説明

運転特性取得装置及び交通シミュレーションシステム

【課題】運転者の運転特性に関する情報を効率良く取得して正確な運転特性を取得することができる運転特性取得装置及び交通シミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】運転者の運転中に運転者の生理データを取得する生理データ取得部11と、車両状態情報、交通情報又は走行履歴情報を取得する情報取得部12と、生理データ取得部11により取得した生理データ、及び情報取得部12により取得した情報に基づいて、運転者が回答したアンケート結果を補正するアンケート結果補正部13と、アンケート結果補正部13により補正されたアンケート結果に基づいて運転者の運転特性を取得する特性取得部14と、を備えることにより、客観性のあるアンケート結果を効率良く取得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転特性取得装置及び交通シミュレーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者(運転者)の心身状態を判定する装置として、被験者の心身状態に対する自己の評価と、計測データとを用いて自己評価の妥当性を判定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の装置は、被験者が回答した心身状態に関するアンケート結果と、生理データに基づいて判断された心身状態とを比較し、比較結果を被験者に報知するものである。
【特許文献1】特開平11−169362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、運転者が回答したアンケート結果は、被験者の運転特性を把握する際に好適に用いられている。そして、被験者の運転特性は、例えば交通状況を模擬する交通シミュレーションに好適に採用されている。
【0004】
しかしながら、従来の装置にあっては、アンケート結果の客観性について判断するのみであるため、運転者の本来の運転特性を反映したアンケート結果を取得することができない。また、例えば、アンケートに回答した日の被験者の体調が被験者の本来の体調でない場合や、アンケートに回答した日から日数が経過して被験者の運転技術が向上する場合があり、被験者の主観的判断自体が変化することがある。この場合、最初のアンケート結果を用いて運転特性を把握すると、本来の運転者の運転特性とはならない場合がある。
【0005】
そこで、本発明はこのような技術課題を解決するためになされたものであって、運転者の運転特性に関する情報を効率良く取得して正確な運転特性を取得することができる運転特性取得装置及び交通シミュレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る運転特性取得装置は、運転者の運転行動又は心身状態に関する運転特性マップに基づいて運転者の運転特性を取得する運転特性取得装置であって、運転者の運転中に取得した生理データと、車両状態情報、交通情報又は走行履歴情報から取得した情報とに基づいて補正された運転特性マップに基づいて運転者の運転特性を取得する特性取得手段とを備えて構成される。
【0007】
本発明によれば、運転中の運転者の生理データと、運転中の車両状態情報、交通情報又は走行履歴情報から取得した情報とに基づいて、運転特性マップを更新することができる。ここで、運転特性マップとは、運転者の運転特性に関する情報であって、所定の運転場面に対して運転者が行う運転行動の傾向又は所定の運転場面における運転者の心身状態を示すものである。本発明では、運転特性マップを生理データや車両状態等の客観的なデータで真値に補正することができる。このため、被験者に対してアンケートを実施することなく、客観性のある運転特性マップを効率良く取得することが可能となる。よって、正確な運転特性を取得することができる。
【0008】
ここで、運転特性取得装置は、運転特性マップとして運転者が回答した運転行動又は心身状態に関するアンケート結果を入力するアンケート結果入力手段を備えることが好適である。このように構成することで、運転特性マップとして運転者によって事前回答されたアンケート結果がアンケート結果入力手段により入力されて初期値とされるので、運転者の本来の運転特性を迅速に取得することが可能となる。
【0009】
また、運転特性取得装置は、特性取得手段により取得された運転特性を用いて事故予測を行う予測手段を備えることが好適である。このように構成することで、正確な運転特性に基づいて、精度良く事故予測をすることができる。
【0010】
また、予測手段は、特性取得手段により取得された運転特性及び目的地までの走行経路に基づいて想定事故を予測し、想定事故の発生確率を算出することが好適である。このように構成することで、例えば運転者に想定事故の形態及び想定事故の発生確率を報知することにより、運転者の安全運転に対する意識を高めることができるので、事故の発生の低減を図ることが可能となる。
【0011】
また、予測手段により予測した想定事故の場面を表示する表示手段を備えることが好適である。このように構成することで、運転者の安全運転に対する意識を一層高めることができる。
【0012】
さらに、運転者の運転する車両に運転支援システムが搭載されている場合には、特性取得手段により取得された運転特性に基づいて、運転支援システムの作動タイミングを変更する作動タイミング変更手段を備えることが好適である。このように構成することで、例えば運転者の安全運転に対する意識が低い場合には、運転支援システムの作動タイミングを早めて走行の安全性の向上に寄与することができる。
