転動した後に、後述する各入賞装置44,46,47,49が配設されている遊技領域33に排出される。
【0025】
前記遊技盤12における前記第1装着口37a(枠状装飾体41)の下方に開設された第2装着口(装着口)37bに、遊技領域33(第1経路33aおよび第2経路33b)を流下するパチンコ球が入賞可能な後述する第1始動入賞装置44を構成する始動口飾り45が取り付けられている。また、第2装着口37bの右方に開設された第3装着口37cに、第2経路33bを流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞装置46が配設されると共に、該第3装着口37cの上方に開設された第4装着口37dに、第2経路33bを流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞装置47が取り付けられている。更に、第4装着口37dの上方に開設された第5装着口37eに、第2経路33bを流下するパチンコ球が通過可能な球通過ゲート48が取り付けられている。更にまた、第2装着口37bの左方に開設された第6装着口37fに、第1経路33aを流下するパチンコ球が入賞可能な第1普通入賞装置49が取り付けられると共に、前記第5装着口37eの右上方に開設された第7装着口37gに、第2経路33bを流下するパチンコ球が入賞可能な第2普通入賞装置50が取り付けられている(図4参照)。
【0026】
〔第1始動入賞装置44について〕
前記遊技盤12に配設される第1始動入賞装置(始動入賞装置)44は、図7に示す如く、遊技領域33に常に開放して該遊技領域33を流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動口(始動口)45aを備えた前記始動口飾り45と、遊技盤12の裏側に配設された設置部材14に取り付けられ、該始動口飾り45から裏側に通出されたパチンコ球を機外に排出する球排出通路52が形成されたケース体(設置部)51と、該ケース体51に配設されて球排出通路52を流通するパチンコ球を検出する第1始動球検出センサ(球検出センサ)53とを備える。第1始動球検出センサ53は、パチンコ機10の裏側に配設された主制御装置31に図示しない中継基板を介して電気的に接続されている(図18参照)。
【0027】
前記始動口飾り45は、前記第2装着口37bを前側から覆い得る寸法および形状に形成された光透過性の装飾板体45bと、該装飾板体45bの前面から前側に突出する光透過性の始動口形成部45cと、該始動口形成部45cによって形成される前記第1始動口45aとを備える。そして、始動口飾り45は、装飾板体45bの後端面を遊技盤12の前面に当接してネジ止め固定することで、装飾板体45bで第2装着口37bを前側から覆うと共に、第1始動口45aが遊技領域33において上方に開口するようになっている。また始動口飾り45には、図7に示す如く、第1始動口45aに連通する球導入通路54を画成する樋状の通路壁45dが、第2装着口37b内を遊技盤12の裏面まで延出するように設けられ、遊技領域33から第1始動口45aに入賞したパチンコ球は、球導入通路54を通って前記球排出通路52に通入するよう構成される。なお、第2装着口37bの開口寸法は、始動口飾り45の通路壁45dに比べて大きく設定されており、始動口飾り45を遊技盤12に取り付けた状態で通路壁45dの下側で装飾板体45bおよび始動口形成部45cの後方に、後述する発光装置60を前記ケース体51に配設するための設置収容部56b(後述)を収容可能な空間(第2装着口37bの一部)が確保されるようになっている。また、装飾板体45bおよび始動口形成部45cには光拡散加工が施されて、該装飾板体45bおよび始動口形成部45cを介して裏側が視認し難くしてある。
【0028】
〔ケース体51について〕
前記ケース体51は、図11,図12に示す如く、前方に開口するベース体55の前側に、該ベース体55の前方開口を覆うように透明なカバー体56が組み付けられて構成され、該ベース体55とカバー体56との間に画成された空間に、前記第1始動球検出センサ53および後述する検出センサユニット85および検出用金属球86を収納するように配設して、ユニットとして取り扱い得るようになっている。ケース体51は、ベース体55が前記設置部材14の後述するケース設置部72に着脱自在に取り付けられ、設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態では、ケース体51に画成した球排出通路52の後述する球入口52aが、前記始動口飾り45に形成した前記球導入通路54の球出口54aに連通するよう構成される(図7参照)。
【0029】
前記ベース体55の左右方向の略中央には、図12に示す如く、該ベース体55の後壁を、その前面がベース体55の前端と略同一位置となるまで前側に向けて凹設した凹部55aが上下方向に延在するよう設けられる。またベース体55の裏面に、凹部55aの後方開口を塞ぐように蓋部材57が着脱自在に取り付けられ、該凹部55aおよび蓋部材57により球排出通路52が画成される(図7参照)。凹部55aを構成する前壁55bの上部は矩形状に切欠かれて前後に貫通し、該貫通部分が球排出通路52の球入口52aとして機能するようになっている(図11参照)。また、前壁55bにおける球入口52aの下縁を画成する部分には、後方に所定長さで延在する底壁58が形成され、該底壁58の後端と前記蓋部材57との間に、上下方向に連通する連通口52bが形成されている。すなわち、球排出通路52は、図7に示す如く、前方に向けて球入口52aが開口すると共に後方に延在する水平通路52cと、該水平通路52cを画成する底壁58に形成した連通口52bを介して連通して下方に延在する縦通路52dとから構成される。
【0030】
前記蓋部材57に第1始動球検出センサ53が着脱自在に配設されており、該蓋部材57をベース体55に取り付けることで、第1始動球検出センサ53は、前記球排出通路52における連通口52bの直下(球出口54aと球入口52aとの連通部に近接する位置)において、パチンコ球が通過可能な検出口53aを上下方向に開口した水平姿勢で位置するよう構成される。なお、第1始動球検出センサ53は、図示しないが、該球検出センサ53の後端に接続する配線が前記設置部材14の裏側に引き出され、該設置部材14の裏側に配設した中継基板に接続してある。
【0031】
前記連通口52bより前側の底壁58の上面に、連通口52bに向けて下方傾斜する傾斜案内面58aが形成され、前記球入口52aから水平通路52cに通入したパチンコ球を、該傾斜案内面58aで連通口52b、すなわち第1始動球検出センサ53の検出口53aにスムーズに案内し得るよう構成される。また水平通路52cを画成する上壁および後壁に、図7に示す如く、前側に臨む面が上方から下方に向かうにつれて後方に変位する案内突条59が突設され、該案内突条59によってもパチンコ球の検出口53aへのスムーズな案内を行ない得るようになっている。
【0032】
なお、前記縦通路52dを画成する前壁55bは、図7に示す如く、上側から下側に向かうにつれて後方に傾斜するように延在する後方傾斜部分と、垂直に延在する垂直部分および上側から下側に向かうにつれて前方に傾斜するように延在する前方傾斜部分とが連設するように形成されている。また、前記蓋部材57における縦通路52dに対応する位置で、前壁55bにおける後方傾斜部分および前方傾斜部分と対向する部位に突条57aが上下方向に延在するように夫々設けられ、前壁55bと突条57aとによって、パチンコ球が流通する縦通路52dが前後方向に屈曲するよう構成されて、該縦通路52dを流通するパチンコ球を減勢し得るよう構成される。更に、縦通路52dを画成する左右の壁に、前後方向に延在する突片55eが上下に離間して突設され、該突片55eによっても縦通路52dを流通するパチンコ球を減勢し得るようになっている。
【0033】
前記カバー体56には、図9に示す如く、前記ベース体55に形成した球入口52aの前側に、該球入口52aを前方に開放するよう壁を略U字状に切欠くことで位置決め受け部56aが形成されており、前記球導入通路54を画成する通路壁45dの後端部が、該位置決め受け部56aで支え受けられるよう構成される。そして、位置決め受け部56aで通路壁45dを支え受けた状態で設置部材14を遊技盤12に配設することで、前記球導入通路54の球出口54aと球排出通路52の球入口52aとが前後に整合するよう構成される(図7参照)。
【0034】
前記カバー体56には、前記位置決め受け部56aの左右両側から下端部までの大部分の壁を前方に凹設した設置収容部56bが設けられ、該設置収容部56bに発光装置60が収納されている。設置収容部56bは、図7に示す如く、設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態で前記第2装着口37b内に収容されて、前記始動口飾り45(装飾板体45bおよび始動口形成部45c)に対向するよう構成される。発光装置60は、発光基板60aと、該発光基板60aの前面に実装した複数のLED60bとから構成され、該LED60bを発光することで、始動口飾り45を後方から照明するようになっている。またケース体51には、前記球排出通路52の側方(実施例では右方)に、後述する検出センサユニット85および検出用金属球86を収容保持するセンサ設置部61が設けられている。なお、センサ設置部61については、検出センサユニット85および検出用金属球86を備える不正検出装置84との関係で後述する。
【0035】
〔第2始動入賞装置46について〕
