説明

遠隔監視装置

【課題】本発明は、親機から連続呼出信号が送信されている間に生じる無駄な消費電力を抑えるとともにフェージング等のノイズに対しても影響を受けることなく安定して受信動作を行うことができる遠隔監視装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】受信待機状態において所定の間欠周期で受信起床期間が設定されている子機に対して親機から所定期間呼出信号を送信する遠隔監視装置の通信制御方法において、親機側から呼出信号にとともに呼出終了までに送信される呼出信号のカウント値を子機側に送信する。子機が受信起床期間に呼出信号を受信すると(S102)、受信されたカウント値を取得して(S104)呼出終了までの時間Sを算出し(S105)、いったん受信待機状態に戻る。時間S経過後子機を受信可能な状態に立ち上げて親機との間で通信処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ガスや水道メータの自動検針、或いは火災や異常を監視する遠隔監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
こうした遠隔監視装置では、ガスや水道メータの自動検針信号、或いは住宅又は事務所等の建物について複数箇所に検知センサを設置し、検知センサから出力された異常状態検知信号を無線通信を用いて伝送することが行われている。こうした装置では、監視領域に設置された子機に検針および検知信号が入力され、複数の子機から親機に対して監視状態に関する信号が無線通信により集められて、親機からセンタ装置に通報が行われるようになっている。
【0003】
監視領域を常時監視するためには、子機を常時動作状態としておくことが理想的であるが、消費電力が大きくなってしまうためできるだけ消費電力を低減する工夫がなされている。特に、電池により動作するように設計された子機の場合には消費電力を抑えて長期間安定して動作することが望ましい。
【0004】
図7は、従来の子機の受信待機状態の通信制御を示すタイムチャートであり、子機は時間T毎に受信起床期間が設定され、間欠周期で受信可能状態となることで消費電力を低減させるようにしている。そして、親機からの呼出信号は、時間Tの間連続して送信されるため、その間に子機が受信起床期間となると、子機が呼出信号に応答して立ち上がり、親機の呼出終了後に通信を開始するようになる。
【0005】
また、例えば、特許文献1では、電波捕獲時の電力消費状況をユーザーに通知して、電池寿命により設定された設定情報により電波捕獲時の動作を制御するようにした点が記載されている。また、特許文献2では、受信手段で受信された受信信号が送信システムからの送信信号であるか判定して送信信号でない場合には、電源の周期的なオン・オフ動作を維持させるようにした点が記載されている。
【特許文献1】特開2004−297278号公報
【特許文献2】特開昭62−53548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7で説明した従来技術の場合、子機が間欠周期で受信起床期間が設定されているので、常時受信可能状態とされずその分消費電力の低減が図られているが、受信起床期間において親機からの呼出信号を受信した場合親機からの連続呼出信号が終了するまで監視する必要があり、その間子機において無駄な消費電力が生じてしまう。遠隔監視装置では、受信休止期間が10秒程度と長く設定されているため、その分連続呼出信号の終了までの期間も長くなり、無駄な消費電力が大きくなる。
【0007】
また、親機から所定期間連続送信される呼出信号がフェージング等のノイズにより途切れてしまうと、子機側で呼出信号が終了したと誤って認識してしまうため、そのための対策を講じる必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、親機から連続呼出信号が送信されている間に生じる無駄な消費電力を抑えるとともにフェージング等のノイズに対しても影響を受けることなく安定して受信動作を行うことができる遠隔監視装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る遠隔監視装置は、受信待機状態において所定の間欠周期で受信起床期間が設定されている子機と、子機との間で無線通信を行うとともに子機に対して所定期間呼出信号を送信する親機とを備えた遠隔監視装置において、前記親機は、前記呼出信号にとともに呼出終了タイミング情報を送信する呼出制御手段を備え、前記子機は、前記受信起床期間に受信した前記呼出終了タイミング情報に基づいて呼出終了時刻まで受信休止期間に設定する受信制御手段を備えていることを特徴とする。