説明

運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラム

【課題】障害物に到達する前に車両が停止した後、円滑に隣接車線に車線変更を行うことが可能となる停止位置を案内することができる、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムを提供すること。
【解決手段】運転支援装置80は、車両が走行している車線において当該車両の前方に障害物が存在する場合に、障害物に到達する前に車両が停止すべき停止位置を案内する運転支援装置80であって、車両の旋回特性と車線の車線幅とに基づいて、車両が障害物を回避して車線に隣接する隣接車線に車線変更するために必要な車両と障害物との間の距離を算出する算出部81aと、算出部81aが算出した距離に基づいて、車両が停止すべき停止位置を特定する停止位置特定部81bと、特定された停止位置に関する案内を出力する出力制御部81cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の前方に障害物を検出した場合にその障害物の回避や衝撃軽減等のための車両制御を行う、車両制御装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載の車両制御装置では、自車両と前方車両とが衝突するおそれがあると判定された状況下で衝突防止制御を行う際、前方車両情報及び周辺道路状況を考慮することにより、ステアリング操作によって前方車両との衝突が回避できるか否かを判定し、回避できると判定した場合には自動変速機をホールド制御し、回避できないと判定した場合は自動変速機をシフトダウン制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−137562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の如き従来の装置では、自車の現在位置、進行方向、及び車速等の自車情報と、前方車両までの車間距離や前方車両と自車との相対速度等の前方車両情報とに基づいて、前方車両の回避に必要な距離(回避必要距離)を算出する旨は示されているものの、具体的な回避必要距離の算出方法については何ら開示されていなかった。このため、前方車両等の障害物の手前で停止する際、当該停止後に隣接車線に円滑に車線変更を行うために必要な距離が確保された適切な停止位置を特定することができず、円滑な車線変更を行うことが困難となる可能性があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、障害物に到達する前に車両が停止した後、円滑に隣接車線に車線変更を行うことが可能となる停止位置を案内することができる、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の運転支援装置は、車両が走行している車線において当該車両の前方に障害物が存在する場合に、当該障害物に到達する前に当該車両が停止すべき停止位置を案内する運転支援装置であって、前記車両の旋回特性と前記車線の車線幅とに基づいて、当該車両が前記障害物を回避して前記車線に隣接する隣接車線に車線変更するために必要な当該車両と当該障害物との間の距離を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した前記距離に基づいて、前記車両が停止すべき停止位置を特定する停止位置特定手段と、前記特定された停止位置に関する案内を出力する出力手段と、を備える。
【0007】
また、請求項2に記載の運転支援装置は、請求項1に記載の運転支援装置において、前記車線に隣接する隣接車線を走行する走行車両の基準車速を特定する車速特定手段を備え、前記算出手段は、前記車両が停止した状態から加速するために必要な加速距離を前記車速特定手段により特定された基準車速に基づいて算出し、前記停止位置特定手段は、前記算出手段が算出した前記加速距離に基づいて前記停止位置を特定する。
【0008】
また、請求項3に記載の運転支援装置は、請求項1又は2に記載の運転支援装置において、前記隣接車線上の他車の状況に基づいて、前記車両が前記停止位置に至るまでに当該前記隣接車線に車線変更可能か否かを判定する判定手段を備え、前記出力手段は、前記判定手段により前記車両が前記隣接車線に車線変更可能ではないと判定された場合に、前記停止位置に関する案内を出力する。
【0009】
また、請求項4に記載の運転支援方法は、車両が走行している車線において当該車両の前方に障害物が存在する場合に、当該障害物に到達する前に当該車両が停止すべき停止位置を案内する運転支援方法であって、前記車両の旋回特性と前記車線の車線幅とに基づいて、当該車両が前記障害物を回避して前記車線に隣接する隣接車線に車線変更するために必要な当該車両と当該障害物との間の距離を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出した前記距離に基づいて、前記車両が停止すべき停止位置を特定する停止位置特定ステップと、前記特定された停止位置に関する案内を出力する出力ステップと、を含む。
【0010】