前記第2始動入賞装置46には、図4に示す如く、開閉体46b,46bによって常には閉鎖される第2始動口46aが設けられ、該第2始動口46aは、所定の開放条件および閉鎖条件(何れも後述)に従って開閉体46b,46bにより開閉されるよう構成される。第2始動口46aに入賞したパチンコ球は遊技盤12の後方へ送られ、前記設置部材14に設けた始動口用球通路63(図14参照)を流下して下方へ排出されるよう構成される。そして、この始動口用球通路63に、前記主制御装置31に接続された第2始動球検出センサ62が配設されて、前記第2始動口46aに入賞したパチンコ球を第2始動球検出センサ62で検出し得るよう構成されている。
【0036】
前記第1始動球検出センサ53または第2始動球検出センサ62によるパチンコ球の検出(すなわち第1始動口45aへの入賞または第2始動口46aへの入賞)に伴って、両センサ53,62から出力されるパチンコ球の検出信号が、主制御装置31に入力されるよう構成される。そして、主制御装置31は、第1始動球検出センサ53または第2始動球検出センサ62から検出信号を受けると、大当りを発生するか否か(特別入賞装置47を開放するか否か)を決定する大当り抽選を行なうと共に、統括制御装置19に制御信号を出力して、前記図柄表示装置15に図柄変動演出を行なわせるようになっている。また、主制御装置31は、第1始動球検出センサ53または第2始動球検出センサ62から検出信号を受けると、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させるよう構成される。
【0037】
〔特別入賞装置47について〕
前記特別入賞装置47は、図4に示す如く、遊技領域33に臨む横長の特別入賞口(第2入賞口)47aが開閉部材47bで常には閉鎖されており、前記第1または第2始動口45a,46aへのパチンコ球の入賞を契機とした前記大当り抽選の結果、大当りが発生すると、前記図柄表示装置15に所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の3つ揃い等)で図柄が停止表示されると共に、開閉部材47bが開放するよう作動制御されて、特別入賞口47aへの入賞により多数の賞球を獲得し得るよう構成されている。特別入賞装置47の装置本体47c(図13,図18参照)には、前記主制御装置31に電気的に接続された特別球検出センサ(第2検出手段)64が設けられている。特別球検出センサ64がパチンコ球を検出すると、検出信号を主制御装置31に出力し、主制御装置31は、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に多数の賞球を払い出させる。なお、図16に示すように、特別入賞装置47の装置本体47cは、遊技盤12に設けた前記第4装着口37dを介して遊技盤12の後方に突出している。
【0038】
前記特別入賞装置47の装置本体47cには、図16に示す如く、特別入賞口47aに入賞したパチンコ球を後方に案内する案内通路65が形成されると共に、装置本体47cにおける遊技盤12の後方に突出する部分に、該案内通路65に連通する球出口65aが下方に開口するように形成されている。そして、球出口65aから通出して落下するパチンコ球は、後述する第2球通路75の受入れ口76cに通入するよう構成される。また前記特別球検出センサ64は、前記案内通路65に配設されて、球出口65aから通出する前のパチンコ球を検出するよう構成されている。
【0039】
前記特別入賞装置47では、前記「大当り」の発生時に行なわれる大当り遊技において、前記特別入賞口47aへのパチンコ球の入賞が阻まれる不利な第1状態(特別入賞口47aの閉鎖)と、特別入賞口47aへのパチンコ球の入賞が許容される第2状態(特別入賞口47aの開放)とに変動されるラウンド遊技を繰返すよう構成される。ここで、特別入賞装置47におけるラウンド遊技とは、不利な第1状態から有利な第2状態に移行し、再び不利な第1状態に移行するまでを云い、大当り遊技において予め決定された継続回数のラウンド遊技が繰返されるようになっている。また、ラウンド遊技において第1状態から第2状態への移行は、第1状態から第2状態へ移行してからの第2状態の継続時間(特別入賞口47aの開放時間)、または第2状態での特別入賞口47aへのパチンコ球の入賞数(特別球検出センサ64による設定数のパチンコ球の検出)の何れかが、予め設定された値となったことを条件として行なわれる。
【0040】
ここで、実施例のパチンコ機10では、前記大当り遊技以外の遊技が行なわれる遊技状態として、3つの状態が設定されている。すなわち、パチンコ機10において通常行なわれる通常状態と、該通常状態に較べて大当りの発生確率が高く、かつ前記第2始動入賞装置46の第2始動口46aへの入賞確率が高く設定された確率変動状態と、通常状態に較べて大当りの発生確率が同等で、かつ第2始動入賞装置46の第2始動口46aへの入賞確率が高く設定された時間短縮状態が設定されている。そして、前記第1および第2始動口45a,46aへパチンコ球が入賞した際に、前記遊技状態を変更するか否かが前記主制御装置31で決定される。前記確率変動状態および時間短縮状態は、何れも通常状態よりは遊技者にとって有利な特別遊技状態である。
【0041】
また、前記球通過ゲート48は、前記第2経路33bを流下するパチンコ球が通過可能に構成されたものであって、パチンコ球を検出するゲート用球検出センサ66を備えている(図13参照)。前記球通過ゲート48のゲート用球検出センサ66は、図18に示す如く、前記主制御装置31に接続されており、該ゲート用球検出センサ66の検出に伴って主制御装置31において前記第2始動入賞装置46における第2始動口46aを開放するか否かの始動口開放抽選が行なわれ、該始動口開放抽選の結果が当選の場合に、第2始動口46aを開放するよう第2始動入賞装置46が駆動制御されるようになっている。すなわち、実施例のパチンコ機10では、前記球通過ゲート48のゲート用球検出センサ66がパチンコ球を検出して行なわれる始動口開放抽選の結果が当選となることが、前記第2始動入賞装置46の第2始動口46aを開放する開放条件とされている。
【0042】
そして、前記第2始動口46aを開放してから所定の閉鎖条件が成立することで、該第2始動口46aが閉鎖されるようになっている。ここで、前記第2始動口46aを閉鎖する閉鎖条件としては、例えば前記開閉体46b,46bが入賞許容位置に移動してからの経過時間(第2始動口46aの開放時間)や、第2始動球検出センサ62による設定数のパチンコ球の検出等が挙げられるが、これに限られるものではない。すなわち、パチンコ機10において入賞口を開閉する開閉式の始動入賞装置に採用される開閉体46b,46bの開放条件および閉鎖条件に従って、該開閉体46b,46bを開閉作動するソレノイド(図示せず)が駆動制御される。
【0043】
〔特定条件について〕
また、実施例のパチンコ機10では、前記第2始動入賞装置46の第2始動口46aを開放する開放条件および該第2始動口46aを閉鎖する閉鎖条件は、遊技状態に応じて設定される。すなわち、遊技状態が前記確率変動状態および時間短縮状態の場合には、遊技状態が通常状態の場合に較べて、前記第2始動入賞装置46の第2始動口46aが開放され易くなるよう前記開放条件や閉鎖条件が設定されて、第2始動口46aへの入賞率を高くするよう構成されている。具体的には、実施例では、遊技状態が前記確率変動状態および時間短縮状態の場合には、遊技状態が通常状態の場合に較べて、前記始動口開放抽選の結果が確定するまでの時間が短くなるよう設定されると共に、第2始動口46aの1回の開放毎の開放時間を長く設定することで、確率変動状態および時間短縮状態における第2始動口46aへの入賞確率を高くしている。例えば、遊技状態が通常状態の場合には、始動口開放抽選の結果が確定するまでの時間が略30秒で、かつ第2始動口46aの開放時間が0.1秒/1回に設定されるのに対し、遊技状態が確率変動状態および時間短縮状態の場合には、始動口開放抽選の結果が確定するまでの時間が略2秒で、かつ第2始動口46aの開放時間が2秒/1回に設定されている。
【0044】
そして、前記第2始動入賞装置46の第2始動口46aを開放するか否かの始動口開放抽選を行なう契機となる球検出を行なうゲート用球検出センサ66を備える前記球通過ゲート48を、前記遊技盤12の右側部に配置したことで、パチンコ球が前記第2経路33bを流下する場合にのみ、該パチンコ球が球通過ゲート48を通過可能になっている。従って、実施例のパチンコ機10は、特定の条件が成立した場合(遊技状態が確率変動遊技状態または時間短縮遊技状態となった場合)に、パチンコ球を第2経路33bへ打ち出す「右打ち」を実施することで、第2始動口46aへの入賞確率が高い状態である遊技者にとって有利な遊技を享受させ得るよう構成される。また、実施例のパチンコ機10では、前記遊技盤12の第2経路33bにおける遊技釘40の配設数を少なくして、前記大当り状態(特定の条件の成立、特別遊技状態)に際して「右打ち」を実施することで、当該大当り状態で行なわれるラウンド遊技を早く消化して短時間で多くの賞球を獲得し得る有利な遊技を行ない得るよう構成されている。これに対し、特定条件が不成立の場合(遊技状態が通常状態の場合)には、「右打ち」を実施したとしても遊技者に有利な遊技が行なわれない(逆にパチンコ球が早く消費されて遊技者にとっては不利となる)ことから、該特定条件が不成立の場合にはパチンコ球を第1経路33aへ打ち出す「左打ち」を実施することで、所定の遊技が行なわれるよう構成されている。このように、遊技者が遊技状態(特定条件の成立・不成立)に応じて前記操作ハンドル24を操作してパチンコ球の打ち出し位置を変更するよう構成することで、遊技者に能動的な遊技参加を促し、遊技の興趣を高めるようになっている。そして、実施例において特定条件の成立とは、パチンコ球を第2経路33bへ打ち出す「右打ち」を実施するのに適した条件の成立をいうものである。
【0045】
〔第1普通入賞装置49について〕
