説明

運搬装置

【課題】平地搬送と階段昇降の両方を安定して軽い負担で行うことができるキャリーバッグ装置等の運搬装置。
【解決手段】キャリーバッグ装置は、キャリーバッグ10とクローラ20とを備えている。キャリーバッグ10は、バッグ本体11と、その下端に設けられたキャスタ12と、その上端に設けられた取手13とを有している。クローラ20は、連結手段30により平地走行時の第1位置と階段昇降時の第2位置でバッグ本体11に連結される。クローラ20は、上記第1位置でバッグ本体11に添い、バッグ本体11が起立している時には、キャスタ12の下端よりも上方に位置している。これにより、キャスタ12を介して平地搬送を行うことができる。クローラ20が上記第2位置にある時には、その中間部がバッグ本体11の下端部に連結されるとともにバッグ本体11に対して傾き、当該連結箇所から斜め上方と斜め下方に延び、階段200の段鼻200aに乗る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅行等の際に用いられるキャリーバッグ装置等の運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のキャリーバッグ(運搬具)は、バッグ本体の下端にキャスタ(車輪)を設け上端に取手を設けており、使用者は取手を持ちながらキャリーバッグを起立させた状態または傾斜させた状態で運ぶようになっている。この際、キャスタが路面を走行するため、使用者はキャリーバッグの荷重を担わずに済む。
【0003】
しかし、階段の昇り降りの際には、使用者はキャリーバッグを持ち上げて運ばなければならず、負担が大きかった。そこで、従来種々の提案がなされている。
【0004】
特許文献1は、電動モータ付きのクローラを装着したキャリーバッグを提案している。このキャリーバッグでは、クローラが階段の段鼻に乗ることにより、階段の昇降を楽にすることができる。
【0005】
また、特許文献2では、バッグを載せるキャリーカートを開示している。このキャリーカートは、下端部に車輪を設けるとともに、クローラを回動可能に連結している。平地走行の際には、クローラをキャリーカートに添わせた姿勢にして、車輪が路面を走行するようにし、階段昇降の際には、クローラを傾斜させ、階段の段鼻に乗せるようにしている。
【特許文献1】特表2001−513729号公報
【特許文献2】実用新案登録3109277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のキャリーバッグでは、クローラのキャリーバッグに対する姿勢が変化しないので、階段昇降の際にはキャリーバッグを大きく傾けなければならず、また平地走行の際にもクローラを用いなければならないので、不便であった。
【0007】
また、特許文献2では、階段昇降の際にはクローラを傾斜させることができるので、キャリーカートを大きく傾けずに済む。しかし、この構成では、階段昇降の際にキャリーカートおよびこのキャリーカートに載せられたバッグ等の荷重がクローラの下端部に付与されるため、安定性が悪かった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、運搬装置において、(ア)運搬具本体と、その下端に設けられた車輪と、その上端に設けられた取手とを有する運搬具と、
(イ)一方向に直線的に延びる走行具と、(ウ)上記走行具を第1位置と第2位置で運搬具本体に連結する連結手段と、を備え、上記走行具は、上記第1位置で上記運搬具本体に添い、この第1位置で上記運搬具本体が起立している時には、上記車輪の下端よりも上方に位置し、上記走行具は、上記第2位置で、その中間部が上記運搬具本体の下端部に連結され、上記運搬具本体に対して傾き当該連結箇所から斜め上方に延びるとともに斜め下方に延びる所定姿勢に保持されるか、当該所定姿勢を取り得ることを特徴とする。
上記構成によれば、平地走行の際には走行具を第1位置にして運搬具本体に添わせることにより、車輪を用いて走行させることができる。階段昇降の際には走行具を第2位置にして傾かせ、この走行具を階段の段鼻に載せながら搬送することができるので運搬具を持たずに済み、使用者の負担を軽減できる。しかも、この走行具は連結箇所から斜め上方および斜め下方の両方に延びるため、安定した階段昇降を行うことができる。
