説明

遠心分離機

本発明は、固定部と、固定部に弾性的に連結された非回転部と、回転軸(x)周りに回転し、遠心ロータ(6)および回転支持・受け部材(9)を有する回転部と、を有する遠心分離機に関する。遠心ロータ(6)は、複数の分離ディスク(14)を含むディスクパッケージ(13)を有する。回転部は、回転部と非回転部が固定部に対して一緒にピボット運動できるように非回転部にしっかりと支持されている。駆動装置が回転部を駆動して、回転数範囲内で回転軸(x)周りに回転させる。入口流路(16)が、分離すべき媒体を送ることができるように内側分離空間(8)内に延びている。出口流路(17)が、分離された生成物を排出できるように内側分離空間(8)から外側に延びている。支持・受け部材(9)は管状である。入口流路(16)と出口流路(17)の少なくとも一方は、支持・受け部材を貫通して延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提記載部分による遠心分離機に関する。スウェーデン登録特許第507107号を参照されたい。
【背景技術】
【0002】
スウェーデン登録特許第507107号は、ベースを形成する固定部と、ブラケットを有していて弾性連結部によって該固定部に弾性的に連結された非回転部と、回転軸周りに回転するように構成され、かつ遠心ロータを有する回転部と、を有する遠心分離機を開示している。遠心ロータは、内側分離空間を形成するロータケーシングと、スピンドルの形をした回転支持・受け部材とを有する。遠心ロータは、複数の分離ディスクを含むディスクパッケージを有する。回転部は、回転部と非回転部が弾性連結部によって固定部に対して一緒にピボット運動できるように非回転部にしっかりと支持される。駆動装置が回転部を駆動して、零から最高毎分回転数までの範囲で、かつ少なくとも1つの動作回転数を含む回転範囲内で回転軸周りに回転させる。入口流路(不図示)が、分離すべき媒体を送ることができるように内側分離空間内に延びている。出口流路が、固定部に固定的に取り付けられており、分離された生成物を排出できるように分離空間から外側に延びている。
【0003】
国際公開第2007/125066号パンフレットは、駆動モータのステータが固定部に固定的に連結された他の同様の分離機を開示している。
【0004】
従来、遠心分離機は通常、遠心ロータが横方向にピボット運動または振動するのを可能にする比較的細長いスピンドルを有するように構成されている。すべての遠心分離機は、遠心ロータのこのようなピボット運動または横方向のふれが生じるいくつかの臨界回転数を有する。効率的な分離を実現するには遠心分離機を比較的高い回転数で駆動することが望ましい。これらの望ましい回転数は通常、少なくとも第1の臨界回転数より高い。したがって、分離プロセスを開始した際、第1の臨界回転数を通過する必要がある。第1の臨界回転数を超えた回転範囲内で安定した動作が成し遂げられる。
【0005】
従来の種類の遠心分離機は、遠心ロータおよび遠心ロータ内に設けられたディスクパッケージの高さをどれだけ高くできるかに関しても制限を有する。この制限は、少なくとも1つには遠心ロータの複数の慣性モーメントの関係、すなわち、遠心ロータの極慣性モーメントと遠心ロータの径方向慣性モーメントとの関係によって決まる。複数の慣性モーメントのこの関係が小さすぎる場合、安定した動作を達成するのは困難になる。複数の慣性モーメントの関係によって生じる制限にもかかわらず遠心ロータの高さをより高くできることが望ましい。というのは、そうすればより多くの分離ディスクを設けることができ、かつ分離容量を増大させることができるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の問題を解消することである。特に、比較的高さの高い遠心ロータを有するように製造することができ、かつ安定して動作させることのできる遠心分離機を目的としている。さらに、容易に修正し、かつ様々な高さを有する遠心ロータに適合することができる構成を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、支持・受け部材が管状であり、かつ入口流路と出口流路の少なくとも一方が支持・受け部材を貫通して延びることを特徴とする、冒頭に定義された遠心分離機によって達成される。このような管状の支持・受け部材は、分離空間の一方の端部から手を届かせることができるのと同時に、高い剛性を有することができる。比較的剛性の高い支持・受け部材を、弾性連結部によって遠心ロータおよび支持・受け部材と一緒にピボット運動することができ、かつ比較的大きい協働ピボット運動質量を形成することができる非回転部と組み合わせると、安定した動作、特にロータの動的な安定した動作が可能になり、比較的高さの高い遠心ロータおよび比較的高さの高いディスクパッケージが得られる。
