説明

過酸化物及びレチノイドを含む局所適用用組成物

本発明は、過酸化物及びレチノイドを活性成分として含む局所適用用組成物であって、該過酸化物及びレチノイドの一方が、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、該過酸化物及びレチノイドの他方が、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在する組成物に関する。本発明はさらに、該組成物を用いて対象における表面状態を治療する方法、改善された安定性を示す組成物を調製する方法、並びに以下を含むキット:(a)第1の活性成分として過酸化物を含む第1の組成物;及び(b)第2の活性成分としてレチノイドを含む第2の組成物;ここで、該第1及び該第2の活性成分の少なくとも一方は金属酸化物層によって被覆されている、に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は局所適用用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
局所治療において最も一般的に使用される成分の2つは過酸化ベンゾイル(BPO)及びオールトランスレチノイン酸[トレチノイン(ATRA)]であり、これらは非炎症性ざ瘡の軽度から中等度の症例を治療するのに極めて有効であり得る。過酸化ベンゾイルは、ざ瘡状態を引き起こす細菌であるプロピオニバクテリウム・アクネズ(P.acnes)を破壊することによって作用する。これは防腐剤として及び酸化剤として作用し、面皰、又は詰まった毛孔の数を減少させる。トレチノイン(ATRA)は、微小面皰のケラチン栓を排出させ、したがって、破裂し、炎症性ざ瘡の丘疹、膿疱及び小結節を生じる可能性のある損傷がより少ない、ざ瘡の治療に使用される独特な局所薬剤である。BPO及びATRAの配合剤は、ざ瘡治療において面皰形成及び静菌効果の両方を持つべきである。しかし、このような配合に対する2つの主な障害は、BPOの存在下でのATRAの不安定性、並びに紅斑、刺激、灼熱、刺痛、落屑及び掻痒を与えるなどの重度な副作用である。
【0003】
BPO及び/又はレチノイドを含む、ざ瘡治療のための組成物及び方法は、例えば、米国特許第4,350,681号明細書、同第4,361,584号明細書、同第4,387,107号明細書、同第4,497,794号明細書、同第4,671,956号明細書、同第4,960,772号明細書、同第5,086,075号明細書、同第5,145,675号明細書、同第5,466,446号明細書、同第5,632,996号明細書、同第5,767,098号明細書、同第5,851,538号明細書、同第5,955,109号明細書、同第5,879,716号明細書、同第5,955,109号明細書、同第5,998,392号明細書、同第6,013,637号明細書、同第6,117,843号明細書、米国特許公開第2003/0170196号明細書、同第2002/064541号明細書及び同第2005/0037087号明細書に記載されている。H.Tatapudyら、Indian Drugs、32(6)、239〜248頁、1995年には、コアセルベーション相分離工程により調製される過酸化ベンゾイルマイクロカプセルが記載されている。
【0004】
ゾル−ゲル法は、様々な活性成分をカプセル化し、したがって、環境から活性成分を分離するために使用されてきた。
【0005】
米国特許第6,303,149号明細書、同第6,238,650号明細書、同第6,468,509号明細書、同第6,436,375号明細書、米国特許公開第2005/037087号明細書、同第2002/064541号明細書、並びに国際公開第00/09652号パンフレット、同第00/72806号パンフレット、同第01/80823号パンフレット、同第03/03497号パンフレット、同第03/039510号パンフレット、同第00/71084号パンフレット、同第05/009604号パンフレット、及び同第04/81222号パンフレットには、ゾル−ゲルマイクロカプセル及びそれらの調製のための方法が開示されている。欧州特許第0934773号明細書及び米国特許第6,337,089号明細書には、コア物質及びオルガノポリシロキサンからできたカプセル壁を含むマイクロカプセル並びにそれらの製造が教示されている。欧州特許第0941761号明細書及び米国特許第6,251,313号明細書もまたオルガノポリシロキサンのシェル壁を有するマイクロカプセルの調製を教示している。米国特許第4,931,362号明細書には、活性で水不混和性の成分を含む内側の水不混和性液相を有するマイクロカプセル又はマイクロマトリックス体を形成する方法が記載されている。ゾル−ゲル法で調製されるマイクロカプセルはまた、GB2416524号明細書、米国特許第6,855,335号明細書、国際公開第03/066209号パンフレットに開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
同じ組成物において一緒に配合される場合、活性成分が化学的に安定である、BPO及びレチノイドを含む組成物に対する広く認識された必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、過酸化物及びレチノイドを活性成分として含む局所適用用組成物であって、該過酸化物及びレチノイドの一方が、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、該過酸化物及びレチノイドの他方が、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在する上記組成物に関する。
【0008】
本発明はさらに、過酸化ベンゾイル及びオールトランスレチノイン酸を活性成分として含む局所適用用組成物であって、該過酸化ベンゾイル及びオールトランスレチノイン酸の一方が、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、該過酸化ベンゾイル及びオールトランスレチノイン酸の他方が、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在する上記組成物に関する。
【0009】
本発明はさらに、過酸化ベンゾイル及びタザロテンを活性成分として含む局所適用用組成物であって、該過酸化ベンゾイル及びタザロテンの一方が、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、該過酸化ベンゾイル及びタザロテンの他方が、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在する上記組成物に関する。
【0010】
本発明はさらに、本発明に定義されたとおりの局所適用用組成物であって、活性成分が被覆されていない対照組成物と比較して減少した副作用を有する上記組成物に関する。
【0011】
本発明はさらに、対象における表面状態を治療する方法であって、本発明で記載されたとおりの組成物を表面に局所投与する段階を含む上記方法に関する。
【0012】
本発明はさらに、一緒に配合される場合に化学的に不安定である過酸化物及びレチノイドを活性成分として含む組成物を調製する方法であって、該組成物が少なくとも一種の活性成分の改善された安定性を示し、
(a)金属酸化物被覆層で該活性成分の一方の固体粒子状物質を被覆して第1の微粒子を形成することによって、該組成物において該過酸化物及びレチノイドを互いに分離し、該過酸化物及びレチノイドの他方は、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で該組成物中に取り込まれる段階;並びに
(b)組成物の調製のために賦形剤を添加する段階
を含む上記方法に関する。
【0013】
さらに、本発明は、以下の(a)及び(b)を含むキットに関する:(a)第1の活性成分として過酸化物を含む第1の組成物;及び(b)第2の活性成分としてレチノイドを含む第2の組成物;ここで該第1及び該第2の活性成分の少なくとも一方は金属酸化物層で被覆されている。
【0014】
さらに、本発明は、本発明で記載されたとおりのキットを使用する方法であって、該第1及び該第2の組成物は対象の身体の表面に同時に又は連続的に適用される上記方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例6によって行われた刺激試験結果を示す図である。
【図2】BPOと一緒の遊離型トレチノイン結晶の安定性に対するBHTの影響を示す図である。
【図3】配合状態下に、10サイクルでカプセル化されたトレチノインの安定性結果を示す図である。
【図4】カプセル化トレチノインの安定性に対する被覆サイクルの数の影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、同一組成物中に2種以上の反応性活性剤を配合させることができるという知見に基づく。驚くべきことに、化学的に反応性である過酸化物(好ましくは過酸化ベンゾイル)及びレチノイド(好ましくはレチノイン酸)を、金属酸化物被覆でこれらの活性剤の一方(又はこれらの活性剤のそれぞれ)の固体粒子状物質を被覆し、したがって同一組成物中でこれら2種の活性剤を互いに分離することによって、同一組成物中で配合させることが可能であることが本発明において見いだされた。このような組成物は、活性成分の化学的安定性に関して有利であることが見いだされ、及びさらに、被覆されていない活性剤を含む対照組成物と比較して減少した副作用を有することが見いだされた。
【0017】
したがって、本発明は、過酸化物及びレチノイドを活性成分として含む局所適用用組成物であって、該過酸化物及びレチノイドの一方が、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、該過酸化物及びレチノイドの他方が、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在する組成物に関する。
【0018】
本明細書で用いられるように、特に断らない限り、「微粒子」という用語は、コアシェル構造を有する粒子を指す。一部の微粒子は時に、固体の水不溶性粒子状物質の2つ以上のコア粒子から形成されることがあり、したがって、時に、金属酸化物部分で互いに分離されているコアなどの2つ以上のコアを含みことがある。
【0019】
本明細書において言及されるような微粒子(本明細書において一般用語「粒子」によっても示される)の大きさは、粒子の90%が規定の大きさ又はそれ未満(体積で測定して)を有することを意味するD90を指す。したがって、例えば、10マイクロメートル(「ミクロン」)の直径を有すると規定された球状粒子に関して、これは粒子が10ミクロンのD90を有することを意味する。D90(またd(0.9)とも称される)はレーザー回折により測定され得る。球状以外の形状を有する粒子に関して、D90は複数の粒子の直径の中間平均値を指す。
【0020】
コア(即ち、固体粒子状物質)は、任意の形状、例えば、棒状、板状、楕円体状、立方体状、又は球状の形状であることができる。
【0021】
球状形状を有するコアの場合、直径(D90)は、0.3から90ミクロン、好ましくは0.3から50ミクロン、より好ましくは1から50、さらにより好ましくは5から30ミクロンの範囲であり得る。
【0022】
「直径(D90)は0.3から90ミクロンの範囲であり得る」という用語によって、粒子(この場合粒子のコア)の90容積%が0.3から90ミクロンの範囲の値未満であるか又はそれに等しいことがあり得ることが意味される。
【0023】
一般に立方体形状のコア又は立方体の形状に似た形状を有するコアに関して、辺の平均の大きさは0.3から80ミクロン、好ましくは0.3から40ミクロン、より好ましくは0.8から40、さらにより好ましくは4から15ミクロンの範囲であり得る。
【0024】
棒状形状、楕円体状形状及び板状形状のコアに関して、最大寸法(最長軸の寸法)は通常、10から100ミクロン、好ましくは15から50ミクロンの範囲であり;最小寸法は通常、範囲0.5から20ミクロン、より好ましくは2から10ミクロンである。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、微粒子(被覆粒子状物質)は0.5から100μmの直径(d90)を有するか、又は好ましくは微粒子の直径は1から50μmの範囲、最も好ましくは5から30μmの範囲である。本発明の微粒子は、コア物質(即ち、水不溶性粒子状物質)における金属酸化物層の明確な部分から構成されることが認められる。
【0026】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、得られた金属酸化物被覆層は0.1ミクロン又はそれを超える、好ましくは0.1〜10ミクロンの幅(厚さ)を有する。
【0027】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、得られた金属酸化物被覆層は、0.3ミクロン又はそれを超える、好ましくは0.3〜10ミクロンの幅(厚さ)を有する。
【0028】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、該金属酸化物層の厚さは範囲0.1〜10ミクロン、より好ましくは0.1〜3ミクロン、さらにより好ましくは0.1〜1ミクロンである。金属酸化物層の厚さも、好ましくは範囲0.3から3ミクロン、最も好ましくは0.3から2ミクロンであり得る。
