説明

過熱保護を有する耐アーク性マイクロ波サセプタアセンブリ

サセプタアセンブリは、相互に関して、電気的損失層をその上に有する平坦なサセプタ部材に配置されて、未装填の電子レンジ中でのサセプタの過熱を防止する導電性羽根を含み、ここで、導電性羽根は、未装填の電子レンジ中でのアーク放電を防止するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、各々2006年8月29日に出願の米国仮特許出願第60/841,107号明細書および同60/840,984号明細書、および2005年12月19日出願の米国仮特許出願第60/751,544号明細書の利益を主張すると共に、すべての目的について、本願明細書の一部として援用される。
【0002】
本願明細書に開示の主題は、本出願と同時に出願され、本発明の譲受人に譲渡された以下の同時継続中の出願に開示されている:
耐アーク性導電性羽根を有する電界ダイレクタアセンブリ(CL−3630)。
【0003】
本発明は、未装填の電子レンジにおいて用いられる場合に、過熱を防止するサセプタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0004】
電子レンジは、食料製品中の分子を振動させる周波数の電磁エネルギーを用いて熱を生成させる。このように生成された熱は、食品を温めまたは調理する。しかしながら、食品が、その表面に焦げ目がついて、カリカリした(それでもなお食品は食べることが可能なままである)食感となるためには十分に高温にならない。
【0005】
これらの視覚的および触覚的な美観を達成するために、その上に、損失性サセプタ材料を有する基材から形成されたサセプタが、食品の表面に隣接して配置され得る。マイクロ波エネルギーに露出されたとき、サセプタの材料は、食品の表面に焦げ目をつけ、およびカリカリにするために十分な温度に加熱される。
【0006】
電子レンジの壁は、電子レンジの容積内の電磁場エネルギーの分布を異ならせるための境界条件を付与する。電磁場、その電界の特に電界構成成分の強度および異方性におけるこれらの偏差は、比較的高温および低温の領域を電子レンジ中に形成する。これらの高温および低温の領域は、食品を不均一に温めまたは調理してしまう。マイクロ波サセプタ材料が存在する場合には、焦げ目をつけおよびカリカリにする効果は同様に不均一である。
【0007】
この不均一な加熱効果を相殺するために、ターンテーブルを用いて、電子レンジ内の円形路に沿って食料製品を回転させ得る。食品の各部分は、より均一なレベルの電磁エネルギーに露出される。しかしながら、平均化効果は外周路に沿って生じ、および放射路に沿っては生じない。それ故、ターンテーブルの使用は、食品に不均一な加熱の帯をなお生じさせる。
【0008】
この効果は、図1Aおよび1Bの図による例示からより完全に理解され得る。
【0009】
図1Aは、比較的高電界強度(「高温領域」)の5つの領域(H1〜H5)および比較的低電界強度(「低温領域」)の2つの領域C1およびC2を示す電子レンジ内部の平面図である。いずれかの任意の形状を有する食料製品FがサセプタS上に置かれ、これがターンテーブルT上に置かれている。サセプタSは点線の円によって示され、一方でターンテーブルは、実線の円によって表されている。食料製品Fの表面上の3つの代表的な位置が点J、KおよびLによって図示されている。点J、KおよびLは、それぞれ、ターンテーブルTの半径方向の位置P1、P2およびP3に位置されている。ターンテーブルTが回転するに伴って、各点は、電子レンジ中を、円形の破線によって示されているとおり円形路をなぞる。
【0010】
図1Aから認識され得るとおり、完全な一回転の最中に、点Jは、比較的高電界強度の単一の領域H1を通過する。同一の一回転中に、点Kは、比較的高電界強度の単一の小さい領域H5を通過し、一方で、点Lは、比較的高電界強度の3つの領域H2、H3およびH4を経る。完全な一回転のターンテーブルの回転は、従って、点J、KおよびLの各々を異なる総量の電磁エネルギーに曝す。完全な一回転の最中のこれらの3つの点の各々でのエネルギーへの露出における差が、図1Bのプロットによって図示されている。
【0011】
遭遇した高温領域の数および回避した低温領域のために、点JおよびLは、点Kより著しく多くのエネルギー露出量を経験している。点Jの経路に近い食料製品の領域が完全に調理されたと、みなされる場合、点Lの経路に近い食料製品の領域は、調理され過ぎまたは過度に焦げる可能性が高い(サセプタが存在する場合)。逆に、点Kに近い食料製品の領域は、加熱が不十分である可能性が高い。
【0012】
高温および低温の領域の存在による不均一な調理は望ましくないため、電界ダイレクタ構造とサセプタとの組み合わせにより形成されたサセプタアセンブリを利用することが有利であることが見出された。電界ダイレクタ構造は、各々板紙支持体上に導電性部分を有する、1枚以上の羽根を含む。電界ダイレクタ構造は、食品をより均一に温め、調理しおよび焦げ目をつけるよう、これらの領域を再指向化および再配置することにより電子レンジ内の比較的高および低電界強度の領域の効果を緩和する。電界ダイレクタ構造の単独での使用(すなわち、サセプタなしで)がまた有利であることが見出されている。
【0013】
サセプタアセンブリが「未装填の」電子レンジ(すなわち、食料製品または他の物品が存在しない電子レンジ)中に置かれ、この電子レンジが作動された場合、サセプタの過熱および/または電界ダイレクタ構造の過熱、および/またはアーク放電といった有害な問題が観察される。
【0014】
「サセプタの過熱」という用語(または同様の用語)は、サセプタ基材が燃焼する程度までの損失性サセプタ材料の加熱を意味する。
【0015】
「電界ダイレクタ構造の過熱」という用語(または同様の用語)は、羽根の板紙支持体の燃焼する程度までの加熱を意味する。このような過熱は、損失性サセプタ材料によりまたはアーク放電により生成された熱によって生じ得る。
【0016】
「アーク放電」という用語(または同様の用語)は、高強度電界が空気の破壊閾値を超えたときに生じる放電である。アーク放電は、典型的には、羽根の導電性部分、特に演舞に沿って、およびさらにはいずれかの急な角の近くで生じる。アーク放電は、羽根の板紙支持体に、変色、炭化または、極端な場合には、発火および燃焼を生じさせ得る。
【0017】
アーク放電を防止する最も一般的な手段は、電子レンジ用途においては実際的ではない。これらの手段はまた、インスタント食品用の使い捨てパッケージングに好適ではない。
【0018】
前述を考慮して、電界ダイレクタ構造およびアーク放電の発生、電界ダイレクタの過熱の発生およびサセプタの過熱の発生を防止する、これを組み込んだサセプタアセンブリを提供することが有利であると考えられている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、「未装填の」電子レンジ中、すなわち、食料製品または他の物品が存在しない電子レンジに置かれたときに過熱することなく、およびアーク放電を防止するサセプタアセンブリに関する。電子レンジは、既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動する。
【0020】
サセプタアセンブリは、電気的損失層を備える基材を有する略平坦なサセプタを含む。1枚以上の羽根を有する電界ダイレクタ構造は、サセプタに機械的に接合されている。各羽根は、既定の長さおよび幅寸法、ならびに、第1の端部および第2の端部をその上に有する略矩形の形状の導電性部分を有する。羽根の導電性部分は、厚さが0.1ミリメートル未満の金属箔から形成されていてもよい。
【0021】
各羽根の導電性部分は、平坦なサセプタの電気的損失層から少なくとも既定の近接距離において配設されている。既定の近接とは、波長の0.025倍〜波長の0.1倍の範囲内にある。好ましい事例において、既定の近接距離は、羽根の導電性部分と損失層との間に配設された低導電性材料の縁取材により規定される。
【0022】
羽根の各々の導電性部分の第1の端部は、平坦なサセプタの幾何学的中心から少なくとも既定の離間距離の距離において配設されている。既定の離間距離は、波長の少なくとも0.16倍である。
【0023】
損失層からの既定の近接距離における各羽根の導電性部分の配置に追加して、本発明の一実施形態によれば、導電性部分の角は、導電性部分の幅寸法の半分以下の半径で丸まっている。本発明の代替的実施形態によれば、丸められる代わりに、羽根の導電性部分は、ポリイミドテープ、ポリアクリルスプレーコーティングおよびポリテトラフルオロエチレンスプレーコーティングからなる群から選択される非導電性材料で被覆されていてもよい。さらに他の本発明の代替的実施形態によれば、丸められるまたは被覆される代わりに、羽根の導電性部分は、厚さが0.1ミリメートル未満の金属箔であって、折り重ねられて、その外周に沿って厚さが少なくとも2倍とされている箔で形成されていてもよい。
【0024】
本発明は、本出願の一部を形成する添付の図面に関連する以下の詳細な説明からより完全に理解されることとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下の詳細な説明の全体を通して、類似の参照符号は、図面のすべての図における類似の構成要素を参照する。
【0026】
図2および3を参照すると、参照符号10で全体が示されている、本発明によるサセプタアセンブリの定形化された斜視図が示されている。サセプタアセンブリ10は、その幾何学的中心10Cを貫通して伸びる基準軸10Aを有している。サセプタアセンブリ10は、使用において、電子レンジMの内部の共振空洞内に配設されている。電子レンジMは、図では、概略的形態でのみ示されている。作動において、電子レンジにおける熱源が、既定の波長を有する電磁波を発生する。典型的な電子レンジは2450MHzの周波数で作動して、約12センチメートル(12cm)(約4.7インチ)の波長を有する波を発生させる。電子レンジMの壁Wは、電子レンジの容積内の電磁場エネルギーの分配を変化させる境界条件をもたらす。これは、電子レンジの容積内に定常波エネルギーパターンを発生させる。
【0027】
サセプタアセンブリ10は、従来の、全体が参照符号14で示される、これに接合している電界ダイレクタ構造を有する略平坦なサセプタ12を含む。本願明細書において解明されることとなるとおり、電界ダイレクタ構造14は、電子レンジの容積内の定常波パターンの高および低電界強度の領域の再指向化および再配置に有用である。ターンテーブルと併せて用いられる場合、再指向化および再配置された領域の位置は連続的に変化し、電界ダイレクタ構造16を含むサセプタアセンブリ10上に置かれた食料製品の温め、調理または焦げ目つけの均一性をさらに向上させる。
【0028】
図2および3に示される実施形態において、電界ダイレクタ構造14は、これらの相対的位置は逆であってもよいと認められるべきであるが、平坦なサセプタ12の下に配設されている。電界ダイレクタ構造14と平坦なサセプタ12とのそれぞれの相対的位置がどのようであろうと、温められ、調理されまたは焦げ目がつけられる食料製品(図示せず)、または典型的に置かれる他の物品は平坦なサセプタ12と接触している。
【0029】
図中に示される平坦なサセプタ12は外形が、全体に円形であるが、電子レンジM内で温められ、調理されまたは焦げ目がつけられる食料製品に適合するいずれかの既定の所望の形態を示し得る。図2の円形の詳細部分に示されているとおり、平坦なサセプタ12は、電気的損失層12Cをその上に有する基材12Sを含む。層12Cは、典型的には、真空蒸着されたアルミニウムの薄いコーティングである。
【0030】
基材12Sは、厚紙、板紙、繊維ガラス;またはポリエチレンテレフタレート、熱安定化ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンエステルケトン、ポリエチレンナフタレート、セロファン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアリレート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアラミドまたはポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレートなどの高分子材料などのこの目的のために簡便に用いられる多様な材料いずれから形成されてもよい。基材12Sは、電気的損失層12Cが自立式である場合には省略されてもよい。
【0031】
電界ダイレクタ構造14は1枚以上の羽根16を含む。図2および3に図示の実施形態において、5枚の羽根16−1〜16−5が示されている。図4A〜4Fはサセプタアセンブリ10を図示しており、ここで、電界ダイレクタ構造14は、2枚から6枚の範囲の数N枚の羽根16を有する。平坦なサセプタのサイズ、および羽根の縁長さ、構成、向きおよび配置に応じて、普通、1、2、3・・・N枚といったいずれかの簡便な数の羽根が用いられ得る。
【0032】
例示の目的のため、図2および3に示される羽根は、後述されることとなるとおり、多様な縁取材を示す。
【0033】
各羽根の表および裏が表面積16Sを画定する。図2および3において、各羽根16の表面積16Sは略矩形として図示されているが、羽根の表面積は、三角、平行四辺形または台形などのいずれかの平面形として簡便に構成され得ることが認識されるべきである。所望の場合には、羽根の表面積16Sは、1つ以上の方向に湾曲していてもよい。
【0034】
羽根16の各々の表面および/または裏面の少なくとも一部分は導電性である。図2および3の図面の斜線が付されたいずれかの領域は、羽根16の導電性部分16Cを示す。羽根16の非導電性部分16Nは、点描によって示されている。
【0035】
各羽根は、第1の端部16Dと第2の端部16Eとの間に伸びる縁16Fを有する。羽根の縁16Fは、いずれかの多様な縁取材を示し得る。例えば、羽根の縁16Fは、羽根16−1〜16−3によって図示されるとおり直線であり得る。あるいは、羽根の縁16Fは、羽根16−4によって示されているとおり、1つ以上の屈曲または折り線16Lに沿って屈曲されまたは折られていてもよい。しかも、羽根の縁16Fの縁取材は、羽根16−5(図2および3)および羽根16−1’(図3)によって示されているとおり、湾曲していてもよい。
【0036】
羽根は、平坦なサセプタ12上の始点および終点の既定の対応する点のいずれかで配設されたその第1の端部16Dおよびその第2の端部16Eを有し得る。その第1の端部16Dとその第2の端部16Eとの間の羽根の縁16Fに沿った距離が、羽根の縁長さを規定する。電界ダイレクタ構造14における羽根は、いずれかの所望の縁長さを有し得るが、ただし、以下に明記の導電性部分16Cの長さに関する。
【0037】
羽根16は、導電性箔または他の材料から一体的に構成され得る。このような場合において、羽根の全表面16Sは導電性である(例えば、図2において、羽根16−1に示されるとおり)。導電性部分16Cの長さおよび幅は、それ故、羽根の縁長さおよび幅に対応する。
【0038】
あるいは、羽根は、誘電性基材の表面積の表および/または裏の一部またはすべて上に、導電性材料が積層され、またはコートされて形成される積層構造として構成され得る。構造の一形態は、接着剤付き導電性箔テープが貼付された板紙基材を利用することが可能である。
【0039】
羽根の表面積の一部に提供される場合、導電性部分16Cは、それ自体が、例えば、台形(羽根16−2および16−3に示されるとおり)または矩形の(図3の羽根16−4および16−5および羽根16−1’に示されるとおり)といったいずれかの簡便な形状を示してもよい。羽根の導電性部分16Cの幅寸法は、電子レンジによって発生される波長の約0.1〜約0.5倍であるべきである。羽根の導電性部分16Cは、少なくとも、大体、およそ電子レンジにおいて発生される電磁エネルギーの波長の約0.25倍の距離であるべき長さを有する。電子レンジにおいて発生される電磁エネルギーの波長の約2倍の縁長さが、実際的な上限を定義する。
【0040】
導電性部分の形状がどのようであろうと、図19に関して示されることとなるとおり、アーク放電を防止するために、丸みがついているまたは「丸められた」角であることが所望され得る。
【0041】
羽根の導電性部分の形状および長さ、ならびにサセプタ面および他の羽根からの導体部分の離間距離の選択は、羽根の電界減衰効果のより詳細な調整を許容する。
【0042】
始点および終点のその点がどのようであろうと、羽根はまた、幾何学的中心10Cを通過するよう配置され得る。図2は、サセプタの外縁に隣接する第1の端部16dを始点として、幾何学的中心10Cを通って伸びる直線縁状羽根16−1の経路を示す。図3は、幾何学的中心10Cに近接する第1の端部16Dを始点として、幾何学的中心10Cを通って伸びる湾曲縁状羽根16−1’の経路を示す。図2および3における他の羽根のすべては、幾何学的中心10Cに近接する始点で開始して、そこから外方に伸びる経路を有する。
【0043】
羽根16は、サセプタアセンブリ10の幾何学的中心10Cに関して、略半径方向に伸びている。羽根16は、等しい、または等しくない離間角で、中心10Cを中心に角度をもって離間していてもよい。例えば、羽根16−1と16−2との間の角度18は、羽根16−2と16−3との間の角度20より小さくてもよい。
【0044】
「略放射線状」という用語(または同様の用語)は、各羽根が、中心10Cから広がる半径上に正確にのっていなければならないことは要求しないことが認識されるべきである。例えば、羽根は、半径に対してオフセットまたは傾斜していてもよい。図4A〜4Cは、それぞれ、幾何学的中心10Cから広がる放射状の線Rに対してオフセットしている直線縁状羽根16T、屈曲縁状羽根16Bおよび湾曲縁状羽根16Vを図示する。同様に、図4D〜4Fは、それぞれ、幾何学的中心10Cから広がる放射状の線Rに対して傾斜している直線縁状羽根16T、屈曲縁状羽根16Bおよび湾曲縁状羽根16Rを図示する。羽根の他の配置が、平坦なサセプタ12に対する羽根16の横置配向を達成するために用いられ得る。
【0045】
各羽根16は、1つ以上の接合点で平坦なサセプタ12に物理的に(すなわち、機械的に)接合されている。羽根16と平坦なサセプタ12との間の接合は、固定的接合または可動性関節式接合であり得る。
【0046】
固定的接合が図5Aに示されている。固定的接合において、羽根16は、平坦なサセプタ12に対する既定の固定的な向きで好適な接着剤24により取り付けられ得る。羽根16の向きは、好ましくは、平坦なサセプタに対して約四十五度(45°)〜約九十度(90°)の範囲の傾斜角であるが、より小さい角度向きが有用な効果を提供し得る。最も好ましい事例において、羽根16は、平坦なサセプタ12と実質的に直交している。
【0047】
可動性関節式接合が図5Bに示されている。この配置において、羽根16は、丁番26によって平坦なサセプタ12に取り付けられている。この丁番は、可動性テープから形成されていてもよい。関節式接合において、羽根16は、羽根の平面が実質的に平坦なサセプタに平行である収納位置(図5Bにおいて破線で示されている)から、展開位置(図5Bにおいて実線の縁取材で示されている)に移動可能である。丁番は、展開位置で、羽根が、好ましくは、平坦なサセプタに対して、約四十五度(45°)〜約九十度(90°)の範囲の、および最も好ましくは、平坦なサセプタ12に対して実質的に直交する所望の傾斜角で保持されるよう、好適な停止機構が備えられていてもよい。
【0048】
構造形態、羽根の表面積の構成、導電性部分の形状、羽根の縁の縁取材、羽根の縁長さ、羽根の導電性部分の長さ、サセプタの中心に対する羽根の経路、およびサセプタの面に対する羽根の向きがどのようであろうと、羽根16の導電性部分16Cは、平坦なサセプタ12の電気的損失層12Cからの既定の近接距離以内に配設されなければならない。普通、既定の近接距離は、電子レンジにおいて発生される電磁エネルギーの波長の0.25倍に近い距離以下であるべきである。食料製品または他の物品が存在する限りは、既定の近接距離はゼロであることが可能であり、これは、羽根の導電性部分16Cが、平坦なサセプタの損失層12Cに対して電気的に接触することを意味することが理解されるべきである。
【0049】
図2に示される典型的な実装において、損失層12Cは、羽根の導電性部分16Cの縁は、損失層12Cから基材12Sの厚さの分だけ離間しているよう、誘電性基材12S上に支持されている。非導電性部分16Nの垂直寸法が、電子レンジM内に支持される平坦なサセプタ12の高さを制御するために用いられ得る。
【0050】
あるいは、図3に見られるとおり、羽根の非導電性部分12Nが、平坦なサセプタ12に隣接して配設され得る。この配置は、羽根の導電性部分16Cを、損失層12Cから、基材12Sの厚さを超える距離で離間させる効果を有する。所望の場合には、追加の非導電性部分16Nを、羽根の逆の縁に沿って配設して、上述の高さ制御の有益性を得てもよい。
【0051】
平坦なサセプタ12および羽根16の表面積16Sは、平坦なサセプタ12に対して、略交差方向に伸びる交差線12Lに沿って交差している。平坦なサセプタ12と交差するとき、直線縁状羽根16は、直線状の交差線12Lを形成することとなる。屈曲した縁または湾曲した縁を有する羽根16は、平坦なサセプタ12と交差するとき、屈曲したまたは湾曲した交差線12Lを、それぞれ形成することとなる。交差線の屈曲角度または曲率の形状の程度は、場合によって、平坦なサセプタに対する羽根の傾斜角に依存することとなる。交差線が直線、屈曲した線または湾曲した線のいずれであろうと、羽根の導電性表面の延長は交差線に沿うことなる。
【0052】
本発明に係るサセプタアセンブリ10の種々の構造的詳細を説明してきたが、定常電磁波に対するその効果をこれから考察する。
【0053】
図6は、単一の直線縁状羽根16を有するサセプタアセンブリ10の実施形態が、平坦なサセプタ12の下面に対して実質的に直交する向きで接合されている概略的な図である。1組のデカルト軸が、アセンブリ10の幾何学的中心10Cから開始するよう位置されている。アセンブリ10は、平坦なサセプタ12がX−Yデカルト平面に位置されるよう、および羽根16の表面16Sの導電性部分16CがX−Zデカルト平面に位置されるよう配置されている。羽根16と平坦なサセプタ12との接合に沿って規定される交差線12Lは、平坦なサセプタ12の損失層12Cを横切って伸び、および図示のとおりX軸に沿って配向される。羽根16の表面16Sの導電性部分16Cは、平坦なサセプタ12上の損失層からZ方向に既定の距離Dで位置される。表面16Sの導電性部分16Cは、電子レンジ作動の周波数での導体の表皮効果の深さを超える厚さ(すなわち、そのY寸法)を有する。
【0054】
電磁波は、互いに直交する振動している磁界および電界から構成される。いずれかの所与の瞬間で、定常電磁波は、電界構成成分
【0055】
【数1】

