説明

運行料金計算方法、運行料金計算装置、運行料金計算システム、プログラムおよび記録媒体。

【課題】運行料金の根拠が明確な領収書を発行できるようにする。
【解決手段】運行料金計算装置は、起点から終点までの車両の運行についての料金を計算し、領収金額に対しての領収書を印刷装置により印刷させる。このために、第2記憶装置19と、起点、終点、起点から終点までの運行経路中の経由箇所を位置検出システムにて検出された車両の位置から特定し、起点情報、終点情報、経由箇所を示す経路情報を第2記憶装置19に記憶させる運行情報設定部201と、領収金額に加えて、第2記憶装置19に記憶されている起点情報、終点情報、経路情報を含む領収書を印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する印刷情報生成部205とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運賃を伴う車両の運行に対して領収書を発行するための印刷情報を生成する運行料金計算方法、運行料金計算装置、運行料金計算システム、プログラムおよび記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば陸運における交通手段として、電車、バスおよびタクシー等が存在する。電車およびバスでは、予め定められた区間を規定の料金にて運行する。一方、タクシーは、乗客が指定した不特定の区間を運行する。この場合、タクシーの利用料金は、通常、乗車点(起点)から降車点(終点)までの走行距離、所要時間および運行時刻等により決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−30819号公報(平成8年2月2日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タクシーは、運行形態の点において、乗客が指定した不特定の区間を運行することから、乗客にとって利便性の高い交通手段である。その反面、料金形態の点において、通常、決まった料金が存在しないことから、同じ区間を利用した場合にも、所要時間や運行時刻が異なれば、利用料金が変化する。すなわち、タクシーでは、利用料金が走行距離、所要時間および運行時刻等により決定されることから、実際に運行してみなければ利用料金が確定しないなど、乗客にとって利用料金が分かり難いものとなっている。このため、タクシーに備えられている従来の課金装置は、乗客に対して課金の正当性を証明するものを提示できていないのが現状ある。
【0005】
ここで、特許文献1には、車載用ナビゲーションシステムとタクシーなどの料金表示機構とを組み合わせた構成の実走行記録方法が開示されている。この方法では、料金起算の略起点の地名と料金精算の略終点の地名、料金、実走行距離数、時間、全体あるいは特定の経路など、必要な事項を全て含んだ状態にて、あるいは必要な事項を個別の状態にて印刷可能となっている。したがって、特許文献1に記載の発明においても、乗客に対して課金の正当性を証明するものを明確に提示できない状態である。
【0006】
したがって、本発明は、運行料金の根拠が明確な領収書を発行することができる運行料金計算方法、運行料金計算装置、運行料金計算システム、プログラムおよび記録媒体の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の運行料金計算装置は、起点から、指定された終点までの車両の運行についての料金を計算し、領収金額に対しての領収書を印刷装置により印刷させる運行料金計算装置において、記憶装置と、車両の地図上の位置を検出する位置検出システムと通信し、前記起点、前記終点、および前記起点から前記終点までの運行経路中における経由箇所を、前記位置検出システムにて検出された前記車両の位置から特定し、前記起点を示す起点情報、前記終点を示す終点情報および前記経由箇所を示す経路情報を運行情報として前記記憶装置に記憶させる運行情報設定部と、前記領収金額に加えて、前記記憶装置に記憶されている前記起点情報、前記終点情報および前記経路情報を含む領収書を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する印刷情報生成部とを備えていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、運行情報設定部は、車両の地図上の位置を検出する位置検出システムと通信し、車両の運行における起点、終点、および起点から終点までの運行経路中における経由箇所を、位置検出システムにて検出された車両の位置から特定し、起点を示す起点情報、終点を示す終点情報および経由箇所を示す経路情報を運行情報として前記記憶装置に記憶させる。印刷情報生成部は、領収金額に加えて、記憶装置に記憶されている起点情報、終点情報および経路情報を含む領収書を印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する。
【0009】
これにより、起点から終点までの間の運行経路情報を付加した、運行料金の根拠が明確な領収書を発行することができる。
【0010】
本発明の運行料金計算方法は、起点から、指定された終点までの車両の運行についての料金を計算し、領収金額に対しての領収書を印刷装置により印刷させる運行料金計算装置において、車両の地図上の位置を検出する位置検出システムと通信し、前記起点、前記終点、および前記起点から前記終点までの運行経路中における経由箇所を、前記位置検出システムにて検出された前記車両の位置から特定し、前記起点を示す起点情報、前記終点を示す終点情報および前記経由箇所を示す経路情報を運行情報として記憶装置に記憶させる運行情報設定工程と、前記領収金額に加えて、前記記憶装置に記憶されている前記起点情報、前記終点情報および前記経路情報を含む領収書を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する印刷情報生成工程とを備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、運行情報設定では、車両の地図上の位置を検出する位置検出システムと通信し、車両の運行における起点、終点、および起点から終点までの運行経路中における経由箇所を、位置検出システムにて検出された車両の位置から特定し、起点を示す起点情報、終点を示す終点情報および経由箇所を示す経路情報を運行情報として前記記憶装置に記憶させる。印刷情報生成部では、領収金額に加えて、記憶装置に記憶されている起点情報、終点情報および経路情報を含む領収書を印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する。