【0013】
また、本発明に係る交通シミュレーションシステムは、運転者の運転行動又は心身状態に関する運転特性マップに基づいて運転者の運転特性を取得する運転特性取得装置、及び、運転特性取得装置と通信可能に構成されるシミュレーション装置を有する交通シミュレーションシステムであって、運転特性取得装置は、運転者の運転中に運転者の生理データを取得する生理データ取得手段と、車両状態情報、交通情報又は走行履歴情報を取得する情報取得手段と、生理データ取得手段により取得した生理データ、及び情報取得手段により取得した情報に基づいて、運転特性マップを補正する結果補正手段と、結果補正手段により補正された運転特性マップに基づいて運転者の運転特性を取得する特性取得手段と、を備え、シミュレーション装置は、運転特性取得装置により取得された運転特性に基づいて事故予測を行う予測手段を備えて構成される。
【0014】
本発明に係る交通シミュレーションシステムによれば、運転中の運転者の生理データが生理データ取得手段により取得され、運転中の車両状態情報、交通情報又は走行履歴情報が情報取得手段により取得され、取得した生理データ、及び車両状態情報、交通情報若しくは走行履歴情報に基づいて運転特性マップが結果補正手段により更新される。このように、運転特性マップを生理データや車両状態等の客観的なデータで補正することができる。このため、被験者に対してアンケートを実施することなく、客観性のある運転特性マップを効率良く取得することが可能となる。よって、正確な運転特性を取得することができる。また、運転特性取得装置と通信可能なシミュレーション装置に多数の運転者の運転特性を集約することができるので、多数の運転者の運転特性を利用して交通シミュレーションの再現性の向上を図ることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る運転特性取得装置は、運転者が意識している運転行動又は心身状態を記録するデータと、運転者の運転状態又は生理状態とからデータを補正して運転者の運転特性を取得する運転特性取得装置である。本発明に係る運転特性取得装置によれば、運転者の本来の運転特性を取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、運転者の運転特性に関する情報を効率良く取得して正確な運転特性を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
(第1実施形態)
本実施形態に係る運転特性取得装置(運転特性取得部)を備える交通シミュレーションシステムは、例えば、交通状況を模擬するために好適に採用されるものである。
【0019】
最初に、本実施形態に係る交通シミュレーションシステムの概要を説明する。図1は、本実施形態に係る交通シミュレーションシステムの概要図である。
【0020】
図1に示すように、交通シミュレーションシステム5は、車両A(n:自然数)及びシミュレーション装置2を備えて構成されている。各車両Aは、被験者が運転する車両であって、例えば路車間通信によりシミュレーション装置2と通信可能に構成されている。シミュレーション装置2は、各車両Aと通信することで各車両Aの運転者の運転特性をそれぞれ取得し、取得した運転特性や交通流情報等に基づいてシミュレーションする機能を有している。
【0021】
次に、本実施形態に係る運転特性取得部を備える交通シミュレーションシステムの詳細を説明する。図2は、本実施形態に係る交通シミュレーションシステムの各構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、車両A(m:自然数、m≦n)は、例えば、生理データ計測器30、ナビゲーションシステム31、センサ32、車両側通信部33及びECU(Electronic Control Unit)1を備えている。ECUは、電子制御する自動車デバイスのコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random AccessMemory)等のメモリ、及び入出力インターフェイスなどを備えて構成されている。
【0023】
生理データ計測器30は、被験者(運転者)の生体データを取得する機能を有している。生理データ計測器30として、例えば、運転者の呼気を検出するセンサや、ハンドル等に配置され運転者の心拍数を検出する心電位検出センサ、運転者の血圧を検出する血圧センサ等が用いられる。また、生理データ計測器30は、検出した生体データ(心拍数、呼気、血圧等)をECU1へ出力する機能を有している。
【0024】
ナビゲーションシステム31は、GPS(GlobalPositioning System)受信機(不図示)によって受信されたGPS衛星信号に基づいて車両Aの位置情報を検出する機能を有している。また、ジャイロセンサ(不図示)からの信号に応じて車両3の進行方向を検出する機能を有している。そして、ナビゲーションシステム31は、運転者に対して目的地までの経路を案内する機能、及び、実際に走行した経路をデータベース等に記録する機能を有している。また、ナビゲーションシステム31は、地図情報を格納したデータベースを参照可能に構成されている。さらに、ナビゲーションシステム31は、各情報をECU1へ出力する機能を有している。
【0025】
センサ32は、車両Aの周囲の走行環境や、車両Aの車両状態を取得する機能を有している。センサ32としては、例えば、車両Aが走行する道路のレーンを認識するためのレーン認識センサや画像センサ、車両Aの周辺障害物を検知する電磁波センサやミリ波センサ、車両Aのヨーレートを計測するヨーレートセンサ、車両Aの車輪速を計測する車輪速センサ等が用いられる。また、センサ32は、取得した情報をECU1へ出力する機能を有している。