前記第1普通入賞装置49は、図4に示す如く、複数(実施例では、3つ)の第1普通入賞口49aを備え、該第1普通入賞口49aに入賞したパチンコ球は遊技盤12の後方へ送られる。そして、遊技盤12の後方へ送られたパチンコ球は、設置部材14に設けた後述する第1球通路部材73(図6参照)に形成した第1球通路73aを流下して下方へ排出されるよう構成される。
【0046】
〔第2普通入賞装置50について〕
前記第2普通入賞装置50は、図4および図15に示す如く、遊技領域33(第2経路33b)に常に開放する第1入賞口としての第2普通入賞口(普通入賞口)50aと、該第2普通入賞口50aに通入したパチンコ球を遊技盤12の後方へ送る樋部50bとを備え、該樋部50bは前記第7装着口37gの後端で開口している。そして、樋部50bの後端の出口50cから通出したパチンコ球は、前記設置部材14に設けた後述する第2球通路部材76の第2球通路75を流下して下方へ排出されるよう構成される。
【0047】
〔設置部材14について〕
図6に示すように、前記設置部材14は、前記遊技盤12に対向する略矩形状の対向面部67と、該対向面部67の周縁部から前方に延出する外周壁部68とから前方に開放する箱状に形成され、全体が透明の部材で構成されている。前記外周壁部68の前端部には、設置部材14の開口外側へ延出する設置固定部69が複数形成されている。そして、設置固定部69を遊技盤12の裏面に当接した状態で、各設置固定部69を遊技盤12にネジ止めすることで、設置部材14が遊技盤12に着脱自在に取り付けられる。設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態では、該遊技盤12および設置部材14の間に所要の設置スペースが画成される。設置部材14には、遊技状態に合わせて発光演出や可動演出を行なう複数の演出装置70が配設されており、設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態で、これら演出装置70が設置スペースに臨むようになっている。
【0048】
前記設置部材14の対向面部67には、前記枠状装飾体41の窓口41aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部14aが前後に開口するよう開設されると共に、該対向面部67の裏側に前記図柄表示装置15が着脱自在に取付けられて、該開口部14aを介して図柄表示装置15の表示部15aが遊技盤12の前側に臨むようになっている。なお、開口部14aの下側の対向面部67については、特に下対向面部67aとして区別して指称する場合もある。
【0049】
前記図柄表示装置15の裏側には、パチンコ機10の遊技演出を統括的に制御する統括制御装置19が配設される(図3参照)。図18に示すように、統括制御装置19は、前記図柄表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22に電気的に接続されており、該統括制御装置19から出力される演出制御信号に基づいて、各種装置15,18,22が作動制御されるようになっている。また、統括制御装置19には、前記各演出装置70が電気的に接続されており、該統括制御装置19により各演出装置70の演出動作が制御される。対向面部67の裏側には、図柄表示装置15の下側に、前記主制御装置31が着脱自在に配設される。主制御装置31は、パチンコ機10全体の作動を制御するものであって、図18に示す如く、前記第1始動球検出センサ53や第2始動球検出センサ62、統括制御装置19等、各種装置と電気的に接続されている。また、主制御装置31は、後述する不正検出装置84や磁気センサ79,81からの出力信号に基づいて、不正行為の発生を判定する。
【0050】
〔ケース設置部72について〕
図6,図11に示すように、前記開口部14aより下側の下対向面部67aの前側中央部には、前記第1始動入賞装置44のケース体51が着脱自在に配設されるケース設置部72が設けられる。このケース設置部72には、複数(実施例では3つ)の取着柱72aが上下および左右に離間して突設され、各取着柱72aの前端部を、ケース体51(ベース体55)に形成した対応の受け部55cに夫々嵌合したもとで、各受け部55cの通孔を介して取着柱72aにネジを螺挿することで、ケース体51がケース設置部72(設置部材14)に位置決め固定される。そして、設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態で、ケース体51の前端面が、遊技盤12の裏面に近接するよう構成される(図7参照)。
【0051】
〔第1球通路73aについて〕
前記下対向面部67aには、図6に示す如く、前記ケース設置部72の左方に、前記第1普通入賞装置49の第1普通入賞口49aに入賞したパチンコ球を機外に排出する第1球通路73aが形成された第1球通路部材73が配設されている。第1球通路73aは、前記3つの第1普通入賞口49aの夫々に連通する分岐前通路と、これら分岐前通路が合流する合流通路とからなり、合流通路の下流端に、パチンコ球を機外に排出する出口73bが形成されている。また第1球通路部材73には、前記合流通路に対応する位置に、合流通路(第1球通路73a)を流通するパチンコ球を検出する第1普通球検出センサ74が着脱自在に取り付けられる。第1普通球検出センサ74は、図18に示す如く、前記主制御装置31に電気的に接続され、第1普通球検出センサ74がパチンコ球を検出すると、検出信号が主制御装置31に出力されるようになっている。そして、主制御装置31は、第1普通球検出センサ74から検出信号が入力されると、前記払出制御装置29に制御信号を出力し、球払出装置28に所定数の賞球を払い出させるよう構成される。
【0052】
〔第2球通路75について〕
前記下対向面部67aには、図6および図14に示す如く、前記ケース設置部72の右方に、前記第2普通入賞装置50の第2普通入賞口50aに入賞したパチンコ球を機外に排出する第2球通路(球通路)75が形成された第2球通路部材76が配設されている。第2球通路部材76の上端部には、前方に向けて開口する入口76aが形成され、該入口76aが、第2普通入賞装置50の出口50cに連通するよう構成される。第2球通路75は、図17に示す如く、上端部で入口76aに連通して略鉛直下方に延在する第1縦通路部75aと、該第1縦通路部75aの下流端に接続して左方に向けて斜め下方に延在する傾斜通路部75bと、該傾斜通路部75bの下流端に接続して略鉛直下方に延在する第2縦通路部75cとから構成され、該第2縦通路部75cの下流端に出口76bが形成され、第2球通路75を流通するパチンコ球は、出口76bから機外に排出されるよう構成される。
【0053】
前記第1縦通路部75aには、第2普通入賞装置50の第2普通入賞口50aに入賞して第2球通路75を流通するパチンコ球を検出する第2普通球検出センサ(第1検出手段)77が着脱自在に取り付けられる。第2普通球検出センサ77は、図18に示す如く、前記主制御装置31に電気的に接続され、第2普通球検出センサ77がパチンコ球を検出すると、検出信号が主制御装置31に出力されるようになっている。そして、主制御装置31は、第2普通球検出センサ77から検出信号が入力されると、前記払出制御装置29に制御信号を出力し、球払出装置28に所定数の賞球を払い出させるよう構成される。
【0054】
前記傾斜通路部75bと第2縦通路部75cとの接続部には、上方に向けて開口する受入れ口76cが形成され、該受入れ口76cは、前記特別入賞装置47の球出口65aの直下に対向している(図16,図17参照)。すなわち、球出口65aから通出して落下するパチンコ球は、受入れ口76cから第2球通路75に通入するよう構成される。また受入れ口76cの開口寸法は、特別入賞装置47の球出口65aの開口寸法より大きく設定されており、平面視において受入れ口76cの内側に球出口65aが臨むよう構成されて、球出口65aから通出されたパチンコ球を受入れ口76cに確実に通入し得るようになっている。なお、受入れ口76cを画成する前壁の内面は、前側から後側に向かうにつれて後方に変位する傾斜案内面76dとされ、受入れ口76cから通入したパチンコ球を傾斜案内面76dで前記第2縦通路部75cとの連通部に向けてスムーズに案内し得るよう構成される。
【0055】
〔磁気センサ79,81について〕
前記設置部材14における開口部14aより左側の対向面部67に、前記枠状装飾体41の球導入部43に近接する裏側位置に、第1センサ保持部(図示せず)が設けられ、該第1センサ保持部に、第1磁気センサ79が着脱自在に配設される。また、前記第2通路部材76の上端(入口76aの上方)に、第2センサ保持部80が設けられ、該第2センサ保持部80に、第2磁気センサ81が着脱自在に配設される。第1および第2磁気センサ79,81は、磁石等から発せられる磁気を検出するものであって、遊技盤12に磁石等を近付けて遊技領域33を流下するパチンコ球を誘導する不正行為(以下、不正磁気行為という)を検出するものである。両磁気センサ79,81は、図18に示す如く、前記主制御装置31に電気的に接続され、各磁気センサ79,81が磁気を検出した際に出力される検出信号(以下、磁気検出信号という)は、主制御装置31に入力される。
【0056】
〔電波による不正行為について〕
ここで、前述した2つの始動球検出センサ53,62や特別球検出センサ64は、いわゆる誘導式近接スイッチであって、実施例のパチンコ機10では、何れも同一のセンサ(以後、これらセンサ53,62,64を単に球検出センサDという場合がある)が採用されている。図19(a)に示すように、球検出センサDは、発振回路等を備えたセンサ本体82とコイルが設けられてパチンコ球が通過可能な球通過口83とを基本構成としている。図19(b)に示す如く、球検出センサDは、パチンコ球を検出していない状態(パチンコ球が球通過口83を通過していない状態)では、発振回路が発振して、高レベルの信号(以下、ハイレベル信号という)を出力するように設定されている。一方、球検出センサDは、パチンコ球を検出している状態(パチンコ球が球通過口83を通過している間)では、発振回路の発振が停止または減衰して、低レベルの信号(以下、ローレベル信号という)を出力するように設定されている。そして、主制御装置31は、球検出センサDからの出力信号がハイレベル信号からローレベル信号に切り換わったときにパチンコ球を1カウントして、前記払出制御装置29を制御して球払出装置28に賞球を払い出させる。