【0056】
を含む。いずれかの瞬間で、電界構成成分
【0057】
【数2】

【0058】
は、直交座標空間において所与の方向に配向されて、いずれかの所与の値を有し得る。
【0059】
電界
【0060】
【数3】

【0061】
は、それ自体、3つの成分ベクトル、すなわち、
【0062】
【数4】

【0063】
に分解可能である。各成分ベクトルは、そのそれぞれが対応する座標軸に沿って配向されている。電界
【0064】
【数5】

【0065】
の値に応じて、各成分ベクトルは、場合によって、「x」、「y」または「z」単位の既定の値を有する。
【0066】
電磁気のファラデーの法則の一つの系は、2つの媒体間の界面での接線電界はその表面にわたって連続的でなければならない境界条件である。このような媒体界面の特定の例は、完全導体と空気との間のものである。定義によれば、完全導体は、その中にゼロ電界を有さなければならない。従って、特に、導体表面の直ぐ内側の電界の接線成分はゼロでなければならない。従って、上記に断定した境界連続性条件から、導体の直ぐ外側の空気中の接線電界もまたゼロでなければならない。従って、完全導体の表面での電界の接線成分は常にゼロであるという原則を有する。導体が完全ではないが良導体である場合には、表面での電界の接線成分は、ゼロ以外であり得るが、極めて小さいままである。それ故、良導体の表面の外側に存在するいずれかの電界は、実質的にその表面に垂直でなければならない。
【0067】
この物理的法則の適用は、導電性部分16Cを有する羽根16のその表面積内には、その表面に垂直に配向されている電界の成分ベクトル、すなわち、ベクトル
【0068】
【数6】

【0069】
のみが存在することが許容されることを命令する。
【0070】
羽根の表面に正接するいずれかの面にある電界の成分ベクトル(すなわち、ベクトル
【0071】
【数7】

【0072】
およびベクトル
【0073】
【数8】

【0074】
)は許容されない。図6において、接平面は、羽根の表面の導電性部分の面である。
【0075】
羽根16の導電性部分16Cが損失層12Cと電気的に接触している場合、交差線12Lに沿って位置する成分ベクトル
【0076】
【数9】

【0077】
の値および成分ベクトル
【0078】
【数10】

【0079】
の値は、既述の理由からゼロとなるであろう。しかしながら、導電性部分16Cは損失層12Cとは電気的に接触しておらず、代わりに、距離Dで離間されている。羽根の表面の導電性部分は、それにもかかわらず、羽根の表面の導電性部分の延長におけるその最も強い作用を有する減衰効果をおよぼす。
【0080】
それ故、波の電界の成分ベクトル
【0081】
【数11】