さらに、前記呼出終了タイミング情報は、呼出終了時刻又は呼出終了までに送信される呼出信号のカウント値であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る遠隔監視装置の通信制御方法は、受信待機状態において所定の間欠周期で受信起床期間が設定されている子機に対して親機から所定期間呼出信号を送信する遠隔監視装置の通信制御方法において、前記親機が前記呼出信号とともに呼出終了タイミング情報を送信し、前記子機が前記受信起床期間に受信した前記呼出終了タイミング情報に基づいて呼出終了時刻まで受信休止期間に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遠隔監視装置は、上記のような構成を有することで、親機から呼出信号とともに送信される呼出終了タイミング情報に基づいて子機側では呼出終了時刻を知ることができるので、呼出終了時刻まで受信休止期間に設定することが可能となり、呼出終了時刻までの間無駄な消費電力を抑えることができる。また、呼出信号の終了を監視する必要がなくなるので、フェージング等のノイズにより呼出信号が途切れても正確に呼出終了時刻に受信可能な状態に設定することができる。
【0012】
そして、呼出終了タイミング情報として、呼出終了時刻又は呼出終了までに送信される呼出信号のカウント値を呼出信号とともに送信することで、子機側で確実に呼出終了時刻を知ることができる。
更に、自局宛てでないと判断した子機では、他局間の通信の終了を正確に予測できる(即ち、呼出終了時刻に一定時間、例えば5〜6秒の通信時間を加えた時間が他局の通信終了時間である)から、多局間通信時間は間欠起床動作を停止することができ、その面からも電池の消耗を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明に係る実施形態に関する概略構成図である。親機1、子機2A及び2B、ガス漏れセンサS1及びS3、ガスメータS2及びS4を備えている。親機1は、図2に示すように、装置全体の制御を行う制御部10、制御処理に必要なプログラムやデータを記憶する記憶部11、ガス検針センタと通信を行う際に例えば携帯電話回線などの無線通信網を介してガス検針センタとパケット通信を行うためのプロトコル処理(TCP/IP)を行うプロトコル処理部12及びパケット通信部13、子機2A及び2Bとの間で無線通信で信号を送受信する送受信部14、装置内の各部に電源電圧Vccを供給する電源部15を備えている。
【0015】
子機2A及び2Bは、図3に示すように、装置全体の制御を行う制御部20、通報装置1との間で無線通信で信号を送受信する送受信部21、制御処理に必要なプログラムやデータを記憶する記憶部22、監視対象の機器であるガス漏れセンサS1及びS3もしくはガスメータS2及びS4と有線で接続される機器接続部23、装置内の各部に電源電圧Vccを供給する電源部24を備えている。
【0016】
親機1の制御部10は、各子機に対して呼出信号を送受信部14を介して送信する呼出制御部100を備えている。呼出制御部100は、子機において時間T毎に設定された受信起床期間に対応して時間Tの間連続して呼出信号を繰り返し送信するように制御する。そして、呼出信号を送信する際に呼出終了までの残りの呼出信号のカウント値を送信する。例えば、呼出信号を時間Tの間に10回送信する場合には、1回目の呼出信号を送信する場合にはカウント値として9を送信する。2回目以降の呼出信号送信時においても1ずつ減算したカウント値が送信されるようになる。
【0017】
一方、各子機の制御部20は、親機1からの呼出信号を受信して動作制御する受信制御部200を備えている。受信制御部200は、受信起床期間内に親機1から呼出信号を受信した場合に、呼出信号とともに受信したカウント値を取得して呼出終了時刻を算出し、呼出終了時刻まで受信待機状態に戻すように制御する。カウント値は、呼出終了時刻までの呼出信号の回数であるから、単一の呼出信号の出力時間を予め記憶しておけばカウント値から呼出終了までの時間が算出できる。算出された時間をタイマにセットして受信待機状態に戻り、タイマがカウントアップしたら受信可能状態に立ち上げることで、呼出終了のタイミングに合せて親機との間で通信処理を行うことができる。
【0018】