【0057】
ところが、この球検出センサDに電波を放射して、該球検出センサDの出力信号を強制的に変更する不正行為(以下、不正電波行為という)が行なわれることがある。一般的に、この不正電波行為は、図8に示す如く、不正行為者が遊技盤12の斜め下方に電波発生器Eを隠し持ち、第1および第2始動入賞装置44,46や特別入賞装置47等が設けられる遊技盤12の下部へ向けて電波を電波発生器Eから放射して行なわれる。この電波発生器Eから放射される電波を、パチンコ球が球通過口83を通過する間に球検出センサDが浴びると、該球検出センサDは、断続的な発振があったと誤検出してしまう。その結果、図19(b)に示すように、球検出センサDは、ローレベル信号およびハイレベル信号を繰り返し出力し、前記主制御装置31は、ハイレベル信号からローレベル信号に切り換わる度にパチンコ球をカウントすることとなる。そして、主制御装置31は、1個のパチンコ球が球通過口83を通過したのにも拘わらず、複数個分のカウントをして、多くの賞球を払い出したり、大当り抽選が行なわれてしまう虞がある。そこで、実施例のパチンコ機10では、このような不正電波行為を検出するべく、前記第1始動入賞装置44に不正検出装置84が設置されている。
【0058】
〔不正検出装置84について〕
図11,図12に示すように、前記不正検出装置84は、検出センサユニット(状態変化手段)85と、検出用金属球(状態維持手段)86と、これら検出センサユニット85および検出用金属球86を収容した前記ケース体51とから基本的に構成されている。すなわち、実施例の不正検出装置84は、前記第1始動球検出センサ53が配設されるケース体51を、検出センサユニット85および検出用金属球86を収容するケース体として兼用している。
【0059】
前記検出センサユニット85は、矩形状のセンサ装置本体87と、貫通孔が画成された円筒状の検出口(球通過口)87aとから基本的に構成され、実施例では、前述した第1および第2始動入賞装置44,46や特別入賞装置47等に設けられる球検出センサDと同一のものが採用されている。前記検出口87aの開口円の直径は、前記検出用金属球86の直径より僅かに大きく設定されている(図10参照)。前記検出口87aには、開口縁に沿って検出コイル88が巻装されており、該検出コイル88により検出口87aの周囲に磁界を発生させるようになっている。図20に示すように、前記センサ装置本体87には、発振回路F、発振検出回路Gおよび出力回路Hが形成されている。図21(a)に示すように、前記発振回路Fは、検出口87aの磁界中に磁性体(検出用金属球86)が存在しない状態で、高周波(例えば、1MHz)で発振するようになっている。また、図21(b)に示すように、前記検出口87aの磁界中に磁性体(検出用金属球86)が存在すると、発振回路Fは、発振を停止または減衰させるようになっている。実施例の発振回路Fは、検出口87aに磁性体(検出用金属球86)が存在した状態で、発振を停止させるように設定されている。
【0060】
前記発振検出回路Gは、前記発振回路Fの発振状態を検出して、当該発振状態に応じた信号を出力するものである。図21(a)に示すように、発振検出回路Gは、発振回路Fの発振を検出すると発振検出信号を前記出力回路Hに出力すると共に、図21(b)に示すように、発振回路Fが発振を停止または減衰(実施例では、発振の停止)を検出すると出力回路Hに発振停止検出信号を出力するよう構成される。すなわち、検出センサユニット85は、磁性体の有無により、発振検出回路Gが発振を検出した発振検出状態(第1状態)と、発振検出回路Gが発振の停止を検出した発振非検出状態(第2状態)とに状態変化可能に構成されている。
【0061】
前記出力回路Hは、前記発振検出回路Gから発振検出信号が入力されると、前記ハイレベル信号を出力し、該発振検出回路Gから発振停止検出信号が入力されると、前記ローレベル信号を出力するようになっている。なお、図21(b)に示すように、ローレベル信号は、0より僅かに大きな値となっている。前記出力回路Hは、図示しない中継基板を介して前記主制御装置31に電気的に接続されており、出力回路Hから出力されたハイレベル信号およびローレベル信号は、主制御装置31に入力される。前記検出用金属球86は、前記発振回路Fの発振を停止させて検出センサユニット85を発振非検出状態に維持する(状態変化手段を第2状態に維持する)ものである。実施例では、検出用金属球86として、磁性体であるパチンコ球が用いられている。後述するように、検出用金属球86は、検出口87a内に位置した状態でケース体51に収容される(図10参照)。
【0062】
すなわち、実施例の不正検出装置84は、前記不正電波行為が行なわれていない正常時では、検出用金属球86により発振回路Fの発振が停止されて、検出センサユニット85は、発振非検出状態に維持される。従って、図22に示すように、発振検出回路Gは、発振停止検出信号を出力し、出力回路Hからローレベル信号が出力されるので、前記主制御装置31に対して常にローレベル信号が入力される。一方、検出センサユニット85が発振非検出状態にある場合において、前記電波発生器Eから電波が検出センサユニット85に放射されると、図23に示すように、発振回路Fは発振を停止しているのにも拘わらず、電波によって断続的な発振が強制的に生起される。従って、不正電波行為が行なわれると、発振検出回路Gが断続的な発振を検出して、発振検出信号および発振停止検出信号を交互に出力するようになっている。これにより、図22に示すように、前記出力回路Hは、ハイレベル信号およびローレベル信号を主制御装置31に交互に出力する。なお、実施例に係る不正検出装置84では、検出センサユニット85における電波の検出範囲が、図24に示す如く、前記検出口87aの開口方向側(図24では上下方向)が大きくなっている。すなわち、検出センサユニット85は、検出口87aの開口方向から放射される電波に反応し易い構成となっている。
【0063】
〔ケース体51のセンサ設置部61について〕
前記ケース体51には、前記球排出通路52の側方(実施例では右方)に、前記検出センサユニット85および検出用金属球86を収納保持するセンサ設置部61が設けられる。センサ設置部61は、ベース体55に設けた後設置部89と、カバー体56に設けた前設置部90とから構成され、ベース体55にカバー体56を取り付けることで、前後の設置部89,90間に検出センサユニット85および検出用金属球86が位置決め保持されるよう構成される。後設置部89は、図11に示す如く、左右方向に離間する一対の側壁89a,89aと、両側壁89a,89aの後端縁間に設けられて、上側から下側に向かうにつれて後方傾斜する後壁89bとにより前方に開口するセンサ収容部89cが画成される。また後壁89bには、左右の側壁89a,89aに沿ってセンサ収容部89cに突出する規制部89d,89dが突設され、該規制部89dの上面は、後側から前側に向かうにつれて下方傾斜している。そして、検出センサユニット85におけるセンサ装置本体87の長手方向一端(配線の接続端)を規制部89d,89dに当接支持すると共に、該センサ装置本体87の後面を後壁89bに当接支持することで、該センサ装置本体87は、上側から下側に向かうにつれて後方傾斜する姿勢で支持される。また、後設置部89の後壁89bには、センサ装置本体87の検出口87aに対応する位置に、後方に向けて凹む半球状の球受部89eが形成されている。
【0064】
前記前設置部90は、図12に示す如く、前記後設置部89における側壁89a,89aの内側に臨む間隔で左右方向に離間する一対の第1支持部90a,90aが、後方に向けて突設されており、各第1支持部90aの後端面は、前記後壁89bと平行に形成されている。そして、ベース体55にカバー体56を組み付けた状態で、図10に示す如く、後設置部89のセンサ収容部89cに収容された検出センサユニット85におけるセンサ装置本体87の前面に第1支持部90a,90aが当接して、該検出センサユニット85を、上側から下側に向かうにつれて後方傾斜する姿勢で位置決めするよう構成される。すなわち、ケース体51を配設した設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態で、検出センサユニット85は、遊技盤12の盤面に対し所定角度(実施例では約60°)で後方傾斜する姿勢(検出口87aの開口方向が斜め下向きとなる姿勢)となるよう構成される(図8参照)。また、ケース体51における第1始動球検出センサ53と検出センサユニット85との位置関係は、第1始動球検出センサ53の右側方において、検出センサユニット85におけるセンサ装置本体87の前端の位置が、前後方向において第1始動球検出センサ53の前端と略同一位置に位置するよう設定される。更に、センサ装置本体87の検出口87aは、正面視において第1始動球検出センサ53の配設位置より上方でかつ、平面視において両者の検出口53a,87aが左右方向に略整列するように設定されている。
【0065】