【0026】
車両側通信部33は、例えば、路側に配置された路側運転支援装置4やシミュレーション装置2と路車間通信する機能を有している。例えば、車両側通信部33は、路側運転支援装置4と通信して交通情報や環境情報を受信する機能を有している。路側運転支援装置4として、例えば光ビーコンが用いられる。また、車両側通信部33は、車両Aの周囲の車両と車車間通信することにより、交通情報や環境情報を取得する機能を有していても良い。なお、シミュレーション装置2との通信内容の詳細については、後述する。
【0027】
ECU1は、運転特性取得部として機能するものであり、アンケート結果入力部(アンケート結果入力手段)10、生理データ取得部(生理データ取得手段)11、情報取得部(情報取得手段)12、アンケート結果補正部(結果補正手段)13及び特性取得部(特性取得手段)14を備えている。
【0028】
アンケート結果入力部10は、被験者が回答したアンケート結果を入力する機能を有している。このアンケートは、運転行動又は心身状態に関するアンケートであって、運転特性を取得するために、例えば車両購入時に販売店で行われたり運転前に事前に行われたりするものである。運転行動又は心身状態に関するアンケートの内容は、運転者の運転行動を定義する運転特性のパラメータのうち、定量的に測定する手段がなく、運転者の意思判断決定に大きく影響するパラメータに関する質問事項となる。例えば、運転特性のパラメータとして、車両操作能力、法規モラル、判断スキル、意識水準、車両間隔、行動タイミング、操舵速度、アクセル/ブレーキ傾向等が用いられるが、これらのうち、車両操作能力、法規モラル、判断スキルは定量的に測定する手段がなく、かつ、運転者の意思判断決定に大きく影響するパラメータである。よって、アンケートの内容として、例えば、車両操作能力、法規モラル、判断スキルに関する質問事項が用いられる。また、アンケートは、記述的アンケートが用いられる。例えば、質問事項に当てはまる度合いを区分する回答が設けられており、運転者により選択された区分が当該運転者の回答となる。アンケート結果入力部10は、入力されたアンケート結果を図示しない記録部にアンケートデータマップ(運転特性マップ)として記録するとともに、アンケート結果補正部13へ出力する機能を有している。
【0029】
生理データ取得部11は、生理データ計測器30から運転者の生理データを入力する機能を有している。また、生理データ取得部11は、入力した生理データをアンケート結果補正部13へ出力する機能を有している。
【0030】
情報取得部12は、車両状態情報、交通情報、又は走行履歴情報を取得する機能を有している。例えば、情報取得部12は、センサ32から車両状態を示す情報(車速、加速度、進行方向、ブレーキ/アクセル情報、操舵情報等)を入力する機能を有している。また、例えば、情報取得部12は、車両側通信部33から交通情報、天候情報等を入力する機能を有している。また、例えば、情報取得部12は、ナビゲーションシステム31から地図情報、制限速度情報、車両状態情報、走行経路履歴情報等を入力する機能を有している。また、情報取得部12は、取得した情報をアンケート結果補正部13へ出力する機能を有している。
【0031】
アンケート結果補正部13は、運転者が回答したアンケート結果を補正する機能を有している。例えば、アンケート結果補正部13は、生理データ取得部11により取得した生理データ、及び情報取得部12により取得した車両状態情報、交通情報、又は走行履歴情報に基づいて、記録部に記録されたアンケートデータマップを順次補正してアンケートデータマップを記録部に更新記録させる機能を有している。また、アンケート結果補正部13は、補正したアンケート結果を特性取得部14へ出力する機能を有している。
【0032】
特性取得部14は、アンケート結果に基づいて運転特性を取得する機能を有している。例えば、特性取得部14は、アンケート結果及び普段の運転行動データに基づいて、車両操作能力、法規モラル、判断スキル、意識水準、視覚能力、聴覚能力、記憶力、車両間隔、行動タイミング、操舵速度、アクセル/ブレーキ傾向等の運転特性パラメータを取得する機能を有している。
【0033】
次に、車両Aと通信するシミュレーション装置2の構成について説明する。シミュレーション装置2は、装置側通信部20、運転特性パラメータDB21、予測部(予測手段)22及び表示部23を備えている。ここで、運転特性パラメータDB21には、通信手段を介して運転特性取得部14から送信された更新記録された運転者のアンケートデータマップを逐次受信して蓄積される。
【0034】
装置側通信部20は、車両Aと通信可能に構成されており、例えば車両側通信部33から車両Aの運転者の運転特性を受信する機能を有している。また、装置側通信部20は、受信した運転特性を運転特性パラメータDB21に格納する機能を有している。運転特性パラメータDBは、運転特性を格納するデータベースである。
【0035】
予測部22は、運転特性パラメータDB21を参照可能に構成され、運転者の事故を予測する機能を有している。例えば、予測部22は、交通環境、運転特性、車両をモデル化して、時間を加速させた加速シミュレーションを行い、事故を予測する機能を有している。例えば、予測部22は、シミュレーションした交通状況において、事故予測対象である車両Aの運転者の運転特性と、車両Aの走行経路に基づいて、車両Aの想定事故を予測する機能を有している。そして、予測部22は、シミュレーションすることにより、車両Aの運転者の想定事故の発生確率を算出する機能を有している。また、予測部22は、予測した想定事故の場面を再現する機能を有している。そして、予測部22は、想定事故に関する情報を表示部23に出力する機能を有している。なお、現実の交通情報は、例えば路側運転支援装置4から通信により取得したものが用いられる。