図5は、親機1から呼出信号が子機に対して送信された場合のタイムチャートである。子機側では、時間T毎に受信起床期間が設けられており、親機側では時間Tの間連続して呼出信号が5回送信されるようになっている。そして、2回目の呼出信号が送信された際に子機が受信起床期間となって呼出信号とともにカウント値3が取得される。子機側では、カウント値3に基づいて呼出終了までの時間を算出して受信待機状態に戻る。算出した時間が経過すると、子機側が受信可能な状態に立ち上がり、親機との間で通信が行われるようになる。
【0019】
図6は、子機において呼出信号を受信する場合の処理フローを示している。子機は、通常受信待機状態に設定されており(S100)、時間Tが経過したか否かチェックして(S101)時間Tが経過すると受信起床期間となり受信処理を行い(S102)、親機1からの呼出信号の受信の有無がチェックされる(S103)。呼出信号を受信しない場合にはステップS100に戻って受信待機状態が継続される。
【0020】
ステップS103で呼出信号を受信した場合には、呼出信号とともに送信されたカウント値を取得し(S104)、カウント値に基づいて呼出終了までの時間Sが算出される(S105)。そして、算出した時間Sをタイマにセットして再び受信待機状態に戻る(S106)。次に、時間Sが経過したかチェックされ(S107)、経過していない場合にはステップS106に戻って受信待機状態が継続する。時間Sが経過した場合には、受信可能な状態に立ち上がり、親機との間で通信処理が行われる(S108)。そして、通信処理が終了すると、ステップS100に戻って再び受信待機状態に設定される。
【0021】
以上説明した例では、呼出信号とともにカウント値を送信するようにしているが、カウント値の代わりに呼出終了時刻を送信するようにしてもよい。その場合には、子機側で呼出終了時刻を取得し、時計回路等からの現在時刻のデータをチェックして呼出終了時刻が到来するまで受信待機状態に設定するようにすればよい。
また、子機が親機に対して呼出信号を送信する場合についても同様に、送信時に親機から他の子機への呼出信号を受信すると、その呼出終了までの時間に親機と呼出を受けた他の子機とのおおよその通信時間を加えた時間を算出し、その時間を当該子機が親機に送信を開始するまでの待機時間とすることでも同様の効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る実施形態に関する概略構成図である。
【図2】親機に関する概略ブロック図である。
【図3】子機に関する概略ブロック図である。
【図4】親機から呼出信号が子機に対して送信された場合のタイムチャートである。
【図5】子機において呼出信号を受信する場合の処理フローである。
【図6】親機から呼出信号が子機に対して送信された場合の従来のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0023】
1・・・親機、2・・・子機、100・・・呼出制御部、200・・・受信制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信待機状態において所定の間欠周期で受信起床期間が設定されている子機と、子機との間で無線通信を行うとともに子機に対して所定期間呼出信号を送信する親機とを備えた遠隔監視装置において、前記親機は、前記呼出信号にとともに呼出終了タイミング情報を送信する呼出制御手段を備え、前記子機は、前記受信起床期間に受信した前記呼出終了タイミング情報に基づいて呼出終了時刻まで受信休止期間に設定する受信制御手段を備えていることを特徴とする遠隔監視装置。
【請求項2】
前記呼出終了タイミング情報は、呼出終了時刻又は呼出終了までに送信される呼出信号のカウント値であることを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視装置。
【請求項3】
受信待機状態において所定の間欠周期で受信起床期間が設定されている子機に対して親機から所定期間呼出信号を送信する遠隔監視装置の通信制御方法において、前記親機が前記呼出信号にとともに呼出終了タイミング情報を送信し、前記子機が前記受信起床期間に受信した前記呼出終了タイミング情報に基づいて呼出終了時刻まで受信休止期間に設定することを特徴とする遠隔監視装置の通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−96667(P2007−96667A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282387(P2005−282387)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【出願人】(505119003)株式会社ジェイエイ・エルピーガス情報センター (4)
【Fターム(参考)】