説明

道路画像管理システム

【課題】道路画像情報の更新作業を低コストとして更新頻度を高めることができるようにするものである。更に詳しくは、更新作業にあまり人手を必要とせずに自動的におこなえるようにする
【解決手段】サーバー1に記憶装置2が接続されており、通信回線を介してクライアント3が接続され、必要な情報を適宜呼び出してモニタに表示し、必要に応じてプリントしたり、携帯型の情報端末にデータを出力する。デジタルビデオカメラを車両に防振装置を介して固定して道路を走行させながら、道路の正面及び側面を撮影する。撮影開始に伴ってGPS受信装置で受信した位置情報が画像とともに記憶装置に書き込まれる。車速センサや加速度センサを装備して、GPSから得た位置情報を補正できるようにしてある。土木構造物等の相対位置の変動等を自動的に検知するシステムを追加する場合には、ステレオカメラによって3次元画像として記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路状況の画像検索を簡単におこなうようにしたシステムであって、道路に関する情報と画像及びその位置情報及び撮影日時情報を一体化させた画像管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路は、国や公共団体等の道路管理者が管理しており、道路の維持管理、道路保全を実施している。道路管理事務所が管理する道路の総延長は相当の長さとなり、それらの設計図面、付帯施設、周辺地図、航空写真、維持修繕履歴などの情報を管理し、相互に関連付けてタイムリーに情報を提供することが求められている。
特許文献1(特許第3099103号公報)は、道路状況をビデオ撮影して動画記録した画像を道路に関する情報に関連付けて保存し、災害対応や、専用許可、または、維持管理等の日常業務に際し、任意地点の道路状況を画像出力できるようにしたものである。
【特許文献1】特許第3099103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
道路の現地状況の変化について情報の更新をタイムリーにおこなわなければならないが、延長の長い道路に関する情報を更新するには、人手と費用がかかるため数年に1回程度であり、情報を提供するシステムが完備してあっても取り出せる情報が古いため、必要なときに現状を示す正確な情報が得られないことがあった。特に災害時の迅速な対応には正確な情報が必要である。
【0004】
特に撮影画像の位置を特定するには、撮影時に特定地点の地名を撮影者が発声したものを録音して記録し、撮影画像を記録媒体にデータとして保存する際に再生しながら地点名を聞き取り、人手で位置情報を入力していたので、時間とコストのかかるものとなっていた。
そこで、本発明は、道路画像情報の更新作業を低コストとして更新頻度を高めることができるようにするものである。更に詳しくは、更新作業にあまり人手を必要とせずに自動的におこなえるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
撮影の日時情報及びGPSから取得した位置情報を自動的に書き込みながら撮影した道路延長に沿った画像を日時あるいは位置情報を索引として保存した記憶装置、画像検索手段、検索した画像のうちから要求する画像を表示する表示手段からなる道路画像管理システムであり、撮影地点の位置情報が自動的に記録されているので、データの更新作業を自動化することができる。
また、同一地点の最新の画像と過去の画像を対比することができ、変化を自動的に判定することが可能であるので、災害の予測にも応用することができる。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、画像に位置情報を自動的に埋め込んで記録するので、従来のように人手によって画像情報と位置情報を関連付けて記録する必要がなくなり、人手をかけずに更新作業をおこなうことができ、常に最新の情報をシステムに蓄積することが可能となる。
また、道路に関する情報をタイムリーに更新することが可能であるので、それらの情報を時系列的に蓄積することによって、任意の過去の時点の情報との対比をおこなうことができる。
【0007】
特に、特定の位置の相対位置情報を比較することによって斜面や擁壁の変状や移動を解析し、災害を予測することが可能となり、斜面や構造物が崩落や崩壊する前に補修または補強を実施することができ、総合的な維持補修のコストを削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施例
図面に基づいて本発明を説明する。