【0012】
これにより、起点から終点までの間の運行経路情報を付加した、運行料金の根拠が明確な領収書を発行することができる。
【0013】
上記の運行料金計算装置において、前記経路情報は、前記経由箇所を通過したときの時刻を含んでいる構成としてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、印刷情報生成部にて形成される印刷情報において、経路情報は経由箇所を通過したときの時刻を含んでいるので、さらに運行料金の根拠が明確な領収書を発行することができる。
【0015】
上記の運行料金計算装置において、前記運行情報設定部は、前記経由箇所を複数設定し、それら複数の経由箇所についての複数の経路情報を前記記憶装置に記憶させており、前記印刷情報生成部は、前記記憶装置に記憶されている前記経路情報の数が所定数以上である場合に、所定数未満の数の前記経路情報を選択し、選択した前記経路情報を含むように前記印刷情報を生成することを特徴とする構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、印刷情報生成部にて生成される印刷情報は、起点から終点までの間の運行経路情報を付加した、運行料金の根拠が明確な領収書を印刷可能なものとしながらも、不要に多数の経路情報が印刷されて冗長な領収書となってしまう事態を防止することができる。
【0017】
上記の運行料金計算装置において、前記経由箇所には、その知名度に応じて、前記経路情報として前記印刷情報に含める場合の優先順位が設定されており、前記印刷情報生成部は、所定数未満の数の前記経路情報を選択する場合に、各経路情報が示す経由箇所の前記優先順位にしたがって前記選択動作を行う構成としてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、印刷情報生成部は、各経路情報が示す経由箇所の優先順位、例えば経由箇所の知名度の順位にしたがって所定数未満の数の経路情報を選択する。これにより、印刷情報生成部にて生成される印刷情報が所定数未満のみの経路情報を含む場合であっても、領収書に印刷された経路情報から、車両が運行した経路を明確に知ることができる。
【0019】
上記の運行料金計算装置において、前記印刷情報生成部は、前記所定数を前記起点から前記終点までの前記車両の運行距離に基づき、運行距離が長くなるほど多くなるように決定する構成としてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、印刷情報生成部が生成する印刷情報には、起点から終点までの車両の運行距離が長くなるほど多くの経路情報が含まれる。この結果、領収書には車両の運行距離に応じた適切な量の経路情報を含ませることができる。
【0021】
上記の運行料金計算装置において、車両の運行に関する第1の交通情報を取得する交通情報取得部と、前記第1の交通情報から、前記起点から前記終点までの運行経路を含み、前記運行経路から所定距離範囲内における第2の交通情報を抽出して前記記憶装置に記憶させる交通情報抽出部とを備え、前記印刷情報生成部は、さらに前記記憶装置に記憶されている前記第2の交通情報を含む領収書を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する構成としてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、交通情報取得部は、車両の運行に関する第1の交通情報を取得し、交通情報抽出部は、第1の交通情報から、起点から終点までの運行経路を含み、運行経路から所定距離範囲内における第2の交通情報を抽出して記憶装置に記憶させる。印刷情報生成部は、記憶装置に記憶されている第2の交通情報を含む領収書を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する。これにより、領収書には、車両の起点から終点までの運行経路を含み、運行経路から所定距離範囲内における交通情報が印刷されるので、さらに運行料金の根拠が明確な領収書を発行することができる。
【0023】
上記の運行料金計算装置は、地図情報を取得し、前記起点から前記終点までの運行経路を前記地図情報から第1の予測運行経路として予測する第1の運行経路予測部と、車両の運行に関する第1の交通情報を取得する交通情報取得部と、前記第1の交通情報から、前記第1の予測運行経路を含み、前記第1の予測運行経路から所定距離範囲内における第2の交通情報を抽出して前記記憶装置に記憶させる交通情報抽出部と、前記第1の予測運行経路と前記第2の交通情報とから第2の予測運行経路を予測する第2の運行経路予測部とを備え、前記印刷情報生成部は、前記第2の運行経路予測部において、第2の予測運行経路が前記第2の交通情報によって前記第1の予測運行経路から変更されている場合に、その変更の原因となった前記第2の交通情報を含む領収書を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する構成としてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、第1の運行経路予測部は、地図情報を取得し、起点から終点までの運行経路を取得した地図情報から第1の予測運行経路として予測する。交通情報取得部は、車両の運行に関する第1の交通情報を取得する。交通情報抽出部は、第1の交通情報から、第1の予測運行経路を含み、第1の予測運行経路から所定距離範囲内における第2の交通情報を抽出して記憶装置に記憶させる。第2の運行経路予測部は、第1の予測運行経路と第2の交通情報とから第2の予測運行経路を予測する。印刷情報生成部は、第2の運行経路予測部において、第2の予測運行経路が第2の交通情報によって第1の予測運行経路から変更されている場合に、その変更の原因となった第2の交通情報を含む領収書を刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する。
【0025】
これにより、領収書には、第2の予測運行経路が印刷され、この第2の予測運行経路が第2の予測運行経路よりも先に予測されていた第1の予測運行経路から変更されている場合に、その変更の原因となった交通情報も印刷される。したがって、さらに運行料金の根拠が明確な領収書を発行することができる。
【0026】
