説明

遠隔地監視システムおよび方法

【課題】通信状況に影響されない信頼性の高い遠隔地監視を可能とし、大きな伝送帯域を必要とするコンテンツが利用でき、監視センタ及びネットワークの負荷を抑え、通信がどの箇所で断線しているかを把握し、ルータなどのファイヤーウォールに影響されること無く通信路を確立することが可能な遠隔地監視システムおよび方法を提供する。
【解決手段】IP通信網21とバックアップ通信路5を用いて遠隔装置3のセンサ部12からの異常通知情報を監視し、異常通知の情報の送信時には監視センタ1と監視装置3の間のIP通信網21上にVPN通信路4を確立し、セキュリティの維持も図る。IP通信網21を経由した通信に異常が発生した場合は、VPN通信路4からバックアップ通信路5へ通信路切替部11にて切替え、異常を通知し監視も継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークとバックアップ通信路を介して遠隔地を監視するのに好適な遠隔地監視システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、遠隔地をセンサを用いて監視するにあたっては、PSTNやISDNを通信路として用いるものがほとんどである。これはIP通信網で提供されるサービスのほとんどがベストエフォートで、通信の到達が保証されないため、確実な通信の到達が要求されるサービスには使用することが出来ないためである。なお、IP通信網を用いた遠隔のセンサの監視は、信頼性と緊急性をあまり要求しないユーザー自身による自宅監視などに利用されている。
【0003】
また、バックアップ通信路を利用する従来技術としては、IP通信網に接続された監視装置およびIP通信網以外に接続されたバックアップ装置から、監視センタに対して異常検知情報として警報を送っている。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−285645
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インターネットおよび携帯電話の普及が進み、PSTNやISDNを設置しない一般家庭が増えている。そのような家庭では従来の遠隔でのセンサ監視の適用は困難である。また、PSTNやISDNを用いた従来の遠隔でのセンサ監視は、通信回線が切れた場合に監視を継続することができなかった。また、ルータやONUは電源を必要とすることから、停電時などは監視装置に無停電電源装置などから電源を供給しても、監視を継続することはできなかった。また、IP電話を用いた遠隔でのセンサの監視は、IP電話事業社ごとに網の仕様が異なるため、遠隔でのセンサの監視が可能になるように監視システムの仕様を事業社ごとに検討する必要があった。そして、網に用いられる機器がバージョンアップされるたびに監視システムの仕様を変更しなければ監視を行うことは出来なかった。
【0005】
また、IP通信網を用いた遠隔のセンサ監視は、不特定多数がアクセス可能なIP通信網網を経由して通信を行うため、不正規の端末からアクセスされたり通信内容を盗み見されたりする可能性があった。
【0006】
また、IP網へ接続する場合、通信サービスによってはベストエフォートの品質クラスとなることからバックアップ通信路を確保できた方が、より信頼性を確保できる。
【0007】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、その目的は、通信状況に影響されない信頼性の高い遠隔地監視を可能とし、大きな伝送帯域を必要とするコンテンツが利用でき、監視センタ及びネットワークの負荷を抑え、通信がどの箇所で断線しているかを把握し、ルータなどのファイヤーウォールに影響されること無く通信路を確立することが可能な遠隔地監視システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、遠隔地の状況を監視するために該遠隔地に設置された監視装置と、この監視装置に接続して前記監視を行うための監視センタと、をIP通信網を介して接続した遠隔地監視システムにおいて、前記監視装置は、前記状況を取得するためのセンサ部と、前記センサ部が検知した情報を前記監視センタへ送信するための情報送信部と、前記監視装置と前記監視センタをデータの盗聴や成りすましや改ざんの危険性を低減して