【0036】
表示部23は、予測部22のシミュレーション結果を表示する機能を有しており、例えばディスプレイが用いられる。
【0037】
次に、本実施形態に係る運転特性取得部の動作について説明する。最初に本実施形態に係る運転特性取得部の生理データ計測処理を説明する。図3は、本実施形態に係る運転特性取得部の生理データ計測動作を示すフローチャートである。図3に示す制御処理は、例えば、車両AがイグニッションONされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0038】
図3に示すように、ECU1は、生理データ取得処理から開始する(S10)。S10の処理は、生理データ取得部11が実行し、生理データ計測器30から生理データを入力する処理である。生理データ取得部11は、例えば、運転者の心拍数、血圧、呼気等の情報を生理データ計測器30から入力して記録する。S10の処理が終了すると、基準値算出処理へ移行する(S12)。
【0039】
S12の処理は、アンケート結果補正部13が実行し、S12の処理で入力し記録した生理データに基づいて、運転者の平常時における生理データの基準値を算出する処理である。例えば、蓄積した生理データの平均値に標準偏差を加えたものを基準値とする。S12の処理が終了すると、閾値設定処理へ移行する(S14)。
【0040】
S14の処理は、アンケート結果補正部13が実行し、S12の処理で設定した基準値に基づいて、閾値を設定する処理である。この閾値は、運転者の心身状態が平常時の心身状態であるか否かを判断するために用いられる。アンケート結果補正部13は、例えば閾値として、蓄積した生理データの標準偏差を設定する。S14の処理が終了すると、図3に示す制御処理を終了する。
【0041】
図3に示す制御処理を繰り返し実行することにより、所定のタイミングでの運転者の生理データが取得されるとともに、蓄積された生理データから平常時であるか否かを判断するための閾値が設定される。
【0042】
次に、本実施形態に係る運転特性取得部のアンケート補正処理を説明する。図4は、本実施形態に係る運転特性取得部のアンケート補正動作を示すフローチャートである。図4に示す制御処理は、例えば、車両AがイグニッションONされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、以下では説明理解の容易性を考慮して、図5に示すアンケートを事前に実施済みであるものとする。図5は、アンケート(運転特性マップ)の一例であって、運転行動スタイルチェックシート(DSQ)、運転負担度チェックシート(WSQ)に準じたものである。そして、アンケートの質問内容は、ある運転場面にどの程度負担を感じるかを調査するものであり、質問に対して「非常に当てはまる」「少し当てはまる」「どちらでもない」「あまり当てはまらない」「全く当てはまらない」の5段階の回答が用意されている。
【0043】
まず、ECU1は、図4に示すように、情報入力処理から開始する(S20)。S20の処理は、情報取得部12が実行し、車両状態情報、交通情報、又は走行履歴情報等を、ナビゲーションシステム31、路側運転支援装置4、又はセンサ32から取得する処理である。S20の処理が終了すると、運転場面判定処理へ移行する(S22)
【0044】
S22の処理の処理は、アンケート結果補正部13が実行し、現在の運転場面を判定する処理である。アンケート結果補正部13は、S20の処理で取得した情報に基づいて、現在の運転場面が、アンケートの質問項目に示される場面であるかを判定する。例えば、現在の運転場面が、図5に示すように、「渋滞中の道路を運転する場面(質問項目1)」「照り返しがある状況下で運転する場面(質問項目2)」「初めて走行する道路を運転する場面(質問項目3)」「制限速度を超えて運転する場面(質問項目4)」「車線変更する場面(質問項目5)」の何れかの運転場面であるか否かを判定する。質問項目1の場面であるか否かは、例えば、路側運転支援装置4から取得した交通情報や、センサ32から取得したアクセル/ブレーキ情報、操舵情報に基づいて、渋滞中の道路を運転しているか否かを判定する。また、質問項目2の場面であるか否かは、例えば、ナビゲーションシステム31から取得した地図情報、天候情報、現在地点、進行方向等に基づいて、照り返しがある(又は光源に正対する)状況で運転しているか否かを判定する。また、質問項目3の場面であるか否かは、例えば、ナビゲーションシステム31から取得した過去の走行履歴情報と現在位置に基づいて、初めて走行する道路を運転しているか否かを判定する。また、質問項目4の場面であるか否かは、例えば、ナビゲーションシステム31から取得した地図情報、制限速度情報、車速、路側運転支援装置4から取得した周囲車両の走行流に基づいて、制限速度を超えた運転をしているか否かを判定する。また、質問項目5の場面であるか否かは、例えば、S22の処理で取得した地図情報、走行車線情報、ウィンカ点灯情報、操舵情報に基づいて、現在、車線変更をしているか否かを判定する。このように、アンケート結果補正部13は、現在の運転場面がアンケートの質問項目1〜5の運転場面に一致するか否かを判定する。そして、現在の運転場面がアンケートの運転場面の何れかに一致すると判定した場合には、生理データ判定処理へ移行する(S24)。