上記の運行料金計算装置は、表示装置と、前記起点から前記終点までの運行経路を実際に運行した場合の実際の運賃を計算する運賃計算装置と、車両の運行に関する交通情報を取得する交通情報取得部と、地図情報を取得し、前記起点から前記終点までの運行経路を前記地図情報および前記交通情報から予測運行経路として予測するとともに、前記予測運行経路を運行した場合の運賃を予測運賃として予測し、前記予測運賃を前記表示装置に表示させる運賃予測部を備え、前記印刷情報生成部は、前記予測運賃と前記実際の運賃とを比較し、前記実際の運賃が前記予測運賃に対して所定値以上高くなった場合に、運賃を割り引く割引券を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する構成としてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、運賃計算装置は、起点から終点までの運行経路を実際に運行した場合の実際の運賃を計算する。交通情報取得部は、車両の運行に関する交通情報を取得する。運賃予測部は、地図情報を取得し、起点から終点までの運行経路を地図情報および交通情報から予測運行経路として予測するとともに、予測運行経路を運行した場合の運賃を予測運賃として予測し、予測運賃を表示装置に表示させる。印刷情報生成部は、予測運賃と実際の運賃とを比較し、実際の運賃が予測運賃に対して所定値以上高くなった場合に、運賃を割り引く割引券を印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する。
【0028】
これにより、例えば車両の乗客に対して予測運賃を提示することができる。また、予測運賃により決済する場合には、実際の運行前の事前決済が可能となる。さらに、実際の運賃が表示装置に表示された予測運賃に対して所定値以上となった場合には、運賃を割り引く割引券が印刷装置により印刷され、乗客に付与される。これにより、例えば実際の運賃が予想外に高くなった場合における顧客サービスの低下を抑制することができる。
【0029】
上記の運行料金計算装置は、表示装置と、前記起点から前記終点までの運行経路を実際に運行した場合の実際の運行時間を計る運行時間計測装置と、車両の運行に関する交通情報を取得する交通情報取得部と、前記起点から前記終点までの運行経路を前記地図情報および前記交通情報から予測運行経路として予測するとともに、前記予測運行経路を運行した場合の運行時間を予測運行時間として予測し、前記予測運行時間を前記表示装置に表示させる運行時間予測部を備え、前記印刷情報生成部は、前記予測運行時間と前記実際の運行時間とを比較し、前記実際の運行時間が前記予測運行時間に対して所定値以上長くなった場合に、運賃を割り引く割引券を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する構成としてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、運行時間計測装置は、起点から終点までの運行経路を実際に運行した場合の実際の運行時間を計る。交通情報取得部は、車両の運行に関する交通情報を取得する。運行時間予測部は、地図情報を取得し、起点から終点までの運行経路を地図情報および交通情報から予測運行経路として予測する。さらに、予測運行経路を運行した場合の運行時間を予測運行時間として予測し、予測運行時間を表示装置に表示させる。印刷情報生成部は、予測運行時間と実際の運行時間とを比較し、実際の運行時間が予測運行時間に対して所定値以上長くなった場合に、運賃を割り引く割引券を印刷装置に印刷させる。
【0031】
これにより、例えば車両の乗客に対して予測運行時間(予測到着時刻)を提示することができる。また、実際の運行時間が表示装置に表示された予測運行時間に対して所定値以上長くなった場合には、運賃を割り引く割引券が印刷装置により印刷され、乗客に付与される。これにより、例えば実際の運行時間が予想外に長くなった場合における顧客サービスの低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の構成によれば、起点から終点までの間の運行経路情報を付加した、運行料金の根拠が明確な領収書を発行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態における運行料金計算システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したMPUが備える機能を複数の機能部として示した場合の運行料金計算システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した商用車システムの領収書プリンタにて印刷される領収書の説明図である。
【図4】図1に示した商用車システムの領収書プリンタにて印刷される運賃割引用のクーポンの説明図である。
【図5】図1に示した運行料金計算システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】図5に示した動作に続く運行料金計算システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
図1は本発明の実施の形態における運行料金計算システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態の運行料金計算システムは、乗客を乗せて運行(走行)する車両、例えばタクシーに備えられている。本実施の形態では、運行車両がタクシーである場合について説明する。
【0035】
運行料金計算システムは、図1に示すように、MPU(Micro Processing Unit)11、第1記憶装置(位置検出システム)12、RAM13、ROM14、時計15、入力装置16、表示装置17、位置検出装置(位置検出システム)18、第2記憶装置(記憶装置)19、自動車システム20および商用車システム(運行料金計算装置)21を備えている。
【0036】
第1記憶装置12は、地図データおよび経由箇所名(地名・交差点名)データを記憶している。RAM13は、主にMPU11の作業領域となっており、各種データを一時的に記憶する。ROM14には、MPU11が各種装置を制御するためのプログラムなどが格納されている。
【0037】
具体的には、運行情報と位置検出装置18により検出された情報とを関連付けて第2記憶装置19に記録させるためのプログラム、最新の交通情報や過去の運行記録を参照し、終点までの所要時間や金額を予測するプログラム、領収書のフォーマットおよび領収書印刷のためのプログラム、並びにクーポン券のフォーマット、クーポン券の設定条件、およびクーポン券印刷のためのプログラムなどである。