【0082】
は、減衰された強度「xa」および「za」のみを有する。各強度値「xa」および「za」は、それぞれ、「x」および「z」未満のいくらかの強度値である。羽根の表面に正接する平面における電磁波の電界成分の減衰は、羽根の表面の導電性部分に垂直に配向された電界の成分の増強をもたらす。それ故、成分ベクトル
【0083】
【数12】

【0084】
は、強度値「y」を超える増強された強度値「ye」を有する。
【0085】
ベクトル成分
【0086】
【数13】

【0087】
の減衰の程度は、距離Dの程度および損失層12Cに相対的な導電性部分16Cの配向に依存する。減衰効果は、距離Dが波長の四分の一(0.25)未満であって、典型的な電子レンジにおいては、約3センチメートル(3cm)の距離であるときに、最も顕著である。90度未満の傾斜角では、許容された電界(すなわち、羽根の導電性表面に対して垂直な電界)は、それ自体、サセプタ平面において作用する成分を有することとなる。
【0088】
この効果が本発明のサセプタアセンブリ10によって利用されて、電子レンジ内の比較的高電界強度の領域が再指向化および再配置される。
【0089】
図7Aは、矢印によって示される回転の方向にターンテーブルTによって担持される羽根16の効果を図示する、全体が図1Aに類似する定型化された平面図である。羽根は概略的形態で示されており、その厚さは、説明の明確さのために強調してある。
【0090】
羽根が最初に熱領域H2に遭遇する辺りの位置1での状況を考慮する。既述の理由により、減衰された強度を有する電界ベクトルのみが、羽根16によって重ね合わされた熱領域H2の断片において存在が許容される。しかしながら、減衰された電界のみの存在が許容されるとしても、電界のエネルギー含有量が単に消失することはできない。代わりに、羽根の導電性部分から延長する領域における減衰作用は、電界エネルギーを平坦なサセプタ12上のその元の位置Aから移動した位置A’に再配置させることにより表される。このエネルギー再配置は、移動矢印Dによって図示されている。
【0091】
回転湾曲運動が羽根16を位置2に運ぶに連れて、同様の結果が得られる。羽根の減衰作用は、再度、減衰された電界のみが羽根の導電性部分から延長する領域に存在することを許容する。平坦なサセプタ12上の位置Bに元々位置されていた電界エネルギーにおけるエネルギーは、移動矢印D’によって示されるとおり、位置B’に移動する。
【0092】
同様のエネルギー再配置および再指向化が、羽根16が、比較的高電界強度の領域H1〜H5(図1A)のすべてを通過して湾曲運動するに伴って生じる。
【0093】
モード攪拌装置を有する電子レンジにおける本発明の使用は、同一の効果をもたらすこととなる。
【0094】
図7Bは、ターンテーブルの完全な一回転に対する、各個別の点J、KおよびLでの総エネルギー露出量を示すプロットである。図1Bのプロットの対応する波形がその上に重畳されている。
【0095】
本発明に係る電界ダイレクタ14を有するサセプタアセンブリ10の存在は、実質的に均一な総エネルギー露出量をもたらすことが図7Bから明らかである。その結果、サセプタアセンブリ10上に置かれた食料製品の温め、調理および焦げ目つけが、従来技術において現存の状況を超えて向上するであろう。
【0096】
図8Aおよび8B、9Aおよび9Bおよび10Aおよび10Bは、本発明に係るサセプタアセンブリの好ましい構造を図示する。
【0097】
図8Aおよび8Bは、5枚の直線縁状羽根162−1〜162−5を有する電界ダイレクタ構造142を含むサセプタアセンブリ102を示す。5枚の羽根162−1〜162−5は、平坦なサセプタ12の下面に取り付けられている。羽根は平坦なサセプタ12に対して実質的に直交して位置されており、中心10Cを中心に等角的に配置されている。羽根162−1は中心10Cをとおって伸びるが、一方で、羽根162−2〜162−5は中心10Cの近傍を始点とする。導電性部分162Cは、各羽根の全表面を占める。所望の場合には、電界ダイレクタ142の羽根の下部縁は、さらに、非導電性の平坦な支持部材32上に支持され得る。
【0098】
支持部材は羽根のすべてまたはいくつかと接合され得る。
【0099】
図9Aおよび9Bは、2枚の湾曲縁状羽根163−1および163−2を有する電界ダイレクタ構造143を含むサセプタアセンブリ103を示す。2枚の羽根163−1および163−2は、平坦なサセプタ12の下面に取り付けられている。羽根は平坦なサセプタ12に対して実質的に直交して位置されており、中心10Cを中心に等角的に配置されている。羽根は、中心10Cの近傍で相互に交差する。導電性部分163Cは、各羽根の全表面を占める。再度、非導電性の平坦な支持部材32は、所望の場合には、電界ダイレクタ143の羽根の下部縁をさらに支持し得る。
【0100】
図10Aおよび10Bは、6枚の直線縁状羽根164−1〜164−6を有する電界ダイレクタ構造144を含むサセプタアセンブリ104を示す。6枚の羽根164−1〜164−6は、平坦なサセプタ12の下面に取り付けられている。羽根は平坦なサセプタ12に対して実質的に直交して位置されており、中心10Cを中心に等角的に配置されている。羽根のすべては、中心10Cの近傍を始点とする。導電性部分164Cは、各羽根の全表面を覆う。非導電性の平坦な支持部材32が用いられ得る。
【0101】
所望の場合には、羽根164−1および164−4は、非導電性部材164Nの長さによってそれらが接合されていてもよい。部材164Nは、点描された破線の縁取材で図10Aに示されている。
【0102】
第2の態様において、本発明は、本発明の教示を実施する組立式自立式電界ダイレクタ構造の種々の実装に向けられている。
【0103】
図11、12、13Aおよび13Bは、1枚の羽根から形成された電界ダイレクタ構造を図示する。各実装において、羽根は変曲ゾーンを有し、これにより、平坦な羽根は、電子レンジM内に配設された既定の基準面RPに対して既定の向きに配向された自立式構造に形成され得る。この面RPは、ターンテーブルの表面または電子レンジ内に置かれた食料製品または他の物品の表面である平面として簡便に定義され得る。
【0104】
図11において、電界ダイレクタ構造145は、1枚の湾曲した羽根165を用いて実装される。羽根165は、湾曲していてもよく、または、第1の端部165Dと第2の端部165Eとの間に定義されるたわみまたは曲率165Rの少なくとも1つの領域を有していてもよい。導電性部分165Cは、羽根の全表面を占める。使用において、羽根165は、既定の基準面RPに対して既定の向きで配置される自立式構造に形成され得る。
【0105】
図12に示される電界ダイレクタ構造146において、羽根166は、本願明細書において、1本の折り曲げまたは屈曲線166L−1を有する。使用において、羽根166は、屈曲線166L−1に沿って折り曲げられまたは屈曲されて、電子レンジM内の既定の基準面RPに対する既定の向きで位置される自立式構造を定義し得る。折り曲げまたは屈曲線の代わりに接合の可動線に沿って2枚の直線縁状羽根を可動的に取り付けることにより同一の効果が達成され得る。
【0106】
図13Aおよび13Bは、2本の屈曲線167L−1および167L−2を備える導電性の平坦な羽根167を用いて実装された、電界ダイレクタ構造147の対応する正面および斜視図である。羽根167を屈曲線167L−1および167L−2に沿って屈曲させることで、電子レンジM内の既定の基準面RPに対する既定の所望向きに平坦な羽根を支持するために役立つ耳167E−1および167E−2が形成される。
【0107】
図14および15は、本発明に係る、電界ダイレクタ構造の組立式自立式の2つの追加の実装の斜視図である。各電界ダイレクタ構造は、可動式に接合されて自立式に形成され得る構造を形成する複数枚の羽根を含む羽根アレイを有する。
【0108】
図14および15に示される電界ダイレクタ構造148において、羽根アレイが羽根168−1〜168−5を含み、各羽根はその上に導電性表面を有する。各羽根は、接合点168Fで少なくとも1枚の他の羽根に可動的に接合されている。可動的に接合された羽根は、矢印168Jによって示されるとおり、相互に向かっておよび逆に送風されることが可能である。使用において、相互に広がるアレイにおける羽根では、電界ダイレクタは、電子レンジ内の既定の基準面RPに対して既定の向きで配設されたアレイにおける各羽根で自立式とされることが可能である。変形実施形態において、支柱168Sが、少なくとも3枚の羽根の各々の自由端に接合されていてもよい。支柱は、マイクロ波エネルギーに対して透明であるいずれかの材料で製造される。
【0109】
図15に示される電界ダイレクタ構造149は一対の羽根169−1および169−2を含み、各羽根は導電性表面をその上に有する。各羽根は、接合点169Fで、他の1枚の羽根まで可動的に接合されている。可動的に接合された羽根は、矢印169Jによって示されるとおり、相互に向かっておよび逆に送風されることが可能である。使用において、相互に広がるアレイにおける羽根では、電界ダイレクタは、電子レンジ内の既定の基準面に対する既定の向きで配設されたアレイにおける各羽根で自立式とされることが可能である。
【0110】
図11〜15に図示されている実施形態の各々における羽根は羽根の全表面にわたって伸びる導電性部分と共に示されているが、いずれかの羽根の導電性部分はいずれかの代替的形状を示していてもよいことは理解されるべきである。
【0111】
本発明の電界ダイレクタ構造は組立式に形成される必要はなく、代わりに、好適な非導電性支持部材の使用を介して自立式に形成されてもよいことがまた認識されるべきである。図16は、参照符号31で全体が示されている電界ダイレクタアセンブリの斜視図である。図16に示されている電界ダイレクタアセンブリ31は平坦な非導電性支持部材32に接合された少なくとも1枚の羽根16を含み、これにより、羽根の導電性表面は既定の向きに配向されている(支持部材に対して略直交して示されている)。追加の羽根が提供される場合、これらの追加の羽根は、同一の支持部材上に支持される。羽根は、所望のとおり、相互に接合されていてもいなくてもよい。支持部材は、羽根の下または上に接合されていてもよい。
【0112】
本発明の範囲内に属する電界ダイレクタ構造のいずれかの実施形態は、個別の平坦なサセプタと共に用いられ得ることがさらにまた認識されるべきである(既述の)。同一の食料製品について、第2の平坦なサセプタを食料製品上に置くこと、または食料製品を可動性サセプタで覆うことが望ましい場合があることがまた認識されるべきである。
【実施例】
【0113】
実施例1〜8
本発明に係る電界ダイレクタ構造およびサセプタアセンブリの作動は、以下の実施例からより明解に理解され得る。
【0114】
導入
以下の実施例のすべてについて、市販されている電子レンジで調理可能なピザ(DiGiorno(登録商標)Microwave Four Cheese Pizza、280グラム)を調理実験において用いた。
【0115】
ポリエステルフィルムと板紙との間に挟んだ蒸着したアルミニウムの薄層を含む平坦なサセプタを、パッケージ中のピザと共に提供した。この平坦なサセプタを、後述されるとおり、本発明の電界ダイレクタ構造の種々の実装と共に用いた。提供された板紙の縁を逆転したU形状の調理トレーを形成するよう成形して、平坦なサセプタを、電子レンジ中のターンテーブルのおよそ2.5cm上に離間させた。パッケージ中にピザと一緒に提供されたクリスピングリング(crisping ring)(ピザの縁部に焦げ目をつけることを意図する)は使用しなかった。
【0116】
すべての実施例において、平坦なサセプタを電子レンジのターンテーブル上に直接的に置いた。7.5分間にかけて低出力で調理した実施例5を除き、すべての実施例において、冷凍ピザを、平坦なサセプタ上に直接的に置き、全出力で5分間調理した。
【0117】
比較の目的のために、3つのピザの1群を電界ダイレクタ構造を備えない平坦なサセプタのみを用いて調理し、および3つのピザの他の群を本発明の電界ダイレクタ構造を備える平坦なサセプタを用いて調理した。
【0118】
各電界ダイレクタの羽根は、0.002インチ(0.05ミリメートル)厚のアルミニウム箔、板紙、およびテープを用いて構成した。
【0119】
実施例1〜7について、電界ダイレクタ構造は平坦なサセプタの下の空間に置いた。実施例8について、電界ダイレクタ構造はピザ上に位置させた。
【0120】
焦げ目つけおよび焦げ目つけプロファイル計測
ピザのベースクラストの焦げ目つき割合および焦げ目つけプロファイルを、Papadakis,S.E.ら、「A Versatile and Inexpensive Technique for Measuring Color of Foods」、Food Technology、54(12)p.48〜51(2000年)に記載の手段に準拠して計測した。照明システムを準備し、デジタルカメラ(Nikon、モデルD1)を用いて、調理後のベースクラストの画像を得た。市販されている画像および図形ソフトウェアプログラムを用いて、色パラメータを、食品リサーチ好ましい色モデルであるL−a−b色モデルに変換した。参照した手順に提示に準拠して、焦げ目のついた面積割合を、153未満の明度L値のピクセルの割合として定義した(0〜255の明度スケール、255が最も明るい)。参照した手段における上記の方法に続いて、焦げ目つけプロファイル(すなわち、放射線上の位置の関数としての焦げ目のついた面積割合)を算出した。
【0121】
ベースクラストの画像を複数の同心円状のリングに分け、および平均L値を各円状リングについて算出した。
【0122】
以下の実施例は、本発明の異なる電界ダイレクタ構造の使用からもたらされる焦げ目つけおよび焦げ目つけの均一性における向上を図示していると考えられている。
【0123】
実施例1
DiGiorno(登録商標)Microwave Four Cheese Pizzaを、1100−ワットGeneral Electric(GE)製の電子レンジ、品番JES1036WF001において、導入において記載した方策で調理した。電界ダイレクタを利用したとき、図14による電界ダイレクタ構造(支柱168Sを除く)を用いた。羽根168−1は、17.5センチメートルの長さ寸法、および2センチメートルの幅寸法を有していた。羽根168−2〜168−5は、各々、8センチメートルの長さ寸法および2センチメートルの幅寸法を有していた。
【0124】
調理後、ベースクラストの画像を既述のとおりデジタルカメラで得た。画像データから、焦げ目のついた面積割合を、記載の手法を用いて算出した。電界ダイレクタなしで調理したピザについての焦げ目のついた面積割合の平均を40.3%であると判定した。電界ダイレクタで調理したピザについての焦げ目のついた面積割合の平均は60.5%であるとして判定した。
【0125】
実施例2〜5
実施例1に記載の実験を、異なる製造業者の4つの電子レンジで繰り返した。各実施例についての電子レンジ製造業者、品番、全出力ワット数、および調理時間は、表1にまとめられている。この表は、電界ダイレクタの有無で達成した焦げ目のついた面積割合を報告する。焦げ目のついた面積割合がすべての事例において向上したことに留意すべきである。
【0126】
表1
電界ダイレクタの有無での焦げ目のついた面積割合の比較