【0029】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、得られた金属酸化物被覆層は約0.1、0.2、0.3、0.5、0.7、1、1.5、2若しくは5ミクロン又はそれを超える、好ましくは最大10ミクロンの幅(厚さ)を有する。
【0030】
金属酸化物層の幅は、例えば、粒子の円形断面積において、最小幅が少なくとも、例えば、0.1ミクロン[幅は、粒子の表面(即ち、金属酸化物の表面)からコア−金属酸化物の界面までの最小距離として決定される]であるように、透過型電子顕微鏡又は共焦点顕微鏡で決定され得る。
【0031】
微粒子は好ましくは、コア物質が金属酸化物を実質的に含まないこと及びさらに金属酸化物層が、例えば、粒子状物質の粒子分散液(0.1μm未満のナノメートル範囲での)として又は該粒子状物質の分子分散液としてのいずれかで、該コア物質を実質的に含まないことを特徴とする。
【0032】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、金属酸化物層はコア物質を実質的に含まない(分子の形態で又はナノメートル粒子としてのいずれかで)。この文脈において「実質的に含まない」という用語は、コア物質の分子の濃度又はコア物質のナノメートル粒子の濃度が、金属酸化物と比較して無視できることを示す。同様に、「コア物質は金属酸化物を実質的に含まない」という用語によって、コア中の金属酸化物の濃度が、コア物質と比較して無視できることが意味される。微粒子(即ち、第1の微粒子)は、担体に分散される場合好ましくは非浸出性であり、最も好ましくは、水系担体において非浸出性である。
【0033】
別の実施形態によれば、微粒子がスプレー乾燥などの方法によって調製される場合、活性物質を含むコア物質は、最大約30%w/w、好ましくは最大約20%の金属酸化物をさらに含むことができ、金属酸化物被覆層は、最大約30%w/w、好ましくは最大約20%w/wの活性剤をさらに含むことができる。
【0034】
「非浸出性」という用語によって、粒子から水系液体への粒子状物質(活性剤)の浸出が、室温(20℃)で、穏やかな攪拌下1時間又は定常濃度が達成されるまで、5%w/w未満、好ましくは3%未満、より好ましくは1%w/w未満、さらにより好ましくは0.5%w/w未満、最も好ましくは0.1%w/w未満であることが意味される。通常、水系液体は水である。上に示された値は、粒子中の活性剤の初期量と比べて水性媒体中へ浸出した活性剤のパーセントを指す。上に示された浸出値は、0.1%w/wより高い、より好ましくは1%w/wより高い、さらにより好ましくは3%w/wより高い、最も好ましくは10%w/wより高い、水性媒体中の粒子状物質の濃度を有する分散液を好ましくは指す。レチノイドに関して、上に示された浸出値は、0.01%w/wより高い、水性媒体中の粒子状物質の濃度を有する分散液を好ましくは指す。
【0035】
本発明の好ましい実施形態によれば、該金属酸化物対該固体粒子状物質の重量比は、1:99から50:50の範囲である。金属酸化物層対固体粒子状物質の重量比も、3:97から50:50、5:95から50:50、10:90から50:50、5:95から30:70、10:90から30:70の範囲であり得る。さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、金属酸化物対固体粒子状物質の重量比は、10:90から20:80の範囲である。
【0036】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、スプレー乾燥法が用いられる場合、金属酸化物対該固体粒子状物質の重量比は、5:95から95:5の範囲であり得る。
【0037】
本明細書で用いられるように、「被覆されていない遊離型形態」という用語によって、活性成分(過酸化物又はレチノイド)がポリマー担体中に、密接に埋め込まれて、カプセル化されて、取り込まれて又は入れられていないことを意味するその「裸の」形態で組成物中に存在し、且つ組成物担体と直接接触した状態で組成物中に存在していることが意味される。本明細書で用いられるように、「活性成分の被覆された形態」という用語は、活性成分が有機又は無機担体であってもよく、活性成分を分散させるマトリックスとして又は該活性成分を被覆するカプセル化物質として働き得るポリマー担体中に、例えば、固体分散又は分子分散として埋め込まれ、分散され、取り込まれ又は入れられている(即ち、活性成分はコア中に存在するか、又は有機若しくは無機ポリマーであってもよいポリマー物質から構成されたシェルでカプセル化されたコア物質である)ことが意味される。
【0038】
本発明のより好ましい実施形態によれば、該活性成分の被覆された形態は、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第2の微粒子である。
【0039】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、該第1の微粒子は、金属酸化物層で被覆された過酸化物の固体粒子状物質を含む。
【0040】
本発明のより好ましい実施形態によれば、該過酸化物は、金属酸化物層で被覆された過酸化物の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、該レチノイドは、金属酸化物層で被覆されたレチノイドの固体粒子状物質を含む第2の微粒子の形態である。
【0041】
金属酸化物被覆層は、その周囲媒体から活性剤の粒子状物質を分離することができ、したがって、同一組成物中に存在する活性剤の交差反応性を防止し、しかも治療される表面への適用後に特定の物質の放出を可能にするので非常に有利である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、例えば米国特許第4,690,825号明細書;同第5,145,675号明細書、同第5,879,716号明細書及び同第5,955,109号明細書に記載されるように、活性成分の被覆された形態は、ポリマー性マイクロスポンジの形態であることができ、活性成分は、該マイクロスポンジ中に吸収されるか又は取り込まれる。
【0043】
本明細書で用いられるように、「過酸化物」という用語は、過酸化物部分を含む固体の水不溶性剤を指す。
【0044】
「固体の水不溶性剤」という用語は、室温(20℃)で3%w/w未満、通常1%未満、時に0.5%w/w未満の、水における溶解度を有する固体物質を指す。「固体の水不溶性剤」は、0.1%w/w未満の溶解度を有し得る。
【0045】
「固体の水不溶性剤」は、本明細書において「固体の水不溶性粒子状物質」又は「固体粒子状物質」とも称されることがある。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によれば、過酸化物は過酸化ベンゾイルである。
【0047】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、レチノイドは、オールトランスレチノイン酸(トレチノイン)、イソトレチノイン、アダパレン、タザロテン、及びそれらの混合物から選択される。
【0048】
したがって、本発明はさらに、過酸化ベンゾイル及びオールトランスレチノイン酸を活性成分として含む局所適用用組成物であって、該過酸化ベンゾイル及びオールトランスレチノイン酸の一方が、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、該過酸化ベンゾイル及びオールトランスレチノイン酸の他方が、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在する組成物に関する。
【0049】
本発明の組成物は、担体を含む。本発明の好ましい実施形態によれば、担体は、軟膏、クリーム、ローション、油、溶液(好ましくは水溶液)、エマルジョン、ゲル、ペースト、ミルク、エアロゾル、粉末、又は泡の形態である。好ましくは、担体は水系担体(例えば、ゲル、油中水エマルジョン又は油中水クリーム、水溶液、泡、ローション、スプレーなど)である。
【0050】
したがって、組成物の最終形態は、担体に関して述べられた任意の上記形態であることができ、ここで、微粒子は担体に分散される。組成物の最終形態は、洗浄液又はクレンザーの形態でもあることができる。
【0051】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は、対照組成物と比較して改善された安定性を有し、該組成物と対照組成物との差は、対照組成物及び活性成分が被覆されていないことである。
【0052】
本明細書で用いられるように、「改善された安定性」という用語によって、過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)の存在下でレチノイド(例えば、トレチノイン)の劣化が、室温(20〜25℃)で3カ月又は30℃で1カ月の時間範囲で、初期レチノイド濃度の好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満、さらにより好ましくは10%未満であることが意味される。さらにより好ましくは、過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)の存在下でレチノイド(例えば、トレチノイン)の劣化が、室温(20〜25℃)で1年又は30℃で3カ月又は40℃で1.5カ月の時間範囲で初期のレチノイド濃度の30%未満、より好ましくは20%未満、さらにより好ましくは10%未満であり、最も好ましくは、過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)の存在下でレチノイド(例えば、トレチノイン)の劣化が、室温(20〜25℃)で2年又は30℃で6カ月又は40℃で3カ月の時間範囲で、初期のレチノイド濃度の30%未満、より好ましくは20%未満、さらにより好ましくは10%未満である。さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は個々の活性成分に対する改善された効果を有する。個々の活性成分は、本発明で記載されたように活性成分の被覆されない遊離型形態又は被覆された形態であり得る。
【0053】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は追加の活性剤をさらに含む。
【0054】
好ましくは、追加の活性剤は抗生物質剤である。より好ましくは、抗生物質剤はリンコマイシンファミリーの抗生物質である。最も好ましくは、リンコマイシンファミリーの抗生物質はクリンダマイシン、その薬学的に許容される塩、又はそのエステルである。
【0055】
抗生物質は、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在し得る。被覆されていない遊離型形態及び被覆された遊離型形態は、過酸化物及びレチノイドに関して本発明で記載されたとおりであり得る。
【0056】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明で記載されたとおりの過酸化ベンゾイル(BPO)、オールトランスレチノイン酸(ATRA)及び抗生物質を含む組成物は、以下の組合せの少なくとも1つに対して改善された効果を有する:BPOとATRA、BPOと抗生物質、及びATRAと抗生物質。
【0057】
好ましくは、金属酸化物は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO及びそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、金属酸化物はシリカである。
【0058】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、微粒子(被覆された粒子状物質)は0.5〜100ミクロンの直径を有する。好ましくは、粒子は、0.8〜100ミクロン、より好ましくは1〜50ミクロン、最も好ましくは2〜30ミクロンを有する。
【0059】
本発明の特定の実施形態によれば、被覆された粒子状物質の金属酸化物層の表面は、その表面に結合した有機基、好ましくは疎水基によって化学修飾され得る。
【0060】
疎水基は、例えば、アルキル基(このようなアルキル基は1個又は複数のフルオロ原子でさらに置換されていてもよい)、アリール基(例えば、ベンジル又はフェニル)、及びそれらの組合せであり得る。基は、方法に関して下記に記載されるとおりであり得る。
【0061】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、該第1の微粒子は固体粒子状物質の表面上への金属酸化物の沈着によって調製される。粒子状物質の表面への金属酸化物の沈着は、粒子状物質の表面上へ金属酸化物塩の析出によって行うことができ、下記されるように又はスプレー乾燥法によりその上に金属酸化物層を形成する。
【0062】
好ましくは、第1の微粒子は、
(a)固体の水不溶性粒子状物質をイオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面上に正電荷を有する該粒子状物質の分散液を得る段階;
(b)粒子状物質の表面上へ金属酸化物塩を析出させて、その上に金属酸化物被覆層を形成させることによって、固体の水不溶性粒子状物質を被覆する段階;並びに
(c)該被覆層をエージングする段階
を含む方法によって調製される。
【0063】
なおさらに、本発明の好ましい実施形態によれば、該第1の微粒子は、固体の水不溶性粒子状物質を金属酸化物で被覆する方法であって、
