説明

運転支援装置、運転支援システム、運転支援ソフトおよび運転支援方法

【課題】 運転情報の提示の態様をより一層工夫した運転支援装置を提供する。
【解決手段】 ドライブレコーダによって記録された撮影画像および加速度情報を読み出す読出手段と、読出手段によって読み出された撮影画像の中からトリガ発生に関連する画像を選択してサムネイル表示するとともに、サムネイル表示された画像に対応する加速度情報を該画像に対応付けて表示する表示制御手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダのデータを収集・分析して運転者の運転支援を行うための運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやタクシー等の業務用車両に搭載されたドライブレコーダが、急加速、急ブレーキ等の発生を契機に記録したカメラ画像や車速、GPS(Global Positioning System)位置情報などの運転情報を、回収・分析して、乗務員の運転教育に活用する運転支援装置が旅客運送事業者に普及しつつある。運転教育とは、例えば、運行管理者等が、各車両のドライブレコーダに記録された運転情報を回収し、運転情報の内容をチェックして各乗務員の運転の仕方等を分析し、より安全な運転の仕方等を指導するというものである。
【0003】
運行管理者がチェックしなければならない運転情報は、上記のカメラ画像やGPS情報や車速だけではない。カメラ画像に対応して、日時や加減速、車両の動態情報、音声などといった多種のデータを含む。その上、複数の車両それぞれにつき複数の運転情報が記録されるので運転情報の数は膨大である。よって、これら複数の運転情報を効率よくチェックできるようにするために、運行管理者が利用する運転支援装置は、各種データを、整理した状態で視覚的にわかりやすく表示するものであることが望ましい。
【0004】
このような装置の従来技術として、特願2005−329525号は、各車両から回収した運転情報に含まれる各種データを文字にしてリスト化して表示し、リストの1つがマウス等で選択されると選択された運転情報のカメラ画像を表示する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−140616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら文字のリストでは、直感的な認識のしやすさに欠けるし、選択された1つについてのカメラ画像を表示するのでは、各運転情報のカメラ画像すべてをチェックするために、リストから選択されて表示されたカメラ画像を、逐一順番に確認するという作業を繰返さなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明は、上記問題を踏まえて、運転情報の提示の態様をより一層工夫した運転支援装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するため本発明の運転支援装置は、ドライブレコーダによって記録された撮影画像および加速度情報を読み出す読出手段と、読出手段によって読み出された撮影画像の中からトリガ発生に関連する画像を選択してサムネイル表示するとともに、サムネイル表示された画像に対応する加速度情報を該画像に対応付けて表示する表示制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この構成によれば、複数の運転情報の内容を、逐一選択して表示させる作業をしなくても瞬時に確認することができ、各カメラ画像にはそれらが撮影された条件を示すマークが付されているので、直感的に条件を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る運転支援システムの概略構成を示す図であり、(a)はセンタ側の運転支援装置の概略構成を示し、(b)は移動局側の車載装置の概略構成を示す。
【図2】メモリカード230に記録される内容のデータ構造を概念的に示す。
【図3】(a)(b)はぞれぞれ、主項目データと画像関連データのデータ構造を示す。
【図4】表示画面の一構成例を示す。
【図5】各マーク及び各ボタンの意味を示す。
【図6】(a)は、PC110がサムネイル表示をする際の、特に、各カメラ画像にトリガ種別マーク及びカメラマークを付す際の動作を示すフローチャートであり、(b)は、カメラ画像の再生中にカメラ種別ボタンが押された場合の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る運転支援システムの概略構成を示す図であり、図1(a)はセンタ側の運転支援装置の概略構成を示し、図1(b)は移動局側のドライブレコーダと周辺装置からなる車載装置の概略構成を示す。