【0008】
本発明の一実施態様によれば、入口流路は、非回転部にしっかりと連結され、非回転部によって構成されている。有利なことに、入口流路は、管状の支持・受け部材を貫通して延びることができる。したがって、入口流路は協働ピボット運動質量の一部を形成している。
【0009】
本発明の他の実施態様によれば、出口流路は、非回転部にしっかりと連結され、非回転部によって構成されている。有利なことに、出口流路は、管状の支持・受け部材を貫通して延びることができる。したがって、出口流路も協働ピボット運動質量の一部を形成している。入口流路と出口流路が支持・受け部材を貫通して延びているため、遠心ロータおよび内側分離空間とのすべての連結部が同じ方向に延びることができる。したがって、ロータケーシングを貫通する開口部は1つだけでよく、すなわち、この構成を様々な高さを有するディスクパッケージに容易に適合することができる。入口流路と出口流路が、特に支持・受け部材に設けられ本来剛性が高いかあるいは剛性がかなり高い非回転部の一部を有するかあるいは形成するため、一方のロータケーシングと他方の入口流路および出口流路との相対的なピボット運動を回避することができる。
【0010】
本発明の他の実施態様によれば、支持・受け部材は剛性が高く、全回転数範囲内で回転軸に平行な一定の直線状延長部を維持するように構成されている。
【0011】
本発明の他の実施態様によれば、ディスクパッケージは外径Dを有し、支持・受け部材は内径dを有し、d/Dは0.2以上である。
【0012】
本発明の他の実施態様によれば、ディスクパッケージは外径Dおよび高さHを有し、H/Dは0.8以上である。
【0013】
本発明の他の実施態様によれば、回転部は、どちらも固定部に対する半径方向のピボット運動ができることから導かれる2つの臨界回転数を有し、動作回転数は2つの臨界回転数より高い。回転数範囲内で2つの臨界回転数のみを実現するには様々な条件がある。これらの条件には、以下の条件、すなわち、主として、回転部が非回転部にしっかりと支持されること、回転部を非回転部に対して軸方向に移動させることができないこと、回転部および非回転部が固定部に対して軸方向に振動することができないこと、回転部および非回転部が固定部に対して回転軸周りに回転する(ねじれ振動)ことができないことのうちの少なくともいくつかを含む。回転部がこの2つの臨界回転数を通過し、動作回転数、すなわち、遠心分離機を効率的な分離が行われるように動作させる所望の回転数に達すると、ロータの動的な安定した動作が実現される。
【0014】
本発明の他の実施態様によれば、非回転部は、回転軸に垂直に、回転部と非回転部の共通の重心を通って延びる横軸に対する慣性モーメントJIを有し、回転部は、横軸に対する径方向慣性モーメントJRと回転軸に対する極慣性モーメントJPとを有し、1.1×JP は JR+JI より小さい。
【0015】
本発明の他の実施態様によれば、非回転部は質量mIを有し、回転部は 質量mRを有し、mI/mRは0.1以上である。
【0016】
本発明の他の実施態様によれば、駆動装置は電気モータを有する。有利なことに、電気モータは、ロータと、非回転部によって構成されるステータとを有してよい。さらに、ロータを回転部によって構成し、かつ回転部上に設けることができる。駆動装置が動力伝達部材も有し、動力伝達部材が、回転部によって構成されかつ回転部上に設けられた駆動輪に係合し、電気モータからの駆動力を駆動輪に伝達するように構成されるようにすることも可能である。
【0017】
本発明の他の実施態様によれば、遠心分離機は、固定部によって構成され、遠心ロータを囲む保護カバーを有する。
【0018】
本発明の他の実施態様によれば、非回転部は保持部材を有し、遠心分離機は、回転部および非回転部によって構成され、かつ支持・受け部材と保持部材との間に設けられるとともに支持・受け部材および保持部材に連結された支持装置を有し、保持部材と支持装置と支持・受け部材は剛性の高いユニットを形成する。有利なことに、ステータを保持部材上に設けかつ保持部材にしっかりと連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による遠心分離機の第1の実施形態の断面図である。