【0045】
S24の処理は、アンケート結果補正部13が実行し、現在の生理データが閾値を越えたか否かを判定する処理である。すなわち、運転者が現在の運転場面において負担を感じているのか否かを判定する処理である。閾値は、図3のS14の処理で設定した値である。なお、説明理解の容易性を考慮して、ここでは閾値として生理データの平均値を用いた場合を説明する。S24の処理において、閾値を超えていると判定した場合には、連続回数判定処理へ移行する(S26)。
【0046】
S26の処理は、アンケート結果補正部13が実行し、S24の処理を実行した時から所定期間経過するまでの間において取得した生理データに対して閾値を超えているか否かを判定する処理を繰り返し、n回連続して閾値を越えたか否かを判定する処理である。すなわち、一時的に閾値を超えた場合を排除する処理である。S26の処理において、n回連続して閾値を超えていると判定した場合には、アンケート結果更新処理へ移行する(S28)
【0047】
S28の処理は、アンケート結果補正部13が実行し、アンケート結果を補正する処理である。S24、S26の処理において、運転者は現在の運転場面において負担を感じていると判定したため、当該運転場面における質問事項に関する回答を、「負担が高い」とする回答へ補正する。例えば、負担を示す度合いの区分を、現在の区分からより負担の大きい区分へ変更する。なお、補正する対象のアンケート結果は、初回処理の場合には運転者が回答したアンケート結果であり、2回目以降の処理の場合には、処理直前のアンケート結果となる。すなわち、一度アンケート結果が補正された場合には、補正後のアンケート結果を用いて処理を行う。S28の処理が終了すると、図6に示す制御処理を終了する。
【0048】
一方、S24の処理において、閾値を超えていないと判定した場合には、連続回数判定処理へ移行する(S30)。S30の処理は、アンケート結果補正部13が実行し、S24の処理を実行した時から所定期間経過するまでの間において取得した生理データに対して閾値を超えているか否かを判定する処理を繰り返し、n回連続して閾値以下か否かを判定する処理である。すなわち、一時的に閾値以下となった場合を排除する処理である。S30の処理において、n回連続して閾値以下となったと判定した場合には、アンケート結果更新処理へ移行する(S32)
【0049】
S32の処理は、アンケート結果補正部13が実行し、運転者が回答したアンケート結果を補正する処理である。S24、S30の処理において、運転者は現在の運転場面において負担を感じていないと判定したため、当該運転場面における質問事項に関する回答を、「負担が低い」とする回答へ補正する。例えば、負担を示す度合いの区分を、現在の区分からより負担の低い区分へ変更する。なお、補正する対象のアンケート結果は、初回処理の場合には運転者が回答したアンケート結果であり、2回目以降の処理の場合には、処理直前のアンケート結果となる。すなわち、一度アンケート結果が補正された場合には、補正後のアンケート結果を用いて処理を行う。S28の処理が終了すると、図6に示す制御処理を終了する。
【0050】
一方、S22の処理において、現在の運転場面がアンケートの運転場面に一致しないと判定した場合には、アンケート結果を更新する必要がないとして、図4に示す制御処理を終了する。また、S26の処理において、n回連続して閾値を超えていないと判定した場合には、S24の判定結果は一時的なものであると判定し、図4に示す制御処理を終了する。同様に、S30の処理において、n回連続して閾値以下でないと判定した場合には、S24の判定結果は一時的なものであると判定し、図4に示す制御処理を終了する。
【0051】
以上で図4に示す制御処理を終了する。図4に示す制御処理を実行することにより、運転者により回答されたアンケートが、生体データ及び運転場面に基づいて、客観的な判断となるように自動で変更される。
【0052】
次に、本実施形態に係る運転特性取得部の作用効果について説明する。図6は、本実施形態に係る運転特性取得部の作用効果を説明するための概要図である。図6(A)〜図6(D)は、図5に示すアンケートと同一のアンケートであって、所定時刻でのアンケート結果を(A)から(D)の順に時系列で示すものである。そして、処理開始時のアンケート結果が図6(A)であるとする。
【0053】
ここで、図4のS22の処理において、例えば、現在の運転場面が質問項目2の運転場面と同一であると判定したとする(図6(A))。そして、図4のS24の処理において、心拍数等の生体データが閾値を超えており、図4のS26の処理において、n回連続して閾値を超えたと判定したとする。この場合、図6(B)に示すように、図6(A)に示す質問項目2に対する回答4は、より負担が高い回答3に補正される(図4のS28)。そして、補正後の図6(C)が運転者のアンケート結果とされる。
【0054】
次に、補正から所定時間経過後、図4のS22の処理で、例えば、現在の運転場面が図質問項目5の運転場面と同一であると判定したとする(図6(C))。そして、図4のS24の処理において、心拍数等の生体データが閾値を超えておらず、図4のS30の処理において、n回連続して閾値以下であると判定したとする。この場合、図6(D)に示すように、図6(C)に示す質問項目5に対する回答2は、より負担が低い回答3に補正される(図4のS32)。そして、補正後の図6(D)が運転者のアンケート結果とされる。
【0055】
