説明

道路用発光標示体

【課題】発光体から放射させる光の向きの調整を容易に安定して行うことができる道路用発光標示体を提供する。
【解決手段】上下を軸方向として回転可能に形成させた回転部と、この回転部の上部と下部とをそれぞれ回転可能に軸支する上方支持体と下方支持体とを備えさせて、前記回転部に設けた発光部より放射させる光の水平方向における向きを調整して放射可能にする。
前記回転部の上部と下部とをそれぞれ軸支する上方支持体と下方支持体とを備えるので、回転部が上下の二点で軸支されてその回転が安定し、作業が容易になる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路周辺に設置される道路用発光標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路を通行するドライバーに対して、発光体の発する光によって視線誘導や注意喚起を行うための発光道路標示体については、多くの発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、走行する車両へ向けて発光可能な誘導表示部と、前記誘導表示部と同一面に設けられて発光可能な警告表示部と、を備えてなることを特徴とする発光式誘導警告装置、の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−265425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発光式誘導警告装置は、ケース本体の後面に設けた取付部に、取付金具を介して副支柱を固定させ、立設された支柱と副支柱との間に支持アームを設ける構成が段落0025や図2等に記載されており、支柱、支持アーム、副支柱、取付金具のそれぞれの間の結合部分で回転をさせて角度を調整し、発光式誘導警告装置の正面がそれぞれ道路方向に向くよう調整して設置することができるようになされている。
しかしこのような角度調整機構を用いた場合には、角度調整を行う際に、発光式誘導警告装置を固定している取付金具等の固定を解除しなければならないので、角度調整作業を安定して行うことが難しく、また作業中に発光式誘導警告装置を落下させるなどの危険性に注意する必要がある等の問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、発光体から放射させる光の向きの調整を容易に安定して行うことができる道路用発光標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用発光標示体は、発光体からの光を外方に放射させる発光部を備えた道路用発光標示体であって、
上下を軸方向として回転可能に形成された回転部と、
該回転部の上部と下部とをそれぞれ回転可能に軸支する上方支持体と下方支持体とを備え、
前記回転部に設けられた発光部より放射させる光の水平方向における向きを調整して放射可能となされていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路用発光標示体によれば、上下を軸方向として回転可能な軸体に形成された回転部を備え、発光体からの光を外方に放射させる発光部を前記回転部に固定させるので、放射させる光の水平方向における向きを調整して、発光標示させる道路等の方向へ光を放射させることが出来る。
また、発光部を固定させた前記回転部を回転可能な軸体に形成させ、この回転部の上部と下部とをそれぞれ軸支する上方支持体と下方支持体とを備えるので、回転部が上下の二点で軸支されてその回転が安定し、作業が容易になる。また回転部を回転させるときに回転部が落下する等の危険性もない。。
【0009】
また、前記発光部を設けた回転部を少なくとも2個並設させれば、各回転部に固定された発光部からの光をそれぞれ異なる方向へ放射させることができるので、様々な設置場所の状況や表示目的に応じた発光標示を行うことができる。
また、前記の各回転部を軸支する前記上方支持体と下方支持体との位置ずれを防止する連結部材を、前記各回転部の間に配置させて、前記上方支持体と下方支持体との間に架設させれば、上方支持体と下方支持体との相対位置が安定的に維持されるので、これらに軸支される回転部の回転が安定し、作業が容易になる。。
また、前記連結部材を、前記各回転部の間に配置させて、前記上方支持体と下方支持体との間に架設させれば、一方の回転部に固定させた発光部からの光が前記連結部材に遮られる方向に対して、他方の回転部に固定させた発光部からの光を放射させることができるので、より広範囲をカバーして発光標示を行うことができる。
【0010】
また、前記回転部の内部に第一の中空部を軸方向に沿って形成させ、
前記上方支持体と下方支持体の少なくともいずれか一方に前記第一の中空部に通じる第二の中空部を形成させ、