【0038】
入力装置16はユーザが運行料金計算システムに対して各種入力を行うためのものである。入力装置16は、例えば目的地入力キー、賃走スイッチ、テンキー、会計キーおよび音声入力用マイクなどを備えている。表示装置は各種情報を表示するものである。
【0039】
位置検出装置18は、GPS受信機51、地磁気センサ52、加速度センサ53および距離センサ54を備えた従来周知のものである。
【0040】
第2記憶装置19は、運行情報、交通情報、予測経路情報、過去の運行情報および所要時間サンプルデータを記憶する。
【0041】
運行情報には、運行の起点情報、起点時刻、経路情報、経路情報によって示される各途中地点での時刻、運行の終点情報および終点時刻などが含まれる。
【0042】
交通情報には、経路予測時交通情報、複数の地点にて取得した交通情報、およびそれら交通情報の取得時刻が含まれる。なお、交通情報は、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System)により提供されるものであり、渋滞情報や規制情報が含まれる。
【0043】
予測経路情報は、運行の起点および終点を設定した際に、経路の検索により候補として抽出された経路の情報である。
【0044】
過去の運行情報は、過去の運行記録として残された起点、終点、経路、時刻および所要時間などの情報である。所要時間サンプルデータは、起点、終点、経路および時刻などの条件によって示される起点から終点までの所要時間のサンプルデータである。
【0045】
自動車システム20は距離メーター55を備えている。
【0046】
商用車システム(運賃計算装置)21は、無線装置61、領収書プリンタ(印刷装置)62、料金・距離表示装置63、距離課金システム64および時間課金システム(運行時間計測装置)65を備えている。距離課金システム64は、距離課金情報に基づき、運行料金を計算する。時間課金システム65は、時計を備え、時間課金情報に基づき、運行料金を計算する。商用車システム21は、距離課金システム64および時間課金システム65の計算結果に基づき、タクシーの実際の運行に対する料金を計算する。
【0047】
図2は、図1に示したMPU11が備える機能を複数の機能部として示した場合の運行料金計算システムの構成を示すブロック図である。
【0048】
図2に示すように、運行料金計算システムは、MPU11、第1記憶装置12、時計15、入力装置16、表示装置17、位置検出装置18、第2記憶装置19、自動車システム20および商用車システム21を備えている。
【0049】
MPU11は、運行情報設定部201、交通情報取得部202、交通情報抽出部203、運賃・運行時間予測部(第1の運行経路予測部、第2の運行経路予測部、運行時間予測部、運賃予測部)204および印刷情報生成部205を備えている。MPU11におけるこれら各機能部は、運行料金計算装置を構成している。
【0050】
位置検出装置18は、運行料金計算システムの動作中(タクシーの賃走中、および賃走中以外の時間)において、タクシーの位置を示す位置情報を取得する。この位置検出装置18は、地図データを記憶する第1記憶装置12とともに、位置検出システムを構成している。
【0051】
運行情報設定部201は、位置検出装置18すなわち位置検出システムにより取得されたタクシーの位置情報を、取得されたときの時刻とともに、運行情報として第2記憶装置19に記憶させる。例えば、タクシーの運行中(賃走中)に位置検出装置18によって取得されるタクシーの位置情報は、取得時刻とともに、経路情報として第2記憶装置19に記憶させる。また、入力装置16から目的地が入力された場合、第2記憶装置19に記憶されている最新の位置情報を起点情報として設定する。さらに、入力された目的地を終点情報として第2記憶装置19に記憶させる。
【0052】
交通情報取得部202は、運行料金計算システムの動作中(タクシーの賃走中、および賃走中以外の時間)において、交通情報(第1の交通情報)を取得する。この場合、例えばVICSにより提供される交通情報を取得し、取得した交通情報を、取得されたときの時刻とともに、第2記憶装置19に記憶させる。第2記憶装置19に既に交通情報が存在する場合には、その交通情報を新たに取得した最新のものに更新する。取得する交通情報は、例えばタクシーの位置情報が示す位置を中心とした所定範囲のものである。なお、取得する交通情報の範囲については適宜設定される。取得された最新の交通情報は、運賃予測および運行時間予測の際の参照データとなる。
【0053】
交通情報抽出部203は、運賃・運行時間予測部204にて予測された予測運行経路(第1の予測運行経路)の近辺についての交通情報(第2の交通情報)、およびタクシーが実際に運行する運行経路の近辺についての交通情報を、交通情報取得部202にて取得された交通情報から抽出する。なお、予測運行経路の近辺、および実際に運行した運行経路の近辺の範囲については、運行経路を含み、運行経路から所定距離範囲としてあらかじめ設定することができる。
【0054】
運賃・運行時間予測部204は、目的地までの運賃予測および運行時間予測が必要と設定されている場合に、運賃予測および運行時間予測を行い、予測結果を表示装置17に表示させる。これら運賃予測および運行時間予測は次の手順にて行われる。
【0055】
まず、上記起点情報が示す起点から上記終点情報が示す終点(目的地)までの運行経路を、第1記憶装置12が記憶する地図データを参照し第1の予測運行経路として予測する。次に、交通情報抽出部203にて抽出された交通情報(第2の交通情報)を参照し、必要に応じて適宜迂回路を設定し、第2の予測運行経路を設定する。次に、過去の運行記録、サンプルデータおよび交通情報抽出部203にて抽出された交通情報から、起点から終点までの運賃および運行時間を予測する。
【0056】
上記の手順をさらに具体的に説明すると次のとおりである。
例えば過去の運行記録として「A地点からC地点を通過してB地点に到着した」記録があった場合、A地点の出発時刻、C地点の通貨時刻、B地点への到着時刻についても記録されている。したがって、タクシーが今回例えばA地点からC地点まで運行する場合には、上記過去の運行記録から、その場合の予測運行時間を求めることができる。また、A地点からC地点までの予測運行距離は地図データから割り出すことができる。したがって、A地点からC地点までの予測運賃は、上記の予測運行時間および予測運行距離から、タクシーの通常の料金計算方法により、計算することができる。