(a)固体の水不溶性粒子状物質をイオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面上に正電荷を有する該粒子状物質の分散液を得る段階;
(b)粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を析出させて、その上に金属酸化物層を形成させ、それにより金属酸化物被覆層で被覆された粒子状物質を得ることを含む被覆操作を、粒子状物質に施す段階;
(c)段階(b)を少なくともさらに4回繰り返す段階;及び
(d)該被覆層をエージングする段階
を含む方法によって調製される。
【0064】
記載された方法において、固体の水不溶性粒子状物質は、過酸化物又はレチノイドを指す。記載された方法は、本発明で記載された組成物中に取り込まれ得るさらなる活性成分(例えば、抗生物質)を被覆するためにも使用され得る。
【0065】
該方法の段階(a)は、粒子状物質の粒径を所望の粒径に、例えば、粉砕、又は均質化によって減少させる段階をさらに含み得る。
【0066】
好ましくは、上記方法の段階(c)は4回から約1000回繰り返される。これは、好ましくは、上記方法の段階(b)が4回から約1000回繰り返されることを意味する。
【0067】
好ましくは、該方法は、段階(c)を4回から約300回、より好ましくは4回から約100回繰り返す段階を含む。さらにより好ましくは、上記方法の段階(c)は、5回〜80回、最も好ましくは5回〜50回繰り返される。これは、好ましくは、段階(b)が段階(c)に関して上に示されるように繰り返されることを意味する。
【0068】
「4回から約1000回繰り返される」という用語によって、該方法が、4、5、6、7、8、9回など、最大約1000回及び約1000回を含んで繰り返され得ることが意味される。
【0069】
本発明の好ましい実施形態によれば、段階(d)は、エージング後、被覆された粒子状物質を分散水性媒体から、例えば、ろ過、遠心分離又はデカンテーションなどによって分離し、場合よってすすぎ洗いし、得られた被覆された粒子状物質を水性媒体に再分散させる段階をさらに含む。
【0070】
被覆工程の間に、水性媒体中粒子状物質(活性剤)の含量の少なくとも50%が、被覆工程の間に固体状態であることが好ましい。
【0071】
本発明の好ましい実施形態によれば、該方法は、
(a)固体の水不溶性粒子状物質を第1のカチオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する該粒子状物質の分散液を得る段階;
(b)粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を析出させて、粒子状物質上に金属酸化物被覆層を形成させることを含む被覆操作を、粒子状物質に施す段階;
(b1)水性媒体中で、被覆された粒子状物質を、(i)第2のカチオン性添加剤及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方である表面付着性添加剤と接触させる段階;
(b2)段階(b1)において得られた粒子状物質に、段階(b)におけるような被覆操作を施す段階;
(c)段階(b1)及び段階(b2)をさらに少なくとも3回繰り返す段階;並びに
(d)金属酸化物被覆層をエージングする段階
を含む。
【0072】
好ましくは、該方法は、段階(c)を3回から約1000回繰り返すことを含む。
【0073】
好ましくは、該方法は、段階(c)を3回から約300回、より好ましくは3から約100回繰り返すことを含む。
【0074】
本明細書で用いられるように、「段階(c)を3回から約1000回繰り返す」という用語によって、該方法が、3、4、5、6、7、8、9回など、最大約1000回及び約1000回を含んで繰り返され得ることが意味される。
【0075】
したがって、好ましくは段階(b1)及び段階(b2)は、段階(c)に関して示されるように繰り返される。
【0076】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、該方法は、
(a)固体の水不溶性粒子状物質をアニオン性添加剤、第1のカチオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面上に正電荷を有する該粒子状物質の分散液を得る段階;
(b)粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を析出させて、粒子状物質上に金属酸化物被覆層を形成させることを含む被覆操作を、粒子状物質に施す段階;
(b1)水性媒体中で、被覆された粒子状物質を(i)第2のカチオン性添加剤及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方と接触させる段階;
(b2)段階(b1)で得られた粒子状物質に、段階(b)におけるような被覆操作を施す段階;
(c)段階(b1)及び段階(b2)を少なくともさらに3回繰り返す段階;並びに
(d)金属酸化物被覆層をエージングする段階
を含む。
【0077】
アニオン性添加剤及び第1のカチオン性添加剤が該方法の段階(a)で使用される場合、好ましくは、アニオン性添加剤は第1のカチオン性添加剤前に添加される。
【0078】
好ましくは、段階(c)は3回から約1000回繰り返される。好ましくは段階(c)は、3回から約300回、より好ましくは3回から約100回繰り返される。これは、好ましくは段階(b1)及び段階(b2)が段階(c)に関して上記に示されたように繰り返されることを意味する。
【0079】
該方法の段階(a)は、例えば、(i)該粒子を乾燥イオン性添加剤と接触させ、次いで、両方を水性媒体に懸濁させ、その表面上に正電荷を有する該粒子状物質の分散液を得ることによって、又は他に、(ii)該固体の水不溶性粒子状物質を、イオン性添加剤を含む水性媒体に懸濁させて、その表面に正電荷を有する該粒子状物質の分散液を得ることによって行われ得る。
【0080】
別の好ましい実施形態によれば、該方法は、(a)固体の水不溶性粒子状物質を、(i)アニオン性添加剤;(ii)第1のカチオン性添加剤、及びそれらの組合せから選択されるイオン性添加剤、並びに水性媒体と接触させて、その表面に正電荷を有する該粒子状物質の分散液を得る段階を含むことができ;(b)、(b1)、(b2)、(c)、(d)は、本明細書において記載されたとおりである。
【0081】
分散液中のイオン性添加物の濃度は、約0.001%から約30%、好ましくは約0.01%から約10%w/w、最も好ましくは約0.1%から最大約5%w/wであり得る。水分散液の固体含量は、約0.1%から約80%w/w、好ましくは約1%から約60%w/w、最も好ましくは約3%から約50%w/wであり得る。
【0082】
段階(a)の目的は、金属酸化物層の付着物に対して反応性とさせるようにイオン性添加物を用いることによって、粒子状物質の電荷を変更させることである。
【0083】
粒子のコア物質を調製するために、粒子状物質は、析出金属酸化物塩に結合され得るようにイオン性添加剤(例えば、カチオン性添加剤)で適切に被覆されるべきである。
【0084】
好ましくは、イオン性添加剤は、カチオン性添加剤、アニオン性添加剤、及びそれらの組合せから選択される。カチオン性添加剤は、カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマーであり得る。アニオン性添加剤は、アニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性ポリマーであり得る。
【0085】
粒子状物質はイオン性添加剤と、例えば、それをカチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー、或いはアニオン性界面活性剤及びカチオン性添加剤(例えば、カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー)の溶液と混合することによって接触させられる。カチオン性及びアニオン性界面活性剤は、粒子状物質の表面上で吸収されるのに特に有効である。イオン性添加剤は、カチオン性添加剤と組み合わせて用いられるアニオン性ポリマーであってもよい。カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマー並びに場合によってさらにアニオン性界面活性剤(又はアニオン性ポリマー)は、粒子状物質の表面に正電荷を与えるために十分な量で使用される必要がある。イオン性添加剤の単層が好ましいが、被覆は連続的である必要はない。少なくともカチオン性添加剤の点が存在することが十分である。次いで、これらの点は、金属酸化物層の付着のためのアンカーとして働く。金属酸化物層が累加するにつれて、これがコア全体を埋めて、コアにしっかりと付着するように、コア表面上にこれらのアンカー点が相当に均一に分布していることが好ましい。
【0086】
1つの好ましい実施形態によれば、該第1及び該第2のカチオン性添加剤は同じである。
【0087】
別の好ましい実施形態によれば、該第1及び該第2のカチオン性添加剤は異なる。
【0088】
より好ましくは、第1のイオン性添加剤はアニオン性界面活性剤であり、第2のイオン性添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0089】
より好ましくは、第1のカチオン性添加剤はカチオン性界面活性剤であり、第2のカチオン性添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0090】
別の好ましい実施形態によれば、第1のカチオン性添加剤はカチオン性界面活性剤であり、段階(b1)における添加剤は非イオン性添加剤(例えば、非イオン性ポリマー)である。
【0091】
好ましくは、被覆された粒子状物質及び第2のカチオン性添加剤は混合され、最も好ましくは、該混合は激しい攪拌(例えば、1000rpmを超える混合機速度)下である。
【0092】
本発明の好ましい実施形態によれば、該方法は、以下の段階(d):(e)被覆された粒子状物質を水性媒体から分離し、場合によってすすぎ洗いし、水性媒体に被覆された粒子状物質を再分散する段階をさらに含む。
【0093】
好ましくは、被覆された粒子状物質の分離は、ろ過、遠心分離、デカンテーション、透析などの方法によって、又は水性媒体の蒸発によって行われる。
【0094】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、段階(b)は、金属酸化物塩を水性媒体に添加すること;及び場合によって水性媒体を酸性化することを含む。
【0095】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、段階(b2)は、金属酸化物塩を水性媒体に添加すること;及び場合によって水性媒体を酸性化することを含む。
【0096】
好ましくは、段階(b1)は、第2のカチオン性添加剤を添加する前に、(b)で得られた分散液のpHを金属酸化物の等電点より高い値に、より好ましくは、第2のカチオン性添加剤を添加する前に、金属酸化物の等電点より少なくとも約1単位高いpH値に調整することをさらに含む。
【0097】
好ましくは、段階(b1)は、(i)第2のカチオン性添加剤、及び(ii)非イオン性添加剤の一方又は両方を添加する前に、(b)で得られた分散液のpHを金属酸化物の等電点より高い値に、より好ましくは、第2のカチオン性添加剤を添加する前に、金属酸化物の等電点より少なくとも約1単位高いpH値に調整することをさらに含む。
【0098】
例えば、金属酸化物がシリカ(例えば、範囲1.7〜2.5の等電点を有する)である場合、好ましいpHは少なくとも約2.5〜6.5の範囲であり得る。
【0099】
金属酸化物の等電点より高い値への分散液のpH調整の目的は、第2のカチオン性添加剤の正電荷に結合する粒子状物質表面上に負に帯電した金属酸化物を形成し、したがって、粒子状物質の表面への第2のカチオン性添加剤の付着を可能にすることである。
【0100】
非イオン性添加剤は、表面に付着する(「表面付着性の」)種類のものである。例は非イオン性ポリマーである。非イオン性添加剤は、単独で又は第2のカチオン性界面活性剤に加えて使用され得る。
【0101】
好ましくは、段階(b)又は(b2)のそれぞれにおける、粒子状物質/金属酸化物塩の重量比は、約5,000/1から約20/1、好ましくは約5,000/1から約30/1、又は約5,000/1から約40/1、より好ましくは約1,000/1から約40/1、最も好ましくは約500/1から約80/1である。
【0102】
好ましくは、段階(b1)における、粒子状物質/カチオン性添加剤の重量比は、約25,000/1から約50/1、好ましくは約5,000/1から約100/1、最も好ましくは約2000/1から約200/1である。
【0103】
好ましい実施形態によれば、段階(b)又は(b2)のそれぞれにおける、粒子状物質/金属酸化物塩の重量比は、約5,000/1から約65/1、より好ましくは約1000/1から約100/1である。
【0104】
好ましくは、段階(b1)における、粒子状物質/カチオン性添加剤の重量比は、約10,000/1から約100/1、より好ましくは約5,000/1から約200/1である。
【0105】
