説明

遠隔操作システム及び方法

【課題】入室管理システム等のセキュリティを必要とするシステムを、外部から簡易な手続きで迅速に遠隔操作可能な遠隔操作システムを提供する。
【解決手段】ユーザの携帯電話番号を記憶する電話番号データベースと、携帯電話機から送信されるテキストメッセージを受信する手段と、テキストメッセージの送信元の携帯電話番号が電話番号データベースに含まれる場合に、入室管理システム等を遠隔操作するための所定のアクションを実行する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信網を介したテキストメッセージを送信することにより、遠隔地にあるシステムを操作(制御、情報取得、情報配信)する方法に関するものであり、より詳細には、ユーザが所持する携帯電話機からショートメッセージ等のテキストメッセージを送信することにより、セキュリティを要するシステムを遠隔から操作するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セキュリティの求められるシステムを操作するためには、該システムが存在するマシン室に行って直接システムを操作するか、あるいは、インターネット等のネットワークを介して該システムにアクセスし、該システムにログインして処理を実行することが行われている。
【0003】
例えば、管理エリアへのユーザの入室を管理するいわゆる入室管理システムの分野では、特許文献1に記載のように、インターネット接続機能を有する携帯電話機、又は携帯可能な入室リモートアクセス用の端末を用い、公衆電話網や携帯電話網等の広域ネットワークを通してアクセス管理サーバに接続し、当該アクセス管理サーバにおいて認証情報を入力し、認証成功の場合に、錠を管理するアクセス管理装置に解錠命令を出すシステムが利用されている。
【0004】
また、入室管理システムの中には、管理エリアへの入室を許可されたユーザにICカード等を配布し、ユーザがカードを当該エリアの入口扉付近に設けられたカードリーダにかざす等して認証情報を読み込ませ、認証に成功した場合に入口扉の電子錠を開錠するものもあるが、このようなシステムにおいて、各カードを所定時間のみ有効化したり、又は、紛失したカードを無効化したりする場合には、やはり、該システムが存在するマシン室へ行くか、作業者がインターネット等のネットワークを介して入室システムにアクセスし、ログインした上で処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−129792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、そのような遠隔操作の方法には、いくつかの問題がある。
まず、遠隔操作されるシステムをインターネット等のネットワークに接続する必要があり、セキュリティが低下する懸念がある。更に、遠隔操作時のセキュリティを確保するために、ユーザ認証や、バーチャル・プライベート・ネットワーク等の仕組みを設ける必要があり、そのためのコストや労力がかかるという問題がある。また、更に、実際の作業時にも、ユーザ認証によるログイン等の複雑な手続きが必要となり、操作に時間がかかる。更に、ユーザ認証のパスワードを失念することによりログインできない場合もある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、入室管理システム等のセキュリティを必要とするシステムを、外部から簡易な手続きで迅速に遠隔操作(制御、情報取得、情報配信)することを可能とするシステム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の1つの実施の形態に係る遠隔操作システムは、携帯電話機から移動体通信網を介して送信されるテキストメッセージの内容に応じてシステムを操作する遠隔操作システムであって、ユーザの所持する携帯電話機の電話番号を記憶する電話番号データベースと、携帯電話機から送信されるテキストメッセージを受信する手段と、テキストメッセージの送信元アドレスに含まれる携帯電話機の電話番号を取り出す手段と、電話番号データベースにおいて、取り出した電話番号を検索する手段と、取り出した電話番号が電話番号データベースに含まれる場合に、システムに対し所定のアクションを実行する手段と、を備える。
【0009】
また、このような遠隔操作システムは、ユーザから送信されるコマンドと、それに対応するアクションとを記憶するコマンドデータベースを更に備え、取り出した電話番号が電話番号データベースに含まれる場合に、受信したテキストメッセージの本文に含まれるコマンドを取り出す手段と、コマンドデータベースにおいて取り出したコマンドを検索する手段と、コマンドデータベースにおいて取り出したコマンドと対応して記憶されているアクションを実行する手段と、を備えてもよい。
【0010】
また、このような遠隔操作システムにおいて、電話番号データベースが、更に、ユーザの所持する携帯電話機の電話番号と対応付けられた、個々の携帯電話機を保有するユーザの識別情報を有し、電話番号データベースにおいて、取り出した電話番号を検索する手段が、電話番号と対応付けられて記録されたユーザ識別情報を読み出す手段を更に備えてもよい。
【0011】
また、このような遠隔操作システムにおいて、遠隔操作されるシステムは、管理エリアへの入室を管理する入室管理システムであってもよい。
また、このような遠隔操作システムにおいて、実行されるアクションは、読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのパスワードを発行するステップと、パスワードを二次元バーコードに変換するステップと、二次元バーコードを該ユーザの携帯電話機に送信するステップと、を含み、入室管理システムが、管理エリアの入り口付近に設置されるバーコード読取装置を含み、ユーザの携帯電話機の表示部に表示された二次元バーコードを、バーコード読取装置に読み取らせることによりユーザ認証を行うものであってもよい。
【0012】
また、このような遠隔操作システムにおいて、入室管理システムが、管理エリアへの入室を管理される各ユーザに配布されるカードを、管理エリアの入り口に設置されるカードリーダに読み取らせることによりユーザの認証を行うシステムであり、遠隔操作システムが実行するアクションが、読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのカードを無効化する指令を入室管理システムに送信するステップを含んでもよい。
【0013】
また、このような遠隔操作システムにおいて、入室管理システムが、管理エリアへの入室を管理される各ユーザに配布されるカードを、管理エリアの入り口に設置されるカードリーダに読み取らせることによりユーザの認証を行うシステムであり、遠隔操作システムが実行するアクションが、読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのカードを有効化する指令を入室管理システムに送信するステップと、所定時間の経過後に、該ユーザのカードを無効化する指令を入室管理システムに送信するステップと、を含んでもよい。
【0014】