図1に示すように、本システムは、サーバー1に記憶装置2が接続されており、サーバー1にはLAN、通信回線、または、インターネットを介してクライアント3が接続され、必要な情報を適宜呼び出してモニタに表示し、補修作業の際などに画像を表示して状況を確認したり、必要に応じてプリントしたり、または、携帯型の情報端末にデータを出力する。
【0009】
記憶装置2に記録された道路画像情報は、道路の路線ごとの基点から終点に至るまでの上り、下りの道路の正面画像及び側面画像であり、道路だけでなく、周辺施設、標識、ランドマーク等を走行しながら撮影したものである。
撮影は、図2に示すように、ワゴン車などの車両にデジタルビデオカメラまたはハイビジョンデジタルビデオカメラを防振装置及びジャイロスタビライザーを装備した固定具にカメラ4を固定し、走行による車両の振動によって撮影画像がぶれるのを防止したものである。
撮影器機材は、ユニット化することが好ましく、ユニットとすることによって車両に簡単に取外しができ、撮影専用の車両を準備しなくても良いようにしてある。また、撮影対象の相対位置を過去の画像と対比し、土木構造物等の相対位置の変動等を自動的に検知するシステムを追加する場合には、ステレオカメラによって3次元画像として記録する。
【0010】
撮影地点の位置情報を取得する装置としてのGPS装置5を設置し、GPSアンテナ51は車両の屋根に設置した。GPSから取得した位置情報の精度を向上させるための補助手段として、車両には車速センサ及び加速度センサ53、時間管理装置52、及びそれらを管理するコンピュータ54が設置してある。
撮影に当たっては、路線名、撮影日時、撮影開始地点を入力してファイルとして記憶媒体に保存する。
【0011】
撮影開始と同時にGPSの位置情報がコンピュータを介して撮影画像とともに記憶装置に書き込まれる。道路画像の撮影は、道路の上下線の両方向についておこない、撮影した画像データは、路線名、上り下りの別、撮影年月日、道路の正面か側面かの撮影方向を索引として入力し、記憶装置に保存される。
【0012】
必要な位置の画像を見る場合は、モニタ画面に表示されたメニューに希望の地点を特定するための索引を入力する。索引は、撮影時に入力した路線名、撮影の間に自動的に記録される位置情報、路線の始点からの距離などに加え、既に整備されている情報、例えば交差点名、施設名称などを編集作業時に追加したものである。
【0013】
特定地点の画像をモニタ上に表示するために、まず、10段階程度に縮尺を変更表示可能な路線を含む地図を表示し、地図上のポイントをクリックすることによってその地点の画像が表示されるようにしてもよい。
道路画像に連携して表示されるものとしては、写真、平面図、航空写真等従来道路管理に使用されていたものを含めて総合的な道路管理に使用できるようにする。
【0014】
道路の沿線画像は、標準再生速度及び1/8〜120倍程度の間で正逆の可変再生が可能である。記録媒体に記録格納されている標識、案内板、照明についてもデータを入力しておくことによって表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のシステムの構成図。
【図2】画像撮影に使用する撮影車両の概念図。
【符号の説明】
【0016】
1 サーバー
2 記憶装置
3 クライアント
4 カメラ
5 GPS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影の日時情報及びGPSから取得した位置情報を自動的に書き込みながら撮影した道路延長に沿った画像を日時あるいは位置情報を索引として、保存した記憶装置、画像検索手段、検索した画像のうちから要求する画像を表示する表示手段からなる道路画像管理システム。
【請求項2】
請求項1において、同一地点の画像を複数表示することができる道路画像管理システム。
【請求項3】
請求項2において、複数の画像は、種類の異なるものである道路画像管理システム。
【請求項4】
請求項2において、複数の画像は、同一種類の画像であって、撮影日時が異なるものである道路管理システム。
【請求項5】
請求項4において、画像がステレオ画像であって、特定地点の特定対象物の相対位置を過去の画像と対比し、相対位置に変動があったときに警告を出す手段を有する道路画像管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−5026(P2008−5026A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170160(P2006−170160)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(599094196)財団法人道路保全技術センター (6)
【Fターム(参考)】