【0057】
サンプルデータは、過去の運行記録と同様のデータとして準備されているものである。サンプルデータは、同じタクシー会社のタクシー、または提携しているタクシー会社のタクシーの運行記録をサンプル化し、運行予測の基となるデータとして、あるいは過去の運行記録の不足分等を補完するものとして作成されている。したがって、過去の運行記録およびサンプルデータを適宜使用することにより、予測運行時間および予測運賃を求めることができる。
【0058】
交通情報は、工事等による通行禁止などの交通規制や渋滞などの情報を含む。したがって、運賃・運行時間予測部204は、第1の予測運行経路に関する第2の交通情報を考慮して第2の予測運行経路を設定する。具体的には、第2の予測運行経路を設定する際に、第2の交通情報を使用して、運行経路の修正(迂回経路の設定)および運行時間の修正を行う。例えば、運行時間に大きく影響する交通規制がある場合は勿論、そのような交通規制がない場合でも重度の渋滞がある場合には、運行経路中に適宜迂回路を設け、第2の予測運行経路を設定する。
【0059】
運賃・運行時間予測部204は、運行経路(第1の予測運行経路)に迂回路を設けた第2の予測運行経路を設定した場合、その迂回路を含む第2の予測運行経路による予測運行時間および予測運行距離を計算する。そして、それら予測運行時間および予測運行距離に基づき予測運賃を計算する。また、例えば、渋滞していても運行経路(第1の予測運行経路)に迂回路を設けない方が運行時間が短くなると判断した場合には、迂回路を設けない第2の予測運行経路により、過去の渋滞時の運行記録を参照して、予測運行時間および予測運賃を計算する。
【0060】
印刷情報生成部205は、あらかじめ設定されている領収書フォーマットに従って、賃走に対する料金の領収書を領収書プリンタ61により印刷させるための印刷情報を生成する。図3は、図1に示した商用車システム21の領収書プリンタ62にて印刷される領収書の一例を示す説明図である。
【0061】
領収書には、図3に示すように、タクシー会社名、タクシー会社の電話番号、車番号、乗務員名、日付、運行距離、運行時間、初乗り運賃、深夜割増料金の適用の有無、運行前に取得して運行経路決定に使用した規制情報(交通情報)101、運行経路102、および運行中に取得した、運行経路近隣の規制情報(交通情報)103が印刷される。したがって、印刷情報生成部205が生成する印刷情報はこれらの情報を含むものとなる。
【0062】
規制情報101は、タクシーの運行前に交通情報取得部202が取得した交通情報に含まれていたものである。この規制情報101は、運行経路の決定の際に運賃・運行時間予測部204が参考にしたものである。
【0063】
運行経路102は、第2記憶装置19に記憶されている運行情報によって示されるものである。この運行経路102には、運行の起点、終点(目的地)、複数の経由箇所名(抽出する地名および交差点名)、各経由箇所の経由時刻が含まれている。経由箇所名は、例えば3分ごとに経由する経由箇所名が記される。
【0064】
規制情報103は、タクシーの運行中に交通情報取得部202が取得した交通情報に含まれていたものである。この規制情報103は、運行経路近隣の規制情報、すなわち運行経路の起点情報、終点情報および経路情報から、運行に影響が及ぶと判断される近隣の規制情報である。
【0065】
印刷情報生成部205は、印刷情報を生成する際に、運行情報の経路情報から、運行経路中の経由箇所名(地名および交差点名)を抽出する。さらに、抽出した経由箇所名(地名および交差点名)の数が所定数以上であるか否かを判定し、所定数以上である場合、抽出した経由箇所名の数を所定数未満となるように絞り込む。
【0066】
抽出する経由箇所名の数は、実際の運行距離(走行距離)に応じてあらかじめ設定されており、ここではその設定数(所定数)と抽出した経由箇所名の数とを比較して判定する。
【0067】
この場合、地名および交差点名には、例えばそれらの知名度に応じて優先順位が設定されている。すなわち、有名な地名および交差点名ほど、優先順位が高く設定されている。なお、上記優先順位の設定は、第1記憶装置12が記憶する地図データにおいて設定されているものであっても、印刷情報生成部205において設定されるものであってもよい。
【0068】
そこで、印刷情報生成部205は、優先順位の相対的に高いものが残るように、経由箇所名(地名および交差点名)の数を優先順位に基づいて所定数未満となるように絞り込む。
【0069】
上記のように、印刷情報生成部205に生成される印刷情報は、起点から終点までの間の運行経路情報を付加した、運行料金の根拠が明確な領収書を印刷可能なものとしながらも、不要に多数の経路情報が印刷されて冗長な領収書となってしまう事態を防止することができる。
【0070】
また、印刷情報生成部205は、各経路情報が示す経由箇所の優先順位、例えば経由箇所の知名度の順位にしたがって所定数未満の数の経路情報を選択する。これにより、印刷情報生成部205にて生成される印刷情報が所定数未満のみの経路情報を含む場合であっても、領収書に印刷された経路情報から、車両が運行した経路を明確に知ることができる。
【0071】
また、経由箇所名を抽出する場合の上記所定数は、起点から終点までのタクシーの運行距離に基づき、運行距離が長くなるほど多くなるようにしてもよい。このような構成では、起点から終点までのタクシーの車両の運行距離が長くなるほど多くの経路情報が含まれるので、領収書には車両の運行距離に応じた適切な量の経路情報を含ませることができる。
【0072】
印刷情報生成部205は、領収書の印刷情報の他、あらかじめ設定されているフォーマットに従って、運賃割引のための例えば図4に示すクーポンを領収書プリンタ61により印刷させるための印刷情報を生成する。図4は図1に示した商用車システム21の領収書プリンタ62にて印刷される運賃割引用のクーポンの説明図である。
【0073】
上記クーポンの印刷情報を生成するのは、例えば運賃・運行時間予測部204が目的地までの運賃予測もしくは運行時間予測を行い、それらが表示装置17に表示された場合において、実際の運行の結果、それら予測運賃もしくは予測運行時間を所定値以上超えてしまったために、運賃割引のクーポンを乗客に発行する場合である。
【0074】
上記の構成において、本実施の形態の運行料金計算システムの動作を以下に説明する。図5は、図1に示した運行料金計算システムの動作を示すフローチャートである。図6は図5に示した動作に続く運行料金計算システムの動作を示すフローチャートである。