また、本願のもう一つの実施の形態に係る遠隔操作方法は、携帯電話機から移動体通信網を介して送信されるテキストメッセージの内容に応じてシステムを操作する遠隔操作方法であって、ユーザの所持する携帯電話機の電話番号を記憶する電話番号データベースを設けるステップと、携帯電話機から送信されるテキストメッセージを受信するステップと、テキストメッセージの送信元アドレスに含まれる携帯電話機の電話番号を取り出すステップと、電話番号データベースにおいて、取り出した電話番号を検索するステップと、取り出した電話番号が電話番号データベースに含まれる場合に、システムに対し所定のアクションを実行するステップと、を含む。
【0015】
また、このような遠隔操作方法は、ユーザから送信されるコマンドと、それに対応するアクションとを記憶するコマンドデータベースを設けるステップを更に備え、取り出した電話番号が電話番号データベースに含まれる場合に、受信したテキストメッセージの本文に含まれるコマンドを取り出すステップと、コマンドデータベースにおいて取り出したコマンドを検索するステップと、コマンドデータベースにおいて取り出したコマンドと対応して記憶されているアクションを実行するステップと、を含んでもよい。
【0016】
また、このような遠隔操作方法において、電話番号データベースが、更に、ユーザの所持する携帯電話機の電話番号と対応付けられた、個々の携帯電話機を保有するユーザの識別情報を有し、電話番号データベースにおいて、取り出した電話番号を検索するステップが、電話番号と対応付けられて記録されたユーザ識別情報を読み出すステップを含んでもよい。
【0017】
また、このような遠隔操作方法において、遠隔操作されるシステムは、管理エリアへの入室を管理する入室管理システムであってもよい。
また、このような遠隔操作方法において、アクションを実行するステップが、読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのパスワードを発行するステップと、パスワードを二次元バーコードに変換するステップと、二次元バーコードを該ユーザの携帯電話機に送信するステップと、を含み、入室管理システムが、管理エリアの入り口付近に設置されるバーコード読取装置を含み、ユーザの携帯電話機の表示部に表示された二次元バーコードを、バーコード読取装置に読み取らせることによりユーザ認証を行うものであってもよい。
【0018】
また、このような遠隔操作方法において、入室管理システムが、管理エリアへの入室を管理される各ユーザに配布されるカードを、管理エリアの入り口に設置されるカードリーダに読み取らせることによりユーザの認証を行うシステムであり、アクションを実行するステップが、読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのカードを無効化する指令を入室管理システムに送信するステップを含んでもよい。
【0019】
また、このような遠隔操作方法において、入室管理システムが、管理エリアへの入室を管理される各ユーザに配布されるカードを、管理エリアの入り口に設置されるカードリーダに読み取らせることによりユーザの認証を行うシステムであり、アクションを実行するステップが、読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのカードを有効化する指令を入室管理システムに送信するステップと、所定時間の経過後に、該ユーザのカードを無効化する指令を入室管理システムに送信するステップと、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、インターネット網を介さず、また遠隔操作のための新たな機器を用意することなく、ユーザが所持している携帯電話機を活用して、入室管理システム等のセキュリティを必要とするシステムを、外部から簡易な手続きで安全かつ迅速に遠隔操作(制御、情報取得、情報配信)することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作システムの構成を概略的に示す。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作サーバ及び入室管理サーバを構成するコンピュータの物理的構成を示す。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作サーバの機能的な構成を示す。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作サーバと移動体通信網との接続形態の例を示す。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作サーバに格納されるユーザDBに含まれるデータの一例を示す。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作サーバに格納されるコマンドDBに含まれるデータの一例を示す。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る入室管理サーバの機能的な構成を示す。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係る入室管理サーバに格納されるユーザDBに含まれるデータの一例を示す。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る遠隔操作システムの動作フローを示す。
【図10】図10は、本発明のもう一つの実施の形態に係る遠隔操作システムの構成を概略的に示す。
【図11】図11は、本発明のもう一つの実施の形態に係る遠隔操作サーバの機能的な構成を示す。
【図12】図12は、本発明のもう一つの実施の形態に係る入室管理サーバの機能的な構成を示す。
【図13】図13は、本発明のもう一つの実施の形態に係る入室管理サーバに格納されるパスワードDBに含まれるデータの一例を示す。
【図14】図14は、本発明のもう一つの実施の形態に係る遠隔操作システムの動作フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願発明の幾つかの例としての実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で、様々な変形が考えられる。また、図面において、同じ要素には同一の符号を付すものとする。
第一の実施の形態
図1は、本発明の第一の実施の形態に係る遠隔操作システムの構成を概略的に示す。図1において、遠隔操作システム10は、携帯電話機11−1〜11−N(Nは任意の自然数)に無線接続する基地局12と、遠隔操作サーバ14とを移動体通信網13を介して相互に接続し、更に、該遠隔操作サーバ14と、管理エリアへの入室を管理する入室管理サーバ16とをネットワーク15を介して接続することにより構成されている。なお、入室管理サーバ16は、各管理エリアの入り口扉の電子錠18−1〜18−M(Mは任意の自然数)及び入り口扉付近に設置されたカードリーダ20−1〜20−Mに接続された施錠管理ユニット19と、ネットワーク17を介して相互に接続されている。
【0023】
