説明

運搬用車両

【課題】 荷台毎の台車を必要とせず、不使用の荷台は台車がないことから、場所をとらずに容易に保管でき、経済的にも好適な多種物品運搬用の運搬車両セットを提供する。
【解決手段】 レールR上を走行する台車Aaと、互いに異なる、砕石等の運搬物品を積載する複数個の荷台Ab,Ab´とから成り、各荷台Ab,Ab´には互いに同じ構造の組付け手段Cの構成材を装置する。そして、前記台車Aaと、該台車Aa上に前記複数個の荷台の中から選択して載置した荷台Abを前記組付け手段Cで分離自在に組付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道レールに沿ってレールや砕石或いは線路の補修に必要な工具その他の物品を運搬するために用いる運搬用車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、台車上に砕石収容用の箱枠状の荷台を載置して該台車に一体的に組付けて構成した構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】平成2年実用新案公開第132704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来構造の運搬車両は、荷台を傾斜させて、運んできた砕石を現場でダンプする(投げ出す)ようにしたものであるが、専ら砕石運搬用に限られる構造形態を備え、他の物品、例えば、レールの運搬には不適当であるので、レール用としてのものを必要とするときはその運搬車両を別途用意する必要があり、該レール用の運搬車も、レール載置用の荷台を台車上に載置した構造を採るため、前記砕石用運搬車両とは別車両のレール用運搬車両として用意、保管しなければならず、車両として保管するには、レールを敷設した保管場所を必要とし、その場所の確保は必ずしも経済的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
軌道上を走行する台車に、該台車上に載せた、砕石等の運搬物品を積載する荷台を、組付け手段で分離自在に組付けた構成とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1発明によれば、単一な台車に対し、積載物品を互いに異にする、複数個の荷台を用意することにより所望に応じ種々の運搬用車両を得ることができ、荷台は台車と別個保管すれば良いから、レールを敷設してあるという広い保管場所を必要としないから経済的である。
【0007】
請求項2発明によれば、所望の荷台を台車と組合わせて該荷台に対応した特定物品運搬用の運搬用車両を得られ、しかも、台車に対して荷台を選択的に組付けて運搬用車両とするものであるから、荷台毎の台車を必要とせず、不使用の荷台は壁等に立て掛ければ足りるから、場所もとらず、保管上経済的な多種物品運搬用の運搬用車両セットを提供できる。
【0008】
また、請求項3発明によれば、台車と荷台を確実に組付け、該組付け状態を保持した運搬用車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】運搬用車両の側面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】台車の一部欠截平面図。
【図4】図2の一部欠截拡大図。
【図5】図4の一部欠截平面図。
【図6】組付け手順を示す分解図。
【図7】他実施例の運搬用車両の正面図。
【実施例】
【0010】
本発明に係る運搬車両Aは、運搬物品に対応して用意した種々の荷台Ab,Ab´(Abは砕石用荷台、Ab´はレール用荷台を示すが、その他物品の専用の荷台を用意して)から適宜のものを選択して、台車Aa上に載置し、選択(載置)した荷台Ab又はAb´を台車Aaに組付け手段Cで分離(着脱)自在に組付けて構成するものである。
【0011】
組付け手段Cは、運搬車両A,A´の前後それぞれ2個所に装置し、この組付け手段Cによって台車Aa上に載置した荷台Ab又はAb´は台車Aaに一体的に組付けられる。
【0012】
図中、1,1´は、組付け手段Cの内外一対の縦基板で、内外の縦基板1,1´は、荷台Abに吊設した接続片3の係合間隙4を存して台車Aaの車体2の前面2´と後面2´´のそれぞれに並べて突設して前記組付け手段Cを構成する。
【0013】
縦基板1,1´は、上下方向の中央部に互いに一致する係合切欠5,5´を備え、該係合切欠5,5´と略同幅にして前記接続片3に設けた切欠6を通じて組付け片7を係離自在に係合させるようにしてある。
【0014】
組付け片7は、前記内側縦基板1の外面下部と前記前面2´又は後面2´´間に介在させて横設した支持部片8に立設した支軸9に基部において外嵌し、支軸9に外嵌して前記支持部片8上に載置したカラー10に支軸9を軸として回動自在にして受支され、その上側に支軸9に外嵌して配したスペーサ11(ボルト12の頭部やナット13が組付け片7に接触して組付け片7の損傷を防ぐ)を介して横設したボルト12とこれに螺合したナット13によって抜けないようにして支軸9に基部において回動自在に組付けてある。
【0015】
また、組付け片7は、先端側の自由端部にリング状の摘み部片7aを備え、前記係合切欠5,5´および切欠6に係合させて内側装置基板1側から外側装置基板1´側に支軸9を軸として回動させて渡したとき、該摘み部片7a部が、外側装置基板1´の外面側に配した上下一対の支持部片14,14´間より外方に突出する長さを備えている。
【0016】
前記外側縦基板1´の外面側に設けた前記上下の支持部片14,14´は互いに一致する透孔15,15´を備え、該透孔15,15´に貫通させて前記組付け片7の、支軸9を軸とする回動を規制する規制杆16には鍔部片16aを設けて、透孔15,15´に貫通させて上下の支持部片14,14´に組合わせたとき、これを上支持部片14に受支させ、組付け片7の規制杆16による規制状態が保持されるようにしてある。
【0017】
なお、台車Aaは、車体2を前後(前進方向を前、後退方向を後とするだけで、図示のものは前後の区別はない)一対の車輪18,18で受支させて構成し、図示の場合は、平坦な上面に砕石(バラスト)運搬用の荷台Ab又はレール運搬用の荷台Ab´を選択して載置し(クレーンを用いることになる)、該載置時に、該荷台Ab又はAb´側の、長手方向の両端面に基部(上端部)を固定して各一対吊設した前記各接続片3を、台車Aa側に設けた、対応する縦基板1,1´間の係合間隙4内に係合し、次いで、各(都合4個所の)組付け片7(組付け手段Cの構成材である)を、支軸9を中心に回動させて縦基板1,1´の係合切欠5,5´と接続片3の切欠6に係合させ、透孔15,15´に貫通させるようにして規制杆16を、組付け片7の外側に存するように上下の支持部片14,14´に渡すようにして組付けることにより前記荷台Ab,Ab´を選択的にして台車Aaに組付けた破砕用運搬車両A又はレール用運搬車両A´を得られるのである。
【符号の説明】
【0018】
Aa 台車
Ab,Ab´ 荷台
C 組付け手段
R レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を走行する台車に、該台車上に載せた、砕石等の運搬物品を積載する荷台を、組付け手段で分離自在に組付けた、運搬用車両。
【請求項2】
軌道上を走行する台車と、互いに異なる、砕石等の運搬物品を積載する複数個の荷台とから成り、各荷台には互いに同じ構造の組付け手段の構成材を装置すると共に、前記台車と、該台車上に前記複数個の荷台の中から選択して載置した荷台を前記組付け手段で分離自在に組付けた、運搬用車両。
【請求項3】
組付け手段を、台車に縦軸回動自在にして設けた施錠片と、該荷台に吊設し、しかも、前記施錠片が係離する切欠を備えた接続片および接続片の前記切欠に前記施錠片を係合させたとき、該施錠片の回動を規制する規制手段とで構成した、請求項1又は2記載の運搬用車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−254114(P2010−254114A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106153(P2009−106153)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(391030125)保線機器整備株式会社 (39)
【Fターム(参考)】