説明

運搬用台車

【課題】各種形状の荷物の運搬に好適な運搬用台車を提供する。
【解決手段】荷物を積載する長方形の平面を有する積載部と、前記積載部の長辺の一端側の下部に設けられた二個のキャスターと、前記積載部の長辺の一端側に立設された支持フレームと、前記支持フレームの上部に設けられた手押し用のハンドル部と、を備えた運搬用台車において、前記積載部の長辺の他端側の下部にステップ部を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物運搬用の二輪台車に関し、特に、遊技場に設置される遊技機その他の荷物を運搬するのに好適な運搬用台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人手で運搬するには重量が嵩む荷物は、二輪台車や四輪台車に積載して運搬することで、倉庫や工場内等における作業員の負担を軽減している。特に二輪台車は、取り回しが楽なことから荷物運搬用に手軽に用いられている。
【0003】
また、荷物として、例えば、遊技場に設置される遊技機を運搬するために四輪台車等が用いられる。例えば、荷物としての一例で、遊技機には、大別してパチンコ遊技機とパチスロ遊技機の2種類の機種があり、さらに、近年の遊技機は、演出のための大型の液晶表示装置などの電子機器が搭載されるようになり、形状も多種多様で、かつ、重量も年々増大する傾向にある。
【0004】
運搬する荷物も、その用途や機能に応じて各種の形状があり得る。例えば、上記パチンコ遊技機やパチスロ遊技機は、遊技場に設置される同じ遊技機であってもその形状や重量が異なっている。すなわち、パチンコ遊技機は、遊技者と対面する表面側は平面に形成されているが、裏面側は、パチスロ遊技機とは異なり、各種制御基板を内包した裏パックや、遊技媒体である遊技球(パチンコ球)の貯留や払い出しを行う制御装置等が突出している。他方、パチスロ遊技機は、矩形箱状の筐体の内部に、回動式のリールや遊技媒体であるコインの払い出し装置などの機械部品を内包しておりパチンコ遊技機より重量が嵩む。
【0005】
また、荷物の一例として遊技機とした場合、遊技場では台車の移動スペースが限られているため、取り回しが楽で機動性に優れた小型の二輪台車を用いることが好適であるが、上述したように遊技機のように、形状や重量が異なる荷物を対象とする場合、安定して荷物を積載できる四輪台車が用いられることが一般的であった。
【0006】
このため、重量や形状の異なる遊技機等の荷物には、重量物の運搬に好適な二輪台車として、例えば、運搬する荷物の形状に応じて荷台面を拡張して対応できる多用途台車(特許文献1に記載)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−249132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記特許文献1に記載の二輪台車では、裏面側が突出した形状の荷物を運搬する場合に、荷物を垂直に安定させた状態で荷台面に積載することが困難である。このため、荷物を積載して当該二輪台車を移動させる場合は、運搬途中の荷物の転倒に留意する必要性があり作業効率に問題がある。
【0009】
また、矩形箱状の筐体よりなる荷物は、二輪台車に安定して積載できるので運搬には支障は少ない。しかし、上述したように形状に凸凹があり重量が嵩む荷物の場合には、二輪台車に積み下ろしする作業の負担が大きい。そのため、積み下ろし作業中に二輪台車の荷台面が動かないように固定して、安全に積み下ろし作業ができるようにする必要がある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、各種形状、特に矩形であるが前後面に凸凹のあるような荷物を運搬するのに安全で作業効率のよい運搬用台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、荷物を積載する長方形の平面を有する積載部と、前記積載部の長辺の一端側の下部に設けられた二個のキャスターと、前記積載部の長辺の一端側に立設された支持フレームと、前記支持フレームの上部に設けられた手押し用のハンドル部と、を備えた運搬用台車において、前記積載部の長辺の他端側の下部にステップ部を設けた。