このように、質問項目に示す運転場面に遭遇した時に、該当する質問項目の回答のみが評価、更新される。そして、アンケートの更新が繰り返されると回答の推移は収束していく。すなわち、アンケート結果を生体データに基づいた客観的評価へと近づけることができる。そして、特性取得部14は、アンケート結果に基づいて、運転特性を取得する処理を繰り返し行う。例えば、特性取得部14は、アンケート結果及び普段の運転行動データに基づいて、車両操作能力、法規モラル、判断スキル、意識水準、視覚能力、聴覚能力、記憶力、車両間隔、行動タイミング、操舵速度、アクセル/ブレーキ傾向等の運転特性パラメータを取得する。図3、4の制御処理を実行することにより、アンケート結果を客観的評価へと近づけることができるので、特性取得部14が取得する運転特性の精度を向上させることができる。よって、真値に近い運転特性パラメータを取得することができる。
【0056】
次に、本実施形態に係る交通シミュレーションシステム5の動作について説明する。まず、シミュレーション装置2と通信可能に構成された車両Aは、車両Aそれぞれの運転特性パラメータを、シミュレーション装置2に送信する。例えば、車両Aにエージェントが設定されており、当該エージェントにより自動的に車両Aからシミュレーション装置2へ運転特性パラメータを送信する。そして、シミュレーション装置2は、受信した運転特性パラメータを運転特性パラメータDB21に格納する。
【0057】
シミュレーション装置2は、運転特性パラメータDB21に格納された運転特性パラメータに基づいて、交通シミュレーションを行う。この交通シミュレーション処理は、運転特性パラメータの取得処理後であれば、いつでも実行することが可能である。
【0058】
ここで、交通シミュレーションシステム5の想定事故の予測動作について説明する。シミュレーション装置の予測部22は、運転特性パラメータDB21を参照し、車両Aの運転者の想定事故を予測する。例えば、予測部22は、路側運転支援装置4から交通情報を入力し、交通環境をモデル化する。また、運転特性パラメータDB21から車両Aの運転特性を入力し、運転者をモデル化する。さらに、予め取得した車両の諸元情報等に基づいて、車両をモデル化する。予測部22は、モデル化した交通環境、運転者、車両に基づいて、交通状況をシミュレーションする。この交通シミュレーションとして、例えば、数年間分の時間を加速させた加速シミュレーションを行う。そして、車両Aの運転者が将来的に遭遇する想定事故の形態と確率(回数)を予測する。これにより、例えば、車両Aの運転者が今後一年間に遭遇する想定事故を、「追突事故:1.2件」「右折事故:0.4件」「出合頭での事故:0.7件」「ヒヤリハット:9件」と事故形態ごとに予測することができる。ヒヤリハットは、事故には至らないものの運転者が事故に遭いそうになって「はっ」とする場面である。そして、想定事故の形態や発生確率等を運転者に報知することで、現状の運転のリスクを運転者に認識させることができる。なお、運転者の目的地までの走行経路を用いて、当該経路が含まれる領域の交通流に基づいてシミュレーションしてもよい。また、予測部22は、交通環境、運転者、車両をモデル化することにより想定事故の場面を再現する。そして、再現した想定事故の場面をディスプレイ等に表示して運転者に報知する。このため、運転者の安全走行に対する意識を高めることができる。
【0059】
次に、本実施形態に係る交通シミュレーションシステム5の運転支援システム検証動作について説明する。まず、シミュレーション装置2は、上述したように、車両Aの運転者の運転特性を用いて、運転支援システムが搭載されていない車両を運転した場合をシミュレーションして想定事故の形態と確率を算出する。そして、車両Aの運転者の運転特性を用いて、運転支援システムが搭載された車両を運転した場合をシミュレーションして想定事故の形態と確率を算出する。これらの結果を比較することにより、運転支援システムの導入の効果を確認することができる。特に、販売店等において、試乗車を運転した購入予定者の運転特性を取得し、取得した購入予定者の運転特性を用いて交通シミュレーションを行うことで、運転支援システムの購入予定者に対する適正や、運転支援システムの導入効果(例えば、導入前後の事故遭遇確率、衝撃度)を購入予定者に提示することができる。
【0060】
次に、本実施形態に係る交通シミュレーションシステム5の運転特性評価動作について説明する。まず、シミュレーション装置2は、車両Aの運転者の運転特性パラメータを運転特性パラメータDB21から入力し、車両Aの運転者の運転特性に係る平均値と比較して、不足している運転特性パラメータを抽出する。そして、当該運転特性パラメータが高い運転者を運転特性パラメータDB21から抽出し、抽出した運転者の運転行動や、抽出した運転者の事故確率を上述の交通シミュレーションにより取得して、車両Aの運転者へ教示する。これにより、運転者に不足している運転特性を伸ばすように教示内容を効果的に絞り込むことができるとともに、優良運転者の例を提示して安全運転の手本を示すことができる。また、シミュレーション装置2は、運転特性パラメータDB21を参照し、車両Aの運転者の運転特性パラメータを母集団として、想定事故が少ない優れた運転特性を導出してもよい。これにより、車両Aの運転者と、優れた運転特性を有する運転者とを対比させて教示することが可能となる。また、車両Aの運転者の運転特性パラメータを母集団とし、強化学習や遺伝的アルゴリズムを用いて、想定事故が少ない運転特性の理想値を探索することができる。
【0061】