また、請求項5に記載の運転支援プログラムは、請求項4に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の運転支援装置、請求項4に記載の運転支援方法、又は請求項5に記載の運転支援プログラムによれば、車両の旋回特性と車線幅とに基づいて、車両が障害物を回避して隣接車線に車線変更するために必要な車両と障害物との間の距離を算出し、当該算出した距離に基づいて車両が停止すべき停止位置を特定するので、障害物に到達する前に車両が停止した後、障害物を回避すると共に円滑に隣接車線に車線変更を行うことが可能となる停止位置を案内することができる。
【0012】
請求項2に記載の運転支援装置によれば、車両が停止した状態から加速するために必要な加速距離を隣接車線を走行する走行車両の基準車速に基づいて算出し、当該算出した加速距離に基づいて停止位置を特定するので、安全な速度まで加速した後、容易に隣接車線に合流することが可能となる停止位置を特定することができる。
【0013】
請求項3に記載の運転支援装置によれば、隣接車線上の他車の状況に基づいて、車両が停止位置に至るまでに当該隣接車線に車線変更可能ではないと判定された場合に、停止位置に関する案内を出力するので、車線変更が困難な場合に、障害物の手前で停止した後に円滑に車線変更が可能な停止位置を予め案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係る運転支援システムを例示するブロック図である。
【図2】運転支援処理のフローチャートである。
【図3】自車、障害物、及び隣接車線の位置関係を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムの各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(構成)
まず、実施の形態に係る運転支援システムの構成を説明する。図1は、実施の形態に係る運転支援システムを例示するブロック図である。図1に示すように、この運転支援システム1は車両(以下、必要に応じて「自車」)に搭載されるものであり、カメラ10、車速センサ20、前方監視センサ30、側方監視センサ40、現在位置検出処理部50、通信部60、表示部70、及び運転支援装置80を備えている。
【0017】
(構成−カメラ)
カメラ10は、車両の周辺を撮影する撮影手段である。このカメラ10は、例えば車両の前後バンパー近傍等に1台又は複数台設置され、車両の周辺を撮影する。カメラ10が撮影した画像データは、運転支援装置80に入力される。なお、カメラ10の具体的な構成は任意で、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の公知の撮像素子、及び魚眼レンズやプリズム等の公知の光学系部品を用いて構成されている。
【0018】
(構成−車速センサ)
車速センサ20は、車軸の回転数に比例する車速パルス信号等を運転支援装置80に出力するものであり、公知の車速センサを用いることができる。
【0019】
(構成−前方監視センサ)
前方監視センサ30は、車両の前方の障害物を監視する監視手段である。また、前方監視センサ30は車両から前方の障害物までの距離を測定することもできる。この前方監視センサ30としては、例えばレーザセンサやミリ波レーダセンサ、あるいはステレオカメラ等の公知の距離測定装置を用いることができる。
【0020】
(構成−側方監視センサ)
側方監視センサ40は、車両の側方の物体(他車等)を監視する監視手段である。この側方監視センサ40としては、例えば超音波センサやサイドカメラ等の公知の監視装置を用いることができる。
【0021】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部50は、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部50は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の車両の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0022】
(構成−通信部)
通信部60は、例えば他車の通信部、あるいは信号機や路上機(例えばビーコン)に設けられた通信機器との間で、例えば光ビーコン、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を用いて通信を行なう通信手段である。
【0023】
(構成−表示部)
表示部70は、運転支援装置80の制御に基づいて各種の画像を表示するものであり、後述する出力制御部81cと合わせて出力手段を構成する。なお、この表示部70の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイや、ヘッドアップディスプレイ、網膜投影型ディスプレイ等を使用することができる。
【0024】
(構成−運転支援装置)
運転支援装置80は、制御部81、及びデータ記録部82を備えている。
【0025】
(構成−運転支援装置−制御部)
制御部81は、運転支援装置80を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る運転支援プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して運転支援装置80にインストールされることで、制御部81の各部を実質的に構成する。