前記接続するVPN通信路を前記IP通信網上に確立する確立要求を発するためのVPN通信路確立部と、前記VPN通信路と独立して予め設けられたバックアップ通信路と、前記VPN通信路の通信不能時に予め別に設けられた前記バックアップ通信路へ切替を行うための通信路切替部と、前記バックアップ通信路を介して前記監視センタへ前記情報を送信するための装置側バックアップ通信部と、前記監視装置への電源供給が停止した場合に前記監視装置の機能維持に必要な電源を供給するための無停電電源供給部と、を備え、前記監視センタは、前記VPN通信路確立部からの前記確立要求を受けて前記VPN通信路を確立するためのVPN通信路確立受け部と、前記情報送信部から送信された前記情報を受信するための情報受信部と、前記通信不能時において前記装置側バックアップ通信部との間で前記バックアップ通信路を介した通信を行うためのセンタ側バックアップ通信部と、を備える。
【0009】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1において、前記監視センタは、前記バックアップ通信路を介して前記VPN通信路確立部に前記VPN通信路の確立要求を送信するためのセンタ接続要求部を備える。
【0010】
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1または2において、前記監視装置は、前記バックアップ通信路による前記センタ側バックアップ通信部への接続について正常/異常を監視し、異常の場合に前記VPN通信路確立部へ前記VPN通信路を常時確立する指示を行うためのバックアップ通信路機能監視部を備える。
【0011】
また、請求項4に記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記監視装置は、接続維持確認手段を用いて前記IP通信網経由により前記監視センタと前記監視装置の上位のルータへ応答を要求し、前記監視センタとの通信が可能か否かを常時監視するための断線監視部と、前記応答が無かった場合に前記バックアップ通信路を経由して前記監視センタへ断線通知を行うための断線通知部と、を備え、前記監視センタは、前記監視装置からの前記断線通知を受信するための断線通知受け部と、前記監視装置の上位のルータ配下の電話機に対して発呼を行うための外線通話部と、前記発呼の結果に基づいて前記監視センタと前記監視装置の間の断線箇所がルータの上位であるか下位であるかを確認し特定するための断線箇所確認部と、を備える。
【0012】
また、請求項5に記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記監視装置は、SIPクライアント機能を有して前記監視センタ内の電話機と内線通信を行うための装置側内線通話部を備え、前記監視センタは、前記監視装置及び前記監視センタの前記電話機の制御を行うSIPサーバ機能を有し前記装置側内線通話部と前記内線通話を行うためのセンタ側内線通話部を備える。
【0013】
また、請求項6に記載の本発明は、該遠隔地の状況を監視するために監視装置を遠隔地に設置し、監視センタを前記監視装置にIP通信網を介して接続して前記監視を行う遠隔地監視方法であって、前記監視装置において、センサ部において前記状況を取得するステップと、情報送信部において前記センサ部が検知した情報を前記監視センタへ送信するステップと、VPN通信路確立部において前記監視装置と前記監視センタを前記接続するVPN通信路を前記IP通信網上に確立する確立要求を発するステップと、バックアップ通信路を前記VPN通信路と独立して予め設けるステップと、通信路切替部において前記VPN通信路の通信不能時に予め別に設けられた前記バックアップ通信路へ切替を行うステップと、装置側バックアップ通信部において前記バックアップ通信路を介して前記監視センタへ前記情報を送信するステップと、無停電電源供給部において前記監視装置への電源供給が停止した場合に前記監視装置の機能維持に必要な電源を供給するステップと、を実行するステップと、前記監視センタにおいて、VPN通信路確立受け部において前記VPN通信路確立部からの前記確立要求を受けて前記VPN通信路を確立するステップと、情報受信部において前記情報送信部から送信された前記情報を受信するステップと、センタ側バックアップ通信部において前記通信不能時における前記装置側バックアップ通信部との間で前記バックアップ通信路を介した通信を行うステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信状況に影響されない信頼性の高い遠隔地監視を可能とし、大きな伝送帯域を必要とするコンテンツが利用でき、監視センタ及びネットワークの負荷を抑え、通信がどの箇所で断線しているかを把握し、ルータなどのファイヤーウォールに影響されること無く通信路を確立することが可能な遠隔地監視システムおよび方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の実施の形態の遠隔地監視システムの構成図を示している。
【0016】
この図1には、遠隔地監視システムを構成するために、監視センタ1と、監視対象となる監視先2と、監視センタ1と監視先2とを通信可能に結ぶIP通信網21と、バックアップ通信網22と、が示されている。
【0017】
また、監視センタ1は、IP通信網21に接続したVPN(Virtual Private Network)通信路確立受け部9および外線通話部23と、バックアップ通信網22に接続したセンタ側バックアップ通信部7と、センタ接続要求部24と、断線通知受け部25と、情報受信部26と、内線SIP(Session Initiation Protocol)サーバ部27と、センタ側内線通話部28と、断線箇所確認部29と、を備えている。
【0018】
また、監視センタ1から遠隔地に設定された監視先2は、バックアップ通信網22とIP通信網21に接続の監視装置3と、IP通信網21と監視装置3との間に相互接続のために配置されたONU(Optical Network Unit)20およびルータ19と、ルータ19に備わる外線通話部30と、を備えている。監視先1の監視装置3はIP通信網21を介したVPN通信路4を確立することが可能であり、さらにバックアップ通信網22を介したバックアップ通信路5を確立することも可能である。
【0019】
また、監視装置3は、バックアップ通信網22に接続する装置側バックアップ通信部6と、IP通信網21に接続するVPN通信路確立部8と、断線監視部18と、装置側内線通話部17と、通信路切替部11と、情報送信部10と、センサ部12と、無停電電源供給部13と、バックアップ通信路監視機能部14と、センタ接続要求受け部15と、断線通知部16と、を備えている。
【0020】
次の図2は、図1に示した構成の遠隔地監視システムの実施の形態について、その動作を説明するための説明図を示している。
【0021】
まず、遠隔地監視システムを用いた通常監視について説明する。
【0022】
監視装置3はセンサ部12から得た情報を監視する。センサ部12は、衝撃や火災、熱、漏水、音、赤外線、窓やドアの開閉、部屋への侵入者等による熱線のゆらぎなどを検知して電気信号へ変換して出力するセンサ31を備えている。また、監視対象を画像で捉えるためのカメラ32も備えている。これらのセンサ31やカメラ32からの信号を情報としてセンサ部12から監視装置3へ出力している。
【0023】
監視装置3はIP通信網21に対してルータ19とONU20を介して接続している。IP通信網21には監視センタ1も接続しており、監視センタ1を構成する監視センタ装置36へ接続している。なお、監視センタ装置36はVPN通信路確立受け部9および外線通話部23と、センタ側バックアップ通信部7と、センタ接続要求部24と、断線通知受け部25と、情報受信部26と、内線SIPサーバ部27と、センタ側内線通話部28と、断線箇所確認部29と、からなる構成を指す。
【0024】
センサ部12においてセンサ31やカメラ32ににより何らかの異常が検知されると、その異常検知の情報は監視装置3へ伝達される。監視装置3はこの情報を受けて監視センタ1との間でVPN通信路4を確立させる。この確立には監視センタ1と監視装置3のそれぞれが取得した電子証明書34をもって相互に電子認証によって通信相手が正規の監視装置3又は監視センタ1であることを認証し、IP通信網21上に暗号化された専用回線(VPN通信路4)が確立される。
【0025】
なお、ここで実行される認証については異常通知情報を利用してもよい。この場合は、IP通信網21を経由して監視装置3から監視センタ1に対してVPN通信路4を用いて専用の通信路を確立するにあたり、監視装置3から監視センタ1に対してバックアップ通信路5を用いて送信されてくる異常を通知する情報に付随した監視装置3の正規性を用いて認証を行う。