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記支持フレームに支持板係止部を設け、この支持板係止部に、前記積載部に積載された荷物の背面を支持する支持板を着脱自在に取付けたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記支持フレームに、前記積載部に積載される前記荷物の外枠を押さえる外枠押さえ部を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記積載部の長辺の一端側の下部に支持フレーム挿入部を設け、当該支持フレーム挿入部に、前記支持フレームを挿脱自在に取付けたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記荷物はパチンコ遊技機又はパチスロ遊技機であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、荷物を積載する長方形の平面を有する積載部と、前記積載部の長辺の一端側の下部に設けられた二個のキャスターと、前記積載部の長辺の一端側に立設された支持フレームと、前記支持フレームの上部に設けられた手押し用のハンドル部と、前記積載部の長辺の他端側の下部に設けたステップ部と、を備えた運搬用台車としている。
【0017】
すなわち、上記ステップ部を作業者が足裏で踏むことにより、荷物を積み降ろしする際の運搬用台車の移動を防ぐことができ、荷物の積み下ろしを安全に行うことができる。そして、作業者は、運搬用台車に荷物を積載した状態では、ステップ部を浮かせて重心を二輪車側に移して移動することで、二輪台車の機動性を生かして軽快に荷物を運搬することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、前記運搬用台車は、前記支持フレームに支持板係止部を設け、この支持板係止部に、前記積載部に積載された荷物の背面を支持する支持板を着脱自在に取付けている。これにより、該運搬用台車に荷物を積載して移動する場合、支持板係止部を介して取り付けられた支持板により荷物の背面を支持して、運搬中に荷物が作業者側に転倒すること防止することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、運搬用台車の前記支持フレームに、前記積載部に積載される前記荷物の外枠を押さえる外枠押さえ部を備えている。このため、本体と外枠とに分離可能な荷物を前記積載部に積載したままで分離する作業を行う場合に、本体を持ち上げても外枠が外枠押さえ部により持ち上がることを防ぐことができ、容易に荷物を本体と外枠とに分離する作業を行うことができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、前記積載部の長辺の一端側の下部に支持フレーム挿入部を設け、当該支持フレーム挿入部に、前記支持フレームを挿脱自在に取付けている。このため、当該運搬用台車を使用しない場合は、支持フレームを支持フレーム挿入部から外すことができ、使用しない運搬用台車をコンパクトに片付けることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、荷物がパチンコ遊技機やパチスロ遊技機としたために、遊技機の特有の形状構造にもかかわらず、パチンコホール等の遊技場内の運搬を的確に最小の労力で安全に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態における運搬用台車の構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態における運搬用台車の構成を示す正面図である。
【図3】この発明の一実施形態における運搬用台車の構成を示す側面図である。
【図4】この発明の一実施形態における運搬用台車の支持フレームの挿脱を説明する図である。
【図5】この発明の一実施形態における運搬用台車において、荷物としての遊技機の積み降ろし及び運搬を説明する図である。
【図6】この発明の一実施形態における運搬用台車に荷物としてのパチスロ遊技機を積載する場合の支持板係止部への支持板の取付を説明する図である。
【図7】この発明の一実施形態における運搬用台車への荷物としてのパチンコ遊技機の積載を説明する図である。
【図8】この発明の一実施形態における運搬用台車において、荷物としての遊技機の機種別による積載を説明する図である。
【図9】この発明の一実施形態における運搬用台車において荷物としてのパチンコ遊技機の外枠を押さえる外枠押さえ部を説明する図である。
【図10】この発明の一実施形態における運搬用台車において支持フレームとサイドステップとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の運搬用台車に積載される荷物を遊技機として説明する。また、荷物の一例である遊技機については、パチンコ遊技機とパチスロ遊技機との機種に大別される。パチンコ遊技機とパチスロ遊技機とを比較すると、大きさ(例えば、高さや幅)、形状(厚みなど)又は重量が異なる。特に大きさ(例えば、高さや幅)は、高さは概ね同じではあるが、パチスロ遊技機の方がパチンコ遊技機よりも幅が小さい。また、近年では、パチンコ遊技機及びパチスロ遊技機共に、演出のための大型の液晶表示装置や可動体などが搭載されて重量が嵩む傾向にある。
【0024】
このため、本発明に係る運搬用台車は、荷物としての遊技機を積載する長方形の平面を有する積載部と、前記積載部の長辺の一端側の下部に設けられた二個のキャスターと、前記積載部の長辺の一端側に立設された支持フレームと、前記支持フレームの上部に設けられた手押し用のハンドル部と、前記積載部の長辺の他端側の下部に設けたステップ部と、を備えている。なお、本実施形態における支持フレームは、前記積載部の長辺の一端側の下部に設けられた支持フレーム挿入部に挿入されている。
【0025】
すなわち、荷物としての一例の遊技機、すなわち、パチンコ遊技機及びパチスロ遊技機を運搬用台車に積み降ろしする際に、作業者が上記ステップ部を足裏で踏むことにより、当該運搬用台車を動かないように固定することができる。これにより、重量の嵩む遊技機を安全に運搬用台車に積み降ろしすることができる。
【0026】
また、上述したように、荷物としてのパチンコ遊技機及びパチスロ遊技機は形状や重量が異なり、パチスロ遊技機はパチンコ遊技機よりも幅が狭い。そのため、本発明の運搬用台車に荷物としてのパチンコ遊技機を積載する場合は、パチンコ遊技機の背面側を支持フレームで支え、支持フレームの間にパチンコ遊技機背面の突出部を突出させた状態で安定して積載できるようにしている。また、運搬用台車に荷物としてのパチスロ遊技機を積載する場合は、パチスロ遊技機はパチンコ遊技機よりも幅が狭いため、ステップ部を浮かせてパチスロ遊技機を運搬する際に、パチスロ遊技機が支持フレームの間を作業者側に転倒する虞がある。
【0027】
このため、運搬用台車は、前記支持フレームに、前記積載部に積載された荷物の背面を支持する支持板を着脱自在とした支持板係止部を備えている。これにより、荷物としてのパチスロ遊技機を積載する場合は、支持フレームの支持板係止部に支持板を取付けた状態にすることで、荷物の背面側が支持板により支持されて荷物の転倒を防止することができる。
【0028】
また、一般に荷物としての一例のパチンコ遊技機は、遊技機本体と外枠とに分離結合可能な構造となっている。遊技場にパチンコ遊技機を設置する場合は、まず、パチンコ遊技機を遊技機本体と外枠とに分離して、外枠を遊技場の所定の位置に設置する。そして、取り付けた外枠と遊技機本体とを結合してパチンコ遊技機の設置は終了する。
【0029】
このように荷物の一例としての遊技機本体と外枠は、例えば、外枠に設けた複数の結合凹部に、本体に設けた複数の結合凸部を上方から挿入することで結合されている。このため、遊技機本体と外枠とを分離するために、外枠を固定した状態で遊技機本体を上方に持ち上げて、外枠の結合凹部と遊技機本体の結合凸との結合を解除する必要がある。この場合、遊技機本体を持ち上げる際に外枠も同時に持ち上がってしまうと、遊技機本体と外枠とがうまく分離できない場合がある。
【0030】
このため、本発明の運搬用台車は、前記支持フレームに、前記積載部に積載される前記遊技機の外枠を押さえる外枠押さえ部を備えている。これにより、荷物としてのパチンコ遊技機を運搬用台車に積載した状態で、本体と外枠との分離作業を行う場合に、荷物本体としての遊技機本体を持ち上げても、外枠は外枠押さえ部により上部への動きが規制されるため、本体と外枠とを容易に分離することができる。