【0127】
実施例6
DiGiorno(登録商標)Microwave Four Cheese Pizza(280グラム)を、1100−ワットのSharp製電子レンジ、モデルR−630DW中で調理した。電界ダイレクタ構造を利用した場合、図15に係る電界ダイレクタ構造を用いた。羽根169−1および169−2は、22.9センチメートルの長さ寸法および2センチメートルの幅寸法を有していた。接合点169Fから伸びる湾曲した羽根の各部分についての曲率の半径はおよそ5.3cmであり、およそ124度のアーク角度を有していた。
【0128】
調理後、すべて既述のとおり、ベースクラストの画像をデジタルカメラで得、および焦げ目のついた面積割合を計算した。
【0129】
電界ダイレクタなしで調理したピザについての焦げ目のついた面積割合の平均は55.2%であった。電界ダイレクタありで調理したピザについての焦げ目のついた面積割合の平均は73.8%であると判定した。焦げ目つけプロファイルをプロットし、図17に示した。
【0130】
実施例7
実施例6に記載の実験を、1300−ワットのPanasonic製電子レンジ、モデルNN5760WAを用いて繰り返した。電界ダイレクタなしで調理したピザについての焦げ目のついた面積割合の平均は50.3%であった。電界ダイレクタ構造ありで調理したピザについての焦げ目のついた面積割合の平均は51.7%であると判定した。本発明の使用からもたらされる実質的に均一な焦げ目つけプロファイルを、図18に示すプロットから見ることができる。図18の観察から、電界ダイレクタ構造の使用で、半径に沿った焦げ目つけプロファイルが大きく向上したことを認識することが可能である。
【0131】
実施例8
実施例1に記載の実験を700−ワットのGoldstar製電子レンジ、モデルMAL783W中で繰り返した。電界ダイレクタ構造を利用した場合、支柱168Sを有する図14に係る電界ダイレクタ構造を用いた。支柱は、高さが5センチメートルであり、ターンテーブル上に、電界ダイレクタをピザの直上に支持するために置いた。電界ダイレクタ構造は、ピザの上部にピザクラストが膨張した後にほとんど触っていなかった。
【0132】
すべて既述のとおり、調理後(用いた電子レンジの全出力で7.5分間)、ベースクラストの画像をデジタルカメラで得、焦げ目のついた面積割合を算出した。
【0133】
電界ダイレクタなしで調理したピザについての焦げ目のついた面積割合は31.5%であった。電界ダイレクタありで調理したピザについての焦げ目のついた面積割合は65.1%であった。
【0134】
上述のものなどのマイクロ波サセプタアセンブリが「未装填の」電子レンジ(すなわち、食料製品または他の物品が存在しない電子レンジ)中に置かれた場合、数々の有害な問題が観察されてきた。問題は、高ワット数の電子レンジ(すなわち、典型的には900ワットを超える出力定格を有する電子レンジ)で特に深刻である。いくつかの事例においては、物品が存在する場合においても、マイクロ波サセプタアセンブリが過熱され得る。
【0135】
平坦なサセプタ12の損失層12Cが過熱されるに伴って、基材12Sの溶融または炭化が生じ得る。サセプタは、サセプタ基材が燃焼するまで過熱され得る。電界ダイレクタ構造の羽根の導電性部分は、縁に沿って、および特に角でアーク放電し得る。アーク放電は、羽根の非導電性(典型的には板紙)支持体を変色、炭化または火が点く程度までに過熱させる。電界ダイレクタ構造の過熱はまた、サセプタ材料の過熱によっても生じられ得る。
【0136】
従って、「酷使耐性」、すなわち、アーク放電の発生、および/または電界ダイレクタの過熱の発生、および/またはサセプタの過熱の発生を防止する構造である電界ダイレクタ構造およびこれが組み込まれたサセプタアセンブリを提供することが有利であると考えられている。
【0137】
図19は、電界ダイレクタ構造1410を有するサセプタアセンブリ1010の合成図である。図19に示す羽根は、本願明細書において以下の実施例9〜64において用いた羽根を図示する。
【0138】
サセプタアセンブリ1010は、図2に関して既述したとおり、基材12Bを電気的損失層12Cと共に有する略平坦なサセプタ12を含む。
【0139】
電界ダイレクタ構造1410は、平坦なサセプタ12に各々が機械的に接合された、少なくとも1枚、しかしながら好ましくは複数枚の羽根1610を有する。図19西メス各羽根1610−1〜1610−8は、非導電性材料の基材1610Nから形成されている。各羽根は、略矩形の形状である。基材1610Nは、羽根の部分上に視認可能である。基材1610Nは、これに適用された難燃性組成物を有し得る。
【0140】
電界ダイレクタ構造1410は、あるいは、平坦な非導電性支持部材32と組み合わされて用いられて、参照符号31によって全体が示されている電界ダイレクタアセンブリを画定し得ることが理解されるべきである。
【0141】
各羽根1610は、図示の明確さのために羽根1610−6についてのみ特定されている表面1610Sを有する。各羽根の表面1610Sの少なくとも一部分1610Cは導電性である。後述されるであろうとおり、各羽根1610の導電性部分1610Cは平坦なサセプタ12に関して位置され、および種々の方法で構成されて、過熱およびアーク放電問題を防止する。
【0142】
各羽根1610の導電性部分1610Cは、第1の端部1510Dおよび第2の端部1510Eを有する。再度、明確さのために、これらの端部は、羽根1610−6にのみ示されている。第1の端部1510Dと第2の端部1510Eとの間の距離が、導電性部分1610Cについての既定の長さ寸法を規定する。各羽根の導電性部分1610Cはまた、既定の幅寸法を示す。既述のとおり(例えば、図2および3と併せて)、長さ寸法は、電子レンジにおいて発生される定常電磁波の波長の約0.25〜約二(2)倍の範囲であるべきである。幅寸法は、この波長の約0.1〜約0.5倍の範囲であるべきである。
【0143】
羽根1610−1は、矩形の全表面を占有する導電性部分1610C−1を有する。導電性部分1610C−1は平坦なサセプタ12に接触する。羽根1610−1は、未装填の電子レンジ中で用いられたときに過熱する典型的な羽根構造のものである。サセプタ12はまた、羽根1610−1を有する電界ダイレクタ構造と一緒に用いられるとき、過熱して、サセプタ基材12Sの溶融または炭化をもたらし得る。羽根1610−1の導電性部分は、その縁に沿って、またはその角でアーク放電し得る。
【0144】
羽根1610−2の導電性部分1610C−2はまた矩形の形状である。この導電性部分1610C−2は、羽根表面の一部分のみを占有し、基材1610Nの一部を露出したまま残して、底縁に沿って縁取材19Lを画定する。導電性部分1610C−2は平坦なサセプタ12に接触する。羽根1610−2の構造は、未装填の電子レンジ中で用いられたときに、羽根およびサセプタの過熱を制限するが排除はしないと見られる(実施例36、39)。羽根1610−2を有する電界ダイレクタ構造と一緒に用いられるとき、サセプタ12はまた過熱して、基材12Sの溶融または炭化をもたらし得る。
【0145】
解明されるであろうとおり、羽根1610−3〜1610−5、1610−7および1610−8は、本発明に係る導電性部分1610Cの種々の位置および/または構成を例示し、サセプタの過熱、および/または電界ダイレクタの過熱、および/またはアーク放電の問題が防止される。
【0146】
羽根1610−3は、基材1610Nが平坦なサセプタ12に接触している羽根の例である。この場合、導電性部分1610C−3は、非導電性基材材料の上部の縁取材19Tがサセプタ12に隣接する羽根の縁に沿って露出されるように、羽根上に位置されている。縁取材19Tは、羽根1610−3の導電性部分1610C−3を、サセプタ12から既定の近接距離21Dだけ離間させるために役立っている。サセプタ12の平面に直交した方向に計測した寸法21Dは、サセプタアセンブリ1010が用いられている電子レンジにおいて発生された定常電磁波の波長の0.025〜0.1倍の範囲内にある。すなわち、寸法21Dは、波長の少なくとも0.025倍であるべきである。さらに、寸法21Dは、その波長の0.1倍以下であるべきである(すなわち、寸法21D≦その波長の0.1倍)。上記で参照した最大距離17Dおよび図6において参照符号Dによって示される最大距離(すなわち、波長の0.25倍)は、この羽根が用いられている電子レンジは装填されているであろうとの明白な理解と共に、サイズ化されていることに注目すべきである。
【0147】
羽根1610−4の導電性部分1610C−4は、その基材1610Nの一部が露出されて、それぞれ、放射線状の内側および外側縁取材19Dおよび19Eを画定するようなサイズとされる。さら、基材材料16Nの上部縁取材19Tおよび下部縁取材19Lは露出されている。
【0148】
羽根1610−5は、導電性部分1610C−5は略矩形であるが(導電性部分1610C−4と同様に)丸い角を有する羽根の例である。これらの角は、導電性部分1610C−5の幅寸法の半分以下の半径寸法15R(すなわち、15R≦0.5幅)で丸められていてもよい。角が丸められている場合、導電性部分の長さは、導電性部分の放射状の程度によって確定されている。羽根1610−5はまた、縁取材19T、19L、19D、19E(羽根1610C−4について示したものと同様に)を有する。下部縁取材19Lの寸法は、参照符号21Lにより示されている。
【0149】
羽根1610−6はまた、丸い角を有する導電性部分1610C−6を示す。しかしながら、導電性部分1610C−6は羽根の全幅に伸びて、平坦なサセプタ12に接触する。平坦なサセプタ12から既定の近接距離で離間されていない。
【0150】
羽根1610−7は、1610C−7Fに示されるとおり折り重ねられて、少なくともその外周に沿って2倍の厚さを規定する金属箔から形成された導電性部分1610C−7を有する羽根の例である。縁取材19T、19L、19D、19E(羽根1610C−4について示したものと同様に)は、導電性部分1610C−7の外周に沿って存在する。
【0151】
羽根1610−8は、その矩形の全表面を占有する導電性部分1610C−8を有する。この羽根について、導電性部分1610C−8のサセプタ12からの必須空間21Dは、羽根が物理的にサセプタから離間される架台配置を用いることにより達成される。
【0152】
当然ながら、必須空間21Dはまた、サセプタからの設定された離間距離および適切なサイズに縁取材がとられた羽根の縁取材幅(すなわち、羽根1610−3、1610−4、1610−5、または1610−7)の和によって達成されてもよいこともまた認識されるべきである。
【0153】
図19および20に示されているとおり、複数枚の羽根が用いられる場合、羽根の各々の導電性部分の第1の端部1510Dは、場合によって、平坦なサセプタ12の幾何学的中心12Cまたは平坦な支持部材32の幾何学的中心32Cからの既定の離間距離21Sで配設されている。サセプタ12または支持部材31の平面に平行な方向に計測される離間距離21Sは、サセプタアセンブリ1010が用いられている電子レンジにおいて発生される定常電磁波の波長の少なくとも0.16倍であるべきである。
【0154】
羽根の各々の導電性部分1610Cの第1の端部1510Dを平坦なサセプタ12の幾何学的中心12Cから既定の離間距離21Sで配置することで、サセプタ中心の近傍におけるサセプタの過熱の発生が緩和されることが見出された(実施例18、19、20〜22)。羽根の導電性部分を、平坦なサセプタの電気的損失層からの既定の近接距離21Dで配置すること(しかしながら、離間が達成されている)もまた、サセプタの過熱の発生を緩和させることが見出された(実施例35、37)。サセプタ過熱の発生のさらなる緩和は、下部縁取材19Lの提供により達成され得る(実施例36、39)。
【0155】
本発明によれば、平坦なサセプタからの、既定の離間距離21Sでの羽根の導電性部分の配置と、既定の近接距離21Dでの羽根の導電性部分の配置の組み合わせは、未装填の電子レンジにおいて用いられた場合のサセプタの過熱の発生を防止する。
【0156】
また本発明よれば、羽根の導電性部分を平坦なサセプタの電気的損失層から既定の近接距離21Dで配置し、および導電性部分の角を半径15Rで丸めることで、未装填の電子レンジにおいて用いられた場合のアーク放電の発生が防止される。
【0157】
さらに、本発明によれば、未装填の電子レンジにおけるアーク放電の発生は、羽根の導電性部分を平坦なサセプタの電気的損失層から既定の近接距離21Dで配置し、および羽根1610−3〜1610−5、1610−7、1610−8のいずれかの導電性部分を、ポリアクリルまたはポリテトラフルオロエチレンスプレーコーティングまたはポリイミドテープなどの非導電性材料で被覆することで防止される。
【0158】
さらに、本発明によれば、羽根の導電性部分を平坦なサセプタの電気的損失層から既定の近接距離21Dで配置し、および導電性部分の外周の厚さを増加させる(羽根1610−7で示した方策で)ことで、未装填の電子レンジにおいて用いられた場合のアーク放電の発生が防止される。
【0159】
実施例9〜23
以下の実施例は、過熱および/またはアーク放電問題を緩和または排除するパラメータを測定するために実施した実験を説明する。General Electric、モデルJES1456BJ01、1100ワットの電子レンジを実施例9〜23において用いた。これらのテストは、未装填の電子レンジ、すなわち、食料製品または他の物品が中に存在していない電子レンジで実施した。これらの実施例は、本願明細書において表2にまとめられている。
【0160】
実施例9は、1枚の羽根の導電性部分の縁取材および角の丸めなしでの対照実施例であった。
【0161】
実施例10〜13および14〜17は、1枚の羽根の導電性部分上の非導電性被覆の効果をテストした。実施例10〜13において、導電性部分は、丸い角を有する、3/4インチ(0.75インチ;19mm)幅であり;実施例14〜17において、導電性部分は、丸い角を有する、1インチ(25.4mm)であった。
【0162】
実施例18〜20は、アーク放電および過熱に対する、放射線上に逆の導電性部分間の異なる中心ギャップの効果をテストした。