【図2】本発明による遠心分離機の第2の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、様々な実施形態について説明することにより、添付の図面を参照して本発明をより詳しく説明する。
【0021】
図1は、固定部、非回転部、および回転部を有するか、あるいは固定部、非回転部、および回転部から成る遠心分離機を示している。
【0022】
固定部は、地面、たとえば床の上に配置されたベース4を形成する。非回転部は、弾性連結部5によって固定部、すなわちベース4に弾性的に連結されている。弾性連結部5は、弾性および減衰特性を有するいくつかの弾性部材、または任意の形の能動減衰部材を有してよい。該弾性部材は、回転軸xの周りに配置され、開示される複数の実施形態では、環状の構成を有している。回転部は、回転軸x周りに回転するように構成され、遠心ロータ6を有している。弾性連結部5、すなわち該弾性部材または任意の他の能動減衰部材は、回転部および非回転部が固定部に対してピボット運動または振動することができ、回転部および非回転部が、軸方向に振動するかあるいは回転軸x周りに回転するのが妨げられ、すなわちねじれ振動が妨げられるように構成されている。
【0023】
回転部は、回転部と非回転部が弾性連結部5によって固定部に対して一緒にピボット運動できるように非回転部にしっかりと支持されている。
【0024】
遠心ロータ6は、内側分離空間8を形成するロータケーシング7を有している。遠心ロータ6は支持・受け部材9も有している。支持・受け部材9は、遠心分離機のスピンドルを形成するかあるいは該スピンドルに相当する。したがって、支持・受け部材9は、回転軸xに沿って延びるかあるいは回転軸xに平行に延びている。さらに、支持・受け部材9は、管状であり、回転軸xに沿って延びるかあるいは回転軸xに平行に延びる通路を形成している。支持・受け部材9は、ロータケーシング7が連結された上方の外側突出部(すなわち半径方向突出部)9’に連結されている。開示される複数の実施形態では、支持・受け部材9と外側突出部9’は一体に構成されている。さらに、外側突出部9’と遠心ロータ6のロータケーシング7は、互いに固定的に連結された2つの別個の部分として構成されている。
【0025】
非回転部は保持部材10を有している。図1を見ると分かるように、弾性連結部5、すなわち複数の弾性部材は、保持部材10とベース4との間に設けられている。さらに、1つ、2つ、またはいくつかの軸受11、11’を有する支持装置が、回転部と非回転部との間に設けられ、かつ回転部と非回転部によって構成されている。開示される複数の実施形態では、支持装置は、支持・受け部材9と保持部材10との間に設けられかつ支持・受け部材および保持部材10に連結された第1の軸受11と第2の軸受11’を有している。保持部材10と支持装置11、11’と支持・受け部材9は、支持・受け部材9が保持部材10に対して回転することができる剛性の高いユニットを形成している。
【0026】
遠心分離機は、固定部によって構成され、遠心ロータ6を密閉するかあるいは囲む保護カバー12も有している。保護カバー12は、開示される複数の実施形態では、ベース4に取り付けられている。
【0027】
遠心ロータ6は、複数の分離ディスク14と、分散路15と、支持体15’とを有するディスクパッケージ13を有している。分離ディスク14は、開示される複数の実施形態と同様に円錐状であってよく、あるいは実際の用途向けの任意の他の適切な形状を有してよい。ディスクパッケージ13は、支持・受け部材9の突出部9’上に位置している。ディスクパッケージ13とその分離ディスク14は、突出部9’とロータケーシング7との間で圧縮される。
【0028】
ディスクパッケージ13は、回転軸xに対する半径方向における各分離ディスク14の外径に相当する外径Dと、回転軸xに平行にディスクパッケージ13内の最下部の分離ディスク14の外側縁部から最上部の分離ディスク14の外側縁部まで延びる高さHとを有している。ディスクパッケージ13は、その直径に対して比較的大きい高さを有してよく、すなわち、H/Dは0.8以上、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であってよい。したがって、ディスクパッケージ13はまた、従来の遠心分離機と比べて大きい高さを有してよい。支持・受け部材9は、回転軸xに平行に延びる通路の内径dを有している。内径dは、特にディスクパッケージ13の外径Dに対して比較的大きく、すなわち、d/Dは0.2以上である。
【0029】