前記発光部へ電力を供給する電線を前記第一の中空部及び第二の中空部を通じて配線させれば、前記回転部を回転させるときに電線が障害とならないので、回転部の回転を安定して行うことができ、作業が容易になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る道路用発光標示体によれば、発光体から放射させる光の向きの調整を容易に安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る道路用発光標示体の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図であり、(ニ)は背面図である。
【図2】図1の断面図であり、(イ)はA−A断面図であり、(ロ)はB−B断面図である。
【図3】図1の発光部付近を拡大した断面図である。
【図4】図1の道路用発光標示体の発光部を示す図であり、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図5】上方支持体付近の断面を示す図1のC−C断面図である。
【図6】各発光部から放射させる光の向きを調整させた状況を示す図1のA−A断面図である。
【図7】本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において、1は道路用発光標示体である。
本実施形態の道路用発光標示体1は、箱状体に形成された上方支持体6aを上部に、同様に箱状体に形成された下方支持体6bを下部にそれぞれ備え、これらに架け渡された3本の回転部Rがその上端と下端とをそれぞれ支持されている。
3本の回転部Rにはそれぞれ発光部が取り付けられて、道路用発光標示体1の前方にあたる位置に1本、その後方の位置に2本並設させて配置されており、水平断面における配置が二等辺三角形の3つの頂点を形成するように設けられている。
また、前記の各回転部Rの内、後方に配置された2本の回転部Rの間の位置に、連結部材8が配置されて上方支持体6aと下方支持体6bとの間に架設されて固定されている。
道路用発光標示体1は、図5に示されるように別体に形成された太陽電池(図示せず)で生起させた電力を上方支持体6aの内部に内装された蓄電部62に供給して蓄える。蓄電部62に蓄えられた電力は、同じく上方支持体6aに内装された制御部63を通じて、回転部Rに取り付けられた発光部4の発光体41に供給されこれを発光させる。各回転部Rにそれぞれ取り付けられた発光部4の発光体41は制御部63によって点灯、消灯を制御され、各発光体41を個別に、または同時に点灯、点滅させることで、様々な発光パターンで発光可能としている。道路用発光標示体1は別に形成された固定用ポール(図示せず)に前記上方支持体6aや下方支持体6bが取り付けられて、歩行者や車両の運転手などの主な標示対象者の目線の高さに各発光部4からの光が放射されるように固定されて、道路脇や交差点などに設置される。
【0014】
回転部Rは、支柱2の前面に発光部4が取り付けられたものである。支柱2は、アルミニウム合金を押出成形によって成形されており、図3に詳細に示されるように、内部に第一の中空部24を備えた円筒状の側壁22の前方に長手方向に切り欠くように形成された開口部21を備えた略C字状の断面形状に形成している。
側壁22の内側には開口部21の各々の側端に沿うように凹溝23が左右に形成されており、この両凹溝23はそれぞれに開口方向を向けて対向するように設けられている。
【0015】
4は前記支柱2の前面に取り付けられた発光部である。本実施形態では、発光部4は、後面が開口した箱体の透光性の保護カバー部42を前面に有し、保護カバー部42の開口部分にはこれを塞ぐように背面板47が取り付けられ、発光部4が箱形のユニット体に形成されている。
保護カバー部42の両側の側面には、保護カバー部42の上面から下面に亘るように突条部48が形成されており、この突条部48は保護カバー部42の両側の側面において互いが反対方向を向くように形成されている。
また、保護カバー部42の上面および下面は発光部4や後述の反射体5を段積みできるようにそれぞれ平面に形成されている。
保護カバー部42の材質としては、透明なポリカーボネート樹脂を用いることができ、これに限らず透光性を有するものであれば何でも良く、アクリル樹脂やガラスなどを用いてもよい。本実施形態ではポリカーボネート樹脂を用いている。
【0016】
保護カバー部42と背面板47とに囲われた発光部4の内部には、発光体41が内装されている。本実施形態では発光体41にLEDを用いており、発光体41は発光させる光の向きを同じ方向に向けて配線基板49上に横方向に3個一列に取り付けられ、これを上下方向に二列配置して合計6個ずつ取り付けられている。配線基板49は、発光体41から発する光が保護カバー部42の前面に向けられるように、発光部4に内装されている。このとき、発光体41の列の向きが、発光部4の上下方向に沿うように配置されており、発光部4の側壁に形成された突条部48と同一方向としている。
【0017】
前記の発光部4の保護カバー部42の前面は図3及び図4に示されるように、左右方向には平面に形成されると共に、上下方向には凸状に曲成されたレンズ部43が設けられている。レンズ部43は発光体41から発せられる光を透過して発光部4の外部に出射する際に、光が上下方向に拡散するのを防いでいる。