図1において、携帯電話機11−1〜11−Nは、入室管理サーバ16おいて入室を管理されるユーザが所持する電話機であり、それぞれ、通信部、記憶部、操作部、表示部、音声出力部、音声入力部、制御部等を含む。携帯電話機11−1〜11−Nは、これらの各部の協働により、移動体通信網13を介して、電話を発信及び着信したり、メッセージを送受信したり、送受信するメッセージを表示したり、インターネットに接続したりすることが可能である。例えば、本発明の実施の形態では、携帯電話機11−1〜11−Nは、SMS(ショートメッセージ・サービス)等のサービスを利用して、移動体通信網を介して携帯電話機の電話番号宛てに送受信されるテキストメッセージを送受信することができる。なお、携帯電話機11−1〜11−Nは、PDC、GSM、CDMA等の方式による携帯電話機の他に、PHS電話機を含んでもよく、上記のテキストメッセージには、PHS電話機間でやり取りされるテキストメッセージを含んでもよい。
【0024】
基地局12は、携帯電話サービス会社の有する基地局であり、移動体通信網13に接続され、移動体通信網13から受信したデータを、無線ネットワークを介して携帯電話機11−1〜11−Nに送信し、携帯電話機11−1〜11−Nから無線ネットワークを介して受信したデータを移動体通信網13に送信する。
【0025】
移動体通信網13は、携帯電話の基地局間を接続する、第三者から閲覧されることのない閉域ネットワークであり、携帯電話機11−1〜11−N相互間、及び携帯電話機11−1〜11−Nと遠隔操作サーバ14と間の通話及び通信を中継する。
【0026】
ネットワーク15及び17は、公衆電話網、閉域IP通信網、インターネット網、ケーブル網、専用回線網、WAN又はLANなどを含む任意のネットワークである。
遠隔操作サーバ14は、携帯電話機11−1〜11−Nからの移動体通信網13を介し電話番号宛てに送受信されるテキストメッセージを受け取り、メッセージの内容に応じて、入室管理サーバ16に指令を送信することができる一台又は複数のサーバである。
【0027】
入室管理サーバ16は、管理エリアへのユーザの入室を管理する入室管理システムにおいて、施錠管理ユニット19を制御して、ユーザの認証、及びその結果に応じた電子錠18−1〜18−Mの開閉を行う、一台又は複数のサーバである。入室管理サーバ16は、管理エリアへの出入りを許可されたユーザの情報、管理エリアに設けられた施錠管理ユニット19の情報等を保持している。
【0028】
施錠管理ユニット19は、管理エリアの入り口扉の電子錠18−1〜18−Mと、入り口扉付近に設けられたカードリーダ20−1〜20−Mと、それぞれ接続可能に設けられる。施錠管理ユニット19は、ネットワーク17経由で入室管理サーバ16から送信される制御信号と、カードリーダ20−1〜20−Mから送信される認証情報とに基づいてユーザ認証を行い、認証結果に応じて電子錠18−1〜18−Mを解錠するユニットである。なお、図1において、遠隔操作システム10は一つの施錠管理ユニット19を有するよう描かれているが、本発明に係る遠隔操作システムは、上記の機能を有する複数の施錠管理ユニットを備えてもよい。
【0029】
カードリーダ20−1〜20−Mは、管理エリアの入り口扉付近に設けられ、管理エリアへの入室を求めるユーザが提示するカードに含まれる認証情報を読み取り、施錠管理ユニット19と情報を送受信する装置である。
【0030】
遠隔操作サーバ14及び入室管理サーバ16は、それぞれ、一台のコンピュータで構成されても、互いに接続された複数台のコンピュータで構成されてもよい。また、図1では、遠隔操作サーバ14と、入室管理サーバ16とが、それぞれ独立したサーバとして、ネットワーク15を介して互いに接続されているが、遠隔操作サーバ14と、入室管理サーバ16との両方の機能を、一台のサーバで実現するよう構成してもよい。
【0031】
図2は、本発明の第一の実施の形態に係る遠隔操作サーバ14及び入室管理サーバ16を構成するコンピュータの物理的構成を示すものである。遠隔操作サーバ14及び入室管理サーバ16を構成するコンピュータは、それぞれ、CPU200、205と、記憶装置210、215と、入力装置220、225と、表示装置230、235と、通信装置240、245とを備える。記憶装置210、215には、サーバに内蔵された記憶装置を用いてもよいが、その他の外部の記憶装置を利用してもよい。遠隔操作サーバ14及び入室管理サーバ16は、また、後述する処理を実行させるソフトウェアを汎用コンピュータ上で動作させるものでもよく、専用のハードウェアであってもよい。また、通信装置240は、有線LANや無線LANのインターフェースを有する一枚又はそれ以上の、組み込み型の又は外付けのネットワーク通信カードにより実現される。本発明のこの実施の形態においては、特に、通信装置240として、後述のような携帯電話機能を有する通信カードを使用してもよい。
【0032】
図3は、本発明の第一の実施の形態に係る遠隔操作サーバ14の機能的な構成を示す図である。遠隔操作サーバ14は、ユーザが所持する携帯電話機11−1〜11−Nからの移動体通信網を介し電話番号宛てに送受信されるテキストメッセージを受信し、それらのテキストメッセージに応じて所定のアクションを実行するサーバであり、情報の送受信を行う送受信部310と、遠隔操作サーバ14における通信及び処理を制御する制御部320と、ユーザDB330(本明細書においては、データベースを「DB」と表記する)と、コマンドDB340と、を備える。
【0033】
送受信部310は、一枚又は複数枚のネットワーク・カード等を備え、移動体通信網13及びネットワーク15を介して、携帯電話機11−1〜11−N及び入室管理サーバ16との通信を行う。特に、本発明の実施の形態における遠隔操作サーバ14は、携帯電話機11−1〜11−Nとの間で移動体通信網13を介し電話番号宛てに送受信されるテキストメッセージを送受信する機能を備える。当該機能は、例えば、送受信部310の備えるネットワーク・カードのうち少なくとも一枚が固有の電話番号を備え、移動体通信網13を介して携帯電話機11−1〜11−Nとの間でテキストメッセージを送受信することにより実現されてもよく、または、図4に示すように、遠隔操作サーバ14に携帯電話機41−1〜41−L(Lは任意の自然数)を接続し、遠隔操作サーバ14が携帯電話機41−1〜41−Lを介して、テキストメッセージを送受信することにより実現されてもよい。この実施の形態において、携帯電話機41−1〜41−Lは、USB接続等の有線接続、無線LAN、あるいはBluetooth等を介して遠隔操作サーバ41に接続される。ユーザの携帯電話機11−1〜11−Nは、遠隔操作サーバ14にテキストメッセージを送信する際、携帯電話機41−1〜41−Lの電話番号を宛先アドレスに指定したテキストメッセージを送信し、携帯電話機41−1〜41−Lが、受信した該テキストメッセージを、遠隔操作サーバ14に転送する。また、遠隔操作サーバ14が携帯電話機11−1〜11−Nにテキストメッセージを送信する場合、遠隔操作サーバ14が携帯電話機11−1〜11−N宛てに作成したテキストメッセージを、まず、携帯電話機41−1〜41−Lに転送し、携帯電話機41−1〜41−Lから、移動体通信網13を介して、携帯電話機11−1〜11−Nに送信する。
【0034】
図3に戻って、ユーザDB330は、一台又はそれ以上のサーバから構成される遠隔操作サーバ14の記憶装置210に蓄積され、入室管理サーバ16の遠隔操作を行うユーザの情報を含むデータベースである。コマンドDB340は、一台又はそれ以上のサーバから構成される遠隔操作サーバ14の記憶装置210に蓄積され、入室管理サーバ16を操作するための予め登録されたコマンドの情報を含むデータベースである。