さらに、遠心分離機は、分離すべき媒体を送ることができるように内側分離空間8内に延びる入口流路16と、分離された生成物を排出できるように内側分離空間8から外側へ延びる少なくとも1つの出口流路17とを有している。分離された様々な生成物を本来公知の方法で排出するためのいくつかの出口流路を有する遠心分離機を提供することが可能である。この遠心分離機は、スラッジを排出するための本来公知の開口部またはノズルを有してもよい。入口流路16および出口流路17は、保持部10に固定的に連結されている。開示される実施形態では、入口流路16および出口流路17は、支持・受け部材9を貫通して、すなわち、上述の通路内を回転軸xに平行に延びる共通の管18内の別個の流路として収納され、かつ保持部材19を介して保持部10に固定的に連結されている。
【0030】
さらに、遠心分離機は回転部を、零から最高毎分回転数、たとえば毎分10000回転、好ましくは毎分12000回転までの回転範囲内で回転軸周りに回転させるように駆動する駆動装置を有している。回転部は、少なくとも該回転範囲内に存在する動作回転数で動作する。第1の実施形態では、駆動装置は、回転部によって構成されかつ回転部上に設けられたロータ21と、非回転部によって構成されたステータ22とを含む電気モータ20を有している。ステータ22は、開示される実施形態では、ロータ21の内側の、保持部材10上に設けられている。ロータ21は、支持・受け部材9と回転対称でありかつ支持・受け部材9に連結されるか、あるいは支持・受け部材9、より厳密には、支持・受け部材9の一部を形成するかあるいは支持・受け部材9に連結された突出部9’と一体に構成された回転支持部材23上に設けられている。
【0031】
入口流路および出口流路17は、回転範囲内で、本来剛性が高いかあるいは剛性がかなり高い。さらに、入口流路16および出口流路17は、入口流路16および出口流路17が非回転部によって構成されるようにしっかりとあるいはかなりしっかりと非回転部に連結されている。しっかりした連結またはかなりしっかりしたこの連結は、開示される実施形態では、共通の管18および保持部材19によって得られる。しっかりした連結またはかなりしっかりしたこの連結は、協働ピボット運動質量の一部を形成する入口流路16および出口流路17に寄与し、すなわち、入口流路16と出口流路17は、固定部に対して回転部および非回転部と一緒にピボット運動することができる。
【0032】
支持・受け部材9は、管状であり、入口流路16および出口流路17を囲むかあるいは密閉しており、したがって、入口流路16および出口流路17は、回転軸xに沿って支持・受け部材9を貫通して延びている。したがって、入口流路16と出口流路17はどちらも非回転部によって構成されている。少なくとも1つのシーリング25、たとえばラバリンスシーリングが、支持・受け部材9と入口流路および出口流路16,17との間に設けられている。開示される複数の実施形態では、シーリング25は、支持・受け部材9と、入口流路および出口流路16、17を囲む管18との間に設けられている。支持・受け部材9が管状であるため、この部材9を、剛性を高くするとともに、全回転範囲内で回転軸xに平行な一定の直線状延長部を維持するように構成することができる。
【0033】
入口流路16は、内側分離空間8および支持・受け部材9の外側に配置された第1の開口部26と、内側分離空間8内に配置された第2の開口部27とを有している。出口流路17は、内側分離空間8内に配置された第1の開口部28と、内側分離空間8および支持・受け部材9の外側に配置された第2の開口部29とを有している。出口流路17の第1の開口部28を、分離された生成物を出口流路17から排出できるようにする本来公知のペアリング部材として構成することができる。
【0034】
回転部は質量mRを有し、非回転部は質量mIを有している。回転部と非回転部は共通の重心31を有している。回転部と非回転部の質量関係mI/mRは0.1以上である。少なくとも1つには、非回転部が回転部と比べて比較的大きい質量を有することと、非回転部が固定部に対して回転部と一緒にピボット運動するように構成されることによって、全回転範囲内で安定した動作が実現される。ロータの動的な安定した動作を実現するには各質量の互いに対する位置と共通の重心も重要であることに留意されたい。このことは、以下に様々な慣性モーメントについて定められる条件に反映される。さらに、回転部は、回転部上に設けられかつ回転軸xと同心状のバランスリング33を有してよい。このようなバランスリング33は、本来公知であり、さらに遠心分離機の安定した動作に寄与する。