【0011】
図1(a)において、運転支援装置は、運転支援ソフトがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)110、地図データやメモリカードからの運転情報等を蓄積したデータベース120、メモリカードリーダ130、表示画像を紙面に印刷するプリンタ140等から構成される。
【0012】
PC110は、図示を省略しているが、CPUやメモリ等の一般的なPC本体の構成と、マウスやキーボード、ディスプレイ等の入出力装置を備える。CPUは、運転支援ソフトに含まれるプログラムを解釈実行して運転支援装置の各構成要素を動作させ、本発明の特徴部分にかかる各種機能を実現する。この機能の具体例については、後に図4以降の図面を用いて説明するが、簡単に説明すると、以下のようなものである。
【0013】
すなわち、各車両から回収されたメモリカードから運転情報を読み込み、各運転情報それぞれにつき、代表するカメラ画像を、縮小して一覧表示する。以下、この一覧表示のことをサムネイル表示と呼び、各代表するカメラ画像のことをサムネイル画像と呼ぶこととする。サムネイル画像の下側角には、運転情報の内容等を記号で表したマーク画像を表示する。このように表示することで運転情報をチェックする際に直感的に認識のしやすくなり、各運転情報のカメラ画像を瞬時に確認できる。
【0014】
図4の理解を容易にするために、先に、図1(b)、図2、図3を用いて、車載装置の構成と運転情報のデータ構造について説明する。
【0015】
図1(b)において、車載装置は、ドライブレコーダ210、車両の前方を所定のレートで連続的に撮影するよう車両に設置された第1カメラ220、メモリカード230、車両の各種情報や信号を取得してドライブレコーダに入力する車両信号取得部240、車両の位置情報を測位するGPS受信機250、車両の後方又は内部を所定のレートで撮影するよう車両に設置された第2カメラ220、車両内部又は外部の音声を集音するマイク270、ユーザ操作によりメモリカード220に運転情報の記録を指示するための外部スイッチ280及びAVMシステム(AutomaticVehicleMonitoringSystem)290から構成される。ここで図1(b)に示す車載装置の構成は、本実施形態ではフル仕様の構成を示すものであり、車両によってはフル仕様構成でない車載装置を備えるものもある。つまり、車両によっては、図1(b)の構成全てを含んだ車載装置を備えるものもあり、図1(b)の構成を部分的に含まない車載装置を備えるものもある。部分的に含まない車載装置とは、具体的には、GPS受信機250、第2カメラ220、マイク270、外部スイッチ280、AVMシステム290のいずれかを含まない構成のものである。
【0016】
ドライブレコーダ210は、予め定める所定の条件が成立したとき、具体的には、内部に備えるGセンサの検出G値が所定の閾値をこえたとき、外部ポートからの信号入力があったとき、緊急スイッチが押されたとき、及びAVM−ECUなどの外部機器からの通信(例えばRS−232C)によりコマンドを受信したとき、その検出をトリガにして前後数秒分の各種データを取得して、1つの運転情報としてメモリカード230に記録する。
【0017】
メモリカード230に記録される運転情報は、車両に付与された車番、車両の乗務員を識別する乗務員番号、Gセンサが検知したG値、第1カメラ220(及び260又は265)が撮影したカメラ画像、車両信号取得部240が外部の車速センサから取得した車速、GPS受信機250が測位したGPS位置情報、マイク270が集音した音声、AVMシステム290が管理している動態情報等を含む。ドライブレコーダ210は、トリガ検出時から前後数秒分の複数のカメラ画像1枚1枚に対応付けて、運転情報の各種データを記録する。
<メモリカードのデータ構造>
図2は、メモリカード230に記録される内容のデータ構造を概念的に示す図である。
【0018】
同図に示すように、メモリカード230には、各トリガの発生毎に、対応する運転情報が、運転情報1、運転情報2、運転情報3というように区分されて記録される。運転情報1は、トリガ発生時の前後数十秒分に相当する300枚のカメラ画像1〜300と、カメラ画像以外のその他の運転情報を含む画像関連情報とから構成される。画像関連情報は、車番やトリガ発生時のG値を含む主項目データと、300枚のカメラ画像1〜300それぞれに対応する関連データ1〜300とを含む。運転情報2、3についても同様である。