【0035】
図5は、ユーザDB330に含まれるデータの一例を示す。ユーザDB330は、ユーザID510と、各ユーザの電話番号511と、を含む。ユーザID510は、遠隔操作システム10を利用するユーザを識別するためのIDであり、電話番号511は、各ユーザの有する携帯電話機11−1〜11−Nの電話番号であって、ユーザごとに一意の番号である。
【0036】
図6は、コマンドDB340に含まれるデータの一例を示す。コマンドDB340は、コマンドID610と、各コマンドIDに対応して遠隔操作サーバ14が実行するアクション611と、を含む。コマンドID610は、ユーザが携帯電話機11−1〜11−Nからテキストメッセージの本文として送信する予め登録された、命令内容に対する一意のIDであり、アクション611は、それぞれのコマンドID610を受信した場合に、遠隔操作サーバ14が実行する、予め登録されたアクションである。
【0037】
この実施の形態において、例えば、ユーザの所持する携帯電話機11−1〜11−Nからのテキストメッセージを送信することにより、入室管理サーバ16において、該ユーザのカードを無効化したい場合、予め、遠隔操作サーバ14のコマンドDB340に、ユーザのカードを無効化するコマンドID「001」と、該コマンドIDが送信された場合に実行されるべき「入室管理サーバ16に、該メッセージを送信したユーザのカードを無効化する指令を発信する」というアクションと、を登録しておくことができる。また、ユーザの所持する携帯電話機11−1〜11−Nからのテキストメッセージを送信することにより、入室管理サーバ16において、該ユーザのカードを所定の期間に渡り有効にしたい場合、予め、遠隔操作サーバ14のコマンドDB340に、ユーザのカードを所定の期間に渡り有効にするコマンドID「002」と、該コマンドが送信された場合に実行されるべき「入室管理サーバ16に対し、該メッセージを送信したユーザを有効にする指令を発信し、所定期間の経過後に、入室管理サーバ16に対し該ユーザを無効化するよう指令を送信する」というアクションと、を予め登録しておくことが可能である。
【0038】
なお、この実施の形態では、ユーザが送信するテキストメッセージの本文に直接、遠隔操作サーバ14にて実行可能なコマンドを記載するのではなく、コマンドDB340を用意して、ユーザが送信するコマンドIDと、遠隔操作サーバ14が実行するべきアクションとを対応づけることにより、ユーザが、携帯電話機で入力しやすい、例えば「001」「002」等のコマンドIDを用いて遠隔操作サーバ14を操作できるようにしている。しかし、本発明の他の実施の形態では、ユーザが送信するメッセージの本文に直接遠隔操作サーバ14に実行させるコマンドを記載してもよい点に注意すべきである。また、上記のコマンドIDを含むテキストメッセージをユーザの携帯電話機あるいはスマートフォン上に予め格納されたプログラム等で自動作成することにより、ユーザによる操作を更に容易にすることも可能である。
【0039】
図7は、本発明の第一の実施の形態に係る入室管理サーバ16の機能的な構成を示す図である。入室管理サーバ16は、管理エリアへの許可されたユーザのみの入室を可能とするよう、入室管理システムにおいて、施錠管理ユニット19及びカードリーダ20−1〜20−Mを制御して、ユーザの認証、及びその結果に応じた電子錠18−1〜18−Mの開閉を行う一台又は複数のサーバであり、遠隔操作サーバ14からの指示信号を受信して、その内容に応じた処理を実行することができる。入室管理サーバ16は、情報の送受信を行う送受信部710と、入室管理サーバ16における通信及び処理を制御する制御部720と、ユーザDB730と、を備える。
【0040】
送受信部710は、一枚又は複数枚のネットワーク・カード等を備え、ネットワーク15及び17を介して遠隔操作サーバ14及び施錠管理ユニット19との通信を行う。
ユーザDB730は、一台又はそれ以上のサーバから構成される入室管理サーバ16の記憶装置215に蓄積され、管理エリアへの入室を管理されるユーザの情報を含むデータベースである。
【0041】
図8は、ユーザDB730に含まれるデータの一例を示す。ユーザDB730は、ユーザID810と、各ユーザのカード有効性811と、の情報を含む。ユーザID810は、管理エリアへの入室を管理されるユーザを識別するための一意のIDであり、カード有効性811は、対応するユーザIDを有するユーザが所持するカードが現在有効であるか否かを示す情報である。
【0042】
図9は、本発明の第一の実施の形態に係る遠隔操作システム10の動作を示すフロー図である。最初に、携帯電話機11−1〜11−Nを所持するユーザは、入室管理サーバ16を遠隔から操作することを希望する際に、携帯電話機11−1〜11−Nから、移動体通信網13を介して、遠隔操作サーバ14と関連付けられた所定の電話番号を宛先とするテキストメッセージを送信する(ステップS910)。このメッセージは、本文としてユーザが携帯電話機11−1〜11−Nを利用して作成した所定のコマンドIDを含み、送信元アドレスとして、当該テキストメッセージを送信した携帯電話機11−1〜11−Nの電話番号を含み、宛先アドレスとして、上記の遠隔操作サーバ14と関連付けられた所定の電話番号、例えば、遠隔操作サーバ14のネットワーク・カードに付された電話番号、又は、図4の実施の形態において遠隔操作サーバ14に接続された携帯電話機41−1〜41−Lの電話番号等を含む。なお、このステップS910の前に、ユーザの携帯電話機11−1〜11−Nが備えるパスコードロック機能を利用して、携帯電話機の操作者に対し、予め設定されたパスコードの入力を要求し、操作者が正しいパスワードを入力した場合にのみ、携帯電話機を操作してテキストメッセージを送信できるようにしてもよい。これにより、携帯電話機11−1〜11−Nを保有するユーザ以外の第三者が遠隔操作サーバ14に不正にアクセスすることを防止でき、セキュリティが更に高められる。
【0043】
引き続き図9を参照し、ステップS910において携帯電話機11−1〜11−Nから送信されたテキストメッセージは、基地局12及び移動体通信網13を介して、遠隔操作サーバ14の通信装置240に受信され、遠隔操作サーバ14のCPU200に伝達される(ステップS920)。すると、遠隔操作サーバ14のCPU200は、記憶装置210に格納されたユーザDB330において、受信したテキストメッセージの送信元アドレスに含まれる電話番号を検索し、当該電話番号511に対応するユーザID510を確認する(ステップS930)。
【0044】
遠隔操作サーバ14のCPU200は、受信したテキストメッセージの送信元アドレスである電話番号が、入室管理サーバ16の操作を許可されたユーザのユーザID510と対応する電話番号511としてユーザDB330に登録されている場合、当該電話番号からテキストメッセージを送信したユーザは入室管理サーバ16を遠隔操作可能であると判断する。遠隔操作サーバ14は、続いて、受信したテキストメッセージの本文の記載内容を読み取り、コマンドDB340において、当該記載内容と一致するコマンドID610を検索する(ステップS940)。受信したテキストメッセージの本文が、予めコマンドDB340に登録されているコマンドID610のいずれかと一致する場合、遠隔操作サーバ14は、コマンドDB340に登録されている、当該コマンドID610と対応するアクション611を実行する(ステップS950)。