【0031】
また、本発明の運搬用台車は、前記支持フレームを前記支持フレーム挿入部に挿脱自在としている。このため、支持フレームを支持フレーム挿入部から外しておくことにより、使用しない運搬用台車をコンパクトに片付けることができるようにしている。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。
【0033】
まず、図1〜図3を参照して、本実施例における運搬用台車の構成について説明する。図1は運搬用台車の構成を示す斜視図である。図2は運搬用台車の構成を示す正面図である。図3は運搬用台車の構成を示す側面図である。
【0034】
図1〜3に示すように、運搬用台車1は、荷物を積載する積載部2と、積載部2の下部であり、運搬用台車1を正面視した場合、積載部2の後方側に設けられた角筒状の支持フレーム挿入部2e,2eと、積載部2の下部の支持フレーム挿入部2e,2eの近傍に設けられた二個のキャスター5R,5Lと、積載部2の下部であり、運搬用台車1を正面視した場合、積載部2の前方側に設けられたステップ部3と、上部を作業者が保持して当該運搬用台車1を操作するハンドル部9により連接された二本の支持フレーム4,4により構成されている。
【0035】
遊技機を積載する積載部2は、荷物を載置する一枚の金属板で形成された長方形の積載面2aと、金属性の角フレームである前フレーム2cと、サイドフレーム2b,2bと、後フレーム2dとにより構成されている。積載面2aの前方側の長辺には前フレーム2cがサイドフレーム2b,2bに亘って結合されている。積載面2aの両サイドの短辺にはそれぞれサイドフレーム2b,2bが結合されている。そして、積載面2a及びサイドフレーム2b,2bの後方側には、後フレーム2dが結合されている。前フレーム2cは、サイドフレーム2b,2bの前方側に積載面2aとフラットになるように結合され、積載面2aへの荷物の積み下ろしを容易としている。
【0036】
後フレーム2dの両端近傍には、キャスター取付部5a、5aが設けられており、二個のキャスター5R,5Lが同一の中心軸上に取付けられている。このキャスター5R,5Lは、固定式のキャスターであり、前後方向の移動を可能としている。また、キャスター5R,5Lの材質は、例えば、ウレタン、ナイロン、ゴム等が用いられ重荷重で長時間固定されても荷重による歪みが生じないものが用いられる。さらに、キャスター5R,5Lの口径は大口径(例えば、200mm)としており、運搬用台車1に荷物を積載して移動する場合に、床面の小段差や荷物の取付のために床面に施設された電源ケーブル等を容易に乗り越えられるようにしている。
【0037】
積載部2の前フレーム2cの下部には、ステップ部3が設けられている。このステップ部3は、前フレーム2cの下部に所定間隔で下方に結合された2枚のサイドステップ3a,3aと、該サイドステップ3a,3aを連接する底部ステップ3bで略コ字状に構成されている。そして、積載部2の後方側の下部に設けられたキャスター5R,5Lと底部ステップ3bとにより、運搬用台車1を床面に略垂直に起立させた状態とすることができる。この状態においては、底部ステップ3bは、水平床面と密着することで、運搬用台車1が前後に移動することなく起立させた状態を保つことができる。
更に、具体的にステップ部3を説明する。支持フレーム4は積載部2の積載面2aに対して直角に立設しており、これに対して、ステップ部3の左右のサイドステップ3a,3aは、前方にやや突出するように傾斜させて形成し、それらの下端間に長方形の底板を架設して底部ステップ3bを形成している。
サイドステップ3aの傾斜角度と、サイドステップ3a、3aの長さと、荷物の重量負荷を受けることのできる限度となる支持フレーム4の傾斜角度とは、相互に有機的な相関関係を保持している。
図10に示すように、サイドステップ3aの傾斜角度をα、サイドステップ3aの長さをβ、支持フレーム4の傾斜角度をγとした場合、次のような数値を最良の運搬用台車とする。