【0026】
この制御部81は、機能概念的に、算出部81a、停止位置特定部81b、出力制御部81c、車速特定部81d、及び判定部81eを備えている。
【0027】
算出部81aは、車両が障害物を回避して隣接車線に車線変更するために必要な車両と障害物との間の距離を算出する算出手段である。停止位置特定部81bは、車両が停止すべき停止位置を特定する停止位置特定手段である。出力制御部81cは、表示部70を介して停止位置に関する案内を出力する出力手段である。車速特定部81dは、隣接車線を走行する走行車両の基準車速を特定する車速特定手段である。判定部81eは、隣接車線上の他車の状況に基づいて、車両が停止位置に至るまでに隣接車線に車線変更可能か否かを判定する判定手段である。これらの制御部81の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0028】
(構成−運転支援装置−データ記録部)
データ記録部82は、運転支援装置80の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0029】
このデータ記録部82は、地図情報データベース(以下、データベースを「DB」と称する)82aを備えていると共に、車両情報82bを格納している。地図情報DB82aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、車線幅、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、停止線位置、ガードレール、建物等)、地形データ、地図を表示部70に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。また、車両情報82bとしては、例えば車両の全長、全幅、最小旋回半径等、車両に関する情報が格納される。
【0030】
(処理)
次に、このように構成される運転支援装置80によって実行される運転支援処理について説明する。図2は運転支援処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この運転支援処理は、例えば車両の走行開始後に所定周期にて繰り返し起動される。
【0031】
運転支援処理の起動後、算出部81aは前方監視センサ30からの入力に基づき、自車の前方に静止障害物があるか否かを判定する(SA1)。ここで静止障害物としては、例えば駐車又は停止中の車両や、工事現場等が該当する。その結果、静止障害物がないと判定した場合(SA1、No)、自車が停止すべき停止位置に関する案内を行う必要がないものとし、算出部81aは運転支援処理を終了する。
【0032】
一方、自車の前方に静止障害物があると判定した場合(SA1、Yes)、算出部81aは自車から前方の静止障害物までの距離を前方監視センサ30を介して測定する(SA2)。さらに、判定部81eは側方監視センサ40からの入力に基づき、隣接車線において自車の左側方を走行する車両の有無を検出する(SA3)。
【0033】
次に、車速特定部81dは、自車が走行する車線の左側の隣接車線を走行する走行車両の基準車速を特定する(SA4)。ここで、「基準車速」とは各車線を走行する走行車両の車速の基準となる値であり、例えば各走行車両の車速の平均値を基準車速として用いることができる。また、この基準車速を特定する方法は任意で、例えば隣接車線を走行する各車両によって収集されたプローブ情報を通信部60を介して取得し、当該取得したプローブ情報に含まれる車速情報に基づき、当該隣接車線を走行する車両の基準車速を特定することができる。
【0034】
次に、算出部81aは、自車が静止障害物を回避して左側の隣接車線に車線変更するために必要な自車と静止障害物との間の距離(以下、「車線変更必要距離」)を算出する(SA5)。図3は、自車、静止障害物、及び隣接車線の位置関係を示した平面図である。図3に示すように、自車が停止した状態から走行を開始し、円滑に左側の隣接車線に車線変更するためには、自車が左側の隣接車線を走行する車両の基準車速V1まで加速するために必要な加速距離L1と、自車が左側の隣接車線に車線変更するための旋回動作により前進する距離L2との和である車線変更必要距離Lを、自車が停止していた車線内で前進することとなる。従って、静止障害物を回避して円滑に左側の隣接車線に車線変更するためには、自車の停止位置と静止障害物との距離L3が車線変更必要距離L以上でなければならない。
【0035】