【0163】
実施例21〜22は、導電性部分に対する代替的材料をテストした。実施例23は、アーク放電および燃焼に対する板紙の難燃性処理の効果をテストした。
【0164】
実施例9
この実施例においては、図19の羽根1610−1に従って、1枚の羽根を構成し、およびサセプタに対して位置させた。このような羽根の拡大図が図21に示されている。ニュージャージー州ハッケンスナック(Hackensack,NJ)のMerco Co.製の、直角な角を有する3−1/2インチ(3.5インチ)長×1インチ幅(88.9mm×25.4mm)接着剤付き0.002インチ(0.05mm)厚のアルミニウム箔導電性部分を、同一のサイズのセルロース板紙に適用した。板紙は、International Paper(グレードコード1355,0.017/180番Fortress Uncoated Cup Stock)であった。羽根を、次いで、DiGiorno(登録商標)Microwave Four Cheese Pizza(280グラム)製の市販のサセプタ配置の下面に、0.001インチ(0.025mm)厚ポリイミドテープ(Kapton(登録商標)E.I.DuPont de Nemours and Company製のポリイミドテープ)を用いてテープで留めた。この構成は、電子レンジ中に未装填で露出した際に、28秒でアーク放電をもたらした。
【0165】
実施例10〜13
これらの実施例において、1枚の羽根を、図19の羽根1610−5に準拠して、構成し、サセプタに対して位置させた。このような羽根の拡大図が図22に示されている。
【0166】
実施例10〜12では、アーク放電を防止する試みのために、アルミニウム導電性部分上に非導電性材料の保護被覆を提供した。未被覆バージョンである実施例13もまた対照としてテストした。
【0167】
各羽根は、実施例9において用いたものと同一の接着剤付き0.002インチ(0.05mm)厚のアルミニウム箔から切り取った、3−1/2インチ(3.5インチ;88.9mm)長および3/4インチ(0.75インチ;19.2mm)幅の導電性部分を、4インチ×1インチ(101.6×25.4mm)の矩形の実施例9におけるものと同一のセルロース板紙に貼り付けたものを有していた。導電性部分は、非導電性被覆がアルミニウム導電性部分の縁のすべてを確実に被覆するよう、3/4インチ(0.75インチ;19.2mm)幅であった。板紙の1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)の上部縁取材を、導電性部分上に露出させた。1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)縁取材寸法は、波長の約0.025倍であった。導電性部分は、3/8インチ(0.375インチ;9.6mm)の半径ですべての角が丸められていた。
【0168】
板紙の1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)の下部縁取材もまた導電性部分の下に露出させ、および板紙の1/4インチ(0.25インチ;6.4mm)縁取材を各端部で露出させた。
【0169】
以下のとおり、被覆材として異なる非導電性材料を用いた:
実施例10−0.001インチ(0.025mm)厚×1インチ(25.4mm)幅ポリイミドテープ(E.I.DuPont de Nemours and Companyから商品名Kapton(登録商標)で市販されている)
実施例11−Minwax製のポリアクリルスプレー
実施例12−ポリテトラフルオロエチレンスプレー(E.I.DuPont de Nemours and Companyから商品名Teflon(登録商標)で市販されている)
実施例13−未被覆。
【0170】
いずれの羽根も、電子レンジ中に未装填で2分間露出されたときにいかなるアーク放電をも発生させなかった。
【0171】
実施例14〜17
これらの実施例において、図19の羽根1610−6に準拠して、1枚の羽根を含み構成し、およびサセプタに対して位置させた。このような羽根の拡大図が図23に示されている。
【0172】
実施例14〜16は、アルミニウム導電性部分が板紙と同じ1インチ(25.4mm)幅であったこと以外は、それぞれ、実施例10〜12におけるものと同一の、アルミニウム導電性部分上に配設した非導電性保護被服を評価した。再度、未被覆バージョンである実施例17を対照としてテストした。これらの実施例の各々において、導電性部分は、実施例10〜13において用いたとおり、4インチ×1インチ(101.6mm×25.4)の矩形のセルロース板紙に貼り付けた3−1/2インチ(3.5インチ;88.9mm)長×1インチ(25.4mm)幅の接着剤付き0.002インチ(0.05mm)厚のアルミニウム箔であった。導電性部分は、すべての角が1/2インチ(0.5インチ;12.7mm)の半径で丸められており、および露出した板紙の1/4インチ(0.25インチ;6.4mm)縁取材を端部の両方で有していた。
【0173】
以下のとおり、被覆材として異なる非導電性材料を用いた:
実施例14−0.001インチ(0.025mm)厚×1インチ(25.4mm)幅ポリイミドテープ(E.I.DuPont de Nemours and Companyから商品名Kapton(登録商標)で市販されている)
実施例15−Minwax製のポリアクリルスプレー
実施例16−ポリテトラフルオロエチレンスプレー(E.I.DuPont de Nemours and Companyから商品名Teflon(登録商標)で市販されている)
実施例17−未被覆。
【0174】
実施例14において、導電性部分の表面をポリイミドテープで被覆した。上および底縁はポリイミドテープで被覆しなかった。
【0175】
実施例15および16において、導電性部分の表面を、それぞれ、ポリアクリルまたはポリテトラフルオロエチレンスプレーコーティングで被覆した。アルミニウム導電性部分の上および底縁をポリアクリルまたはポリテトラフルオロエチレンコーティングの偶発的なスプレーしぶきでのみ被覆した。
【0176】
実施例14、16および17において、導電性部分の底縁は中心でアーク放電した。このアーク放電は、未装填で電子レンジ中に露出したすぐ直後に発生した。実施例15においてはアーク放電は発生しなかった。
【0177】
より具体的には、実験の結果は以下のとおりであった:
実施例14−羽根の導電性部分を0.001インチ(0.025mm)厚Kapton(登録商標)テープで被覆した、16秒の露出の後にアーク放電した
実施例15−羽根の導電性部分をポリアクリルスプレーでコートした、2分間でアーク放電しなかった
実施例16−羽根の導電性部分をポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))スプレーでコートした、12秒の露出の後にアーク放電した
実施例17−未被覆羽根の導電性部分、17秒の露出の後にアーク放電した。
【0178】
図20は、実施例18〜23で用いた6枚の羽根電界ダイレクタを組み込むサセプタアセンブリの平面図である。直径方向に逆の羽根の導電性部分間の端部間ギャップ(「ギャップ」)は離間距離21Sの2倍であることが図20から認識され得る。
【0179】
実施例18
この実施例において、図19の羽根1610−5に準拠して、図20の電界ダイレクタの6枚の羽根の各々を導電性部分と共に構成した。
【0180】
図24に示すとおり、3枚の羽根素材は、各々、3−1/2インチ(3.5インチ)長×3/4インチ(0.75インチ)幅(88.9mm×19.2mm)で、すべての角が3/8インチ(0.375インチ;9.6mm)の半径で丸められた導電性部分を有する。導電性部分を、既述の実施例9〜17について用いたのものと同様に、接着剤付き0.002インチ(0.05mm)厚のアルミニウム箔から切り取った。これらの導電性部分の2つを、板紙の1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)縁取材が導電性部分の上下および外方の端部に露出するよう、実施例9〜17で用いた8インチ×1インチ(203.2×25.4mm)の矩形のセルロース板紙上に置いた。3/4インチ(0.75インチ;19.2mm)の端部間ギャップを各導電性部分の内側端部の間に残した。
【0181】
3枚の羽根素材の各々を、次いで、中間で屈曲させてV形状を形成し、および各Vの頂点がサセプタの中心となるようサセプタ下に位置させ、これにより、3/8インチ(0.375インチ;9.6mm)の離間距離21S(図19)を規定した。V形状の羽根素材を、Basic Adhesives,Inc.製のタイプBR−3885などの水溶性接着剤を用いてサセプタの下面に接着した。この素材を、羽根が放射線状のスポークパターンに均等に離間するよう配置した。完全に組み立てたサセプタアセンブリを、導電性部分の対が3/4インチ(0.75インチ;19.2mm)の端部間ギャップで直接的に対向するよう配置した。
【0182】
このサセプタアセンブリを未装填で電子レンジ中に露出したときに識別可能なアーク放電しなかったが、アセンブリは、中心の板紙基材が47秒で過熱されたときに発火した。
【0183】
実施例19
この実施例においては、図19の羽根1610−5に準拠して、図20の電界ダイレクタの6枚の羽根の各々を導電性部分と共に構成した。
【0184】
この実施例における羽根を、実施例18と同様の方策で、図25に図示する羽根素材から構成した。羽根素材は、8インチ×1−1/4インチ(203.2mm×31.7mm)の矩形の同一のセルロース板紙であった。導電性部分は、長さが3−3/8インチ(3.375インチ;85.7mm)、および幅が1インチ(25.4mm)であり、すべての角が1/2インチ(0.5インチ;12.7mm)の半径で丸められていた。導電性部分を板紙素材に取り付けて、板紙の1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)の縁取材を導電性部分の上下および外方端部で露出させたままにした。1インチ(25.4mm)の端部間ギャップを各導電性部分の内側端部の間に残した。
【0185】
実施例18と同様に、これらのV形に折り曲げた羽根素材の3つをサセプタの下面に接着して、1/2インチ(0.5インチ;12.7mm)の離間距離21S(図19)を規定した。
【0186】
再度、このサセプタアセンブリを未装填で電子レンジ中に露出したときに識別可能なアーク放電しなかったが、アセンブリは、1分18秒で中心の板紙羽根が過熱されたときに発火した。
【0187】
実施例20
この実施例においては、図19の羽根1610−5に準拠して、図20の電界ダイレクタの6枚の羽根の各々を導電性部分と共に構成した。
【0188】
この実施例における羽根はまた、実施例18および19と同一の方策で、図26に図示する羽根素材から構成した。羽根素材は、8インチ×1−1/4インチ(203.2mm×31.7mm)の矩形の同一のセルロース板紙であった。導電性部分は、長さが3−1/8インチ(79.4mm)および幅が1インチ(25.4mm)であり、すべての角が1/2インチ(0.5インチ;12.7mm)の半径で丸められていた。導電性部分を板紙素材に取り付けて、板紙の1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)の縁取材を導電性部分の上下および外方端部で露出させたままにした。1−1/2インチ(1.5インチ;38.1mm)の端部間ギャップを各導電性部分の内側端部の間に残した。
【0189】
実施例18および19と同様に、これらのV形に折り曲げた羽根素材の3つをサセプタの下面に接着して、3/4インチ(0.75インチ;19.2mm)の離間距離21S(図19)を規定した。
【0190】
このサセプタアセンブリを未装填で電子レンジ中に5分間露出したときに、アーク放電しなかった。
【0191】
実施例21
実施例20のテストを図26に示す導電性部分を用いて繰り返した。この実施例についての導電性部分は、オハイオ州ペーンズビル(Painesville,OH)のAvery−Dennison Specialty Tape Divisionから入手可能であるAvery−Dennison Fasson(登録商標)0817接着剤付き0.002インチ(0.05mm)厚のアルミニウム箔で形成した。
【0192】
このサセプタアセンブリを未装填で電子レンジ中に5分間露出したときに、アーク放電しなかった。
【0193】
実施例22
実施例20のテストを図26に示す導電性部分を用いて繰り返した。この実施例についての導電性部分は、ノースカロライナ州ヒッコリー(Hickory,NC)のShurtapeから入手可能である、ShurtapeAF973接着剤付き0.002インチ(0.05mm)厚のアルミニウム箔で形成した。
【0194】
このサセプタアセンブリを未装填で電子レンジ中に5分間露出したときに、アーク放電および燃焼しなかった。このテープのアルミニウム箔は許容可能に性能を発揮したが、接着剤が緩んでいた。
【0195】
実施例23
羽根の自然燃焼を防止するための難燃性組成物の適用を実施例23としてテストした。用いた難燃剤は、テキサス州ヒューストン(Houston,TX)のFlame Seal(登録商標)Products製のPaper Seal(商標)として知られる水性ベースの樹脂であった。サセプタアセンブリを、図24に示すとおり、導電性部分の各対の間の中心の3/4インチ(0.75インチ;19.2mm)ギャップと共に、実施例18と同様に構成し、これにより、3/8インチ(0.375インチ;9.6mm)の離間距離21S(図19)を規定した。
【0196】
板紙素材を難燃性液体の浴中に浸漬し、導電性部分を接着してサセプタアセンブリを組み立てる前に1日乾燥させた。
【0197】
サセプタアセンブリを未装填で電子レンジ中に5分間露出したときに、アーク放電しなかった。実施例18とは異なり、アセンブリは発火せず、板紙の難燃性処理が燃焼の防止に十分であったことを示唆している。
【0198】
実施例9〜23のテストは表2にまとめられている。
【0199】
表2 アーク放電および過熱の評価(N/Aは「適用せず」を示す)