【0026】
また、他の方法としては認証についてIDとPASSを利用してもよい。この場合は、IP通信網21を経由して監視装置3から監視センタ1に対してVPN通信路4を用いて専用の通信路を確立するにあたり、監視装置3に予め記憶されたIDとPASSを用いて認証を行う。
【0027】
認証が完了すると、次に、このVPN通信路4を介して異常を検知した信号が監視センタ1へ通知される。なお、VPN通信路4は異常が検知されたときのみに確立され、必要な情報の伝達後は再びVPN通信路4は閉じられ、異常の無い通常時にはIP通信網21のトラフィックを占有しない。
【0028】
また、何らかの理由でVPN通信路4の確立に失敗した場合は、IP通信網21とは独立した別のバックアップ通信網22を確立してセンサ部12で検知した異常を情報として監視センタ1へ通知する。
【0029】
この監視における異常を情報として監視センタ1へ通知する処理を図3に示すフロー図を参照して、詳細に説明する。この図3にいて、処理がスタートすると監視装置3にてセンサ部12が異常を検知する(S1)。この検知により情報送信部10はこの異常を通知するための情報を通信切替部11へ送る。通信切替部11はVPN通信路確立部8と装置側バックアップ通信部6の両方に接続しており、そのいずれか一方へ通信路を切替える働きをする。
【0030】
ここで、VPN通信路4にて通信可能か否かが判断される(S2)。この判断はVPN通信路確立部8がIP通信網21上にVPN通信路4を確立できたか否かをもってなされ、確立したことをもってYesと判断する。VPN通信路4が確立されると、このVPN通信路4により監視センタ1へ異常通知が行われ、終了する(S5)。なお、異常通知はVPN通信路4を介して監視センタ1のVPN通信路確立受け部9に入力し、ここを介して情報受信部26へ伝達される。
【0031】
また、ステップS2においてVPN通信路4による通信が不可と判断されると(No)、装置側バックアップ通信部6が監視センタ1のセンタ側バックアップ通信部7との間でバックアップ通信網22を利用したバックアップ通信路5を確立する。そして通信路切替部11を介して情報がバックアップ通信路5を介し、センタ側バックアップ通信部7で受信され、情報受信部26へ伝達され終了する(S4)。
【0032】
次の図4には、バックアップ通信路5が使用不可な場合の動作のフロー図を示す。
【0033】
まず、監視装置3が起動する(S10)。この起動においてバックアップ通信網22へ接続可能か否かが確認される(S11)。この確認において、接続可能(Yes)と判断されると再びバックアップ通信網22へ接続が可能であるか否かを常時に確認し続ける。ここで実行される確認は、バックアップ通信路機能監視部14により実行される。
【0034】
ステップS11において、バックアップ通信網22に接続が不可能(No)と判断されると、監視装置3よりVPN通信路4を確立する(S12)。なお、この確立はVPN通信路4が常時接続となるように常時にバックアップ通信網22の確立が維持される。
【0035】
このようにして、バックアップ通信路5が遠隔地監視システムに適用できない場合は、IP通信網21を経由した監視センタ1と監視装置3の間のVPN通信路4を予め常時確立しておき、たとえばセンサ部12が異常を検知した場合や監視装置3の内線電話機33(図2参照)から発呼された場合に監視センタ1へ通知を行うことができる。
【0036】
次の図5には、監視センタ1から監視装置3へVPN通信路4の確立を指示する場合のフロー図を示している。
【0037】
まず、センタ装置1のセンタ接続要求部24からセンタ側バックアップ通信部7を介してバックアップ通信路5を経由し、装置側バックアップ通信部6で受信した後に、センタ接続要求受け部15へVPN通信路4での通信要求が伝達される(S20)。監視装置3のセンタ接続要求受け部15はVPN通信路確立部8によりVPN通信路4が確立されている常態か否かを確認する(S21)。ここで、確立がされていることが確認される(Yes)と、処理は終了する。
【0038】