非イオン性添加剤(例えば、非イオン性ポリマー)が単独で又は第2のカチン性添加剤に加えて使用される場合、第1の被覆された粒子状物質対(i)非イオン性添加剤又は(ii)非イオン性添加剤と第2のカチオン性添加剤との組合せの重量比、及びさらに処理された被覆された粒子状物質対(i)非イオン性添加剤又は(ii)非イオン性添加剤と第2のカチオン性添加剤との組合せの重量比は、第2のカチオン性添加剤に関して上に示されたとおりであり得る。
【0106】
段階(d)におけるエージングは、金属酸化物の、強化された且つ密度の高い層を得るために重要である。
【0107】
本発明の好ましい実施形態によれば、段階(d)は、pH値を範囲3〜9、好ましくは範囲5〜7の範囲に上昇させ、懸濁液(分散液)をこのpH範囲で、例えば、少なくとも2h(2時間)の期間、例えば、攪拌することによって、混合することを含む。好ましくは、攪拌は、2〜96h、より具体的には、2〜72h、より好ましくは少なくとも10h(例えば、10〜72h)である。攪拌は、好ましくは穏やかな攪拌、より好ましくは範囲200〜500rpmである。
【0108】
エージング終了後、分離(例えば、ろ過、遠心分離又はデカンテーション)は、行うことが容易であり(形成された硬い金属酸化物層のために)、得られたケーキ又は濃縮分散液は水性媒体中に容易に再分散されて、粒子の分散液を形成する。
【0109】
段階(d)におけるエージングの目的は、金属酸化物の、強化された且つ密度の高い層を得ることである。
【0110】
エージング段階の非存在下で、析出後の金属酸化物塩は、分離及び洗浄後又は機械的攪拌によって、崩壊又は浸食し得る金属酸化物のゲル層を形成するので、金属酸化物のより薄く、より軟らかい層が得られる。
【0111】
エージングは、4〜90℃の温度で、好ましくは15〜60℃で行うことができ、最も好ましくは、エージングは、温度20℃〜40℃で行われる。
【0112】
したがって、該方法の最後での被覆及びエージングの繰り返される段階は、金属酸化物のより厚く、且つより強い層の成長も可能にする。最も好ましくは、エージングは繰り返される被覆段階間(即ち、繰り返される被覆段階(b)間)で行われず、該方法の最後でのみ行われる。したがって、最も好ましくは、エージングは本明細書で記載される方法の最後でのみ行われる。
【0113】
好ましくは、金属酸化物は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO、及びそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、金属酸化物はシリカである。
【0114】
金属酸化物塩は、好ましくは、アルカリ金属酸化物塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩である。
【0115】
本発明の好ましい実施形態によれば、金属酸化物塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム、及びそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、金属酸化物塩はケイ酸塩である。
【0116】
特定の実施形態によれば、該方法は、被覆操作中に、コロイド状金属酸化物懸濁液、好ましくは水系懸濁液(ナノメートル金属酸化物(金属酸化物のナノ粒子))を添加する段階をさらに含み得る。好ましくは、コロイド状金属酸化物懸濁液は、コロイド状シリカ懸濁液、コロイド状チタニア懸濁液、コロイド状アルミナ懸濁液、コロイド状ジルコニア懸濁液、コロイド状ZnO懸濁液、及びそれらの混合物から選択される。コロイド状金属酸化物懸濁液は、被覆工程(例えば、1つ又は複数のその繰返し段階における段階(b)において)の間に添加され得る。好ましくは、ナノメートル金属酸化物の直径の大きさは、5〜100nmの範囲である(平均粒径直径)。ナノメートル金属酸化物対金属酸化物塩の重量比は、範囲95:5から1:99、好ましくは80:20から5:95、より好ましくは70:30から10:90、最も好ましくは約60:40から20:80であり得る。ナノメートル金属酸化物対金属酸化物塩の重量比は、約50:50である。
【0117】
他の実施形態によれば、該方法には、被覆工程中にコロイド状金属酸化物懸濁液の添加は含まれない。この実施形態によれば、ナノメートル金属酸化物粒子(金属酸化物のナノ粒子)は、被覆工程中に添加されない。
【0118】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、イオン性添加剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、及びそれらの混合物から選択される。アニオン性界面活性剤が用いられる場合、好ましくはカチオン界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマーなどのカチオン性添加剤がさらに添加される。
【0119】
好ましくは、カチオン性添加剤は、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、及びそれらの混合物から選択される。
【0120】
好ましい実施形態によれば、第1のカチオン性添加剤はカチオン性界面活性剤であり、第2のカチオン性添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0121】
第1のカチオン性添加剤は、好ましくは、カチオン性界面活性剤である。
【0122】
好ましくは、カチオン性界面活性剤は、モノアルキル四級アンモニウム塩、ジアルキル四級アンモニウム塩、及びそれらの混合物から選択される。
【0123】
好ましくは、モノアルキル四級アンモニウム塩は、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、及びそれらの混合物から選択される。
【0124】
最も好ましくは、モノアルキル四級アンモニウム塩は、塩化セチルトリメチルアンモニウムである。
【0125】
好ましくは、ジアルキル四級アンモニウム化合物は、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムである。
【0126】
用いられ得るさらなるカチオン性界面活性剤は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、The cosmetic,Toiletry,and Fragnance Associationによって発行された、John A.Wenningerら(編者)、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(第8版、2000年)、第2巻、1140〜1147頁に記載されている。
【0127】
イオン性添加剤は、アニオン性界面活性剤であり得る。
【0128】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸及び塩、アルキルエーテルカルボン酸及び塩、アルキルスルホスクシナメート、アルキルスルホスクシネート、アルファオレフィンスルホネート、芳香族炭化水素スルホン酸及び塩、脂肪アルコールエトキシ硫酸塩、脂肪アルコール硫酸塩、リン酸エステル並びにそれらの混合物から選択される。
【0129】
好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであり、脂肪アルコール硫酸塩はラウイル硫酸ナトリウムであり、アルキルスルホスクシネートは、ナトリウムジオクチルスルホスクシネートであり、及びそれらの混合物である。
【0130】
用いられ得るさらなるアニオン性界面活性剤は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、The cosmetic,Toiletry,and Fragnance Associationによって発行された、John A.Wenningerら(編者)、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(第8版、2000年)、第2巻、1140〜1147頁に記載されている。
【0131】
好ましくは、イオン性添加剤対水不溶性粒子状物質の重量比は、範囲1:1000〜1:10、より好ましくは範囲1:200〜1:50、最も好ましくは約1:100である。上に示される比は、第1カチオン性添加剤などのイオン性添加剤、又は第1カチオン性添加剤とアニオン性添加剤との組合せを指す。
【0132】
第2カチオン性添加剤は、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤又はそれらの混合物であり得る。カチオン性界面活性剤は、上に記載されたとおりであり得る。
【0133】
本発明の好ましい実施形態によれば、第2のカチオン性添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0134】
好ましくは、第1の被覆された粒子状物質(即ち、段階(b1)における)対第2のカチオン性添加剤の重量比は、約25,000/1から約50/1、より好ましくは約5,000/1から約100/1、最も好ましくは約2000/1から約200/1の範囲である。
【0135】
好ましくは、さらに処理された被覆された粒子状物質(例えば、段階(c)で記載される繰り返される段階において)対第2のカチオン性添加剤の重量比は、約25,000/1から約50/1、より好ましくは約5,000/1から約100/1、最も好ましくは約2000/1から約200/1の範囲である。
【0136】
好ましくは、段階(b1)における粒子状物質/カチオン性添加剤の重量比は、約10,000/1から約100/1、より好ましくは約5000/1から約200/1である。
【0137】
好ましくは、さらに処理された被覆された粒子状物質(例えば、段階(c)で記載される繰り返される段階において)対第2のカチオン性添加剤の重量比は、約10,000/1から約100/1、より好ましくは約5,000/1から約200/1の範囲である。
【0138】
非イオン性添加剤(例えば、非イオン性ポリマー)が単独で又は第2のカチオン性添加剤に加えて用いられる場合、第1の被覆された粒子状物質対(i)非イオン性添加剤又は(ii)非イオン性添加剤と第2のカチオン性添加剤との組合せの重量比、及びさらに処理された被覆された粒子状物質対(i)非イオン性添加剤又は(ii)非イオン性添加剤と第2のカチン性添加剤との組合せの重量比は、第2のカチオン性添加剤に関して上に示されたとおりであり得る。
【0139】
好ましくは、カチオン性ポリマー(第1のカチオン性添加剤又は第2のカチン性添加剤の)は、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)(PDAC)、ポリ(アクリルアミド−co−ジアリル−ジメチルアンモニウムクロライド)(ポリクオタニウム−7)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAH)、キトサン、ポリリシン、及びそれらの混合物から選択される。
【0140】
第2のカチオン性ポリマーも、ピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーなどの非イオン性モノマーとイオン性モノマーとのコポリマーであり得る。
【0141】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、第2のカチオン性添加剤は、コロイド状アルミナ、コロイド状セリア(CeO2)、コロイド状アルミナ被覆シリカ(例えば、Ludox CL、Sigma−Aldrich)、及びそれらの混合物から選択される。
【0142】
第2のカチオン性添加剤は、例えば上記されたような正電荷を担うコロイド状金属酸化物(例えば、コロイド状アルミナ、コロイド状セリア(CeO2)、コロイド状アルミナ被覆シリカ、又はそれらの混合物)であり得る。
【0143】
該方法で用いられる非イオン性添加剤は、好ましくは非イオン性ポリマーである。非イオン性ポリマーは、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びそれらの混合物であり得る。
【0144】
非イオン性ポリマーは好ましくは、ヒドロキシル基、アミン基などの水素結合基を持っている。
【0145】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、該方法は、得られた被覆された粒子状物質を乾燥させる段階をさらに含む。
【0146】
なおさらに、本発明の好ましい実施形態によれば、乾燥は、スプレー乾燥、凍結乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥、及び流動床から選択される方法による。
【0147】
なおさらに、本発明の好ましい実施形態によれば、乾燥は、スプレー乾燥、凍結乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥、及び流動床から選択される方法による。
【0148】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、該方法は、被覆粒子状物質の表面を化学修飾する段階をさらに含む。
【0149】
表面化学修飾は好ましくは、有機基、好ましくは疎水基で金属酸化物表面を修飾することを含む。
【0150】
好ましくは、該方法は、疎水基を金属酸化物層の表面に結合させる段階を含む。
【0151】