【0018】
突条部48の大きさと間隔は、支柱2に形成された凹溝23の大きさと対向する各凹溝23同士の間隔にそれぞれ対応するように形成されており、発光部4はその前面を支柱2の開口部21から前方に向けて突出させ、前記凹溝23に突条部48を挿入し、支柱2に固定されている。発光部4は、突条部48を凹溝23に挿入して固定されるので、発光部4は両側の側面で強固に固定され、方向などのずれを容易に起こさない。本実施形態では、支柱に設けた開口部21と凹溝23の長さを発光部4を複数段積みして設置できる大きさに形成しているので、凹溝23に突条部48を挿入するだけで各発光部4を容易に段積み可能としている。また、発光部4の発光体41は突条部48の方向に合わせて列状に配置しているので、複数の発光部4を同一の凹溝23に段積みしたとき、各発光部4の発光体41が自動的に同じ方向に沿った列として配置される。
【0019】
本実施形態では、突条部48に対応した凹溝23に係合させて発光部4を段積み可能とできるので、突条部48に対応した凹溝23の長さを変更することで段積みする発光部4の個数を容易に変更できる。例えば支柱2の長さを変更して、それに応じた個数の発光部4を取り付けることが可能である。
【0020】
5は反射体である。
発光部4は1本の支柱2にそれぞれ6個ずつ取り付けられており、支柱2の上方と下方にそれぞれ3個づつ取り付けられ、これらの間に反射体5が取り付けられている。
反射体5は図2(ロ)に示されるように、前面が左右方向にアールを描いて前方に突出するかまぼこ形状の箱体に形成され、前面が光の再帰反射性を有するように構成されている。反射体5の左右の側面には、発光部4の突条部48と同じ大きさと間隔の突条部52がその上面から下面に至るように上下方向にそれぞれ形成されており、発光部4と同様に前記の突条部52を支柱2の凹溝23に挿入させて、支柱2に固定される。
反射体5を発光部4と上下方向に並設させて設けることで、発光部4の発する光と、反射体5によって再帰反射されるヘッドライト等の光とが、それぞれ光の強さや色調を異ならせて視認されるので、視認される光が複雑でより誘目性を高めたものとなされ、道路用発光標示体1の視認性を高める。
【0021】
9は補助発光部である。
補助発光部9は上方支持体6aと下方支持体6bとに、それぞれ2個づつ合計4個設けられており、全て道路用発光標示体1の背面側に向けて光を放射するように取り付けられている。補助発光部9の発光により、接近してくる車両に対して、この道路用発光標示体1の存在を認識させ、接触などを防止させる。本実施形態の補助発光部9は図1に示すように道路用発光標示体1の後面に設けているが、側面などに設けても良い。
【0022】
8は連結部材である。
連結部材8はアルミニウム合金を押出成形によって成形されており、内部に連結中空部82を備えた矩形断面の筒状に形成されている。
前記連結中空部82は、連結部材8の長手方向に沿って、その両端が開口されて形成されている。
また、連結部材8は、その内側面に、ビスホール部81が2箇所押出成型によって形成されている。
連結部材8は、その長手方向の両端をそれぞれ上方支持体6aの下面と、下方支持体6bの上面に当接させ、これらの内部からそれぞれ固定ねじを前記ビスホール部81に螺入させて、上方支持体6aと下方支持体6bとの間に連結部材8を架設させて固定させている。
上記のように連結部材8を上方支持体6aと下方支持体6bとの間に架設させて設けることで、上方支持体6aと下方支持体6bとの相互の間隔や向きが維持されて、相対的な位置ずれが抑制される。
【0023】
図5は上方支持体6a付近の断面を示す図1のC−C断面図である。
上方支持体6a及び下方支持体6bは、上面に天板66、下面に底板68、側面に側板67を備え、内部に第二の中空部64を備えた箱状体にそれぞれ形成されている。
また上方支持体6aの第二の中空部64内には、回転部Rに固定された発光部4の発光体41を発光させるための蓄電部62、制御部63が内装されている。
【0024】
回転部Rは長手方向を上下に向けてその端部を上方支持体6a、下方支持体6bに支持されているが、回転部Rの上端および下端には、回転キャップ3がそれぞれ取り付けられ、この回転キャップ3を介して回転部Rは回転可能に支持されている。
回転キャップ3は、円盤形状に形成された板部31と、この一方の面から突出する円筒形状の回転軸部33とを備えた形状となっている。
板部31は回転部Rの側壁22の外周面と同じ径の大きさの円盤形状に形成されており、回転部Rの端面を板部31に当接させたときに、板部31の外周側面と、回転部Rの外周面とが面一となるように形成されている。
回転キャップ3は、回転部Rの端面を板部31に当接させた後、板部31を挿通させたネジを回転部Rのビスホール部26に螺結させて、回転部Rに固定される。
【0025】
前記の回転軸部33は、板部31よりも小径の円筒形状に形成されている。