ここで、自車が停止状態から基準車速V1まで安全加速度a(例えば0.2G)で加速を行うために必要な加速距離L1は、L1=V1/2aとして算出することができる。また、自車が車速V1まで加速した後に左側の隣接車線に車線変更するための旋回動作により前進する距離L2は、自車の車幅の2分の1をw、自車の左前端から左側の隣接車線の境界線までの距離をl、及び自車の旋回半径をRとすると、L2=(R−(R−l−w)0.5として算出することができる。なお、自車の旋回半径Rの具体的な値は任意で、例えばデータ記録部82に記録されている車両情報82bに含まれる自車の最小旋回半径を用いてもよく、あるいは他の任意の旋回半径を用いてもよい。また、自車の左前端から左側の隣接車線の境界線までの距離lの特定方法は任意で、例えばカメラ10を介して取得した自車の周辺画像を画像解析することにより距離lを算出してもよく、あるいは自車が車線の中央に位置しているものと仮定した上で、自車の車幅と車線幅とに基づいて距離lを算出してもよい。また、自車の右側面が車線の右側の境界線上に位置しているものと仮定した上で、自車の車幅と車線幅とに基づいて距離lを算出することにより、自車が旋回動作により前進する距離L2が相対的に大きい値として算出されるようにし、より確実に静止障害物を回避し得るようにしてもよい。
【0036】
図2に戻り、SA5で車線変更必要距離Lを算出した後、停止位置特定部81bは、算出部81aが算出した車線変更必要距離Lに基づいて、自車が停止すべき停止位置を特定する(SA6)。上述したように、静止障害物を回避して円滑に左側の隣接車線に車線変更するためには、自車の停止位置と静止障害物との距離L3が車線変更必要距離L以上でなければならないことから、自車が停止すべき停止位置は静止障害物から自車に向かって車線変更必要距離L以上離れた位置として特定される。
【0037】
続いて判定部81eは、自車がSA6で特定された停止位置に至るまでに左側の隣接車線に車線変更可能か否かを判定する(SA7)。例えば判定部81eは、SA3において自車の左側方を走行する車両の存在が検出された場合は車線変更可能でないと判定し、自車の左側方を走行する車両の存在が検出されなかった場合は車線変更可能であると判定する。その結果、車線変更可能であると判定した場合(SA7、Yes)、自車が静止障害物を回避するためには車線変更を行えばよく、自車が停止すべき停止位置に関する案内を行う必要がないものとし、判定部81eは運転支援処理を終了する。
【0038】
一方、自車がSA6で特定された停止位置に至るまでに左側の隣接車線に車線変更可能でないと判定した場合(SA7、No)、車線変更により静止障害物を回避することはできないものとし、判定部81eは自車がSA6で特定された停止位置に到達する前であるか否かを判定する(SA8)。例えば判定部81eは、現在位置検出処理部50を介して特定した自車の現在位置に基づき、自車が停止位置に到達する前であるか否かを判定する。
【0039】
その結果、自車がSA6で特定された停止位置に到達する前ではないと判定した場合(自車が停止位置を通過してしまった場合)(SA8、No)、自車が停止すべき停止位置に関する案内を行うことができないものとし、判定部81eは運転支援処理を終了する。
【0040】
一方、自車がSA6で特定された停止位置に到達する前であると判定した場合(SA8、Yes)、出力制御部81cは、SA6で特定された停止位置に関する案内を表示部70を介して出力させる(SA9)。この場合の案内の出力態様は任意で、例えば運転者の視界内において停止位置を示す線が道路に重畳表示されるようにヘッドアップディスプレイ上に表示したり、カメラ10によって撮影された自車の前方の画像に停止位置を示す線を重畳してディスプレイ上に表示したりすることができる。自車が停止位置に到達するまで当該停止位置に関する案内を出力した後、出力制御部81cは運転支援処理を終了する。
【0041】
(効果)
このように実施の形態によれば、車両の旋回特性と車線幅とに基づいて、車両が障害物を回避して隣接車線に車線変更するために必要な車両と障害物との間の距離を算出し、当該算出した距離に基づいて車両が停止すべき停止位置を特定するので、障害物に到達する前に車両が停止した後、障害物を回避すると共に円滑に隣接車線に車線変更を行うことが可能となる停止位置を案内することができる。
【0042】
また、車両が停止した状態から加速するために必要な加速距離を隣接車線を走行する走行車両の基準車速に基づいて算出し、当該算出した加速距離に基づいて停止位置を特定するので、安全な速度まで加速した後、容易に隣接車線に合流することが可能となる停止位置を特定することができる。
【0043】
また、隣接車線上の他車の状況に基づいて、車両が停止位置に至るまでに当該隣接車線に車線変更可能ではないと判定された場合に、停止位置に関する案内を出力するので、車線変更が困難な場合に、障害物の手前で停止した後に円滑に車線変更が可能な停止位置を予め案内することができる。
【0044】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0045】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0046】
(運転支援処理について)
上述の実施の形態では、自車が右側車線を走行中の場合に停止位置に関する案内を出力する場合を例として説明したが、自車が左側車線を走行中の場合であっても、自車の前方に静止障害物があると判定した場合には停止位置に関する案内を出力するようにしてもよい。例えば、左側車線において工事等により交通規制が行われている場合や、バスが停留所で停止した場合等が想定される。
【0047】