以上、第1実施形態に係る運転特性取得部及び交通シミュレーションシステム5によれば、運転者によって事前回答されたアンケート結果がアンケート結果入力部10により入力され、運転中の運転者の生理データが生理データ取得部11により取得され、運転中の車両状態情報、交通情報又は走行履歴情報が情報取得部12により取得され、取得した生理データ、及び車両状態情報、交通情報若しくは走行履歴情報に基づいてアンケート結果がアンケート結果補正部13により更新される。このように、運転者の回答したアンケート結果を、生理データや車両状態等の客観的なデータで補正することができる。このため、被験者に対して再度アンケートを実施することなく、客観性のあるアンケート結果を効率良く取得することが可能となる。よって、特性取得部14により正確な運転特性を取得することができる。
【0062】
また、第1実施形態に係る交通シミュレーションシステム5によれば、所定の地域ごとの交通流、及びその場所を通過する運転者の運転特性を用いてシミュレーションを行うことができるので、より精度が高く、実世界の現象を反映させた結果を得ることが可能となる。また、運転特性取得部と通信可能なシミュレーション装置2に多数の運転者の運転特性を集約することができるので、多数の運転者の運転特性を利用して交通シミュレーションの再現性の向上を図ることが可能となる。また、予測部22が、特性取得部14により取得された運転特性を用いて事故予測を行うことで、正確な運転特性に基づいて、精度良く事故予測をすることができる。また、予測部22は、特性取得部14により取得された運転特性及び目的地までの走行経路に基づいて想定事故を予測し、想定事故の発生確率を算出することで、例えば運転者に想定事故及び想定事故の発生確率を報知することにより、運転者の安全運転に対する意識を高めることができるので、事故の発生の低減を図ることが可能となる。さらに、予測部22により予測した想定事故の場面を表示部23に表示することで、運転者の安全運転に対する意識を一層高めることができる。
【0063】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る運転特性取得装置(運転特性取得部)は、第1実施形態に係る運転特性取得部とほぼ同様に構成されるものであって、第1実施形態に係る運転特性取得部と比べ、運転支援システムの作動タイミングを変更する機能を有する点が相違する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0064】
第2実施形態に係る運転特性取得部を備えた車両の構成は、第1実施形態に係る運転特性取得部を備えた車両Aの構成とほぼ同様であって、運転支援システムを有する点が相違する。運転支援システムは、運転者の運転を支援するシステムであって、例えば、PCS(Pre-Crash Safety system)が用いられる。この運転支援システムでは、例えば作動タイミングが所定のパラメータにより設定されている。
【0065】
第2実施形態に係る運転特性取得部は、第1実施形態に係る運転特性取得部の構成とほぼ同様に構成されるものであって、ECU1がタイミング変更部(作動タイミング変更手段)を有する点が相違する。タイミング変更部は、特性取得部14から取得した運転特性に基づいて、運転支援システムの作動タイミングを変更する機能を有している。
【0066】
次に、第2実施形態に係る運転特性取得部の動作について説明する。まず、図3、図4に示す処理を実行して運転者が回答したアンケート結果を補正し、特性取得部14が運転特性を算出する。そして、タイミング変更部が運転特性を特性取得部14から入力し、運転特性の良し悪しに基づいて運転支援システムの作動タイミングを変更する。例えば、車両操作能力、法規モラル、判断スキルの何れかが所定値以下の場合には、運転支援システムの作動タイミングを設定するパラメータを変更し、運転支援システムが早めに作動するようにする。ここで、所定値は、実験等により事前に求めた定数を用いても良いし、第1実施形態に係るシミュレーション装置2の運転特性パラメータDB21に格納された運転特性の平均値を用いても良い。このように、客観的なアンケート結果に基づいて運転者の運転特性を導出し、当該運転者をより支援すべきか否かを判定することができる。そして、例えば運転操作能力の低い運転者に対しては、早い段階でPCSを作動させるように作動タイミングを変更することで、運転支援システムを効果的に活用することができる。
【0067】
以上、第2実施形態に係る運転特性取得部によれば、例えば、運転者の安全運転に対する意識が低い場合や、運転者の運転操作能力が低い場合には、運転支援システムの作動タイミングを早めて走行の安全性の向上に寄与することができる。
【0068】
なお、上述した各実施形態は本発明に係る運転特性取得装置及び交通シミュレーションシステムの一例を示すものである。本発明に係る運転特性取得装置及び交通シミュレーションシステムは、各実施形態に係る運転特性取得装置及び交通シミュレーションシステムに限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、各実施形態に係る運転特性取得装置及び交通シミュレーションシステムを変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0069】