【0035】
非回転部は、回転軸xに垂直にかつ回転部と非回転部に共通の重心31を通って延びる横軸tに対する慣性モーメントJIも有している。回転部は、横軸tに対する径方向慣性モーメントJRと、回転軸xに対する極慣性モーメントJPとを有している。径方向慣性モーメントJRと慣性モーメントJIの和は、慣性モーメントJPより大きくする必要があり、より厳密には、1.1*JPがJR+JIより小さいという関係に従う必要がある。
【0036】
回転部は、少なくとも2つの臨界回転数を有している。この2つの臨界回転数は、上述ピボット運動可能性または固定部に対する遠心ロータのふれから導かれる。動作回転数はこの2つの臨界回転数より高い。遠心ロータがこのような動作回転数で動作すると、ロータの動的で安定した動作が実現される。いくつかの臨界回転数があってよいことに留意されたい。しかし、本発明によって定義される構造では、上述のように、回転部が非回転部にしっかりと支持され、非回転部に対して軸方向に移動することができず、ユニットまたは協働ピボット運動質量としての回転部と非回転部は、軸方向に振動することもあるいは回転軸x周りに回転することもできないため、回転部の軸方向移動から導かれる臨界回転数を無くすかあるいはほぼ無くすことができる。
【0037】
図2は、駆動装置が、遠心ロータと同心ではなく、支持・受け部材9に対して横方向に設けられた電気モータ20を有するという点で第1の実施形態と異なる第2の実施形態を示している。この駆動装置は、第2の実施形態では駆動ベルトを有する動力伝達部材40も有している。動力伝達部材は、他の方法で、たとえば歯車箱によって実現することもできる。動力伝達部材40は、回転部によって構成されかつ回転部上、より厳密には支持・受け部材9上に設けられた駆動輪41、および電気モータ20の駆動軸43上に設けられた駆動輪42に係合している。動力伝達部材40は、電気モータ20および駆動輪42からの駆動力を駆動輪41および回転部に伝達するように構成されている。図2を見ると分かるように、電気モータ20は、保持部材10上に設けられ、したがって、非回転部の一部および協働ピボット運動質量の一部を形成している。駆動装置が、それぞれの動力伝達部材40を介して駆動輪41に作用する2つ、3つ、またはいくつかのモータ20を有してよいことに留意されたい。
【0038】
前記2つの実施形態で開示された以外の方法で駆動装置を構成できることに留意されたい。たとえば、駆動力が自在継手を介して伝達される電気モータによって回転部を駆動することができる。このような駆動装置では、電気モータの回転軸は場合によっては回転軸xと同心であってよい。さらに、第1の実施形態におけるロータ21およびステータ22を他の位置へ移動することが可能である。たとえば、これらの部材を軸受11および11’の下方に設けることができる。電気モータに代わるものとして、油圧駆動および/または空気圧駆動を利用することができる。
【0039】
本発明は、開示された複数の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内で修正し変形することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(4)を形成する固定部と、
弾性連結部(5)によって前記固定部に弾性的に連結された非回転部と、
回転軸(x)周りに回転するように構成された回転部であって、内側分離空間(8)を形成するロータケーシング(7)と回転支持・受け部材とを有する遠心ロータ(6)を有し、該遠心ロータ(6)が複数の分離ディスク(14)を含むディスクパッケージ(13)を有しており、前記回転部が、前記回転部と前記非回転部が前記弾性連結部(5)によって前記固定部に対して一緒にピボット運動できるように前記非回転部にしっかりと支持されている、回転部と、
前記回転部を、零から最高毎分回転数までの範囲で、かつ少なくとも1つの動作回転数を含む回転数範囲内で前記回転軸(x)周りに回転させるように駆動する駆動装置と、
分離すべき媒体を送ることができるように前記内側分離空間(8)内に延びる入口流路(16)と、
分離された生成物を排出できるように前記内側分離空間(8)から外側に延びる少なくとも1つの出口流路(17)と、を有する遠心分離機において、
前記支持・受け部材(9)は管状であり、かつ前記入口流路(16)と前記出口流路(17)の少なくとも一方は前記支持・受け部材(9)を貫通して延びていることを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