また、上述の実施の形態では、自車の前方に静止障害物が有る場合に停止位置に関する案内を行うと説明したが、静止障害物に限定せず、自車の前方を走行中の先行車両を障害物として検出するようにしてもよい。この場合、算出部81aは、先行車両が障害物となる可能性があるか否かを判定する。例えば、自車が走行している車線を特定し、当該車線の進行方向特性や、周辺の施設、分岐の位置等に基づいて、当該特定した車線から進入可能な分岐路や施設がある場合(例えば、自車の走行車線が交差点の右折レーンとなっている場合)には、先行車両がそれらの分岐路や施設に進入するために停止する可能性があることから、当該先行車両が障害物となる可能性があると判定する。
【0048】
また、上述の実施の形態では、自車が車速V1まで加速した後に車線変更するための旋回動作を行うことを前提としてL2を求める場合を説明したが、自車が旋回動作を行いながら車速V1まで加速することを前提として車線変更必要距離Lを求めてもよい。この場合は、車線変更必要距離LはL1+L2未満であり、且つL2以上の値となる。
【0049】
また、上述の実施の形態では、車線変更距離Lのうち加速距離L1を自車が基準車速V1まで加速するために必要な距離として算出しているが、基準車速V1に基づく任意の車速(例えば、基準車速V1の0.8倍の車速)まで加速するために必要な距離として加速距離L1を算出してもよい。
【0050】
また、上述の実施の形態では、走行軌跡が旋回半径Rの円弧となる旋回動作を自車が行う場合を例として説明したが、走行軌跡がクロソイド曲線となるように自車が旋回動作を行う場合についても、公知のクロソイド計算により自車の旋回動作における走行軌跡を特定し、当該走行軌跡に基づいてL2を算出してもよい。
【0051】
また、自車が停止した状態から車線変更を完了するまでの自車の左右前端部の軌跡を特定し、当該特定した軌跡が障害物に重複しない位置を停止位置として特定してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 運転支援システム
10 カメラ
20 車速センサ
30 前方監視センサ
40 側方監視センサ
50 現在位置検出処理部
60 通信部
70 表示部
80 運転支援装置
81 制御部
81a 算出部
81b 停止位置特定部
81c 出力制御部
81d 車速特定部
81e 判定部
82 データ記録部
82a 地図情報DB
82b 車両情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行している車線において当該車両の前方に障害物が存在する場合に、当該障害物に到達する前に当該車両が停止すべき停止位置を案内する運転支援装置であって、
前記車両の旋回特性と前記車線の車線幅とに基づいて、当該車両が前記障害物を回避して前記車線に隣接する隣接車線に車線変更するために必要な当該車両と当該障害物との間の距離を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した前記距離に基づいて、前記車両が停止すべき停止位置を特定する停止位置特定手段と、
前記特定された停止位置に関する案内を出力する出力手段と、
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記車線に隣接する隣接車線を走行する走行車両の基準車速を特定する車速特定手段を備え、
前記算出手段は、
前記車両が停止した状態から加速するために必要な加速距離を前記車速特定手段により特定された基準車速に基づいて算出し、
前記停止位置特定手段は、
前記算出手段が算出した前記加速距離に基づいて前記停止位置を特定する、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記隣接車線上の他車の状況に基づいて、前記車両が前記停止位置に至るまでに当該隣接車線に車線変更可能か否かを判定する判定手段を備え、
前記出力手段は、
前記判定手段により前記車両が前記隣接車線に車線変更可能ではないと判定された場合に、前記停止位置に関する案内を出力する、
請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
車両が走行している車線において当該車両の前方に障害物が存在する場合に、当該障害物に到達する前に当該車両が停止すべき停止位置を案内する運転支援方法であって、
前記車両の旋回特性と前記車線の車線幅とに基づいて、当該車両が前記障害物を回避して前記車線に隣接する隣接車線に車線変更するために必要な当該車両と当該障害物との間の距離を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出した前記距離に基づいて、前記車両が停止すべき停止位置を特定する停止位置特定ステップと、
前記特定された停止位置に関する案内を出力する出力ステップと、
を含む運転支援方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法をコンピュータに実行させる運転支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−98614(P2011−98614A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253658(P2009−253658)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】