【0200】
表2(続き)

【0201】
実施例9〜23からの観察は以下のとおりであった:
1.導電性部分の丸い角と、羽根の未被覆導電性部分を完全に囲む、少なくとも1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)(電子レンジに存在する定常波の波長の約0.025倍)の板紙の縁取材(すなわち、低導電性材料)との組み合わせは、アーク放電を防止した。縁取材は、羽根の導電性部分をサセプタから既定の近接距離(実施例18〜23)で離間させるために役立っていたことに留意すべきである;
2.少なくとも1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)の縁取材(既定の近接距離)と、3/4インチ(0.75インチ;19.2mm)(電子レンジに存在する定常波の波長の約0.16倍)の導電性部分の内側端部の、サセプタの幾何学的中心からの離間距離、すなわち、対向する導電性部分間の1−1/2インチ(1.5インチ;38.1mm)の中心ギャップとの組み合わせは、未装填の電子レンジ中で露出されたときに、サセプタアセンブリの板紙の過熱および自然の燃焼を防止した(実施例20〜22);
3.少なくとも1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)の縁取材(既定の近接距離)と、導電性部分の非導電性被覆との組み合わせは、アーク放電を防止した(実施例10〜12)。しかしながら、実施例14〜16から見られ得るとおり、導電性部分を非導電性被覆で被覆し、縁取材が存在しない場合には、アーク放電が発生した;および
4.板紙への難燃剤の適用は、3/8インチ(0.375インチ;9.6mm)(波長の約0.08倍)のサセプタの幾何学的中心からの離間距離、すなわち、対向する導電性部分間の3/4インチ(0.75インチ;19.2mm)の中心ギャップでの過熱による自然の燃焼を防止した。
【0202】
実施例24〜64
総論
以下の実施例24〜64において、図20に示したものと類似のサセプタアセンブリを電子レンジ中で用いて、DiGiorno(登録商標)Microwave Four Cheese Pizza(280グラム)を調理した。これらの実験の結果は、以下の表3、4A、4Bおよび5に記載されている。
【0203】
実施例24〜50および実施例61〜64は、種々の電子レンジにおけるピザの調理の最中のサセプタの過熱を排除する、種々の羽根設計の効果を評価するために実施した。残りの実施例(すなわち、実施例51〜60)は、種々の電子レンジ中で調理したピザの焦げ目付けに対する種々の羽根設計の効果を評価するために実施した。
【0204】
図20に示すとおり、各サセプタアセンブリは、羽根の各導電性部分からサセプタの幾何学的中心への3/8インチ(0.375インチ;9.6mm)の離間距離21Sで、サセプタ上に六十(60)度で等間隔に分離されて設けられた6枚の同等の羽根を含んでいた。
【0205】
テストしたサセプタアセンブリは種々の材料から形成された基材を有していた。4つの異なるサセプタ基材材料を、ゆるい導電層を形成した2つの異なる厚さのメタライゼーションとの組み合わせでテストした。
【0206】
各羽根の導電性部分は、実施例9〜20に関して既述のとおり、接着剤付き0.002インチ(0.05mm)厚のアルミニウム箔を、International Paper製のセルロース板紙羽根に適用したものを用いて形成した。各導電性部分は、長さが3−1/2インチ(3.5インチ;88.9mm)であったが、異なる幅であった。表3、4A、4Bおよび5は各々、テストした「羽根タイプ」を示すアルファベット記号の列を含む。各記号は、図19に示されるとおりの、以下の導電性部分の「幅」寸法および「縁取材」の羽根タイプを示す:
【0207】

【0208】
表3、4A、4Bおよび5はまた、テストに用いた「電子レンジ」を示すアルファベット−数字記号の列を含む。各記号は、以下のとおり特定の電子レンジ製造業者およびモデルに関連する:
【0209】

【0210】
表3、4A、4Bおよび5は、用いた「サセプタ」(すなわち、基材12Sおよび層12C)を示す列を含む。
【0211】
以下の表3、4Aおよび4Bに含まれる実施例のいくつかにおけるサセプタは、「対照」として特定される。「対照」サセプタは、既述のDiGiorno(登録商標)Microwave Four Cheese Pizza(280グラム)で提供したものであった。「対照」サセプタは板紙基材を含んでいた。
【0212】
以下の表3および5に含まれる実施例のいくつかにおける「サセプタ」は、ハイフン付きの第1および第2の数値を含む参照記号によって識別される。第1の数値はサセプタの高分子基材材料を表し、一方で、第2の数値はその測定光学密度に基づくサセプタ損失層メタライゼーションの厚さ(真空蒸着アルミニウム)を示す。
【0213】
第1の数値は以下のとおり高分子基材材料を示す。
【0214】

【0215】
第2の数値は、以下のとおり、真空蒸着アルミニウムの金属化コーティングの光学密度厚さ計測値を表す。
【0216】

【0217】
それ故、表3における実施例29について、「12−3」で指定されるサセプタは、300ゲージポリエチレンテレフタレート熱安定化フィルム(Melinex(登録商標)ST−507フィルム)(第1の数値「12」によって表される)の基材を有し、アルミニウムが真空蒸着されたメタライゼーションが0.3(第2の数値「3」によって表される)の光学密度を有するサセプタを示す。
【0218】
実施例24〜34
タイプA羽根(上述のとおり)を有するサセプタアセンブリを用いて、DiGiorno(登録商標)Microwave Four Cheese Pizza(280グラム)を、S−1000インチまたはF−950電子レンジのいずれかで調理した。表3において見られ得るとおり、4つのタイプのサセプタ基材材料を用いた。調理時間を5〜6分間で異ならせた。すべての羽根付きサセプタアセンブリは、一貫して中心で過熱された。過熱の深刻度は、用いた各サセプタ基材材料について調理時間と共に高まった。過熱の例は、サセプタの表面上の燃焼および溶融スポットを含み、いくつかの場合において、図27および28に見られ得るとおり、溶融したサセプタ材料のピザのベースへの移動をもたらした。
【0219】
実施例35〜40
実施例35〜40において、板紙の1/4インチ(0.25インチ;6.4mm)の縁取材の、羽根の導電性部分の上部または底部の一方への追加をテストして、サセプタの中心の過熱を排除するその可能性を評価した。以下の表3にまとめてあるとおり、この一連のテストにおいては、DiGiorno(登録商標)Microwave Four Cheese Pizzaを、S−1000電子レンジで、6分間かけて、12−3基材を有するサセプタを用いて調理した。異なる羽根タイプA、B、C、D、EおよびFを示す電界ダイレクタアセンブリをテストした。実施例35はタイプB羽根を利用し;実施例36はタイプC羽根を利用し;実施例37はタイプD羽根を利用し;実施例38はタイプE羽根を利用し;実施例39はタイプF羽根を利用し;および実施例40はタイプA羽根を利用した。
【0220】
結果が表3にまとめられている。
【0221】
表3サセプタの過熱の評価