上方支持体6aの底板68及び下方支持体6bの天板66には、回転軸部33の外周面より若干大径に形成された円形の軸穴61が貫通してそれぞれ3箇所づつ設けられている。回転部Rの上端と下端にそれぞれ固定された回転キャップ3は、前記の軸穴61に回転軸部33が挿入され、板部31が上方支持体6aの下面と下方支持体6bの上面とにそれぞれ当接されて抜脱が防止され、回転部Rが上方支持体6aと下方支持体6bとの間に支持される。
回転部Rは、円筒形状の回転支持部33を、円形の軸穴61内で回転させて、上方支持体6aと下方支持体6bとの間でその向きを回転調整可能に構成されている。
また、回転キャップ3を回転部Rの両端に取り付けて、回転部Rをその軸方向両端でそれぞれ軸支させるので、回転部Rの回転を安定させることができる。
図5においては、図面の簡略化のために、並設された3本の回転部Rの内、道路用発光標示体1の後方側に配置された回転部Rの図示を省略している。
【0026】
回転キャップ3の板部31には、回転軸部33を設けた面から他方の面に至る貫通穴34が設けられている。上方支持体6aに内装された蓄電部62から回転部Rに取り付けられた発光部4の発光体41へ電力を供給する電線は、上方支持体6aの第二の中空部64から、貫通穴34を通り、回転部Rの第一の中空部24を通じて発光部4に配線されている。
上記のように、回転部Rの軸方向に沿って形成させた第一の中空部24を、回転部Rの軸方向端部に取り付けた回転キャップ3を貫通する貫通穴34を通して、回転部Rを軸支する上方支持体6aの内部に設けられた第二の中空部64に通じるように形成させることで、これらの内部に配線された前記の電線の保護が図れ、断線などの危険性を低下させることができる。また、上記のように配線させることで、回転部Rの回転の際に前記の電線が他部材に引っ掛かることがないので、回転部Rの回転がスムーズになり、これを回転させて発光部4の向きを調整する等の行う作業が容易となる。
【0027】
また、回転キャップ3を介して回転可能に支持された回転部Rは、開口部21の後方の側壁22が半円形に形成されており、回転部Rの回転を行う際に、側壁22の外側面が他の回転部R等の部材に当接することがなく、回転の際の障害とならずに回転部Rを安定して回転できるように形成させている。
【0028】
本実施形態の道路用発光標示体1には、上記のように、上方支持体6aと下方支持体6bとに軸支されて、道路用発光標示体1の前方にあたる位置に回転部Raが取り付けられ、その後方右側に回転部Rb、後方左側に回転部Rcがそれぞれ並設され、合計3本の回転部Rが支持固定されている。
前記各回転部Ra、2b、2cには、各発光部4a、4b、4cがそれぞれ固定され、前記各回転部Ra、2b、2cの回転によって、それぞれが放射する光の水平方向における向きを調整可能に構成されている。
各回転部Ra〜2cに取り付けられた各発光部4a〜4cは、水平方向において、保護カバー部42の向けられた方向へのみ光を放射させ、前記の方向以外へは光を放射しないように構成されている。
【0029】
また前記に記載したように、3本の回転部Rの内、後方に配置された回転部Raと回転部Rbとの間には連結部材8が配置されて固定されており、上方支持体6aと下方支持体6bとの相対的な位置ずれを防止させている。
連結部材8は、図2に示すように並設された3本の回転部Ra〜2cの略中央の位置に並設させるように固定させている。このように複数設けた各回転部Ra〜2cの間に連結部材8を配置して固定させることで、各回転部Ra〜2cのそれぞれ取付位置における上方支持体6aと下方支持体6bとの相対的な位置ずれが小さくなされ、各回転部Ra〜2cの回転を安定させる。またこのような理由から、連結部材8は、上方支持体6aと下方支持体6bとの間に架設された回転部Rの、より近傍に配置させて設けることで、回転部Rの回転をより安定させることができる。
【0030】
また、前記連結部材8を固定させた前記上方支持体6aの底板68、及び下方支持体の天板66には、内部の各第二の中空部64から連結部材8の連結中空部82に通じる通孔65がそれぞれ形成されている。このように各通孔65を設けることで、上方支持体6aの第二の中空部64が連結部材8の連結中空部82を介して下方支持体6bの第二の中空部64に通じる。
本実施形態の道路用発光標示体1では、上方支持体6aに内装させた蓄電部62から下方支持体6bの後面に設けた補助発光部9に電力を供給する電線を連結部材8の連結中空部82の中を通して配線させている。また、上方支持体6aに内装させた蓄電部62から各回転部Ra〜2cに固定させた発光部4a〜4cに電力を供給する電線を、連結部材8の連結中空部82の中を通して、下方支持体6bの第二の中空部64を通じ、下方支持体6bに支持された回転キャップ3の貫通穴34を通して、配線させるなど、多様な経路を用いて配線できるように構成させている。上記のように回転部Rに固定させた発光体4に電力を供給する電線と、下方支持体6bに固定させた補助発光部9を発光させる電線とを、共に連結部材8の内部に配線させることができるが、発光体4への配線を回転部Rに配線させ、補助発光部9への配線を連結部材8に配線させて、両者を分けることで、経年劣化時の部品交換や故障の修理などのメンテナンスの際に効率よく作業を行え、好ましい。また、連結部材8の内部に電線を配線させることで、回転部R内を配線させる電線の数を減少させ、回転部Rの回転をより安定させる。