例えば、上述した実施形態では、シミュレーション装置2が車両Aに搭載されていない例を説明したが、シミュレーション装置2が車両A側に搭載されていてもよい。この場合、車車間通信を利用してシミュレーション装置2に他車両の運転特性を集約すればよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、アンケート結果入力部10により運転者が事前に回答したアンケート結果を入力して、入力したアンケート結果を補正する例を説明したが、アンケート結果入力部10は要求される性能に応じて備えればよい。この場合、運転者の運転特性に関する情報として、運転特性マップを用いる。運転特性マップとは、運転者の運転特性に関する情報であって、所定の運転場面に対して運転者が行う運転行動の傾向又は所定の運転場面における運転者の心身状態を示すものである。この運転特性マップは、アンケート結果のように運転者が事前に回答する必要がないものである。なお、運転特性マップとして、例えば図5に示すアンケートが用いられ、例えば初期値として全ての質問の回答が3に設定されたものである。このように、運転特性マップを用いることで、運転者が一度もアンケートに回答することなく、客観性のある回答を効率良く取得することが可能となる。
【0071】
また、上述した実施形態では、車両Aは実際に走行する車両である例を説明したが、模擬運転に利用される車両であってもよい。
【0072】
さらに、上述した実施形態では、図4のS26、S27の処理を実行する例を説明したが、運転特性取得装置に要求される性能に応じて図4のS26、S27の処理をスキップしてもよい。特に、生理データが閾値を超えたか否かの判定は、比較的誤差が少ないので、S26の処理をスキップして処理コストを低減させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1実施形態に係る交通シミュレーションシステムの構成概要図である。
【図2】第1実施形態に係る運転特性取得装置及び交通シミュレーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る運転特性取得装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係る運転特性取得装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態に係る運転特性取得装置が入力するアンケートの一例である。
【図6】第1実施形態に係る運転特性取得装置のアンケート結果補正動作を説明する概要図である。
【符号の説明】
【0074】
1…ECU(運転特性取得部)、2…シミュレーション装置、5…交通シミュレーションシステム、10…アンケート結果入力部(アンケート結果入力手段)、11…生理データ取得部(生理データ取得手段)、12…情報取得部(情報取得手段)、13…アンケート結果補正部(結果補正手段)、14…特性取得部(特性取得手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の運転行動又は心身状態に関する運転特性マップに基づいて前記運転者の運転特性を取得する運転特性取得装置であって、
前記運転者の運転中に取得した生理データと、車両状態情報、交通情報又は走行履歴情報から取得した情報とに基づいて補正された前記運転特性マップに基づいて前記運転者の運転特性を取得する特性取得手段と、
を備えることを特徴とする運転特性取得装置。
【請求項2】
前記運転特性マップとして前記運転者が回答した運転行動又は心身状態に関するアンケート結果を入力するアンケート結果入力手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の運転特性取得装置。
【請求項3】
前記特性取得手段により取得された運転特性を用いて事故予測を行う予測手段を備える請求項1又は2に記載の運転特性取得装置。
【請求項4】
前記予測手段は、前記特性取得手段により取得された前記運転特性及び目的地までの走行経路に基づいて想定事故を予測し、前記想定事故の発生確率を算出する請求項3に記載の運転特性取得装置。
【請求項5】
前記予測手段により予測した前記想定事故の場面を表示する表示手段を備える請求項3又は4に記載の運転特性取得装置。
【請求項6】
前記運転者の運転する車両に運転支援システムが搭載されている場合には、前記特性取得手段により取得された前記運転特性に基づいて、前記運転支援システムの作動タイミングを変更する作動タイミング変更手段を備える請求項1〜5の何れか一項に記載の運転特性取得装置。
【請求項7】
運転者の運転行動又は心身状態に関する運転特性マップに基づいて前記運転者の運転特性を取得する運転特性取得装置、及び、前記運転特性取得装置と通信可能に構成されるシミュレーション装置を有する交通シミュレーションシステムであって、
前記運転特性取得装置は、
前記運転者の運転中に前記運転者の生理データを取得する生理データ取得手段と、
車両状態情報、交通情報又は走行履歴情報を取得する情報取得手段と、
前記生理データ取得手段により取得した前記生理データ、及び前記情報取得手段により取得した情報に基づいて、前記運転特性マップを補正する結果補正手段と、
前記結果補正手段により補正された前記運転特性マップに基づいて前記運転者の運転特性を取得する特性取得手段と、
を備え、
前記シミュレーション装置は、
前記運転特性取得装置により取得された前記運転特性に基づいて事故予測を行う予測手段を備えること、
を備えることを特徴とする交通シミュレーションシステム。
【請求項8】
運転者が意識している運転行動又は心身状態を記録するデータと、前記運転者の運転状態又は生理状態とから前記データを補正して前記運転者の運転特性を取得する運転特性取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−152497(P2010−152497A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327738(P2008−327738)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】