疎水基を金属酸化物層の表面に結合させる目的は、粒子中への水の浸透速度を制御し、結果として粒子からの活性剤の放出を制御することである。疎水基によって金属酸化物層の表面を修飾すると、所望の速度に従って、粒子からの活性剤の放出をさらに制御することが可能になる。
【0152】
疎水基は、例えば、アルキルシラン、ジアルキルシラン、トリアルキルシラン、(このようなアルキル基は1個又は複数のフルオロ原子でさらに置換されていてもよい)、アリールシラン(例えば、ベンジルシラン、又はフェニルシラン)、ジアリールシラン、又はトリアリールシランであり得る。
【0153】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、化学表面修飾は、金属酸化物層の表面上のシラノール基を、モノハロトリアルキルシラン(例えば、クロールトリメチルシラン)、ジハロジアルキルシラン(例えば、ジクロロジメチルシラン)、トリハロアルキルシラン(例えば、トリクロロメチルシラン)、モノアルコキシトリアルキルシラン(例えば、メトキシトリメチルシラン)、ジアルコキシジアルキルシラン(例えば、ジメトキシジメチルシラン)、トリアルコキシアルキルシラン(例えば、トリメトキシメチルシラン)、アリールトリハロシラン(例えば、フェニルトリクロロシラン)、ジアリールジハロシラン(例えば、ジフェニルジクロロシラン)、トリアリールハロシラン(例えば、トリフェニルクロロシラン)、アリールトリアルコキシシラン(例えば、フェニルトリメトキシシラン)、ジアリールジアルコキシシラン(例えば、ジフェニルジメトキシシラン)、トリアリールアルコキシシラン(例えば、トリフェニルメトキシシラン)、及びそれらの混合物から選択される前駆体と反応させることを含む。
【0154】
好ましくは、アルキル基には、1〜18個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子が含まれる。より好ましくは、アルキルはメチルである。アルキル基は、1個又は複数のフルオロ原子で置換されていてもよい。好ましくは、アルコキシ基には、1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜2個の炭素原子が含まれる。
【0155】
ハロ基は、例えば、クロロ、ブロモ、ヨード、フルオロであってもよい。最も好ましくは、ハロ基はクロロ及びブロモである。
【0156】
アリールは好ましくは、フェニル又はベンジルである。
【0157】
前駆体は金属酸化物層の表面上のシラノール基と反応して、シロキサン結合を形成する。
【0158】
金属酸化物層の表面への疎水基の付着は、乾燥させた被覆された粒子状物質を上記前駆体と反応させることによって行われ得る。金属に疎水基を付着させるための手順は、以下のとおり行われ得る:被覆された粒子状物質の乾燥粉末をトルエンなどの有機溶媒に懸濁される。ジメチルジクロロシランなどの上記列挙由来の前駆体(疎水化試薬)は、場合によって、トリアルキルアミン又はトリエタノールアミンなどのハロゲンスカベンジャーの存在下で、有機相(混合物)に添加される。有機混合物は少なくとも約24時間還流させて、金属酸化物層の表面上のシラノール基への疎水基の付着を介して疎水基での金属酸化物層の被覆(coverage)を得る。
【0159】
特定の実施形態によれば、該粒子(本発明の第1及び/又は第2の微粒子)は、その中で該粒子状物質が溶解性である、通常、アセトニトリル、イソプロピルミリステート、エタノール又はメタノールなどの有機系溶媒である媒体、及び粒子状物質の濃度が該粒子状物質の溶解度よりも低い溶出体積においてPaddle Methodを用いるDissolution Testerで試験した場合、該粒子から粒子状物質の50%w/wを放出する時間は、該粒子中の粒子状物質と実質的に同じ粒径の直径を有する粒子状物質の遊離型形態の溶出と比較して、少なくとも2倍高い、好ましくは少なくとも3倍高い、好ましくは少なくとも4倍高い、より好ましくは少なくとも5倍高い、最も好ましくは少なくとも10倍高いことを特徴とし得る。
【0160】
粒子状物質の遊離型形態の溶出は、被覆された粒子状物質と同じ条件下で測定される。該粒子から粒子状物質(活性剤)の50%w/wを放出する時間は、遊離型形態の50%w/w溶出の時間と比較される。好ましくは、溶出体積は、粒子状物質の濃度が、粒子状物質の溶解度の少なくとも半分より低いようなものである。「溶解度」は、溶出媒体(例えば、アセトニトリル、イソプロピルミリステート、エタノール又はメタノールなどの有機系溶媒)中の粒子状物質(活性成分)の溶解度に関する。溶出体積は分析方法の検出レベルにも依存することが認められる。溶出は、20C〜40C(20℃〜40℃)の温度で行われ得る。溶出は、50〜200rpmのパドル速度で行われ得る。
【0161】
具体的実施例によれば、該粒子の溶出は、該粒子が上記方法で記載されたとおりの繰返し被覆段階によって調整される場合、上に記載されたとおりである。
【0162】
特定の実施形態によれば、金属酸化物層は、実質的に、非晶質形態ではなく及び/又は結晶形態ではない。「該金属酸化物層は、実質的に、非晶質形態ではなく及び/又は結晶形態ではない」という用語は、非晶質金属酸化物(その純形態の金属酸化物が非晶質である場合)又は結晶性金属酸化物(その純形態の金属酸化物が結晶性物質を含むか、又は純粋に結晶性である場合)の明確な領域がX線回折などの方法で検出することができないことを示すことが意味される。非非晶質及び/又は非結晶金属酸化物層は、金属酸化物及び付着性添加剤の共構造化複合物を指す。このような付着性添加剤は、例えば、金属酸化物の連続領域の形成を妨げ、それにより非非晶質及び非結晶性金属酸化物形態をもたらすポリマーであり得る。非非晶質及び非結晶性金属酸化物形態は、その純粋形態の金属酸化物に特有のいずれのX線回折ピークも有しないことを特徴とする。例えば、その純粋形態の金属酸化物が非晶質である場合、特徴的なX線回折ピーク(単数又は複数)は検出され得ない。これは、例えば、純金属酸化物被覆を有する粒子の場合の事例であり得る。本発明のこの態様による粒子の場合、非晶質形態に特有の特徴的なX線回折ピーク(1つ又は複数)は不在であり、移動されており、又は平坦化されている。一例は、非晶質シリカ被覆を有する粒子と比較して、異なるピーク(即ち、不在であり、移動されており、又は平坦化されている)を有する、シリカ系被覆を有する粒子である。その純形態において結晶領域を含む、又は純粋に結晶性である金属酸化物の場合、複合被覆の場合に、結晶形態に特有のピークは、不在であり、移動されており、又は平坦化されている。したがって、X線回折は、他のものに対する本発明のこの態様の粒子を区別するために役立ち得る。
【0163】
具体的な実施形態によれば、該粒子の金属酸化物層は、該粒子が上記方法で記載されたとおりの繰返し被覆段階によって調製される場合、上記されたとおりの特徴を有する。
【0164】
第1の微粒子は、共有PCT出願、国際公開WO2007/015243パンフレットに開示されたとおりの方法でも調製することができ、この内容は参照により本明細書に組み込まれ、以下に簡単に記載される:
【0165】
固体の水不溶性粒子状物質を金属酸化物で被覆する方法は、
(a)固体の水不溶性粒子状物質を水性媒体中でカチオン性添加剤と接触させて、陽ゼータ電位を有する該粒子状物質の分散液を得る段階;
(b)粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を析出させて、その上に金属酸化物層を形成させることによって、固体の水不溶性粒子状物質を被覆する段階;及び
(c)該被覆層をエージングする段階
を含む。
【0166】
該方法は、被覆された粒子状物質に、1回又は複数回の段階の、金属酸化物塩の析出、その後にエージング処理を施す段階を含み得る。
【0167】
より強固な被覆を得るために、上記方法(以下の段階(c))によって得られる粒子に、初期に形成された金属酸化物層上に追加の金属酸化物の析出を生じさせるためにさらなる、場合による処理段階を施し得る。このようなさらなる処理には、段階(c)と同様に、エージング段階も含まれ得る。さらに、さらなる処理の析出段階には、上記段階(a)と同様に、該段階(a)において用いられるものと同じであっても異なっていてもよいカチオン性添加剤の添加によって陽ゼータ電位が被覆層(即ち、金属酸化物被覆層)上に形成される、段階も含まれ得る。さらなる処理工程は、繰返し1回、2回、3回又はさらに複数の回であり得る。
【0168】
段階(c)は、エージング後、被覆された粒子状物質を分散水性媒体から分離し、場合によってすすぎ洗いし、得られた被覆された粒子状物質を水性媒体に再分散することをさらに含み得る。
【0169】
段階(c)は、被覆された粒子状物質を水性媒体に再分散した後、第2のカチオン性添加剤を添加して、被覆層の陽ゼータ電位を得ることをさらに含み得る。
【0170】
或いは、さらなる処理段階は、カチオン性添加剤の添加なしに行われ得る。このような場合、該処理は好ましくは、
(a)固体の水不溶性粒子状物質を第1のカチオン性添加剤と水性媒体中で接触させて、陽ゼータ電位を有する該粒子状物質の分散液を得る段階;
(b)粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を析出させ、その上に金属酸化物層を形成させることによって、固体の水不溶性粒子状物質を被覆する段階;
(c)該被覆層をエージングして、第1の被覆された粒子状物質を得る段階;
(d)粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を析出させ、その上に金属酸化物層を形成させることによって、第1の被覆された粒子状物質を被覆する段階;及び
(e)該被覆層をエージングして、第2の被覆された粒子状物質を得る段階
を含む。
【0171】
該方法は、
(f)粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を析出させ、その上に金属酸化物層を形成させることによって、第2の被覆された粒子状物質を被覆する段階;及び
(g)該被覆層をエージングして、第3の被覆された粒子状物質を得る段階
をさらに含み得る。
【0172】
さらなる処理段階においてカチオン性添加剤の不在下で、段階(a)における陽ゼータ電位は好ましくは、+150mV未満、より好ましくは範囲+60mVから+130mVである。エージング後の被覆粒子状物質のゼータ電位は範囲0mVから−60mVであり得る。
【0173】
静電相互作用によるさらなる処理段階でのさらなる金属酸化物層の沈着を確実にするために、及びまた、金属酸化物(例えば、シリカ)層の厚さを制御するために、第2のカチオン性添加剤を使用することが好ましい。
【0174】
好ましくは、該方法は、
(a)固体の水不溶性粒子状物質を第1のカチオン性添加剤と水性媒体中で接触させて、陽ゼータ電位を有する該粒子状物質の分散液を得る段階;
(b)粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を析出させ、その上に金属酸化物層を形成させることによって、固体の水不溶性粒子状物質を被覆する段階;
(c)該被覆層をエージングして、第1の被覆粒子状物質を得る段階;
(d)第1の被覆された粒子状物質を第2のカチオン性添加剤と水性媒体中で接触させて陽ゼータ電位を有する該第1の被覆された粒子状物質の分散液を得て、段階(b)から(c)によって分散液をさらに処理して、さらに処理された、被覆された粒子状物質を得る段階
を含む。
【0175】
該方法は、別の段階(d)によって(d)で得られた被覆された粒子状物質を処理する段階をさらに含み得る。
【0176】
好ましくは、被覆された粒子状物質及び第2のカチオン性添加剤は混合され、最も好ましい該混合は激しい攪拌(例えば、1000rpmを超える混合機速度)下である。
【0177】
該方法の段階(a)で使用される第1のカチオン性添加剤は、二重効果:下に記載されるように粒子状物質のゼータ電位を増加させること及びまた、湿潤剤として働くことを有し、したがって、別個のコア粒子として粒子状物質の分散を可能にし、ここで、それぞれのコア粒子は水性媒体中に個々に懸濁されている。
【0178】
粒子状物質の表面は、金属酸化物層と反応性であるか、又はそれとの結合下に置かせることが重要である。
【0179】
段階(a)の目的は、金属酸化物層の付着物に対して反応性にさせるように、カチオン性添加剤を用いることによって粒子状物質のゼータ電位を変更することである。
【0180】
該粒子のコア物質を調製するために、粒子状物質は、析出金属酸化物塩に付着され得るように、第1のカチオン性添加剤で適切に被覆されなければならない。粒子状物質は、例えば、それをカチオン性界面活性剤又はカチオン性ポリマーの溶液と混合することによって、第1のカチオン性添加剤と接触させられる。カチオン性界面活性剤は、粒子状物質の表面上で吸収されるのに特に有効であり、これらは、(好ましくは範囲0mVを超えて最大+150mV、より好ましくは+60mVから+130mVで)粒子状物質の陽ゼータ電位を与えるのに十分な量で使用される必要がある。
【0181】
カチオン性添加剤の単層が好ましいが、被覆は連続的である必要はない。少なくともカチオン性添加剤の点があることが十分である。次いで、これらの点は金属酸化物層の付着のためのアンカーとして働く。金属酸化物層が累積するにつれて、これがコア全体を埋めて、コアにしっかりと付着するように、コア表面上にこれらのアンカー点が相当に均一に分布していることが好ましい。
【0182】
好ましくは、該方法は、段階(d)を1回又は2回のさらなる回数、最も好ましくは1回のさらなる回数繰り返す段階を含む。
【0183】