【0075】
(賃走開始前の位置情報および交通情報の取得動作)
図5に示すように、運行料金計算システムでは、タクシーが賃走をするために、システムが起動されると(S11)、位置検出装置(位置検出システム)18がタクシーの現在位置を示す位置情報を取得する(S12)。
【0076】
MPU11(運行情報設定部201)は、位置検出装置18によりタクシーの現在位置についての位置情報が取得されると、その位置情報に基づき、第2記憶装置19に記憶されている運行情報を更新する。この場合、位置情報を取得したときの時刻も同時に記録される(S13)。なお、S12において位置情報を取得できなければ、S14に進む。
【0077】
次に、MPU11(交通情報取得部202)は交通情報を取得する(S14)。この交通情報は、例えば上記位置情報が示す位置を中心とした所定範囲のものである。取得する交通情報の範囲については、適宜設定される。
【0078】
交通情報を取得できると、MPU11(交通情報取得部202)は、その交通情報に基づき、第2記憶装置19に記憶されている交通情報を更新する(S15)。取得された最新の交通情報は、運賃、運行時間予測の際の参照データとなる。なお、S14において交通情報を取得できなければ、S16に進む。上記S1〜S16の処理は、S16において目的地が入力されるまで繰り替えされる。
【0079】
(目的地の設定、並びに運賃および予測時間の提示動作)
次に、入力装置16から目的地が入力されると(S16)、MPU11(運行情報設定部201)は、第2記憶装置19に記憶されている最新の位置情報を起点情報として設定する。この場合、起点情報とした最新の位置情報を取得した時刻を起点情報の時刻として設定する(S17)。さらに、MPU11(運行情報設定部201)は、入力された目的地を終点情報として第2記憶装置19に記憶させる(S18)。
【0080】
次に、MPU11(運賃・運行時間予測部204)は、目的地までの運賃予測および運行時間予測が必要であるか否かを判定し(S19)、必要であれば、S20に進む一方、不要であればS23に進む。なお、運賃予測および運行時間予測の要否の判定は、タクシーの運転手が、運賃予測および運行時間予測の要否をあらかじめ設定しておく構成である場合、またはこの時点において設定する構成である場合には、その設定に従って行われる。
【0081】
S19において、目的地までの運賃予測および運行時間予測が必要である場合、MPU11(運賃・運行時間予測部204)は、S17にて設定された起点情報が示す起点からS18にて設定された終点情報が示す終点までの運行経路(第1の予測運行経路)を、第1記憶装置12が記憶する地図データを参照して予測する。そして、その予測経路についての交通情報(第2の交通情報)をS14において取得した交通情報(第1の交通情報)から抽出する(S20)。なお、上記第2の交通情報は、上記第1の予測運行経路を含み、上記第1の予測運行経路から所定距離範囲内における交通情報である。
【0082】
次に、MPU11(運賃・運行時間予測部204)は、地図データ、過去の運行記録、サンプルデータおよびS20において抽出した交通情報(第2の交通情報)から、起点から目的地までの運賃および運行時間を予測する(S21)。この場合、MPU11(運賃・運行時間予測部204)は、第2の交通情報を考慮して第1の予測運行経路から第2の予測運行経路を設定し、その第2の予測運行経路に基づいて起点から目的地までの運賃および運行時間を予測する。
【0083】
次に、MPU11(運賃・運行時間予測部204)は、S21において予測した運賃および運行時間を表示装置17に表示させ(S22)、その後、S23に進む。上記S1〜S23の処理は、S23において賃走スイッチがオンにされるまで繰り替えされる。
【0084】
(賃走時の運行経路の記録動作)
次に、S16において賃走スイッチがオンにされると、図6に示すように、位置検出装置18がタクシーの現在位置を示す位置情報を取得する(S24)。
【0085】
MPU11(運行情報設定部201)は、位置検出装置18によりタクシーの現在位置についての位置情報が取得されると、その位置情報(起点情報)に基づき、第2記憶装置19に記憶されている運行情報を更新する。この場合、位置情報を取得したときの時刻も同時に記録される(S25)。なお、S24において位置情報を取得できなければ、S26に進む。
【0086】
次に、MPU11(交通情報取得部202)は交通情報を取得する(S26)。この交通情報は、上記位置情報(起点情報)が示すタクシーの位置から所定距離範囲内のものである。
【0087】
交通情報を取得できると、MPU11(交通情報取得部202)は、その交通情報に基づき、第2記憶装置19に記憶されている交通情報を更新する(S27)。なお、S27において交通情報を取得できなければ、S28に進む。上記S24〜S28の処理は、S28において賃走スイッチがオフにされるまで繰り替えされる。
【0088】
(運賃精算および領収書発行動作)
次に、S28において賃走スイッチがオフにされると、MPU11は、その時点において、第2記憶装置19に記憶されている最新の位置情報を終点情報として設定する。この場合、終点情報とした最新の位置情報を取得した時刻を終点情報の時刻として設定する(S29)。
【0089】
次に、商用車システム21は、実際の運行距離および実際の運行時間に基づいて運賃を計算し、料金・距離表示装置63にタクシーの運賃(料金)および実際の運行距離(走行距離)を表示する(S30)。この場合、距離課金システム64により自動車システム20の距離メーター55が示す実際の運行距離に基づいて距離課金情報が生成され、時間課金システムにより実際の運行時間に基づいて時間課金情報が生成され、これら距離課金情報および時間課金情報に基づいて料金が計算される。この料金の計算は、タクシーにおいて従来行われているものである。
【0090】
次に、商用車システム21において、タクシーの運転手により乗客からの預かり金額が入力され、精算キーが操作されると(S31)、MPU11(印刷情報生成部205)は、運行情報の経路情報から、運行経路中の地名および交差点名を抽出する(S32)。
【0091】
次に、MPU11(印刷情報生成部205)は、抽出した地名および交差点名の数が所定数以上であるか否かを判定し、所定数未満であればS35に進む一方、所定数以上であればS34に進む(S33)。なお、抽出する地名および交差点名の数は、実際の運行距離(走行距離)に応じてあらかじめ設定されており、ここではその設定数(所定数)と抽出した地名および交差点名の数とを比較して判定する。