【0031】
図2と図6は各発光部から放射させる光の向きを調整させた状況を示す図1のA−A断面図である。
上方支持体6aと下方支持体6bとに回転可能に固定された各回転部Ra、2b、2cは、本実施形態において、それぞれ左右の周方向へ90゜ずつ、合計180゜の回転が可能に固定されている。
上記のように各回転部Ra、2b、2cを構成することで、これらを回転調整させて、図2(イ)に示すように各発光部4a、4b、4cの光をそれぞれ90゜間隔で異なる方向へむけて放射させることができ、交差点や三叉路において、各道路の方向へ向けて発光標示させることが可能である。
また、図6(イ)に示すように、各発光部4a、4b、4cの光をそれぞれ45゜間隔で前方へむけて放射させることができ、前方へ発光を集中させて強調させた発光標示を行うことも可能である。
また、図6(ロ)に示すように、発光部4a、4bをそれぞれ後方へ向け、発光部4cをこれと反対の前方に向けて、後方への発光標示をより強調させて180゜逆の方向へそれぞれ発光標示を行うこともできる。
【0032】
本実施形態の道路用発光標示体1は、3本の回転部Ra〜2cを備え、これにそれぞれ発光部4a〜4cを取り付けられているが、これに限るものではなく、2本の回転部Ra、2bのみを備えてこれにそれぞれ発光部4a、4bを設けても良いし、4本以上の回転部Rにそれぞれ発光部4を設けても良い。
図7は本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態を示す断面図である。
本実施形態の道路用発光標示体は、図1の実施形態より回転部Rcと発光部4cを省き、2本の回転部Ra、2bを並設させて、発光部4aを回転部Raに、発光部4bを回転部Rbにそれぞれ設けている。
【0033】
図6、7に示すように、上方支持体6aと下方支持体6bとに架設させた連結部材8が、複数並設させた各回転部Rの間に配置されるように設けることで、一方の回転部Rの備える発光部4から放射される光が連結部材8に遮られる方向に対して、他方の回転部Rの発光部4からの光を放射させることができ、道路用発光標示体1の行う発光標示をより広範囲から視認できるものとすることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 道路用発光標示体
2 支柱
21 開口部
22 側壁
23 凹溝
24 第一の中空部
26 ビスホール部
3 回転キャップ
31 板部
33 回転軸部
34 貫通穴
4 発光部
4a 第一の発光部
4b 第二の発光部
4c 第三の発光部
41 発光体
42 保護カバー部
43 レンズ部
44 非集光部
47 背面板
48 突条部
49 配線基板
5 反射体
52 突条部
6a 上方支柱支持体
6b 下方支柱支持体
61 軸穴
62 蓄電部
63 制御部
65 通孔
8 連結部材
81 ビスホール部
82 連結中空部
9 補助発光部
R 回転部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体からの光を外方に放射させる発光部を備えた道路用発光標示体であって、
上下を軸方向として回転可能に形成された回転部と、
該回転部の上部と下部とをそれぞれ回転可能に軸支する上方支持体と下方支持体とを備え、
前記回転部に設けられた発光部より放射させる光の水平方向における向きを調整して放射可能となされていることを特徴とする道路用発光標示体。
【請求項2】
前記発光部が設けられた回転部が少なくとも2個並設され、
該各回転部を軸支する前記上方支持体と下方支持体との位置ずれを防止する連結部材が、前記各回転部の間に配置されて、前記上方支持体と下方支持体との間に架設されていることを特徴とする請求項1に記載の道路用発光標示体。
【請求項3】
前記回転部の内部には第一の中空部が軸方向に沿って形成され、
前記上方支持体と下方支持体の少なくともいずれか一方に前記第一の中空部に通じる第二の中空部が形成されており、
前記発光部へ電力を供給する電線が前記第一の中空部及び第二の中空部を通じて配線されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の道路用発光標示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−111815(P2011−111815A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269756(P2009−269756)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】