第1及び第2のカチオン性添加剤は、同じであっても異なっていてもよい。
【0184】
最も好ましくは、第1のカチオン性添加剤は界面活性剤であり、第2のカチオン性添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0185】
段階(c)は、エージング後、被覆された粒子状物質を分散水性媒体から分離し、場合によってすすぎ洗いし、得られた被覆された活性成分を水性媒体に再分散させることをさらに含み得る。
【0186】
好ましくは、被覆された粒子状物質の分離は、ろ過、遠心分離、透析などの方法によって、又は水性媒体の蒸発によって行われる。
【0187】
段階(b)は、粒子状物質の表面上に金属酸化物塩を析出させ、その上に被覆層を生じさせるような条件下で、段階(a)で得られた該分散液を金属酸化物塩と接触させることを含み得る。
【0188】
段階(b)は、pH7〜11の値を生じさせるために金属酸化物塩を添加し;1〜3のpH値(より好ましくは約2のpH)を生じさせるために酸性化することを含み得る。
【0189】
より好ましくは、段階(b)は、8〜10の値に到達させるために金属酸化物塩を添加し;1〜3のpH値(より好ましくは約2のpH)を得るために酸性化することを含む。
【0190】
粒子状物質が酸性化合物である場合、7〜8のpH値に到達させるために金属酸化物塩を添加し;1〜3の値を得るために酸性化することが好ましいことがあり得る。
【0191】
段階(b)は、(a)で得られた分散液のpHを、金属酸化物塩を添加する前に、範囲5.5〜8の値に、より好ましくは金属酸化物塩を添加する前に範囲7〜8のpH値に調整することをさらに含み得る。
【0192】
5.5〜8の間の値への分散液のpH調整の目的は、正に帯電した粒子状物質表面に結合する負に帯電した金属酸化物化学種を形成し、したがって、粒子状物質の表面上への金属酸化物層の付着を可能にすることである。
【0193】
好ましくは、段階(b)は少なくとも1〜3回のさらなる回数(即ち、さらに1回、2回又は3回)繰り返される。最も好ましくは、段階(b)は1回のさらなる回数繰り返される。
【0194】
好ましくは、段階(a)における陽ゼータ電位は、+150mV未満(+150又はそれ未満、即ち、0を超え最大+150mV)、より好ましくは、範囲+60mVから+130mVである。
【0195】
好ましくは、段階(d)における陽ゼータ電位は、+150mV未満(+150又はそれ未満、即ち、0を超え最大+150mV)、より好ましくは、範囲+5mVから+130mV、最も好ましくは、+10から+100mVである。
【0196】
段階(c)におけるエージングは、金属酸化物の、強化された且つ密度の高い層を得るために重要である。
【0197】
好ましくは、段階(c)は、pHを範囲6.5〜9.5の値に、好ましくは7.5〜8.5の範囲に上昇させ、このpH範囲の懸濁液(分散液)を少なくとも12h(12時間)の期間、例えば、攪拌によって、混合することを含む。好ましくは、攪拌は、12〜72h、より好ましくは少なくとも20h(例えば、20〜72h)、さらにより好ましくは36h〜72h、最も好ましくは40〜50hの間である。
【0198】
攪拌は好ましくは穏やかな攪拌、好ましくは範囲200〜500rpmである。
【0199】
エージングの終了の指示は、繰り返されて増加した希釈後の定常ゼータ電位測定によって得ることができる。さらに、エージングの終了後、ろ過は行うことが容易であり(形成された硬い金属酸化物層のために)、得られたケーキは水性媒体に容易に再分散されて、粒子の分散液を形成する。
【0200】
段階(c)のエージングの目的は、金属酸化物の、強化された且つ密度が高い層を得て、したがって、コア物質上の金属酸化物層の成長を可能にすることである。
【0201】
エージングは、4〜90℃の温度で、好ましくは15〜60℃で行うことができ、最も好ましくは、エージングは温度20℃〜40℃で行われる。
【0202】
したがって、被覆及びエージングの繰返し段階は、金属酸化物のより厚く、より強い層の成長も可能にする。
【0203】
好ましくは、段階(a)の陽ゼータ電位は+150mV未満であり、より好ましくは、ゼータ電位は範囲+60mMから+130mVである。段階(d)における好ましいゼータ電位は、+150mV未満、より好ましくは範囲+5mVから+130mV、最も好ましくは+10mVから+100mVである。これは、さらなる、場合による処理段階においても好ましいゼータ電位である。
【0204】
金属酸化物塩は、上に記載されたとおりであり得る。
【0205】
カチオン性添加剤(即ち、第1及び/又は第2のカチオン性添加剤)は、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、及びそれらの混合物であり得る。最も好ましくは、第1のカチオン性添加剤はカチオン性界面活性剤であり、第2のカチオン性添加剤はカチオン性ポリマーである。
【0206】
第1のカチオン性添加剤は、好ましくはカチオン性界面活性剤である。
【0207】
カチオン性界面活性剤は、モノアルキル四級アンモニウム塩、ジアルキル四級アンモニウム塩、及びそれらの混合物であり得る。
【0208】
モノアルキル四級アンモニウム塩は、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、及びそれらの混合物であり得る。
【0209】
最も好ましくは、モノアルキル四級アンモニウム塩は、塩化セチルトリメチルアンモニウムである。
【0210】
好ましくは、ジアルキル四級アンモニウム化合物は、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムである。
【0211】
用いられ得るさらなるカチオン性界面活性剤は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、The cosmetic,Toiletry,and Fragnance Associationによって発行された、John A.Wenningerら(編者)、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(第8版、2000年)、第2巻、1140〜1147頁に記載されている。
【0212】
好ましくは、第1のカチオン性添加剤対水不溶性粒子状物質の重量比は、範囲1:1000〜1:10、より好ましくは1:200〜1:50、最も好ましくは1:100である。
【0213】
第2のカチオン性添加剤は、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤又はそれらの混合物であり得る。カチオン性界面活性剤は、上に記載されたとおりであり得る。
【0214】
好ましくは、第2のカチオン性添加剤は、カチオン性ポリマーである。
【0215】
好ましくは、第2のカチオン性添加剤対第1の被覆された粒子状物質の重量比は、範囲1:1000〜1:10、より好ましくは1:200〜1:50、最も好ましくは約1:100である。
【0216】
好ましくは、第2のカチオン性添加剤対さらに処理された被覆された粒子状物質(例えば、第2の被覆された粒子状物質)の重量比は、範囲1:1000〜1:10、より好ましくは1:200〜1:50、最も好ましくは約1:100である。
【0217】
好ましくは、カチオン性ポリマー(第1のカチオン性添加剤又は第2のカチオン性添加剤の)は、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)(PDAC)、ポリ(アクリルアミド−co−ジアリル−ジメチルアンモニウムクロライド)(ポリクオタニウム−7)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAH)、キトサン、ポリリシン、及びそれらの混合物から選択される。
【0218】
第2のカチオン性添加剤は、例えば、コロイド状アルミナ、コロイド状セリア(CeO2)、コロイド状アルミナ被覆シリカ(例えば、Ludox CL、Sigma−Aldrich)、及びそれらの混合物であり得る。
【0219】
第2のカチオン性添加剤は、例えば上記されたような正電荷を担うコロイド状金属酸化物(例えば、コロイド状アルミナ、コロイド状セリア(CeO2)、コロイド状アルミナ被覆シリカ、又はそれらの混合物)であり得る。
【0220】
該方法は、得られた被覆粒子状物質を乾燥させる段階をさらに含み得る。
【0221】
乾燥は、スプレー乾燥、凍結乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥、及び流動床から選択される方法によって行われ得る。
【0222】
第1の微粒子は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、以下の文献に記載されたスプレー乾燥によっても調製され得る:
Iskandar,F.ら、「エアロゾルスプレー法によるマイクロカプセル化粉末の調製及びその光学的特性(Preparation of microencapsulated powders by an aerosol spray method and their optical properties)」、Advanced Powder Technol.、14(3):349〜367頁、2003年;
Iskandar,Fら、「ナノ粒子ゾルのスプレー乾燥により調製されたナノ構造化粒子の形態の制御(Control of the morphology of nanostructured particles prepared by the spray drying of a nanoparticle sol)」、Journal of Colloid and Interface Science、265:296〜303頁、2003年;
Kortesue,P.ら、「制御された薬剤送達における担体としての、ゾル−ゲル処理されスプレー乾燥されたシリカゲルミクロスフィアのインビトロ評価(In vitro evaluation of sol−gel processed spray dried silica gel microspheres as carrier in controlled drug delivery)」、International Journal of Pharmaceutics,200:223〜229頁、2003年;
Takeuchi,H.ら、「スプレー乾燥法によりシリカ微粒子で調製されたトルブタミドの固体分散粒子(Solid dispersion particles of tolbutamide prepared with fine silica particles by the spray−drying method)」、Powder Technology、141:187〜195頁、2004年;
Kortesuo,P.ら、Biomaterials、23:2795〜2801頁、2002年。
【0223】
第2の微粒子も、第1の微粒子に対して上に記載された方法で、同様に調製され得る。
【0224】
同じ組成物中の過酸化物(例えば、BPO)及びレチノイド(例えば、トレチノイン(ATRA))の組合せは、それぞれの活性剤上に形成される金属酸化物(例えば、シリカ)層の修飾によって活性剤の放出プロファイルの差異を有するように設計され得る。例えば、BPOを含む微粒子は、厚いシリカ層を有することができ、したがって、遅い放出プロファイルを与えるが、ATRAを含む微粒子は、薄いシリカ層を有することができるか、又はATRAは被覆層をまったく有しないことができ、したがって、速い放出プロファイルを与える。
【0225】
本発明はさらに、本発明に定義されたとおりの局所適用用組成物に関し、この組成物は活性成分が被覆されていない対照組成物と比較して副作用減少を示す。
【0226】
本発明の好ましい実施形態によれば、副作用は、刺激、紅斑、刺痛、掻痒、落屑、乾燥、及びそれらの組合せから選択される。
【0227】
副作用は、他の同様の皮膚の望ましくない副作用でもあり得る。
【0228】
本発明はさらに、対象における表面状態を治療する方法であって、本発明で記載されたとおりの組成物を表面上に局所投与する段階を含む方法に関する。
【0229】
好ましくは、表面は皮膚又は粘膜である。好ましくは、表面状態は、ざ瘡、酒さ、乾癬、光老化皮膚、色素沈着過度皮膚、粘膜感染部、炎症性皮膚炎、及びそれらの組合せから選択される。
【0230】
このような表面状態は、好ましくは、レチオノイド及び過酸化物で治療可能である。
【0231】
好ましくは、対象は哺乳動物であり、最も好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0232】
本明細書で用いられるような「治療する又は治療」という用語には、皮膚又は粘膜などの患者の身体表面に関連する状態(ざ瘡、酒さ、乾癬、及びそれらの組合せなどの疾患又は障害)の任意の治療が含まれ、及び疾患又は障害を阻害する(即ち、その進行を停止させる)、疾患又は障害を軽減する(即ち、疾患又は障害の退行を引き起こす)或いは疾患によって引き起こされた状態(即ち、疾患の症状)を軽減することが含まれる。
【0233】
特定の疾患又は障害の治療に使用され得る活性成分の濃度は、組成物の全重量に基づいて、1%〜20%w/wのBPO及び0.005%〜0.5%w/wATRA、好ましくは2.5%〜15%w/wのBPO及び0.01%〜0.2%w/wATRA、最も好ましくは2.5%〜10%w/wのBPO及び0.025%〜0.1%w/wATRAであり得る。個々の要求は変わることがあるが、組成物の有効量の最適範囲の決定は、当分野の技術範囲内である。一般に、当業者によって調整され得る組成物の有効量を与えるのに必要とされる投与量は、年齢、健康、身体状態、体重、体型、及びもしあれば、レシピエントの疾患又は障害の程度、治療の頻度、併用療法の性質、並びに所望の効果の性質及び範囲に依存して変わる。