【0009】
好ましくは、上記連結手段は、上記第2位置の走行具を、2点支持により上記所定姿勢で保持する。
これによれば、走行具が運搬具に対して安定して連結される。
【0010】
好ましくは、上記運搬具本体は、その下端部またはその近傍に設けられた下側連結部と、その上方に離れて設けられた上側連結部と、下側連結部の斜め下方に配置された第1係合部とを有し、上記走行具は、上記運搬具の上下連結部のいずれかに選択的に着脱可能に連結される第2係合部と、走行具の長手方向に直線的に延びるガイド部とを有し、上記走行具のガイド部に上記運搬具の第1係合部がスライド可能に係合し、上記第2係合部は、走行具が上記第1位置にある時に上側の連結部に係合し、第2位置にある時に下側の連結部に係合する。
この構成によれば、走行具のガイド部とこのガイド部に係合される運搬具の第1係合部の組み合わせ、および運搬具の上下の連結部とこれらに着脱可能に連結される走行具の第2係合部の組み合わせにより、簡単な操作で第1位置と第2位置の切替を行うことができる。
【0011】
好ましくは、上記走行具のガイド部が細長いガイド孔からなり、上記運搬具の第1係合部がこのガイド孔に挿入される。
この構成によれば、構成を簡略化することができる。
【0012】
好ましくは、上記走行具が一対装備されて運搬具本体の左右に配置され、上記運搬具の上下の連結部が、断面C字形をなして弾性変形可能であるとともに、運搬具本体において階段の昇り方向を向く面に配置され、上記一対の走行具間には、断面円形のシャフトが掛け渡されており、このシャフトが上記第2係合部として提供される。
この構成によれば、着脱作業が容易となり、構成も簡単である。
【0013】
好ましくは、上記一対の走行具は、その第1位置において、上記運搬具本体の左右側面に沿って配置されるとともに、この運搬具本体の上記昇り方向を向く面から突出するとともに、運搬具本体の下端から突出している。
この構成によれば、路面に段差や凹凸がある場合に、走行具を第1位置にしたままでも、運搬具本体を走行具側に傾けることにより、走行具が段差や凹凸を乗り上げることができる。
【0014】
好ましくは、上記走行具が第2位置にある時に、上記車輪は走行具の下側面より上方に位置している。
この構成によれば、階段昇降の際に車輪が段鼻に当たらなくなるので、昇降を円滑に行うことができる。
【0015】
好ましくは、上記走行具がクローラであり、細長く延びる左右一対の側板と、この側板の両端部に設けられたスプロケットホイールと、これらスプロケットホイールに掛け渡されたエンドレスベルトとを有し、上記側板に上記ガイド部が設けられている。
この構成によれば、クローラを用いるので階段昇降をより一層円滑に行うことができる。また、ガイド部を簡単に形成することができる。
【0016】
好ましくは、上記クローラの少なくとも一方のスプロケットホイールが逆入力遮断クラッチを介して電動モータに連結され、このクラッチは電動モータからスプロケットホイールへの回転トルクの伝達を行い、スプロケットホイールから電動モータへの回転トルクへの伝達を遮断する。
この構成によれば、階段昇降の際に電動モータを駆動させることにより使用者の負担を著しく軽減できる。また、逆入力遮断クラッチを用いるので、電動モータを駆動させない場合には、電動モータが抵抗にならずに済む。
【0017】
好ましくは、上記運搬具がキャリーバッグであり、上記運搬具本体がバッグ本体であり、上記走行具は、上記第2位置にある時、キャリーバッグ本体において階段の昇り方向を向く面と降り方向を向く面の両方から突出している。
この構成によれば、階段昇降時に走行具によりキャリーバッグ本体を安定して支持できる。
【0018】