【0045】
例えば、ステップS910において携帯電話機11−1〜11−Nから送信されたテキストメッセージの本文に含まれるコマンドIDが、ユーザのカードを無効にする「001」である場合、遠隔操作サーバ14のCPU200は、ステップS940において、該コマンドID「001」がコマンドDB340に含まれることを確認し、ステップS950において、コマンドDB340に予め登録された通り、入室管理サーバ16に対し、該ユーザを無効化する指令を送信する。この指令には、例えば「LOCK ユーザID」というように、ステップS930において特定された該ユーザのユーザIDが含まれる。
【0046】
また、同様に、例えば、ステップS910において携帯電話機11−1〜11−Nから送信されたテキストメッセージの本文に、ユーザのカードを所定期間に渡り有効にするコマンドID「002」が含まれる場合、遠隔操作サーバ14のCPU200は、ステップS950において、入室管理サーバ16に対し、該ユーザを有効にする指令を送信し、その後、所定の時間が経過した後に、今度は、入室管理サーバ16に対し該ユーザを無効にする指令を送信する。この指令には、上記と同様に、例えば「OPEN ユーザID」、「LOCK ユーザID」というように、ステップS930において特定された該ユーザのユーザIDが含まれる。ユーザのカードを有効化する所定の期間は、予め遠隔操作サーバ14に登録しておいてもよく、又は、コマンドIDと合わせて、携帯電話機11−1〜11−Nから送信されるテキストメッセージの中で指定されてもよい。
【0047】
遠隔操作サーバ14からの指令は、入室管理サーバ16の通信装置245に受信され、入室管理サーバ16のCPU205に伝達される(ステップS960)。次いで、入室管理サーバ16のCPU205は、記憶装置215に格納されたユーザDB730において、受信した指令に含まれるユーザID810に対応する、カード有効性811の情報を更新する(ステップS970)。即ち、ユーザDB730において、受信した指令に含まれるユーザID810を検索し、該ユーザID810に対応するカード有効性811を、指令に応じて、有効又は無効を表す値に更新する。次いで、入室管理サーバ16のCPU205は、即時に、又は、所定のタイミングで、更新されたユーザDB730の内容を、施錠管理ユニット19に配信して(ステップS980)、処理は終了する(ステップS990)。
【0048】
ここで、遠隔操作システム10が複数の電子錠18−1〜18−Mを含む場合、各ユーザのカードが解錠できる電子錠を指定することも可能である。これは、例えば、各ユーザのカードが解錠可能な電子錠18−1〜18−Mの情報を、ユーザDB730又は他のデータベースの形で入室管理サーバ16の記憶装置215に格納しておき、当該情報を施錠管理ユニット19に配信することにより実現可能である。この場合、上記のステップS950において遠隔操作サーバ14から入室管理サーバ16に対し、ユーザのカードを有効にする指令が出されると、該ユーザのカードで解錠可能であるとして予め登録された全ての電子錠18−1〜18−Mが、解錠可能になる。または、ユーザが送信するメッセージの中で、各ユーザのカードを有効にする命令と合わせて、該カードで解錠可能な電子錠18−1〜18−Mを指定することも可能である。その場合、ユーザのメッセージから電子錠18−1〜18−Mの指定を読み出した遠隔操作サーバ14が、上記のステップS950において入室管理サーバ16に送信する指令の中で、例えば「OPEN ユーザID 電子錠ID」というように、ユーザのカードをどの電子錠18−1〜18−Mに対して有効にするか指定するようにしてもよい。
【0049】
なお、ステップS930において、遠隔操作サーバ14のCPU200がユーザDB330を検索した際に、受信したテキストメッセージの送信元アドレスに含まれる電話番号を見つけることができなかった場合、遠隔操作サーバ14のCPU200は、当該電話番号からテキストメッセージを送信したユーザは、入室管理サーバ16を遠隔操作することができないと判断し、処理を終了する(ステップS990)。また、遠隔操作サーバ14のCPU200が、ステップS940においてコマンドDB340を検索した際に、受信したテキストメッセージの本文に含まれる内容を見つけることができなかった場合、遠隔操作サーバ14のCPU200は、あらかじめ登録されている所定のアクションを実行し(ステップS995)、処理は終了する(ステップS990)。この所定のアクションとしては、例えば、該ユーザを有効にする処理や、ユーザの携帯電話機にエラーメッセージを送信する処理等を行わせることができる。
【0050】
本発明の第一の実施の形態において、遠隔操作システム10を利用するユーザが、管理エリアに入室する際には、所持するカードを管理エリアの入り口扉付近に設けられたカードリーダ20−1〜20−Mにかざす等して、カードに含まれる認証情報を読み込ませる。カードリーダ20−1〜20−Mは、読み取った認証情報であって、少なくともユーザIDを含む情報を施錠管理ユニット19に転送する。施錠管理ユニット19では、入室管理サーバ16から配信されたユーザDB730の情報に基づいて、当該ユーザIDを有するユーザのカードが有効であるか否かが調べられ、有効である場合に、電子錠18−1〜18−Mが解錠される。カードが無効である場合には、カードリーダ20−1〜20−Mに認証エラーを示す信号が送信され、電子錠18−1〜18−Mは解錠されない。
【0051】
このような実施の形態の遠隔操作システムでは、ユーザの認証に、携帯電話機の電話番号という人為的に改ざんすることのできない情報を用いるため、パスワード等を利用する場合と異なり、セキュリティの高い認証を提供することができる。更に、ユーザが携帯電話機を利用して送信するテキストメッセージは、移動体通信網という閉鎖されたネットワークを介して遠隔操作サーバに伝達されるため、インターネット等のオープンなネットワークを介した通信と比べ、盗聴や改ざん等がなされる可能性が低く、安全性が高い。そのため、インターネット等のオープンなネットワークを利用する場合のように、多大なコストや労力をかけてユーザ認証や通信の暗号化等の設備を用意する必要がなくなり、迅速且つ簡単な手順で、外部からセキュリティを要するシステムを遠隔操作することが可能である。
【0052】
これにより、入室管理システムにおいては、カードの紛失・盗難等の場合に、システム管理者はもちろん、カードを保有するユーザ自身が、自らの携帯電話機からテキストメッセージを送信することにより、迅速にカードを無効化することが可能である。また、逆に、ユーザが自らの携帯電話機からテキストメッセージを送信することにより、特定のカードの使用を所定時間に渡り有効にすることも可能である。この場合、所定時間の経過後はカードが無効になり、カードの盗難・紛失等の場合に、カードを取得した第三者が管理エリアに入室することを防ぐことができる。カードを有効にする期間は、5分、1時間、4時間、8時間等と自由に設定可能であり、銀行等の高いセキュリティを必要とする場所では短めの時間に設定することができ、頻繁に入退室したり、利便性を要したりする場所では長めの時間に設定することができる。例えば、カードを有効にする期間を8時間に設定すると、ユーザが朝にカードを有効にする操作を行ってから、夕方の退勤時までカードが有効な状態に保たれ、夜間にはカードが無効な状態になって、紛失等の場合の第三者の侵入を防ぐことができる。