γは、支持フレーム4にかかる荷物の重量負荷にかかわらず、運搬用台車1が後方に転倒しない極度の角度であって約15°とし、γ=15°の場合のαは約30°として、運搬用台車1の積載部2に荷物を積載する際に底部ステップ3bを踏みやすい位置となるようにしている。しかも、通常の地上載置状態の運搬用台車1の支持フレーム4及び積載部2が15°の角度を保持できるようにサイドステップ3aの長さβを規制している。すなわち、α=約30°、γ=約15°、βはα=約30°及びγ=約15°を保持可能な長さとしている。
このようにすることにより、荷物の積載作業が行いやすい運搬用台車1の後傾姿勢を保持しつつ、荷物の積載作業時の底部ステップ3bの地面固定が確実に行える効果を有する。なお、当然ながら底部ステップ3bは地面と密着する角度となる。
【0038】
図5を用いて、運搬用台車1への荷物としての遊技機の積み降ろしと運搬用台車1の移動を説明する。図5(a)に示すように、作業者Aが足裏でステップ部3の底部ステップ3bを踏むことで、運搬用台車1に荷物を積む際の、運搬用台車1の前後の移動を防ぐことができる。これにより、運搬用台車1を固定した状態で荷物としてのパチンコ遊技機Pなどの遊技機を安全に積むことができる。そして、図5(b)に示すように、パチンコ遊技機Pを積載した運搬用台車1を移動させる場合は、作業者は、ハンドル部9を操作してステップ部3の底部ステップ3bを床面から浮かせるように傾けることで、荷物としての遊技機を積載した運搬用台車1の移動を容易としている。
【0039】
また、運搬用台車1に積載した荷物としてのパチンコ遊技機Pを降ろす場合は、荷物としてのパチンコ遊技機Pを積載する場合と同様に、作業者Aが足裏でステップ部3の底部ステップ3bを踏むことにより、運搬用台車1の前後の移動を防止した状態で荷物としてのパチンコ遊技機Pの降ろし作業を行う。すなわち、本発明の運搬用台車1においては、作業者Aが足裏でステップ部3の底部ステップ3bを踏むことで、運搬用台車1の前後の移動を防ぐことができるので、安全に荷物としてのパチンコ遊技機Pの積み降ろし作業を行うことができる。
【0040】
図4を用いて、本発明における支持フレーム4,4の挿脱について説明する。図4に示すように、後フレーム2dとサイドフレーム2b,2bの結合部近傍には、角筒形状の支持フレーム挿入部2e,2eが設けられている。角筒形状の支持フレーム挿入部2e,2eに、上端部をハンドル部9として結合した二本の角フレームからなる支持フレーム4,4の下端部を挿入し、支持フレーム挿入部2e、2eの前壁より挿貫した二本の止めピン2f,2fにより固定することで、支持フレーム4,4と積載部2とが一体に結合される。すなわち、本発明における角フレームからなる支持フレーム4,4は、積載部2の角筒形状の支持フレーム挿入部2e,2eに挿脱自在としている。これにより、当該運搬用台車1を使用しない場合には、支持フレーム4,4と積載部2とを止めピン2f,2fを抜去して分離することにより、立設状態の支持フレーム4、4を取外して運搬用台車1の収納スペースの占有面積を小さくすることができる。
【0041】
ここで、運搬用台車1への荷物としてのパチスロ遊技機の積載について説明する。図6に示すように、支持フレーム4,4の所定位置には、積載部2に積載されたパチスロ遊技機Sの背面を支持する支持板10を着脱自在とした支持板係止部7,7が設けられている。そして、支持板10の両端に設けられた挿入口10a、10aを支持板係止部7,7に挿入して、切り欠き部7a,7aに嵌め込み固定することで、支持フレーム4,4に支持板10が取り付けられる。
【0042】
荷物としてのパチスロ遊技機Sはパチンコ遊技機Pよりも幅が狭く、支持フレーム4,4によりパチスロ遊技機Sの背面を支持することができない。このため、図5(b)に示すように、ステップ部3の底部ステップ3bを床面から浮かせるように運搬用台車1を作業者側に傾けたときに、支持フレーム4,4の間から荷物としてのパチスロ遊技機Sが遊技者側へ転倒する虞がある。そこで、荷物としてのパチスロ遊技機Sを運搬用台車1に積載する場合は、支持フレーム4,4の支持板係止部7,7に支持板10を取り付けて、当該パチスロ遊技機Sの背面側を支持板10により支持することで、パチスロ遊技機Sの運搬中の作業者側への転倒を防止している。
【0043】