好ましくは、上記走行具が階段の段鼻間の距離の2倍以上の長さを有している。この構成によれば、階段昇降時に走行具は常に2つの段鼻に乗っているので、キャリーバッグをより安定して昇降させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の運搬装置によれば、平地搬送と階段昇降の両方を安定して軽い負担で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施形態をなすキャリーバッグ装置(運搬装置)を、図面を参照しながら説明する。図1〜3に示すように、キャリーバッグ装置は、キャリーバッグ10(運搬具)と、このバッグ10に装着された左右一対のクローラ20(走行具)とを備えている。
【0021】
上記キャリーバッグ10は、剛性を有するバッグ本体11(運搬具本体)と、このバッグ本体11の下端に設けられた4個(複数)のキャスタ12(車輪)と、上端に設けられた取手13(図1、図5にのみ示す)とを有している。
【0022】
上記バッグ本体11は、全体が縦長の扁平な直方体からなり、深い本体部分11aと浅い本体部分11bとを左右一方の側縁においてヒンジ(図示しない)で結合し、他方の側縁においてクランプ11c(図1にのみ示す)で止めることにより、開閉可能となっている。
【0023】
以下の説明では、上記バッグ本体11において、右方向(図1)を向く広い面11xを背面と称し、左方向を向く広い面11yを正面と称し、これら面11x、11yの両側縁間に位置する細長い面を左右の側面11zと称する。
【0024】
上記本体部分11aは上記背面11x側に位置し、本体部分11bは上記正面11y側に位置し、上記ヒンジとクランプ11cは、左右側面11zに位置する。
上記キャスタ12は、本体部分11a,11bの下面にそれぞれ2個ずつ設けられ、取手13は本体部分11aに設けられている。
【0025】
上記左右のクローラ20は、直線的に細長く延びており、その長さは、バッグ本体10の縦寸法(上下方向の寸法)より長く、後述する階段200の段鼻200a間の距離Lの2倍以上の長さを有している。図5参照。
【0026】
上記クローラ20は図8に最も良く示すように、細長い一対の側板21と、これら側板21の両端部に回転可能に支持されたスプロケットホイール22と、これらスプロケットホイール22に掛け渡されるとともに噛み合うエンドレスベルト23とを基本構成として備えている。
【0027】
上記エンドレスベルト23は、ゴム製のベルト本体23aの内側に微小肉厚のスティールベルトを一体に装着し、外側に周方向に間隔をおいて多数の接地ラグ23bを形成することにより軽量に構成されている。なお、図8では、図を簡略化するために、接地ラグ23bをその外接線で示すに留める。接地ラグ23bは、剛性の高い接地ラグと剛性が低く周方向に折り曲げ可能な接地ラグを交互に配置して構成するのが好ましい。
【0028】
上記一対の側板21の直線をなす縁間には、ローラ24が間隔をおいて回転可能に取り付けられており、これにより、エンドレスベルト23を内側から支持している。
【0029】
図2に最も良く示すように、各クローラ21の一方のスプロケットホイール22は、電動モータ25によって駆動されるようになっている。この電動モータ25は、内側の側板21に固定され、逆入力遮断クラッチ26を介してスプロケットホイール22に連結されている。
【0030】
上記逆入力遮断クラッチ26は、モータ25からスプロケットホイール22へのトルク伝達を行うが、スプロケットホイール22からモータ25へのトルク伝達を遮断する。そのため、モータ25の非駆動状態において、モータ25がクローラ21走行の負荷にならない。
【0031】
上記左右のクローラ20間には、断面円形のパイプからなるシャフト27(第2係合部)と、板材からなるフレーム28が、クローラ20と直交して掛け渡され、これにより井桁形状のクローラ組立体Aが構成されている。これらシャフト27およびフレーム28の両端は、左右のクローラ20の内側の側板21に固定されている。
【0032】
上記シャフト27はクローラ20の一端から所定距離(クローラ20の全長の約1/4程度)だけ離れて配置され、上記フレーム28はクローラ20の他端近傍に配置されている。
【0033】
上記シャフト27とフレーム28は、バッグ本体11の左右方向の横幅より若干長く、これによりクローラ20は、バッグ本体11の両側面11zの外側にこれら側面11zから若干の間隔をおいて配置されている。