第二の実施の形態
本発明の第二の実施の形態として、管理エリアへの入室を許可されたユーザに予めICカード等を配布せず、ユーザが携帯電話機から遠隔操作サーバにテキストメッセージを送信した際に、遠隔操作サーバから当該携帯電話機に二次元バーコードを送り返し、携帯電話機の画面に表示したこの二次元バーコードを管理エリアの入り口に設置されたバーコード読取装置に読み取らせることにより、ユーザの認証を行うこともできる。
【0053】
図10は、本発明のこの実施の形態に係る遠隔操作システムの構成を概略的に示す。図10は、図1に示された遠隔操作システムにおいて、管理エリアの扉付近に設置されるカードリーダ20−1〜20−Mの代わりに、バーコード読取装置21−1〜21−Mを含む。バーコード読取装置21−1〜21−Mは、それぞれ、施錠管理ユニット19に接続されている。
【0054】
第二の実施の形態に係る遠隔操作サーバ14及び入室管理サーバ16は、図2に示されたのと同様のコンピュータによって構成される。
図11は、本発明の第二の実施の形態における遠隔操作サーバ14の機能的な構成を示す。本発明の第二の実施の形態に係る遠隔操作サーバ14は、図3に示される第一の実施の形態に係る遠隔操作サーバ14に加えて、更に、バーコード生成部1110を含む。バーコード生成部1110は、管理エリアへの入室を許可されたユーザに発行されるユーザIDとパスワードを少なくとも含み、携帯電話機11−1〜11−Nの表示部に表示可能な二次元バーコードを生成することができる。
【0055】
また、本発明の第二の実施の形態において、遠隔操作サーバ14の記憶装置210に含まれるコマンドDB340には、ユーザからのパスワード発行要求を示すコマンドIDと、それに対応するアクションと、が登録されている。例えば、コマンドDB340に、ユーザのパスワードを発行させるコマンドID「003」と、それに対応する「入室管理サーバ16に、該コマンドを送信したユーザのパスワード発行を要求する指令を送信する」というアクションと、を予め登録しておくことができる。
【0056】
図12は、本発明の第二の実施の形態に係る入室管理サーバ16の機能的な構成を示す。本発明の第二の実施の形態に係る入室管理サーバ16は、図7に示される第一の実施の形態に係る入室管理サーバ16において、ユーザDB730の代わりに、パスワードDB1210を含む。パスワードDB1210は、入室管理サーバ16の記憶装置215に格納され、各ユーザに発行されるパスワードと、該パスワードの有効期間情報と、を有するデータベースである。
【0057】
図13は、本実施の形態に係るパスワードDB1210に含まれるデータの例を示す。パスワードDB1210は、ユーザID1310と、パスワード1311と、パスワード有効期限1312と、を含む。ユーザID1310は、管理エリアへの入室を管理されるユーザを識別するための一意のIDである。パスワード1311は、パスワード要求を送信してきたユーザに対し、入室管理サーバ16が発行するパスワードであり、パスワード有効期限1312は、対応するパスワードの有効期限を示す。この有効期限は、入室管理サーバ16に予め設定しておいてもよく、または、コマンドIDと合わせて、携帯電話機11−1〜11−Nから送信されるテキストメッセージの本文で指定されてもよい。
【0058】
図14は、本発明の第二の実施の形態に係る遠隔操作システム10の動作を示すフロー図である。携帯電話機11−1〜11−Nを所持するユーザは、入室管理サーバ14を遠隔から操作してパスワードの発行を要求する際に、携帯電話機11−1〜11−Nから、移動体通信網13を介して、遠隔操作サーバ14と関連付けられた所定の電話番号を宛先アドレスとするテキストメッセージを送信する(ステップS1410)。このテキストメッセージは、本文として、ユーザが携帯電話機11−1〜11−Nを利用して作成した入室管理サーバ16へのパスワード発行要求を示すコマンドIDを含み、また、送信元アドレスとして、当該テキストメッセージを送信した携帯電話機11−1〜11−Nの電話番号を含み、宛先アドレスとして、上記の遠隔操作サーバ14と関連付けられた所定の電話番号、例えば、遠隔操作サーバ14のネットワーク・カードに付された電話番号、又は、図4の実施の形態において遠隔操作サーバ14に接続された携帯電話機41−1〜41−Lの電話番号等を含む。該テキストメッセージは、基地局12及び移動体通信網13を介して、遠隔操作サーバ14の通信装置240に受信され、遠隔操作サーバ14のCPU200に伝達される(ステップS1420)。すると、遠隔操作サーバ14のCPU200は、記憶装置210に格納されたユーザDB330において、受信したテキストメッセージの送信元アドレスに含まれる電話番号を検索し、当該電話番号511に対応するユーザID510を確認する(ステップS1430)。
【0059】
遠隔操作サーバ14のCPU200は、受信したテキストメッセージの送信元アドレスに含まれる電話番号が、入室管理サーバ16の操作を許可されたユーザのユーザID510と対応する電話番号511としてユーザDB330に登録されている場合、当該電話番号からテキストメッセージを送信したユーザは入室管理サーバ16を遠隔操作入可能であると判断する。遠隔操作サーバ14は、続いて、受信したテキストメッセージの本文の記載内容を読み取り、コマンドDB340において、当該記載内容と一致するコマンドID610を検索する(ステップS1440)。
【0060】
ここで、ステップS1410において携帯電話機11−1〜11−Nから送信されたテキストメッセージの本文に、パスワード発行を要求するコマンドIDである、例えば「003」が含まれる場合(ステップ1445)、遠隔操作サーバ14のCPU200は、コマンドDB340に予め登録された通り、入室管理サーバ16に対し、該メッセージを送信したユーザのパスワード発行を要求する指令を送信する(ステップS1450)。この指令には、例えば「CREATEPASS ユーザID」というように、ステップS1430において特定された該ユーザのユーザIDが含まれる。
【0061】
遠隔操作サーバ14からの指令は、入室管理サーバ16の通信装置245に受信され、入室管理サーバ16のCPU205に伝達される(ステップS1455)。次いで、入室管理サーバ16のCPU205は、受信した指令に応じて、該ユーザのパスワードを発行し、該パスワードと、そのパスワード有効期限とを、パスワードDB1210に登録する。即ち、パスワードDB1210において、受信した指令に含まれるユーザID1310を検索し、該ユーザID1310に対応するパスワード1311及びパスワード有効期限1312に、発行したパスワード及びその有効期限の情報を登録する。その後、入室管理サーバ16のCPU205は、即時に、又は、所定のタイミングで、更新されたパスワードDB1210の内容を、施錠管理ユニット19に配信し(ステップS1465)、また、発行したパスワード及び対応するユーザIDを、遠隔操作サーバ14に送信する(ステップS1470)。なお、図14のフロー図においては、入室管理サーバ16がパスワードDB1210を更新した後に、まず、該パスワードDB1210の更新を施錠管理ユニット19に配信し、その後、パスワードを遠隔操作サーバ14に送信するよう描かれているが、この2つの処理の順序は、逆になってもよい。