また、VPN通信路4が確立されていないことが確認されると(No)、センタ接続要求受け部15からセンタ接続要求部24へバックアップ通信路5を介して未確立であることが通知される。センタ接続要求部24はバックアップ通信網22に確立されているバックアップ通信路5を介して監視装置3へIP接続要求を通知する(S22)。この通知をセンタ接続要求受け部15が受け、VPN通信路確立部8にVPN通信路4の確立を指示して確立が実行され完了する(S23)。
【0039】
このように、監視装置3に対して監視センタ1側から接続を行う際、バックアップ通信網22を利用することで、必要なときにのみVPN通信路4を確立することができる。これにより監視センタ1側の設備負担を減らすことができる。また、バックアップ通信路5の確立が不可能な場合は、監視装置3側よりVPN通信路4が確立される。
【0040】
また、監視センタ1から監視装置3への遠隔制御を実現することもでき、IP通信網21を経由して監視センタ1から監視装置3を遠隔で制御し、より的確なセンサ情報を入手して監視を行ってもよい。
【0041】
次の図6には、断線監視のための処理のフロー図を示している。
【0042】
まず、監視装置3の断線監視部18がルータ19に対し接続維持確認手段として例えばICMP(Internet Control Message Protocol)を用いたPing(Packet Internet Groper)を実行する。このPingに対してルータ19からの応答があるか否かが確認される(S30)。ここで応答が有れば(Yes)、次に監視センタ1へPingを実行し応答があるか否かが確認される(S31)。ここで応答が監視センタ1からあった場合(Yes)は、再びステップS30へ制御が戻る。
【0043】
また、ステップS30においてPingの応答がルータ19から無かった場合(No)は、監視センタ1に対してバックアップ通信網22上にバックアップ通信路5を確立して、このバックアップ通信路5を介してIP通信網21への接続異常を通知する(S32)。この通知は監視装置3が備える断線通知部16が装置側バックアップ通信部6へ指示を出してバックアップ通信路5を確立させ、このバックアップ通信路5を介してセンタ側バックアップ通信部7へ伝達し、断線通知受け部25へ通知する。
【0044】
次に、監視センタ1に備わる断線箇所確認部29は断線通知受け部25が断線通知を受けたことに基づき、監視センタ1の外線通話部23に対して監視装置3のルータ19の配下の外線通話部30へ接続する(S33)。この接続により、戻ってきた接続応答情報などにより断線状態を判断する。
【0045】
なお、図1に示した構成において、監視センタ1と監視装置3との間で内線通話を行うこともできる。この内線通話では一般の通信事業者が提供する通信網を用いずに実行できる。監視先3には装置側内線通話部17が備わり、監視センタ1にはセンタ側内線通話部28が備わる。これら2者間をVPN通信路確立受け部9とVPN通信路確立部8およびIP通信網21を介してVPN通信路4を確立して接続し、相互の通話や通信を可能としている。
【0046】
この内線通話機能を実現するひとつの構成としては、監視装置3においてSIPによるクライアント機能をたとえば装置側内線通話部17に持たせ、監視センタ1では、内線電話機(IP電話機)33(図2参照)と監視センタ1側の内線電話機の制御を行うSIPサーバ機能をセンタ側内線通話部28に持たせる。
【0047】
このような構成により、たとえば監視装置3内の内線電話機33は、受信器が上がると予め登録された通話先へ自動的に発呼する。
【0048】
また、監視センタ1は内線番号と監視装置3のプロパティを対応させた情報を予め作成しておき、監視装置3からの着呼と同時に対処方法を導出するアプリケーションを備えてもよい。
【0049】
さらに、監視装置3内の内線電話機33の通話先を監視センタ1以外の緊急機関等に設定することにより、受話器を上げると自動的に緊急機関への通報を行うアプリケーションを備えることもできる。
【0050】
また、内線電話機33による通話が話中などにより行えない場合は、予め登録されている予備の内線通話先との間で内線通話を実行してもよい。
【0051】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、IP通信網を経由した通信の断線を監視しバックアップ通信路との併用するため、PSTNやISDNよりも信頼性が低いIP通信網を経由しIP通信網に異常が発生しても、遠隔地監視が継続でき信頼性が高い遠隔地監視が可能である。