【0034】
各クローラ20の内側の側板21には、その長手方向に直線的に延びるガイド孔29(ガイド部)が、上記シャフト27とフレーム28との間に形成されている。
上記ガイド孔29の一方の端部29aは上記シャフト27近傍に位置しており、他方の端部29bは上記フレーム28の近傍に位置している。
【0035】
次に、上記クローラ20をキャリーバッグ10に連結する機構30について説明する。この連結手段30は、上記バッグ本体11の背面11xの上部に固定された左右一対の把持具31(上側連結部)と、背面11xの下部に固定された左右一対の把持具32(下側連結部)とを有している。これら把持具31,32は弾性変形可能な硬質樹脂からなり、断面C字形状をなしてバッグ本体11の反対側が開口している。
【0036】
後述するように、上記把持具31,32には上記クローラ組立体Aのシャフト27が選択的かつ着脱可能に嵌め込まれるようになっている。このシャフト27も連結手段30の一部として提供される。
【0037】
さらに連結手段30は、左右一対の断面円径をなすスライダ35(第1係合部)を有している。このスライダ35は、下側の把持具32の斜め下方に位置している。
詳述すると、上記バッグ本体11の本体部分11aの下端部には、背面11xと側面11zとの交差部において、L字形のブラケット36が固定されており、このブラケット36の円筒部36aに、上記スライダ35が挿入固定され、側面11zと直交して側面11zから突出している。
【0038】
上記スライダ35は、図8、図9に示すように上記クローラ20のガイド孔29に挿入され、このガイド孔29に沿ってスライド可能である。このガイド孔29も上記連結手段30の一部として提供される。
【0039】
図9に示すように、スライダ35の先端面にはスライダ35より大径をなす円盤形状の支持板37が固定されており、この支持板37とブラケット36の円筒部36aの先端面との間で側板21を挟むことにより、スライダ35と側板21を安定して連結するようになっている。
【0040】
上記構成をなすキャリーバッグ装置の作用を説明する。最初に、図1〜図3に示す平地搬送の場合について説明する。平地搬送では、シャフト27は上側の把持具31に嵌めこまれており、上記スライダ35はガイド孔29の端部29bに位置している。これにより、クローラ20は、バッグ本体11の側面に沿った第1位置で支持されている。
【0041】
クローラ20が上記第1位置にある時、図1に示すようにクローラ20はバッグ本体11の背面11xから突出している。
また、クローラ20が上記第1位置にある時、その下端は、バッグ本体11の下端より突出しているが、キャスタ12の下端より上方に位置している。
【0042】
使用者は、図1、図2に示すようにキャリーバッグ10を直立させ、上記クローラ20を第1位置にした状態で、取手13を持ってキャリーバッグ10を搬送することができる。この場合、4つのキャスタ12だけが路面100上を走行する。
【0043】
上記搬送状態で、キャリーバッグ10の荷重はキャスタ12を介して平坦な路面100で受け止められる。クローラ20の荷重はシャフト27および把持具31を介してキャリーバッグ10で受け止められる。
【0044】
キャスタ12は垂直軸を中心にして360°回転可能であるので、キャリーバッグ10を背面11xおよび正面11yと平行に(すなわち図1の紙面と直交する方向に)搬送可能であり、これら面11x、11yと直交する方向にも搬送可能である。
【0045】
使用者は、キャリーバッグ10を図1において左側に傾かせて路面100上を搬送することもできる。この場合、本体部分11bに設けられた2つのキャスタ12だけが路面100上を走行しキャリーバッグ10の荷重を負担する。
【0046】
図4に示すように路面100に段差150がある場合には、キャリーバッグ10を、背面11x側を下にして傾かせることにより、乗り越えることができる。この場合、クローラ20が路面100に乗り、キャスタ12は路面100から浮く。クローラ20のエンドレスベルト23が段差150に当たって回転することにより、段差150を乗り越えることができる。
【0047】