【0062】
遠隔操作サーバ14のCPU200は、入室管理サーバ16が発行したパスワードを受信すると、バーコード生成部1110を制御して、受信したユーザIDとパスワードとを少なくとも含み、携帯電話機11−1〜11−Nの表示部に表示可能な二次元バーコードを生成する(ステップS1475)。生成されたバーコードは、次いで、遠隔操作サーバ14から携帯電話機11−1〜11−Nに向けて送信され(ステップS1480)、処理が終了する(ステップS1490)。
【0063】
なお、ステップS1430において、遠隔操作サーバ14のCPU200がユーザDB330を検索した際に、受信したテキストメッセージの送信元アドレスに含まれる電話番号を見つけることができなかった場合、遠隔操作サーバ14のCPU200は、当該電話番号からテキストメッセージを送信したユーザは、入室管理サーバ16を遠隔操作することができないと判断し、処理を終了する(ステップS1490)。
【0064】
また、遠隔操作サーバ14のCPU200が、ステップS1440においてコマンドDB340を検索した際に、受信したテキストメッセージの本文の内容と一致するコマンドIDを見つけることができなかった場合、遠隔操作サーバ14のCPU200は、当該テキストメッセージは予め登録されたコマンドIDを含んでいないと判断し、あらかじめ登録されている所定のアクションを実行し(ステップS1405)、処理は終了する(ステップS1490)。この所定のアクションとしては、例えば、ユーザの携帯電話機にエラーメッセージを送信する処理等を行わせることができる。
【0065】
また、遠隔操作サーバ14のCPU200が、ステップS1440においてコマンドDB340を検索した際に、受信したテキストメッセージの本文の内容と一致するコマンドIDを見つけることができたものの、ステップS1445において、該コマンドIDがパスワード要求を示すコマンドIDではないと判断した場合、遠隔操作サーバ14は、コマンドDB340において、該コマンドID610と対応して記録されたアクション611に従って、入室管理サーバ16に所定の指令を送信する(ステップS1401)。その後の処理であるステップS1402〜1404は、図9に示されたステップS960〜S980と同様である。パスワード発行要求以外の、例えば、ユーザのパスワードを無効化する要求等を、このフローに従って処理することが可能である。
【0066】
本発明の第二の実施の形態において、遠隔操作システム10を利用するユーザが、管理エリアに入室する際には、携帯電話機11−1〜11−Nの表示部に、ステップS1480において遠隔操作サーバ14から受信した二次元バーコードを表示し、管理エリアの入り口扉付近に設けられたバーコード読取装置21−1〜21−Mにかざす等して読み取らせる。バーコード読取装置21−1〜21−Mは、読み取った二次元バーコード画像を施錠管理ユニット19に転送する。施錠管理ユニット19では、該バーコード画像に含まれるユーザIDとパスワードとが解読され、入室管理サーバ16から受信したパスワードDB1210の情報に基づいて、ユーザIDとパスワードの組み合わせが正しいか否か、パスワードが有効期限内であるか否かが調べられ、パスワードが正確、且つ有効期限内である場合に、電子錠18−1〜18−Mが解錠される。パスワードが間違っているか、又は有効期限外である場合には、認証エラーを示す信号が送信され、電子錠18−1〜18−Mは解錠されない。
【0067】
本発明の第二の実施の形態においては、第一の実施の形態について述べた発明の効果に加えて、更に、ICカード等の発行作業が不要になり、ユーザが常に携帯している携帯電話機のみによって、管理エリアへの入室の際の認証を行うことが可能となり、管理作業の効率及びユーザの利便性が向上する。また、パスワードを含むバーコードの有効期限を、5分、1時間、4時間、8時間等と自由に設定することが可能であり、所定期間の経過後にバーコードを無効にすることにより、携帯電話機の盗難・紛失等の場合に、携帯電話機を取得した第三者が管理エリアに入室することを防ぐことができる。
【0068】
また、本発明の第一及び第二の実施の形態に係る遠隔操作システムは、入室管理サーバを遠隔操作する以外に、様々な機能を実現することが可能である。例えば、遠隔操作サーバの記憶装置に、ユーザの携帯電話機の電話番号と対応づけられた様々な情報を登録したデータベースを設けておき、ユーザの携帯電話機から移動体通信網を介したテキストメッセージにより情報要求を送信した際に、当該携帯電話機に対して、移動体通信網を介し当該携帯電話機の電話番号を宛先アドレスとするテキストメッセージにより、当該携帯電話機の電話番号と対応づけて登録されている情報を送信することができる。このようなシステムによれば、ユーザは、携帯電話機を利用して、遠隔地から安全に必要な情報を取得することができる。
【0069】
更に、ユーザからのテキストメッセージに含まれる要求に応じて、テキストメッセージを送信したユーザの携帯電話機だけではなく、予め登録された複数の携帯電話機に対し、移動体電話網を介し、それら複数の携帯電話機の電話番号を宛先アドレスとするテキストメッセージにより、締め日の連絡、災害時の連絡等の事前に定められた情報を、一斉に配信することも可能である。この方法によれば、簡易な操作により、移動体通信網を介し電話番号宛てに送受信されるテキストメッセージを利用して、安全かつ迅速に情報を配信することが可能である。一般に、ショートメッセージ等の、移動体通信網を介し、送受信アドレスに携帯電話番号を利用するテキストメッセージは、同一の通信方式の携帯電話機間でのみ送受信可能だが、本発明の実施の形態に係る遠隔操作システムを利用すれば、異なる通信方式を利用する複数の携帯電話機に対して、一斉に情報を配信することができる。
【0070】
更に、本発明の実施の形態に係る遠隔操作システムを利用して、ユーザが携帯電話機から送信した、移動体通信網を介したテキストメッセージに含まれる要求に応じて、ビデオデッキ等の家電機器や、ドアの施錠システム等の家庭内の機器等を遠隔制御することも可能である。
【符号の説明】
【0071】
11 携帯電話機
12 基地局
13 移動体通信網
14 遠隔操作サーバ
15 ネットワーク
16 入室管理サーバ
17 ネットワーク
18 施錠管理ユニット
19 電子錠
20 カードリーダ
21 バーコード読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機から移動体通信網を介して送信されるテキストメッセージの内容に応じてシステムを操作する遠隔操作システムであって、
ユーザの所持する携帯電話機の電話番号を記憶する電話番号データベースと、
携帯電話機から送信されるテキストメッセージを受信する手段と、
前記テキストメッセージの送信元アドレスに含まれる前記携帯電話機の電話番号を取り出す手段と、
前記電話番号データベースにおいて、前記取り出した電話番号を検索する手段と、
前記取り出した電話番号が前記電話番号データベースに含まれる場合に、前記システムに対し所定のアクションを実行する手段と、
を備える遠隔操作システム。
【請求項2】
ユーザから送信されるコマンドと、それに対応するアクションとを記憶するコマンドデータベースを更に備え、