このように、本発明における運搬用台車1は、積載する遊技機(パチンコ遊技機P及びパチスロ遊技機S)の機種に応じて、支持フレーム4,4の支持板係止部7,7への支持板10の着脱を行うことにより、機種の異なる遊技機でも、当該運搬用台車1による運搬を可能としている。
【0044】
図7を用いて、運搬用台車1への荷物としての一例のパチンコ遊技機の積載について説明する。図7に示すように、パチンコ遊技機Pを運搬用台車1に積載する場合は、上述した支持板10は取り付けられない。これは、パチンコ遊技機Pはパチスロ遊技機Sとは異なり、背面側が平面ではなく各種制御基板を内包した裏パックPa(図5参照)などが突出している。このため、パチンコ遊技機Pの背面側は、パチンコ遊技機の外枠P2(図9参照)を支持フレーム4,4により支持して、裏パックPa(図5参照)は支持フレーム4,4の間から作業者側へ突出させている。これにより、図5(b)に示すように、パチンコ遊技機Pを積載した運搬用台車1を移動させる場合に、運搬用台車1に安定してパチンコ遊技機Pを積載できるようにしている。
【0045】
図8を用いて、運搬用台車1への遊技機の機種別(パチンコ遊技機又はパチスロ遊技機)の積載について説明する。図8(a)に示すように、運搬用台車1にパチンコ遊技機Pを積載した場合は、パチンコ遊技機Pの底面は積載部2の積載面2aに載置され、パチンコ遊技機Pの背面(つまり、外枠P2(図9参照))は支持フレーム4,4により支持される。図8(b)に示すように、運搬用台車1にパチスロ遊技機Sを積載した場合は、パチスロ遊技機Sの底面は積載部2の積載面2aに載置され、パチスロ遊技機Sの背面は、積載部2の後フレーム2dと支持フレーム4,4の支持板係止部7,7に取り付けられた支持板10とにより支持される。つまり、本発明における運搬用台車1は、積載する荷物としての遊技機(パチンコ遊技機P又はパチスロ遊技機S)の機種に応じて、当該遊技機の背面を支持する箇所が異なる。このように、積載部2に積載した遊技機の背面を支持する箇所を遊技機の機種の形状に応じて異ならせることにより、積載部2に積載した遊技機を安定して運搬することができる。
【0046】
図9を用いて、運搬用台車1へ積載された荷物としてのパチンコ遊技機Pの遊技機本体P1と外枠P2との分離結合について説明する。図9に示すように、パチンコ遊技機Pは遊技機本体P1と外枠P2とに分離結合可能な構造となっている。パチンコ遊技機Pの遊技機本体P1と外枠P2は、外枠P2の左側端の上下二箇所に設けた結合凹部P3,P3に、遊技機本体P1の左側端の上下二箇所に設けた結合凸部P4,P4を上下方から挿入することにより、結合凹部P3と結合凸部P4とが枢支状態となって結合される。そして、遊技機本体P1の右側端の略中央部には、所定の鍵(図示せず)が設けられており、この鍵を開錠することで、遊技機本体P1は左側端の結合凸部P4,P4を軸として外枠P2に対して開閉自在としている。
【0047】
一般に、パチンコ遊技機Pを遊技場の所定の位置に設置する場合には、(1)まずパチンコ遊技機を遊技機本体P1と外枠P2とに分離する。(2)次に外枠P2を遊技場の所定の位置に固定する。(3)最後に遊技機本体P1と外枠P2とを結合させる。という上記(1)〜(3)の手順で行われる。
【0048】
つまり、パチンコ遊技機Pを遊技場の所定の位置に設置するためには、遊技機本体P1と外枠P2とを分離する必要がある。そのため、遊技機本体P1の右側端の略中央部に設けられている所定の鍵(図示せず)を開錠し、遊技機本体P1を左側端の結合凸部P4,P4を軸として外枠P2に対して開放した状態で、遊技機本体P1を上方に持ち上げて、外枠P2の結合凹部P3,P3と遊技機本体P1の結合凸部P4,P4との結合を解除すればよい。
【0049】
このとき、遊技機本体P1を持ち上げる際に外枠P2も同時に持ち上がってしまい、外枠P2の結合凹部P3,P3と遊技機本体P1の結合凸部P4,P4との結合がうまく解除できない場合がある。そのため、現状の遊技場では、遊技機本体P1を持ち上げる役目の作業員と、外枠P2が同時に持ち上がってしまうことを抑える役目の作業員が必要であり作業員が2人がかりで行わねばならず効率が悪い。
【0050】