【0052】
また、センサ情報をPSTNやISDNよりも伝送帯域が大きいIP通信網を経由して送信するため、高品質な監視映像など大きな伝送帯域を必要とするコンテンツを利用することができる。
【0053】
また、センサで異常を検知した場合や監視装置から内線通話を行う場合にのみ、監視装置から監視センタへVPNを用いて暗号化した専用の通信路を確立するため、監視センタ及びネットワークの負荷を抑えることができる。
【0054】
また、監視装置から監視センタまでの間を何個かの区間に分けてICMPを用いて断線を監視し、監視センタからルータ配下の電話に発呼することで、IP通信網を経由した通信がどの箇所で断線しているかが把握することができる。
【0055】
また、監視センタと監視装置の間でVPNを用いて暗号化した専用の通信路を確立するため、IP通信網接続事業社のサービス仕様に左右されること無く監視することができ、利用できるIP通信網接続事業社が限定されることが無い。
【0056】
また、監視センタ内に内線SIPサーバを設置しIP通信網接続事業社のサービス仕様や制約に左右されることが無いため、柔軟にSIP環境を構築することができる。
【0057】
また、ルータ配下の監視装置から監視センタに対してVPNを用いて暗号化した専用の通信路を確立するため、ファイヤーウォールなどのルータの仕様に影響されること無く通信路を確立することができる。
【0058】
そして、通信状況に影響されない信頼性の高い遠隔地監視を可能とし、大きな伝送帯域を必要とするコンテンツが利用でき、監視センタ及びネットワークの負荷を抑え、通信がどの箇所で断線しているかを把握し、ルータなどのファイヤーウォールに影響されること無く通信路を確立することが可能な遠隔地監視システムおよび方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態の構成図を示す。
【図2】本発明の実施の形態の動作を説明するための説明図を示す。
【図3】本発明の実施の形態の異常通知処理のフロー図を示す。
【図4】本発明の実施の形態のバックアップ通信網接続可否確認処理のフロー図を示す。
【図5】本発明の実施の形態のセンタ接続処理のフロー図を示す。
【図6】本発明の実施の形態の接続監視処理のフロー図を示す。
【符号の説明】
【0060】
1…監視センタ
2…監視先
3…監視装置
4…VPN通信路
5…バックアップ通信路
6…装置側バックアップ通信部
7…先端側バックアップ通信部
8…VPN通信路確立部
9…VPN通信路確立受け部
10…情報送信部
11…通信路切替部
12…センサ部
13…無停電電源供給部
14…バックアップ通信路機能監視部
15…センタ接続要求受け部
16…断線通知部
17…装置側内線通話部
18…断線監視部
19…ルータ(ファイヤウォール)
20…ONU
21…IP通信網
22…バックアップ通信網
23…外線通話部
24…センタ接続要求部
25…断線通知受け部
26…情報受信部
27…内線SIPサーバ部
28…センタ側内線通話部
29…断線箇所確認部
30…外線通話部
31…センサ
32…カメラ
33、35…内線電話機
34…電子証明書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔地の状況を監視するために該遠隔地に設置された監視装置と、この監視装置に接続して前記監視を行うための監視センタと、をIP通信網を介して接続した遠隔地監視システムにおいて、
前記監視装置は、
前記状況を取得するためのセンサ部と、
前記センサ部が検知した情報を前記監視センタへ送信するための情報送信部と、
前記監視装置と前記監視センタをデータの盗聴や成りすましや改ざんの危険性を低減して前記接続するVPN通信路を前記IP通信網上に確立する確立要求を発するためのVPN通信路確立部と、
前記VPN通信路と独立して予め設けられたバックアップ通信路と、
前記VPN通信路の通信不能時に予め別に設けられた前記バックアップ通信路へ切替を行うための通信路切替部と、
前記バックアップ通信路を介して前記監視センタへ前記情報を送信するための装置側バックアップ通信部と、
前記監視装置への電源供給が停止した場合に前記監視装置の機能維持に必要な電源を供給するための無停電電源供給部と、
を備え、
前記監視センタは、