【0019】
図3(a)(b)に、主項目データと画像関連データのデータ構造をそれぞれ示す。
【0020】
図3(a)において、主項目データは、車番、乗務員番号、トリガ種別、トリガ発生時の車両進行方向のG値を示すG値X、トリガ発生時の車両進行方向に水平面で直交する方向のG値を示すG値Yを含む。
【0021】
図3(b)において画像関連データは、どのカメラ画像に対応しているかを示すデータ番号、当該画像関連データがトリガ発生時のタイミングに対応するものであるか否かを示す検知情報、トリガ発生時の日付、対応するカメラ画像の撮影時刻、対応するカメラ画像が撮影された時の車両進行方向のG値X、直交方向のG値Y、車速、当該画像関連データが測位されたGPS情報を含むか否かを示す測位有無情報、測位されたGPS情報のX座標、Y座標、動態情報、外部スイッチ(SW)を含む。
【0022】
では、このような記録内容が運転支援装置でどのように表示されるかということを説明する。<表示画面の構成>
図4は、表示画面の一構成例を示す。
【0023】
PC110は、各車両から回収したメモリカード230の記録をメモリカードリーダ130で読み込んでデータベース120に蓄積した後、ディスプレイに図4のような画面を作成して表示する。
【0024】
同図の画面は、主に、画面情報の検索条件入力領域410と、その下方左側のサムネイル表示領域470と、その右隣のカメラ画像再生表示領域480とから構成される。
【0025】
検索条件入力領域410は、データベース120に記録された運転情報のうち、チェック対象の運転情報を絞り込むために、記録日時や時間帯等の各種条件のユーザ入力を受け付ける領域である。
【0026】
サムネイル表示領域470は、検索条件入力領域410の入力により検索された各運転情報のカメラ画像をサムネイル表示する領域である。
【0027】
サムネイル表示中の各カメラ画像は、運転情報に含まれる複数のカメラ画像のうち、トリガ検出タイミングに撮影されたカメラ画像である。どのカメラ画像がトリガ検出タイミングに撮影されたカメラ画像であるかは、PC110が画像関連データの中の検知情報を見て判別する。検知情報が1であれば、その画像関連データに対応するカメラ画像がトリガ検出タイミングのもので、検知情報が0であれば、トリガ検出タイミングのものではない。
【0028】
各カメラ画像の左下角には、そのカメラ画像が何のトリガでもって撮影されたかを示すトリガ種別マークが付されている。各トリガ種別マークの意味は、図5に示す通りである。例えば、カメラ画像420の左下角に示されるトリガ種別マーク430は、緊急スイッチが押されたことにより撮影されたものであることを示している。
【0029】
カメラ画像420の右下角には、そのカメラ画像を含む運転情報には、第1カメラ220と第2カメラ260と第3カメラ265のうちの2つ以上により撮った画像が含まれていることを示すカメラマーク440が付されている。サムネイル表示中、このカメラマーク440が付されていないカメラ画像は、その運転情報には、第2カメラ260や第3カメラ265で撮ったカメラ画像がないことを示す。PC110は、運転情報に2つのカメラから撮られた画像が含まれているか、1つのカメラから撮られた画像が含まれているかを、画像関連データのデータ番号を見て判別している。より詳しくは、データ番号は、対応するカメラ画像が第1カメラ220のものであるか第2カメラ260のものであるか第3カメラ265のものであるかを示す符号が含まれており、PC110は、運転情報に含まれる各画像関連データのデータ番号を見て、第1カメラ220のみを含むか、第1カメラ220と第2カメラ260又は第3カメラ265の両方を含むかを判別する。
【0030】
その他、各カメラ画像の上側には、カメラ画像を記録した車両の車番とG値が、下側には日付と時刻が示されている。
【0031】
さて、カメラ画像420がマウス等で選択されると、カメラ画像再生表示領域480には、カメラ画像420の運転情報に含まれる複数のカメラ画像が最初から順番に再生される。このとき、再生中のカメラ画像の右下角には、カメラ種別ボタン460が表示される。ボタンの中が1となっているのは、そのカメラ画像が第1カメラ220で撮られた画像であることを示す。PC110は、最初、第1カメラ220でとられた各カメラ画像を順番に再生し、その再生中や再生停止中等にカメラ種別ボタン460がマウスでクリックされると、再生画像を第2カメラ260(又は第3カメラ265)で撮られたカメラ画像に切り替えて順番に再生する。このとき第2カメラ260(又は第3カメラ265)で撮られた画像であることを示すカメラ種別ボタンを同じく右下角に表示し、そのボタンの中は2(又は3)となっている