【0234】
さらに、本発明は、一緒に配合されると化学的に不安定である過酸化物及びレチノイドを活性成分として含む組成物を調製する方法であって、該組成物が少なくとも1種の活性成分の改善された安定性を示し、
(a)金属酸化物被覆層で該活性成分の一方の固体粒子状物質を被覆することによって該組成物中の該過酸化物及びレチノイドを互いに分離して第1の微粒子を形成し、該過酸化物及びレチノイドの他方は、活性成分の被覆されない遊離型形態又は被覆された形態で該組成物中に取り込まれる段階;及び
(b)組成物の調製のために賦形剤を添加する段階
を含む上記方法に関する。
【0235】
本明細書で用いられるように、「化学的に不安定な」という用語は、劣化し、分解し、一方が他方と化学的に反応し、活性成分の初期濃度の減少ももたらす活性成分を指す。「化学的に不安定な」という用語は、光照射の結果としての「光化学不安定性」も包含する。好ましくは、改善された安定性はレチノイドに起因する。
【0236】
本明細書で用いられるように、「分離する」という用語によって、組成物中に存在する過酸化物の全初期量の90%w/w超、好ましくは95%w/w超、より好ましくは99%w/w超、及び組成物中に存在するレチノイドの全初期量の90%w/w超、好ましくは95%w/w超、より好ましくは99%w/w超が、同じ組成物中で互いに分離されている(即ち、直接的な接触状態にないか、又は密接に混合されていない)ことが意味される。
【0237】
好ましくは、活性成分の被覆された形態は、金属酸化物被覆層で活性成分の固体粒子状物質を被覆して、第2の微粒子を形成させることによって調製される。好ましくは、被覆は、本発明で記載されたとおりである。
【0238】
本発明はさらに、以下の(a)及び(b)を含むキットに関する:(a)第1の活性成分として過酸化物を含む第1の組成物;及び(b)第2の活性成分としてレチノイドを含む第2の組成物;ここで、該第1及び該第2の活性成分の少なくとも一方は金属酸化物層で被覆されている。
【0239】
好ましくは、第1及び第2の活性成分の一方は、金属酸化物層で被覆されており、他方は、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在している。
【0240】
好ましい実施形態によれば、キットは、ざ瘡、酒さ、乾癬、光老化皮膚、色素沈着過度皮膚、炎症性皮膚炎、粘膜感染部、の1種又は複数から選択される疾患又は障害の治療における使用のための説明書をさらに含み、該使用は、該治療のために該第1及び該第2の組成物を組み合わせることを含む。
【0241】
本発明はさらに、本発明で記載されたとおりのキットを使用する方法であって、該第1の組成物及び該第2の組成物が対象の身体の表面上に同時に又は連続的に(他方の後で一方が)適用される方法に関する。
【実施例】
【0242】
以下の実施例において、溶液に関するすべての%値は、(w/w)単位である。
【0243】
分散液(懸濁液)に関するすべての%値は、(w/w)単位である。
【0244】
特に断らない限り、以下の実施例で用いられるすべての溶液は、示された成分の水溶液を指す。
【0245】
(実施例番号1)
BPOのシリカカプセル化(被覆)
段階1:粉砕:110gの含水BPO75%(Sigma製USPグレード、米国)を、0.001%シリコン消泡剤を含む0.4%CTAC溶液152gに懸濁させた。BPOを、ステータロータ混合機(15,000rpmで運転されるIKA6100)を用いて粉砕した。懸濁液の粒径分布(PSD)がd(0.9)≦35μmになるか又は温度が50℃に達したときに、粉砕を停止した。最終懸濁液を室温に冷却した。
【0246】
段階2:被覆:被覆操作の間に、懸濁液を常に500RPMで、機械式溶解機、60mmを用いて攪拌した。粉砕BPO懸濁液のpHは、5NNaOH溶液を用いて8に補正した。1gの15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiOとして15%w/w)の一部を添加し、懸濁液を5分間攪拌した。1gの3%ポリクオタニウム7(ポリジアリルアンモニウムクロライド)の一部を添加し、懸濁液を5分間攪拌した。pHを5NHCl溶液を用いて6〜7に調整した。
【0247】
異なる厚さを有するBPOの周りに一連のシリカ層を生成させるために、この操作を5〜100回繰り返した。
【0248】
エージング段階:pH6.5での被覆BPO懸濁液を穏やかな攪拌下、室温で24時間エージングのために維持した。
【0249】
(実施例番号2)
BPO放出の分析評価:
シリカシェルからのBPOの放出プロファイルは、BPOを溶解させることができる水/アセトニトリル溶液中で行った。この方法はBPOの強い酸化特性に基づく。BPOはIイオンと反応して、Iを形成し、これは呈色反応を与える。次いで、色をなくするためにチオ硫酸ナトリウム(STS)を用いて、IをIに戻す。それぞれ12.11mgの酸化性BPOを1mlの0.1MのSTSで還元することができる。BPO放出の評価は、以下に詳述されるとおりの溶液A及び懸濁液Bを用いて行った。
【0250】
100gの溶液Aの組成(30%BPOの放出を識別可能):アセトニトリル55g、0.1MのSTS12.4g、KI4.5g、脱イオン水28.1g。
懸濁液B、BPOの調製:5ml計量瓶に100%として200mgのBPO(20%BPOとして1g)懸濁液を量り取り、脱イオン水で5mlまで満たす。
操作:50mlガラス製ビーカー中に、40mlの溶液A及び5mlの懸濁液Bを添加する。黄色出現の時間を測定する。
【0251】
結果:
【表1】


(a)8%w/wBPOを含む市販製品
(b)5.5%w/wBPOを含む市販製品
(c)懸濁液中20%w/wBPO含有
試験方法においてすべてを200mgのBPOに標準化する。
【0252】
(実施例番号3)
トレチノインのシリカカプセル化
LUDOX TM−50(Sigmaから購入、米国)は、pH9.0でのシリカ(5〜20nm)のナノメートル懸濁液である。Ludox懸濁液のpHは、5NHCl溶液を用いて5〜6に調整した。オールトランスレチノイン酸(トレチノイン)(Rhodia製USPグレード)の異なる量をpH調整Ludox懸濁液と混合して、それぞれ50/50から最大90/10のシリカ/ATRA比を得た。この懸濁液を20%固形分まで希釈し、15,000psiでのM−110Yマイクロフルイダイザー処理装置(Microfluidics)を用いて粉砕した。懸濁液の粒径分布(PSD)がd(0.9)≦5μmになったときに粉砕を停止した。常に温度を30℃未満に維持した。粉砕懸濁液を入口温度100℃、出口温度60℃でスプレー乾燥機によりスプレー乾燥し、トレチノイン粒子を捕捉したシリカ球体を得た。
【0253】
(実施例番号4)
ATRA放出の分析評価:
シリカシェルからのATRA(トレチノイン)の放出プロファイルを、ATRAを溶解させることができるpH=3での水/THF溶液中で行った。放出ATRAの量は、滴定で測定した。すべての試料は0.1%w/wのトレチノインを含有した。
【0254】
結果:
【表2】

【0255】
(実施例番号5)
BPO/ATRA混合物の安定性試験:
5%のBPO及び0.1%のATRAを含む水系ゲル配合物を、遊離型活性剤及びカプセル化した活性剤を用いて調製した。以下の混合物を実施例2及び実施例4由来の試料を用いて調製した:
【表3】

【0256】
ゲルを安定性のために以下の温度:4℃、25℃及び30℃に置き、ATRA濃度の低下を測定した。
【0257】
結果:
【表4】


月単位の時間
【0258】
これは、API(活性薬学的成分)のカプセル化がATRAの安定性を著しく増加させることを明らかに示す。最も安定な組合せは混合物Eであり、BPO及びATRAの両方が最長放出時間を示す。BPOのカプセル化は、ATRAのそれよりも安定性に対してより有効である。
【0259】
(実施例番号6)
社内刺激パッチ試験:
実施例番号5由来の水系ゲル配合物を4時間のパッチ試験で試験した。この化合物を試験中、0時間で1回適用した。4時間後にパッチを取り除いた。さらに24時間(合計28時間)後に、適用範囲を観察し、その写真(図1)を撮った。
【0260】
この写真は、試料A、B、C及びEによって生じた刺激を示す。非カプセル化試料(A)の強い刺激が明らかに示される。試料Bは刺激がかなり低いが、試料C及びEはまったく非刺激性である。
【0261】
(実施例番号7)
トレチノインのシリカカプセル化
段階1:粉砕:75gのオールトランスレチノイン酸(トレチノイン)(Rhodia製USPグレード)を、0.001%シリコン消泡剤を含有する0.3%CTAC溶液250gに懸濁させた。ATRAを、15,000psiでのM−110Yマイクロフルイダイザー処理装置(Microfluidics)を用いて粉砕した。懸濁液の粒径分布(PSD)がd(0.9)≦20μmになったときに粉砕を停止した。常に温度を30℃未満に維持した。
【0262】
段階2:被覆:被覆操作の間に、懸濁液を常に500RPMで機械式溶解機、60mmを用いて攪拌した。粉砕ATRA懸濁液のpHを、5NHCl溶液を用いて約4に補正した。15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiOとして15%w/w)0.5gの一部を添加し、この懸濁液を5分間攪拌した。0.5gの3%ポリクオタニウム7の一部を添加し、懸濁液を5分間攪拌した。5NHCl溶液を用いてpHを約4に再調整した。異なる厚さを有するATRAの周りに一連のシリカ層を生成させるために、この操作を5〜100回繰り返した。
【0263】
エージング段階:pH4.5での被覆ATRA懸濁液を、エージングのために、穏やかな攪拌下、室温で24時間維持した。
【0264】
(実施例番号8)
タザロテン(TAZ)のシリカカプセル化
段階1:粉砕:50gのTazarotene(Glenmark製)を、0.001%シリコン消泡剤を含有する0.3%CTAC溶液350g中に懸濁させた。このTAZを、15,000psiでのM−110Yマイクロフルイダイザー処理装置(Microfluidics)を用いて粉砕した。懸濁液の粒径分布(PSD)がd(0.9)≦25μmになったときに粉砕を停止した。常に温度を30℃未満に維持した。
【0265】
段階2:被覆:被覆操作の間に、懸濁液を常に500RPMで機械式溶解機、60mmを用いて攪拌した。粉砕TAZ懸濁液のpHを、5NHCl溶液を用いて約3に補正した。1gの15%ケイ酸ナトリウム溶液(SiOとして15%w/w)の一部を添加し、懸濁液を5分間攪拌した。0.3gの3%ポリクオタニウム−1の一部を添加し、懸濁液を5分間攪拌した。pHを、5NHCl溶液を用いて約3に再調整した。
【0266】
TAZの周りにシリカ層を生成させるために、この操作を50回繰り返した。
【0267】
エージング段階:pH4.5の被覆TAZ懸濁液をエージングのために、穏やかな攪拌下、室温で24時間維持した。
【0268】
(実施例番号9)
トレチノイン安定性試験
1.0 方法の目的及び原理
ATRA(オールトランスレチノイン酸)を、0.1%ATRA対6%BPOの比で過酸化ベンソイル(BPO)の存在下、安定性について試験した。安定性スクリーニングを水中で行った:ATRA及びBPOを40℃で4時間水中に再懸濁させた(試験時間ゼロ及び4時間、又は他)。操作の終了時に、ATRAを、BHT含有希釈溶液で抽出し(試料調製物のよりよい安定性のために)、外部標準に対して352nmでHPLC法を用いて決定した。
【0269】
2.0 試薬及び装置
アセトニトリル :HPLCグレード
水 :HPLCグレード
イソプロピルアルコール(IPA) :HPLCグレード
氷酢酸 :HPLCグレード
ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT):分析グレード
カラム :Zorbax RX−C18 3.5μm4.6150mm
溶離液 :水中70%のアセトニトリル及び30%の1%酢酸
流量 :1.3ml/分
検出 :UV、波長352nm
注入容積 :10μL
カラム温度 :40℃
【0270】
2.1 希釈溶液調製
1000mlのアセトニトリル中1gのBHTを溶解させる。
【0271】
3.0 ATRA標準調製
50mlの低防化学線容量フラスコ中に約50mgのATRA RSを量り取り、約30mlのIPAを添加する。10分間超音波で分解して、室温に冷却し、容量まで満たす(原液)。50mlの低防化学線容量フラスコに2mlの原液を移し、希釈溶液で容量まで満たす(溶液S)。
【0272】
4.0 系適合性溶液
ATRA標準調製を参照されたい。
【0273】
5.0 試料調製
3mlのパスツールピペットを試料で満たす。ピペット内容物を予め計量した50mlの容量フラスコに移す。フラスコを量り、30mlの希釈溶液を添加し、15分間超音波で分解する(熱を避ける)。希釈溶液で容量まで満たし、0.2μナイロンシリンジフィルター(Nylon Syringe Filter)を通してろ過し、最初のミリリットルを廃棄する(溶液A)。
【0274】
6.0 操作
試料及び標準は二重に調製しなければならない。
試料及び標準調製は、同じ温度で調製し、試料採取しなければならない。
【0275】
7.0 計算
以下の式:
【数1】


(式中:
A試料 −試料調製物から生じるATRAピーク範囲
A標準 −標準調製物から生じるATRAピーク範囲
C試料 −試料濃度(mg/ml)
C標準 −標準濃度(mg/ml)
P標準%−標準の純度%)
を用いて試料中のATRAアッセイを計算した。
【0276】
(実施例番号10)
ケイ酸ナトリウム及びポリマーを用いる被覆
トレチノイン結晶を数サイクルのケイ酸ナトリウム及びPVA(ポリビニルアルコール)又はPDAC−7(ポリクオタニウム−7)のいずれかでカプセル化した。サイクルはそれぞれ以下の段階からなった:最初に、pHが7になるまでケイ酸ナトリウムを添加した;次いで、この溶液をHCl(通常1M溶液)でpH3に酸性化し、この時点でポリカチオン又は非イオン性ポリマーを添加した。最後のサイクル後に、ケイ酸ナトリウム及びHClの最終層を適用した。何回も、Ludox TM50(Grace davision、米国)(2.5%)を、被覆のためにケイ酸ナトリウム溶液に添加した。BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)を一部の場合に、酸化防止剤として粉砕処理前にトレチノインに添加した。0.3%CTACを含む水中5%トレチノインをすべての場合に用い、マイクロフルイダイザーで粉砕した(d(0.9)≦12〜13μm)。カプセル化トレチノイン結晶の安定性を実施例番号9に記載されたようにBPO溶液で検査した。
【0277】
結果
トレチノイン上の被覆の分類を行った。最初に、ケイ酸ナトリウム(2.5%)及びPDAC−7の10サイクルで、BHTを有して及び有さないで被覆した場合に、トレチノインの劣化を比較した。BHTの添加がトレチノインの劣化を15〜20%防止することが見いだされた(図2)。したがって、さらなる実験のすべては、BHTを添加して行った。
【0278】
BPOでのより良好な安定性を得るために、2種のポリマーを比較した:PDAC−7及びPVA。一般に、PDAC−7はわずかに良好な安定性結果を与えた。
【0279】
結果は、被覆サイクルをより多く行うほど、活性成分の安定性はより良好になることを示す。例えば、15から30サイクル間の比較は、サイクル数を増加させると、安定性が増すことを示す。
【0280】
ケイ酸ナトリウム溶液へのLudox(TM−50)を添加すると、それぞれ、S.S.(ケイ酸ナトリウム)の2.5%w/w溶液及び2.5%w/wのLudoxを得、通常、より良好な安定性を有する結果を生じた。理論に拘束されることなく、これは恐らく、Ludoxが、ケイ酸ナトリウムのみが使用される場合必ずしも完全に形成しない部分的に形成されたシリカをシェルに与えるという事実の結果である。これは図3で理解することができる。
【0281】
結論
これらの結果から、より良好な安定性を得るために、被覆サイクルの数を増加させなければならないことが明らかである。
表1:安定性実験の概略
【表5】


(a)pH5で40℃において4時間後
【0282】
結果を図4にも示す。
【0283】
被覆トレチノイン放出プロファイルを決定する方法(アッセイ法(番号03/1−AS−01))
方法原理
カプセル化生成物からのATRA(オールトランスレチノイン酸)の放出を評価するため。カプセル化ATRA生成物を、室温で緩衝液/IPM(イソプロピルミリステート)中にATRA生成物を再懸濁することによって、二相抽出系で抽出し、時間ゼロ及び数時間ごとで、又は他で試験した。操作の終了時に、外部標準に対する352nmでのHPLC法でATRAを決定した。
【0284】
用いた試薬、装置、標準及び試料調製物、並びに分析操作は実施例番号9で詳述した。
【0285】
試料調製
約20mgのATRAに相当するカプセル化ATRA生成物の分量を250mlの琥珀色のエルレンマイヤーフラスコに移す。100mlのリン酸緩衝液を添加し、混合する。100mlのIPMを添加し、マグネチックスタラー上、500rpmで攪拌する。異なる時間間隔で1.0mlの上層をエッペンドルフ中に移す。10000rpmで10分間遠心分離する。0.5mlの透明液体を25mlの琥珀色容量フラスコ中に移し、アセトニトリルで容量に希釈し、0.2μナイロンシリンジフィルターを通してろ過し、最初のミリリットルを廃棄する(溶液A)。
【0286】
計算
式:
【数2】


(式中、
アッセイ(%)−アッセイ法(番号03/1−AS−01)による試料中のATRA含量)
を用いて放出されたATRAの%を計算する。
【0287】
【数3】

【0288】
パラメータA試料、C標準、P標準%、A標準、C試料は、実施例番号9において「計算」のもとに上記されている。
【0289】
本発明は、その好ましい実施形態を参照して示し、且つ説明してきたが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなくそれらに対して多くの代替、変更及び変形が行われ得ることが当業者によって理解される。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲に入るこのような代替、変更及び変形のすべてを包含することが意図される。
【0290】
あたかも、それぞれの刊行物、特許又は特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的且つ個別に示されるのと同じ程度に、本明細書に述べられた刊行物、特許及び特許出願のすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化物及びレチノイドを活性成分として含む局所適用用組成物であって、前記過酸化物及びレチノイドの一方が、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、前記過酸化物及びレチノイドの他方が、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在する上記組成物。
【請求項2】
前記活性成分の被覆された形態が、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第2の微粒子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1の微粒子が、金属酸化物層で被覆された過酸化物の固体粒子状物質を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記過酸化物が、金属酸化物層で被覆された過酸化物の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、前記レチノイドが、金属酸化物層で被覆されたレチノイドの固体粒子状物質を含む第2の微粒子の形態である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記過酸化物が過酸化ベンゾイルである、請求項1から4までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記レチノイドが、オールトランスレチノイン酸、イソトレチノイン、アダパレン、タザロテン、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
対照組成物と比較して改善された安定性を有し、前記組成物と対照組成物の間の差が参照組成物において活性成分が被覆されていないことである、請求項1から6までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
追加の活性剤をさらに含む請求項1から7までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記追加の活性剤が抗生物質製剤である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ZnO、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記金属酸化物がシリカである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
過酸化ベンゾイル及びオールトランスレチノイン酸を活性成分として含む局所適用用組成物であって、前記過酸化ベンゾイル及びオールトランスレチノイン酸の一方が、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、前記過酸化ベンゾイル及びオールトランスレチノイン酸の他方が、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在する上記組成物。
【請求項13】
過酸化ベンゾイル及びタザロテンを活性成分として含む局所適用用組成物であって、前記過酸化ベンゾイル及びタザロテンの一方が、金属酸化物層で被覆された活性成分の固体粒子状物質を含む第1の微粒子の形態であり、前記過酸化ベンゾイル及びタザロテンの他方が、活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在する上記組成物。
【請求項14】
前記第1の微粒子が、固体粒子状物質の表面上への金属酸化物の沈着によって調製される、請求項1から13までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記第1の微粒子が、
(a)固体の水不溶性粒子状物質をイオン性添加剤及び水性媒体と接触させて、その表面上に正電荷を有する前記粒子状物質の分散液を得る段階;
(b)粒子状物質の表面上へ金属酸化物塩を析出させて、その上に金属酸化物被覆層を形成することによって、固体の水不溶性粒子状物質を被覆する段階;及び
(c)前記被覆層をエージングする段階
によって調製される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、活性成分が被覆されていない対照組成物と比較して減少した副作用を示す、請求項1から15までのいずれか一項に記載の局所適用用組成物。
【請求項17】
前記副作用が、刺激、紅斑、刺痛、掻痒、落屑、乾燥、及びそれらの組合せから選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
対象における表面状態を治療する方法であって、請求項1から17までのいずれか一項に記載の組成物を表面上に局所投与する段階を含む上記方法。
【請求項19】
前記表面が、皮膚又は粘膜である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記表面状態が、ざ瘡、酒さ、乾癬、光老化皮膚、色素沈着過度皮膚、粘膜感染部、炎症性皮膚炎、及びそれらの組合せから選択される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
一緒に配合される場合化学的に不安定である過酸化物及びレチノイドを活性成分として含む組成物を調製する方法であって、該組成物が少なくとも1種の活性成分の改善された安定性を示し、
(a)金属酸化物被覆層によって前記活性成分の一方の固体粒子状物質を被覆して第1の微粒子を形成させることによって、該組成物において前記過酸化物及びレチノイドを互いに分離し、前記過酸化物及びレチノイドの他方は活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で該組成物中に取り込まれる段階;並びに
(b)組成物の調製のための賦形剤を添加する段階
を含む上記方法。
【請求項22】
前記活性成分の被覆された形態が、金属酸化物被覆層で活性成分の固体粒子状物質を被覆して、第2の微粒子を形成することによって調製される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
(a)第1の活性成分として過酸化物を含む第1の組成物;及び(b)第2の活性成分としてレチノイドを含む第2の組成物を含むキットであって、前記第1及び前記第2の活性成分の少なくとも一方は金属酸化物層で被覆されている上記キット。
【請求項24】
前記第1及び前記第2の活性成分の一方が金属酸化物層で被覆されており、他方が活性成分の被覆されていない遊離型形態又は被覆された形態で存在する、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
ざ瘡、酒さ、乾癬、光老化皮膚、色素沈着過度皮膚、炎症性皮膚炎、粘膜感染部の1種又は複数から選択される疾患又は障害の治療における使用のための説明書をさらに含み、該使用が該治療のために前記第1及び前記第2の組成物を組み合わせることを含む、請求項23又は24に記載のキット。
【請求項26】
前記第1の組成物及び前記第2の組成物が、対象の身体の表面上に同時に又は連続的に適用される、請求項23から25までのいずれか一項に記載のキットを使用する方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−517996(P2010−517996A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547810(P2009−547810)
【出願日】平成20年2月3日(2008.2.3)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000140
【国際公開番号】WO2008/093346
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(508036547)ソル − ゲル テクノロジーズ リミテッド (4)
【Fターム(参考)】