前記VPN通信路確立部からの前記確立要求を受けて前記VPN通信路を確立するためのVPN通信路確立受け部と、
前記情報送信部から送信された前記情報を受信するための情報受信部と、
前記通信不能時において前記装置側バックアップ通信部との間で前記バックアップ通信路を介した通信を行うためのセンタ側バックアップ通信部と、
を備えることを特徴とする遠隔地監視システム。
【請求項2】
前記監視センタは、
前記バックアップ通信路を介して前記VPN通信路確立部に前記VPN通信路の確立要求を送信するためのセンタ接続要求部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の遠隔地監視システム。
【請求項3】
前記監視装置は、
前記バックアップ通信路による前記センタ側バックアップ通信部への接続について正常/異常を監視し、異常の場合に前記VPN通信路確立部へ前記VPN通信路を常時確立する指示を行うためのバックアップ通信路機能監視部
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔地監視システム。
【請求項4】
前記監視装置は、
接続維持確認手段を用いて前記IP通信網経由により前記監視センタと前記監視装置の上位のルータへ応答を要求し、前記監視センタとの通信が可能か否かを常時監視するための断線監視部と、
前記応答が無かった場合に前記バックアップ通信路を経由して前記監視センタへ断線通知を行うための断線通知部と、
を備え、
前記監視センタは、
前記監視装置からの前記断線通知を受信するための断線通知受け部と、
前記監視装置の上位のルータ配下の電話機に対して発呼を行うための外線通話部と、
前記発呼の結果に基づいて前記監視センタと前記監視装置の間の断線箇所がルータの上位であるか下位であるかを確認し特定するための断線箇所確認部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の遠隔地監視システム。
【請求項5】
前記監視装置は、
SIPクライアント機能を有して前記監視センタ内の電話機と内線通信を行うための装置側内線通話部を備え、
前記監視センタは、
前記監視装置及び前記監視センタの前記電話機の制御を行うSIPサーバ機能を有し前記装置側内線通話部と前記内線通話を行うためのセンタ側内線通話部
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遠隔地監視システム。
【請求項6】
該遠隔地の状況を監視するために監視装置を遠隔地に設置し、監視センタを前記監視装置にIP通信網を介して接続して前記監視を行う遠隔地監視方法であって、
前記監視装置において、
センサ部において前記状況を取得するステップと、
情報送信部において前記センサ部が検知した情報を前記監視センタへ送信するステップと、
VPN通信路確立部において前記監視装置と前記監視センタを前記接続するVPN通信路を前記IP通信網上に確立する確立要求を発するステップと、
バックアップ通信路を前記VPN通信路と独立して予め設けるステップと、
通信路切替部において前記VPN通信路の通信不能時に予め別に設けられた前記バックアップ通信路へ切替を行うステップと、
装置側バックアップ通信部において前記バックアップ通信路を介して前記監視センタへ前記情報を送信するステップと、
無停電電源供給部において前記監視装置への電源供給が停止した場合に前記監視装置の機能維持に必要な電源を供給するステップと、
を実行するステップと、
前記監視センタにおいて、
VPN通信路確立受け部において前記VPN通信路確立部からの前記確立要求を受けて前記VPN通信路を確立するステップと、
情報受信部において前記情報送信部から送信された前記情報を受信するステップと、
センタ側バックアップ通信部において前記通信不能時における前記装置側バックアップ通信部との間で前記バックアップ通信路を介した通信を行うステップと、
を実行することを特徴とする遠隔地監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−88670(P2009−88670A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252236(P2007−252236)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】