【0092】
抽出した地名および交差点名の数が所定数以上である場合、MPU11(印刷情報生成部205)は、抽出した地名および交差点名の数を所定数未満となるように絞り込む(S34)。この場合、地名および交差点名には、例えばそれらの知名度に応じて優先順位が設定されている。すなわち、有名な地名および交差点名ほど、優先順位が高く設定されている。そこで、MPU11(印刷情報生成部205)は、優先順位の相対的に高いものが残るように、地名および交差点名の数を優先順位に基づいて所定数未満となるように絞り込む。
【0093】
次に、MPU11(交通情報抽出部203)は、S26において取得した交通情報から、運行経路周辺の交通情報を抽出する(S35)。
【0094】
次に、MPU11(印刷情報生成部205)は、あらかじめ設定されている領収書フォーマットに従って領収書を領収書プリンタ61により印刷させる(S36)。この領収書には、タクシーの運賃、料金精算時の預かり金額、おつりの金額、実際の運行経路、運賃および運行経路の予測時に抽出した交通情報、運行中に取得した交通情報から抽出した、実際の運行経路周辺の交通情報が印刷される。
【0095】
次に、MPU11(印刷情報生成部205)は、今回の運行(賃走)において、運賃予測もしくは運行時間予測を行っていない場合にはS38に進む一方、行っている場合にはS41に進む(S37)。
【0096】
MPU11(印刷情報生成部205)は、運賃予測もしくは運行時間予測を行っていない場合には、S41において距離課金情報および時間課金情報をリセットし、S11に戻る。
【0097】
一方、MPU11(印刷情報生成部205)は、運賃予測もしくは運行時間予測を行っている場合には、実際の運賃が予測運賃を20%超過しているか否かを判定する(S38)。そして、実際の運賃が予測運賃を20%超過していない場合にはS39に進む一方、超過してる場合にはS40に進む。
【0098】
MPU11(印刷情報生成部205)は、実際の運賃が予測運賃を20%超過している場合には、S40において、次回の利用時に使用できるクーポン券を領収書プリンタにより印刷して発行し、S41に進む。
【0099】
一方、MPU11(印刷情報生成部205)は、実際の運賃が予測運賃を20%超過していない場合には、S39において、実際の運行時間が予測運行時間を20%超過しているか否かを判定する。そして、実際の運行時間が予測運行時間を20%超過していない場合には、S41に進む一方、超過している場合には、S40に進む。すなわち、実際の運行時間が予測運行時間を20%超過している場合には、実際の運賃が予測運賃を20%超過している場合と同様、次回の利用時に使用できるクーポン券を領収書プリンタにより印刷して発行し、S41に進む。
【0100】
以上のように、本実施の形態の運行料金計算システム(運行料金計算装置)では、領収金額に加えて、記憶装置に記憶されている起点情報、終点情報および経路情報を含む領収書を印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する。これにより、起点から終点までの間の運行経路情報を付加した、運行料金の根拠が明確な領収書を発行することができる。
【0101】
また、運行経路から所定距離範囲内における交通情報が印刷されている場合、もしくは運行経路を変更する原因となった交通情報が印刷されている場合において、領収書は、さらに運行料金の根拠が明確なものとなる。
【0102】
なお、本実施の形態においては、MPU11によって構成される運行料金計算装置が車両すなわちタクシーに搭載された例について説明している。しかしながら、運行料金計算装置は、たとえばサーバーに格納されており、サーバーが車両に搭載されているシステムと通信する構成としてもよい。
【0103】
最後に、図2に示した運行料金計算システムの各ブロック、特に運行情報設定部201、交通情報取得部202、交通情報抽出部203、運賃・運行時間予測部204、印刷情報生成部205は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0104】
すなわち、運行料金計算システムは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである運行料金計算システムの制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記運行料金計算システムに供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0105】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0106】
また、運行料金計算システムを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0107】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
11 MPU(運行料金計算装置)
12 第1記憶装置(位置検出システム)
16 入力装置
17 表示装置
18 位置検出装置(位置検出システム)
19 第2記憶装置(記憶装置)
20 自動車システム
21 商用車システム(運賃計算装置)
61 領収書プリンタ(印刷装置)
62 領収書プリンタ
64 距離課金システム
65 時間課金システム(運行時間計測装置)
101 規制情報
102 運行経路
103 規制情報
201 運行情報設定部
202 交通情報取得部
203 交通情報抽出部
204 運賃・運行時間予測部(第1の運行経路予測部、第2の運行経路予測部、運行
時間予測部、運賃予測部)
205 印刷情報生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起点から、指定された終点までの車両の運行についての料金を計算し、領収金額に対しての領収書を印刷装置により印刷させる運行料金計算装置において、
記憶装置と、
車両の地図上の位置を検出する位置検出システムと通信し、前記起点、前記終点、および前記起点から前記終点までの運行経路中における経由箇所を、前記位置検出システムにて検出された前記車両の位置から特定し、前記起点を示す起点情報、前記終点を示す終点情報および前記経由箇所を示す経路情報を運行情報として前記記憶装置に記憶させる運行情報設定部と、