【0222】
表3は、導電性部分の内側とサセプタの幾何学的中心との間に規定された離間距離を有する羽根付きサセプタについて、サセプタと羽根構造の導電性部分の上部縁との間への上部縁取材の付加(羽根タイプBおよびE)は、一貫して、サセプタの過熱を防止したことを示している。いずれの縁取材も有さない羽根付きサセプタ(羽根タイプAおよびD)は、一貫して、サセプタの中心で過熱をもたらした。羽根の導電性部分に沿って非導電性材料の下部縁取材を有する(が上部縁取材は有さない)羽根付きサセプタ(羽根タイプCおよびF)は、サセプタ過熱の深刻度をいくらか低減したが、この問題を完全には排除しなかった。実施例35〜40のこれらの結果は、図29に図示されている。
【0223】
実施例41〜60
一連の調理テストは、上記の5種の電子レンジで実施した。羽根タイプAおよびBのサセプタを用いたテストは、羽根の導電性部分に沿った、上部1/4インチ(0.25インチ;6.4mm)の幅の板紙縁取材の追加の効果を評価する。実施例41〜50(表4Aにまとめられている)および実施例51〜60(表4Bにまとめられている)は、それぞれ、同一のテスト条件を用いた。実施例41〜50は、過熱を評価した。
【0224】
実施例51〜60は、特に、この構成のサセプタアセンブリの、ピザのベースに均一に焦げ目をつける能力といった全電子レジ調理性能を評価した。ピザの焦げ目つけ割合(「%焦げ目」)を、実施例1〜8について既述したものと同一の方策で計測した。計測した%焦げ目を3つのピザサンプルで平均化した。
【0225】
表4A 過熱の評価

【0226】
表4B 調理性能の評価

【0227】
表4Aおよび4Bに示す結果は、導電性部分の内側と、サセプタの幾何学的中心との間に規定された離間距離を有する羽根付きサセプタについて、羽根の導電性部分に沿った、上部1/4インチ(0.25インチ;6.4mm)の板紙縁取材の追加(タイプB)の追加は、一貫して、サセプタの中心における過熱を防止したことを示していた。しかしながら、表4Bに見られるとおり、羽根タイプBを有するサセプタの全体的な調理性能は低減していた(低い焦げ目のついた割合の平均によって実証されるとおり)。
【0228】
実施例61〜64
実施例61〜64は、サセプタ過熱に対する、サセプタと、羽根の導電性部分の上部縁との間の上部板紙縁取材の幅の効果を評価した。この一連のテストはまた、6分間、S−1000電子レンジで調理したDiGiorno(登録商標)Microwave Four Cheese Pizzaで実施した。サセプタアセンブリは、12−3基材材料および羽根タイプA、B、GおよびHを有していた。
【0229】
実施例61〜64のこれらの結果は、図30に図示されていると共に、表5にまとめられている。
【0230】
表5過熱に対する上部縁取材の効果の評価