前記取り出した電話番号が前記電話番号データベースに含まれる場合に、
前記受信したテキストメッセージの本文に含まれるコマンドを取り出す手段と、
前記コマンドデータベースにおいて前記取り出したコマンドを検索する手段と、
前記コマンドデータベースにおいて前記取り出したコマンドと対応して記憶されているアクションを実行する手段と、
を備える、請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記電話番号データベースが、更に、ユーザの所持する携帯電話機の電話番号と対応付けられた、個々の携帯電話機を保有するユーザの識別情報を有し、
前記電話番号データベースにおいて、前記取り出した電話番号を検索する手段が、前記電話番号と対応付けられて記録されたユーザ識別情報を読み出す手段を更に備える、請求項1又は2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記システムが、管理エリアへの入室を管理する入室管理システムである、請求項1〜3のいずれかに記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記アクションが、
前記読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのパスワードを発行するステップと、
前記パスワードを二次元バーコードに変換するステップと、
前記二次元バーコードを該ユーザの携帯電話機に送信するステップと、
を含み、
前記入室管理システムが、管理エリアの入り口付近に設置されるバーコード読取装置を含み、
前記ユーザの携帯電話機の表示部に表示された前記二次元バーコードを、前記バーコード読取装置に読み取らせることによりユーザ認証を行う、請求項4に記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記入室管理システムが、管理エリアへの入室を管理される各ユーザに配布されるカードを、管理エリアの入り口に設置されるカードリーダに読み取らせることによりユーザの認証を行うシステムであり、
前記遠隔操作システムが実行するアクションが、
前記読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのカードを無効化する指令を前記入室管理システムに送信するステップ
を含む、請求項4に記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記入室管理システムが、管理エリアへの入室を管理される各ユーザに配布されるカードを、管理エリアの入り口に設置されるカードリーダに読み取らせることによりユーザの認証を行うシステムであり、
前記遠隔操作システムが実行するアクションが、
前記読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのカードを有効化する指令を前記入室管理システムに送信するステップと、
所定時間の経過後に、該ユーザのカードを無効化する指令を前記入室管理システムに送信するステップと、
を含む、請求項4又は6に記載の遠隔操作システム。
【請求項8】
携帯電話機から移動体通信網を介して送信されるテキストメッセージの内容に応じてシステムを操作する遠隔操作方法であって、
ユーザの所持する携帯電話機の電話番号を記憶する電話番号データベースを設けるステップと、
携帯電話機から送信されるテキストメッセージを受信するステップと、
前記テキストメッセージの送信元アドレスに含まれる前記携帯電話機の電話番号を取り出すステップと、
前記電話番号データベースにおいて、前記取り出した電話番号を検索するステップと、
前記取り出した電話番号が前記電話番号データベースに含まれる場合に、前記システムに対し所定のアクションを実行するステップと、
を含む遠隔操作方法。
【請求項9】
ユーザから送信されるコマンドと、それに対応するアクションとを記憶するコマンドデータベースを設けるステップを更に備え、
前記取り出した電話番号が前記電話番号データベースに含まれる場合に、
前記受信したテキストメッセージの本文に含まれるコマンドを取り出すステップと、
前記コマンドデータベースにおいて前記取り出したコマンドを検索するステップと、
前記コマンドデータベースにおいて前記取り出したコマンドと対応して記憶されているアクションを実行するステップと、
を含む、請求項8に記載の遠隔操作方法。
【請求項10】
前記電話番号データベースが、更に、ユーザの所持する携帯電話機の電話番号と対応付けられた、個々の携帯電話機を保有するユーザの識別情報を有し、
前記電話番号データベースにおいて、前記取り出した電話番号を検索するステップが、前記電話番号と対応付けられて記録されたユーザ識別情報を読み出すステップを含む、請求項8又は9に記載の遠隔操作方法。
【請求項11】
前記システムが、管理エリアへの入室を管理する入室管理システムである、請求項8〜10のいずれかに記載の遠隔操作方法。
【請求項12】
前記アクションを実行するステップが、
前記読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのパスワードを発行するステップと、
前記パスワードを二次元バーコードに変換するステップと、
前記二次元バーコードを該ユーザの携帯電話機に送信するステップと、
を含み、
前記入室管理システムが、管理エリアの入り口付近に設置されるバーコード読取装置を含み、
前記ユーザの携帯電話機の表示部に表示された前記二次元バーコードを、前記バーコード読取装置に読み取らせることによりユーザ認証を行う、請求項11に記載の遠隔操作方法。
【請求項13】
前記入室管理システムが、管理エリアへの入室を管理される各ユーザに配布されるカードを、管理エリアの入り口に設置されるカードリーダに読み取らせることによりユーザの認証を行うシステムであり、
前記アクションを実行するステップが、
前記読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのカードを無効化する指令を前記入室管理システムに送信するステップ
を含む、請求項11に記載の遠隔操作方法。
【請求項14】
前記入室管理システムが、管理エリアへの入室を管理される各ユーザに配布されるカードを、管理エリアの入り口に設置されるカードリーダに読み取らせることによりユーザの認証を行うシステムであり、
前記アクションを実行するステップが、
前記読み出されたユーザ識別情報により特定されるユーザのカードを有効化する指令を前記入室管理システムに送信するステップと、
所定時間の経過後に、該ユーザのカードを無効化する指令を前記入室管理システムに送信するステップと、
を含む、請求項11又は13に記載の遠隔操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−209664(P2012−209664A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72244(P2011−72244)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(000228305)エヌ・ティ・ティ・データ・ジェトロニクス株式会社 (9)
【Fターム(参考)】