前記前設置部90は、図11に示す如く、両第1支持部90a,90aの間の壁面を後方に凹ませることで、両第1支持部90a,90a間に第2支持部90bが設けられる。この第2支持部90bは、第1支持部90a,90aの後端面から所定長さだけ前側に位置すると共に、該第2支持部90bの後端面は、第1支持部90aの後端面と平行に延在するよう構成される。そして、ベース体55にカバー体56を組み付けた状態で、検出センサユニット85の検出口87aに位置する検出用金属球86を、該検出口87a内に位置するように第2支持部90bで支持するよう構成される(図10参照)。また、ベース体55およびカバー体56を組み付けた状態で、前記球受部89eと第2支持部90bとで支持された検出用金属球86は、センサ設置部61にガタつくことなく保持されると共に、該検出用金属球86の中心が検出口87aにおける開口方向の中央部と略一致するよう位置決めされる。なお、カバー体56における第2支持部90bより上側の壁裏面に、支持突片90cが設けられる。この支持突片90cの下面は、前記規制部89dの上面と平行に延在するよう形成され、ベース体55にカバー体56を組み付けた際に、該支持突片90cの下面がセンサ装置本体87の上端に当接し、該センサ装置本体87を前記規制部89d,89dとで挟んで上下方向の移動を規制するよう構成される。
【0066】
前記ケース体51が設置部材14のケース設置部72に取り付けられた状態では、前記検出センサユニット85は、遊技盤12の下部後方において、前記第1始動入賞装置44、第2始動入賞装置46および特別入賞装置47に近接して位置することとなる(図4参照)。また、検出センサユニット85は、上側から下側に向かうにつれて後方傾斜した姿勢でケース体51内に収容されているから、図8に示すように、前記検出口87aの開口方向が後側から前側に向けて下方傾斜する方向となる。すなわち、検出口87aの開口方向を遊技盤12の前側下方へ向けて指向させることで、遊技盤12の前側下方にセットした電波発生器Eから放射される不正電波を捉え易くしている。なお、検出センサユニット85は、図示しないが、該センサユニット85に接続する配線がケース体51の裏側に引き出されてから前記設置部材14の裏側に引き回し、該設置部材14の裏側に配設した中継基板に接続してある。
【0067】
〔主制御装置31の不正判定について〕
前述のように、前記主制御装置31は、正常時(発振非検出状態)には、不正検出装置84からローレベル信号が入力される(図22参照)。また、不正電波行為により検出センサユニット85が発振検出状態に状態変化されると、出力回路Hからハイレベル信号が入力される。そして、主制御装置31は、不正検出装置84からの信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、不正電波行為が発生したと判定するようになっている(図22参照)。すなわち、検出用金属球86により発振非検出状態に維持されている筈の検出センサユニット85が発振検出状態に状態変化されると、主制御装置31は不正電波行為を検出する。
【0068】
ここで、不正行為者により検出センサユニット85から導出する配線(図示せず)が切断されたり、検出センサユニット85から引き抜かれたりした場合(以下、断線行為という)、図22に示すように、出力回路Hから信号が出力されなくなる(すなわち、信号が0となる)。そこで、主制御装置31は、前記断線行為により、出力回路Hからの出力がなくなったときに、断線行為が発生したと判定するよう設定されている。また、不正行為者が検出センサユニット85から検出用金属球86を抜き取った場合(以下、球抜行為という)、発振回路Fは発振して、前記検出センサユニット85が発振検出状態に維持される。このため、前記電波発生器Eからの電波を受けても発振回路Fの発振は継続されるから、図22に示すように、出力回路Hからハイレベル信号が出力され続ける。すなわち、電波を受けても出力回路Hから出力される信号が切り換わらなくなるから、不正電波行為を検出し得なくなってしまう。そこで、主制御装置31は、前記球抜行為により、出力回路Hからの出力がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、球抜行為が発生したと判定するようになっている。なお、不正磁気行為については、前記第1,第2磁気センサ79,81から前記磁気検出信号が入力されたときに、主制御装置31が不正磁気行為の発生を判定する。
【0069】
〔不正判定時の制御構成について〕
次に、不正判定時における主制御装置31の制御構成について、以下説明する。前記主制御装置31は、前記断線行為および球抜行為を含む不正電波行為や不正磁気行為の発生を検出すると、これら不正行為の発生を報知する制御を行なう。すなわち、主制御装置31は、前記統括制御装置19に制御信号を出力して前記図柄表示装置15やランプ装置18、スピーカ22で不正行為の発生を報知させる。ここで、図25に示すように、実施例に係るパチンコ機10では、不正電波行為(断線行為および球抜行為を含む)および不正磁気行為で、図柄表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22での作動態様が異なっている。従って、主制御装置31は、発生した不正行為に対応した制御信号を統括制御装置19に出力するよう構成される。具体的には、不正電波行為が発生した場合には、図柄表示装置15の表示部15aに不正電波行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22に不正電波行為発生の旨を音声出力させる。更に、前記ランプ装置18を第1の色(実施例では、緑色)で発光させて、不正電波行為の発生を報知させる。また、不正磁気行為が発生した場合には、図柄表示装置15の表示部15aに不正磁気行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22に不正磁気行為発生の旨を音声出力させる。更に、ランプ装置18を第2の色(実施例では、紫色)で発光させて、不正磁気行為の発生を報知する。
【0070】
図18に示すように、主制御装置31は、パチンコ機10の裏側に設けた外部端子板91を介して遊技場の管理室等に設置されたホールコンピュータ(報知手段)92に電気的に接続されている。そして、前記不正電波行為および不正磁気行為を検出すると、主制御装置31は、ホールコンピュータ92に対してセキュリティー信号を出力するよう設定されている。実施例では、不正電波行為および不正磁気行為の何れの場合も、同一のセキュリティー信号が出力されるようになっている。前記ホールコンピュータ92では、セキュリティー信号が入力されると、不正行為の発生を該ホールコンピュータ92の図示しないディスプレイ等に表示させて、管理者等に不正行為の発生を報知させるようになっている。ここで、何れの不正行為が発生しても、同一のセキュリティー信号がホールコンピュータ92に入力されるので、前記ディスプレイでの表示内容は同一となる。但し、図柄表示装置15やランプ装置18、スピーカ22における作動態様は、不正電波行為および不正磁気行為で異なっていることから、何れの不正行為が発生したかを判別することは可能である。
【0071】
〔実施例の作用〕
次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0072】
前記中枠13の前面側に設けられた前記操作ハンドル24を遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置23から発射されたパチンコ球が前記遊技盤12に設けた案内レール32により画成された発射通路32aを介して遊技領域33内に打ち出される。このとき、前記操作ハンドル24の回動量に応じてパチンコ球の打ち出し位置が変化し、打ち出し位置に応じて遊技領域33の第1経路33aまたは第2経路33bをパチンコ球が流下する。前記特定条件が成立していない状態(大当り状態、確率変動状態、時間短縮状態となっていない状態)では、遊技者は第1経路33aを流下する「左打ち」となるようパチンコ球を打ち出す。
【0073】
前記第1経路33aを流下するパチンコ球が前記球導入部43に通入すると、該パチンコ球は球導入部43から前記ステージ42に通出される。このパチンコ球は、ステージ42上を左右に転動した後に遊技領域33に排出される。前記第1始動入賞装置44の第1始動口45aにパチンコ球が入賞すると、該パチンコ球は球導入通路54を後方へ案内されて前記ケース体51に形成した球排出通路52に通入し、最終的に機外に排出される。球排出通路52を流通するパチンコ球は、該通路52を画成する前記前壁55bの傾斜や蓋部材57の突条57aおよび突片55eの作用によって減勢され、スムーズな排出が達成される。
【0074】
また、球排出通路52を流通するパチンコ球が前記第1始動球検出センサ53で検出されると、前記主制御装置31の制御に基づいて前記図柄表示装置15での図柄変動演出が開始され、図柄変動演出の結果、図柄表示装置15の表示部15aに所定の図柄組み合わせが表示されると大当りが発生する。大当りが発生すると、図柄表示装置15に表示された図柄組み合わせに応じて、前記遊技盤12に設けられた特別入賞装置47の特別入賞口47aが開放されると共に、前記主制御装置31の制御に基づいて図柄表示装置15において大当り演出が行なわれる。なお、主制御装置31は、第1始動球検出センサ53から検出信号を受けると、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させる。
【0075】
前記パチンコ機10では、各種遊技状態に応じて、前記各種演出装置70が主制御装置31により作動制御されて、動作および光による演出により遊技の興趣が高められる。また、前記第1始動入賞装置44に配設した発光装置60のLED60bを発光すると、該LED60bの光は、前記始動口飾り45の装飾板体45bや始動口形成部45cに裏側から照射される。第1始動入賞装置44は、パチンコ球の入賞が前記図柄表示装置15での図柄変動開始や賞球獲得の契機となることから、第1始動入賞装置44は、パチンコ機10に備えられた装置の中でも遊技者の注意が特に強く惹き付けられる。すなわち、前記発光装置60のLED60bを発光することで、遊技者の注目度が高い第1始動入賞装置44における第1始動口45aの周囲を明輝させることができ、演出効果により遊技の興趣を高め得る。