このため、本発明の運搬用台車1は、支持フレーム4,4の所定の位置に、積載部2の積載面2aに積載されるパチンコ遊技機Pの外枠P2を押さえる断面L字状の外枠押さえ部8,8をそれぞれ設けている。この支持フレーム4,4への外枠押さえ部8,8の設置位置は、運搬用台車1にパチンコ遊技機Pを積載した場合に、パチンコ遊技機Pの背面を支持する支持フレーム4,4の、パチンコ遊技機Pの上端面に所定の間隔(例えば、5mm上方)をおいて設置されている。これにより、パチンコ遊技機Pを運搬用台車1に積載した状態で、遊技機本体P1と外枠P2との分離作業を行う場合に、遊技機本体P1を持ち上げても、外枠P2は外枠押さえ部により上部への動きが規制されるため、遊技機本体P1と外枠P2とを容易に分離することができる。
【0051】
このようにして、遊技機本体P1と外枠P2とに分離されたパチンコ遊技機Pは、外枠P2が遊技場の遊技機の設置位置に取り付けられて固定され、分離した遊技機本体P1と外枠P2とを再結合させることにより、パチンコ遊技機Pの取付が完了する。
【0052】
また、上述してきた運搬用台車1を構成する要素(例えば、積載部2、ステップ部3、支持フレーム4,4、ハンドル部9など)は、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属を素材として用いることができる。また、各構成要素の結合は、溶接及びビス止めなどにより適宜結合されて形成されている。
【0053】
上述してきた運搬用台車1によれば、遊技場に設置される遊技機(パチンコ遊技機P及びパチスロ遊技機S)の機種のように、多種形状、構造の荷物の種類に応じて、荷物を安全に運搬することができ、荷物の運搬設置の作業効率を高めることが可能となる。
【0054】
以上、実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれるものである。特に、積載する荷物としては、必ずしも遊技機に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 運搬用台車
2 積載部
2a 積載面
2b サイドフレーム
2c 前フレーム
2d 後フレーム
3 ステップ部
3a サイドステップ
3b ステップ底部
4 支持フレーム
5R キャスター
5L キャスター
7 支持板係止部
8 外枠押さえ部
9 ハンドル部
10 支持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を積載する長方形の平面を有する積載部と、
前記積載部の長辺の一端側の下部に設けられた二個のキャスターと、
前記積載部の長辺の一端側に立設された支持フレームと、
前記支持フレームの上部に設けられた手押し用のハンドル部と、
を備えた運搬用台車において、
前記積載部の長辺の他端側の下部にステップ部を設けたことを特徴とする運搬用台車。
【請求項2】
前記支持フレームに支持板係止部を設け、この支持板係止部に、前記積載部に積載された荷物の背面を支持する支持板を着脱自在に取付けたことを特徴とする請求項1に記載の運搬用台車。
【請求項3】
前記支持フレームに、前記積載部に積載される前記荷物の外枠を押さえる外枠押さえ部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の運搬用台車。
【請求項4】
前記積載部の長辺の一端側の下部に支持フレーム挿入部を設け、当該支持フレーム挿入部に、前記支持フレームを挿脱自在に取付けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の運搬用台車。
【請求項5】
前記荷物はパチンコ遊技機又はパチスロ遊技機であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の運搬用台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−210886(P2012−210886A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78180(P2011−78180)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(599013636)有限会社原企画 (1)
【Fターム(参考)】