前記領収金額に加えて、前記記憶装置に記憶されている前記起点情報、前記終点情報および前記経路情報を含む領収書を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する印刷情報生成部とを備えていることを特徴とする運行料金計算装置。
【請求項2】
前記経路情報は、前記経由箇所を通過したときの時刻を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の運行料金計算装置。
【請求項3】
前記運行情報設定部は、前記経由箇所を複数設定し、それら複数の経由箇所についての複数の経路情報を前記記憶装置に記憶させており、
前記印刷情報生成部は、前記記憶装置に記憶されている前記経路情報の数が所定数以上である場合に、所定数未満の数の前記経路情報を選択し、選択した前記経路情報を含むように前記印刷情報を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の運行料金計算装置。
【請求項4】
前記経由箇所には、その知名度に応じて、前記経路情報として前記印刷情報に含める場合の優先順位が設定されており、
前記印刷情報生成部は、所定数未満の数の前記経路情報を選択する場合に、各経路情報が示す経由箇所の前記優先順位にしたがって前記選択動作を行うことを特徴とする請求項3に記載の運行料金計算装置。
【請求項5】
前記印刷情報生成部は、前記所定数を前記起点から前記終点までの前記車両の運行距離に基づき、運行距離が長くなるほど多くなるように決定することを特徴とする請求項3または4に記載の運行料金計算装置。
【請求項6】
車両の運行に関する第1の交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記第1の交通情報から、前記起点から前記終点までの運行経路を含み、前記運行経路から所定距離範囲内における第2の交通情報を抽出して前記記憶装置に記憶させる交通情報抽出部とを備え、
前記印刷情報生成部は、さらに前記記憶装置に記憶されている前記第2の交通情報を含む領収書を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の運行料金計算装置。
【請求項7】
地図情報を取得し、前記起点から前記終点までの運行経路を前記地図情報から第1の予測運行経路として予測する第1の運行経路予測部と、
車両の運行に関する第1の交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記第1の交通情報から、前記第1の予測運行経路を含み、前記第1の予測運行経路から所定距離範囲内における第2の交通情報を抽出して前記2の記憶装置に記憶させる交通情報抽出部と、
前記第1の予測運行経路と前記第2の交通情報とから第2の予測運行経路を予測する第2の運行経路予測部とを備え、
前記印刷情報生成部は、前記第2の運行経路予測部において、第2の予測運行経路が前記第2の交通情報によって前記第1の予測運行経路から変更されている場合に、その変更の原因となった前記第2の交通情報を含む領収書を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の運行料金計算装置。
【請求項8】
表示装置と、
前記起点から前記終点までの運行経路を実際に運行した場合の実際の運賃を計算する運賃計算装置と、
車両の運行に関する交通情報を取得する交通情報取得部と、
地図情報を取得し、前記起点から前記終点までの運行経路を前記地図情報および前記交通情報から予測運行経路として予測するとともに、前記予測運行経路を運行した場合の運賃を予測運賃として予測し、前記予測運賃を前記表示装置に表示させる運賃予測部を備え、
前記印刷情報生成部は、前記予測運賃と前記実際の運賃とを比較し、前記実際の運賃が前記予測運賃に対して所定値以上高くなった場合に、運賃を割り引く割引券を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の運行料金計算装置。
【請求項9】
表示装置と、
前記起点から前記終点までの運行経路を実際に運行した場合の実際の運行時間を計る運行時間計測装置と、
車両の運行に関する交通情報を取得する交通情報取得部と、
地図情報を取得し、前記起点から前記終点までの運行経路を前記地図情報および前記交通情報から予測運行経路として予測するとともに、前記予測運行経路を運行した場合の運行時間を予測運行時間として予測し、前記予測運行時間を前記表示装置に表示させる運行時間予測部を備え、
前記印刷情報生成部は、前記予測運行時間と前記実際の運行時間とを比較し、前記実際の運行時間が前記予測運行時間に対して所定値以上長くなった場合に、運賃を割り引く割引券を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の運行料金計算装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の運行料金計算装置と、
車両の地図上の位置を検出する位置検出システムと、
印刷装置とを備えていることを特徴とする運行料金計算システム。
【請求項11】
起点から、指定された終点までの車両の運行についての料金を計算し、領収金額に対しての領収書を印刷装置により印刷させる運行料金計算方法において、
車両の地図上の位置を検出する位置検出システムと通信し、前記起点、前記終点、および前記起点から前記終点までの運行経路中における経由箇所を、前記位置検出システムにて検出された前記車両の位置から特定し、前記起点を示す起点情報、前記終点を示す終点情報および前記経由箇所を示す経路情報を運行情報として記憶装置に記憶させる運行情報設定工程と、
前記領収金額に加えて、前記記憶装置に記憶されている前記起点情報、前記終点情報および前記経路情報を含む領収書を前記印刷装置に印刷させるための印刷情報を生成する印刷情報生成工程とを備えていることを特徴とする運行料金計算方法。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項に記載の運行料金計算装置の前記の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−73763(P2012−73763A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217345(P2010−217345)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】