【0076】
前記第1始動入賞装置44は、電気部品が配設されない始動口飾り45と、第1始動球検出センサ53や発光装置60等の電気部品を配設したケース体51を分け、始動口飾り45を遊技盤12に取り付ける一方、ケース体51を設置部材14に取り付けるよう構成した。従って、始動口飾り45を遊技盤12に取り付ける際に、配線が遊技盤12との間に挟み込まれるのを注意することなく組み付けることができ、作業が容易となる。また、ケース体51に配設した第1始動球検出センサ53や発光装置60から導出する配線は、ケース体51の裏側に引き出されて設置部材14に配設した中継基板に接続されているので、該ケース体51を遊技盤12に組み付ける際においても、配線が遊技盤12との間に挟み込まれるのを注意することなく組み付けることができる。すなわち、第1始動入賞装置44の遊技盤12に対する組み付け作業が容易となる。
【0077】
前記始動口飾り45における球導入通路54を画成する通路壁45dは、図7に示す如く、遊技盤12に設置部材14を組み付けた状態で、ケース体51に設けた位置決め受け部56aで支え受けられる。これにより、球導入通路54の球出口54aとケース体51に形成した球排出通路52の球入口52aとが整合して連通し、球導入通路54からのパチンコ球を球排出通路52へ円滑に通入させてパチンコ球を確実に排出処理し得る。また、図7に示す如く、前記球排出通路52において球導入通路54からのパチンコ球を受ける底壁58の上面に、前記連通口52bに向けて下方傾斜する傾斜案内面58aを形成してあるので、前記球入口52aから球排出通路52(水平通路52c)に通入したパチンコ球を、該傾斜案内面58aで連通口52b、すなわち前記第1始動球検出センサ53の検出口53aに速やかに案内して検出させることができる。これにより、パチンコ球が第1始動口45aに入賞してから第1始動球検出センサ53で検出されるまでの時間が長くなることで生ずる、例えば主制御装置31で大当り抽選を開始するまでに時間が掛かることで遊技者にとって有利となる遊技状態となるまでの時間が長くなる不都合等の発生を抑制し得る。
【0078】
前記パチンコ機10において、特定条件が成立する前記大当りの発生や、確率変動状態や時間短縮状態へ移行した際には、遊技者は前記操作ハンドル24を回転操作して打球発射装置23によるパチンコ球の打球力を高め、前記第2経路33bに向けてパチンコ球を打ち出す「右打ち」を行なう。右打ちに際して第2経路33bに打ち出されたパチンコ球は、前記枠状装飾体41の右側の庇部41cに沿って転動する。第2経路33bを流下するパチンコ球が、前記第2普通入賞装置50の第2普通入賞口50aに入賞すると、該パチンコ球は、図15に示す如く、樋部50bで案内されて出口50cから第2球通路部材76に形成した第2球通路75に通入し、前記出口76bから機外に排出される。第2球通路75における第1縦通路部75aを流通するパチンコ球が第2普通球検出センサ77で検出されると、該検出信号が前記主制御装置31に送信され、該主制御装置31は、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させる。
【0079】
前記大当りが発生した大当り遊技中に前記特別入賞口47aに入賞したパチンコ球は、図16に示す如く、特別入賞装置47の装置本体47cに設けた案内通路65で後方に案内されて球出口65aから通出される。このパチンコ球は、前記第2球通路部材76に形成した受入れ口76cに向けて落下して通入し、前記第2縦通路部75cを流通して出口76bから機外に排出される。すなわち、特別入賞口47aに入賞したパチンコ球を、第2普通入賞口50aに入賞したパチンコ球を排出する第2球通路75に受入れて排出するよう構成したから、特別入賞口47aに入賞したパチンコ球を排出するための専用の球通路を設ける必要はなく、遊技盤裏側において球通路を設けるための設置スペースを小さくすることができる。
【0080】
ここで、遊技盤12における幅方向中央より右側の領域(第2経路33b)に始動入賞装置46、特別入賞装置47、普通入賞装置50および球通過ゲート48等、多数の部品を配設して「右打ち」を行なわせるようにしたパチンコ機10においては、狭いスペースに多くの部品を配設するために設計の自由度が低くなる。しかるに実施例では、複数の入賞口47a,50aに入賞したパチンコ球を排出処理するための球通路を1つで兼用するよう構成して球通路の配設数を低減するようにしたので、多数の部品を偏って配設する場合においても部品の設置スペースを圧迫することなく、設計の自由度を向上することができる。
【0081】
前記特別入賞口47aに入賞したパチンコ球は、前記特別球検出センサ64で検出され、その検出信号が前記主制御装置31に送信されると、該主制御装置31は、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させる。特別球検出センサ64は、前記受入れ口76cに通入する前のパチンコ球を検出するよう構成される。また、前記第2普通入賞口50aに入賞したパチンコ球を検出する第2普通球検出センサ77は、図17に示す如く、第2球通路75における受入れ口76cより上流側の第1縦通路部75aに配設されている。すなわち、特別入賞口47aおよび第2普通入賞口50aに入賞したパチンコ球を排出処理するための球通路を1つとしても、各入賞口47a,50aに入賞したパチンコ球を個別に検出することができ、賞球数等を変更する等、各入賞口50a,47a毎に異なる対応が可能となる。
【0082】
実施例の第2球通路部材76は、図17に示す如く、特別入賞装置47の球出口65aと対向する受入れ口76cを開口形成しただけで、球出口65aに連通するための分岐路を該第2球通路部材76に別途形成したものではないので、第2球通路部材76の形状が複雑になることもなく、成形は容易である。また、特別入賞装置47の球出口65aに対して下方で対向する受入れ口76cの開口寸法を球出口65aより大きく設定しているので、該球出口65aから通出されて落下するパチンコ球を受入れ口76cに確実に受入れることができる。更に、受入れ口76cを画成する前壁の内面を、図16に示す如く、前側から後側に向かうにつれて後方に変位する傾斜案内面76dとして形成してあるので、受入れ口76cに通入したパチンコ球は滞ることなく傾斜案内面76dで第2縦通路部75cとの連通部に向けてスムーズに案内される。
【0083】
前記第2経路33bを流下するパチンコ球が前記球通過ゲート48を通過すると、該ゲート48の前記ゲート用球検出センサ66で検出される。ゲート用球検出センサ66の球検出に応じて前記主制御装置31では、前記第2始動入賞装置46における第2始動口46aを開放するか否かの始動口開放抽選が行なわれ、該始動口開放抽選の結果が当選の場合に、第2始動口46aを開放するよう第2始動入賞装置46が駆動制御される。
【0084】
前記第2始動口46aが開放している間に該第2始動口46aにパチンコ球が入賞し、該パチンコ球が前記第2始動球検出センサ62で検出されると、主制御装置31は、大当りを発生するか否かを決定する大当り抽選を行なう。なお、大当り遊技中に第2始動口46aに入賞したパチンコ球は保留球として記憶され、大当り遊技の終了後に保留球に基づいて大当り抽選が行なわれ、第1始動球検出センサ53でパチンコ球を検出した場合と同様に、主制御装置31は、前記図柄表示装置15での図柄変動演出が開始させる。また主制御装置31は、第2始動球検出センサ62から検出信号を受けると、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させる。
【0085】
〔不正検出装置84について〕
次に、前記不正検出装置84の作用について説明する。先ず始めに、前記検出センサユニット85および検出用金属球86をケース体51に組み付ける際には、前記ベース体55のセンサ収容部89cに検出センサユニット85を収容セットし、前記検出口87a内に検出用金属球86を挿入する。そして、前記カバー体56の第1支持部90a,90aをセンサ収容部89c内に挿入したもとで、該カバー体56をベース体55にネジ止め固定することで、検出センサユニット85および検出用金属球86はケース体51の内部に位置決め保持される。不正検出装置84は、前記第1始動球検出センサ53が取り付けられるケース体51に、検出センサユニット85および検出用金属球86を収容して第1始動球検出センサ53と一体で取り扱うことができるので、両者53,85の位置関係を適正に維持することができる。
【0086】
図10に示すように、ベース体55およびカバー体56を組み付けると、検出センサユニット85は、左右方向両側の移動が側壁89a,89aで規制された状態で、後壁89bおよび第1支持部90a,90aにより前後から挟持され、かつ規制部89d,89dおよび支持突片90cにより上下から挟持された状態で位置決め保持される。これにより、検出センサユニット85は、センサ設置部61にガタつくことなく保持される。更に、検出口87a内にセットした検出用金属球86に対して、球受部89eおよび第2支持部90bが当接するから、該検出用金属球86は、検出口87a内の開口方向の略中央位置に保持される。すなわち、検出用金属球86を検出コイル88の誘導磁界内に正確に位置させることができ、検出センサユニット85を発振非検出状態に確実に維持させることが可能となる。
【0087】