<動作>
図6(a)は、PC110がサムネイル表示をする際の、特に、各カメラ画像にトリガ種別マーク及びカメラマークを付す際の動作を示すフローチャートである。
【0032】
同図(a)において、PC110は、検索された各運転情報を読み出し(ステップS610)、各運転情報のトリガ種別を識別して対応するトリガ種別マークを決定し、データベースから対応するトリガ種別マークの画像を読み出す(ステップS620)。次に、PC110は、データ種別から、カメラ画像が第1カメラのみか、第1、第2カメラ両方を含むかを判別し、両方を含む場合にはデータベースからカメラマークを読み出す(ステップS630)。最後にPC110は、ステップS610からステップS630の過程で読み出した運転情報、トリガ種別、2種類のカメラ画像を含むものについてはカメラマークを合わせてサムネイル表示する(ステップS640)。
【0033】
図6(b)は、カメラ画像の再生中にカメラ種別ボタンが押された場合の動作を示すフローチャートである。
【0034】
カメラ画像の再生中または再生停止中において、右下のカメラ種別ボタンが押されると(ステップS650)、PC110は、表示しているカメラ画像が第1カメラのものである場合には第2カメラに、第2カメラのものである場合には第1カメラに切り替えてカメラ画像を表示する(ステップS660、S670)。そして、切り替え後のカメラ画像に対応したカメラ種別ボタンを表示する(ステップS680)。
【0035】
なお、上記各実施形態の各機能は、その機能をコンピュータ読み取り可能なプログラム言語で記述してそのプログラムをコンピュータに実行させることで実現しても良い。
【符号の説明】
【0036】
110 PC
120 データベース
130 メモリカードリーダ
140 プリンタ
210 ドライブレコーダ
220 第1カメラ
230 メモリカード
240 車両信号取得部
250 GPSアンテナ
260 第2カメラ
265 第3カメラ
270 マイク
280 外部スイッチ
290 AVMシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブレコーダによって記録された撮影画像および加速度情報を読み出す読出手段と、
前記読出手段によって読み出された撮影画像の中からトリガ発生に関連する画像を選択してサムネイル表示するとともに、前記サムネイル表示された画像に対応する加速度情報を該画像に対応付けて表示する表示制御手段とを有することを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
車両に搭載されたカメラによって撮影された撮影画像および前記車両に発生した加速度に関する加速度情報を記録媒体に記録するドライブレコーダと、
前記記録媒体から撮影画像および加速度情報を読み出す読出手段と、前記読出手段によって読み出された撮影画像の中からトリガ発生に関連する画像を選択してサムネイル表示するとともに、前記サムネイル表示された画像に対応する加速度情報を該画像に対応付けて表示する表示制御手段とを有する運転支援装置とから構成される運転支援システム。
【請求項3】
ドライブレコーダによって記録された撮影画像および加速度情報を読み出す読出処理と、
前記読出処理によって読み出された撮影画像の中からトリガ発生に関連する画像を選択してサムネイル表示するとともに、前記サムネイル表示された画像に対応する加速度情報を該画像に対応付けて表示する表示制御処理とを有することを特徴とする運転支援ソフト。
【請求項4】
車両に搭載されたカメラによって撮影された撮影画像および前記車両に発生した加速度に関する加速度情報を記録媒体に記録し、
前記記録媒体から撮影画像および加速度情報を読み出し、
前記読み出された撮影画像の中からトリガ発生に関連する画像を選択してサムネイル表示するとともに、前記サムネイル表示された画像に対応する加速度情報を該画像に対応付けて表示することを特徴とする運転支援方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−28748(P2011−28748A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161079(P2010−161079)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【分割の表示】特願2009−216608(P2009−216608)の分割
【原出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】