前記入口流路(16)は、前記非回転部にしっかりと連結され、前記非回転部によって構成されている、請求項1に記載の遠心分離機。
【請求項3】
前記入口流路(16)は、前記管状の支持・受け部材(9)を貫通して延びている、請求項2に記載の遠心分離機。
【請求項4】
前記出口流路(17)は、前記非回転部にしっかりと連結され、前記非回転部によって構成されている、請求項1から3のいずれか一項に遠心分離機。
【請求項5】
前記出口流路(17)は、前記管状の支持・受け部材(9)を貫通して延びている、請求項4に記載の遠心分離機。
【請求項6】
前記支持・受け部材(9)は剛性が高く、全回転数範囲内で前記回転軸(x)に平行な一定の直線状延長部を維持するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に遠心分離機。
【請求項7】
前記ディスクパッケージ(13)は外径Dを有し、前記支持・受け部材(9)は内径dを有し、d/Dは0.2以上である、請求項1から6のいずれか一項に遠心分離機。
【請求項8】
前記ディスクパッケージ(13)は外径Dおよび高さHを有し、H/Dは0.8以上である、請求項1から7のいずれか一項に遠心分離機。
【請求項9】
前記回転部は、どちらも前記固定部に対する半径方向の前記ピボット運動ができることから導かれる2つの臨界回転数を有し、前記動作回転数は前記2つの臨界回転数より高い、請求項1から8のいずれか一項に記載の遠心分離機。
【請求項10】
前記非回転部は、前記回転軸(x)に垂直に、前記回転部と前記非回転部の共通の重心(31)を通って延びる横軸(t)に対する慣性モーメントJIを有し、前記回転部は、前記横軸(t)に対する径方向慣性モーメントJRと前記回転軸(x)に対する極慣性モーメントJPとを有し、1.1×JP はJR+JI より小さい、請求項1から9のいずれか一項に記載の遠心分離機。
【請求項11】
前記非回転部は質量mI を有し、前記回転部は質量mR を有し、mI/mR は 0.1以上である、請求項1から10のいずれか一項に遠心分離機。
【請求項12】
前記駆動装置は電気モータ(20)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の遠心分離機。
【請求項13】
前記電気モータ(20)は、ロータ(21)と、前記非回転部によって構成されるステータ(22)とを有する、請求項12に記載の遠心分離機。
【請求項14】
前記ロータ(21)は、前記回転部によって構成され、かつ前記回転部上に設けられている、請求項13に記載の遠心分離機。
【請求項15】
前記駆動装置は、動力伝達部材(40)を有し、前記動力伝達部材(40)は、前記回転部によって構成されかつ前記回転部上に設けられた駆動輪(41)に係合し、前記電気モータからの駆動力を前記駆動輪(41)に伝達するように構成されている、請求項13に記載の遠心分離機。
【請求項16】
前記遠心分離機は、前記固定部によって構成され、前記遠心ロータ(6)を囲む保護カバー(12)を有する、請求項1から15のいずれか一項に遠心分離機。
【請求項17】
前記非回転部は保持部材(10)を有し、前記遠心分離機は、前記回転部および前記非回転部によって構成され、かつ前記支持・受け部材(9)と前記保持部材(10)との間に設けられているとともに前記支持・受け部材(9)および前記保持部材(10)に連結された支持装置(11、11’)を有し、前記保持部材(10)と前記支持装置(11、11’)と前記支持・受け部材(9)は剛性の高いユニットを形成している、請求項1から16のいずれか一項に記載の遠心分離機。
【請求項18】
前記ステータ(22)は、前記保持部材(10)上に設けられている、請求項13および17に記載の遠心分離機。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−502790(P2012−502790A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527780(P2011−527780)
【出願日】平成21年9月21日(2009.9.21)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051043
【国際公開番号】WO2010/033075
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(500515565)アルファ ラヴァル コーポレイト アクチボラゲット (90)
【Fターム(参考)】