図5に示すように階段200を昇降する際には、クローラ20は図5〜図7に示す第2位置で支持される。第1位置から第2位置の変更は、上記シャフト27を上側の把持具31から引き抜き、クローラ組立体Aをキャリーバッグ10に対して下方に移動させるとともに傾斜させ、シャフト27を下側の把持具32に押し込むことにより、実行される。
【0048】
上記姿勢変更の際、キャリーバッグ10側のスライダ35がクローラ20側のガイド孔29をスライドして端部29aに至る。
【0049】
図5に示すように、バッグ本体11の背面11xを階段200の昇り方向に向け、上記クローラ20を上記第2位置に傾斜させキャリーバッグ10を直立させた状態で、電動モータ25を正回転させることにより、キャリーバッグ装置は階段200を昇ることができる。階段200を降りる際には、図5と同じ姿勢で電動モータ25を逆回転させればよい。
【0050】
電動モータ25を非駆動状態にしたままで、階段200の昇降を行っても良い。この場合、逆入力遮断クラッチ26の作用により、クローラ20には電動モータ25の抵抗が加わらない。
【0051】
図5に示すように、キャスタ12の下端はクローラ20のエンドレスベルト23の下側面より上方に位置しているので、段鼻200aに当たらず、階段昇降の安定性を損なわない。
【0052】
上記クローラ20は、階段200の段鼻200a間の距離Lの2倍以上の長さを有しているので、2つ以上の段鼻200aを乗りながら、安定して階段200を昇降することができる。
【0053】
昇降の安定性について、より詳細に説明する。図5に示すように、クローラ20はその中間部でバッグ本体11の下端部に連結されており、この連結箇所から斜め上方に延びる部分20Uと斜め下方に延びる部分20Dとを有している。しかもこれら上側部分20Uはバッグ本体11の背面11x(階段の際の昇り方向を向く面)から突出し、下側部分20Dはバッグ本体11の正面11y(階段の降り方向を向く面)から突出しており、これらが段鼻200aに乗って、その間に位置するバッグ本体11およびその収容物の荷重を担うので、安定した姿勢を維持できる。
【0054】
本実施形態では、エンドレスベルト23の下側面においてキャリーバッグ10の重心Gの真下の点Pからの斜め上端までの長さ(より好ましくは直線部の長さ)と、点Pから斜め下端までの長さ(より好ましくは直線部の長さ)が、段鼻200a間の距離L以上になっている。これにより、キャリーバッグ10の重心Pは、エンドレスベルト23が乗っている2つの段鼻200a間に常に位置するため、より安定性が高まる。
【0055】
本発明は上記実施形態に制約されず種々の形態を採用可能である。
クローラ20(走行具)は、第2位置において、キャリーバッグ10(運搬具)の下端部に1点において回動可能に連結されるようにしてもよい。例えばクローラ20の側板21において、ガイド孔29の端部29aの位置にチャック部材を設ける。クローラ20が第2位置にある時、キャリーバッグ10のスライダ35がガイド孔29の端部29aに位置し、上記チャック部材で回動可能に把持される。これにより、上述した実施形態と同様に、図5の姿勢を取ることができる。この実施例では、階段の傾度の相違にも柔軟に対応することができる。
【0056】
電動モータ25は省略してもよい。
また、階段昇降時に図5に示すようにキャリーバッグ10を直立させる代わりに、バッグ本体11を背面11xが下向きになるように傾斜するよう設計してもよい。
運搬具はバッグを載せるキャリーカートであってもよい。また、走行具はそりであってもよい。この場合、階段を昇降する場合にはこのそりが階段の段鼻に乗って滑る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態をなすキャリーバッグ装置を、クローラが第1位置にあり平地走行している状態で示す縦断面図である。
【図2】上記クローラが第1位置にある時の上記キャリーバッグ装置の背面図である。
【図3】上記クローラが第1位置にある時の上記キャリーバッグ装置の平面図である。
【図4】上記クローラが第1位置にあり段差を乗り越える時の上記キャリーバッグ装置の縦断面図である。