前記ベース体55およびカバー体56を組み付けるだけで、検出センサユニット85および検出用金属球86の適切な位置関係が規定されるから、両者の位置関係を確保するための慎重な作業を要することなく、組み付け作業を極めて効率的にすることができる。また、検出センサユニット85および検出用金属球86を適切な位置関係で保持するための複雑な構造を要しないから、コストを低廉にし得る。しかも、球体の検出用金属球86を採用することで、該検出用金属球86の姿勢を考慮することなく検出口87a内に位置させればよく、検出用金属球86の組み付けが簡単となる。このように、実施例では、検出センサユニット85として、既存の検出センサDと同一のものを採用し、検出用金属球86としてのパチンコ球により検出センサユニット85を発振非検出状態に維持する構成とした。従って、検出センサユニット85や検出用金属球86を新たに開発、製造する必要がなく、コストを低廉にし得る。
【0088】
前記ケース体51を設置部材14のケース設置部72に、複数の取付柱72aを介して位置決め固定したもとで、該設置部材14を遊技盤12の裏面に取り付ける。この状態で、検出センサユニット85は、遊技盤12の下部後方において、前記第1および第2始動入賞装置44,46や特別入賞装置47に近接して位置することとなる(図4参照)。そして、検出センサユニット85が上側から下側に向けて後方に傾斜した姿勢となるから、該検出センサユニット85の検出口87aの開口方向は、後側から前側に向けて下方傾斜した方向となる。従って、図8に示す如く、遊技盤12の前側下方から前記第1および第2始動入賞装置44,46や特別入賞装置47に向けて放射された電波を捉え易くして、不正電波行為を確実に検出することが可能となる。しかも、不正検出装置84は、検出センサユニット85および検出用金属球86を取り付けるケース体として、第1始動入賞装置44の第1始動球検出センサ53が配設されるケース体51を兼用しているので、検出センサユニット85と第1始動球検出センサ53との位置関係は適正に維持されており、第1始動球検出センサ53に対する不正行為を確実に検出し得る。
【0089】
なお、前記ケース体51に収容された検出センサユニット85は、遊技盤12や始動口飾り45で略隠されて前側から視認し難くなっているので、不正行為者に不正対策が施されていることを覚知されるのを回避し得る。また、検出センサユニット85の設置箇所が判別し難いから、該検出センサユニット85の検出範囲を避けるように電波を放射させて、不正電波行為の検出を免れるような行為を抑制することができる。
【0090】
〔不正行為時の作用について〕
次に、不正電波行為が行なわれた場合の作用について、説明する。なお、不正検出装置84は、不正電波行為が行なわれていない正常時では、前記検出用金属球86により検出センサユニット85が発振非検出状態に維持されて、出力回路Hからローレベル信号が出力されている。従って、図22に示すように、正常時においては、主制御装置31にローレベル信号が入力され続ける。不正電波行為が発生すると、図23に示すように、電波により発信検出回路Gが断続的な発振を誤検出して、出力回路Hは、ローレベル信号およびハイレベル信号を交互に繰り返し出力する。そして、主制御装置31は、出力回路Hからの信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、不正電波行為が発生したと判定する。すなわち、実施例の不正検出装置84によれば、電波により検出センサユニット85が発振非検出状態から発振検出状態に変化するので、簡単な構造により不正電波行為を極めて容易に検出し得る。そして、実施例では、出力回路Hからの出力がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったことで、主制御装置31が不正電波行為の発生を判定するので、極めて簡単な制御で不正電波行為を検出することができる。従って、主制御装置31での制御負担を少なくすることができ、誤判定が生ずる可能性も少なくなる。また、検出センサユニット85に電波を検出するための回路等を別途形成することなく、既存の検出センサDと同じものを検出センサユニット85として採用し得るから、不正検出装置84の製造コストを抑制することができる。
【0091】
不正電波行為の発生を判定すると、主制御装置31は、統括制御装置19に制御信号を出力して、図柄表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22に不正電波行為の発生を報知させる。すなわち、図25に示すように、図柄表示装置15は、表示部15aに不正電波行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22が不正電波行為発生の旨を音声出力する。更に、前記ランプ装置18が第1の色で発光体を発光させて、不正電波行為の発生を遊技場の従業員等に報知させる。このように、不正電波行為が発生すると、直ちに当該不正の発生を図柄表示装置15等が報知するから、当該不正を遊技場内の従業員等に速やかに知らせることができる。しかも、図柄表示装置15やスピーカ22等には、不正電波行為の発生の旨が報知されると共に、ランプ装置18が不正電波行為に対応した第1の色で発光するから、従業員等は、何れの不正行為が発生したかについても容易に判別することができ、迅速に対応することができる。
【0092】
更に、前記主制御装置31は、外部端子板91を介してホールコンピュータ92にセキュリティー信号を出力する。セキュリティー信号を受けたホールコンピュータ92は、ディスプレイに何らかの不正行為が発生した旨を表示させて、管理室の管理者等に報知させる。このように、不正電波行為の発生が判定されると、パチンコ機10だけでなく、ホールコンピュータ92にも報知されるので、仮に遊技場の従業員等が不正の発生に気付かなかったとしても、管理室の管理者等に不正の発生を知らせることができる。なお、ホールコンピュータ92には、同一のセキュリティー信号が入力されるから、前記ディスプレイでの表示内容は何れの不正行為(不正電波行為または不正磁気行為)が生じた場合でも同一となる。しかるに、前述のように、図柄表示装置15やランプ装置18、スピーカ22において不正電波行為である旨が報知されるから、従業員等は、不正電波行為が発生したことを認識することができる。
【0093】
次に、前記断線行為が行なわれた場合には、図22に示すように、出力回路Hから主制御装置31に信号が入力されなくなる。出力回路Hからの入力がなくなると、主制御装置31は、断線行為が発生したと判定して、前述した不正電波行為の場合と同じ対応を行なう。すなわち、図柄表示装置15の表示部15aに不正電波行為発生の旨が表示されると共に、スピーカ22が不正電波行為発生の旨を音声出力する。また、前記ランプ装置18を第1の色で発光させて、不正電波行為の発生を遊技場の従業員等に報知させる。更に、主制御装置31は、ホールコンピュータ92にセキュリティー信号を出力して、ホールコンピュータ92のディスプレイに何らかの不正行為が発生した旨を表示させる。このように実施例では、断線行為が行なわれた場合にも、当該行為を検出し得るので、検出センサユニット85の配線を切断して、不正検出装置84が無効化されるのを防止し得る。
【0094】
また、前記球抜行為が行なわれた場合には、該検出用金属球86が検出口87aから取り外されることで、前記発振回路Fが発振を開始する。従って、発振検出回路Gが発振を検出して、検出センサユニット85が発振検出状態に状態変化する。これにより、図22に示すように、出力回路Hの出力信号はローレベル信号からハイレベル信号に切り換わる。そこで、主制御装置31は、出力回路Hから入力される信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、球抜行為が発生したと判定して、前述した不正電波行為の場合と同じ対応を行なって、不正の発生を報知する。このように、実施例では、球抜行為が行なわれた場合においても、当該不正行為を検出し得るので、検出用金属球86を検出口87aから取り外して、不正検出装置84が無効化されるのを防止することができる。
【0095】
なお、不正磁気行為が行なわれた場合には、磁石等の磁気を第1磁気センサ79または第2磁気センサ81が検出して、検出信号を主制御装置31に出力する。第1磁気センサ79または第2磁気センサ81から検出信号が入力されると、主制御装置31は、不正磁気行為が発生したと判定して、当該不正行為を図柄表示装置15等に報知させる。すなわち、主制御装置31は、統括制御装置19に制御信号を出力して、図柄表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22に不正磁気行為の発生を報知させる。具体的には、図25に示すように、図柄表示装置15の表示部15aに不正磁気行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22に不正磁気行為発生の旨を音声出力させる。更に、前記ランプ装置18が第2の色で発光体を発光させて、不正磁気行為の発生を遊技場の従業員等に報知させる。このように、不正磁気行為が発生した場合にも、当該不正行為の発生を直ちに従業員等に報知することができる。しかも、図柄表示装置15やスピーカ22等の出力内容やランプ装置18の発光色から不正磁気行為が発生したのを判別し得るから、従業員等は、当該不正磁気行為に素早く対応することができる。なお、主制御装置31は、不正磁気行為が発生した場合にも、セキュリティー信号をホールコンピュータ92に出力する。従って、ホールコンピュータ92のディスプレイに何らかの不正行為が発生した旨が表示されて、管理室の管理者等は、不正行為の発生を知ることができる。
【0096】
〔変更例〕
なお、前述した実施例は、以下に示す通り、種々の変更が可能である。