【0231】
これらのテストは、導電性部分の内側と、サセプタの幾何学的中心との間に規定された離間距離を有する羽根付きサセプタについて、サセプタと、羽根構造の導電性部分の上部縁との間の少なくとも1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)の上部板紙縁取材(すなわち、羽根タイプBおよびG)が、サセプタの過熱を防止するために必要であることを示していた。
【0232】
総括すると、導電性部分の内側とサセプタの幾何学的中心との間に規定される離間距離を有する羽根付きサセプタに対する実施例24〜64から導き出される結論は:
1.サセプタと、羽根の導電性部分の上部縁との間の少なくとも1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)の幅の縁取材は、サセプタの過熱を防止した。縁取材は、羽根の導電性部分をサセプタから既定の近接距離で離間させるために役立つことに留意すべきである;
2.用いた基材に関わらず、サセプタの中心における過熱は、1/8インチ(0.125インチ;3.2mm)未満の上部縁取材を有する羽根を用いるサセプタアセンブリについて発生する。この結果は、用いたすべての電子レンジについて観察された。
3.過熱の深刻度(燃焼および溶融)は、調理時間、サセプタ基材の高メタライゼーションレベル、または高電子レンジ出力の増加に伴って高まった。
【0233】
アーク放電の防止
1つ以上の導電性部分を有する電界ダイレクタ構造が稼動されている電子レンジ(サセプタの存在ありまたはなしで)中に存在する場合、導電性部分は、電子レンジにおける定常波電界の乱れを生じる。導電性部分は、電界をそれらの縁にそって集中させて、電子レンジ中のベース電界(すなわち、導電性部分の導入前の電界強度)よりかなり高い局所電界強度を生成する。電子レンジが装填されている限りにおいては、これらの高い電界強度は、通常は、空気の絶縁破壊には不十分である。
【0234】
しかしながら、電子レンジが未装填の場合には(すなわち、食品または他の物品が存在していない)、ベース電界は、食品または他の物品が存在する場合のその程度を超えるレベルに高まる。未装填の場合において、導電性部分の縁に沿った電界の局所的強度は、空気の絶縁破壊閾値を超えるに十分に高い可能性があり、放電の形態でアークを発生させる。
【0235】
サセプタを備えていない電界ダイレクタ構造が用いられる場合、導電性部分は、平坦な支持部材から少なくとも既定の近接距離で低導電性材料の縁取材(例えば誘電性)によって離間されているべきであると考えられている。縁取材は導電性部分を囲っていることが好ましい。縁取材の存在は、縁での局所的電界強度を低減させる。この低減の規模は、以下の式によって概算される:
l’=El/(εr2+εr21/2
式中、Elは、縁取材の追加前の局所電界である;
l’は縁取材での局所電界である;
εr’は縁取材材料の比誘電率;および
εr”は縁取材材料の比誘電率損失である。
【0236】
基本的に、周囲の縁取材の存在により、局所的電界は、空気の絶縁破壊閾値を超えぬよう減衰され、それ故、アーク放電を防止する。
【0237】
電界ダイレクタがサセプタと共に用いられる場合、サセプタの損失層はまた、アーク放電の防止に部分的に関与する。損失層は、電子レンジにおけるマイクロ波エネルギーを部分的に吸収し、これを熱に転換する。この吸収が電子レンジにおける電界強度を低減する。この熱は、存在する食料製品または他の物品に流れる。
【0238】
しかしながら、電子レンジが未装填の場合、電子レンジ中には、損失層によって発生される熱を分散させる食料製品または他の物品が存在しない。これは、損失層に損害を与える急速な過熱をもたらし、その導電性を著しく低下させる。これは、損失層のマイクロ波エネルギー吸収能を低減させる。
【0239】
損失層によるこの吸収なしでは、電子レンジにおける電界強度が高まり、次いで、導電性部分の縁に沿った高電界強度条件は、空気の絶縁破壊閾値を超える場合があり、放電の形態でアークを発生させる。
【0240】
電界ダイレクタ構造の導電性部分が、損失層から誘電体材料の縁取材によって離間されている場合、縁取材は、縁での局所的電界強度を低減させると考えられている。
【0241】
過熱の防止
稼動している電子レンジ中に2つの導電性部分を有する電界ダイレクタ構造が存在する場合、これらの導電性部分の間の空間に集中した電界が形成される。板紙の平坦な支持部材またはサセプタなどの適度な誘電損率を有する材料が、導電性部分の間の領域に、またはその近傍に置かれる場合、集中した電界がこの材料を急速に加熱する。この電界集中は、導電性部分間の離間空間による。この導電性部分が十分に近接している場合、この集中した電界は、材料を、板紙の場合のとおり、発火させるに十分に過熱し得る。導電性部分間の空間を広げることで、この電界集中が低減され、それ故、過熱が防止される。
【0242】
本発明の教示に利益を有する当業者は、これに改良を成し得る。このような改良は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内にあるとして解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1A】電子レンジ内の異なる電界強度の領域を示すと共に、ターンテーブル上の半径方向の位置P1、P2およびP3の各々に位置された3つの個別の点J、K、およびLによってなぞられる経路を示す平面図である。
【図1B】ターンテーブルの完全な一回転に対する、図1Aに示される個別の点の各々での総エネルギー露出量を示すプロットである。
【図2】羽根の導電性部分が平坦なサセプタに直接的に接合している電界ダイレクタ構造の羽根の種々の縁部形状を示す、平坦なサセプタの一部を明確さのために省略したサセプタアセンブリの斜視図である。
【図3】羽根の導電性部分が平坦なサセプタから離間している電界ダイレクタ構造の羽根を示す、図2に類似の斜視図である。
【図4A−4C】それぞれ、サセプタアセンブリの略放射状の線からオフセット方向に、略平坦なサセプタを横切って伸びる略直線縁状、屈曲縁状および湾曲縁状の羽根を示す平面図である。
【図4D−4F】それぞれ、サセプタアセンブリの略放射状の線と交差する方向に、略平坦なサセプタを横切って伸びる略直線縁状、屈曲縁状および湾曲縁状の羽根を示す平面図である。
【図5A】平坦なサセプタに対して、固定的接合および可動性関節式接合を有する電界ダイレクタの羽根を示し、後者の羽根は収納および展開位置で示されている図2の線5−5に沿った正面図である。
【図5B】平坦なサセプタに対して、固定的接合および可動性関節式接合を有する電界ダイレクタの羽根を示し、後者の羽根は収納および展開位置で示されている図2の線5−5に沿った正面図である。
【図6】平坦なサセプタの平面上における電界成分の構成成分電界ベクトルへの単一の横置導電性羽根の減衰効果を示す斜視図である。
【図7A】高電界強度の領域への本発明のサセプタアセンブリの電界ダイレクタ構造の効果、および再度、それぞれ、ターンテーブル上の半径方向の位置P1、P2およびP3に位置された3つの個別の点J、KおよびLによってなぞられる経路を示す、全体が図1Aに類似の平面図である。
【図7B】ターンテーブルの完全な一回転での、各個別の点での総エネルギー露出量を、比較を容易とするために重畳された図1Bの波形と共に示す、図1Bに類似のプロットである。
【図8A】平坦なサセプタの一部を明確さのために省略した、本発明に係るサセプタアセンブリの種々の好ましい実装の斜視図である。
【図8B】図8Aを示すサセプタアセンブリの平面図である。
【図9A】平坦なサセプタの一部を明確さのために省略した、本発明に係るサセプタアセンブリの種々の好ましい実装の斜視図である。
【図9B】図9Aを示すサセプタアセンブリの平面図である。
【図10A】平坦なサセプタの一部を明確さのために省略した、本発明に係るサセプタアセンブリの種々の好ましい実装の斜視図である。
【図10B】図10Aを示すサセプタアセンブリの平面図である。
【図11】単一の湾曲した羽根を用いて実装された本発明に係る電界ダイレクタ構造の斜視図である。
【図12】単一の屈曲線を有する平坦な羽根を用いて実装された本発明に係る電界ダイレクタ構造の斜視図である。
【図13A】2つの屈曲線を有する平坦な羽根を用いて実装された本発明に係る電界ダイレクタ構造の正面および斜視図である。
【図13B】2つの屈曲線を有する平坦な羽根を用いて実装された本発明に係る電界ダイレクタ構造の正面および斜視図である。
【図14】折り畳み可能な構造を形成するよう可動式に接合された複数の羽根を有する、本発明に係る電界ダイレクタ構造の2つの追加の実装の斜視図である。
【図15】折り畳み可能な構造を形成するよう可動式に接合された複数の羽根を有する、本発明に係る電界ダイレクタ構造の2つの追加の実装の斜視図である。
【図16】少なくとも1枚の羽根が非導電性基材に支持されている本発明に係る電界ダイレクタアセンブリの斜視図である。
【図17】実施例6の結果のプロットである。
【図18】実施例7の結果のプロットである。
【図19】異なる形状および位置を有する導電性部分を備える、電界ダイレクタ構造の種々の羽根形状を示す斜視図である。
【図20】実施例9〜23で用いた6つの羽根電界ダイレクタ構造を組み込んだサセプタアセンブリの平面図である。
【図21】羽根の全面積を占有する矩形の導電性部分を有する羽根構成を示す拡大寸法図である。
【図22】丸い角を有する略矩形の導電性部分および周囲の非導電性縁取材部分を有する羽根構成を示す拡大寸法図である。
【図23】丸い角を有する略矩形の導電性部分を有する羽根構成を示す拡大寸法図である。
【図24】2つの略矩形の、離間した導電性部分であって、丸い角を有する導電性部分および導電性部分の各々を囲む非導電性縁取材を有する羽根素材を示す拡大寸法図である。
【図25】2つの略矩形の、離間した導電性部分であって、丸い角を有する導電性部分および導電性部分の各々を囲む非導電性縁取材を有する羽根素材を示す拡大寸法図である。
【図26】2つの略矩形の、離間した導電性部分であって、丸い角を有する導電性部分および導電性部分の各々を囲む非導電性縁取材を有する羽根素材を示す拡大寸法図である。
【図27】実施例24〜34における典型的なサセプタの過熱を示す。
【図28】典型的なサセプタの過熱およびサセプタ上の保護ポリマーコーティングの溶融を示す拡大寸法図である。
【図29】実施例35〜40の結果を示す。
【図30】実施例61〜64の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を電子レンジ内で加熱する際に使用するためのサセプタアセンブリであって:
幾何学的中心を有する略平坦なサセプタであって、電気的損失層を含む平坦なサセプタ;および
前記サセプタに各々が機械的に接合された複数枚の羽根を有し、各羽根の少なくとも一部分が導電性であり、前記羽根の前記導電性部分が前記平坦なサセプタの電気的損失層から少なくとも既定の近接距離において配設されている電界ダイレクタ構造、
を含み、
各羽根の前記導電性部分が第1の端部および第2の端部を含み、前記羽根の各々の前記導電性部分の第1の端部が、前記平坦なサセプタの幾何学的中心から少なくとも既定の離間距離の距離において配設されており、
これにより、前記サセプタアセンブリが未装填の電子レンジ中で用いられた場合の、前記サセプタの過熱の発生および前記電界ダイレクタ構造の過熱の発生が防止される、サセプタアセンブリ。
【請求項2】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記既定の離間距離が前記波長の少なくとも0.16倍である、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項3】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記既定の近接距離が前記波長の少なくとも0.025倍である、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項4】
前記既定の離間距離が前記波長の少なくとも0.16倍である、請求項3に記載のサセプタ。
【請求項5】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記既定の近接距離が前記波長の0.1倍以下である、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項6】
前記既定の離間距離が前記波長の少なくとも0.16倍である、請求項5に記載のサセプタ。
【請求項7】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記既定の近接距離が前記波長の0.025倍〜前記波長の0.1倍の範囲内にある、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項8】
前記既定の離間距離が前記波長の少なくとも0.16倍である、請求項7に記載のサセプタ。
【請求項9】
各羽根の前記導電性部分が、低導電性材料の縁取材によって囲まれている、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項10】
前記羽根の前記導電性部分が、既定の幅寸法および角を有し、前記導電性部分の角が前記幅寸法の半分以下の半径で丸められている、請求項9に記載のサセプタ。
【請求項11】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記縁取材が既定の幅寸法を有し、
前記縁取材の前記幅が前記波長の少なくとも0.025倍である、請求項9に記載のサセプタ。
【請求項12】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記縁取材が既定の幅寸法を有し、および
前記縁取材が既定の幅寸法を有し、低導電性材料の前記縁取材の前記幅が前記波長の0.1倍以下である、請求項9に記載のサセプタ。
【請求項13】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記縁取材が既定の幅寸法を有し、および
前記縁取材が既定の幅寸法を有し、低導電性材料の前記縁取材の前記幅が、前記波長の0.025倍〜前記波長の0.1倍の範囲内にある、請求項9に記載のサセプタ。
【請求項14】
各羽根の前記導電性部分が非導電性材料で被覆されている、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項15】
前記非導電性被覆が、ポリイミドテープ、ポリアクリルスプレーコーティングおよびポリテトラフルオロエチレンスプレーコーティングからなる群から選択される、請求項14に記載のサセプタ。
【請求項16】
各羽根の前記導電性部分が厚さ0.1ミリメートル未満の金属箔を含み、前記箔が折り重ねられて、その外周に沿って厚さが少なくとも2倍とされている、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項17】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
各羽根の前記導電性部分が前記波長の約0.1〜約0.5倍の幅寸法を有する、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項18】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、各羽根の前記導電性部分が前記波長の約0.25〜約2倍の長さ寸法を有する、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項19】
前記羽根の前記導電性部分が既定の幅寸法および角を有し、前記導電性部分の前記角が前記幅寸法の半分以下の半径で丸められている、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項20】
電子レンジにおいて使用するためのサセプタアセンブリであって、前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記サセプタアセンブリが:
幾何学的中心を有する略平坦なサセプタであって、電気的損失層を含む平坦なサセプタ;
前記サセプタに各々が機械的に接合された少なくとも6枚の羽根を有し、各羽根が、前記平坦なサセプタに対して実質的に直交している電界ダイレクタ構造、
を含み、
各羽根の少なくとも一部分が導電性であり、各羽根の前記導電性部分が第1の端部および第2の端部を有し、
前記羽根の各々の前記導電性部分の第1の端部が、前記平坦なサセプタの幾何学的中心から少なくとも既定の離間距離の距離において配設されており、
前記離間距離が、前記平坦なサセプタの幾何学的中心から前記波長の少なくとも0.16倍であり、
前記羽根の前記導電性部分が、前記平坦なサセプタの電気的損失層から少なくとも既定の近接距離において配設されており、前記既定の近接距離が前記波長の少なくとも0.025倍であり、
これにより、未装填の電子レンジ中で用いられる場合の、前記サセプタの過熱の発生および前記電界ダイレクタ構造の過熱の発生が防止される、サセプタアセンブリ。
【請求項21】
物品を電子レンジ内で加熱する際に使用するためのサセプタアセンブリであって:
電気的損失層を含む略平坦なサセプタ;
前記サセプタに機械的に接合された少なくとも1枚の羽根であって、前記羽根の少なくとも一部分が導電性であり、前記羽根の前記導電性部分が既定の幅寸法および角を有し、前記導電性部分の前記角が前記幅寸法の半分以下の半径で丸められている羽根
を含み、
前記羽根の前記導電性部分が、前記平坦なサセプタの電気的損失層から少なくとも既定の近接距離において配設されており、
これにより、前記サセプタアセンブリが未装填の電子レンジにおいて用いられた場合の前記導電性部分の近くでのアーク放電の発生が防止される、サセプタアセンブリ。
【請求項22】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
前記既定の近接距離が前記波長の少なくとも0.025倍である、請求項21に記載のサセプタ。
【請求項23】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
前記既定の近接距離が前記波長の0.1倍以下である、請求項21に記載のサセプタ。
【請求項24】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
前記既定の近接距離が前記波長の0.025倍〜前記波長の0.1倍の範囲内にある、請求項21に記載のサセプタ。
【請求項25】
前記羽根の前記導電性部分が低導電性材料の前記縁取材によって囲まれている、請求項21に記載のサセプタ。
【請求項26】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記縁取材が既定の幅寸法を有し、低導電性材料の前記縁取材の幅が、前記波長の0.025倍〜前記波長の0.1倍の範囲内にある、請求項25に記載のサセプタ。
【請求項27】
前記羽根の導電性部分が非導電性材料で被覆されている、請求項21に記載のサセプタ。
【請求項28】
前記非導電性被覆が、ポリイミドテープ、ポリアクリルスプレーコーティングおよびポリテトラフルオロエチレンスプレーコーティングからなる群から選択される、請求項27に記載のサセプタ。
【請求項29】
前記羽根の前記導電性部分が、厚さ0.1ミリメートル未満の金属箔を含み、前記箔が折り重ねられて、その外周に沿って厚さが少なくとも2倍とされている、請求項21に記載のサセプタ。
【請求項30】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記羽根の前記導電性部分が前記波長の約0.1〜約0.5倍の幅寸法を有する、請求項21に記載のサセプタ。
【請求項31】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
各羽根の前記導電性部分が長さ寸法を有し、前記長さ寸法が、前記波長の約0.25〜約2倍の範囲内である、請求項21に記載のサセプタ。
【請求項32】
物品を電子レンジ内で加熱する際に使用するためのサセプタアセンブリであって:
電気的損失層を含む略平坦なサセプタ;
前記サセプタに機械的に接合された少なくとも1枚の羽根であって、前記羽根の少なくとも一部分が導電性であり、前記導電性部分が非導電性材料で被覆されている羽根
を含み、
前記羽根の前記導電性部分が、前記平坦なサセプタの電気的損失層から少なくとも既定の近接距離において配設され、
これにより、前記サセプタアセンブリが未装填の電子レンジにおいて用いられた場合の前記導電性部分の近くでのアーク放電の発生が防止される、サセプタアセンブリ。
【請求項33】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
前記既定の近接距離が前記波長の少なくとも0.025倍である、請求項32に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項34】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
前記既定の近接距離が前記波長の0.1倍以下である、請求項32に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項35】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
前記既定の近接距離が、前記波長の0.025倍〜前記波長の0.1倍の範囲内にある、請求項32に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項36】
前記羽根の前記導電性部分が低導電性材料の縁取材によって囲まれている、請求項32に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項37】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記縁取材が既定の幅寸法を有し、
低導電性材料の前記縁取材の前記幅が、前記波長の0.025倍〜前記波長の0.1倍の範囲内にある、請求項36に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項38】
前記非導電性被覆が、ポリイミドテープ、ポリアクリルスプレーコーティングおよびポリテトラフルオロエチレンスプレーコーティングからなる群から選択される、請求項32に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項39】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記羽根の前記導電性部分が前記波長の約0.1〜約0.5倍の幅寸法を有する、請求項32に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項40】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
各羽根の前記導電性部分が長さ寸法を有し、前記長さ寸法が、前記波長の約0.25〜約2倍の範囲内である、請求項32に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項41】
物品を電子レンジ内で加熱する際に使用するためのサセプタアセンブリであって:
電気的損失層を含む略平坦なサセプタ;
前記サセプタに機械的に接合された少なくとも1枚の羽根であって、前記羽根の少なくとも一部分が導電性であり、前記羽根の前記導電性部分が厚さ0.1ミリメートル未満の金属箔を含み、前記箔は折り重ねられて、その外周に沿って厚さが少なくとも2倍とされている羽根を含み、
前記羽根の前記導電性部分が、前記平坦なサセプタの電気的損失層から少なくとも既定の近接距離において配設されており、
これにより、前記サセプタアセンブリが未装填の電子レンジにおいて用いられた場合の前記導電性部分の近くでのアーク放電の発生が防止される、サセプタアセンブリ。
【請求項42】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
前記既定の近接距離が前記波長の少なくとも0.025倍である、請求項41に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項43】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
前記既定の近接距離が前記波長の0.1倍以下である、請求項41に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項44】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
前記既定の近接距離が、前記波長の0.025倍〜前記波長の0.1倍の範囲内にある、請求項41に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項45】
各羽根の前記導電性部分が非導電性材料で被覆されている、請求41に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項46】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記縁取材が既定の幅寸法を有し、
低導電性材料の前記縁取材の前記幅が前記波長の0.025倍から前記波長の0.1倍の範囲である、請求項45に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項47】
前記導電性部分が非導電性被覆で被覆されている、請求項41に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項48】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、前記羽根の前記導電性部分が前記波長の約0.1〜約0.5倍の幅寸法を有する、請求項41に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項49】
前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し、
各羽根の前記導電性部分が長さ寸法を有し、およびこの長さ寸法が前記波長の約0.25〜約2倍の範囲である、請求項41に記載のサセプタアセンブリ。
【請求項50】
電子レンジにおいて使用するためのサセプタアセンブリであって、前記電子レンジが既定の波長を有する定常電磁波を発生するよう作動し:
幾何学的中心を有する略平坦なサセプタであって、電気的損失層を含む平坦なサセプタ;
前記サセプタに各々が機械的に接合された少なくとも6枚の羽根であって、各羽根が、前記平坦なサセプタに対して実質的に直交している羽根
を含み、
各羽根の少なくとも一部分が導電性であり、
前記羽根の前記導電性部分が既定の幅寸法および角を有し、前記導電性部分の前記角が前記幅寸法の半分以下の半径で丸められており、
前記羽根の前記導電性部分が、前記平坦なサセプタの電気的損失層から少なくとも既定の近接距離において配設されており、前記既定の近接距離が前記波長の少なくとも0.025倍であり、
これにより、前記サセプタアセンブリが未装填の電子レンジにおいて用いられた場合の前記導電性部分の近くでのアーク放電の発生が防止される、サセプタアセンブリ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2009−520339(P2009−520339A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547394(P2008−547394)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/048234
【国際公開番号】WO2007/075563
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】