【図5】上記クローラが第2位置にあり階段を昇降する時の上記キャリーバッグ装置を示す縦断面図である。
【図6】上記クローラが第2位置にある時の上記キャリーバッグ装置の背面図である。
【図7】上記クローラが第2位置にある時の上記キャリーバッグ装置の平面図である。
【図8】同クローラを内側から見た側面図である。
【図9】同クローラの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 キャリーバッグ(運搬具)
11 バッグ本体(運搬具本体)
12 キャスタ(車輪)
13 取手
20 クローラ(走行具)
21 側板
22 スプロケットホイール
23 エンドレスベルト
25 電動モータ
26 逆入力遮断クラッチ
27 シャフト(第2係合部)
29 ガイド孔(ガイド部)
30 連結手段
31 把持具(上側連結部)
32 把持具(下側連結部)
35 スライダ(第1係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(ア)運搬具本体と、その下端に設けられた車輪と、その上端に設けられた取手とを有する運搬具と、
(イ)一方向に直線的に延びる走行具と、
(ウ)上記走行具を第1位置と第2位置で運搬具本体に連結する連結手段と、
を備え、
上記走行具は、上記第1位置で上記運搬具本体に添い、この第1位置で上記運搬具本体が起立している時には、上記車輪の下端よりも上方に位置し、
上記走行具は、上記第2位置で、その中間部が上記運搬具本体の下端部に連結され、上記運搬具本体に対して傾き当該連結箇所から斜め上方に延びるとともに斜め下方に延びる所定姿勢に保持されるか、当該所定姿勢を取り得ることを特徴とする運搬装置。
【請求項2】
上記連結手段は、上記第2位置の走行具を、2点支持により上記所定姿勢で保持することを特徴とする請求項1に記載の運搬装置。
【請求項3】
上記運搬具本体は、その下端部またはその近傍に設けられた下側連結部と、その上方に離れて設けられた上側連結部と、下側連結部の斜め下方に配置された第1係合部とを有し、
上記走行具は、上記運搬具の上下連結部のいずれかに選択的に着脱可能に連結される第2係合部と、走行具の長手方向に直線的に延びるガイド部とを有し、
上記走行具のガイド部に上記運搬具の第1係合部がスライド可能に係合し、
上記第2係合部は、走行具が上記第1位置にある時に上側の連結部に係合し、第2位置にある時に下側の連結部に係合することを特徴とする請求項2に記載の運搬装置。
【請求項4】
上記走行具のガイド部が細長いガイド孔からなり、上記運搬具の第1係合部がこのガイド孔に挿入されることを特徴とする請求項3に記載の運搬装置。
【請求項5】
上記走行具がクローラであり、細長く延びる左右一対の側板と、この側板の両端部に設けられたスプロケットホイールと、これらスプロケットホイールに掛け渡されたエンドレスベルトとを有し、上記側板に上記ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の運搬装置。
【請求項6】
上記クローラの少なくとも一方のスプロケットホイールが逆入力遮断クラッチを介して電動モータに連結され、このクラッチは電動モータからスプロケットホイールへの回転トルクの伝達を行い、スプロケットホイールから電動モータへの回転トルクへの伝達を遮断することを特徴とする請求項5に記載の運搬装置。
【請求項7】
上記運搬具がキャリーバッグであり、上記運搬具本体がバッグ本体であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の運搬装置。
【請求項8】
上記走行具が階段の段鼻間の距離の2倍以上の長さを有していることを特徴とする請求項7に記載の運搬装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−126429(P2009−126429A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305210(P2007−305210)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】