(1) 実施例では、主制御装置は、外部端子板を介してホールコンピュータに電気的に接続する構成とした。そして、主制御装置からのセキュリティー信号は、外部端子板を介してホールコンピュータに入力されるようになっていた(図18参照)。しかしながら、例えば、図26に示すように、外部端子板91を払出制御装置29に接続して、主制御装置31が、払出制御装置29、外部端子板91を介してホールコンピュータ92に電気的に接続する構成としてもよい。この場合、主制御装置31から出力されたセキュリティー信号は、払出制御装置29→外部端子板91を経てホールコンピュータ92に入力される。
(2) 実施例では、何れの不正行為が発生した場合も、主制御装置が同一のセキュリティー信号を出力する構成とした。しかしながら、主制御装置が出力するセキュリティー信号を不正行為毎に変更して、ホールコンピュータでの表示内容が不正行為毎に異なるようにしてもよい。このように、不正行為の種類に応じたセキュリティー信号を出力すれば、ホールコンピュータにおいて、不正電波行為または不正磁気行為の何れが発生したかを管理者等が簡単に判別することができる。
(3) 実施例では、断線行為や球抜行為が発生した場合にも、不正電波行為の発生時と同じように図柄表示装置等に報知させる構成とした。しかしながら、断線行為や球抜行為が生じた場合に、夫々異なる態様で報知させるようにしてもよい。例えば、断線行為が発生した場合には、図柄表示装置やスピーカに断線行為が発生した旨を報知させると共に、ランプ装置を第3の色(例えば赤色)で発光させる。また、球抜行為が発生した場合には、図柄表示装置やスピーカに球抜行為が発生した旨を表示させると共に、ランプ装置を第4の色(例えば白色)で発光させる等して、断線行為や球抜行為についても夫々判別し得るようにしてもよい。
(4) 実施例では、発振検出状態で出力回路がハイレベル信号を出力し、発振非検出状態で出力回路がローレベル信号を出力する構成とし、ハイレベル信号が出力されたときに主制御装置が不正電波行為の発生を判定する構成とした。しかしながら、出力回路が出力する信号としては、発振検出状態および発振非検出状態に対応した2種類の信号であれば、如何なる信号であってもよい。例えば、実施例とは反対に、発振検出状態でローレベル信号を出力し、発振非検出状態でハイレベル信号を出力する構成としてもよい。この場合、ローレベル信号が入力されたときに、主制御装置は不正電波行為が発生したと判定する。
(5) 実施例では、検出センサユニット(状態維持手段)が電波により発振非検出状態(第2状態)から発振検出状態(第1状態)に状態変化される構成とした。しかしながら、磁気により状態変化手段が第2状態から第1状態に変化される構成として、磁気によって、例えば第1始動球検出センサ、特別球検出センサ等を誤作動させる行為を検出し得るようにしてもよい。
(6) 実施例では、状態維持手段としてパチンコ球である検出用金属球を採用したが、状態維持手段としては、発振回路の発振を停止または減衰させ得る磁性体であれば、如何なるものであってもよい。例えば、角柱状や円柱状の金属体を状態維持手段として採用し得る。
(7) 実施例では、遊技領域に常に開放する始動口を備える始動入賞装置の電気部品が配設されるケース体に検出センサユニットおよび検出用属球を配設したが、開閉体により開閉される始動口を備える始動入賞装置において、電気部品が配設されるケース体に検出センサユニットおよび検出用金属球を配設するものであってもよい。また、複数の不正検出装置を遊技機に設置してもよい。
(8) 実施例では、特定の条件の成立時に「右打ち」を実施することで、遊技者にとって有利な遊技を享受させ得るよう構成されたパチンコ機の場合で説明したが、「右打ち」によっても遊技者にとって有利な遊技とならないパチンコ機であってもよい。
(9) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
12 遊技盤
33 遊技領域
45a 第1始動口(始動口)
51 ケース体
53 第1始動球検出センサ(球検出センサ)
55 ベース体
56 カバー体
84 不正検出装置
85 検出センサユニット(状態変化手段)
86 検出用金属球(状態維持手段、磁性体、金属球)
87a 検出口
88 検出コイル
90a 第1支持部
90b 第2支持部
F 発振回路
G 発振検出回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域が前側に設けられる遊技盤と、該遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な始動口と、該始動口に入賞した遊技球を検出する球検出センサとを備え、該球検出センサによる遊技球の検出を契機として、通常遊技よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの抽選が行なわれる遊技機において、
前記遊技盤の裏側に不正検出装置が配設され、
該不正検出装置は、
検出コイル、発振回路および発振検出回路を備え、発振回路の発振を発振検出回路が検出した第1状態と、該発振回路の発振の停止または減衰を発振検出回路が検出した第2状態とに状態変化するよう構成されると共に、電磁波により第2状態から第1状態に状態変化される状態変化手段と、
磁性体から構成され、前記発振回路の発振を停止または減衰させて前記状態変化手段を第2状態に維持する状態維持手段と、
前記検出コイル内に前記状態維持手段が位置するよう前記状態変化手段および状態維持手段を保持するケース体とを備え、
前記ケース体に前記球検出センサを配設した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記状態変化手段は、前記検出コイル、発振回路および発振検出回路を備えた検出センサユニットであって、該検出センサユニットは、前記検出コイルが設けられた検出口を備え、検出センサユニットは、前記検出口の開口方向に電波の検出範囲が大きく設定され、該開口方向が斜め下向きとなる姿勢で検出センサユニットが前記ケース体に保持される請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記ケース体は、前方に開口するベース体と、該ベース体の前側に組み付けられるカバー体とからなり、ベース体およびカバー体の間に前記検出センサユニットを収容するよう構成され、前記カバー体における検出センサユニットに対応する位置に、第1支持部および壁面を後方に凹ませた第2支持部が設けられて、ベース体にカバー体を組み付けた際に、第1支持部で検出センサユニットを開口方向が斜め下向きとなる姿勢に支持すると共に、第2支持部で前記状態維持手段を検出口内に位置するように支持するよう構成した請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記検出センサユニットは、前記球検出センサの側方に配置される請求項2または3記載の遊技機。
【請求項1】
遊技領域が前側に設けられる遊技盤と、該遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な始動口と、該始動口に入賞した遊技球を検出する球検出センサとを備え、該球検出センサによる遊技球の検出を契機として、通常遊技よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの抽選が行なわれる遊技機において、
前記遊技盤の裏側に不正検出装置が配設され、
該不正検出装置は、
検出コイル、発振回路および発振検出回路を備え、発振回路の発振を発振検出回路が検出した第1状態と、該発振回路の発振の停止または減衰を発振検出回路が検出した第2状態とに状態変化するよう構成されると共に、電磁波により第2状態から第1状態に状態変化される状態変化手段と、
磁性体から構成され、前記発振回路の発振を停止または減衰させて前記状態変化手段を第2状態に維持する状態維持手段と、
前記検出コイル内に前記状態維持手段が位置するよう前記状態変化手段および状態維持手段を保持するケース体とを備え、
前記ケース体に前記球検出センサを配設した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記状態変化手段は、前記検出コイル、発振回路および発振検出回路を備えた検出センサユニットであって、該検出センサユニットは、前記検出コイルが設けられた検出口を備え、検出センサユニットは、前記検出口の開口方向に電波の検出範囲が大きく設定され、該開口方向が斜め下向きとなる姿勢で検出センサユニットが前記ケース体に保持される請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記ケース体は、前方に開口するベース体と、該ベース体の前側に組み付けられるカバー体とからなり、ベース体およびカバー体の間に前記検出センサユニットを収容するよう構成され、前記カバー体における検出センサユニットに対応する位置に、第1支持部および壁面を後方に凹ませた第2支持部が設けられて、ベース体にカバー体を組み付けた際に、第1支持部で検出センサユニットを開口方向が斜め下向きとなる姿勢に支持すると共に、第2支持部で前記状態維持手段を検出口内に位置するように支持するよう構成した請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記検出センサユニットは、前記球検出センサの側方に配置される請求項2または3記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−13502(P2013−13502A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147578(P2011−147578)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】
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